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第 3 講 宇宙と銀河
2015 年度後期 自然の科学 小出良幸 第 3 講 宇宙と銀河 http://ext-web.edu.sgu.ac.jp/koide/nature/ Email: [email protected] クォークのレベル ▼ 大きいもの小 さいもの 1 指数とは 2 自分と他のと の違い どんなに似ている ものがいっぱいあ っても、「自分」を 中心にみていくと、 違いは見つかる 3 小さいもの:自 分の中の自然 4 自然が織り成 す模様 ・クォークのレベ 素粒子 星のレベル R:1026m M:1053kg 宇宙 原子 R:10-11 ~10 -10m M:10-21 ~10 -19kg R:10 23 m 超銀河団とボイド D:10 24 m M:10 46 kg 岩石・鉱物・ 有機物 R:1022m D:1023m M:1045kg 銀河団 R:10 -6 ~10 2m M:10 -9 ~10 10 kg 生命 R:10 21 m D:10 22 m M:10 43 ~10 44 kg 銀河群 R:106 ~10 7m M:1012~1027kg R:1020m D:1022m M:1040~1042kg 銀河 人類 R:10 0m M:10 1kg 小天体 (惑星) 星団 R:10 6m M:10 24 kg 星 太陽 R:108 m M:1030kg 原子のレベル プランク点 クォークのレベル クォーク 10-35g 原子核 1.7×10 -- 10 85 10 65 っ ど た 筋 道 density (g/cm3) 原子のレベル 原子1.7×10-24g 水分子3.1×10-22g 人間 6×10 4g 地球 6×1027g 太陽 2×1033g ブ た き て 10 45 ラ ッ ク ホ ρ ー R2 ∝ 10 2 7 g/ cm ル の 領 域 星のレベル 太陽系 1034g 球状星団 1039g 銀河 1040g 銀河団 1048g 泡構造 1049g 宇宙 1056g 10 25 中性子星 2.4×1033g クォークのレベル 白色矮星 2.8×1033g 10 5 原子のレベル 人類 地球 太陽 10 -15 星のレベル ▼ 宇宙の 現在の宇宙 始まり(誕 size (cm) 生)と成長 (進化) 1 宇宙は有限である 宇宙には、始まりがある 2 宇宙は変化している 膨張している宇宙 静止していない:アインシュタインは、静止宇 宙を考えていた ・始まりのある宇宙 ビックバンがあった 証拠 ハッブルの法則 宇宙の元素存在度 宇宙背景放射 ・終わりのある宇宙 2 宇宙誕生 ・無の世界 境界問題 量子のゆらぎ ・インフレーションの開始 1032K, 10-44sec 後, プ ランク単位 10 -35 10 -35 10 -25 10 -15 ・ビックバンの開始 1027K, 10-35sec 後 ・クォークの閉じこめ 1014K, 10-8sec 後 ・原子核の形成 1010K, 3 分後 ・宇宙の晴れ上がり 3000K, 30 万年後 ・銀河の形成 10~20 億年後 ・銀河団の形成 30 億年後 ・最初の星の形成 40 億年後 ・太陽系の形成 100 億年後 地球の形成 生命誕生 人類誕生 ・現在 3K, 138 億年後 地球 R:10 8~1011m D:10 16 m M:10 29 ~10 32 kg R:10 17 m D:10 19 m M:10 39 kg の 宙 宇 ル ・原子のレベ ル ・星のレベル 特殊な条件 に、秘密が隠 されている ことがある。 