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飯能市教育委員会(PDF:741KB)
学 校 給 食 における「子 ども自 らつくる弁 当 の日 」の実 践 飯能市教育委員会 1 目 的 ・趣 旨 食 育 の一 環 として、生 徒 自 身 がおにぎりを作 ることで、調 理 のノウハウを学 び、 栄 養 バランスの良 い食 事 を考 える態 度 を育 てる。また、家 族 の協 力 ・支 援 を得 ながら作 るこ とで、家 族 とのつながりを深 め、いつも作 ってもらっていることへの感 謝 の気 持 ち を育 て る。 2 概 要 (1)取 組 の名 称 「おにぎりの日 」 (2)取 組 開 始 年 度 平 成 21年 度 (3)実 施 対 象 者 対 象 校 飯能市立南高麗中学校 対象学年 全学年 ・人 数 等 (4)実 施 回 数 3クラス 56名 年 7回 夏 場 などを除 いた月 に1回 、生 徒 が自 分 でおにぎり (5)内 容 ・方 法 等 を作 ってくる。具 は自 由 なので、自 分 自 身 で考 えて作 る。 3 実 施 にいたるまでの課 題 と解 決 策 平 成 21年 度 からの実 施 に向 け、 20年 度 末 に「おにぎりの日 」に関 するアンケートを 生 徒 ・保 護 者 に実 施 した。アンケート結 果 は以 下 の通 りである。 質 問 ① 「おにぎりの日 」に賛 成 か反 対 か。 <生 徒 > <保 護 者 > 賛成 反対 賛成 1年 12 3 新 1年 生 2年 16 4 全体 28 7 % 80 20 反対 どち ら とも 言 え な い 15 0 3 1年 9 1 3 2年 5 1 11 29 2 17 60.4 4.2 35.4 全体 % 質 問 ② 賛 成 、反 対 の理 由 は何 か。 生徒 保護者 ○普 段 作 ってもらっていることへのありがた ○自 分 で作 ってみることで、ありがたさを感 じ みがわかる。 てほしい。 ○自 分 でどういうおにぎりを作 るとか、栄 養 ○親 の大 切 さがわかる。 バランスとか考 えることができる。 賛 成 意 見 ○食 への関 心 が高 まりそう。 ○自 分 で弁 当 を作 ると調 理 の大 変 さや食 物 の大 切 さが分 かる。 ○食 事 を用 意 することが大 変 なことなど、少 しずつでも考 え、家 でも手 伝 いができるよ ○自 分 のためにいいと思 う。また、食 料 につ うになるためにも良 いことだと思 う。食 事 を いて考 えるようになる。 作 ってくれる方 に感 謝 できるようになったら ○母 にいつも迷 惑 をかけているので、自 分 で 作 るのはいいと思 う。 いいと思 う。 ○自 分 で作 り、味 わうことで食 べられることへ ○いつも作 ってもらっているので、自 分 で作 の感 謝 の気 持 ちが育 つと思 う。 る日 があっても良 いと思 う。 ○家 族 の協 力 ・支 援 が上 手 くできないから。 ○結 局 は、親 が作 るようになるのでは。 ○朝 、いちいち作 るのが面 倒 くさいから。 反 対 意 見 ○親 が、結 局 作 るようになるのではないかと 思 う。 ○委 員 会 などで、朝 、用 事 があるときは忙 し い。 生 徒 の8 割 、 保 護 者 の6 割 が 賛 成 と い う 結 果 と なっ た 。 生 徒 ・ 保 護 者 それ ぞれの 意 見 から「おにぎりの日 」を前 向 きに捉 え、意 欲 的 に取 り組 もうとする気 持 ちを確 認 するこ とができ、21年 度 からの実 施 にいたった。 4 実施計画 期 平 成 21年 度 日 内 4月 容 「おにぎりの日 」開 始 。原 則 として月 一 回 実 施 。 第 一 回 目 のおにぎりの日 の後 、アンケート実 施 。 