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指導案

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指導案
理科学習指導案
指導者 庄原市立比和中学校 福永 卓司
1 日 時 平成25年10月30日(水) 第2校時
2 学 年 第3学年 5名 (女子5名)
3 単元名 「地球と宇宙」
4 単元について
(1)単元観
本単元は,中学校学習指導要領理科第2分野(6)地球と宇宙に基づき,設定するものである。身近
な天体の観察を通して,地球の運動について考えさせるとともに,太陽や惑星の特徴及び月の運動と見
え方を理解させ,太陽系や恒星など宇宙についての認識を深めることを目標とする。
ア 天体の動きと地球の自転・公転
(ア) 日周運動と自転
天体の日周運動の観察を行い,その観察記録を地球の自転と関連付けてとらえること。
とされている。
小学校第3学年では,日陰の位置が太陽の動きで変わるということ,第4学年では,月の形が変化す
ること,星の明るさや色に違いがあること,星座の形は変わらないことを学習している。また,小学校
第6学年では,月の満ちかけと太陽・地球・月の位置関係,月面と太陽表面の違いについて学習してい
る。ここでは天体の観察記録や資料をもとに,日周運動をはじめとする諸現象が,地球の自転や公転に
より合理的に説明できることを理解させる。
太陽の日周運動を観測する方法としては,透明半球への日周運動の記録や,長時間露出で撮影された
星の動く道筋画像,微速度撮影で記録された動画が用いられる。ここで,天体の日周運動や年周運動を
理解するためには,観測者の位置と観察している方角を相対的に把握することが不可欠である。
校種
小学
校
学年
3年生
4学年
6学年
中学校 3学年
地球
太陽と地面の様子
月と星
月と太陽
天体の動きと地球の自転・公転
太陽系と恒星
(2)生徒観
生徒は落ち着いて学習に取り組み,観察・実験の準備や操作,片付けまで協力し積極的に行っている。
少人数の特性を生かし個人実験や観察を行っている。基本的には全員が積極的に発表できるが,考察にな
ると発言に偏りが見られる。また,作業中にはお互いの発見や意見を自由に交わす場面が見られるが,発
表の場面で意見を述べることは十分ではない。思考に必要な既習事項を確認し,思考や表現を援助できる
教具の工夫など取り組んできた。事前に学習内容の予習を行い確認している生徒もいるが,知識の量で解
決されるのではなく,事実を組み合わせて推論し考えをまとめる場面を設定しようとしてきた。図1のホ
-53-
ワイトボードは,塩酸の電気分解の実験結果について,原子・イオン・
電子・分子という科学的概念(言葉)を用いてグループで話し合った
結果を説明し交流する場面のものである。科学的には不十分であるが,
既習事項やカードやマーカーを活用して,電気分解のプロセスをわか
りやすく工夫してまとめることが出来ている。グラフⅠは今年度3年
生の理科の学習にかかわる調査結果である。生徒は天体領域に関心が
高いことが伺える。昨年度実施した庄原市一斉学力調査を見ると,「地
球の運動と天体の動き」については全国正答率 68.1%に対し,本校は
73.6%であった。
「透明半球を活用した太陽の日周
理科の学習で次のことがどれくらい好きですか
運動の学習」の正答率は全国平均を
上回るが,「春分・秋分の日の日照
植物や動物などの観察実験
好き
どちらかと言うと好き
時間」においては基礎的な内容の確
光・電気,磁石,物体の運動の様子を調べ 好き どちらかと言うと好き
認が不十分という課題が明らかと
ること
なった。
星や天気,地層などの観察
どちらかと言うと好き
好き
0%
物質の溶け方や水溶液の性質を調べるこ
と
20%
好き
40%
60%
80%
100%
どちらかと言うと好き
グラフ1
(3)指導観
基本的な学習内容について,様々な場面で関連性を確認したり,導入時で前時までの内容を振り返ら
