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参考1.「農商工連携」の定義

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参考1.「農商工連携」の定義
参考1. 「農商工連携」の定義
農商工連携促進法上は「中小企業者と農林漁業者との連携」。6次産業、1.5次産業は農(農林水産)中心の概念。
1.法律上の定義
『中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関
する法律(農商工等連携促進法)』
「中小企業の経営の向上及び農林漁業経営の改善を図るため、
中小企業者と農林漁業者とが有機的に連携して実施する事業で
あって、当該中小企業者及び当該農林漁業者のそれぞれの経営
資源を有効に活用して、新商品の開発、生産若しくは需要の開拓
又は新役務の開発、提供若しくは需要の開拓を行うもの」
(上記法律文を噛みくだいたもの)
「農林漁業者と商工業者等が通常の商取引関係を超えて協力し、
お互いの強みを活かして売れる新商品・新サービスの開発、生産
等を行い、需要の開拓を行うこと。すなわち、これまで農林漁業者
だけ、商工業等を営む中小企業者だけでは開発・生産することが
難しかった商品・サービスを両者が協力し合うことで創り出し、市
場で販売していくことで、売り上げや利益の増加を目指そうとする
取り組みのこと」 J-NET21
2.その他文献
『農業は成長産業に変えられる』洋泉社(大泉一貫)
「農業と他産業の連携の必要性はこれまで盛んに言われ実践さ
れてきたものである。「6次産業化」や「食産業クラスター」、「食農
連携」、「1.5次産業」などといった言葉が使われてきた。農林漁業
者と中小企業者による連携にとどまらず、単独の事業者が農業と
商工業を横断するような事業に取り組むケースに関しても。 農商
工連携と言ってよいと考えている」
【類似用語】
6次産業
(1)ウィキペディア
「農業や水産業などの第一次産業が食品加工・流通販売にも業
務展開している経営形態を表す、今村奈良臣(東京大学名誉教
授)提唱した造語。6次産業は、農畜産物、水産物の生産だけで
なく、食品加工(第二次産業)、流通、販売(第三次産業)にも農
業者が主体的かつ総合的に関わることによって、加工賃や流通
マージンなどの今まで第二次・第三次産業の事業者が得ていた
付加価値を、農業者自身が得ることによって農業を活性化させよ
うというものである」
(2)「農業をベースに加工や販売、交流・観光などを総合的に展
開する食農産業」
(3)「青森県」農工ベストミックス
(4)「地域に生きる 農工商連携で未来を開く」大泉 農文協
2005.3
1.5次産業
『1.5 次産業における国内外市場への新たな展開~農商工連携
の成功に向けたマネジメント~』
(日本公庫総研レポート No.2008-4 2009年3月10日 日本政策
金融公庫総合研究所)
「第1次産業(農林漁業)と第2次産業(工業)との中間を指し、第1
次産業に工業的手法で何らかの付加価値を加えたもの」
© 大泉一貫
1
参考2
平成21年3月IVICT (同年7月出版)
『農商工連携のビジネスモデル』から
農商工連携が成功するには、当事者のマーケティング努力(商品開発、販路開拓)のみならず、地域ぐる
みでの多面的な支援(商品チェック、金融、研究開発)が必要。これらを束ねるリーダー、プロデュー
サー人材も重要。
4つの課題
に対処するため
に
各プレーヤーの機
能
を明確にし
商品開発(が弱い) 販路開拓(が弱い)
品質評価(が弱い)
地域の支援(が弱い)
①一次産品の供給機
能
②製造・加工機能
③商業機能
④支援機能(行政/自ら上の①②③に関与することを含む)
⑤支援機能(金融)
⑥支援機能(研究開発)
⑦商品チェック機能(地域住民)
仕掛けづくり
リーダー/プロデューサーの育成
縦割りの打破/情報共有の仕組み
