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腸管感染症検査ガイドラインに対する貴重なパブ

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腸管感染症検査ガイドラインに対する貴重なパブ
日本臨床微生物学会会員の皆様へ
この度は、腸管感染症検査ガイドラインに対する貴重なパブリックコメントを多数お寄
せいただき誠に有難うございました。
本学会ではガイドライン作成にあたり中小規模の検査室が実践できる微生物検査ガイ
ドラインを目標にしています。このため、大規模施設または特殊な器具・設備・技能を必
要とする検査法の掲載は控えさせていただきました。さらに、お寄せ頂きましたご意見は
各検査項目の執筆者とマニュアル作成委員会との話し合いにより採用または一部割愛さ
せて頂きました。
以下にお寄せ頂いたパブリックコメントと学会の対応を報告させて頂きます。貴重なご
意見をお寄せいただいた方の中には、ご不満を感じておられる方もおられると思いますが
国内の検査事情を鑑みて、ご理解の程、宜しくお願い致します。
検査法マニュアル作成委員会一同
パブリックコメント回答:以下、敬称略
パブリックコメント:黒字、提言者:青字、回答:赤字で表記しています。
病原微生物検出のための検体採取法と保存及び輸送法
(執筆者:小栗豊子 亀田総合病院臨床検査部)
1.コメント:5 ページ: MeltzerLyon 法の 1 行目「・・・先端に菌属球」→「・
・先端に金属球」
2.提言者:土屋 滋夫 東ソー株式会社
3.回答: 変換ミスですので訂正します。
第2章 腸管感染症の検査対象となる微生物と同定のポイント
2) 腸管粘膜侵入性細菌による腸管感染症
(執筆者:山中喜代治 大手前病院中央検査科)
1.コメント①:図2中 Campylobacter spp の検査手順で「※増菌培養」と記載されてい
る(p11 及び p85)。Campylobacter spp の糞便増菌培養はメリットは無いと思う。
2.提言者:山梨県衛生監視指導センター 検査第一課細菌検査担当 植松 香星
3.回答:一般病院での利用ガイドラインでありますので、ご指摘のように「増菌
培養」は不要と思いますので、この部分は削除します。
1.コメント②:p10 表135℃と p84 図137℃など文書全体の培養条件の整
合性をとった方が良いのではないか。
2.提言者:山梨県衛生監視指導センター 検査第一課細菌検査担当 植松 香星
3.回答:特殊な場合を除き、培養温度を35℃に統一します。
1
第2章 腸管感染症の検査対象となる微生物と同定のポイント
3) 毒素産生菌による腸管感染症
(田中美智男 京都大学医学部附属病院)
1.コメント① p16「表1主な毒素産生性腸管感染症原因菌の産生する毒素」について
*B.cereus については、本文と同様に嘔吐毒とエンテロトキシンと記載してはど
うか。
*腸炎ビブリオについては、TRH も記載してはどうか。
2.提言者:山梨県衛生監視指導センター 検査第一課細菌検査担当 植松 香星
3.回答 1:本文と同様に「嘔吐毒(セレウリド)、エンテロトキシン、セレオリジン」
と記載します。
回答 2:掲載が妥当と思われますので腸炎ビブリオと NAG ビブリオに耐熱性溶血毒類似毒素
(TRH)を追加しました。
1.コメント② 18 ページ表 3. 「下痢原性大腸菌の種類と特徴」に関して腸管病原性大
腸菌(狭義)の病原因子と作用機序において BFP, Intimin: Hep-2 細胞・・・とあります
が、この Intimin をコードしているのが eae (eae あるいは eaeA ?) と理解しておりま
すが、如何でしょうか。これに関連して「志賀毒素産生性大腸菌」の病原因子と作用機序
に記載の定着因子:eae とありますが、「因子」と記載するならば Intimin とするほうが
妥当ではないでしょうか。
2.提言者:江成 博(会員番号:16706193700)
3.回答:定着因子:eae(intimin)と記載します。
1.コメント③ さらに「志賀毒素産生性大腸菌」において (STEC=EHEC=VTEC) と書かざ
るを得ないのは理解しておりますが、用語の厳密な意味からすれば、ヒトの感染症に余り
関与しないと考えられる「志賀毒素産生性大腸菌」の多くは eae を保有しない、すなわち
定着因子としての Intimin を産生しないものが多いと考えられます。ただ 1999 年の事例
では O86:HNM (VT2 産生) により、HUS, 脳症により死亡した患者から分離された株は eae
を保有せず、aggR および EAST1 を保有していたとの報告もあります。(ヒトに関与する
STEC はなんらかの定着(付着)因子を必要とするものと考えます。)
また主要症状として血便の記載は重要ですが、血便を見ることなく HUS に進展した事例
(ex. O177:HNM VT2 産生) もあることから注意を喚起する必要があるものと考えます。因
に、この株は hly A を保有しない株であったことも注目に値すると考えます。(後出の
enterohemolysin によるスクリーニングの弱点はこの辺りと考えます。)19 ページ写真 4.
