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住民参加による学校図書館運営 事業計画
SVA カンボジア事務所 2012-2015 住民参加による学校図書館運営 事業計画 フォーマル教育課 [2011 年 6 月 22 日] 1. 事業名: 住民参加による学校図書館運営事業 Improved Management of School Library through Community Participation (IMSL) 2. 対象地域の教育状況 カンボジア政府は教育復興に力を入れる中で、カリキュラムの改定を行い、10年制から12年制(小学校6年、中学校 3年、高校3年)に引き上げ、教育の質の向上を目指しているものの、実際には教育の設備が整わず、生徒が受ける 授業時間も限られており、カンボジアの教育の質は低い状態にある。小学校の児童の授業時間は目標の650時間に はほど遠く、ほとんどの学校が2部制で行われている。(ユネスコの発表によると周辺先進国の平均授業時間は850 時間から1000時間以上といわれている。) 2010 年に教育省が発表した教育開発戦略では初等教育に関して以下の 3 つの大きな指針を掲げている。 1. 教育への平等なアクセスの保証 2. 教育の質と効率性の向上 3. 制度開発と地方分権のための能力強化 2004 年にチャイルドフレンドリー政策が施行され、教育の質と効率性の向上を目指したものの、学校は依 然として質の向上を上げられない困難な状況に置かれている。 学校図書館は教育の質の向上に関わる重要な役割を果たすとして、教育省は学校図書館の推進に力を入れて きた。学校図書館は、カンボジアの小学校の半数近くまで設置されているというデータもある。政府の教育戦略におい ても特に農村地域の小学校における学校図書館の開設を奨励している。 近年教育省は学校図書館政策の一環として「ミニマム・スタンダード・ガイドライン」を制度化した。これ はすべての学校が一定の学校図書館の設置を求められるものである。一方で、教員たちは、限られた学校運 営予算の中で、経済的、技術的に学校図書館を運営することが困難な状況に置かれている。 1 3. 他の援助機関の動向 国際NGOでは、SVAの他、シパー(SIPAR)やルーム・トゥ・リード(Room To Read)らの支援団体が図書館活 動に携わっている。 シパー(SIPAR)は、図書館建設、能力強化研修、教員養成大学での図書館運営研修、絵本出版、移動図書 館活動を展開している。 ルーム・トゥ・リード(Room To Read)は、学校図書館建設、修繕、学校図書館運営研修、絵本出版、配布活動、 読書コンテスト、などを展開している。 しかしながら、それぞれの団体のキャパシティもあり、全ての学校への支援は行き届いていない状態である。 4. プロジェクトの必要性、妥当性 SVAが本事業を行う理由は、大きく以下の 2 点が挙げられる。 1. カンボジア政府は、「ミニマム・スタンダード・ガイドライン」を教育政策に導入しているものの、「ミニマム・ スタンダード・ガイドライン」の更なる推進が必要であるため。 2. 「学校図書館」という概念は広く認識されるようになり、また、ファスト・トラック・イニシアチブの影響により、 小学校の 50%が図書館を設置しており、学校図書館の重要性が広く広まる中で、学校図書館運営と持続性 は今も解決が必要な問題であるため。 No. 1 2 3 4 5 6 7 統計項目 人口 小学校数 (2009-100) 進級率 (2008-09) 残存率 (2008-09) 就学者数 教員 図書館 シェムリアップ バンティミンチェイ 896,443 677,872 473 396 81.40% 82.50% 57.42% 52.51% 172,008 112,635 2,494 2,503 211 226 カンポート 585,850 301 87.00% 69.79% 102,349 2,391 167 プノンペン 1,327,615 115 89.80% 71.90% 113,320 3,606 100 Source: EMIS data, Education Congress report 2011 5. SVAが取り組む意義 SVA は学校図書館が政策に盛り込まれるよう「ミニマム・スタンダード・ガイドライン」の成立にこれまで関わってきた。 その中で、SVA のこれまでの実績を元に、次のステップとして、このガイドラインの普及の支援を行うことを教育省か ら強く要請されている。 6. 対象地域と受益者 No. 対象州 2012 学校数 2013 受益者数 就学者数 学校数 人口 受益者数 就学者数 学校数 人口 受益者数 就学者数 人口 1 シェムリアップ 5 1,200 6,000 5 1,200 6,000 5 1,200 2 バンティミンチェイ 5 1,200 6,000 5 1,200 6,000 5 1,200 6,000 10 2,400 12,000 10 2,400 12,000 10 2,400 12,000 Total 対象校選定基準: - 2014 中心校もしくは衛星校 2 6,000 - 図書室はあるが、設備が悪く運営も弱い - 図書館員がいる、もしくは配置される予定がある - 図書館員はすでに訓練を受けている - 地域住民が「住民参加」の意思がある ・図書室の修理(窓の鉄格子設置、壁・床・屋根のペンキ塗り、など) ・事業終了後も図書館を持続させるための資金調達 - 地域住民の事業への強いサポート - 教師、地域住民が心から図書館に関心を持っており、図書館を必要としている - 選定校への州と郡の教育局からの同意 7.実施期間:2012年1月から2015年の12月まで4年間 8.ハンドオーバーする相手と持続可能性 8.1 カウンターパート 州教育局 郡教育局 中心校の校長 学校支援委員会 8.2 持続可能性 本事業は、住民参加型手法を用いて実施する。