地域で資金が循環する仕組み
「農商工連携のビジネスモデル」( 2009年(財)東北産業活性化センター編)より東北活性研作成
© 大泉一貫
2
参考3
企業参入を促進させる社会的状況や制度の整備
地方分権の動きや地域経済活性化への取組み、食品の安全やエコ志向などの社会状況の変化に伴い、
制度が整備されたため、企業の参入による農商工連携がすすんでいる。
特定法人貸付制度
改正食品リサイクル法
平成15年(2003年)
平成17年(2005年)
平成19年(2007年)
平成20年(2008年)
平成21年(2009年)
平成17年9月
改正農業経営基盤強化
促進法施行
•参入規制を「特定法人
貸付制度」として条件付
緩和
•自治体の積極的企業誘
致開始
平成19年12月
改正食品リサイクル法施行
• 対象事業者:チェーンストア
本部も対象 ⇒ 企業理念
(エコなど)の取組み推進
•平成20年までに600の
• 再利用事業計画:廃棄物処
自治体が参入・活発化
理法の許可要 ⇒ 許可が不
•例)大分県の平成20~
22年の目標: 100社参入、 要になるため農業と提携
• 定期報告:廃棄量100t以上
100億円販売額増加
義務 化 ⇒ 残さ処理対策
• リサイクル率の変更(食品
平成21年12月
小売業20%→45%)
農地法改正に伴い特定
法人貸付制度が一般化
食品関連業界、特にスー
パーの参入を促進
新分野進出モデル事業
農商工等連携促進法
建設業対策として国土交通
省が創設
平成15年
先導的・革新的モデル構築
支援調査事業
平成16年
企業連携・新分野進出モデ
ル構築支援事業
(名称は毎年変わるものの
事業は継続)
建設業の農業への参入
を促進
平成22年
建設業新分野展開支援事業
の見送り(事業仕分け対象)
平成20年7月
農商工等連携促進法施行
• 農林漁業者と中小企業者
が共同で行う製品・サー
ビス開発を支援
• 支援内容:事業資金貸付、
債務保証、優遇税制など
「建設企業の新たな挑戦」
事例・施策集の公開
出典)「農商工連携のビジネスモデル」(2009年(財)東北産業活性化センター編)の大泉論文より作成
© 大泉一貫
3
参考4
企業参入に対する農業サイドの反応と制度改革
大企業の農業進出ブーム後、特定法人貸付制度や特区制度が制定され、自治体が積極的に企業誘致し
たため、中小企業の農業参入が進んでいる。
法改正等
規制緩和の動き
生産形態
第一期
限定的企業参入期
(1962年~1991年)
・農地法改正(1962年)
農業生産法人の制度化
・農地利用型農業への参入規制
・家族経営が中心
・企業参入は施設型農業(園芸、
畜産)や作業請負等に限定
第二期
企業参入揺籃期
(1992年~2000年)
・「新しい食糧・農業・農村政策
の基本方向」(1992年)
農業生産法人の活性化
「経営」概念が農業に登場
・「食料・農業・農村基本法」
(1999年)
農業法人の明確化
・農地生産法人の規制緩和
(農地生産法人の連絡組織が各
県に拡大)
第三期
企業参入拡大期
(2001年~)
【農業経営基盤強化促進法】
(2005年9月)
・特定法人貸付制度(2005年)
農業経営の基盤強化を目的に
市町村が設定する特区リース
制度
目標 2010年
500法人の
参入
2008年3月 281社参入
【農地法改正】 (2009年)
・「特定法人貸付制度」を一般化
・大企業の農業進出ブーム(1999年)
例)カゴメ、JT、オムロンなど
・株式会社(株式譲渡制限付)形
態の農業法人制度化(2000年)
【構造改革特区制度】 (2003年)
・耕作放棄地などを市町村が申請
して、参入企業を募集
・特区制度による参入企業数
全国71地域107法人(2005年ま
で)
・株式会社等の形態で企業参入
が開始(2001年)
【農業生産法人制度】
・農業生産法人による企業参入
・農業生産法人数
1990年 3,816 ⇒2008年 10,519
・株式会社形態の農業生産法人数