は次の写真のようなものが理解しやすいのではないでしょうか。
要は enterohemolysin と α hemolysin の区別をする場合、α hemolysin 産生株と
2
hemolysin 陰性株を対照におくことが必要であり、一部、誤解されている方もおられまし
たが enterohemolysin 産生株をたてる必要はありません。(ATCC 35150, O128, O26, O111
の enterohemolysin 産生株でも、写真のごとく産生量の違いがあります。)
2.提言者:江成 博(会員番号:16706193700)
3.回答:表 3 において志賀毒素産生性大腸菌を腸管出血性大腸菌に改めるとともに、
EHEC=VTEC,STEC)と表現を変更しました。
HUS は重要な病態ですが、表中の主要症状に「普通便」と記載することは困難と判断いた
しました。
溶血環を観察して enterohemolysin を推定できることが重要と考え、写真はあくまでも
enterohemolysin の溶血環は弱いことを示しております。陽性コントロールをたてること
を意図しているわけではありません。enterohemolysin のみでベロ毒素を決定できるわけ
ではないので、ガイドラインでは厳密な観察眼を要求する必要は無いと考えています。
1.コメント④ 20 ページ表 4. STEC と類縁菌の生化学的性状ですが、まず菌名の上部
の SHEC はタイプミスと思いますが。また、性状の項目においてセロビオース、MUG とあ
りますが、この二項目が観察できる培地を開発した立場からだけでものを言うつもりはあ
りませんが、CLIG 寒天(cellobiose lactose indole β-glucuronidase agar) と明記され
るべきです。なぜなら cellobiose が処方されている確認培地で本邦での入手が容易なも
のは、これしかないこと挙げられますが、たまたま、一社しか製造・供給していないが故
に不親切な記載とするのは妥当ではないと考えます。また、MUG はβ-glucuronidase の基
質として処方したもので、項目として MUG と記載するのは妥当性を欠くと考えます。
2.提言者:江成 博(会員番号:16706193700)
3.回答:ご指摘の通りであり、表 4 に CLIG 培地を明記いたしました。また、MUG はβ
-glucuronidase に変更いたしました。
1.コメント⑤ 同じく 20 ページの表 5. は古過ぎるのではないでしょうか。ご参考ま
でに 2008 年のもの(2007 年の集計)を添付致します。
2.提言者:江成
博(会員番号:16706193700)
3
3.回答:現状の検出頻度と開きがありましたので、地研・保健所の 2009 年資料 19)を基
にして表 5 を差し替えました。
1.コメント⑥ さて前述のごとく enterohemolysin 非産生株が存在するなかで、
enterohemolysin によるスクリーニングを、ここ十年来、自身が奨めてきたわけですが、
現時点では臨床微生物検査で他の有効な手段が尐ないなかでは止むを得ないと考えており
ます。(本邦では一社しか製造・供給していない大腸菌抗血清の O 群は今もって 50 種し
か市販されていない[O 群は 181 種とも 185 種ともいわれており、欠番を考慮しても O 群
の 1/3 に満たない]現実がありますので。)先般、某学会にて当該メーカーの方には「現
行の抗血清で臨床微生物検査室に対し、大腸菌の血清型別をさせるのは如何なものか。む
しろ、全ての O 群抗体をスライドグラス上に固着した microarray(macroarray?) を開発、
供給する方向を模索したら如何。今後、さらに O 群が増えるにせよ、たかだか 200 種前
後であれば特許の問題も回避でき、検出系に専用の機器などを使用せず、1 株あたりのコ
ストが 100 円台であれば需要があるのでは。」と、いささか勝手な注文をつけた次第です。
さらに前出の病原微生物検出情報に記載されている「O157 血清診断」は数病日を経過し
ないと抗体上昇が認められない欠点があるばかりでなく、他の血清群が起因菌であった場
