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第 3 回 札幌市資料館保存活用検討委員会 議事録 日 時 2016 年 3 月 1
第 3 回 札幌市資料館保存活用検討委員会 議事録 ■日 時 2016 年 3 月 1 日(火)14:00~16:30 ■場 所 札幌市役所 本庁舎 14 階 1 号会議室 ■参加者 委 員:(外部委員) 今村 育子 /アーティスト/札幌駅前通まちづくり株式会社 片山 めぐみ/札幌市立大学デザイン学部講師 角 幸博 /北海道大学名誉教授、 NPO 法人歴史的地域資産研究機構(れきけん)代表理事 菊地 優 /北海道大学大学院工学研究院教授 斉藤 雅也 /札幌市立大学デザイン学部准教授 (内部委員) 大場 里樹 /札幌市都市局建築部長(欠席) 川上 佳津仁/札幌市観光文化局文化部長 熊谷 淳 /札幌市観光文化局国際芸術祭担当部長 事務局:細川国際芸術祭担当課長、遠藤国際芸術祭担当係長、長谷川職員 株式会社 KITABA :神長、窪田、武田 株式会社コンステック:西川、木本 北電総合設計株式会社:渡辺 オブザーバー: 指定管理者(NTT 北海道グループ共同事業体):坂本、大北 傍 聴:0 名 記 者:3 名 1)開会 2)保存活用基本方針構成(案)について(資料-3) (資料-3 について事務局より説明) 議事1 保存活用基本方針構成(案)について (角委員長) ・なにか質問、ご意見等あるか。 ・2章の(4)に利用価値とあるが、活用価値の方が良いのではないか。 (事務局) ・修正する。 (角委員長) ・他によろしいか。 ・次に保存活用の方向性・基本的な考え方について事務局から資料の説明をお願いする。 3)保存活用の方向性・基本的な考え方について(資料-4) (資料-4 について事務局より説明) 1 議事2 保存活用の方向性・基本的な考え方について (角委員長) ・札幌市の上位計画とどのように関係しているか、2 ページ目等にまとめて詳しく展開している が、まず保存活用の方向性について資料館の変遷や上位関連計画等から4つの大きな方向性を 導き出し、それをベースに考えていくということであるが、それについて考え方の過不足、意 見等あるか。よろしいか。 (全委員) ・異議なし。 (角委員長) ・では、保存活用の考え方について資料館の価値をどのように継承していくかという中で、文化 財としての位置付けや保存の考え方、建築的な価値保存の考え方が示してあるが、それについ て考え方の過不足、意見等あるか。よろしいか。 ・難しいのは、建築的価値保存の考え方に外観の保存を最優先すると記載してあることである。 登録有形文化財の場合は良いが、今後の指定文化財への可能性を考慮すると、この部分を前面 に出すと内観について改変しても良いと捉えられるかもしれない。内観は空間構成の保存、可 能な限りオリジナル部材を残すと示されているが、空間構成の保存はどちらにでも捉えられる のではないか。 ・オリジナルの部材を踏襲するということを、もう少し手厚く記されていないと、将来の文化財 の登録の可能性を考慮すると、誤解を受ける可能性がある。 ・木製建具は老朽により性能確保が難しい場合は新規材での再現可と断定してしまうのではなく、 一つ一つ検討をしながら保存するなど、余地を残した書き方が良いのではないか。 ・他にあるか。 (片山委員) ・改めて整理された資料を見て、気が付いたことに、歴史的建造物と現代アートが互いに価値を 高めるという価値がある。作品演出価値というようなものである。新しいものと古いものが合 わさった時に、それぞれの存在が別のものに感じるということがあると思う。 ・建物を背景とした作品の見え方、屋外でも屋内でもそのような価値があると思うが、その価値 を明示すると作品と建物の位置関係を設定するうえでの考慮点が明らかになる。増築部の配置 でも考慮すべき点があると思う。その視点も大事であると思う。 ・札幌市資料館は発信の場であって、札幌国際芸術祭で積極的に展示するメイン会場ではないと 思う。発信の場であるならば、第一級のアート作品を常に展示するくらいの、場のエネルギー を持ってほしい。あの作品を見るためにあの場所に行かなくてはと、観光客に思わせるような 求心力のある作品が常にあると良いと思う。 ・大通公園の端部のアイストップとして、行きたいと思わせるような視覚的な存在があると良い。 