2001年
17 ⇒2008年
832
出典)「農商工連携のビジネスモデル」(2009年(財)東北産業活性化センター編)の大泉論文より作成
© 大泉一貫
4
110128 香川大学
「農商工連携の意義と推進上の課題」
宮城大学 大泉一貫
Ⅰ、地域産業の活性化にはビジネスの「仕組み」が必要
1,地域経済の活性化が必要
内需拡大・地域経済の活性化・農業の付加価値化が目標として掲げられている。
農業と他産業の連携の必要性はこれまで盛んに言われ実践されてきたものである。「6次産業化」や「食
産業クラスター」
、
「食農連携」などといった言葉が使われ、それに向けた調査報告書は、あまた存在する。
九州経産局「地域の自立期発展に向けた農商工連携促進研究会」06 年 10 月。青森県の「農工ベストミッ
クス新産業創出可能性調査」
(財電源地域振興センター 06 年 3 月)
。
07 年 11 月 8 日
「経済財政諮問会議」
での甘利発言。
11 月 30 日に農水省が農商工連携への取り組みを公表。
12 月 22 日中小企業庁同様の体制整備を発表、
08 年 1 月 18 日、福田首相の169国会での施政方針演説。その後、5 月 16 日農商工連携関連二法がこの
国会で成立、7 月 21 日に施行さる。
法律名は「中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律(農商工等連携促進法)
」
と「企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律
(企業立地促進法改正法)
」
。
『地域に生きる』06 年
2,農業のビジネスモデルを模索する必要がある(融合産業、農商工連携の推進、六次産業化)
地域再生に重要な融合産業化
家族経営で行われる商店、製造業、農家、漁家、林家など、地域経済を支えるあらゆる業種に共通してい
る→中心市街地のシャッターどおり、中小製造業の衰退、水産業・林業の衰退。
ビジネスは仕組みでするもの。
仕組みを作ったものが勝つ→商業・流通という仕組み(IT、チェーンストア理論、SCM)
勝ち負けの仕組み(CS,GMS、SC等の進出と家族経営の崩壊)
ウインウインの(みんなが良くなる)ビジネスの仕組みがある
浅草と京都は観光という仕組み 「観光」という産業の考え方←「融合産業化」
例えば、商店街も、商業流通やアミューズメント、公共施設、居住空間の融合。
産業集積の一種、
「企業立地促進法」
。企業城下町。伝統産業。
しかし、国内の場合、
「仕組み」を創出する主体の欠落。
農業に限ったことではない。
3,自由に農業ができた戦前
農地法:参入・退出規制と農業の事業領域規制
戦前の農業、百姓、協同から連携へ
地域経済を担っていた地主や造り酒屋
御料畑を扱っていた豊室の藤野実さんは、
「財貨を得るまでを農業という」と主張。
戦後の農業は、耕作者・生産者と規定、加工や販売は農業の事業範囲外とし、農業の事業領域を狭めた→
事業展開困難に。
ビジネスの展開を阻んではいないか、拒んで農業は困難だと言い続けてはいないか?
Business とは、企業価値を高めること、
、
、農村にカネが回る仕組みを作る、
、投資対象として良いか
どうか、
、
。
© 大泉一貫
4,戦後農業のビジネスモデルを作った農協
農協が、ある種の農業の仕方・
「仕組み」を作り農業を牽引した。
特に昭和30年代:志和農協、下郷農協、玉川農協。その後、農協の関与後退。
それでも、住田農協、奥中山農協、角田農協(大量生産大量流通モデル)
、大山農協、上勝農協、甘
楽富岡農協(顧客志向の成熟社会型モデル)が存在。それも80-90年代には、農協は財務に難点
を抱え地域農業振興への関与から後退=食料自給率の低下はじまる。
ここでいう農業の「仕組み」とは:その土地・土地にあって、農業の生産性を上げ付加価値を高めるのに
必要とされるある種のビジネスモデルのこと。
今、農業振興の「仕組み」を作るのは誰か?