ビックバン 10 - 10 5 10 15 10 25 ▼ 宇宙の未来:宇宙の死 1 膨張しているもの 2 宇宙の密度 Ω=(宇宙密度)/(臨界密度) 3 Ω=1 つり合っている時 4 Ω>1 万有引力が勝つ時 5 Ω<1 加速膨張 ▼ 銀河の概要 1 定義 2 銀河の構成 ・ハロー ・ディスク ・バジル ・中心核 3 銀河の質量 ▼ 銀河の特徴 1 いくつかの銀河がある 2 銀河の構造や分布は、誕生のころに決められ た スターバースト 泡状構造 銀河の形成 3 銀河も変化している 4 銀河はこみあっている ▼ 我々の銀河 1 自転している 微分回転 2 渦巻きがある 渦のできかた 3 銀河中心核 2015 年度後期 自然の科学 小出良幸 第 3 講 宇宙と銀河 http://ext-web.edu.sgu.ac.jp/koide/nature/ Email: [email protected] ▼ 町田さん:将来を見つめて フリータとしての 10 年間とその後の定職への転職 ▼ 大きいもの小さいもの 1 指数とは 数字とは、恐れるものではない。あるものの特徴を示すものである。また、1 か 2 が問題になるだけでな く、どれくらい大きいか、どれくらい小さいかを比べるとき、その桁数を調べなければならない。桁数を 調べるには、指数という表記方法が便利である。 10x や 10-5 などという表現。 非常に大きいものや、小さいものを表現し、何桁くらい違うのかを考えるときに便利である。 2 自分と他のとの違い 自分を知るひとつの方法として、自分の特徴を知る方法があるといった。自分の特徴は、似たような他 のものと比べることによって見つけられる。自分を他と比べたとき、違いがないときだってざらにある。 クォークのレベル ビックバン 素粒子 星のレベル R:1026m M:1053kg 宇宙 原子 R:10-11 ~10 -10m M:10-21 ~10 -19kg 23 m 超銀河団とボイド R:10 D:10 24 m M:10 46 kg 岩石・鉱物・ 有機物 銀河団 R:1022m D:1023m M:1045kg R:10 -6 ~10 2m M:10 -9 ~10 10 kg 生命 銀河群 R:10 21 m D:10 22 m M:10 43 ~10 44 kg R:10 17 m D:10 19 m M:10 39 kg 星団 R:10 0m M:10 1kg R:106 ~10 7m M:1012~1027kg R:1020m D:1022m M:1040~1042kg 銀河 人類 小天体 (惑星) 地球 R:10 8~1011m D:10 16 m M:10 29 ~10 32 kg 星 R:10 6m M:10 24 kg 太陽 R:108 m M:1030kg 原子のレベル 「宇宙」:われわれが知っている宇宙は、唯一である。 ↓ 「銀河」:多数あるが、私たちの銀河はひとつである。 ↓ 「太陽系」:太陽系は多数見つかっているが、私たちの太陽系は唯一である。 ↓ 「惑星」:惑星は多数あるが、地球は唯一である。 ↓ 「生物」:いまのところ知っているのは地球の生物だけ唯一であるが、多くの種類がいる。 ↓ 「人類」:絶滅種も含めると人類もいくつかいた。 ↓ 「個人」:多数いるが、「自分」は唯一である。 たとえば、自然の中には、多数の同質のものがある。同質のものの中にも、違いがあるが、自分だけを際 立たせるものは、なかなか見つからない。たいていは、多くの多様性中に埋もれていくはずである。でも、 そこに「自分」と呼べるものがあるかどうかが重要な点である。多くの似たものが自然の中にはあるが、 その中に自分がいるかどうかが大きな違いとなる。 どんなに似ているものがいっぱいあっても、「自分」を中心にみていくと、違いは見つかる 3 小さいもの:自分の中の自然 あるものを調べるとき、自分構成しているより小さなものへと、追求を続けていくことで特徴を表すこ とができることがある。たとえば、ヒトである「自分」が他人とは違うはず。ものは、より小さなものが 集まってできている。 