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よりスマートな未来の サプライチェーン

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よりスマートな未来の サプライチェーン
IBM GLOBAL CHIEF SUPPLY CHAIN OFFICER STUDY : よりスマートな未来のサプライチェーン
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よりスマートな未来の
サプライチェーン
GLOBAL CHIEF SUPPLY CHAIN OFFICER STUDY
スマート:洗練された、
賢い、
先端の、
高性能の
09.12.7 5:27:29 PM
〒100-6318 東京都千代田区丸の内2-4-1
丸の内ビルディング18階
12-09 Printed in Japan
© Copyright IBM Corporation 2009
All Rights Reserved
IBM、IBMロゴ、ibm.comおよびMaximoは、International Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標。
表紙、1ページ
(上)および6ページの写真:©2008 asbl Atomium / Artists Rights Society(ARS)、ニューヨーク / SABAM、
ブリュッセル
1ページ(下)および50ページの写真:©Centre Pompidou, 2008 / 建築家:R.Piano氏、R.Rogers氏
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標。
掲載されている製品・サービスは、IBMがビジネスを行っているすべての国・地域でご提供可能なわけではありません。
当資料において、IBMとはInternational Business Machines Corporation、
またはその支配下にある企業を含む企業体を意味します。
当資料に記載の肩書きや数値、固有名詞等は英語版掲載時のものであり、変更されている可能性があります。
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目次
1
本報告は、全世界の約 400 名のサプライチェーン担当エグゼクティブの皆様へのインタビューをもとにまとめたものです。
要約
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2
CHAPTER ONE
サプライチェーンにおける5つの主要課題
CHAPTER TWO
よりスマートな未来のサプライチェーン
CHAPTER THREE
よりスマートなサプライチェーンの構築
51
調査方法
58
謝辞
59
7
27
IBMグローバル・ビジネス・サービスについて
60
脚注および参考文献
61
用語
62
お問い合わせ
63
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2
要約
不安定。現在の世界市場を一言で言い表すとすれば、おそらくこれが最もふさわしい
言葉だろう。経済や金融市場と同様に、サプライチェーンもグローバル化と相互接続が
進むにつれて、衝撃や混乱の影響を一層受けやすくなっている。いったん問題が発生
すれば、サプライチェーンのスピードは問題を深刻化させるものでしかない。ちょっとした
手違いや判断ミスでも、その影響が複雑なサプライチェーン・ネットワーク全体にあたかも
ウィルスのように広がるため重大な結果を及ぼしかねない。
企業のサプライチェーン担当エグゼクティブはどう対処しているのだろうか。IBMは、先ごろ
実施した「 IBM Global Chief Supply Chain Officer Study 」の一環として、北米、
西欧、およびアジア太平洋地域の企業のサプライチェーン戦略およびオペレーションを
担当するエグゼクティブ約 400 名を対象にインタビューを行った。その結果、以下に示す
5 つのことが明らかになった。
これまで強みであったこの領域を揺るがしつつ
コスト抑制 − 絶えず続く急速な変化が、
ある。その変化の速さは、サプライチェーン担当エグゼクティブの適応能力を超えている。
可視化 − 従来にも増して多くの情報が洪水のように手に入るようになったが、サプライ
チェーン担当エグゼクティブは適切な情報を「見える化」
し、それに基づいて行動することが
いまだにできずにいる。
リスク − CFOに限らず、多くのエグゼクティブはリスクを喫緊の課題ととらえている。
リスク・マネジメントは、サプライチェーンに関する課題リストにおいても驚くほど上位に
位置づけられている。
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要約
3
カスタマー・インティマシー(顧客との親密性)− 顧客起点のサプライチェーン方針にも
かかわらず、企業は顧客との結びつきよりもサプライヤーとの結びつきを深めている。
グローバル化の目的はコスト削減よりもむしろ
グローバル化 − 当初の見込みに反して、
売上成長にあることが判明した。
以上の調査結果は、サプライチェーンとその管理に携わるエグゼクティブが容赦ない
プレッシャーを受けていることを物語っている。コンプライアンス要件やサプライヤー数、
情報の流れなどが増加するに伴い、サプライチェーンの複雑化、高コスト化、脆弱化が
進んでいる。そうした中、担当エグゼクティブは、特に従来型のサプライチェーン戦略や
サプライチェーン設計では、それらの難題に対処することがますます困難になりつつある
と感じている。
企業がこれらの課題をおろそかにしてきたと言っているわけではない。今回の調査でも、
サプライチェーン改善プロジェクトが活発に行われていることが明らかになっている。
しかし、今回の調査結果は、顧客起点あるいは可視化された効率的なサプライチェーンを
構築するだけではもはや不十分であることを示唆している。
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要約
4
サプライチェーンも
よりスマートに
ならなくてはならない
我々が思い描く未来のサプライチェーンでは、
次のことがさらに一層進んでいる
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要約
5
機能化(Instrumented)
メーター、アクチュ
従来は人の手によって作成されていた情報が、センサー、RFIDタグ、
エーター、GPS などにより自動的に生成されるようになる。在庫は自ら棚卸しする。コン
テナは内容物を自ら検知する。パレットは、誤った場所に届けられた場合、自ら報告する。
相互接続(Interconnected)
サプライチェーン全体が相互接続されるようになる。これは、通常の顧客、サプライヤー、
ITシステムとの間に限らず、部品、製品、あるいはサプライチェーンの監視に使用される
その他のスマート・オブジェクトにも及ぶ。広範な接続性により、世界規模のサプライ
チェーン・ネットワークが連携して計画や意思決定を行うことが可能になる。
インテリジェント化(Intelligent)
サプライチェーンに関する意思決定がはるかにスマートになる。高度な分析やモデリング
により、意思決定者が非常に複雑でダイナミックなリスクや制約に対して選択肢を評価する
ことが容易になる。さらに、高度なシステムによって一部の意思決定は自動的に行われる
ようになり、その結果、人間が介在する必要性が減って即応性が高まる。
このようなサプライチェーンを構築することは、戦略的な取り組みと言える。つまり、サプ
ライチェーン担当エグゼクティブに従来とは異なる役割や責任が求められるようになると
いうことである。サプライチェーン担当エグゼクティブは、
グローバルな能力・機能が複雑に
絡み合う状態を最適化するために、必要な戦略的思考、コラボレーション能力、および
調整能力を身につけなければならない。よりスマートな未来のサプライチェーンを構築
する義務を負う者として、またその実現者として、チーフ・サプライチェーン・オフィサー
(最高サプライチェーン責任者)の立場はますます重要なものとなる。
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CHAPTER
ONE
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7
サプライチェーンにおける
5つの主要課題
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8
サプライチェーンにおける5つの主要課題
事業のグローバル化に伴い、サプライチェーンのグローバル化もこの 10 年間で大きく
進展した。1995年から2007年の間に、多国籍企業の数は3万8,000社から7万9,000社と
2倍以上に増加し、外国子会社の数は26万5,000社から79万社と3倍近くに達している。1
地理的な広がりに加え、サプライチェーンに関係する企業の数も増えている。サプライ
チェーン担当エグゼクティブの約 80% は、第三者との協業が今後も増加する見込みで
アウトソーシングの対象となる範囲も次第に広がりを見せている。
あるとしている。2 また、
2007 年から2010 年にかけて、研究開発のアウトソーシングは65% 、エンジニアリング・
サービスおよび製品設計プロジェクトは80% 以上増加する見通しである。3
さらに、サプライチェーンは商品ポートフォリオの急速な拡大と縮小にも対処しなければ
ならない。例えば、消費財業界の2006年の新商品投入数は17%の伸び率を示しているが、
ポートフォリオの合理化に伴う
これは2005年の実績を2倍以上上回る数字である。4 また、
SKU(Stock Keeping Unit:在庫管理単位)の統廃合もほぼ同様の割合で進んでいる。
これらの変化が相まって常に複雑な状態が続いている。
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サプライチェーンにおける5つの主要課題
9
そうした困難に直面する中、サプライチェーン担当エグゼクティブは図 1 に示す 5 つの
要素を重要課題として挙げている。いずれも非常に重要な要素として並行して対処すべき
ものであり、各要素が合わさってチーフ・サプライチェーン・オフィサーの重要課題を構成
している。
