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3 アジアの成長拡大を踏まえた海外市場の開拓 [PDFファイル
第2章
3
中小企業の成長・発展に向けた競争力の強化
アジアの成長拡大を踏まえた海外市場の開拓
(1) ものづくり中小企業の海外展開支援
担当課:工業振興課
担当班:工業支援班
097-506-3267
097-506-1753:FAX
■現状と課題
アベノミクスによる成長戦略等により、日本経済は持ち直しつつあるとはいうものの、地域のものづくり中小
企業を取り巻く環境は、依然厳しいものとなっています。国内需要もさほど活発化が望めず、さらには人口減
少社会が目前に迫っています。また、価格や技術開発の激しい国際競争にさらされ、大分県のものづくり産
業においてもグローバル市場の中で生き残りを目指すことが否応なく求められています。産業分野ごとの強
みや弱み、国際的な役割分担の中での位置づけなどを把握した上で、ものづくり産業の市場動向に応じた
海外展開の支援を行うことが重要となっています。
本県のものづくり産業では、大企業の国内再編や海外生産へのシフト、コストダウンへの圧力などで、県内
企業の取引や仕事そのものの減少が指摘されています。この対策として、急成長するアジアの活力を取り込
み、海外市場との取引を望む声が強くなっています。
これまで半導体・自動車産業では、海外企業とのビジネスを促進するために企業団体間の交流を通じて
情報収集やマッチングを支援してきており、今後はこうした戦略産業を含む幅広いものづくり分野で、県内企
業と海外企業とのビジネスマッチング支援を強化する必要があります。
県内企業の中には、製造装置のメンテナンス・改良や新規受注のために海外営業拠点を設けている事例
が見受けられるものの、世界市場に十分通用する技術力を潜在的に持っていながら、資本力や経験不足に
より海外市場へ展開することをためらう企業が多いのも実状です。
特に、中小企業が海外展開する上では、輸出の強化や販路開拓、海外への工場進出や拠点形成のみな
らず、原材料や仕掛品の輸入や委託加工など海外との受発注や共同開発といった様々な選択肢を考慮し、
自社にメリットをもたらす形態を検討することが必要です。
県内企業の海外流出を懸念する声もありますが、地場と海外の“二本足”、すなわち海外展開による企業
の成長が地場の拠点を充実させ、雇用を守るという視点も必要です。これまでの国内取引の振興に加え、海
外取引の振興を図る仕組みづくりが求められています。
まずは、海外展開を希望している企業に対して、各国の基本的な現状や見本市出展、商談機会の創出、
相手国の支援機関などの情報を提供することが必要となっています。
【県内中小企業の海外展開のイメージ】
ものづくり企業海外展開支援事業
現状・課題
海外との価格・技術競争
大企業が海外生産へシフト
県内企業の取引が減少
解決策
海外との受発注
(部品、加工)
海外との共同開発
事業の効果
・コストダウン
→自社製品競争力アップ
・リスク分散
厳しい環境
→“一本足”脱却、BCP
電力不足
高い法人税率
貿易自由化の遅れ
労働規制
温暖化ガス規制
海外に拠点形成
・市場確保(売上増)
海外の販路開拓
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→現地需要に対応
生
存
競
争
に
勝
利
!