合、無効であることから「全ての O 群抗原を固着した microarray(macroarray?) を開発、
供給する方向を模索したら・・・」ということを伝えたのですが、渋い顔をされて終わっ
た次第です。現在、法的には血清診断(事実上、O157 のみ)が認められていると理解して
おりますが、やはり培養での確定が Gold standard であることは事実で、その役割を果た
すのが臨床微生物検査室と考えます。しかしながら発症後、時日を経過した場合、これら
の tool が有効であると考えますが、如何でしょうか。
2.提言者:江成 博(会員番号:16706193700)
3.回答:ご指摘の通り下痢原性大腸菌の血清型別は被験菌の病原性を考える上で混乱を
招いています。検査室では腸管出血性大腸菌が疑わしいコロニーについて直接毒素(遺伝
子)検査を行うことが王道であり、血清型別はあくまで O157 か否かを決定することに限定
した方が良いと思われます。enterohemolysin は数尐ないスクリーニングマーカーであり、
検査室でのいっそうの普及が望まれることからガイドラインにおいて言及しました。
1.コメント⑦ CTX 耐性の STEC のことを記載されておりますが、STEC 感染症の患者に
対する化学療法の是非についても記載して頂ければ幸いです。
2.提言者:江成 博(会員番号:16706193700)
3.回答:化学療法の可否については一律のリコメンドが難しいことから言及を避けまし
た。
1.コメント⑧ 1980 年代から STEC(EHEC) に関わりをもったいきさつから、血清型別や
enterohemolysin によるスクリーニングにかわる方法論が提示されるべきであると考えま
す。以上、押し詰ってのコメントですが、ご一考頂ければ幸いです。
2.提言者:江成 博(会員番号:16706193700)
3.回答:CLIG 培地や MUG テストによるスクリーニング法も有用と考えましたが、毒素の
検出を優先すべきとしました。ただし、表 4 には培地名等を明記しました。
4
1.コメント⑨ 24 ページ、20 ページ、26 ページ:ボツリヌス菌の「毒素検査法」に毒
素遺伝子を検出する PCR 法が記載されていますが、同様に毒素遺伝子あるいは毒素遺伝子
mRNA を検出する方法が報告されている、あるいは市販のキットがある
(i)(ii)(iii)(iv)(v)、Shiga 毒素 (20 ページ記 載) およびビブリオ毒素 (26 ページ記
載)には遺伝子検査が記載されていません。これらの項目で遺伝子検査が適用できるのか
どうか読者が判断に迷うのではないかと思われます。
[参考文献 等]
i) 東ソー株式会社 HP,
http://www.tosoh.co.jp/science/trc/
ii) Ishiguro T et al.: Intercalation activating fluorescence DNA probe and its
application to homogeneous quantification of a target sequence by isothermal sequence
amplification in a closed vessel. Anal. Biochem., 314 : 77-86, 2003
iii) Nakaguchi Y et al.: Rapid and specific dtection of tdh, trh1, and trh2 mRNA of
Vibrio parahaemolyticus by transcription-reverse transcription concerted reaction
with an automated system. J. Clin. Microbiol., 42 : 4284-4292, 2004
iv) Masuda N et al.: Rapid detection of tdh and trh mRNAs of Vibrio parahaemolyticus
by the transcription-reverse transcription concerted (TRC) method. J. Biosci.
