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急回復する地方の有効求人倍率(PDF:304KB)

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急回復する地方の有効求人倍率(PDF:304KB)
No.2013-040
2014年3月25日
http://www.jri.co.jp
急回復する地方の有効求人倍率
(1)2010年以降、有効求人倍率は上昇傾向。「都市部」と「地方」に分けてみると(注)、「地方」
の回復が顕著(図表1)。2000年代の景気回復局面では、「地方」は「都市部」対比大きく出遅
れていたものの、今回は「都市部」と同じペースで改善。地域別にみると、北海道、東北、四
国、九州が前回のピークとなった2007年を上回って回復(図表2)。「地方」の求人倍率が急回
復している背景として、以下の2点を指摘可能。
(注)「都市部」は南関東、東海、近畿を、「地方」はそれ以外の地域を指すものとする。
(2)第1に、景気回復の全国的な広がり。2007年までの好況時は、東海での求人倍率の大幅な上昇に
みられるとおり(前掲図表2)、円安を受けた輸出の増加が背景であり、景気回復は製造業の基
盤の強い地域に限定(図表3)。関東、東海、近畿といった大都市圏では景況感の改善が進んだ
ものの、それ以外の地方までは波及せず。今回は、大都市圏が前回ピーク時の2006年より低水準
にとどまるなか、地方が大都市圏以上の水準まで大幅改善。
(3)業種別にみると、非製造業の回復が顕著(図表4)。とりわけ卸・小売業、建設業が大きく改
善。アベノミクスをきっかけとした個人消費の回復により卸・小売業が持ち直したほか、公共事
業の拡大により建設業の景況感も大幅改善。景気回復に伴う労働需要の拡大を受けて、「地方」
の就業率も急ピッチで上昇(図表5)。
1.8
(倍)
(図表2)地域別の有効求人倍率
(倍)
(図表1)有効求人倍率
1.8
1.6
1.6
都市部
1.4
1.4
地方
1.2
1.2
1.0
1.0
0.8
0.8
0.6
0.6
2007年
0.4
0.4
2013年
0.2
0.2
16
10
14
5
12
0
10
▲5
8
「
良い」
超 「
悪い」
超
↔
15
九州・
沖縄
四国
中国
近畿
東海
関東・
甲信越
北陸
東北
北海道
▲ 20
「
良い」
超 ←
▲ 15
九州
・
沖縄
(%ポイント)
18
2006年12月調査
2013年12月調査
四国
(資料)厚生労働省
(図表3)業況判断DI(全産業)
▲ 10
中国
(%ポイント)
20
近畿
(年/四半期)
(資料)厚生労働省を基に作成
東海
2010
南関東
2005
北関東
・
甲信
2000
北陸
1995
東北
1990
北海道
0.0
0.0
(図表4)業況判断DIの変化
製造業
非製造業
6
4
2
0
2006年12月
(資料)日本銀行
2013年12月
2006年12月
2013年12月
(資料)日本銀行
【ご照会先】調査部 研究員 立道裕太郎([email protected] , 03-6833-6492)
-1-
(4)第2に人手不足。「地方」では、人口流出と少子高齢化を背景に、人口が減少(図表6)。就職
機会を求める人口移動に加えて、少子高齢化が進行したことで、南関東以外の全地域で人口は減
少。
(5)人口減少に伴い、「地方」の労働供給(=労働力人口)は一貫して減少(図表7)。一方、実質
労働需要(=就業者数+有効求人数と定義する)は、景気に連動しつつ減少基調にあったもの
の、2010年以降は下げ止まり。2013年には、労働需要が労働供給とほぼ同水準に。
(6)今後を展望すると、わが国景気は内需主導で緩やかな回復局面が続くとみられることから、「地
方」の労働需要は増勢が続く見通し。そのもとで、少子高齢化や都市部への人口流出により労働
供給の減少が続けば、人材不足が地方経済の成長の制約要因になる恐れ。加えて、求人と求職者
のミスマッチも懸念材料。職業別の有効求人倍率をみると、建設業が急上昇するなど、職業ごと
に大きな格差が存在(図表8)。地方経済がアベノミクス効果を最大限に生かし、安定した経済
成長を実現するには、人口流出抑制策やミスマッチの解消に取り組むことが課題。
(図表5)「地方」の30~60歳就業率
(%)
82
(万人)
100
(図表6)人口の増減(2007→2013年)
80
81
60
40
80
20
0
79
▲ 20
78
▲ 40
▲ 60
北
東
北
海
北
陸
道
(資料)各都道府県
77
2000
2005
2010
(年)
(資料)総務省
(図表7)「地方」の実質労働需要と労働供給
(万人)
3100
3000
南
関
東
東
海
・
・
中
九
四
沖
国
州
国
縄
近
畿
(図表8)職業別の有効求人倍率
(倍)
3.0
就業者数
有効求人数
労働力人口
・ 北
甲関
信東
2014年1月
2.5
2007年12月
2.0
2900
1.5
2800
1.0
2005
2010
(年)
(資料)厚生労働省
(資料)総務省、厚生労働省を基に作成
【ご照会先】調査部 研究員 立道裕太郎([email protected] , 03-6833-6492)
-2-
建設・
採掘の
職業
2000
生産工程の
職業
1997
サービスの
職業
2500
販売の職業
0.0
事務的職業
2600
専門的・
技術的職業
0.5
管理的職業
2700
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