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プロジェクトの概要説明(公開) - 新エネルギー・産業技術総合開発機構

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プロジェクトの概要説明(公開) - 新エネルギー・産業技術総合開発機構
「省エネルギー型廃水処理技術開発」
(事後評価)分科会
資料 5-2
省エネルギー型廃水処理技術開発
事業概要
平成19年1月
NEDO技術開発機構 環境技術開発部
京都大学大学院工学研究科 教授 津野 洋(PL)
石川島播磨重工業(株)
(株)荏原製作所
富士電機システムズ(株)
三菱電機(株)
(財)造水促進センター
1
Ⅰ.事業の位置づけ・必要性について
2
1.NEDO関与の必要性
・制度への適合性
3
NEDO事業としての妥当性
産業の拡大は、水資源の消費増と、廃水処理の高度化を要求。
*水処理エネルギーの増大
*水循環系の成立危機
*生活環境の安全性低下
*湖、海などの環境負荷増大
*汚泥発生量の増大
*廃棄物最終処理場の制約
・資源の有効利用
・廃棄物の減量化
・水資源循環社会
・化学物質リスク極小化
→安全で経済的社会の実現
☆省エネで安全な廃水処理システムを早急
に構築する必要がある
このための技術開発を行うには、公共性が強く、
NEDOとしての関与が必須である。
4
事業原簿P.1
技術の適用分野
①工場廃水処理の高度化
②工業用水処理の高度化
③食品製造工場・給食製造事業所等の洗浄用水処理
④生活系廃水処理の高度化
⑤生活用水の高度化
⑥その他
水産(殺菌、鮮度保持)、水族館、プール、環境(修景・親水用水の安全
性)、廃棄物浸出水、パルプ漂白、電子産業(半導体洗浄、超純水)、医
療器具殺菌
開発した技術は適用範囲が広く、かつ応用範囲の広い技術で
ある。
5
事業原簿P.1
実施の効果
省エネルギー効果
○工場の廃水処理
対象廃水(8,960千m3/日)×稼働日数(300日/年)×エネルギー使用量
(2.5kWh/m3)×導入見込み率(62%)×省エネ率(40%)
= 1,667百万kWh/年 ≒ 405千
405千kL/
kL/年 (原油節約量)
(約48万世帯分の消費電力に相当)
①対象廃水量の合計:8,960千m3/日(適用対象:食品・飲料、繊維・染色、紙パルプ、化学、電子部品・デバイス工業)
②本装置導入見込み率:約62%(アンケート結果) ③エネルギー使用量:2.5kWh/ m3 ④省エネ率:40%
○生活用水の浄水処理、廃水処理に適用される場合
対象廃水(130億m3/年)×エネルギー使用量(0.5kWh/m3)
×導入見込み率(27%)×省エネ率(40%)
=702 百万kWh/年 ≒ 171千
171千kL/
kL/年 (原油節約量)
(約20万世帯分の消費電力に相当)
①下水処理量:130億m3/年(平成13年度下水道統計より) ②導入見込み率:27%(アンケート結果)
③エネルギー使用量:0.5kWh/ m3 ④省エネ率:40%
産業及び生活排水で240億円のコスト低減につながり、投入予算
(14億円)に対し大きなメリットがある。
事業原簿P.2
(1bbL=$60、$1=110円と仮定)
6
省エネルギー技術開発プログラム
2004年
産 業 部 門
エネルギー多段階利用
生産・加工プロセス
の効率化
機器の効率化
排熱利用技術
ITによるエネルギー
利用システム
2010年
工場間(コンビナート)
ピンチテクノロジー
LSI製造
90nm(チップサイズ)
パワーエレクトロニクス
(SiC,GaN等)
インバータ
UPS(無停電電源装置)
基幹電力系統機器
政策目標