増築部は現段階の検討では裏側に配置されそうなので、高さのある増築部の可能性もあるかも 2 しれないが、正面から見ると既存部と増築部の新旧のおもしろさがわかるようなゲートのよう なもの、または既存部正面の雰囲気を壊さないシンボルやサインが必要ではないかと思う。 (角委員長) ・新旧の対比等についての検討に加え、展示との関係についても検討の必要があると思う。 ・他にあるか。 (菊地副委員長) ・保存の考え方に原則現状維持とし、平成 18 年の大規模リニューアル時が基準の一つに挙げられ ている。創建時や昭和 48 年というのはわかりやすいが、平成 18 年時点に建築的価値はあるか。 大規模リニューアルで新しく改変されたものに、価値を見出せるのか。 ・活用の考え方に現状機能の維持・継続・機能向上とある。現在の機能をすべて残すことは良い と思うが、新たな機能を加えることで無理が生じるのではないか。新しい機能を追加する代わ りに、何かを減らすことや、トレードオフの考えはなく、全ての機能を維持することでよろし いか。 (遠藤係長) ・資料の中で新規で求められる機能の周辺観光・文化施設等との連携については、空間を必要と するというより、機能を持たせるソフトの展開ができれば対応できると考えている。資料館の 価値・歴史展示については、現在のまちの歴史展示室でも展開されているが、展示方法や展示 物の再考が必要なのではないかと考えている。それらを除くと基本的には現在の空間、機能を 維持することとなる。多少比重を考え、館内での室の移設等はあるかもしれないが、それほど 大きな変更なく対応できると考えている。 (角委員長) ・次に大規模リニューアル時を基準とすることについてはいかがか。大規模と書かれているが基 本的にオリジナル部材を残したまま、展示しやすくするために天井の増築や照明の変更を行っ たものではないか。 (事務局) ・主に刑事法廷室を復元し刑事法廷展示室に整備した時点が、平成 18 年の大規模リニューアルに 該当する。 (角委員長) ・他にあるか。 (斉藤委員) ・札幌市資料館の価値の環境的価値は、周辺環境や札幌軟石が使用されているなどの広義での環 境か。構造や熱環境については建築的価値に含まれるか。 (事務局) ・構造や熱環境については建築的価値に含まれている。 (斉藤委員) 3 ・配布された資料にある4つの価値が互いに関係していると思う。具体的な事例を資料に掲載す べきかわからないが、たとえば歴史的価値、建築的価値を向上させると活用価値も向上するな どの事例を提示すると、ハードの改修がソフト面の向上を促すという関係がわかると思う。ハ ード面の改修に十数億円かけても意味があるということが伝わると思う。 ・具体的には、断熱改修をして建築的価値を向上させると、それに伴う設えが展示の演出を高め るなどの提案が積極的に述べられていると、今後詳細を詰める際にも参考になる。 (今村委員) ・現状で市民利用が高いミニギャラリーの内観をあまり変えずに生かしつつ、増築部で現代アー トのキュレーションが入っているものを展開すると、市民利用をしている人が現代アートに触 れて、今まで関心のなかった層に関心を持ってもらうきっかけになると思う。現在の機能を維 持しつつ、現代アートの展開に対応できるようになることは、適当であると思う。 ・芸術祭の際にアーティストが歴史的建造物の中を工夫して使うというのも、表現の一つである と思う。 (角委員長) ・先ほど片山委員からあった第一級のアート作品は、どの程度実現できるかわからないが、作品 があることで場所の知名度やエネルギーが高まる効果はあると思う。経済的な面もあるが、場 所としてのエネルギーのポテンシャルを高める効果が明示されていると、今後どのように考え るべきかという点にも関わってくると思う。 (熊谷委員) ・芸術祭の議論の中で、シンボリックな作品を残せないか、3年に一度シンボリックな作品が街 中に増えていくのも良いのではないかという意見もいただいている。しかし、美術館に収蔵す るのと違い、簡単にはいかない部分もある。札幌市資料館で拠点整備ができると、ここに行け ば前回の作品が見られるなどのポイントとなり、芸術祭の間の期間をつなぐという役割も果た せるのではないか。 (角委員長) ・菊地副委員長からも活用の考え方について意見があったが、現状機能の維持・継続・機能向上、 情報発信・交流・誘客機能の強化、シンボル・憩い機能の強化と整理されている。