図1 サプライチェーン担当エグゼクティブは5つの重要課題に直面している
各課題がサプライチェーンに及ぼす影響を
「重大」
または「非常に重大」
と回答した人の割合
70%
60%
56%
55%
43%
コスト抑制
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サプライチェーンの
可視化
リスク・マネジメント
高まる顧客の
ニーズ
グローバル化
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サプライチェーンにおける5つの主要課題
10
コスト抑制
サプライチェーンがコスト変動に追いつかない
サプライチェーン担当エグゼクティブが事業上の責務として真っ先に挙げたのはコスト
“最終的には、
サプライチェーンも利息税
引前利益
(EBIT)
やサプライチェーン・
コストなどで、
収益効果をもたらす能力に
基づいて評価されるようになるだろう。
しかし、投入コストが著しく増加する
抑制で、企業成長やプロダクト/サービスのイノベーションを大きく上回っている。こうした
コスト抑制への極度の集中は、彼らが進めている活動やプログラムにも如実に表れており、
(図2 参照)。と同時に、
上位 3 種類の施策の内 2つは効率性改善を目的とするものである
エグゼクティブが過去において最も成果を上げている領域でもある。
中でこれらの指標のみに頼ることは、
サプライチェーンの本来のパフォー
マンスを見えなくする恐れがある。”
継続的改善プロセスは定常業務として定着していたが、今や一層熱を帯びたものへと
変化している。かつての低賃金労働市場で急速に進む賃金インフレ、商品相場の急騰、
Mark Sutton, Senior Vice President,
あるいは突然の与信凍結など、重要なコスト要素に衝撃を与える事象がもはや当たり前の
Global Supply Chain,
出来事になっているからである。
International Paper
サプライチェーン担当エグゼクティブは、コストに直結するものならば、日々のどんな
些細な問題にもつい反応してしまう。例えば燃料価格が急騰した場合、流通戦略の見直し、
3PLへの外部委託拡大、あるいは競合他社との負担の分担といった対策を慌てて進める
ことになる。逆に燃料価格が下がれば、流通・輸送方法に対する締めつけが緩んでコスト
重視の姿勢からサービス重視の姿勢に傾き、小ロット・多頻度配送による短納期体制に
戻る。
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サプライチェーンにおける5つの主要課題
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コストをはじめとする事業を取り巻く基礎的な諸条件の変化があまりに突然生じるため、
従来のサプライチェーン戦略や設計手法では追いつかなくなってきている。新しい設計も、
エグゼクティブが導入を承認する前に時代遅れのものとなってしまう。
図2 コスト抑制/効率化プログラムは成長施策に数で大きく勝る
各活動プログラムを
「とても重要」
または「極めて重要」
と回答した人の割合
コスト関連
売上関連
その他
効果
非常に低い
企業戦略と整合したサプライチェーン戦略の立案
91%
継続的なプロセス改善/ビジネス改善
89%
コスト削減の推進
89%
サプライチェーン(社内)情報の統合と可視化の推進
85%
ビジネス・パフォーマンスの評価 /モニター
81%
人材の育成
81%
サプライチェーン(社外)情報の統合と可視化の推進
70%
SCM関連コンプライアンス・プログラムの推進と内部統制の強化
売上成長の原動力となるサプライチェーンの構築
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非常に高い
64%
56%
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サプライチェーンにおける5つの主要課題
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優れたサプライチェーンは柔軟性に重点を置いている
コスト管理に関して言えば、AMRリサーチの「 The AMR Research Supply Chain
Top 25 for 2008」で認められたトップ・サプライチェーン企業群は、より長期的な視点に
立っている。5 彼らは、市況の変化への素早い対応を可能にする即応性に優れたサプライ
と、売上に応じて増減できる柔軟なコスト構造の実現に向けて素早く
チェーン
(図 3 参照)
対策を講じている。つまり、柔軟性こそがコスト変動に対する彼らの防御手段なのである。
図3 トップ・サプライチェーン企業群は柔軟性向上を図ることでコスト削減に躍起にならずに済んでいる
即応性に優れたサプライチェーン手法を広範に導入していると回答した人の割合
37%
トップ・サプライチェーン企業群
22%
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15%
ギャップ
その他企業
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サプライチェーンにおける5つの主要課題
13
可視化
最重要課題ではあるが、最優先事項ではない
一般論として言えば、今や情報は豊富にあり、以前より容易に取得することが可能になって
いる。ところが、サプライチェーン担当エグゼクティブは依然として可視化を管理上の
“サプライチェーンの可視化と言った
最大の課題として挙げている。その背景には、得られる情報量が増えている一方で、効果的
場合、単に自社のサプライチェーンや
に収集、管理、分析されて必要とする人へ提供される情報量が、反比例して減少している
ことがある。
配送状況の可視化を指すわけでは
なく、
より顧客視点に立った協調的意思
決定を可能にするパートナーとの間の
可視化を意味している。
これには、
サイ
課題リストの最上位に挙がっているにもかかわらず、可視化そのものも、情報を収集し
その情報に基づいて意思決定を行うために必要なコラボレーションも、改善活動やプロ
グラムの観点では注目を集めていない。むしろ、サプライチェーン担当エグゼクティブの
目は戦略の整合、継続的プロセス改善、
コスト削減の方に向いている。社内情報の統合と
可視化の推進は優先順位リストの4 位、外部の可視化に至っては7 位を占めているにすぎ
エンスの側面
(テクノロジーの管理)
と
アートの側 面( 情 報や指 標の活用
による競争力優位性の実現)が含ま
れる。”
Bob Stoffel, Senior Vice President,
サプ
ない(図2参照)。さらに悪いことに、外部可視化プロジェクトの効果についての評価が、
Engineering, Strategy and Supply
ライチェーン担当エグゼクティブが取り組んでいるすべての施策の中で最も低い。つまり、
America
Chain, United Parcel Service of
外部の可視化向上に取り組んだ経験のある人の大半は、概して効果が上がらないと考えて
いるということである。
可視化やコラボレーションが不十分である原因は、不適切な ITシステムにあると思われる
かもしれない。ところが、サプライチェーン担当エグゼクティブは別の原因を指摘している
しかし我々が衝撃を
(図 4 参照)。組織の縦割り構造が最大の障壁というのはうなずける。
受けたのは、業務が忙しすぎて情報を共有できないと回答した人、あるいはただ単に
協調的意思決定をそれほど重要と考えていない人が非常に多いことである。
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サプライチェーンにおける5つの主要課題
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図4 サプライチェーン担当エグゼクティブは、必要な協働や可視化の実現を阻む要因として文化的障壁を
重大視している
各障壁が与える影響を
「中程度」
「重大」
または「非常に重大」
と回答した人の割合
組織が縦割り構造である
75%
忙しすぎて手助けをする余裕がない
75%
協働しても評価されない
68%
ITが効果的でない
63%
協働そのものを重要とは考えていない
知的財産流出の懸念がある
52%
31%
トップ・サプライチェーン企業群は可視化向上のためにコラボレーションを推進している
サプライチェーン担当エグゼクティブ全体の半数以上は、連続補充や顧客との在庫管理
といった可視化向上を目的とする手法を導入している。しかし、それらの手法への取り
組みを大々的に進めていると回答した人の割合は全体の 20%に満たない。
それに引き換え、
トップ・サプライチェーン企業群のリーダーは可視化向上にはるかに力を
入れており
(図 5 参照)、サプライヤーとの協働による計画や VMI( Vendor-Managed
Inventory:ベンダー主導型在庫管理)を大規模に導入していると回答した人の数が2倍に
インタビューで話題に
上っている。
しかも、
トップ・サプライチェーン企業群の60%以上が、
した手法をすべて導入している。
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サプライチェーンにおける5つの主要課題
15
図5 トップ・サプライチェーン企業群は顧客とのコラボレーション分野においてリードしている
各手法を導入している企業の割合
トップ・サプライチェーン企業群
その他企業
72%
19
%
顧客におけるVMI
53%
65%
ギャップ
15%
顧客とのCPFRプログラム
ギャップ
50%
72%
11%
連続補充
ギャップ
61%
86%
7
%
サプライヤーとの協働による計画
79%
63%
1
ギャップ
%
リアルタイム・データの共有
62%
ギャップ
VMI:Vendor-Managed Inventory(ベンダー主導型在庫管理)
CPFR:Collaborative Planning Forecasting and Replenishment(需要予測と在庫補充のための共同事業)
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サプライチェーンにおける5つの主要課題
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リスク
リスク・マネジメントが重要であるという点では一致しているが、
