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本文 - 中小企業庁

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本文 - 中小企業庁
おおいた産業活力創造戦略2009の策定に当たって
1.はじめに
本県の経済産業政策の方向を明確にするため、多くの県民の皆さんや企業の経営者の方
々から直接生の声を聞き、解決のための方針と施策を明示した「おおいた産業活力創造戦略」
を平成17年1月に策定しました。
その後も、急激に変化する経済情勢に適切に対応していくため、毎年度戦略を見直すことと
しています。今回も県内500社への定期的な企業訪問などを踏まえ、「おおいた産業活力創
造戦略2009」を策定し、喫緊の課題である雇用対策に取り組むとともに、景気変動の波を乗
り切り、県経済の持続的・安定的な発展を目指します。
2.景気の現状
サブプライムローン問題やリーマンブラザースの破綻に端を発した世界的な金融危機が我
が国の実体経済へ大きな影響を及ぼしています。政府が1月に発表した「平成21年度の経済
見通しと経済財政運営の基本的態度」によれば、「世界的な景気後退が続く中で、内需、外需
とも厳しい状況が続く」としており、見通しどおり「対策の実施や交易条件の改善による効果が
見込まれる」としても21年度の国内総生産の実質成長率は、0.0%と横ばいの見込みです。
本県においても、輸出型産業の生産調整や消費の低迷、それに伴う中小企業の業況悪
化、雇用不安などが生じており、しばらくは厳しい状況が続くものと思われます。
3.景気・雇用対策
このような状況を受け、県としては、昨年9月に県制度資金の中小企業活性化資金の貸付
枠を30億円拡大し、11月にはその貸付要件を国が行ったセーフティーネット保証制度の拡充
に合わせて緩和しました。また、翌月には貸付枠をさらに30億円拡大して合計240億円とす
るなど、中小企業の資金繰り支援のための金融対策を実施しました。
雇用対策としては、12月に大分県雇用対策会議を設置して再就職支援や職業訓練の実施
に取り組むとともに、全国に先駆けて離職者居住緊急支援事業を実施し、また今年2月には
予備費を活用し、3月には補正予算により雇用創出事業に取り組むなど、切れ目ない対策を
実施しているところです。
さらに、20年度に二度にわたり貸付枠を拡大した中小企業活性化資金が貸付枠を使い切
る勢いとなっていることから、21年度当初予算では、制度資金全体での融資枠を125億円増
額し、過去最大の680億円とすることとしています。
また、雇用対策については、安定的・継続的な雇用の創出のためのふるさと雇用再生事業
や一時的雇用・就労機会を創出する緊急雇用創出事業を実施し、1900名以上の新規雇用
を生み出します。
4.おおいたの底力を高める産業活力創造戦略
「100年に1度」と言われている経済危機の中で、今こそ、県民の皆さんから地場企業、県
に至るまで、あらゆる人たちが「おおいたの底力」を存分に発揮し、自らの足場を見つめ、固め
て、そしてさらに前進するために、次のステップに向けた対応を着実に積み重ね、新しい芽を
育てていくことが大切です。
このため、次代を担う新たな研究開発を推進することにより、産業構造の高度化・重層化を
図るとともに、雇用創出のための企業誘致や、IT導入などによる地場企業の体質強化を進め
ることが重要です。
また、高校生や大学生などの県内就職を促進するとともに、子どもたちへの科学技術への
興味・関心の喚起やものづくり現場に触れるような実践的な授業を行うなど、地域産業ニーズ
に応じた人材を育成しなければなりません。障がい者や女性、高齢者の雇用も忘れてはなり
ません。きめ細かな職業訓練の実施により、障がい者、中高年齢離職者、一旦離職した女性
の就業を促進することにより、みんなで働く社会づくりを進める必要があります。
さらに、商店街を形成する各店舗が地域の実情を踏まえ、個性的な店舗づくりに努めるとと
もに、地域の特性を活かした商店街づくりが求められています。地域社会における商業機能
や地域住民の日常生活を維持する必要もあります。県産品の国内外への販路開拓・拡大の
ためには、関東など大都市圏の量販店でのフェアの開催や、中国や東南アジアでの海外国際
見本市への出展等も必要です。
以上のことを踏まえ、「産業の集積と地場企業の体質強化」、「優秀な人材の育成・確保と
雇用のミスマッチの解消」、「商業の振興と国内外への大分ブランドの確立」を、3本の柱とした
「おおいた産業活力創造戦略2009」を策定しました。
平成21年2月
大分県商工労働部
【 緊急経済対策への取組みについて 】
○原油等原材料価格高騰への対応(8月補正予算)
石油製品等原材料の仕入価格値上げ分を価格転嫁できず、収益が圧迫されている中小企業の資金繰り
改善を支援するため、平成20年8月4日から21年3月31日までの緊急措置として「原油価格等高騰対策
融資」を新設するとともに、8月補正を行いました。
・預託の追加
原油価格等高騰対策融資の貸付に伴う貸付原資を指定金融機関に追加預託(追
加融資枠30億円)しました。
○中小企業活性化資金の融資需要への対応(12月補正予算)
景気の停滞感が広がり、厳しい経営環境にある中小企業の年末・年度末にかけての資金需要に対応す
るため、12月補正を行いました。
・預託の追加
中小企業活性化資金の今後の貸付増に対応するための貸付原資を指定金融機
関に追加預託(追加融資枠30億円)しました。
また、中小企業活性化資金、中小企業経営改善資金の融資対象者要件を緩和し、中小企業の資金繰り
改善を図りました。
(1)中小企業活性化資金における要件緩和
・最近3ヶ月の売上高が前年同期比「5%以上減」を「3%以上減」に緩和
・「最近3ヶ月の平均売上総利益率又は平均営業利益率が前年同期比3%以上減少」の要件を
追加
(2)中小企業経営改善資金(不況業種関連中小企業者)における要件緩和
・国又は県指定の不況業種に属し、直近3ヶ月の売上高が前年同期比「10%以上減少」を「3%
以上減少」に緩和
○中小企業活性化資金の融資枠の拡大(H21年度当初予算)
20年度の中小企業活性化資金融資額が新規融資枠を大幅に超過したため、21年度の融資枠を160
億円増額し340億円とします。制度資金全体の融資枠は125億円増額し、680億円と過去最大としました。
(単位:百万円)
平成20年度 新規融資枠
平成21年度
資 金 名
総融資枠
当初予算
8月補正
12月補正
新規融資枠
不 中小企業活性化資金
24,000
18,000
3,000
3,000
34,000
況 (うち石油価格等高騰対策関係)
6,000
3,000
3,000
県制度資金合計
61,500
55,500
3,000
3,000
68,000
単月承諾額
中小企業活性化資金の保証承諾状況(H18年度~H20年度)
承諾累計額
9,000
8,000
35,000
H18単月
H19単月
H20単月
H18累計
H19累計
H20累計
30,000
7,000
25,000
6,000
20,000
5,000
4,000
15,000
3,000
10,000
2,000
5,000
1,000
0
0
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
【 緊急雇用対策への取組みについて 】
米国発の金融危機が実体経済にまで影響を及ぼし、本県においても昨年の秋以降非正規労働者の雇止
めなどの雇用調整が生じています。このため、昨年12月に関係部長からなる雇用対策会議を立ち上げ、①雇
用の維持、②再就職の支援、③職業訓練の提供、④生活支援、⑤住宅の確保、⑥中小企業金融などの対策
を迅速に講じているところです。中でも、年末を迎え離職と同時に住居を失うことが大きな問題となっていたた
め、離職者が安心して年を越し、再就職活動ができるよう、離職後も住居を無償で提供する事業主に対して家
賃相当額を助成する「離職者居住緊急支援事業」を急遽12月議会に追加提案し、議決と同時に申請の
受付を開始しました。この事業により249名の方が当面の住居について安心していただくことがで
きたと考えています。
こうした県の対策のほか、杵築市において短期雇用の臨時職員の募集を開始するなど、各市町が相
談窓口の設置(11市1町)や臨時職員としての直接雇用(5市)、公営住宅の提供(8市)などの緊急
雇用対策を行いました。
また、民間においても支援の輪が広がっており、ビルメンテナンスやタクシー業界等では多くの新
規求人があり、農林や福祉介護分野も含め、新たな雇用の場の提供が行われています。支援の輪は雇
用の場だけでなく寮などの住居の無償提供なども行われています。
離職された非正規労働者の方々は、出身地や職務経歴、年齢、再就職の逼迫感など様々であります。
また、離職者の希望する職種や条件が求人と合わない、雇用のミスマッチといわれる状況も出てきており、
慣れた製造業から他業種へ目を向けるのをためらう方も多いと言われています。人材需要がある未経験の分
野にもチャレンジできるよう、離職者に対するカウンセリング体制の強化とともに職種の転換に必要な技能訓
練に一層力を入れていくことが大事であると考えています。過去の雇用対策の延長線だけでの対策のみで
はなく、今後はこれまで以上に雇用の現状をしっかりと把握しながら、国や市町村との連携を強化し、
きめ細かな対策を行っていくことが重要となってきます。
11月28日
「非正規労働者の雇止め等の状況について」厚生労働省が発表
12月10日
大分県雇用対策会議設置
(1)知事から6項目についての対策を検討指示
①雇用の維持②再就職支援③職業訓練④生活の糧⑤住宅の確保⑥中小企業金融
【緊急雇用対策】
・大分県労政・相談情報センターにホットラインを開設(12月10日)
・国の雇用調整助成金の活用促進のPR
・ジョブカフェでの再就職支援セミナーの追加実施
・職業訓練の拡充
12月15日
知事から経済3団体に対する雇用維持の要請
12月補正予算を追加提案(12月16日成立)離職者居住緊急支援事業(40,000千円)
12月19日
緊急雇用対策追加措置発表
・農業・林業分野への就業支援
・福祉・介護分野への就職支援
・女性就業支援の拡充
・再就職先情報の提供
・県営住宅(37戸)の提供
12月24日
市町村雇用対策連絡会開催
(1)県及び各市町の取り組み状況について情報交換
(2)国の基金事業について検討依頼
( 県が実施した緊急雇用対策 )
1.雇用の維持
①知事から経済団体(県商工会議所連合会、県商工会連合会、県中小企業団体中央会)への雇用維持
の要請(12月15日要請)
②国の雇用調整助成金の活用促進PR (職員による企業訪問時に説明、ホームページによる広報)
2.再就職支援
①ジョブカフェによる就業支援
・就職支援セミナーの開催
3回分(60名)新規
・出張相談会の開催
3回追加開催
②農業・林業分野への就業支援
・就農・就業林業に向けた支援制度説明会の開催
・里親農家研修制度の拡充(研修対象者の要件の緩和)等
③福祉・介護分野への就職支援
福祉・介護分野への就業説明会→介護事業所等での実習
→介護事業所等への職業紹介→雇用→2級ヘルパー資格取得
④女性就業支援の拡充(再就職応援セミナーの開催)
・再就職パソコン等活用講座とキャリアアップ研修(講座・研修セットで40名)、合同会社説明会の開催
⑤再就職先情報の提供 (農業協同組合、森林組合、県の委託事業先企業等)
⑥県短期臨時職員の雇用(2ヶ月以内、5名)
3.職業訓練の提供
①職業訓練の拡充
・農業大学校(農業科) 3名新規 期間3ヶ月
・大分高等技術専門校(パソコン、簿記) 20名新規
期間1ヶ月
・民間委託訓練(パソコン経理等) 60名新規
期間1ヶ月
4.生活の糧
①生活福祉資金(離職者支援資金)貸付制度の周知・広報
5.住宅の確保
①離職者居住緊急支援事業の実施(12月議会で40,000千円補正)
・非正規労働者等の離職後も引き続き住居を無償で提供する事業主への家賃相当額の助成
(1ヶ月上限4万円 650名分)
②県営住宅(大分市内37戸)の提供
③住宅供給公社住宅(大分市内9戸)の提供
6.相談窓口
①大分県労政・相談情報センター機能の強化
・非正規雇用相談専用のホットラインを12月10日に開設
・緊急出張相談の開催(国東市12月20日(土)、杵築市12月22日(月)夜間)
(
緊急雇用創出事業の取り組み状況
)
(単位:千円、人)
県
市 町 村
県・市町村計
(
20年度補正
8,000
2,000
10,000
ふるさと雇用再生特別交付金事業の取り組み状況
県
市 町 村
県・市町村計
21年度
事業費
新規雇用者数
736,708
596
800,000
900
1,536,708
1,496
)
(単位:千円、人)
21年度
事業費
新規雇用者数
529,594
156
1,000,000
270
1,529,594
426
第1章
産業集積の進化と地場企業の体質強化
県内景気が悪化する中、企業の設備投資意欲は、減退しています。しかし、このような
時こそ、県民各層、企業から県に至るまで自らの足場を見つめ、それを固め、さらに前進
するために次ぎのステップに向けての対応を着実に積み重ね、新しい芽を育てていくこと
が大切です。
このため、県内自動車関連産業の一層の集積と持続的な発展を目指し、地場企業の
企業力を高め自動車関連産業への新規参入・取引拡大を促進するため、企業ニーズに
対応した施策メニューにより、支援策を強化します。半導体関連産業分野では、おおいた
LSIクラスター構想の推進体制の強化と意識改革を推進し、県内に半導体に関する情報
と技術の集積を進め、世界に通用する半導体クラスターの形成を目指します。また、次世
代電磁力応用機器開発拠点の構築により、大分から全国、世界へ向け電磁力によるイノ
ベーションの展開を図るとともに、新エネルギー・省エネルギーの研究開発や普及・導入
を促進することにより、「低炭素社会」の実現に向けた取組を進めていきます。さらに、地
場企業の体質強化のため、IT化による生産管理の向上や情報共有化を促進するととも
に、自動車や情報家電などに使用されている組込みシステム分野への進出できるよう、
地場企業のスキルアップを支援します。
企業誘致を取り巻く環境は、今後、一段と厳しくなるものと予想されます。このため、市
町村と連携して受け入れ態勢の充実を図るとともに、厳しい県財政に対応しつつ、海外や
他県との熾烈な競争に打ち勝つために県補助制度の見直しを行います。
ダイハツ九州(株)【中津市】
第1章 産業集積の進化と地場企業の体質強化
1.次世代を担う研究開発の推進と産業集積の構築
(1) 地場企業と進出企業の共生・発展
① 自動車関連産業の振興
担当課:工業振興課
担当班:自動車産業振興班
097-506-3268
097-506-1753:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
平成16年12月のダイハツ車体(株)(現:ダイハツ九州(株))の操業開始をはじめ、トヨタ自
動車九州(株)及び日産自動車(株)九州工場での相次ぐ増産や設備投資、これに伴う関連一次部品メ
ーカーの立地や増設などにより、北部九州の自動車産業が急速に集積してきました。
この動きに合わせ、県北地域を中心に地場企業の自動車関連産業参入の可能性を調査研究してき
ましたが、その経済効果を県内全域に波及させ、進出企業と地場企業が共に発展する自動車関連産
業の集積を目指すことを目的として、18年2月に「大分県自動車関連産業振興プログラム」を策
定するとともに、県下の地場企業80社により大分県自動車関連企業会が設立されました。
18年度から、自動車関連産業振興プログラムに基づき、大分県自動車関連企業会と連携しなが
ら、意欲ある地場企業の新規参入や取引拡大を支援し、地場企業におけるモノづくり技術の向上と
企業人材の育成を図っています。19年度には、自動車関連基盤技術分野へ進出する地場企業の設
備投資に対する支援制度を設け、20年度からはダイハツ九州(株)の技術担当役員をリーダーとす
る「新規参入支援プロジェクトチーム」を(財)大分県産業創造機構に設置し、自動車産業への参入
に意欲的な地場企業に対して個別、集中的な支援を行っています。
大分県自動車関連産業振興プログラム
現
状
(環境の変化)
課
題
【地場企業の課題】
ダイハツ九州:年間46万台体制
トヨタ九州:年間46万台体制
日産九州工場:年間53万台体制
日産車体九州:年間12万台体制
ダイハツ九州:エンジン工場新設
トヨタ九州:エンジン工場増設
:ハイブリット工場 〃
【一次部品メーカーの動き】
自動車関連産業の急速な集積
九州一体となった連携
(九州自動車産業振興連携会議)
→大分としても地場の
受け皿強化が必要
(大分県自動車関連企業会)
・生産パートナーとし
て、提案型企業への
脱皮
・モデルチェンジ、法
改正、環境対応や受
注情報等の情報収集
・しっかりした目標を
持つなどの意識改革
の必要性
・新規参入や取引拡大
を図るための企業間
連携体制の構築
・生産効率化やリード
タイム短縮化を目的
としたIT化への対
応
①
支援体制の
強化
②
技術力向上
支援
③
受注獲得
支援
④
金融・経営
支援
強力に支援
・関東、中部、関西の一次部品
メーカーの新たな九州進出
・既進出一次部品メーカーの生
産体制の強化
・コストダウンや品質
管理をはじめとした
QCD対応力の向上
時機を失しないよう
【自動車メーカーの動き】
北部九州における
自動車生産の拠点化
意欲的に取り組む企業への総合的・集中的支援
(対応の方向性)
⑤
人材育成・確保
支援
⑥
企業誘致の
推進
⑦
インフラ整備
の推進
⑧
行政機関等
の連携
1 支援体制の強化
・支援の拡大・強化
・協業体制等の調査及び支援
2 技術力向上支援
・自動車メーカーOB等の外部人材(技術アドバイ
ザー)による技術指導
・産業科学技術センターによる支援
・県立工科短期大学校による支援
3 受注獲得支援
・外注説明会や商談会等によるビジネスチャンスの
拡大
・下請取引あっせん等との連携によるビジネスマッ
チングの支援
・地場企業データベースの構築
4 金融・経営支援
・企業の資金ニーズに対応した金融支援
・経営アドバイザー派遣制度
5 人材育成・確保支援
・地場企業の現場技術者の実践力向上の取組み支援
・地場企業の高度技術者育成の取組み支援
・現場改善セミナーの開催
・U・Iターンによる高度技術者等の確保
・高度技術を有する人材の育成
・若年人材の確保
・製造現場を支えるものづくり人材の育成
6 企業誘致の推進等
・部品メーカーの誘致促進
・金型・メッキ等基盤的技術をもつ県内企業の育成
と企業誘致の促進
7 インフラ整備の推進
・高速道路網や港湾等の産業基盤整備の推進
8 行政機関等の連携
・九州各県等との連携
・関係団体との連携
■現状と課題
大分県自動車関連企業会を推進母体とした地場企業等の技術力向上、受注獲得機会の拡大等の取
組により、企業会会員数は80社から126社(平成21年1月現在)まで増加し、そのうち何ら
かの形で自動車関連産業に参入した会員数も90社を超えるなど、新規参入、取引拡大の気運が高
まり、実際に継続した受注に至るという成果も出てきました。また、自動車関連基盤技術設備投資
に対する助成を受け、県内集積の少ない自動車関連部品の金属表面処理(メッキ)を行う企業や、
有力企業の進出にあわせて大型の樹脂成形を増設し、自動車関連産業に本格参入を目指す企業もで
てきました。
しかしながら、九州における開発機能強化を目指す自動車メーカーや部品メーカーが、地場企業
に要求するQCD(品質・コスト・納期)の水準は非常に高く、地場企業には、より一層の技術力
の向上と、自社が有する技術力を進出企業に積極的に売り込むという取組が必要となっています。
また、世界経済の低迷により設備投資意欲が減退する中、さらなる企業誘致や地場企業の自動車
関連産業参入拡大を図るためには、金型製作、鋳造、鍛造、プレス、成形等の自動車産業を支える
基盤技術を保有する企業を育成していく必要があります。
◎九州に立地する自動車メーカーの生産拠点
※新聞報道等より
年間生産能力
トピック
H20 ・H18.10 第2工場増設表明
23万台 → 46万台
・H19.12 第2工場竣工、操業開始(ミラ、ハイゼット、ビーゴ等)
H20 ・H19. 1 久留米市田主丸町にエンジン工場の建設表明
新設 → 20万基
・軽自動車向けエンジンの生産
メーカー名
所在地
操業開始
ダイハツ九州㈱
大分(中津)工場
大分県
中津市
H16年12月
久留米工場
(エンジン工場)
福岡県
久留米市
H20年 8月
開発センター
(仮称)
福岡県
福岡市
H22年 以降
(予定)
トヨタ自動車九州㈱
宮田工場
福岡県
宮若市
H 4年12月
43万台 →
苅田工場
(エンジン工場)
福岡県
苅田町
H17年12月
22万基 →
小倉工場
(ハイブリッド部品工場)
福岡県
北九州市
H20年 8月
新設
日産自動車㈱
九州工場
福岡県
苅田町
S50年 4月
53万台
日産車体九州㈱
福岡県
苅田町
H21年中
(予定)
新設
・本社池田工場、滋賀工場に次ぐ開発拠点
・アッパーボディ開発から生産までの一貫化
新設
H20 ・H17年からハイブリッド車生産開始(レクサスIS、ハリアー等)
46万台 ・2010年代半ばまでに車輌開発機能新設を表明
H20
44万基 ・H20.4竣工、第2ライン操業開始
・H19.3 北九州臨空産業団地への立地表明
・ハイブリッド車用のトランスアクスル製造
・H19年度までに生産設備を最新鋭化
・国内最大の生産拠点(エクストレイル、ムラーノ、ティアナ等)
→
H21 ・H19.2 日産自動車㈱九州工場内に設立を表明
12万台 ・H19.5 日産車体九州㈱設立、H19.10 起工
【 500社訪問時の企業の声 】
○様々な地場自動車産業振興策の取組内容は時宜を得ており、非常に役立っている。後は、地場企
業にいかにしてやる気を出させるか、継続した啓蒙活動が重要。(地場企業:製造業)
○自動車関係に取り組むために、受注のタイミング、量、種類、どのようなことが求められるか
などの情報が不足している。また、それなりの設備投資が必要と思っている。
(地場企業:製造業)
○地場企業単独での自動車産業参入は困難、既参入企業が核となって参入していくのが良いので
はないか。(地場企業:製造業)
○技術進歩が著しく、特に設計の知識がなければVE(バリューエンジニアリング:消費者の要求する機能を
備えた製品を最小のコストで提供する技法)提案もできない。企業の競争力を付けるために技術
人材の育成に努めている。(地場企業:製造業)
○地場の協力企業が少なく現地調達が直ぐに出来ないので、本社で調達しているものをすぐに九
州に移管するのは困難。(進出企業:製造業)
○九州に開発拠点ができれば、産学連携による共同研究や人材育成等の取組は役立つ。
(進出企業:製造業)
■課題解決のため取り組む事業
○自動車関連産業企業力向上事業(継続・一部新規)
大分県自動車関連企業会を推進母体として、地場企業における技術力向上、人材育成や受注獲
得の取組に対する支援を継続して実施し、地場企業の一層の底上げを図ります。
・技術アドバイザー(自動車メーカーOB)や現役メーカー技術者を地場企業に派遣し、改善
手法等に対するアドバイス、指導、研修を実施
・自動車産業に特化したテーマでの「現場改善セミナー」を実施
・地場企業が県外一次部品メーカー等に技術者を研修派遣する経費を一部補助
・一次部品メーカーでの外注説明会、九州7県及び山口県との連携による個別商談会を開催、
また、全国規模で行われる技術展示商談会への出展を支援
技術アドバイザーによる現場指導((有)スプリングの佐竹)
日産自動車㈱による現場指導研修(玖珠中央発条工業㈱)
「自動車産業参入のための見積と原価管理」セミナー
新規参入・取引拡大促進セミナー交流会
アイシン九州㈱(熊本県)部品展示場見学会
九州各県連携による「九州自動車部品取引商談会」
また、今後本格化する九州における自動車産業の設計開発拠点化に対応するため、産学連携によ
る共同研究や高度技術人材の育成等の研究を進めます。
○自動車関連基盤技術設備投資促進事業(継続)
地場中小企業が、自動車関連の基盤技術(金型製作、鋳鍛造、メッキ、大型プレス等)に係る大
規模な設備投資を行う場合の借入資金の利子に対してその一部を補助します。
取組企業の事例
藤田化工(株)(玖珠町)
玖珠町の藤田化工㈱は、家電製品や医療関係の精密プラスチック部品を製造していましたが、
同町内への㈱九州南部化成(本社:静岡県、2次自動車部品メーカー)進出を契機に、本格的な自
動車産業参入を目指して設備増強に着手しました。
経営革新計画の承認を受けるとともに、制度資金融資及び自動車関連基盤技術設備投資促進補
助金を活用して工場を増設し、これまでより大型の射出成形機を導入しました。平成20年9月
に操業を開始し、ドアミラー、ランプカバー、シートベルト等構成部品の供給を開始しました。
○自動車関連産業新規参入促進事業(継続)
(財)大分県産業創造機構に設置された「新規参入支援プロジェクトチーム(ダイハツ九州(株)
の技術担当役員、生産部門の専門技術者等)」では、意欲的かつ潜在能力を持つ地場企業に対して、
現場改善指導から、部品メーカーとのビジネスマッチングまで、新規参入や取引拡大の取組を集
中的に支援します。
取組企業の事例
(株)九州ケミカル(豊後高田市)
自動車関連基盤技術設備投資促進事業を活用し、金属
表面処理(メッキ)技術保有企業として平成19年12月
に操業を開始した(株)九州ケミカル(豊後高田市)では、
プロジェクトチームと企業が一体となってコスト対応力
強化に向けた現場改善、生産計画の変動等に対応できる
生産管理技術の習得などに取り組んでいます。
プロジェクトチームによる現場改善指導
【 今後の方針 】
北部九州への自動車産業集積が進展する中、各自動車メーカーは、設計・開発から生産まで一
貫した開発拠点化を目指した動きを始めるなど、地場企業にとって、新たな分野、業態でのビジ
ネスチャンスが増加しています。こうした進出企業と取引できる地場企業群を育成していくこと
が必要です。
そのため、県内自動車関連産業の一層の集積と持続的な発展を目指し、地場企業の企業力を高
め自動車関連産業への新規参入・取引拡大を促進するため、企業ニーズに対応した施策メニュー
の充実により、支援策を強化していきます。また、進化する自動車産業界を支えるため、県内外
の産学連携による共同研究や人材育成のための体制を構築します。
これらの取組により、企業誘致の効果を地場企業へ十分に波及させ、進出企業と地場企業とが
ともに発展する、県内自動車産業の集積を目指します。
第1章 産業集積の進化と地場企業の体質強化
1.次世代を担う研究開発の推進と産業集積の構築
(1) 地場企業と進出企業の共生・発展
② おおいたLSIクラスターの推進
担当課:産業技術開発室
担当班:
097-506-3272
097-506-1753:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
半導体産業では、県内に大手製造メーカーが多数進出しており、また、後工程を得意とする地場企業の
集積が進むなど、県経済を牽引するリーディング産業となっています。
しかし、競争力の強化や半導体の微細化・高度化、多品種少量生産などにも対応できる技術力の向上や
企業間連携の強化が課題となっています。
九州は、「シリコンアイランド」とも呼ばれ、九州経済産業局が主導する「九州シリコン・クラスター計画」が
推進される中、福岡県や熊本県、北九州市などは、独自の半導体産業振興策を推進していました。本県に
おいても平成17年に、大手進出企業と地場企業の集積の強みを活かし、評価技術を核とした高度製造技
術の戦略的集積を図り、品質・コスト・納期において国際競争力を有する半導体生産拠点を目指す「おおい
たLSIクラスター構想」を策定し、「大分県LSIクラスター形成推進会議」(注1)を核として、産学官一体となって
研究開発、人材育成、情報提供・販路開拓等に取り組んでいます。
この取組から4年目を迎え、「創成期」から「発展・成長期」へとステップアップを目指し、地場企業の参画
意識の向上と地場企業の強みである後工程の技術課題への取り組みを強化するため、「大分県LSIクラス
ター形成推進会議」に地場企業のトップを中心とした企画委員会を設置し、新たに取り組むべき課題などを
検討しています。
設計
おおいたLSIクラス ター構想
製造装置部品のナノ洗浄技術
半導体の産業廃棄物処理
前工程
プロセス
評価
(ウエ-ハ)
おおいたLSIクラス ター構想
新型実装技術
高速通信技術
後工程
組立/実装
評価
(パッケージ)
① 科学的な診断と体系的な技術の確立
② 公正な 評価と情報の蓄積・発信
③ 適切な カウンセリング
シリコンシーベルト福岡構想
エレクトロニクス産業拠点構想(北九州市)
北九州市エレクトロニクス産業拠点構想
シリコンシートベルト
福岡構想
国家的プロジェクト(あすか、MIRAI)
熊本セミコンダクタ・フォレスト構想
おおいたLSIクラスター構想
テスト周辺技術
電子実装工学研究所
九州工業大学、福岡大学、熊本大学
かごしま電子デバイス・フロンティア構想
おおいたLSIクラスター構想
熊本セミコンダクタ・
フォレスト構想
おおいたLSIクラスター構想
テスト周辺技術
鹿児島県電子デバイス
・フロンティア構想
“半導体クリニック”の実現
「おおいたLSIクラスター構想」
「九州シリコン・クラスター計画」
■現状と課題
これまでは、大手企業が提案した前工程を中心とする技術課題について、産学官が協力して技術開発を
行うことで、新たなビジネスチャンスを創出してきました。しかし、これまでの取り組みは後工程に強みを有
する地場企業への経済効果が限定的でした。
今後は、地場企業の技術課題への取組と企業間連携を強化することで、地場企業への経済効果の拡大
を図り、クラスター形成を推進していく必要があります。
【 500社訪問時の企業の声 】
○世界の顧客ニーズや最新の半導体の情報を収集してクラスター会員に情報発信できないだろうか。
(地場企業:製造業)
○品質管理やトヨタ自動車(株)などが行っている改善研修などの生産現場を対象とした人材育成の講
座は実施できないだろうか。(地場企業:製造業)
○企業間連携により数社でアライアンスを組んで受注することはできないだろうか。
(地場企業:情報・サービス業)
(注1)大分LSIクラスター形成推進会議: 産学官で構成するおおいたLSIクラスター構想を推進する中核機関
会員数 119名(平成21年2月1日現在)
■課題解決のため取り組む事業
○おおいたLSIクラスター構想推進事業(継続)
企画委員会が新たに掲げた「世界の情報を大分へ、大分の技術を世界に」をモットーに、世界の顧客
ニーズや半導体技術の最新情報の収集・発信に努め、ビジネスに直接結びつく研究開発、人材育成、情
報提供・販路開拓などの取組を強化します。
研究開発として、新たに審査会を設置し、ビジネスに結びつくテーマの採択を優先するとともに、中間
評価を行うなど研究開発の強化を図ります。また、的確なアドバイスサポートを行い、事業化への実現を
図っていきます。
経営幹部、中堅技術者、新人技術者などレベルに応じた研修を実施するとともに、品質管理・改善研
修など企業ニーズに対応した講座を実施し、人材の育成を行います。また、経営者同士の交流を進め参
画意識の醸成と開かれたクラスターの形成に取り組みます。
世界の顧客ニーズや最新の半導体技術に関する情報を収集し、クラスター会員に提供します。また、
ベンチマークによる自社の立ち位置がわかる仕組みづくりや共同受注体制の調査研究を行い、販路の
拡大を推進していきます。
【 今後の方針 】
推進体制の改正と意識改革を推進し、新たに「世界の情報を大分へ、大分の技術を世界に」をモットー
に、県内に半導体に関する情報と技術の集積を進め、世界に通用する半導体クラスターの形成を目指し
ます。
さらに、九州各県と連携し、機能の相互補完を強化するなど、九州全体で半導体クラスターの形成を推
進します。
おおいたLSIクラスターの今までの成果
○研究開発
新技術に関する研究開発の WG (ワーキンググループ)に支援を行い、成果が出始めています。
・ 多焦点撮像装置(異なる焦点の複数画像を同時に撮像できる装置)を利用した半導体検査装置
を実用化し、自社の検査時間の短縮だけではなく、他社に装置を販売しています。
・ 廃棄物として処理していた有機溶剤の再利用技術を開発し、廃液処理コストの削減を図るととも
に再生した有機溶剤を販売しています。
○人材育成
新人技術者や中堅技術者、経営者などレベルに応じ
た講座を実施してきました。地場企業から、職員のレベ
ルアップが図られたとの感想が寄せられています。
新人技術者を対象した半導体基礎講座
○情報提供・販路開拓等
県内企業の技術・製品を紹介するため、日本テキサス
インスツルメンツ(株)日出工場や(株)東芝セミコンダクタ
ー社大分工場において、企業内覧会を開催しました。
また、世界規模の半導体展示会であるセミコン・ジャ
パンへの出展を支援してきました。このような取り組みに
より新たな取り引きが成立するなど、販路の拡大が図ら
れています。
(株)東芝セミコンダクター社大分工場での内覧会
第1章 産業集積の進化と地場企業の体質強化
1.次世代を担う研究開発の推進と産業集積の構築
(2) 次世代を担う研究開発の推進
① 次世代電磁力応用機器開発拠点の構築
担当課:産業技術開発室
担当班:
097-506-3272
097-506-1753:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
