...

情報還流システム 放送を通じた

by user

on
Category: Documents
28

views

Report

Comments

Transcript

情報還流システム 放送を通じた
研究所の動き
情報還流システム
放送を通じた「巨大お茶の間」の形成
テレビはお茶の間の主役として家族団らんには欠かせないものであり,テレビ番組に関する話題が日常の会話のきっ
かけになることも多い。しかし,最近ではテレビを見ながらテレビ番組の感想やコメントをインターネットで送受信
する人が若い世代を中心に増えている。そこで,当所では,放送局と視聴者や視聴者同士に新しいコミュニケーショ
ンの輪を広げることを目的として,インターネット空間の中に仮想的な「巨大お茶の間」を作ることのできる情報還
流システムを提案している(1図)
。
情報還流システムは,視聴者同士でコメントを共有するだけでなく,字幕放送や放送局にある出演者などの情報を
使って,どのシーンのどの出演者に対するコメントかを解析し,視聴者の方にさまざまなサービスを提供することを
特徴としている。提供するサービスの例として,集まったコメントの傾向をグラフ化し,その盛り上がりを基にした
漫画風のダイジェストサービスや,コメント内容から抽出した興味度に合った番組お勧めサービス,コメント内容の
似ている視聴者のブログを相互推薦するサービスなどを開発した。
これらのサービスを開発するための手法として,各コメントが番組のどのシーンのどの出演者に対するコメントか
を推定する手法や,各コメントがどのような感情を表しているのかを肯定・否定・驚き・悲しみなどに分類する手法,
コメント内容が似ている視聴者をグループ分けする手法,視聴者の好みを考慮したお勧めサービス生成手法などを提
案している。
今後,1人でも多くの方にこれらの新しいサービスを楽しんでいただけるよう,
「巨大お茶の間」に簡単に参加で
きる仕組みなどを開発し,放送に通信の機能を加えた新しい番組の楽しみ方を提案していく。
放送事業者
視聴者
・視聴者満足度調査
・ネット世代の接触者率の向上
・実時間視聴への動機付け
放送を見ながらコメント入力
コメント解析処理
・コメント対象の推定
・感情分類手法
・類似性による分類
・感想の共有
・好みに応じたサービス
・コミュニティー形成・促進
Internet
ドラマ〇〇のブログ
コメント数
放送局情報
(字幕・出演者)
コメント内容が似ている
ユーザーのブログ推薦
ドラマ〇〇の傾向
感情別に色表現
解析結果をもとに
サービス提供
時間
コメント傾向をグラフ化
Aさんへのお勧め番組
ドラマ〇〇のダイジェスト
盛り上がりを
基にした
漫画風ダイジェスト
1図 情報還流システムの概要
74
NHK技研 R&D/No.121/2010.5
興味度からのお勧め番組
スーパーハイビジョンの表色系
スーパーハイビジョンはより高い臨場感や質感の再現を目指したシステムである。色彩についても,実在する物体
の色を忠実に再現するために,できるだけ広い範囲の色(広色域)を表現できることが望まれる。映像システムで色
を表現する仕組みのことを「表色系」と呼ぶ。ここでは,スーパーハイビジョンの広色域表色系を紹介する。
カラーテレビは赤(R)
,緑(G)
,青(B)の3原色の信号を足し合わせて色を再現している。従って,どのような
色を3原色に選ぶかによって表現できる色の範囲が決まる。
ハイビジョンのRGB3原色の色度点を1図のxy色度図上に示す。馬てい形をした曲線はスペクトル軌跡と呼ばれ,
レーザーのような単波長光源の色度に相当する。また,スペクトル軌跡の両端を結んだ直線を純紫軌跡と呼び,スペ
クトル軌跡に含まれない紫色を表している。人間が見ることのできる色はこの馬てい形の内側の色で,馬てい形の中
心部から縁に向かって色の彩度が高くなる。ハイビジョンで再現できる色はRGB3原色の3点を結んだ三角形の内
側の色だけである。また,ハイビジョンの基準白色は1図のD65*1と定められており,R,G,Bが同レベルのときに白
色となる。
これまでのテレビは,ハイビジョンも含めて,主にCRTの蛍光体の特性の制約でRGB3原色が定められていた。
しかし,近年,FPD(Flat Panel Display)技術が進歩し,CRTの色域を超えた色再現が可能になり,テレビ方式の
広色域化の要求が高まっている。そこで,スーパーハイビジョンの色再現についてはCRTの制約にとらわれないかた
ちで検討を行った。その結果,他のメディアとの互換性,実在する色の再現性,コストと性能,デバイスやディスプ
レーの実現性の観点から,R,G,B共にスペクトル軌跡上の色を用いる新しい表色系を提案する。
2図にITU­R*2に提案しているスーパーハイビジョンの3原色色度点とポインターカラー*3と呼ばれる実在する
表面色のデータベースの色度分布を示す。ハイビジョンでは,再現できない表面色が一部にあったが,提案の表色系
ではほぼすべての色が再現できることがわかる。今後,スーパーハイビジョンの他の映像パラメーターについても検
討し,臨場感の高い映像システムの実現を目指す。
*1 CIE(国際照明委員会)が定める平均的な昼光色の標準の光。
*2 国際電気通信連合無線通信部門。放送を含む無線通信技術の標準化機関。
*3 実在する表面色の色域を表す測色データ。
520
0.8
530
515
540
510
0.7
0.7
550
505
G
0.6
560
0.5
0.4
0.3
0.2
580
y
590
495
D65
490
R
610
620
830
470
R
0.3
0.2
B
0.1
0.5
0.4
600
485
480
0
0.6
570
500
y
G
0.8
スペクトル軌跡
スペク
トル軌跡
純紫軌跡
360
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8
x
1図 ハイビジョンの3原色
0.1
0
B
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8
x
2図 スーパーハイビジョンの3原色とポインターカラー
NHK技研 R&D/No.121/2010.5
75
Fly UP