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紋別市立学校 室内化学物質対応マニュアル

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紋別市立学校 室内化学物質対応マニュアル
紋別市立学校
室内化学物質対応マニュアル
~シックスクール予防のために~
紋別市教育委員会
平成21年(2009年)3月
はじめに
近年、新築・改築・改修等の直後の住宅、学校等において、ホルムアルデヒド等の化
学物質に汚染された室内空気によって、目がチカチカする、頭痛やめまいがするなど
の様々な症状を引き起こす、いわゆるシックハウス症候群あるいは化学物質過敏症が
社会問題化していますが、このうち学校が関係する場合を一般的にシックスクールと呼
ばれています。
学校は児童生徒・教職員等が日常生活の大半を過ごす場所であることから、学校に
おける良好な生活環境の維持や改善が求められており、学校の新築・改築・修繕はもと
より、机・イス・棚などの備品類、子ども達が使用する文具類等から放散する化学物質
への対応や児童生徒の健康管理、また、シックハウス症候群等の正確な情報収集と提
供など、シックスクール問題は学校の施設整備や維持管理の問題に止まらず、極微量
な化学物質に過敏に反応してしまう児童生徒等への配慮も含め、総合的な対策が必要
となっています。
この問題の対応として、文部科学省では「学校環境衛生の基準」の「教室等の空気」
に、ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物の項目を盛り込み、検査方法や基準、事
後措置等について定めています。
市教育委員会では、小向小学校の新校舎建替えに伴い、化学物質が放散され児童
と教職員に健康被害が生じた事実を踏まえて、児童生徒が安全で安心のできる学校生
活を送ることができるよう、「学校環境衛生の基準」に基づき、市立小中学校における室
内化学物質対応マニュアルを策定し、室内化学物質への対策を、学校を中心として保
護者、関係機関、教育委員会が一体となって取り組んで行こうとするものです。
なお、シックハウス症候群や化学物質過敏症については、医学界において未解明な
部分が多いため、今後も、国等の動向等に注視し、新たな情報の収集に努め、必要に
応じて本マニュアルの見直しを行うことにしています。
平成21年3月
紋別市教育委員会
教育長
西
田
修
次
目
次
はじめに
第1
シックハウス症候群と化学物質過敏症・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
1.シックハウス症候群
2.化学物質過敏症
第2
シックハウス症候群等の予防措置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
1.学校施設の維持管理
2.教室等の換気
第3
シックハウス症候群等の児童生徒への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
9
1.児童生徒等がシックハウス症候群と思われる症状を訴えた場合
2.児童生徒への適切な指導と保護者との連携
3.化学物質に過敏に反応する児童生徒への対応
4.児童生徒等の健康管理
5.シックハウス症候群等に係る相談窓口
第4
学校の空気環境調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
14
1.学校環境衛生の基準
2.定期検査の実施
3.臨時検査の実施
第5
教職員等の意識啓発と対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
16
1.学校
2.教育委員会
別紙1
保護者や専門医等からの確認・協議事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
19
別紙2
児童生徒の健康状況の調査票・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
21
別紙3
健康についての質問票・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
22
別紙4
シックハウス症候群と思われる児童生徒の報告・・・・・・・・・・・・・・・・・
23
《 資
料 》
室内空気中化学物質の室内濃度指針値とその特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
25
学校環境衛生の基準/抜粋・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
27
学校環境衛生管理マニュアル/抜粋・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
29
引用・参考資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
48
あとがき
第1
シックハウス症候群と化学物質過敏症
1.シックハウス症候群
シックハウス症候群とは、住宅の新築や改装工事に使われている住宅建材、建材関
連品に含まれる防腐剤・接着剤や防虫剤などから、室内に発生する揮発性化学物質や
ダニ・カビなどのアレルゲンが原因で、体調不良または健康障害など多様な症状を引き
起こす事と言われています。
様々な要因が複雑に関係していると考えられており、化学物質に対する感受性の個
人差など、症状発生の仕組みをはじめ未解明な部分も多く、また様々な複合要因が考
えられることから、これらの健康障害を総称して「シックハウス症候群」と呼んでいます。
主な症状として、「目がツーンとする」「頭や喉が痛い」「ゼイゼイする」といったものか
ら腹痛、鼻炎、嘔吐、呼吸器障害、めまい、皮膚炎などが上げられています。
シックハウス症候群は住居内での知覚症状が多く、一般的には原因となる住居等か
ら離れると症状が改善されることが多いと言われています。
2.化学物質過敏症
化学物質過敏症とは、一般的に大量の化学物質や薬品に曝露されたり、微量でも繰
り返しあるいは長時間曝露され体の耐性の限界を越えてしまったことにより、微量の化
学物質でも過剰なほどに敏感に発症すると言われています。
主な症状としては、シックハウス症候群と同様の症状や情緒不安、神経症、行動過多
などが上げられます。
シックハウス症候群とは違い化学物質過敏症は住居等に限らず、あらゆる環境にお
いて排気ガスやタバコの煙など大気中をはじめ、学校で使用される教材教具や化粧品
・洗剤などに含まれる微量の化学物質でも過敏に反応し発症する可能性があります。
特定の化学物質のみに反応する場合は、当該物質を避けることによって生活は可能
ですが、多種類化学物質過敏症の場合は、日常生活にも大きな支障をきたす場合が
多いと言われています。但し、発症時期とのその可能性については個人差が大きく、そ
れが原因解明の妨げにもなっているようです。
シックハウス症候群や化学物質過敏症の児童生徒への対応は個別の対応が基本と
なりますが、すべての学校は、日常的に換気を行う等の予防策に努めると共に、症状の
ある児童生徒が在籍している学校は、保護者との連携を取りながら、関係機関等の指
導・助言を基に、可能な限り適切な対応体制を取ることが必要です。
-1-
第2
シックハウス症候群等の予防措置
1.学校施設の維持管理
(1)
①
新築・改築・増築・改修等の設計・工事時の留意点
学校の新築・改築・増築・改修等の設計及び工事は、紋別市公共建築物ガイド
ライン及びマニュアルに基づき行いますが、学校においては設計及び工事を実施
する前にシックハウス症候群や化学物質過敏症の児童生徒等がいないか確認し、
このような児童生徒等が在籍している場合は、速やかに教育委員会に連絡してく
ださい。
②
工事終了後は室内化学物質濃度の測定を実施し、安全確認を行ったうえで施
設が引き渡されますが、学校においては教室等を使用するまでのあいだ、必ず充
分な換気を行ってください。
(2)
①
机、椅子、コンピューター等の学校用備品
新たに購入する机、椅子、コンピュータ、木製楽器等の学校用備品からは、化
学物質が発生する恐れがあります。
パソコン室等の整備では、パソコン等の備品からホルムアルデヒドが発生する可
能性があるほか、フリーアクセス床と絨毯の接着等の備品取り付けなどの付帯工事
で、化学物質を含む塗料や接着剤を使用する場合もあるので、粘着テープの使用
や放散量の少ないものを選定したり、事前に充分放散させてから当該教室等に搬
入・使用してください。
実験台等の製作発注や木製家具等の備品は合板を材料にする場合が多いた
め、ホルムアルデヒドについての規格に留意する必要があります。 搬入された場
合は引き出しなどを開放した状態にして、できるだけ長時間当該教室等の窓を開
け充分に換気を行うよう留意してください。
なお、机、椅子などは、日本工業規格(JIS) *1及びグリーン購入法*2 に基づく基
本方針の中で、材料の合板や繊維板のホルムアルデヒド放散量について、一定以
下の放散量となるよう規定されています。
また、メーカーや業界団体ではホルムアルデヒド放散量の自主基準を設定して
いる場合もあります。
児童生徒の安全・安心を充分に確保できるように、学校用備品等の購入に当っ
ては、仕様書の作成において以下の点を盛り込むなど、留意して行ってください。
【 ポイント 】
○ 塗料や接着剤を使用し乾燥期間が必要な製品には、余裕のある納期を設
定する。
○ 製品の内部に使用されている材料の成分についても確認するよう努める。
-2-
○ 購入や更新の際は、事前に使用材料や成分等に係わる情報を把握し、
必要な内容を仕様書に盛り込む。
②
備品等の仕様書作成における留意点
ア
備品等の使用材料を指定する
【 ポイント 】
○
合板等を材料に使用する場合は、ホルムアルデヒドについて、JIS・JAS
規格のF☆☆☆☆又は同等以上の製品を指定する。
○
各材料メーカーの自主的基準による、環境対応型の材料を指定するこ
とにより、発生抑制を図る。
イ
備品の材料等が含有する化学物質を、化学物質等安全性データーシート(M
SDS)*3等で確認する。
【 ポイント 】
○
指定化学物質を含む製品のMSDSの添付は、一般消費者向け製品
では対象外となっているが、事業者間取引においては義務付けらている
ので、納入業者等を通じてMSDSの提出を求めるなど可能な限り確認
し、提出のあったシート等は保存する。
ただし、含有量1%未満(ベンゼンなどの特定第一種指定化学物質は
0.1%未満)の成分については記載義務がないため、MSDSでの不使
用の確認はできない。
ウ
製品の種類に応じ、適切な納期を設定する。
【 ポイント 】
○
接着剤を使用した材料や塗装した製品の場合は、適切な乾燥期間を
確保することで、室内化学物質を削減することができる。
エ
製作発注等による備品購入では、必要に応じて中間検査を実施する。
【 ポイント 】
○
製造・組立完了後の材料検査が困難である場合は、指定材料が使用
されているか確認するために中間検査を行う。
○
中間検査を行わない場合は、使用材料についての出荷材料証明や組
立現況写真等で確認する。
-3-
物品等購入の際は以上の事項に留意し、内容や種別に応じて仕様書を適切に
作成し、必要な検査を実施します。
なお、備品購入時の備付工事や、リース契約時に付帯する工事等についても、
その内容を把握して特段の注意を払うことが重要です。
③
特別教室には特有の備品があり、専門科目では化学物質を使用する実習もあり
ます。 さらに、学校で日常的に使用する教材や教具にも、さまざまな化学物質が
含まれている可能性に留意する必要があります。
(3)
教材、文具
接着剤、油性フェルトペン、ホワイトボードマーカー、化学実験用薬品等か
らも化学物質が発生する恐れがあります。 これらの使用に当っては、窓の開放
又は換気扇による換気を励行してください。
(4)
床ワックス、芳香剤等
ワックスからも化学物質が発生する恐れがあるので、ワックスの選定にあたっては、
製品表示やMSDSを製造業者等から取り寄せ、シックハウス対応型など化学物質の
放散量が少ないものを使用してください。
ワックスの塗布は、原則年1回、長期休業中の児童生徒等がいないときに実施し、
塗布後は充分に換気を行ってください。
(5)
施設の補修
学校等で行う軽微な修理及び学校職員が行う小規模な塗装などであっても、シッ
クハウス症候群等の問題が発生する恐れがあることから、使用する塗料、接着剤等は
その成分を確認し、化学物質を含むものは原則として使用しないか、できるだけ少な
いものを使用するものとします。
なお、化学物質過敏の児童生徒の在籍する学校にあっては、補修工事等を行う
前に、当該児童生徒の保護者に連絡し、補修工事後の対応を協議してください。
(6)
施設の衛生管理
食中毒、感染症の予防のため、給食施設等における衛生管理として消毒や衛生
害虫の駆除が必要となる場合があります。
しかし、薬剤等に敏感に反応してしまう児童生徒等もいることから、薬剤等を使用