5,地域再生に重要な融合産業化
食品産業も融合産業になりうる。
漁港周辺には水産加工業が存在している。豊富な地域資源を使った加工・外食、流通業が立地。
フランス料理のシェフは早くから素材と料理との関係を模索していた。結びつきの力
(ヤマカノ醸造株式会社)と(
(有)NOA)と(ネット・藤崎デパート)との関係
業界でまとまるのではなく、何かの紐帯を契機とし、異業種が共同する仕組み。
別々の産業に属していた企業同士が相互に他を必要とする形で連携し、新たな付加価値生産を目指し
て一つの産業に融合化する状況。分業に基づく協業。
食品産業の場合には、最終商品を供給する為に異業種との連携により付加価値を高める方法として機
能している。
融合産業化の一種としての農商工連携。
ネーミングのわかりやすさ、食産業クラスター、6次産業化、1.5次産業。立体農業、食農連携等々
様々ないわれ方をしてきた。新たな付加価値を創出し、関係者にプラスの成果を与え、それぞれが新た
な知識を創造していく契機を作り出すこと=効果。
6,お客(市場)
、ビジネスモデル、経営(手法)
、の三つがあれば、規模拡大しなくても、
また家族経営でも、さらには農業でも儲けが出て、楽しい、芳醇な農業ができる。
要は、
「経営、市場、ビジネスモデル」を真剣に考え、そうした中で自分の経営手法、
経営スタイル、にあった業種、規模、業態を選んでいけばいい。もしもっと成長したければ業態転換を
7.連携を推進するリーダーの存在
農商工連携の課題
①推進主体(リーダー)の不在、②商品開発の困難さ、③販路開拓の困難さ、④マッチング形成の困難さ、
など
融合していない事例
大崎市の大豆:家族経営の豆腐屋、太子、家内工業的味噌屋・ジョウセン・大規模大豆生産農家集団、
吉本=地域資源の有効利用なされず、付加価値生産が一部にとどまる。
融合にはリーダーシップを誰が取るか?が大事。成功するもしないもリーダー次第。
イノベーター、アイデアマン、マネージャー
リーダーの現実的な存在状況(企業の農業参入とおおよそパラレル)
農 業 者:
(農協甘楽富岡・上勝、和郷園、イズミ農園)
流通 業者:
(荷受業者、小売商、卸商、
)
、
食品製造業:
(乳牛メーカー、酒造メーカー、醸造メーカー、豆腐メーカー、漬け物屋、商品開発が大変)
、
「おとうふ工房いしかわ」
異 業 種:
(外食産業、建設業者等、ユニクロ、オムロンなど販売が大変)
バイオマス・エタノール生産がまだ尐ない(福田商会? 大場組?)
農商工連携は、基本的に商工業者がリーダーシップをとる仕組み
© 大泉一貫
8.融合産業・農商工連携の要諦としてのマッチング機能
マッチング機能がない事例
K製麺(八宮農業生産組合、作柄不安定、製粉機能の不在)
。
金印わさび、豆腐の宮春、大崎の大豆の里
農業生産の不安定さ、マッチング対応のいろいろ(情報共有の仕方)
①優秀な生産者の発見・提携による対応(ヤマカノ)
、
契約 自社で農家と契約提携、会社が農家へ要望を提出、これが最も多いが最も困難
東京青果のマッチング機能。
②営農指導を行う専門家の登用農協の営農指導による対応(アグリテクノジャパン)
、
③自社フィールドマンによる契約農家への対応(アグリシステム、サッポロビール、カルビー、カゴメ)
カルビーの三連番地手法=SCS。
小さな漬物屋でも、
、グリーン・ライブ
④自社直営農場を作って対応(新福青果、イシハラフーズ、ヤマダイ物産、ワタミ)
技術ノウハウの蓄積とFMを利用した農家への移転、及び自社農場への適用
⑤自社農場の場合、農家の知恵や技術の利用、ヒーロー
異業種の場合、農業技術・ノウハウの欠如が問題になることもある。
農水省5百社の参入目標(10 年)
、鹿児島県、島根県、大分県等(3年で100社、1社1億増を計
画)
このマッチングの組み方によって農商工連携の型は、①クラスター型、②パートナーシップ型③インテグ
レーション型に分かれる。
Ⅱ、農商工連携、融合産業化が必要とされる理由
1,農業構造改革を考える際の幾つかの常識
2、農業は衰退産業か?