アプローチに関しては意見が分かれる
リスク・マネジメントは、サプライチェーン担当エグゼクティブにとって2番目に重要な課題
“リスク
・マネジメントは、
サプライチェーン
戦略の基礎をなす要素である。”
Greg McKenna, Supply Chain
として浮上した。これは一見、CFO の重要課題と見間違うような驚くほど高い順位で
ある。しかし、顧客ニーズの高まりやコスト増加もさることながら、サプライチェーンに
おけるリスクの増大にリーダーたちは神経を尖らせている。
Manager, Venture Production plc
現在の経済環境は、確かに悪化の一途をたどっているかもしれないが、それが主な要因
リコール報道の増加に加え、
グローバル化やサプライチェーンの相互
ではない。6 むしろ、
依存関係の進展によってリスクが高まっており、また管理自体も困難になっているとの
認識の深まりからと思われる。
回答者の69%はリスクを正式に監視しているが、パフォーマンスとリスクを合わせて管理
している人の割合は 31%にすぎない。効果的なリスク・マネジメントを阻む主な障害と
しては、標準化されたプロセスの欠如、不十分なデータ、不適切なテクノロジーの利用が
挙がっている。
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サプライチェーンにおける5つの主要課題
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リスク・マネジメントにおいてもリードするトップ・サプライチェーン企業群
コンプライアンス監視のための
サプライチェーン担当エグゼクティブの 3 分の 2 以上は、
プログラムを実施している。しかしトップ・サプライチェーン企業群は計画自体にリスク・
マネジメントを組み込み、情報技術を駆使することによって、例えば供給の途絶といった
危険の監視・対処にあたるという一歩進んだアプローチを取り入れている。
図6 トップ・サプライチェーン企業群は、
リスク・マネジメントのあらゆる領域において卓越している
現在の実施状況と今後の実施予定について、
トップ・サプライチェーン企業群とその他企業とのギャップ
その他企業
トップ・サプライチェーン企業群
既に実施
ロジスティクスと
オペレーションへの
統制プロセスの組み込み
84%
73%
今後3年間で実施
82%
既に実施
サプライヤー・サービス
提供事業者間の
コンプライアンス・プログラム
今後3年間で実施
79%
既に実施
リスク戦略と軽減方針の
サプライチェーン計画への
盛り込み
96%
68% 68%
62%
92%
72%
今後3年間で実施
76% 80%
既に実施
サプライチェーン・
イベント管理技術で、
異常発生を監視
42% 48%
今後3年間で実施
57%
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72%
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サプライチェーンにおける5つの主要課題
18
サプライチェーンのサステナビリティー(持続可能性)
サステナビリティーの考え方を取り入れれば複雑さが増大することになる。
しかし、
当社が望んでいるのは、
完全なる責任とともにコストを抑制し、
リスクを管理し、利益を追求する重要な経営手段の1つとしてサプライチェーンを位置づけることである。”
Maurice Sinclair, Supply Chain Director, George Weston Foods
エネルギー管理、水資源管理、廃棄物管理をはじめとするサステナビリティーの課題は、提供する商品の種類からその製造
方法、流通方法、廃棄時の処分方法に至るまで、サプライチェーン・マネジメントのほぼすべての側面に影響する問題として
その認識が高まっている。我々がインタビューしたサプライチェーン担当エグゼクティブの半数以上は、環境に配慮するための
製品設計や製品包装の変更、サプライチェーン戦略へのサステナビリティー施策の組み込み、製造目標の一環としての
カーボン管理目標の設定に取り組んでいるとしている。
しかし、TIER2 サプライヤーや TIER3 サプライヤーにまでサステナ
ビリティー目標を適用している企業はかなり少ない。さらに、排出量やエネルギー消費量の評価に基づいて輸送 / 倉庫 / 流通
業者を選定している企業となると全体の 25% 程度しかない。
(図7参照)。ヨーロッパでは、REACH、RoHS、EU域内排出量取引
そうした取り組みの進展状況は地域間でかなり開きがある
制度( EU-ETS )をはじめ、この 5 年間に施行された政府規制の結果、サステナビリティーへの戦略的対応が進んでいる。7
サステナビリティー目標に基づくサプライヤー選定がアジア太平洋地域において明らかに普及しているのは、
この地域において
活発化するサプライヤーの生産活動によって、空気、土壌、水など環境への影響が実際に表面化していることが理由と思われる。
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サプライチェーンにおける5つの主要課題
19
その一方で、米国とカナダを除く地域での取り組みが活発に見えるのは、北米企業が連邦政府による本格的な介入や刺激策
導入のタイミングをただ単にうかがっていることの裏返しかもしれない。とはいえ、日本やオーストラリアでの新しい環境法
制定や、米国やカナダの州レベルおよび地方レベルでの活動の高まりを考えると、地域間格差はすぐに解消されるものと思わ
より大きな環境責任を企業に求める顧客や
れる。サステナビリティーの問題を避けて通ろうとするサプライチェーン組織は、
法令順守の義務づけを進める政府の動きに置き去りにされる恐れがある。
図7
サステナビリティーへの取り組みは地域によって異なり、北米は他の地域に後れを取っている
サステナビリティーすなわち「グリーン・サプライチェーン」への取り組みの相対的実施状況
製造目標
北米
製品設計 / 製品包装
西欧
戦略的計画 / 施策
アジア太平洋
輸送手段選定
アウトソーシング先選定
倉庫 / 流通センター選定
低炭素流通設計
サプライヤー選定
不十分
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やや不十分
どちらとも言えない
どちらかと言えば十分
十分
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サプライチェーンにおける5つの主要課題
20
カスタマー・インティマシー(顧客との親密性)
企業は顧客よりもサプライヤーとの情報交換を図っている
顧客ニーズの高まりは、サプライチェーンに関する3 番目に重要な課題として位置づけ
“ S C MとC R Mを結 合し、サプライ
られており、企業の3 社に2 社は顧客ニーズの正確な把握に苦しんでいる。ところが、顧客
チェーン・スタッフに消費者の考え方に
どちらかと言えば顧客との対話よりも
との対話が明らかに必要であるにもかかわらず、
立って思考するようにさせる必要が
ある。SCMのあらゆる側面に消費者
の視点を取り入れることにより、サプ
サプライヤーとの対話の方に比重を置いている。サプライヤーと共同で製品設計を行って
いる企業が全体の80%を占めているのに対し、顧客と共同で製品設計を行っている企業の
ライチェーンの卓越性をさらに高める
割合は68%にとどまっている。サプライチェーン計画においても、63%の企業がサプライ
ことが可能になるだろう。”
ヤーに参加を要請する一方、顧客起点を謳いながらも顧客の意見を反映させている企業は
消費財企業のサプライチェーン担当
全体の53%にすぎない(図8参照)。
副社長
テクノロジーの発展で、顧客の意見を反映させることは従来よりも実現可能になったが、
顧客と直接的に協力してサプライチェーン計画を行う企業の割合は相変わらず最も低く、
実際、企業の5社に1社は需要計画において顧客をまったく顧みていない。
企業によっては、予想される膨大なコストと時間をかけてまで顧客との対話を図る必要は
ないと考えている。
しかし、サプライチェーンに採算が伴う成長を求める圧力が高まる中、
イノベーション
顧客との不十分なコラボレーションによって生じる過剰在庫、販売機会損失、
機会の損失を見過ごす余裕はなくなるだろう。
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サプライチェーンにおける5つの主要課題
21
図8 サプライチェーン計画は依然として内部主導型の活動のままである
サプライヤーとの計画や自社内での計画に比べ、顧客との協働計画をある程度、
かなり、
または大いに行っている企業の割合
大いに行っている
まったく行っていない
5%
かなり行っている
19%
15%
78%
社内組織間で合意した需給計画
25%
10%
ギャップ
顧客との協働による需要計画
53%
ギャップ
あまり行っていない
28%
ある程度行っている
33%
サプライヤーとの協働による供給計画
63%
トップ・サプライチェーン企業群は計画の同期化を積極的に進めている
トップ・サプライチェーン企業群は計画を同期する機会を、社内(その他企業を 15%
リード)
ともサプライチェーン・パートナー(同じく10%リード)
とも十分に活用している。
しかし、おそらく最も重要な点は、その他企業に比べて、顧客との協働計画に積極的な
ことだろう
(図 9 参照)。
図9 トップ・サプライチェーン企業群は顧客との協働計画に積極的である
顧客との協働による計画をある程度、
かなり、
または大いに行っている企業の割合
トップ・サプライチェーン企業群
需要計画における顧客との協働
63%
10%
その他企業
ギャップ
53%
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サプライチェーンにおける5つの主要課題
22
グローバル化
リーダーはコスト削減ではなく成長を挙げている
“従来の画一的なサプライチェーン・
世 界 経 済 の 相 互 依 存 関 係が強まっていることを考えると、グローバル化がサプライ
モデルでは、
もはや複数の事業部を
チェーンに関する課題の上位に挙がって当然である。多くの企業は、グローバル・ソー
含む事業ポートフォリオに十分に対応
できないように思われる。”
Rohit Anand, Director Supply Chain
Excellence, Asia Pacific, Philips
Electronics Hong Kong Ltd.