Bioeng., 98 : 236-43, 2004
v) 斎藤寿一 他 : RNA 測定の日常化-TRC 法を用いた簡易・迅速化-. 生物試料分析,
28 : 392-9, 2005
vi) Takakura S et al.: Rapid detection of Mycobacterium tubercurosis in
respiratory sample by transcription-reverse transcription concerted reaction
with an automated system. J. Clin. Microbiol., 43 : 5435-9, 2005
2.提言者:土屋 滋夫 東ソー株式会社
3.回答:ボツリヌス菌の毒素遺伝子検査法は衛生検査所レベルで実施されているとの表
現に改めました。
1.コメント⑩:P18 表 3
血清型
当方では、EAggEC 保存株 19 株中の血清型は、O126 が 7 株、O111 が 3 株、他は O15、O44、
O86a、O103、O119 が各 1 株、OUT 4 株でした。O126 や O111 は出現頻度が高いかと思われ
ますがいかがでしょうか。また「遅延性」というより「持続性」の下痢ではないでしょう
か1)。
2.提言者:弘前大学大学院保健学研究科 藤岡美幸
3.回答:原典記載の血清型をガイドラインに掲載しましたが、近年の報告ではご指摘の
通り O111 や O126 が出現しておりますのでこれらの血清型を追記しました。遅延性の表現
は原典のままの表記とします。
コメント⑪:P19 本文中
(STEC)はイタリックではなく(STEC)ではないでしょうか。
参考文献 1)坂崎利一:新訂 食水系感染症と細菌性食中毒 P259
2.提言者:弘前大学大学院保健学研究科 藤岡美幸
5
3.回答:ガイドライン中の用語を統一するため EHEC;enterohaemorrhagic Escherichia
coli と記載します。
6) 腸結核
(御手洗 聡先生 結核予防会結核研究所)
1.コメント:37 ページ:結核菌群の「遺伝学的方法」には、他に、複数の核酸増
幅検査方法(市販キット)(i)(vi)があるのですが記載されていません。市販キッ
トを使用する読者も多いと思いますが、それぞれのキットが適用できるのかどうか
判断に迷うのではないかと思われます。36 ページの b) 臨床検査では、フェノール
を使用する核酸抽出法が記載されていますが、他にも種々の核酸抽出法(市販キッ
ト)(i) が知られていますので、抽出方法の選択の参考になるような情報をのせて
もらいたいと思います。
2.提言者:土屋 滋夫 東ソー株式会社
3.回答:原稿を一部修正しました。
江崎孝行先生からのご意見:私がコメントする立場ではないですが結核菌を目標
に検査するのであれば、今のままの記載で十分だと思います。界面活性剤等の処理
方法では結核感染を起こす可能性があるのでフェノール処理工程がはいっている
方法が安全。土屋 滋夫 氏の意見には反対で 安全性を考慮してフェノールを使用
する核酸抽出法を優先して記載したとした法がよいと思います。
2 ウイルス性腸管感染症
(牛島廣治 東京大学大学院医学系研究科発達医科学教室)
(沖津祥子 藍野学院短期大学藍野健康科学センター)
1.コメント①:⇒45 ページ:表1腸管感染症原因ウイルスの性状にて、検査法の
欄で、ノロウイルスの検出に使用されている既存の核酸増幅検出方法でありながら
記載されていないものがあります。市販キットがあり誰でも使用可能な方法がある
なら(性能に顕著な差がないのであれば)広くリストアップし、読者の選択に任せ
た方が良いのではないでしょうか?ちなみに、検査法(市販キット)として TRC 法
(Transcription Reverse transcription Concerted reaction) (i)(v)、LAMP
(Loop-Mediated Isothermal Amplification)などもあげられます。
2.提言者:土屋 滋夫 東ソー株式会社
3.回答1):本原稿は約 3 年前の執筆のため、その後の研究の進行や市販キット
販売状況などにより、ご指摘のように現状とは合わないところも多くあります。そ
のため、文章を修正いたしました。特にノロウイルスに関しては、抗原抗体法によ
る迅速診断キットや核酸増幅法に基づく市販キットが多く販売されておりますの
で、表を書き換えました。(本文および表の修正版あり)
回答2):この表における検出法は原理を示したもので、多様な核酸増幅法をここに示
すのはスペース的にも困難と考えられますので、その欄は削除しました。市販キットに関
しては表 3 と 5 に記載しました。
