...

長期耐熱性

by user

on
Category: Documents
10

views

Report

Comments

Transcript

長期耐熱性
プラスチ・ 材料砂各動特性の
誠験法と評価緒果
㌔ ダ
〈13〉
安田 武夫*
ックが時問の経過とともに低下する。特にナイロン
2.プラスチックの各種試験法(続き)
6(ポリアミド6:PA6)の低下が大きい。硬さの変化
2−5.熱的性質
は各プラスチックとも比較的少ない。
2−5−2.長期耐熱性
ii)150℃では,引張強さは,PTFEとポリプロピレ
(1)熱劣化試験結果
長期耐熱性の試験などを記述する前に代表的なプラ
特にポリ塩化ビニル(PVC),ポリアセタール(ポリオ
ン(PP)はほとんど変化しないが他のプラスチック,
図1,2に各種プラスチックの10ぴC,ユ50℃における
キシメチレン:POM)の低下が大きい。伸び率では
10ぴC同様にPTFEが若干増加するが他のプラスチッ
劣化時間と引張強さ,伸び率,硬さの経時変化を示
ク,特にナイロン6の低下が大きい。硬さは,全般的
す1〕。これらの図から,つぎのことがいえる。
は影響が少ないことがわかる。伸び率は,ポリテトラ
には経時変化は少ないがPVCがある時点から急激に
上昇することが目立つ。このPVCがどのような材料
かわからないが,軟質PVCであれば可塑剤が抜けた
ため,硬質PVCであれぱ熱劣化によりポリマーが硬
フルオロエチレン(PTFE)を除きほとんどのプラスチ
く,脆くなったためであろう。
巾Takeo YASUDA,安田ポリマーリサーチ研究所所長
以上のデータを参考資料として,長期耐熱性につい
スチックの熱劣化による物性変化について紹介する。
i)10ぴCの試験では引張強さでは,高密度ポリエチ
レン(HDPE)の低下が目立つが,他のプラスチック
て述べていきたい。
〒168−0082東京都杉並区久我山4−24−7
loo
フェノール樹脂
フェノール樹脂
謂リアセタール
80
(ホモポリマー〕
ど
PC
ま
ε
’一‘■一 、 。’’ PVC
掛
=二 ’.一’、・一一/’ナイロン6
も
導
60
池
縄
贈
^ 3
声
■’
池
摩
高 40
ABS
PP
2
PS
PTH…
20
PE
(HDPE〕
ポリアセタール
(ホモポリマー〕
’一一一一一一一一__./
PS
’二’一 PVC
、一PC
フェノール樹脂
劣化時間(h)
\ABS
一・一PE(HDPE〕
.二.ニニ}‘‘・■一■ ナイロン6
’ PP
PTl;E
(b)伸び率
0 50 100 5001,OOO
050100 5001,OOO
劣化時間(h)
劣化時間(h〕
(a) 引張強さ
(C)硬 さ
図1各種プラスチックの100℃での熱変化試験
Vol.52,No.2
95
80
40
マェノール樹脂
フエノール樹脂
\
婁的
;;
粋㍍
ナイロン6
350
PVC
30
ヨOO
\ ’PC
縄40
堅
、
\
\ ナイロン6
肺
PP \
20
§
糾
も
畢
PTFE
PVC
.町舵
25o
垣
牝20
皇OO
鰹
\
150
1OO
0 50 100 500 1,OOO
、
、
\、
、ぜリアセタール
■\
pYC\
PC、、\ フェノ_ル
\’、 \・’.聖、 樹脂
50
劣化時間〔h〕
?
