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アモルファス磁場中結晶化法によるNd-Fe
5 0 1 生 産 研 究 3 8巻 11号 ( 1 9 8 6. l l ) HI 川I l l H‖L HHHI L L HL Hl 川=仙川州l l HL 川州 I H=l 川 日l Hl l Hl I l 日日川Hl l l HHHI HHI H=ml H州 日日I l HHH=I H川I Hl研 究 速 報 UDC6 6 98 5 /8 6. 0 1 8:6 2 1. 3 1 8. 1 2 アモルファス磁場 中結晶化法 による NdFe B系永久磁石材料 の研究 ASt u dyo fNdFe ・ Bbas ePe r ma ne ntMa gne tMa t e r i a lbyCr ys t al l i z a t i o no fAmo r p ho usAl l o ysi nMa gne t i cFi e l d 本 間 穂 高 *。井 野 博 満 *・中 田 一 郎 **。徳 永 雅 亮 *** Hot akaHONMA,Hi romi t s uI NO,I chi rohNAKADA andMas aakiTOKUNAGA 1. 拷 結晶粒 の磁化容易軸の方向 をそろえない と全体 としての NdFeB系永久磁石 は現在実用化 されてい る もの とし 磁化 がなかなか飽和 しないのだが,焼結法はすでに成形 て磁場 中成形後での焼結法 によって作 られているもの と の段階で粉末の磁化容易軸 をそろえてあ り, また急冷析 単 ロール法 による液体 急冷 によって微結晶 を析 出させ る 出法は急冷薄帯の析 出方向にやや結晶粒 が配向す るとい 方法 によるものがある.ただ し,永久磁石の性能 を示す 最大エネルギー積 ( BH) ma x は前者で 5 0. 7MGOe,後者で 法では,結晶粒 が非晶質相 か らランダムに晶出す るため 1 4MGOeと格段 の差がある.しか しその金属組織の違 い にその配 向が全 く無い。そこでわれわれはこの晶出を配 か らた とえばボン ド磁石 の ような利用法 を考 えるとこれ 向 させ るために磁場 を用いるこ とがで きないか と考 えた。 か ら述べ るアモル ファス焼鈍法 と共 に後者のほ うが有用 す なわち,晶出相 ( Nd2 Fe1 4 B相)の大 きな磁気異方性 を であると言われてい る。 永久磁石 の最大エネルギー積 ( BH) ma xを向上 させ るに は 3つの要 因が ある。 ( A)飽和磁化 Msを大 き くす る。 ( B)保磁 力 H。を大 き くす る。( C)減磁 曲線 の角型比 Mr /Ms を 1に近づ ける。 ( A)はマ f J)クス となる Nd 2 Fe1 4 B相 によってすでに決 まっているので, われわれの B) と ( C)の改良である。 目標 は ( 利用 して磁場 中で結 晶化 を行 わせ ることによ り印加 した 磁場 の向 きに結晶粒 をそろえるこ とがで きないか とい う こ とを試みた訳である。 2. 実 験 方 法 まず,磁場 中結晶化 を行 うには,結晶化 させ るための 焼鈍 の温度 をキュ リー温度以下 に しなければな らない。 保磁力の向上では結晶粒 の性質 に係 わるこ とが多い。 キュ リー温度以上 になると磁気 モー メン トと合 わせ て磁 まず,磁化反転の機構 に もよるが,結晶粒界の組織お よ 気異方性 は消失 して しま うか らである。 また磁気異方性 び磁気特性 によって磁壁移動 を制御す るこ とがで きる. は大 きいほ うが印加 した磁場が よ り有効 に働 くであろ う また磁気異方性 を大 き くかつ結 晶粒 を小 さ くすれば保磁 か らその点か らも焼鈍温度 は低 いほ うが よい。ただ し, 力は大 きくなる( 単磁 区粒 子理論)。Nd FeB磁石 を含む 下 げす ぎると結 晶化 に要す る時間は指数関数的に増大 し 希土類磁石 はこの磁気異方性の大 きなことを利用 してい 1 4 B相 のキュ リー温度 とアモル て しまう。実際 に Nd2Fe るのである. ところで結晶粒 の大 きさとしては磁場 中成 ファス合 金 の結 晶化 温度 をみ て み る と T。 -3 1 0℃3) , 形焼結材 では 1 5/ J m 程度 1 ) ,急冷析 出法では 0. 