【 企業の声 】
○国内需要が縮小し、何もしなければ売上げが半減、7割減となる。(地場企業:製造業)
○取引先や元請けの値下げ圧力は依然として厳しい状況だ。(地場企業:製造業)
○好むと好まざるとにかかわらず海外取引は避けて通れない時代である。(地場企業:製造業)
■課題解決のため取り組む事業
○ものづくり企業海外展開支援事業(継続)
半導体、自動車分野に加え、地場の中小企業が進出企業との取引で培ってきた強みのある技術分野
において、企業の海外展開を支援します。特に、台湾との交流については、平成24年度にジェトロの地域
間交流事業「大分県-台湾 半導体・ものづくり」に採択されており、各種のサポートを受けつつ実施して
います。
・団体間交流
県内の工業団体などものづくり企業の団体や支援機関と、台湾などの団体や支援機関との間でミッシ
ョン派遣や招聘の交流を行うことにより、個別企業のビジネスマッチングにつなげる支援を行います。
・ものづくり企業海外展開セミナー
海外展開を模索するものづくり企業を対象に、ジェトロ等との連携により、専門家による現地情報の提
供や、先進企業による成功事例の紹介など、幅広い内容を含むセミナーを開催します。
○自動車関連産業企業力向上事業(継続、再掲 P3)
○おおいたLSIクラスター構想推進事業(継続、再掲 P6)
○留学生人材活用促進事業(継続/企画振興部)
留学生による企業訪問及び企業経営者等との交流会を開催し、企業と留学生の出会いの場を創出す
ることにより、留学生人材活用促進を図ります。
【 今後の方針 】
TPP参加の交渉が進められるなど、更なる海外との競争激化が懸念される中、県内中小企業が生存
競争に勝利するために、工業団体や支援機関である(公財)大分県産業創造機構、ジェトロなどと連携を
図りながら、海外に展開するための支援を行います。具体的には、台湾などを対象に、セミナーによる情
報提供、団体間交流を行い、企業間のビジネスマッチングを図ります。
台湾との交流
成長著しい台湾は、日本企業にとってインフラが共通で親
日的など、海外展開の第一歩に適すると言われています。ま
た、文化や言語が共通であることから中国市場へのゲートウ
ェイとしても注目されています。
この十数年、半導体産業が急成長して世界的な集積地と
なっているほか、本県同様に金属、機械などのものづくり産業
も集積しており、魅力的なパートナーになり得る地域です。
半導体分野では、大分県LSIクラスター推進協議会と台湾
電子設備協会との間で交流覚書(MOU)が締結されており、
さらに平成25年10月には旧大分県工業団体連合会の取組
を引き継ぎ、(一社)大分県工業連合会が台湾金属工業研究
発展中心との間でMOUを締結し、金属、機械、エネルギーなどものづくり分野全般の交流及び団体間の交流
を通じたビジネスマッチングを促進していくこととしています。
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第2章
3
中小企業の成長・発展に向けた競争力の強化
アジアの成長拡大を踏まえた海外市場の開拓
(2) 県産品の販路開拓・拡大
担当課:商業・サービス業振興課
担当班:貿易振興班
097-506-3287
097-506-1754:FAX
■現状と課題
県産品の国内需要の維持・拡大が厳しい中、平成16年度から中国を重点国として販路開拓・拡大に取り
組み、順調に進んできましたが、東日本大震災による原発事故の影響等により、中国国内での日本商品の
買い控えなどが起きました。
このような中、県では重点地域を定めて、海外見本市出展への支援等を通じ、県内業者の販路拡大を図
っています。25年8月に、香港最大の国際見本市「フードエキスポ2013」に酒類や飲料、調味料メーカー6
社とともに出展しました。見本市後にプロモーションを行い、ドレッシングが現地スーパーで定番化されるな
ど、新たな取引につながっています。25年11月には、中国最大の見本市「FHC CHINA2013」に出展
し、県産品をPRするとともに現地バイヤーとの商談を行ったところです。また、25年4月には大分市の友好
都市である湖北省武漢市に大分市のアンテナショップ「Gate Way」がオープンし、県もオープンにあわせ
て、アンテナショップでの県産品展示等、PRを行いました。
また、ASEAN諸国のショーウィンドーであるシンガポールでは、現地商社と連携し、ショッピングセンター
での「大分県銘品」フェアや、現地バイヤーやシェフを招聘した「魅力満載・おおいた食品商談会」を行いま
した。フェア会場では、足湯を設置するなど、大分の魅力を
発信し、大変な賑わいを見せました。また、焼酎が現地レス
トランで定番化されるなど、商談会を通じて取引が始まって
います。更なる県産品の販路拡大には、こうした現地での
