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学校安全における養護教諭の 不安と リスク認知に影響を

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学校安全における養護教諭の 不安と リスク認知に影響を
平成17年度
学位論文
学校安全における養護教諭の
不安とリスク認知に影響を及ぼす要因
兵庫教育大学大学院 学校教育研究科
学校教育専攻 教育臨床心理コース
MO4095A 上田 祥子
目次
1 問題と目的
1近年の風潮と学校の安全・・……………・・・… ………・……・1
2養護教諭の歴史……………・…… …………・……・……2
3ヒヤリハット概念・…・…………………………・…・・…・・3
4本研究の目的…・……………… …………・……… ……4
H 研究の方法
1予備調査・……… …・……・……・………_....__._7
2本調査・………・・……… ……・…………・・………・・…8
12345
皿 結果
回答者の概要……・・…………・…………・…・…・・…・・9
養護教諭リスク認知尺度の因子分析………・………・・…・…11
養護教諭リスク認知尺度の責任関連とヒヤリ度の関係…・・……・15
養護教諭リスク認知尺度の地域差・………………… …・…・15
プロフィール(個人属性,勤務形態,ヒヤリ体験の有無等)分析
(1)プロフィールの一要因分散分析……・………・…・…・・……16
(2)学校規模と経験年数・・………………・……・・…………・16
(3)小・中の校種と複数配置の有無…・………・……・・……・…18
(4)看護師免許の有無と学校規模…………・……・…・…・……19
(5)子どものヒヤリ経験と学校規模…・……・………・…・・……23
(6)経験年数と教師のヒヤリ経験…・…・・……・…・…・……・…23
6 リスク認知と不安への影響
(1)不安がリスク認知へ及ぼす影響・………・…・…・… …・……24
(2)特性不安と自尊感情…・・…・……・…・・……・……・……・25
(3)リスク志向・回避態度による影響…・…・…………・……●。●26
(4)経験と不安による影響…・…………・…●●●’”。●●●●●●●●●●●●●29
w 考察
1養護教諭リスク認知尺度について…・……………・……・……・32
2プロフィールの分析について…・……………働………………32
3リスク認知と不安への影響・…・……………・………………・35
V まとめと課題・…・……………・………・………39
V【参考文献,引用文献…………・・……・………・…45
、肛 添付資料・…………………………・………・………48
資料1
資料2
資料3
資料4
資料5
資料6
資料7
資料8
資料9
資料10
予備調査表・………・………・………………・・… …48
予備調査の結果・・………………・…・……・…・・……49
調査協力の依頼文… ………………… ……・・………53
養護教諭への調査協力の依頼文・………・………… ……54
質問紙(フェイスシート)・…………・…・・…・・………55
質問紙(ヒヤリ経験の調査表)・………・・…・・…………56
質問紙(養護教諭リスク認知尺度)………………・… …57
質問紙(不安STAI)……………・………………・…59
質問紙(自尊感情)……・・…・……・…・・……………・・60
質問紙(BigFive)……………・・…………・……・・…61
… 。・・・・・・・・・・・… 64
資料11質問紙(楠見のリスク志向・回避態度尺度)
、皿 謝辞
1
問題と目的
1 近年の風潮と学校の安全
近年,著しい社会環境の変化により自然災害や様々な人為災害
等の危機に対応している学校にとって,安全教育はさらに重要な
視点になりっつある。『学校保健の動向』(H14版)によると,
自他の生命や安全を軽視するという憂慮すべき風潮が社会全体
に蔓延しており,教職員の危機管理意識の向上や体制等の整備が,
学校における重要な課題となっている。家庭や地域社会との密接
に連携した安全教育や安全管理を進めていくことが求められて
いる。これは,単純にけがをしないための安全能力を身に付けさ
せるだけでなく,自他の生命や人格・人権を尊重し,経済や効率
ではなく,安全が最優先されるような「安全文化」を創造してい
くことが必要ということである(注1)。文科省では,その一環と
して学校安全の推進や心のケア対策を包括した「子ども安心プロ
ジェクト」(注2)を展開している。予防的な立場に立った積極的
な安全教育が望まれる。
今橋(1998)は,今日の学校教育において「子どもの安全権」
(注3)が脅かされていることをあげ,これらの問題をっめるため
には父母・生徒参加による危険施設・行為の点検と協議,及び教
師・学校・教育委員会の改善措置と安全確保策とともに,生徒自
らが危険を予知し,最小限に回避・克服する知識,感覚と技量を
形成することが必要不可欠であると,具体的な安全対策を述べて
いる。
養護教諭は子どもの学校生活において,健康面や安全面と関わ
ることが多く,学校安全管理を円滑に進める一端を担っている。
山本(2001)は「養護教諭の情報発信に対し,ポジテイブな学校
組織文化においては,学校全体として何とかしようと関わろうと
するが,ネガテイブな学校組織文化においては教員が関わろうと
1
する雰囲気がないため,安易に生徒を保健室に行かせ,養護教諭
はその対応に追われ,情報発信の場である会議にすらいけない。
また養護教諭が情報を発信しても,報告に終わるか対策につなが
るかには学校組織文化が大きく影響している。ネガテイブな学校
組織文化の中で養護教諭が保健室の中だけにとどまってしまう
と,情報が保健室外に出せず学校経営には生かされないばかりか,
一人で何もかも抱え込んで養護教諭自身も疲弊して,消極的な姿
勢に傾かざるを得ない。そして,保健室に留まっていることで,
一般教師からも理解されず,悪循環になる」といっている。
2 養護教諭の歴史
そもそも養護教諭とはなにか。杉浦(1974)『養護教員の歴史』
によると,もともとは大流行したトラコーマの処置と予防といっ
た医学的なケアをする役割で,明治38年に岐阜県にはじめて部
外者としてr学校看護婦」がおかれ,それから,昭和16年に国
民学校令が制定され,「学校看護婦」は「養護訓導」と名称を変
えた。そして昭和22年には学校教育法が制定され,いまの「養
護教諭」になった。そして田澤(2004)は養護教諭は教員スタッ
フとして制度化されたものの,周りからは教員としての正当な位
置づけがもらえず,自らも職務と役割に確信が持てず,自らの教
員としての位置づけや役割を問い続けてきたと述べている。
また養護教諭養成機関が多岐にわたっていて,その大部分は研
究者への道がないことなどが専門的能力の育成,養護教諭の研究
向上を阻んできた一っの大きな要因であるとの指摘もある(堀内,
平識,平野,1976)。
久富(1994)はr教員という存在の占める位置が格別に大きく,
学校といえば教師というように他職種の学校での働きを事実上
軽視する主観的な学校像と教員像がうまれる」という。養護教諭
は教師に対して他職種,加えて一人職種であるということで孤立
しやすい状況にある。
2
職務上必然的に事故対応の機会の多い養護教諭にとって,専門
的な立場で的確な養護診断や迅速な応急対応ができるかなど,大
変ストレスフルな状況下にある。また,養護教諭の職務のあいま
い性や一人職であることで周りから孤立したり,保護者からの厳
しい責任追及や批判を受けると,自信ややりがいを見失い,不眠
や集中できないなどのストレス障害に悩まされるケースも多い。
廣瀬,有村(1999)は養護教諭の精神的健康に及ぼす職場ストレ
ッサーと職場サポートの影響について調査した結果,養護教諭特
有のストレッサー(学校保健の位置づけ,養護教諭の専門性や生
徒指導的役割など養護教諭の職務に関しての理解が十分でない
等)があり,精神的健康度の不安や身体症状との相関がみられた
と報告している。
3 ヒヤリハット概念
「ヒヤリハット」概念の研究は産業界の危機管理や医療領域で
使われ始めた用語で,一つの事故の背後には,数個から数十個の
「ヒヤリとしたりハットしたり」する体験が隠れているとする考
え方である。そういった認識に立って,危機一髪であった小さな
ミスから失敗を分析し,みんなで共有することで,組織の問題と
とらえ,同様の失敗を起こさないようにするとりくみである。
ヒューマンエラーとは人間によるミスであり,産業災害の領域
における先行研究では,ヒューマンエラーの原因を分析し,気の
緩み,錯誤,省略,憶測,未熟練など,様々な要因によって起こ
ると考えられてきた。r4っのMjが背景要因であるといわれて
いる(Man,Machine,Media,Management)(安全用語事典,
1994)。
ヒューマンエラーの研究は個人の特性から組織的な要因へと
進展してきたが,学校現場を対象としたものはほとんどみられな
い。学校安全を考える上で,学校は産業活動の場とは異なる人的,
教育的環境にあるため,そのままあてはまらないところもあるが,
3
学校や保育園等での子どもの災害,死亡例のなかには,その発生
の背後にヒューマンエラーが潜んでいると考えられるものもあ
る。また,学年が上がるにっれて授業にまつわる活動も高度にな
り,高度な技術を必要とした体育や複雑な工具や機械を使う技術
家庭科など,産業活動の場に求められるようなヒューマンエラー
防止にも重点を置いた安全教育の充実が生かされると考える。
現場では誰もが子どもたちの安全には細心の注意を払ってい
るが,実際には同じ場面をみても「ヒヤリとしたりハットしたり」
する人もあれば,そうでない人もいる。「危ない!」と感じる場
面は無数にあったにもかかわらず,事故が起きなかったから,見
過ごされてきた現状がある。あるいは,組織的な安全概念が不十
分なためにおきた事故であっても,ややもすればその原因を個人
の資質に求めてしまう。ひとたび学校事故が生じると教員の責任
が問われるため,不安緊張が高まり,悪い評価をおそれ,軽微な
事故は公にしないなど,教員の秘密主義が築きあげていかれるば
かりということになろう。それでは「ヒヤリハット体験」は生か
されない結果となってしまう。ヒヤリハットの概念が根付けば個
人の資質的要因だけではなく組織の問題としてとらえることが
でき,教師一人ひとりの不安やストレスの軽減にもつながると考
える。
4 本研究の目的
そこで本研究では,産業界でいわれているヒヤリハット概念に
着目し,不安とリスク認知という心理学的視点から学校安全対策
を論じ,特に実際の学校安全管理の最前線にある養護教諭の不安
やリスク認知にアプローチすることで学校災害におけるリスク
マネージメントのための提言につなげていきたいと考えた。
リスクの定義は共通のものはなく,領域によって概念は異なる。
盛岡によるとリスクとは人間の生命や経済活動にとって望まし
くない事象の発生の不確実さの程度および,その結果の大きさの
4
程度として定義される(リスク学事典,2000)。辛島(2001)は
「自分がこれから何かをしたいとき,うまくいかない可能性を認
識することをリスク認知という」と述べている。また,リスク覚
悟の行為であっても適切な準備や対処策を立てることをリスク
マネジメントとよんでいる。学校生活において,子どもが安全で
健やかに活動できるように,養護教諭は疾病や傷害の初期対応し
(救急処置),生活行動を観察し(健康観察),安全を阻害する要
因を分析し(安全管理)問題を発見し,心身の成長を促すための
生活環境を整える(保健指導)など,児童生徒の養護をつかさど
る。養護教諭はそれらの機能を生かし,「子どもの安全権」を保
障していかなければならないと考える。
本研究ではリスクを目常の学校生活における軽微なヒヤリと
する場面で,主観的にどの程度認知するかという点を争点として
取り扱うつもりである。学校には子どもたちの多くが安心感を求
めており,安全で一貫性のある居場所でなくてはならない。学校
教育現場においてリスクを認知し,その上での対応の準備をする
リスクマネジメントは重要な対策であるであると同時に,精神的
にも支えとなりうる。
また過小にも過大でもなくリスクを認知しながらも,個人が不
安にかられないような組織への安全教育のあり方についても検
討していきたい。
注1) 安全文化について
1991年チェルノブイリ原発の大事故より国際原子力諮問委員会で出た言葉で,以後1999
年茨城県東海村のJCO臨界事故,北海道トンネル崩落事故から事故災害防止安全対策
会議報告書で日本でも使われ始めた。組織の安全の間題が何者にも勝る優先度を持ち,
その重要性を組織と個人がきちんと認識し,これをスタート地点とした思考や行動を組織と
個人が常に,しかも自然に取ることができる行動様式の体系である。
5
注2) 子どもの安心プロジェクト
文科省ではH13,6より以下のような子ども安心プロジェクトを展開している。
①安全管理取組事例集及び危機管理マニュアルの作成
②地域ぐるみの学校安全推進モデル地域の指定・実践
③PTSD等に対する心のケアのパンフ作成や教師用参考資料の改定
④健康相談活動支援体制整備事業の継続,拡充
注3) 子どもの安全権とは
安心して生きる権利を子どもの実生活の場で確保していくことである。子どもの権利条約3
条6条,憲法前文13条に記載。以下はそれを受けて川崎市が子どもの権利条約を作ってい
るものである。第10条「子どもは安心して生きることができる。そのためには,主として次に掲
げる権利が保障されなければならない。
①命が守られ,尊重されること②愛情と理解をもって育まれること③あらゆる形態の差別をう