地域に新たな産業を創出できる有望な大学シーズを活用して、平成16年度~17年度にかけて、「モータ
の高効率・高エネルギー密度化技術の構築」をテーマに経済産業省の地域新生コンソーシアム研究開発事
業で、大分大学、サイメックスなどが、新型のダブルギャップ構造の高出力モータの開発を行いました。
この研究開発の成果を発展・継承させた「次世代電磁力応用機器開発技術の構築」が、「地域結集型研
究開発プログラム」に提案し採択を受け、20年1月から産学官の共同研究開発事業を実施しています。
県では、20年度に新たな電磁力応用機器産業の創出や電磁力応用技術の研究教育拠点づくりの中核
となる「コア研究室」の整備を行い、研究員や事務職員の派遣、中核機関((財)大分県産業創造機構)への
事業経費の助成を行っています。
◆身の回りの電磁力応用機器(モータ)
◆地域結集型研究開発プログラム
(テーマ)
アンテナ伸縮
ドアミラー
カーテン
サンルーフ
「次世代電磁力応用機器開発技術の構築」
①モータの高効率高出力化
②磁気駆動伝達要素の高機能化
③材料活用支援技術の構築
ハンチバック
ワイパー
バルブ
ターボ
ブレーキ
コンプレッサー
スライドドア
ライト調整
パワウインドゥ
ラジエターファン
オイルポンプ
(参加者)
シート
サスダンバ
スタータ
AT
◆モータの小型・高出力化の成果
産業用ロボットの高性能化
◆「コア研究室」
(産業科学技術センター)
軽量化された自動車
産:安川電機、サイメックス、日立産機システム
ニッセイ、デルタ工業、デルタツーリング
石井工作研究所、西日本電線
イーエイジット 9企業
学:大分大学、同志社大学、茨城大学
群馬大学、宮崎大学、岐阜大学
埼玉大学、大分高専 7大学1高専
官:県産業科学技術センター
(中核機関)
大分県産業創造機構
(主な研究機器)
☆微小部X線応力測定装置
(磁石の表面磁界を3次元ベクトルで捉え、表示解析するもの)
コア研究室
■現状と課題
研究開発の成果を地場企業に技術移転し、地場企業の新技術・新製品開発支援や研究開発型企業の
育成・創出を図るため、地場技術者が電磁力応用技術について詳しく知る機会や電磁力応用機器を扱う県
外企業と新たな連携を図る場が必要です。
【 500社訪問時の企業の声 】
○研究開発に一緒に取り組めるかどうかわからないが、電磁力応用技術について関心があり、詳しく知り
たい。(地場企業:製造業)
○参加企業や大学の研究開発は順調に進むが、地場企業への研究成果の技術移転を進める必要があ
る。(県内大学)
○電磁力応用技術について関心はあるが、その専門的な内容を詳しく知る機会がない。
(地場企業:製造業)
■課題解決のため取り組む事業
○次世代電磁力応用技術開発事業(継続)
産業科学技術センター内に「コア研究室」を提供するとともに、中核機関(大分県産業創造機構)への
人的・財政的支援を行います。また、地域の産学官の有識者で構成された企業化促進会議を通して研究
開発の成果の企業化に向けた検討を進めます。さらに、新産業の創出に向け、新たな地場企業の参加
促進や電磁力応用機器を扱う県外大手企業との新たな連携、地場技術者の電磁力に関する技術力向
上を推進するため、電磁応用技術研究会(注1)を支援します。
【 今後の方針 】
中核機関への職員派遣や助成金の交付を通して研究開発がス
ムーズに進むよう支援します。
また、企業化促進会議や電磁力応用技術研究会の活動などを
通して、研究開発成果の地場企業への技術移転を進めます。
今後、電磁力応用機器産業創出のため、研究開発の拠点づく
を行い、省エネ・環境負荷低減効果をもたらす電磁力応用機器の
小型・高出力化を図り、電磁力によるイノベーションを大分から全
国、世界へ展開します。
◆平成25年度以降の目標
電磁力応用技術支援センター
(産科技センター内)
・実用化技術研究
・開発サポート
・企業技術人材育成
電磁力基盤技術センター
(大分大学内)
・基盤技術研究
・研究人材育成
電磁力による
イノベーション
共同研究
技術移転
地場企業
県外大手メーカ
(注1)電磁応用技術研究会 : 県内の電磁力に関係する機関等で構成され、電磁力に関する調査研究や
研究成果の地場企業への技術移転の推進を行っている。
第1章 産業集積の進化と地場企業の体質強化
1.次世代を担う研究開発の推進と産業集積の構築
(2) 次世代を担う研究開発の推進
② 未来を築くエネルギー施策の推進
担当課:工業振興課
担当班:環境・エネルギー班
097-506-3263
097-506-1753:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
平成18年8月に、県内の新エネルギーに関する共同研究・事業化を目指す産学官の連携組織(55団体
・企業)として「新エネルギー産業化研究会」を設置しました。
これまで、新エネルギーに関するセミナーを開催するとともに、新エネルギーによる次世代型ビジネスへ
の取組を推進するため、燃料電池・水素エネルギーやバイオマスエネルギーなどの事業化に向けた研究開
発を行うためのワーキンググループの活動を支援するなど、積極的に取り組んできました。
また、16年に県と大分コンビナート地区内企業10社で組織した「大分コンビナート立地企業連絡協議
会」において、特別管理産業廃棄物のパイプライン輸送などについて共同して検討し、国に規制緩和の提
案を行った結果、「大分臨海コンビナート活性化」構造改革特区として18年7月に認定を受けるなど、企
業間連携が進みました。19年度には、九州経済産業局の事業を活用し、コンビナート地区全体でのエネ
ルギー最適化の調査・検討を行ってきました。
■現状と課題
近年の原油・原材料の高騰を受け、大企業の多くはNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助
成制度の積極的な活用などにより、省エネの取組が進んでいますが、中小企業では、経費削減のために省
エネに取り組みたい意向は持っているものの、どのような対策を講ずべきかについての判断材料や、国等
の省エネ支援策の情報を持ちあわせていない状況にあり、省エネの取組が遅れています。
また、省エネや新エネに関する技術は、複数分野の高度で専門的な知識を要するとともに、解決すべき
課題が多いものの、新たな産業分野として大きな成長が見込まれることから、中小企業が産学官で共同し
て取り組む研究開発を、積極的に支援する必要があります。
さらに、国において、地球温暖化対策のアクションプランである「低炭素社会づくり行動計画」が平成20
年7月に策定され、新エネルギーの導入、省エネルギーの促進や二酸化炭素排出量取引の仕組みづくり等
の取組が始まっており、CO2削減の観点から、大企業、中小企業を問わず、省エネ、新エネに取り組む必
要があります。
新エネ研究会によるセミナーの開催
コンビナート企業間の
エネルギー(蒸気)相互融通
【 500社訪問時の企業の声 】
○新エネルギーの技術開発については、情報が氾濫しており把握しにくい。
(地場企業:製造業)
○原油・原材料の高騰により経費が上昇しているにもかかわらず価格転嫁ができていないので、経営は
非常に苦しい。(地場企業:製造業)
○経費節減のために、省エネに取り組みたいが、どのようにすればよいのかわからない。中小企業でも
取組める省エネの情報が欲しい。(地場企業:製造業)
○省エネ設備導入等の設備投資を行ってでも体質改善に取り組みたい。
(地場企業:製造業)
■課題解決のため取り組む事業
○省エネルギー等導入促進対策事業(特別枠)
省エネに関する情報の提供、診断の実施、設備導入の補助及び成功事例集の作成により、省エネル
ギーの導入と普及を促進します。
・中小企業が必要とする省エネルギーに関する技術を普及・啓発するため、省エネセミナーを開催
・省エネ診断を実施する中小企業に対しエネルギー消費の現状分析、省エネ対策の提案
・中小企業の省エネ設備導入に対する助成
・中小企業のエネルギー消費を抜本的に改革し、体質改善に役立てたデータを基に省エネ事例集を作
成し、県内中小企業に対して普及・啓発
○環境・エネルギービジネス集積促進事業(継続)
新エネルギー産業化研究会においては、燃料電池・水素エネルギーやバイオマスエネルギーに関する
情報提供・情報共有を行うとともに、研究会内のワーキンググループの研究活動を支援します。
・新エネ研究会セミナーの開催により、急激なスピードで進化する新エネルギー技術の最新情報を提
供し、新エネルギービジネスへの参入を促進
・燃料電池・水素エネルギー、バイオマスエネルギーに加え、新たに太陽電池エネルギーのワーキン
ググループを設け、会員間の活動状況等について情報共有を図るとともに、研究開発への支援など
により、次世代ビジネスへの取組を強化
【 今後の方針 】
中小企業に対して、省エネルギーへの取組を総合的に支援することにより、中小企業の経営基盤の強
化を図ります。
また、太陽光発電などの新エネルギーの普及・導入を積極的に促進することにより、新たなビジネス分
野の開拓と地球温暖化防止のための「低炭素社会」実現に向けて取り組みます。
第1章 産業集積の進化と地場企業の体質強化
1.次世代を担う研究開発の推進と産業集積の構築
(2) 次世代を担う研究開発の推進
③ 循環型環境産業の育成
担当課:工業振興課
担当班:環境・エネルギー班
097-506-3263
097-506-1753:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
循環型環境産業の育成と集積を図るため、平成17年度に創設された産業廃棄物税を活用し、18年度
から環境産業における新たな技術開発のための研究や事業化に向けた助成制度を創設しました。これまで
に、産業廃棄物である廃食油を地域資源として活用する研究開発等16件、バークを炭化する事業化等8
件について支援をしてきました。
また、木質バイオマス、醸造かす等の食品残渣、家畜排せつ物、鉄鋼・鉱石スラッジ等の有効活用を検
討する排出事業者から、産業廃棄物の排出現状・活用方法・課題・今後の取組を聴取し、環境ビジネス情
報としてデータベース化を行いました。19年度からはこのデータベースを有効に活用して、環境ビジネス情
報のWEBサイト上での発信、環境ビジネスコーディネーターの設置による環境ビジネス情報の収集やビジ
ネスマッチングの場の提供に加え、環境ビジネス支援セミナーを開催するなど、循環型環境産業の育成・振
興を図ってきました。
■現状と課題
これまで支援してきた研究開発から、砕石スラッジの再生路盤材化など、そのまま事業化に結びついた
案件も少なくありませんが、事業化にあたっては販路拡大の課題が残るなど、循環型環境産業の育成は容
易ではありません。
地球温暖化防止や近年の原油高・原材料高に対応するためにも、循環型環境産業の育成は急務ですが
環境分野において研究開発力のある地場中小企業を育成していくためには、大学や公設試験研究機関な
どの技術的な支援に加え、資金面についても支援する必要があります。また、環境産業は他の産業に比べ
事業化の際のイニシャルコストが高く、リスクも高いため、事業化にあたっては様々な資金面の支援が不可
欠です。
さらに、県内の環境ビジネスに関する情報(廃棄物の種類や量、発生状況、処理状況等)やノウハウ(技
術、企業等)は依然として不足しており、バイオマス資源をエネルギー源として活用するなど廃棄物の有効
活用や、未利用廃棄物を素材として活用するなどの取組は進んでおらず、市場ニーズや廃棄物情報のミス
マッチが見受けられます。このため、排出側、処理側の業界を越えたビジネスマッチングの場づくりとシステ
ムづくりが必要です。
砕石スラッジ等から
廃タイヤのチップ化により
再生路盤材を製造
工業用ボイラー燃料を製造
【 500社訪問時の企業の声 】
○環境ビジネスはリスクが大きいため、資本力の無い企業単独では取り組みがたい。
(地場企業:サービス業)
○廃棄物を再生利用したいが、取引の相手先に関する情報や話し合う機会が不足している。
(地場企業:製造業)
○環境ビジネスに関し研究したい素材はあるが、窓口や相談先、技術者等の情報が不足している。
(進出企業:製造業)
○近年の原油高・資源高を受け、循環型環境産業を振興することにより、エネルギー分野においても改
革を起こす必要がある。(地場企業:運輸業)
■課題解決のため取り組む事業
○循環型環境産業創出事業(継続)
環境ビジネス支援セミナーを開催するとともに、環境ビジネスにおける排出側と処理側との情報交換の
場を提供します。また、コーディネーターを配置し、ビジネスマッチングを支援します。
・環境ビジネス参入に必要なビジネスプランや技術等についての情報やノウハウを提供するため、環
境ビジネス支援セミナーを開催
・ネット上での廃棄物の情報提供やマッチングを行う環境ビジネス情報WEBシステムを運営
・環境ビジネスコーディネート業務により、企業のニーズ・課題を把握し、産業廃棄物等を地域資源とし
て活用するためのマッチングを実施
・産学官連携による環境分野の研究開発を促進するため、中小企業が取り組む廃棄物等の再資源化
等の研究開発に対して支援
・環境ビジネスの集積を促進するため、事業化に取り組む中小企業の設備導入に対して支援
・地域での産業廃棄物に関する課題解決やエネルギー対策として有効なバイオマスエネルギーの導
入について積極的に支援
・大規模な事業化案件については、工業系はNEDOや環境省、農林水産系は農林水産省の助成制
度の活用を勧めるなど、関係部局と連携し、循環型環境産業育成のため様々な支援を実施
【 今後の方針 】
環境分野におけるビジネスマッチングのため、廃棄物情報の共有の場の提供やコーディネーターによ
る活動などを支援するとともに、廃棄物の再資源化のための事業化や研究開発などについて総合的な
支援を行うことにより、循環型環境産業の育成と集積を図ります。
第1章 産業集積の進化と地場企業の体質強化
1.次世代を担う研究開発の推進と産業集積の構築
(3) 戦略的・効果的な企業誘致のさらなる推進
担当課:企業立地推進課
担当班:
-
097-506-3246
097-506-1755:FAX
■おおいた産業活力創造戦略のあゆみ
企業誘致は、雇用の創出、地場企業の技術力向上やビジネスチャンスの増大、税収増など、地域経済の
活性化に大きく寄与するため、本県の重点施策として積極的に取り組んでいます。
特に、最先端のものづくり産業やこれを支える部品・材料産業の企業誘致を重点的に推進するほか、各
地域の資源を活用する企業の誘致に取り組んできました。
その結果、好調な景気回復の波にのり、自動車関連産業や半導体関連産業、精密機械関連産業などの
大型投資が進みました。それに伴い関連企業も次々と進出し、「集積が集積を呼ぶ」という流れを生み出
し、平成15年度から19年度までの5年間で111件の企業立地があり、約12,000人もの新規雇用が創
出されました。これらにより、本県は、鉄鋼、化学、半導体、機械、石油、自動車などの幅広い産業集積が
進みました。
■現状と課題
企業誘致はこれまで好調に推移してきましたが、最近では、世界的な景気後退などから、設備投資を控
える企業があります。このような情勢下にあっては、限られたパイを奪い合うことになり、地域間競争は一層
熾烈になることが予想されます。
しかし、一方では、今後の市場拡大を見込んで、投資計画を進めている産業分野もありますので、業種
別の動向に対応した誘致活動や、これまでの産業集積を盤石にしていくために、金型などの基盤技術企業
の誘致活動など、時代の流れに対応した戦略的で効果的な取組が重要です。
特に、本県は、市町村と連携した迅速なワンストップサービスやきめ細かなフォローアップにより、立地し
た企業からも高い評価をいただいており(平成20年度経済産業省実施「都道府県の企業立地満足度調査」
における支援体制の総合評価で全国第1位)、現在のように厳しい情勢下では、進出企業に対する取組を
一層充実していくことが重要です。
一方、県内は、企業のニーズにあった魅力ある工場用地(公設・民間)が不足しているとともに、企業立地
における県内地域間格差の是正が課題になっています。県南・豊肥地域は高速交通網の整備が進展して
いる好機でもあり、地域バランスのとれた企業立地のため、市町村と連携して魅力ある工場用地の確保に
取り組む必要があります。
また、立地した企業は、人材の質・量ともに満足されてはいるものの、進出を検討している企業の中に
は、九州各県の中で相対的に高い有効求人倍率などにより、人材確保を不安視する向きもあるため、関係
機関との連携を一層深め、企業の求める優秀な人材の確保を支援する必要があります。
さらに、激しさを増している地域間競争を勝ち抜くためには、市町村も含めた補助金などの優遇制度を拡
充し、企業の初期投資の軽減を図ることが必要ですが、一方では、厳しい県財政への対応も迫られていま
す。
35
件
3,500
人
企業誘致件数と誘致に伴う新規雇用者数(H21年2月末現在)
3,035人
企業誘致件数
29件
27件
誘致による新規雇用者数
30
25
2,303人
24件
2,500
2,403人
20件 2,227人
20
3,000
2,000
1,711人
15件
15
1,500
11件
10
7件
5件
4件
5
123人
1,000
8件
113人
581人
301人
74人
0
H11
H12
500
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
0
年度
H20
【 500社訪問時の企業の声 】
○一度大分県から撤退しましたが、大分の人材の優秀さから、また立地しました。
実際に従業員を募集したところ、順調に人材確保できました。(進出企業:製造業)
○採用した人材の優秀さに驚いています。本社勤務の人材も大分から採用したいほどです。
(進出企業:製造業)
○窓口が一本化されており、手続きがスムーズに行えて、操業まで順調に進みました。
(進出企業:製造業)
○大分県内に取引条件の合う金型企業があるといいんですが。(進出企業:製造業)
○こういう時だからこそ、インフラの整った安価な工場用地を求めています。(進出検討企業:製造業)
○投資計画はありますが、今の経済情勢でやや慎重になっています。(進出検討企業:製造業)
■課題解決のため取り組む事業
○時代の流れに対応した産業分野の企業誘致(一部新規)
新エネルギーや環境、高齢化に対応する次世代を見据えた産業分野の動向把握や誘致活動の強化
を図るとともに、農商工連携の促進により県産農産物を活用する食品加工企業の誘致などを図ります。
また、高度技術者の就業の場の創出に向けて、地元大学の技術や研究のPRを行い、研究開発部門
の誘致に積極的に取り組みます。
さらに、これまでの産業集積を盤石にするため、金型などの基盤技術企業の誘致を強化します。
○迅速なワンストップサービスやフォローアップの強化による企業満足度のアップ(一部新規)
ワンストップサービスの充実や許認可手続きの迅速化、進出企業への訪問活動強化によるきめ細や
かなフォローアップなどに、市町村と一体となった取組を進め、立地企業の満足度をさらに高めます。
(「都道府県の企業立地満足度調査」の全国総合第1位の維持)
○工業団地の整備及び民間工場用地・空き工場の開拓(一部新規)
玖珠工業団地の造成に向けて、事前準備及び調査を引き続き実施します。
また、企業誘致への期待の高まりから、積極的に工場用地の整備に取り組む市町村もあり、県は市町
村に対して、場所選定から造成までの総合的な支援を行うとともに必要な財政支援も行います。さらに、
市町村や商工会議所、商工会などと連携した工場用地や空き工場の掘り起こしにも努めます。
○人材の確保(継続)
企業と学校との情報交換会の実施など、進出企業の求める人材確保のための支援を行います。
○インセンティブの充実(一部新規)
厳しい県財政に対応しつつ、海外や他県との熾烈な競争に打ち勝つために、県の補助制度の見直し
を行うとともに、市町村の優遇制度の導入・拡充を促進します。
【 今後の方針 】
企業誘致を取り巻く環境は、今後、一段と厳しくなることが予想されますが、このような時だからこそ、
時代の流れに対応した産業分野の誘致や、これまでの産業集積を盤石にするための基盤技術企業の誘
致など、戦略的で効果的な企業誘致を推進します。
また、市町村と連携して受入体制の充実を図るとともに、既に進出している企業への訪問活動強化な
どのきめ細かなフォローアップにより、企業の満足度を一層高めていきます。さらに、進出企業の動向の
把握に、これまで以上に努め、今後の企業誘致に活かします。
企業立地マップ
企業立地満足度調査で大分県が全国総合第1位に
平成20年4月から5月にかけ、経済産業省が立地企業に対して「都道府県の企業立地満足度調
査」を実施しました。
本県は、ワンストップサービスの充実や許認可手続きの迅速化、フォローアップなど、7項目のうち
4項目で第1位となり、総合で日本一の評価をいただきました。
総合評価
許認可手続き等への対応の迅速性
ワンストップサービスによる対応
立地企業へのご用聞き、フォローアップ
許認可手続き等における市町村との連携
【全国ランキング】
第1位
第1位
第1位
第1位
第1位
【進出企業からのコメント】
○工場立地後もしっかりとフォローいただいているほか、常日頃よりコミュ二ケーションをとらせてい
ただいており満足している。
○東京事務所の方が現地視察やその後の問い合わせ窓口をしてくれて、大変スムーズに手続きが
進められた。
第1章 産業集積の進化と地場企業の体質強化
2.景気変動に負けない地場企業の体質強化
(1) IT活用等によるイノベーションの創出
① IT導入による競争力の強化
担当課:工業振興課
担当班:工業支援班
097-506-3267
097-506-1753:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
IT(情報技術)は、企業情報の収集・発信や情報共有にとどまらず、経営の効率化や生産管理の改善、
販路開拓等を進めるうえで極めて有効なツールです。
県では、これまで中小企業の情報化を促進するため、(財)大分県産業創造機構等と連携しながら、ITの
導入・活用に関する情報提供やセミナーの開催、専門家による指導・アドバイス、企業間電子商取引の活
用促進などに取り組んできました。
平成20年度からは、中小企業IT化モデル事業により製造業における生産管理や工程管理等へのIT導
入を進め、業務プロセスを効率化するための取組を支援しています。
このような取組等の結果、県内中小企業における情報化は進展し、財務会計など各社に共通した管理業
務におけるIT導入は相当程度普及するとともに、ITを効果的に活用することにより業務全体の最適化を図
るなど経営革新に取り組むモデル的な企業も出てきています。
また、県内中小企業のITによる経営力強化を支援することを目的としたNPO法人大分IT経営推進センタ
(注1)
ー
が20年9月に設立され、民間レベルからもIT化を促進する気運が高まってきています。
IT化モデル事例
~ITシステムでニーズに合わせた売り場づくりを実現~
(株)アビ・ヒサツネ(宇佐市)
宇佐市に本社を置く『アビ・ヒサツネ』は、ファミリー向けカジュアルファッションの専門店を福岡県と大分
県に9店舗展開しています。
顧客の購買意欲を刺激する鮮度のある商品提案を実現するために「カテゴリーマネジメント」を研究す
るとともに、これをサポートするITシステムを開発しました。
このシステムを使用することにより、効率的な受発注、現場を基点とした売り場の変更、顧客ニーズを
捉えた商品の提案を実現しています。
本システムを導入したモデル店舗では、売上が前年比で103.5%上昇しました。
衣料品業界で革新的なシステムであることが評価されて経済産業省の平成19年度中小企業IT経営
力大賞審査委員会奨励賞等を受賞しています。
(注1)NPO法人大分IT経営推進センター
ITコーディネータや中小企業診断士などが、県内金融機関等の連携により、
平成20年9月に設立したNPO法人です。
行政機関や支援団体、金融機関などと協力して、中小企業のIT化への“気づ
き”と“実践”を促すために、セミナーの開催、ITに関する相談などの支援を行っ
ています。金融機関とITコーディネータ等が連携したNPOの設立は全国でも希
で、九州では初めてとなっています。
■現状と課題
中小企業のIT化の目的は、ハードウェアの高度化・低価格化や様々な業務用ソフトウェアの開発等に伴
い、従来のホームページによる情報発信や事務の効率化の取組から、現在では売上げや利益の拡大、生
産性の向上など経営力強化の取組へと移ってきています。
しかし、県内の中小企業では、財務会計、人事給与、販売管理、顧客管理など基幹的な管理業務へのIT
導入は進んでいますが、経営上の課題を解決し、売上や付加価値の増加へとつなげるような踏み込んだIT
の活用については、全国と比べて少ないことが課題となっています。
また、IT化を進めていくうえでの課題については、(財)大分県産業創造機構の「県内中小企業IT利用状
況アンケート調査」(平成20年10月)によると、「導入費用が高い」、「社内のIT人材が不足している」、「IT
化そのものの理解・知識が不足している」などがあげられています。
【 500社訪問時の企業の声 】
○IT化により生産管理の向上を図るとともに、社内での情報共有を進め、現場レベルで原価を意識した
営業や製造が行えるようにしたい。(地場企業:製造業)
○情報機器の導入やソフトウェアの開発についての相談を受けるが、中小企業の経営者自身がITで何
がやりたいのかという目的がはっきりとしていない。(地場企業:情報サービス業)
■課題解決のため取り組む事業
○中小企業IT経営推進事業(特別枠)
幅広い業種の中小企業に対してITコーディネータなど専門家による助言・指導、システム導入時の経費
の助成等により、ITを活用した経営革新を支援します。
○中小企業IT化モデル事業(継続)
中小製造業における生産管理等の業務へのIT導入を促進するため、(独)産業技術総合研究所が開発
したMZプラットフォームを活用してシステムを開発・導入する経費の一部を補助します。
MZプラットフォームによる生産計画システムの開発例
中小企業IT化モデル事業の事例
島田電子工業(有)(中津市)
中津市に本社のある島田電子工業(有)は光センサー等の光半導体部品の組立や成型、検査等をし
ています。
国内メーカの製造拠点の海外シフトや、台湾など海外企業の勢力拡大によって国内の電子部品関連
の中小企業は厳しい状況にあります。
さらなる高品質化や短納期化、低価格化が求めら
れますが、市販ソフトは高額で現場の実態に合わ
ない等の理由で IT 導入が進みませんでした。
本事業では安価な MZ プラットフォームを利用し
Felica (非接触 IC カード)や無線 LAN 等で入力した
多数のデータから必要な情報のみを出力すること
で、設備稼働率の向上や設備起因不良の削減、リー
ドタイムの短縮、工程内在庫の削減など、改善に直
結した IT システムの構築に取組んでいます。
【 今後の方針 】
IT化は単なる省力化だけではなく、業務プロセス全体の改善に貢献したり、企業内の情報共有やその
情報をもとに経営戦略に活用されるものであり、売上や付加価値を増大させていくことに大きな効果が期
待されています。
このような効果を引き出すためには、まずは、経営者自身がITの活用で何をしたいかという目標を明
確に定め、積極的に関与することが必要です。そして、この目標の実現のための手段としてソフトウェア
や情報端末などを導入し、業務の改善を図っていくことが重要です。
また、ITに詳しい社内人材の確保が難しい中小企業においては、経営課題とITの双方に通じたITコー
ディネータなどの専門家を活用することで、IT化をより効率的に進めていくことができます。
県では、県内中小企業が厳しい地域間競争を勝ち抜き、成長・発展を続けていくために効果的なIT活
用が図られるよう、(財)大分県産業創造機構やNPO法人大分IT経営推進センターなどの関係機関との
連携を図りながら、専門家派遣や各種助成制度などの支援策を充実・強化します。
第1章 産業集積の進化と地場企業の体質強化
2.景気変動に負けない地場企業の体質強化
(1) IT活用等によるイノベーションの創出
② IT産業の振興
担当課:工業振興課
担当班:工業支援班
097-506-3267
097-506-1753:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
企業における業務の効率化や競争力の向上を図るには情報技術(IT)を効果的に活用することが経営戦
略のポイントであり、並行してそれを担うIT産業を育成することが求められています。
これまでに高度IT人材の育成やIT分野のインキュベート施設「iプラザ」の運営、インキュベーションマネー
ジャの育成、ベンチャーマッチングプラザの開催、トライアル発注制度の創設などによりIT産業を支援してい
ます。
平成17年度には県内にIT人材が一層輩出されるよう情報処理技術者試験に関する構造改革特区の認
定を受けました。18年度から産学官による「大分県オープンソースソフトウェア研究会」の設立を支援し、企
業の連携や情報交換を図るとともに、技術力の向上を図るためのセミナーや研修を実施しています。また、
今後の市場拡大が見込まれる組込みシステム分野への参入促進を図るため、管理者向けセミナーや技術
研修を開催しています。さらに、20年度から製造業における情報システムの導入促進と地場IT企業の新た
な市場開拓を支援するため、「中小企業IT化モデル事業」に取り組んでいます。
これらの取り組みを通じて、オープンソースソフトウェアやソフトウェアの品質等に関する全国的なイベント
が県内で開催されるなど、高度な技術の習得や県内外の技術者の交流につながっています。
■現状と課題
県内地場IT企業の多くは首都圏からの下請業務に依存し、県内の中小企業を対象としたビジネス展開
は少ない状況にあります。大手IT企業からの開発を受託する場合には業務内容に応じた高度な技術が要
求されるため、幅広い最新の専門技術を習得することが求められています。
また、近年は自動車や情報家電など、製品に内蔵されたソフトウェア(組込みソフトウェア)でさまざまな機
能が実現されており、開発規模の急速な増大とともに、内容が複雑化しています。そのため、経済産業省の
調査によると慢性的な開発技術者の不足やソフトウェアの設計品質の向上が課題とされています。県内に
おいても組込みソフトウェアを今後のビジネスチャンスとして期待している企業は多数あるものの、技術や
情報の不足などの理由から積極的な参入に踏み出せていない状況にあります。
各種製品における組込みソフトウェアの利用事例
【 500社訪問時の企業の声 】
○首都圏の金融系の開発案件を受託しているが、銀行の統合がひと段落する2、3年後には減少が予
想されるため、その後の業務の方向性を模索している。(地場企業:情報サービス業)
○今後は自動車など組込みシステムに注目しているものの、自動車分野は高い品質や信頼性・実績等
が求められ、参入を決めかねている。県には人材育成と併せて、ビジネスにつながる支援を期待して
いる。(地場企業:情報サービス業)
九州経済産業局「新連携事業計画」
平成20年度第4回認定より
高齢者生活自立支援サービス「愛ことば」による
豊かな暮らしの地域づくり
~まるで娘のように、独り暮らしの私をいつも
見守ってくれています~
コ ア 企 業 : (株)日出ハイテック
連 携 参 加 者 : (株)愛ことば
大分県中小企業団体中央会
県内企業における開発事例 : 愛ことば機能統合ワンタッチ電話
(第6回ビジネスプラングランプリにて優秀賞を受賞)
■課題解決のため取り組む事業
○組込みシステム開発支援事業(特別枠)
組込み関連産業への新規参入や企業における技術のスキルアップを図るとともに、組込みシステムの開
発に関する品質の向上を支援します。
○IT企業の技術習得に関する支援
産業科学技術センターや県内外のIT関連団体等と連携し、ソフトウェアの品質や先端技術などをテーマ
として、地場企業のニーズに対応したセミナーや技術研修を開催します。
【 今後の方針 】
地場企業にニーズのあるIT技術や最新技術動向などに関するセミナー・研修を開催し、高度IT人材の
育成を図ります。また、iプラザやベンチャーマッチングプラザ等の取り組みを通じて、新規創業を支援して
いきます。
特に組込みシステムは、今後も電化製品や工業製品等における需要が高まるなど急速な拡大が見込
まれることから、技術者の育成やソフトウェアの品質向上のための支援などを通じて地場企業のスキル
アップ並びにビジネス展開の促進に努めます。
第1章 産業集積の進化と地場企業の体質強化
2.景気変動に負けない地場企業の体質強化
(1) IT活用等によるイノベーションの創出
③ 産学官連携の推進
担当課:産業技術開発室
担当班:
097-506-3272
097-506-1753:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
産学の交流を促進し、共同研究開発につなげるため、「産学官連携推進会議」の活動を支援するととも
に、県内企業への大学等シーズ説明会開催や県外大学との連携強化などを実施してきました。
また、産学官共同研究開発事業等により県内企業と大学等の共同研究開発を助成するとともに、そうし
た共同研究体が国等の公募型研究開発事業にも取り組めるよう支援を行っています。
さらに、LSIクラスターの形成推進、次世代電磁力応用機器開発技術の構築など具体的クラスター形成
を目指す産学連携を支援しています。
