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日本とイスラームの対話 イマーム大学 宣教学部 政治・メディア学 教授
日本とイスラームの対話 イマーム大学 宣教学部 政治・メディア学 教授 Dr.ムハンマド ビン サウード アルバシル 始めに 人間の文化が複数であること、そして宗教や民族や性別や言語が多様であるのは人類にと って不可避なものです。そのため人類共通の価値観で、これらの相違をまとめるような行動を とらなければなりません。それは、すべての文化がそれを形成し、またすべての文明を彩った 思想や経験を知り、近づき、交換の増加をもたらすこれらの価値へ、双方を移動する価値に よる交換認識に基づいた行いなのです。 イスラームと日本の両文明は、それらが意義的歴史、文化遺産、そして現代生活の経済に 影響を与える経済活動の積み重ねに表わされる東洋の人間の活動そのものを表わしていま す。 このプリントは、 ● イスラームと日本の対話存在に重大な要因を明らかにさせ、 ● この対話成功の機会のため、共通の基礎と、双方の相手への義務を変化させるものに 光を当てています。 ● それから現実の生活の中で生かせる戦略的な行動を提案しています。 なぜ対話なのか? 異文化間の対話は、繋がりと出会いは人間…あらゆる人間への善行への協力のために必 要不可欠なものである、という真理を生み出します。共通の価値に基づいた対話と歩み寄り は基本です。そして知識人たちによって行われる闘争・衝突・直面は文明の誤った使用法で す。それは文明がもたらす基準や模倣やモラルとは相反しています。ですからそれは、欲望 や利益の衝突であって文明の衝突ではないということができます。 人道的価値の根源は共通です。イスラーム教はその重要性を厳しく追及しました。そしてム スリムの書、クルアーンの中の多くの箇所でそれについて言及され、また預言者ムハンマド (アッラーよ彼に祝福と平安を与えたまえ)も確実な正しい方法で、教友たちと彼らに続く者た ちが伝えた預言者の伝承禄の中でそれについて述べました。そしてムスリムたちの遺産は、 宗教の違いにもかかわらず、人間の絆は共通利益を実現させる繋がりや文化交流を動かし 活性化させることができるという真理への基礎を伝えたということです。繋がりと出会いを導く 対話の重要さが増す中で、諸文明間は、人間に備わっているモラル水準の集合体の上に成 り立っており、対話が、公平さを善いものとし、不正を悪とし、徳のある人格を尊敬し、安全な 環境実現のために奔走し、平和を愛し、反対意見をもつ者にも敬意を表わしその価値を認め る…などの一般的な人道的水準の上で一致しています。それ以外のものも、人間がそれに対 して敬意を払い、善と平和が続く人間生活を営むための基準なのです。 戦略的提案における「対話」の意味するところ この戦略における「対話」という専門用語の意味するところは、イスラームと日本という二文 明の共通利益実現による繋がりと歩み寄りのための地球レベルの願望である、長期にわた る様々な通信手段を通しての直接的会話、文化的訪問、科学会議や印刷物などによる二文 明間の文化的対話です。 戦略的提案における対話成功への共通基礎 戦略的提案は対話の片方を体現するそれぞれの文明独特の基礎と、イスラームと日本の 両文明が出会う共通の基礎という集まりに重点を置きます。そしてこれらの基礎はイスラーム と日本の対話という経験成功の現実的な証拠を表わしています。これらの基礎のうち最も重 要なものは: 1-サウジアラビア王国と日本の文化の特徴。両国がそれぞれ宗教的・文化的・人格的・社 会的価値を守りながら現代の民衆から与えられるものを手に入れました。 2-両文明が西欧の模範を強制する文化的グローバリズムに直面していること。日本はいま だ、第2次大戦後に始まった、文化的人格を守りながら物質的供給の原因入手に頼った第2 次復興の段階を生き続けているのです。日本はいまだに、一般的に西欧との、特にアメリカ 合衆国との軍事・経済関係と結びついています。そしてこの関係の払う代償が日本における 生活形態への彼らの影響であることは疑いないでしょう。 