流通ノウハウや販売網を持つ商社等と連携して売り込んで
いくことも重要です。
他方、こういった商社や、現地バイヤー等からの情報を
収集し、フィードバックする機能の重要性も増してきており、
上海事務所においては、中国はもちろんのこと、香港、台
湾、ASEAN地域等を含め広い範囲での情報収集や企業
等へのサポートなどの強化を図る必要があります。
香港フードエキスポ2013
平成25年度見本市、商談会一覧
事業名
開催日時
開催場所
内容
おおいた産品展示商談会 in 湖北
平成25年4月
~平成26年3月
武漢
大分市のアンテナショップ「Gate Way」において、県産品の展示商談を
継続的に実施。
日本の観光・物産博2013
平成25年5月17日~19日
台湾
観光・物産展及び商談会に参加。県内企業5社の商品を出品。
香港フードエキスポ2013
平成25年8月15日~17日
香港
香港最大の食品見本市。酒類、飲料、調味料などを香港、マカオ、中
国のバイヤーと商談。ドレッシングが新規取引開始。
シンガポール「大分県銘産品」フェア
平成25年10月4日~8日
シンガポール
現地商社及びジェトロと連携し、ショッピングセンターでの大分フェアや
商談会を実施。酒類がレストランと取引開始。
ジェトロ日本酒・焼酎等輸出商談会 in 大分
平成25年10月8日
FHC CHINA2013
平成25年11月13日~15日
上海
中国最大規模の食品見本市。県内企業7社の商品を商談。
日本の美味しいもの市 in Shanghai
平成26年1月15日~27日
上海
現地百貨店で商社等と連携し開催した観光・物産展及び商談会に参
加。
大分市
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国内19社(うち県内6社)、海外8カ国12社が参加。
【 商談会等参加者の声 】
○中小企業では、単独で海外の見本市に出展するのは、費用やマンパワーに限界がある。行政や物産協会が
出展支援及びフォローをしてくれるのはありがたい。(地場企業:食品製造業)
○商談会やフェアは現地の状況が把握できるが、出展後の継続したフォローが重要だと思う。
(地場企業:食品製造業)
○加工食品は棚に並べるだけでは売れない。最初はメーカーが説明しながら売るなど、プロモーションが必要。
(香港:現地バイヤー)
シンガポール「大分県銘品」フェア
味力満載・おおいた食品商談会(シンガポール)
■課題解決のために取り組む事業
○東アジアビジネス推進事業(継続)
中国本土(上海市、湖北省)に加え、香港やシンガポールなどにおける見本市等への出展や現地バイ
ヤーとの商談などを支援するとともに、県内にバイヤーを招聘し、販路開拓・拡大につなげます。また、す
でに販路を持つ現地商社等と連携し、県産品の販路拡大を行います。さらに、飲食店等サービス産業の
海外への進出を支援します。
上海事務所においても引き続き県産品の販路開拓を推進するとともに、中国のみならず、香港、シンガ
ポール等アジア全域での県内中小企業の現地でのビジネス活動を積極的に支援します。
○貿易振興事業(継続)
貿易関係団体等への負担金を支出するとともに、九州貿易振興協議会で出展する海外見本市等への
参加に係る経費に対して支援します。
○海外戦略推進事業(継続/企画振興部)
今後も成長が見込まれるアジアの活力を取り込み、本県産業の活性化を図るため、海外戦略に基づ
き、中国湖北省との交流促進や食と観光が一体となった海外でのPRを部局横断的に実施します。
○留学生人材活用促進事業(継続、再掲 P88/企画振興部)
○農林水産物輸出促進対策事業(継続/農林水産部)
有望な市場に変貌した東南アジアの活力を取り込むため、生産者、団体等で構成する「ブランドおおい
た輸出促進協議会」を中心に、輸出定着・拡大対策を行うとともに、新規販路開拓推進に向けた取組を進
めます。
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【 今後の方針 】
東アジア、特に中国、香港をターゲットにした国際食品見本市への出展、それに伴う商談会の実施や
現地バイヤーの招聘等を通じて、県産品を輸出する商流・物流を構築します。また、各地域に販売網を
持つ現地商社等と連携し、県産品の販路拡大を行います。なお、見本市等への出展に当たっては、輸出
希望企業の商談サポートや輸出手続きのサポートができる団体に委託することにより、当該団体におけ
る輸出ノウハウの蓄積を図り、継続した支援体制を構築します。さらに、ASEAN地域のショーウィンドー
であり、日本食のニーズも高まっているシンガポールを新たな市場として販路開拓に取り組みます。
また、(独)日本貿易振興機構(ジェトロ)や(公社)大分県貿易協会等と連携して、海外貿易セミナー等