\・ポ1アセクー1卜\
lo
\ PC
ナイロン6 ’
P亨
PTFE
(a) 引張強さ
0501005001.OOO
0 50 100 5001,O00
劣化時間(h〕
劣化時間(h)
(b〕伸ぴ率
(C〕硬 さ
図2各種プラスチックの150℃での熱変化試験
(100
ま
掛50
蛇
迷
135℃
155℃
145℃
1 125℃
このRTIには,つぎの2種類がある。
i)経験的な記録に基づくもの
過去における使用実績や,そのプラスチックの化学
構造,電気装置での試験結果により得られた知識を基
に決めたものである。各種プラスチックの経験的な記
.’1 わ 角 ’・
時間(h)
録に基づくRTIである。それを表1に示す。
(a〕引張衝撃強さ
この経験的なRTIでは,目的とする用途には使用で
(100
きず,さらに高い温度で使用したいような場合,つぎ
峯
の試験を行いULの認定を受ける必要がある。
耕5p
155℃
鞄
撃
145℃
125℃
1ヨ5℃
時間(h)
ii)長期間の熱劣化試験に基づくもの。このIndex
の測定法は,以下のとおりである宜〕。
i)4種類の異なった温度に保ったオーブン(炉)の
(b)引張強さ
中に試験片を入れ,それぞれの温度のもとに所定の期
^loo
§
間保って熱劣化させる。試験片3種類の特性について,
耕50
155℃
無
肇
145℃
135℃
125℃
時間(h)
(o)絶縁破壊
図3
いろいろな温度における特性慎保持率一時問曲線1引
それぞれの特性値が初期値の50%になる時問を求め
る(図3)。
ii)前項の試験で得られた50%劣化特性値と時間
の関係から図4のように劣化温度と時間の関係線図を
描く。
直線(B)の材料は目的とする試験材料で・直線(A)の材
(2)長期耐熱試験
料は比較に使用する照合材料であり,すでにULより
長時問高温状態で使用するとプラスチックは熱によ
RTIの認定を受けており,試験材料(B)とともに同時に
る劣化を示し・脆くなってくる。この長時間の劣化を
劣化試験が行われた材料である。
みる尺度としてもっとも有名なものが,アメリカの
ここで・照合材料(A)はULからユ05℃でRTIの値を
UL安全規格:746Bの「長期的特性評価」である2〕。
認定を受けているとする。照合材糊A吻m℃の50%
この規格の評価結果のことをULのRe1ative The−
劣化特性時問は,40,000時間である。そこで,直線(A)
rmal Index(RTI;相対温度指数)といい,電気製品
と破線との交点aから右に移動して直線(B)の同じ
用部品に使用されるプラスチック材料に対して一般的
40,O00時間に対する温度(交点b)がこの材料(B)の
に適用されている。
RTIとなる3〕o
96
プラスチックス
表1ULの相対度指数(経験的な記録に基づくもの)I訓・川
材 料
ポリアミド(6,11,12,66,610,6ユ2,ナイロン)b〕
ボリカーボネート岬
ポリエチレン テレタレート 成形レジン
フィルム(≦O.25mm〕
ポリブチレン(ポリテ’トラメチレン)テレフタレート
ポリプロピレンb〕
成形フェノールd
]般的相対
65
75
65
105
75
65
150
〃メラミンo・d〕
〃 〃 比重<1.55
〃 〃 比重≧1.55
〃メラミンフェノール
〃 〃 比重く1.55
〃 〃 比重≧1.55
四ふっ化エチレン樹脂
三ふっ化塩化エチレン樹脂
ふっ化エチレンプロピレン樹脂
成形ユリア亡〕
ABS樹脂
シリコーン成形レジゾ〕一d〕
シリコーンゴム
室温硬化または加熱硬化ぺ一スト
130
150
一般的相対
温度指数岬
材 料
温度指数!ヨ〕
130
90
エポキシ樹脂 成形用レジゾ,・ω
キャスティングまたはポッティング
成形ジアリルフタレート舳
!30
〃不飽和ポリエステル舳
ユ30刮
アルキド成形用コンパウン(AMC)
130o
130n
比重≧1.75
BMCまたはDMC
(電気的!50)n
SMC
105n
90o
60
90
≧1.6mmTK
>1.6
130
150
180
150
150
1OO
60
150
150
105
リグニンセルロース積層
バルカナイズドファイバ
コールド成形,フェノール,メラミンまたはメラミンフェノー”
130
比重<1.55
比重≧1.55