■現状と課題
産学連携が成果を上げるためには、産が積極的に学にアプローチし、共同研究開発をリードしていくこと
が重要であり、官にはそうした連携が数多く生まれるための側面的支援の役割が期待されています。
これまでの産学連携は、交流活動が主体となっており、必ずしも具体的成果に結びついていませんで
した。今後はクラスター形成を目指す分野などテーマを絞った連携を中心に支援の強化を図り、地場企業
へ経済効果を波及させていくことが求められています。
効果的な支援を行うためには、まず、多様化する県内企業のニーズ把握を十分に行うことが必要であり、
ニーズに基づく産学連携が、交流の域から市場ニーズを踏まえた具体的な共同研究開発に発展し、多数の
イノベーションを創出していくよう後押ししていくことが大切です。
大学等シーズ説明会
公募型共同研究開発事業説明会
【 500社訪問時の企業の声 】
○これまでの産学交流グループは、情報交換には役立ったが、目的とする新技術・新事業の創出に結び
つかなかった。もっと目的を明確にした連携が必要。(地場企業:製造業)
○産学連携に興味のある企業、大学教員等が集まり、本音で話ができるような場を数多く設定すること
が、実質的な産学連携につながると考える。(地場企業:製造業)
○中小企業による研究開発はコストもかかるし、リスクも伴うため、そうした負担を軽減させる取り組みが
必要である。(地場企業:製造業)
産 学 連 携 の 推 進
クラスター形成など具体的な産学連携体の支援
(
開次
電 発世
磁 技代
応 術電
用 の磁
技 構力
術 築応
研
用
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連
企
業
会
支援
支援
国等の公募型共同研究開発事業支援
産学技術交流会開催
産学官共同研究開発事業
循環型環境産業創出事業
おおいた地域資源活性化基金助成事業
県
県内外大学等
産科技センター
産業創造機構
緊密な連携
大分TLO
コーディネータ
■課題解決のため取り組む事業
○産学官技術連携促進事業(継続)
産学の交流を促進し、共同研究開発につなげるため、参加者、テーマなど具体的にターゲットを絞った
産学技術交流会の開催や産学官連携推進会議への支援を行います。
○産学官共同研究開発事業(継続)
県内企業の技術課題を解決し、新事業・新産業の創出を図るため、県内中小企業と大学等による共同
研究開発を支援します。
○おおいたLSIクラスター構想推進事業(継続、再掲)
○次世代電磁力応用技術開発事業(継続、再掲)
○自動車関連産業企業力向上事業(継続・一部新規、再掲)
○環境・エネルギービジネス集積促進事業(継続、再掲)
○循環型環境産業創出事業(継続、再掲)
○おおいた地域資源活性化基金運営事業(継続、再掲)
【 今後の方針 】
産学連携を効果的に支援するため、企業ニーズの的確な把握に努めるとともに、参加者やテーマなど
具体的ターゲットを絞った産学技術交流会を開催し、交流から研究開発主体へと産学連携の発展を図り
ます。
また、引き続き県内企業が大学等と行う共同研究開発を支援するとともに、国等の公募型研究開発事
業にも積極的に挑戦できるよう、より一層サポートを強化します。
そうした支援の積み重ねにより、地域からのイノベーション創出が促進され、新事業・新産業の芽が数
多く生まれるよう取り組みます。
第1章 産業集積の進化と地場企業の体質強化
2.景気変動に負けない地場企業の体質強化
(1) IT活用等によるイノベーションの創出
④ 経営革新の推進
担当課:経営金融支援室
担当班:経営支援班
097-506-3223
097--506- 1752: FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
商工団体、(財)大分県産業創造機構、金融機関などの関係機関と協力しながら、経営革新に関する普及
啓発や計画作成支援、計画承認後のフォローアップを行うとともに、経営革新の段階に応じた支援を実施
することで、経営革新に挑戦し、経営向上を達成する企業の増加に取り組んできました。これまでに県が承
認した経営革新計画の件数は、平成21年2月末で387件となっており、平成21年度当初には400件を超
える見込みとなっています。
(経営革新計画承認件数推移)
年 度
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20 合計
件 数
10
13
13
41
53
37
47
68
49
56
387
*平成21年2月末現在
■現状と課題
中小企業の経営を取り巻く環境は、原材料価格の高騰、価格競争の激化、消費者嗜好の多様化への対
応等、益々厳しいものとなっています。
このような経営環境において、地場企業が競争力を強め成長を続けていくためには、市場の変化をいち
早くつかみ、それに適合した新商品の開発や新サービスを提供するなどの経営革新が重要です。こうしたこ
とからも、今後も、経営革新に取り組む地場中小企業を増やしていく必要があります。
【 500社訪問時の企業の声 】
○経営革新の必要性は感じているが、実効性のある新事業がなかなか見つからない。(地場企業)
○経営革新計画作成のためのノウハウ、時間が不足している。(地場企業:製造業)
○経営革新を進めていくなかで販路開拓等の販売面が大きな課題である。(地場企業:製造業)
○企業成長のためには、継続的な経営革新が必要であると感じている。(地場企業:建設業)
○他社の取り組みを知ることは刺激になり、自社の今後の展開を考えるうえでも参考になるので企業同
士の交流の場があるとよい。(地場企業:建設業)
■課題解決のため取り組む事業
○中小企業経営革新支援事業(継続)
経営革新相談会やセミナー等を通じた意識啓発やアイデア発想力等の強化、経営革新計画の作成な
どを支援します。
経営革新計画推進のための販路開拓補助を行います。
販路開拓事業の効果的な実施等計画推進に必要な助言、情報提供を実施します。
計画目標の達成や2回目の経営革新を促すための補助金額の拡充を行います。
○中小企業金融対策事業(県制度資金:創造的企業育成支援資金)(継続)
経営革新計画推進のための設備投資等に対する県制度融資による支援を行います。
○企業交流促進事業(新規)
計画目標の達成や2回目の経営革新を促すため企業交流会を実施します。
【 今後の方針 】
商工団体、(財)大分県産業創造機構、金融機関など地域力連携拠点を中心とした関係機関と協力しな
がら、引き続き経営革新に関する普及啓発や計画作成支援、計画承認後のフォローアップを行うととも
に、経営革新の段階に応じた支援を充実することで、経営革新に挑戦し、経営向上を達成する企業を増
やします。
経営革新の事例
お菓子の家えいらく(玖珠町)
既存のお菓子つくりのノウハウを活用し、
地元の牧場から仕入れた新鮮な生乳、地元
産の卵、天然バニラ等、自然素材・無添加に
こだわった、無殺菌で脂肪球を自然に残す
「くすまごころプリン」を開発し、売上の向上
を図るとともに、地元のPRおよび地産地消
にも貢献しています。
二豊製畳㈲(中津市)
リビングの一角に琉球畳(縁無畳)を敷く新
しいスタイルの流行に着目し、国東の七島イ生
産農家と連携、国産・上質な「琉球畳」(縁無
畳)の製造販売に取り組んでいます。
㈲豊後橘本舗(大分市)
かぼすの皮の鮮やかな緑色、風味をそのままに残し、甘みを抑えたかぼすソース「グリーンベリー」の
製造販売に取り組んでいます。和食、洋食、デザート等幅広い用途での使用が可能であり、百貨店、ホテ
ル・旅館等を中心に販路を広げています。
第1章 産業集積の進化と地場企業の体質強化
2.景気変動に負けない地場企業の体質強化
(2) 地域資源の活用と農商工連携促進
担当課:工業振興課
担当班:工業支援班
097-506-3267
097-506-1753:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
豊かな農林水産物や醸造に代表される産地技術、日本一の湧出量を誇る温泉等の観光資源など、本県
が持っている地域資源の優位性を最大限に活用し、全国に通用する新商品の開発や販路開拓を促進する
ことは、地域が本来持っている潜在的な強みを具体的な事業化の取組へとつなげ、中小企業を成長に導く
うえで重要です。
国でも、平成19年度に「中小企業地域資源活用促進法」、20年度に「農商工連携促進法」を制定し、地
域資源の高付加価値化、農林漁業者と中小企業者の連携などを促進することで地域の成長力を高める取
組を支援する体制を整えています。
県では、19年度に中小企業地域資源活用促進法に基づく基本構想を策定するとともに、「地域資源活用
促進事業費補助金」により、14件の地域資源活用事業に対し助成しました。
20年度からは、さらに支援を拡充するため、(独)中小企業基盤整備機構や地域金融機関等の協力を得
て、(財)大分県産業創造機構に「おおいた地域資源活性化基金」を造成し、その運用益を活用して、地域
資源を活用する事業展開を行う企業に対する商品開発等への助成やセミナー、求評会等を実施していま
す。
■現状と課題
これまで、地場企業の努力と地域資源活用支援施策により、県内各地で商品開発、ブランド構築に向け
た取組が生まれ、動き出しています。
その結果、新商品開発に成功して成長路線へとステップアップした企業や、県外や海外に販路開拓の機
会を得た企業、国の制度である「地域資源活用事業計画」や「農商工連携事業計画」の認定取得に至った
企業など、チャレンジの芽を具体的なビジネスへと発展させていく事例が生まれています。
今後も、このような流れを加速させ、地域資源が本来持っている収益力が地場企業により顕在化し、地
元に還元されるよう、支援を継続していく必要があります。
地域資源活用事業を真に地域に収益をもたらし、活力を生み出す「ビジネスモデル」へと発展させるため
には、チャレンジを一過性のものとせず、地域資源の特徴や強みを徹底的に突き詰め、それを求める国内
及び海外の消費者ニーズをくみ取り、高品質な製品を供給できる体制を構築するなど、強い決意に基づく
継続的な取組が不可欠です。
また、現在、消費者の「安全・安心志向」、「本物志向」の高まりにより、地域産品に対する新たな需要が
生まれていますが、同時に消費者の求める製品レベルも飛躍的に高まっており、「おいしくて当たり前」、「品
質が良くて当たり前」の時代だと言われています。地域資源活用ビジネスの推進に当たっては、 HACCP(注1)
導入等の生産体制整備や、消費者に訴えかける製品ストーリー、商品コンセプト、デザイン等の工夫によ
り、ハイレベルな消費者ニーズに応えていくことが求められます。
さらに、農林漁業生産者と製造業者、流通業者等の連携による「農商工連携」は、加工原料(規格外品の
活用等を含む)の確保、トレーサビリティの明示、産地の持つストーリーの具現化など、商品の魅力向上に
大きく寄与する取組であり、地域への波及効果も期待されることから、今後支援を拡充していくことが必要で
す。
(注1)HACCP: (Hazard Analysis Critical Control Point )
食品の原料の受け入れから製造・出荷までのすべての工程において、危害の発生を防止
するための重要ポイントを継続的に監視・記録する衛生管理手法
おおいた地域資源活性化基金の助成事業
地域資源活用企業の商品開発に対する各種支援を通じて、市場性の高い高付加価値商品の創
出を目指します。
【支援イメージ】
中
地域資源を活用した
商品を開発したい!
【趣 旨】
小
☆課題(例)
企
業
・アイデアはあるが、
商品開発のノウハウ
がなく、何から手を
付けていいかわから
ない。
・開発しようとしてい
る商品をどこでどの
ように売っていくか
イメージできていな
い。
・商品開発には多額の
経費がかかるが、リ
スクの高い新事業に
投資する資金的余裕
がない
商品開発をより円滑に行
うため、資金調達、商品企
画、マーケティング等の課
題整理を支援します。
【支援内容】
☆新商品開発研究会
商品開発・販路開拓に
対する理解を深めるた
めの研究会を開催
☆商品求評会
既存商品の強み・課題
等を認識し、新商品開
発に活かすための求評
会を開催
地域資源活用商品
創出支援事業
【趣 旨】
付加価値の高い地域資源
創出を目指し、中小企業が
行う研究開発、商品開発、
マーケティング等に要する
経費を助成します。
【支援内容】
☆研究開発助成金
地域資源活用に向けた
研究開発に要する経費
を助成
☆商品開発助成金
中小企業単独で、また
は連携して行う地域資
源活用商品の開発に要
する経費を助成
地域資源活用型成長企業
新商品開発
スタートアップ事業
アドバイス
(財)大分県産業創造機構の地域資源コーディネーターが、商
品開発、販路開拓等に関する相談にきめ細やかに答えます。
【 500社訪問時の企業の声 】
○食の安全に対する消費者の関心が高まる中、産地の見える原材料で品質のよい製品を作る当社へニ
ーズが高まっている。チャンスととらえ、成長につなげたい。(地場企業:食品製造業)
○新商品を開発し、長期的な成長戦略を策定するに当たっては、地元の農林水産物の調達体制構築が
不可欠であるため、生産者とマッチングできる機会が欲しい。(地場企業:食品製造業)
■課題解決のため取り組む事業
○おおいた地域資源活性化基金事業(継続)
地域資源を活用し、新たな商品等を県外、海外に展開するなど大きな成長を目指す中小企業を応援
するとともに、農商工連携による地域一体となったビジネスモデルの創出を支援します。
具体的には、研究開発、商品開発、販路開拓等に対する助成、ビジネス展開に必要なスキルを身につ
けるセミナー、新商品の本格生産前にマーケティングを行う機会としての求評会等を実施します。
○技術指導・試験事業(継続)
食品製造企業等が抱える課題を解決し、技術、流通の改善を図るため、企業等の要請に応じてアドバ
イザーを派遣します。
○県産麦焼酎酵母開発事業(継続)
産業科学技術センターにおいて大分オリジナルの麦焼酎酵母の開発を目指します。
【 今後の方針 】
地域経済を支えている農林水産業、食料品製造業などの地域資源活用型産業を、将来にわたって持
続可能な競争力のある産業へと成長させるため、研究開発、商品開発、販路開拓の取組を今後10年間
にわたって支援していきます。
特に、生産の前提となる品質管理や、商品が「売れる」可能性を高めるためのマーケティングなどの向
上を支援します。
「地域資源活用事業計画」の認定を取得した企業
合名会社まるはら
株式会社ユーネット (別府市)
(日田市)
世界で初めて嫌な香りのしない鮎魚醤の生
産・販売の拡大 (認定日:平成19年10月12日)
竹製温泉冷却装置「湯雨竹(ゆめたけ)」の
販売拡大
(認定日:平成19年10月12日)
活用資源:鮎
活用資源:竹・竹工芸品
●従来産廃処分していた規格外のサイズの
鮎を独自技術で加工。従来の魚醤の概念
をくつがえす、嫌な香りのしない「鮎魚
醤」の製造・販売を行う。
●素材の旨みを引き立てる新調味料として
話題に。パリや東京の三つ星レストラン
にも納入。
●平成20年11月に新工場を本格稼働。品薄
状態を解消し、全国のより多くの消費者
に「鮎魚醤」や関連商品の「たまごはん」、
「焼き肉のたれ」等を届ける。
●源泉温度の高い鉄輪温泉で「源泉かけ
流し」を実現するための画期的な冷却
装置「湯雨竹」を製造・販売。
●従来の加水や熱交換といった冷却手法
と比べ、コスト面で優位性を持つだけ
でなく、温泉場の景観にもマッチする
おしゃれな冷却装置として注目を集め
ている。
●県内のみならず、全国の高熱温泉への
販路開拓を目指す。
有限会社ラムネ温泉倶楽部 (竹田市)
有限会社近藤養蜂場
世界屈指の炭酸泉を利用したおいしく飲みや
すい超硬水のミネラルウォーターの開発
(認定日:平成19年10月12日)
活用資源:温泉水
●全国でも珍しい炭酸泉が湧出する直入
地域では、昔から温泉水を飲むという
文化があった。その温泉を利用する方
の自宅でも気軽に長湯の水を飲みた
い」との要望から商品開発に着手。
超硬水「マグナ」シリーズの販売に
至る。
●カルシウム、マグネシウム、サルフ
ェートなどを豊富に含んだ世界的にも
稀有なミネラルウォーターとして注目
されている。
大分県産のゆず、かぼすを使った新商品の
健康、高級志向が強い首都圏向け販路開拓
(認定日:平成19年11月16日)
活用資源:かぼす、ゆず
●青果として出荷できない規格外の
かぼすやゆずと蜂蜜、ロイヤルゼ
リー、コラーゲン等を配合して、
付加価値の高いジュース(蜂密飲
料)を開発。
●産地の見える健康志向商品とし
て、首都圏の高級スーパー等で販
売中。
今後も全国の消費者に「本物」を
届ける。
株式会社風月 (別府市)
株式会社臥牛(豊後大野市)
別府名物の「地獄蒸し」を発
展させた「低温スチーミング
技術」による加工品開発
あわびの食感と生ハムの香り
を持つしいたけ加工品「里山
のあわび」関連商品の開発
(認定日:平成20年7月31日)
活用資源:温泉水
(杵築市)
(認定日:平成20年9月30日)
活用資源:しいたけ
●朝地産の最高級しいたけを用い、ス
●別府の豊富な温泉蒸気を用いた風情
チーム、スモーク、下味付け等によ
のある調理法「地獄蒸し」を改良し、
り独特の風味と食感を実現した「里
素材の食感や栄養分を保持する調理
山のあわび」の開発に成功。
技術「低温スチーミング」を開発。
●高級食材「里山のあわび」(ステー
●低温で長時間加熱することで、魚が
キタイプ、刺身タイプ)は、東京の
骨まで食べられるほど柔らかくなる
レストランやバーで好評を博してお
など、様々な食材・レシピへの応用
り、20年冬から本格販売開始。
が期待される
●今後は、増産・
新技術。
普及品ニーズ
●今後県内の産
に対応するた
地と連携し、
め、他の産地
加工品ライン
からの原料調
アップの充実
達による別ブ
及び販路開拓
ランドの開発
を図る。
を目指す。
株式会社学食 (大分市)
県産新地鶏「おおいた冠地ど
り」を用いた一夜干し等加工
品の開発及び販路開拓
(認定日:平成21年2月20日)
活用資源:鶏
●烏骨鶏から交配した県産新地鶏「お
おいた冠地どり」の持つ、地鶏のう
まみと柔らかい肉質、低価格という
特色を最大限に活かした新商品を試
作。
●乾燥することでうまみを増す「一夜
干し」技法を用い、噛めば噛むほど
味が出る新商品「一夜干し」や、
「岩塩焼き」等の商品化を目指す。
●鶏肉文化圏
である大分
から、新た
な地鶏ムー
ブメントを
起こすべく、
県外への販
路開拓を図
る。
「農商工連携事業計画」の認定を取得した企業
(県内企業が代表者)
株式会社おおやま 夢工房
(日田市)
大山町特産の梅を活用した「高級うめジュ
ース」の開発・販路開拓
(認定日:平成20年9月19日)
【連携先】百草工房、マル金ファーム、ながお梅園
●伝統と特色を持ち、希少価値の高い大山うめの商
品ラインアップをさらに充実させ、生産農家の収
益を向上させるため、新
たに高級うめジュースの
開発を目指す。
●今までにない味、香りは
もちろん、安心感、健康
感、高級感を併せ持つ
「飲んだ瞬間違いの分か
る」うめジュースを開発
し、中国をはじめとする
世界市場に進出予定。
株式会社姫野一郎商店 (竹田市)
県産高品質乾しいたけの安定調達システム
の開発と加工品の開発
(認定日:平成20年12月9日)
【連携先】(有)姫野食品、河原定一
●相場変動のはげしい乾しいたけ市場で生産者が将来
にわたって安定的に収益を得られるよう、乾しいた
け加工品の開発に着手。
●安価な外国製品等が大勢
を占める乾しいたけ加工
品市場で、大分産しいた
けのブランド力を生かし、
地域独自色を前面に打ち
出した本物志向の加工品
の開発、販路開拓を目指
す。
おおいた地域資源活性化基金助成金第1回採択事業
(採択日:平成20年10月1日)
【産学官共同開発事業】
事業者名
所在地
申請事業概要
かぼす、ハーブ等を活用した高尿酸血症を改善する飲料の開
大分市
発
湯布院・塚原に存在する在来菌と麹菌の活用によるチーズ等
由布市
乳製品開発に向けた研究
(有)大分TLO
クックヒルファーム(上浦
眞理)
【企業単独商品開発事業】
事業者名
所在地
(株)夢のぼり工房
(株)臥牛
杵築市
豊後大野市
申請事業概要
ぎんなん、くり等の余剰農産物を利用したセット販売用新商品
(甘味等)
しいたけ加工品「里山のあわび」改良普及商品の開発による
通年量産体制の確立
やまめの骨、皮、内蔵等を活用した機能性食品開発と、燻製、
茶漬け、一夜干し等の既存商品の改良及び販路開拓
硫黄成分を多く含む赤川温泉(鉱泉)を利用した健康な肌に近
づける温泉化粧品の開発
梅、柚子、柿の葉等の入った化粧石鹸の開発と拡販(製造
株式会社ロイス)
(有)やまめの郷
日田市
温泉コスメティックス(株)
竹田市
(有)インプレストライ
日田市
中嶋水産(株)
佐伯市 ブリの頭、中骨等残滓をエキス化した醤油等新商品の開発
【企業連携商品開発事業】
事業者名
所在地
申請事業概要
(株)オオツカ
大塚酒店
日田市 日田梨を使ったリキュールの開発と拡販
宇佐商工会議所
宇佐市
ポートラインサービス(有)
佐伯市 鶴見の活魚の拡販と販売
九州アルプス商工会直入支所
竹田市
津久見商工会議所
宇佐ブランド「八萬本の樹」商品開発事業(穀物原料、海老だ
し、派生商品等)
長湯温泉料理研究会を中心としたエノハを活用した一夜干
し、うるか、寿司、弁当等の特産品群開発
津久見市 まぐろ新商品・メニューの開発
第1章 産業集積の進化と地場企業の体質強化
2.景気変動に負けない地場企業の体質強化
(3) ベンチャー企業の育成
担当課:工業振興課
担当班:新事業支援班
097-506-3265
097-506-1753:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
ベンチャー企業の発展段階における様々な課題に対応するため、「創業初期」の支援として、県営インキ
ュベート施設(iプラザ、ものづくりプラザ)に加え、平成18年度から民間施設を利用した「ベンチャーファクトリ
ー大分」を設置するとともに、企業の個別課題の解決を支援するインキュベーション・マネージャーの育成に
取り組みました。
また、「成長・発展期」にある企業に対しては、17年度から技術力評価に基づく販売支援や行政からの発
注を目指した「トライアル発注」に取り組みました。さらに、20年度からは大都市圏での販路開拓を目指す
「ベンチャー新市場開拓支援」を実施しています。
「株式公開前」では、投資に向けた経営サポートを行う「ハンズオン支援」やセミナー等により、幅広い資
金調達につながる社内体制の整備への支援を進めています。
さらに、創業チャレンジ精神を喚起し、創業から発展への一貫した支援のため、15年度から「大分県ビジ
ネスプラングランプリ」を実施しています。
■現状と課題
インキュベート施設利用企業やグランプリ受賞企業から、株式公開を間近にした企業や世界的なプロジェ
クトに参画する企業が出現するなど、着実に成果があがってきています。
一方で、特定の技術・商品・サービスに強みを持つものの、実績や信用力、商取引のノウハウの不足な
どから事業展開の壁を乗り越えられないなど、ベンチャー特有の課題を抱える企業が依然として多く見られ
ます。
また、平成19年の株式上場基準の厳格化により、株式公開への動きが鈍化している中ではありますが、
今後の成長・発展を支える幅広い資金調達を視野に入れ、経営全般にわたる体質の強化・改善にも取り組
まなければなりません。
さらに、各発展段階における課題を解決し、成功事例を創り出すことにより、創業チャレンジ精神を持つ
企業を増やしていくことが重要です。
【 500社訪問時の企業の声 】
○グランプリの受賞により対外的な信用度が高まり、営業や資金調達に大きなプラスになっている。
(地場企業:環境機器開発販売業)
○ベンチャー新市場開拓支援では、商社OB等のコーディネータが大手企業の購入担当役員等と直接話
す機会をセットしてくれ、商談がスムーズかつスピーディに進んだ。
(地場企業:ゴム製品成型加工業、食品開発販売業)
○想定していなかった用途の提案も受け、販路開拓の分野が広がった。
(地場企業:情報サービス業、窯業・環境機器製造業)。
○「iプラザ」に入居して、IT関係だけでなく、様々な分野の企業と交流を図ることができた。現在の入居期
間(3年)が延長できればありがたいと思う。(地場企業:情報サービス業)
■課題解決のため取り組む事業
○ベンチャー総合支援事業…「創業初期」から「株式公開前」にわたる総合的支援
創業初期におけるインキュベート施設の提供およびインキュベーション・マネージャー等による企業経
営への支援、成長・発展期における販路開拓・マッチングに向けた「展示会出展補助」「トライアル発注」
の実施や「ベンチャーマッチングプラザ」の開催、さらに、融資・投資への側面的支援と株式公開・経営戦
略に関する知識習得を目指したセミナーの開催など、各企業の発展段階に応じた支援を実施します。
○ベンチャー新市場開拓支援
首都圏など大市場での販路開拓のノウハウを持つ商社OB等のコーディネータが販路開拓およびマッ
チングを支援します。
○ビジネスプラングランプリ
県内外を問わず優秀なビジネスプランを顕彰(平成21年度賞金総額2,000万円)するとともに、県内
での事業化を支援します。
(参考)平成20年度ビジネスプラングランプリ受賞者
受賞名
企業名
テーマ
最優秀
㈱アーテック
橋脚の新耐震補強工法を核とした土木構造物補修等分野への事業展開
優秀賞
㈱サクラエンタープライズ
三次元空中映像表示システムの開発と事業化
優秀賞
㈱三州コンクリート工業
水質を浄化しCO2を減らす機能を持つ魚礁「たいたい」の普及
優秀賞
㈱日出ハイテック
高齢者生活自立支援サービス「愛ことば」で豊かな暮らしの地域づくり
【 今後の方針 】
「創業初期」から「成長・発展期」、「株式公開前」の各発展段階に応じた効果的な施策を実施すること
により、各企業の順調なステップアップを支援します。
ビジネスプラングランプリ受賞企業をはじめとする有望なビジネスプランを持つ企業に対しては、個々
の発展状況や課題を把握し、適宜適切な支援策を講じることにより、ビジネスプランの結実を促進しま
す。
これらを通じて、大分発ベンチャーとしてのモデル的企業の継続的な輩出を促進します。
元気に頑張るベンチャー企業
(有)ターボブレード(大分市)
流体機械の設計を行っている㈲ターボブレードは、巨大地震発生のしくみなどを
解明するため、独立行政法人海洋研究開発機構が参画する世界的プロジェクト
「統合国際掘削計画」において、海底下7000メートルを掘り進む同機構の科学掘削
船「ちきゅう」に設置する「ターボドリル」の設計を担当しています。このプロジェクト
は、人類史上初めてのマントル層到達を目指しています。
ヘルメット潜水(株)(国東市)
平成19年度ビジネスプラングランプリ奨励賞を受賞したヘルメット潜
水㈱は、安価な海外製品の台頭でウエットスーツの売り上げが伸び悩
む中、ウエットスーツ生地の加工技術を生かした新商品「やわらか湯た
んぽ」を開発・商品化しました。その柔らかい肌触りと高い保温性が人
気となり、全国版の新聞やテレビでも取り上げられ、大手小売店やネッ
ト販売で販路を拡大しています。発売後も、キャップの改良や専用ロー
トの開発など、商品のブラッシュアップに努めるとともに、様々な用途に
応じた形状開発にも取り組んでいます。
(有)アキ工作社(国東市)
段ボール製組み立てキット「d―torso(ディー・トルソ)」を製作する
(有)アキ工作社は、従来のマネキン、動物シリーズに加え、平成20年
末、ウォルト・ディズニー・ジャパンとライセンス契約を締結し、ディズニー
キャラクターの製造・販売に乗り出しました。第一弾としてミッキーマウス
とミニーマウスのミニチュアキットを商品化しています。
今回の契約は、昨年6月に出展した東京での展示会で、ディズニー側
が同社の製品に注目したことから契約に至ったもので、今後のキャラク
ター展開が楽しみになります。
(株)徳永装器研究所(宇佐市)
介護・福祉・医療機器を研究開発に取り組んでい
る㈱徳永装器研究所は、平成17年度ビジネスプラ
ングランプリ最優秀賞を受賞した「自動痰吸引器」
の開発を進めていますが、昨年薬事承認を取得し、
製品化が間近となっています。また、要介護者の離
床をすばやく介護者に知らせる「徘徊センサー」も
製品化しており、福祉・医療現場における事故防止
と看護・介護者の負担軽減につながる支援機器を
提供しています。
要介護者の離床をすばやく介護者に知らせる
「徘徊センサー」
第1章 産業集積の進化と地場企業の体質強化
2.景気変動に負けない地場企業の体質強化
(4) 県制度資金による資金繰りの改善
担当課:経営金融支援室
担当班:金融融資班
097-506-3226
097-506-1752:FAX
■おおいた産業活力創造戦略のあゆみ
平成18年7月の日銀のゼロ金利解除後の金利変動や、19年10月の「責任共有制度」導入等、中小企
業の金融環境の変化がありました。また、原油等原材料価格高騰や個人消費の落ち込みに伴い、中小企
業の経営状況が悪化しました。こうした中小企業の資金繰り支援のため、20年度当初予算で中小企業活
性化資金の新規融資枠を30億円増額し、さらに8月補正予算で中小企業活性化資金の融資条件を緩和
することにより設けた「原油価格等高騰対策融資」の需要増に備え、新規融資枠を30億円増額しました。
また、国の緊急保証制度の開始に伴い、融資対象者要件の緩和を行うとともに、12月補正で中小企業
活性化資金の融資枠を30億円増額しました。
単月承諾額
■現状と課題
原油等原材料価格の高騰や売上不振により経
営状況が悪化している中小企業の資金繰り改善
への支援が最重要課題になっています。また、責
任共有制度の影響にを考慮して国が創設した「原
材料価格高騰対応等緊急保証」制度を、十分に活
用できる融資環境の整備が求められています。
中小企業活性化資金の保証承諾状況(H18年度~H20年度)
承諾累計額
9,000
8,000
35,000
H18単月
H19単月
H20単月
H18累計
H19累計
H20累計
30,000
7,000
25,000
6,000
20,000
5,000
4,000
15,000
3,000
10,000
2,000
5,000
1,000
0
0
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
(平成20年度は1月31日現在)
【 500社訪問時の企業の声 】
○原材料価格高騰を商品価格に転嫁できず、収益が圧迫されている。(地場企業:印刷業)
○不況で売上が減少する中、金融機関の対応が厳しくなっている。(地場企業:製造業)
○売上不振、販売不況で利益率が大幅に減少している。先の見通しが立たず資金需要が冷え込んでい
る。既存の借入に対する緩和措置を求める声が多い。(金融機関)
■課題解決のため取り組む事業
中小企業の経営に必要な資金を一層円滑に調達していただくため、県制度資金全体の新規融資枠を過
去最高の680億円(前年度当初比125億円増)に拡大するとともに、原油等原材料価格高騰や売上不振
により経営状況が悪化した中小企業の資金繰り改善を支援するため、「中小企業活性化資金」の融資条件
を拡充します。
融資限度額;設備3,500万円、運転3,500万円→設備・運転6,000万円
融 資 期 間;設備10年以内、運転7年以内→設備10年以内、運転10年以内
【 今後の方針 】
原材料価格等の高止まりや米国に端を発した世界的な景気後退の影響による経済情勢 ・金融環境
の急激な変化に対し、経営基盤の脆弱な県内中小企業に配慮した県制度資金の条件見直し等に柔軟に
対応します。
また、責任共有制度導入による県内中小企業の資金調達に与える影響等を注視しつつ、国の経済対
策に即応しながら、引き続き円滑に資金供給ができるように努めます。
県制度資金の主な資金種類(平成21年度)
資 金 名
融資対象者等
設備 5,000万円
運転 2,500万円
設備10年
運転10年
中小企業経営改
設備・運転
6,000万円
再生手続開始申立等企業に対 運転 2,500万円
設備10年
運転10年
7年
融資利率
1年以内 年1.9%
5年以内 年2.2%
7年以内 年2.4%
10年以内 年2.6%
7年以内 年1.8%
10年以内 年2.0%
7年以内 年1.8%
善資金
し回収不能債権を有する企業等
創造的企業育成
経営革新計画による事業等
設備10年
運転 7年
設備10年
運転 7年
7年以内 年1.8%
10年以内 年2.0%
7年以内 年1.8%
10年以内 年2.0%
中小企業振興資
限定なし
金
中小企業活性化
資金
融資限度額
売上等が減少している企業等
支援資金
創業支援資金
創業計画を有する者
地域産業振興資
県の特定施策に基づく事業等
金
やさしさライフビジネス支
女性、高齢者、NPO等による事
援資金
業
小口零細企業資
従業員20人(商業・サービス業
金
は5人)以下
設備・運転
8,000万円
設備・運転
1,500万円
又は 1,000万円
設備・運転
3,500万円
設備 500万円
運転 500万円
設備・運転
1,250万円
融資期間
設備10年
運転 7年
設備 7年
運転 5年
設備10年
運転 7年
年2.1%
信用組合短期
プライムレート
1年以内 年1.8%
5年以内 年2.1%
7年以内 年2.3%
10年以内 年2.5%
保証料率
年1.15%以内
年0.75%以内
(緊急保証認定時0.55%)
年0.75%以内
(特定中小企業は0.35%以内)
年0.2%
年0.7%
年0.85%以内
-
年1.05%以内