(オランダ、デンマーク、フィンランド、スイス、ノルウエー等)の 1 次産業
全て小規模な家族経営によって営まれているが、いずれもグローバルビジネスとして展開。
ヨーロッパの1次産業は衰退するどころか成長している。
情報が価値を生む(製造業:素材型から加工組立型へ)
1.5次産業や6次産業化
脱工業化社会 情報産業 サービス産業化 ブランド化
3,農業県とはどういった県か?
●農業産出額の多い県
①北海道 10 251、②茨城 4 284、③千葉 4 216、④鹿児島 4 151、⑤宮崎 3 246、⑥愛知 3 210 、
⑦熊本 3 053、⑧青森 2 828、⑨新潟 2 777、⑩栃木 2 693 、
●面積(ha)当たり産出額(万円)
(5万 ha 以上の都府県)
(除く東京、大阪、神奈川)
①宮崎 50.20、②愛知 50.16、③千葉 40.88、④静岡 37.27、⑤鹿児島 36.61、⑥群馬 32.86、
⑦茨城 32.31、⑧埼玉 30.11、⑨福岡 28.83、⑩長崎 26.33、
●農業就業人口(自営農業に主として従事した世帯員数)当たり産出額(万円)
①北海道 77.96、②宮崎 49.00、③鹿児島 45.63、⑤千葉 35.54、⑥愛知 32.02、
⑦群馬 31.30、⑧茨城 30.19、⑨青森 29.41、⑩熊本 28.71、
二回以上出てくる都府県
茨城3、千葉3、鹿児島3、宮崎3、愛知3、北海道2、青森2,群馬2,熊本2、
新潟1,栃木1,静岡1,埼玉1,福岡1,長崎1,
© 大泉一貫
これらの地域には、市場経済に馴染み、産業のノウハウが地域に蓄積し進取の気風がある。しかし中
では、新潟の落ち込みが激しい(理由はコメに依存しているため)
。
これらの地域の特徴をもっと具体的に類型化すれば、
①成熟した大消費市場を抱えている(千葉・茨城・愛知・静岡)販売 和郷園
②他産業のノウハウや成果を利用でき、産業同士の融合も射程に入れることができる。
(愛知・静岡)
③構造改革がある程度なって、それなりの生産性を確保している。
(北海道・鹿児島・宮崎)
いえること:
知識集約産業や産業集積があり、かつ交流人口の多い地域の農業は成長しており、農業の成長は一人
農業だけではなく、他産業や地域の有り様と大きく関係しているのではないか。農業など1次産業の
成長のためには、高次の産業構造を作り上げる必要がある。
4,農業の成長条件を整理すると次のようになろう。
①顧客のいないところにどんな産業も成立しない。我が国の農業は顧客志向をどこまで強められるかが
重要だ(大消費地に近いか、世界に市場を求めること)
。
②「脱一次産業化」の推進。つまり他の産業のノウハウを取り入れ、知識産業を目指す「融合産業化」
である(知識集約産業や産業集積があり、それらと融合していること)
。
③生産性向上を図るため様々な努力をすることだ。自らの農業構造を改革しようと考えることがもっと
も大事になる(構造改革によってムダを排し、生産性を高めること)
。
→経営者育成が優先課題。
(=農地流動化策を先にするのではなく経営者育成が先)
→65歳以上が6割、60歳以上が7割という担い手構造でそれが可能か?