BEMS(Building Energy Management Systems)
HEMS(Home Energy Management Systems)
民 生 部 門
イノベーションによ
る省エネルギー社
会の実現に向けて
Hf蛍光管
LED
信号機 間接照明
部分照明分野
・低コスト化により市場拡大
室内照明分野
有機EL 室内照明分野
インバータ
(エアコン、冷蔵庫等)
(産業部門参照)
SiCウェハ
○エネルギーの
安定供給の確保
・高効率化、コンパクト化により市場拡大
ガスコージェネレーション
(ガスタービン、ガスエンジン)
ヒートポンプ
地中熱利用
定置型燃料電池
外断熱
220万kW
1000万kW
○地球温暖化の
防止
1250万kW
熱、紫外線
湿気
光触媒(酸化チタン)
風
運 輸 部 門
内燃機関
(ガソリン、ディーゼル)
アイドリングストップ
予混合圧縮着火(HCCI)
パワーエレクトロニクス
バッテリー、キャパシタ
軽量化
アルミニウム合金
超微細粒鋼
炭素繊維
カーボンナノファイバー
物流対策
産業用モータ、電機機械
高性能ボイラー
空調(三重効用高性能吸収式冷温水機)
交通流対策
45nm
高性能工業炉
パワーエレクトロニクス
(SiC,GaN等)
自動車
65nm
・高品質化、高温・高耐圧化により市場拡大
機器の効率化
住宅・建築物の
断熱・遮熱
2030年~
水素エネルギー
バイオプロセス
ナノ加工技術
高性能レーザー
照明
分散電源、
コージェネレーション
2020年
地域(民生部門-工場)
ETC
普及率 約15%
クリーンエネルギー自動車(CEV)
ハイブリッド自動車(HEV)
燃料電池自動車(FC)
5万台
ITS
500万台
1500万台
ITSの例(
の例(ETC)
ETC)
ITS
自動車運転システム
約70%
未来ITS
7
(ICタグ)
省エネルギー技術開発の体系(抜粋)と
本技術開発の位置づけ
産業部門
大分類
小分類
中分類
エネルギー利 生産加工プロ
用の効率化
セス
化学
化学プロセス、電池電極製造、生物
プロセス
鉄鋼・非鉄金属
製鉄製造、リサイクル
電気機器
液晶製造、レーザー加工・・・・
セメント
セメント製造
その他
過熱プロセス、断熱、油圧制御、
廃水処理、接合溶接
エネルギー利
用機器
(略)
エネルギー利
用システム
(略)
8
2.事業の背景・目的・位置づけ
9
産業廃棄物の現状
„
„
„
産業廃棄物全体のうち約50%(図1)を汚泥が占めている。
最終処分場の制限や処理エネルギーの問題がある。
因みに廃棄物発生量は、一般廃棄物 5160万㌧(98年)、産業廃棄物
40600万㌧(00年)
その他(12%)
鉱さい(5%)
がれき類
(14%)
動物のふん尿(22%)産業廃棄物の種類別排出量
汚泥(46%)
〔出展:産業廃棄物排出・処理状況調査(環境省)〕
10
汚泥処理の現状
汚泥処理の流れ(産業廃棄物としての汚泥が発生)
„
生活雑排水
し渣
脱水汚泥
工場排水・廃水
沈砂池
含水率
~98%
脱水
汚泥濃縮槽
塩素処理
汚泥
活性汚泥処理
最終処分(埋立)
含水率
~80%
減容・
減量化
沈砂
スクリーン
9%
83%
脱水~焼却で
含水率80%の
汚泥5kg当たり
電力 0.7kWh
重油 0.22リットル
を消費する
処理水
消化タンク
放流
Ex.ベルトプレス
遠心脱水機
スクリュープレス
再利用 8%
汚泥減量化は省エネルギーに大きな効果を示す
11
ダイオキシン類の現状
底質モニタリング調査結果(平成13年版環境白書より抜粋)
12
事業の概要
産業廃水や生活排水処理に用いられる活性汚泥法は優れた有機性成分の
処理法であるが
*難分解性有害物質処理に不適
(微量有害化学物質による環境汚染や健康影響の懸念がある。)
*余剰汚泥が大量に発生する