けないこと④あらゆる形の暴力を受けず,又は放置されないこと⑤健康に配慮がなされ,適
切な医療が提供され,及び成長にふさわしい生活ができること⑥平和と安全な環境の下で
生活ができること。
6
■ 研究の方法
1予備調査
目的
養護教諭のリスク認知尺度の項目を作成することが予備調査
の目的である。
調査時期と対象
平成17年4月中旬,A県B市内養護教諭研修部員21名に実
施した。
手続き
学校生活の中でヒヤリとしたことやハッとした体験について,
A:子どもとの場面,B:親との場面,C:教師との場面においての経
験を自由記述で尋ねる質問紙を準備した。
回収された質問紙より執務の中で養護教諭がヒヤリと感じる
場面が多岐にわたっていることから,養護教諭の職務内容全般か
ら網羅するため,三木(2001)のいう養護教諭の職務を参考にカ
テゴリーを起こした。救急処置については,さらに日本スポーツ
振興センターの統計等をみながら傷病発生にいたる具体的な場
面を設定し,各事例を選択した。
本調査用の質問紙の作成について現場の養護教諭とともに検
討を行い質問項目を起こした。またA県C地区養護教諭理事会
においても質問紙の妥当性について審議された。予備調査の結果
から選択基準として,誰もがヒヤリとするであろう偶発的で危険
な内容よりも,軽微で日常的な場面を選択した。(予備調査の結
果は巻末に資料として添付する)
ヒヤリとする度合いには「職務上の客観的な考え」と「個人の
主観的な思い」の違いが含まれていると考え,それを明示するた
めに個人責任について付け加えた養護教諭リスク認知尺度(質問
①r個人的責任との関連性」と質問②「ヒヤリ度」)を構成した。
7
2本調査
手続き
・予備調査より作成された養護教諭リスク認知尺度を用いて,
養護教諭がリスクをどの程度認知しているかを調査する。
・フェイスシート(年齢,勤務校,養護教諭の複数配置の状況,
取得免許の種類,勤務年数,ヒヤリ体験の有無等),人格特性
(STAI,自尊感情),リスク志向・回避態度尺度(楠見,2005)
を同時に測定し,リスク認知に影響を及ぼす要因を探る。
調査時期と対象
平成17年6月∼8月,A県C地区養護教諭理事会にて依頼し,
C地区内の公立学校に勤務する養護教諭に,質問紙郵送法等で配
布した(252名)。また各種研修会において参加した養護教諭に
も配布した(43名)。D県教育委員会保健体育指導主事にも依頼
し,D県養護教諭研修会にて配布した(45名)。
合計340名に配布し,回収数240名(70.6%)。尺度ごとに有
効回答者数に違いがあるため分析対象者数は指標ごとに異なる。
調査内容
質問紙は,巻末に資料として添付する。
8
表1−1(年齢)
人
3
%
15.2
24.6
39.8
18.8
1.6
20代
30代
40代
50代
その他
29
47
76
36
3
4
その他
人
2種
その他
47
2
17.8
%
74.3
24.6
1
表1−5(看護師免許)
人
看護師免許あり
その他
%
36.6
56
7.3
なし
70
107
14
表1−6(教員免許)
教員免許あり
なし
その他
人
%
59
30.9
111
21
58.1
11
人
その他
30代
40代
50代
図1・1 回答者とH10養護教諭年齢構成との比較
〈校種〉小学校108名,中学校64
名,他校種16名(高校,養護学校
幼稚園)。
%
33
63
65
34
59 30.9
4
2.1
ベテラン
20代
〈養護教諭免許〉(図1・2参照)
表1−7(経験年数)
若手
中堅
果となった。
80.1
表1−4(養護教諭免許)
養教免許1種(専修 142(5)
〈年齢〉平均36。3歳。平成10年度
5
03
53
02
52
01
51
050
44
153
34
%
2.1
養護教諭一人配置
二人配置
数は異なる。
m3)と比較すると図1・1のような結
表1−3(複数配置)
人
Nニ191(その他は欠損値を示す)
養護教員年齢構成(学校保健の動向,
1.6
他校種
その他
108
64
16
%
56.5
33.5
8.4
小
中
1 回答者の概要
欠損値処理の関係上,実際のNの総
表1−2(校種)
人
皿 結果
表1−8(学校の規模)
人
小規模
中規模
大規模
複数
その他
39
40
39
34
39
%
20.4
20.9
20.4
17.8
20.4
9
9
その他
4.7
表1−9(子どものヒヤリ経験〕
人
%
159 83.2
子どもにヒヤリあり
12
23
なし
表1−10(教師のヒヤリ経験)
人
%
111 58.1
教師にヒヤリあり
63
その他
17
33
8.9
なし
表1−11(信頼のヒヤリ経験1
%
81
42.4
49.2
その他
16
94
8.4
人
信頼にヒヤリあり
なし
表1−12(地域差)
人
A県C地区
その他
図 1−2 養護教諭免許の種類
%
139 72.8
52 27.2
〈看護免許>あり70名,なし107名。
〈経験年数〉若手∼14年 63名,中堅15∼24年 65名,ベテ
ラン25∼年 59名(三分点で3分割)。そのうち看護
師免許を持つものを示したもの(図1・3参照)。
震︾43∩∠−
■看護師免許あり
ロなし
ミ脚伊
酵
酵戸
病酔
若手
中堅
ベテラン
図1・3 経験年齢別の看護師免許の有無
〈学校規模〉333名までを小規模校39名,334∼523人中規
10
模校40名,524人以上の大規模校39名,複数配置校34名
(小・中学校に絞り,複数配置校とそれ以外を3分割した4水準)。
く子どもへのヒヤリ経験〉あり159名(83.2%),無し23名(12%)。
〈教師へのヒヤリ経験>あり111名(58.1%)無し63名(33%)。
〈信頼へのヒヤリ経験>あり81名(42,4%)なし94名(49.2%)。
2 養護教諭リスク認知尺度の因子分析
養護教諭リスク認知尺度26項目について①責任関連と②ヒヤ
リ度をそれぞれ主因子法,バリマックス回転で因子分析した。①
責任関連については表2一①に示す。
固有値の減衰状態を勘案して,因子数を4因子に絞って因子を
抽出した(累積40.8%)。因子負荷量0.40以下の3項目と因子
間での因子負荷量の差が0.1以上開いていない1項目を削除し22
項目を選出した。
第一因子は『校内の連携』(α係数=0.81),第二因子は『教師
の安全意識』(α係数二〇.81),第三因子は『事故の危険性』(α係
数=0.80),第四因子は『頭頸部外傷』(α係数二〇.85)と命名した。
α係数は0.8以上あり,内的整合性のある結果となった。命名に
ついては以下に示す。
11
(主因子法、バリマックス)n=191
校内連携 安全意識 事故危険性 頭頸部外傷 共通性
s養教不在時子ども一人で寝かせているとき
.726
.653
.607
o共通理解した内容をうかつに本人に言うとき
.551
1心臓検診の精密を勧めても結果が届かない時
.508
.262
.095
.233
.063
.078
q学校での怪我での搬送を親に押し付けたとき
.501
k「しんどい」というのに保健室へ連れてこない
r体調の悪い子を親に無断で帰宅させた時
p頼んでいたのに担任が家庭連絡をしないとき
.008
.255
.597
.016 .504
.118 .474
一.011
.091
.251
一.032
.421
.180 .345
.116
.144
.218
.128 .357
.487
.250
.212
.083 .380
eマラソン参加の保護者印をもらわずの参加★
.441
.348
.031
.181
nサーズ等学校の健康管理体制を非難される時★
.198
.172
.095
.220
.135
.225
.086
.128
.163
.084
.037
.063
t保健室を離れた隙に子どもの記録が見られる★
c掲示のため脚立に子どもを上がらせている時
f教師不在の早朝練習
a教師不在時の彫刻刃を使った居残りの時
b騎馬戦のカバーに教師が間に合わないとき
d子どもがぼうきを振り回している時
m体育館の窓枠が子どもがふれると落ちたとき
g休み時間廊下で子どもが鬼ごっこしてるとき
.331
一.048
w子どものポケットにカッターが入っていたとき
.196
.145
x教師が倒れたとき
u不審者が校内にいるとき
z子どもへの対応に手落ちがあったとき★
固有値
因子寄与率(%)
累積寄与率(%)
α係数
.574
.572
.545
.501
.478
.181
.130
.254
.360
.058
.057
.077
.047
.108
3.10
一.008
.036
.111
.056
.159
一.029
11.93
10.19
12.22
24.15
34.34
40.77
.174
.290
.144
.099
.057
3.18
h嘔気で様子を見ていた子が眠りだすとき
.701
.140
.137
.224
.124
.038
.246
.107
.729
.687
.642
.555
.523
.416
.142
.098
12.22
.301
y子どもが倒れたとき
1頭部外傷による出血
.746
一.058
.028 .611
.059 .535
一.041
.529
.181 .434
.231 .326
.836 .778
.801 .700
.234 .255
1.67
6.44
一.005
v ADHDの子がキレて態度が急変したとき
けんかで一人が唇を切ったとき
.041
一.096
.362
.182
.268
.586
.562
.410
.436
.350
.612
.309
.602
.811
.815
一.010
2.65
.805
.851
★削除項目
②のヒヤリ度については表2一②に示す。①の個人責任との関
連性とほぼ同様の結果が得られた。
0.4以上の負荷量の項目からなる解釈可能な5因子を抽出した
(累積40.9%)。第一因子が『校内の連携』(α=0.78),第二因
子が『教師の安全意識』(α=0.74),第三因子が『頭頸部外傷』
(αニ0.65),第四因子が『養護診断』(αニ0.66),第五因子が『安
12
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v+ C f
1 :
'
J F: E
f c
5
> -" bf
v
i
v
T
9
13
ていると考え『校内の連携』と命名した。α係数は0.78である。
第二因子は「教師不在の早朝練習」や「休み時間に廊下での鬼ご
っこ」など教師の目が行き届かないにもかかわらず,止むことが
ない現状から,教師の安全意識が低いことを示すと考え『教師の
安全意識』(α=0.74)と命名した。第三因子は「頭部外傷で出血」
「けんかで唇を切った」「嘔気で様子を見ていた子が眠りだす」な
どであった。「嘔気… 」は,頭部外傷による脳の随伴症状で
嘔気がみられ,意識障害を起こすと眠り始めるので,『頭頸部外
傷』(α=0.65)とした。第四因子は「教師が倒れた」「子どもへ
の対応に手落ちがあった」などの場面では,まず養護教諭の判断
を求められるので『養護診断』(α=0.66)とした。第五因子に
ついては「SARSへの対応」「体育館の窓枠がはずれた」「子ども
のポケットにカッターが入っていた」などで,健康管理,施設管
理,生徒指導上の問題などであり,それらをまとめて『安全管理』
(α=0.61)と命名した(②の『安全管理』『養護診断』が合わ
さって①では第三因子『事故の危険性』と命名した)。
14
3 養護教諭リスク認知尺度の①責任関連と②ヒヤリ度の関係
表3養護教諭のリスク認知尺度下位項目ごとの分散分析
独立変数
従属変数
個人責任と
ヒヤリ度
連
結果(F値)
有意差
学校安全管理上,①個
3,732 p・026
1 Q3−1a
Q3−2a
人責任との関連性に影
9,564 P・000
2 Q3−1b Q3−2b
20,103
P・000
3 Q3−1c Q3−2c
響されない普遍的な項
8,331 P・000
4 Q3−1d Q3−2d
目を抽出するため項目
17,737 P・000
5 Q3−1e Q3−2e
15,235
P・000
6
Q3−1f
Q3−2f
ごとに分析を行った。養
16,625
P・000
7 Q3−1
Q3−2
40,808 P・000
8
Q3−1h
Q3−2h
護教諭リスク認知尺度
12,984 P・000
Q3−2i
9 Q3−1i
10 Q3−1j
20,416 P・000
Q3−2■
の下位項目ごとに,①
11 Q3−1k
20,145 P・000
Q3−2k
「個人責任との関連性」
12 Q3−11
34,664 P・000
Q3−21
13 Q3−1m
5,491 P・005
Q3−2m
と②「ヒヤリ度」の得点
14 Q3−1n
37,619
P・000
Q3−2n
15 Q3−10
20,681
で,1要因の分散分析を
P・000
Q3−20
16 Q3−1
27,486 P・000
Q3−2
行ったところ,ほとんど
17 Q3−1q
24,604 P・000
Q3−2
18 Q3−1r
18,503 P・000
Q3−2r
の項目においてP<.001
19 Q3−1s
21,281
P・000
Q3−2s
20
16,432
P・000
Q3−1t
の有意差のある結果が
Q3−2t
21 Q3−1u
6,671 P・002
Q3−2u
得られた。(表3参照)
22 Q3−1v
20,699 P・000
Q3−2v
23 Q3−1w
17,425 P・000
Q3−2w
5%水準で有意差がみら
24 Q3−1x
7,576 P・001
Q3−2x
25
2,433 P・091
れないのは
Q3−1
Q3−2
26 Q3−1z
55,815 P・000
Q3−2z
y「子どもが倒れたとき」
F(2、185)
(F〔2,185〕ニ2.43,