する場合は、必要に応じ学校薬剤師の指導助言を受け、当該児童生徒等に影響を
与えないよう、できる限り休業中に実施するなど使用時期等についても配慮してくだ
さい。
(7)
校舎、樹木等の消毒
予防を目的とした定期的な薬剤散布は行わず、せん定や粘着トラップなどの捕殺
等により対応することを基本とします。 やむを得ず薬剤散布を行う場合は最小限と
し、その際は次のとおりとしてください。
①
薬剤散布は、害虫の緊急発生時を除き、原則として休業日に行う。
②
薬剤散布をする場合は、児童生徒等、保護者、近隣住民等への周知を行う。
③
散布は、必要最小限の量、必要最小限の区域にとどめるとともに、児童生徒が
散布場所に立ち入らないように囲いを施すか、近づかないよう指導を徹底する。
-4-
コンピューターの事前放散例
・ 設置する前に換気の良いところで開梱し、しばらく稼動させる。
・ 開梱、稼動初期の段階において換気を十分行いながら使用する。
*1 建築基準法施行令及びJIS・JAS規格
第20条の5(居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがある物質)
クロルピリホス及びホルムアルデヒドとする。
第20条の6(建築材料についてのクロルピリホスに関する技術的基準)
1
建築材料にクロルピリホスを添加しないこと。
2
クロルピリホスをあらかじめ添加した建築材料を使用しないこと。
第20条の7(建築材料についてのホルムアルデヒドに関する技術的基準)
第1種ホルムアルデヒド発散建築材料
放散量/夏季 120 μg/㎡h以上、床面積比/使用できない
JIS・JAS放散量による等級区分及び表示記号/ F ☆
◎内装の仕上げとして使用できないもの。
第2種ホルムアルデヒド発散建築材料
放散量/夏季 20 μg/㎡h以上 120 μg/㎡h以下、床面積比/面積制限
JIS・JAS放散量による等級区分及び表示記号/ F ☆☆
◎放散量はある程度あるが、内装材として用いる場合は使用面積を一定割合
にすることで使用でき、天井裏では換気装置や通気止めを設けることで使
用できるもの。
第3種ホルムアルデヒド発散建築材料
放散量/夏季 5 μg/㎡h以上 20 μg/㎡h以下、床面積比/面積制限
JIS・JAS散量による等級区分及び表示記号/ F ☆☆☆
◎放散量が比較的小さく、内装材として用いる場合は使用面積を一定割合
にすることで使用でき、天井裏では制限なく使用できる。
ホルムアルデヒド発散建築材料規制対象外
放散量/夏季 5 μg/㎡h以下、床面積比/無制限
JIS・JAS散量による等級区分及び表示記号/ F ☆☆☆☆
◎放散量が小さく使用制限がない建材。
※ Fはホルムアルデヒド( for maldehyde )の頭文字です。F☆☆☆☆の材料であ
ってもホルムアルデヒドを放散する量は、0%ではありませんので適正な換気量
を確保するようにしてください。 JASでは他に「非ホルムアルデヒド系接着剤使
用」などの表示記号もあります。
※ μg(マイクログラム)/100万分の1gの重さ。放散速度を1μg/㎡hは建材1㎡に
つき 1 時間当り1μgの化学物質が発散されることをいいます。
-5-
*2 グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)
グリーン購入法に基づき、「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」を策
定し、国及び独立行政法人等の機関が製品やサービスを購入する際に、購入の
必要性の検討を含めて、環境負荷軽減への努力を求めています。また、地方公共
団体、事業者、国民等もこの基本方針を参考とすることが望ましいとしています。
産業界では、グリーン購入法の制定や環境に対する国民意識の高揚を背景
に、①省資源、②省エネルギー、③環境汚染物質の排出抑制、④廃棄物の排出
抑制、⑤有害物質の不使用、⑥生態系の保護、⑦その他の環境負荷の軽減を目
指した、環境配慮型製品の開発に、多くの業界が積極的に取り組んでいます。
さらに、ISO(又はJIS)14020シリーズ(いわゆる環境ラベル)に準じて、エコマ
ーク等の認証を取得したり、環境配慮の自主的宣言を行う企業が増加しています。
グリーン購入法/環境物品等の調達の推進に関する基本方針より
4.オフィス家具等
品目:いす、机、棚、収納用什器(棚以外)、ローパーテーション、
コートハンガー、傘立て、掲示板、黒板、ホワイトボード
【判断の基準】
材料からのホルムアルデヒドの放散速度は 0.02mg/㎡h以下又はこれと同等
のものであること。
【配慮事項】
使用される塗料は、有機溶剤及び臭気が可能な限り少ないものであること。
*3 MSDS(Material Safety Data Sheet:化学物質等安全性データーシート)
「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する
法律」において政令で指定された化学物質等(指定化学物質等)を取り扱う事業者
(指定化学物質等取扱事業者)には、人の健康や環境への影響の未然防止のた
め、化学物質等を適切に管理する社会的責任があることから、指定化学物質等を
他の事業者に譲渡 ・ 提供するときは、その相手方に対してMSDSを提供すること
が義務付けられているものです。
指定化学物質等/第一種指定化学物質(アセトアルデヒド等354物質)
第二種指定化学物質(アセトアミド等81物質)
これらを含む一定の製品
-6-
2.教室等の換気
ホルムアルデヒド等の化学物質は、室内温度の上昇や換気不足により、室内の化
学物質の濃度が高まるため、教室等の使用にあたっては、窓の開放や換気扇等が
設置されている場合は常に換気設備を活用するなど、換気を充分に行ってください。
また、新築、改築、新たに備品等を設置した際や、シックハウス症候群等の症状の
ある児童生徒が在籍している場合は、必要に応じ、更に換気の回数や時間を増やす
ようにして下さい。
(1)
換気の方法
①
各教室の日常的な換気の方法
夏季は可能な限り、常時、廊下側の欄間及びドアの開放、外側の窓を開け、常
に外気を導入します。
冬季の暖房期間中など授業中に窓等が開けられない場合は、一日に3回5分間
を目途に、意識的に休み時間などに窓等を開けるルールを定めるようにして下さ
い。
また、換気扇等が設置されている場合は、常に換気設備を活用した換気を行っ
てください。
②
教室の修繕工事等を行った後の換気
教室等の改修工事等を行った後は、工事に伴い化学物質が教室内に放散され
ることがあることから、使用する前に可能な限り長時間、全ての窓を開け、外気を導
入します。 また、必要に応じてホルムアルデヒドの簡易測定器を使用して、安全性
を確認します。
③
熱交換型換気扇(ロスナイ)の作動
ロスナイ等が設置されている教室については、児童生徒等が在室する時間を含
めて可能な限り長時間作動させます。 ただし、室内が乾燥する冬期間等におい
ては始業前に窓等を開放し、その後、日中のみ作動させるなど状況に応じて対応
します。
(2)
日常の管理
換気設備の点検、整備を行います。 換気を行う上で重要なことは、空気の通り道
を効果的に生み出すことです。 よどみのない風の流れを確保するには、対角線上に
空気の通り道を設けるように心がけます。
(3)
その他
学校環境衛生の基準に教室等の換気基準が定められているので、これを遵守す
る。
-7-
【 換気例 】
◎ 廊下側の欄間及びドアの開放
普通教室では、常時、また、特別教室では可能な限り、廊下側の欄間及び
ドアを開け、常に校舎内に空気の流れを作ります。ただし、児童生徒等の健康
状況を把握し、室温の低下等に考慮しながら調整します。
◎ 外側の窓等の開放による外気の導入
普通教室では、始業前、中休み、昼休み及び午後必要に応じて、2時間に
1回をめどに5分間以上、廊下側の欄間及びドアの開放に加え、外側の窓等
を開け、教室内に外気を導入します。特別教室では、教室を使用する直前に
5分間以上、廊下側のドア及び外側の窓を開け、外気を導入します。
【 特に換気の強化を要する例 】
◎ 薬剤使用、床ワックス塗布、ペンキ塗装等の直後
◎ 特別教室など常時使用しないで閉め切ったままの教室
◎ 休日や長期休業などで閉め切った状態にしていた教室
◎ 備蓄薬品類を保管している保健室や理科室
アレルギー体質や体調が悪い児童生徒が入室することを考慮して、必要に
応じて窓の開放を行うなど充分な換気を行う。 保健室の布団類は、よく乾燥
させるなど消毒やダニ対策を講じて、ダニアレルギーの予防に努める。
◎ 石油ストーブなどの冬期の暖房
灯油燃焼により、特に、着火・消火時は不完全燃焼ガスにより教室内の空
気汚染が懸念されることから、一定時間ごとに窓の開放を行うなど充分な換
気を行う。
-8-
第3
シックハウス症候群等の児童生徒への対応
1.児童生徒等がシックハウス症候群と思われる症状を訴えた場合
(1)
児童生徒等に目や喉の痛み、頭痛・めまいなどの症状が出た場合に、シックハウ
ス症候群には似た症状や特徴的なものはなく判断は難しいですが、充分な聞き取り
(症状とその度合い、症状が出たと思われる場所・物、心的な不安感、家庭(自宅の
新築・改築など)や地域の環境など)を行い、症状を訴えた児童生徒などが特定の教
室等に限定されたり、当該教室等を離れると症状が軽減または治まる場合は、シック
ハウス症候群として校内体制を整え、保護者との連携を取りながら対応する必要があ
ります。
その教室等から児童生徒等を避難させるとともに、換気等の対策を行ってください。
(2)
学校等において、多数の児童生徒等がシックハウス症候群と思われる症状を訴
えた場合は、安全と思われる場所への避難等の緊急措置を取った後、速やかに対策
を講じるため、教育委員会に連絡するとともに、「別紙2児童生徒の健康状況の調査
票(教職員・養護教諭記入用)」及び「別紙3健康についての質問票(児童生徒記入
用)」に記録し、「別紙4シックハウス症候群等と思われる児童生徒の報告」により教育
委員会に報告を行い、原因究明と対策について学校医や薬剤師など関係機関と協
議します。
【 緊急措置例 】 (症状の発現が新築、改築、改修、床用ワックス塗布後等の、特定の教室
等に限定される場合)
① 緊急避難
・その場から避難させる(教室等の移動)
③ 対 策
・化学物質の室内濃度の測定
・換気の実施等、室内環境の改善
・発生源の特定と発生源対策の実施
-9-
教育委員会
② 健康調査、健康状況の把握/別紙2.3.4
・症状の把握(いつから、どのような症状か)
・既往症(アレルギーの有無)
↓
・必要に応じ、有症者を医療機関へ受診させる。
・「シックハウス症候群等と思われる児童生徒の
報告」の作成(医療機関受診の有無に関わらず)
紋別市公共建築物シッ
クハウス対策会議や関
係課・関係機関との連
携
・原因究明
・対策の検討
↓
健康状況の確認
(安全確認)
(3)
学校施設に原因が特定できない場合は、次の要因を検討し、必要に応じて保健
所または市の関係機関へ問い合せを行い、原因の究明及び特定に努めます。
①
学校または校舎周辺での農薬の散布・薬剤等の使用
②
近隣の工場の影響
③
花粉等
(4)
児童生徒等の健康調査を開始し、健康状況について的確に把握するとともに、
必要に応じ有症者を医療機関へ受診させます。
2.児童生徒への適切な指導と保護者との連携
(1)
児童生徒の発達段階に応じて、学級活動などの特別活動を活用し、シックハウス
問題について指導を行う。
(2)
化学物質過敏の児童生徒が在籍する学校にあっては、担任等は他の児童生徒
に当該児童生徒も同じ学級の一員であることを理解させる。
(3)
文書による通知や保護者会等で、児童生徒の健康状況を含め心配なことがあれ
ば学校へ相談するよう伝え、保護者を通じて児童生徒の健康状態を把握する。
(4)
保健だより等の広報誌を活用して保護者等に情報を提供し、シックハウス問題に
関する理解を深める。
(5)
シックハウス問題が発生、又は発生の恐れがあるときは、保護者と対応について
協議する。
(6)
自らはっきりと意思表示ができない児童生徒もいるので、担任等は常に児童生徒
の健康に注意し、シックハウス問題が疑われる事態が発生した場合には、速やかに
その場から当該児童生徒を退避させるとともに保護者に連絡する。
3.化学物質に過敏に反応する児童生徒への対応
就学時健康診断等において化学物質に過敏に反応する児童が確認された場合
や、化学物質に過敏に反応する児童生徒等が入学(転入)する場合は、保護者や主
治医等から学校等において配慮すべき事項等を「別紙1保護者や専門(主治)医等
からの確認・協議事項(化学物質に過敏に反応する児童生徒用)」で確認するように
して、当該児童生徒等が安心して支障のない学校生活を送ることができるよう、保護
者・学校・教育委員会・主治医・学校医等が連携して適切な対応体制を取ります。
また、当該児童生徒は様々な物質に過敏に反応するため、事前の協議の中で保
護者等から寄せられる要望の中には様々なものがあり、対応が困難なものもあること