(最終処分場の不足)
*結果、減量処理に大量のエネルギーが必要
生活安全性、地球温暖化対策などの社会的問題を有する。
具体的課題
① 適用範囲が広く、省エネルギー型の廃水処理技術の開発を目指し、
発生汚泥の低減を図る。
② 難分解性有害物質の除去技術を確立する。
13
事業原簿P.3
研究開発の目的
健全な水循環系の確立と水資源の有効利用の促進を図るため、高濃度
オゾンを活用することにより、
① 廃水処理に要するエネルギー使用量の削減を図る。
② 近年問題となっている廃水中の環境ホルモン等の難分解性有害化学物
質の分解・除去が可能な廃水処理技術を開発する。
14
事業原簿P.3
技術動向と位置づけ
主な汚泥減容化技術
実用性の評価
可溶化方法
操作性
操作因子
設備の実用
化見込み
設備投資の
回収見込み
課
題
オゾン
◎
オゾン注入量
○
○
排オゾンガス(高濃度酸素)の有効利用
従来;処理水水質悪化は避けられない
(処理水窒素、リンは増加する)
開発プロセス;処理水窒素は同等
リンは回収する
好熱菌
○
反応槽の水温
滞留時間
○
○
耐性菌の出現
臭気除去設備必要
ミル/高速回転ディスク
研究開発中
○
アルカリ
アルカリ注入量
pH
△
効果の持続性、処理水pHの調整
生物活性の安定性
△
技術的に優位なオゾンによる可溶化技術を採用
15
技術動向と位置づけ
難分解性物質除去技術の比較
処理技術
処理原理
活性炭に吸着
して除去
活性炭法
膜分離法
(逆浸透膜)
膜にて汚染物
を分離除去
オゾン酸化法
O3で有機物を
分解
促進酸化法
O3とUVやH2O2
などの併用で発生
したOHラジカルで
有機物を分解
無機化
廃棄物
廃水
課題
○
再生エネルギー
大
×
膜動力大
×
×
吸着操作
のみ
活性炭交
換が必要
×
○
濃縮液
発生
濃縮操作
のみ
△
○
○
○
○
完全分解
は難
○
技術的に優位なオゾン酸化法、促進酸化法を採用
生物処理等との
最適組み合わせ
・反応効率向上
・ラジカルスカベ
ンジャ対策
16
研究開発の目的
① 高濃度オゾン技術に係る基礎的研究
* 反応効率の向上
* 反応装置のコンパクト化
* 処理エネルギーの削減
* 安全性の高い廃水処理技術
* 高濃度オゾン反応による副生成物の同定と、生成関与因子の解明
*(同上項目に対する)評価および抑制技術の開発
* 高濃度オゾン利用基準の策定(異常分解特性、材料の耐オゾン性 含
む)
② 総合実証試験
* 基礎的研究で得られた技術・システムを実際の廃水に適用し、省エ
ネ性、高効率性、安全性等を長期間にわたり実証してシステムとして
確立する。
* 実証試験は、愛知万博、工場廃水処理を実施。
17
事業原簿P.4
Ⅱ.研究開発マネジメントについて
18
1.事業の目標
(1)全体目標
高濃度オゾンを利用し、水中に存在する難分解性有害化学物質を効率的に分解・除
去できる水処理技術を開発し、次の目標達成に寄与する。
1)資源の有効利用と廃棄物の減量化をしつつ資源循環を図る経済社会の実現
高効率化による省エネルギー、処理水質の安全性確保、汚泥減容化、燐資源回収
2)微量有害化学物質のリスクを極小化・管理する経済社会の実現
内分泌撹乱化学物質、難分解性有害化学物質の分解
(2)技術水準と技術目標
①従来の高度廃水処理と比較した省エネルギー率:40%以上
②有機性余剰汚泥削減率:90%以上
③難分解性有害化学物質の除去率:90%以上
(排水基準値のあるものは基準値以下)
処理対象:下水・・・17βエストラジオール等内分泌撹乱性および変異原性
染色廃水・・・色度要因性難分解性物質
(④燐資源の回収率:70%)
19
事業原簿P.6
2.事業の計画内容(実施体制)
NEDO技術開発機構 環境技術開発部