サウジアラビア王国に関していえば、類似点はサウジもいまだ文化・経済関係において西 欧と結びついており、意味的にも感覚的にも残念ながら現代の物質的製品に関する情報源 は西欧からもたらされているということです。 3-イスラームと日本の両文明は「諸文明の衝突」論の基礎を作った西欧戦略家たちの著述 によって共に特定され、西欧が標的にする諸文明の中に名を置かれているおいうことです。2 度目の日本の経験はサムエル へミングトンやフランシス フクヤマ、ベルナード ルイス、そ して彼ら以外のものたちが発表した、西欧の、誰もが知る利益実現のために諸文化の現実と は遠くかけ離れた、多数の理論の中で語った問題を陥落させました。 日本の今の現状は、共通利益のための文化交流に基づいた復興建設のために自ら西欧文 明と取引し、自発的に行った共存における諸文明の願望の本当の証人であり、現実的証拠 なのです。 それらすべてにもかかわらず、イスラームと日本の両文明は文明衝突論からくる西欧の利益 のために、特にイスラーム世界に起こった現状にそれが表れている諸段階が見え始めたこの 政治的包囲の大きさを理解せざるを得なくなりました。それは国際政治の政策変換や全人類 に模範の画一化の普及・強制を投げつける西欧文化的諸目的を理解する、文明対話からな る繋がりと歩み寄りの必要の理解です。 4-日本はその復興建設において理性と職人文化に頼っていたことから、日本国民の唯一の 財産がほかでもない人間であることが理解できます。それが日本の復興と文明の秘密な のです。そしてこの人間はその要求と目的、それを実現するために必要なものを知りまし た。そこで確固たるものを残し、変換を引き起こした高度な文明的戦略行動の中でそれ を成し遂げました。 またサウディアラビア王国は同様に、変化するものは起こし、よいものは残すという共 通の主要な分野における日本との共同発展経験において人間を重視しました。 5-イスラームと日本の対話の実験はその他の実験より複雑さが少なく非常に簡単なものと なるでしょう。例えばイスラームと西欧の対話の実験は、困難や問題に取り囲まれていま した。その最たるものが、十字軍やオスマン帝国のヨーロッパとの戦争、イスラーム世界 の多くの国々への西欧諸国の幾度に渡る植民地帰還、特にパレスチナ問題やイラク問 題などのムスリムの諸問題に対する現代西欧の不正、歴史・政治遺産です。それに反し てイスラームと日本の対話は歴史遺産や政治問題から清浄な状態に保たれてきました。 6-歴代日本政府のイスラーム世界との繋がるかけ橋延長の願望。これは第2次大戦時の 日本の軍事政権がイスラームについて必要な情報を提供するためのイスラーム研究機 関の設立、サウジ・日本関係の強化以来のものであり、イスラーム世界との相互友好関 係の樹立における日本人の願望でもあります。西暦2001年、バーレーンにて最初の日 本とイスラームの対話会議が開かれ、2002年10月東京にて第2回会議が開かれまし た。そして今回のこの会議となりました。 7-この戦略のための最重要な共通基礎はムスリムとイスラーム世界のキブラ(目指すとこ ろ)でもあるサウジアラビア王国と日本の間の友好関係です。この関係は双方からの敬 意交換の基礎の上に基づいています。 そして1971年にサウジと日本の関係強化に多大な影響を与えた故ファイサル国王の訪 日がありました。これは日本国民の心にイスラームとムスリムのよい絵を描かせました。 それはサウジ国王が行った始めての日本訪問であり、両国間の後援を意味していまし た。 それから日本の明仁皇太子が1981年サウジを訪れ、1994年には成仁現皇太子が王 国を訪れました。サウディ側は1998年7月末、リヤド知事でもあるサルマーン ビン ア ブドゥルアズィーズ殿下が日本を訪れました。この訪問は公式レベル民間レベルで日本 人の心に大きな影響を残しました。それから数ヵ月後、1998年10月21日その世界の 殆どの国を訪問した周遊の中でアブドゥッラー皇太子の日本訪問が行われました。この 訪問は両国間の関係強化と日本とサウジ間の、またアブドゥッラー皇太子殿下が行った、 東京におけるイスラーム宣教活動を支えることが出来る彼らの場所の提供、という王国 と日本のムスリムたちとの、友好的な感情を表わすことにおいて効果がありました。