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13_08_05
Forex 株式会社 ジャパン エコノミックパルス 〒107-0052 東京都港区赤坂1-14-5 Tel 03-3568-2973 Fax 03-3568-2977 www.j-pulse.co.jp [email protected] Market Insight 平成 25 年 8 月 5 日(月) 「夏枯れ」レンジ相場でドル値固めへ 米中指標、米債入札、豪日の中銀会合などが焦点 今週の為替相場は夏枯れによるレンジ相場が想定されるなか、中長期的なドル値固 めをにらんだ展開となる。週間予想はドル/円が96.80−100.80円、ユーロ/円が130.10 − 133.20 円。ドルは FRB による量的緩和(QE)縮小の遅延観測や米雇用統計の悪化な どで上値は重いものの、米国の長期金利は下限切り上がりが持続しており、緩やかな 景気回復を受けたドルの押し目買い地合いは根強い。一方で薄商いの中で新たな悪材 料による株安・円高リスクも排除できず、日々の材料に一喜一憂の手探り相場が続く。 財務省・日銀とも消費増税支持、株安・円高阻止強化 「日銀の異次元緩和を実務面で仕切る雨宮正佳企画担当理事は 1979 年に東京大学 を卒業したが、財務省の古澤満宏財務官とは大学時代の同学年で古くから親しい関 係にある。その古澤氏は黒田東彦日銀総裁の財務省時代に国際局で部下として仕え、 現在も両氏の信頼関係は強固だ。そして黒田氏は専門的な金融政策や日銀の組織統 括で雨宮氏を頼りにしており、財務省と日銀の関係は近来になく風通しが良くなっ ている」――。 こうした当局幹部と親交のある金融機関の幹部はこのように打ち明ける。現在は政 策課題として消費税の増税が大きな焦点になっているが、財務省は財政再建、日銀は 債務の肩代わり批判の回避のため、来年 4 月からの予定通り実施が共通の目標となっ てきた。現状から少しでも景気に不透明感が生じると増税の障害となるため、 「9 − 10 月の最終判断にかけては、財務省と日銀による株安・円高阻止の連携が改めて強化さ れる」(同)可能性が高まっている。 その前段階の 7 − 8 日に日銀の金融政策決定会合が開催される。日銀は政府の増税決 断をサポートする意味合いもあり、景気判断を上方修正させる見通しとなってきた。そ うなると当面の追加緩和期待が後退し、政策の現状維持とあいまって短期的な円高を 招くリスクをはらむ。それでも 9 − 10 月にかけては「国策」としての株安・円高阻止 が想定されるため、8 日前後の円高は一時的なポジション調整にとどまりそうだ。 その他、今週は 6 − 8 日に米国債市場で四半期入札が予定されている。日本の機関投 資家による応札参加の思惑が浮上したり、入札が不調となった場合の金利上昇がドル の下支え要因となりやすい。9 日の国内生保による決算発表では、外債投資への前向き 姿勢が円安材料として注目されよう。 もっとも短期的には、ドル / 円でドルの上値の重さが続いたままだ。前週の米 FOMC では量的緩和(QE)の縮小時期が 9 月から 12 月に遅延される観測が高まったほか、前 週末の米雇用統計の下振れや過去 2 カ月分の下方修正を受けて、 「米国経済は回復傾向 にあるものの反発力は鈍い」という実状が再確認されている。ドルについても同様の 流れにより、97 − 101 円を中心としたレンジ相場が持続する可能性がある。 ただし、中長期スパンではドルの下限切り上がりのトレンドが意識されよう。米国 債の中で政策コントロールの手が届きにくく、長期的な経済成長やインフレ動向が反 1 Market Insight 映される 30 年債金利は前週の FOMC 声明でのハト派スタンスや雇用統計の悪化にもかか わらず、下限の切り上がりが続いている。8 月 2 日の日中最低は 3.68%となり、7 月 10 日から 30 日かけての日中「上限」の上で踏みとどまった。 さらに米 30 年債金利は 1 日から 7 月 8 日の年初来最高を上回り、2011 年 8 月以来の最 高を更新してきた。一段の金利上昇余地が広がっており、先行きドル / 円もレンジ上方 修正を促す可能性を秘めている。 前週の FOMC では根強い物価の下落圧力という「ディスインフレ」に懸念が示された ものの、米国債市場で期待インフレ率を示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は 緩やかな反転上昇を維持している。10 年物は 1 日から 2.1 − 2.4%で推移しており、重 要な下限サポートラインである月足・一目均衡表の雲の上限 2.19%を保ったままだ。雲 の下限は 2014 年 9 月まで 1.29%前後で横這い化しており、雲の上限と下限の間の抵抗 ゾーンは極めて厚い。いわば「厚い雲」が 10 年物 BEI の一段の低下を阻んでおり、あ くまでテクニカルでは米国の長期金利とドルの下限切り上がりのトレンドが強固なもの となりつつある。その他の注目ポイントは以下の通り。 <米中の経済指標> 米国の指標は 7 月の ISM 製造業景況指数が 5 年ぶりの高水準に改善する一方、雇用統計 は予想を下回るという強弱混在が続いている。今週も 5 日の ISM 非製造業景況指数や 8 日の新規失業保険申請などに、一喜一憂する不安定さが続く。 同時に今週は中国で主要な 7 月指標が公表される。8 日に貿易統計、9 日に鉱工業生 産や小売売上高などが予定されているが、先行指標である製造業 PMI は改善を示した。 6 月の金融収縮を受けた経済混乱の反動や、日米欧の経済持ち直しなどにより、少しで も下げ止まりを見せるとリスク回避が一服。