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一過性運動に対する海馬細胞外プロテアーゼ動態の解明

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一過性運動に対する海馬細胞外プロテアーゼ動態の解明
第 27 回健康医科学研究助成論文集
平成 22 年度 pp.118∼127(2012.3)
一過性運動に対する海馬細胞外プロテアーゼ動態の解明
西 島 壮*
川 上 将 史*
北 一 郎*
RESPONSE OF EXTRACELLULAR PROTEASES IN
THE HIPPOCAMPUS TO A BOUT OF EXERCISE
Takeshi Nishijima, Masashi Kawakami, and Ichiro Kita
SUMMARY
Although accumulating evidence demonstrates that physical exercise improves hippocampal plasticity, the molecular mechanisms underlying the positive effects of exercise are still poorly understood. Extracellular matrix
and proteases regulate perineuronal environment, which in turn induces structural and functional changes in the
central nervous system. In particular, matrix metalloproteinases-9(MMP-9)is known to play diverse neurophysiological roles in the hippocampus, which led us to hypothesize that MMP-9 may be involved in regulating effects
of exercise on the hippocampus. In this study, we examined whether a bout of treadmill running increases MMP9 activity in the rat hippocampus. Male Wistar rats were subjected to treadmill running at different speed(0, 10, or
25 m/min)for 30 min and sacrificed at 0, 1, 12, or 24 hour after running. Gel zymography indicated that MMP9 activity in the hippocampus slightly increased immediately after treadmill running at 25 m/min, but no statistical
difference was observed as compared to sedentary control. Treadmill running did not alter MMP-9 activity at any
other time points that we examined. We found treadmill running has no effect on MMP-2 activity in the hippocampus at any time points. In situ zymography suggested that treadmill running at 25 m/min might slightly increase
net MMP-2/9 gelatinolytic activity in the dentate gyrus(DG)but not in the CA1/3 area of the hippocampus.
These results suggest that treadmill running has little effect on MMP-9 proteolytic activity, if any, the effect might
be restricted in the DG. Because sedentary control rats showed constitutive MMP-9 activity in the hippocampus,
the constitutive proteolitic activity would be involved in mediating effects of exercise on the hippocampal plasticity. Further study would be required to test the hypothesis.
Key words: treadmill running, hippocampus, extracellular protease, matrix metalloproteinase-9, zymography.
緒 言
の機能を維持・向上させる有効な手段として運
動が注目されており 12,32)、運動が海馬の神経細胞
近年の神経科学研究により、代表的な精神疾患
新生を促進するなど構造的変化を引き起こすこ
であるアルツハイマー病やうつ病の発症には、記
と 29,34)、アルツハイマー病の原因蛋白であるアミ
憶・学習を担う海馬の機能低下が 1 つの誘因と
ロイドβの蓄積を抑えること 1,23)、抗うつ効果を
なることが示唆されている 。そして、この海馬
もたらすこと 3,14)、などが動物実験により明らか
7)
首都大学東京大学院人間健康科学研究科 Graduate School of Human Health Sciences, Tokyo Metropolitan University, Tokyo, Japan.
