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『であい』を 使ってみました
ISSN 0919-7265 2003年 1月発行 57 no. 特集 『であい』を 使ってみました 写真教材『であい:7人の高校生の素顔』 ―写真教材『であい:7人の高校生の素顔』を使用した取り組み― 2001年12月、TJFは海外の中高校における日本語教育を主な 対象とする写真教材『であい:7人の高校生の素顔』を刊行しま した。 『であい』は、実在する日本の高校生 7 人の人物像と日常 生活を、写真、文章、ビデオで紹介しています。また、授業で役 立つ教師のためのサポート情報を「であいホームページ」で提 供しています。 ことばを学ぶ目的のひとつは、そのことばを使ってコミュニケ ーションしながら、相手を理解し、自分を見つめ直し、表現する ことによって、お互いの関係を築いていくことだと思います。 『で あい』は、学習者に、そのような他者や自分への理解を深めな がら双方向の対話をする過程を体験してもらうことを目指して 制作されました。そういう意味から、日本語の授業だけでなく、 国内外の社会科や国際理解教育などの授業でも『であい』が幅 広く使用されることが期待されます。 今号では、始まりつつある国内外の教師の『であい』を使用し た取り組みを紹介しながら、生徒たちが『であい』の主人公たち に出会って、どのような反応を示したかを取り上げます。 特集『であい』を使ってみました シリーズ 友だちを写真とキャプションで紹介しよう p.2 見る聞く考えるやってみる授業!8 p.12 グローバルな視点から自分を見つめ直す p.4 地域に根ざした総合学科 ―神奈川県立大師高等学校の試み― 「個の文化」 をもとめて p.5 自分のポートレートを作ろう p.6 『であい』を見て生徒たちが感じたこと p.7 TJFの事業 p.10 天理大学の朝鮮語科教員免許取得講座 素顔の高校生!4 p.16 悩んでいるときに、 立ち止まる人と進む人がいてる。 TJFニュース p.14 国際文化フォーラム通信 no. 57 2003年1月 ■授業科目:倫理 友だちを写真とキャプションで紹介しよう 東京都立八王子北高等学校 教諭 坪井龍太 八王子北高校では、1 年生を対象に『であい』を使った倫 理(公民科)の授業を行っています。 『であい』の主人公につ いて考えることで、生徒たちに自分自身について考え、表現 できるようになってほしいと思ったからです。1学期には、生徒 たちに『であい』の主人公の写真を見せ、教科書の単元のテ ーマ(「核家族と生きる」 「国際化の時代」 など) と関連づけて 作文を書いてもらいました。 夏休みには、次のステップとして、八王子北高校の友だち を写真とキャプションで紹介するという宿題を出し、9月の文 化祭で作品を展示しました。生徒たちの作品の一部をご紹 介します。 2学期は、1学期に書いた意見を共有しながら、 「家族」 をテ ーマに自分の考えをまとめる活動をしました。 先生が提示したサンプル作品 文化祭の展示の様子 9月22日 (日) に行われた文化祭では、約80作品が展示されました。休日というこ ともあって、会場には保護者やほかの高校の生徒も訪れていました。来場者は、 自分の好きな作品を選んで投票しました。 ☞ 5枚の写真と必須5項目 (タイトル、撮影者、主人公、キャ プション、メッセージ) は必ず記入! ☞写真:撮影者が写っていたら減点。 ☞タイトル:日本語でなくて英語のタイトルもいい。 ☞撮影者・主人公:学年、クラス、番号も忘れずに。 ☞メッセージ:ここが評価のポイント。インタビューに基づ いて、5枚の写真と関連があるようにすること。 2 撮影者:高橋賢 主人公:畑中遼太 国際文化フォーラム通信 no. 57 2003年1月 撮影者:松尾美幸 主人公:執行サオリ 撮影者:青山恵里佳 主人公:天野麻利華 青山さんのメッセージ まりとは、小1の時からの友達で、小学校、中学校、高校 とずっと10年間、一緒です。家も、同じ住宅の同じ号棟で す。いつも何かあったら、すぐまりの家に行って、悩みを相 談したり、相談されたり。中学 3 年の時は、同じクラスで、 まりは私の席の前で、いっつも授業中、バカなこと二人でや って、先生に注意されっぱなしの、バカな私たちでした (笑) 。 私にとって、まりは大切な友達です。