原油価格等高騰対策融資の創設について
石油製品等原材料の仕入価格値上げ分を価格転嫁できず、収益が圧迫されている中小企業の資金
繰り改善を支援するため、平成20年8月4日に「原油価格等高騰対策融資」を新設し、平成21年3月31
日までの間、中小企業活性化資金の要件を緩和しました。
従来の活性化融資と比較し、融資限度額を増額するとともに、運転資金の融資期間を延長することに
より、借換一本化等による毎月返済額の縮減等を進めやすくし、原油価格等高騰の影響を受ける中小企
業の資金繰り改善を図りました。
以下のいずれにも該当する者
①原油及び石油関連製品又は主要な原材料の仕入価格が売上原価の10%以上を占めている。
融資対象者 ②原油及び石油関連製品又は主要な原材料の仕入価格が前年同月期より10%以上上昇している。
③原油及び石油関連製品又は主要な原材料の仕入価格の上昇を製品等の価格に転嫁できていない。
※主要な原材料とは当該企業の原材料費のうち10%以上かつ最大比率を占める原材料のことをいう。
融資限度額 設備・運転
6,000万円
融 資 期 間 設備10年以内、運転10年以内(いずれもうち据置1年以内)
融 資 利 率 7年以内
2.0%、10年以内
2.2%
保 証 料 率 年0.75%以内
担
保
等 原則無保証人、必要に応じて担保徴求
第1章 産業集積の進化と地場企業の体質強化
2.景気変動に負けない地場企業の体質強化
(5) 第二創業の推進
担当課:経営金融支援室
担当班:経営支援班
097-506-3223
097--506- 1752: FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
新分野進出などにより経営環境の変化に適応している中小企業が現れる一方で、多くの企業は既存事
業に固執したまま経営状況を悪化させています。特に建設業においては、公共工事費がピーク時の半分以
下になる中で、業者数はそれ程減少しておらず環境変化への適応が進んでいない業種と言えます。
このため、建設業者等の新分野進出や業種転換など第二創業への取り組み支援を進めることを目的
に、平成17年度において第二創業支援融資制度を創設し、加えて建設業巡回経営相談(チャレンジ相談
会)の開催や新分野進出に挑戦する企業に対しての経営診断、第二創業計画の作成支援などを随時行っ
ています。
■現状と課題
市場の成長性に陰りの見える不況業種に属する建設業では、公共工事の減少や企業間競争の激化に
よる売上高の大幅な落ち込み、原材料価格の高騰や建築基準法改正に伴う建築需要の減少などにより収
益性が悪化しています。このため現場改善はもとより新分野進出や業種転換などの第二創業への取組が
重要な課題となっています。
【 500社訪問時の企業の声 】
○第二創業融資を利用したおかげで新事業をスタートすることができた。(地場企業:建設業)
○工事量が減るなかで金融機関の融資審査も厳しくなっており建設業だけではやっていけない。このた
め新たな事業展開を検討している。(地場企業:建設業)
■課題解決のため取り組む事業
○診断事業(第二創業支援)(継続)
関係機関と協力して第二創業に対する経営者の意識を高めるための研修会の実施します。
中小企業者が第二創業に対する相談を身近な地域で受けられる「新分野チャレンジ相談会」を開催
します。
経営内容の分析や既存事業に対する改善提案、第二創業計画への助言及び実施状況のフォロー
アップを行います。
○中小企業金融対策事業(県制度資金:第二創業支援融資)(継続)
中小企業が第二創業に取り組む際に必要な資金を円滑に供給するために整備した県融資制度の
活用を促進します。
【 今後の方針 】
土木建築部などの関係部署と連携しながら、不況業種にあって第二創業に挑戦する企業の相談対応
や、第二創業に係る診断助言、事業計画の作成支援、計画実行段階でのフォローなどを実施することに
より、中小企業の第二創業への促進を図ります。
第二創業の事例
(有)吉武建設(九重町)
建設工事量が減少するなか、既に開設しているオートキャンプ場に、新たに家族風呂を併設しました。
天然石をふんだんに使い特徴のある造りとするとともに家屋解体時に出る古材や廃棄された木製電信
柱を再利用するなどの工夫により建設コストを抑えながらも独創的な雰囲気の施設となっています。
正式オープン前から口コミで評判が広がっており、話題を呼ぶスポットとして期待されています。
第1章 産業集積の進化と地場企業の体質強化
2.景気変動に負けない地場企業の体質強化
(6) 事業承継対策の推進
担当課:経営金融支援室
担当班:経営支援班
097-506-3223
097--506- 1752: FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
中小企業経営者の高齢化が進み事業承継の重要性が増す中、平成19年2月に(財)大分県産業創造
機構と東京商工リサーチを通じて中小企業の事業承継に関するアンケート調査を実施し、平成19年度に
関係機関で構成する事業承継対策会議の開催、相談体制の整備、セミナーの開催、個別相談への対応と
ともに、10月には県融資制度に事業承継融資を創設しました。
■現状と課題
平成20年5月に「中小企業における経営の承継に円滑化に関する法律」が成立し、事業承継に係る中
小企業関連税制の改正や民法上の遺留分制度への対応、金融支援、支援ネットワーク構築が進められて
います。また、国の委託事業により県内2カ所に事業承継支援センターが設置されました。一層の事業承継
円滑化に向けて、県においても支援機関の一員として事業承継支援センターや関連機関と連携を図りなが
ら事業承継支援を進める必要があります。
【 500社訪問時の企業の声 】
○3年後に経営の承継をしようと考えており、後継者と一緒に事業承継計画作成について勉強している
が、色々なアドバイスをしてもらえるとありがたい。(地場企業:製造業)
○会社の先行きの見通しが立たないため自分の代で廃業しようと考えていたが、やる気のある従業員が
いれば経営を任せようと思う。若手後継者への経営の勉強の場を提供してほしい。
(地場企業:小売業)
■課題解決のため取り組む事業
○事業承継対策会議(継続)
事業承継支援センターや商工団体、金融機関、保証協会間で事業承継に関する情報交換や意見交
換を行って、支援の円滑化を図ります。
○事業承継融資(継続)
県融資制度に事業承継融資を設けて、中小企業が事業承継を行う際に必要な資金の円滑な供給を図
ります。
○事業承継相談(継続)
事業承継に関する情報提供や助言を行うとともに、事業承継計画の作成を支援します。
【 今後の方針 】
県内2カ所に設置された事業承継支援センター(産業創造機構、商工会連合会)が支援の主体となる
ため、県としては関係機関間の連携促進や調整を行うとともに、引き続き個別の相談対応や計画作成の
支援を行う中で必要に応じて事業承継支援センターへのつなぎを行います。
また、事業承継後の経営がスムーズにいくよう、若手経営者や後継者の経営基礎知識習得のためマ
ニュアル作成や、勉強会、研修会でのマニュアルの説明を行います。
第2章
優秀な人材の育成・確保と雇用のミスマッチの解消
景気の減速により、雇用情勢も急激に悪化しています。しかし、長期的に見れば、少子
高齢化のため、本県の労働力人口は年々減少を続けており、今後は多くの産業分野で労
働力が不足するものと予想されます。
このため、就職を目指す高校生を一堂に集めた「元気おおいた就職博」や大学生を対
象とした合同企業説明会を開催し企業とのマッチング機会を提供するとともに、就職に大
きな影響力を持つ保護者向けのセミナーや高校の進路指導担当者と企業の人事担当者
の接点づくりを支援するなど、高校・大学卒業生の県内就職を促進します。次代を担う子
どもたちに「科学の大切さ」、「ものづくりの素晴らしさ」を伝え、科学技術への興味・関心を
喚起するため、関係機関からなる連絡会議の設置や情報発信力の強化、指導員の育成・
発掘、サイエンスカフェ、科学実験教室などを開催し、科学技術に関する啓発活動を活性
化します。
また、高校や工科短大において、ものづくり現場に触れるような実践的な授業を行い、
地域産業ニーズに応じた人材を育成するとともに、知的障がい者や精神障がい者などの
障がい者雇用を促進し、中高年齢離職者や女性の就業機会を増やすことにより、みんな
で働く社会づくりを推進します。
県内全小学5年生を対象とした
「おおいたものづくり発見ブック」
女性を対象とした就職応援マガジン
「mono maga.」
第2章 優秀な人材の育成・確保と雇用のミスマッチの解消
1.ものづくり人材の育成・確保
(1) 県内就職大作戦
担当課:雇用・人材育成課
担当班:雇用・人材育成班
097-506-3340
097-506-1756:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
製造業の国内回帰の動きがはじまる中、本県においても企業立地と生産拡大が進み一部では労働力不
足の声も聞かれるようになり、その後も景気回復に伴い優秀な人材の需要が年々高まってきました。
人材への需要の高まりといった短期的な視点に加え、中長期的にも、労働力人口の減少が見込まれる
中、本県の産業経済の持続的発展のためには、生産活動を支える人材を将来にわたって継続的に確保し
ていくことがますます重要となっています。
こうした中、おおいた人材Uターンセンターにおけるマッチングや、福岡市などでのU・Iターンフェアの開催
等に取り組んできましたが、特に平成18年からは、経済産業省の事業を活用して、地場中小企業を中心に
「ジョブカフェ応援団」を組織化し、職場見学会や企業情報の提供などを行い、企業の人材確保支援に取り
組んできました。その後も、高校生のものづくり企業魅力体験バスセミナーやものづくり企業と高校との情報
交換会などの取組を加え支援策を充実させてきました。
■現状と課題
本県高卒者の県内就職率は75.8%(全国30位)にとどまり、また、大学進学者のうち県外大学への進
学者の割合は約76%と高く、依然として高校卒業時に多くの若者が県外に流失しています。
これまでの支援策の多くは直ちに成果の伴うものではなく、一部では成果を上げつつも、今後もこうした
取組を継続・拡充していくことが大事です。
取組を進める上で特に、高校生の県内就職の一層の促進と県外へ進学した学生などを呼び戻すため、
こうした若者をはじめ保護者や先生にも県内企業の情報や魅力をいかに発信していくかが課題となってい
ます。
また、景気後退局面に入り、企業の雇用環境は厳しくなっていますが、長期的な視点から将来の自社の
中核となる優秀な人材の確保のため、新卒採用を積極的に進める企業も多くあります。こうした中、これま
で人材確保が難しかった県内中小企業にとっても、今こそ人材確保のチャンスと捉え、しっかり自社をアピ
ールし人材を確保することで、自社の成長につなげていくことが求められています。
九州各県高卒県内就職率
85.0
福岡
80.0
大分 76.0
75.6
75.3
75.0
75.8
74.0
熊本
70.0
65.0
60.0
沖縄
宮崎
長崎
佐賀
55.0
50.0
鹿児島
45.0
H16.3卒
H17.3卒
H18.3卒
H19.3卒
H20.3卒
平成20年度学校基本調査/文部科学省
2008年3月卒 大学生の進学分布表(大分県出身者)
甲信越, 0.4%
北陸, 0.1%
東海, 1.7%
東北, 0.4% 北海道, 0.3%
関東, 14.2%
大分, 24.2%
近畿, 8.9%
四国, 2.1%
中国, 6.7%
大分以外の九州
沖縄地方, 41.0%
平成20年度学校基本調査/文部科学省
【 500社訪問時の企業の声 】
○地元就職を考えている学生でも、地元企業の情報が少ないため、最終的に情報提供の多い都市部の
企業に就職することが多いようだ。(大学就職支援担当者)
○売上げが減少するなど経営状態は苦しくなっているが、長期的に見て人材の確保は重要であるため、
高校新卒者は毎年採用していきたい。(進出企業:製造業)
○高校の機械科の生徒でも、金属加工などの現場仕事を「きつそう」などの理由で敬遠する傾向にある。
しかし、現場仕事には大いにやりがいがあるので、それをアピールする機会をつくって欲しい。
(地場企業:製造業)
○大卒の理系人材を採用したいが、なかなか応募がない。
関東や福岡の県出身学生に当社をPRする機会が欲しい。 (地場企業:サービス業)
■課題解決のため取り組む事業
○おおいた県内就職大作戦推進事業(特別枠)
マッチング機会の提供、企業情報の発信、ものづくり産業への誘導、企業の採用力向上への支援など
を通じて県内就職の促進と県外大学や同窓会の連携による県外人材の確保策を実施していきます。
【事業の概要】
・企業とのマッチング機会の提供
県下の高校生を一堂に集めた「元気おおいた就職博」を開催し、高校生に企業の魅力を直接アピ
ールする機会を提供します。
東京、福岡、大分で大学生を対象とした合同企業説明会を開催し、企業がより優秀な人材を確保
できるよう支援します。
合同企業説明会の開催イメージ
・企業と高校・大学の接点づくり
「ものづくり企業と高校の情報交換会」や「高校進路指導担当者向け新規立地企業説明会」の開催
により、高校の進路指導担当者と企業の人事担当者等との接点づくりを支援します。
企業が県外大学とのつながりを構築・強化することを支援するため、「福岡県内大学と大分県内企業
との合同交流会」を実施します。
ものづくり企業と高校との情報交換会
・保護者の県内企業理解促進
就職に影響力をもつ保護者向けに県内企業の魅力をアピールするため、県内就職のメリットや県
内企業をPRするためのセミナーや企業見学会を実施します。
・ものづくり企業への誘導
女性やその関係者に対し、ものづくり企業での就職についてのイメージ形成を図り、県内ものづくり
企業への就職を促進します。
高校2年生に対して、ものづくり企業に対しての興味・関心を深めるとともに、就職の選択肢として
の意識を強めてもらうため、県内製造業の企業見学、若手社員等との意見交換などを行う「高校生も
のづくり企業魅力発見バスセミナー」を実施します。
高校生ものづくり企業魅力発見バスセミナー
○人材定住対策事業(継続)
おおいた人材 U ターンセンターの運営等により、活力ある人材の U ・ I ターンを促進します。
○ジョブカフェおおいた推進事業(継続)
ジョブカフェ応援団企業等に対し、職場見学のコーディネートや若者とのマッチング機会の提供等によ
る人材確保支援を行います。
【 今後の方針 】
高校生が就職先を選択する際に、県内・県外で働くことのメリット・デメリットは何かなど、企業情報と併
せて十分に提供できているのか。現状はそうした情報が少ない中で、選択を迫られているのではないでし
ょうか。
国の事業を活用しながらこれまで実施してきた取組のノウハウを活かして、今後は新たな視点、新たな
手法により、マッチング機会の提供や企業情報の発信など若者と企業の距離を縮める施策に力強く取り
組むことで、たくさんの魅力ある企業と大分で働くことのすばらしさを理解してもらい、明日の大分県を担
う人材の確保に取組みます。
第2章 優秀な人材の育成・確保と雇用のミスマッチの解消
1.ものづくり人材の育成・確保
(2) 青少年に対する科学技術の振興
担当課:産業技術開発室
担当班:
097-506-3372
097-506-1753:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
OECDのPISA等の調査結果により、将来のイノベーションの担い手となるべき青少年の理科離れ、もの
づくり体験不足が指摘されています。
このような課題に対し、平成18年度より少年少女発明クラブと連携したミニ科学技術フェアを実施してい
るほか、20年度は、科学実験と工場見学を組み合わせた、ものづくり・科学技術体験ツアーといった科学
技術啓発事業を行うとともに、県内のものづくり企業を掲載した副読本を作成し、県内の小学5年生全員に
配布しました。
■現状と課題
県内では、企業や大学、少年少女発明クラブといった団体が科学技術体験イベントを行っていますが、県
内活動のより一層の充実のため、イベント情報などの情報発信力の強化や各主体が連携した活動、新たな
指導員の発掘・育成、中高校生を対象とした科学技術イベントの開催が求められています。
ミニ科学技術フェア in きつき
ものづくり・科学技術体験ツアー
【 500社訪問時の企業の声 】
○自社で啓発イベントを行っているが、なかなか広報まで手が回らない。(進出企業:製造業)
○指導員の多くが高齢化しており、先行きが不安である。(少年少女発明クラブ)
○指導内容がこれでよいのか、物差しがなく、苦労している。(少年少女発明クラブ)
■課題解決のため取り組む事業
○科学技術人材育成支援事業(特別枠)
県内の科学技術体験活動を行っている企業、大学、団体等の活動をより効果的・効率的なものにす
るため、連絡会議を設置するとともに、ポータルサイトの開設や指導者等に対する研修会を実施しま
す。また、科学技術イベントや、中・高校生を対象としたサイエンスカフェなどを開催するほか、県内も
のづくり企業を掲載した副読本を県内の小学5年生全員に配布します。
【 今後の方針 】
次世代を担う子供たちに対し、「科学の楽しさ」や「ものづくりの素晴らしさ」を伝え、科学技術に対する
夢を育んでもらえるよう、県内関係機関からなる連絡会議の設置やポータルサイトを利用した情報発信
力の強化、指導員の育成・発掘や連絡会議メンバーが出展するイベント等の開催により、県内の科学技
術に関する啓発活動の活性化を図ります。
県内ものづくり企業を掲載した「副読本」を
県内全小学5年生に配布
商工労働部内若手職員を中心に、小学5年生向けの社会科の授業で使うことを目的にした副読本の
作成プロジェクトチームを結成し、約1年間をかけて議論を重ね、ついに平成21年1月に副読本「おお
いたものづくり発見ブック~すごいぞみんなの周りの日本一 made in オオイタ」が完成を迎えました。
内容としては県内のナンバーワン、オンリーワンのシェアや技術をもつ企業125社を取り上げ、日々
の生活にものづくりがいかに密接に関わっているのかと、そこに携わる人々の絶え間ない努力と工夫が
日本中、世界中の人の生活を豊かにしていることなどが伝わるようなものとなっています。
また、この副読本が学校でもより使われやすいように、授業での使い方を新たに立ち上げた副読本使
用検討会議において検討し、そのうちの一つの実例を大分大学教育福祉科学部附属小学校の長嶺教
諭と児童の協力を得て、検証授業を行いました。児童からの評判もよく、今後の活用にも期待が持てる
授業内容でありました。これを受け、教科書にあわせた副読本の使い方を、作成と同時に小学校教育
研究会社会科部会(以下小社研)の会員である小学校教諭に対して提示したところです。
20年度については、小学5年生の学習進度に合わせるために、授業では使わずに副読本の作成と
県下の小学5年生約11,200名に配布するのみでとどめることとなりますが、21年度以降は、小社研に
提示した授業事例を参考に、実際に授業等で活用してもらいたいと考えています。
大分少年少女発明クラブの利光君が太陽電池工作コンクール
にて資源エネルギー庁長官賞を受賞
第20回太陽電池工作コンクールにて、大分少年少女発明クラブの利光信
太郎君(小学校6年生)の製作した「日照量測定装置」が資源エネルギー庁長
官賞を受賞しました。
本コンクールは、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が太
陽エネルギーや環境問題への理解を深めてもらうため、毎年開催しているも
ので、今回は全国から1205作品の応募がありました。
利光君の製作した「日照量測定装置」は、センサーが太陽の方向を探し、太
陽を自動的に追尾することで、日射量の測定を行う装置です。
(パネルの回転の動力源にも太陽電池が使われています)
小学生がパソコンの組み立てを体験。
完成したパソコンは大分銀行に
平成20年2月16日に、フューチャーイノベーションフ
ォーラムと大分銀行の共催による小学生を対象とした
「パソコン組み立て教室 in 大分少年少女発明クラブ」
が開催されました。
当日は、パソコンを構成する部品や機能の説明を受
けたほか、デスクトップパソコンの組み立を体験したり、
自分たちで組み立てたパソコンを使って、記念シートの
作成などを行いました。
参加した子ども達からは、「パソコンの中身が気にな
った」とか「組み立てがおもしろかった」といった感想が
寄せられました。
尚、組み立てたパソコンは、大分銀行にて使用され
ているとのことです。
第2章 優秀な人材の育成・確保と雇用のミスマッチの解消
1.ものづくり人材の育成・確保
(3) 高等学校・大学と連携した人材の育成
担当課:雇用・人材育成課
担当班:能力・技能振興班
097-506-3328
097-506-1756:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
自分でものをつくったり、ものづくりの現場を見る機会が少ないこと等により、子供達の科学技術やものづ
くりに対する興味・関心の低下が指摘されています。また、大学においても理科系学部の志望者が減少す
るなどその影響は現実のものとなっています。そうした中で、教育機関や技能士会等と連携して、小さい頃
からものづくり現場の見学や、実際に体験するなどして、ものづくりの楽しさを知ってもらい、また興味・関心
を高めてもらうためのイベントを開催しています。
また、高校においては、地域の産業界が期待する人材と学校で育成する人材とのすり合わせがまだまだ
不十分な状況にあります。このため平成19年度から、実践的な人材育成を行うため、工業高校と地域産業
界が連携したものづくり人材の育成プログラムを開発・実証する事業に取り組んでいます。
■現状と課題
労働力人口が減少していく中で、ものづくり産業を支える人材の育成・確保は大きな課題であり、小・中学
校、高等学校、大学など各段階に応じた人材育成が重要となっています。
特に、高校段階における実践的な人材育成では、工業高校実践教育導入事業を通じて企業側の視点を
取り入れた授業や実習を受講したことにより、生徒の興味や関心が高まり学習意欲の向上がみられるよう
になっています。また、高校と企業間で企業が求める人材や必要とする知識等の情報交換の機会が持て、
人材育成について共通理解が図られています。
このような成果を踏まえ、専門高校と地域企業が連携した取組を一層広げていくことが求められていま
す。
■課題解決のため取り組む事業
○人材育成連携推進事業(継続)
九州工業大学と連携し、工科短大生、企業の技術者を対象とした講義、公開講座を実施します。
○ものづくり育成推進事業(継続)
小、中学校に技能士や技術者などを派遣し、ものづくり体験教室を開催します。
高校に技能士を派遣し、技能検定三級取得のための講座を開設します。
高度熟練技能者が高校生・教師を対象に行う溶接講習会を行うとともに、高校生の溶接大会を実施し
ます。
高校在学中に技能検定二級以上等の資格を取得し、かつ、県内企業に就職が内定している生徒に対
して高校生技能振興奨励賞を賞します。
○工業高校実践教育導入事業(継続)
地域産業のニーズに応じた人材を育成するため、鶴崎工業高校と半導体関連企業、中津工業高校と
自動車関連企業が連携して、学校での企業技術者による授業や生徒・教員の企業実習などを1年生か
ら3年生まで段階を踏んで効果的に組み合わせて実施します。
また、県内各校や地域企業に取組を広げていくための成果発表会も開催します。
【 今後の方針 】
教育機関などと連携して成長の段階に応じた施策を展開していきます。小学生等に対しては、ものづく
り現場の見学等を通じて、小さな頃から理科やものづくりへの関心を高めます。高校生や工科短期大学
校の生徒については、実践的な授業を行うとともに、ものづくり現場に触れる機会を増やし、地域産業の
ニーズに応じた人材の育成を行います。
高等学校と企業との連携による人材育成
(工業高校実践教育導入事業)
○学校での企業技術者による授業・実習
半導体についてはプログラミングと電子基板に関する幅広い技術の基礎を身につけさせるための
「半導体基礎講座」や「マイコン講座」等を行います。
自動車については自動車産業で求められる作業時間の短縮やコスト削減に対する意識を身につけ
させるための「模型による生産管理実習」や「計測実習」等を行います。
○生徒の企業実習
それぞれの関連企業において、その仕組みや、どのような技術が使われどのように生産されている
かという製造工程の全体像等を理解させるため、生徒が企業において企業技術者から講義を受けな
がら、製造現場となる工場の見学や半導体工場・自動車部品製造工場での実習を行います。
○教員の企業実習
実社会でものづくりの経験がほとんどない教員についても実践的な技術力を身につけさせるため、
寸法制度の高い加工技術を習得する「機械加工研修」等を企業で行います。
学校での企業技術者による実習
自動車関連工場での実習
【 関係者の声 】
○企業での実習の際、わからないところがたくさんあったが、一つひとつ質問し理解していって、装置
が完成した時の喜びは今でも忘れられない。(生徒)
○企業の方の言葉は非常に重みがあり、今まで自分の思っていた考えとは全く違った答えもあって、
まだ自分の考えは学生だなと痛感させられた。今回の講座をこれからの進路に生かしていけるよう、
もう一度じっくりと考えていきたい。(生徒)
○企業で常に意識されている時間やコストに対する重要性を、実習を通じて改めて知ることができた。
(教員)
○ものづくりり産業の重要性、面白さなど仕事として地味ではあるが、夢を実現させるための楽しさを
知ってもらいたい。(企業)
第2章 優秀な人材の育成・確保と雇用のミスマッチの解消
1.ものづくり人材の育成・確保
(4) 技術者の技術力向上支援
担当課:工業振興課
担当班:工業支援班
097-506-3263
097-506-1753:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
地場企業が、持続的な成長や取引の拡大を行うためには、自社の有する技術を強化するとともに、現場
を支える人材を育成することが重要です。
県では、産業集積の進んでいる半導体や自動車分野への取引参入を図るために、「おおいたLSIクラス
ター構想」や「自動車関連産業振興プログラム」を策定し、それぞれの産業で必要となる人材の育成などに
取り組んでいます。
また、基盤技術である金型技術の高度化を図るため、「北部九州地域高度金型中核人材育成事業(平成
17年度~19年度)」において県外機関と連携して技術研修を実施するとともに、人材育成カリキュラムを作
成し、この成果を県立工科短期大学校へと継承しました。
20年度からは、地場企業のQCD(品質、コスト、納期)対応力をさらに高めるために、製造現場での品質
向上の方法を学ぶセミナーや改善活動のリーダーを養成する実践研修「ものづくりカイゼン塾」を開始する
ともに、主に機械系製造業の技術者等を対象に各種機器・装置を制御するためのシーケンサについて学ぶ
セミナーも開始しています。
■現状と課題
地場企業においては、発注企業の求める技術を習得するだけでなく、高度な技術力や付加価値の高い
製品を有する提案型企業へと脱皮することが求められています。
中小企業が、提案型企業への変革を遂げるための人材を育成していくためには、社員が研修を受けるた
めの時間の制約やコスト負担などが課題となりますが、QCD対応力や技術提案力の向上に着実に取り組
むことにより、取引参入の可能性は広がっていきます。
また、平成20年1月から産学官の共同研究開発を行っている「次世代電磁力応用技術開発」については
地場企業の技術者は電磁力応用技術についてあまり知らないため、この技術について詳しく知る機会が必
要です。
ものづくりカイゼン塾(現場実習)
シーケンス制御セミナー
【 500社訪問時の企業の声 】
○5S(整理、整頓、清潔、しつけ、清掃)をはじめとした現場改善への取組の原動力となるのは社員であ
り、工場長として社員を育てることに力を入れている。(地場企業:製造業)
○大手メーカーで技術習得してきた人材は、業務上の段取りや問題発生時の対処などで目を見張るもの
がある。(地場企業:製造業)
○組込みシステムは、近年、品質によるトラブルが話題となり、その対策として従業員のスキルアップが
重要となっている。セミナーへの参加や関連資格の取得などに積極的に取り組みたい。
(進出企業:情報・サービス業)
○電磁力応用技術について関心はあるが、その専門的な内容について詳しく知る機会がない。
(地場企業:製造業)
○中堅技術者は、常に新しい技術を身につける必要があるが、地場企業単独では最新技術の情報を入
手するのが難しい。(地場企業:製造業)
■課題解決のため取り組む事業
○中小企業技術力向上支援事業(継続)
地域の中核的な企業を対象に、製造技術の向上を目的とした実践型研修(ものづくりカイゼン塾)の開
催、技術の高度化を図るための県外研修派遣への助成(技術エキスパート育成補助金)により、基盤技
術の確立を支援します。
○シーケンス制御・品質管理セミナー(継続)
企業立地促進法による地域企業立地促進等事業費補助金を活用し、自動車関連産業への新規参入
を目指す機械系製造業の技術者等を対象としたシーケンス制御、品質管理にかかるセミナーを開催しま
す。
○組込みシステム開発支援事業(新規、再掲)
急速に拡大している組込みソフトウェアの開発を促進するため、企業における技術者のスキルアップを
支援します。
○中小企業IT経営推進事業(新規、再掲)
中小企業のIT化を円滑に進めるためにも、システム開発を行うIT企業を対象にコンサルティング能力
を高める研修を開催します。
○自動車関連産業企業力向上事業(継続、再掲)
自動車関連産業への参入を目指す中小企業に対して、自動車メーカーOBの技術アドバイザーによる
指導、自動車メーカー技術者による現場改善指導、地場企業技術者の自動車メーカー等への研修派遣
等により人材育成を支援します。
○次世代電磁力応用技術開発事業(継続、再掲)
地場企業の技術者を対象とした電磁力応用技術に関する実践的なセミナーを実施する電磁力応用技
術研究会の活動を支援します。
○おおいた LSI クラスター構想推進事業(継続、再掲)
新採用技術者、中堅技術者や経営者などそれぞれのニーズに応じた人材育成に取り組みます。
【 今後の方針 】
地場企業が社員のスキルアップに積極的に取り組むことは、個人の資質向上だけでなく、社内にノウ
ハウが蓄積され、企業全体の技術力や生産性を高めることにつながります。
また、社外で開催される研修への参加は、あらたな知識や技術の習得以外にも、講師や参加者相互
の交流によるネットワークの拡大や連携の可能性も期待されます。
今後も、地場企業の競争力強化と持続的な発展を促進するため、様々な分野における技術人材の育
成・確保を支援します。
第2章 優秀な人材の育成・確保と雇用のミスマッチの解消
1.ものづくり人材の育成・確保
(5) 技能の伝承
担当課:雇用・人材育成課
担当班:能力・技能振興班
097-506-3328
097-506-1756:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
若者の技能離れや、団塊の世代が定年を迎えた、いわゆる2007年問題に代表される熟練技能者の大
量退職等により、技能の伝承が困難になりつつあります。さらに、我が国の基幹産業である自動車、電気、
機械などの製造業は、ものづくりの基盤技術を有する中小企業が下支えしていますが、これらの中小企業
においては、人材の確保・育成が困難な状況が続いています。そうした中で、若者の技能離れを食い止め、
熟練技能者からの技能の伝承を目的として、ものづくり基盤技術の1つである溶接について、高校生溶接
技術大会を開催しました。
■現状と課題
若者の技能離れやものづくり産業を支えてきた熟練技能者の高齢化、団塊世代の退職等により、ものづ
くりにおける技能の維持・継承・発展が大きな問題となっています。特に、ものづくり分野においては、製品
の品質の高度化や納期の短期化、さらに海外との価格競争等により、これらに関する知識や技能に対する
ニーズが高まっており、現場を支える技術者の育成が求められています。
【 溶接大会に参加した生徒の声 】
○軽い気持ちで始めたが、やってみるとおもしろかった。
○やればやるほど難しさがよく分かった。
○溶接関係の仕事に就くかどうかは分からないが、一通りの技術は身に付けたいと思う。
大分県高等学校溶接競技大会
大分地域造船技術センター(認定職業訓練校)
■課題解決のため取り組む事業
○ものづくり育成推進事業(継続)
小・中学校に技能士や技術者などを派遣し、ものづくり体験教室を開催するとともに、高校に技能士を
派遣し、技能検定三級取得のための講座を開設します。
高度熟練技能者が高校生・教師を対象に行う溶接講習会や、高校生の溶接大会を実施します。
高校在学中に技能検定二級以上等の資格を取得し、かつ、県内企業に就職が内定している生徒に対
して高校生技能振興奨励賞を賞します。
○認定職業訓練校助成事業(継続)
優秀な技能者の確保を図るため、民間の認定職業訓練校に対して運営費の補助を行います。
【 今後の方針 】
教育機関などと連携して高度熟練技能者等を活用し、技能の継承に取り組みます。また、工業高校生
に対しては、資格を取得するための基礎技術力を身につけさせる実技指導や講習会を行うなど、レベル
に応じた施策を実施し、技能の継承に取り組みます。
第1回九州地区高等学校ものづくり溶接競技大会
大分県勢上位を独占!