P<.10)であり,有意傾向ありにとどまっている。これは責任関
連に関係なく子どもが倒れたときにはヒヤリ度が高くなるので
はないかと考える。ヒヤリ度には個人責任との関連性が強く影響
していると考えられた。
4 養護教諭リスク認知尺度の地域差
地域別にみた養護教諭リスク認知尺度(ヒヤリ度)の下位尺度
(因子)でA県C地区とその他の地域で,一要因分散分析を行
ったところ,ヒヤリ度の5因子すべてにおいて有意差は認められ
15
なかった。A県C地区による地域差は今回の調査ではみられない
と考えられる。
5 プロフィール(個人属性,勤務形態,ヒヤリ体験の有無等)
分析
(1)プロフィールの一要因分散分析
フェイスシートより得られた回答者のプロフィールによりヒ
ヤリ度がどのように影響を受けるのか検討した。各回答者の特性
と養護教諭リスク認知尺度(ヒヤリ度)の下位尺度(因子)ごと
に一要因の分散分析をしたところ,以下のような結果を得た(表
5−1参照)。回答者の特性として経験年数,校種,学校規模,
養護教諭免許の種類,看護師免許の有無,複数配置の有無,ヒヤ
リ経験の有無等により分析した。
表5−1 養護教諭のリスク認知尺度とプロフィールの1要因分散分析
従属変数ヒヤリ度
独立変数
教師の安全
プロフイール
校内の連携
頭頸部外傷 養護診断
安全管理
一
養教免許
複数配置
看護免許
教師免許
学校規模
学校規模
経験年数
小中校種
子ヒヤリ
教師ヒヤリ
信頼ヒヤリ
F値
なし
なし
P=.068
F(1,175)ニ3.372
なし
P=.015
F(3,148)=3.586
P=.031
F(3,148)=3.038
P=.022
F(2,184)ニ3,889
P=.092
F(1,170)=2.873
P=.002
P=.003
F(1,180〉ニ9.381
F(1,172)=8.842
なし
Pく.1以下のものを示す
分散分析の結果,ヒヤリ度に校種や学校規模,経験年数,看護師
免許の有無,ヒヤリ経験等が有意に関連していることが分かった。
それらの関係性を詳しくみるため2要因の分散分析を行う。
(2)学校規模と経験年数
ヒヤリ度の下位尺度得点(因子)ごとに4(学校規模)×3(経
16
験年数)で2要因の分散分析した(表5−2参照)。
表5−2学校規模・経験年数別にみた養護教諭リスク認知尺度得点の平均値(SD)
のも
頭 。
市の 忌i
ヒヤリス
目理
…診断
学校規模経験年数 平均値(SD) 平均値 (SD) 平均値(SD) 平均値(SD) 平均値(SD) 平均値 (SD) N
7.27 1.19
50.36 4.90
10.64 2.69
11.82 0.40 7.18 1.08
13.45 1.29
小 手
昌
中堅
ベテラン
中 父 手
中堅
ベテラン
大 父 手
中堅
ベテラン
配置 手
中堅
ベテラン
若手
中堅
ベテラン
11.53 2.59
11.83 2.52
12.27 2.40
11.75 3。17
12.23 2.49
11.50 3.51
11.81 2.34
8.13 3.52
11.89 2.13
11.57 4.16
11.86 3.29
12.26 2.35
11。68 2.82
10.77 3.41
11.73 3.79
12.42 3.18
10.67 3.02
11.92 2.68
11.77 2.55
9,25 2.92
11,81 3,02
10.13 3.58
10.16 2.73
11.00 3.83
7.40 1.64
7.58 0.90
7.20 1.15
6.50 1.88
7.31 1.03
6,63 1.85
7,31 1.14
6.27 1.49
7.05 1.61
9,86 3.89
6.71 1.50
5.86 2.54
10.26 2.80
11.70 3.22
11.13 3.33
7.08 1.43
7.06 1,54
6.83 1.56
11.13 1.92
10.92 2.31
11.93 0.26
11.42 0.90
11.69 0.63
10,88 1,73
11,44 0,89
10.93 1.44
11.47 0,77
11.29 1.25
10.43 1.72
11,58 0,89
11.32 1.30
11.06 1.61
7.80 1.32
7.58 1.51
7.80 1.15
7.33 1.67
6、92 1.50
6.63 2.39
7.13 1.71
5.87 2.36
7。63 1.54
7.29 0,49
6.86 1.57
7.43 1.53
7.40 1.46
6.74 1.89
11
15
12
15
12
13
49.60 8.30
50.33 8.05
49.87 6.05
48.92 8.61
49,92 5.01
8
44.88 9.98
49.50 6.34
41.33 9.10
16
15
19
48,21 5.65
47.86 8.86
44.86 9.42
48.62 6.50
49.16 7.65
46.53 8.66
7
7
53
50
47
養護教諭リスク認知尺度(ヒヤリ度)の第一因子の『校内の連
携』においてF〔6,138〕=2.29 Pく.05と交互作用に有意差がみ
られ,下位分析を行った。
その結果,経験年数がベテラン群において有意な単純主効果が
みられた。大規模校は,その他の規模と全てにおいて図5−1のよ
うに中規模校>複数配置>小規模校>大規模校と有意差が見ら
れた(:Pく.001)。また大規模校において,ベテラン群は図5・2の
ように中堅>若手>ベテランと有意差がみられた(Pく.001)。
第五因子『安全管理』において学校の規模による主効果(F
〔3,138〕ニ2.61 Pく.10)に有意傾向があり,Tukey法による多
重比較の結果,ヒヤリ度は大規模校のほうが小規模校よりも5%
水準で有意に低くなった。
第二因子『教師の安全意識』において(F〔2,138〕=2.48 Pく.10)
主効果に有意傾向があり,Tukey法による多重比較の結果,経験
年数による有意差はみられなかった。
17
イ置
00 00 00 000
1 1 ー 唾帥需¢製畢﹄
00
6
40
20
00
80
60
40
20
0
校内の連携
□小規模校
■中規模校
■大規模校
團複数配置校
若手
中堅
ベテラン
図5−1 経験年数による学校規模でのヒヤリ度(校内の連携)
校内の連携
1 1 1 艇喧志如警キ﹄
1
小規模校 中規模校 大規模校 複数配置校
図5・2 学校規模による経験年数でのヒヤリ度(校内の連携)
(3)小・中の校種と複数配置の有無
小・中校種と複数配置の有無(2×2)で分散分析したところ,
表5−3のような結果を得た。
第一因子『校内の連携』において校種と複数配置で交互作用が有
意(F〔1,165〕=4.52 Pく.05)であった。単純主効果の検定を
行った結果,複数配置校では小学校のほうが中学校よりも危険率
18
5%で有意に高い結果となった。
表5−3小中の校種と複数配置による養護教諭リスク認知尺度得点の平均値(SD)
校内の連携 教師の安全意言頭頸部外傷 養護診断 ま
小中 複数配 平均値(SD)平均値(SD) 平均値(SD)平均値 (SD)平
ヤリ度
1値(S
小子 1人 11。74 2.93 11.48 3.32 7.08 1。46 11.53 0.89
2人 12.56 1.82 11.31 3.09 6.75 1.77 11.50 0.97
子 1人 11.76 2.63 10,96 2.85 7.24 1,32 11.24 1.67
2人 10.08 3.48 9.67 2,74 6、92 1.44 11,25 1.06
1人 11.75 2.81 11.29 3.16 7.13 1。41 11.43 1.23
2人 11.50 2.89 10.61 3.01 6.82 1,61 11.39 0.99
(4)看護師免許の有無と学校規模
看護師免許の有無と学校規模(2×4) で分散分析を行ったとこ
ろ,表5・4のような結果を得た。
表5−4学校規模と看護師免許の有無による養護教諭リスク認知尺度得点の平均値(SD)
第一因子『校内の連携』において(F〔3,138〕=3.03
Pく.05)
学校の規模と看護師免許の有無に有意な交互作用があり
単純主
効果の検定を行った結果,図5・3のように大規模校において看護
師免許が有る者ほうが無い者よりもヒヤリ度は1%で有意に低い
結果となった。また看護師免許がある場合,大規模校とその他の
学校規模において小規模校>複数配置校>中規模校>大規模校
の順で危険率1%で有意な差がみられた(図5・4参照)。
19
看護師免許がある者のほうがない者よりも危険率1%で有意にヒ
ヤリ度が低い結果が得られた(図5−5参照)。
養護診断
ハU FD O F︾ 0 に︾
0 0 0 0 0 0
∩∠ 1 ー ハU O 9
1 1 1 1 1
饗嘩志如e遡ヘ一ギコ
■看護師免許あり
□なし
小規模校 中規模校 大規模校 複数配置校
図5−5 学校規模による看護師免許有無でのヒヤリ度(養護診断)
また看護師免許の有る者において,ヒヤリ度は大規模校のほうが
中規模校よりも5%水準で低いことが認められた(図5・6参照)。
養護診断
0 5 0 置︾ O F︾
n∠ ’ー ’1 0 0 9
0 0 0 0 0 0
1 1 1 1 唾帥諦如e製ーキ﹄
1
□小規模校
■中規模校
■大規模校
函複数配置校
看護師免許あり なし
図5−6 看護師免許の有無による学校規模でのヒヤリ度(養護診断)
第五因子『安全管理』において,看護師免許の有無(F〔1,
21
138〕=3.954 P<.05)と学校規模(F〔3,138〕=5.01 Pく.005)
それぞれに有意な主効果が認められ,交互作用も有意傾向(F
〔3,138〕=2.46 P<。10)にあることから,下位分析を行った。
大規模校においては看護師免許がある者のほうが無い者よりも,
危険率1%で有意にヒヤリ度が低い結果となった(図5・7参照)。
安全管理
9・00一
8.00
唾7.00
嘩
志6。00
如5.00
■看護師免許あり
e
□なし
遡4・00
=、3.00
キ
⊥』2.00
1.00
0.00
小規模校 中規模校 大規模校 複数配置校
図5・7 学校規模による看護師免許の有無でのヒヤリ度(安全管理)
また看護師免許がある場合,大規模校はその他すべての学校規模
との間に1%水準で有意差がみられ,小規模校>中規模校>複数
配置校>大規模校となった(図5−8参照)。
看護師免許を持つ者について,経験年数においてヒヤリ度に有
意差はみられなかった。
22
唾嘩布如警㌻
9876543210
安全管理
□小規模校
■中規模校
■大規模校
團複数配置校
看護師免許あり なし
図5・8
看護師免許の有無による学校規模でのヒヤリ度(安全管理)
(5)子どものヒヤリ経験と学校規模
学校規模と子どものヒヤリ経験の有無について2要因の分散
分析をした結果,第四因子『養護診断』において有意な交互作用
(F〔3,137〕ニ2.83 Pく.05)があり,単純主効果の検定を行っ
た結果,小規模校において子どものヒヤリ経験があるほうがヒヤ
リ度が危険率1%で有意に高いことが認められた(図5−9参照)。
養護診断
12.5
12
11、5
11
□子ヒヤリなし
10.5
■子ヒヤリあり
10
9.5
9
小規模校 中規模校 大規模校 複数配置校
図5・9
学校規模による子どもヒヤリ経験の有無によるヒヤリ度の差
(6)経験年数と教師のヒヤリ経験
23
経験年数と教師のヒヤリ経験の有無について2要因の分散分
析を行ったところ,第一因子『校内の連携』において,教師のヒ
ヤリ経験に有意な主効果がみられた(F〔1,165〕ニ9.06 Pく.005)。
経験年数にも(F〔2,165〕=4.15 Pく.05)有意な主効果が見
られたが,Tukey法による多重比較では有意差はみられなかった。
6 リスク認知尺度と不安への影響
(1)不安がリスク認知へ及ぼす影響
STAIの特性不安尺度得点は,ストレス状況に対して状態不安
を喚起させやすい傾向を反映する。この特性不安は安定した個人
内特性であるとされている。STAI−JYZの標準得点に基づく評定
においては,44点以下は低群,45点から55点未満は中群,55
点以上は高群と区分されている。今回の得点の平均値は46.7点
であり,中群に区分された。度数は, 表6−1STAIの結果
低
中
合計
欠損値
合計
パーセント
73
69
32
174
17
191
38.2
36.1
16.8
91.1
8.9
結果となった。
度数
古同
表6・1のとおりである。不安高群は回
答者全体の20%以下であり,養護教諭
はとくに不安傾向が強いわけではない
100.0
対象をSTAIの特性不安尺度平均値
で高群と低群の2群に設定した。養護教諭リスク認知尺度の5因
子との一要因の分散分析を行ったが,有意差は見られなかった。
リスク認知と不安には別の要因が絡んで影響を及ぽすと考えら
れるため,二要因の分散分析を行ったところ表6・2のような結果
を得た。その結果,ヒヤリ度に対する特性不安の有意な主効果は
みられなかった。
24
表6−2
独立
数
養護教諭のリスク認知尺度と不安に関するの2要因分散分析
『
不安
不安
一
一
一
『
不安
一
一
不安
F値
校内の 教師の安 頭頸部 養護診 安全管
携
意識
不安
不安
不安
不安
従属変数ヒヤり度
独立変数
自尊感情
自尊感情
P=.01
楠見リスク(不安)
楠見リスク(生命)
楠見リスク(志向)
楠見リスク(志向)
楠見リスク(全)
楠見リスク(全)
P=.002 F(1,182〕ニ9446
F(1,181〕ニ6.279
P=.013
P=.027 F(1,180〕ニ4.948
P=.048
F(1,180)ニ3.955
P=.038
F(1,177)ニ4.388