プロジェクトリーダー 京都大学 津野洋教授
(株)荏原製作所
(6名)
富士電機システムズ(株)
(4名)
(株)富士電機アドバンストテクノロジー
三菱電機㈱
(7名)
(財)造水促進センター
(8名)
京都大学
(3名)
(独)産業技術総合研究所
(3名)
埼玉県産業技術総合センター
(5名)
石川島播磨重工業(株)
事業原簿P.8
(3名)
(5名)
括弧内は研究員数
20
2.事業の計画内容
1.高濃度オゾン利用技術の研究開発(2つのシステムを開発)
1.高濃度オゾン利用技術の研究開発(2つのシステムを開発)
①システム1・・生物難分解性有機物を含み、生物分解性有機物が多い廃水
→ 万博実証実験
余剰汚泥削減・燐回収型生物処理
廃水
高効率高濃度オゾン処理プロセス
(オゾン処理、オゾン/UV処理)
処理水
②システム2・・生物難分解性有機物が多い廃水
→ 染色廃水実証実験
高濃度オゾン処理プロセス
廃水 (難分解性有機物の生物分解性への変換)
生物学的処理
処理水
2.安全な高濃度オゾン利用技術
副生成物の評価手法・生成機構・抑制技術
3.高濃度オゾン利用基準の研究・策定
高濃度オゾン利用基準の研究・策定
21
事業原簿P.7,8
2.事業の計画内容
基盤研究
1.高濃度オゾン利用技術の研究開発
1)システム1・・生物難分解性有機物を含み、生物分解性有機物が多い廃水
→ 万博実証実験
余剰汚泥削減・燐回収型生物処理
廃水
生物機能促進研究
(資源回収・物質循環プロセス)
(荏原・京大)
高効率高濃度オゾン処理プロセス
(オゾン処理、オゾン/UV処理)
処理水
促進酸化法の高効率化の研究(三菱)
病原微生物の不活特性の研究(富士)
22
事業原簿P.7、8
2.事業の計画内容
2)システム2・・生物難分解性有機物が多い廃水
→ 染色廃水実証実験
廃水
高濃度オゾン処理プロセス
(難分解性有機物の生物分解性への変換)
処理水
生物学的処理
生物機能促進研究(有害物質高度処理プロセス)(産総研・埼玉)
高濃度オゾン反応機構と装置化の研究(石播)
23
事業原簿P.7
2.事業の計画内容
2.安全な高濃度オゾン利用技術
副生成物の評価手法・生成機構・抑制技術
副生成物の評価手法と生成機構の研究(京大)
副生成物の抑制技術の研究(富士)
3.高濃度オゾン利用基準の研究・策定
高濃度オゾン利用基準の研究・策定
高濃度ガスの安全性の研究(産総研)
オゾン利用の安全性評価と利用基準の研究(造水)
24
事業原簿P.8
2.事業の計画内容(スケジュール)
実施項目
H13年度
H14年度
H15年度
H16年度
H17年度
事 後 評 価
中 間 評 価
基盤研究
①高濃度オゾン利
用技術
②安全な高濃度オ
ゾン利用技術
③高濃度オゾン利
用基準の研究・策
定
④総合実証実験事
前検討
総合実証実験
25
事業原簿P.7
2.事業の計画内容(開発コスト)
NEDO
(特別会計)
企業等
総額
H13fy
H14fy
H15fy
H16fy
141
203
195
357
45
66
65
119
186
269
261
476
H17fy
総額
131 1,028
44
339
175 1,367
(単位:百万円)
単位量あたりの開発コスト(=投入コスト/対象廃水)は0.09円/m3。
※対象廃水(産業廃水27億m3、生活排水130億m3)については、工業統計及び下水統計より推定。
26
3.情勢変化への対応
安全・安心な社会構築及び省エネルギーに対する社会的要求は年々高まっており、本
技術に対するニーズは確実に高くなってきている。そのため、プロジェクトについては
計画について大きな変更を行わず、開発目標の達成に向けて確実な遂行を目指した。
なお、中間評価の結果に基づき、基本計画について一部改訂を実施し、目標の明確化