平成20年10月25日、全国で初めて、ものづくり溶接大会のブロック大会(九州大会)を開催しました。
大分県を始めとして福岡県・長崎県・宮崎県・鹿児島県の5県25名が参加して、団体の部では大分県
女子が最優秀賞(第1位)、大分県男子が優良賞(第2位)を獲得しました。
また、個人の部でも大分県の生徒が上位を独占し、高校生の技術レベルの高さを九州各県に示しまし
た。
【 審査結果(個人の部) 】
(最優秀賞) 大分県立日出暘谷高等学校総合学科3年
清家 理沙
(優 秀 賞) 大分県立日田林工高等学校電気科2年
川口 絵美
大分県立日田林工高等学校土木科3年
濵野 絵美
(優 良 賞) 大分県立鶴崎工業高等学校機械科2年
甲斐 隆浩
大分県立中津工業高等学校材料技術科課3年 角
達也
(審 査 員 特 別 賞) 大分県立鶴崎工業高等学校機械科2年
渡邉 幸大
【 九州大会に参加した生徒の声 】
○他の県の生徒と技術を競い合うことができて、楽しかった。
○県大会より大きな大会だったので緊張したが、普段の力は出すことはできた。
○まだ2年生なので、来年は優勝できるようしっかり練習を積んでいきたい。
第2章 優秀な人材の育成・確保と雇用のミスマッチの解消
2.商業・サービス業の人材育成
担当課:商業・サービス業振興課
担当班:商業・サービス業支援班
097-506-3285
097-506-1754:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
新しい時代を担うスケールの大きい「商人」を育成するため、若手商業者や後継者を対象として「豊の国
商人塾」を全国に先駆けて開設し、これまでに21期、519人を育成してきました。最近では女性の塾生も増
加するなど、毎年各方面から数多くの将来有望な人材が入塾しています。県内の商業界をリードする多くの
卒塾生を輩出し、平成20年11月には卒塾生によるNPO法人「豊の国商人塾」が設立認証を受け、地域商
業の活性化や人材育成等の新たな活動を展開することになりました。
個々の商業者の意欲と創意工夫を引き出していくため、魅力ある個店づくりの研究会を開催するととも
に、各地域の意欲ある商業者による研究グループの立ち上げを促してきました。その結果、県下各地域で
若手が中心になり、商店街の活性化に向けた新たな実践活動の動きが始まりました。
また、東京銀座のフラッグショップ「坐来大分」においては、大分の様々な食材や地域文化を情報発信す
るため、ホールスタッフを大分の語り部として育成を図ってきました。
■現状と課題
大分県の商業振興のためには、社会経済状況に柔軟に対応し、課題解決に向け戦略的に取り組むリー
ダーとなる人材の継続的な育成が不可欠です。
あわせて地域商業活性化のためには、各地域においてその特性を活かした独自の取組を起こすことが
必要です。
また、県内の素晴らしい自然や食材を活かした「食観光」に磨きをかけ、ブランドとして確立するために、
観光客等に高い満足度を提供することができるサービス面におけるエキスパートの育成が求められていま
す。
【 商人塾卒塾生や商店街の声 】
○明日の大分を担う志高き商人として、豊かな感性と識見をもった人間形成への決意ができました。
(商人塾卒塾生)
○県の担当者が直接商店街に入って来て勉強会の開催や活性化への支援をしてくれることは大変あり
がたい。(県内商店街関係者)
第22期 豊の国商人塾入塾式
【 大分の観光・サービス業に対する声】
○訪れたお客様を「大変満足」させないとリピーターにはならないし、口コミで紹介してもらえません。満足
度に強い影響を与える要素として、「スタッフの対応」、「食事」が上位にランクされています。
(経済産業省平成20年度観光集客地における満足度調査)
○よく坐来を利用していますが、なぜリピートしているかと言うと、料理の美味しさもさることながら、スタッ
フのサービスが素晴らしく「いつも気にかけてくれている」と感じさせるホスピタリティがあって、くつろげ
るからです。(坐来のお客様)
坐来サロン( H20.7.23)
旅行エージェントや旅行雑誌記者を招いて
「由布院流旅の楽しみ方」について対談する
(社)ツーリズム大分の桑野会長
豊後高田市「昭和の町フェア」
イベントランチの様子( H20.10.30)
■課題解決のため取り組む事業
○商業・サービス業人材育成事業(継続・一部新規)
・21世紀商業創造スペシャリスト養成事業(継続)
「豊の国商人塾」の支援やセミナーを開催し、個性的で魅力ある商店経営を実践し、地域商業をリー
ドする意欲的な商業者を育成します。
・サービス産業人材育成事業(新規)
東京・銀座の激しい競争の中で、お客様から料理・サービスとも高い評価を得ているフラッグショップ
「坐来大分」を研修の場として活用して、県内サービス産業人材の資質向上を図ります。
○個性的商店街づくり推進事業(継続)
商店街活性化に向けた各地域の意欲ある商業者による研究グループの立ち上げ及びその研究活動
を促進し、さらにはそこから生まれた地域独自の新たなチャレンジ活動を支援します。
【 今後の方針 】
個性的で魅力ある商店経営を実践し、地域商業をリードする意欲的な商業者を育成します。
観光客に高い満足度を与えることができる上質なサービスを提供するサービス産業人材を育成するこ
とにより、大分のブランドイメージの向上を図ります。
第2章 優秀な人材の育成・確保と雇用のミスマッチの解消
3.みんなが働く社会づくり
(1) 障がいのある人の就業支援
担当課:雇用・人材育成課
担当班:就業支援班
097-506-3341
097-506-1756:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
障がい者の一般就労については、障がい者に対するパソコン講座等の座学訓練を中心とした訓練や、障
がい者の特性に合わせた就業環境改善の取組への支援を行いました。
さらに、障がい者の一般就労を推進するために、障がい者雇用に理解のある企業や職場実習・見学の受
入が可能な企業を「障がい者雇用応援団企業」として県が開拓・認証し、特別支援学校や障がい者就労支
援機関等への企業情報の提供を行っています。(応援団企業数:207社 平成21年1月末現在)
また、障がい者を対象とする職業訓練においては、座学訓練のほかに、企業現場を訓練場所とした実践
的訓練を行っています。
■現状と課題
本県の障がい者雇用率は2.20%と全国2位ですが、障がい種別ごとにみると知的障がい者の雇用率
は0.32%、精神障がい者の雇用率は0.04%であり、知的障がい者・精神障がい者の企業での一般就
労は依然として厳しい状況にあります。法定雇用率達成企業の割合は全国3位ですが、依然として約4割
の企業が法定雇用率未達成です。
企業は、障がい者雇用への理解があったとしても、具体的なノウハウがないため、なかなか雇用に踏み
切ることができません。単独で雇用し、問題が発生したときに、どこにも相談することができず、失敗するケ
ースが多々見受けられます。
障がい者自身も就労に対するイメージを描けないことから、就労が進まない状況にあります。
【 500社訪問時の企業の声 】
応援団事業をきっかけに障がい者への扉は開いたものの、何から始めたらよいか、何が分からないの
かすら分からない状態。アドバイスが欲しい。(進出企業:製造業)
■課題解決のため取り組む事業
○障がい者雇用モデルサポート事業(特別枠)
企業に対するアドバイス・情報提供や、企業間で相談し合える連携体制づくり等のサポートを行い、こ
れから障がい者雇用に取り組もうとする企業が、独自の雇用モデルを作っていけるよう支援をしていきま
す。
また、業務発注を通じた企業と障がい者福祉事業所の連携促進や、特別支援学校教員の企業体験な
どを行い、障がい者の就労について関係者の相互理解を深めます。
○障がい者職業能力開発事業(継続)
障がい者のニーズや企業のニーズに対応した実践的な職業訓練を実施するとともに、各職業能力開
発校(4校)に障害者職業訓練コーディネーターを配置し、応募から就職までの一貫したサポートを実施し
ます。
【 今後の方針 】
必要なアドバイス・情報提供を受け、困ったときには企業間で相談できるような連携体制を企業同士が
作っていけるよう支援を行えば、企業は安心して障がい者雇用に取り組めるようになります。そのような
連携体制が整った企業の現場で、障がい者が実践的な職業訓練を受け、働くための準備を整えることで
就労に結びついていくよう支援をします。
また、企業が障がい者の特性や作業能力を知り、障がい者福祉事業所や特別支援学校が企業の求
めているレベルを知ることができるよう、企業から障がい者福祉事業所への業務発注や、特別支援学校
教員の企業体験など、相互理解を深めるための取組を、福祉保健部や教育庁と連携して推進します。
障がい者を積極的に雇用する企業
(有)大分クオリティ(宇佐市)
障がい者福祉事業所「ひまわり苑」(豊後高田市)に、自動
車部品の仕上げ作業を発注したことがきっかけで、精神障が
い者も健常者と変わらないことに気付きました。職場実習等を
経て、現在では精神障がい者4名、知的障がい者2名、身体
障がい者4名を雇用しています。
障がい者は教えられたことを一生懸命やり、健常者よりも作
業にむらがないため安定した労働力として頼りにされていま
す。体調が悪くなった場合には、休暇を取ってひまわり苑に通
ってもらうなど、福祉事業所との連携をうまく取りながら雇用に
成功している例となっています。
障がい者が樹脂成形部品の修正・加工に従事
(企業や福祉事業所職員による見学風景)
優秀勤労障害者厚生労働大臣表彰を受賞
(株)宇佐ランタン(宇佐市)
阿部幸美さんは、(株)宇佐ランタンで24年にわたりちょうち
ん張りの仕事に取り組んできた業績が評価され、優秀勤労障
害者厚生労働大臣表彰を受賞しました。
(株)宇佐ランタンは、昭和56年から障がい者雇用に取り組
んでおり、現在、従業員17名中、知的障がい者が11名働い
ています。
ちょうちんを工場で一貫生産できる体制は他に例がなく、ビ
ニールちょうちん製造の分野では、日本でトップの企業です。
受賞を報告し、特製のめじろん提灯を贈呈
第2章 優秀な人材の育成・確保と雇用のミスマッチの解消
3.みんなが働く社会づくり
(2) 若年者の就業支援
担当課:雇用・人材育成課
担当班:雇用・人材育成班
097-506-3340
097-506-1756:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
若年者の高い失業率や増加するフリーターなど若年者を取り巻く厳しい雇用情勢を受け、国では平成15
年度に「若者自立・挑戦プラン」を策定し、関係省庁で連携して若者の雇用対策に積極的に取り組む姿勢が
打ち出されました。
本県においても若者を取り巻く状況は厳しく、平成16年度には同プランの中核的施策である若年者地域
連携事業を活用し、若年者の就職支援をワンストップで行う「ジョブカフェおおいた」を大分市に設置しまし
た。翌年県下5カ所(現在4カ所)で開設したジョブカフェ・サテライトオフィスとあわせ、教育機関やハローワ
ークや市町村などと連携しながら企業情報の提供や職業相談など個々の状況に応じたきめ細かな就業支
援に取り組み、開所以来の就職実績は8,205人となっています(21年1月末現在)。
また、早い時期からの職業観・勤労観の醸成のため、学校で取り組むキャリア教育への支援として企業
人講話や職場見学のコーディネートなども行いました。
■現状と課題
ジョブカフェ事業の推進などにより、平成15年をピークとしたフリーター数は改善傾向にあるものの、いま
だ高水準であり、新規学卒者の早期離職率については改善の傾向は見えていません。また、30歳代のフ
リーターの就職が進まないといういわゆる年長フリーター問題という新たな課題や米国の金融不安に端を
発した世界規模での景気後退局面を迎え、非正規労働者等の雇い止めなどの動きが広がっており、若者
の雇用環境への影響が危惧されています。
このため、学校段階でのキャリア教育の一層の充実や、正規雇用を望むフリーターなどへの支援が益々
重要となっています。
15~24歳
フリーター数の推移
(万人)
250
%
70
1年目
2年目
3年目
60
200
91
150
98
99
97
92
92
40
30
100
29
23
17
34
57
72
8.3
50
49
50
新卒就職者の在職期間別離職率(17年3月卒業者)
25~34歳
119 115 104
102 117
95
8.8
17.5
14
10
15
13.4
20
89
10.9
10.8
9.1
12.9
11.7
32.2
24.8
10.2
19.4
21.5
全国
大分県
23.8
15
0
0
全国
大分県
高校
(労働力調査/総務省)
短大
(大分労働局資料)
全国
大分県
大学
【 企業・ジョブカフェ相談員の声 】
○社会人としての意識が足りない。仕事に主体的に取り組む姿勢に欠けており、学校生活の延長で受け
身の若者が多い。学校でのキャリア教育を強化してほしい。(地場企業:運輸業)
○例えば、前の職場で受けたダメージをうまく消化できず次の就職に踏み切るまでに時間がかかるような
難しいケースが増えている。(ジョブカフェ相談員)
■課題解決のため取り組む事業
○ジョブカフェおおいた推進事業(継続)
企業情報の提供や職業相談、就職支援セミナー、職業訓練への誘導など個々の状況に応じたきめ細
かな就業支援に取り組むとともに、学校が行うキャリア教育への支援として企業人講話や職場見学のコ
ーディネートなどを行います。
また、求職者の多様なニーズに対応できるようジョブカフェの相談員を対象に研修を行い、カウンセリ
ング能力の向上を図ります。
さらに、ジョブ・カードやトライアル雇用などの国の制度を活用して年長フリーターの就職支援を行いま
す。
【 今後の方針 】
早期離職やフリーター化を防止するためには、職業生活に入るまでに、学ぶことや働くことへの関心・
意欲を高めしっかりとした職業選択ができるよう、勤労観・職業観の醸成を行うことが重要です。
そのためには教育機関との連携を強化し、学校現場に企業の視点を取り入れるなど学校と企業との
橋渡しを進めます。
また、学校生活から職業生活へうまく移行できなかった若者などに対しては、彼らが将来に向けて希望
の持てるような職業に何度でもチャレンジできるような環境を整えるとともにチャレンジのため職業能力の
開発に向けた訓練内容の拡充にも取組みます。
ジョブカフェ日田サテライト
ジョブカフェ出張相談会(中津市)
県内のものづくり企業で活躍する女性の事例集を
高校生2年生等の若者に配布
若者が就職先を選択する時には、学校の先生や保護者、友達から聞いた話などを参考にしていると
思われます。就職を考える上では、そうした情報に加え、実際に自分の目で企業を見たり、働いている
方の声を聞くなど、幅広い情報を自分から積極的に集めることも重要です。
そうした若者の情報源の一つとして、「就職応援マガジン mono maga.」を作成しました。この情報
誌は、県内のものづくり企業に就職して、仕事やプライベートなどで充実した日々を過ごしている女性の
インタビューを中心に、就職先を選んだ理由や仕事をしていく上で必要な心構え、仕事で得られる喜び
など、若者が就職を考える際に参考となると思われる情報を掲載しています。就職することの意義や自
分の適性に合った就職先を考える際に、この情報誌を役立ててもらいたいと思います。
また、この情報誌を、高等学校における就職セミナーや卒業生の講演会などでも積極的に活用しても
らいたいと考えています。
第2章 優秀な人材の育成・確保と雇用のミスマッチの解消
3.みんなが働く社会づくり
(3) 中高年齢離職者の就業支援
担当課:雇用・人材育成課
担当班:就業支援班
097-506-3341
097-506-1756:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
少子高齢化の進展に伴う労働力人口の減少が懸念されており、労働力確保の点からも他の年齢層に比
べて雇用環境の厳しい中高年齢者を速やかに再就職させることが必要です。
このため平成19年度から、中高年齢者に自身の適性や社会情勢を理解してもらい早期の再就職へと導
く再就職支援セミナーや個別カウンセリングを実施しています。
また、高齢者の就業機会の拡大のため、いきいきワークネット(注1)の事業が効果的に実施されるようシル
バー人材センター連合会に対する支援を行うとともに、平成18年度からは、いきいきワークネットが団塊世
代の退職後の魅力的な受皿組織となるために、シルバー人材センター連合会が実施する事業で高齢者の
雇用就業対策に特に効果があると思われる取り組みに対しても支援を行っています。
■現状と課題
県内の雇用情勢は、求人数が減少しており、有効求人倍率が低下傾向で推移するなど、下降局面にあり
ます。中でも45歳以上の中高年齢者の有効求人倍率は他の年齢層に比べると低くなっています。さらに、
中高年齢者は従前の職種への再就職を希望するケースが多く、職業選択の幅が狭くなることからスムーズ
な再就職が困難な傾向にあります。
また、団塊の世代が引退過程に入るなど本格的な高齢社会を迎え、高齢者の多様な就業ニーズや社会
活動参加ニーズが増加することが見込まれております。国ではシルバー人材センターの会員数を平成22
年度までに100万人にする目標を掲げ、多様な就業機会の確保や運営基盤の強化等を推進しています。
このため、いきいきワークネットにおいても会員確保に向け、高齢者のニーズに応じた魅力ある事業展開
が必要になっています。
[大分県の年齢別有効求人数・有効求職者数及び有効求人倍率(平成20年12月現在)]
24歳以下 25~34歳 35~44歳 45~54歳 55~64歳
有 効 求 人 数 (人)
2,193
4,570
3,114
2,537
3,070
有効求職者数 (人)
3,206
6,558
4,646
3,998
4,731
有効求人倍率 (倍)
0.68
0.70
0.67
0.63
0.65
65歳以上
349
483
0.72
中高年齢者再就職支援セミナー
(注1)いきいきワークネット:多くの高年齢者の方により親しみを持っていただくための県内シルバー人材セン
ターの愛称
【 再就職支援セミナー受講者の声 】
○セミナーを受講して、改めて時代の変化を感じた。自分の意識を変えることが大事だと痛感した。
○面接訓練が具体的で役に立った。
○今の自分を知ることができた。自分の強みが分かり、自分に合った仕事探しができそうで、大変役に立
った。
[いきいきワークネットの会員数]
会 員 数 (人)
前 年 度 比 (%)
17年度
18年度
19年度
20年度
5,468
99.4
5,513
97.6
5,601
101.6
5,774
103.1
■課題解決のため取り組む事業
○中高年離職者再就職支援事業(継続)
中高年齢者に自身の適性や社会情勢を理解してもらうとともに、応募書類の書き方、自己PR、面接訓
練等、就職に必要な知識を身につけてもらうセミナーを実施します。
また、1人1人の状況に応じた個別カウンセリングも併せて実施します。
○高齢者雇用就業対策事業(一部新規)
教育支援・子育て支援・介護支援・環境改善支援の4分野の事業を充実させることにより、いきいきワ
ークネットの魅力を高めることを目的としてシルバー人材センター連合会が実施する、会員向けの人材養
成研修や相談・指導事業の実施を支援します。
【 今後の方針 】
再就職支援セミナーの開催については、県中心部だけでなく地方での開催を希望する声やカリキュラ
ム、スケジュール等に関する要望も寄せられているため、より実効性の高い事業となるよう内容を検討し
ます。
また、シルバー人材センター連合会と協力し、いきいきワークネットの事業が効果的に実施されるよう
積極的な取組みを行うとともに、いきいきワークネット未設置地域解消に向けた取組みを行います。
第2章 優秀な人材の育成・確保と雇用のミスマッチの解消
3.みんなが働く社会づくり
(4) 女性の就業支援
担当課:雇用・人材育成課
担当班:就業支援班
097-506-3341
097-506-1756:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
少子高齢化の進展に伴い、労働力人口の減少による国際競争力の低下、社会保障負担の増加など、将
来への影響が懸念されており、労働力確保の点からも女性の社会参加が不可欠な状況となっています。こ
のため、女性を対象とした再就職に結びつきやすい職業訓練の実施に取り組むとともに、未就学児童を保
育している女性の職業訓練の受講を促進するための支援として、職業訓練期間に子供を保育所に預ける
場合、その保育料の一部を助成する制度を、平成19年度に創設しました。
■現状と課題
本県の30代前半の女性の有業率は64.0%であり、九
州各県の中では福岡県に次いで低く、また、20代後半の
有業率に比べると8.4ポイント低くなっています。一方、約
5万6千人の女性が就業を希望していますが、そのうち約
3万5千人が25歳から54歳までの女性となっています。
(H19就業構造基本調査)
このことから、多くの女性が結婚や出産等を機に離職し
ている状況にあり、また、一旦仕事を辞めたと思われる多く
の女性が再就職を望んでいるものと考えられます。
%
大分県の女性の年齢別就業率(就業構造基本調査)
100.0
平成14年
80.0
平成19年
60.0
40.0
20.0
0.0
15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 歳
19 24 29 34 39 44 49 54 59 64 69 74 以
歳
上
年齢
【 子育て等により離職した女性の声 】
○子供がいて、いざ社会に復帰しようと思っても、年齢の壁、スキル不足、資格を持っていないことで、安
定した仕事に就くのが難しい。
○子供が小学生になり育児も一段落したので、まず資格を取得してから事務職で正社員として働きたい
と思っていた。
■課題解決のため取り組む事業
○女性の再就職チャレンジ支援事業(継続)
県が指定する職業訓練受講生を対象に、職業訓練期間中と就職活動期間中(訓練後の1ヶ月間)の
保育料を半額助成します。(上限額あり)
女性を対象とした3ヶ月間の職業訓練・就職支援を民間教育機関等に委託し実施します。
【 保育料助成制度利用者の声 】
○この制度がなければ、子供も複数おり保育料もかなりの額になるため、職業訓練の受講をあきらめて
いた。
○助成制度があるのなら職業訓練を受講しようと考える人がたくさんいると思う。
【 今後の方針 】
多くの子育て中の女性に職業訓練期間中等の保育料助成制度を利用していただけるよう広報に努め
職業訓練の受講を促すとともに、再就職に結びつきやすい職業訓練を実施し、再就職に必要な知識・技
能を習得していただくことで、早期の再就職が図れるよう支援を行います。
また、女性を対象とした職業訓練については、再就職に結びつきやすい訓練内容の工夫に努めます。
第2章 優秀な人材の育成・確保と雇用のミスマッチの解消
3.みんなが働く社会づくり
(5) 職場におけるワーク・ライフ・バランスの確立
担当課:労政福祉課
担当班:労政福祉班
097-506-3327
097-506-1756:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
平成17年4月から、次世代育成支援対策推進法により、従業員301人以上の事業所には、仕事と家庭
の両立支援を中心とする一般事業主行動計画(注1)の策定が義務づけられています。また、努力義務となっ
ている従業員300人以下の事業所における策定を促すため、一般事業主行動計画を策定した事業所を
「おおいた子育て応援団(しごと子育てサポート企業)」として認証し、県民、未策定企業へ情報発信を行うこ
とにより策定企業の拡大を図ってきました。
さらに、仕事と家庭の両立支援に関し企業経営者や労務管理担当者を対象としたセミナーを開催し、企
業主の意識改革を図るとともに、女性の再チャレンジに向けた仕事と子育ての両立支援ガイドブックや優れ
た企業の事例集の作成を行い、啓発に努めてきました。
■現状と課題
子育てを行う労働者の仕事と家庭生活の両立を支援するための雇用環境の整備は、少子化対策の大き
な柱であり、一般事業主行動計画の策定により事業所における重要性の認識と意識改革が図られてきまし
たが、努力義務となっている従業員300人以下の事業所は県内には約58,700社あり、更に策定企業の
拡大を図る必要があります。
また、国において、ワーク・ライフ・バランス(注2)憲章及び行動指針が策定され、仕事と子育ての両立支援
だけでなく、今後は、働き方の見直しを加味した一般事業主行動計画の策定や、ワーク・ライフ・バランス社
会実現のための気運の醸成、情報提供による普及・啓発に取り組んでいく必要があります。
認証企業の推移
年
度
平成18年度
19
20
認
証 企 業 数(延べ)
53社
109社
266社 (2月28日現在)
【 500社訪問時の企業の声 】
○一般事業主行動計画の策定の必要性は理解できるが、情報が少なく何から取り組んでよいかわから
ない。(地場企業:卸小売業)
○ワーク・ライフ・バランス推進のための雇用環境の整備は、大企業なら容易であるが、零細企業では、
日々の経営維持で精一杯であり、制度の整備が難しい。(地場企業:建設業)
■課題解決のため取り組む事業
○「おおいた子育て応援団(しごと子育てサポート企業)認証制度(継続)
従業員規模300人以下の事業所を対象に認証制度の普及・浸透と認証企業の拡大に取り組みます。
○ワーク・ライフ・バランス推進セミナーの開催(新規)
おおいた子育て応援団認証企業などの事業主を対象に、気運の醸成に向けたセミナーを開催します。
(注1)一般事業主行動計画 :仕事と家庭の両立を支援するための雇用環境の整備等について事業主が策
定する計画のこと。次世代育成支援対策推進法の一部が改正され、行動計画
の策定・届出の義務づけの対象範囲が従業員301人以上の事業所から従業
員101人以上の事業所に拡大される。(平成23年4月1日施行)
(注2)ワーク・ライフ・バランス:仕事と生活の調和であり、働く人が仕事とそれ以外の生活とのバランスをと
り、どちらも充実できるようにするため、働き方・働かせ方を見直すこと。
○「地域の労使でワーク・ライフ・バランスを語ろう会」の開催(新規)
労使双方への普及・啓発を行うとともに、それぞれの立場からの提言を受け事業推進のため活用しま
す。
○情報発信(新規)
ワーク・ライフ・バランス社会実現のための労働関係法令をはじめ先進事例や支援制度の紹介などの
情報提供を行います。
【 今後の方針 】
雇用環境の整備については、各種法令の施行や改正等により、企業においても各種制度の整備が進
められてきているが、ワーク・ライフ・バランスを推進していくためには、更に働き方の見直しによる労働条
件の整備が求められています。情報発信を積極的に進めることにより事業主や労働者の意識改革に努
めます。
ワーク・ライフ・バランスの取組みを行っている
県内の中小企業の例
社会福祉法人
安岐の郷(国東市安岐町)
社会福祉法人安岐の郷では、職員の働きやすい環境づくりのため、次のような取組みを行っています。
・事業所内託児所設置(利用料金補助制度あり)
・とうちゃんがんばれ休暇(5日間、男性職員の配偶者出産のための休暇)
・ばあちゃんの出番です休暇(7日間、里帰り出産や娘の遠方での出産の支援)
・夏休み中の子連れ出勤許可
・幼稚園の出迎え時間を出勤時間扱い
・有給休暇の計画的取得促進
事業所内託児所の状況(園児11名、職員4名)
【 施設長のコメント 】
事業所内託児所や特別休暇の策定により職員満足度が増しただけでなく、職員のゆとりが利用者
へのサービス向上にもつながり、利用者満足度にもつながっているのではないかと感じています。
【 施設従業員のコメント 】
娘が3人目の子どもを出産するために「ばあちゃんの出番です休暇」を1週間取得しました。娘が
入院中2人の孫と婿の食事など生活全般を手伝いました。娘からは「子供の心配をしないで安心して
入院できた。」との声をもらい、私もばあちゃんの役目を果たせました。
第2章 優秀な人材の育成・確保と雇用のミスマッチの解消
3.みんなが働く社会づくり
(6) 多様な働き方への対応
担当課:労政福祉課
担当班:労働相談・啓発班
097-506-3354
097-506-1827:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
平成16年以降、製造業務への労働者派遣が解禁された改正労働者派遣法や、労働契約の基本的ルー
ル等を明らかにした労働契約法等の施行をはじめ、労働法制の大きな改正が行われました。
複雑・多様化する労働相談にワンストップで対応するため、19年5月に労働相談業務を本庁に集約し、
「大分県労政・相談情報センター」を設置するとともに、県下各地で巡回労働相談や労働講座等を実施する
など、労使に対しコンプライアンス(法令遵守)の一層の徹底に向け、法令の周知・啓発に努めてきました。
■現状と課題
少子高齢化社会の進展、団塊の世代の大量退職により、退職女性の再就職、高年齢者の雇用延長など
労働力の確保に向けた多様な働き方に対するワークルールの確立が急務とになっています。
また、労働相談では依然として賃金や労働時間など労働条件に関することが過半数を占め、就業形態の
多様化が進行する中で、賃金の格差や雇用の安定などの問題が指摘されており、均衡処遇や賃金・労働
時間等に関するコンプライアンスの確立が求められています。
労働相談件数の推移(労政・相談情報センター利用状況)
15年度
16年度
17年度
18年度
19年度
相談内容
件数 構成比 件数 構成比 件数 構成比 件数 構成比 件数 構成比
合計
714 100.0% 1123 100.0% 989 100.0% 853 100.0% 839 100.0%
労働条件に関すること 434 60.8% 687 61.2% 639 64.6% 505 59.2% 535 63.8%
勤労者福祉に関すること
64
9.0% 101
9.0% 123 12.4% 106 12.4%
98 11.7%
雇用に関すること
41
5.7%
61
5.4%
38
3.8%
33
3.9%
28
3.3%
年度
【 労働相談の事例 】
○使用者に就業規則を見せてくれるように頼んだが見せてもらえなかった。(個人相談者)
○使用者の中には基本的な労働法令に関する理解を欠いた事例がみられる。(民間労組委員長)
■課題解決のため取り組む事業
○非正規労働者の問題解決に取り組む労働組合等との意見交換会の開催(継続)
○県内各地で実施する労働講座や県庁ホームページ、一般向け啓発資料の作成・配布などによる法令
知識の普及・啓発の推進(継続)
○就職予定の学生を対象とした出前講座の実施(新規)
○労働相談等を通じて把握した個別労使紛争の迅速解決に向けた取組の推進(継続)
【 今後の方針 】
労働相談や労働組合等との意見交換などにより把握した問題点を踏まえ、労使間のトラブルの未然防
止や働く者の処遇改善のため、労働法制の普及・啓発に努め、コンプライアンスの確立を図ります。
第3章
商業の振興と国内外への大分ブランドの確立
地域商業の活性化のためには、商店街を形成する各店舗が地域の実情を踏まえ、個
性的な店舗づくりに努めるとともに、地域の特性を活かした商店街づくりが求められてい
ます。このため、商店街のリーダーを中心に関係者が一丸となって新たな活動を興し、地
域住民とも協同して実行する取組の芽を掘り起こし、その活動を支援します。過疎化・高