から、学校として現在できることやできないことなど率直な協議を通して、保護者等の
理解のもと、適切かつ実行可能な対応体制を事前に組むことが大切となります。
- 10 -
①
当該児童生徒や保護者等による学校施設の下見を行うなど、学校の状況につ
いての理解を求め、事前に他の施設や自宅も含めた望ましい学習環境について
充分に協議を行い体制を整える。
②
当該児童生徒を受け入れるにあたり、専門医の診断書又は意見書並びに保護
者等との協議に基づき、換気の方法や教材・教具などの予防措置について、学校
として具体的かつ実行可能な対応について体制を整える。
③
当該児童生徒を受け入れるにあたり、事前に受講できない授業や単元、校外行
事等が考えられる場合は、代替措置等その対応について充分に協議を行い体制
を整える。
④
当該児童生徒を受け入れるにあたり、症状が出た場合の応急対応・体制につい
て、あらかじめ保護者と充分に協議するとともに、学校医へ相談するなど事前にそ
の体制を整える。
⑤
教科書の給与について、保護者等から学校に対し、教科書の天日干し等を行う
ために指定日以前の教科書給与の希望があり、医師の診断書や当該児童生徒の
日常の様子等から早期給与を行う必要があると認められる場合には、学校から取
次供給所に協力を要請する等、適切に対応してください。
また、教科書を使用することで体調が悪化する児童生徒に対する全項コピー本
などの化学物質対応教科書の配布については、社団法人教科書協会へ直接問
合せてください。
なお、社団法人教科書協会では、文部科学省から「教科書改善のための調
査研究」の委嘱を受け、教科書と体調悪化の因果関係についての解明と今後
の対策を立てるための調査研究を行っています。
<参考>
社団法人教科書協会:東京都江東区千石1丁目9番28号
(http://www.textbook.or.jp/) 電話03-5606-9781
教科書改善のための調査研究報告書
http://www.textbook.or.jp/association/index.html
⑥
就学指定の変更
化学物質に過敏な児童生徒が在籍する学校では、保護者等の意見を尊重し、
必要に応じて就学指定の変更を行うなど個別の配慮を検討する必要があります。
- 11 -
4 .児童生徒等の健康管理
(1)
定期健康診断時に、シックハウス症候群として現れやすいと言われている眼、鼻、
喉等について観察診察を行う。
(2)
年度初めの健康調査等により、シックハウス症候群、化学物質過敏症と思われる
症状を訴える児童生徒等や保護者からの相談があった場合は、速やかに「別紙4シ
ックハウス症候群等と思われる児童生徒の報告」により教育委員会に報告します。
また、学校等においては医療機関への受診を勧めるとともに、保護者等と十分に
話し合い、関係機関との連携を図りながら、適切に対応する必要があります。
(3)
①
学級担任、養護教諭等の観察・相談・記録に関すること。
学級担任や教科担任は、児童生徒一人一人の健康状態を観察・把握し、体調
に異常があったときは保健室の養護教諭に連絡する。
②
養護教諭は、既存の保健調査や定期健康診断の結果等を有効活用し、児童生
徒等の既往歴や健康状態について把握しておく。
③
児童生徒等から体調不良の訴えがあった場合、個々の児童生徒等の訴えに耳
を傾け、きめ細かく相談に応じることにより、室内化学物質に関する正しい理解を
促し、健康に関する不安を解消するなど適切な対応を図る。
④
児童生徒等から体調不良の訴えがあり、シックハウス症候群と似た症状と思わ
れる場合は、いつ、どこで、どんな症状があったかなどを確認し、教職員等が確認
した事項や当該児童生徒の症状等について「別紙2児童生徒の健康状況の調査
票(教職員・養護教諭記入用)」及び「別紙3健康についての質問票(児童生徒記
入用)」に記録するなど、前項の「1.児童生徒等がシックハウス症候群と思われる
症状を訴えた場合」に則して、適切に対応する。
⑤
身体的症状が出ていない児童生徒についても、シックハウス症候群に対する不
安感により同様の症状を訴える可能性があることに留意する。
(4)
家庭、保護者との連絡、相談に関すること
学校が発行する「学校だより」や「保健だより」等を通じ、また、化学物質の放散事
案が発生したときは、保護者会において説明するなど、必要に応じた保護者への情
報提供を行う。また、併せて児童生徒の健康状況を含め、心配なことがあれば学校
に相談する等、保護者との連携に努める。
(5)
関係教職員、医師、保護者等との連絡に関すること
学級担任は、児童生徒の健康状態の把握をするとともに、保護者・学校医等との
連絡を密にし、万一健康被害があった場合は速やかに対応ができるようにする。
①
校長はコーディネーター役を果たす保健主事を中心に、学校医、学年主任、養
護教諭、保護者との間に役割分担を定めておき、組織的な健康管理体制の整備
に努める。
②
シックハウス症候群や化学物質過敏症の専門医療機関について把握しておく。
- 12 -
5.シックハウス症候群等に係る相談窓口(教育委員会)
(1)
新築・改修工事時の発症、工事に関する相談への対応
①
建材、工事施工に対する説明、相談 ⇒ 施設課
②
工事完了引渡し時の化学物質の空気濃度測定 ⇒ 施設課
(2)
通常の学校生活における発症、相談への対応
①
発症者の把握・報告書の提出 ⇒学務課
②
環境衛生上からの化学物質の空気濃度測定 ⇒ 学務課・施設課
③
避難室、換気扇の設置等ハード面での対応 ⇒ 学務課・施設課
④
備品・ワックス等施設管理面での対応 ⇒ 学務課
⑤
教科、学校行事等に関する指導 ⇒ 学務課
(3)
原因究明及び低減化対策 ⇒ 学務課・施設課
- 13 -
第4
学校の空気環境調査
1.学校環境衛生の基準
教室内の空気環境を快適・清潔に維持するためには「学校環境衛生の基準(平成
16年2月10日改訂)」に基づき教室等の空気環境の検査を実施し、基準値を超えた
場合には適切な事後措置を実施する必要があります。
2.定期検査の実施
定期検査の時期は、原則として年1回として、可能な限り化学物質が最も放散しや
すい高温多湿となる夏期に行うものとし、検査方法は「学校環境衛生の基準」で定め
られたホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物の検査方法を原則として行います。
(1)
①
室内空気中化学物質検査項目
定期検査室内空気中化学物質
定期検査対象の室内空気中化学物質は、「学校環境衛生の基準」で基準値が
示されているホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、エチル
ベンゼン、スチレンの6物質とします。
②
臨時検査室内空気中化学物質
厚生労働省で室内空気中化学物質の濃度指針値が定められている定期以外
の7物質及びテキサノール、ピロリドンの2物質を含むTVOCについては、必要に
応じて行うものとします。
(2)
検査の方法
ホルムアルデヒド濃度の測定は簡易測定器を使用し、以外の5物質の測定はパッ
シブ法により、学校での自主測定を実施します。
パッシブ法により採取した検体は、検査機関に送付して分析します。
(3)
検査時期
6月~10月(可能な限り夏期に実施)
【 ポイント】
・教室の測定は、児童生徒等が在室しない状態で検査します。
・教室の室温は18度以上の状態で検査しますが、通常の授業でありえない状態
(室温が35度以上)やワックス塗布の直後や工事期間中の検査は避けます。
(4)
検査対象教室等
普通教室、音楽室、図工室、コンピューター教室、体育館等必要と認める教室等
において検査を行いますが、既存校の検査では、前年度に測定を実施した教室等
のうち、基準値の2分の1を超えた教室のほか、備品を大量(概ね過半以上)に入れ
- 14 -
替えた教室、改修工事が行われた教室、またシックハウス症候群等の児童生徒が在
籍している教室などについても検査します。
【 ポイント】
○教室の選定
普通教室及び特別教室(音楽室、美術室、コンピュータ室、視聴覚室等)を対
象に測定しますが、新しい教室を追加する場合は、次の教室等の中から選定し
ます。
・改修等の工事が行われた教室
・机や椅子の入れ替えや棚の設置等、新たに備品を入れた教室
・木材を多く使用している教室や日当たりの良い教室
・シックハウス症候群や化学物質過敏症の児童生徒等が在籍している教室
○教室を密閉することができない場合
密閉状態での測定ができない場合は、「通常の使用状態(例えば夏期に窓を
開放して授業を行う場合はその状態)」での測定もできますが、この教室は、測
定結果によらず翌年度も測定の対象となります。
(5)
事後措置
①
測定した結果について教育委員会に報告します。
②
測定した結果、基準値を超えた教室等については、通常の使用状態で確認検
査を行います。確認検査においても基準値を超えた場合は、教育委員会に速や
かに連絡するとともに、児童生徒等の健康への影響が考えられるときは安全が確
認されるまでの間、原則、当該教室の使用を中止し、原因究明、換気の励行、機
械換気設備の設置検討等により室内化学物質の濃度を下げる措置を行い、再度
測定を実施し改善の効果を確認するなどの事後措置を行います。
【 ポイント】
発生源の推定/トイレに使われていた芳香剤に、パラジクロロベンゼンが含ま
れていたため、使用を中止したところ基準値内に戻った。
③
測定した結果、基準値以下であっても、夏期の高温時(概ね25度以上)に基準
値を超えると思われるときは、上記②と同様の事後措置を行います。
3.臨時検査の実施
新築及び改築・改修工事を行った場合の安全確認の検査や大量(概ね過半以上)
の机、椅子、コンピュータ等の新たな学校等用備品の搬入等により、ホルムアルデヒ
ド及び揮発性有機化合物の発生の恐れがある場合は臨時検査を実施します。
冬季に臨時検査が必要となったときは、教室等の室温は18度以上として、体育館
等の大規模空間では、10度以下の検査は行わない。
- 15 -
第5
教職員等の意識啓発と対応
1.学校
シックハウス症候群等に関する対策を推進するためには、教職員等が「シックハウス
とは何か、どのような化学物質が問題となるのか、どこから問題となる物質が発生するの
か、どのような対応が必要なのか」といった基礎知識を深め、意識を高めるよう啓発を図
るとともに、児童生徒の健康観察及び学校の環境衛生に常に注意を払う必要がありま
す。
(1)
学校での対応について
①
施設の修理に関すること
学校等で実施する軽微な修理及び学校職員等が行う小規模な塗装等について
は、実施する前にシックハウス症候群等の児童生徒の保護者へ連絡し、修理後の
対応を協議しておく。
②
カーペットのクリーニングに関すること
当該児童生徒が在籍する学校では、パソコン室や図書室などのカーペットを清
掃する場合は、洗剤等ではなく水洗いにするなどの配慮を行う。
③
個別指導計画の作成に関すること
当該児童生徒について個別指導計画を作成する。各学年始めに計画立案し、
保護者と面談した後に完成させる。なお、学年末に評価を加えたものを作成し、指
導の成果・課題等について保護者に報告・説明を行う。
個別指導計画の内容
④
ア
過敏に反応する物質
イ
授業で使えない教材及び代替教材
ウ
受けることのできない授業及び代替措置
エ
既往症の有無
オ
緊急を要する症状が出た場合の処置
カ
保護者の要望
キ
ア~カを考慮した授業の進めかた
ク
その他必要な事項
校外学習、旅行的行事等に関すること
校舎以外での校外学習、旅行的行事等を実施する際は、計画段階から、交通
手段、利用施設等の情報を出来る限り集め、参加の有無、配慮すべき事項、症状
が出た場合の措置等を当該児童生徒の保護者と協議をする。
⑤
整髪料、化粧品等に関すること
整髪料、化粧品、タバコ、防虫剤の臭いのついた衣服など、揮発性のあるもの
や臭いのあるものを避けるよう特に配慮が必要である。
- 16 -
(2)
教職員の共通認識
①
国、道、市が発信したシックハウス問題に関する情報を収集・整理します。
②
職員会議、学校保健委員会などでシックハウス問題に関する基礎的知識につ
いて教職員の共通認識を図ります。
③
シックハウス問題に対応する際には、必要に応じて学校医、学校薬剤師等と連
携を図ります。
④
学校環境衛生に関する日常点検を徹底します(学校環境衛生管理マニュアル
参照)。
⑤
シックハウス症候群や化学物質過敏症の児童生徒等が在籍する学校等にあっ
ては、当該児童生徒等への配慮について、担任、養護教諭、管理職が共通認識
を持ち、他の教職員、保護者等の理解を深めます。
⑥
シックハウス症候群や化学物質過敏症の児童生徒等が在籍する学校等にあっ
ては、当該児童生徒等への対応や配慮によって、当該児童生徒等が孤立したり、
差別されたりすることのないように留意します。
⑦
シックハウス症候群や化学物質過敏症の児童生徒等が在籍する学校等におい
ては、タバコの臭いや香水、化粧などは当該児童生徒等や当該保護者の健康に
影響を与える可能性のあることについて共通認識を図ります。
(3)
①
保護者への理解
学校だより等を活用して保護者等に情報提供し、シックハウスに関する理解を深
めます。
②