シングに関して、不確実な納入( 65% )、長いリードタイム( 61% )、低品質( 61% )などの
問題に直面している。加えて、14% の回答者は今後 3 年間にそうした問題が発生すると
予想している。
しかし、
これまでのところ、市場やオペレーションのグローバル化がもたらす財務的メリット
がそれらのデメリットに勝っている。40% 近くのサプライチェーン担当エグゼクティブが
利益率向上を重要課題として挙げている。とはいえ、この利益率向上は必ずしもコスト
削減に関係するわけではなく、実際に3 分の 1 以上の企業がコスト増加を経験している。
これは、おそらく前述したグローバル・ソーシングの課題に起因する可能性が高い。利益率
向上は、43% の人の回答が示しているように、むしろ売上増加に関係するようである。
これらの結果は、
グローバル化が効率化よりも売上成長に寄与していることを示唆して
いる。
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09.12.7 5:24:41 PM
サプライチェーンにおける5つの主要課題
23
トップ・サプライチェーン企業群はグローバル化から大きな効果を得ている
コスト増加はハイ・パフォーマーとそうでないサプライチェーンの両方に影響しているが、
トップ・サプライチェーン企業群の間ではその影響度合いが小さい(図 10 参照)。また、
プラス面を見ると、売上増加やパフォーマンス向上を挙げたリーダーの数がはるかに
多い。
図10 トップ・サプライチェーン企業群は、過去3年間でグローバル化からマイナス面を大きく上回る
効果を上げている
各結果を経験した人の割合
59%
全般的なパフォーマンス向上
63%
売上増加
41%
10
3%
38%
ギャップ
ギャップ
33%
リードタイム長期化
43%
33%
ギャップ
37%
利益率向上
%
22%
22%
ギャップ
37%
トップ・サプライチェーン企業群
その他企業
コスト増加
36%
30%
顧客サービス・レベル低下
14%
4%
品質低下
12%
マイナス面
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プラス面
09.12.7 5:24:41 PM
サプライチェーンにおける5つの主要課題
24
世界的な成功はリーダー人材にかかっている
我々は組織文化の変革を推進し、
ビジョンを共有する新しいリーダーを育成する必要がある。”
Lieutenant General Robert Dail, United States Army(retired), Former Director, U.S. Defense Logistics Agency
サプライチェーンのグローバル化が進む中、その管理に携わる組織には新たなスキルや能力が求められている。今、サプライ
アジア太平洋地域に
チェーン担当エグゼクティブが最も必要としているのはリーダー人材である
(図11参照)。この人材不足は、
おいて最も切実に感じられており、10人中9人のリーダーが最重要課題として挙げている。
こうしたリーダーの不足は、何もサプライチェーン機能に限った問題ではない。世界 40カ国の 400 人以上の人事担当エグ
ゼクティブを対象に実施した「IBM Global Human Capital Study 2008」においても、約75%の回答者がリーダー人材の
育成を重要な課題として挙げている。8
調査対象の人事担当エグゼクティブの多くは、マネジメント・パイプラインを強化するために行動学習プログラム、メンタ
リング(後進指導)、ジョブ・ローテーションを実施していると回答している。実際、事業部門間でのジョブ・ローテーションを
主な開発手法として挙げた企業は、全体の半数近くを占めている。
しかしながら、人事担当エグゼクティブとサプライチェーン
担当エグゼクティブのいずれも、3 分の 1 以上の人がリーダーの配置転換には大きな困難が伴うとしており、その実践は容易
ではない。多くの場合、
どの事業部門もトップ・パフォーマーを手放そうとしないからである。
企業はリーダーシップ開発や後継者育成に投資しているが、それらの活動は地域レベルで進められる場合が多い。その結果、
グローバルな視点でリーダーシップ・パイプラインを維持することや、事業部門間での優先順位を巡る利害衝突を解決する
ことが困難になっている。我々の調査は、世界中に散在するリーダーの人数、勤務地、配置転換可能性、実力といった要素を
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09.12.7 5:24:41 PM
サプライチェーンにおける5つの主要課題
25
戦略的計画プロセスの一環として考慮に入れる必要があることを示唆している。グローバル・レベルでの人材管理を行うことは、
必要なリーダー開発プログラムの種類、そのプログラムが実施されるべきスピード感、およびリーダー人材の不足にまつわる
事業リスクについて、
より的確な意思決定を行う助けとなる。
サプライチェーンはまた、内部でのリーダー育成と同時に、優れた新人の獲得も目指さなければならない。これは、人口統計学的
変動によって人材プールが縮小傾向にある市場に特に言えることである。ほとんどのサプライチェーン担当エグゼクティブは、
やりがいのある職務、キャリア・アップ、報酬アップといった従来の動機づけ手法を用いて要員の確保・定着を図っている。
しかし、
トップ・サプライチェーン企業群のリーダーのアプローチは違う。彼らは自社の評判や強い価値観を活用して、同じ考えを
持った労働者層とのつながりを深めているのである。
図11
人的資源の課題の中ではグローバル・リーダーのニーズが突出している
能力開発に関する主な3つの課題の1つとして各課題を挙げた人の割合
78%
リーダー人材の育成
学習文化の醸成
40%
部門 / 地域間でのリーダー人材のローテーション
37%
他部門とのクロス・トレーニング
33%
基礎的スキルの向上
30%
新人の迅速な戦力化
ベテランから若手への知識継承
将来のスキル・ニーズの予測
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29%
24%
23%
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CHAPTER
TWO
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27
よりスマートな
未来のサプライチェーン
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28
よりスマートな未来のサプライチェーン
現代の世界では、デジタル・インフラストラクチャーと物理的なインフラストラクチャーの
融合が進んでいる。今や、センサー技術の低価格化と信頼性の向上により、ほぼすべての
“単 にスピードと能 力を高 めたプロ
セスを取り入れるだけでなく、意思
決定やマネジメント・システムにイン
活動やプロセスを測定することができるようになった。その結果、オブジェクトとの通信や
協働を人間の介在なしに直接行うことができ、システム全体を接続することが可能に
なった。つまり、サプライチェーンを単に他のサプライチェーンと接続するだけにとど
テリジェンスを意識して取り入れなく
まらず、輸送システム、金融市場、電力供給網、あるいは河川や天候パターンのような自然
てはならない。”
体系とも接続することが可能なのである。
Sam Palmisano, Chairman, President
and Chief Executive Officer,
IBM Corporation
9
スマート・オブジェクトの世界から得られるあらゆる洞察をアクションにつなげ、付加価値を
生み出すことができる。そうしたインテリジェンスを組み込むことにより、サプライチェーン・
マネジメントは意思決定支援から委譲された権限の下での意思決定主体へ、そして最終
的には事後ではなく予知による事前の意思決定へと進化することができる。世界がこれ
までとは異なる姿に変わってきている中、
これまでとは異なる種類のサプライチェーン、
すなわち以下の 3 つの中心的特徴を持つよりスマートなサプライチェーンが出現しつつ
あると我々は見ている。
機能化(Instrumented)
メーター、
アク
従来は人間が作成していたサプライチェーン情報は、
センサー、RFIDタグ、
チュエーター、GPSその他のデバイスやシステムによって生成されるようになる。可視化に
ついて言えば、サプライチェーンは単により多くのイベントが「見える」だけでなく、それが
発生したときに認識することができるようになる。輸送コンテナ、
トラック、製品、部品と
いったオブジェクトが自らの状態について報告するようになり、人手による追跡・監視に
依存することが少なくなる。将来的には、デバイス上のダッシュボードに、計画、供給回答、
供給源、パイプライン在庫、消費者需要の状況がリアルタイムに表示されるようになる。
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よりスマートな未来のサプライチェーン
29
相互接続(Interconnected)
よりスマートなサプライチェーンでは、かつてないレベルでの相互作用が利用される。
それは、顧客、サプライヤー、ITシステムとの間といった通常のものにとどまらず、サプライ
チェーン全体を監視し、サプライチェーン内を流通するオブジェクトとの間にも及ぶ。サプ
ライチェーンをより全体的に眺められるようになるだけでなく、
この広範な相互接続性は
大規模なコラボレーションをも促進する。その結果、世界規模のサプライチェーン・ネット
ワークであっても、計画や意思決定を一元的に行うことが可能になる。
インテリジェント化(Intelligent)
トレードオフ評価を支援するインテリジェント・システムは、無数の制約条件や選択肢を
評価し、意思決定者がさまざまな行動方針についてシミュレーションすることを可能と
する。よりスマートなサプライチェーンは、学習や意思決定を人間の関与なしに自ら行う
こともできる。例えば供給が途絶した場合は、サプライチェーン・ネットワークの再構成を
行う。あるいは、ネットワークを通じて、生産設備、物流施設、輸送車両といった物理的な
資産をオンデマンドで使用することも可能である。こうしたインテリジェンスは、
リアル
タイムの意思決定だけでなく、将来の予知にも利用される。高度なモデリング / シミュ
レーション能力を備えることで、よりスマートなサプライチェーンは、センス・アンド・レス
ポンドからプレディクト・アンド・アクト
(予知&行動)へと移行する。
サプライチェーンは、現在よりもはるかにスマートになる可能性を秘めていることは明らか
である。
しかし、単にそれを可能とするテクノロジーがあるために実現するのではない。より
スマートなサプライチェーンは、その必然性のために出現するのである。チーフ・サプライ
チェーン・オフィサーが抱えるいくつもの重要課題を解決するには、それが必要なので
ある。
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よりスマートな未来のサプライチェーン
30
柔軟性がコスト変動の影響を打ち消す
よりスマートなサプライチェーンは、本質的に柔軟性に優れる。それは、状況の変化に応じて
オンデマンドで利用可能なサプライヤー、製造委託先、およびサービス・プロバイダー
から構成される相互接続ネットワークである。リソースを最適に活用するため、未来の
サプライチェーンはインテリジェントなモデリング機能を備えている。サプライチェーンの
管理者は、検討している案についてのシミュレーションによりコスト、サービス・レベル、
時間、品質面の影響を検証することができる。
例えば、広告宣伝期間中に小売業者のシステムは、サプライヤーから送信される在庫、
供給能力、および出荷に関する情報を、
ビジネス・ルールと閾値に基づいて分析し、その
キャンペーン期間中に許容値を超える状況の発生が予想されるかどうかを判定する。