また アブドゥッラー皇太子殿下はサウディ大使館新館と日本とサウディ、さらにアラブ・イスラ ーム世界との文化関係強化の塔となるイマーム大学東京分校アラブ イスラーム学院を 開きました。 8-サウジと日本の政治関係は政府レベル民間レベルの商業関係発展を伴いました。この 関係成功を容易にするものは、双方の社会の文化を相手に提供する絆で結ばれた関係 です。日本国憲法はその20条において宗教の自由がすべての者に与えられると記述し ています。そしてそれは在日ムスリムたちに、彼らの宗教儀礼を顕わにすることと、彼ら の諸文化についての表現のための完全なる自由を与えるものです。それに対して、ムス リムでない日本人就業者たちは王国内における彼らの諸権利、サウジの制度がそこか ら発生している、明確なイスラームの教えに基づいて、彼らの財産が守られるという権利 を与えられています。王国入国・そこにおける就業と滞在をムスリムでない者に許可する 条例は彼らの財産を守り、彼らの諸権利を与えることに対して遅れをとることがないとい うことを強調しています。またそれ以前にも以後にも、王国内の就業と労働者制度に述 べられたとおり、彼らは生活においていかなる害にも直面しないとうことです。 戦略の目的 イスラームと日本の両文化の間に相違があるのは疑いありません。それは人間の本質的な 相違です。しかしながら、前述したように一致している分野は繋がりと歩み寄りを実現する多 大な可能性をもっています。すでに述べた戦略成功をもたらす要因に基づけば目標の限定は その道を埋める手助けをします。 これらの目的とは、 1-相互理解のための強固な地盤と、共通価値を強化する実のある歩み寄りを生み出すこと。 それはイスラームと日本の二文化間対話テーマの限定によってなされます。両者の間の相違 点は不可避であり、存在しています。しかし、たとえば創造や存在の問題、そして宗教と理性 の関係、宗教と現代の科学的真理との関係、モラルの問題、人権問題など、そこに重点を置 くことは基本なのです。 2-これらの諸問題に関する対話が互いの視点を近づけることを目的に行われること。それ ぞれの文明が他方に、相手を黙らせるのではなく、納得させるに相応しい方法でそれを提供 すること。 3-両文明に対する誤った情報を見つけ出し、それらを正し、疑問や誤解不明な点を取り除く ことを試みること。例えばイスラーム文明はイスラームが殺害・流血・凶暴・極端・後進的な宗 教だという西欧文化からの恣意的な中傷に悩まされてきました。これらのイスラームへの中 傷は日本の文化にも侵入しました。元日本外務大臣河野洋平氏はそのことを次のように表わ しました。「日本とイスラーム世界間の商業的交流存在にもかかわらず、多くの日本人はアメ リカやヨーロッパを通じて以外にイスラームを知る機会に恵まれることはありませんでした。そ の結果、イスラームに関する誇張された姿が提供されました。そして今日にいたるまで、多く の日本人はイスラーム世界が千夜一夜物語に描かれる世界のようだと信じているのです。」 戦略の内容 戦略的対話は次の三つの面に向かうべきだと提案されます。それは文化面・科学面・メディア 面の三つです。それぞれが含むプログラムの詳細を以下のとおりです。 1:文化面 1-文化の出会いの場・思想的シンポジウムなどをコースとして開催する。 2-サウジ人・日本人文化人間の交換訪問の組織化・準備・テーマの限定。 3-繋がりを保ち続けるために在東京サウジ大使館と在リヤド日本大使館における文化活動 の活性化。またそれが政治的・商業的活動と調和し、共伴してなされること。 4-サウジと日本の大学教授たち・思想家たち・文化人たちからなるグループが参加する、両 文明の最も重要な遭遇点を展示し、双方の相違点を近づけ、政治的先導権を分配し、政 治決議を決める議会や大学や科学研究センター、国営・商業的本屋、両国の文化人メデ ィア関係の者たちに展示されるアラビア語日・本語による文書的本の著作。 5-サウジと日本の学生間の夏季交換訪問やコースの制定。 6-日本国内で行われる文化国際展示会へのサウジの参加、王国内で行われる文化国際 展示会への日本の参加。 2:科学面 1-サウジと日本の大学間の、学術的教育・両文明に関する共同研究の準備などの科学的 繋がり。 2-日本の学生の状態にふさわしいアラビア語教育のための本の執筆。 