シックハウスに関する問題が発生、又は発生の恐れがあるときは、当該保護者と
対応について協議します。
③
シックハウス症候群や化学物質過敏症の児童生徒等が在籍する学校等にあっ
ては、授業参観などで来校する保護者に対し、タバコの臭いや香水、化粧などは
当該児童生徒等の健康に影響を与える可能性のあることを周知します。
④
保護者に、環境衛生検査の結果等を伝える場合、その結果だけではなく、発生
原因や健康影響の可能性、また、低減化の具体的対策なども示さなければ、保護
者の不安解消にはなりません。そこで、日頃からPTAや保護者会などの組織で、
環境衛生等について話し合い、学校等と保護者が双方で必要な情報を共有して
いく必要があります。
(4)
①
児童生徒等への保健指導
児童生徒等の発達段階に応じて、学級活動などの特別活動等を活用し、シック
ハウスに関する問題について指導します。
②
シックハウス症候群や化学物質過敏症の児童生徒等が在籍する学校等にあっ
ては、担任等は他の児童生徒等に対して当該児童生徒等への配慮が必要なこと
を理解させます。
③
自らはっきりと意思表示ができない児童生徒等もいるので、担任等は常に児童
生徒等の健康に注意し、シックハウス症候群等が疑われる事態が発生した場合に
- 17 -
は、速やかにその場から当該児童生徒等を退避させるとともに保護者に連絡しま
す。
2.教育委員会
(1)
紋別市公共建築物シックハウス対策会議とシックハウス症候群等に関して連携を
図ります。
①
学校の新築・改築・改修・小規模工事等に係る室内空気中化学物質の低減に
関すること。
②
学校において室内化学物質の放散の恐れがある場合。
③
児童生徒等からシックハウス症候群等と思われる訴えが合った場合。
④
室内空気中化学物質定期検査及び臨時検査において、「学校環境衛生の基
準」で示されている基準値を上回った場合。
(2)
シックハウスに関する最新の情報収集に努め、教育委員会内で情報を共有化し、
調査研究を進めるとともに、学校等関係者に情報提供します。
①
学校の工事等の計画及び換気設備に関すること。
②
シックハウス症候群等の児童生徒等に関すること。
③
教室等の空気濃度測定の結果 など
(3)
学校等関係者の意識啓発を図るため、各種会議、研修会、講習会等により情報
提供に努めます。
(4)
シックハウス症候群等の児童生徒の在籍する学校と定期的に会合を開き、当該
児童生徒の様子や学習環境・施設環境等について意見交換を行います。なお、必
要に応じて医師等の専門家の意見を聞きます。
- 18 -
別紙 1
保護者や専門(主治)医等からの確認・協議事項
(化学物質に過敏に反応する児童生徒用)
年
月
学校名
学校長名
児童生徒氏名
男・女 生年月日
保護者氏名
住 所
学年
電話
既往症
症状を訴えた時
主 期(初発の時期)
な 初発のきっかけ
症 化学物質に反応 例〉めまい、頭痛等
状 した場合の症状
アナフィラキシー
無 ・ 有 (症状)
の経験の有無
無 ・ 有
専門(主治)医
(
診断書 ・ 意見書
/添付
医療機関名
の診断書又は意 診断名
見書
専門(主治)医の意見又は指示事項
想 過敏に反応する物質/ワックス、墨汁等
定
さ 特に症状を訴えた場所
れ
る 過敏に反応する教材
化
学 受けられない授業の有無
無 ・ 有
(具体的に)
物
質
- 19 -
有 ・ 無
)
日作成
症状が出た場合の対応
学
校 緊急時(アナフィラキシーショック)の対応
等
の 学校生活上配慮すること/換気の励行、避難場所、代替品など
体
制 校外行事への参加など
整
備 教科書の給与
学校見学/
無 ・ 有
(保護者の意見等)
保
護
者 保護者・本人の要望/換気扇設置、ワックスなど
と
の 家族歴/化学物質に過敏な家族の有無など
対
応 家庭の状況/近隣での農薬散布、新築・改築の有無など
就学指定の変更
そ
の その他
他
※ アナフィラキシーについて
アナフィラキシーとは、ハチ毒や食物、薬物等が原因で起こる急性アレルギー反応の
ひと つです。 じんま しんや紅潮(皮膚が赤くなる)等の皮膚症状やと きに 呼吸困難、
めまい、意識障害等の症状を伴うことがあり、血圧低下等の血液循環の異常が急激に
現れるショック症状を引き起こし、生命を脅かすような危険な状態に陥ってしまうことが
あります。これをアナフィラキシーショックと言います。
※ 保護者から、換気扇設置やワックス等について要望があった場合は、要望書を作成し、
教育委員会あてに提出すること。
- 20 -
別紙 2
(教職員・養護教諭記入用)
児童・生徒の健康状況の調査票
今までに特定の教室で、児童・生徒が眼・鼻・のどなどの刺激症状を訴えることがあり
ましたか。
( あ
る ・ な
い )
引き続き、日常の児童・生徒の健康管理をお願いします。
1 いつごろ
2 どの教室で
3 どんな症状
4 症状を訴えた生徒の人数
5 その時の対応と、症状はどうなったか
(例、保健室で休ませた。症状はしばらくしたら治った、等)
6 いつも特定の教室に行くと症状がでるか
- 21 -
別紙 3
(児童・生徒記入用)
年
月
日
健康についての質問票
年
組 氏名
室内空気中の化学物質による健康影響を確認するための質問です。
特定の教室に行くと気になる症状がある場合、下の表に、どのような症状が、どの教
室で、いつごろから気になっているかなど、記入してください。
その他
その一回 だけ
ときどき
大体 いつも
今も症状 が続 いている
しばらく症 状 が続 いたが1週 間 以 内 に
おさまった
○
学 校 を出 てから も症 状 は続 いたが、そ
の日のうちにおさまった
9/25
○
そ の教 室 を 出 てから も 症 状 は続 いた
が、学校にいる間におさまった
入 吐き気
その教 室 を出 たらおさ まった
9月~
その症状はいつおさまりましたか。 そ の 症 状
(あてはまるものに○印)
は、その教
室にいくと
いつも気
になります
か。(あて
はまるもの
に○印)
その教 室 にいる間 にす ぐにお さ まった
記 眼のチカチカ 美術室
化学実験室
はい ・ いいえ
いつごろから 気 になっています か
どこの教 室で気 になりますか
ど のよう な 症 状 です か
いま、風邪を引いていますか。
○
○
例
《 シックハウス症候群とは 》
新築や改修した後の建物に入ると、眼がチカチカする、のどが痛いなど、様々な症状を示し、
その症状のほとんどは建物を離れると治まるという特徴があります。しかし、症状の発生の仕組み
をはじめ、未解明の部分も多く、診断基準はまだ確立されていないのが現状です。
《 主な症状 》
眼・鼻・のどへの刺激症状(眼のチカチカ、眼のかゆみ、眼・鼻・のどの痛み)
皮膚のかゆみ・痛み、頭痛、気持ち悪い(吐き気)、疲労感、脱力感 など
- 22 -
別紙 4
年
紋別市教育委員会
教育部長
月
日
宛
学校名
学校長名
シックハウス症候群等と思われる児童生徒の報告
児童生徒氏名
男・女 生年月日
学年
保護者氏名
住 所
電話
症状を訴えた時
主 期
な 化学物質に反応 例〉めまい、頭痛等
症 した場合の症状
状 アナフィラキシー
無 ・ 有 (症状)
の経験の有無
想 過 敏 に 反 応 す る 例〉墨汁、油性マーカー等
定 物質や教材
さ 特 に 症 状 を 訴 え 例〉理科室、保健室等
れ る場所
る 受けられない授
無 ・ 有 (具体的に)
原 業の有無
因
無 ・ 有
( 診断書添付
無 ・ 有
医療機関名
医療機関受診の 診断名
有無
指示事項
- 23 -
)
年
組
症状が出た場合の対応
学
校 緊急を要する症状(アナフィラキシーショック)が出た場合の対応
の
対
応 学校生活上配慮すること/経過観察中、換気の励行等
保護者との対応
保
護
者
と
の
対 保護者・本人の要望/換気扇設置、ワックスなど
応
そ
の
他
※ アナフィラキシーについて
アナフィラキシーとは、ハチ毒や食物、薬物等が原因で起こる急性アレルギー反応の
ひと つです。 じんま しんや紅潮(皮膚が赤くなる)等の皮膚症状やと きに 呼吸困難、
めまい、意識障害等の症状を伴うことがあり、血圧低下等の血液循環の異常が急激に
現れるショック症状を引き起こし、生命を脅かすような危険な状態に陥ってしまうことが
あります。これをアナフィラキシーショックと言います。
※ 保護者から、換気扇設置やワックス等について要望があった場合は、要望書を作成し、
教育委員会あてに提出すること。
- 24 -
室内空気中化学物質の室内濃度指針値(厚生労働省/13物質)とその特徴
*印は、「学校環境衛生の基準」でも基準値が示されている6化学物質
揮発性有機化合物
厚生労働省
濃度指針値
発生源となる可能性のある建材等
指針値等超過状況等
臭いの
特 徴
常温の
状 態
重
さ
ー
25ー
*ホルムアルデヒド
100μg/㎥
(0.08ppm)
机、椅子等(合板、家具接着剤)、ビ 既存の住宅等で基準値を超える事例が 刺激臭
ニル壁紙、フローリング、断熱材等 多い。水溶液/ホルマリン
*トルエン
260μg/㎥
(0.07ppm)
美術用品、油性ニス、樹脂系接着 工事後に基準値を超える事例が多い。 ガソリン・ベ 無色の可燃 空気より
剤、塗料などの有機溶剤
ンゼン臭
性液体
重い
*キシレン
870μg/㎥
(0.20ppm)
油性ペイント、樹脂塗料、接着剤、 工事後に基準値を超えた事例がある。
ワックスなどの有機溶剤
*パラジクロロベン
ゼン
240μg/㎥
(0.04ppm)
衣類用防虫剤、芳香剤、便所用消 便所等で防虫剤として使用している場 特有の
臭剤
合に基準値を超えた事例がある。
刺激臭
*エチルベンゼン
3800μg/㎥
(0.88ppm)
*スチレン
クロルピリホス
220μg/㎥
(0.05ppm)
1μg/㎥
(0.07ppb)
人 体 へ の
影響例・症状
無色の可燃 空気と
不快感
性気体
ほぼ同じ 流涙
無色又は
空気より
白色の結晶 重い
(常温で昇
華する)
喉・目への刺激
脱力感・疲労感等
目・鼻の痛み等
接着剤、塗料などの溶剤及び希釈 指針値を超えた事例なし。
剤
工事等の際に使用。
特有の芳香 無色の可燃 空気より
性液体
重い
喉・目への刺激等
断熱材、畳心材、樹脂塗料等に含 指針値を超えた事例なし。
まれる高分子化合物の原料など
建材等に含まれる場合がある。
都市ガス臭 無色又は黄 空気より
色の液体
重い
眠気
脱力感等
有機リン系殺虫剤
指針値を超えた事例なし。建築基準法
により、建材への使用は禁止された。
指針値を超えた事例なし。
但し、小児は
0.1μg/㎥
(0.007ppb)
フタル酸ジ-n-ブチ
ル
220μg/㎥
(0.02ppm)
塗料、顔料、接着剤等の可塑剤
テトラデカン
330μg/㎥
(0.04ppm)
ワックス、防腐剤、灯油、塗料溶剤な 指針値を超えた事例なし。
ど
無色又は白 空 気 よ り めまい、吐き気
色の結晶
重い
特徴的な
臭気
無色又は微 空 気 よ り 喉・目への刺激等
黄色の液体 重い
特徴的な
無色の液体 空気より
青臭い臭い
重い
めまい、吐き気
揮発性有機化合物
厚生労働省
濃度指針値
フタル酸ジ-2-エチ
ルヘキシ
120μg/㎥
(7.6ppb)
ダイアジノン
0.29μg/㎥ 有機リン系殺虫剤
(0.02ppb)
発生源となる可能性のある建材等
ビニル壁紙等の可塑剤
指針値等超過状況等
指針値を超えた事例なし。
臭いの
特 徴
特徴的な
臭気
殺虫消毒後に指針値を超えた事例あ 特徴的な
り。
臭気
常温の
状 態
重
さ
人 体 へ の
影響例・症状
無色又は微 空 気 よ り 喉・目への刺激等
黄色の液体 重い
無色の液体
めまい、吐き気
アセトアルデヒド
48μg/㎥ 接着剤、防腐剤、タバコ煙など
(0.03ppm)
指針値を超えた事例あり。ホルムアルデ 特徴的な
無色の液体 空気より
ヒドの代替で使用される可能性あり。
青臭い臭い
重い
吐き気、二日酔い
の原因物質
フェノブカルブ
33μg/㎥
(3.8ppb)
指針値を超えた事例なし。
息苦しさ
TVOC
400μg/㎥
ー
ー
26
テキサノール
1-メチル-2-ピロリドン
カーバメート系殺虫剤、農薬等
暫定目標値/科学(毒性学)的知見から決定されたものではないが、全体とし
ての室内揮発性有機化合物を低減化させるための補完的な指標
可塑剤(塗料他)
塗料、接着剤
紋別市立小向小学校においてTVOC
暫定目標値を上回る濃度で検出された
物質
無色又は淡
黄色の液体
特徴的な
臭気
無色の液体
◎指針値/人がその化学物質の示された濃度以下の暴露を一生受けたとしても、健康に有害な影響を受けないであろうと判断される濃度として設定されている。但し、ホル
ムアルデヒドだけは短期間の暴露による健康への影響を指標としている。
◎総揮発性有機化合物/TVOC( Total Volatile Organic Compounds )とは、複数の化学物質の混合物の濃度。VOCの総計。
◎揮発性有機化合物/VOC( Volatile Organic Compounds )とは、室内空気中に揮発する有機化合物の総称。
◎WHOは、室内空気汚染の可能性のある有機化合物を、沸点により次のように分類している。