これらに先 ほどあった新旧のコラボレーションなども入れ込む必要がある。それ以外に足りないものや追 加すべきものなどはあるか。 ・今年度の検討の段階では幅を広げ、今後集約する際に精査する方が良いと思う。 ・アンケート等からの要望の「授乳室」、「トイレ」等と保存活用の方向性とで具体性に差があ るのが少し気になる。必要なことではあると思うが、設計へのわたりの部分で具体的すぎるの かもしれない。 (川上委員) 4 ・札幌国際芸術祭の拠点としての機能について、情報発信機能、市民交流機能等が示されている が、現在北1条西1丁目にアートセンターの建設が予定されている。アートセンターの機能も 文言としては、概ね同じような表現になってしまう。2つの施設の違いについてしっかりと整 理をしないと市民から見ると同じに見えてしまうのではないか。そのような整理も必要である と思う。 (角委員長) ・都心の魅力を高める都市空間の形成の検討に関して、意見等あるか。 (斉藤委員) ・旅行会社の方と話した際に、外国人観光客は NHK 前でバスの乗り降りをしている。札幌市資料 館には、バスを停める場所がないことも関係しているが、あまり観光バスは行かない。例えば、 NHK 前で降り、大通公園を歩き、資料館でバスに乗る方法やその逆もできるのかもしれない。 このようなバスを介した大通公園の観光客の流れを意識することも必要かもしれない。 (角委員長) ・NHK 前は観光バスのキャパシティーが超えていて、北海道電力の横にもバスを停めて、かなり の距離を徒歩で移動している。 (斉藤委員) ・現状では難しいが、せっかく歩くのなら大通公園を歩き、資料館まで行くと良いのではないか。 (角委員長) ・交通計画の範疇ではあるが、現在はパンク状態であるので、上手くソフトの展開ができると良 い。1車線を観光バスが埋めている現状がある。 ・先ほど今村委員から、既存部のミニギャラリーは一般市民の利用率が高いという話があった。 作品等にもよると思うが、ミニギャラリーの広さで、現代アートを展開することは可能か。 (今村委員) ・一部屋ずつでも、使おうと思えば使える広さである。 (角委員長) ・保存活用の方向性についての中でも、増築部や既存部分の改修について話題に出ている。次に 耐震改修についてと、既存部の改修と増築の検討について事務局から資料の説明をお願いする。 ・説明の後に、保存活用と絡めながら意見をいただきたい。 4)耐震改修について(資料-5) (資料-5 について事務局より説明) 5)既存部の改修と増築の検討について(資料-6) (資料-6 について事務局より説明) 議事3 耐震改修および増築の考え方について (角委員長) 5 ・耐震改修工法について2ページ目にまとめている。工事費については、現段階では概算である。 耐震改修に関して、質問、意見等あるか。 (菊地副委員長) ・検討ルートは、建築的価値の保存を考えると、おのずとルート③(建築基準法第 3 条による「適 用除外」)となる。本日の前半の話題の利活用の障害にならないように、計画を進めていく必 要がある。 ・補強方法について、鋼板による補強が追加された。補強工法は現段階では一長一短であると思 う。市民が多く利用すること、アート作品の展示、建物自体に影響が少ないというメリットで 免震装置による補強が示されているが、建物内部の収容物を守るという観点でも免震装置のメ リットは捨てきれない。もし免震以外の工法を採用した場合は、別途、各什器の保護の検討が 必要となる。 (角委員長) ・臥梁がないことについての説明もあったが、免震にした場合も臥梁は必要か。 (菊地副委員長) ・いずれの補強工法でも必要となる。 ・E 案の PC 鋼棒による補強は、別件で業者と話す機会があったが、現内壁の基礎部分にも屋根と 同じだけの臥梁を回す必要があるらしい。基礎部分に関しても大々的な補強となるらしい。 (角委員長) ・他にあるか。 (斉藤委員) ・耐震改修の中に、可能であれば断熱性や気密性を確保すること、基礎や天井から抜けていく熱 があると思うので、それを防ぐ方法を盛り込むことはできないか。 ・札幌市より資料館の月別の暖房用の燃料消費量と暖房費のデータを提供してもらった。ボイラ ーの運転方法等の詳細はわからないが、熱損失の計算をしたところ、資料館では 3.0~ 4.0W/(㎡・K)であった。