せたりして,既習事項の定着を図っていく。復習ドリルは,授業のねらいを達成するために必要な既習
事項を確認することにも活用している。毎時間ワークシートを使用し,板書だけでなく,自分の気づき
やメモ・疑問を記入する欄を設け,評価を行う。また,ホワイトボードを使い,自分の予想や考察を分
かりやすく工夫して発表する場面を設定する。
科学的概念(言葉)を用いて個人の思考の結果を説明し交流する場面においては,思考に必要な既習
事項を事前に確認するとともに,思考のヒントとなり,考察した内容の表現を援助できる教具の工夫を行
う。特に事実を組み合わせて推論し考えをまとめる場面は必ず設定する。
本校では授業改善として,目標達成のために有効な言語活動の工夫・改善をすすめている。そこで,
「話し合い活動」では,「考えたい。」「話し合いたい。」「もっとわかりたい。」の段階を経るようにする。
「考えたい。」は動機付けとなる。関心をもたせ,課題を解決することを有意義ととらえ,これまで学
習したことを活用すれば出来そうだという見通しをもたせる。学習課題や内容を,事例などで多様化す
ることで日常的な具体例と結びつける。
「話し合いたい。」は,自分なりの考えた内容を確かめることである。習得している科学的な根拠を基
に自分の考えをまとめ,伝わるように分かりやすく表現・発表する場面を設定する。具体的には,実験や
観察の結果を考察と区別し,客観的に事実を正確に確認すること,予想と比較し「なぜそうなったのか」
という考察場面を必ず設定し,個々の考えについて全体で交流させ,考えを深めさせることに努める。
「もっとわかりたい。」は学習で興味関心が高まり,さらに詳しく調べたい,身についたことを様々な
内容で活用したいと思うことである。自分の考えを科学的根拠をもって分かりやすく説明する場面を設
定し,予想通りにならなかった原因について確認することにより,学習内容の定着,深化につなげたい。
また,少人数の特性を活かし,必要に応じて個別の作業や実験を取り入れる。机間指導で見取りとと
もに援助しながら作業を進めさせ,「自分なりの推論や分析」を主体的に取り組ませたい。
そして,交流場面では生徒が学習リーダー(理科係)を中心として主体的に質疑応答や意見交換をす
すめるための「話し合いのルール」を徹底させていく。
生徒は天体の動く道筋は地球の自転によるものであり,地球を中心とした天動説的な視点から,太陽
を中心とする地動説的な視点に変えることはできている。また,地球は太陽を中心とした公転運動をし
ていること,季節により見える星座が違うこと等は学習している。ここでは,天体の見かけ上の動きと
-54-
観測者の地球上の位置(緯度)や地軸を中心とした自転の関係を学習するが,天体は日常生活に比べ規
模が桁違いに大きく,天体相互の関係は俯瞰的につかみにくい。より実感を伴った学習を行うために,
現象を観察し原因を導き出すにはモデルが必要である。地球からの観測において「天球概念」は特に大
切である。天体の動きは見かけ上の天球で動きを考えると規則性が導きだせる。天球モデルや地球儀,
画像や動画とともに,観測者からの視点を確認できる手段として web カメラなどのICTを効果的に活
用することで思考や理解に結びつけたい。
5 研究主題とのかかわり
主体的な学び合いによる授業づくり
~話し合いで学ぶ~
【おもな言語活動】
・予想し,根拠を理論的に説明できる。
・自分の考えを見直し,修正を加える。
【目指す生徒の姿】
・学習課題についての自分の考えを,既習事項や生活経験で身につけた科学的な根拠に基づき,分かりやす
く自分の言葉や考えで表現し伝えることができる。
6 単元の目標
身近な天体の観察を通して,地球の運動について考えさせるとともに,太陽や惑星の特徴及び月の運動と
見え方を理解させ,太陽系や恒星など宇宙に着いての認識を深める。
ア 天体の動きと地球の自転・公転
(ア) 日周運動と自転
