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NHK全国学校音楽コンクールにおける P2Pライブ配信方式
NHK全国学校音楽コンクールにおける P2Pライブ配信方式 インターネットで同時に多数の視聴者に向けてライブ映像を配信する技術として,ピアツーピア(P2P)技術を用 いたライブ配信方式の研究開発を進めている。開発したシステムの実用性を検証するために,NHK全国学校音楽コ ンクール(四国ブロック大会)のライブ中継を実施し,会場に来ることのできなかった2,000人以上の方に安定した 映像をご覧いただいた。 多数の視聴者に向けたライブ配信は,配信サーバーから送出される番組ストリームを視聴者の端末が次々とリレー するP2P技術を用いることで,配信サーバーに負荷を掛けずに低コストで実現できる(1図) 。しかし,安定した配 信を実現するためには,①個々の端末につながるインターネット回線の速度が大きく異なる状況において,どのよう にして番組ストリームを安定に分配できる中継網を構築するか,②途中の端末が視聴をやめた場合においても,どの ようにして番組のリレーを途切れさせずに継続するかといった課題がある。開発した方式では,まず,端末がお互い の状態(受信状態,回線状態,接続端末数など)を通知しあうネットワークを構築し(2図(a) ) ,次に,この情報 を基にチャンク(番組ストリームを小さく分割したもの)の交換を行うストリーム中継ネットワークを構築する(2 図(b) ) 。個々の端末は接続相手の端末の受信済みのチャンクを調べ,自分がまだ受信していないチャンクを見つけ, これを取得する動作を繰り返すことで,一連の番組ストリームを受信する。配信回線の容量に余裕があり,多くの端 末にチャンクを分配できる端末ほど配信サーバーの近くに接続するとともに,チャンクの受信を1つの端末だけから ではなく複数の端末から行うことで,途切れない安定した配信を実現する。 今後,更に大規模で安定した配信を目指して配信機能の改良を行うとともに,放送現場や各種イベントで利用でき るようにするためにシステムの改善を行う予定である。 番組ストリーム インターネット 配信サーバー 音楽コンクール会場 視聴端末 (PC) ブラウザーで視聴 1図 P2Pライブ配信のイメージ チャンクに分割された 番組ストリーム 回線:光回線 受信:良好 上り回線:余裕あり 1 2 3 4 5 6 7 8・ ・ ・ ・ ・ ・ 条件の良い端末は なるべく配信サーバー近くへ 7 回線:ADSL回線 受信:良好 上り回線:余裕なし 6 1 2 3 4 5 8 配信サーバーから遠くへ (a)端末状態通知ネットワーク (b)ストリーム中継ネットワーク 2図 P2Pライブ配信方式の概要 NHK技研 R&D/No.125/2011.1 55