「自分をつくるもの」を突き詰めていくと、最小のものへとたどり着くはずである プランク点 10 クォークのレベル クォーク 10-35g 原子核 1.7×10 -- 85 筋 道 た き て っ ど た の 宙 宇 10 65 density (g/cm3) 10 45 原子のレベル 原子1.7×10-24g 水分子3.1×10-22g 人間 6×10 4g 地球 6×1027g 太陽 2×1033g ブ ラ ッ ク ホ ρ ー R2 ∝ 10 2 ル の 領 7 域 g/ cm 星のレベル 太陽系 1034g 球状星団 1039g 銀河 1040g 銀河団 1048g 泡構造 1049g 宇宙 1056g 10 25 中性子星 2.4×1033g クォークのレベル 白色矮星 2.8×1033g 10 5 原子のレベル 人類 地球 10 -15 太陽 星のレベル 現在の宇宙 10 -35 10 -35 10 -25 10 -15 10 - 10 5 10 15 10 25 size (cm) 最小の「自分」=生物 地球 現在生きている生物種で名前がついているもの約 200 万種 1 個 約 1000 万種、かつて生きていた生物種約 20 億種と推定 ↓ ↓ 有機物 岩石・地層(大気・海洋・生物) 多種 多種 ↓ ↓ 分子 鉱物 多種 約 4000 種 ↓ ↓ 原子 原子 元素は 106 種発見、そのうち安定に存在するもの 91(89)種、同位体種は約 280 種 ↓ 素粒子 300 種以上 ↓ 素粒子 これらの構成物は、やはり、自然を構成しているものである。小さいが自然の一部といえる。自分も自 然から構成されている。自分の中にも自然がある 4 自然が織り成す模様 素粒子→原子→有機物・鉱物・岩石→人類・生命→地球・惑星・小天体→ 太陽系・星(恒星)→星団→銀河→銀河団→超銀河団→宇宙 この世のありとあらゆるものを、一つのグラフで表現することができる。この世のものは、でたらめに あるのではなく、階層や構成物の性質によって区分できる。 ・クォークのレベル ・原子のレベル ・星のレベル これは、階層をまたがってなんらかの規則性があることを示している。自然の中には、階層を越えたよ り普遍的な規則がありそうである。 また、宇宙(最大の自然)と素粒子(最小の自然)に強い因果関係がある。それは、最大で唯一の自然 である宇宙が始まるときに、その因果関係が見つかる。 特殊な条件に、秘密が隠されていることがある。 ▼ 宇宙の始まり(誕生)と成長(進化) 一番大きなイベント ・始まり ・終わり 始まりと終わりの間の「成長」期のイベントは、視点や選ぶ人によって違ってくる。 「終わり」は、定義はできても、実際の終わりは誰も体験したことがない。物理的な側面だけで見る 宇宙史におけるイベント 実数軸 対数軸 10 -45 10-40 インフレーションの開始 0 ビックバンの開始 10-35 1•10 17 10-30 クォークの閉じこめ 10-10 10 -15 原子核の形成 2•1017 宇宙の晴れ上がり スターバースト 10-10 銀河の形成 3•1017 10 -5 最初の銀河団の形成 100 10 1 最初の星の形成 105 太陽系の形成 4•1017 1010 1015 現在 5•1017 1 宇宙は有限である 宇宙には、始まりがある 大きさ、重さ、年齢などがある 宇宙はいくつかの物質でできている 2 宇宙は変化している 膨張している宇宙 静止していない:アインシュタインは、静止宇宙を考えていた ・始まりのある宇宙 ビックバンがあった 証拠 ハッブルの法則 宇宙の元素存在度 宇宙背景放射 ・終わりのある宇宙 2 宇宙誕生 ・無の世界 境界問題 虚(i)の時間{ホーキング):境界がなくなる Ti m e ( s e c) Time (s ec) 10-25 量子のゆらぎ ・インフレーションの開始 1032K, 10-44sec 後, プランク単位 重力の分岐 ・ビックバンの開始 1027K, 10-35sec 後 強い力の分岐 バリオン数の決定 モノポールの生成 弱い力と電磁力の分岐 ・クォークの閉じこめ 