中学生の時も、まり から学んだこと、けっこうあります。まりは、マジで受験の時、 人一倍、いや人二倍ぐらい頑張っていました。そんなまりを 見て、 “やれば出来る、結果は出るんだ” ってことを、学んだ 気がしました。 野口くんのメッセージ 幼稚園の頃からミッチーは、背も身体も大きい人でした。 赤ちゃんの頃から粉ミルクではなく、牛乳をたくさん飲んで 病院の先生にとめられるほどだったそうです。……えらい と思うことは、遊びと学校へ行く約束の時間は絶対まもる 人です。ミッチーはゲーセンの音楽関係のゲームは何でも 得意です。ドラム、ポップンミュージック、ビートマニア、ギ ター他いろいろとにかくずば抜けてすばらしいの一言です。 何か1つ夢中になることがあるということはすばらしいこ とだと思いました。これからもミッチーとはずっと友達でい 撮影者:野口貴弘 主人公:三輪匠 たいです。 3 国際文化フォーラム通信 no. 57 2003年1月 ■授業科目:国際理解 グローバルな視点から自分を見つめ直す 大阪市立此花総合高等学校 教諭 ■話題と価値観を共有できる教材 ■視点を変えた一連のシミュレーション作業 私の勤務校では、学校設定科目として 「国際理解」 を設け、 こうした基本的視点に立ち、実践ではまず、①グループに分 総合学科における国際コミュニケーション系カリキュラムの一 かれ写真を中心にして雑談するところから始めた。 『であい』 に 部として、教科横断的な取り組みを行っている。 ここでは特に、 は、さまざまな地方の高校生が登場するため、土地の話題や 『であい』教材(以下『であい』) を用いて行った実践の一部 をご紹介したい。 学校の様子などをめぐり、この段階ですでにずいぶん盛り上 がっていた。ある程度話した後、②今度は自分が外国人で、 そもそも 『であい』は、諸外国において日本語や日本文化を 現在日本語を勉強している高校生だとすると、どのような疑問、 学ぶ学生・生徒を対象として、日本の若者たちの生の姿を映 質問が出てくるか考えさせた。まず日本語、ついで英語で表 像とキャプションを通じてビジュアルに伝えようとする試みで 現させてみた。そして、③日本の文化や日常生活について知 ある。実際、特定の文化や国内事情について学ぼうとすると っているものとして、他のグループが作った質問に答える、とい き、そこにおける教材は、おおむねその文化や国を明らかに う作業を行った。作業を通じて生徒たちは、①自身の立場か 代表するものが取り上げられ、国際的な共通性よりも、むしろ ら日本を見る、②外国からの (グローバルな)視点に立って客 その民族や文化の特異性が強調される傾向にある。これに 観的に考える、③自らの文化的立場から異文化に生きる人と 対し 『であい』は、あえてごく普通の若者の、普通の日常を切 交流する、といった一連のシミュレーションを行ったことになる。 り取ることで、学習者が異文化を学びながら、同時にそこに 今後は、海外で『であい』 を使って学習した高校生たちの質問 ある市民的な共通意識を育むことを意図している。ここにい にEメールで答える活動も行っていきたいと考えている。 う共通意識とは、映像として登場する数人の若者に関する事 文化的な国際交流を進めるにあたり、 「諸外国を学ぶ」 とい 柄というより、むしろ日本という社会における一般人の生活で うことは必ずしも容易なことではない。それは 「文化」 という言 あり、また 「若者世代」 の持つ共通の文化である。このように 葉に存在するあまりにも大きな広がりであり、一方では、直接 考えると、 『であい』は必ずしも外国に住む日本語学習者のみ 的人間的な交流の難しさである。 『であい』を基礎として、こ ならず、日本に住む若者たちにとっても、おそらく話題と価値 の二つの課題を超えられるよう、今後のより良い実践を期し 観を共有できる、ある種のプラットホームになりうると考える。 たい。 質問の例(生徒のワークシートから) 水島優 ➤日本ではカメラがはやってるんですか。 玉城俊一 ➤なんで髪が茶色いのか。日本人なのに。 ➤肉はパックづめで買うんですか。 ➤年寄りは多いんですか。 ➤タオルをぼうしにするんですか。 吉田功二郎 ➤この本のタイトルはなんですか。どんな話ですか。部屋 はどのくらいの広さですか。このCDは全部邦楽ですか。 ➤なんで和食じゃないんですか。家族全員でごはんを食 べないんですか。 ➤どうやって髪の毛をセットしてるんですか。 