F(1,177)=4.689
P=.032
経験年数
子どものヒヤリ
子どものヒヤリ
教師のヒヤリ
教師のヒヤリ
全ヒヤリ経験
F(1,184〕ニ6.706
F(1,175)ニ3.083
P=.081
F(2,178)=3.736
P=.026
P〈.001
F(1,175)ニ10.775
F(1,175)=5.391
P=.021
F(1,167)=5.544
P=.02
F(1,167)ニ8.616
P=.004
P=.092
F(1,160)=2.878
P〈.1以下のものを示す
(2)特性不安と自尊感情
自尊感情についても合計得点の平均値で高群,低群の2群に設
定し特性不安と二要因の分散分析した(表6・3参照)。
表6−3不安と自尊感情による養護教諭リスク認知尺度得点の平均値(SD)
群群 群群群
低高低高低高
リスク認知尺度の第五因子『安全管理』において有意な交互作用
(F〔1,184〕=6.71 Pく.05)がみられた。単純主効果の検定を行っ
たところ,図6−1のように自尊感情低群において,ヒヤリ度は不
安高群のほうが不安低群よりも5%水準で有意に高い結果とな
った。
25
安全管理
7.60
7.40
攣
賓720「
「
匙700 一・+自軍低群1
. ヨ十
陪
憲6£・
コ
辛6.60
”
6.40
6.20
1_9_一一…
一 一 一 7 ,
一一
一←一
一
不安低群 不安高群
図6・1特性不安と自尊感情によるヒヤリ度
第三因子『頭頸部外傷』においても交互作用に有意傾向(F
〔1,175〕ニ3.08 :P<.10)がみられ,単純主効果の検定を行った
ところ,以下の2つの結果が得られた。一つは自尊感情が低い場
合,不安高群のほうが不安低群よりもヒヤリ度は危険率5%で有
意に高い結果となった。もう一つは不安低群の場合,自尊感情高
群のほうが低群よりも5%水準で有意に高いことが認められた。
(図6−2参照)
頭頸部外傷
0 0 0 0 0 0 0 0
47
27
06
86
66
46
26
0
7
鍔き叢警㌻
「
一←自尊低群
1+自尊高群
」
不安低群 不安高群
図6・2
不安低群における自尊感情ヒヤリ度の変化
(3)リスク志向・回避態度尺度による影響
リスク志向・回避態度尺度とは,リスクを求める,あるいは避
26
ける態度をどの程度持っているかということを測定するため楠
見が作成したものである(楠見,平山,2005)。下位尺度の第一
因子は「一般的不安」(以下「一般不安」),第二因子は「生命リ
スク回避」(以下「リスク回避」)第三因子は「金銭リスク志向」
(以下「リスク志向」)の3尺度で構成されるものである(以下
「楠見リスク」)。今調査ではこれを使用した。この結果から得点
の平均値で高群と低群に2群した。
特性不安の2群と(2×2)二要因分散分析を行った結果,(表
6・4参照)まず楠見リスクの全体得点においては,リスク認知尺
度の第二因子『教師の安全意識』では,楠見リスク(全体)の主
効果〔F〔1,177〕=4.69P<.05)が有意であった。また第四因子
『養護診断』においても有意な主効果(F〔1,177〕ニ4.39P<.05)
がみられた。
表6−4不安と楠見リスク志向・回避態度尺度のよる養護教諭リスク認知尺度得点の平均値(SD)
ヒ
くすみリ
特性不安スク(全)平均値(SD)平均値(SD) 平均値(SD)平均値(SD)平均値(SD)平均値(SD)
低群 , 2.96 10,31 2.75 . 1.3311.551.29 . 1.78 , 6,74
同群
11.58
11.91 2.75 11.51 3.26 7.12 1.43 11.18 1.47 7.29 1.46 49.00 7.80
楠見リスクの各下位尺度でも同様の分析を行った結果,楠見リ
スクの「一般不安」では,リスク認知尺度の第五因子『安全管理』
において,特性不安と「一般不安」の交互作用〔F〔1,182〕ニ9.45
P<.005)に有意差がみられ単純主効果の検定をすすめた。特性不
安が高い場合「一般不安」も高群において低群よりもヒヤリ度が
1%有意水準において高い結果となった。「一般不安」には「何
かにつけてよく心配する方である」などの項目がある(表6−5参
照)。
27
表6−5特性不安と楠見リスクの一般的不安
値46
均
値漸39143244
ク
促454844
ス安
群 体
見般群群群群群群
楠一低高低高低高
安
畜理
512.0
611.3
941.8
291.4
「リスク回避」の項目には,「ホテルでは避難口を確認する」r車
に乗るとき事故の多い座席はさける」などがある。「リスク回避」
の場合,リスク認知尺度第二因子『教師の安全意識』において有
意な主効果(F〔1,181〕6.28 P<.05)が認められた(表6−6
参照)。
表6−6特性不安と楠見リスクの「リスク回避」による養護教諭リスク認知尺度得点の平均値(SD)
安リス1
勾値
低群
高群
低群
高群
低群
高群
面
煙
0.44
1.51
1.53
0。35
直4830143340
ヶ避
楠見
また「リスク志向」の場合,第5因子『安全管理』において「リ
スク志向」と特性不安の有意な交互作用(F〔1,180〕=4.95P<.05)
がみられた。下位分析をすすめたところ特性不安が低い場合「リ
スク志向」では,高群のほうが低群よりも危険率5%で有意に高
い結果となった。
またリスク認知尺度の第四因子『養護診断』においても有意な
交互作用がみられ(F〔1,180〕=3.96P<.05),単純主効果の検定
28
を行ったところ,不安が高い場合,「リスク志向」は低群のほう
がヒヤリ度は5%水準で有意に高い結果となった。rリスク志向」
の項目には「ギャンブル志向」や「臨時収入が入ったら使ってし
まう」などがある(表6・7参照)。
表6−7特性不安と楠見リスクの「リスク志向」による養護教諭リスク認知尺度得点の平均値(SD)
言 員多
のi女 息言 頭 部 笏
父 の’乃
女 呂理
楠見リスク:
性不安リスク志向
低群 低群
高群
高群 低群
高群
低群
群
平均値(SD 平均値(SD)
11,583.21
2,462.51
11,982.62
1,552.86
11,752.96
1,952.73
10.64 2.83
1.44 3.43
11.41 2.95
0,69 3.54
10.97 2.89
1.02 3.49
平均値(SD) 平均値(SD) 平均値(SD)
6.89 142
.95 1,45
7.24 1.50
11.33 1.47
6.69 1.72
1,460.88
.51 1.10
11,680.52
N
55
9
41
7.34 1.61
.06 1.76
1.06 1.69
.08 1.89
7.04 1.46
11.48 1.17
6.97 1.69
.01 1.62
1.24 1.40
.27 1.60
9
96
8
(4)経験と不安による影響
まず子どものヒヤリ経験と教師のヒヤリ経験と信頼のヒヤリ
経験の有無を単純加算し全体のヒヤリ経験とし,全体のヒヤリ経
験と特性不安(2×2)で分散分析した(表6・8参照)。
表6−8特性不安とヒヤリ経験(全)による養護教諭リスク認知尺度得点の平均値(SD)
父 の
不 ヒヤリ
の 忌言 頭 部 砺
平 巨 SD) 平 匝SD)
低群 少群
多群
11.81 2.91
局 ,、
11.27 2.24 11.19 3.35
多群
全体 少群
多群
11.54 2.59 10.69 3.28
2.03 2.94
1.12 3.17
1.97 2.97
209 2.94
10.19 3.20
1.22 3.01
1.00 3.37
量診断
目理
平 匝SD) 平 置 SD) 平 匝 SD)
6,731.66
,101.21
7,501.14
,021.81
11.19 1.81
N
7.04 1,31
1.49 0.99
.54 1.73
11.31 1.44
7.14 1.69
1.42 1.08
.92 1.80
7,121.46
11.25 1.62
7.” 1.57
.06 1.52
146 1.03
.13 1.79
26
6
59
3
85
9
第三因子『頭頸部外傷』において交互作用に有意傾向(F〔1,160〕
=2.88P<。10)がみられた。下位分析を進めるとヒヤリ経験低群
では,特性不安は危険率10%で高群のほうが低群よりも高い傾
向があった。
子どものヒヤリ経験と特性不安について,(2×2)分散分析を
行った(表6−9参照)ところ,リスク認知尺度の第1因子『校内
の連携』において交互作用(F〔1,175〕=5.39Pく.05)が有意で
あった。下位分析を進めた結果,以下の2つの結果を得た。子ど
ものヒヤリ経験がない場合,特性不安が低群のほうが高群よりも
5%水準で有意にヒヤリ度は高い。また特性不安が高い場合,子
どものヒヤリ経験はあるほうがないよりも1%水準で有意にヒ
ヤリ度は高くなることが認められた。
表6−9特性不安と子どものヒヤリ経験の有無による養護教諭リスク認知尺度得点の平均値(SD
父 の’乃 の 忌言頭 。 砺 ヨ診断 女 目理
第四因子の『養護診断』では,子どものヒヤリ経験の主効果(F
〔1,175〕=10.78P<.001)に有意差がみられ,養護診断にヒヤリ
経験が大きく影響していることが示唆された。
信頼のヒヤリ経験については有意差はみられなかった。
教師のヒヤリ経験について,不安との分散分析の結果から教師
のヒヤリ経験に主効果が第1因子『校内の連携』,(F〔1,167〕
=5.54 Pく.05)第2因子『教師の安全意識』(F〔1,167〕=8.62
P<.005)にみられた(表6・10参照)。
表6−10特性不安と教師のヒヤリ経験の有無による養護教諭リスク認知尺度得点の平均値(SD
市の女 思、置 頭 。 笏
父 の㌧
言診断
女 目理
、 不:女 市ヒ 平 置(SD 平 厘(SD)
平 巨(SD) 平 暉(SD) 平 巨(SD) N
29
11,173.45
9.62 2.69
6.72 1.62
低群 なし
6.59 1.52 11.07 1.81
あり
局 まし
あり
{ なし
あり
2,162.78
11,092.65
2,252.71
11,133.03
2,202.73
1.49 3.12
.16 1.26
1。54 0.91
.26 1.54
7.24 1.77
11.39 1.30
7.18 1.99
.12 1.58
1.27 1.40
。19 1.60
10.02 3.03 6.94 1.68
11.24 1.55
6.97 1.83
1.48 3。23 7.14 1.42
1.41 1.17
.23 1.56
10.36 3.31
1.46 3.38
7
33
2
62
09
経験と不安における分散分析を行った結果(表6−11参照)も
経験年数において,第二因子『教師の安全意識』で経験年数の主
効果(F〔2,178〕ニ3。74P<.05)がみられた(図6−4参照)。
中堅
ベテラン
.79 1.50
1.46 0.98
,631.28
1.43 3.30
.14 1.29
1.09 1.67
.57 1.85
12.00 2.83
10。04 2.91
7.14 1.48
11.36 1.39
7,182.07
1,83 2.52
1.46 3.09
.39 1.55
1.44 1.29
1.48 3.07
1.26 3.90
.70 1.87
1.22 1.31
12.25 2.51
10.07 2.74
7.03 1.43
11.49 1.13
2.06 2.67
1,49 3.12
.17 1.55
1.45 1.17
1.24 3.27
1、36 3.52
.97 1.54
1.14 1.53
2.46 2.92
1.54 3.24
1.09 3.42
局 右
中堅
ベテラン
全体 若手
中堅
ベテラン
N
33
28
,201.60
,261.66
7,201.65
61
,351.49
,841.79
教師の安全意識
1 1 1 1 1
0 ハU O O O O hU
O
950,505ρ
2 1 1 α 0 9 9
個嚢降e唾嘩警㌻
不安低群 不安高群
図6−4
特性不安と経験年数によるヒヤリ度の差
これらから,経験年数が上がってくると,教師のひやりとする
言動を目にすることも多く,ヒヤリ度は高くなっていると考える。
31
435123558
表6−11特性不安と経験年数による養護教諭リスク認知尺度得点の平均値(SD)
而の女 息昌 頭 部 砺
言診断
女 目理
父 の連乃
平均旦(SD)
平均厘(SD)
平均阻 (SD)
平均厘SD)
平 厘SD)
不女浬
6.94 1.39
11.61 0.86
7,211.22
10.09 2.64
12.45 2.24
低群 右手
IV 考察
1 養護教諭リスク認知尺度について
学校安全は安全教育と安全管理が一体となって推進すること
により始めて成果をあげるものである。三木(2001)によれば保
健室の運営にあたる養護教諭は,けがや事故を起点としてその背
景の分析と要因に対する適切な処置そしてアフターケアまでを,
一連の教育活動として総合的に展開する必要があると述べてい
る。今回の養護教諭リスク認知尺度はそういった養護教諭の安全
意識の実態を把握するため作成した。
養護教諭リスク認知尺度の作成に当たっては同じヒヤリ場面
に対して①個人責任との関連性と②ヒヤリ度を別々の調査とし
て実施した。
因子の命名については①個人責任との関連性では表2・①のよ
うに,因子分析の結果得られた4因子を『校内の連携』『教師の
安全意識』『事故の危険性』『頭頸部外傷』と命名した。
そして②ヒヤリ度では表2・②参照で,先ほどの①『事故の危
険性』は②のヒヤリ度では『養護診断』と『安全管理』に分かれ
た。それ以外は①と同じように命名した。