発 生 が予想される場合、システムは商品計画担当者に事前通知を送信するとともに、
適切なサプライチェーン構成要素に対する自動トランザクションを生成する。あるいは、
配送の遅延が予想される場合には、別の物流業者への輸送指示を生成したり、数量が不足
する場合に別のサプライヤーに対して商品の追加発注を自動的に生成したりすることで、
代償の大きい品切れや販売機会損失を未然に防ぐ。
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31
未来のサプライチェーンへの準備は整っていますか。
●
●
●
●
現在のコンティンジェンシー計画能力によってコスト上昇に
十分に対応することができますか。
サプライチェーン設計に、売上の増減にコストが追従できる
状態を維持するだけの十分な柔軟性がありますか。
パートナーとの相互接続や調整によってネットワーク全体の
効率化を図っていますか。
エネルギー・コストを管理するためのサステナビリティー戦略
および実施手順を策定していますか。
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32
よりスマートなコスト抑制
機能化
Instrumented
●
可視性を高めながら在庫コストを削減するセンサー・ベースのソリューション
●
エネルギー消費量や廃棄物を監視・制御するための生産/流通プロセス検出機能
●
効率化と稼働率向上のためにスマート・デバイスによって制御・監視される輸送、物流、
施設資産管理
相互接続
●
構成される即応性に優れたオンデマンド・ネットワーク
Interconnected
インテリジェント化
Intelligent
サプライヤー、製造委託先、サービス・プロバイダーおよびその他(財務や当局の規制)から
●
グローバル・ネットワーク全体でリスクを共有するために差別化できない機能のアウトソーシング
●
需要動向に応じて増減する柔軟なコスト構造
●
それぞれのレベル(ローカル、地域、
グローバル戦略)でのパートナーとの協調的意思決定
●
統合化 / ネットワーク化された資産活用・資産管理
●
ネットワーク/ 流通戦略についての分析とイベント・シミュレーションによるモデリング
●
シナリオに基づくオペレーション分析
●
柔軟性要素(サービス・レベル、
コスト、時間、品質)の在庫への影響評価
●
シミュレーション・モデルおよび分析ツール
●
使用段階での影響を分析・監視するためのサステナビリティー・モデル(カーボン、エネルギー、
水、廃棄物)
●
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先進的な意思決定支援による統合需給管理
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33
Case study
AAFES − 協働による顧客のためのコスト削減
AAFES(Army and Air Force Exchange Service)は、現役、警衛、予備役、および退役
軍人とその家族への生活品販売およびサービス提供を行う米国の軍事関連組織である。
AAFESは、利益の約3分の2を士気高揚、福利厚生、および娯楽プログラムの支援に投資
している。
1ドルでも節約することが軍人とその家族の生活の質向上につながるため、AAFESでは
常に運営費削減に対する革新的なアプローチを模索している。2007 年、類似の組織で
とのシェ
あるFMWRC(Family and Morale, Welfare and Recreation Command )
アード・サービス・モデルを通じて、非常に大きな相乗効果を実現できるとの認識に至った。
両組織は同じ顧客を相手にしており、品揃えも似通っていたのである。
ヨーロッパを手始めに、共同チームを編成して陸揚げ時点のコストを調査し、調達、流通、
および輸送の全体にわたって協業の機会を検討した。例えば、AAFESはFMWRCの倉庫
に商品を納入しており、そこで商品を荷下ろし保管した上で、それぞれのFMWRC拠点に
供給していることが判明した。現在は、FMWRC の各拠点に商品を直接配送するように
なった結果、FMWRC は倉庫を保持する必要がなくなった。このような協業を通じて、
両組織は大量発注による調達コストの削減、約 230 万ドル分の平均在庫の圧縮、および
80万ドル以上の人件費削減を実現した。
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よりスマートな未来のサプライチェーン
34
可視化が不可欠
サプライチェーン担当エグゼクティブは、自社のサプライチェーンについてすべてを知る
ことを望んでいる。それは、サプライヤーの倉庫から出荷される貨物、製造委託先の組立
ラインを流れる各ユニット、さらには流通センターまたは顧客の保管場所で荷下ろしされ
しかし、
この広範囲にわたる可視性を得るために、
ているパレットの 1 つ 1 つにまで及ぶ。
サプライチェーンのパートナーに余計な労力を強いるわけにはいかない。端的に言えば、
情報共有しないよりも情報共有する方が容易な仕組みを作らなければならない。
つまり、
よりスマートなサプライチェーンでは、人間ではなくオブジェクトが行う報告や情報
共有の比率を高めなければならないということである。重要なデータは、
トラック、
ドック、
店舗の陳列棚、
さらにはサプライチェーン内を流通する部品や製品によってもたらされる。
この可視化は、単に計画の精度向上のために使用されるだけでなく、
リアルタイム実行の
基礎となる。
可 視 化はサプライチェーンが運 営される世 界にまで及 ぶ。よりスマートなサプライ
チェーンは、土壌状態や降雨量を追跡して灌漑を最適化したり、交通状況を監視して配送
ルートや輸送方法を変更したり、金融市場や経済指標を追跡して人件費、エネルギー・
コスト、および消費者購買動向の変化を予知したりする。
今後の可視化の問題は、情報不足にどう対処するかではなく、むしろ過剰な情報をどう
処 理 するかが重要になっていくだろう。よりスマートなサプライチェーンは、インテリ
ジェントなモデリング、分析、およびシミュレーション能力を利用することで、あらゆる
情報を意味のあるものに変えるのである。
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35
未来のサプライチェーンへの準備は整っていますか。
●
●
●
可視性が向上したとして、それに基づいて行動することが
できますか。
可視化された生情報の多くが人の手によって生成されてい
ますか。それとも「スマート」なデバイスやオブジェクトによって
生成されていますか。
近い将来に予想される情報の量、種類、および速度の増加に
対する備えはできていますか。
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36
よりスマートな可視化
機能化
Instrumented
●
棚レベルでの補充
●
閾値/許容値に基づくイベント主導型のモニター・検知アラート
●
スマート・デバイスおよびセンサー(RFIDなど)
によるリアルタイムの可視化:
予測 /注文、スケジュール計画 /回答、パイプライン在庫、出荷のライフサイクルでの状況検知
●
相互接続
Interconnected
「センス・アンド・レスポンド」の需給シグナル通知
●
複数のERPとの統合
●
サプライヤー、顧客、およびサービス・プロバイダーのためのデータ合成と意思決定支援機能を
備えたマルチ・パートナー・コラボレーション・プラットフォーム
インテリジェント化
Intelligent
●
統合された予測、注文、POS
●
ジャスト・イン・タイム( JIT )および需要主導型補充によるダイナミックな需給調整
●
統合されたパフォーマンス・マネジメント
●
パイプライン在庫予測および分析
●
在庫最適化とサービス・レベルの分析
●
最適な購買推奨
●
プライス・プロテクション分析
●
サプライチェーン・
トランザクションの自動化 / 自己制御のための高度な意思決定支援分析
および最適化
●
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予知に基づく売買の意思決定支援
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37
Case study
エアバス社 − 見晴らしの良さを生む高い可視性
エアバス社は、100 座席を超える航空機の半数以上を製造する世界最大の民間航空機
メーカーの 1 つである。サプライヤーが世界各地へ分散したため、サプライヤー倉庫から
部品、
コンポーネント、その他の資産の移動を追跡することが
世界18カ所の製造拠点まで、
困難になっていた。
そこでエアバス社は、全体的な可視性を高めるために、入荷予定の貨物が当初の経路
から逸脱したことを検知するスマート・センシング・ソリューションを開発した。10 部品が
サプライヤーの倉庫から組立ラインに移動される際、必要情報を格納したRFIDタグが
取りつけられたスマート・コンテナで輸送される。そして、重要な地点ごとにRFIDリーダー
でタグの情報を読み取って調べる。貨物が誤った場所に到着した場合や正しい部品が
含まれていない場合、
システムは担当者にアラートを出し、生産への影響が発生する前に
問題を早期に是正するように促す。
製造業界における同種のソリューションとしては最大規模となるエアバス社のソリュー
ションは、事故の発生件数と部品誤配送が及ぼす影響を大幅に改善し、そして問題の是正に
要するコストの大幅な削減を実現した。サプライチェーン内を流れる部品の位置を正確に
把握することにより、コンテナ数の 8% 削減、在庫維持費の大幅な削減が可能になった
ことに加え、部品流通効率の全体的な向上にもつながっている。エアバス社では、サプライ
チェーンを高度に機能化したことで、コストや競争における既知の問題にも、また予期し
ない問題にも適切に対応できる体制が整ったのである。
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よりスマートな未来のサプライチェーン
38
リスクは体系的に管理しなければならない
リスクはさまざまな形で発生する。この10年間だけを見ても、汚染食品、汚染玩具、無差別
テロ行為、そしてつい最近では世界経済危機と、警鐘を鳴らす出来事が相次いで発生
した。サプライチェーンの複雑性と相互依存関係が深まる中、1 つの企業がコントロール
できる範囲をはるかに超えた包括的なリスク・マネジメントを実現する必要がある。
リスクを体系的な問題として認識する。そのリスク
よりスマートなサプライチェーンは、
軽減戦略では、気候変動、盗難、改ざんといった脅威を報告することができる無数の
スマート・オブジェクトを利用する。また、サプライチェーン・パートナーと連携して共同軽減
戦略 / 戦術を実施する。そして問題が発生した場合、拡張されたサプライチェーン全体に
わたるリアルタイムの接続性を利用して迅速かつ協働的に対応する。ネットワーク全体に
よりスマートなサプライチェーン
わたってリスクをモデリング/シミュレートする能力こそ、
の最大の利点と言えるだろう。
こうしたインテリジェンスは天然資源を賢く利用することで、サプライチェーンの活動が
行われる地域社会に好影響を与えるサステナブルなサプライチェーンの実現にも役立つ。
例えば、スマート・システムによってサプライチェーンの効率と信頼性を高めることで、
エネルギーや資源の節約が可能になる。社会運動家や環境活動家が企業のちょっとした
問題の存在に気づき、指摘できるような同様のつながりは、潜在的な問題の発見・リスク
軽減活動におけるコラボレーションや、顧客とサプライチェーン・パートナーがますます
求めている高い透明性の実証といったことに貢献する。洗練された分析能力によって、
エグゼクティブはあらゆる種類の社会や環境への配慮について評価することが可能と
なる。