4 岡崎裕 ? 国際文化フォーラム通信 no. 57 2003年1月 ■授業科目:日本語 「個の文化」 をもとめて 福岡インターナショナルスクール 教諭 異文化との接触を通じて形成していく 「個の文化」 を探索 することを目標としたプロジェクトを、 『であい』 を使用した日本 語上級クラス (9∼12年生)で展開した。生徒が自分自身につ 宮脇律子 て楽しく生きたい。要領よく生きたい。後悔したくない。 人生=楽。 ③ 心と心のふれあい。沖縄人。沖縄音楽。真剣に熱中する。 いて分析することが主活動であるが、その手がかりとして『で あい』の主人公を分析することから始めた。 大石勘太 ① 姉、素子の影響が大きい。東京。 ■分析力養成 ② 家族は「安定」をくれる許しあう存在。 「 友達」 は認め合う グループワーク。主人公の 「写真」 および「マイ・ストーリー」 (日本語) から下記の①∼③について考え、 クラスで発表する。 ① 主人公の人生において彼らの考え方、生き方に影響を与 えている要因(生まれ育った町、おいたち、転換期など) 。 ② 主人公の考え方、生き方。 ③ 主人公の特性、能力。どこで養われたか。 生徒の主人公分析の抜粋 存在。自分のことは自分で責任を持つ。 ③ 小説を書く。演劇。日本的文化(今まで日本にずっと住ん できたから) と「みんな平等」という考え(父からうけつい でいる) 。 ■「個の文化」記述 この活動は、①主人公が所属集団の一員として自分自身を どう理解し、どう行動しているのか、②(他者にはない)主人 公の性格や能力は何か、③それはどう形成されてきたか、な 吉田功二郎 どの社会・個人アイデンティティを生徒たちが探る機会とな ① 長崎県から兵庫県へ引っ越した時。田舎好きなため“の る。ここで養われた分析の目を生徒自身に向けることで主活 ほほん” としている。 ② 1人でいるのが好き (姫路に引っ越した時につらい思いが あったから) 。家族のサポート (安心)がある。 動に入る。 生徒は、他者とは異なる存在である自分の特性や能力、さ まざまな異文化(異なるもの) との接触から生じた驚きや違和 ③ 忍耐力+持続力(弓道部から)。アロマテラピー(ほのぼ 感などの体験を、作文の下書きを繰り返すことで認識してい の)。動物を助けたいというやさしい性格。ペット好き→ く。そこで今まで意識していなかった自分の日常の習慣を一 獣医になりたい。 つの 「文化」 として捉えるようになる。それを個人の文化として 認識することで言葉として他者へ「個の文化」 を伝えることが 柳 有真 できるようになる。その表現のあり方が「個の文化」 であり、そ ① 在日韓国人という点。中学校でのカウンセラーとの出会 れを記述表現することがこの活動の達成目標である。 い。高校休学。 生徒は、既に二つ以上の文化に触れている。例えば bi- ② 好奇心旺盛で明るく元気。マイナス思考に考えるが脳天 culturalの生徒は両親からの二つの文化、両親の海外勤務 気な面もある。自主性が強く、決めたことをやり通す。在 に同行してきた生徒は数ヵ国の文化、さらに多文化共生の場 日韓国人としての誇りを持つ。 である現在の学校生活において自文化および日本文化のほ ③ 日韓両文化共有。目標を決めて突き進む。スポーツカウ ンセラー。 か、 気づかないところでさまざまな文化と複雑に接触している。 この活動を通し 「個の文化」 を認知したことで、今まで誇り に思えなかったこと、声を 「大」 にして言えなかったことが生徒 玉城俊一 の中で消化吸収され自信となって現れてきた。そして、どの文 ① 音楽、たいこ、海、家族、島、沖縄、生徒会長。 化でもない自分個人が形成している固有のものを誇りに思 ② 活動的で楽天的。やりたいことはすぐ実行。好きな事をし い、強く生きる自信を身につけるきっかけとなった。 5 国際文化フォーラム通信 no. 57 2003年1月 ■授業科目:産業社会と人間 自分のポートレートを作ろう 東京都立つばさ総合高等学校 教諭 岡島まどか 1年生の「産業社会と人間*」の授業で、 『であい』を使いま 『であい』は、夏休みに入る直前に使いました。 『であい』の した。都立つばさ総合高校は、生徒が自分の進路や興味・ 主人公のうち3 人を選び、彼らが何に関心をもち、将来につ 関心に合わせて科目を選択できる総合学科の高校です。