①のα係数は0.8以上あり,内的整合性のある結果となった。
②については0.78,0.74,0.65,0.66,0.61で必ずしも十分な
整合性は得られなかったが,このことに留意して分析を続けるこ
ととした。①個人責任との関連性と②ヒヤリ度の1要因分散分析
の結果,y「子どもが倒れたとき」(表3参照)以外は,すべて
の項目に有意差がみられ,強く影響することがみられた。
2 プロフィールの分析について
ヒヤリ度の各下位尺度はA県C地区とその他による地域差は
みられなかった。
また,養護教諭免許の種類(1種,2種)によるヒヤリ度に有
32
意差はみられなかった。これは養護教諭免許が1種でも2種でも
同様の職務をこなしていることから,差はみられないと考えられ
る。ヒヤリ度は養護教諭の免許の種類よりも複数配置,学校の規
模などの現任校の状況や経験年数や看護師免許の有無などの経
験,資格による影響が大きいことがわかる。
今調査より第一因子『校内の連携』において,大規模校では看
護師免許がある者のほうがヒヤリ度は有意に低いこと,また経験
年数25年以上のベテランの者は若手や中堅に比べて有意にヒヤ
リ度が低いことが認められた。大規模校では事故も頻繁にあり,
また学校行事に追われ児童生徒の情報整理・継続観察・関係教師
との話し合いなど児童生徒数の増加に伴って小規模校や中規模
校,複数配置校よりも一人の養護教諭への負担は増える傾向にあ
るのかもしれない。そんな中,職員の協力なしでは学校が機能し
ないため,生徒指導部や学校保健部などが機能し,養護教諭と連
携して学校保健や学校安全が推進されることになる。そのため責
任を養護教諭一人で抱え込まず,組織でわけあうことができる。
大規模校においては職員の人数も多く,組織で連携が図れること
がヒヤリ度を低くしている要因の一つなのではないかと考える。
25年以上のベテランの者は協力できる体制作りについても経験
から熟知しているため,有意に差が出たのではないかとも考える。
また看護教育を受けた経験や養護教諭の経験を深めることで,危
険性や予後を予測して対応することができ,ヒヤリ度は低くなる
のではないかと考えられた。萩野,林,江原,木村(2002)は養
護教諭の学校保健活動展開の困難要因について調査したところ,
「20年以上の経験者群は,自らの実践に対する自信,確信がも
てる傾向にある」といっていることも今回の結果を裏付けるもの
である。
しかし学校規模が大きいはずの複数配置校においては,ヒヤリ
度に有意差が見られなかった。複数配置校では児童生徒数や何ら
かの理由で経営困難があり養護教諭が複数配属されている。その
33
ため養護教諭が複数あり執務を分け合えるが,単に負担が減るだ
けではヒヤリ度には影響しないということになる。一見先ほどの
ベテラン群におけるヒヤリ度は「大規模校では他の教師と連携し
有意に低くなるが複数配置校では低くはならなかった」という点
と矛盾するが,複数配置については先行研究においても賛否両論
があり相殺されてしまうのだろうか。
後藤,山崎ら(1998)の先行研究で,複数配置の際に不安なこ
とに4割以上が「養護教諭同士の人間関係」,2割以上が「他教師
の協力が得づらい」とある。また,津村,岩淵(2001)によると
複数配置の問題点としてr職務分担の難しさ」が挙げられている。
これらの先行研究から職務分担をすると自分の担当していない
職務には関心が薄くなったり,また責任の所在があいまいになっ
たり,複数の養護教諭がいることで組織の協力も得られなくなっ
たりするのではないかと述べられている。
複数配置の利点として,「相談・検討ができる」「精神的に楽に
なる」r研修・出張にでやすい」とあり,r救急処置や校内外の巡
視は複数配置の効果が現れやすい」(2001石原ら)とするものが
ある。
一人配置の時には小・中の校種間に差は見られないが,複数配
置がある場合に,中学校の方がヒヤリ度は低いのは,複数配置に
よるメリットが中学校の方が現れやすいのかもしれない。小学校
では「学級王国」であり,クラス担任以外では対象児へのかかわ
りは少ない。そのため養護教諭の負担は大きく,複数になっても
ヒヤリ度は高いが,中学校では多数の教員が子どもに関わること
が多く,連携がとりやすいのではないかと考えられた。また発達
段階にある児童を対象にする小学校の方がより子どもの安全に
配慮を要するのかもしれない。
中学校の場合,けがの重症度が高く一人配置だとヒヤリ度は高
いと思われるが,複数配置だと二人で相談できたり,心強くなっ
たりして負担が軽減されるのかもしれない。
34
また中学校の場合,中学生は身体的に成長しており,今回の質
問項目のような軽微な事故の場面ではヒヤリ度はさほどは感じ
ないのかもしれない。組織との連携がとれない状況では,学校で
感じる孤立感は軽減されず,養護教諭がしなければと精神的に張
り詰めるヒヤリ度は軽減されないのかもしれない。心理的な負担
の軽減には職種間の相互理解があってこそ養護教諭が安心して
執務に当たれるのではないかと考える。
3 リスク認知と不安への影響
今調査の結果,相対的にみると,特性不安の得点は平均46.7
点で平均的であった。不安とは『情緒障害事典』(1977)による
と,予期される不幸な状態に対する恐れであり,認知や学習は不
安によって影響される。また苦痛を体験した刺激や環境は不安を
生じ,生体の一般的活動性を高める。すなわち遂行行動を促進し,
学習速度を増すとある。少しの不安やヒヤリ経験は安全対策への
指針となりうる。
しかし不安が高いと過度の不安を引き起こし防衛機制が働き,
遂行行動を抑制するかもしれない。リスク認知も防衛機制が働く
と認知を受け止めず,リスクに鈍感になる可能性もあり,不安の
高さはリスク認知に強く影響すると考えた。ここでいうリスク認
知とは養護教諭が専門職として,責任ある職務上のリスクを認識
するということである。
しかし,不安とヒヤリ度において一要因の分散分析の結果,有
意差はみられなかった。このことから,ただ不安で予期される不
幸な状態を恐れているだけでは,リスク認知が高められるわけで
はないといえる。
そのため,リスク認知には不安と他の要因が絡み合って影響を
及ぼすと考え,二要因の分散分析を行った。やはり不安による主
効果はみられず,リスク認知には不安と他の要因との交互作用が
あり,ヒヤリ度になんらかの影響を及ぼしているという結果を得
35
た。
そこで特性不安と自尊感情の分散分析を行った。ここでいう自
尊感情とは,山本,松井,山城ら(1982)によると,「他者との
比較により生じる優越感や劣等感ではなく,自身で自己への尊重
や価値を評価する程度のこと,自分は非常によいではなく,これ
でよいと感じる程度の高さを示すものである。自尊感情が低いと
は自己拒否,自己不満足,自己軽蔑を表し,精神的に不安定で自
己に対する尊敬を欠いていることを意味する」と述べられている。
清重,中塚ら(2005)は自尊感情を捉える上で最も基礎的な要素
は「自己肯定感」であり,「ひとが自分自身を何によって支えて
いるかによる」と述べている。
結果は,第五因子『安全管理』において自尊感情が低群で精神
的に不安定な場合,特性不安が高いほうがヒヤリ度は高くなった。
また第三因子『頭頸部外傷』の場合,特性不安が低い場合,自尊
感情が高群>低群でリスク認知に差があることから,自尊感情の
高群においてはr自己肯定感」から自分に自信があり,不安が低
い者のほうが冷静にリスク認知していると思われる。
楠見リスク尺度と特性不安の二要因分散分析の結果,リスク認
知尺度の第二因子『教師の安全意識』において,楠見リスク(全
体得点)とrリスク回避」の主効果がみられた。rリスク回避」
の項目にはr寝る前に戸締り」,r避難経路の確認」などがある。
用心深くリスクを回避しようとする人はリスク認知も高いとい
うことだろう。
リスク認知尺度の第五因子『安全管理』において,交互作用が
見られ,特性不安が高群で「一般不安」が高い場合,ヒヤリ度は
有意に高いという結果であった。「一般不安」の項目には「何か
につけてよく心配する方である」などがある。またヒヤリ度に不
安は他の要因と連動して影響しているようである。
「リスク志向」の項目には「ギャンブル志向」や「臨時収入が
入ったら使ってしまう」などがあり,リスク認知尺度の第四因子
36
『養護診断』,第五因子『安全管理』において特性不安との交互
作用がみられた。特性不安が低群の場合,「リスク志向」は高群
のほうがヒヤリ度が高く,不安が高群の場合,rリスク志向」は
低群のほうがヒヤリ度は有意に高いことが認められた。
同じような結果を持つ先行研究は見当たらないが,不安が低い
場合,リスク認知尺度第五因子『安全管理』の項目(ADHD児へ
の対応や設備管理など)において攻撃的(積極的)な姿勢でリス
クを認知しているのかもしれない。つまり学校安全に積極的に関
わろうとしている。また第四因子『養護診断』においては,特性
不安が高い場合rリスク志向」は低群のほうがヒヤリ度は高い。
また「リスク志向」が低群なのは,保身的で不安を感じやすく,
リスク認知も高まるのではないかと考えた。つまり養護診断の項
目では養護教諭の責任も大きく,不安が高い人は保身的になると
考えられる。
経験と特性不安における二要因分散分析を行った結果,経験年
数においては,第二因子『教師の安全意識』で経験年数の主効果
が見られた。教師のヒヤリ経験についても特性不安との分散分析
の結果,教師のヒヤリ経験に主効果が見られた。これらから,経
験年数が上がってくるほど,教師のひやりとする言動を目にする
ことも多く,ヒヤリ度は高くなっていると考える。
また,ヒヤリ経験(全体)では,リスク認知尺度第三因子『頭
頸部外傷』の交互作用に有意な傾向が見られ,単純主効果の検定
を進めると,ヒヤリ経験(全)少群では,特性不安高群のほうが
ヒヤリ度が高い傾向が認められた。しかし子どものヒヤリ経験に
おいては,有意な交互作用が見られ,リスク認知尺度第一因子『校
内の連携』において,子どものヒヤリ経験がない場合,特性不安
は低群のほうがリスク認知は高く,特性不安が高い場合,ヒヤリ
経験はあるほうがヒヤリ度は高い結果となった。
子どものヒヤリ経験と全体のヒヤリ経験とが逆転したような
結果に解釈に苦しむが,各ヒヤリ経験を合わせて全体のヒヤリと
37
したことに,歪みが生じたのかもしれない。全体のヒヤリ経験の
場合,第三因子の『頭頸部外傷』において有意傾向が出ている。
ここでは多くのものがヒヤリとする傾向にあり,ヒヤリ経験少群
では,特性不安が高い方がヒヤリ度は高い結果には納得できる。
その一方,なぜ子どものヒヤリ経験がない場合,第一因子の『校
内の連携』において,特性不安低群がヒヤリ度が高くなるのか説
明できない。普通,子どもと接する中でヒヤリとする経験がない
ことは稀であろう。それなのに,ヒヤリ経験がないとする者は,
多分,リスク認知はするが,ヒヤリとはしないという結果が現れ
ているのかもしれない。
また,子どものヒヤリ経験はリスク認知尺度の第四因子『養護
診断』において有意な主効果が認められ,養護診断に子どものヒ
ヤリ経験が大きく影響していることが示唆された。
38
V まとめと課題
学校安全は,安全教育と安全管理が一体となって推進すること
により,はじめて成果をあげるものである。今回の養護教諭リス
ク認知尺度は養護教諭の安全意識の実態を把握するために作成
したものである。
今調査の結果,養護教諭リスク認知尺度を構成している5因子
が取り出されたので,その各因子に影響を与えている要因を探っ
た。養護教諭が学校生活の上でリスクと認識していることは,お
おむねこの5因子で説明された。このリスクに対し,うまく対処
できないと,防衛機制が働いて,リスク認知が機能しなかったり,
事故発生の危険性を高めたりすることになると思われる。だから,
子どもの安全な学校生活を守るためには,各因子についての対処
を考えなくてはならないだろう。
『校内の連携』には学校規模と経験年数の交互作用,複数配置
と小・中校種の交互作用,学校規模と看護師免許有無の交互作用,
教師のヒヤリ経験の有無の主効果がみられた。また子どものヒヤ
リ経験の有無と特性不安による交互作用もみられた。
校内の連携については現任校の特性が影響しており,校内の連
携を図るためには学校安全への理解を広めていかなければなら
ない。赤木(2004)は何気ないコミュニケーションの場を積極的
に設け,養護教諭は専門的知識に基づいて情報提供を行うなどそ
れぞれの職種の見方,考え方を尊重しあい,ともに生徒を育てる
という方向を職員間で共有することが大事であると述べている。
また萩野,林ら(2002)は学校保健活動展開における困難要因
について調査した結果,以下のように述べている。最も困難に感
じているのはr学校保健に関する組織活動の展開」である。この
項目は企画,調整,リーダーシップ等組織運営能力であり,学校
医や校内教職員,管理職との共通理解,協力体制が得られないと
組織活動として展開されにくい。これを展開するためには組織活
39
動の運営のあり方と同時に,健康の問題を教育保健的視点から捉
え・提起し,教育活動として位置づけることができる能力が養護
教諭に必要である。
校内の連携を図るためには,学校安全の重要性について教職員
に理解させる力量が必要である。学校安全の重要性は安全が目常
なので理解されにくいが,子どもたちが安全に安心して学校生活
を送るための重要な学校教育活動の問題であろう。また一人職で
保健室にこもっていると消極的になりがちだが,日頃から人間関
係作りを重視し,意識的に何気ない会話を取り入れることが必要
だろう。
『教師の安全意識』には経験年数の主効果,教師のヒヤリ体験
の主効果が影響している。また,楠見リスク志向・回避態度(全
体)の主効果がみられた。これらから,経験年数が上がってくる