* (119)
にされている。また高齢者を対象とした研究にお
運動が海馬依存性の空間学習能力や LTP を促
いても、持久的運動トレーニングが海馬を肥大さ
進することを踏まえると 34)、海馬に対する運動
せ、海馬依存性の記憶能力を向上させることも報
効果の背景に MMP-9 が関与する可能性は高い。
告された 11)。しかしながら、運動が海馬機能を
しかしながら、そもそも運動が海馬 MMP-9 にど
高める分子基盤はいまだ解明されておらず、特に、 のような影響を及ぼすか調べた研究は、我々の知
細胞外環境に着目した研究は皆無である。
る限り Guo et al.15)による報告のみである。Guo et
脳神経系は、細胞(神経細胞,グリア細胞,他)
al. は、ラットに 3 週間のトレッドミル走運動(30
と、脳容積の約 20%を占める細胞外環境とによっ
m/min)を行わせた結果、MMP-9 遺伝子および蛋
て構成される 9,24)。この細胞外環境は、糖蛋白質
白質発現、プロテアーゼ活性がいずれも変化しな
(コンドロイチン硫酸,ヒアルロン酸,他)や、細
かったと報告している 15)。しかしながら、一過
胞接着因子(ラミニン,テネイシン,他)など、
性の運動刺激に MMP-9 がどのように応答するか
さ ま ざ ま な 細 胞 外 基 質(extracellular matrix) で
は検討されていない。一方、我々はこれまで、一
満たされている 9)。そして脳神経系の発達や機
過性のトレッドミル走運動時に海馬の神経活動が
能維持のためには、これら細胞外基質が細胞外プ
活性化することを明らかにした 25,27)。MMP-9 の
ロテアーゼ(蛋白質分解酵素)によって適切な分
プロテアーゼ活性が神経活動の活性化によって増
解調節を受けることが重要となる
。例えば、
加することから 19)、我々は、一過性の運動刺激
シナプス間隙に存在する細胞外基質が細胞外プロ
に応じて海馬 MMP-9 のプロテアーゼ活性が高ま
テアーゼにより分解されると、一時的にシナプス
ると作業仮説を立てた。
に不安定性が生じるが、シナプス数やシナプス結
本研究は、運動と海馬細胞外プロテアーゼに関
合強度が変化することにより、結果的にシナプス
する基礎的知見を得ることを目的とし、一過性
再構築へとつながる
18)
。また、膜蛋白の細胞外
トレッドミル走運動に応じて海馬 MMP-9 プロテ
ドメインを切断(ectodomain shedding)すること
アーゼ活性が高まるか否か検証した。なお、海馬
によりシグナル伝達を惹起するなど、機能的な変
の神経活動は運動強度に依存して活性化するこ
化も引き起こす 37)。このように細胞外プロテアー
と 17)、乳酸性作業域値を超える強度の運動はスト
ゼは、神経系の構造的変化だけでなく、機能的変
レス反応を惹起すること 30)から、運動強度はラッ
化も調節している
。運動は海馬に多様な構造
トの乳酸性作業域値(約 20m/min)を基準に、低強
的・機能的変化をもたらすことから、その運動効
度(10m/min)と高強度(25m/min)に設定した。
果の根幹に細胞外プロテアーゼによる細胞外環境
また、一過性運動に対する MMP-9 プロテアーゼ
の調節が関与していると推察される。
活性の経時的応答を調べるため、運動直後、1、
マトリックスメタロプロテアーゼ(matrix met-
12、そして 24 時間後に海馬をサンプリングした。
18)
18)
alloproteinases; MMPs)は、中枢神経系の調節に
かかわる代表的な細胞外プロテアーゼファミリー
であり、現在、20 種以上存在することが知られ
ている
。MMPs は、活性中心に亜鉛イオンを
10)
方 法
A.被験動物および飼育条件
実験には 8 週齢の Wistar 系雄性ラット(45 匹,
含み、神経細胞だけでなくグリア細胞や血管内
日本エスエルシー)を用いた。飼育環境は 5:00
皮細胞からも細胞外に分泌され、細胞外基質の
∼ 17:00 を明期とする明暗サイクルで、室温 22
分解だけでなく、神経栄養因子の修飾など多様
2 ℃、湿度 50 10%に維持した。ラットは 3 ∼ 4
な生理作用を有している
。特に MMP-9 は海
匹ずつ飼育ケージに入れ、水および飼料は自由摂
馬の神経機能と深くかかわり、MMP-9 ノックア
取とした。本実験はすべて、首都大学東京南大沢
ウトマウスでは海馬依存性の空間学習能力や、
キャンパスの研究安全倫理委員会の承認の下、
記憶・学習の神経基盤である長期増強(long-term
動物実験管理規定に従い実施した(承認番号 : 23-
potentiation; LTP)が阻害されることが報告されて
4)
。実験に供する被験動物の個体数を極力少なく
いる
すること、すべての処置において被験動物の肉体
。
21,22)
10,38)
(120)
0m/min
(4,2)
(3)
(3)
(3)
10m/min
(4,2)
(3)
(3)
(3)
25m/min
(4,2)
(3)
(3)
(3)
1
12
24hour after running
Running
-30min
0
図 1 .実験プロトコル
Fig.1.Experiment protocol.
Control rats were placed on a stationary treadmill for 40 min in total. The other rats run on a treadmill at
a mild speed(10 m/min)or at a high speed(25 m/min)for 30 min. The rats were sacrificed at immediately, 1, 12, or 24 hour after running or rest. Digit in parenthesis without or with underline indicates the
number of rats sacrificed for analysis with gel zymography or in situ zymography, respectively.