天体の日周運動の観察を行い,その観察記録を地球の自転と関連付けてとらえること。
7 単元の評価規準
ア 自然事象への関心・
意欲・態度
天体の動きと地球の自
転・公転,太陽系と恒星
に関する事物・現象に進
んで関わり,それらを科
学的に探求するととも
に,自然環境の保全に寄
与しようとする。
イ 科学的な思考・表現
天体の動きと地球の自
転・公転,太陽系と恒星
に関する事象・現象の中
に問題を見いだし,目的
意識をもって観察・実験
を行い,事象や結果を分
析して解釈し,自らの考
えを表現している。
ウ 観察・実験の技能 エ 自然事象について
の知識・理解
天体の動きと地球の自 観察や実験などを行い,
転・公転,太陽系と恒星 天体の動きと地球の自
に関する事物・現象につ 転・公転,太陽系と恒星
いての観察,実験の基本 に関する事物・現象につ
操作を習得するととも いて基本的な概念や原
に,観察,実験の計画的
な実施,結果の記録や整 理・法則を理解し,知識
理など,事象を科学的に を身につけている。
探求する技能の基礎を身
につけている。
8 指導と評価の計画 「地球と宇宙」(全11時間 本時 6/11)
評 価
学習内容(時数) 関 考 技 知
評 価 規 準
評価方法
宇宙の謎を追って ○
天体の動きと人の生活とのかかわりや宇宙
開発・研究に興味をもち,宇宙や天体につ
1
いて意欲的に調べようとする。
太陽はどのように動い
○ 地球は太陽の光を受けることによって昼と
てみえるだろうか
夜が存在すること,地球の自転によって昼
2
と夜の部分は移っていくことを理解する。
◎ 星の位置は天球上の位置と距離で表される
-55-
3 太陽の動きを観察する
太陽の動きの原因は何
4 か
星はどのように動いて
見えるだろうか
5
星はどのように動いて
見えるだろうか
6 【本時】
星の動きの原因は何か
観測地で見える星座は
7 どうなるだろうか
8
○
○
○
◎
○
◎
◎
季節によってどのよう ○
な星座が見えるか
季節により見える星座
9 が違うのはなぜか
季節により太陽の南中 ○
高度はどうなっている
10 か
季節により太陽の南中
高度が違うのはなぜだ
11 ろうか
○
◎
○
◎
○
◎
こと,地面側の天球は見えないことを理解
する。
透明半球を用いた太陽の1日の動きの観測
を行うことができる。
太陽の1日の動きが,地球の自転によって
起こる見かけの動きであることを捉えるこ
とができる。
太陽の日周運動から,東,西,南の空の星
の動きを透明半球上に道筋として導き出す
ことができる。
東,西,南の各方角の星の動きを観測者か
ら見た道筋で導き出すことができる
太陽と星の日周運動から,北の空の星の動
きを透明半球上に道筋として導き出すこと
ができる。
北の各方角の星の動きを観測者から見た道
筋で導き出すことができる。
星の日周運動を,太陽の日周運動と同じ地
球の自転による見かけの運動として理解す
る。
観測地によって太陽や星座の見える方向が
異なったり,見ることのできる天体が異な
ることを理解できる。
季節によって見られる星座が異なることに
関心をもち,その原因を調べてみようとす
る。
日周運動と年周運動の違いを捉えることが
できる。
同じ時刻に観測すると,星座の星は毎日約
1°東から西に移動し,太陽は逆に星座の
星の間を西から東に移動していることを理
解する。
季節による太陽高度の変化や気温の変化に
興味をもち,資料などによって調べてみよ
うとする。
季節によって太陽の南中高度や昼間の長さ
が異なることを捉えることができる。
地軸の傾きによって,季節による太陽高度
の変化や昼夜の長さの変化が起こることを
捉えることができる。
季節による気温の変化を,太陽高度や昼間
の長さの変化と関連づけて理解する。
行動観察
ホワイトボー
ド
ワークシート
課題等提出物
発表
テスト
9 本時の学習
(1)本時の目標
・太陽と星の日周運動から,北の空の星の動きを透明半球上に道筋として導き出すことができる。
