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No.9 現金・預金の取引処理② - C
2009 年度 簿記論/簿記論Ⅰ(河合) No.9 現金・預金の取引処理② (テキスト第7章が該当) 1. 当座預金勘定・当座借越勘定・当座勘定(テキスト 58 ページ「例題」を示しながら解説) (1) 当座預金勘定と当座借越勘定 (この2つの勘定は不可分の関係) 当座預金 a/c(資産) : 当座預金口座への預入→ 借方 、 小切手の振出し → 貸方 当座借越 a/c(負債): 銀行との間に当座借越契約を結ぶと、当座預金口座への実際の預け入れ額が支払額(小切手振 出し額)を上回っても、会社は当座借越限度額になるまで一時的に銀行から借り入れをすることができる。この借入額 を記帳するための勘定。①当座預金の残高が不足した場合に当座借越 a/c の貸方に借入額を記入。②当座借越に貸方残 高があるときに当座預金に預け入れがあった場合には、借入額がゼロ円になるまで当座借越 a/c の貸方に預入額を記入 し、それ以上は当座預金 a/c に記帳。 【設問 9-1】「例題」の(1)の仕訳のうち、以下の2勘定について元帳転記しよう。 当座借越 当座預金 3/1 前期繰越 70,000 (2) 当座勘定(当座 a/c は上の当座預金 a/c と当座借越 a/c とは一緒に用いられることはない) 当座 a/c:当座預金口座への預入 → 借方、 小切手の振出し → 貸方 ※ 当座借越契約があるとき、銀行からの借入部分もこの勘定で処理する。従って、当座 a/c の残高が借方にあるとき は資産勘定として扱い、貸方にあるときは負債勘定として扱う。→ 借入額を明らかにするため「当座預金出納帳」 が不可欠となる。 【設問 9-2】以下の取引について、当座預金 a/c と当座借越 a/c を用いて仕訳し、それら2つの勘定口座(元帳)に転記しな さい。商品売買取引には商品 a/c と商品売買益 a/c を用いなさい。ただし、当店は銀行との間に\300,000 の当座 借越契約を結んでいる。 6/4 神田商店へ商品\110,000(原価\70,000)を売り渡し、代金のうち\50,000 は同店振出しの小切手で受け取り、 残額は掛とした。 6/5 新宿商店への買掛金\80,000 を小切手を振り出して支払った。 6/6 現金¥50,000 を当座預金に預け入れた。 6/12 八王子商店より商品\160,000 を仕入れ、代金は小切手を振り出して支払った。 6/20 神田商店への売掛金\60,000 を送金小切手で受け取り、直ちに当座預金に預け入れた。 6/24 立川商店への売掛金\150,000 のうち、\80,000 は 6 月 5 日に当店が振り出した小切手で受け取り、残額は立川 商店振り出しの小切手で受け取った。 6/28 家賃\70,000 を小切手を振り出して支払った。 借方 勘定 貸方 金額 勘定 6/4 6/5 6/6 24 金額 2009 年度 簿記論/簿記論Ⅰ(河合) 6/12 6/20 6/24 6/28 当座預金 6/1 前期繰越 当座借越 90,000 No.10 商品売買取引処理① (テキスト第8章が該当) 1.売上原価・商品販売益・売上総利益 売 上 原 価 : 販売された商品の数量分に相当する商品の原価。 商品販売益 : 商品販売時のその都度、販売によって商品ごとに把握される売上収益(売上高)から当該商品の原価(売 上原価)を差し引いて求められる利益。 ← 仕訳方法として「分記法」が採用されるときに生じる。 売上総利益 : 商品販売時ではなく期末の一時点において、会計期間全体の全商品の売上収入(純売上高)から、その期 間全体において把握される全売上原価を差し引いて求められる利益。 2.商品売買に関する仕訳方法(以下に示す方法は現時点で紹介できる一部の方法であり、後期に別な方法を紹介する) (1) 売上原価と商品販売益を販売時に記録する方法 → 「分記法」(これまでの講義およびテキストで用いられた方法) ① 商品の仕入れ時(支払い手段を現金と仮定) (借) 商 品 △△△ (貸) 現 金 △△△ 品 △△△ 商品売買益 □□□ ② 商品の販売時(受取り手段を現金と仮定) (借) 現 金 ××× (貸) 商 (ただし、□□□=×××-△△△) ※ この「分記法」を可能にするには、販売時において、この商品の売上原価がわかっていなければならない。 ※ ある商品の売上原価(仕入時の原価)は、仕入れに伴う付随費用(仕入れ諸掛)や商品自体の代価が変更するために、 常に一定であるとは限らない。そこで、ある企業(商店)が複数の商品を取り扱うような場合には、商品ごとに仕入 原価(ひいては売上原価)を仕入れ時や販売時に把握する方法が採用される。この方法を「継続記録法」という。継 続記録法のもとで作成される帳簿(補助元帳)が、後期で取り上げる「商品有高帳」である。 ※ 「分記法」は「継続記録法」による商品の受け払い記録を前提とする。 → これが困難な場合には別な仕訳方法を採 用しなければならない。 → その別な方法として活用される方法の1つが、次に取り上げる「3分法」である。 25 2009 年度 簿記論/簿記論Ⅰ(河合) (2) 売上原価を期末に把握し、決算において記録する方法 → 「3分法」 ※ 「3分法」は商品売買取引の処理に仕入 a/c、売上 a/c、繰越商品 a/c の3つを用いる。このため「3勘定法」と呼 ばれることもある。 ※ 「3分法」は、売上原価を販売時ではなく、期末において計算する方法であるから、期中の仕入時や販売時に商品別 の原価を逐一把握する必要はない。つまり「継続記録法」を前提としない。その代わり、期末において、商品の在庫 数量を実際に調査(実地棚卸)し、その数量に期末に把握される単価を乗じて期末商品棚卸高を計算する。そして下 式のように売上原価を一括して算定する。このような売上原価の把握方法を「棚卸計算法」(または「棚卸法」)とい う。 (下式で、期首商品棚卸高は前期の期末商品棚卸高である。よって、当期の期末商品棚卸高は翌期の期首商品棚卸高となる。 ) 売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期純仕入高 - 期末商品棚卸高 ① 商品の仕入れ時(支払い手段を現金と仮定) (借) 仕 入 △△△ (貸) 現 金 △△△ 上 ××× (貸) 繰 越 商 品 ○○○ ② 商品の販売時(受取り手段を現金と仮定) (借) 現 金 ××× (貸) 売 ③ 決算時(実地棚卸後) ③-1 期首商品棚卸高の金額(○○○円)について (借) 仕 入 ○○○ ③-2 期末商品棚卸高の金額(●●●円)について (借) 繰 越 商 品 ●●● (貸) 仕 入 ●●● 以後、本講義では3分法を用いる 【設問 10-1】3分法での数値例:期末商品棚卸高を 60,000 円としたとき、決算時に必要な仕訳を示すとともに、元帳に転 記しよう。ただし、仕入元帳の金額は当期純合計額である。 借方 勘定 貸方 金額 勘定 金額 ○/ 31 仕入 ○/○ 諸口 繰越商品 40,000 ○/1 前期繰越 80,000 ※ 留意事項:仕入勘定の借方は「当期純仕入高+期首商品棚卸高」となり、貸方は「期末商品棚卸高」となる。よってその 貸借差額は「(当期純仕入高+期首商品棚卸高)-期首商品棚卸高」となる。このように3分法のもとでは、 売上原価を仕入勘定において把握することになる。 26