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栄養状態に及ぼす薬の作用

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栄養状態に及ぼす薬の作用
栄養状態に及ぼす薬の作用
薬剤室
鈴木麻代
栄養管理のアクセス
患者
消化管は完全に使用できるか?
いいえ
はい
経口摂取可能か?
はい
いいえ
経口摂取
経腸栄養
6週間未満
経鼻経管
6週間以上
胃瘻・腸瘻
経静脈栄養
2週間未満
末梢静脈栄養
2週間以上
中心静脈栄養
経腸栄養法の利点
• 消化管の形態と機能の維持
• 細菌の移動を抑制
• 経静脈栄養よりコストが低い
• 合併症の発症率が低い
経腸栄養法の禁忌
絶対禁忌
完全腸閉塞
腹部膨満を伴う小腸閉塞
消化管で栄養素の吸収が全く出来ない場合
相対的禁忌
短腸症候群
難治性嘔吐
重篤な下痢
食物摂取後の激しい痛み
経腸栄養剤の選択
• 消化態栄養剤
• 半消化態栄養剤
• 疾患別栄養剤
消化態栄養剤(成分栄養剤)
• 栄養素が加水分解されているため、消化吸収
が容易である
適応
炎症性腸疾患(クローン病など)
膵機能不全
吸収障害
短腸症候群
早期経腸栄養
放射線性腸炎など
製品
エレンタール
半消化態栄養剤
• 3大栄養素が完全な状態で含まれているため、
消化されなければならない
適応
消化管が完全に機能している場合
正常な吸収が可能な場合
正常な消化が可能な場合
製品
エンシュアリキッド
ラコール
疾患別栄養剤
肝不全用成分栄養剤
重症肝障害で低下している分岐鎖アミノ酸を
多く含有する成分栄養剤である。
製品
アミノレバンEN(肝不全用半消化態栄養剤)
経静脈栄養法の適応
• 消化管が機能していない場合
• 消化管が利用できない場合
• 消化管の安静が必要な場合
経静脈栄養法の禁忌
• 経口、経腸栄養投与可能な場合
• 血行動態が不安定な場合
• 治療目標が不明確な場合
• 末期患者に対する延命処置
経静脈栄養法
• 末梢静脈栄養
• 中心静脈栄養
末梢静脈栄養
• 末梢静脈栄養は、末梢静脈から投与できる限度の
高濃度の輸液剤を用い、必要に応じて脂肪乳剤を
併用する。
• 生理的浸透圧の約2倍の濃度の輸液剤まで末梢
静脈から投与できるが、この濃度でも血栓性静脈
炎を発生して長期間の施行は困難である。
また、輸液量の制限もあり、必要十分な栄養を投
与することは成人では不可能である。
中心静脈栄養
• 中心静脈栄養は、人体に必要なすべての栄養素
を含む高濃度輸液剤を血管や血球に障害を与え
ずに投与する方法で、完全に近い栄養投与ができ
る。
• 患者の病態に応じた輸液組成で合併症に注意して
施行すれば、長期間にわたり中心静脈栄養だけで
十分な栄養投与が可能である。
末梢静脈栄養と中心静脈栄養の比較
中心静脈栄養 末梢静脈栄養
高カロリー栄養
○
長期間の栄養療法
○
投与法の生理的度合い 非生理的
腸管の絶対安静
◎
脱水・電解質補正
○
配合組成の調節
◎
留置の容易さ
△
留置手技による合併症 多く、時に重篤
医療費
高価
X
X
非生理的
○
○
○
○
少ない
安価
電解質輸液剤
等張性細胞外液補充液
血漿の電解質組成に類似するようにつくられ
ていて、血漿浸透圧と等張であることが特徴
である
低張性電解質輸液剤
体液全般に必要な水と電解質を補給する。
等張性細胞外液補充液
生理食塩液
0.9%の食塩(NaCl)を含有する
単純な組成でできている
乳酸リンゲル液(ラクテック)
酢酸リンゲル液(VeenF)
最も血漿の電解質組成に近く、細胞外液欠乏時
(手術・脱水・出血・ショック等)の補給に適した輸液
糖加乳酸リンゲル液(ラクテックG)
糖加酢酸リンゲル液(VeenD)
電解質と共に血糖を維持する為に糖分を配合
した輸液
低張性電解質輸液剤
• 1号液(開始液)・・・ソリタT1
組成としてKを含まず、病態不明時の水・電解質補給
• 2号液(脱水補給液)
細胞内に多いK,Mgを多く含む
水分、電解質欠乏時の細胞内液、外液の是正
• 3号液(維持液)・・・ソリタT3、フィジオ35
1日に必要な水・電解質の補給
経口摂取不足時の基本的な維持液
• 4号液(術後回復液)・・・ソリタT4
水分欠乏時の水分補給
栄養輸液剤
•
•
•
•
•
•
糖質輸液剤
脂肪乳剤
アミノ酸製剤
高カロリー輸液用製剤
高カロリー輸液用ビタミン製剤
高カロリー輸液用微量元素製剤
糖質輸液剤
食欲不振、経口摂取不足時の水分・
カロリー補給
製品
ブドウ糖液
マルトス10
脂肪乳剤
必須脂肪酸や効率の良いカロリーの補給
大豆油を原料にして卵黄レシチンで乳化
している
製品
イントラリピット
イントラリポス
イントラファット
アミノ酸製剤
• アミノ酸液
分岐鎖アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン)の
配合量を高め、芳香族アミノ酸や酸性アミノ酸等を
減量し、各種侵襲時や低栄養状態時において
優れた蛋白節約効果がある。
製品 モリプロンF
• 末梢用糖・アミノ酸・電解質液
経口摂取不十分で、軽度の低蛋白血症、低栄養
状態にある場合のアミノ酸、電解質、カロリー及び
水分の補給
製品 アミノフリード
疾患別アミノ酸製剤
肝不全用アミノ酸液
肝性脳症の改善を目的とし、分岐鎖アミノ酸を
多く含有
製品 アミノレバン
腎不全用アミノ酸液
必須アミノ酸、非必須アミノ酸をバランスよく
配合
製品 ネオアミユー
高カロリー輸液用製剤
• 糖・電解質液
経口摂取不能時の水・電解質・カロリー補給
(ハイカリックRF・・腎不全用にK・Pを含まない)
• 糖・アミノ酸・電解質液
経口摂取不能時の水・電解質・カロリー・アミノ酸補給
(ピーエヌツイン1・2・3、アミノトリパ1・2)
• 糖・アミノ酸・電解質・ビタミン液
経口摂取不能時の水・電解質・カロリー・アミノ酸・ビタミン
補給
(ネオパレン1・2、フルカリック3)
高カロリー輸液用ビタミン製剤
水溶性、脂溶性ビタミンを配合
ビタミンB1不足による乳酸アシドーシス等
の合併症防止
製品
ビタジェクト、ネオラミンマルチV
高カロリー輸液用微量元素製剤
長期の完全静脈栄養施行時に出現する
微量元素欠乏防止
Fe、Zn、Cu、Mn、Iを含有
製品
ミネラリン
血漿増量剤
出血時等に血管内に水分を保持させ、
血漿を増量する。
製品
ヘスパンダー
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