○超揮発性有機化合物/VVOC/沸点 <0~50-100℃/ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなど
○揮発性有機化合物/VOC/沸点 50-100~240-260℃/トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレン、テトラデカンなど
○半揮発性有機化合物/SVOC/沸点 240-260~380-400℃/クロルピリホス、フタル酸ジ-n-ブチル、フタル酸ジ-2-エチルヘキシ、ダイアジノン、フェノブカルブなど
○粒子状物質/POM/沸点 >380℃以上
※ ppm 、 ppb の両単位の換算は、25℃と想定した場合の数値。
※ppm/ parts per million の略で、 100 万分の 1 の濃度を表す。ppb/ parts per billion の略で、 10 億分の 1 の濃度を表す。
※指針値等超過状況は、文部科学省及び東京都健康局の調査結果による。
学校環境衛生の基準
一部改訂
平成16年2月10日
《ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物関係抜粋》
目的
この基準は、学校保健法(昭和33年法律第56号)に基づく環境衛生検査、事後措置及び日
常における環境衛生管理等を適切に行い、学校環境衛生の維持・改善を図ることを目的とす
る。
第1章
定期環境衛生検査
[照度及び照明環境]/略
[教室等の空気]
1
検査項目
教室等の空気環境
2
検査回数
検査は、(1)温熱及び空気清浄度、(3)換気については、毎学年2回定期に行い、(2)ホル
ムアルデヒド及び揮発性有機化合物、(4)ダニ又はダニアレルゲンについては、毎学年1回
定期に行う。ただし、(2)において著しく低濃度の場合は、次回からの測定は省略することが
できる。
3
検査事項
(1)
温熱及び空気清浄度/略
(2)
ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物
検査は、ア、イの事項について行い、特に必要と認める場合は、ウ~カの事項についても
行う。
ア
ホルムアルデヒド(夏期に行うことが望ましい。)
イ
トルエン
ウ
キシレン
エ
パラジクロロベンゼン
オ
エチルベンゼン
カ
スチレン
(3)
換気
(4)
ダニ又はダニアレルゲン/略
4
検査方法
(1)
温熱及び空気清浄度/略
(2)
ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物
検査は、普通教室、音楽室、図工室、コンピュータ教室、体育館等必要と認める教室にお
いて、原則として次の方法によって行う。
- 27 -
ア
採取は、授業を行う時間帯に行い、当該教室で授業が行われている場合は通常の授業
時と同様の状態で、当該教室に児童生徒等がいない場合は窓等を閉めた状態で、机上の
高さで行う。なお、測定する教室においては、採取前に、30分以上換気の後、5時間以上
密閉してから採取を行う。
イ
採取時間は、吸引方式では30分間で2回以上、拡散方式では8時間以上とする。
ウ
測定は、厚生労働省が室内空気中化学物質の濃度を測定するための標準的方法として
示した、次の(ア)、(イ)によって行う。または(ア)及び(イ)と相関の高い方法によって行うこ
ともできる。
(ア)
ホルムアルデヒドは、ジニトロフェニルヒドラジン誘導体固相吸着/溶媒抽出法によっ
て採取し、高速液体クロマトグラフ法によって行う。
(イ)
揮発性有機化合物は、固相吸着/溶媒抽出法、固相吸着/加熱脱着法、容器採取
法の3種の方法のいずれかを用いて採取し、ガスクロマトグラフ―質量分析法によって行
う。
(3)
換気
(4)
ダニ又はダニアレルゲン/略
5
判定基準
(1)
温熱及び空気清浄度/略
(2)
ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物(両単位の換算は25℃)
ア
ホルムアルデヒドは、100μg /㎥ (0.08ppm)以下であること。
イ
トルエンは、260μg /㎥ (0.07ppm)以下であること。
ウ
キシレンは、870μg /㎥ (0.20ppm)以下であること。
エ
パラジクロロベンゼンは、240μg /㎥ (0.04ppm)以下であること。
オ
エチルベンゼンは、3800μg /㎥ (0.88ppm)以下であること。
カ
スチレンは、220μg /㎥ (0.05ppm)以下であること。
(3)
換気
(4)
ダニ又はダニアレルゲン/略
6 事後措置
(1)~(9)/略
(10)
ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物が基準値を超えた場合は、換気を励行するとと
もに、その発生の原因を究明し、汚染物質の発生を低くする等、適切な措置を講じるように
する。
(11)~(12)/略
[飲料水の管理]/以下略
- 28 -
学校環境衛生管理マニュアル
平成16年3月発行
《ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物係抜粋》
Ⅶ
1
教室等の空気
ねらい
略
最近の学校は、新築・改築・改修等の後、教材やパソコン等の様々な原因で教室内で刺激臭
や臭いが発生し、児童生徒等はこれを不快感と感じ、頭痛等健康影響も出る等化学物質過敏
症*1、いわゆる「シックハウス症候群」*2等も問題となっている。その原因としてホルムアルデヒド
及び揮発性有機化合物等の室内発生が原因とされている。
*1 化学物質過敏症
「未解明な部分が多い疾患だが」と断りながら、「化学物質過敏症は今までの中毒の概念
では考えられない極めて微量の化学物質により不定愁訴様の症状をきたし、アレルギー疾
患的な特徴と中毒的な要素を兼ね備えた後天的な疾患群である。一般的に症状そのもの
には特徴がなく、身体のあちらこちらの臓器で、多発的にいろいろな形で現れ、アレルギー
様症状と自律神経系の症状を主体としている」(北里大学の石川哲教授らのグループ)
*2 シックハウス症候群
住宅の高気密化や化学物質を放散する建材・内装材の使用等により、新築・改築後の
住宅やビルにおいて、化学物質による室内空気汚染等により、居住者の様々な体調不良
が生じている状態が、数多く報告されている。症状が多様で、症状発生の仕組みをはじめ、
未解明な部分が多く、また様々な複合要因が考えられることから、シックハウス症候群と呼
ばれる。(シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会中間報告書)
2 基礎知識
教室の空気は適度の温熱条件を維持し、空気の清浄度を保つことによって、児童生徒等の
健康を維持し、学習能率を高めるようにする必要がある。化学物質が原因で児童生徒等に影響
を与える症状として、アレルギーや化学物質過敏症がある。具体的には、刺激臭、臭い、頭痛、
気分の悪さ、集中力の低下等人によって様々な症状を呈する。
低濃度の化学物質の健康影響の仕組みはまだ十分に解明されていないが、化学物質の中
毒症状から比べると、かなり微量でも健康影響が現れると考えられている。海外では1980年代
からシックビル症候群(SBS)として取り上げられたが、化学物質過敏症はごく微量の化学物質の
濃度でも発症し、アレルギー疾患の特徴と中毒的な要素を兼ね備えた後天的な疾病群と考えら
れている。我が国ではこれを和製英語でシックハウス症候群として知られるようになった。
このようなことから、教室内の温熱等物理的な条件と化学物質の発生の対策のために、まず
教室の空気の温熱条件の検査とともに換気の指標としての二酸化炭素(CO2)濃度の挙動には
- 29 -
常に関心をもち、化学物質の濃度の低減化を図るため、適切な換気を行うことが重要である。
教室等の空気環境として、温熱環境、空気清浄度の検査項目に追加して、二酸化窒素や揮
発性有機化合物として①ホルムアルデヒド②トルエン③キシレン④パラジクロロベンゼン⑤エチ
ルベンゼン⑥スチレンの6種類と、生物的な汚染としてダニ又はダニアレルゲンがある。
略/二酸化窒素
検査回数については、教室等の空気環境のうち[略/(1)温熱及び空気清浄度(3)換気](2)
ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物については、、毎学年1回定期に行う。ただし、この濃
度が著しく低濃度の場合には、次回から測定を省略することができる。この著しく低濃度の判断
基準については、おおむね基準値の1/2以下としている。
空気環境を適切に保つためには、基準に定める検査回数を遵守し、基準外であれば事後措
置を講じ対策をたてることが重要である。また、新築・改築・改修等の際や及び机、いす、コンピ
ュータ等新たな学校用備品の搬入等によりホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物の発生の
おそれがあるときは臨時検査を実施することになっている。
1.温熱条件と空気汚染など/略
2.揮発性有機化合物について
室内で発生する各種揮発性有機化合物による健康影響が問題となっている。最近の学校で
の測定結果では、ホルムアルデヒド等揮発性の有機化合物VOCs(Volatile Organic Compound
s)が検出されている。学校の教室では6物質、①ホルムアルデヒド②トルエン③キシレン④パラ
ジクロロベンゼン⑤エチルベンゼン⑥スチレンの基準が定められた。教室での対策はこれらの揮
発性有機化合物を発生するようなものを使用しないこと、持ち込まないこと、常に換気に注意を
はらうことが必要である。したがって、低減化の対策として、建材や学校用品等に揮発性有機化
合物をなるべく含まないものを使用すること、換気方法のチェックが大切である。
(1)
揮発性有機化合物の問題点
児童生徒等が学校で不快な刺激や臭気を感じ、状況によってシックハウス症状を呈する原因
となるものは、室内の建材や教材、塗料や備品等に含まれ各種揮発性有機化合物とされてい
る。
揮発性有機化合物は比較的分子量の小さい有機化合物の総称でVOCs(Volatile Organic
Compounds)といわれている。そのうちVOCは沸点50~260℃の範囲であり、米EPAでは蒸気
圧0.1~380mmHgのものとしている(表Ⅶ-1)。
表Ⅶ-1 揮発性有機化合物の分類(WHO)
- 30 -
(2)
原因物質
一般の生活環境に見い出される化学物質は、最近の測定結果で、ホルムアルデヒド等揮発
性の有機化合物で、数百種にのぼるとされている。室内化学物質のガイドライン(厚生労働省)
では1997年から現在まで、次の物質が取り上げられている(表Ⅶ-2)。
表Ⅶ-2
学校環境衛生の基準では、これらのうちから教室内の存在が懸念される6物質、すなわち①
ホルムアルデヒド②トルエン③キシレン④パラジクロロベンゼン⑤エチルベンゼン⑥スチレンが盛
り込まれた(表Ⅶ-3)。
表Ⅶ-3毒性指標と室内濃度
*室内濃度指針値は毒性指標に十分な安全率を乗じて算出されているが、生物的な調査研究
を基礎とした許容濃度には避けることができない不確かさが含まれている。したがって、この数
値を超えれば児童生徒等に直ちに健康影響があるわけではなく、この数値を超えるようであ
ればよりリスクが大きくなる。
ホルムアルデヒドは無色で刺激臭を有し、常温ではガス体である。これは、空気と比較してほ
ぼ同じ重さである。空気との混合気体も同様である。水によく溶け、35~37%の水溶液はホル
マリンとして知られている。室内空気汚染の主な原因として推定されるのは、合板や内装材等の
接着剤として使用されているユリア系、メラミン系、フェノール系等の接着剤からの放散(未反応
物もしくは分解物)である。建材だけでなく、これらを使用した家具類も同様である(木製家具、
壁紙、カーペット等)。また、喫煙や石油、ガスを用いた暖房器具の使用によっても発生する可
能性がある。
健康影響では、短期暴露で0.08ppmあたりに臭いの検知閾値があるとされ、これが最も低い
濃度での影響である。0.4ppm位では目の刺激、0.5ppmで喉の炎症閾値があるとされる。
国際がん研究機構(IARC)の発がんリスク評価、ヒトに対しおそらく発がん性がある(2A)に分
類されているが、その作用機序からある一定以上の暴露がなければ発がんは起こらない(閾値
- 31 -
がある)ものとされている。
トルエンは無色でベンゼン様の芳香をもつ、常温では可燃性の液体で、揮発性は高いが、空
気より重く、高濃度の蒸気は低部に滞留する性質があると考えられる。
接着剤や塗料の溶剤及び希釈剤等として、通常は他の溶剤と混合して用いられる。室内空気
汚染の主な原因として推定されるのは、内装材等の施工用接着剤、塗料等からの放散である。
また建材だけでなく、これらを使用した家具類も同様である。
健康影響では、労働環境における許容濃度として100ppmが勧告されている。トルエンは0.4
8ppmあたりに臭いの検知閾値がある。高濃度の短期暴露で目や気道に刺激があり、精神錯