的・心理的苦痛を抑えることに最大限の配慮を施
得るため、各タイムポイントでラットにペントバ
した。
ルビタールナトリウム(100mg/kg BW,ソムノペ
B.一過性トレッドミル走運動実験
ンチル,共立製薬)を腹腔内投与し、深麻酔下で
一過性のトレッドミル走運動実験に先立ち、す
左心室より全身に生理食塩水(4 ℃)を灌流した。
べてのラットに小動物用トレッドミル(KN-73,
脳を摘出後、直ちに氷冷したガラスプレート上で
夏目製作所)に馴化させるための走運動トレーニ
海馬を分画し、液体窒素を用いて瞬間凍結した。
ングを行わせた。走運動トレーニングはラットを
in situ ザイモグラフィーに供する海馬サンプルを
搬入してから 1 週間の予備飼育後に開始し、走速
得るために同様の走運動実験を行い、生理食塩水
度および運動時間を漸増させながら計 6 日間行わ
を灌流後に摘出した脳をドライアイス上で凍結し
せた。最終的に、すべてのラットは本実験の高強
た。なお、in situ ザイモグラフィーは運動終了直
度運動群と同じ条件(後述)
で走れるようになった。 後においてのみ解析した(図 1)。採取したすべ
最後の走運動トレーニングが MMP-9 プロテ
てのサンプルは、以降の解析まで­80 ℃で凍結保
アーゼ活性に影響する可能性を最小化するため
存した。
に、3 日間の安静期間を設けた後、一過性トレッ
D.MMP-9 プロテアーゼ活性の解析
ドミル走運動実験を行った。運動強度およびサン
MMP-9 は非活性型の pro-MMP-9 として細胞外
プリングポイントを独立変数として、ラットを無
に分泌され、プロペプチドが切断されることに
作為にグルーピングした(図 1)
。運動強度は、
より活性型の MMP-9 となる
非運動(0 m/min)
、低強度運動(10m/min)
、そ
MMP-9 の遺伝子および蛋白質の量的変化は必ず
して高強度運動(25m/min)の 3 条件とした。サ
しも MMP-9 のプロテアーゼ活性を反映せず、
ンプリングポイントは、運動終了の直後、1 時間
運動刺激に対する MMP-9 の生理応答を検討す
後、12 時間後、そして 24 時間後の 4 条件とした。
る際にはプロテアーゼ活性を調べることが重要
トレッドミル上で 10 分間の安静の後、各運動強
となる。そこで本研究は、一過性運動に対する
度で 30 分間の一過性トレッドミル走運動を行わ
MMP-9 プロテアーゼ活性の変化を、ゲルザイモ
せた。高強度運動群は、前半 15 分で 25m/min ま
グラフィー法および in situ ザイモグラフィー法を
。したがって、
10)
で速度を漸増し、後半 15 分は 25m/min を維持し
用いて解析した。どちらも、MMP-9 がゼラチン
た。走運動トレーニングおよび一過性トレッドミ
を基質として分解する作用を利用したプロテアー
ル走運動実験はすべて、ラットの活動期である暗
ゼ活性の解析法である 8,38)。
期(19:00 ∼ 23:00)に行った。
1 .ゲルザイモグラフィー
C.海馬のサンプリング
ゲルザイモグラフィーに供する海馬サンプルを
1 )サンプル処理
海馬(片側)に対して 500µl の可溶化バッファー
(121)
(20mM Tris-HCl, pH 7.6, 150mM NaCl, 5 mM CaCl2,
が存在する。電気泳動することにより、2 つのゼ
1 % Triton X-100, 1 % Glycerol, 500µM PMSF)を
ラチン分解酵素を明確に区別し定量することがで
加え、マイクロマルチミキサーを用いて氷上でホ
きるため、本研究では MMP-9 に加えて MMP-2
モジナイズした。遠心分離(10000 rpm,10 分,
のプロテアーゼ活性も同時に測定した。
4 ℃)後に上清を回収し、BCA Protein Assay Kit
2 .in situ ザイモグラフィー
(Thermo Fisher Scientific)を用いて総蛋白質濃度
を定量した。MMP-9 を抽出するため、等量(1
1 )脳切片の作成
凍結した脳組織から、クリオスタット(CM-
mg)の蛋白質を含む上清と 100µl の 50% Gelatin-
1850, LEICA)を用いて、ブレグマから後方に 2.5
Sepharose 4B(GE Healthcare) を 混 合 し、4 ℃ で
∼ 3.5mm の範囲の海馬を含む前額断切片(20µm)
24 時間インキュベートした。遠心分離(500 × g,
を作成した 28)。切片はスライドガラスに貼りつ
2 分,4 ℃)後に不要な上清を除去し、MMP-9
けた後、送風乾燥(15 分間)させた。
と結合したセファロースビーズを含む沈殿物を
2 )MMP-2/9 プロテアーゼ活性の定性的解析
Working Buffer(50mM Tris-HCl, pH 7.6, 150mM
本実験では、ゼラチンに蛍光基質が結合した