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39
未来のサプライチェーンへの準備は整っていますか。
●
●
意思決定やコンティンジェンシー計画において、
どの程度リスク要素を考慮に入れていますか。
RFIDタグやセンサーのようなスマート・オブジェクトを、
起きるかもしれないサプライチェーンの混乱を検知するのに
どう役立てていますか。
●
不安定な経済状況下においても、サステナビリティーのような
長期的な目標に向かって前進することができますか。
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40
よりスマートなリスク・マネジメント
機能化
●
およびセンサー
Instrumented
相互接続
Interconnected
含有成分から最終消費者による消費に至るまでの製品トレーサビリティーのためのモニター
●
サプライチェーン内を流れる製品の状態を監視して品質を保証するセンサー・ソリューション
●
将来の供給計画、配送ルート、および供給配分の分析を行うための天候予測/センサー
●
回復力に優れた戦略レベルのサプライチェーン・ネットワーク設計
●
柔軟なコンティンジェンシー計画/方針によるネットワーク統合
●
財務分析/オペレーション分析の統合
●
サプライヤー、サービス・プロバイダー、および製造委託先とのコンプライアンス戦略 / 方針
●
設計から消費、
リサイクル・廃棄に至るまでの製品ライフサイクル全体にわたって
ネットワーク化されたサステナビリティー方針
インテリジェント化
●
Intelligent
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確率に基づくリスク・アセスメントと予測分析:主なリスク要因の発生確率、重大度、検出容易性、
ならびに軽減方針 /手順
●
リスクに基づく財務影響分析:ディシジョン・ツリー、感度分析
●
リスク調整後の在庫最適化
●
災害対応シミュレーション・モデル
●
ベイズの定理によるサプライチェーン・リスク分析および軽減モデル
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41
Case study
シスコ社 − 転ばぬ先の杖
シスコ社のハードウェア、
ソフトウェア、およびサービス・オファリングは、ネットワーク化を
実現するインターネット・ソリューションで使用されている。シスコ社は、全体的な回復力を
高め、大惨事がもたらす影響を受けないようにするために、回復力指数に加え、事象や
危機からの回復に関連する一連の評価指標を含むサプライチェーン・リスク・フレーム
ワークを開発した。シスコ社のサプライチェーンにおける各「ノード」
(サプライヤー、製造
パートナー、物流センター)は、
「回復にかかる時間」を追跡・報告するとともに、実際に
災害が発生する前に回復能力を準備し、回復計画を確実に実行する責任を負っている。
過去に類を見ないシスコ社のソリューションは、ベスト・プラクティスを開発するために
さまざまな業界から招請されたサプライチェーンのリスク・マネジメント専門家からなる
フォーラムで生まれたものである。そのビジョンは、参加企業が潜在的危険を定量化し
たり、回復プログラム(代替供給元、代替拠点条件、
リスク軽減など)を策定するために
利用できるプロセスおよび実践の「オープン・ソース」ライブラリーとなることである。
手始めとして、サプライチェーン全体の脆弱性と回復力を把握するために事業継続性
計画を作成することから着手した。2008 年に大地震が中国を襲った際も、シスコ社の
前向きな事業継続性プロセスによって潜在的危険を特定し、混乱の影響が顧客や収益に
及ぶ前にリスク軽減計画を開始することができた。その結果、発生から数時間以内に
影 響を受けたノードを特定し、潜在的影響を査定することができた。そして、影響評価
結果を使用して、サプライヤーや製造パートナーと協力しながら構成部品の供給途絶を
回避することに成功したのである。
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よりスマートな未来のサプライチェーン
42
顧客の意見をサプライチェーン全体に行きわたらせる
必要がある
ほとんどのサプライチェーンは、顧客ニーズを知った時点で直ちに対応することに長けて
いる。難しいのは「知る」
という部分である。
一般的なサプライチェーンは、主にタイムリーで正確な納入が顧客との接点である。それに
対し、
よりスマートなサプライチェーンは、
研究開発から日々の使用段階、
製品寿命の終わりに
至るまでの製品ライフサイクル全体にわたって顧客と相互作用する。よりスマートなサプ
ライチェーンは、広範囲にわたる機能化によって需要シグナルをその源、
すなわち消費者が
陳列棚から商品を手に取った時点、商品が店舗の外に持ち出された時点、あるいは重要
部品が消耗の兆候を示した時点でとらえることができる。つまり、
ほぼすべての相互作用が、
労力を払わずに顧客とコラボレーションする機会となるのである。
よりスマートなサプライチェーンはまた、インテリジェンスを活用して大衆の先を見通す。
ますます細分化する顧客セグメントを高度な分析によって特定し、それに応じてオファ
リングを仕立てることができる。
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43
未来のサプライチェーンへの準備は整っていますか。
●
●
●
サプライヤーとの関係と同じくらい強固な関係を顧客との間に
築いていますか。
サプライチェーンのどの部分に顧客の関与が欠けていますか。
パフォーマンスを測定する仕組みは顧客に関する目標達成を
その中心としていますか。
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44
よりスマートな顧客との相互作用
機能化
Instrumented
相互接続
Interconnected
●
陳列棚への必要補充量を知らせるためのセンサー・ソリューション
●
センサーを利用した自動精算などのオンサイト・サービス
●
顧客の携帯電話による製品認証および顧客ロイヤルティー・プログラムへのアクセス
●
自動的に製品故障やサービスのアラートを発する組み込みソフトウェア/分析機能
●
グローバル、地域、
ローカルそれぞれのレベルでの戦略および戦術
●
S&OPのネットワーク化と予測の最適化、売買の意思決定支援
●
「グリーン」やサステナビリティーへの配慮 / コ・ブランディング:
製品設計 / 製品包装
顧客イニシアティブとのコ・ブランディング
コンプライアンス・プログラム
インテリジェント化
●
すべてのサプライチェーン・プロセスにわたる顧客とのコラボレーション
●
商品 / サービス・ポートフォリオの顧客セグメンテーション:
Intelligent
収益性、地域 / 市場、商品 / サービス・ミックス
●
計画およびオペレーション量分析に利用される顧客の行動、購入パターン、
および市場浸透のシミュレーション・モデル
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●
顧客セグメント別の最適化された在庫パイプライン計画とその実行
●
供給コスト・モデルとその分析
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45
Case study
Nuance社 − 旅客の動向に合わせて在庫を最適化
Nuance Group は空港小売業世界最大手の 1 つで、その事業は世界 5 大陸に広がって
いる。11 Nuance社のような事業では、販売機会が1回限りである場合もあり、適正在庫の
維持が極めて重要な意味を持つ。
Nuance 社のオーストラリアの免税店は、困ったことに在庫切れと過剰在庫を頻繁に
繰り返していた。顧客へのサービスを向上し、さらなる成長を実現するために、同社は
手作業による在庫追跡 / 発注方式をよりスマートな予測 / 在庫最適化システムに置き換え
ることを決定した。そのソリューションは、実際の販売データを販売動向、消費者の嗜好、
計画的プロモーション、および予想乗客数と合わせて分析して補充注文数量を計算し、
発注する。
この新しいシステムは、2007 年 10 月にシドニー空港内の同社最大の免税店に導入され
たのを皮切りに、オーストラリア国内の他の空港免税店にも導入された。その結果、在庫
補充に必要な時間の大幅な短縮に加え、需要予測精度の向上、10 ∼ 15% の在庫削減、
および販売増加を実現した。
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よりスマートな未来のサプライチェーン
46
グローバル・サプライチェーンには統合化と最適化が
不可欠である
グローバル化は、
これまで主に急速な売上成長を通じて利益率向上をもたらしてきた。
しかし、サプライチェーンをよりスマートにすれば、効率化の課題にも対処することが可能
になる。例えば、サプライチェーンを高度に機能化 / 相互接続することによって得られる
可視性の向上は、
グローバル・デリバリーのボトルネックや品質の問題を特定し、取り除く
助けとなる。
また、製造拠点やサプライヤーに関する意思決定が、人件費といった単一のコスト要素に
偏ることもなくなる。よりスマートなサプライチェーンは、供給、製造、および流通の
観点から無数の選択肢を評価できる分析能力に加え、状況の変化に応じて再構成できる
柔 軟 性を備える。そ れにより、経 済や 政 治が不 安 定になる中でも、保 護 貿 易 主 義や
反グローバル化に逃げることなくコンティンジェンシー計画を立案し、実行することが
可能になる。
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47
未来のサプライチェーンへの準備は整っていますか。
●
●
●
グローバル・ソーシング拡大がもたらすマイナス効果に
どう対処していますか。
不安定さが増す中で、最適なサプライチェーンのグローバル
配置を決定するための分析能力が備わっていますか。
必要に応じて代替の製造、供給、または物流パートナーに
シームレスに切り替えるための即応性が備わっていますか。
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48
よりスマートなグローバル統合
機能化
●
エンド・ツー・エンドのサプライチェーン活動におけるセンス・アンド・レスポンドを実現する
イベント・マネジメント
Instrumented
●
センサー / アクチュエーター:製造、物流、およびプロセス制御
●
世界規模で商品や貨物の位置を検知するためのセンサーとのリアルタイム相互接続
●
サプライチェーンの可視性向上のために、世界規模で拡大する取引先のインフラストラクチャーと
接続するセンサー・ソリューション
相互接続
Interconnected
インテリジェント化
Intelligent
●
能力とデリバリーを最適化するためのグローバルの「センター・オブ・エクセレンス」
●
適切にソーシングされたグローバルなロジスティクス・ネットワーク
●
SOAに基づく異種接続システム
●
パフォーマンス・マネジメント・システムに組み込まれたコラボレーション・ツール
●
エンド・ツー・エンドのサプライチェーン・コラボレーション・ツールおよびその手法
●
ビジネス・ルールに基づきKPIやイベント・アラートを表示する統合ダッシュボード
●
需要、供給、および流通ネットワーク計画およびその実行:
計画のためのシミュレーション・モデルおよびシナリオに基づく戦略
パイプライン上のすべての活動段階にわたる在庫の最適化
リスク・マネジメントと軽減アプローチの統合
統合生産計画と実行
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49
Case study
グローエ社 − グローバルに統合されたサプライチェーン
グローエ社は、世界市場の約 10% のシェアを持つシャワーヘッドなど水栓金具のリー