7月 2月 平 成 22年 度 「おにぎり の日 」についてのア ンケートを 生 徒 ・保 護 者 に 実施。 「おにぎりの日 」を1年 間 実 施 してみての感 想 お生 徒 ・ 保 護 者 にアンケート。学 校 だよりで結 果 を報 告 。 平 成 21年 度 と同 様 に夏 場 を除 く月 一 回 実 施 。 5 取 組 の内 容 【平 成 21年 度 】 (1)月 1回 「おにぎりの日 」を実 施 。 (2) 年 1回 青 空 給 食 の日 を 設 け、屋 外 で全 校 での縦 割 り 班 でおにぎりを食 べる。他 学 年 との交 流 を図 りながら好 ましい人 間 関 係 の育 成 を図 った。 (3)家 庭 科 の授 業 で「お にぎり実 習 」の時 間 を設 け、自 分 でお にぎりを作 る練 習 を行 っ た。また、生 徒 が自 分 で考 えたおにぎりの具 について紹 介 する新 聞 を作 るなど、 食 材 への関 心 を高 め、実 践 へとつなげた。 (4) 毎 回 のお にぎり の具 を 何 にし よう か迷 ってし まう 生 徒 のた めに、学 校 だより で 以 下 のような“おにぎりの具 の紹 介 ”を行 った。 たらこ+ おかか+ ツ ナ マ ヨネ ー ズ お茶 漬 けの 素 をご飯 と 混 ぜるだけの シンプルさ が Good 油 をよく切 ったツナを 麺 つゆ で 和 え て 入 れ る。みじん切 りのたま ねぎを入 れても良 い おかか+醤 油 + マ ヨネ ー ズ 刻 みネギ+味 噌 ベーコンを 刻 んで、チン して マ ヨネ ー ズ と和 え る 豚 の小 間 切 れを しょう が 焼 き の 味 付 けで握 る (5)平 成 21年 度 の最 終 アンケート結 果 (3月 ) 質 問 ①おにぎりを誰 が作 りましたか。(A:毎 回 自 分 で B:ほとんど自 分 で C:大 体 親 等 が) 誰が作りましたか A 1年 53 2年 40 69 7 23 8 学年 3年 54 合計 31 59 0% 20% 40% 60% C 15 31 B 10 80% 9 割 の 生 徒 が 自 分 で 作 ってお り 、 この企 画 の趣 旨 (自 分 で作 り 、料 理 に親 しむ等 )が達 成 されてい る。 100% パーセント 質 問 ②来 年 度 のおにぎりの日 実 施 について。(A:賛 成 B:どちらでも良 い C:反 対 ) 実 実施について賛否(生徒) 施 につ いて 賛 否 ( 生 徒 ) 1年 27 2年 60 14 A 13 57 B 29 学年 100 3年 合計 14 0% 0 72 20% 40% C 1年 と2年 生 の賛 成 と反 対 の割 合 が逆 転 している。興 味 深 い傾 向 で ある。3年 生 は卒 業 してしまうので 「どちらでも良 い」と考 えたのか。 14 60% 80% 100% パーセント 実施について賛否(保護者) 実 施 につ いて 賛 否 ( 保 護 者 ) 1年 55 2年 45 38 学年 3年 38 23 合計 69 39 0% 20% 51 40% 60% パーセント 0 A B 23 8 10 80% 100% C 1年 の保 護 者 の反 対 は0%、2 年 の 保 護 者 の 賛 成 は 3 8% で、生 徒 と保 護 者 の考 え方 (感 じ方 )に 相 違 がうかがえる。おにぎりを作 る 生 徒 は大 変 だと思 っているが、保 護 者 はその意 義 を理 解 して賛 成 が多 いのではと考 える。 【平 成 22年 度 】 (1)前 年 度 と同 様 に、夏 場 を除 く月 1回 「おにぎりの日 」を実 施 。 (2)「お にぎり の 日 」 に全 校 の 縦 割 り 班 で お にぎり を 食 べ、 生 徒 同 士 でお にぎり を 見 せ 合 うなど、食 への興 味 関 心 を持 たせ、次 回 実 施 への意 欲 を高 めた。 (3)平 成 22年 度 「おにぎりの日 」のアンケート結 果 。 質 問 ①おにぎりの日 を実 施 してどうでしたか。 よい まあよい あまり よくない 0 よくない 1年 生 10 11 2年 生 6 5 5 3 3年 生 1 8 3 1 0 質 問 ②おにぎりを自 分 で作 りましたか。 1年 生 すべて 自分 14 だいたい 自分 7 ほとんど 家族 0 すべて 家族 0 2年 生 9 5 3 2 3年 生 8 5 0 0 22年 度 初 めてのおに ぎりの 日 の感 想 では、「自 分 で作 ると おいしかった」、「思 ったより作 るのは大 変 だった」、「親 の苦 労 を知 るよい機 会 になった」、 「朝 早 く起 きるのがつらかっ た」 など、食 について考 えたり、親 への感 謝 の念 を抱 いたり、生 徒 から寄 せられた感 想 は様 々 だった。 また、ア ンケ ート の結 果 を 見 ると、おにぎりの日 の実 施 に 対 して、21年 度 の最 終 アンケー ト より も 前 向 き に 捉 え 、 積 極 的 に取 り組 んでいる生 徒 が多 く なったことがわかった。 6 成 果 と課 題 (1)成 果 【生 徒 の感 想 】 ○自 分 で作 ったおにぎりが美 味 しかった。 ○違 う学 年 と一 緒 に食 べられるから楽 しい。 ○早 起 きして作 ることが大 変 なことだと、あらためて分 かった 。 ○友 達 との話 が盛 り上 がって楽 し い。 ○食 事 を作 ることがより身 近 になった。 ○お弁 当 を作 る母 の気 持 ちが分 かり、良 い経 験 になった。 ○料 理 に興 味 をもてるようになった。 ○早 起 きして自 分 で作 ると、後 で気 持 ちがいい。 ○朝 早 く起 きて作 るのが大 変 だった。 ○おにぎりだけなのでお腹 がへ る。 【保 護 者 の感 想 】 ○腹 もちや具 材 に野 菜 を入 れるなど工 夫 して作 ることが良 い。 ○話 題 作 りや友 とのコミュニケーションに役 立 つ企 画 と思 われるので気 に入 っている 。 ○なか なか自 分 から進 んで作 るこ とがないので とても良 い機 会 となっ た 。おに ぎり オンリ ー、大 賛成。 ○自 分 で作 ることが成 長 に役 立 つ。 ○おにぎりという日 本 の文 化 はいいと思 う。 ○自 分 で苦 労 して食 事 を作 り 食 べ物 のありがたみを 感 じた方 がよい。これからも続 けて欲 しい。 ○具 材 を何 にするか悩 む時 間 がもったいないと怒 りながら も自 分 で作 っていた。その 努 力 する 姿 は学 校 からの提 案 がなければ見 られなかったので感 謝 している 。 アンケート結 果 からもわかるように、今 まで“人 に作 ってもらうことが当 たり前 ”、“給 食 がでることが当 たり前 ”だった生 徒 たちの「食 」を見 直 すきっかけとなり、自 分 で作 ること の楽 しさや、作 ってくれる人 への感 謝 の気 持 ち などが芽 生 えたことは大 きな収 穫 といえ る。これからも、感 謝 の気 持 ちや食 への関 心 を 一 層 高 めるため、 本 校 の特 色 の一 つと して取 り組 んでいきたい。 (2)課 題 生 徒 の 感 想 の 中 には、 「お にぎり の 日 が始 まっ た 頃 は 楽 し みだ ったけ れ ど、 最 近 は 慣 れて普 通 になった」という意 見 もあったので、1年 は「1年 間 おにぎりのみ」、2年 は 「後 半 のみ弁 当 も可 」、3年 は「年 間 を 通 し て おにぎりか弁 当 を 選 択 できる」などの差 を 設 け る 、 あ るい は 、 奇 数 月 は 「お に ぎり 」 、 偶 数 月 は 「 弁 当 」と す る な ど 変 化 を つけ て の 実 施 を検 討 するなど、今 後 改 善 していく必 要 がある。