1014K, 10-8sec 後 ハドロンの形成 ニュートリノの海 弱い力の物質化の終了 ・原子核の形成 1010K, 3 分後(1.8×102sec) 軽い原子核の形成 強い力の物質化終了 ・宇宙の晴れ上がり 3000K, 30 万年(9.6×1012sec)後 原子核と電子の結合 3K の宇宙の黒体放射 電磁力の物質化終了 ・銀河の形成 10~20 億年(3.5~7×1016sec)後 ・銀河団の形成 30 億年(9.6×1016sec)後 ・最初の星の形成 40 億年(1.3×1017sec)後 ・太陽系の形成 100 億年(3.2×1017sec)後 地球の形成 生命誕生 人類誕生 ・現在 3K, 150 億年(4.8×1017sec)後 ▼ 宇宙の未来:宇宙の死 死はまだ訪れてないから科学的予想のもとに記述される 1 膨張しているもの 内部の膨らむエネルギー←つり合い→宇宙の全物質の万有引力 宇宙の全物質の万有引力:観測される宇宙の全物質の合計 内部の膨らむエネルギー:現在の宇宙の膨張速度←ハッブル定数で決定 つり合うための密度:臨界密度 2 宇宙の密度 宇宙の質量によって未来が変わる 宇宙の密度=(宇宙の質量)/(宇宙の体積) 宇宙の体積=(宇宙の大きさ)3 宇宙の大きさ=(誕生してからの時間)×(光速度) Ω=(宇宙密度)/(臨界密度) 3 Ω=1 つり合っている時 ↓ かろうじて膨張を続ける 今の宇宙はこの状態に近いのではないかといわれている 4 Ω>1 万有引力が勝つ時 ↓ つぶれる:ビッククランチ(ビックバンの逆) 5 Ω<1 加速膨張 現在この可能性が高いとされている。 膨らむエネルギーが勝つ時 ↓ 永遠に膨張を続ける 熱的死:ひたすら密度は低くなる→物質がまばらになる 星:燃え尽きた星→中性子星、白色矮星、ブラックホール 銀河:ブラックホール→ブラックホールの蒸発 ▼ 銀河の概要 1 定義 銀河とは、天の川のことを、中国で「銀漢」と呼んでいたことから、生じた言葉。漢とは、中国の大河 「漢水」のことである。 英語では、 Galaxy、our galaxy、milky way と書く。最初が大文字の Galaxy は、我々の銀河で、それ以外の galaxy とは区別されている。しかし、話 し言葉では、わからないので、our galaxy という。 2 銀河の構成 銀河の構成物は、球状星団と恒星、星間ガスである。 3.3万光年 散開星団 ハロー 中心核 バジル 1,500光年 薄い星間塵の層 1万光年 太陽 1.5万光年 球状星団 10万光年 銀河には、共通した 4 つの基本的な構造がある。 ・ハロー ・ディスク ・バジル 円盤・渦状腕 ・中心核 である。 ハロー 広大で薄く銀河を包んでいる球状の部分。 恒星(種族 II)や球状星団がまばらに存在する。 直径 10 万光年の球状。 球状星団は、現在約 130 個見つかっているが、全部で 200 ほどあるらしい。球状星団とは、銀河の誕生 とほぼ同じ頃にできた星(種族 II)が、数万個集まったもの。球状星団は、中心から 1 万光年あたりにた くさんあり、外ほど少なくなっている。球状星団はディスクを横切るような不規則な楕円運動をしている。 ディスク 銀河円盤とも呼ばれる 赤道面にある多数の恒星が分布している円盤状の部分。ここには、渦状や棒状、リング状の構造がある。 バジル 銀河の中央の恒星がたくさんある部分。約 100 億個の赤っぽい年老いた星(種族 II)からなる。バジル 全体は、ディスクと同じ方向に 100km/sec で回転している。しかし、中の星は、200km/sec で回転してい る。 中心核 銀河の中心は、物質が多く、大きな重力をもつ。巨大なブラックホールになっている。 コロナ その外側に、コロナと呼ばれる星間ガスが球状に分する部分がある。その大きさは、40 万光年。大マゼ ラン星雲や小マゼラン星雲をも包みこむ。 3 銀河の質量 銀河の全質量は、太陽の 6.4×1011 倍 太陽 6400 億個分。 