・北の方角の星の動きを観測者から見た道筋で導き出すことができる。【科学的な思考・表現】
(2)設定した言語活動で身につけたい力(めざす生徒の姿)
・観測者の視点から,星は北の方角において,天の北極を中心に,反時計回りに動く道筋を導き出すこと
ができる。
※太字が活用されるべきキーワード
(3)準備物
星の動きを記録した画像 透明半球 水性ペン ホワイトボード 書画カメラ web カメラ
地平線ボード 天球 パソコン プロジェクター
-56-
(4)学習の流れ(6時間目/全 時間)
11
学習活動
指導上の留意事項(◇)
(◆「努力を要する」状況と判断した生徒への手立て)
評価規準[観点]
(評価方法)
1 導入
◇星の東~南~西の動きを確認する。
・考察のために活用すること ○動画と星の道筋の透明半球の記録をプロ
を行う。
ジェクターで提示し,確認させる。
・星の日周運動の記録を確
「ミッション~真北,20km地点のオアシスにたどりつけ~」
認する。
・夜の砂漠に一人。コンパス,目標物なし。
・真北の方角20km先にオアシスがある。
・東西南の空は快晴。北方向の空に雲がかかっている。北の方位
と思われる方向に1等星が1つ輝いている。
・現在22時。朝4時の夜明けまでに到着しないといけない。
①真北の方向を探すこと
2 学習課題
②6時間後がわかること。
北の空の星の動く道筋を予想できる。
3 透明半球に星の動く道筋を ◇天球,星の位置,観測者の位置を確認し,透
記録する方法について確認す 明半球に軌道を記録できることを確認させ
る。
る。
4 北の方向と6時間後を確認 ◇ホワイトボード,透明半球に記入させる。
する方法を考え,その根拠を準 (予想される生徒の様子)
備する。
・道筋が北の位置になるほど地軸との角度が垂
直から大きくずれていく。
・北の位置でも透明半球の地平線につながって
いる。
・北極星を中心に同心円となっている。
・観測者の視点から導き出せている。
・透明半球外側の視点のままで,動く方向が時
計まわりとなっている。
・南の高緯度の星の道筋で南中した位置の逆方
向が北。
言語活動①(記述)
・既習事項の科学的な根拠か
ら自分が予想した考えを
論理的に記述する。
言語活動②(説明,再思考)
・自分の考えを,理由付けをして説明する。
・他者の考えを聞き,自分の予想の比較修正を行う。
・クリティカルシンキング
5 全体で交流
・自分の考えを根拠とともに発
表する。
・自分の考えを見直し,修正を
加える。
規則性を見いだ
◇話し合いの手法を確認する。
し,推測する話し
○透明半球,ホワイトボードを活用する。
合い
◇理科係が進行し,全体に発表させる。
○ホワイトボード,透明半球,書画カメラ,
プロジェクターを活用させる。
ア太陽と星の日周運
○予想した根拠を確認させる。
動から,北の空の
○質問や意見で交流させる。
-57-
(めざす生徒の姿)
・星は反時計回りに動いて見える。
・星の道筋は,北極星を中心に円を描く。
言語活動③(論理的説明)
・既習事項,科学的用語を使って予想の根
拠を説明できる。
6 動く道筋を確認する。
・ミッションの確認
7 振り返りと次時の確認をす
る。
指導改善のポイント
キーワード:太陽の動く道筋,反
時計回りを用いて表現できること
がゴール。
◇天球中に Web カメラと地平線を設置し,動く
道筋を確認する。
○ホワイトボードスクリーン上に天体の動き
をトレースする。
(円の中心に北極星,透明半球上では,南の
南中方向と観測地点の天頂を結ぶ延長線上
と重なる。)
○地球儀を6時間分自転させ,星の位置を確
認する。
-58-
星の動きを透明半
球上に道筋として
導き出している。
イ北の各方角の星の
動きを観測者から
見た道筋で導き出
している。
【科学的な思考・表
現】
(行動観察・ホワイ
トボード・透明半球
ワークシート 発表)
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