!50
コールド成形,無機材
200
(水和セメント等〕
集成マイカ,レジンバインドのもの
エポキシアルキドまたはポリエステル
フェノール
シリコーン
!30
ユ50
200
(注〕a)一般的温度指数で特定のコポリマーまたはブレンドを示していない場合はホモポリマーだけ。アロイの場合は,成分のうちの
もっとも低い一般的温度指数をコンポジットに割り当てる。
b〕ガラス繊維強化およびまたはタルク,アスベスト,鉱物質,ならびに他の無機質フィラーを含む。
C)射出,圧縮プルトルージョンおよびトランスファ成形ならびにマッチダイ成形などの高温および高圧加工方法によったコンパウ
ンドを含み,ハンドレイアップ,接触バッグ,フィラメントワインド,回転成形,および粉末塗装(流動浸漬,静電スプレー,
ホットdip,フロウ塗装〕のようなオープンモールドまたは低圧成形方法のものは含まない。
d〕繊維質(有機合成繊維以外〕タイプのフィラーを充填した材料を含み・液状樹脂に用いた繊維強化システムは除㍍合成有機フ
ィラーは150℃以下ならば容認できるとみなす。
e〕成形不飽和ポリエステルコンパウンドの一般的TI・130℃は1979年12月1日から発効とする。
f〕特定の成形コンパウンドまたはレジンの一般的TIの90℃,105℃およびユ30℃は1980年1月1日発効とす孔
このRTIは,各社のプラスチックのグレードごとに
loo,ooo
田一一一一一一一一
3種類の特性,すなわち,機械的性質(衝撃なし=引張
強さ),機械的性質(衝撃あり=引張衝撃),電気的性
=
=
=
=
:
=
2〕1,OOO 4=
寸
1,OOOO
質(絶縁破壊強さ)について決定される。ある条件を
b
=
=
=
=
=
=
満足するものにはグループとして一連のグレードが同
(B)目的とする
一
一のRTIが認められる。
このように,一般にはRTIが既知の物質を対照物質
題
鍍
として,それと比較してRTIを求める方法が採用され
ている。対照物質が存在しない場合は10万時問の半減
loo
温度をRTIとするとUL746Bには記載されている。
一方,日本では,電気用品安全法に有機材料が電気
絶縁物に使われる場合,同様な規格「有機材料の便用
温度の上限値」がある。
図4劣化温度一
時間線図
(UL−746B〕13〕
1o
=
=
=
=
=
=
=
=
=
(105)
100
試験材料
=
=
=
(A〕照合材料
=
=
=
=
=
=
(145〕
120140160180200
250
30
300
温度(℃)
滞唐‘℃i
「使用温度の上限値」は,有機材料を長期耐熱性を規
定し,有機材料を電気用品の絶縁物に使用するときの
定常状態での上限温度に関係する規格であ乱それに
よると,使用される有機材料の定常状態での上限温度
は,50℃またはその材料について電気用品安全法で規
度)以下でなければ使用できないとしている(なお,
定された温度(表2参照4〕,過去の経験カ)ら求められた
もし,ある材料をこの表で決められた温度を越えた
もので電気用品安全法では使用温度の上限値表の温
温度条件下で便用したい場合は,㈲電気安全環境研究
Vol.52,No,2
この表のその1の温度が上記の温度上限値に該当す
る)。
97
表2電気用品に使用される絶縁物の使用温度の上限値
(a)熱硬化性樹脂
横層・成形などの別
横
層晶
メラミン樹脂 成形材料
使用温度の上限値(℃〕
分
区
種類(材料名〕
充旗材または基材
その2
その1
ガラス繊維
75(100〕①
セルロース無機質
120140
(140〕①
・140!60
綿 布 紙ボリアミド布無機質
積
フェノール樹脂
層品
成形材料
メラミンフェノール樹脂
成形材料
成形材料
ユリア樹脂
型 用
注
積
不飽和ポリエステル樹脂
層品
無機質以外無機質
140(150〕①150(ユ60〕①
比重1.55未満
130
セルロース
…
無
機
質
無機質以外無機粉末ガラス繊維
ユ60180
90
■
110
120
130
140
180
120140155
170180
120
150
1ユO(90〕③
!20
130(140〕①
160
130
160
140
!80
130150155
ユ60180
成形材料
注
エポキシ樹脂
横
型 用
層品
成形材料
横