3-日本の研究者たちが必要としている情報を増やすための、東京アラブ イスラーム学院 の情報センターの発展。 4-イスラーム文化研究者たちが関心を持つ書籍・参考文献によるアラブ イスラーム学院図 書館の充実と彼らへの特別な奉仕の提供。 5-イスラームと日本の両文化に関する翻訳作業の活性化。それは知識の積み重ねは偽り のない真理と正しい情報の上に成り立つ歩み寄りの基本だからである。 6-サウジ学生の日本留学の奨励と日本の成績優秀な学生のサウジの大学での研究継続 のための推薦。 3:メディア面 1-両国の大学・学校・国立図書館・書店・思想文化センターに配布されるイスラームと日本 の両文明に関する要約された情報事典の制作。 2-イスラームと日本の対話の諸問題をテーマとし、そのテーマのうち重要なものを展示し、 サウジと日本の文化人たちの対話の場となるインターネット上の情報サイトの設立。これ らの通信・情報手段の投資は時代の流れと技術的状況がそれを課す必要な行動である。 9月 11 日事件後サウジ文化人たちはアメリカ人の同レベルの友人たちと文化・思想対話 を行いました。その対話は双方の多くの視点を近づけることにおいて思想的合致を実ら せました。そしてその中で多くの質問に答え、アメリカ人文化人たちが、アメリカのメディ アによって強められていた疑わしい、イスラームと王国に関する多くの誤った情報を正し ました。 3-両国における対外メディアプログラムの活性化。それは、両国民が相手国の文明の知識 を増やすための、聴覚的・視覚的メディアプログラムを提供することです。 4-双方が相手国のメディア機関で流されている情報を追跡・研究し、両国文明紹介を目的 とするものを広めること。それはサウジと日本の大使館の情報機関を通して行われる。 戦略実行筋とその計画 戦略実行は三つの期間によって行われるべきだと提案します。日本における科学・文化の提 供を行い、サウジにおける公的・私的な機関の支援を受けることのできる、日本にある東京の アラブ イスラーム学院がそれを体現するイマーム大学・イスラミックセンター・日本サウジア ラビア協会です。これらの三機関が5年という期間継続される実行計画を設置し、そのテーマ の重要性と専門性にみあった仕事の分配において、三つの戦略面に基づいた提案・調整を 実行機関に分配をするのです。そしてその三機関それぞれがそれぞれの活動の性質と関係 のある諸機関と強力するのです。ですからアラブ イスラーム学院は高等教育省・大学・文化 メディア省・観光庁(高等機構)・投資高等機構などのサウジの公的機関、そして両国にいる ビジネスマンたちや民間企業群と協力するのです。 東京のイスラミックセンターは諸イスラミックセンターやモスク、日本ムスリム協会や日本にあ る他のイスラーム組織と協力するのです。 そして日本サウジアラビア協会は日本の大学、科学研究センター、思想家や文化人たちと協 力するのです。 戦略的資金提供 提案されたこれら三つの実行機関はサウジ・日本両国政府からの公的援助と、両国の投資 家たちやビジネスマンたちからの援助に重点が置かれる戦略的資金援助のための実質的準 備を任されます。 戦略的資金援助は次の二つの機関を通して行われます。 1-金銭援助 2-精神的援助 1、 金銭援助 これは以下のことを通じて行われます。 1-サウジ・日本両国政府と両国政治指導者たちからの戦略実行と目的実現のための資金 援助提供の公的な要求。 2-民間の投資家たちやサウジ国内の日本企業からの戦略実行のための寄付金による戦 略支援の要求。それは先述した三つの機関からなる委員会の名において要求される。そ してそれは両国の商工会議所との調整によってなされる。これはすでにサウジ・日本間 の商業協力強化のために王国商工会議所所属のサウジ人労働者たちのグループが形 成されているため、このグループとの調整によって戦略的提案実行のための資金援助 強化を求めることが可能なのです。 2、 精神的援助 それは戦略内容実行に参加するために両国の公的機関との調整を通して行われる。それは 適当な、その仕事の性質にあった大学、科学・技術組織、科学研究センター、教育・芸術・職 業訓練機関、情報省、提案された委員会の業務プロジェクトに参加する文化機関に任されま す。