銀河の星の数は、数 1000 億個になる。 ▼ 銀河の特徴 1 いくつかの銀河がある 銀河は、形態によって分類されている。 ・楕円銀河(E 型) ・渦巻銀河(S 型) ・レンズ状銀河(S0 型) ・不規則銀河(Irr 型) に分けられる(表 2)。 楕円銀河 楕円銀河は、ディスク(円盤部)がなく、明るさが中心から外に向かって減っていく。球状の E0 から 極端な楕円までの E7 までの 8 種に細分される。楕円銀河を構成している星は、ランダムな回転運動を している。そのため楕円銀河全体としては、回転は非常に小さい。楕円銀河には、年老いた赤っぽい種族 II の星が多く、星間ガスがほとんど残っていない。これは、楕円銀河内では、新しい星が生まれることが 少ないことを物語っている。 渦巻銀河 渦巻銀河は、バジル(中心部)とディスク(円盤部)、全体を取りまく大きなハローからなる。ディス クの部分は、星間ガスが豊富で(質量で 10 %)、種族 I の若い星が主体である。ガスや塵の多い部分が腕 状の渦巻模様を形成している。腕の部分では、新しい星が生まれている。バジルでは種族 II の老いた星 が多い。丸い形をした S 型(SA 型とも書かれる)と、バジルを串ざしにする棒状の構造をもつ SB 型に 区分される。また、両タイプは、渦巻の開き具合によって、最も強く巻き付いた a、中くらいの b、緩く 開いている c の 3 タイプに分けられる。渦巻銀河の中では、Sc や SBc 型が星間ガスを最も多く含んで おり、新しい星が次々と生まれている銀河である。 レンズ状銀河 レンズ状銀河は、バジルとディスクの区別があるが、ディスクに渦巻状の腕を持たないものである。デ ィスクに棒状の構造を持つ SB0 と持たない S0 のふたつに分類される。レンズ状銀河は、楕円銀河と渦 巻銀河の中間的なものに位置づけられる。比較的安定した回転運動をしているが、星間ガスがほとんどな い。 不規則銀河 不規則銀河は、上の 3 つのどれにも属さないものである。不規則銀河は、渦巻銀河や楕円銀河に比べ て質量が小さい。ガスの含有率が多く、星が活発に形成されている銀河が多い。 2 銀河の構造や分布は、誕生のころに決められた スターバースト 宇宙形成後数千万年という非常に短い期間のうちに、銀河質量の数%分が星をとなると考えられる。こ のように大量の星が短期間で形成される現象をスターバーストという。 泡状構造 爆発した天体の周囲の物質は球(殻)状に押し広げられ、密度が大きくなる部分が形成される。そこに 二代目の天体ができ、1 億年後には爆発して、次の物質の高密度を形成する。このようなことが繰り返さ れることによって、宇宙形成から 10 億年後くらいには爆風波が互いにぶつかり、泡状の空洞と泡の膜上 に物質密集域ができる。 銀河の形成 泡の膜上、つまり密集域には、銀河が多数形成される。 空洞部分には、古い世代のブラックホールやパルサーやあるいは放射壊変が進んだ重元素、衝撃波によ って高温に加熱された元素などがあるはずである。しかし、まだ発見されていない。 3 銀河も変化している ハッブル(Hubble)は、銀河を分類した。そのとき、その進化過程をも考慮した分類を考えた。 ハッブルは、形態の違いは銀河の進化の程度の違いであると考えた。 渦巻銀河 楕円銀河 レンズ状銀河 Sa型 Sb型 Sc型 不規則銀河 棒渦巻銀河 E0型 E3型 E7型 S0型 ハッブルの銀河分類 SBa型 SBb型 SBc型 しかし、現在では銀河の形態の違いは、銀河形成の初期条件の違いで生じたガス雲の回転の程度の差だと 考えられている。 銀河の進化は、実は一番よくわかっていない。 銀河の起源あるいは銀河が織りなす構造が、宇宙では非常に重要な要素となっている。その起源は宇宙 形成初期と密接な関係があるはずである。また、銀河の最後は宇宙の進化に重要な要因となる。 4 銀河はこみあっている 銀河間の平均距離は 1022mである。