1.コメント②:47 ページ 5 行目: “われわれの研究室では・・・用いている”
は、特定の研究室で実施している方法を推奨しているように受け取れますが、ガイ
ドラインの記載としては、客観的に比較評価した方法を記載することが望ましいと
思います。
2.提言者:土屋 滋夫 東ソー株式会社
6
3.回答:多種のウイルを同時検出するために有用な multiplex-PCR 法の利点は文
献紹介にとどめ、このガイドラインの対象ウイルス検出を RT-PCR 法で行うための
primer を文献とともに表 4 に掲載しました。
1.コメント③:49 ページ 22 行目“R-Biopharm のキットも販売予定である” と
ありますが、現時点で実際に存在しない方法あるいはキット)の記載は避けた方が
良いと思います。49 ページ:【同定のポイント】 RT-PCR 法しか記載されていま
せんが、その他にも、既存の核酸増幅検出方法が知られています。ちなみに、既存
検出法(市販キット)として TRC 法(Transcription Reverse transcription
Concerted reaction) (i)(v)、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)
などもあげられます。なお、「大量調理施設衛生管理マニュアル」(平成 9 年 3 月
24 日衛食第 85 号別添)(最終改正:平成 20 年 6 月 18 日食安発第 0618005 号)に
記載されている“リアルタイムPCR法等の高感度の検便検査”について弊社から
厚生労働省に問い合わせたところ、リアルタイムPCR法と同等以上の感度を有す
る他の核酸増幅検出法も含まれる、という回答を得ましたが、本件については、日
本臨床微生物学会事務局からも厚生労働省に問い合わせていただけないでしょう
か?ご検討の程よろしくお願い申し上げます。
2.提言者:土屋 滋夫 東ソー株式会社
3.回答:理事会にて検討します。
追記:6 月 18 日開催の理事会で協議し、学会事務局から厚生労働省への問い合
わせは行わないことに決定しました。
1.コメント④:49 ページ 22 行目“一般的には RT-PCR で検出されており” とあ
りますが、RT-PCR を推奨する記載かどうかが不明確と思われます。RT-PCR 以外の
核酸増幅検出法も知られている中で、RT-PCR を推奨するならば、比較評価データを
もって、その優位性を記載してもらった方が読者にとってわかりやすいと思いま
す。また、表 4 に記載された primer の選定根拠も不明確と思われます。なぜなら、
primer は他にも多数報告されていますが、比較データが示されていないからです。
2.提言者:土屋 滋夫 東ソー株式会社
3.回答:ノロウイルスの R-Biopharm の ELISA キットは国内では販売されないことになり
ましたので削除し、その後開発されたイムノクロマトグラフィーによる迅速診断キットを
表 3 に追加しました。また、ロタウイルス、アデノウイルスのキットも追加しました。
また、ノロウイルスの核酸増幅法による市販キットについては前述のようにあらたに表 5
を作製し、記載しました。RT-PCR 法の primer は厚生労働省通知による検査法の primer を
記載しました。
1.コメント⑤:49 ページ 25-26 行目“リアルタイム PCR によりウイルスのコピ
ー量の測定が行われている” とありますが、“リアルタイム PCR によりウイルス
のコピー量の測定”を推奨する記載なのかどうかが不明確だと思います。リアルタ
イム PCR を推奨する場合は推奨の根拠を示したもらった方が読者にとってわかりや
すいと思います。また、その場合はリアルタイム PCR の条件も記載した方が良いと
思います。なぜなら、一口にリアルタイム PCR といっても条件によって性能は大き
く異なることが想定されるからです。
2.提言者:土屋 滋夫 東ソー株式会社
7
3.回答:リアルタイム PCR 法についても上記検査法を文献として記載しました。
1.コメント⑥:49 ページ 28 行目「同定のポイント」に RT-PCR が記載されてい
ますが、RT-PCR の条件が記載されていないため、読者が実際に実施する際の参考に
することができません。というのも、現在では、RT-PCR を用いた市販キットが販売
されているため、本項記載の RT-PCR と市販キットが同一のものかどうか読者に判
断できないからです。市販キットは他にも、LAMP や TRC (i)(v) などの異なる核酸
増幅検出法を用いたキットも販売されていますが、これらが「同定のポイント」に
記載されない理由が特にないのであれば記載した方が良いのではないでしょうか。
2.提言者:土屋 滋夫 東ソー株式会社