層晶
ジアリルフタレート樹脂
キシレン樹脂
…
無機質以外
無
機
質
無
機
質
無機質以外無機粉末ガラス繊維
成形材料
注
型 用
ボリアミドイミド
フィルム
層晶
けい素樹脂 成形材料
ポリイミド 積フィルム
横
ポリプタジエン
ジフェニールオキサイド樹脂
ポリウレタン
注
層晶
180
■
無
機
質
■
層 品
型 用
成形材料
積
140
■
■
220
180(240)④
220
210
250
…
120
130
150
無
機
質
130
無
機
質
180
軟質成形材料 硬質
■
180(220)①
190
■
■
■
50(85)⑥60(100〕⑤
…■
■■
備考11〕①の値は,熱絶縁物に適合する。
■
(2)②の値は,厚さO.8mm未満のものに適用する。
(3〕③の値は,難燃化したものであって,厚さO.8mm未満のものに適用する。
(4〕④の値は,熱絶縁およびシーズ線口出し封止用のものに適用する。
(5)⑤の値は,保温用のものに限る。
(6)無機質およびガラス繊維のものの場合は,無機材またはガラスが相当量混入された場合の温度とす乱
(7)アルキッド樹脂およびシクロペンタジエン樹脂は,不飽和ポリエステル樹脂として扱う。
(8) 「注型用」には,エンキャプシュレーション,エンベッディングおよびポッティングを含む。
所等でその材料の長期耐熱試験を行い,その結果が要
る。そのとき,その材料の予備試験データを添付し,
求を満足すれぱ,その材料をその温度で登録が可能に
それを参考にしてその材料の試験結果の予測値を示
なり,その結果その温度で使用が可能となる。
す。その予測値に基づき,試験機関から仮の登録値を
これの手順を説明すると,以下のとおりとなる。
受ける(暫定登録)。
i)その材料の長期耐熱試験を試験機関に申請す
ii)その際,測定される試験項目は,4項目である。
98
プラスチックス
表2電気用晶に使用される絶縁物の使用温度の上限値(続き〕
(b)熱可塑性樹脂
種 類(材料名)
使用温度の上限値
区 分 (強化材)
その1
メタクリル樹脂
■
セルロース・アセァート樹脂セルロース・アセテート・、ブチレート樹脂
■■
ポリスチレン
耐熱ポリスチレン
ポリエチレン
発泡ポリエチレン混合物(電線用〕
架橋発泡ポリエチレン混合物(電線用〕
ポリエチレン混合物(電線用)③
架橋ボリエチレン
架橘ポリエチレン混合物(電線用)
■
■
■
50
60
50(70〕①
85
80
80
■
50
1
60
■
■
75
■
■
■
塩素化ボリエチレン混合物(電線用〕アクリロニトリル・アクリルラバー・スチレン樹脂アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン樹脂
90
■
塩化ヒニル樹脂
塩化ヒニル混合物(電線用〕
耐熱塩化ビニル樹脂
耐熱塩化ビニル混合物(電線用)
ガラス繊維
■
■
架橋塩化ビニル混合物(電線用)ボリプロピレン
一■
ガフス繊維
90
11085
55
105
80
105
60
75
75
105
75105(85〕④
ユ05!10
110
カフス繊維
■
カフス繊維
■
カフス繊維
ポリアミド混合物(電線用)ポリカーボネート
■75
100
100
120
140
120
130
90
!20
120
130
90110
■125
■…
ガフス繊維
ポリエチレンテレフタレート
ポリブチレンテレフタレート
ボリフチレンァレフタレート混合物(電線用〕
耐熱ポリエチレンァレフタレート
ボリふっ化ヒニリァン混合物(電線用)
ボリクロロトリフルオロェチレン(二ふっ素エチレン樹脂〕
120
105120
■■
ポリアミド(ナイロン〕
一
9055
ポリプロピレン混合物(電線用〕変性ポリフェニレンオキサイド
ボリア’タセール
■
105
120
125
■■■
アクリロ_トリル・スチレン樹脂アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂アクリロニトリル・ブタジェン・塩化ポリエチレン樹脂
その2
90
■
カフス繊維
■
カフス繊維
■
フ ィ ル ム
’
■
エチレンー四ふっ化エチレン共重合物(電線用〕四ふっ化エチレン・六ふっ化プロピレン樹脂四ふっ化エチレン・六ふっ化プロピレン混合物(電線用)