齢化が著しい地域社会の商業機能や地域住民の日常生活などを維持するため、行政、
商業者、地域住民が一体となって行う宅配サービス事業や、地域の総合経済団体である
商工会が実施する地域活性化の取組について支援します。
また、県産品の販路を、関東、関西などの大都市圏へ広げるために、量販店で「大分
フェア」などを開催するとともに、広く中国や東南アジアなどの海外へ商圏を拡大するため
に、海外の国際見本市への出展を支援します。
大分の工芸品 展示商談会
(坐来大分)
イトーヨーカ堂大分フェア(アリオ亀有店)
大分県フェア in 上海(シティショップ)
第3章 商業の振興と国内外への大分ブランドの確立
1.商業の振興と地域商業の維持
(1) 商店街の振興と新たな商業形態への対応
① 地域特性を活かした商店街活動の促進
担当課:商業・サービス業振興課
担当班:商業・サービス業支援班
097-506-3285
097-506-1754:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
消費者ニーズの多様化や郊外大型店の出店、さらには経営者の高齢化や空き店舗の増加などにより商
店街の低迷が続く中、商業者自らが課題を認識し新たな戦略の構築及び推進を促す「個性的商店街づくり
推進事業」、「商店街新規出店サポート事業」などを実施しました。
その結果、大分市鶴崎商店街連合会における新たなシンボルキャラクターを活かした新規イベント、佐伯
市大手前商店街による「佐伯城下こだわり市」の開催など、県下各地の意欲ある商店街で新たな取組が始
まるとともに、商店街への新規出店を考えている三十数名の人たちが実践的な商店経営のノウハウを取得
しました。
また、まちづくり三法の改正を受け、県内各地の中心市街地活性化を図るため、豊後高田市、大分市及
び別府市の中心市街地活性化基本計画の策定を支援するとともに、基本計画認定後においても、大分市
中心市街地での「まちなか市場」や「ハニカムステージ」、別府市ソルパセオ銀座商店街における間口改良
など認定各市の事業を積極的に推進しました。
さらに、日田市、佐伯市、竹田市においては、中心市街地の活性化に向けた新たな商業活動を起こすた
め、「まちづくり仕掛人」事業により2年間にわたり支援しました。この結果、日田市商店街青年部による一
店逸品運動、佐伯市仲町商店街における高齢者にやさしい商店街づくり、竹田市における「観光」と「食」と
の連携による食育ツーリズムなど、新たな取組が芽生え始めています。
■現状と課題
多くの商店街において、後継者不足や空き店舗の増加、青果・鮮魚等を扱う最寄品店の減少をはじめと
する業種の偏り、さらには個々の商店街活動の低迷などにより商店街がこれまで果たしてきた機能が失わ
れつつあります。
これからの地域商業活性化のためには、地域住民等とも連携しながら個性と魅力に溢れる個店づくりを
核とした地域独自の活動を興すことが必要です。
また、各地における中心市街地活性化の取組に際しては、官主導ではなく商店街や経済団体等の民間
組織も主体的意識を共有し、官民一体となって「まちの顔」である中心市街地商店街の活性化に取り組む
必要があります。
吉岡妙林尼が鶴崎商店街の“顔”に
大分市の鶴崎商店街連合会は、商店街のイメージアップを図るとともに、
地域のムードを盛り上げることを目的に、シンボルキャラクターとロゴマー
クを作成しました。
キャラクターのモチーフは、1586年、島津軍から攻められた鶴崎を奇策
で守ったことで知られる鶴崎城主の吉岡妙林尼で、地元では知恵と勇気に
満ちた女性として有名です。
キャラクターは、商店街のイベントや各店舗の PR などに広く活用するほ
か、エコバッグのデザインにも使用しようと企画中です。
今後は地域の人により親しまれる商店街づくりと合わせ、域外の方々が
訪れてみたくなる街を目指して年金デーの活動や鶴崎の伝統文化を取り
入れた「食」の開発など、新たな取組に熱意を燃やしています。
【 消費者や商店街の声 】
中心部の商店街や大型商業施設を利用しない理由
※平成19年度 大分県中心市街地等消費者動向調査
○商店街で何かに取り組みたいが、何をしてよいかわからない。(日田地域商店街関係者)
○自己資金が乏しく新たな商店街活動に取り組みにくい。(県南地域商店街関係者)
○商店街全体では意見がまとまりにくいので、やる気のある者どうしで勉強会を重ね、新たな活動を開
始した。(日田地域商店街青年部)
○商店街に空き店舗は5軒あるが、借りたい人はいても賃料で折り合わず空いたままとなっている。
(別府市内商店街関係者)
■課題解決のため取り組む事業
○中心市街地商業チャレンジ活動支援事業(新規)
新たなチャレンジ活動に挑戦する商店街に対し、実践的な専門家の派遣等を通じて活動の具現化を
図るとともに、空き店舗対策として商店街主導で実施するチャレンジショップの入居者に対し出店経費補
助や経営指導を行います。
○個性的商店街づくり推進事業(継続)
商店街活性化に向けた各地域の意欲ある商業者による研究グループの立ち上げ及びその研究活動
を促進し、さらにはそこから生まれた地域独自の新たなチャレンジ活動を支援します。
○中心市街地にぎわい創出推進事業(継続)
各市の中心市街地活性化基本計画に基づく集客イベント等を支援するとともに、基本計画の円滑な推
進に向けたアドバイスを行います。
【 今後の方針 】
商店街を形成する個々の店舗が地域の実情を踏まえ、個性的な店舗づくりに努めるとともに、地域の
特性を活かした商店街づくりが求められており、商店街のリーダーを中心に関係者が一丸となって新たな
活動を興し、地域住民とも協働しながら現実に実行していくことが重要です。県としてはこれらの活動の
芽を掘り起こし、その活動を積極的に支援します。
第3章 商業の振興と国内外への大分ブランドの確立
1.商業の振興と地域商業の維持
(1) 商店街の振興と新たな商業形態への対応
② 住民生活を守る地域商業の維持
担当課:商業・サービス業振興課
担当班:商業・サービス業支援班
097-506-3285
097-506-1754:FAX
■おおいた産業活力創造戦略2005∼2008の経緯
地域社会における商業機能の維持と地域住民の日常生活の利便性を確保するため、平成20年度に県
内5か所(佐伯市本匠地区、臼杵市野津地区、国東市国東地区、竹田市久住地区及び豊後高田市全域)
で開始された宅配サービス事業を支援しました。
■現状と課題
旧町村部等においては、過疎化・高齢化による購買力の低下に伴う商業機能の衰退が進行しており、将
来に向けて地域住民が安心して日常生活を送ることのできる環境の整備が大きな課題となっています。
地域住民が安定的に日用品等を確保し、安心できる生活環境を整えるためには、地域における宅配事
業が有効な手段になり得ると思われ、各地における宅配サービスの拡大が望まれます。事業の円滑な推進
に当たっては、採算面等に課題があるため、行政、商業者及び住民など地域が一体となって取り組む必要
があります。
■課題解決のため取り組む事業
○地域商業維持支援事業(継続)
地域社会における商業機能の維持を図り、併せて地域住民の日常生活の利便性を確保するため、地
域の商業者や住民がその地域に適した仕組みを工夫しながら協働して取り組む宅配サービス事業の立
ち上げ段階を支援します。
【 今後の方針 】
過疎化・高齢化による購買力の低下に伴う地域商業機能の衰退が進行する中で、地域住民が将来に
わたり安定的に日用品等を確保でき、住み慣れた土地で生涯安心して暮らせるよう、地域が協働して取
組む宅配事業を支援します。
本匠地区でも宅配事業を開始
佐伯市番匠商工会では、平成20年9月から宇目地区に次いで佐伯市内
2か所目となる宅配事業を開始しました。本匠地区住民からの電話注文を
受け、番匠商工会本匠支所の宅配員が同地区内14の登録店舗の商品を
各戸に配達する仕組みです。初年度は年会費千円で会員登録をすれば、
送料無料で年何回でも利用できます。
住民からは「移動販売車では欲しい商品が残っていない場合があるが、
宅配だと欲しい物を家まで届けてもらえて便利だと思う。」といった声が届く
などこの制度への期待が高まっています。
【 宅配事業関係者の声 】
○お年寄りの中にはタクシーで4∼5千円かけて中心部に買い物に来て
いる人もいる。(商工会関係者)
○今は元気なお年寄りもあと10年もすれば車の運転もできなくなり、食
品や日用品の買い物に不自由するようになる。(国東市内商業者)
本匠地区での宅配風景
(写真:毎日新聞提供)
第3章 商業の振興と国内外への大分ブランドの確立
1.商業の振興と地域商業の維持
(1) 商店街の振興と新たな商業形態への対応
③ ネットビジネスなど新たな商業形態への対応
担当課:商業・サービス業振興課
担当班:商業・サービス業支援班
097-506-3285
097-506-1754:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
ネットショップによる通信販売は地域的要因に左右されることがなく、県内商業者にとっても大きなビジネ
スチャンスとなっていることから、ネットショップ開設・運営のノウハウを習得してもらうため、平成20年度に
ネットビジネス開拓セミナーや初心者向け相談会を実施しました。
■現状と課題
IT社会の進展に伴いネットビジネス市場はさらに拡大しており、ネットショップなど新たな商業形態が生ま
れ、県内の商業者にとっても大きなビジネスチャンスが訪れています。
IT社会の成熟など今後さらに社会環境が変革する中で、県内の商業者が活気あふれる元気な商店(個
店)経営を展開するためには、商圏を限定せずに展開できるネットビジネス等、新たな分野へ積極的に挑戦
することが重要です。
ネットビジネスセミナーの開催
【 受講者の声 】
○売上げが伸びずこのままではいつ潰れるか
時間の問題と思っています。何かしなくてはと
思い、ネットセミナーに参加しました。大変有
り難いです。初心者ですがよろしくお願いしま
す。(県南地域商業者)
○県の主催セミナーということでセールスなどの
心配がなく安心して参加できた。今後いろん
な情報を提供してください。
(ネットビジネス開拓セミナー受講者)
○ネットの世界には無限の可能性がある。量販
店とも対等に勝負できる。(豊肥地域商業者)
H20.5.29 大分合同新聞
■課題解決のため取り組む事業
○ネットビジネス開拓事業(継続)
ネットショップに関する様々な情報を幅広く提供することを目的に、 EC (エレクトロニックコマース:電子
商取引)市場を取り巻く最新の情勢やネットショップに関する基礎知識等を紹介するセミナーを開催する
とともに、種々の形態のネットショップ開設支援業者との相談会及び支援業者別の説明会を実施します。
【 今後の方針 】
IT社会が今後さらに成熟しネットビジネス市場が拡大する中で、新たな商業形態として有望なネットショ
ップに積極的に挑戦する商業者に対し、ネットショップ開設に当たっての様々な情報の入手機会を提供
し、その取組を支援します。
第3章 商業の振興と国内外への大分ブランドの確立
1.商業の振興と地域商業の維持
(2) 商工会等による地域活性化
担当課:商工労働企画課
担当班:商工団体班
097-506-3218
097-506-1752: FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
商工会は、地域の総合経済団体として、市町村と連携し、特産品の開発や地域のまちづくり活動を行うな
ど、地域の活性化を図るために重要な役割を担っています。
平成17年から18年にかけて市町村の行政合併が行われた結果、新市の旧町村部の活性化について
は、商工会を中心に、とりわけ次代を担う青年部・女性部が核となって地域づくりに取り組むことが今まで以
上に求められるようになってきました。
平成17年度には、まちづくり活動に取り組む商工会を支援しました。それを受けて、平成18年度から、
商工会青年部・女性部が、「商工会青年部・女性部地域活力増進事業」として、地域の農林漁業者、自治
会、学校などと連携を図りながら、地域を元気にする活動に積極的に取り組んでおり、平成18、19年度の
2カ年で43の新たな活動が芽生えました。平成20年度はこれらの活動を継続し、さらに発展させるための
組織づくりを支援しました。
■現状と課題
青年部・女性部において地域の活性化に自発的かつ能動的に取り組む姿勢は定着しましたが、集客対
策や販路拡大等その活動をステップアップするための課題を残してます。
また、地域においては、地域資源の活用や農商工連携、小規模集落対策など新たな取り組まなければ
ならないテーマや課題が生じています。
商工会の機能強化を図るため、商工会の合併が行われ、青年部・女性部も統合されました。地域の活性
化を担う青年部・女性部が、それぞれの支部地域での活動を深めるとともに、合併商工会全体での活動を
興すきっかけづくりを支援する必要があります。
【 青年部員・女性部員の声 】
○他団体との協力体制のきっかけができたので、もっと結びつきを強めたい。
○共に活動する仲間をもっと増やしたい。
○新たな活動の展開やこれまでの活動のステップアップ・拡大を図りたい。
■課題解決のため取り組む事業
○商工会青年部・女性部地域活性化チャレンジ支援事業(新規)
商工会青年部・女性部が地域の農林漁業者や自治会、NPOなどと連携して行う地域活性化の新たな
取り組みや活動の発展・拡大を支援します。
○商工会青年部・女性部組織強化対策事業(新規)
合併後の商工会青年部・女性部の組織強化と、これまで以上に各地域との連携強化を図るため、地
域の農林漁業者や自治会、NPO等他団体との意見交換会や研究会の開催、地域貢献活動等に対して
支援します。
【 今後の方針 】
各地で芽生えた地域活性化の取組を継続・発展させることが大事です。このために、自分たちが暮ら
す地域を元気にするのは自分たちしかいないという決意、自覚を持って実践・行動する商工会等を支援し
ていきます。
また、新たな取り組みにチャレンジする機運を高めるため、地域内のネットワークづくりを支援していき
ます。
商工会青年部・女性部の取組事例
参勤交代の豊後街道宿場町(野津原宿・今市宿)を活用した地域おこし
野津原町商工会(青年部・女性部)
山林に埋もれていた豊後街道(別名:肥後街道)の石畳発掘と街道整備を行いました。
地元産品を使った宿場料理(十割そば、鰺寿司、つけもの、自然薯(じねんじょ)の落とし汁)の開発
や肥後街道ウォーク(ウォーキング13.5km と宿場料理堪能)を開催しました。
【 地域の声 】
・宿場町野津原を再発見した。野津原の歴史資源を地域のみんなで活かしていきたい。
【 女性部の声 】
・宿場料理が好評で、小さな商工会でもやればできる、と自信がついた。
・この取組を通じて観光客を増やし、地域を元気にしたい。
発掘した石畳のウォーキング
地元産品を使った「宿場料理」
飲食店のない町に屋台を開店し、賑わいの場を創出
豊後大野市商工会(犬飼支所青年部)
平成20年1月11日に飲食店のない町に屋台を開店し、賑わいの場を創出しました。
営業は毎週金、土曜日18∼22時で、地元産のチャーシュー入りの犬飼ラーメンや地元産のこんに
ゃく、大根などを使ったおでんが人気メニューになっています。
【 地域の声 】
・犬飼のまちがにぎやかになった。
・みんなで集まれる場所ができた。
【 青年部の声 】
・地域の人に喜んでもらえ、暖かく応援してもらっていることがうれしい。
・メニューの工夫や地元産品の利用をもっと行いたい。
・この取組を他の場所にも広げていきたい。
犬飼町の屋台「ここほれ犬犬(ワンワン)」
第3章 商業の振興と国内外への大分ブランドの確立
2.国内外に通用する県産品の販路開拓・拡大
(1) 国内における販路開拓・拡大
担当課:商業・サービス業振興課
担当班:物産・フラッグショップ振興班
097-506-3289
097-506-1754:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
フラッグショップ坐来大分を設置し、新鮮な県産食材を活かした料理と大分の語り部であるホールスタッフ
のサービスを通して、県下各地域や県産品の情報を積極的に発信し、大分のブランドイメージの向上を図っ
てきました。お客様からは、料理、サービスとも高い評価を得て、リピーター客も増加するなど、東京・銀座
の激しい競争の中で着実に支持を拡げています。
また、県産品求評・商談会やデパート・量販店等と連携した「大分フェア」の開催、県産品検索システム
「物産おおいた」の整備等により、小売業者とのマッチングを進めるとともに、消費者モニタリングやアンテナ
スペースでの試験販売を実施し、表示の適正化や消費者ニーズに対応した全国に通用する商品づくりを進
め、県産品の販路開拓・拡大に取り組んできました。その結果、首都圏においてはイトーヨーカ堂と、九州に
おいてはイオン九州と連携して開催した「大分フェア」には、多くの県内生産者が参加するなど、県産品の販
路開拓・拡大は徐々に進展しつつあります。
さらに、工芸品については、伝統的工芸品「別府竹細工」をはじめ、小鹿田焼や木工品などを集め、坐来
大分において「大分の工芸品展示商談会」を昨年度から実施しています。この結果、銀座和光や三越など
高級専門店やデパートと商談がまとまるなど、具体的な成果が生まれています。
イトーヨーカ堂「大分フェア」の開催状況
■現状と課題
坐来大分は、各種情報誌等に相当数取り上げられるなど、県の情報発信基地としての機能を果たして
いますが、さらに新たな大分の魅力を継続して発信していく必要があります。
デパート・量販店等と連携した「大分フェア」の開催は、県産品のPR及び商品の定番化に非常に有効で
あることから、既存の大分フェアの定着化を図るとともに、今後空白地域となっている関西圏での開催に取
り組んでいく必要があります。また、デパート・量販店等の品質管理基準に応えられる県産品はまだまだ少
ないことから、商品の定番化を進めるためには、県内生産者の商品表示や品質管理に対する意識を高め、
全国に通用する商品づくりに努める必要があります。
また、工芸品については、個人経営や零細事業者が多く、営業力やマーケティング力が不足しており、販
路開拓への支援が必要です。併せて、生産者には、市場ターゲットを明確に設定し、生産者のこだわりや技
術・素材の特長など商品の価値や価格の正当性を消費者に伝えることが求められています。
さらに、新たな販売ツールとして、ネットショップやお取り寄せ(産直)に対応した取組も必要となっていま
す。
消費者モニターによる試食・評価
工芸品展示商談会・出展商品選考会
【 500社訪問時の企業の声 】
○製品には自信があるが、消費者に知ってもらう場がない。より多くの物産展の機会を設けてほしい。
(地場企業:食品製造業)
○品質管理が厳しい時代である。先日、消費期限の印字間違いがあり、納品先から注意を受けた。一度
クレームを出すと、その対応が大変である。(地場企業:食品製造業)
○生産者自身が売り場にたって、直接消費者とふれあい、販売してみることが大切である。
(地場企業:商社)
○生産者の安全・安心への配慮がほしい。製造工程の衛生管理や商品表示が不十分、また原材料の履
歴が確認できない等で定番化できない商品がたくさんある。(東京都:百貨店)
■課題解決のため取り組む事業
○フラッグショップ活用促進事業(継続)
「坐来大分」を活用して、県産食材や県産品の情報発信を積極的に行います。
○県産品販路開拓事業(継続)
全国からバイヤーを招聘した県産品求評・商談会やデパート・量販店等と連携した「大分フェア」の開
催、インターネットを活用した物産検索システム「物産おおいた」等を通じて、県産品の販路開拓・拡大を
図ります。また、工芸品展示商談会を開催し、大分の工芸品の魅力を発信し、販路開拓を図ります。
商品表示の適正化、消費者の意見反映、アンテナスペースでの試験販売を通じて、商品のブラッシュ
アップを図ります。
○ネットビジネス開拓事業(継続)
ネットショップに関する情報を幅広く提供し、ショッピングモール等を運営している事業者との相談会を
開催します。
○おおいた地域資源活性化基金事業(継続、再掲)
【 今後の方針 】
県産品の販路開拓・拡大を図るためには、関東、関西、九州及び県内の圏域ごとに、「大分フェア」の
開催を通じて広く県産品をPRするとともに、生産者と仕入担当者の多くの商談機会を設け、商品の定番
化を図ることが重要です。
このため、県産品求評・商談会やデパート・量販店等と連携した「大分フェア」の開催、物産検索システ
ム「物産おおいた」の運用等を通じて県産品を全国の消費者にPRし、商品の定番化を進めていきます。
また、研修会や現地指導等を通じて、県内生産者に商品表示や品質管理の重要性を徹底し、全国に
通用する県産品を育成します。
工芸品については、工芸品展示商談会の開催等により、販路開拓を図ります。
さらに、ネットショップやお取り寄せ(産直)等新たな販売ツールに対応できる生産者を育成します。
坐来大分のプライベートブランド商品「ほうじ茶プリン」
県内で販売開始
東京・銀座にある県のフラッグショップ坐来大分で人気
のデザート、ほうじ茶プリンが、店を運営する大分ブランド
クリエイトと豊後大野市の企業組合「村ネットワーク」の共
同開発で商品化され、昨年11月7日より県内で販売が開
始されました。
当初は、「カフェ・ド・マンジェ・ボワール」(大分市、トキ
ハわさだ店内)と「野菜工房村ネットワークショップ」 (豊
後大野市)の2か所で、飲食店内での提供(1個 450円)
のみでしたが、12月26日からは持ち帰り用も販売を開
始し、春には冷凍の商品を開発して坐来大分で販売する
計画もあります。
第3章 商業の振興と国内外への大分ブランドの確立
2.国内外に通用する県産品の販路開拓・拡大
(2) 海外における販路開拓・拡大
担当課:商業・サービス業振興課
担当班:物産・フラッグショップ振興班
097-506-3289
097-506-1754:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
経済成長が著しい東アジア地域、特に中国(上海)、タイをターゲットとして、FHC China等国際食品見
本市への出展や「大分フェア」の開催等海外への販路開拓・拡大に取り組みました。タイでは干ししいたけ
の最高級品「天白どんこ」が好評を得るなど、海外進出の足がかりができました。
■現状と課題
少子高齢化等により、将来に向けて国内の購買力の拡大が見込めない中で、中国をはじめとする東アジ
ア地域では、安心・安全な商品を求めて日本食品に対する需要が高まっていることから、東アジア地域への
販路開拓・拡大が重要となっています。
海外への進出にあたっては、関係者の積極的な取組はもちろん、それぞれの国に適した海外に通用する
県産品の育成に努めていく必要があります。
【 500社訪問時の企業の声 】
○海外はチャンス、特に中国に力を入れて販路開拓していきたい。(県産品販売)
○富裕層向けとはいえ、ろくに値段を見ずに買っていく人もいて、最高級品がほぼ完売する盛況ぶりで市
場としての手応えを感じている。(生産者団体)
○商品は大変良いが、価格が高すぎる。スモールパッケージ化するなど価格を下げる工夫をしてほしい。
(上海:現地輸入商社)
Kyushu Japan Food Fair (タイ)
天白どんこの試食販売(H20)
大分フェア(中国蘇州)
だんご汁の実演(H19)
■課題解決のため取り組む事業
○東アジアビジネス推進事業(継続)
中国向け商談会や大分県フェアin上海の開催、タイセミナーの開催やタイ物産展への出展等を通じ
て、海外への県産品の販路開拓・拡大を図ります。
【 今後の方針 】
東アジア、特に中国(上海)、タイをターゲットとして「大分県フェア」等の開催や国際食品見本市等への
出展等を通じて、それぞれの国に適する商品を模索し、海外への県産品の販路開拓・拡大を図ります。
また、海外貿易セミナー等を開催し、県内事業者の海外貿易に対する意欲を喚起・醸成するとともに、
海外貿易に対する知識やノウハウの習得を図ります。
第4章
戦略推進のための体制整備等
第4章 戦略推進のための体制整備等
1.現場主義に基づいた行政の推進
担当課:商工労働企画課
担当班:総務班・企画管理班
097-506-3213
097-506-1752: FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
「現場主義」、「スピード」、「改革・挑戦」という行動指針のもと、現場の風・時代の流れを肌で感じ取るた
め、多くの企業や県民の皆さんから意見を聞き、平成17年1月に「おおいた産業活力創造戦略」を策定しま
した。
戦略の基本思想である「産業の活力を創造していくこと」を目標に、企業誘致の推進、おおいたLSIクラス
ター構想の推進、自動車関連産業の振興、中心市街地や商店街、個店の活性化、ものづくり人材の育成・
確保等の施策を着実に実施してきたことにより、様々な分野で多くの成果が生まれています。
また、部内職員の資質向上のため、現場主義の実践や部是の策定、職員の意識改革を進めており、特
に中小企業経営者や有識者などの部外講師を招聘したBBL (注1)の開催は、すでに56回を数え、最近では
他の部局での開催や部長会議BBLも始まるなど県庁内で大きな広がりを見せています。
さらに新しい取り組みとして、県民の皆さんからの要望や意見にワンストップで対応できるように専門的な
知識を習得・共有するためのワンストップ研修会や、情報収集能力、課題の掘り起こし・対策作成のスキル
アップを図るフィールドワーク研修などを開催して、幅広い知識の習得と意識改革を図るとともに、経済産業
省への研修派遣や九州経済産業局との人事交流、民間企業への派遣研修を実施するなど、様々な取組を
進めながら職員の資質向上に努めています。
■現状と課題
現場主義に基づいた行政を推進するため、引き続き幅広い知識の習得と意識改革が必要であり、職員
間における一層の情報の共有化が求められています。
平成20年度に策定した「商工労働部人材育成計画」に基づき、一般職員を始め、研究員、職業訓練指
導員など部内の全職員が、県民や商工業者の視点に立ち、自ら考え自ら行動し、ワンストップサービスを提
供できるようになる必要があります。
フィールドワーク研修の実施状況
(産業廃棄物リサイクル作業)
(物産販売補助)
第25回豊の国一村一品物産と観光展
(注1)BBL: (Brown Bag Lunch Meeting )米国の大学や研究機関で、先生、学生たちが昼食時間に自由な
雰囲気で議論や意見交換を行うこと。日頃忙しいビジネスマンや研究者が参加しやすいよう
に、ランチタイムに自分の昼食を茶色の紙袋(封筒)に入れて集まることからこの名前がつい
た。
【 フィールドワーク研修参加者の声 】
○現場主義の実行手段としては有効だが、企業にアドバイスできる者が参加し、職員が自ら内容や研修
先を考えるようにした方がよい。(産業廃棄物リサイクル作業研修参加者)
○接客体験を通じて、消費者や生産者・販売業者の生の声を聞くことができた。しかし、現場主義の実践
としては、他のもっと有効な手段を見いだす必要がある。(物産販売補助参加者)
■課題解決のため取り組む事業
○BBL(継続)
第一線で活躍する企業経営者等多様な分野の講師を招いて意見交換を行い、一層幅広い知識の習
得に努めます。
○500社企業訪問(継続)
県内各企業を訪問することにより、現状の把握を行うとともに、その際得た情報の共有化を図ります。
○ワンストップ研修(継続)
企業訪問時に受ける意見や要望にワンストップで対応できる基礎的な知識を習得・共有する研修を実
施します。
○フィールドワーク研修(継続)
企業の現場におけるフィールドワーク等を通じ、情報収集能力・課題の掘り起こし・対策作成のスキル
アップを図る研修を実施します。
○経済産業省への研修派遣・九州経済産業局との人事交流(継続)
【 今後の方針 】
多様化・複雑化する県民・企業ニーズを的確に把握するため、企業等の現場訪問や経営者等との意
見交換等を積極的に実施し、商工労働行政に関する高い専門性と広い視野を備えた職員の育成を図る
とともに、外の風を取り入れるため、引き続き民間企業や国への研修派遣や人事交流を実施します。
第4章 戦略推進のための体制整備等
2.支援機関の機能強化
(1) (財)大分県産業創造機構(中小企業支援センター)
担当課:工業振興課
担当班:工業支援班
097-506-3267
097-506-1753: FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
たゆまぬチャレンジにより成長を目指す中小企業にとって、経営、技術、連携、販路などの課題を相談
し、解決に向けて助言・指導を行う「支援機関」の存在は極めて重要です。
県では、(財)大分県産業創造機構を、中小企業新事業活動促進法の「中核的支援機関」及び中小企業
支援法の「県中小企業支援センター」に位置付け、総合的な相談窓口として中小企業のニーズにワンストッ
プで対応する支援体制を構築してきました。
(財)大分県産業創造機構の相談窓口では毎年約2000件の相談を受け付け、必要に応じて経営革新
計画の認証取得指導、専門家派遣等を実施するなど、中小企業の成長・発展を積極的に支援しています。
さらに、平成20年度から、中小企業庁の地域力連携拠点事業を受託し、中小企業応援コーディネーター
の配置や専門家派遣など支援体制を充実・強化しています。この結果、地域力連携拠点事業における20
年度中小企業庁長官賞(全国10か所)を受賞し、全国屈指の支援機関としての評価を得ています。
■現状と課題
企業活動のボーダーレス化や人口減少に伴う国内市場の縮小など、めまぐるしく変化する経済環境の中
で、県内中小企業の抱える課題は日々高度化、複雑化しています。
支援機関においては、従来からの取引あっせん、情報提供等の支援に加え、新事業展開、IT導入、事業
承継等、多岐に亘る支援ニーズに対応することが求められています。また、立地企業への取引参入や地域
資源活用、農商工連携などの重点課題については、中小企業に身近な存在である支援機関が窓口となり、
各種の支援メニューを具体的な活用につなげていくことが極めて重要です。
県内中小企業の抱える様々な課題の解決をきめ細やかに支援するためには、(財)大分県産業創造機
構の機能を拡充し、より使いやすい、より専門的な支援機関を目指すとともに、他の支援機関と連携した
「つながり力」を高め、全県的な支援体制を構築していくことが必要です。
(財)大分県産業創造機構の相談・支援体制
相談
中小企業者・創業希望者等
創
業
経営革新
IT活用
生産改善
総合相談窓口
【体制】
・経営支援室長
・相談員3名
(マネージャー)
【支援内容】
・相談者の課題抽
出及び解決への
プロセスに対し
助言
取引拡大
産学連携
機構相談員等による継続指導
経営/技術/販路/IT活用/生産革新 等
→ 経営革新計画承認取得、地域資源・農商工連携事業計画等
認定取得につなげる。
専門家派遣事業
ISO等取得/生産革新/事業承継/IT化等
①機構内での専門家無料相談
②専門家を現地に派遣(5回まで無料。以後1/3負担)
取引振興事業
事業承継
販路開拓
具体的な支援措置
・具体的な支援措
置の紹介・支援
担当課へのつな
ぎ
・必要に応じ、連
携している外部
機関に支援を引
き継ぎ
■自動車関連産業への参入支援
(自動車関連産業新規参入支援プロジェクトチーム)
■受注のあっせん
■下請取引に関する相談受付 等
産学連携推進事業
■国のプロジェクト型公募事業のコーディネート
■企業の技術相談に対応する研究者紹介等マッチング