NaCl, 5 mM CaCl2, 0.05% Brij 35) で 3 回 洗 浄 し
DQ ゼラチン(invitrogen)を用いた。この蛍光基
た。最後に、100µl の Elution Buffer(working buf-
質はゼラチンが結合したままでは消光状態である
fer with 10% DMSO)を添加し、4 ℃で 2 時間静
が、ゼラチンが分解されて遊離すると、励起光を
かに混和することにより MMP-9 を溶出した。こ
照射した際に発光するようになる。
の溶出液 20µl と Laemmili Sample Buffer 10µl を混
DQ ゼラチン(50µg/ml)を含む反応液(50mM
合し、電気泳動用の試料とした。なお、MMP-9
Tris-HCl, pH 7.6, 150mM NaCl, 5 mM CaCl2, 0.2mM
のプロテアーゼ活性を失活させないため、本実験
NaN3)を脳切片上に滴下し、恒温チャンバー内
で用いた Laemmili sample buffer には還元剤を加
でインキュベーションした(37 ℃,湿度 98%,
えず、試料の煮沸も行わなかった。
3 時間)
。終了後、0.1M リン酸緩衝生理食塩水
2 )電気泳動および MMP-9 プロテアーゼ活性
の定量的解析
(phosphate buffered saline; PBS) で 洗 浄 し た 後、
4 %パラホルムアルデヒド溶液に浸して固定処理
0.1% ゼラチン(Sigma-Aldrich)を含む 10%SDS-
を施した(15 分間)
。PBS で十分に洗浄した後、
ポリアクリルアミドゲルに試料を電気泳動し
封入した。なお、反応液に DAPI(1:1000, Calbio-
(125V)、 蛋 白 質 を 分 離 し た。 電 気 泳 動 後、 ゲ
chem)を加えることにより、核を対比染色した。
ル を 2.5% Triton X-100 で 洗 浄(30 分,2 回) す
蛍光顕微鏡(BX-53, Olympus)およびイメージン
ることにより、MMP-9 に結合した SDS を除去
グソフトウェア(cellSence, Olympus)を用いて、
し た。 こ れ に よ り、MMP-9 は ゼ ラ チ ン 分 解 活
海馬歯状回(dentate gyrus; DG)、アンモン角 CA1
性のある立体構造へと復元される。ゲルを、酵素
領域、および CA3 領域の組織像を撮影した。なお、
反 応 促 進 液(Novex zymogram developing buffer,
テストサンプルを用いてあらかじめ露出時間を最
Invitrogen)でインキュベーションし(37 ℃,24
適化した後、すべての切片を同一条件下で撮影し
時間)、MMP-9 によるゼラチン分解を行わせた。
た。
ゲルを蒸留水で 3 回洗浄した後、染色液(Brilliant
E.統計・解析
Blue R, Sigma-Aldrich)でゲルに含まれるゼラチ
ゲルザイモグラフィーでは、各サンプリングポ
ンを染色した。脱色液(10% methanol, 7 % acetic
イントにおいて、MMP-9 および MMP-2 のプロ
acid)で十分に洗浄した後、スキャナー(CanoScan
テアーゼ活性を非運動群(0 m/min)に対する変
LiDE 600F, Canon)を用いてゲルをスキャンし、
化率で示した。運動強度の影響を検討するため一
MMP-9 のゼラチン分解によって現れたバンドの
元配置分散分析を行った。データは平均値
光学的密度を Image J(NIH)を用いて求めた。
準誤差で示し、統計的有意水準は 5 %以下とし
なお、ゼラチン分解酵素(ゼラチナーゼ)は、
た。in situ ザイモグラフィーでは、観察されたプ
MMP-9(82-92kDa)と MMP-2(72kDa)の 2 種類
ロテアーゼ活性が MMP-9 か MMP-2 のどちらに
標
(122)
よるものかを区別することができない。そこで、
あるグルタミン酸の受容体(カイニン酸受容体)
in situ ザイモグラフィーの結果は、MMP-2/9 プロ
と強く結合して神経活動を活性化させることで、
テアーゼ活性として評価した。
MMP-9 プロテアーゼ活性を増加させることが報
告されている 33)。そこで本実験でも、カイニン
結 果
酸投与による MMP-9 プロテアーゼ活性増加を再
A.ゲルザイモグラフィーによる解析
現できるか検証した。その結果、ラットにカイ
図 2 に、ゲルザイモグラフィーの結果を示し
ニン酸(10mg/kg BW)を腹腔内投与した 24 時
た。まず、ゲルザイモグラフィーの妥当性を確認
間後の海馬において、先行研究と同様の顕著な
した。カイニン酸は主要な興奮性神経伝達物質で
MMP-9 プロテアーゼ活性の増加を確認できた(図
A
ol
ntr
Co
te
ina
Ka
n
Co
150
MMP -9→
MMP -2→
ol
ntr
lee
Sp