3.回答:RT-PCR 法の方法を文献に記載しました。また市販キットについても言及しまし
た。
第 3 章 腸管感染症の診断に有用な検査法とその役割
a) 抗原検査
(藤田 拓司、小松 方 ファルコバイオシステムズ総合研究所)
コメント:64 ページ・35 行目。PCR 法が推奨されていますが、他にも異なる核酸増
幅検出法を用いた方法が知られています。もし、PCR 推奨の根拠がないのであれば
他法も載せた方が良いと思います。できれば、各方法の特徴をリストアップしても
らえれば、読者が選択する際の参考になると思います。ちなみに、既存検出法(市
販キット)として TRC 法(Transcription Reverse transcription Concerted
reaction)などもあげられます(i)。
2.提言者:土屋 滋夫 東ソー株式会社
3.回答:35 行目には「培養法や PCR 法などによる検査の併用を行うことが望まし
い。」と記載しております。従いまして、PCR 法だけの方法を推奨しているわけで
はありません。誤解があるといけませんので、「培養法や PCR 法等の核酸増幅法の
検査の併用を行うことが望ましい。」と書き換えます。核酸増幅法の細い種類につ
きましては、他の項に記載がなされており、本ガイドラインの体裁上、本項で詳し
く記載することは割愛させていただきます。
d) 遺伝子検査
(江崎孝行、岐阜大学医学部微生物学教室)
1.コメント:72 ページ 23 行 - 73 ページ 21 行目: Guanidium 塩を使用し物理的に破砕
する方法を記載していますが、他にも多数の方法が知られていると思います。確かに、市
販の抽出キットが販売されているという記載はありますが、それらが有用なのかどうか、
また前述の Guanidium 塩法と比較するとどうなのか、読者には判断できません。また、“
Qiagen の Stool DNA 抽出キットは広く使用されている” とありますが、これが Qiagen キ
ットを推奨する記載なのかどうかが不明確とおもわれます。Qiagen キットを推奨する場合
は他法との比較データを出してもらえると読者にとってわかりやすいのではないでしょう
か。
2.提言者:土屋 滋夫 東ソー株式会社
3.回答:抽出キットも基本的には自前で調整可能な方法を記載しました。また感
染症の病原体取り扱いで安全性を考慮し、実験者が感染をしない配慮が払ってある
方法として紹介しました。Qiangen は国際的によく使われているので言及しただけ
8
で、糞便検査に優れているということはありません。むしろ、記載した方法より、
はるかに悪いというデータを持っていますが、非難になるので良いとも悪いとも記
載していません。
1.コメント②:73 ページ: 32 行目。(トーソー)
2.提言者:土屋 滋夫 東ソー株式会社
3.回答:「東ソー」と表記します
→
(東ソー)
1.コメント③:74-79 ページ:「急性下痢症病原体の遺伝子検査」にリアルタイ
ム PCR が記載されていますが、リアルタイム PCR を推奨する記載なのかどうかが不
明確と思われます。尐なくとも、invA、stn、stx1、stx2、tdh、trh あるいはこれ
らの mRNA を検出する(PCR 以外の)核酸増幅検出キットが市販されている現状にお
いて、リアルタイム PCR のみを推奨する場合は、比較データを出して推奨の根拠を
示してもらえれば読者にとってわかりやすいと思います。ちなみに、既存検出法(市
販キット)として TRC 法(Transcription Reverse transcription Concerted
reaction)などもあげられます(i)(ii)(iii)(iv)(v)。表 1a の primer の選定根拠も
よくわかりません。
2.提言者:土屋 滋夫 東ソー株式会社
3.回答:すでにキット化したものにはほとんど試薬構成がマスクしてありますの
で、技師が独自に試薬調整するのは不可能と判断し除外してあります。文献を見て
自分で試薬を調整して検証できるものとして出してあります。SYBR GREEN による
realtime も研究レベルで使用するものは特許は関係ない。市販のキットはむしろほ
とんど特許化されているので特許の有無を議論するのはおかしい。TRC, NASBA,
LAMP 法はキットを買う以外に実験ができないので触れていません。
1.コメント④:79 ページ下から 10 行-下から 8 行目:「迅速増幅」に SYBR Green
1 を用いたリアルタイム PCR が記載されていますが、当該技術は権利化されており
ます(特許第 2985446 号)。読者の対象がはっきりしませんが、念のため、引用文
献あるいは欄外に、その旨記載した方が良いのではないでしょうか?