を図っている。
27
事業原簿P.10
4.中間評価への対応
○ 評価の実施時期
「省エネルギー型廃水処理技術開発」(中間評価) 分科会
・第1回分科会
平成15年6月24日
・第2回分科会
平成15年8月26日
第10回技術評価委員会 平成15年9月25日
○ 評価項目・基準
<評価項目>
・事業の目的・政策的位置付けについて
・研究開発マネジメントについて
・研究開発成果について
・実用化・事業化の見通しについて
28
事業原簿P.10
4.中間評価への対応
1.事業の位置付け・必要性について
2.7
2.研究開発マネジメントについて
2.7
3.研究開発成果について
2.2
4.実用化・事業化の見通しについて
2.2
0.0
1.0
2.0
3.0
平均値
評価項目
平均値
※素点
1.事業の位置付け・必要性について
2.7
A
A
A
A
B
B
2.研究開発マネジメントについて
2.7
A
A
A
A
B
B
3.研究開発成果について
2.2
A
B
B
B
B
B
4.実用化・事業化の見通しについて
2.2
A
A
B
B
B
C
(注)A=3,B=2,C=1,D=0として事務局が数値に換算
29
事業原簿P.14
4.中間評価への対応
主な指摘事項
コスト面での詰め、掲げた数値目標の調和
のとれた達成や長期実証試験による実用
化への展望などに留意して欲しい
実排水による水質・水量変動を加味した長
期実証テスト、特に冬季の窒素除去、難分
解性物質分解などの処理性能を検討し、
実用化を計って欲しい。
今後のFSでは、どの程度の規模の水処理
を本技術の対象としているのかを明らかに
しながら、従来法とのコスト比較をして欲し
い。
事業原簿P.10、11
対応
長期実証試験の結果も踏まえ、コスト計算
を実施し実用化へ向けた事業性について
も評価を行った。
実証試験にて実廃水により窒素除去につ
いて調査、従来法とほぼ同等の除去能力
があることを確認。冬季の窒素除去につい
てはパイロットプラントにて調査を行い、除
去低下はないことを確認。愛知万博では半
年間、染色事業所では1年間の長期試験
を行い、年間の変動に対する実証結果を
提示した。
処理水量1000m3/日(染色廃水は180m3/
日)とし、LCA的評価を実施し、開発技術が
従来技術に比べ使用エネルギー低減40%
の目標値をクリア、あわせてコスト比較を
30
実施し、メリットを明らかにした。
4.中間評価への対応
主な指摘事項
排水によっては無数にある難分解性有害
化学物質のすべてを除去目標としている
のか不明である。特に、愛知万博での実証
試験では、難分解性有害化学物質の流入
が極めて少ない可能性が高く、それをどの
ように実証するのか今から検討すべきであ
ろう。
対応
処理対象として、下水については17βエス
トラジオール等内分泌攪乱性及び変異原
性物質、染色廃水については色度要因性
難分解性物質とした。愛知万博の実証試
験では、難分解性有機物として17βエスト
ラジオールについて検討し、100%分解す
ることができた。また、染色事業所で使用さ
れる原材料特性から、染色廃水中での難
分解性有害物質として色度要因物質を特
定し、90%程度の除去を実現した。
環境をトータルに捕らえて、例えば、省エネ LCA的評価について、処理水量1000m3/
ルギー性、環境調和性を証明するために、 日とし、薬品使用量、消費動力等を積み上
使用薬剤などを加えたLCAなども指標に入 げることによって実施し、開発技術が従来
れてもよいであろう。
技術よりも原油消費量換算で目標値の
40%以上をクリアした。
31
事業原簿P.11
4.中間評価への対応
主な指摘事項
対応
今後は、副生成物、複合化合物の影響、ス 色度要因物質の高度除去のみならず、