ディング・メーカー / サプライヤーである。従業員数 5,200 人、生産工場 6カ所、販売会社
20社を誇り、130カ国以上での営業活動を行う同社は、明らかにグローバル企業である。
2005 年、グローエ社は世界中での競争激化と製品構成が複雑化した結果、先進国市場
における成長の頭打ちに直面した。同社は、サプライチェーン・プロセスの統合が不十分
であることに加え、固定費比率が高かったため、それらの課題に対処することが困難で
あった。
この 手 詰まり状 態から脱け出し、グローバル統 合 の 強 化によって効 率 化を実 現する
ために、
グローエ社は「 World Class Grohe 」と称する全社的な変革プログラムに着手
した。そして、このプログラムの一環として、サプライチェーン戦略と事業戦略の整合、
サプライチェーンの統合と調和、部品数増加の抑制、内製外製戦略、ロジスティクス・
ネットワーク最適化、製造拠点配置のグローバル化、
グローバル調達の推進などの施策を
打ち出した。
グローエ社の変革は、資金繰りの改善、効率化、スピードアップ、プロセス改善、品質向上
などの多大な価値をもたらした。同社では、この包括的なプログラムを通じて、業界で
最もスリムで顧客起点の企業になるという戦略目標を達成できるものと期待している。
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CHAPTER
THREE
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51
よりスマートな
サプライチェーンの構築
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52
よりスマートなサプライチェーンの構築
サプライチェーン担当エグゼクティブは、サプライチェーンの今後のロードマップを描くに
あたって、いくつかの目標を同時に立てる必要がある。まず、サプライチェーン戦略を
急速に変化する事業戦略と整合させなければならない。そして、それらの戦略を実行する
ためには、機能化、相互接続、およびインテリジェント化によってサプライチェーンを
変革し、そのサステナビリティー、柔軟性、即応性を高める必要がある。
しかも、
このより
スマートな未来のサプライチェーンへの移行は、オペレーションの中断やパフォーマンス
の低下を引き起こすことなくシームレスに行わなければならない。それは戦略的な綱渡り
であり、CxOレベルのリーダーによる指揮を必要とする。
チーフ・サプライチェーン・オフィサーの新たな役割
チーフ・サプライチェーン・オフィサーの役割は、CEOを直属の上司とする事業部門横断
的なポジションとして浮上しつつある(図 12 参照)。これは、サプライチェーン担当エグ
ゼクティブが会社の成功において中心的役割を果たすことを示すものである。しかし、
サプライチェーンが進化し、よりスマートになるということは、それを管理する担当エグ
ゼクティブにとってどのような意味を持つのだろうか。また、
どのような能力が必要とされる
のだろうか。
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よりスマートなサプライチェーンの構築
53
現在、ほとんどのシニア・サプライチェーン・リーダーは、流通/ロジスティクス
(77%)、需給
計画(72%)、
ソーシング/調達(63%)
といった従来の機能を監督している。
しかし、中には
“組織全体にとってこの役割の重要性は
( 26% )
に関与し始めている人も存在する。今後、
戦略策定( 38% )やリスク・マネジメント
高まり続けるだろう。
重要な成功要因の
戦略レベルでのこうした関与は大きくなっていくはずである。よりスマートな未来のサプ
ライチェーンは、他のビジネス機能や戦略的意思決定にとって必要な情報をもたらす
洞察の宝庫である。チーフ・サプライチェーン・オフィサーには、サプライチェーンをそう
した重要な貢献を行えるような存在にする責任がある。
1つとして、
今後さらに高度な才能と専門
知識が求められるようになるはずで
ある。
”
Gary MacDonald, Senior Vice President,
Supply Chain and Logistics, Hbc
サプライチェーン・ネットワークにおいて、1つの部門あるいは1人の意思決定者が全責任を
負うことは稀である。したがって、チーフ・サプライチェーン・オフィサーはチーフ・コラボ
レーターの役割を果たすことも求められる。加えて、ステークホルダー(規制当局、活動
団体、政府といった拡張されたサプライチェーンにおける外部も含む)をまとめることや、
共同での計画、
リスク軽減を推進するエキスパートになる必要もある。そのため、交渉
能力やステークホルダー管理能力も、市場の知識やサプライチェーンの専門知識を補完
する要素として重要になるだろう。
図12 トップ・サプライチェーン企業群のサプライチェーン担当エグゼクティブは誰の直属か
46%
CEO
23%
COO
12%
CFO
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よりスマートなサプライチェーンの構築
54
チーフ・サプライチェーン・オフィサーは、勤勉な「オプティマイザー」の役割も果たさな
ければならない。よりスマートなサプライチェーンは、意思決定者に対しより多くの選択
肢や代替案、より正確な統制、そして求める成果を達成するための手段を提供する。
サプライチェーン・リーダーは、自社だけでなくパートナーや顧客の資産および人材の
グローバルなネットワークを最適化することができなければならない。さらに、その責任は
環境への責務にも及ぶ。つまり、地球の天然資源を保護するのに必要なバランスを維持
する責任も負っている。このように、
トップ・サプライチェーン企業群のサプライチェーン
担当エグゼクティブは、最適な成果を生み出すために、おそらく他のどの CxOよりも事業
全体についての理解、外的リスクに対する広い視野、全社最適を管理する能力が求められ
ているのである。
なぜ今、よりスマートなサプライチェーンを構築するのか
サプライチェーンがこれまでよりもはるかにスマートになろうとしていることが強く確信
できるのはなぜだろうか。この種のインテリジェンスを実現する基礎となるテクノロ
ジーが以前から存在しているにもかかわらずである。とりわけ先行きの不透明感がこれ
ほど増している中で、なぜ今そのような劇的な変革を起こす必要があると言うのだろうか。
実は、まさにそこがポイントなのである。グローバル化とサプライチェーンの相互依存
関係の強まりは、すぐには収まりそうにないほど大きな不安定性と脆弱性をもたらした。
これ
つまり、不確実性が日常という時代に突入したのである。この新たな環境において、
までとは異なる種類のサプライチェーンが求められている。それこそがよりスマートな
サプライチェーンなのである。
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よりスマートなサプライチェーンの構築
55
変革の必要性がこのように明白になる中、サプライチェーン担当エグゼクティブは、
自社の
現在の戦略や施策を見直す義務を負っている
(図13参照)。どこに投資すればプロセスの
スピードアップや効率化につながるのだろうか。前例のない不安定性とリスクにさらされる
時代に、サプライチェーンのインテリジェンスと回復力を劇的に高めるために、
さらに一歩
先を行くべき部分はどこだろうか。
大きな変化が予測されるとき、
「変わらなければ生き残れない」との意見が声高に聞こ
える。強烈な光の中で今は見えないけれども、我々が予想する未来はずっと輝かしい
ものである。それはなぜか。サプライチェーン担当エグゼクティブは、サプライチェーンを
さらに一層スマートにするのに必要な構成要素を自由に選べるからである。
しかし、それ
以上に重要なことは、今回の世界約 400 名のサプライチェーン担当エグゼクティブに
対するインタビューの中から、彼らが自社のサプライチェーンの戦略的イネーブラー
(実現手段)となることを固く決意している姿が浮き彫りになったことである。彼らは、
自らの役割が自社の成功にとってどれほど重要なのかを理解しており、価値ある変革を
生み出す機会が自らに与えられたことを歓迎している。
よりスマートなサプライチェーンのコンセプトに対する見解や意見、そしてこの種の組み
込まれたインテリジェンスによって実現されるビジネスの可能性は、急速に発展しつつ
ある。我々は、よりスマートな未 来のサプライチェーンについて、サプライチェーン・
リーダー諸氏とさらに具体的に話し合い、その構築に向けて協力できることを心待ちに
している。
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よりスマートなサプライチェーンの構築
56
図13 未来のサプライチェーンに向けた「スマート・マップ」
貴社組織にとって最も重要な能力はどれでしょうか。
SCMのコンピテンシー領域
ライフサイクル・
機能化
戦略
計画
マネジメント
ソーシング/調達
可視化 /パフォーマンス・
リアルタイムの需要管理 /
予測分析および
リスク・コンプライアンス・
マネジメント
在庫最適化
シミュレーション設計手法
センサーおよびモデリング
SC 最適化 / 透明性
リアルタイムの在庫パイプ
組み込みシステム
プロアクティブ・リアルタイム
顧客需要のセンサー /
シミュレーター
ライン可視化
予防保全のためのセンサー
早期警告検知:需給同期化
のサプライ・ネットワーク・
イベント監視
グローバル・ソーシング/ 輸入
物流に関するKPI および検知
相互接続
パートナーとの事業 /
SC 戦略の整合
サステナビリティー戦略の
統合
市場需要に応じて増減する
協働による計画と実行
財務分析 /オペレーション
分析の統合
外部指標と統合された
S&OP
柔軟なコスト構造
顧客 /パートナーとの協働に
階層的供給のリアルタイムの
よる開発とエンジニアリング
可視化
顧客に対する洞察を活かした
ブランドの卓越性向上
契約管理 / 戦略的ソーシング
アウトソーシングによる
継続的改善のための
グローバル・ネットワーク全体
知識共有
でのリスク分担と柔軟な構造
の構築
インテリジェント化
セグメント別のサプライ
チェーン・コスト分析
高度な分析による持続的な
SCコスト削減
リスクに基づく影響分析
S&OE
(「 E 」は実行の意味)
リスク調整後の在庫最適化
S&OP のネットワーク化と
意思決定支援の最適化
新製品開発のための
イノベーション/ 分析
ライフサイクル全体にわたる
「グリーン」でサステナブルな
予測売買分析
サステナブルな調達手法
インテリジェント費用分析
配慮
モデル駆動型システムズ・
エンジニアリング
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よりスマートなサプライチェーンの構築
オペレーション
資産管理
ロジスティクス
エンタープライズ・
アプリケーション
在庫管理およびイベント
総コスト管理ダッシュボード
イベント主導型のロジス
監視およびリアルタイム
ティクス・アラート
検出 /アラート
ネットワーク最適化のための
在庫最適化
検出の最適化
ム
57
生産設備へのカーボン/ 水 /
廃棄物監視用センサー /
アクチュエーター装備
環境的に持続可能な資産
監視
確率に基づく統合リスク・
アセスメント
リアルタイム・センサー
ERP/MES 統合
容易なネットワーク・オンボー
業務リスク管理 / 制御のため
ディングおよび物流パート
知
の可視化
ナーからの自動データ入力
の
製造 / 供給 / 使用 /リサイクル
統合資産 /リソース・マネジ
物流ブロバイダーに対する
コラボレーション・プラット
のためのネットワーク設計
メント
リアルタイムの可視化
フォーム: 顧客、サービス・
パートナーに関するKPIと
地理情報システム( GIS )
柔軟なコンティンジェンシー