79 ページ:「迅速増幅」に PCR が記載されていますが、現在、迅速増幅をうたう
PCR 以外の核酸増幅検出法を用いた複数の既存方法(市販キット)が存在している
ため、特に、PCR が優位である根拠がないならば、その他の方法を記載した方が、
読者の参考になると思います。ちなみに、既存迅速核酸増幅検出法(市販キット)
として TRC 法(Transcription Reverse transcription Concerted reaction)なども
あげられます(i)(ii)(iii)(iv)(v)(vi)。
(その他ミスタイピングなど)
2.提言者:土屋 滋夫 東ソー株式会社
3.回答:糞便の遺伝子検査は保険対象外なので、自前で primer を合成して実験
する人にため配列情報が公開されているもの、試薬の構成成分が公開されていて利
用者が独自で購入して実験使うことを目標にして書きました。すでにキット化した
ものにはほとんど試薬構成がマスクしてありますので、技師が独自に調整するのは
不可能と判断し除外してあります。網羅的に記載したわけではないのでこれから遺
伝子検査をやってみようという人の参考になればと一般論を記載しました。特定の
キットはキットを販売する会社が他社と比較するデータをとって宣伝すればいい
9
ことで、トレースできないキットを網羅的に記載すれば検査技師の意欲を低下させ
ると思います。自前で調整すれば、PCR は一回 50-100 円で実験ができるがキット
は通常一回 1000 円以上。
2) 培養検査
1.コメント①:p83 下から5行目YT→VT
コメント②:p87-9行目35℃18~24時間と p86 表1 37℃18~20時間培養
p10 表1 35℃と p84 図1 37℃など文書全体の培養条件の整合性をとった方
が良いのではないか。
2.提言者:山梨県衛生監視指導センター 検査第一課細菌検査担当 植松 香星
3.回答:YT→VTに修正。培養温度は 35℃または 37℃にどちらかに統一することで訂
正を行う。p87-9行目35℃18~24時間と p10 表13 5℃ p10 表13 5℃
すべての図表文中の 37℃を培養温度 35℃に統一。p86 表1 37℃18~20時間培養を
培養時間 18~24 時間に統一。p84 図1 セレナイト培地 15~18 時間を 12~18 時間に変更
P10 図 1 12~18 時間と整合性を持たせた。
3)効率的な日常検査の組み立て
(三澤成毅 順天堂大学病院中央臨床検査室)
1.コメント①:p96-8行目、分離培地上の集落を用いて抗血清によるスライド凝集を行
うとあるが、SS、DHL及びTCBS寒天培地上の集落からの凝集は、抗原量やコンタ
ミネーションの問題から薦めることができない。
2.提言者:山梨県衛生監視指導センター 検査第一課細菌検査担当 植松 香星
3.回答:ご指摘の抗血清による交差反応については,本文で既に言及しています。読者
の理解をより確実にするため,さらに下記の文章を追加しました。「 こ れ ら の 抗 血 清 は
他 の 腸 内 細 菌 科 等 と 交 差 反 応 が し ば し ば み ら れ る の で ,生 化 学 的 性 状 に よ る 確
認も必ず行う。」
1 .コ メ ン ト ② : p96 準備すべきスライド凝集反応用抗血清で「EHEC(STEC)
はO157血清」とあるが、混合血清による凝集を行わず、いきなりO157抗血清につ
いて行うと交差反応のリスクがあると思われる。
2.提言者:山梨県衛生監視指導センター 検査第一課細菌検査担当 植松 香星
3.回答:ご指摘の O157 血清単独の検査については,交差反応の確認の必要性を読者へ伝
えるため,さらに下記の文章を追加しました。
第 4 章 薬剤感受性検査と治療法
1) 腸管感染症の治療に有効な抗菌薬
(相楽裕子 横浜市立市民病院感染症部)
1.コメント:p100-表2中 V.cholerae O1/O139 については、「常に適応あり」と「通
常は適応なし」と両方記載されている。本文中の内容から「常に適応あり」とすべき。
2.提言者:山梨県衛生監視指導センター 検査第一課細菌検査担当 植松 香星
3.回答:上記コメントの通り、表 2 中の「通常は適応なし」の項から V.cholerae O1/
O139 を削除します。
その他の変更箇所(耐性菌増加のため)
* p.104 文献 4)サンフォード感染症ガイド 2008(第 38 版)(Gilbert DN, Moellering
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Jr RC, Eliopoulos GM, Sande MA ed). 2008. ライフサイエンス出版, 東京.
* p.102 2)抗菌薬療法の実際
b) 疾患別選択薬
(2) サルモネラ腸炎の項目の最後に下記を追加。
ニューキノロン耐性菌にはアジスロマイシン(AZM)が用いられる(保険適応外)4)。
* p.103 (5) 細菌性赤痢ノ項目の最後に下記を追加 。
ニューキノロンおよび FOM 耐性菌には AZM が用いられる(保険適応外)4)。
* p.103
(7) 腸チフス・パラチフス
「再発時にはアジスロマイシン(AZM)(保険適応外)を経口投与する。保菌者も含め法に
よる除菌の確認を行う 4」。」の部分を下記に変更してください。
再発時には AZM(保険適応外)を経口投与する 4)。保菌者も含め法による除菌の確認を行
う。
以上です。
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