1/ J mぐ Tx-6 0 5℃4 )( DSC heat i ng r at e20℃/ mi n) とい う結 らい2 ) で あるが,急冷法 を用 いて まずアモル ファス合金 果 が えられている. この ままではキュ リー温度以下での を作 りそれ を焼鈍一結 晶化 させ る とさ らに細 かい結 晶粒 結 晶化 は不可能 で あ るので,Feの一部 を Coで置換 す ( 約2 0 0Å)を得 るこ とがで きる。われわれはこの作製法 る. キュ リー温度 は Co置換量 に従 って単調 に増加 す る によって永久磁石 の開発 を試みている。 さて,永久磁石 の特性 向上の ( C)として,減磁 曲線の ( Fi g1) 3 ) .この ときアモル ファス合金の結 晶化温度 は やや低下 してい くこ ともわか った ( Fi g2) 。ただ し Co 角型比 を 1に近づ ける, とい うことが あるが減磁 曲線の 置換量 をあま り多 くす ると磁気異方性の大 きさお よび 1 角型性 は焼結法,急冷析 出法, アモル ファス焼鈍法の順 軸性 が低下 し, また粒 界組織 を変化 させ て保磁力 をさげ に悪 くなる。Nd 2 Fe1 4 B相 は磁気異方性 が大 きいため各 た り等の悪影響 もあってむやみに置換量 を増や して もか * 東京大学生産技術研究所 第 4部 * * 東京大学物性研究所 * * *日立金属㈱磁性材料研究所 えって逆効果である。 これ らの兼ね合 いか ら,以前報告 6. 5%,Fe:7 5 %,B.8. 5 % とい う組成4 ) にた した Nd:1 い してキュ リー温度以下で磁場 中焼鈍が行 えるであろ う 川HI I I F 川f =F HI HHHI l 川川Hl F Hf l l l I I F H川日日日日HmHr l l l l E Hl Hl l I HI 日日川I H日日I I Hl l I I H=日日川日日川HHI HHl l I H=日日l 川I l Hl Hl HHHl l E l . r l 38巻 11号 (198611) 502 研 究 産 生 研 究 報 111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111 速 p ヽo負8 ,8 。日 盤 p ヽc、E に餞o。日0い のエ コ0 5 0 02 04 06 08 10 15 20 25 Fig 2 Dependence of Crystallization temperature of amorphous X Fig l 10 X.% d2 Dependence of the Curie temperature of lヾ Nd,u.uFeru-1CoyBr.u alloys on the Co concentration (DSC heating rate 20Clmin) (Fel_xCox)14B On the Co concentration3) as quenched metal FesoCozlNdro.sBs-s ギ リギ リの, F e の 1 / 3 を C o で 置換 した組成, す なわち Nd:165%, Fe:50%, Co 1 25%, B:85%と CO―kα い う組 成 を決定 した。 試料 はまず,そ れ ぞれ純度 999%の 原料 を所定量 だけ アー ク溶解法で約 50gの イ ンゴ ッ トにす る.こ れか ら約 lgの 短冊状 の試片 を切 り出 し,先 端 に径 05mmの 噴 出孔 を もった内径 8mmの 石 英管 の 中に入 れ て 高周波 溶解 した後単 ロー ル法 による液体急冷 を行 う。急冷雰囲 気 は チェ ンバ ー 内 を 10 4Torr程度 の 真 空 に した あ と Arを 導入 し,ノ ズル 間隔約 03mmを もって,高 速 回転 ー ロ い つ Cu製 の ルに吹 き ける。 して る Co 25%置 換 では完全 なア モルフ ァス合金 が作 りに く く,X線 の測定で も Fig 2に示 す A,Bの 2つ の試料 し かで きなか った。それ ぞれの作製条件 は A が ロー ル周速 ロー ル 周速 1 1 0 m / s e c , A r l10m/Sec,Ar l atm,Bが 0 3 a t m で あ る。 しか し結 品化 温度 を測定す る と A が 560℃ , Bが 575℃ (DSC heating rate 20℃ /min)で Aの 試料 は まだ不完全 なアモ ル フ ァスで あ るこ とが わ かった。 そこで まず B の 試料 に対 して焼鈍 を行 った。 