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第三話 カインとアベル
第三話 カインとアベル 絵:大西美和子 文:小笠原薫 1 エデンの園を出たアダムとエバは、荒れた土地でくらしていました。 やがて二人に子どもが生まれ、 お兄さんをカイン、弟をアベルと名づけました。 2 カインは畑で野菜を作りました。 アベルは牧場で羊を育てました。 3 カインは毎日一生懸命はたらきました。 そして多くの作物がとれました。 4 アベルは毎日羊を追って 野山をかけめぐりました。 羊はどんどんふえました。 5 カインとアベルは神さまに供えものをすることになりました。 カインは作物を、アベルは羊の初子を供えました。 6 ところが神さまはカインの供えものは受けとらないで、 アベルの供えものだけを受けとられました。 7 「なぜ私の供えものは受けとっていただけないのですか。」 カインは悲しみのあまり神さまにさけびました。 8 アベルは真心をこめた供えものが 受けとられて喜んでいました。 そして、カインに言いました。 「こうなったのは、真心が足りなかった からじゃないのかい?」 9 「私だって一生懸命やったのに、 なぜアベルだけ愛されるんだ!」 カインはアベルを憎みました。 10 「アベルさえいなければいいんだ!」 カインはアベルを野原につれだして 石で打ちころしてしまいました。 11 カインはアベルをとおして供えものをささげるべきだったのです。 神さまはカインに言いました。 「あなたが一生懸命ささげたことは私が一番よく知っている。 あなたには自分の悪い思いに打ちかって欲しかったのだ。」 12 「ああ、私はなんということをしてしまったんだろう!」 13 カインは自分の罪の深さを知って泣きました。 神さまは言いました。 「あなたは罪をおかしたので、この地を出ていきなさい。 しかし、いつの日かここに戻る日がくるであろう。」 14