と,教師のひやりとする言動を目にすることも多く,ヒヤリ度は
高くなっていると考える。山本(2001)がいうように保健室で得
た心身の健康問題に関する情報発信の場を体制として位置づけ
る必要があるだろう。また,一般教師の,自分の学級経営能力を
責められているように受け取りかねないという側面に対する意
識改革が必要だろう。
『頭頸部外傷』には特性不安と自尊感情の交互作用,ヒヤリ経
験と特性不安の交互作用がみられた。頭頸部外傷は,重篤な症状
を連想し多くの者でヒヤリ度が高く,不安との影響もあるようだ。
日頃からの子どもたちへの安全教育を充実させると共に,学校組
織として見守る姿勢が育ってくれば養護教諭の不安も軽減され,
冷静に対処できるのではいだろうか。
『養護診断』には子どものヒヤリ体験の主効果,学校規模と看
護師免許の有無の交互作用が強く影響している。楠見リスク尺度
の「リスク志向」と特性不安の交互作用がみられた。養護診断に
はヒヤリ経験が大きく影響していることが示唆された。養護教諭
は事例研究など積み,人のヒヤリ経験を自分の体験のように感じ
40
られるほど共感的に理解し,医療的な側面の力量を高める必要が
あると思われる。
『安全管理』には学校規模による主効果や学校規模と看護師免
許の有無の交互作用がみられた。また,特性不安と自尊感情の交
互作用,特性不安と楠見リスク尺度のr一般的不安」の交互作用,
楠見リスク尺度の「リスク志向」と特性不安の交互作用もみられ
た。『安全管理』には「ADH:D」や「SARS対策」「学校の施設管理」
など学校として対応すべき事柄が多い。養護教諭の専門分野とい
う見方は弱いので連携が図りやすいと考えられる。こんなときこ
そ,学校組織の一員として積極的に協力し,報告一連携一相談す
る姿勢が必要であろう。
全体的にいえることは,不安が高いだけでヒヤリ度が高まるも
のではないということ。またヒヤリ度は個人責任との関連性が強
く,養護教諭としての責任がヒヤリ度に大きく影響するというこ
とであった。
ここまで,リスクを認知し,ヒヤリ度が高まる影響を考察して
きたが,リスク認知の質を高めることが本研究の目的である。過
小にも過大でもなくリスク認知しながらも冷静に対処できる能
力を持つことが求められる。そして個人が不安にかられないよう
な組織のあり方を検討する必要がある。
今調査では,ヒヤリ度とリスク認知の違いを十分に区別してい
ない。そもそもリスク認知とは産業や医療現場から発展してきた
概念で,誰でもヒヤリとするような状況で使われてきた。しかし
今回は人にとって認知がそれぞれ違うような軽微な状況を扱っ
たため,両者が必ずしも一致しない結果につながったのだろう。
もう少しヒヤリとする場面やリスク認知の定義を絞ることで矛
盾のない結果が得られると考える。芳賀がリスクに対するプロセ
スモデルを以下のように提出している。「リスク知覚」→「リス
クの評価」→「意思決定」→「リスク回避」という「安全,不安
全行動のプロセスモデル」(芳賀,2000)がある。物理的リスク
41
の大きい場面ではリスクを知覚しリスクを評価するのにほとん
どのものは時間を要しないが,軽微なリスク認知の場合,様々の
要因や時間経過がリスクを評価するのに必要であることを念頭
におかなければならない。
現任校による影響が大きく反映された結果となった点も,検討
する必要がある。養護教諭は配置換え等により小・中・高校,幼
稚園,大学と幅広く勤務する可能性があり,これまでにも様々な
経験をしてきたと考え,養護教諭リスク認知尺度を作成し,ヒヤ
リとする場面設定も同じものを用意したが,校種や学校の規模
(現任校)による影響が大きく反映された結果となった。過去も
含めたリスク認知の実態を捉えるためには現尺度の改訂が必要
だろうと考える。例えば,現任校に絞って詳しく調査をすすめ,
質問紙の内容も子どもの発達段階に応じたヒヤリ場面や組織特
有の問題場面を設定することで,校種ごと,学校規模ごとの課題
が明確になってくると考えられる。尺度を改訂する際には,校種
ごとで子どもたちの発達段階に応じたヒヤリ場面や組織特有の
問題場面を設定し,一般教員のヒヤリ度との比較等から,学校安
全を校内で機能させるための課題を見つけていきたい。
今調査の結果,気になる点として,第一因子『校内の連携』に
おいて,大規模校で看護師免許の有る者や25年以上のベテラン
の者にヒヤリ度が有意に低くなったことである。重森,原田
(2004)らは看護学生と一般学生に,専門作業(医療)場面に関
する絵を見せて,その場面での危険箇所を記述してもらう質問紙
調査を行っている。その結果,看護学生は一般学生が気がつかな
いような目に見えない医療現場の危険に対して敏感に反応した。
逆に,一般学生でも気づくような目に見える危険の報告が少ない
結果が出ている。このことから,看護の教育や経験は,単に技能
や知識を身にっけるだけでなく,医学的な危険に対する気づきや
すさ(リスク認知)と自信(自尊感情)のようなものにも影響し
ているのではないか。先ほどの「看護学生が一般学生でも気づく
42
ような危険を報告しなかった」のは看護学生が誰でも気づくよう
な危険をリスクとして認知はしているが,報告はしなかったと考
えられる。
今調査の大規模校でのベテラン群や看護師免許をもつ者がヒ
ヤリ度が低かった点も同様の結果ではないか。リスク認知はする
がヒヤリとはしない,自信が過信となっていないかと危惧される
ところであるがベテラン群の経験してきた,また看護師免許の有
る者の経験や思考の中に,若手や中堅,または看護師教育の経験
のない者が学ぶべきことは多くあるだろうし,若手や中堅の思考
や経験の中にも,ベテラン群が学ぶべきものは多くあるだろうと
考える。養護教諭の資質向上と力量を形成していく上で,養護教
諭同士,様々な経験を持つ者が同じ席について,まずは『聴く』
姿勢で互いに相互理解をすることが必要であると考える。さらに,
一般教員と理解し合える関係作りが必要不可欠であろう。
清藤(1989)は共通理解について以下のように述べている。共
通理解とは全教職員が現状認識,目標重点を同じにすることであ
る。しかし実行の段階で順調にことが運ばないとき,r差」やr不
透明」な部分が出てきてしまうとうまく機能しなくなる。そんな
ときはフィードバックしてr目標」及びr指導の効果」を確認し
あい,他者の指導が見えずに不安感を覚える者は率直にその旨を
伝え,お互いに互いを分かり合えるまで議論を尽くすとよいと述
べている。筆者の経験からしても立場の違いからくる「温度差」
が共通理解の妨げになってきた。問題が順調に解決していかない
状況が生じると誰もが持っている「人間の弱さ」ゆえ,攻撃性や
被害者意識,自己防衛などが浮かび上がってくる。そんなとき,
この「差」や「不透明」な部分をフィードバックし,目標や効果を再
確認すればよいが人間関係がうまくいってないときは,それが機
能しない。この「差」や「不透明」な部分を見過ごさないことこ
そが共通理解のための重要なターニングポイントではないだろ
うか。養護教諭は子どもの安全を守る最前線にあり,時に納得す
43
るまで議論できるような勇気と人間関係作りが重要である。その
ためには,組織のキーパーソンを巻き込み,少しずつ共感して理
解してくれる人の輪を広げていくことと確信している。
人は本質的には事故を起こすことを避けられない。しかし,学
校現場においての事故等では教師個人の責任と言い切れない場
合もあり,学校という教育組織と管理上の諸問題を多く含んでい
る。養護教諭は一人ひとりの人間としての自分の行動特性を十分
に自覚した上で,専門分野である医療知識を身につけ,予防策・
救急の対応策を講じることが必要である。養護教諭は学校保健の
みならず,学校安全にも深く関わっており,学校における事故対
策組織にも携わる。学校事故を予防するために,養護教諭として
の危機対応能力高め,組織全体と個々の教師に働きかけができる
ような力量を養う必要がある。
44
VI 参考文献
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14 小向史子,佐藤裕子,藤田真澄,松井宗彦(2003茨城大学教育実践研究)「学
校教育における子どもの安全権と自然災害時の心のケアに関する判例研究∼養
護教諭の視点から」22;239−254
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45
16 楠見 孝(1994心理学評論)「不確実事象の認知と決定における個人差」
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校内生徒指導体制を求めて∼共通理解のはかり方∼」初等教育,教師教育研究
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18 清重友輝,中塚善次郎(2005中四国心理学会) 「セルフエステイーム概念の
批判的検討∼自己,他己双対理論による本質的特徴の明確化」61回大会資料
19 三木とみ子(2001安全教育学研究) 『学校安全教育活動と保健室経営∼管理
と指導をつなぐ保健室の機能を生かす視点から∼」1(1)創刊号;55−59
20 三井信雄(1983オペレーションズリサーチ) r日米比較より共通理解を」経
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21 文部省(1995):安全指導の手弓1 日本体育学校健康センター
22 村瀬周子,渡辺彩香,若林正r(翻訳)ヒューマンエラーの概念は医療の安全
なシステムデザインに役立つか」看護研究37(2);183・195
23 日本学校保健会「学校保健の動向(平成14年度)」日本学校保健会編11・12
24 日本リスク学会(2000) 『リスク学事典』TBSブリタニカ
25 荻須隆雄,斉藤歓能(1997)『子供の事故と安全教育 生活の中に潜む危険』
玉川大学出版部
26 大泉光一(2001) 『危機管理学研究』文眞堂
27 斉藤歓能(2003学校保健研究)「学校安全からみた学校環境と安全管理」44;
502・507
28 重森雅嘉,原田悦子(2004看護研究) 『経験が教える危険∼リスク認知にお
ける職業経験・スポーツ経験の効果∼」37(2);159−165
29 須藤智,磯野真美,南部美砂子,若林正(2004)「(翻訳)いかに安全を確保
するか他分野のアプローチに学ぶ」看護研究37〈2〉;167・182
30 杉浦守邦(1974)『養護教員の歴史』東山書房
31 高野清純,稲村博(1977) 『情緒障害事典』岩崎学術出版
32 竹田由美子,石原昌江ほか(2001日本養護教諭教育学会誌) r時代の二一ズ
に応じた養護教諭の適正配置∼先行文献から∼」4(1) ;38−49
33 田澤安弘(2004北海道教育大学紀要) 「養護教諭のアイデンテイテイと臨床教
育学」教育科学編55(1);233−247
46
34 津村直子,岩淵加代子(2001北海道教育大学紀要) 「養護教諭の複数配置校
における職務内容に関する研究∼北海道内大規模公立高等学校養護教諭を対
象とした∼」教育科学編52(1);209−217
35 上市秀雄,楠見孝(1998心理学研究)rパーソナリテイ・認知・状況要因がリ
ステイキング行動に及ぼす効果」69(2);81・88
36 上市秀雄(2003)『個人的リスク志向・回避行動の個人差を規定する要因の分
析』風間書房
37 和田さゆり(1996心理学研究)「性格特性用語を用いたBigFive尺度の作成」
67 (1)161瞳67
38 山本・松井・山成(1982)ローゼンバーグ自尊感情尺度
39 山本明,大坪寛子,吉川肇子(2004日本リスク研究学会誌)rリスクおよび
関連概念における定義の不一致にみる論点」15;45−53
40 山本陽子(2001九州大学教育経営学研究紀要)r保健室における養護教諭の職
務を規定する経営的要因の研究」5;201−204
41 吉川肇子(2001日本リスク研究学会誌)rリスクの新しい尺度を求めて」12
(2) ;34・39
47
添付資料
資料1 予備調査表………・……・…・…・・……48
資料2 予備調査の結果・………………・・……・49
資料3 調査協力の依頼文……………・…・… …53
資料4
養護教諭への調査協力の依頼文…・・………54
資料5 質問紙(フェイスシート)………………55
資料6
質問紙(ヒヤリ経験の調査表)…・……・…56
資料7
質問紙(養護教諭リスク認知尺度)………・57
資料8 質問紙(不安STAI)……………・……・59
資料9 質問紙(自尊感情)………………・・9・…60
資料10 質問紙(BigFive)…・……………・・…・61
資料11質問紙(楠見のリスク志向・回避態度尺度)
… 64
皿添付資料
資料1 予備調査
学校リスクについて研究をしようと考えています。養護教諭のヒヤリ・ハット経験について教
えてください。
★例えばr今朝方私がコードをつないだところ,オフィスで社長がパソコンのコードにつまづい
て転びそうになり危うく怒鳴られるところだった』等些細なことでもかまいません
※ヒヤリ・ハット経験とは,実際には自己や問題は起きなかったけどr危ない1』と感じたその
内容を指します。
1今までの学校生活の中で,子どものことでヒヤリとしたことやハッとした経験について,そ
の内容を教えてください ex保健室執務上の子どもとの場面等
いつ,どこで,誰が( )
何をしてるときに( )
どうなったから危なかったのか( )
2今までの学校生活の中で教師のことでヒヤッとする経験について,その内容を教えてくだ
さい ex教師間での連携や共通理解の上での場面等
いつ,どこで,誰が( )