学校図書館活動を行う中での地域住民が果たす役割は大きい。例 えば、図書館用の部屋の準備や、SVA の撤退後も活動が維持されるための資金獲得は、地域住民も責任を持って 参加することが重要である。地域住民が協力し、様々なチャリティ・イベント活動を行い、資金調達を行うことで、学校 図書館を継続的に運営していくことが可能になる。 以下の点は、持続可能性のために SVA が各ステークホルダーに要請していく。 地域・学校支援委員会は、学校図書館のための適切な部屋の提供、図書館設置の準備、教室の修繕、維 持管理、工程管理に責任を持ち、事業完了後は地域で資金調達を行い、運営資金を賄う 州教育局は、(州、郡、学校レベルで、)適材な職員を本事業に配置し、事業が経済的、及び時間的に円 滑に進むように協力体制を図る。必要な書類手続きやご支援者への感謝状やメダルの準備、竣工式の準 備に携わる。また、効率性かつ透明性を保つためのモニタリングスケジュール、訪問スケジュールと活動情報の 的確な提供、計画・運営・問題解決において SVA とのオープンな意見交換の実施、そして、図書館設置後の図 書館員の配置を行う。特に他団体と事業の競合がないように調整をする。 郡教育局は、必要な情報を共有し、プロジェクトの実施のモニタリングやフォローアップに責任を持つ。地域 住民を盛り立て、事業に参加してもらうことで、事業完了後の持続発展性を目指す。 3 SVA は、調査、申請書や資金調達などに責任を持ち、事業に必要な人材、資機材などの提供を行う。また、 事業の活動の進捗を月一回モニタリングすると共に、研修会、交流訪問の開催及びモニタリング、評価を実 施する。 事業実施プロセス 1. 申請書作成もしくは事業実施 2~3 か月前に事前調査を行う。(10 月初旬の学校開校時期より開始) 2. 申請書提出後、州教育局と同意書を交わす。1 か月に 1 度は学校を訪問する。 3. スタディツアーおよび図書館運営の研修会を開催する。 4. 地域住民、地方自治体と事業同意書を交わす。 5. 事業の初期段階では、技術指導や地域住民との会合のため 2 週間に 1 回に事業地を訪問し、その後も学校図 書館のモニタリングを行う(月に 1 回、3 年間)。また、夏休みの間も、月に 2,3 回の頻度で、図書館運営や移動 図書館を行う。(3 年間) 6. 報告書作成。(図書館の設置終了後とワークショップの終了後に作成) 7. 学校の特別行事(読書キャンペーン)を、毎年一回、対象校にて開催する。 8. 評価(3 年後に 1 回)、データ収集は年に 2 回行う。(8 月と 10 月) 9. 上位目標 カンボジアの学校図書館で「学校図書館ミニマム・スタンダード・ガイドライン」が広く普及し、実践される 10.プロジェクト目標と指標 対象地域のすべて学校図書館で「学校図書館ミニマム・スタンダード・ガイドライン」が採用される 指標: * 定期的に活動する学校図書館数 * ガイドラインを受け入れる学校数 11.成果、活動、指標 アウトプット 1: 「学校図書館ミニマム・スタンダード・ガイドライン」を満たした学校図書館が対象地域に設立される 指標 1-1 ガイドラインを満たした学校図書館建設数 3つの図書館指標に沿って図書館が装飾される 活動 1-1 対象地域の学校の重要人物(教師・図書館員・中心校長、郡教育局長)に「学校図書館ミニマム・スタンダ ード・ガイドライン」についての研修をする 1-2 学校図書室のための部屋を用意する 1-3 学校図書館に備品を配布する 4 1-4 学校図書館に読書教材を配布する 1-5 学校図書室を装飾する 1-6 「学校図書館ミニマム・スタンダード・ガイドライン」普及のため、カリキュラム開発局(CDD; Curriculum Development Department)支援する アウトプット 2: 対象地域の学校図書館員・教師・校長が、学校図書館運営のための基礎的知識と技術を習得し、実践する 指標: 2-1 図書館の設備が維持管理される 活動 2-1 学校図書館運営についての研修会を実施する 2-2 学校図書館への交流訪問を実施する 2-3 学校図書館についての技術的な研修会を実施する 2-4 読み聞かせの全国大会を開催する 2-5 移動図書館活動とモニタリングを行う アウトプット 3: 対象地域のPTAと地域住民が、学校図書館に対しての理解を深める 指標 3-1 学校運営に参加する生徒・保護者・地域住民数 活動 3-1 PTA・地域住民・教師・郡教育局との定期会合を年二回開催する アウトプット 4: 対象地域の学校図書館員が図書選定のための技術を身につける 指標 4-1. 図書選定が改善した学校数 活動 4-1. 絵本選定のためのマニュアルを作成する 4-2. 絵本やその他の読書教材についての研修を実施する アウトプット 5: 対象地域で図書推進活動が普及する 5 指標 5-2. 学校図書館の利用者数、もしくはその存在について知っている人数 活動 5-1. 対象地域で読書推進活動をする 5-2. 対象校で読み聞かせ大会を開催する 5-3 図書館に関しての小冊子を出版する 12. 実施体制 SVA6 名 ユン・ヴィスナー シニアコーディネーター ソー・サミー コーディネーター プロム・ニー アシスタントコーディネーター ンゲ・トゥーン アシスタントコーディネーター シブ・フーン 図書館スタッフ フン・ソティアロアット 図書館スタッフ 政府 州教育局 郡教育局 中心校校長 地方自治体 教員 地域住民 学校支援委員会 13.年間スケジュール 添付資料参照 14.モニタリング・報告の方法 モニタリングは移動図書館活動と同時に月に一度行われる。 図書館の設置後報告書を作成。 支援者からの要請があれば進捗状況を報告する。 15.評価の計画 - 図書館設置後、1 年に 1 度年次評価を行う。(3 年間) - モニタリングシートおよび評価シート使って評価を行う。 6 - 支援者に東京事務所を通して、評価報告書を提出する 16. 特別な配慮事項 特になし 7