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IRに関する道民セミナー 釧路会場 ギャンブルと 多重債務問題等について 平成27年1月31日 阿寒湖まりむ館 弁護士 道 尻 豊 1 多重債務とは? すでにある借金の返済に充てるために、他の金融業者から 借り入れる行為を繰り返し、利息の支払いもかさんで借金が 雪だるま式に増え続ける状態を指す。多重多額債務ともよ ばれる。 消費者信用の拡大は業者間競争を招き、消費者の借り入 れを容易にすると同時に、一人あたりの借り入れ額を増大さ せ、過度の借金依存世帯を生んだ。金融業者による個人の 返済能力を超えた過剰貸付行為に主たる原因があるが、消 費者側の安易な借り入れ依存の体質も一因とされる。 多重債務状態に陥ると個人での解決はきわめて 困難となり、弁護士を介しての債務整理や裁判所 による自己破産手続きを受けるケースが多い。 (金融広報中央委員会ウェブサイト・金融用語解説より) 1 2 経済・生活苦による自殺者数の推移 (人) (人) 10000 9000 8000 7000 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0 平 成 元 年 3年 5年 7年 9年 11 13年 15年 17年 19年 21年 23年 25年 年 40000 35000 30000 25000 20000 15000 10000 5000 0 自殺者総数(左目盛) 経済・生活苦による自殺者(右目盛) (警察庁生活安全局調べ) 2 3 負債(多重債務)による自殺者数 (人) 2000 1800 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 平成19年 21年 23年 25年 (警察庁生活安全局調べ) 3 4 主な債務整理の方法 任意整理 ・各債権者と個別に交渉・和解して、一括または分割で支払う。 民事再生(個人再生) ・債務全額の支払が難しい場合、裁判所に申立をして、全債権 者に対する支払総額を少なくし、減額後の金額を分割して (原則3年)支払うとともに、残る債務は免除してもらう。 破産・免責(自己破産) ・債務の支払ができない場合に、①裁判所に自ら破産と免責 の申立をして、②まず破産の決定を受け、③続いて免責の決 定を受けることで債務を支払わなくても済む(但し例外あり)。 4 (裁判所のウェブサイトより) 5 5 自己破産申立件数の推移 (件) 250000 「ヤミ金融」が 社会問題化 貸金業法改正 200000 「商工ローン」が 社会問題化 150000 100000 「カード破産」が 社会問題化 50000 0 平成元年 6年 11年 16年 21年 (自己破産申立件数は司法統計年報より) 6 6 破産の理由 浪費・遊興費 約5% ギャンブルが原因 投資(株式、会員 権、不動産等) ギャンブル その他 生活苦・低所 得 住宅購入 冠婚葬祭 教育資金 生活用品の 購入 名義貸し 病気・医療費 第三者の債務 の肩代わり 保証債務 負債の返済 (保証以外) 免責が 不許可に なるおそれ 失業・転職 事業資金 給料の減少 (2011年の破産事件記録より、日本弁護士 連合会消費者問題対策委員会調べ) 自己破産による経済的 立ち直りもできない! 7 7 あるパチンコ依存者の事案 ・・・ 責める 夫 家計・家事 等について A (40代主婦) 長 女 夫から責められると 身も心も固まり、 何も言うことができず、 ストレスを 抱え込んでいた。 次 女 8 誘われてパチンコに行く A 夢中になり、夫とのことを 考えずにいられる! 主 婦 仲 間 パチンコに 行かない? ストレスから解放され、 自分が「生きてる」と感じる! 夫との喧嘩が続き、ストレスに耐えられなくなると パチンコに行くようになった パチンコに行く回数が増え、手持ちの金はすぐに無くなる 9 A パチンコをしたくてたまらず 常にパチンコのことを 考える状態に! パチンコをしたい、パチンコをしなければ生きていけない という「強迫的な衝動」に支配される でも、パチンコをするための金が無い! 10 【最初の事件】 パチンコを始めて5か月後 近所の老人宅に侵入 A そのままパチンコに パチンコ代を 手に入れなければ 生きていけない 老 人 老人が在宅していたため、置 いてあったスカーフで首を絞め、 意識を失わせる 現金を強取 11 【その後の事件】 同様にパチンコ代のために 強盗殺人未遂事件・・・1件 窃盗事件 ・・・複数件 【判決等】 A 精神鑑定 「病的賭博(パチンコ依存)」 責任能力あり 懲役 17年 自分の病気により被害者を傷つけてしまった 事実を重く受け止め、一生懸命に「務め」を 果たします。 生活態度を改善するとともに、妻の社会復帰 後は、二度と社会に迷惑をかけることのない よう、依存症治療を受け続けさせます。 夫 12 8 ギャンブル依存がもたらす社会的影響(コスト) 経済的 破たん 窃盗、横領 などの犯罪、 治安の悪化 ギャンブル依存 家族、友人 関係の破壊 生活保護、 各種手当な どの支出増 13 9 ギャンブル依存症対策 厚生労働省の研究班による推計 (2014年8月) 536万人=成人の5%弱が ギャンブル依存症の疑い! 医学的治療 態勢不十分、再発のおそれ 自助グループ、団体 参加者少数、実効性あるか 入場の禁止、制限 他のギャンブル、闇カジノなど 14 10 IR・カジノの導入について 暴力団対策上の問題 マネー・ロンダリングの問題 ・カジノ場内での資金の流れの 捕捉、マネー・ロンダリングの 抑止が技術的に可能か? カジノによる経済効果への疑問 ・様々な形で資金獲得活動に 参入のおそれ。 ・威力行使、カジノ従業員や利 用客にも被害が及ぶ危険性。 ・カジノ設置自治体の人口が減少 等の例も。 ・経済的なマイナス要因は、客観 的に検証されていない。 青少年への悪影響 多重債務問題再燃の危険性 ・家族で出かける先で、 子ども達が賭博に対す る抵抗感を喪失。 ・2006年の貸金業法改正等で、 多重債務者が激減。 ・カジノ合法化は、多重債務者を 再び増やすおそれ。 カジノ解禁の問題点! ギャンブル依存症の拡大 民間企業の設置・運営による問題 ・民間企業がカジノを設置、運営 ・民間企業に、公共の信頼の担保 を委ねられるか。 ・慢性、進行性、難治性。 ・カジノ設置によって患者増加のおそれ。 ・ギャンブル依存症対策は、カジノ収益 に頼らず、別途行うべきもの。 (日本弁護士連合会2014年5月9日付け意見書参照) 15