で いてどう思っているかを紹介したあと、自分と主人公たちを比 も、入学して突然、自分の将来に合わせて時間割を組みなさ 較しながら、感想を書く作業をしてもらいました。自分たちと いと言われたら、とまどう生徒も多いでしょう。そのため、1年 同じ高校生である主人公たちの生きかたや考えかたを知る 生のうちは、国語や数学などの必修科目を勉強しながら、 「産 ことは、自分の将来について考える刺激になったと思います。 業社会と人間」 やキャリア・カウンセリングを通じて、自分の興 生徒たちは、今後自分の進路について考える活動をしたあと、 味・関心や進路についてじっくり考えていくようカリキュラムが 学年末には自分なりのライフプランを立てる予定です。 組まれています。 *総合学科の必修科目。体験学習や調べ学習を通じて、自分の進路や適性 などについて考える。 生徒のワークシートから ワークシートの内容 生徒2 生徒4 q3人のメッセージを聞いて感じたこと q 3人とも自分の考えをちゃんと持っているよ q自分を見つけているのが分かった。色々な w自分のポートレートを作ろう うに感じたし、将来の夢もあって、それに向 考えと思いを持って、それを信じて前へ進 e全体を通しての感想と反省 かって頑張っているようだった。だから私 んでいる姿がかっこいいと思った。自分は何 も同じように、将来の夢に向かって、頑張 かを信じることや自分を信じることが怖いの っていこうと思った。 か……分からないけど、私には持ってない 生徒1 q 3 人とも自分の夢が決まってすごいと思っ た。みんなガンバリやなんだ。 w 自分の人生の中で影響を受けた出 来事(人・ことば) 名 前 年 齢 15 接骨院の先生 マッサージが上手ですごいと思った。 すんでいる ところ 学 校 自分もこんなふうになりたいと思った。 つばさ総合高校 家 族 e同世代の人たちがそれぞれの考えをもって いてスゴイと思った。そして、その考えを持 っているだけでなく、人に伝える事ができ れない。やりたいことがはっきりしない……。 るのは、もっと良いと思った。もっと多くの でも多分それは無いからという事じゃなく 人の考えを聞いてみたくなった。それに、 て、怖いからだと思う。見えない先のことを 自分の考えも人に伝えていけるようにした 考えるのは無理だと決めつけている自分が い。授業の中で自分のポートレートを作っ いるから。自分から何かをするのは嫌いで、 てみて、改めて自分を見つめ直せた。だか いつも “向こうから” を待っている。だから自 らこれからは、もっと自分という人間につい 分では何をするのか、どうするのか何も分 て、いろいろな事を考えていこうと思う。 からないし、分かろう (動く) としない。そん 将来の夢 整骨師など 性 格 興味 (好きなこと) 明るい スポーツトレーナーとか。 えをかくこと、水泳 な自分を知った、今日。 生徒3 q 3 人のメッセージの中で玉城俊一君のメッ (中略) だけど、今日の VTR を見て、真っすぐで自 セージ(詩、歌) を見て、 「こいつは、すごい」 分とあまり歳が違わない仲間をみて、素敵 と思った。歌詞の意味は、本当に素直だし、 だと思った。……顔つきが、というか……表 メロディーもとてもすんでいた。 情が深くて、重みがあるというか、キラキラ eこの学校に来てから何度目だ? と思うく 坂井さんの寮にいるさみしさなんかもよ らい自分はちっぽけなものだと思っていた くわかる。みんな自分の将来に向かって努 のに今日も思いしらされた。自分はもっと 勇気を持っていると思った。 e将来の夢は分からない。というより、考えら 力していることがよくわかった。 大きな人間になりたいと思ってんのに。こ e今回の3人の主人公それぞれに、自分も共 れから大きくなれないのか? と思いまし 感できるところがあった。今度は、この3人 た。少し不安になったけど、そんなのには に自分のこと自分の周りの人たちを紹介し 負けない。絶対負けたくない。 てみたいと思った。 してた。 すごく素敵だな∼って、憧れる。 人生の中の事って、全て自分が作るんだ なっっ。 もっと真っすぐに素直に生きて行きたい。 私はひねくれてるから……〔 (・_・)(ゞ) (原文から抜粋) 6 国際文化フォーラム通信 no. 57 2003年1月 ■生徒の声① 『であい』を見て 生徒たちが感じたこと 国際基督教大学高等学校2年生 の倫理(公民科)の授業(渡部淳教諭) で『であい』の写真を見せ、写真の印象や、 どのように授業で使うことができるかなどに 写真を見て共感したこと、感じたこと ・環境ってやっぱその人にモロに影響するんだな∼ってし みじみ思いました。