■産学連携推進会議運営 等
研修・情報提供事業
■企業ニーズに対応する各種研修
(マーケティング、接遇、財務、プレゼン等)
■創造おおいた等による定期的な支援情報発信
【 500社訪問時の企業の声 】
○法律に基づく事業計画などは、書式がとても難しく、我々の手で一から書き上げることは非常に困難。
支援機関の事業計画作成支援は有効だった。(地場企業:商品企画・販売)
○自分一人で考えていてもなかなかいいアイデアは浮かばない。誰かの知恵を借りるに当たり、アドバイ
ザー派遣事業はとてもよい制度だと思う。(地場企業:食品製造業)
■課題解決のため取り組む事業
○中核的支援機関機能整備事業(継続)
中小企業のあらゆる課題にワンストップで対応する窓口相談、経営革新、生産改善、販路開拓等の専
門のマネージャーによる継続指導、より高い専門性を持った他の支援機関の紹介などにより、中小企業
の成長を後押します。
○地域力連携拠点事業(国事業を受託)
応援コーディネーター(マネージャー)によるきめ細やかな助言・指導、無料の専門家派遣などを実施し
ます。
○事業承継センター事業(国事業を受託)
中小企業にとって大きな課題の一つである事業承継について、相談を受付け、税制、法務、金融など
の専門家を無料で派遣します。
○新現役チャレンジ支援事業(国事業を受託)
中小企業の課題解決に必要なノウハウを有する「新現役」(企業OB人材等)を登録し、企業への派遣
や、人材と企業とのマッチング等を行います。
【 今後の方針 】
景況が厳しさを増す中、新事業展開を目指す中小企業のリスクを軽減し、成功への道筋をつけるため
経営改善、資金調達、販路開拓、支援策活用など、県内の多様な支援機関の持つノウハウ、情報をフル
に活用してワンストップで支援します。
また、産学連携型研究開発など、中小企業の成長のためのプロジェクトが円滑に進むよう、研究機関
中小企業との連絡調整、プロジェクト経費の管理等を行う管理法人として事業の着実な推進を支援しま
す。
(財)大分県産業創造機構が
「優秀地域力連携拠点」として中小企業庁長官賞を受賞
国が平成20年度から全国316箇所に設置した地域力連携
拠点の中から、利用企業への満足度調査などをもとに「優秀
地域力連携拠点」が10箇所選出され、中小企業庁長官賞を
受賞しました。
九州からは、(財)大分県産業創造機構が唯一の受賞とな
り、東京都で開催された表彰式に出席しました。
受賞後は他県支援機関からの視察を受けるなど、九州を代
表する中小企業支援機関として注目を集めています。
第4章 戦略推進のための体制整備等
2.支援機関の機能強化
(2) 産業科学技術センター
担当課:産業技術開発室
担当班:
097-506-3272
097-506-1753:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
企業誘致等による県内の産業構造の変化に伴い、企業が必要とする技術課題が大きく変化しており、そ
れに対応すべく、産業科学技術センターの役割と目標を明確にするため中期業務計画を策定し、センター
を「あなたの会社の研究室」として、県内企業の技術支援を行っています。
企業ニーズの把握や企業への情報提供を行うため、年間500社の企業訪問を実施するほか、企業が抱
える技術課題を解決するため、技術指導や依頼試験、機器貸付、研究開発などを積極的に推進していま
す。特に、研究開発では県内企業のニーズに基づいた共同研究に特化し、技術課題の解決や技術移転に
努めています。
平成19年度技術支援実績
企業訪問
件
数
技術相談
480件
2,616件
技術指導
機器貸付
依頼試験
技術研修
2,254件
3,734件
14件
5,005時間
4,045項目
612名
1,444件
最近の研究成果の移転実績
研究テーマ名
内容
移転企業名
親子のコミュニケーションをテーマに、木の暖か
みを活かした製品の開発を行いたいという企業
の要望に基づき、県産スギ材を用いたスツー
多機能性を付与したスギ内装材の開発(H19) ルやデスク等を共同開発した。(意匠権取得済 (株)アイビックホーム
み)。企業は「OYACOM」ブランドで製品の販
売を開始しており、さらに草木染めの共同研究
で商品バリエーションを増やそうとしている。
「これからの木製履物」商品開発(H19)
現在の生活に視点を合わせた木製履物の開
発をしたいという企業のニーズに基づき、スギ
薄板を活用した室内用木履を共同開発した。
浦塚木履工場
軽量で肌触りがよく、曲がって歩きやすいスギ
の履物は、市場調査でも好評を博しており、企
業は販路の拡大に努めている。
酸素発生装置切り替えバルブの開発(H18)
酸素の細胞活性化や新陳代謝に対する効果
が注目される中、騒音や振動の少ないコンパ
クトな家庭用酸素発生装置を製品化したいとい
う企業のニーズに基づき、共同で従来製品の
サンセラミックス(株)
切替弁の改良などを行った。(特許取得済
み)。これにより、家庭で簡単に酸素吸入や酸
素水生成ができる製品が開発され、企業の酸
素関連事業の拡大に弾みがついている。
分娩予知通報システムの開発(H18)
畜産農家のため、牛の分娩に伴う農家の負担
を軽減し、牛の死廃事故を減らしたいという企
業の要望を受け、牛の膣内に留置した無線温
度センサによって牛体温の変化を常時監視し
て分娩時期を予知し、農家に自動通報するシ (株)リモート
ステムを共同開発した(特許取得済み)。企業
は全国の牧場にシステムの販売を進めてお
り、導入畜産農家から次々と感謝の声が寄せ
られている。
写真
■現状と課題
産業集積が進む自動車、半導体、精密機器等の進出企業は、地場企業に対しても高精度の品質管理の
みならず、製品性能の評価データや精度保証などを求めています。一方、地場企業の現場では、ISO(国
際標準化機構規格)などに準拠した製品性能の分析評価・精度計測等に対する設備・技術力・人材が不足
しており、そのビジネスチャンスを活かしきれていません。
進出企業の要求と地場企業の現状とのギャップを埋め、サポーティング・インダストリーとなる地場企業
の技術高度化を支援する役割と機能が求められています。
【 進出企業の声 】
○超精密加工技術を持った協力企業を探しているが、満足できる県内企業が少ない。(製造業)
○納入部品の精度管理は、今後、自社内検査から納入元検査とする方向で検討している。(製造業)
【 地場企業の声 】
○新規受注には、 ISO9001を取得し、試験機の校正証明書を付けた品質データが求められているが、中
小企業単独では試験機の購入や維持が難しい。(製造業)
○自社製品の品質管理のために産業科学技術センターを活用したいので、試験機器の拡充整備ととも
に機器利用研修や技術指導の充実をお願いしたい。(製造業)
■課題解決のため取り組む事業
○産業集積促進技術支援事業(新規)
自動車、半導体、精密機械などの産業集積を促進し地場企業の挑戦を支援するため、産業科学技術
センターの品質管理や製品性能評価のための設備拡充や人材育成、企業技術研修会の開催などの技
術支援機能を強化します。
○産業科学技術センター技術指導・試験事業(継続)
県内企業技術者の技術レベルの向上を目的に、最新技術情報の提供や各企業のニーズに対応した
生産技術、分析技術等の実践的な企業技術者向けの研修を実施します。
○産業科学技術センター機器整備事業(一部新規)
県内企業の研究開発や技術課題の解決に貢献するために、依頼試験や機器貸付、技術指導等の技
術支援や研究開発に必要な機器を計画的に整備します。
○企業ニーズ対応型研究事業(継続)
県内企業が抱える研究課題について、迅速かつ積極的にその解決や技術の見極めを行うために、共
同研究や受託研究を実施します。
【 今後の方針 】
新たに新中期業務計画を策定し、地場企業が自動車や半導体、精密機械などの進出企業と共生・発
展を目指すために、技術支援機能を強化して対応していきます。
また、新たなビジネスチャンスを創出する上で欠かせない中小企業の研究開発についても、引き続き
企業ニーズに特化しながら産学官連携等による共同研究体制を構築し、迅速な事業化に繋がるよう取組
みます。
第4章 戦略推進のための体制整備等
2.支援機関の機能強化
(3) 工科短期大学校・職業能力開発校
担当課:雇用・人材育成課
担当班:能力・技能振興班
097-506-3328
097-506-1756:FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
製造業を中心として企業立地や生産拡大が相次ぎ、それを支える優秀な人材の確保が急務となったた
め、平成19年度に工科短期大学校を4科制から3系7コースに変更し、機械・電子システム系の定員を増
加しました。
また、県と九州工業大学の間で、人材育成等に関する連携協定が締結されたことから、金型や組み込み
ソフト等の講義や公開講座を実施することにより、生徒や地場企業のレベルアップを目指しています。20年
度は生徒向けに4コースの特別講義を、企業向けには公開講座と金型シンポジウムを実施しました。
職業能力開発校(4校)が実施する職業訓練は施設内訓練と委託訓練がありますが、施設内訓練の20
年度の応募者は定員(270名)に対して1.5倍もあり、就職率も19年度が94.4%と高くなっています。
また、委託訓練ではあわせて19コースを実施しており、離転職者をはじめ、就職が困難な若年者、母子
家庭の母親等に対して、就職に必要な知識・技能を習得させることにより就労を支援します。また、知的、精
神障がいのある人の職業訓練として、9コースの雇用に直結した訓練を実施しています。
19年度の就職率は委託訓練が77.6%、障がい者委託訓練の就職率は33.3%となっています。
■現状と課題
工科短期大学校の平成19年度修了者66名の就職率は100%であり、開校以来ほぼ100%を達成し
ています。また、求人数335名(求人社数187社)と、有効求人倍率は約5.1倍であり、ものづくり人材へ
の求人は依然として多い状況です。しかしながら、応募者は15年の198名をピークに年々減少し、20年は
112名となっているため、県内高等学校との連携等により学生募集の強化を行う必要があります。
また、金型技術者や組込みソフト技術者の人材育成を図るため、実験実習機器の導入と指導員研修を
計画的に実施しなければなりません。
職業能力開発校が実施する委託訓練は、全国的に有効求人倍率が低下する中、引き続き受講生が就
労できるようニーズに応じた訓練を実施するとともに、障がい者委託訓練による一般就労を促進するため、
引き続き実践的な訓練を実施する必要があります。
人材育成連携推進事業
金型技術者の育成:射出成形金型概論
半導体の試作評価実習:紫外線露光作業
【 500社訪問時の企業の声 】
○県の自動車関連の取り組みを通じて、工科短期大学校や産業科学技術センターなどと交流できるよう
になり、講座受講や技術相談などで活用させてもらっている。(地場企業:製造業)
○県内の組込み技術者育成を図るために、地場企業に共通した普遍的な内容の教育を実施して欲しい。
(地場企業:製造業)
■課題解決のため取り組む事業
○高度ものづくり実践技術者育成事業(工科短大人材確保対策費)(新規)
県内就職率の向上を図るため、学生募集では高校連携や学生募集活動用資料の作成などPR活動を
行います。さらに、就職対策として県内企業の合同説明会や見学会を行います。
○人材育成連携推進事業(継続)
九州工業大学の教授陣を招いて工科短大での講義や公開講座と九州工業大学の先端施設の実習を
受講することにより、学生や企業のレベルアップを図ります。
○高度ものづくり実践技術者育成事業(継続)
工科短大の実習に必要な機械器工具の整備と職業訓練指導員の研修を行います。
○障がい者職業能力開発事業(再掲、継続)
障がい者の一般就労を促進するため、実践的な職業訓練を実施するとともに、訓練受講者と企業との
マッチングや定着支援を行うコーディネーターを高等技術専門校に配置します。
○離職者等能力開発促進事業(再掲、継続)
離転職者、障がい者等に対して、職業能力開発のための訓練を委託で実施することにより、早期の再
就職を促進し、円滑な労働移動を図ります。
○女性の再就職チャレンジ支援事業(再掲、継続)
結婚や子育て等により退職した女性の再就職を促進するため、職業訓練期間及び就職活動期間の託
児経費に対し助成します。
【 今後の方針 】
ものづくり産業を支える人材を安定的に確保するため、県内高等学校との連携により工科短期大学校
のPRを強化し、応募者の増を図ることにより優秀な人材を確保します。
また、金型や組込みソフト人材育成を進めるため、実験実習機器の導入や九州工業大学との連携事
業を継続することにより、生徒や地場企業のレベルアップを進めます。
第三回若年者ものづくり競技大会
厚生労働大臣賞を受賞
第三回若年者ものづくり競技大会(中央職業能力開発協会)が、平成20
年8月に神奈川県で開催され、機械製図(CAD)部門で、工科短期大学校
の玉井裕介さん(機械システム系2年)が1位に当たる厚生労働大臣賞を受
賞しました。
玉井さんは発電機などで使われる歯車ポンプの外枠を設計する課題をこ
なしました。与えられた三時間半で複雑な加工工程を考慮した図面を作成
し、最高の成績を修めました。
第4章 戦略推進のための体制整備等
3.商工労働関係団体との連携強化
(1) 商工会・商工会議所
① 商工会・商工会議所の合併への支援
担当課:商工労働企画課
担当班:商工団体班
097-506-3218
097-506-1752: FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
市町村の行政合併により、県内の58市町村が18市町村となりました。その結果、一市町村に複数の商
工会議所、商工会が存在することとなりました。
商工会の合併については、平成17年度は県下11ブロックに設置された商工会合併研究会における調
査・研究の成果を踏まえて、平成18年度からは更に具体的な課題等を協議する自主的な取組に対して支
援しました。平成19年4月1日の杵築地区の合併を皮切りに、平成20年4月1日には7地区、平成20年7
月1日には1地区が合併しました。また、商工会議所の合併についても必要な支援を行い、その結果、平成
19年4月1日に大分商工会議所と佐賀関商工会議所が合併しました。
■現状と課題
商工会機能の強化を図るため、合併を促進することが求められています。
現在、さらに2地区においても合併に向けた取り組みが行われています。合併が円滑に行われるよう支
援するとともに、今後は、合併後の商工会の会員サービスの向上及び職員の指導能力向上を図るために、
適切な支援を行う必要があります。
■課題解決のため取り組む事業
○商工会等合併円滑化推進事業(継続)
商工会の合併について、更に具体的な課題等を協議する自主的な取り組みを支援します。
○商工会合併支援環境整備事業(継続)
合併後の商工会が今まで以上のサービスを提供できるように、巡回指導の徹底を図るとともに、商工
会館改修等の必要な経費を支援します。
【 今後の方針 】
商工会の合併は、少子高齢化や規制緩和の進展、市町村合併に伴う新たな経済活動の展開等、大き
く変貌する地域商工業の環境に対応し、会員の多様なニーズに応えられるよう会員に対するサービスの
向上と地域の振興を図るとともに、商工会の財政基盤を強固なものとすることが目的であるため、県とし
ては、合併に取組む商工会を今後も支援していきます。
第4章 戦略推進のための体制整備等
3.商工労働関係団体との連携強化
(1) 商工会・商工会議所
② 商工会・商工会議所の取組への支援
担当課:商工労働企画課
担当班:商工団体班
097-506-3218
097-506-1752: FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
地域の商工業者の経営の改善発達を図り、商工業者を支援する商工会、商工会議所の体制整備に対し
て支援してきました。少子高齢化や市町村合併の進展による商工会の広域連携等により、特に、商工会地
域における会員ニーズに対応することが課題となりました。
まず始めに、商工会経営指導員等の資質向上としては、地域活性化へのニーズに対応するよう意欲あ
る経営指導員のスキルアップを支援してきました。平成18年度には中小企業大学校が行う専門研修への
派遣計画の再構築や平成19、20年度には経営指導員の専門知識の習得を目的とした「T字型能力(注1)育
成事業」を実施し、さらに商工会合併後の会員ニーズに対応するため、職員の各職務に応じた研修体系を
構築しました。業務の根幹である巡回指導の充実を図るため、経営支援ツールの作成も支援しました。
また、商工会青年部・女性部が実施する地域振興については、平成17年度に、まちづくり活動に取り組
む商工会に支援し、それを受けて、平成18、19年度には「商工会青年部・女性部地域活力増進事業」によ
り、商工会青年部・女性部が地域を元気にする活動に主体的に取り組み始めました。平成20年度はこれら
の活動を継続し、さらに発展させるための組織づくりの支援を行いました。
さらに、商工会地域の商業振興を図るため、平成17年度には地域の核となるリーディング店舗の育成、
平成18年度には創業間もない商業者の経営安定化に向けた重点的な個店指導を行ってきました。
平成19年度からは商工会合併後の各商工会地域の均衡ある発展を図るため、「地域の課題」の発見・
解決プランの作成に対する取組も推進しました。
■現状と課題
近年の社会経済情勢の変化により多様化、高度化する会員ニーズに対応するため、商工会や商工会議
所の経営指導員の専門的な知識と高度な指導能力が必要です。そのためには、積極的な自己研鑽を通じ
て専門知識や必要な資格を習得していくことが求められています。
また、旧町村部地域において次代を担う商工会青年部・女性部が、核となって地域づくりに取り組むこと
が求められています。今後は、これまでの事業のグレードアップ、新規に取り組むものでチャレンジ意欲の
高いものに対しても支援することが必要です。また、合併後の商工会において統合された青年部・女性部の
組織強化と、これまで以上に各地域との連携強化を図るとともに、地域一体となった活動を支援することが
必要です。
さらに、商工会の合併により、これまで以上に商工会は地域の商工業者から頼られ、地域商工業の発展
に寄与することが求められています。そのために、経済情勢の変化、大型店の立地等で厳しい経営環境に
置かれている地域の商工業者の活性化及び地域の振興を図り、地域の課題を解決することが求められて
います。
(注1)T字型能力: 幅広い知識(Tの横の棒)とある分野についての専門(Tの縦の棒)を兼ね備えた能力のこ
とであり、全国商工会連合会による「新たな小規模企業政策の実施体制に関する研究会
報告書」に記載されたものである。
【 経営指導員の声 】
○T字型研修の内容を濃いものにし、資格を取得できるような研修を受けたい。
○実施している商工会青年部・女性部事業を、地域資源等を活用して発展させたい。
○現在策定中の課題解決プランにおいて、来年度以降も他団体と連携し、課題を解決し、地域の活性化
を図りたい。
■課題解決のため取り組む事業
○一職員一資格取得支援事業(新規)
多様化する会員ニーズに応えるため、積極的な自己研鑽を通じて専門知識を習得していく商工会・商
工会議所の職員の取り組みに対して支援します。
○商工会議所職員資質強化事業(新規)
商工会議所の職員の資質向上を図るため、研修体系の再構築と研修の充実に対して支援します。
○商工会青年部・女性部組織強化対策事業(新規)
合併後の商工会における統合された青年部・女性部の組織強化とこれまで以上に各地域との連携強
化を図るため、他団体等との研究会の開催、地域貢献活動等に対して支援します。
○商工会青年部・女性部地域活性化チャレンジ支援事業(新規)
商工会青年部・女性部が地域の農林漁業者や自治会、NPOなどと連携して行う地域活性化の新たな
取り組みや活動の発展・拡大を支援します。
○地域の課題解決事業(新規)
地域の課題解決のため、商工会が取り組む課題解決につながる活性化策に対して支援します。
【 今後の方針 】
多様化・高度化する会員ニーズに対応するため、これまでの商工会・商工会議所の経営指導員等の
各職員の資質向上対策を見直し、資質強化を図るための研修体系を整備し、さらに職員の自己啓発の
ための取り組みに対して支援します。
また、商工会の青年部・女性部が地域の各団体との連携を強化し、地域全体で活性化を図る取り組み
を支援するとともに、商工会が地域の商工業者及び地域活性化のために、地域の課題を解決するため
の取り組みに対して支援します。
第4章 戦略推進のための体制整備等
3.商工労働関係団体との連携強化
(2) 中小企業団体中央会
担当課:商工労働企画課
担当班:商工団体班
097-506-3218
097-506-1752: FAX
■おおいた産業活力創造戦略の歩み
中小企業の組織化を図る総合指導機関である大分県中小企業団体中央会は、経営環境の変化に対応
できるよう事業協同組合などの経営支援や、企業組合の設立など創業支援を推進する必要があります。
そこで、各業界の実態把握に努めるとともに、LLP、NPO法人などの新しい組織化の制度や新連携対策
支援事業、地域資源活用新事業展開支援事業など中小企業施策を研究し、経営支援等に活用しました。
また、外部講師を招いた内部研修会を実施するなど指導員が専門知識を習得し資質向上するための取
組を支援しました。
さらに団塊の世代をはじめ、働く意欲のある人の創業支援などに取り組みました。
■現状と課題
受注競争の激化や価格破壊等厳しい経営環境や組合員の減少等により組合組織が活力を失っていま
す。組合の有する教育・情報提供機能を活用し、中央会が組合員企業を支援することで経営改善に結びつ
いた事例を蓄積し、組合に対して情報発信・還元することで連携の強化を図るとともに、異業種間の新たな
連携事業を提案するなど組合の活性策が必要となっています。
また、創業やスモールビジネスを展開するのに適している企業組合の設立が近年増えてきていますが、
企業組合は小規模な事業者ゆえ経営の安定・向上に課題を抱えています。そこで指導員が経営分析や組
織の活性化等の専門知識を養うと共に、様々なニーズに対応できるよう得意分野を身につけて、幅広い提
案が行えるよう資質向上を図ることが必要です。
企業組合セサミ(平成20年7月設立認可)
県内で作られた無農薬・無化学肥料野菜と、それを素材と
した総菜を家庭に提供するため、主婦4名で創業。
今後、料理教室などを通して食育活動も実施計画中。
【 創業や事業拡大を求める人の声 】
○創業したいが、どこに相談したらいいか分からない。また創業した人の生の声を聞きたい。
○商品の PR やマーケティングをしたいが、ノウハウがない。
○異業種と連携を図り事業拡大を図りたいので、相手企業を紹介してほしい。
中小企業等協同組合数(大分県所管)
事業協同組合
火災共済/
協同組合
信用協同組合
組合数(H19年度末)
設
19年度
立
18年度
数
17年度
406
6
12
8
2
企業組合
合計
連合会
8
59
2
11
10
475
8
23
18
地
域
編
地域別産業振興モデル
○策定の趣旨
産業は地域ごとにそれぞれ特徴をもって発展しています。
地域間競争の時代にあっては、地域の発想とやる気を最大限に活かし、自立的な発展を
目指すことが必要です。
ここでは各地域の産業振興について、戦略本編と照らし合わせ、また、各地域での企業の
集積等の現状から、今後の方向性について1つのモデルを示してみました。
このモデルが各地域での産業振興の参考になれば幸いです。
○区割りについて
地域別産業振興モデルの区割りは、6つの振興局の地域単位としました。
①東部地域:別府市、杵築市、国東市、姫島村、日出町
②中部地域:大分市、臼杵市、津久見市、由布市
③南部地域:佐伯市
④豊肥地域:竹田市、豊後大野市
⑤西部地域:日田市、九重町、玖珠町
⑥北部地域:中津市、豊後高田市、宇佐市
各地域の面積・人口
面
積
( )は県全体に占める割合
東部振興局
中部振興局
南部振興局
豊肥振興局
西部振興局
北部振興局
大 分 県
803.05
1191.01
903.44
1081.03
1224.04
1136.85
6339.42
(12.67)
(18.79)
(14.25)
(17.05)
(19.31)
(17.93)
(100.00)
人
20.1.1現在
224,707
565,590
78,675
65,858
101,227
168,634
1,204,691
口 ( )は県全体に占める割合
21.1.1現在
増減数 増減率
223,823
(18.64)
▲ 884
▲ 0.4
566,587
(47.17)
997
0.2
77,628
(6.46) ▲ 1,047
▲ 1.3
64,966
(5.41)
▲ 892
▲ 1.4
99,964
(8.32) ▲ 1,263
▲ 1.3
168,079
(13.99)
▲ 555
▲ 0.3
1,201,047 (100.00) ▲ 3,644
▲ 0.3
資料出展:大分県のすがた2008、毎月流動人口調査(大分県統計調査課)
東部地域の産業振興モデル
■産業振興の方向性
○ものづくり産業の振興
・集積が進んでいる半導体関連産業、加工組立型産業の更なる集積
・豊富な農林水産物を活用した食品加工産業の振興
○商業・サービス業の振興
・温泉をメインとした観光産業の育成
・中心市街地活性化基本計画の推進と商店街の活性化
・伝統工芸品である竹工芸産業の振興
・地域商業の活性化を推進
○人材の育成
・竹工芸の技術伝承を推進
・商店街の活性化等、地域振興の核となる優秀な商業人材の育成
■今後の主な取組
○さらなる集積をめざした企業誘致の推進
・半導体関連産業や電子・電気・機械関連産業、自動車関連産業の集積を促
進するとともに、進出企業へのフォローアップを強化する。
・進出企業に対する地場企業の取引参入を支援する。
○地域資源を活用した新事業の創出支援
・国東半島の農林水産物を活用した新事業を創出する。
・竹の素材を材料として活かした用途開発を推進する。
・別府地域の観光資源である温泉を活用した新たな観光産業の振興を図る。
○商店街活性化の推進
・商店街振興を図るため、商業人材の育成を図る。
■市町村別、事業所数・従業者数・製造品出荷額等(従業者4人以上)
(単位:所、人、万円、%)
別
杵
国
東部 姫
日
府
築
東
島
出
市
市
市
村
町
計
中部振興局管内
南部振興局管内
豊肥振興局管内
西部振興局管内
北部振興局管内
総
数
18年
100
62
78
4
56
事業所数
19年 増減数 増減率 構成比 18年
91
▲ 9 ▲ 9.0
4.9 1,211
65
3
4.8
3.5 4,937
68 ▲ 10 ▲ 12.8
3.6 4,620
4
0
0.0
0.2
62
52
▲ 4 ▲ 7.1
2.8 2,303
300
280
592
188
99
319
369
1,867
647
179
97
306
364
1,873
▲ 20 ▲ 6.7
55
▲9
▲2
▲ 13
▲5
6
9.3
▲ 4.8
▲ 2.0
▲ 4.1
▲ 1.4
0.3
従業者数
19年 増減数 増減率 構成比
1,174 ▲ 37 ▲ 3.1
1.5
4,712 ▲ 225 ▲ 4.6
6.2
5,590
970
21.0
7.4
54
▲ 8 ▲ 12.9
0.1
2,354
51
2.2
3.1
14.9 13,133 13,884
751
5.7
34.5 27,699 31,434 3,735
13.5
9.6 4,560 4,586
26
0.6
5.2 2,517 2,412 ▲ 105 ▲ 4.2
16.3 6,059 5,859 ▲ 200 ▲ 3.3
19.4 16,511 17,682 1,171
7.1
100.0 70,479 75,857 5,378
7.6
18.3
18年
1,165,702
12,801,238
26,095,194
10,339
10,878,671
製造品出荷額等
19年
増減数
増減率 構成比
1,341,546
175,844
15.1
0.3
12,864,743
63,505
0.5
3.0
39,061,307
12,966,113
49.7
9.2
24,472
14,133 136.7
0.0
9,008,452 ▲ 1,870,219 ▲ 17.2
2.1
50,951,144
62,300,520
11,349,376
22.3
14.7
41.4 260,958,888 279,372,006
18,413,118
7.1
65.7
6.0
8,682,886
9,658,516
975,630
11.2
2.3
3.2
5,051,403
4,496,910 ▲ 554,493 ▲ 11.0
1.1
7.7 11,405,269 11,383,480
▲ 21,789 ▲ 0.2
2.7
23.3 52,094,597 57,891,309
5,796,712
11.1
13.6
100.0 389,144,187 425,102,741
35,958,554
9.2 100.0
出典:平成19年工業統計調査(速報)
★【安全で身体に優しい「やわらか湯たんぽ」の販売】
国東市国東町のヘルメット潜水(株)は、これまで蓄積してきたウエット
スーツ生地の加工技術を活用し、「やわらか湯たんぽ」を開発した。
身体の部位に合わせた様々な成形が容易で、保温効果も高く、低温
やけどの心配もないことから、女性はじめ幅広い年齢層から支持される
商品である。
テレビや新聞、雑誌でもたびたび取り上げられ、大手小売店や通販、
九州主要百貨店に販路を拡大している。
今後は、その高い保温性を活用して、夏用の保冷商品も開発する予定
となっている。
様々な成形が可能な「やわらか湯たんぽ」
★【防振技術などゴム製品の研究開発で自動車分野にも進出】
国東市国東町のスターコックス(株)は、会社設立以来、ゴム製品の研究
開発を手がけてきた。
主力製品である「キソゴム」は、木造住宅の耐震性・耐久性を高める独自
技術商品であり、地震対策部材として、全国で採用されている。
近年は、蓄積された技術を活用し、自動車用ゴム製品の製造にも参入を
図っている。
また、有機系ガスの発生を抑え、工場内のクリーンルームでも使用可能な
免震ゴムなど、独自技術の研究開発に日々努めている。
木造住宅を長持ちさせる「キソゴム」
東部地域の元気企業例
大分県東部振興局
〒873-0504
国東市国東町安国寺786-1
TEL 0978-72-0857
FAX 0978-72-0194
別府の湯けむり
★【段ボール素材を使った3次元立体造形によるデザイン発信】
国東市安岐町の(有)アキ工作社は、独自に開発した3次元立体造形
システムを活用し、段ボール素材を使った組立式マネキンを手はじめに、
ミニチュア動物キットや各種インテリア、ギフトパックなどを手がけている。
その技術を活用して地域特産品の紹介にも協力する一方で、昨年は、
ディズニーキャラクターのミニチュアキットの製造・販売を開始するなど、
応用分野は幅広く、地域の若者を雇用しながら、世界に向けてデザイン
情報を発信している。
開けて楽しいギフトパック
★【より安全で使いやすいピッチングマシンの開発】
別府市の(有)ニッシンエスピーエムは、プロ野球を手はじめに、社会人、
高校、少年野球と、多様なニーズに応えるピッチングマシンを製造・販売し
ている。
大手スポーツメーカーとも契約するなど、その技術力は関係者から高く
評価されており、ピッチングマシンでの国内シェアは2位を誇る。
