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ファン騒音 - 豊橋技術科学大学
ファン騒音の性質と低減対策 0 豊橋技術科学大学 飯田 明由 ファン騒音対策 2012.1.12 1 ファン騒音 ファン騒音対策 2012.1.12 主な記号 2 静圧 p ヘッドH = [m] ρg 出力P = ∆pQ [ W ] 100 90 [mmAq] 圧力p [Pa ] 100 90 HAP-4 CP-PK 103 3-3 80 80 70 70 60 60 50 50 40 40 30 30 20 20 10 10 0 騒音レベル [dB(A)] 流量Q [m 3 /min, m 3 /s] 0 0 5 P 効率η = [ Peは入力電力] Pe 騒音レベルL [dB] 10 15 20 25 30 3 流量 [m /min] 2012.1.12 ファン騒音対策 ファン周りの流れ 3 相対速度W2 回転方向 周速度U2 軸流流れ 絶対速度V2 相対速度W1 周速度U1 絶対速度V1 ファン騒音対策 2012.1.12 速度三角形 4 子午面方向 相対速度 絶対速度 絶対流れ角α 相対流れ角β 周方向 周速度 2012.1.12 ファン騒音対策 オイラーヘッド 5 単位時間当たりファンから流体に作用するトルク T = ρQ(r2V2 cos α 2 − r1V1 cos α 1 ) 単位時間当たりの出力 P = Tω = ρQ(r2V2 cos α 2 − r1V1 cos α1 )ω = ρQ((r2ω )V2 cos α 2 − (r1ω )V1 cos α1 ) V2 2 − V12 U 2 2 − U 12 W2 2 − W12 = ρQ + − 2 2 2 P = ρQgH thより 2 2 2 2 2 2 V − V1 U 2 − U 1 W2 − W1 H th = 2 + − オイラーヘッド 2g 2g 2g ファン騒音対策 2012.1.12 ファン特性の相似則 流量係数:φ = Q u2 S 圧力係数:ψ = 2P ρu 2 2 Q1 / 2 比速度:Ns = N 3 / 4 H 6 遠心ファン:150 - 600 (高圧力・低風量) 斜流ファン:800 – 1400 (大風量・比較的高圧力) プロペラファン:10000 - 2000 (大風量・低圧力) 比速度:ヘッド1m,流量1m3/minにおいて最大効率点となる場合の回転数(rpm) ファン騒音対策 ファン騒音の特性 2012.1.12 7 回転音(Nz音):狭帯域成分…..ピーク性の音,耳障り ・周波数=羽枚数×回転周波数 ・流路系の音響共鳴との連成による場合もある ・静翼と動翼の干渉 乱流音:狭帯域騒音…….個々の成分の音のレベルは小さい ・周波数:右肩下がり(渦の特性) ・壁面近傍における渦や乱れの 変化に起因 ・抜本的な対策は難しい ファン騒音対策 2012.1.12 ファン騒音の相似則 8 圧力P ≈ D 2 N 2 流量Q ≈ D 3 N Lexp ≈ D 7 N 5~D 8 N 6 Lcurle ≈ (DN ) D 2 ≈ D 8 N 6 6 低騒音化→回転数及び直径を小さくする 2012.1.12 ファン騒音対策 比騒音 9 2 比騒音 : SL = L − 10 log k s Pt Q [dB] L : 測定した騒音レベル [dB] Pt : 全圧 [Pa] Q : 流量 [m 3 /s] k s : 比例係数0.625 超低騒音:15 低騒音タイプ:15-20 一般ファン:20以上 ファン騒音対策 2012.1.12 比騒音によるファンの分類 10 ターボファン,シロッコファン 比騒音:低 流量が少ないので,電子機器冷却などで使われることは少ない 軸流ファン 比騒音:大 小型で大風量が得られるので,電子機器冷却等に広く利用 2012.1.12 ファン騒音対策 ファン形状と騒音 小 ファン騒音対策 11 騒音レベル 大 2012.1.12 事例紹介:プロペラファン 12 回転方向 一般に先端のとがった 鎌形の翼のほうが低騒音 となる ファン騒音対策 冷却設計における注意点 2012.1.12 13 空力騒音は流速が局所的に速い部分から発生しやすい → 可能な限り遅い流速で冷却する → 一様な流れ場 速度変動,流体力変動が音の原因となる. → 入り口流れの乱れに依存 → ファンの試験装置での実験結果よりも電子機器 組み込み時には騒音が大きくなる. ファン騒音対策 2012.1.12 パンタグラフホーン騒音 14 φ10mm 円柱 間欠孔付円柱 2012.1.12 ファン騒音対策 間欠穴の効果 15 80 円柱 70 間欠円柱 SPL [dB(A)] 60 50 40 30 BGN 20 100 160 ファン騒音対策 250 400 630 1k 1.6k 2.5k Frequency [Hz] 4k 6.3k 10k O.A. 2012.1.12 乱流の影響 16 80 円柱 70 SPL [dB(A)] 60 間欠円柱 50 BGN 40 30 