■■
120
120
130
120
135
120
135
150
150
130
125
150
125
150
一
150
160
180
!50200
■■
ポリフIトフフルオロエチレン(四ふっ化エチレン樹脂)ポリテトラフルオロエチレン(四ふっ素エチレン〕混合物(電線用〕
■
アフミッド(芳香族ポリアミド紙)
■
ポリサルホン
ポリエチレンナフタレート
■
一
250
220
140(150〕②
155
250120
パーフロロアルコキシ混合物(電線用)ポリアリレート
一一
カフス繊維
■
1
150
一
■■
130
一
備考(1) ①の値は,コンデンサの誘電体の場合に適用する。
(2〕 ②の値は,熱絶縁物に適用する。
(3〕 ③の値は,テープ,チューブ類も含む。
(4) ④の値は,厚さO.8mm末満のものに適用する。
(5) ガラス繊維の場合の温度は,ガラス繊維が相当量混入された場合の温度とする。
Vol.52,No.2
99
用途により試験項目は表3のように定められている。
度O℃(規定の温度以下で使用可能)
iii)3温度以上の加熱温度で工一ジングを行い,物
口)ある季節に限って使用するもの(例:電気コン
性が半減する温度を求め,各温度における半減時間を
ロ)…緩和温度8℃(規定の温度より8℃高い温度で使
アレニウスプロットし,4万時間で物性が半減する温
用可能)
度を5℃きざみで求める。
ハ)短期間ずつ間欠的に使用するもの(例:ヘアド
この温度が登録(本登録)される。実際に試験機関
ライヤ)…緩和温度16℃(規定の温度より!6℃高い温
で行われる試験は,申請温度以上の温度で長期耐熱試
度で使用可能)
験を行い,その温度における半減時間を求める。この
となっている。
ような試験を複数の温度(4点くらい)で行い,各温度
したがって,ある材料が電気用晶向けに使用される
における半減温度をアーレニウスプロットして,4万
場合は,その材料がどめ程度の温度まで使用可能かは
時問の半減温度を求める。
上記のような判断基準で決まる。
この使用温度の上限値の適用範囲は,電気用品の個
上記のような方法で,長期耐熱温度が決定される。
別の部品の状況により異なるのでここでは触れない
が・その電気用品の使用状況により適用温度が緩和さ
各材料メーカーのプラスチックのRTIなどがどのよ
イ)常時使用するもの(例1電気冷蔵庫)…緩和温
うにULに認定されているかを知るためには,材料メ
ーカーに問い合わせるか,ULが毎年発刊しているイ
エローブック(YellowBook)をみれば一覧できる。
(新規グレードで未記載のものは材料メーカーに問い
表3温度上限値試験における特性試験法と用途の関連
電気用品安全法の使用温度上限値などで末知のグレ
れることがあるので,ここではそれについて述べる。
すなわち,
合わせる)。
ードは,材料メーカーに問い合わせるか電気用品安全
特性試験項目
絶 縁物
引張りまた
は曲げ強さ
絶縁
耐力
○
○
○
機械的外力を受ける
○
○
O
5に示す5〕。
柔軟性を必要とする
○
○
この図より,連続使用温度と荷重たわみ温度はよい
○
相関性を示すものが多いが,PTFEのように荷重たわ
外郭を構成する部分が
衝撃
法関連で毎年発行される小冊子等を見ればよい。
強さ
伸び
ある絶縁物
絶縁物
○
絶縁物
機械的外力を受けない
絶縁物
このようにして測定した長期耐熱性である各種プラ
スチックの連続使用温度と荷重たわみ温度の関係を図
み温度が小さいが,連続使用温度が高いものもある。
また,ガラス繊維を強化すると荷重たわみ温
度が大きく上昇(特に結晶性樹脂で顕著)す
300
ポリテトラ
フルオロエチレン
芳香族ポリエステル ポリイミド
ポリエ]テルエーテル
○
ケトン(PE1ヨK)
○
(200
ρ
芳香族ポリエステル
(Veot咀〕
{エコノ]ル) (ペスペル〕
O O
Pl…EK’GP
● ○
(Xyd町)
●
るが,連続使用温度はあまり変化しない。こ
れは,長期問の耐熱性には,化学的な耐熱性
が深く関与しているためと考えられる日〕。
その他の資料として,空気加熱下における
PPS∫GF
○唱ξ蕊ルホン{PES)
ポリプチレンO
幽
鰻
テレフタレー1(酬 …1・・。ポリェーテjレイミド
田…
O●ポリサルホン