乱、疲労、吐き気等中枢神経系に影響を与えることがあるが発がん性の指摘はない。
キシレンは無色でベンゼン様の芳香を持つ。市販品はo― 、m― 、p― の混合物である。常
温では可燃性の液体で、揮発性は高いが、空気より重い。接着剤や塗料の溶剤及び希釈剤等
として、通常は他の溶剤と混合して用いられる。キシレンの市販品は通常エチルベンゼンの原因
物質も含んでいる。トルエンと同様、ガソリンのアンチノッキング剤として添加され、ガソリンスタン
ド臭の原因物質である。
室内空気汚染の主な原因として推定されるのは、内装材等の施工用接着剤、塗料等からの
放散である。建材だけでなく、これらを使用した家具類も同様である。健康影響では、トルエンと
同様で、発がん性の指摘はない。
パラジクロロベンゼン は通常、無色又は白色の結晶で特有の刺激臭を有し、常温で昇華す
る。空気より重く、蒸気は低部に滞留する性質がある。家庭内では衣類の防虫剤やトイレの芳香
剤等として使用されている。家庭用品専門家会議毒性部門(平成8年8月)のリスク評価は、耐用
平均空気中濃度を590μg/㎥としている。健康影響では、15~30ppmで臭気を感じ、80~1
60ppmでは大部分のヒトが目や鼻に痛みを感じる。
エチルベンゼン は無色で特有の芳香をもつ、常温では可燃性の液体である。揮発性は高い
が、空気より重く、低部に滞留する性質があると考えられる。しかし、通常は対流により拡散し、
空気との混合気体は相対的に空気と同じ密度になると思われる。
スチレンは無色ないし黄色を帯びた特徴的な臭気(都市ガスのような臭い)のある、常温では
油状の液体である。揮発性は高いが、空気より重く、高濃度の蒸気は低部に滞留する性質があ
ると考えられる。しかし、通常は対流により拡散し、空気との混合気体は相対的に空気と同じ密
度になると思われる。(「室内ガイドライン」参考)
学校における室内空気の実態調査の結果では、ホルムアルデヒドはコンピュータ教室、音楽
室、図工室等で、トルエンはコンピュータ教室、図工室等で基準値を超え、同じ教室でも夏期に
高い傾向を示した。パラジクロロベンゼンは防虫剤を使用するトイレで基準値を超えた例がみら
れ、キシレンは基準値を下回ったものの、基準値の1/2を超えた例がみられた。
エチルベンゼン、スチレンはスチレン系接着剤の使用により高い濃度となった。
これらは化学物質については、学校では建築材料、設備や教材・教具等の他、木製合板の
机・いす、使用薬剤等に用いられることがあるので注意する必要がある。化学物質の発生源とな
る可能性のあるものをまとめると次のようになる。
- 32 -
表Ⅶ-5
(3)
揮発性有機化合物の発生源となる可能性があるもの
建材等の規格について
学校の施設整備に関して、建築基準法(昭和25年5月24日法律第201号)の改正により内
装仕上げに使用するホルムアルデヒドを放散する建材の使用面積が制限された。使用する建材
等の選定については、日本農林規格(JAS)、日本工業規格(JIS)、MSDS(化学物質安全性デー
タシート) *3 等を確認し、室内空気を汚染する化学物質が発生しない、または少ない建材を使
用するよう配慮することが必要である。(表Ⅶ-5)
表Ⅶ-5
(ア)
ホルムアルデヒド放散量基準と表示記号
ホルムアルデヒド放散量の規格
ホルムアルデヒドについて、JISやJASにより、放散量の測定方法(デシケーター法)及びそ
の放散量の基準値を規定している。
①日本工業規格(JIS)のホルムアルデヒドの規定のある建材
MDF*4及びパーティクルボード*5・壁紙・接着剤(壁紙、建材用等)・保温材(グラスウール
保温板等)・断熱材(ロックウール断熱材等)・塗料(現場施工用)・仕上塗材(現場施工用)・接
着剤等。
○建築用ボード類のホルムアルデヒド放散量の試験方法―デシケーター法(JIS A1460:
2001)
○MDF(JIS A5905:2003)
○パーティクルボード(JIS A5908:2003)
- 33 -
○火山性ガラス質複層板(JIS A5440:2003)
○壁紙(JIS A6921:2003)
○壁紙施工用及び建具用でん粉系接着剤(JIS A6922:2003)
②日本農林規格(JAS)のホルムアルデヒドの規定のある建材
合板・木質系フローリング・構造用パネル・集成材・単板積層材(LVL*6)等
(イ)
揮発性有機化合物(トルエン、キシレン等)の放散量の規格
トルエン、キシレン等揮発性有機化合物は各業界の規格を参考にするか、建材メーカーから
製品のMSDS(化学物質安全性データシート)を取り寄せ参考にする。
*3 MSDS(Material Safety Data Sheet)(化学物質安全性データシート)とは「特定化学
物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR法)」に
基づく対象化学物質に関する情報(MSDS)の提供を義務付ける制度
*4 MDF(Medium Density Fiberboard):木を繊維状に細かくして熱圧で成型加工したも
ので構造が均一で木目がなく、家具の心材、ドア、窓枠等の建築用に使用。
*5 パーティクルボード:木材を小片に砕いて接着剤で高温圧縮成型したもので、MDFと
同じ性質をもつもので、構造材、内装下地、家具材等に利用。
*6 単板積層材(Laminated Veneer Lumber, LVL)
(ウ)
壁紙等の規格
壁紙が第一種ホルムアルデヒド発散建築材料として告示され、壁紙を内装仕上げ材料として
用いる場合は、壁紙の製造者はJISまたは国土交通大臣の認定を取得し発散等級を明らかにす
ることが必要となった。
(エ)
①
業界規格・指針等
ISM規格(壁装材料協会ではインテリア材料(壁紙)について「ISMガイドライン」を定め、
これを満たす商品についてISMマークの表示を行っている。)
②
SV規格壁紙製品規格協議会では、壁紙製品に対して壁紙製品標準規格(SV規格:Stan
dardValue)を定めている。
(オ)
接着剤、塗料等の使用時には、トルエン、キシレン等芳香族炭化水素系の溶剤を室内に
用いることはできるだけ避けること。
- 34 -
(カ)
その他
可塑剤はポリ塩化ビニル等の材料に柔軟性を与えたり、加工をしや
すくするために添加する物質のことである。種類は多いが代表的なも
のはフタル酸エステル類とアジピン酸エステル類である。一部は内分
泌かく乱物質(環境ホルモン)として取り上げられている。
防蟻剤は木材を食い荒らす害虫であるシロアリを駆除・防除するために主に床下に施工され
てきた。これらには有機リン系殺虫剤、ピレスロイド系殺虫剤、カーバメート系殺虫剤、その他の
殺虫剤、殺菌剤等があり認定商品については随時追加登録や抹消が行われている。なお、居
室を有する建築物には、クロルピリホスを添加した建材の使用が禁止となっている。(建築基準
法施行令)
3.ダニとアレルゲン/略
3 定期検査
1
検査項目
教室等の空気環境
教室の空気については、適度の温熱条件を維持し、空気の清浄度を保つように常に心がけ
児童生徒等の健康を維持し、学習能率を高めるように努めなければならない。
2
検査回数
検査は、(1)温熱及び空気清浄度、(3)換気については、毎学年2回定期に行い、(2)ホ
ルムアルデヒド及び揮発性有機化合物、(4)ダニ又はダニアレルゲンについては、毎学年1
回定期に行う。ただし、(2)において著しく低濃度の場合は、次回からの測定は省略するこ
とができる。
教室等の空気環境の測定回数として、(1)温熱環境、空気清浄度は毎学年2回定期に行うも
のに、二酸化窒素が加わり、(2)毎学年1回定期に行うものに揮発性有機化合物として①ホルム
アルデヒド②トルエン③キシレン④パラジクロロベンゼンに加えて⑤エチルベンゼン⑥スチレン
が、生物的な汚染としてダニ又はダニアレルゲンが新たに加わった。ホルムアルデヒド及び揮発
性有機化合物については、毎学年1回定期に行うが、この濃度が著しく低濃度の場合には、次
回から測定を省略することができる。著しく低濃度の判断基準は、おおむね基準値の1/2以下
としている。
3
検査事項
検査は、次の事項について行う。
(1)
温熱及び空気清浄度/略
- 35 -
(2)
ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物
検査は、ア、イの事項について行い、特に必要と認める場合は、ウ~カの事項について
も行う。
ア
ホルムアルデヒド(夏期に行うことが望ましい)
イ
トルエン
ウ
キシレン
エ
パラジクロロベンゼン
オ
エチルベンゼン
カ
スチレン
(3)
換
気
(4)
ダニ又はダニアレルゲン/略
検査事項は次の4項目である。
(2)
ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物
ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物については、ア.ホルムアルデヒド及びイ.トルエン
について行い、特に必要と認める場合にはウ.キシレン
ベンゼン
エ.パラジクロロベンゼン
オ.エチル
カ.スチレンについても行う。
ア.ホルムアルデヒド
◯(夏期に行うことが望ましい)
イ.トルエン
◯(同上)
ウ.キシレン
◯(必要と認める場合)
エ.パラジクロロベンゼン
◯(同上)
オ.エチルベンゼン
◯(同上)
カ.スチレン
◯(同上)
文部科学省の実態調査(「学校における室内空気中化学物質に関する実態調査」平成13年
12月)によれば、キシレンについては基準値を下回ったこと、パラジクロロベンゼンは防虫剤や
消臭剤等の使用がなければその濃度は著しく低かったことから、その状況によって検査を省略
することができる。外気については、学校周辺に検査対象となる化学物質を取り扱う工場等があ
れば、外気測定を加える必要がある。
(3)
換
(4)
ダニ又はダニアレルゲン/略
4
気/略
検査方法
検査は、次の方法によって行う。
(1)
温熱及び空気清浄度/略
(2)
ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物
検査は、普通教室、音楽室、図工室、コンピュータ教室、体育館等必要と認める教室に
おいて、原則として次の方法によって行う。
- 36 -
ア
採取は、授業を行う時間帯に行い、当該教室で授業が行われている場合は通常の
授業時と同様の状態で、当該教室に児童生徒等がいない場合は窓等を閉めた状
態で、机上の高さで行う。なお、測定する教室においては、採取前に30分以上換
気の後、5時間以上密閉してから採取を行う。
イ
採取時間は、吸引方式では30分間で2回以上、拡散方式では8時間以上とする。
ウ
測定は、厚生労働省が室内空気中化学物質の濃度を測定するための標準的方法と
して示した、次の(ア)、(イ)によって行う。または(ア)及び(イ)と相関の高い方法に
よって行うこともできる。
(ア)
ホルムアルデヒドは、ジニトロフェニルヒドラジン誘導体固相吸着/溶媒抽出法
によって採取し、高速液体クロマトグラフ法によって行う。
(イ)
揮発性有機化合物は、固相吸着/溶媒抽出法、固相吸着/加熱脱着法、容
器採取法の3種の方法のいずれかを用いて採取し、ガスクロマトグラフ―質量
分析法によって行う。
[解
説]
検査は、次の方法で行う。
(1)
温熱及び空気清浄度/略
(2)
ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物
ア
検査箇所
検査は、普通教室、音楽室、図工室、コンピュータ室、体育館等必要と認める教室において
行う。また、それぞれの教室の種別に応じ、日照が多い教室、発生源の予想される教室や刺激
臭や不快な臭いがする場所等を測定の対象とし、化学物質の濃度が相対的に高いと見込まれ
る場所において、少なくとも1か所以上を選定する。具体的には教室全体の平均的な値が得ら
れる中央付近が適当と考えられる。
体育館等では部屋の中央付近、高さ120cm~150cmの位置で行う。体育館等の使用時は、
使用状況にあわせて少なくとも壁から1m以上離れた場所、2か所以上で採取する。
検体採取の際の換気条件については、窓等を閉めて通常の授業を行っている状態で行う。な
お、人工的な環境下では暖冷房の設置機器からの実効輻射温度や吸気口・排気口の気流等の
影響を考慮して、測定場所を決定しなければならない。
〈検査時の事前措置〉
教室の窓、戸、戸棚等を開けて教室の濃度を外気濃度と同じ程度にするため30分以上換気
する。その後、開放したところを閉め、そのまま5時間以上放置する。その理由は内外の換気の
バランス(平衡状態)をとるためのもので、これを換気の定常状態という。教室の密閉度が低けれ
ば放置時間は早く、高ければかなり長時間かかるのでおおよそ5時間程度となる。
①
授業中の測定方法:
通常の授業が行われている場合には、測定時の教室の環境条件(窓、換気扇等)はその
ままの状態で、意識的に窓を開けたり閉めたりしないで測定を行うこと。
- 37 -
②
生徒のいない教室での測定方法:
児童生徒等がいない教室での測定は窓等を閉めた状態で、所定の時間測定を行う。
