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回路の転轍と格支配トレース - 奈良教育大学学術リポジトリ
奈良教育大学紀要 第29巻 第1号(人文・社会)昭和55年 Bull.Nara Uniy.Educ,Vol.29,No.1 (cult. &soc.), 1980 回路の転轍と格支配トレース 高 橋 孝 (英語学教室) (昭和55年4月30日受理) 変形部門の絶対指令Move αの出力構造としてのトレースを含む表層構造は、基本的な意味 解釈を決定する規則群から成るレベルとしての論理形式(Logical Form : LF)への入力とな り得る。逆に表層構造からのみ意味解釈が可能であるとする文法理論が成立するためには、この 表層構造に移動(解釈)規則に関するトレースの存在を定立することが必須となる。 (1) NP前置(fronting) Chp*1X NP〔〇32t (2) wh移動(movement) COMP X wh c>32t 個々の具体的構文が現実に運用される実現能力(Pragmatic Competence)を根底において律す ると考えられる文法特質の一つに、エモンズ(Emonds ; 1970)以来追求されて来ている「構造 保持(Structure Preservation)」の原則があり、構造保持の概念を織り込んだ生成文法理論の中 核として位置づけられる「痕跡理論(Trace Theory)」の説明力をめぐる問題が今日の研究課題 の一つであることは既に明らかである。 (3)文法カテゴリーXPを付与される成分の移動は、空(empty)のXP結節 (COMPを含む)にのみ帰着する。 出力構造はこのようにして狭く限定されることになるが、移動によって元の句構造位置に残さ れる空の文法カテゴリー(トレ-ス)は、拘束照応配置図(Bound Anaphora)による適正解釈 を先行文法カテゴリーとの関連で与えられなければならない。 [+anaphoricj reflexives I reciprocals traces I PRO 、 1 1 し ー ノ (4)充満NP 一 一 本論考は、適正解釈形式が先行カテゴリーとの問で解体される(disjoint)現象が移動回路の 転轍(switching)にどのようにフィルター機能として発現するかを吟味し、次の主張を否定し ようとする試みである。 (5) ① 変形が構造を保持すると言うことは、変形規則の出力が基底構造と同型 (isomorphic)になると言うことに等しい。 ② 従って、出力構造は語い的ないし意味的規則によって基底ではじめから 生成されるのであって、変形は存在しない。 ° ° ● ° ° ● ° ° 高 橋 孝 二 2 1 Core Grammarにおける「解体指示(disjoint reference)」現象の分析は次の文法理論化 を可能にしている(Freidin; 1979, GLOW ピサ)0 (6) whトレースはLF レベルで照応句(anaphor) としてではなく一つの名辞表象 (name)として分析され、この点でNPトレ-スと異なる。これは代名詞とwhトレースの問 に認められる交差(crossover)現象の指示の解体に関与する。 (6) a. Who3 did hei say that Mary2 saw t3 b. Whox tx said that Mary2 saw him3 (6a)のheはwhoの指示対象とは異なる(disjoint)対象を指すと解釈されるのに対して、 (6b)のhimがwhoの指示対象と合致することは自由(free)である.同じような解釈がwh トレースの代わりに命名(name)を置き換えた平叙文にも当てはまる。 (6) c. He said that Mary saw John. (cf. (4)) b. John said that Mary saw him. 命名の資質を担うwhトレ-スと先行詞との拘束解釈は、回路の途中に指定主語が介在してい ても名辞表象の自由指示性から依然として成立し得る。しかし(6a)の空結節がheを指示する ことはない。 (本稿ではトレース、 PROを記号eで総括する立場に立つ。) (7) SSC: [g Who3 [s did he! sayh that [s Mary(2{l}) saw e (3,{1,2})]]]] †_… →ー † wh移動の回路が必然的にCOMP-to-COMPに定まることを「解体指示」規則が独立的に支 持する場合を次に見る。 (8) a. * Who decided that Mary liked? b. [- Who2 [s e2 decided [- e2 that [s Mary! liked e2]]]] /\ / H whoの移動が回路ⅡでCOMPから主語NP 位置への転轍によって行なわれているために、 (8a)は非文となる。 whトレース(e2)が命名機能を担うとき、回路工で指示の解体が起こり、 次のように複数の照応指標(anaphoric index)の集合が什与されることになるo (8) c. [g Who2 [s e2 decided [^ e2 that [s Mary (1,{2}) liked e (2, {2,1})]]]] 照応指標のセットが一般にti言)で与えられ、この中に矛盾する(i. {i})が(8c)に発現する とき、回路の転轍が途中に起こることを自動的に合間していることになる。何故このようになる のかを以下に検討して行くことにする。 指示表示(Indexing)に係わるこれまでの理論化は次のようにまとめられる。 (9) ① whトレースは非照応的な語いNPのように扱われる.即ち、拘束されない 照応指標をも持ち得る。 ⑧ whトレースは非代名詞的(non-pronominal) NPとして扱われる。従って SSCやPICのような一般条件に制約されることはない (cf. ⑨ wh句そのものとCOMP位置のトレースは照応指標を持ち得ない. 回路の転轍と格支配トレース 3 (cf.