ポリカーボネート
単
蝿
蛸
ナイロン6600ナイロン6∫GF
○ ポリオキシメチレン ●
100 O○●
ナイロン6変性PPE 変挫PP1…’GP
○
ポリスチレン
372p
316)
260幽
204奥
肝
○フイラーなし
〕600
毯
蝿400
●ガラス繊維(0F)30%入り
(各祖=カタログより〕
一18
O iO0 200 300
O.l11010ユlO]l〇一105
熱変形温度(℃) 〔18.6kg/cm,荷重〕
時間(h)
図5 エンジニアリングプラスチックの連続使用温度と熱変形温度の比較
図6 空気加熱下における力学的性質を50%
(各社カタログより)
保持する時間一温度関係図
100
プラスチックス
力学的性質を50%保持する
表4 図6の各領域の高分子
時間と温度の関係を示したの
領域
が図6,表4である。全般的に
I
高分子
は熱硬化性樹脂が高く,汎用
アセチルセルロース
ニトロセルロース
ポリエチレン(低密度)
る感があるが参考資料として
m
メタクリル樹脂
エンプラが低く評価されてい
IV
ポリビニルアルコール
する規格
塩化ビニル樹脂
の種類により規定された温度
ポリサルホン
V
II
ジアリルフタレート樹脂(DAP)
ユリア樹脂
エポキシ樹脂
フェノール樹脂
ポリア七夕一ル
ABS樹脂
度計の近くに吊し,2時問た
塩素化ボリエチレン
って外観にひび割れ,ふくれ
エチレン酢酸ビニル樹脂
フラン樹脂
ポリエステル
ふっ素樹脂(PTFE)
IV
シリコーン
か調べる方法がJIS K
ポリカーポネート
ポリエチレン(高密度〕
チックの一般試験方法)に規
ポリエチレンテレフタレート
ポリプロピレン
また,一定温度のオーブン
ポリベンゾイミダゾール(PBI)
ポリフェニレン
ボリアミド(ナイロン〕
691ユ■’99517〕(熱硬化性プラス
定されている。
熟硬化アルキル樹脂
SBR
(110∼180℃)の恒温槽中の温
等の著しい変化があるかどう
ポリフェニレンオキサイド(PPO)
AS樹脂(SAN)
JISには,径50mm,厚さ
3mmに成形した試験片をそ
アルキド樹脂
フルフラール樹脂
酢酸ビニル樹脂
(3)その他の熱劣化に関
ポリクロロトリフルオロエチレン
ふっ化ビニリデン樹脂(PVF〕
メラニン樹脂
ポリスチレン
紹介する1〕。
高 分子
領域
Vll
ポリアミドイミド
Wl
未来の剛直鎖状高分子からなるプラス
ポリイミド
チツク
塩化ビニリデン樹脂
ポリウレタン
中に熱可塑性プラスチックを
(大石1プラスチックス,24(2),50(1973))
長時間吊し,その老化(劣化)
を外観観察(局部的な粉化,割れ,ひび,変形など)
訂正
や質量変化,引張試験や曲げ試験または他の力学的性
本連載(プラスチック各動特性の試験方法と評価結果)
能の低下,変色,退色,失透などの光学的性能の低下,
第12回(2001年1月号)で紹介いたしましたBPTの中で
絶縁耐力,絶縁抵抗・誘電率などの電気的性能の低下
「電気用晶取締法(電取法)について著した部分がありまし
等で評価する方法がJIS K7212■’995・酬(熱可塑性プラ
スチックの熱老化試験方法(オーブン法)通則)に規
定されている。
たが,国際整合の関係から現在は「電気用品安全法」に変
わっております。今号より「電気用品安全法」で統一いた
しますが,前号記載分に関しましては,ここに訂正しお詫
びいたします。
<参考文献〉
1〕「プラスチック・データブック」p.84旭化成アミダス㈱/「プ
ラスチックス」編集部共編,㈱工業調査会1999年12月1日
初版第1刷発行
2)廣恵章利,本吉正信,「成形加工技術者のためのプラスチック
物性入門」日刊工業新聞社1996年ユ月3ユ日第3版1刷発行
3〕UL746B資料
4〕「電気用品技術基準の取締細則」,改訂版 日召54年社日本電
気協会発行
5〕「プラスチック成形加エデータブック」,p.34社日本塑性加
工学会編 日刊工業新聞社昭和63年3月25日初版第1刷
発行
6)大石不二夫,成形加工:2,185,(1990)
7)JIS K69111雪明(熱硬化性プラスチックー般試験方法〕
8)J工S K6911■岨明(熱可塑性プラスチックの熱老化試験方法(オ
ーブン法)通則)
Vo1.52,NoI2
101
Fly UP