日本では前週の PMI と同様、単発的に株高 と円安が支援される可能性を秘めている。 <豪州中銀の政策委員会> 豪州市場では 6 日、豪州中銀が金融政策委員会を開催する。すでに利下げを織り込む 形で豪ドルは続落しており、実際の利下げ後には「いったんの材料出尽くし」で豪ドル 2月以降のドル/円;週足ローソク足 6週移動平均線を中央値 ボリンジャーバンド 104 102 100 98 96 94 92 90 ※レンジ横這い化 8.09 7.26 7.12 6.28 バンド上限=101.32 ※レートは5日時点 6.14 5.31 5.17 5.03 4.19 4.05 3.22 3.08 2.22 円 104 102 100 98 96 94 92 90 円 バンド下限=97.39 6週線=99.35 米国10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI);月足・一目均衡表とドル/円 2.6 2.4 2.2 2.0 1.8 1.6 1.4 1.2 1.0 ↑ BEI(左軸) 先行スパン1 先行スパン2 ドル/円(右軸) 雲 Jul-15 Jan-15 Jul-14 Jan-14 Jul-13 Jan-13 Jul-12 Jan-12 Jul-11 Jan-11 Jul-10 Jan-10 Jul-09 Jan-09 Jul-08 Jan-08 Jul-07 Jan-07 Jul-06 Jan-06 Jul-05 Jan-05 Jul-04 禁無断転載・転送 雲 Jan-04 % 120 115 110 105 100 95 90 85 80 75 厚い雲に 下限サポート 円 2 Market Insight が自律反発に転じる可能性をはらむ。しかし、豪州では根強い中国の減速懸念や鉱山 ブームのピークアウトなどにより、追加緩和の余地が消えていない。声明で 9 月以降の 連続利下げが示唆されると、豪ドルが戻り売りに押される波乱余地が残されている。 <英中銀のインフレ報告> 英国市場では 4 日、英中銀がインフレ報告を公表する。英中銀は利上げを急がない姿 勢を示しており、改めて物価の落ち着き予想が見られるとポンドが圧迫される。資源高 や通貨安、公共料金の値上げなどによるインフレ上振れのシナリオも排除できないが、 ポンド / ドルは 7 月 22 日以降、ドル全面安の中で日足・一目均衡表チャートで雲の下限 1.5380 ドルの上抜けトライが見られたものの、結局、雲の下限で上値が抑えられている (ドル反発)。8 月中旬にかけて雲の下限は 1.5170 ドル方向に切り下がっており、一段の ポンド安とドル高の可能性が注視されよう。 <ドル全面安の揺り戻し> ポンド / ドルと同様、ドル / カナダでもドル全面安の中で 7 月 24 日から雲の下限の下 抜け(ドル安とカナダ・ドル高)のトライ場面があった。しかし、ドルは雲の下限とい う重要な節目で踏みとどまり、昨年 9 月以降のドルの下限切り上がりトレンドが維持さ れている。7 月からは 5 − 6 月の QE 縮小警戒などによるドル全面高の反動調整がドル全 面安を加速させてきたが、ここに来て FOMC 終了による材料出尽くしや ISM 指数の改善、 米長期金利の下げ渋りなどもあり、ポジション調整的なドル全面安が一段落している。 ドル / 円でもドルの下押し圧力を減退させるものだ。 ドル全面安の中で消去法的にユーロ高が進んできたユーロ / ドルについても、ユーロ の調整反落が警戒されよう。日足・一目均衡表では 8 月 8 日にかけて変化日を示す「雲 のネジレ」が観測されている。雲のネジレは現状、1.3105 − 1.3110 ドル前後に位置し ており、8 日にかけては雲のネジレからの上方乖離状態を是正するユーロ安や、雲のネ ジレの下抜けトライなどが波乱リスクとなり得る。 その場合、ユーロ / 円ではユーロ安・円高の圧力がかかりやすい。しかし、今年 5 月 以降はよほどのリスク回避で円全面高に振れない限り、ユーロ / 円はドル / 円に連動す る傾向が見られ始めた。日銀の異次元緩和による円安や、豪ドルなどの資源国通貨安が こうした通貨に対してのユーロの安定性を支援しており、ユーロ / 円はレンジ内で 「ユーロ値固め」の持続が意識されやすい。 1.04 1.03 1.02 1.01 ↑ドル高 ドル/カナダとポンド/ドル 日足・一目均衡表 ドル/カナダ(左軸) 先行スパン1 先行スパン2 ポンド/ドル(右軸) 先行スパン1 先行スパン2 1.05 1.63 1.61 1.59 ↑ 切り上がり 1.55 1.53 1.00 0.99 ↓ドル高 1.51 1.49 0.98 Sep-13 Aug-13 Jul-13 Jun-13 May-13 Apr-13 Mar-13 Feb-13 Jan-13 Dec-12 Nov-12 Oct-12 Sep-12 加㌦ 1.57 ㌦ お客様は、本レポートに表示されている情報をお客様自身のためにのみご利用するものとし、第三者への提供、再配信を行う こと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。情報の内容につ いては万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、これらの情報によって生じたいかなる損害 についても、当社および本情報提供者は一切の責任を負いません。本レポートの内容は、投資一般に関する情報の提供を目的 としたものであり、勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっての最終判断はお客様ご自身でお願いします。 禁無断転載・転送 3