ケールアップなどに留意しつつ、実用化を THMsや環境ホルモン類の低減についても
検討し、それらの低減にも開発技術が有効
目指して欲しい。
であることを明らかにした。さらに、副生成
物抑制のための操作条件について提示し
た。
他の競合技術との、例えば、初期コストや
維持管理費などを比較し、システム中で高
いユニットプロセスのコスト削減に努めるべ
きであろう。
開発技術では、前処理、オゾンUV処理、後
処理の3ユニットから成り、それぞれについ
て最適な装置仕様を提示した。染色廃水で
の色度除去に関する既存技術の調査を行
い、現状に則したコスト評価を行った
32
事業原簿P.12
4.中間評価への対応
主な指摘事項
高濃度オゾンの利点を他の競合する方法
と比較することで、長所を説明して欲しい。
副生成物の検討、窒素除去の改善なども
鋭意進めて欲しい。
長期利用による金属等使用材料の変質に
注意し、より安全に高濃度オゾンを利用す
る基準を策定して欲しい。
対応
コスト比較を実施し、他の技術と比較する
ことにより高濃度オゾンを利用することの
利点を明らかにした。
副生成物の安全な処理方法について検討
し、操作因子として溶存オゾン濃度を0.1
mg/L以下に制御すること、そのために過
酸化水素添加量の操作が必要であること
を提示した。
使用材料の変質にも留意した安全な高濃
度オゾン利用基準を日本語と英語で作成
し、公開した。
33
事業原簿P.13
Ⅲ.研究開発成果について(概要)
34
1.事業全体の成果(目標に対する成果)
事業原簿P.16
目標
達成度
実績等
①省エネルギー率
:40%以上
◎
¾汚泥減容化ー資源回収ー病原性微生物
不活化システム:41%
¾汚泥減容化ー資源回収ー促進酸化システ
ム:43%
¾高濃度オゾン処理ー生物処理システム:
55%
②有機性余剰汚泥削減率
:90%以上
◎
¾
③難分解性有害化学物質
の除去率:90%以上
◎
下水:17βエストラジオール100%除去
染色廃水:色度要因難分解性物質
89%除去(高濃度の場合91%)
(④燐資源の回収率:70%)
◎
¾
91%を達成
¾
¾
80%を達成
35
1.事業全体の成果(個別事業の成果)
基盤研究
1.高濃度オゾン利用技術の研究開発
1)システム1・・生物難分解性有機物を含み、生物分解性有機物が多い廃水
→ 万博実証実験
余剰汚泥削減・燐回収型生物処理
廃水
・汚泥液化率は30%等の操作設計因子
を提示
・人工下水・ラボテスト、実廃水・パイロッ
トプラント実験で有機性余剰汚泥削減率
90%、燐回収率70%を達成、BOD10mg/L、
T-P1mg/L、T-N10mg/L以下
・数理モデルにより機構解明と設計操作
因子の提示
高効率高濃度オゾン処理プロセス
(オゾン処理、オゾン/UV処理)
処理水
・オゾン/UV法での酢酸Naを90%以上除去(過酸
化水素とオゾンとの反応促進)
・従来のO3/UV法の比し40%以上エネルギー削減
技術の開発
・前処理(ラジカルスカベンジャー)・後処理(過酸
化水素)技術の開発
・低TOC廃水適用技術も開発
・クリプトスポリジウムの不活化の評価法を確立
・クリプトスポリジウムと古草菌の不活化特性の
相関性を把握
・不活化率99%以上達成のための操作条件と し
てCT値7~10mg・min/Lを提示
36
・効率的反応器の提示
2)システム2・・生物難分解性有機物が多い廃水
→ 染色廃水実証実験
高濃度オゾン処理プロセス
(難分解性有機物の生物分解性への変換)
生物学的処理
処理水
・色度要因物質の除去においてオゾン処理30分などの必要オゾン処理条件の提示
・オゾン処理ー生物処理により色度要因物質の除去率90%の達成
・対比処理である活性炭での除去特性と条件を把握→エネルギー・コスト比較
・各種産業廃水への適用性と条件の提示