銀河の平均的サイズが、1020m あるので、銀河の平均距離は、サイ ズの 100 倍になる。 一方、銀河の中の星の平均距離は、星のサイズの 104~105 倍である。従って、宇宙は、銀河のほうが込み合 っていることになる。 表 銀河と星の混みぐわい 銀河 平均的サイズ 1020m 物質間の平均距離 1022m 平均距離/半径 102 星 10 ~1011m 1016m 104~105 10 ▼ 我々の銀河 我々の銀河は、渦巻銀河 Sb 型、直径 10 万光年 近所の銀河とともに局所銀河群をつくっている 大マゼラン雲:距離 16 万光年、直径 3 万光年、不規則銀河(I 型) 小マゼラン雲:距離 20 万光年、直径 2.5 万光年、不規則銀河(I 型) りゅう座銀河:距離 25 万光年、直径 3000 光年、楕円銀河(E0 型) こぐま座銀河:距離 25 万光年、直径 3000 光年、楕円銀河(E4 型) アンドロメダ銀河:距離 230 万光年、直径 13 万光年、渦巻銀河(Sb 型) 1 自転している 銀河が自転していなければならないとは、以前から考えられていた。 根拠 銀河が自転していないと、恒星は質量の大きな銀河中心核に向かって自由落下をはじめる。計算による と、太陽は、4500 万年で中心核に落下することになる。太陽系や地球の年齢は 45 億年以上あるので、自 転してないとおかしい。 銀河の自転がおかしい 恒星と中心核の関係で考えれば、恒星は中心核の周りを、ケプラーの法則の第 3 法則に従い、第三法則: 調和の法則(公転周期の2乗は太陽から平均距離の3乗に比例する)公転するはずである。 微分回転 しかし、実際にはそうなっていない。銀河のディスクの 1 万光年より、外側では、どの部分をとっても 回転スピードは、220km/sec となっている。 このような銀河の内側でも外側でも同じ回転を微分回転 という。 ディスク内の星は、微分回転をしている。 微分回転をするためには、見えている星より、大量の物質が銀河の外側になっくてはならない。そのよ うな見えないがあるはずの物質を暗黒物質(dark matter、missing matter)という。また、銀河のハロ ーにあるはずのものを MACHO(massive compact Halo object)と呼んでいる。 2 渦巻きがある 渦の存在 1845 年、パーソンズ(W. Parsons)が銀河 M51 などで渦を発見 1852 年、アレキサンダー(S. Alexander)が我々の銀河にもあると考えた 1951 年、モーガン(W.W. Morgan)らが、 あるタイプの星(O 型、B 型)が星間ガスの多いところにあり、それが、長いひも状になっていることを 発見。 渦巻の星やガスの多いところを腕という。太陽系は、太陽系の腕(正確には太陽分枝、あるいはオリオ ン分枝という)の中、太陽系の腕は、ペルセウズ腕といて腕 渦のできかた 星は、互いの重力で集まろうとするため、ディスク中に星の密度に粗密のむらができる。 微分回転があると、一直線にならんだものでも、一定時間後には、外側のものの移動距離が同じため、 星の列がくずれる。それが、渦巻き状に引き延ばされる。 3 銀河中心核 銀河の中心部は、たくさんの物質があるので、可視光では、3000~5000 光年も離れると観測不能になる。 X線、紫外線、赤外線や電波による観測で、実体が分かるようになってきた。 銀河の中心核は、巨大なブラックホールになっている。 中心核の回りを 10,000 km/sec のスピードで回転する降着円盤がある。ガスは、降着円盤に降りつも り、数万から数百万度の高温になり、強烈なX線や紫外線をだす。このような状態の銀河は、活動銀河と 呼ばれる。 中心核の周辺(直径 1600 光年の範囲)の恒星も、263km/sec のスピードで回転している。その周期は、 570 万年となる。中心核から 1 万光年離れると、スピードは 210km/sec くらいまで落ちる。