取引条件管理のリンク
顧客起点の生産 / 延期
体
動的で柔軟な資産コスト
構造
造
設備投資管理のための
SCモデル
所有コスト分析
税務 /コンプライアンス・
災害対応モデル
モデリング
柔軟性要素を評価する
プロアクティブな資産移動 /
ためのシミュレーション・
再構成 / 売却
モデル:サービス・レベル、
計画/方針によるネットワーク
統合
プロバイダー、サプライヤー
ERP 間統合
エンタープライズ / ネット
即応性に優れたオンデマンド
ワーク・パフォーマンス・
物流ネットワーク
マネジメント
カーボン・フットプリント・
ビジネス・インテリジェンス/
マネジメント
統合分析
データ主導のリバース・
イベントへの予測分析 / 高度
ロジスティクス
分析の応用
ネットワーク/ 流通戦略分析
KPIトレンドと研修 / 変革
およびモデリング
管理プログラムのリンク
コスト、時間、品質
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58
調査方法
我々は、
サプライチェーン管理者やスタッフが抱える最も差し迫った課題と目標を把握する
18
%
24
%
23
%
25
%
年間売上高が
5億ドル未満の企業
しかし、サプライチェーンの
ために、過去 10 年にわたって定期的に調査を実施してきた。
戦略的役割が高まっていることを受けて、2008年は企業のチーフ・サプライチェーン・オフィ
サーに対する面談方式での詳細なインタビューによる
「IBM Global Chief Supply Chain
Officer Study」を初めて実施することにした。
年間売上高が
200億ドル以上の企業
サプライチェーン従業員が
1,000人以上の企業
サプライチェーン従業員が
100人未満の企業
我々は、北米、西欧、およびアジア太平洋地域 25 カ国のリーダー 393 名に詳しく話を
伺った。これらのリーダーが指揮するサプライチェーンは、小売、工業製品、食品・飲料、
製薬、通信、エレクトロニクス、行政機関をはじめとする29 業種に及んでいる。
今回の調査の一環として、世界のトップ・サプライチェーン企業群のリーダーの回答が
トップ・サプライチェーン企業群は、
他 の 回答者とどう異なっているのかを分析した。
回答者のうち「 The AMR Research Supply Chain Top 25 for 2008 」に選ばれた
と定義した。
企業( 17 社)
アジア太平洋 38%
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西欧 40%
北米 22%
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59
謝辞
貴重なお時間を割いてご経験とご知見についてお話しくだ
さった世界のサプライチェーン担当エグゼクティブの皆様に
深く感謝いたします。
卓越したサプライチェーンの実現に向けてのご熱意がひし
ひしと伝わり、大変よい刺激をいただきました。
また、インタビューで伺ったお話の引用に快く同意くださった
皆様に対して改めて御礼申し上げます。
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60
IBMグローバル・ビジネス・サービスについて
IBMグローバル・ビジネス・サービスは、世界 170カ国以上において、業界知識と洞察、
そして高度な研究成果とテクノロジーの専門知識を組み合わせることにより、お客様の
ビジネスの分析、最適化、そして変革を可能にします。私達は、お客様のパフォーマンスと
ビジネスで成功するために
プロセスの向上のため、そしてお客様が競争優位性を確立し、
貢献することを目標としています。
サプライチェーン・マネジメント・コンサルティング・グループ
・コンサル
IBMグローバル・ビジネス・サービスのサプライチェーン・マネジメント( SCM )
ティング・グループは、8,000 名を超えるコンサルタントを擁する世界最大級の規模を
ビジネス・プロセス
誇るコンサルティング集団です。SCMコンサルティング・グループは、
とテクノロジーに対する深い洞察を融合することにより、サプライチェーン戦略、計画、
ソーシング / 調達、オペレーション、資産管理、ロジス
製品ライフサイクル・マネジメント、
ティクス、エンタープライズ・アプリケーションなどのさまざまな領域でお客様をご支援
いたします。私達は、自社のポートフォリオと提携先の広範なネットワークを通じて、
IBM のコンサルティングの専門知識とSAP、Oracle、Dassault Systèmes、Maximo®、
ILOG をはじめとする主要サプライチェーン・アプリケーションを組み合わせることで
比類ない価値をご提供することができます。
IBM Institute for Business Value
IBMグローバル・ビジネス・サービスのIBM Institute for Business Valueは企業経営者
の皆様に、各業界の重要課題および業界を超えた課題に関して、事実に基づく戦略的な
洞察をご提供しています。
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61
脚注および参考文献
1 “World Investment Report 1996: Investment, Trade and International Policy Agreements.”
United Nations. August 1996; “World Investment Report 2008:Transnational Corporations,
and the Infrastructure Challenge.” United Nations. July 2008.
2 “Companies without borders: Collaborating to compete.” Economist Intelligence Unit. 2006.
3 Lewin, Arie Y. and Vinay Couto. “Next Generation Offshoring: The Globalization of Innovation.” Offshoring Research Network. March 2007. https://offshoring.fuqua.duke.edu/ORNreport_exec_summary.pdf
4 “Record 182,000 New Products Flood Global CPG Shelves.” Metrics 2.0. February 19, 2007. http://www.metrics2.com/blog/2007/02/19/record_182000_new_products_flood_global_cpg_
shelve.html
5 本レポートの中で言及されているトップ・サプライチェーン企業群は、
「Friscia, Tony, Kevin O’Marah,
Debra Hofman and Joe Souza. “The AMR Research Supply Chain Top 25 for 2008.” AMR
Research. 2008」で選ばれている企業の内、
我々の調査にご協力いただいた企業を指しています。
6 大半のインタビューは2008年9月までに実施されたものであるため、
このように考えています。
7 REACHは2007年6月1日に発効した、化学物質についての登録・評価・認可と制限に関する欧州連合
(EU)
の規制です。EUの電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する指令
(RoHS)
は
2006年7月1日発効、
またEU域内排出量取引制度(EU-ETS)
は2005年1月から運用開始されました。
8 “Unlocking the DNA of the Adaptable Workforce: The Global Human Capital Study 2008.”
IBM Global Business Services. September 2007.
9 Palmisano, Samuel J. “A Smarter Planet: The Next Leadership Agenda.” Speech given at
The Council on Foreign Relations. November 6, 2008.
10 “Airbus’s cost effectiveness gets a lift with greater supply chain visibility and automation.”
IBM Corporation. October 2008.
11 “About us: The world’s top airport retailer.” The Nuance Group. 2007. http://www.thenuancegroup.com/aboutus/
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用語
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ERP(Enterprise Resource Planning)
エンタープライズ・リソース・プランニング
GPS(Global Positioning System)
全地球測位システム
K P(
I Key Performance Indicator)
重要業績評価指標
MES(Manufacturing Execution System)
製造実行システム
RFID(Radio Frequency Identification)
無線ICタグ
S&OP(Sales and Operations Planning)
販売/業務計画
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さらに詳細につきましては、[email protected]または、
各地域のサプライチェーン・マネジメント・サービスのリーダーへお問い合わせください。
Global
Sanjeev Nagrath
[email protected]
Japan
Katsuto Maehira
[email protected]
Asia Pacific(excluding Japan)
Yeonho Yoo
[email protected]
Northern Europe
Garth Impey
[email protected]
Southern Europe
Roland Bemelmans
[email protected]
IBM Institute for Business Value
Karen Butner
[email protected]
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〒100-6318 東京都千代田区丸の内2-4-1
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表紙、1ページ
(上)および6ページの写真:©2008 asbl Atomium / Artists Rights Society(ARS)、ニューヨーク / SABAM、
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1ページ(下)および50ページの写真:©Centre Pompidou, 2008 / 建築家:R.Piano氏、R.Rogers氏
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当資料に記載の肩書きや数値、固有名詞等は英語版掲載時のものであり、変更されている可能性があります。
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