札幌の一般的な新築住宅の断熱性は 1.0W/(㎡・K)程なので、それより も3~4倍のエネルギーが必要という結果になっている。このことから断熱性の確保は、省エ ネルギー性と温熱快適性の二つの点で重要なポイントになるといえる。 ・建物の壁体はレンガと軟石で構成されていて、建物の蓄熱性はあると思う。3~4倍かかる理 由として、天井面から必要以上に空気が抜けて行っていることが要因の一つと思われる。建物 の熱性能を改善するための最優先課題は窓の熱損失を抑えるとともに、気密性の向上ではない かと思う。換気は必要であるが、気密性を上げることを耐震改修と併せてできると良いと思う。 (角委員長) ・現在は、耐震をある程度、確保するための技術的な課題があるが、耐震改修に伴ってできる断 熱・気密改修の組み合わせはいくつかあると思う。どのくらい断熱材を入れるか、気密性を確 保するかも含めて検討すると良いのではないか。これまでは歴史的建造物では断熱性の向上を 6 半分あきらめてきた部分もあるように思う。資料館は幸いにもレンガ造と石造の混構造であり、 将来、窓等の開口部をどのようにするかも課題となるので、その部分での熱損失をできるだけ 抑えるような、新しい活用に向けての手法を提示できると良いのではないか。 (今村委員) ・C-1 案の炭素繊維シートはレンガの外側に施工するのか。 (事務局) ・漆喰をはがし、レンガの内側に張る。鋼板も同じである。C-1、2 は木材の腰壁等は復元するこ とができる。漆喰は新規材でのやり替えとなる。 (今村委員) ・その場合、価値はどの程度下がるか。 (角委員長) ・難しい部分である。重要文化財の豊平館では、全部ではないが、耐震補強により漆喰をはがし、 新規材でやり替えた部分もある。どの程度許容できるか、文化庁としては可能な限り少ない方 が良いと思う。一方では耐震改修を推進しているので、若干矛盾している部分ではある。 ・資料館でもどの部分に補強を入れるのかは検討が必要で、細かな設計をする必要がある。資料 -4 の建築的価値保存の考え方にあるように、可能な限りオリジナルの部材を残しながら、新た な活用方法を付加していく。相当綿密な検討をしなければ、完成した後に指定物件にする際に、 手を入れた部分が多く、審査に通らない可能性もあると思う。その場合には、改修のプロセス をしっかり記録しておくことでフィードバックすることができる。 ・移築されたが重要文化財に指定された例も多くある。オリジナル部材を使用しているが、細か な造作は変更されているものでも重要文化財になっている。 ・建物の価値は、どこを基準に見るかによっても変わると思う。漆喰の技術が相当高いレベルだ とすると、それをはがすことで価値が下がるかもしれない。現段階では、一概にどの部分を変 えたから価値が下がるかは言えない。そのため、選択の余地を残し、できるだけオリジナルの 部材を残すという考え方になっている。 (菊地副委員長) ・漆喰自体の価値はどうか。 (事務局) ・現在は漆喰の上に塗装が施されている。 (角委員長) ・豊平館の場合は、塗装の塗膜だけを落とした。何層にもなった塗装を剥離剤の強さを変えつつ はがし、オリジナル部材に一番近い部分で止めた。そこまで確認する必要もあるかもしれない。 (菊地副委員長) ・重要文化財の大阪市中央公会堂は、天井の漆喰を一度はがし、天井画を書き直すために塗り直 した。 7 (角委員長) ・どこまで許容できるかに関わる。基本方針策定後の実施設計の段階で、細かな検討となると思 う。 ・補強工事費の比較で、D 案免震装置による補強に×が付いているが、菊地副委員長からもあっ たように、細かな検討のためには免震も残さざるを得ない。A 案鉄筋コンクリート壁による補 強や B 案鉄骨フレームによる補強は、建物内部に構造体が相当出ることを考えると望ましくな い空間になると思う。 ・現段階では特定の工法に定めることはできないが、C 案や D 案を中心に方向性を定めたい。E 案 は施工業者が限られるため、公募する際に枠を狭めてしまうかもしれない。しかし、今後も組 積造等の歴史的建造物の耐震補強があると思うので、可能な限り情報を集めた方が良いと思う。 ・耐震改修工法については、C 案や D 案を中心に方向性を定めるということでよろしいか。 (全委員) ・異議なし。 (川上委員) ・A~E 案の6つの工法により、工事期間に差は出るか。 (事務局) ・D 案は最も長くなる。免震装置を設置する際に、工事音等はするが使用しながら施工すること ができる。 (角委員長) ・道庁本庁舎は使用しながら施工した。 (熊谷委員) ・閉鎖しなくても良いというメリットがある。 (菊地副委員長) ・この建築規模だと工事期間は2年かからないのではないか。道庁本庁舎は3年であった。 (熊谷委員) ・芸術祭と芸術祭の間の期間で施工することができる。 (片山委員) ・補強工事費の評価は6つの案の中で◎から×が付けられているが、広い目で見た場合、免震は 本当に×なのか。6つの案での評価だけでなく、同規模の歴史的建造物の事例でどのくらい工 事費がかけられているかと比較をすることで、評価が変わるかもしれない。 (熊谷委員) ・財政面では、増築と含めてどの程度の工事費であると、納得されるか、どれだけかける価値が あるのかで、市民合意できるかどうかが最後の判断となる。耐震改修にかかる工事費のみでは、 考えないだろうと思う。 (片山委員) 8 ・資料の評価で×が付いていると、資料が独り歩きした際に障害となるのではないか。 ・断面図では、鉄骨フレームの華奢具合等がわからないので、できるのであれば内観パースやイ メージがあると良い。設置された際の存在感が想像しにくい。 (菊地副委員長) ・B 案はブレースもはいるのか。 (事務局) ・入る。 (菊地副委員長) ・ブレースを入れない方法もあるが、鉄骨の大きさが相当大きくなる。 (事務局) ・鉄骨を大きくするとブレースはいらなくなる。しかし、大きくなるほど重量も増えるので、工 事を考えると柱材は大きくても 200mm 角程度となる。できれば 175mm 角ほどが良いと思う。そ れに加え、ブレースが入るイメージである。 (角委員長) ・建築が専門の人以外には、なかなか断面図のみではイメージが付きにくい。 ・壁に沿って鉄骨が設置されて、腰壁の部分に段差ができるようなイメージがあると良い。 (事務局) ・前回の委員会では、施工事例の写真をいくつか提示していた。空間の規模が異なるので実際の ものはイメージしにくかったかもしれないが、一つのイメージの手助けになると思う。 (角委員長) ・なにか補足説明が必要になると思う。 ・熊谷委員からもあったように、既存部の改修のみでなく増築部も合わせて総予算が決まると思 う。概念図の段階で、前回は何を基準にするか先送りにしていたが、増築プランの利便性や運 用面、バリアフリー面、左右対称形、シンボル性、片山委員からあったような新旧の対比など も含めて、増築プランについていかがか。 ・C 案、D 案は、偏心しているので美しくないと思う。 (今村委員) ・B 案が良いと思う。増築部がシンプルで利便性が高いと思う。A 案も悪くないが、変形している 空間が利用しにくいかと思う。B 案は昔の資料館の配置も思い出させるようにして、ノスタル ジックにするのも良いと思う。動線もそれほど長くなく、中庭部分も使えそうである。 (熊谷委員) ・今回の議論までは、増築部は正面からは見えないものをイメージしていたが、意見を聞くと、 あえて見せる方法もあるのではないかと思う。提示されている 4 案はいずれも裏側に配置され ているので、立体的な見せ方も同時にイメージする必要があると感じた。正面から見た際に塔 9 状のものが見えるものは全くイメージしていなかったが、それはそれで面白いと思う。増築案 の検討で立体的にどのように見えるかも考慮する必要があるかもしれない。 (角委員長) ・現在は建築面積 400 ㎡で 2 層程度を想定しているが、階層を増やし、建築面積をもう少しコン パクトにすると、裏庭の緑も保存できるかもしれない。 ・デザインの能力が問われるが、古い建物の背後に新しい建物があり、それが芸術祭の拠点とい うのも方法の一つかも知れない。 (熊谷委員) ・一方で展示空間の観点からは、ある程度の平場が必要となるため、細くなりすぎると使い勝手 が悪くなる。 (角委員長) ・一部吹き抜けで展示できる空間があると、うまく運用することが可能であると思う。 ・現在は平面で検討しているため、偏心したときにどのように見えるか簡単な概念図があると良 い。現在の資料館は軸線が揃っているので、偏心した配置はデザイン性がかなり問われるので はないか。 ・見え方の面からの検討が必要である。 ・菊地副委員長いかがか。 (菊地副委員長) ・偏心しているが、シンプルな D 案が良いと思う。B 案の囲まれた中庭部分は、渡り廊下で隔た れるので、圧迫感があるのではないか。D 案は、法廷展示室の部屋としての機能が損なわれる 可能性があるが、開放感があってよいと思う。 (片山委員) ・今の流れでは外壁はガラス面で、周りの緑と一体化した連続的な空間となり、背景に軟石の外 壁が見える場所に、大きな現代アートを展示されることを考えると、A 案か B 案が良いと思う。 演出の観点ではうまくいくと思う。 (熊谷委員) ・B 案などは四角くなくても良いか。 (角委員長) ・円形や曲面でも構わない。建物自体がアートというのも一つの考え方かもしれない。 (片山委員) ・裏庭に保存する価値のある樹木があれば、その樹木を避けた外壁の形というのも、形態を決定 する要素であると思う。 (熊谷委員) ・樹木は、具体的に議論をする際の論点になると思う。伐採を反対する意見もあるかもしれない。 いい樹木が生えているような気がする。その課題は出てくると思う。 10 (斉藤委員) ・温熱環境の観点では、既存部と増築部の温熱環境を必ずしも同じにする必要はないと思う。構 造を分けて考えなければならないのと、熱負荷計算により暖房や熱源をどうするか検討が必要 であるが、A 案の既存部に寄り添うような形で半屋内空間の温熱環境が実現できると良いと思 う。室内展示とうまく合うかわからないが、周囲の既存樹木への影響が一番少ないという面で も良いと思う。 (角委員長) ・概念図では増築部が接しているように見えるが、構造的には全く別にしなくてはならない。 (熊谷委員) ・今回の基本方針の段階では、一つの案に絞る必要はないということでよろしいか。 (事務局) ・一つに絞る必要はない。 (角委員長) ・今後の可能性を残し、いくつか並列とする方が良いと思う。しかし、考え方としてまとまって いる方が細かな検討ができると思う。D 案は諸室の機能が損なわれてしまうので、C 案のような 接続が出てくると思う。しかし、渡り廊下が長いという課題となる。 ・エレベーターの位置についても増築部にあると、既存部の各階にアクセスしやすくなる。そう 考えると、様々な考え方ができると思う。 (斉藤委員) ・渡り廊下での接続が提示されているが、面的につなげる方法をとると、B 案や C 案に示されて いる配置も良いかもしれない。 (菊地副委員長) ・耐震補強工法との兼ね合いでは、A 案は免震装置による補強は採用できない。増築部分も含め、 免震にすると可能である。 (斉藤委員) ・免震の場合、既存部と増築部はどの程度離す必要があるか。 (菊地副委員長) ・既存部の周囲全てを 80cm 程度離す必要がある。 (熊谷委員) ・B 案、C 案、D 案も接合部分をどうするかという問題が生じるか。 (菊地副委員長) ・接合部のみ可動式のエキスパンションが開発されているのでそれを設置する。 (事務局) ・A 案もクリアランスを設け、屋根だけはエキスパンションで接続するものをイメージしている。 技術的に難しくなるが、不可能ではないと思う。 11 (角委員長) ・先ほど熊谷委員からもあったように、遠くからの見え方についても検討事項としてあると考え やすいのではないか。展示空間の面で難しいかもしれないが、シンボリックな塔状のもので、 気になって人が訪れるような集客性のある物も良いと思う。ユニークな建築も良いと思う。 (熊谷委員) ・それだけの予算が付くかどうかがポイントの一つになると思う。 (角委員長) ・増築プランについては、様々な考え方、立体的なことも考えながら、並列としてよろしいか。 ・増築プランの比較の◎から×の評価についても表現方法を少し検討する必要がある。 (事務局) ・総合点ではなく、利便性の面で移動距離が長くなることのみの評価である。 (角委員長) ・現段階では総合的にどれが良いかわからないため、無理に評価する必要はないと思う。 ・増築するにあたり、樹木など様々な課題がある。一通り議論にはなったが、具体的には設計の 段階で議論が必要であると思う。まずは方向性としてこうしたいというもので良いと思う。後々 実現不可となった場合、基本方針の意味がなくなってしまうので、事務局側ではどんな問題が でるか整理する必要がある。 ・全体として議論すべきことはあるか。斉藤委員いかがか。 (斉藤委員) ・耐震改修と断熱改修の組み合わせができるかどうかが、可能であれば記載されていると良いと 思う。 (角委員長) ・断熱材を入れるとなると壁厚が増すのではないか。 (斉藤委員) ・壁は基本的に現状のままとし、天井や床、窓の断熱改修を選択と集中の考え方で行なう方法が ある。耐震補強に付加できることを検討すると良いのでないか。 (角委員長) ・やるべきこともあるかもしれない。木造建築の文化財の場合も床下に防湿層や断熱材を設置す ることについて、方針として記述があると、発注方法はわからないが設計の際の提案として出 てくると思う。それにつながるような条件整理をするということでよろしいか。 (菊地副委員長) ・煙突はどのようにするか。現在は煙突として機能しているか。 (事務局) ・煙道としては使用していない。 (斉藤委員) 12 ・煙突機能は、現在は使われていないのではないか。補強を優先する必要はあると思う。 (菊地副委員長) ・構造として補強は必要である。煙道をふさいで良いのなら補強がしやすい。 (斉藤委員) ・夏季の換気は小屋裏の上部窓を利用していたと思われる。煙突は暖炉からの排気として利用し ていたと考えられる。現在はボイラーを使用しているため、煙突は使用されていない。そのた め先ずは補強を優先して検討して良いが、夏の排熱利用にどのくらい効果があるかの検討もで きればと思う。 (片山委員) ・参考資料 3 について、資料館周辺の貸しギャラリーの位置が示されているが、資料館に来て、 周辺のギャラリーを巡り、大通を散策するという休日の過ごし方などソフト面での意味合いが 見えてくると思う。 ・参考資料 4 は、資料館は芸術祭の発信拠点ではあるが、他の会場と距離があるので、少し立寄 るということは少ないと思う。作品が展示されていなければ人は来ないかもしれないと改めて 思った。歴史的建造物が会場であるという点は、道庁赤レンガ庁舎と性格が似ているが、各会 場で会期以外は展示がなくなるとすれば、作品を会期後も展示して、札幌国際芸術祭を常に発 信している場になると良いと思う。 (熊谷委員) ・参考資料 3 については、今は芸術祭の間の年であるが、周辺のまち歩きの提案などのソフト面 に関する発信も積極的にする必要がある。SIAF ラウンジも少しずつ機能してきているが、もっ と進めていく必要があるというのが現状である。 ・参考資料 4 では、SIAF2014 の会期中は作品を展示するというよりも、ボランティアの方々の拠 点として利用していた。一部裏庭のコロガル公園などの展開もあったが、主に作品を見に来る ものではなく、運営側の拠点として活用していた。 ・会期後は、芸術祭を振り返られるような作品が展示されていると良いかもしれない。また、会 期中は別な使い方をするなど、会期中とそれ以外で使い方が変化する場であっても良いかもし れない。 (今村委員) ・展示の充実も必要となると思うが、ショップや図書・アーカイブなどの共用スペースの機能を 充実させ、来館者を増やすことが必要であると思う。 ・ショップは、観光客向けの札幌スタイルのようなオリジナル商品の紹介や販売に加え、地元の 方向けの商品があると良い。NADiff というショップは全国の美術館等に出店しているショップ であるが、そのような企業と連携し、全国のアートグッズやデザイングッズが購入できるよう な場所をつくるなど、今までの札幌にはない場所をつくると良いと思う。 13 ・図書・アーカイブも特徴を出し、アートやデザイン、建築、文化にまつわる書籍や芸術祭のア ーカイブ資料を揃え、貸し出しはせずに滞留、交流を促す仕組みが良いと思う。また、そこで レクチャーやワークショップができる場所が良いと思う。 (角委員長) ・他にいかがか。 ・全体的な可能性のあるものを提示するのが、この基本方針であると思う。まとまった形にはな らないが、これからより具体的に検討するうえでの根底となるもの、また委員からの意見を踏 まえ多少内部がイメージできるようなものになると良い。 ・次回で最終回のため、どの程度内容が詰められるかわからないが、本日の意見等を踏まえ、事 務局とまとめたいと思う。 ・事務局へ。 6)その他 (細川課長) ・これで本日予定していた議事は全て終了した。第 4 回の検討委員会は、3 月 15 日(火)9 時 30 分からを予定している。場所は市役所の本庁舎を予定している。改めて正式な案内をさせてい ただく。 7)閉会 14