C o 2 5 % 置換 では, T c = 5 5 0 ℃ めとい う値 が得 られて い るので, これか ら焼鈍条件 として, 1 4 k O e の 磁場 中で a 480k3 70 Fig 3 X―ray diffraction spectra of amorphous Nd166 Fe50C025B86 al10y A Quenching atmosphere:Ar l atm B Quenching atmosphere:Ar 0 3atm と, F i g 4 の ようになる. 4 8 0 ℃1 5 h r ではアモルフ ァス は, X 線 測定 によると結品化 はほぼ完 了 して い るように b495℃ 1 5hr ぃ 思 われ るが,磁 化測定 の結果 (Fig 5(C))か らみ るとま だ一部軟磁性相 が残 って るこ とがわか る。 この相 はお c510℃ 1 5hr の 3条 件 を決定 した。 験 50 2″degree が少 し壊 れ る程度 である こ とが わか る.495℃ 1 5hrで 1 5hr 3.実 30 結 果 体 そ ら く粒界部分 にわずかに残 る非品質相 と思われ,そ の 積 存在率 は約 3%で ある.510℃1 5hrで は X線 ,磁化 演はこともに結 晶化が完 了 して い ることがわか る. ィフラ ク トを用 い て調 べ る 結 晶化 の よ うす を X線 デ ´ │││111111111111111111111111111111111111111111111111111111 ││││││‖ ││││llllllllllllllll1111111‖ 1111111111111111111111111111111111111‖ ││││││││││││││‖ 16 生 38巻 11号 (198611) 産 研 究 ││││││││││1111111 lllllllllll lll1 11111111111 111111111111 11111111究 1 1 1 1速 : │ │ │報 │l lllllllll い 5%程 度で モルフ ァス相が残 って てその体積 存在率 は Co―kα J_ C15hr 480° あ り,こ の こ とは以前徳永 らに よって も報告 され て い る5)。 4 実 験結果 の考 察 この印加磁場 による晶出の機構 には 2つ のモデルが考 495° C15hr えられ る。ひ とつ はア モル フ ァス状態か らの品出核 が さ まざまな方向 を向 いて いた としてそのなか の磁 場 の方向 を向 いた ものが結晶粒 として成長す るとい う核成長 モデ 510° C15hr ル, もうひ とつ は晶出核がで きる時点で磁場 の方向 を向 きその まま結晶粒 に成長す るとい う核発 生 モデルである。 ここで不完全 なア モル フ ァスで あ る Fig 2の Aの 試料 につ い て,磁 場 中で 480℃1 5hrの 焼鈍 を行 った ものの 磁化 曲線 を Fig 5(e)に 示す。Fig 5の (a)に較べ て焼 30 Fig 4 40 ‐ 2α degrec 50 60 X― ray diffraction spectra of Nd165Fe50C025B85 annealed in a magnetic field of 14 kOe 鈍温度 は低 いのだか ら結 晶粒 の配向 には条件的 には有利 なはずなのに角型性 は明 らかに悪 く,(d)と 較べ るとあ ま り差がないこ とがわか る。 この実験結果 は核発生が支 配的であるこ とを示唆 して い る。 5. こ こ で 得 られ た 510℃1 5hr焼 鈍 の Nd165Fe50C025 B85の磁 化 測定 の結 果 と Nd165Fe75B&5焼 鈍 材 の磁 化 測 定 の結果 を比較 して Fig 5(a),(b)に 示す。 また,合 わせ て無磁 場 中で 510℃1 5hrの 焼鈍 を行 った C025% ま め 一部 を 非 品質 NdFeB合 金 の磁 場 中結 品化 は Feの Coで 置換す るこ とに よ り可能 にな りその効果 は現在 の 置換試料 の測定結果 も (d)に示す。 (a)の結果 では,Hc= ところ磁化 曲線 の角型 比 の向上約 25%と い う結果 に現 れて い る。 そ して これは非品質相 か ら発生す る晶出核 の 11 2kOe,bHc=5 5kOe,Bs=6 9kG,(BH)m ax=102 M G O e と い う値 が得 られた。ま ず ( a ) と ( b ) を較べ る 向 きが印加磁場 の向 きに影響 されてその結果結 晶粒 の配 向が決め られ るとい うことによって えられ るよ うであ り, と角型性 の 向上 は明 らかである. 