・p-CP等難分解性有機物質のオゾン処理効果シミュレータの開発
・p-CP分解率90%以上の達成とその最適条件の提示
・染色廃水処理条件の提示
・オゾン注入制御因子の提示と実証
・金属探傷工程への適用性の明示
37
2.安全な高濃度オゾン利用技術
副生成物の評価手法・生成機構・抑制技術
・臭素系化合物、アルデヒド類、低級カルボン酸、内分泌撹乱化
学物質の機器分析法の確立
・内分泌撹乱化学物質、変異原性の生物試験法の確立
・オゾン処理副生成物の生成機構と生成条件を明示
・内分泌撹乱化学物質の90%以上の分解とともに副生成物抑制
を達成
・pH条件、オゾン処理の適正添加やオゾン/過酸化水素法による
制御技術を開発
38
3.高濃度オゾン利用基準の研究・策定
高濃度オゾン利用基準の研究・策定
<高濃度オゾンガスの安全性の研究>
・オゾン耐食性材料の提示
・オゾンは大気圧では10%以上で爆発、低圧ではより安全
・爆発特性と条件の提示
・不純物の混入の影響を明示
<オゾン利用の安全性評価と利用基準の研究>
・オゾン利用に関するリスクおよびリスク管理のあり方について調査研究
・「オゾン利用に関する安全基準(和文および英文)」を作成
・現場での適用性や整合性のチェック・修正
39
総合実証実験
<万博実証実験>
・余剰汚泥削減・燐回収型生物反応器
処理水水質:BOD10mg/L、T-P1mg/L、T-N10mg/L以下を達成
有機性余剰汚泥削減率90%以上を達成
燐回収率70%以上を達成
このプロセスのみで、エネルギー消費量を10.8%削減
・オゾン単独処理(消毒)
オゾン注入率1.5mgO3/mg/TOCでCT値7~10mg・min/Lを達成し、不活化率99%以
上を達成
CT値7~10mg・min/Lを達成しうるオゾン注入制御法を提示し、実証
内分泌撹乱化学物質90%以上の除去を達成
臭素酸イオンの生成を抑制
活性炭+塩素消毒に比し、原油消費量を48%削減
40
・オゾン/UV法
処理時間12分、△O3/△TOCが30g/gで、処理水TOC3mg/L以下を達成し、
生物活性炭処理で0.5mg/L以下に低減
17βエストラジオールをほとんど全て分解
RO膜と比較し、原油消費量を52%削減
・トータルシステム
安定した所定の処理性能を発揮
省エネルギー率40%、有機性余剰汚泥削減率90%、難分解性有機物分解
除去率90%および燐回収率70%を達成
41
<染色工場実証実験>
色素要因物質除去率は平均で89%(原水で高い場合は平均で91%)を達成
省エネルギー率は、活性炭利用法に比し55%
高濃度オゾンを用いることにより低濃度オゾン利用に比し、消費エネルギー量は
22%削減
42
1.事業全体の成果(特許等)
特許
論文発表
口頭発表他
新聞発表
17件
19件
62件
7件
安全な高濃度オゾンガ
ス利用技術システムの
研究開発
-
12件
34件
-
高濃度オゾン利用基
準の研究・策定
-
-
8件
-
17件
31件
104件
7件
高濃度オゾン利用技
術の研究開発
合計
(封印320件)
※特許については出願中を含む。
43
事業原簿 別紙「論文等のリスト」
Ⅳ.実用化・事業化の見通しについて
44
実用化の可能性
本開発技術は、これまでの研究開発成果から下記の点について優
れていることが分かった。
①エネルギー(40%削減)
②有機性汚泥の削減(90%削減) 、リン回収(70%回収)
③処理水の高度化(難分解性物質の90%以上除去)
④スペース(従来設備とほぼ同等)
⑤コスト(大幅削減)
技術の優位性、費用面でのメリットにより実用性大
45
事業原簿P.62
販売するシステム
新設設備においてはトータルシステムでの導入のケースもあり得るが、
普及のターゲットである既設設備への追設、リプレイスを考慮した場合、