te
ina
Ka
n
lee
Sp
150
100
100
75
75
EDTA
B
C
Post 0 hour
0
10
25m/min
MMP -9→
25m/min
100
75
E
Post 12 hour
0
10
25m/min
100
200
150
150
150
150
100
100
100
100
50
50
50
50
0
10
25
0
0
F
10
25
0
m/min
G
Post 0 hour
10
H
0
Post 12 hour
I
200
200
150
150
150
150
100
100
100
100
50
50
50
50
0
10
m/min
25
0
0
10
m/min
25
25
Post 24 hour
200
0
10
m/min
200
0
100
0
25
m/min
Post 1 hour
25m/min
75
200
0
10
75
200
0
Post 24 hour
0
200
m/min
MMP-2 activity (% of 0 m/min)
10
75
MMP -2→
MMP-9 activity (% of 0 m/min)
0
100
D
Post 1 hour
0
0
10
m/min
25
0
10
25
m/min
図 2 .一過性運動に対する MMP-9 および MMP-2 プロテアーゼ活性の変化:ゲルザイモグラフィー法による解析
Fig.2.MMP-9 and MMP-2 gelatinolytic activity after a bout of treadmill running analyzed by gelzymography.
A)MMP-9 gelatinolytic activity in the hippocampus increased 24 after intraperitoneal injection of kainate(10 mg/kg BW). Non-specific
metalloprotease inhibitor EDTA(10 mM)clearly inhibited both MMP-9 and MMP-2 gelatinolytic activity. B-E)MMP-9 gelatinolytic
activity in response to a bout of treadmill running at different time points. F-I)MMP-2 gelatinolytic activity in response to a bout of
treadmill running at different time points. Data are expressed as mean SE.
(123)
2A, 左)。そこで、以降のゲルザイモグラフィー
動群(25m/min)において MMP-9 プロテアーゼ
はすべて、カイニン酸投与後に採取した海馬サ
活性がわずかに増加したが、統計的有意差は認め
られなかった(F
(2, 11)
=1.243, P = 0.334, 図2B)
。
ンプルを陽性対照として、MMP-9 および MMP-2
から得られた試料でも、先行研究と同様に顕著な
運動 1 時間後(F
(2, 8)
=0.615, P = 0.572, 図2C)
、
12 時間 後(F
(2, 8)
=0.108, P=0.900, 図2D)
、そし
MMP-9 および MMP-2 プロテアーゼ活性が確認
て 24 時間後(F
(2, 8)
=0.408, P = 0.682, 図2E)のい
された 。更に、メタロプロテアーゼの非特異的
ずれのタイムポイントにおいても、一過性トレッ
のバンドを特定した。MMP-9 発現量の多い膵臓
8)
阻害剤である EDTA(10mM)を酵素反応促進液
ドミル走運動による MMP-9 プロテアーゼ活性の
に加えると、先行研究 20) と同様に MMP-9 およ
変化は認められなかった。また、一過性トレッド
び MMP-2 によるゼラチン分解は完全に抑制され
ミル走運動は、MMP-2 プロテアーゼ活性にも影
ることを確認した(図 2A, 右)
。
響を及ぼさなかった(図2F ∼ I)
。
一過性トレッドミル走運動直後では、高強度運
A
Control
Kainate
Kainate, EDTA
DG
B
0 m/min
10m/min
25m/min
DG
C
0 m/min
10m/min
25m/min
CA1
D
0 m/min
10m/min
25m/min
CA3
0.5mm
図 3 .一過性運動に対する MMP-2/9 プロテアーゼ活性の変化:in situ ザイモグラフィー法
による解析
Fig.3. Net gelatinolytic activity immediately after a bout of treadmill running analyzed by in situ
zymography.