20 100 160 250 400 630 1k 1.6k 2.5k Frequency [Hz] 4k 6.3k 10k O.A. ファン騒音対策 2012.1.12 17 コンピュータの低騒音冷却事例 ファン騒音対策 2012.1.12 サイレンサによる騒音低減(事例) ワークステーション 18 ワークステーション 2012.1.12 ファン騒音対策 遮音(透過損失) 19 透過損失Ti = pt u t 4 Z1 Z 2 = pi u i ( Z 1 + Z 2 ) 2 音波 入射波p1 , u1 透過波pt , ut 反射波pr , u r インピーダンスZ1 = ρ1c1 ファン騒音対策 インピーダンスZ 2 = ρ 2 c2 2012.1.12 防音対策 20 音響インピ ーダンス [N・s/m3 ] 音速 [m/s] 密度 [kg/m3] 透過損失*1 等価厚さ*2 [dB] [mm] 弾性率 [Pa] 空気 4.08×102 341 1.2 1.4×105 ------ ------ 水 1.50×106 1480 998 2.2×109 10 8 アルミ 1.73×107 6420 2700 7.6×1010 17 3 鉄 4.16×107 5950 7860 2.2 ×1010 26 1 ガラス 1.00×107 5000 2500 70×1010 17 3.3 木材 2.30×106 4000 500 6.0×109 4.6 16 ポリエチレン 1.75×106 2300 1100 5.8×109 11 7 質量則 *1 :厚さ1mmの部材の透過損失(周波数1kHz) *2:厚さ1mmの鉄板とほぼ透過損失が等しくなる場合の板厚 TL = 20 log(mf ) − 43 [dB] m 単位面積あたりの質量 [kg/m 2 ] f : 周波数 [Hz] 2012.1.12 ファン騒音対策 遮音(コインシデンス) 21 材料の弾性と慣性によって定まる固有の周波数で透過 損失が低下する現象 入射波と固体上を伝わる曲げ波が共鳴することによっ て音が透過する現象 C2 12 ρ (1 − σ 2 ) 2 E 2πh sin θ C2 ≈ 1.8Cw h fc = Cw : 材料の音速 h : 材料の板圧 E:板材のヤング率 ρ:板材の密度 σ:板材のポアソン比 θ:板に対する音波の入射角 ファン騒音対策 測定値 45 質量則 40 透過損失[dB] C : 気体の音速 50 35 30 25 20 15 10 100 1000 10000 周波数[Hz] 2012.1.12 吸音材 22 反射エネルギー R 吸音(熱)エネルギー A R I T 透過率 τ = I A 吸音率 α = I 反射率 R = 入射エネルギーI 透過エネルギー T 吸音材は多孔質材料が使われることが多い 吸音材は一般に軽いので透過損失はそれほど大きくない. ファン騒音対策 サイレンサー(抵抗型サイレンサー) 2012.1.12 23 ダクト内を複数の流路に分割し,各流路表面に吸音材を貼り付ける ファン騒音対策 2012.1.12 冷却騒音の対策事例 24 室内温度が高い場合 ファンを高速運転 騒音増大 顧客からのクレーム ファン騒音対策 寄与率解析 2012.1.12 25 寄与率解析 ファン騒音対策 2012.1.12 サイレンサー効果の簡易予測 騒音低減予測 ファン騒音対策 サイレンサ性能評価ツール 26 通風抵抗予測 2012.1.12 27 http://fluid.mech.kogakuin.ac.jp/~iida/Lectures/Noise/Noise.xls ファン騒音対策 2012.1.12 エクセルによるパラメータ評価 28 2012.1.12 ファン騒音対策 性能評価(最適化) 29 20 18 [dB] 14 低減効果 16 10 12 8 6 採用モデル 4 2 0 0 5 10 15 20 25 30 圧力損失 [Pa] ファン騒音対策 2012.1.12 予測ツールの評価 30 70 [dB] 50 Noise Level 60 40 30 20 SR2201 With Silencer With Silencer (Prediction) 10 Frequency 2012.1.12 吸音サイレンサーを用いた電子機器 ファン騒音対策 OA [Hz] ファン騒音対策 騒音レベル 8000 5000 3150 2000 1250 800 500 315 200 125 80 50 20 31.5 0 31 54dB→40dB 2012.1.12 ファン騒音のまとめ 32 ファン騒音 ファンの回転数,相対速度に注意 ファン上流の流れの影響が大きい ファンの選定方法が重要 比騒音を調べてみる 動作点での運転となるようにする. 電子機器冷却における低騒音化 遮音,吸音の特性を知る 遮音は重さと構造,吸音は材質 通風抵抗と騒音はトレードオフ(ファンの選定) 冷却性能だけを考えると低騒音化は失敗する 低騒音化に必要な条件,冷却に必要な条件をメモしてみる ファン騒音対策 2012.1.12