を開催し、県内企業の海外貿易に対する意欲を喚起・醸成するとともに、海外貿易に対する知識やノウハ
ウの習得を図ります。
上海事務所をご活用ください
上海事務所は日中経済協会上海事務所内に設置し、所長及び現地スタッフの2名体制で業務を行っています。
協会に蓄積されている貿易等の専門情報を独自のネットワークにより、中国市場に関する県内企業への情報
提供するとともに、中国企業とのビジネスマッチング機会の提供に努めています。
上海市内の企業訪問のアテンド、商談時の通訳、成約に向けたフォローまで、きめ細やかなサポートをいたし
ますので、是非、上海事務所をご活用ください。
ダミー
「FHC CHINA2013」で
県産品をPRする上海事務所スタッフ
上海事務所アテンドによる県内大学と
上海市内大学の交流会
http://www.pref-oita-shanghai.cn/
■参考(これまでの歩み)
・平成16年度
・平成17年度
・平成18年度
・平成19年度
・平成23年度
・平成24年度
・平成25年度
中国に重点を置き県産品の販路開拓を開始、セミナー開催やミッション派遣を
開始
上海にて展示商談会を実施
大分県上海事務所をジェトロ上海センターと共同で設置
タイを新たな市場として販路開拓を開始
原発事故の影響により食品の輸出に必要な産地証明の発行開始
大分県上海事務所の機能を日中経済協会上海事務所大分県経済交流室に移転
香港、韓国を新たな市場として販路開拓を開始
シンガポールを新たな市場として販路開拓を開始
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【 Break Time 】
楽しく過ごす節電の夏・冬
社会変化はビジネスチャンス!節電もその一つです。我慢我慢の節電の夏・冬、そこ
に現れてきた、あるいは隠れているニーズを的確に捉え、ビジネスにつなげていくこと
が重要です。
★節電の夏
~ひんやり、楽しく家族でおでかけ節電~
夏の電力需要ピークは、エアコンが使われる昼間です。そのため、
夏の節電対策にあたっては、昼間の電力需要をいかに抑えるかがポ
イントとなります。
夏の期間(7~8月)は、学校児童・生徒が夏休みに入っています。
また、県内には山、滝など天然自然に涼しいところがいっぱいありま
す。
そこで、県では、昨年の夏、観光地や商店街などへのお出かけを呼
びかけました。せっかくの夏ですから、県民の皆様には、クーラーのき 中央町商店街における氷の柱設置(大分市)
いた自宅で過ごすのではなく、地域の商店街や、涼しげな観光地に家
族そろってお出かけし、消費活動をしていただくための取組です。
節電のため、お出かけしていただくためには、“涼しかったり”“プレ
ゼントがあったり”といった+αが必要です。
県内の山間部には、高原や滝・川など、夏のレジャーにぴったりな観
光資源が沢山あります。また、大分県次世代エネルギーパークでは、
「おでかけサマー2013スタンプラリー」を実施し、約100名の応募が
ありました。
一方、まちなかに目を向けてみると、中央町商店街・竹町通商店街
では、氷の柱を設置したり、買い物客に冷茶を振る舞ったりといった取
組が見られました。
★節電の冬
原尻の滝(豊後大野市緒方町)
~日本一のおんせん県であったか節電~
冬の電力需要ピークは、午前中と夕方のふたこぶラクダです。
この時間帯では、家庭の節電をいかに推進するかがポイントとなり
ます。
エアコンなどの電気を使わずに暖をとる方法としては、「着込む」「石
油やガス等による暖房器具を使う」「体があったかくなる食品を食べる」
などがあります。他にも、大分ならではの方法として、「温泉に入る」こ
とも忘れてはいけません。
節電の冬をあったかく過ごすために役立つグッズ、特に県内企業が
企画・生産に携わっている製品・食品を「大分あったか節電応援グッ
ズ」として募集し、PRする取組を平成23年度から行っています。
例えば、国東市のヘルメット潜水(株)の生産するウエットスーツ素材
を使った「やわらか湯たんぽ」は、大変な人気商品となっています。
薬用湯の花((株)みょうばん湯の里)
やわらか湯たんぽ(ヘルメット潜水(株))
大分県は、豊富な自然の力と企業が培ってきた技術力をもって、エネルギーを生み出しつつ、関連産業でビ
ジネスチャンスを創出する“再生可能エネルギー日本一”の県です。
同じように持てる資源をフルに活用して、「観光地や商店街は、各家庭がお出かけにより楽しく節電できるよ
う集客イベントや、キャンペーンを展開する。」「企業では着実な省エネ・節電対策を進めるとともに、省エネ設
備のサプライヤー企業はその技術を遺憾なく発揮する。」といった“省エネ・節電ビジネス日本一”の称号を得
る日もそう遠くないことかもしれません。
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