なにをしてるときに( )
どうなったから危なかったのか( )
3今までの学校生活の申で保護者との信頼関係に関することでヒヤッとする経験について
その内容を教えてください
いつ,どこで,誰が( )
何をしてるときに( )
どうなったから危なかったのか( )
4今までの学校生活の中でその他ヒヤッとする出来事について,その内容を教えてください
いつ,どこで,だれが( )
何をしてるときに( )
どうなったから危なかったのか( )
ご協力ありがとうございました
48
資料 2−1 予備調査の結果
養護教諭のリスク認知を測る場合,事故発生のリスクに絞った上で,ある
程度の養護教諭職務全体的な場面を網羅する必要があるのではないか。
1 養護教諭の職務ごとにを挙げる
・ けが,病気の対応については,さらに教員のリスク認知に着目する
ため独立行政法人目本スポーツ振興センターの「学校の管理下の災害19
基本統計」より負傷における場合別発生割合を参考にカテゴリーに分ける
教科
13教師不在のまま彫刻刃の居残りをさせること(事故につながる)
16体育中,体育館の2階から1階のセーフテイマットめがけて飛び降り
ることでチャレンジ精神を見るという授業をした(授業後,下肢痛を訴え
て来室,帰宅後受診した子も)
特活
47雨の目に廊下で児童が走っているとき(水が浮いたようになって滑
りやすい状態で転倒しそうになった)
20掲示物を貼ろうとするとき,教師のかわりに児童を脚立に上がらせ
ること(児童が落下しけがをした)
40 トイレ掃除で水を流していた(滑った児童が前腕を骨折した)
学校行事
51 教員がマラソン大会当目参加の保護者印をもらうことに反対する時
部活
52 教員不在の早朝練習
49
資料 2−2 予備調査の結果
休み時間
7休み時間に子どもがクリップをコンセントにさして感電した時(火花
が散ってH度の熱傷と衣服を焦がした)
5ストーブにあたっていたときはさみをあぶって顔にあて,やけどを負
わせたとき
41昼休みに体育館で鬼ごっこしていてぶっかり前歯を打って折れた,
(部屋の広さ明るさ等,環境設備管理上の問題)
34頭部打撲で保健室で様子を見て嘔吐もなく,連絡をして帰したが,
帰宅後病院受診し,異常もなくすんだが「やはり病院に連れて行って欲し
かった」といわれた
登下校
4けんかして歯を折ったとき
健康観察
24 rしんどい」というのに,担任が手を当てて「大丈夫」と判断し,
下校後39度の熱が出たと連絡があった(担任がけがや病気について判断
してしまい保健室につれてこない)
健康診断
50健診目時が他校とダブルブッキングしていたことがある。
健康管理(児童生徒の健康管理,環境衛生基準管理)
39各特別教室の部屋の管理がずさんな時
44体重測定中バランスを崩しストーブでやけどした
48体育館の窓枠を子どもが触ったところ落下した(ねじがゆるんでい
た。施設の安全点検の不備)
53 0157
54鳥インフルエンザ
55 サーズ
50
資料 2−3 予備調査の結果
教育相談
17担任との共通理解したはずが捕らえ方の違いがある
12 不登校支援での共通理解した内容を教師がうかつに保健室登校のそ
の子に言ってしまった
21保健室で 担任以外の教諭が登校刺激をしないほうがよい児童に登
校刺激を与えたり登校の約束をさせたりした
25保健室登校の児童が,保健室や養護教諭の対応を独占できないと不
満に感じ,保護者が管理職にそのまま訴えてきた
家庭連絡
18担任の保護者への連絡のあいまいさ
19担任が児童が怪我をしたときに家庭連絡をお願いしていたにもかか
わらず,連絡を忘れトラブルになった) (家庭への連絡が遅かった)(連
絡帳ではなくて電話で連絡してほしかった)
22怪我の対応で家庭連絡をせずに,教師向けのメモを持ち帰らせた時
23怪我の連絡で「私は授業がありますので,連れて行ってください」
と学校の責任逃れをしようとするとき
33加害者ありのけがで治癒したのでホッとしていると一年後「指が曲
がらない」と訴えてきた。(定期的に連絡を入れておけばよかったと反省?
28ボールの取り合いで頭つきし,相手が口唇を切った。担任がけがの
詳細を家庭連絡しなかったため保護者は学校の対応に不満を持った
35 けがの処置について保護者から「保健室から説明がない」と苦情
36 家庭科でアイロンでやけどし,応急処置して教室に戻すが,家庭連
絡がなかったため苦情
29気難しい保護者の子どもへの対応には気を使う
30歯科健診の結果受診勧告されて受診したら虫歯がなかった。去年も
そうであった。とお怒りの電話があった
31 心臓管理区分表を提出をしぶる
37 しきりにつばを吐く子供に対して養教が注意をしたら保護者から指
導が悪いと怒鳴られた
51
資料 2−4 予備調査の結果
32子どもを指導した事に対して, (子どもの一方的な話のみ聞き)不
満の連絡帳がきた。
26子どもどおしのけんかをうまく伝えられない時
校内の連携
10教師が養護教諭と担任不在時に保護者に確認もせず,児童を自宅に
送り届けた。 教諭の自家用車使用。保護者は仕事中であり確認をとらず
に帰宅させている。 緊急体制以外の行動をしている
45養護教諭不在時に救急事態
14 養護教諭不在時に子ども一人で保健室で寝かせていること
情報管理
42電話で職員室に呼ばれて不在の時に保健室の健康の記録を子どもが
見ようとした
43体重測定の時,他の子の体重を見ようとした(保護者からも配慮し
てほしいとのこと)
46保健室で 養護教諭が傷病の処置をしているときに母親(父)がい
ない児童に母親(父)のことを尋ねてしまった) (就学時健康診断結果を
パソコンで作成中児童にみられた)
その他
38不審者かどうか分からない人が校内に居る時
9ADHDの子どもが自分の思い通りにならないと突然キレて態度が急変
した時,暴れて何度も「家庭科室の包丁もって来て殺したろか」と叫ぶ時
8掃除時間,保健室に来た児童がカッターをポケットに入れているのを
取り上げる(預かる)時,素直に出さない
11教師がてんかんで倒れた時
27健康センターの手続きを一人分忘れていることを指摘された時
49 来室者が多い時,症状の重い子から優先的に処置しているが時に見
落としてしまう (保健室執務の煩雑さ)
H事故の起こりそうな場面を事例としてあげる(上記記載)
皿事例が妥当かどうか検討し,本調査表を作成する
52
資料3 調査についての依頼文
平成17年6月15目
東播磨・北播磨地区小・中・養護学校長様
「養護教諭のリスク認知についての調査」へのご協力おねがい
兵庫教育大学 大学院学校教育研究科
教授 岩井圭司
はや初夏の候、先生方におかれましては、益々、ご健勝のこととお喜び申し上げます。
平素より、学校における健康安全教育には多大なご尽力をいただいております。
今回私どもは、標記の調査を企画しましたので、ご多用中、恐れ入りますが何卒ご協力
のほど、お願い申し上げます。
健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養い、心身の調和的発達を図ることは、
学校教育の重要な目標であり、15期中央教育審議会第1次答申においても、今後の教育は、
社会全体にrゆとり」を確保するなかで、学校、家庭及び地域社会が相互に連携しつつ、
子どもたちに生きる力をはぐくむことの重要性が提言されています。
さて、学校において、近年、安全、防災、防犯等の点で危機管理意識の向上が強く求め
られています。自他の生命や、人権を尊重し、経済や効率ではなく、安全が最優先される
ような『安全文化』を創造していくことが重要であり、家庭や地域と密接に連携した安全
教育や安全管理を進めていくことが求められています。
そこで、臨床心理の立場から円滑な安全管理を進めるために、ヒヤリ・ハット報告制度
の導入の効果実態を明らかにしたいと考え、本調査の依頼をお願いしたいと考えます。
調査によって得られた結果は統計的に処理しますので、個人の回答を使って問題にする
等、ご協力いただいた方に、迷惑をおかけするような使い方は一切しません。
忙しい中、お手数をおかけしますが、組織として信頼される学校づくりのため、是非、
協力をお願いします。
=連絡先二 上田祥子(担当者)
〒673−1494兵庫県加東郡社町下久米942−1
兵庫教育大学 大学院学校教育研究科 岩井研究室
F題く 0795・44−2268
M&i1一
53
資料4
養護教諭への調査協力依頼文
養護教諭のリスク認知についての調査
近年、学校において安全・防災・防犯等の点で危機管理意識の向上が強く求められてい
ます。これは、単純にけがをしないための安全能力を身に付けさせるだけでなく、自他の
生命や人格、人権を尊重し、経済や効率ではなく、安全が最優先されるような「安全文化」
を創造していくことが重要であり、家庭や地域社会との密接に連携した安全教育や安全管
理を進めていくことが求められています。
そこで、本調査では、学校として安全を守るために、どのような対策が必要なのかを検
討するための資料を得るものです。もうすでに、養護教諭の先生方はリスクマネジメント
の最前線にて、学校事故の対策等にかかわっておられることと思います。そのための多忙
さや精神的ストレスなどの実態を明らかにし、組織として信頼される学校づくりの提言に
生かしていきます。
調査によって得られた結果は統計的に処理しますので、個人の回答を使って問題にする
など、ご協力いただいた方にご迷惑をおかけするような使い方は一切いたしません。
どうしても答えにくいところは答えなくてもかまいません。お手数をおかけしますが、
どうぞ率直な答えをお寄せくださいますよう、ご協力お願い申し上げます。
なお、集計結果について必要な方にはお送りしますので、下記のアドレスにメールをお
送りください。
2005年5月
兵庫教育大学大学院 学校教育科
教授岩井圭司
(連絡先)
兵庫教育大学大学院学校教育専攻
教育臨床心理コース 上田 祥子
〒673・1494兵庫県加東郡社町下久米942−1
FAX O795−44−2268
54
資料5 質問紙(フェイスシート)
学校事故リスクに関する調査
この調査は学校事故リスクについて、あなたがどのように感じるかを調べようとするものです。
下記に質問がありますので、それぞれについてよく読んでいただき、思ったままを答えてくださ
い。
Q1( )には該当する文字を、いずれかを選択するものには該当するものにOをつけてください
(平成17年5月1日現在)
1 年齢 【20・30・40・50】 歳代
2 性別 【男・女】
3 校種 ① 公立、私立、国立、その他( )
②小学校中学校高校大学養護学校盲学校聾学校幼稚園保育園
その他( )
③児童・生徒数( )人
④学校には養護教諭は何人いますか【1人・2人】
4 免許資格 ①養護教諭 【1種、2種、専修】
②看護婦免許 【あり・なし】
③一般教職免許【あり・なし】
5 養護教諭勤務年数( )年
55
資料6 質問紙(ヒヤリ経験調査)
Q2 ヒヤリ・ハットの経験についてお聞きします。以下のような場面で、危うく事故が起
こりそうだとrヒヤリ」や「はっと」した経験がありますか。経験がある場合、それは、
あなた個人の責任との関連性は(深い・普通・浅い)出来事でしたか?最もあてはまるもの
にOをつけて下さい。
※ヒヤリ・ハット経験とは、実際は大きな事故や問題は起きなかったけれどr危ない!」
と実感した内容を指します。
1 今までの学校生活の中で、子どものすることでヒヤッとする経験がありましたか
(ある・ない)
・ある場合、今、最初に思いつくその経験内容をひとつ教えてください
( )
・その出来事とあなた個人の責任との関連性はどのくらいですか(深い・普通・浅い)
2 今までの学校生活の中で、教師のすることでヒヤッとする経験がありましたか
(ある・ない)
・ある場合、今、最初に思いつくその経験内容をひとつ教えてください
( )
・その出来事とあなた個人の責任との関連性はどのくらいですか(深い・普通・浅い)
3 今までの学校生活の中で、学校の信頼を損ねるようなことでヒヤッとする経験があり
ましたか (ある・ない)
・ある場合、今、最初に思いつくその経験内容をひとつ教えてください
( )
・その出来事とあなた個人の責任との関連性はどのくらいですか(深い・普通・浅い)
4 今までの学校生活の中で、児童生徒の命に関わる重篤な出来事に遭遇しましたか
(ある・ない)
・ある場合、今最初に思いつくその内容を教えてください
( )
・その出来事とあなた個人との関連性はどのくらいですか (深い・普通・浅い)
56
資料7−1
質問紙(養護教諭リスク認知尺度)
Q3
以下の状況に出会ったら、直感的にどう感じますか。質問1それがあなた個人の責任にどれだけ関連し
ていると思いますか。関連が深いか、関連が浅いか、それとも普通かいずれかにOをつけてください。
質問2また、それがどのくらいヒヤリとするかあてはまる番号に○をつけてください。
例
通学路で交通事故を見たと子どもから聞いた時
0
深い・普通・浅い
質問1
状況
なた個人の
任との関連性
ヤO
しヒ
し すヒ
0
1
2
課後、教師不在のまま彫刻刃で作品を仕上1げるため居残りをさせていると聞いた時
い・普通・浅い
科
運動会の練習で騎馬戦の対戦中に、教師のカ2 バーの位置が遠くに感じた時
体育
0
1
2
3
深い・普通・浅い
0
1
2
3
深い・普通・浅い
0
1
2
3
深い・普通・浅い
0
1
2
3
深い・普通・浅い
0
1
2
3
深い・普通・浅い
0
1
2
3
深い・普通・浅い
0
1
2
3
深い・普通・浅い
0
1
2
3
深い・普通・浅い
0
1
2
3
子どもが二人でほうきの毛先を振り回して掃4除をサボっていたとき
教員がマラソン大会当目参加の保護者印をも5 らわずに参加させる時
学校行事
部活
6教員不在の早朝練習をするとき