うちら「人」はどんな所で育ち、どんな ついて自由にディスカッションしてもらった コメント(原文から抜粋)を提出しても らいました。 人とふれあったかによってその人の人生が決まるんだな ∼っとちょっと思った。 ・どの写真も見る度に、 「ああ、こういうことよくある」とか、 海外の人に見せるのはどうか。 「これはないなあ」といった共感や否定(?!)を感じた。 ・海外の人に見せるのは微妙だと思う。 だって日本の高校生がこんなに皆が皆、 こんな風に明るく夢もって生きている わけではないっていうのが理由。夢が 自分だったら なくて夢をさがしている子なんかもい ・私はここにうつる人たちをうらやま たらおもしろかったろうに。 しく思うし、自分も写真にうつったら、 ・高校生が夢中になるのは部活やしゅ 今の生活がかがやいているように見 みだけでなく、流行とかおしゃれetc えるかもしれないと期待した。希望 だと思います。そういう点も取り入れ をもてる写真だから、こうやって日 ればもっと共感できます。人によって 本の高校生にも見せて定期的にい は与えられた教材だけを日本のイメ ろんな学校をまわったら夢をもって ージとして見てしまうので、これだけ 前向きに生きていける子がふえるか を見てイメージを固められるのは嫌だ もしれない。 という気持ちもあります。 授業でどう使う? ふつう? 自分と同じ? ちがう? ・私の友達は、同じ写真を見ても私と同じこ ・写真を見て思ったことは、自分の生活を他の人も同じよ とは考えていないだろう。それでいいと思う。 うに過ごしているって思っちゃいけないなという事。こう 授業にするなら、先にゴールを設定するん いう写真を見て、 “皆と同じになりたい”シンドロームに じゃなくて、生徒一人ひとりがそれぞれの感 歯止めをかけられるような授業が出来るんじゃないのだ 受性をもって一人ひとりちがうことを感じれ ろうか。こうやってたくさんの映像を見て、 「こういう人も ばそれだけで勉強になる。みんなちがうこと いればこういう人もいる。人と同じ人なんていない」とい を感じると思うから、それを言い合えばまた う事を実感できるのがおもしろい。 さらに世界がひろがると思う。 ・自分だって写真にとられてみれば輝くと思う。写真にして ・ 「7人から学ぶ」というより「7人と話す」感 みるとその人の良い部分が見れると思う。だから北海道 じで授業にとりいれるといいかなと思います。 の輝いてる人、沖縄の輝いてる人、みんな普通の日本の これをもとに「自分のまわりの写真をとって 高校生だと思う。民放のお涙ちょうだい物のドキュメント みよう!!」とかどうですか? 自分のまわりに に出てくる、特別の生い立ちの人とかじゃない。彼らは本 いろいろ新しい発見ができたり、感じること 当にどこにでもいる若々しい高校生だと思う。 が多いと思います。 7 国際文化フォーラム通信 no. 57 2003年1月 国際文化フォーラム通信 no. 57 2003年1月 ■生徒の声② 7人の主人公のクラブ活動を学んでよかった点 『であい』を見て 生徒たちが感じたこと ・We learned about how each student focuses on their clubs and how their life revolves around their clubs. それぞれの生徒がとてもクラブ活動に熱中していて、生活も クラブ中心に回っていることが分かった。 うらやましく思っているところ ・日本の高校生は自由です。例えば恋をして もいいし、アルバイトをしてもいいです。 ・制服を着ている高校生は本当に高校生ら しいです。 ・It gave you individual perspectives rather than よくないと思っているところ generalizations. ・家へ帰ってもあまり授業の予習 一般的な知識ではなく、それぞれの生徒について理解できた。 や復習をしないこと。 ・先生が前に話をしている時、生 徒たちは騒ぐこと。 ・You got a diverse perspective on all different things of 日本の生徒についてもっと知りたいこと interests and activities. ・When they relax. いろいろな趣味や活動があるということが分かった。 