Ⅲ、企業参入を促進させる社会的状況や制度の整備
1,農業への企業参入の実態
①農業生産法人制度
90 年に 3816、03 年に 6953、08 年に 10519。09 年 11064。
99 年には大企業の農業進出ブーム。
00 年から容認された譲渡制限付き株式会社形態を持つ農業生産法人は、01 年(統計上は 02 年)にすで
に 17 社に、04 年には 70 社、08 年には約 12 倍の 832 社に増加。
当初は有限会社からの組織変更などが多かったが食品・飲料メーカーなどの農業関連会社や建設業者な
どの新規参入も。
②構造改革特区制度、経営基盤強化法
03 年からの「構造改革特区制度」とその全国展開を目指す
05 年 9 月施行の「改正農業経営基盤強化促進法」
。500 社目標 20 年 3 月 1 日現在 281 社
2,促進施策
①「特定法人貸付制度」を通じた自治体の積極的な取り組みや、
②「農商工連携法」による中小企業の農業への関心の高まり、
③「改正食品リサイクル法」による農業参入の取り組み、
④「建設業者に対する事業」による建設業者の参入
これら複数の契機が互いに複相しつつ企業の参入を後押ししたのが99年以降
171 国会における農地法の改正
© 大泉一貫
Ⅳ、ビジネスにはやり方がある 経営手法の駆使
1,コメや穀物だけで経営ができるのか? 集約+粗放が基本
これまでの農業経営は、販売を前提としない経営だった。ある意味工場のようなもの。
販売に見合った農業経営を構築する必要がある。
販売の成功によって現実に必要性を皆が目で見て納得すれば、作りやすくなる。
内圃と外圃の話
集約+α、コア+α
ユンカー経営、テーア(フムス説)
。ゴルツ。エレボー。
規模、面積がないと農業経営はできない。わが国の外圃としての里山
コアは販売でも良い。
2,カネが回る仕組み(ファイナンスの重要性)
農業経営者育成のもう一つの大事な点は、投資に対するポジティブな精神を涵養すること。しかし、失
敗したら、
、がネックに。
1990年代後半の日本は、自営業者数が減尐。
金融の問題。間接金融から直接金融へ、補助金、投資、融資の区分け。
投資ファンド、再生ファンド、果実目的のファンド、コミュニティファンド、私募債等
大潟村同友会。ファンドの利用。ガイヤファンド、
(オリックスリアルエステート)
。
日立キャピタルと農林漁業金融公庫、ホールディングカンパニーで社長に→ミツバチ型社会
ナチュラル・アート
①投資ファンド「えひめガイヤファンド」
「ゴールデン・ハーベスト」
「フィデリティ・スリ
ー・ベーシック・ファンド」
「アグリクラスターファンド」
「アグリ・エコサポート」
②再生ファンド
③動産担保融資
3,不動産管理というビジネスの仕組み
SC理論(仕組み)の本質=不動産管理業
中心市街地問題 高松市高松丸亀商店街 コンパクトシティと併用。
農地も所有から利用へ。不動産管理業。
農業は、受託者を搾取して成り立っている社会
10a1万4千円の地代。12万円の収益に物材費5-6万。剰余6-7万円。5公5民の苛斂誅求。
「40-80万円の農地価格に2万円の地代」投資対象としては割が合う。
藤岡法人協会会長 堀江貴文。
静岡稲作経営研究会 100ha 経営を目指して、毎年3ha ずつ集まってくる。
4,やる気や創造性の創出
販売によってやる気もでるがリスクも伴う。リスクをとる農業
御料畑を扱っていた豊室の藤野実さんは、
「財貨を得るまでを農業という」
明治大正期の精農、老農の力は偉大。
老農、石川理紀之助は秋田種苗交換会をのこす。
「俺は農民だ、農民が農民を助けないで誰が助ける」
明治14年(1881)3月に全国農談会は老農の集まり。
「老」は、熟練熟達という意味。別にじいさんだったわけではない。福岡の林遠里(勧農社)は近世の
イノベーター、関東の船津伝次平は人徳者。
機関車農家。
5,平成の老農・機関車農家を如何に支援できるか
リスクをとる農業とセーフティネットの充実
© 大泉一貫
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