子どもが昼休みに廊下で鬼ごっこしているの7 を見かけたとき
休み時間
ひ3
深い・普通・浅い
掲示物を貼ろうとするとき、教師のかわりに3子どもを脚立に上がらせているのを見たとき
特別活動
1 ヤ2
リ全すヤす
る リやすやか
とく るりこ
やるりな
り 3
場合別
2
1
質問2
頭部打撲でベットで様子を見ていた子どもが8 眠りだ とき
子どもが頭部打撲し意識はあるが、出血が多9 くなかなか止まらないとき
子どもどおしでけんかして、一人が転び、唇10 を切ったとき
健康観察
子どもが「しんどい」というのに、担任が手
1を当ててr大丈夫』と判断して保健室へ連れ
てこなかったとき
深い・普通・浅い
0
1
2
3
健康診断
12馨鍾罐珊雛籍霧驚すすめ
深い・普通・浅い
0
1
2
3
環境整備
礎套諏讐を子どもが触ったところ落下し
深い・普通・浅い
0
1
2
3
深い・普通・浅い
0
1
2
3
深い・普通・浅い
0
1
2
3
鳥インフルエンザ、サーズなどで学校の健康14 管理体制を非難されるとき
教育相談
不登校支援での共通理解した内容を教師がう
5かつに保健室登校のその子に言ってしまった
とき
57
資料 7−2
養護教諭リスク認知尺度(続)
質問1
質問2
0 1 2 3
場合別 状況
個人的責任との
関連性
全 す や か
く こ や な
ヒ し ヒ り
ヤ るヒ ヤ るひ
リ ヤ リ や
と り と り
し と す と
な す る す
子どもが怪我をしたときに家庭連絡をお願い
家庭連絡 16していたにもかかわらず、担任が連絡をしな
かった時
深い・普通・浅い
0 1 2 3
深い・普通・浅い
0 1 2 3
深い・普通・浅い
0 1 2 3
深い・普通・浅い
0 1 2 3
深い・普通・浅い
0 1 2 3
深い・普通・浅い
0 1 2 3
深い・普通・浅い
0 1 2 3
深い・普通・浅い
0 1 2 3
24教師が倒れた時
深い・普通・浅い
0 1 2 3
25子どもが倒れたとき
深い・普通・浅い
0 1 2 3
深い・普通・浅い
0 1 2 3
子どもの怪我で「私は授業がありますので、
17連れて行ってください」と担任が親に押し付
けた時
教員との 体調の悪い子どもを、保護者の確認もとらず 18連携 に帰宅させている時
養護教諭不在時、子ども一人で保健室で寝か19 せていると聞いた時
電話で職員室に呼ばれて保健室を離れる時
情報管理 20に、健康診断表の記録を子どもが見ようとし
た時
その他 21不審者が校内に居る時
ADHDの子どもが自分の思い通りにならない22 と、キレて態度が急変した時
子どものポケットにカッタ・が入っているの23 を見つけた時
来室者が多く、子どもへの対応に手落ちが26 あった時
58
資料8 質問紙(不安STAI)
Q4
次の1から20までの文章を読んで、あなたがふだん、どう感じているか、最も良く当てはまる箇所(番
号)を選んでOで囲んでください。あまり考え込まないで、あなたがふだん、感じている気持ちを一番よ
く表しているものを還んでください
5気が休まっている
6冷静で落ち着いている
7困ったことが次々におこり克服できないと感じ
る
本当はそう大したことでもないのに心配しすぎ
8
る
9しあわせだと感じる
10いろいろ頭に浮かんできて仕事や勉強が手につ
かない
11自信がない
12安心感がある
13すぐにものごとを決めることができる
14力不足を感じる
15心が満ち足りている
16つまらないことが頭に浮かび悩まされる
17ひどく失望するとそれが頭から離れない
18落ち着いた人間だ
19気になることを考え出すと緊張したり混乱した
りする
44444444444444444444
4とりのこされたように感じる
4ほとん
どいつも
3自分に満足している
3たびた
びある
2神経質で落ち着かない
2ときど
きある
ーほとん
どない
1楽しい気分になる
20うれしい気分になる
59
資料9 質問紙(自尊感情)
Q5
次の特徴のおのおのについて、あなた自身にどの程度あてはまるかお答えください。他から
どう見られているかではなく、あなたが、あなた自身をどのように思っているかを、ありのまま
6自分に対して肯定的である
7だいたいにおいて、自分に満足している
8もっと自分自身を尊敬できるようになりたい
9自分はまったくだめな人間だと思うことがある
あてはまらない 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
5自分には、自慢できるところがあまりない
ややあてはまらない2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2
4物事を人並みには、うまくやれる
どちらともいえない3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3
3敗北者だと思うことがよくある
ややあてはまる 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4
2色々なよい素質をもっている
55555555 5 5 5
1少なくとも人並みには、価値のある人間である
あてはまる
にお答えください
10何かにつけて、自分は役に立たない人間だと思う
60
資料10−1質問紙(BigFive)
Q6
以下のそれぞれの項目は、あなた自身にどれぐらいあてはまりますか。非常にあてはまるからまったく当て
はまらないのうちで、自分に最もあてはまると思うところの数字にO印をつけてください。
1全くあ1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
てはまら
ない
2ほとん22222222222222222222
どあては
まらない
3あまり3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3
らない
あてはま
4どちら4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4
ない
ともいえ
てはまる
5ややあ55555555555555555555
6かなり66666666666666666666
る
20寛大な
あてはま
2悩みがち
3独創的な
4レ、レ、力口減な
5温和な
6無口な
7不安定になりやすい
8多才な
9ルーズな
10短気
11陽気な
12’[>酉己’性三
13進歩的
14怠惰な
15怒りっぽい
16外向的
17気苦労の多い
18洞察力のある
19成り行きまかせ
7
非常に7777777777777フ777777
あてはま
る
1話し好き
61
資料10−2質問紙(BigFive続)
29計画性のある フ
30良心的な 7
31社交的な 7
32動揺しやすい 7
33頭の回転の速い 7
34無頓着な 7
35協力的な 7
36人嫌い 7
37神経質な 7
38臨機応変な 7
39軽率な 7
40とげがある 7
1全くあて1 1 1 1 1 1 1
はまらない
28美的感覚の鋭い 7
2ほとんど2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2
27傷つきやすい 7
ない
26無愛想な 7
あてはまら
25親切な 7
3
あまりあ33333333333333333333
てはまらな
24不精な 7
い
23想像力に富んだ 7
4
どちらと44444444444444444444
もいえない
22弱気になる 7
5
ややあて55555555555555555555
はまる
21暗い フ
6
かなりあ66666666666666666666
てはまる
て7
は非
ま常
るに
あ
62
資料10−3 質問紙(BigFive続)
54几帳面な 7
55素直な 7
56地味な 7
57憂欝な 7
58呑み込みの速い 7
59飽きっぽい 7
60反抗的 7
1全くあ1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
てはまら
ない
53独立した 7
2ほとん22222222222222222222
52緊張しやすい 7
どあては
まらない
51積極的な 7
3あまり33333333333333333333
50自己中心的 7
らない
49無節操 7
あてはま
48好奇心が強い 7
4どちら44444444444444444444
47悲観的な 7
ない
46意思表示しない 7
ともいえ
45かんしゃくもち 7
てはまる
44勤勉な 7
5ややあ55555555555555555555
43興味の広い 7
6かなり66666666666666666666
42くよくよしない 7
る
41活動的な 7
あてはま
あ7
て非
る
は常
まに
63
資料11−1 質問紙(楠見リスク志向・回避態度尺度)
Q7
以下の項目は、あなたご自身にどの程度あてはまりますか。それぞれあてはまる番号にOをつけてください。
携帯電話で話をしながら自転車や自動車の運転をすることがあ
7
る
8雑誌などの懸賞は、当たる確率が低いので、あまり応募しない
原発事故に自分が被災するのではないかという不安を感じるこ
9
とがある
10借金の額がいつも気になる
自動車、高速バスに乗る場合事故時の死亡率の高い座席を気に
11
する
12もし臨階収入10万円手に入ったら先のことを考えないで使っ
てしまっ
地震、風水害、落雷などの自然災害に自分が被災するのではな
13
いかとよく心配する
5あてはまる
お金をためる場合、銀行の確定利率の貯蓄よりもリスクのある
6
投資の方に魅力を感じる
4どちらかといえぱあて4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4
はまる
5ギャンブルは、多額のお金をかけないと面白くない
3どちらともいえない 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3
4短い距離ならば飲酒運転しても大丈夫である
2どちらかというと当て2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2
3食事や間食を食べ過ぎてしまう
はまらない
2住居を選ぶとき、火事に対して安全な造りであるか気になる
1当てはまらない 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
1ホテルに宿泊するとき避難口を確認する
64
19宝くじを買いたいと思うことがある
20自分が暴力犯罪の被害にあうのではないかとよく心配する
21何かにつけてよく心配する方である
スキューバダイビング、ハングライダー、登山などの危険なス
22
ポーツをやってみたい
23キャッシングを利用しすぎてしまうことがある
24赤信号に変わりそうな時でも・止まらずに道路の横断や通行を
する
25タバコを毎日1箱以上吸う
狂牛病や鳥インフルエンザの発生した産地の牛肉や鶏肉を食べ
26
ないようにする
5あてはまる 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5
18友達に比べると怖いもの知らずである
4どちらかと 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4
いえばあては
17食品添加物、合成着色料を使用している食品を極力食べない
まる
16寝る前に戸締り、火の元を確認しないと心配である
いえない
飛行機、観光バスにのる場合、もし大事故にあったらというこ
15
とを考えてしまう
3どちらとも3333333333333
14慎重に行動する方である
︶2どちらかと2222222222222
い当
て
は
ま
ら
まらなし
な1
続いうと哨ては
資料11−2 質問紙(楠見リスク志向・回避態度尺度
窃疲れ轍唇した.{2れ蜜肉わε,憲す。こ『協力ありかごう{=ぎ51惨した。
65
謝辞
本研究を進めるにあたりまして,多くの方々にご指導ご助言,励まし等いただき,深
く感謝申し上げます。
岩井・細澤ゼミで専門的な視点からご助言いただいた細澤先生をはじめ,教育臨
床講座の先生方には,多くのことをご指導いただき深く感謝申し上げます。
また「研究テーマ」を絞るときから,学校安全推進の視点で,親身になって相談にの
ってくださった西岡伸紀先生には,コース外であるにもかかわらず貴重な時間を割い
ていただき,誠にありがとうございました。
そして忙しい職務の合間をぬって調査に協力をいただきました養護教諭の先生方
に心よりお礼申し上げます。特に兵庫県東播磨地区養護教諭理事会の役員の皆様
には,事前の予備調査や質問紙配布に協力をしていただいたこと心より感謝いたしま
す。
また,このような機会を与えてくださいました兵庫県教育委員会,兵庫県北播磨教
育委員会,三木市教育委員会等関係諸機関や所属校前校長福西和夫先生,現校長
大東太郎先生をはじめとする諸先生方に対して,厚くお礼申し上げます。
同コースの5期生の皆様にも未熟な筆者を支えていただき,とても感謝しています。
また,なれない院生生活で,崩れそうな私の心の支えは,クーガーズの皆さんとの
サッカーを通した触れ合いでした。タ闇のグランドで,仲間と一緒にボールを蹴るの
は,本当に癒されました。ありがとうございました。
最後になりましたが,非力な筆者の断片的な思いをつなぎ,研究計画へ導いてくだ
さり,このような形あるものに導いてくださった岩井圭司先生には心より御礼申し上げ
ます。
この2年間,私の研究と学ぴに理解し見守ってくださった家族の皆様にも,心より感
謝申し上げます。
2005■12■19
上田祥子
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