A)Net gelatinolytic activity in the hippocampus, especially in the DG, is increased 24 hour after
intraperitoreal injection of kainate(10 mg/kg BW), which is not seen if sections are incubated with
reaction buffer containing 10 mM EDTA. B)Gelatinolytic activity in the DG. C)Gelatinolytic activity in the CA1. D)Gelatinolytic activity in the CA3. The scale bar represents 0.5 mm.
(124)
B.in situ ザイモグラフィーによる解析
必要がある。ゲルザイモグラフィー法は定量性が
図 3 に、in situ ザイモグラフィーによって得ら
あり、なおかつ電気泳動によって 2 つのゼラチン
れた組織像の代表例を示した。まず in situ ザイモ
分解酵素(MMP-9, MMP-2)を分子量の違いから
グラフィーの妥当性を検証したところ、ゲルザ
明瞭に区別することができるため、MMP-9 単独
イモグラフィーと同様にカイニン酸投与による
のプロテアーゼ活性を解析することができる 8)。
MMP-2/9 プロテアーゼ活性の増加が確認できた
ただし、MMP-9 は海馬の神経細胞層(顆粒細胞
(図3A, 中央)。反応液に EDTA(10mM)を加え
層,錐体細胞層)の周囲に発現が集中しており(図
ることにより、先行研究
20)
と同様にゼラチン分
3)、神経活動に伴うプロテアーゼ活性もそのシ
解は完全に抑制されることを確認した
(図3A, 右)
。
ナプス周囲に限局することから 13)、本研究のよ
すべてのラットにおいて、DG の顆粒細胞層
うに海馬全体のホモジネートを測定試料とした場
(図3B)
、CA1(図3C)および CA3(図3D)の錐
合は局所的なプロテアーゼ活性の変化をとらえる
体細胞層に MMP-2/9 プロテアーゼ活性が均一に
ことができない。したがって本研究では、本来生
分布していることが確認された。DG において
じているはずの MMP-9 プロテアーゼ活性の局所
は、一過性トレッドミル走運動の直後にわずかに
的な変化を検出できていない可能性がある。
MMP-2/9 プロテアーゼ活性が上昇する様子が観
一方、in situ ザイモグラフィー法は、in situ(原
察されたが(図3B, 中央・右)
、カイニン酸投与
位置で)という接頭語が示すとおり、プロテアー
による変化と比較すると蛍光強度の増加はわずか
ゼ活性の局在を調べることができる 20)。海馬は
であった。CA1 および CA3 では、一過性トレッ
その亜領域(DG, CA1, CA3)で神経細胞の種類
ドミル走運動による MMP-2/9 プロテアーゼ活性
も機能も異なることから、亜領域ごとのプロテ
の顕著な変化は認められなかった(図3C, D)
。
アーゼ活性の変化を検討することは生理的にも
重要である。本研究では、運動直後において DG
考 察
顆粒細胞層でプロテアーゼ活性が増加する傾向
一過性トレッドミル走運動時に海馬の神経活
が観察された。ただし、in situ ザイモグラフィー
動が活性化すること 17,25,27)、神経活動の活性化に
法で観察されるプロテアーゼ活性は MMP-9 と
よって MMP-9 プロテアーゼ活性が高まること 19)
MMP-2 のどちらに起因するかを判別することは
から、本研究は一過性トレッドミル走運動によっ
できない 20)。また、定量的な解析が困難である
て海馬 MMP-9 プロテアーゼ活性が高まると作業
という欠点もある。以上、本研究で用いた 2 つの
仮説を立て、検証した。ラットに異なる強度のト
MMP-9 プロテアーゼ活性の特性を踏まえると、
レッドミル走運動を課した直後、1、12、および
本研究の結果からは、高強度運動直後に DG 顆粒
24 時間後に海馬を採取し、MMP-9 プロテアーゼ
細胞層において MMP-9 プロテアーゼ活性が高ま
活性を解析した。高強度運動(25m/min)直後に
