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26Q-pm106 網膜ミュラー細胞のマトリックスメタロプロテアーゼ発現とその発現制御につい て 1 1 ◯加瀬 美穂 1 , 宮田 佳樹 1 , 嶋田 新 1 , 小佐野 博史( 帝京大薬) 【目的】血管新生を主徴とする増殖糖尿病網膜症(PDR)は,病態進展に伴い硝 子体内に種々の生理活性因子の発現が認められ,病態との関連性が指摘されてい る.我々は,PDR 患者の硝子体中では非糖尿病性眼疾患患者に比べて血管新生因子 マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-9 が高発現していることを報告した.網 膜での MMP 産生細胞の解析は MMP を分子標的とした網膜症治療薬の開発に繋がる 可能性があるが,MMP-9 産生細胞に関する詳細は未だ不明な点が多い.そこで本研 究では,網膜構成細胞である Müller 細胞が MMP-9 を産生するか否かについて検討 した. 【方法】実験にはヒト Müller 細胞株 MIO-M1 を使用した.MIO-M1 細胞の MMP-9 産生およびその mRNA 発現については,それぞれゼラチンザイモグラフィー法およ び RT-PCR 法により解析した.【結果】ゼラチンザイモグラフィー法による解析結 果から,MIO-M1 細胞から恒常的に MMP-9 が産生していることが明らかとなった. この MIO-M1 細胞における MMP-9 の産生は,ホルボールエステル(TPA)により濃 度依存的に誘導され,その mRNA 発現が促進されたが,TNF-αおよび TGF-βでは影 響を受けなかった.TPA により誘導された MMP-9 は,PKC 阻害剤 GF109203X により 濃度依存的に抑制された.MIO-M1 細胞を 48 時間低酸素培養(5% O2)した結果, 通常培養(20% O2/25 mM glucose)に比べて MMP-9 の産生が促進された.一方,MIO-M1 細胞を高血糖培養(50 mM glucose)しても,MMP-9 産生に影響はみられなかった. 5% O2 下で TPA を処理すると,MMP-9 の産生誘導は相加的に増強された.【考察】網 膜 Müller 細胞は,網膜における MMP-9 産生細胞の一つであることが明らかとなっ た.また,その産生は PDR 病態の誘導因子である PKC 活性化や低酸素環境により 促進され,病態の進展に関与している可能性が考えられる.