各要素を個別設備として導入を図っていくことが導入に結びつけやすい。
46
波及効果(市場規模の推定)
表Ⅳ-1 市場規模の推定
業 種 等
件数
対象廃水量 平均処理量
(千m 3 /日)
(m 3 /日)
平均設備費
導入率
(百万円)
(%)
市場規模
(億円/年)
食料・飲料
7,894
1,370
174
60 ~
139
68.4
216 ~
500
繊維・染色
944
580
614
145 ~
339
74.5
68 ~
159
紙パルプ
1,617
6,310
3,902
528 ~ 1,232
72.0
410 ~
956
化学
2,149
470
219
71 ~
165
41.6
42 ~
98
電子・デバイス
2,207
230
104
44 ~
102
47.4
31 ~
71
小 計
下水
14,811
8,960
1,718
35,671
20,763
-
496 ~ 2,432
合 計
-
767 ~ 1,785
27.4
156 ~
763
922 ~ 2,548
注)件数及び水量は、平成15年度工業統計、平成13年度下水道統計を基に算出。
工場における対象廃水量は、{新規補給水-(原料用水+ボイラ用水)}×(1-冷却・温調用水/合計)より求めた。
47
事業原簿P.63
普及・広報活動
„
„
„
„
„
愛知万博におけるエコツアー(バックヤードツアー)への
協力(参加者:約5000名)
技術紹介ホームページの開設
成果報告会の開催(参加者:約100名)
雑誌への掲載(月刊地球環境2006年6月号他)
展示会への出展(エコプロダクツ展他)
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事業化までのシナリオ
実証試験により高濃度オゾン処理システムの優位性を確認し、各種廃水処理分
野での事業化に見通しが得られた。
ただし、実績の無いことが事業推進の障害となる可能性が懸念されるため、まず
は数年をかけて実績を積み上げる予定である。
1.各社のPR活動、受注活動実施
○金属加工事業所への受注活動の開始(石川島播磨重工業)
○自社工場への展開活動(三菱電機)
○実設備導入に向けた仕様の標準化検討の実施(富士電機システムズ)
○オゾン利用に関する安全講習会の実施(日本オゾン協会)
2.NEDOにおける普及事業
○高濃度オゾンを用いた廃水処理技術の石油化学コンビナートへの適用調査
(造水促進センター、荏原製作所)
○オゾン応用技術の安全管理に関する標準化調査事業(日本オゾン協会)
49
事業原簿P.62
(参考)
高濃度オゾンを用いた廃水処理技術の石油化学コンビ
ナートへの適用調査について(H18年度)
五井地区石油化学コンビナート(千葉県)における一層の水使用の合理化と省エ
ネルギー化を図るべく用排水ネットワークの最適化について検討を行い、また本
ネットワーク構築において導入が必要となると考えられる廃水処理システムに関
しての適用性について検討することを目的とする。
省エネルギー型廃水処理技術(高濃度オゾン廃水処理技術)の石油化学工場廃
水に対する適用性ならびに当該技術導入における有効性と課題について検討。
上記課題をクリアにしつつ、将来的には石油化学プラントにおける導入を図って
いく。
50
(参考)
オゾン応用技術の安全管理に関する標準化調査事業
(H18~20年度)
省エネルギー型廃水処理技術開発において作成した「オゾン利用に関する安全
管理規準」をもとに、オゾン濃度の測定方法、オゾン発生原理にまでを含んだ、
オゾンの取り扱いに関する安全管理についてJIS原案を作成する。
51
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