る、という可能性を否定することはできない。今
MMP-9 プロテアーゼ活性がわずかに増加する傾
後は、運動終了直後に DG 顆粒細胞層をパンチア
向がみられたが、非運動群との間に統計的有意差
ウトし、その試料をゲルザイモグラフィー法で解
は認められなかった。カイニン酸投与による海馬
析するなど、より詳細な検証が必要である。
MMP-9 プロテアーゼ活性の顕著な増加と比較す
MMP-9 の神経生理的な役割としては、LTP を
ると、本結果から、一過性トレッドミル走運動は
調節すること 22)、神経棘の成長を促すこと 36)、
海馬 MMP-9 プロテアーゼ活性をほとんど変化さ
前駆型の脳由来神経栄養因子(brain-derived neu-
せない可能性が示唆された。
rotrophic factor; BDNF)を切断して成熟型 BDNF
本研究では、ゲルザイモグラフィー法および
を産生すること 16)、血液中のインスリン様成長
in situ ザイモグラフィー法の 2 種類の方法を用い
因子の脳内移行を仲介すること 26)、などが明ら
て、MMP-9 プロテアーゼ活性を解析した
。た
かにされている。そして興味深いことに、これら
だし、どちらの方法にも長所・短所があるため、
は運動が海馬に及ぼす効果としても知られてお
両手法によって得られた結果は統合的に解釈する
り、運動は LTP を促進し 34)、神経棘数を増加さ
8,20)
(125)
せ 31)、BDNF 発現を高め 6)、そして IGF-I の脳内
いう劇的な構造的変化が生じる領域であることか
移行を促進する 5)。我々は、このような MMP-9
ら 34)、解析方法の改善を含め、より詳細な検証
の神経生理的役割に着目し、運動が海馬 MMP-9
を進める必要がある。更に、運動による海馬の神
プロテアーゼ活性を高め、それが運動によって
経機能の向上に恒常的な MMP-9 プロテアーゼ活
海馬の神経機能が向上する分子基盤としてかか
性が関与するか、更なる検討が必要である。
わるのではないかと考えた。一方で、MMP-9 に
はさまざまな病理的役割があることも知られてい
る
。例えば、虚血や脳損傷により MMP-9 プ
謝 辞
4,9,19)
ロテアーゼ活性は顕著に増加し、細胞外環境の調
節バランスを崩壊へと導き、脳損傷を促進させ
る 2,35)。また、本研究では MMP-9 プロテアーゼ
活性を高める陽性対照としてカイニン酸を用いた
が、カイニン酸はグルタミン酸受容体(カイニン
本研究課題に対して助成を賜りました、財団法人明治安
田厚生事業団に深く感謝申し上げます。また、実験手技に
関して貴重なご助言をいただきました川田茂雄先生(東京
大学大学院新領域創成科学研究科)、溝口博之先生(名古
屋大学環境医学研究所)に心より御礼申し上げます。
参 考 文 献
酸受容体)に強く結合し、過剰な神経活動を引き
起こす興奮性神経毒として知られている 33)。し
たがって、本研究で用いた 30 分間のトレッドミ
ル走運動という生理的刺激は、海馬の神経活動を
活性化させるといえども、MMP-9 プロテアーゼ
活性を高めるほど強い刺激ではないと捉えること
も可能であろう。
本研究では、非運動群においても MMP-9 プロ
テアーゼ活性が検出された。これは、MMP-9 が
恒常的に蛋白分解作用を発現していることを示
す。この恒常的な MMP-9 プロテアーゼ活性が運
動による海馬機能の向上に関与している可能性
もあることから、今後は MMP-9 の薬理的阻害や
MMP-9 ノックアウトマウスを用いた検討を進め
る必要がある。
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総 括
本研究は、運動と海馬細胞外プロテアーゼに関
する基礎的知見を得ることを目的とし、一過性
トレッドミル走運動によって海馬 MMP-9 プロテ
アーゼ活性が高まるか検証した。その結果、運動
による顕著な海馬 MMP-9 プロテアーゼ活性の変
化は認められなかった。病理的条件下で MMP-9
プロテアーゼ活性が上昇することを踏まえると、
一過性運動という生理的刺激は MMP-9 プロテ
アーゼ活性を上昇させるほどの刺激ではないと考
えられる。
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