なお、文部科学省の通知「学校における室内空気汚染対策について」(平成15年7月4日
15ス学健第11号)において「室内空気中における化学物質対策を推進していくためには、外
気の影響を受けることなく測定することが必要であることから、今後採取の際の換気条件につ
いては、窓等を閉めた状態で行うこと(この場合、児童生徒等は在室させないこととすること)。」
としている。
化学物質の検査は、ホルムアルデヒド、トルエンについて行い、特に必要と認める場合はキ
シレン、パラジクロロベンゼン、スチレン、エチルベンゼンについても行う。
キシレンは学校での検出例が少ないことやパラジクロロベンゼンは防虫剤や消臭剤等の使
用がなければその濃度が低い。新築・改築・改修時はその後の経緯により、状況によっては検
査は省略できるとしている。
実態調査においてもスチレンは277か所中1か所で基準値を超え、エチルベンゼンについ
ても同じ場所で指針値は超えなかったものの、指針値の2分の1を超える値となった。
これは、午前中の測定では指針値は超えなかったものの、午後の測定前にスチレン系接着
剤を使用したために上記の結果となったものである。
こうした結果を踏まえ、必要に応じて検査する項目として設定している。
したがって、スチレンやエチルベンゼンが基準値を超えないようにするためには、こうした接
着剤や樹脂等を使わないようにすることが重要であり、やむを得ず使用した場合には検査が
求められる。
このような状況から、検査を行う際には、使用状況等を調査した上で検査を実施するかどう
かについてを判断することが望ましい。
外気については、学校周辺に検査対象となる化学物質を取り扱う工場等があれば、外気の
測定を加える。なお、冬期の窒素酸化物の測定に当っては、道路沿線では外気濃度が高い
場合があるので、同様に扱うこと。
イ
検体の採取法(学校現場)
1) 学校での空気の採取は、授業を行う時間帯に行い、窓等を閉めた状態で、机上の高さで行
う。この際外気の影響を受けることなく測定するようにすることが大切である。拡散方式の場合、
採取前に教室を開放しその後閉窓し、換気が平衡状態(定常状態)となった後、次の2つの方
法で空気の採取を行う。
2) 採取時間は、①吸引方式では30分間(検体は午前と午後それぞれ1回以上採取する)
②拡散方式では始業から終業まで8時間以上で1回
検体採取の手順を示す
(A)
空気吸着管に吸着させる方法(吸引方式と拡散方式)
①吸引方式(アクティブ法)
午前
午後
1回30分空気採取
1回30分空気採取
- 38 -
②拡散方式(パッシブ法) 検体の採取の手順の1例を示す。
1
8~24時間・サンプラーで採取
教室の窓、戸、戸棚等1の操作で開けたところを閉める。
採取機器を設置→採取機器回収→分析機関へ
(B)
空気を直接容器に採取する方法(ステンレス製キャニスターに採取する)
(A)の方法が一般的で、次の2つの方法がある。
①
吸引方式(アクティブ法)
精密ポンプを用いて、吸着管に試料の空気を一定量採取する方法
(DNPH:2,4―ジニトロフェニルヒドラジン誘導体化固相管)
②
拡散方式(パッシブ法)
細いチューブに捕集剤を充填し、試料空気の拡散を利用してポンプなしで受動的に採
取する方法。
(測定バッジ、パッシブサンプラー、パッシブガスチューブ法)
*吸着管の種類の例:検査項目により異なる
ホルムアルデヒドは、DNPH誘導体固相管、揮発性有機化合物は、固相吸着管を用い
る。(活性炭、カーボンモレキュラーシーブ、ポーラスポリマー等大きな表面積をもった
吸着剤を充填したチューブ(捕集管)に検体空気を採取する)
ウ
分析測定:(分析機関)
採取した空気→分析
(1)
ホルムアルデヒドは、DNPHジニトロフェニルヒドラジン誘導体(ヒドラゾン)固相吸着/溶
媒抽出法によって採取し、高速液体クロマトグラフ法(HPLC)によって分析する。これは吸
引方式(アクティブ法)、拡散方式(パッシブ法)とも同じである。
(2)
揮発性有機化合物は、固相吸着/溶媒抽出法、固相吸着/加熱脱着法、容器採取法の
3種の方法のいずれかを用いて採取し、ガスクロマトグラフ―質量分析法(GC―MS)によっ
て行う。
吸引方式(アクティブ法)では最も感度の高い加熱脱着法が用いられ、拡散方式(パッシ
ブ法)では加熱脱着法より溶媒抽出法(二硫化炭素)が用いられている。
- 39 -
なお、トルエン、キシレンを分析する際には、ガスクロマトグラフ(GC)だけで分析しても良
いが、室内では多種類の揮発性有機化合物が存在するので、GC―MSによる方がより望ま
しい。
検査方法の流れの概要をまとめると次のようになる。
*トルエン、キシレンを分析する際には、ガスクロマトグラフだけで分析してもよく、質量分析を省
略してもよい。
標準法:ホルムアルデヒド
DNPH*1 誘導体化固体吸着/溶媒抽出―HPLC法*2
トルエン
GC―MS固相吸着/溶媒抽出法
キシレン
GC―MS固相吸着/溶媒抽出法
スチレン
同上
エチルベンゼン
同上
パラジクロロベンゼン
GC―MS固相吸着/加熱脱着法
*1 DNPH:2,4―Dinitrophenylhydrazine
*2 HPLC :高速液体クロマグラフィー法
*3 GC―MS:ガスクロマトグラフ質量分析法
なお、室内ガイドラインや建築物の衛生的環境の確保に関する法律〔ビル衛生管理法(厚生
労働省)〕等では、4―アミノ―3―ヒドラジノ―5―メルカプト―1,2,4―トリアゾール法(AHMT
法)によることも可能となっている。この方法はトリエタノールアミン(TEA)を含浸させたサンプラ
ーに、ホルムアルデヒドを接触させて捕集する方法である。
揮発性有機化合物の測定方法のうち、ホルムアルデヒドは、上記の吸引方式と相関の高い信
頼性が確保できる測定法として、文部科学省の通知「学校における室内空気汚染対策につい
て」(平成15年7月4日15ス学健第11号)により、スクリーニング法として使用しても差し支えない
測定器として次の計器が示された。
・FP―30(理研計器株式会社)
・710(光明理化学工業株式会社)
・XP―308B(新コスモス電機株式会社)
・91P及び91PL(株式会社ガステック)
・TFBA―A(株式会社住化分析センター)
なお、ビル衛生管理法(施行規則第3条の第1号の表の第7号の下欄の規定)ではホルムア
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ルデヒドの測定器について、指定測定器(厚生労働大臣が別に指定する測定器)として告示し
ている。(平成15年6月1日から適用)
なお、厚生労働省によれば、ビル衛生管理法に該当する学校において、学校環境衛生の基
準に基づき、ホルムアルデヒドの検査を行なった場合には、この結果をもってビル衛生管理法の
基づく検査結果としてさしつかえないこととしている。
4
検査方法(続き) (3)換気回数 (4)ダニ又はダニアレルゲン/略
5 判定基準
(1)
温熱及び空気清浄度/略
(2)
ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物(両単位の換算は25℃)
ア
ホルムアルデヒドは、100μg/㎥(0.08ppm)以下であること。
イ
トルエンは、260μg/㎥(0.07ppm)以下であること。
ウ
キシレンは、870μg/㎥(0.20ppm)以下であること。
エ
パラジクロロベンゼンは、240μg/㎥(0.04ppm)以下であること。
オ
エチルベンゼンは、3800μg/㎥(0.88ppm)以下であること。
カ
スチレンは、220μg/㎥(0.05ppm)以下であること。
(3)
換
気/略
(4)ダニ又はダニアレルゲン/略
[解
説]
(1)
温熱及び空気清浄度/略
(2)
ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物
ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレン6化学
物質を定期に基準値に適合するかどうかを検査すること。もしこの基準値を超えるようであれば、
その発生原因を調べるとともに対策を講じる必要がある。
最近は建材のJIS、JAS規定や業界の自主規制などの改正があり、施設面での対策が進んで
いるが、ホルムアルデヒドは、机・いす等(合板、家具接着剤)ビニル壁紙、パーティクルボード、
フローリング等発生源の可能性のある材料に特に注意する。トルエンは、美術用品、油性ニス、
樹脂系接着剤、ワックス溶剤等が発生源である。キシレンは、油性ペイント、樹脂塗料等が発生
源となる場合がある。パラジクロロベンゼンは防虫剤、消臭剤等である。
(3)
換
気/略
(4)ダニ又はダニアレルゲン/略
6 事後措置
(1)~(9)/略
(10)
ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物が基準値を超えた場合は、換気を励行
- 41 -
するとともに、その発生の原因を究明し、汚染物質の発生を低くする等、適切な措
置を講じるようにする。
(11)~(12)/略
[解
説]
判定基準外を超えた場合の措置
各項目を検査し、それらのデータを総合的に分析・評価し、基準を満足しないものであれば、
維持管理の方法を再検討する。それでも基準値を達成することができない場合には、施設・設
備の改善に結びつける。学校の建築物の構造的な改善の必要や設備、使用方法の不備があれ
ば、定期検査の他に必要に応じて臨時検査を実施して、その原因を探るようにすることが大切で
ある。
生徒が1日のうち約1/3を過ごす学校環境は、検査項目で述べた様々な配慮がされていな
ければならない。温熱環境や空気汚染度を基準値に適合させることとは、児童生徒等にふさわ
しい快適環境をいかに確保するかということである。
たとえば、温度についていえば空気分布や温度勾配(上下温度分布)等基準に定められてい
ないことも考慮する必要がある。また、快適感とは温度ばかりでなく、相対湿度、気流、実効輻射
温度等、温熱環境を良好に保つと同時に、生徒自身の着衣量や活動量(代謝量)等が影響する
ものであるから総合的にとらえることが必要となる。
教室等の空気の基準値の意味を理解しなければ適切な事後措置を講じることはできない。こ
の基準値は、基準を超えたからといって直ちに児童生徒等の身体に影響を生じるものではない
が、維持管理に努力すれば目標を達成できる性格のものである。
(1)~(9)/略
(10)
ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物
基準値を超えた場合は、その発生の原因を究明し、換気を励行するとともに、汚染物質の発
生を低くする等適切な措置を講じなければならない。
また、自然環境・人工的環境にかかわらず都市部に位置する学校は、外気の汚染物質の影
響を受ける場合が多い。外気の測定は、学校周辺に検査対象となる化学物質を取り扱う工場等
がある場合に行い、検査箇所で述べたように必要に応じて対象化学物質の内外の濃度比(室内
濃度/外気濃度
I/O比)を求めることが対策を講じる上で効果的である。
(11)~(12)/略
4
日常点検
1)外部から教室に入ったとき、不快な刺激や臭気がないこと。
2)欄間や窓の開放等により換気が適切に行われていること。
3)教室の温度は、冬期で18~20℃、夏期で25~28℃であることが望ましく、冬期で10℃
以下が継続する場合は採暖等の措置が望ましい。
補足説明/略
[解
説]/略
- 42 -
5
臨時検査
学級においては、次のような場合、必要があるときは、必要な検査項目を行う。
(1)伝染病又は食中毒の発生のおそれがあり、また、発生したとき。
(2)風水害等により環境が不潔になり、又は汚染され、伝染病の発生のおそれがあるとき。
(3)机、いす、コンピュータ等新たな学校用備品の搬入等によりホルムアルデヒド及び揮発
性有機合物の発生のおそれがあるとき。なお、新築・改築・改修等を行った際にはホル
ムアルデヒド及び揮発性有機化合物の濃度が基準値以下であることを確認させた上で
引き渡しを受けるものとする。
(4)その他必要なとき。
[解
説]
教室などの空気検査は、机、いす、コンピュータ等新たな学校用備品を搬入等により化学物
質の発生のおそれのあるとき、または新築・改築・改修等をしたときはホルムアルデヒドや揮発性
有機化合物が基準値以下であることを確認させた上で引き渡しを受けるものとされた。
なお、臨時検査時に、新たな学校備品の搬入時、新築、改築、改修時等にホルムアルデヒド
や揮発性有機化合物が基準値以下であることの確認作業があるが、上記の定期検査に準じて
行うことになる。
1.判定基準
定期検査と同じ項目を測定する
学校の新築・改築・改修等とは、建築基準法で規定する建築(新築、増築、改築、移転)、大
規模の修繕、模様替えとともにいい、壁面のペンキ塗装等を含むので、建築確認申請の有無を
問わないものである。
この場合でも、刺激臭、臭気を感ずるようであれば使用前でも、窓開放による換気の強化や室
内温度の上昇(ベークアウト)等でも揮発性有機化合物の濃度をある程度減少することができ