保 磁力 の低下 はおそ ら 核発生 モデルに基づ く磁場 中結 晶化 につ いては現在計算 く C o に よるもので あろ うがそれに もかかわ らず残留磁 を行 って い るところである。 化 は向上 してい る。飽和磁化 M s が C O 置 換 に よって余 り 変化 しな い とすれば角型比 M r / M s は 約 2 5 % の 向上 で あ る。 また, 無 磁場 中で同一条件 の もの ( d ) と比較 してみ て も約 1 5 % 向 上 して い る。ただ磁 場 を印加す るこ とは結 最後 に,本 研究 を行 うにあたって,物 性研 中田研究室 の小池正義技官 には磁場 中熱処 理 に用 いた電磁石 の利用 晶化 を促進す る働 きがあるようで, ( d ) に は明 らか にア 意 を表 したい Table 1 (a) (C) (e) に関 してお世話 になった。 また磁化 曲線 の測定 のい くつ かは 日立金属磁材研 の野沢康 人氏にお願 い した.感 謝 の (1986年 9月 16日 受理 ) Experimental conditions for the demagnetization curves in Fig 5 system annealing condition magnetizing field amorphous condition before annealing Ndl。5Fe50C025B85 5 1 0 ℃1 5 h r in magnetic field 14 kOe perfect Nd165Fe75B85 6 1 0 ℃1 5 h r without magnetic field 25 kOe perfect Nd165Fe50C025B85 4 9 5 ℃1 5 h r in magnetic field 14 kOe perfect Nd165Fe60C025B85 5 1 0 ℃1 5 h r 、 7ithout magnetic field 70 kOe perfect Nd165Fe50C025B86 480℃ 1 5hr in magnetic field 14 kOe imperfect ││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││ 17 38巻11号 (198611) 究 速 報 産 生 研 究 │││││││││1111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111 Fig 5 Demagnetization curves of Nd165(Fe,Co)76B86 magnets obtained by a crystallization method frOm amorphous state The experimental conditions for each sample is sho、7n inTable l 参 考 文 献 1)M Sagawa, S Fujiwara, N Togawa, H Yamamoto and Y Matsuura lJ Appl Phys55(1984)2083 2)J J CrOat, J F Herbst, RヽV Lee and F E Pinkerton i J Appl Phys 55(1984)2078 3)Y Matsuura,S HirOsawa,H Yamamoto,S Fujimura and M Sagawa:Appl Phys Lett 46(3)(1985)308 4 ) 井 野博 満, 水 下 弘 一, 本 間格, 徳 永 雅 亮 : 生産 研 究 37(1985)221 5)M Tokunaga,Y NOzawa,S Tanigawa and H Harada l Digest of the lntermag Cbuference(1985)AA― o7 11111111111111111 ‖│ l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l │l │l l l l l l l l l l l l l l} l│ l│ l│ l: l│ l│ l│ l│ l1 l川l l│l│l│l│l│l│l│l│ │l│l│l│l│l│l1l1l1l1l1l1l1l1l1l1l1l1l1l1l1l1‖ 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