また、テニスはじめバレー、サッカー、卓球など、スポーツマシンの総合
メーカーとして、製品の多様性を拡大している。
多様な投球を
忠実に再現する
ピッチングマシン
中部地域の産業振興モデル
■産業振興の方向性
○ものづくり産業の振興
・鉄鋼、化学、IT等、バランスよく集積した産業群の一層の集積
・環境・エネルギービジネスの振興
○商業・サービス業の振興
・大分市、臼杵市等の中心市街地の活性化と個店対策の充実
・地域商業の活性化を推進
・地域資源を活用した新たな事業の創出
○人材の育成・確保
・商店街の活性化等、地域振興の核となる優秀な商業人材の育成
■今後の主な取組
○これまでの産業集積を活かした企業誘致の推進
・瀬戸内海に面した好位置を活かした臨海部の素材産業群の誘致を促進する。
・電子・電気・機械関連産業の集積を促進するとともに、進出企業へのフォローア
ップを強化する。
・進出企業に対する地場企業の取引参入を支援する。
○循環型環境産業による省エネルギー対策の取組を推進
・廃棄物の再資源化に係る事業や新エネルギーによる事業化を支援する。
○中心市街地・商店街の活性化を推進
・大分市中心市街地活性化基本計画の推進を支援する。
・臼杵市が進める中心市街地活性化を支援する。
■市町村別、事業所数・従業者数・製造品出荷額等(従業者4人以上)
(単位:所、人、万円、%)
大 分
臼 杵
津 久 見
中部
由 布
市
市
市
市
計
東部振興局管内
南部振興局管内
豊肥振興局管内
西部振興局管内
北部振興局管内
総
数
18年
425
92
32
43
事業所数
従業者数
製造品出荷額等
19年 増減数 増減率 構成比 18年 19年 増減数 増減率 構成比
18年
19年
増減数
増減率 構成比
475
50
11.8
25.4 22,028 25,402
3,374
15.3
33.5 246,610,276 263,271,897
16,661,621
6.8
61.9
97
5
5.4
5.2 3,323 3,434
111
3.3
4.5
7,916,211
9,601,214
1,685,003
21.3
2.3
33
1
3.1
1.8
818
864
46
5.6
1.1
4,052,554
4,266,655
214,101
5.3
1.0
42
▲ 1 ▲ 2.3
2.2 1,530 1,734
204
13.3
2.3
2,379,847
2,232,240
▲ 147,607 ▲ 6.2
0.5
592
647
55
300
188
99
319
369
1,867
280
179
97
306
364
1,873
▲ 20
▲9
▲2
▲ 13
▲5
6
9.3
▲
▲
▲
▲
▲
6.7
4.8
2.0
4.1
1.4
0.3
34.5 27,699 31,434
3,735
13.5
14.9 13,133 13,884
751
5.7
9.6 4,560 4,586
26
0.6
5.2 2,517 2,412 ▲ 105 ▲ 4.2
16.3 6,059 5,859 ▲ 200 ▲ 3.3
19.4 16,511 17,682 1,171
7.1
100.0 70,479 75,857 5,378
7.6
41.4 260,958,888 279,372,006
18,413,118
7.1
65.7
18.3 50,951,144 62,300,520
11,349,376
22.3
14.7
6.0
8,682,886
9,658,516
975,630
11.2
2.3
3.2
5,051,403
4,496,910 ▲ 554,493 ▲ 11.0
1.1
7.7 11,405,269 11,383,480
▲ 21,789 ▲ 0.2
2.7
23.3 52,094,597 57,891,309
5,796,712
11.1
13.6
100.0 389,144,187 425,102,741
35,958,554
9.2 100.0
出典:平成19年工業統計調査(速報)
★【現場からの新発想に基づく商品開発】
大分市の(株)コイシは、土木工事測量と並行して土木工事測量支援商品の開発
・販売を行う企業である。
同社は、「こんなものがあったら便利」という現場技術者の意見を取り入れた手帳
サイズの土木用計算機の開発をはじめ、誤認・誤差による重大な施工ミスを防止す
るために3次元立体表示により全施工過程を視覚的・数値的に確認・検証すること
を可能にした土木工事測量・施工支援システムを産学官連携で開発するなど、独創
的なアイデアに基づく商品開発を通じて土木工事測量技術の発展・向上に貢献して
いる。
三次元解析ビューア「KOISHIーEye」
★【異業種交流により生まれた世界品質】
大分市の(株)藤島は、ガラス精密加工分野における国内エキスパート企業であり、大型ガラス
建造物(表参道ヒルズの噴水オブジェ等)からインテリア小物に至るまで、同社職人の手作業に
よる製品は国内外で高い評価を得ている。
加えて、同社は自らが得意とする特殊なガラスカット技術と異業種のLED技術等を組み合わ
せ、無電力で省エネルギー、しかも二酸化炭素を排出しない画期的なソーラー式LED街路灯の
実用化に成功したところである。環境にやさしいこの製品は中小企業庁長官賞を受賞し、また、
海外への進出も決定するなど、同社の今後の事業展開に期待が寄せられている。
スフィア街路灯
中部地域の元気企業例
大分県中部振興局
〒870-0021
大分市府内町3丁目10番1号
TEL 097-506-5727
FAX 097-506-1813
関崎海星館
★【地域資源を活かしたこだわりのお菓子づくり】
大分市の御菓子司 高橋水月堂は、創業明治39年、代々佐賀関の地に本拠を構える老舗の
京風和菓子店である。
同店は、こだわりぬいた伝統の味を今に伝えるとともに、ご当地ならではの関あじ・関さばに
ちなんだオリジナル商品を売り出し、全国推奨観光土産品審査会で最優秀賞を受賞するなど
、土産用に贈答用にと好評を博している。最近では県産カボス本来の風味と香りを活かした新
たな商品の開発にも積極的にチャレンジし、「The・おおいた」ブランドのラインナップを広げてい
る。
関あじ最中・関さば最中
★【オーダーメイドの“オンリーワン”を創造】
由布市庄内町の(株)AKシステムは、自動制御装置、精密機械
装置の設計・製作を主力事業とする企業である。
同社は、設計(ハード・ソフト)、製造(組立・配線)、板金加工ま
で一貫した生産ラインを確立し、ユーザーの様々な要請に柔軟に
応えることで着実に業績を伸ばしている。特に機械装置と電気制
御技術の融合による“Only One”の製品を同社は次々と世に送り
出しており、システムインテグレーションのプロフェッショナルとして、
社のシンボルマーク“メビウスの輪の生産ライン”のごとく、更なる
飛躍を目指している。
(株)AKシステム全景
南部地域の産業振興モデル
■産業振興の方向性
○ものづくり産業の振興
・地域の基幹産業である造船業の振興
・高度な部品材料加工技術を持った企業の育成及び集積
○商業・サービス業の振興
・漁業資源等の豊富な地域資源を活用した産業の振興
・地域商業の機能を維持・再生する新たな商業サービスの提供
・中心市街地(なかまち商店街)の活性化
○人材の育成
・造船業を支える高度技術者の育成
・地域資源を活用して新たな事業に挑戦する人材を育成
■今後の主な取組
○造船業や高度加工組立型産業等の集積
・良好な港湾と地場企業の技術に支えられた造船業の振興を図る。
・佐伯メカトロセンターで培った高度加工技術を活用した産業の集積を図る。
・豊かな水産資源や重要港湾として整備の進む佐伯港・東九州自動車道などの
地域特性を活かした企業誘致を推進するとともに、進出企業のフォローアップ
を強化する。
○佐伯市中心市街地の活性化
・佐伯市が実施する中心市街地活性化の取組を支援する。
○水産加工をはじめとする食品加工業の振興
・地域資源を活用して新商品の開発や販路開拓を目指す企業を支援する。
○地域産業を支える人材の育成
・大分地域造船技術センターによる造船技術者の育成を支援する。
■市町村別、事業所数・従業者数・製造品出荷額等(従業者4人以上)
(単位:所、人、万円、%)
佐
南部
伯
事業所数
従業者数
18年 19年 増減数 増減率 構成比 18年 19年 増減数 増減率 構成比
市
188
179
▲ 9 ▲ 4.8
9.6 4,560 4,586
26
0.6
6.0
計
東部振興局管内
中部振興局管内
豊肥振興局管内
西部振興局管内
北部振興局管内
総
数
188
179
300
592
99
319
369
1,867
280
647
97
306
364
1,873
▲ 9 ▲ 4.8
▲ 20
55
▲2
▲ 13
▲5
6
▲ 6.7
9.3
▲ 2.0
▲ 4.1
▲ 1.4
0.3
9.6
4,560
14.9
34.5
5.2
16.3
19.4
100.0
13,133
27,699
2,517
6,059
16,511
70,479
4,586
26
0.6
13,884
751
5.7
31,434 3,735
13.5
2,412 ▲ 105 ▲ 4.2
5,859 ▲ 200 ▲ 3.3
17,682 1,171
7.1
75,857 5,378
7.6
6.0
18年
8,682,886
製造品出荷額等
19年
増減数
増減率 構成比
9,658,516
975,630
11.2
2.3
8,682,886
9,658,516
975,630
11.2
2.3
18.3 50,951,144 62,300,520
11,349,376
22.3
14.7
41.4 260,958,888 279,372,006
18,413,118
7.1
65.7
3.2
5,051,403
4,496,910 ▲ 554,493 ▲ 11.0
1.1
7.7 11,405,269 11,383,480
▲ 21,789 ▲ 0.2
2.7
23.3 52,094,597 57,891,309
5,796,712
11.1
13.6
100.0 389,144,187 425,102,741
35,958,554
9.2 100.0
出典:平成19年工業統計調査(速報)
★【技術継承の取り組み】
佐伯市の(株)三浦造船所は、ケミカルタンカー等特殊船舶を中心に、外
航船・内航船を問わず多種多様な建造を手がけている。業績は好調であり、
この度海崎ブロック工場の建設に着手し、平成21年6月に完成の予定。
地域の基幹産業である造船の若手技術者育成のための取り組み「大分地
域造船技術センター」に積極的にかかわっている。
「大分地域造船技術センター」
★【伝統の生業をじっくり伝える】
佐伯市船頭町で、330年にわたり糀づくりの伝統
を守り続けてきた(有)糀屋本店は、こうじ納豆、塩糀
など「糀」の新たな可能性に取り組んでいる。
また、味噌作りや糀を活用した料理の講習を通じ、
安全・安心な食生活の提案にも取組み、古来の発酵
技術を家庭へじっくり伝承している。
また、佐伯市船頭町界隈に残るこうした伝統文化
と歴史を誇りとし、伝えて行く取組も始まり、今後の中
心市街地の活性化にも期待がもてる。
(有)糀屋本店 と 「麹」
南部地域の元気企業例
大分県南部振興局
〒876-0813
佐伯市長島町1-2-1
TEL 0972-22-9073
FAX 0972-23-0942
マリンカルチャーセンター
★【業務効率化と生産性向上】
佐伯市弥生の(株)二豊鉄工所は、半導体や液晶テレビの製造装置、住
宅部品などの金属部分の製造を行っている。ハンディターミナルを利用した
製品のリアルタイム進捗管理や工程負荷状況の把握を行い、リードタイムの
短縮や、生産計画の最適化などを実現し、コストダウンと収益の拡大を図っ
ている。
(株)二豊鉄工所全景
★【業界初の取り組み~ブリ醤油】
佐伯市の中嶋水産(株)は加工処理時に生じる「ブリのアラ」
から抽出したエキスを利用して、醤油とポン酢を開発した。
元々、ブリ、カンパチ、ヒラマサなどを養殖、加工販売してい
るが、これまでは、ブリの中骨や頭などの「アラ」は有償で廃棄
処理していた。この栄養価の高い部位からエキスを抽出し醤油
やポン酢にしたのは業界初である。
「ブリのアラ」を活用した
ブリ醤油・ブリポン酢
豊肥地域の産業振興モデル
■産業振興の方向性
○ものづくり産業の振興
・豊富な水・温泉、農産物資源を活用した食品加工産業の振興
○商業・サービス業の振興
・くじゅう・竹田地域・豊後大野の観光を核としたサービス産業の振興
・畑作を中心とした特徴ある農産物等の地域資源を活用した新たな産業の育成
・中心市街地活性化への取組を推進
・県境を越えて熊本県と連携する新たな産業の振興
○人材の育成
・商店街活性化のための商業人材を育成
・地域資源を活用して新たな事業に挑戦する人材を育成
■今後の主な取組
○豊かな農産物を活かしたものづくり産業の推進
・特徴ある農産物等の地域資源を活用して新商品の開発や販路開拓を目指す
企業を支援する。
・豊富な水・温泉、農産物資源を活用した食品加工産業などの誘致を推進すると
ともに、進出企業のフォローアップを強化する。
○観光サービス産業の振興
・竹田や豊後大野の豊かな観光資源を活用した産業の振興を図る。
・熊本県阿蘇地域との広域連携による産業の振興を図る。
○竹田市中心市街地の活性化
・竹田市が実施する中心市街地の活性化の取組を支援する。
■市町村別、事業所数・従業者数・製造品出荷額等(従業者4人以上)
(単位:所、人、万円、%)
豊肥
事業所数
従業者数
18年 19年 増減数 増減率 構成比 18年 19年 増減数 増減率 構成比
竹 田 市
43
40
▲ 3 ▲ 7.0
2.1
631
578 ▲ 53 ▲ 8.4
0.8
豊後大野市
56
57
1
1.8
3.0 1,886 1,834 ▲ 52 ▲ 2.8
2.4
計
東部振興局管内
中部振興局管内
南部振興局管内
西部振興局管内
北部振興局管内
総
数
99
97
300
592
188
319
369
1,867
280
647
179
306
364
1,873
▲ 2 ▲ 2.0
▲ 20
55
▲9
▲ 13
▲5
6
▲ 6.7
9.3
▲ 4.8
▲ 4.1
▲ 1.4
0.3
5.2
2,517
2,412 ▲ 105 ▲ 4.2
14.9
34.5
9.6
16.3
19.4
100.0
13,133
27,699
4,560
6,059
16,511
70,479
13,884
751
5.7
31,434 3,735
13.5
4,586
26
0.6
5,859 ▲ 200 ▲ 3.3
17,682 1,171
7.1
75,857 5,378
7.6
3.2
18年
679,741
4,371,662
製造品出荷額等
19年
増減数
増減率 構成比
650,760
▲ 28,981 ▲ 4.3
0.2
3,846,150 ▲ 525,512 ▲ 12.0
0.9
5,051,403
4,496,910
▲ 554,493 ▲ 11.0
1.1
18.3 50,951,144 62,300,520
11,349,376
22.3
14.7
41.4 260,958,888 279,372,006
18,413,118
7.1
65.7
6.0
8,682,886
9,658,516
975,630
11.2
2.3
7.7 11,405,269 11,383,480
▲ 21,789 ▲ 0.2
2.7
23.3 52,094,597 57,891,309
5,796,712
11.1
13.6
100.0 389,144,187 425,102,741
35,958,554
9.2 100.0
出典:平成19年工業統計調査(速報)
★【大分県特産のしいたけを活用した加工品製造】
豊後大野市朝地町の(株)臥牛では、地元特産の上質なしいたけをスチーム・
スモーク、下味付け等により、生ハムのような香りとあわびの食感を併せ持つ新
製品「里山のあわび」を製造販売している。
乾しいたけとは異なり水で戻す手間がかからないことや、その高級感などから、
欧風料理素材や、ワイン派のオードブルとして新たな需要を創出するとともに、
原材料を供給している地元を始めとした県内しいたけ生産者への波及効果も期
待されている。
さしみタイプ
ステーキタイプ
里山のあわび
★【出荷規格外の完熟トマトの有効活用】
竹田市荻町の(有)エム・ナインは、昭和57年に結成された生活改善
グループ「恵会」を前身とし、今や全国区となった「恵会のトマトケチャッ
プ」をはじめ、特産のトマトを活用した加工品を製造販売している。
夏秋トマトの一大産地である荻町では、出荷が一時期に集中するた
め「完熟」となり廃棄されるトマトが大量に発生しており、(有)エム・ナイ
ンは、地域資源の有効活用と地元農家の所得向上などに大きな役割を
果たしている。平成20年には、市町村合併により閉鎖された旧町の学
校給食調理場を活用し、新加工場として整備、トマトジュースなど新たな
商品開発を進めている。
完熟トマト商品と加工作業
豊肥地域の元気企業例
大分県豊肥振興局
〒878-0013
竹田市大字竹田字山手1501-2
TEL 0974-63-1171
FAX 0974-63-1894
原尻の滝
★【ネット通販で販路拡大】
竹田市の(有)浜屋(Life Support Hamaya)は、
住宅等の建築の際に少しでもコスト削減を図りたい施
主の要望に応えるため、平成19年からインターネット
を活用したアルミサッシの通信販売に力を入れている。
これは、サッシ販売の分野では先駆的な取組であり、
またネット通販は商圏が限定されないため、顧客が全
国に広がり、個人はもとより工務店などの業者向けの
販売も増加している。
「アルミサッシ通販のHP」
http://www.hamaya-ls.com/
★【温泉水を活用したミネラルウォーター】
竹田市直入町の(株)長湯温泉マグナは、長湯温泉に古くから
伝わる飲泉文化を県内外に広く情報発信するため、湧出する温
泉水を活用した硬度の高いミネラルウォーター「MgNa(マグナ)」
の製造を行っている。
販売面では、商工会や旅館組合等で組織する協議会が設立
され、直入町地域発の新たな商品として地域住民が一体となり、
その販路開拓に取り組んでいる。
ミネラルウォーター
「MgNa(マグナ)」
西部地域の産業振興モデル
■産業振興の方向性
○ものづくり産業の振興
・地理的優位性を活かした企業誘致の推進
・地場企業と進出企業との取引拡大を支援
・豊富な水や森林資源等を活用した地場産業の振興
・循環型環境産業の育成
○商業・サービス業の振興
・日田市の中心市街地や商店街等の活性化を支援
・農商工連携による地域資源を活かした新たな事業の創出を支援
○人材の育成
・地域資源を活用して新たな事業に挑戦する人材を育成
・ものづくり産業の担い手を育成
■今後の主な取組
○豊かな自然環境と交通の利便性を活かした企業誘致の推進
・食品産業やIT・自動車関連産業等の誘致を推進する。
・地場企業と進出企業との取引拡大を支援する。
○循環型環境産業の集積
・地域バイオマスを活用する取組等を支援し、循環型環境産業の集積を図る。
○地域資源等を活用した新事業の創出
・農林水産物を活かした新商品開発への取組に対して支援を行う。
・製材業・家具製造業の新たな取組に対して支援を行う。
■市町村別、事業所数・従業者数・製造品出荷額等(従業者4人以上)
(単位:所、人、万円、%)
日
九
西部 玖
田
重
珠
事業所数
従業者数
18年 19年 増減数 増減率 構成比 18年 19年 増減数 増減率 構成比
市
275
268
▲ 7 ▲ 2.5
14.3 5,075 4,960 ▲ 115 ▲ 2.3
6.5
町
13
13
0
0.0
0.7
298
277
▲ 21 ▲ 7.0
0.4
町
31
25
▲ 6 ▲ 19.4
1.3
686
622 ▲ 64 ▲ 9.3
0.8
計
東部振興局管内
中部振興局管内
南部振興局管内
豊肥振興局管内
北部振興局管内
総
数
319
306
300
592
188
99
369
1,867
280
647
179
97
364
1,873
▲ 13 ▲ 4.1
▲ 20
55
▲9
▲2
▲5
6
▲ 6.7
9.3
▲ 4.8
▲ 2.0
▲ 1.4
0.3
16.3
6,059
5,859 ▲ 200 ▲ 3.3
14.9
34.5
9.6
5.2
19.4
100.0
13,133
27,699
4,560
2,517
16,511
70,479
13,884
751
5.7
31,434 3,735
13.5
4,586
26
0.6
2,412 ▲ 105 ▲ 4.2
17,682 1,171
7.1
75,857 5,378
7.6
7.7
18年
10,323,329
415,088
666,852
製造品出荷額等
19年
増減数
増減率 構成比
10,337,198
13,869
0.1
2.4
411,995
▲ 3,093 ▲ 0.7
0.1
634,287
▲ 32,565 ▲ 4.9
0.1
11,405,269
11,383,480
▲ 21,789 ▲ 0.2
2.7
18.3 50,951,144 62,300,520
11,349,376
22.3
14.7
41.4 260,958,888 279,372,006
18,413,118
7.1
65.7
6.0
8,682,886
9,658,516
975,630
11.2
2.3
3.2
5,051,403
4,496,910 ▲ 554,493 ▲ 11.0
1.1
23.3 52,094,597 57,891,309
5,796,712
11.1
13.6
100.0 389,144,187 425,102,741
35,958,554
9.2 100.0
出典:平成19年工業統計調査(速報)
★【輪掛による自然乾燥材を生産】
(株)トライ・ウッドは、津江地域の森林保全と林業後継者の育成に取り組んでいる。
近年、天然乾燥木材の需要が高まり、大手工務店からの発注が増加していること
から、地元から高い価格で仕入れた原木丸太を自然乾燥(輪掛け乾燥)したのち、
梁・桁・柱などの構造材に製材し、商品に付加価値をつけて販売することで、地域原
木の有効活用と地元住民の所得向上に努めている。
※輪掛け乾燥は、(株)トライ・ウッドの登録商標
★【杉・檜の樹皮(バーク)から燃料用ペレット製造】
(株)フォレストエナジー日田は、杉や檜の樹皮(バーク)を原
料とした固体バイオ燃料(バイオペレット)を製造し、発電用燃料
を主体として九州及び西日本地区を中心に販売するため、平成
19年7月31日に設立された。
バイオペレットは、固形バイオ燃料の中で最もエネルギー密度
が高く、石炭に混合して使用できることから、石油、ガスよりも燃
料代を削減できる上、混焼することで石炭から発生するCO2の
量も抑えられることもあり、急速に需要が高まっている。
新工場と「フォレストペレット」
西部地域の元気企業例
大分県西部振興局
〒877-0004
日田市城町1-1-10
TEL 0973-23-5739
FAX 0973-22-3392
九重夢大吊橋
★【県産材の需要拡大に貢献し、農林水産祭天皇杯を受賞】
日田十条(株)は、昭和36年に木材チップやオガライト製造等を目的に設立され、その後、
日田地域の豊富な森林資源を背景に木材加工部門を併設し、スギ、ヒノキ製材品の生産
を開始した。
近年は、環境保全を目的とした未利用木質資源の有効活用や、地元森林所有者への
利益還元を目指した流通合理化への取組みなど、地域の発展に大きく貢献している。
さらに、平成17年に大分方式乾燥材の認証を取得し、県産材の需要拡大にも寄与して
いる。これらの活動が認められ、平成20年度林産部門で天皇杯を受賞した。
日田十条(株)全景
★【地域資源を活用した梨のリキュール「梨園」を発売】
地域産業の活性化を目指し、JAおおいた日田梨部会、 (株)つえエーピー、老松酒造(株)、
(株)オオツカ(大塚酒店)、で、日田の梨を使ったリキュール「梨園」を共同開発し、平成20年
9月から販売を開始した。
地場企業による農商工連携により誕生した梨園は、日田梨のさわやかで甘い味わいと香り
が楽しめるリキュールとして、県内外で好評を博している。
★ 【鮎魚
日田の梨を使
ったリキュール
「梨園」
をパリ国際食品見本市に出品】
(名)まるはらは、明治32年創業の醤油製造会社である。鮎の規格外品活用の
ため、県産業科学技術センターと共同で「鮎魚 」を開発し、商品化に成功した。
平成19年10月に地域産業資源活用事業計画が認定されたことから、国と県の
支援を受けながら、新工場建設や関連商品の開発、販路拡大に取り組んでいる。
その一環として、平成20年10月にフランスのパリ国際見本市に出品し、欧米の
一流レストランや高級食料品店、百貨店へのPRを通じて、新たな販売ル-トの開
拓に取り組んだ。
パリの国際食品
見本市に出品し
た「鮎魚醤」
北部地域の産業振興モデル
■産業振興の方向性
○ものづくり産業の振興
・集積が進む自動車関連産業の一層の集積と地場企業と進出企業の取引を拡大
・農林水産分野と連携した食品関連企業の振興・集積
○商業・サービス業の振興
・中心市街地活性化の取組を推進
・全国的に有名な観光名所を活かした観光産業の育成
・地域商業の活性化を推進
○人材の育成
・金型・メッキ等基盤技術を有する人材を育成
・地域資源を活用して新たな事業に挑戦する人材を育成
■今後の主な取組
○自動車関連産業の更なる集積
・自動車関連産業の誘致をさらに推進するとともに、進出企業のフォローアップを
強化する。
・大分県自動車関連振興プログラムに基づき、大分県自動車関連企業会と連携
して、地場企業の取引拡大の取組を集中的に支援する。
○中心市街の活性化や賑わい創出を支援
・中津市や宇佐市の中心市街地の活性化を支援する。
○全国的に有名な観光資源を活かした取組
・宇佐神宮・国東半島、耶馬渓等の観光資源を活用した事業化の取組を支援する。
○優秀なものづくり人材の育成・確保
・工科短期大学校の機能を強化して、人材の育成・確保を図る。
■市町村別、事業所数・従業者数・製造品出荷額等(従業者4人以上)
(単位:所、人、万円、%)
事業所数
従業者数
18年 19年 増減数 増減率 構成比 18年 19年 増減数 増減率 構成比
中 津 市
184
184
0
0.0
9.8 9,466 10,236
770
8.1
13.5
豊後高田市
51
52
1
2.0
2.8 2,089 2,112
23
1.1
2.8
北部 宇 佐 市
134
128
▲ 6 ▲ 4.5
6.8 4,956 5,334
378
7.6
7.0
計
東部振興局管内
中部振興局管内
南部振興局管内
豊肥振興局管内
西部振興局管内
総
数
369
364
300
592
188
99
319
1,867
280
647
179
97
306
1,873
▲ 5 ▲ 1.4
▲ 20
55
▲9
▲2
▲ 13
6
▲ 6.7
9.3
▲ 4.8
▲ 2.0
▲ 4.1
0.3
19.4 16,511 17,682
1,171
7.1
14.9 13,133 13,884
751
5.7
34.5 27,699 31,434 3,735
13.5
9.6 4,560 4,586
26
0.6
5.2 2,517 2,412 ▲ 105 ▲ 4.2
16.3 6,059 5,859 ▲ 200 ▲ 3.3
100.0 70,479 75,857 5,378
7.6
23.3
18年
33,829,819
2,853,616
15,411,162
製造品出荷額等
19年
増減数
増減率 構成比
37,426,575
3,596,756
10.6
8.8
3,194,050
340,434
11.9
0.8
17,270,684
1,859,522
12.1
4.1
52,094,597
57,891,309
5,796,712
11.1
13.6
18.3 50,951,144 62,300,520
11,349,376
22.3
14.7
41.4 260,958,888 279,372,006
18,413,118
7.1
65.7
6.0
8,682,886
9,658,516
975,630
11.2
2.3
3.2
5,051,403
4,496,910 ▲ 554,493 ▲ 11.0
1.1
7.7 11,405,269 11,383,480
▲ 21,789 ▲ 0.2
2.7
100.0 389,144,187 425,102,741
35,958,554
9.2 100.0
出典:平成19年工業統計調査(速報)
★【 HACCPに準拠したゾーニングを行い、食の安全性の向上】
(株)西野物産は、インスタントラーメンなどに使用される乾燥具材、粉末スープ
などの小袋包装を行っており、「安全・安心で美味しい食品」を提供するため、原
料の受け入れから、製造、出荷までの各工程で、様々な検査や厳しい衛生管理
を実施している。
平成18年5月に「ポジティブリスト制度」が施行され、同社ではこの制度に対応
するため、最新の残留農薬分析装置及び超臨界流体抽出装置を導入し、自社で
の分析体制を整備している。更に21年度には、厳しい工程管理を要求される
「HACCP」に準拠したゾーニングを計画しており、更なる食の安全性の向上に取
り組んでいる。
さまざまな原材料をパック製品に
★【門前町としての賑わいを取り戻し、中心市街地の活性化】
四日市門前町まちづくり推進協議会は、平成16年4月に四日市商店街振興
組合、宇佐商工会議所、地元住民や各方面の有識者を構成員として発足され
た。
宇佐市四日市は400年以上の歴史を有し、門前町、宿場町、陣屋町として
栄えてきた町で、当時の賑わいを取り戻し、中心市街地の活性化を目標に、国
の街なみ環境整備事業などを活用しながら、公園整備や歴史的文化遺産の保
護など様々な取組を行っている。
また、県指定有形文化財である東本願寺四日市別院山門や、九州最大の木
造建築物である西本願寺四日市別院本堂などを中心とした「まちなみ散策」を
18年から継続して実施しており、四日市の歴史を知ってもらうための取組が行
われている。
お取越し極楽通り
北部地域の元気企業例
大分県北部振興局
〒879-0454
宇佐市大字法鏡寺235-1
TEL 0978-32-1373
FAX 0978-33-4322
昭和の町の町並み
★【先進的な障がい者雇用に取組、提灯作りは業界トップクラス】
(株)宇佐ランタンは、社員の60%以上を知的障がい者が占め、一般の民
間企業の法定雇用率1.8%を大きく上回っている。
同社は設立当初、紙ちょうちんが主流の中、いち早くビニール素材のちょう
ちん作りに着手し、独自の技術を確立して、現在では西日本を中心に業界ト
ップクラスに成長した。
この課程で先進的な障がい者雇用に取り組み、知的障がい者が働くことの
歓びを手に入れ、自らの可能性をフルに発揮できるような働きやすい職場環
境をつくり、今では中心的な役割を担うまでの戦力になっている。
業界トップクラスの提灯作り
★【産学官連携により、人にやさしい商品を開発】
(株)クローバー食品は、地域における農業と食品産業を含む、産学官の取組、
新製品の開発、市場開拓等を支援する「大分食料産業クラスター協議会」に入会
し、「人にやさしい商品開発」をテーマに事業展開している。
また、関連会社である農事組合法人JAPANクローバーでは、竹の子の有機栽
培認定を取得しており、JAS認定工場と合わせて、食の安全・安心を追求し、時
代のニーズに沿った商品開発に取り組んでいる。
食の安全・安心を追求した商品
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