いつリラックスするのか。 ・携帯電話を持っていることがうらやましい ・What subjects they take in school and which です。 sports are most popular. 学校でどんな科目をとっているのか、どんなスポーツがと クラブ活動について くに人気があるのか。 ・I think the commitment and how ・Do Japanese students study posters about 不思議に思っているところ ・優さんのお父さんがお母さんより10 年も年上です。 ・朝早く学校にいって、先生と話し合 うことができること。 中国遼寧省阜新蒙古族高級 日本の高校生はアメリカの高校生の写真を勉強するのかな。 中学(日本の高校にあたる)で日本語の ・What do they think of Americans? 授業(包華教諭)を受けている2年生の アメリカ人についてどう思っているのか。 『であい』の主人公に対する感想で ・優さんの妹さんは、女の子であるの strict they are is interesting. It's American students? す。 (原文日本語) ・I want to learn their normal everyday language. ふだん使われることばを勉強したい。 に爬虫類が好きであること。 great way to get good. 米国カリフォルニア州リック・ ブが厳しいことが興味深いと思った。 の授業(芦原リー美江教諭)で、 『であい』 うまくなるにはいい方法だと思う。 い』を使ってクラブ活動について学習し た11年生の生徒たちのコメントです。 (原文英語) ・夜の2時まで起きていて、朝10時に 7人の写真を学んでよかった点 起きること。 ・The ・交差点に立って、まだ「孤独だなあー」 など感じるのがちょっと...。 クラブとの関わりが大きいこと、クラ ウィルマーディング高校の日本語 クラブ活動について学んで、日本の生徒に対する見方が変わりましたか。 感心したこと ・専業主婦は家事をするほかにも勉強 したり、環境問題に関心を持ってい ・I used to know nothing about Japanese students, but I feel like I know them better. 以前は日本の生徒について何もしらなかったが、少しわかったような気がする。 たりしていること。 ・It shows me that students are quite serious. Their lives must be very stressful. ・夢のために、夜遅くまで起きていて 日本の生徒はとても一生懸命だと思った。ストレスが多いのではないかと思う。 努力していること。 ・It shows me more of what Japan is like for teenage students. ・先生も親も友達同士のように付きあ pictures helped me learn the vocabulary because his life was so simple, and easy to translate. 担当した主人公の生活がわかりやすく、訳しや すかったので、写真は語彙を学ぶのに役立った。 ・Because we were able to relate what we were learning to real people. 勉強していることを、本当に生きている人とつ なげることができたのでよかった。 十代の若者にとって、日本がどんなところかわかった。 ってくれること。 ・I thought Japanese culture was a lot different, but many of the activities are similar. 日本の文化はもっと違うと思っていたが、似ているところが多かった。 ・I didn't really change my perspective because I have many friends who are really like some of these students. 特に見方が変わったということはない。主人公と同じような友だちがたくさんいるから。 8 9