る。
文部科学省通知「学校環境衛生の基準」の留意事項について(平成14年5月21日付14ス学
健第8号)の概要は、次のとおりである。
①
新たな学校用備品の搬入等に係わる留意事項
机、いす、コンピュータ等新たな学校用備品の導入に当たっては、化学物質の放散の少
ないもの選定するように配慮すること。学校用備品の導入により、化学物質発生のおそれが
ある場合は、その教室で揮発性有機化合物の濃度の検査を行うこと。
②
新築・改築・改修等に係わる留意事項
学校施設の新築・改築・改修等に当たっては、学校施設整備指針や対策上の主なポイ
ントを示した文部科学省のパンフレット「健康的な学習環境を確保するために」(平成14年
2月文部科学省)等を参考にして、施設の計画・設計や施工等に十分配慮するとともに、事
前に、検査実施機関・検査費用等について調査し、かつ、引き渡しの際の検査において、
- 43 -
基準値を超えた場合の措置等についても取り決めておき、濃度測定は乾燥期間を十分確
保した上で行う等、適切に対応すること。
空気検査は専門測定機関に依頼することが多いので、学校薬剤師等とともに検査時に立ち
会うようにし、測定条件をチェックしておく必要がある。また、ホルムアルデヒド等の揮発性有機化
合物は、常温では時間の経過とともに濃度が減衰するので、換気を励行して基準値以下になる
よう日常の管理が大切である。
なお、最近は簡易測定器が開発され、こうした機器のうち厚生労働大臣の指定した方法(指
定測定器)は標準法との相関が高く現場でただちに結果が得られるものが多い。本基準におい
てもスクリーニング的に使用することが認められたので、学校現場での測定時に活用するとよ
い。
なお、検査は、空気環境を衛生的に維持管理するためのものであり、事後措置を講じるため
のてだてとなるものである。したがって検査に際しては、教室内だけでなく必ず外気も測定し、そ
の時の天候、年月日、時刻、場所、在室人数、検査器具名、検査者名等も記録することが条件
となる。検査器具名を記録しておくことは、検査器具にはそれぞれ特徴があり、測定値に差が生
じることもありうるからである。場合によっては機器のクロスチェックを行うことも考慮する。
2.学校施設に関する留意事項(文部科学省通知(平成15年7月4日付15ス学健第11号)参
照)
①
適切な工期の設定について
工事の発注の際には、十分な養生及び乾燥のための期間が確保されるよう、適切な工
期の設定に配慮すること。
②
適切な施工監理の実施について
設計図書で指定した建材や施工方法等の現場における確認等、適切な施工監理の実
施に配慮すること。
③
しゅん功建物の適切な引き渡しについて
「学校環境衛生の基準」に基づく検査によりホルムアルデヒド等の濃度が基準値以下で
あることを確認させた上で引き渡しを受けること。
また、基準値を超過した場合は、原因の把握に努めるとともに、換気の励行や汚染源の
除去等の適切な対策を講じること。
④
学校用家具の適切な導入について
家具の選定時には、ホルムアルデヒドの放散量等の確認に努める等、室内空気を汚染
する化学物質が発生しない、又は少ない材料の採用について配慮すること。また、家具の
搬入等によりホルムアルデヒド等の発生のおそれがある場合には、「学校環境衛生の基準」
に基づく検査を実施すること。
なお、文部科学省委託調査研究「学校施設における化学物質による室内空気汚染防止
対策に関する調査研究報告書」(日本建築学会文教施設委員会)(平成15年7月)が参考
となる。
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事後措置について
1.管理の方法
学校の建築物は、窓枠がサッシュ等で気密化が図られ、省エネルギー化対策により密閉度が
増している。教室でもこれらの影響を受けて、室内で発生する揮発性有機化合物が問題とされ
ているので、低減化の対策としては揮発性有機化合物を発生しない、もしくは少ないものを選定
するようにして、建材や学校用品等に揮発性有機化合物を含むものを持ち込まないことと、常に
教室の換気方法のチェックが大切なことである。機械換気設備については、日常的に運転させ
るとともに、定期的な清掃及び点検の実施について配慮する。
(1)
換気を励行する
上述したように室内空気中の揮発性有機化合物の濃度は、その発生量と漏気を含めた換気
量の比で決まる。換気を十分に行い、空気の入れ替わりが十分確保されれば、基本的に外気と
大差ない状態になるはずである。しかしながら、換気量を過大に増やさねばならないとなると、快
適な室温等を維持するために暖冷房エネルギーが浪費されることになり、省エネルギーの観点
からも問題となるため、全熱交換方式の換気扇の利用が望まれる。
ア
換気の方式/略
イ
換気扇による換気/略
ウ
全熱交換器付き換気扇による換気/略
(2)
発生源を推定する
教室の臭いが気になったり、目に刺激を感じたり、体調不良を訴える児童生徒等がいる場合
には、原因物質の発生量を減少させるか、発生した物質を取り除く必要がある。そのため使用す
る教材・教具等にも目を向けて発生源の把握に努める。建材等の発生源の項で述べたように発
生源のチェックを行ってみる。
建材や殺虫剤、防蟻剤等が原因と思われる場合は、各種吸着剤、分解剤、封じ込め剤や空
気清浄機等の利用、さらにはベークアウトやリフォームといった処置も考えられる。
吸着剤の利用や空気清浄機(脱臭機)の使用は比較的簡便であるが、その効果は製品によ
ってばらつきがあるといわれている。ホルムアルデヒドについては、茶殻や水程度でも多少の吸
着効果はあるともいわれている。
(3)
体調不良の児童生徒等への措置
体調不良や被害訴える児童生徒等がいる場合には、その状況を聞き取り、対策のアドバイス
を行う必要がある。
①
定期検査結果等について、担当の学校薬剤師のアドバイスを受ける。
②
対象児童生徒等の家庭環境、新築・改築・改修等などを聞き取る。
③
最近揮発性有機化合物等に接触したかどうか聞き取る。
体調不良を改善するために原因の除去、症状緩和のための措置、自己治癒能力による快復
である。従って、目に異常を感じるヒトは眼科、皮膚に異常を感じるヒトは皮膚科、消化器系に異
常を感じるヒトは内科等、それぞれが異常を感じている部分の専門医の診療を受け、症状緩和
の措置をとってもらう必要がある。
- 45 -
参
考
日常対策品:各種吸着剤、分解剤、封じ込め剤
炭・吸着シート・吸着ペイント、分解剤等室内の揮発性化学物質を低減化するものが市販され
ているが、評価方法・試験方法が未整備でその効果は十分確かめられていない。
空気清浄機:ほとんどが室内粒子(たばこ煙等)の除去を目的としたものが多く、そのろ材に活性
炭(特殊な化学処理をしたもの)や二酸化チタン系光触媒、脱臭フィルター等化学物質を対象
としたものやプラズマ放電式等が市販されているので、その効果はある程度は期待できるがカタ
ログを参考にすること。全てろ材等のメンテナンスが大切といわれている。
ベークアウト:室内の揮発性化学物質の早期揮散を目的に、ストーブ等により30~40℃に数日
間加熱し、室内温度を上昇させる。これにより建材等に含まれるホルムアルデヒド、揮発性有機
化合物等を除去する。ホルムアルデヒド等は、リバウンド現象も指摘されその効果は完全ではな
いとも言われている。
開放型燃焼器具:暖房のために必要な空気を室内から取り入れ、排出ガスを室内へ放出する燃
焼方式で灯油を使用する場合、室内汚染の原因になる。石油ファンヒーター等がある。
FF式暖房機:燃焼器具の給排気方式を送風機によって強制的に行うもので、外気を取り入れ排
気も外気へ排出するので、室内空気を汚さない方式である。
ホルムアルデヒドの発生原因と性質:
合板、パーティクルボード、壁紙用接着剤にはユリア尿素系、メラミン系、フェノール系等の合
成樹脂や接着剤が用いられ、ホルムアルデヒドが熱圧着により反応・硬化することにより接着され
ている。このホルムアルデヒドが長い間空気中に放散される。最近はこれらと別の接着剤も開発
されている。なお、ホルムアルデヒドの移染は、ホルムアルデヒドが揮発性であり他のものに付着
したり吸着しやすい性質のため、ホルムアルデヒドを含まない物質に移行する現象をいう。
合板:単板を3枚以上、繊維方向に張り合わせたもので、普通合板、構造用合板等がある。
パーティクルボード:木材の小片(パーティクルボード)を接着剤を用いて成型熱圧して板状にし
たもの。
学校用家具について:机・いす等については、日本工業規格(JIS)、国等による環境物品等の調
達の推進に関する法律(グリーン購入法)によりホルムアルデヒドの放散について基本方針が示
されている。
家庭用品法 :正式名称は「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」(昭和48年10
月12日法律第112号)で、家庭用品に含有されているホルムアルデヒド等17の有害物質の含
有量、溶出量又は発散量に関し、必要な基準を定めたもの。衣料品の多くに、防しわ、防縮のた
めホルムアルデヒド加工剤として用いられている。
建築基準法の改正関連:
1.規制対象とする化学物質として、クロルピリホスおよびホルムアルデヒドを定める。
2.クロルピリホスを添加した建材の使用を禁止する。
- 46 -
ホルムアルデヒドの発散建築材料
*1 測定条件:温度28℃、相対湿度50%、ホルムアルデヒド濃度0.1mg/㎥(=指針値)
*2 建築物の部分に関して5年経過したものについては、制限なし
3.
①内装仕上げに使用するホルムアルデヒドを発散する建材の面積制限、②機械換気設備
の設置の原則義務付け、③天井裏等からホルムアルデヒド流入抑制のための必要な措置
を定める。
学校では、小・中学校の場合等は、窓・開口部でのみ換気をすることが多いが、新築・改築等
の建物では建築基準法の改正により換気設備が原則として義務付けられたので、換気扇等を
設置する必要性が生じた。
ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物(両単位の換算は25℃)
重量濃度で表示された市販の標準ガスの場合における容積の換算は、
V(ml)=100×22.4(273+t)/273M(M=分子量、t=気温、測定対象物資は100mgに相
当する採取容積)である。
市販の標準ガス濃度ppm(μg/㍑)の重量/体積濃度(μg/㎥)への換算には、
273M/{22.4(273+t)}を乗ずる
それぞれの物質のmg/m3からppmへの換算は
両単位の換算:ppm≒mg/㎥×24.04/分子量(20℃)
ppm≒mg/㎥×24.45/分子量(25℃)
例:HCHO=0.1×24.45/30.03≒0.0815ppm
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引用・参考資料
○
文部科学省「学校環境衛生の基準」/平成16年2月改訂
○
文部科学省「学校環境衛生管理マニュアル/平成16年3月
○
文部科学省「健康的な学習環境を確保するために」/平成18年6月
○
快適で健康的な住宅に関する検討委員会健康住宅関連基準策定専門部会化学
物質小委員会報告書/平成9年6月
○
北海道教育委員会「学校における危機管理の手引」/平成19年10月
○
札幌市教育委員会「学校・園におけるシックハウス対策マニュアル」
/平成19年3月
○
調布市教育委員会「調布市立学校における室内化学物質対応マニュアル」
/平成17年7月
○
東京都教育庁「都立学校における室内化学物質対策の手引」/平成15年12月
○
平成15年10月都立学校室内化学物質対策検討委員会報告書
○
神奈川県教育委員会「県立学校における室内化学物質対策マニュアル」
/平成18年3月
○
愛知県教育委員会「学校における室内空気中化学物質対策マニュアル」
/平成18年3月
○
栃木県教育委員会「健康的な学習環境のために」/平成18年3月
○
環境問題総合研究所「シックハウスとは」
- 48 -
あとがき
巻頭の「はじめに」でも述べているように、小向小学校におけるシックスクール問題に
ついては、小向小学校が校舎建替えとなり、新校舎にて3学期始業時の平成19年1月
18日から授業を再開したところですが、同年2月にシックハウス症候群に似た症状の訴
えがあるとの報告があり、その後、児童1名と教職員2名が「化学物質過敏状態による自
律神経失調症(シックハウス症候群)」と診断され、シックスクール問題による健康被害
が生じたものです。
本マニュアルは、小向小学校の新校舎における室内空気中化学物質による健康被
害が生じた事実を踏まえて、今後再び、紋別市内の小中学校において室内化学物質
による健康被害が生じることのない適切な対応と体制が求められており、その取り組み
について策定したものであります。
小向小学校で罹患された児童と教職員の一日も早い健康回復を願うとともに、小中
学校で学ぶ全ての児童生徒が、安全・安心で快適な学校生活を送れるよう万全をつく
してまいります。
紋別市教育委員会
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