筆者(1978) p. 37) a. Wholeft? b. [云Who Ls d.d}) left]] (1-任意指示) 解体指示(DR)を接合条件(binding conditions)に組み入れる一般「指標化(indexing)」 理論の中で、非照応句(nonanaphors)への指標付与が次のようにチヨムスキー(Chomsky; 1978)によって定式化された。 uo)各々の非照応句のインデックスは(r,A)のペアから成り、ここで ① r -指示指標(referential index)で一つの整数(integer)を持つ。 ② A-照応指標(anaphoric index)で整数の集合を持つ。 即ち、 A-{ai, -,an} 各詞句はすべて、移動規則(movement)、照応規則(construal)、制御規則(control)の下 で(10①)の指示指標を与えられ、 LF レベルでこの付与が完成し、二つの NPsは同一の指示 指標を有するときに限って(coindexing)接合が可能となる。更に(10⑧)の照応指標をも与え られた拘束されないNP (i,{j, -, *})がNPjやNPkと指示の異なる解体指示(DR)名詞 句となり次の性質を持つ。 01) a一非再帰性(irreflexive) b.非他動性(nontransitive) C.相称性(symmetric) ここで注意しなければならないのは、 Chomsky (1978)の分析で、接合条件の一つの効果が (10⑧)の照応指標セットの中から整数を具体的に消去して行くものであり、 「不透明条件 (Opacity Condition)」の下でこの消去が可能になるためにはあるNPが最小領域で指示指 標に関して自由であり(free(O)、その領域内で主語(subject)によって構成要素統率(Ccommand)されていることが必須となるというモデルの筋道である。 Opacity (SSC+PIC) : (Freidin & Lasnik ; 1979) 不透明な構造領域(domain)はSであってSでない。 a. * the men [g whoz [s each other? like ez]] b.前方照応句(allaphor)は次の領域では自由でない。 ① 時制(Tense) ≪PIC≫ ⑧ 主語(Subject) ≪SSC≫ DR名詞句は(lla)の非再帰性(irreflexivity)が要請されるのに、矛盾する(i.{i}う を付 与され、しかも自由でない不透明構造の制約から「iであってiでない」という矛盾を阻却でき ないでいるのは、移動回路に許容されない転轍が生起しているからなのである。この発現機構の 解明を更に続けよう。 指標化理論の中でもう一つの可能性として(i. (i))という矛盾するインデックス(i-set-i) の存在がメイ(May ; 1979他)によって指摘された。 解体指示(disjointness)は拘束されない非照応形式であるから、 「iであって、しかもiと異 なるものに照応する」というのは矛盾であり、この形式の指標を担うカテゴリーを含むいかなる 4 高 橋 孝 二 構造も非文となる。 個 a. *Everyone i saw him i b. (X) (Xi saw him (i, {i})) Chomsky (1979;ピサ)の見解ではLFレベルでの変項(variables)にDRはなく、視点 を換えれば、代名詞(him)がその最小支配カテゴリーSの中で自由でなく、従って矛盾指標を 消去不能のままに担っていることが不適格性の原因になっていることが判明する。 この特徴を複数の移動回路を含む構造に求めてみる。 Who2 [s did Harry decide [g e2 [s Bill would hit e2]]] wh一句の循環移動によってwho?が移動した軌跡を照応的に接合するとき、論理形式(LF) での変項は支配する格を持つ(case-governed)名詞句だけに置き換えられる。 個 格付与(Case-assignment) ① NP→ nominative (ここで支配カテゴリーはTense) (勤 NP-> objective (ここで支配カテゴリーは トN]) ⑧ NP→ oblique (ここで支配カテゴリ-はトN]の前置詞特性) ≪条件≫:語いカテゴリーはその格をトレースから受け紐ぐ 規則(1幽ゝらLF レベルでは次のトレ-スは変項として実現しないことになるo 仕G) ① COMPの中のトレ-ス(cf. (9⑧)) 従ってCOMP-to-NPの回路転轍は排除される(cf. (8c)) ① 過去分詞(AP)の右位置NPトレース(受動文) a- C[+V]S2 ^vkill]] NP † no case b. which man2 [e2 was killed e2] 従ってNP-to-COMPへの正常回路は保持される(cf. (5①)) u鋸ま異質の回路(COMP-to-COMP, NP-to-NP)を経由するならば同一構造に(1)、 (2)の二つの 前置操作が通用可能であることを保証する力を持つ。 a. What was John reported to have been sent? b. [g [c what,/] [s was Johm reported [喜[ tj][ti to havebeensentJi'O']]]] ここで、受動化に尉与するNP回路の軌跡はtiの集積で示され、疑問文化に関与するCOMP 回路の軌跡はtjの集積で示され、回路の転轍は生起していない。 Opacityの原理に違反しないこの複式接合(multiple binding)現象は移動回路が次の二種 の「くぐり門(escape hatch)」にのみ固定されることを示している(cf. Freidin; 1978)。 (18) ① 補文の主語NPノード (り COMP ノード 複式接合現象0-7)をトレースの分布制限(STCC,筆者(1977, 1978))と比較するとき、トレスの軌道が交差していても(18)の異質回路を転轍することなく保持していれば許容されることが明 らかとなったGW-j-i-i-j)。そしてローカルには(相対写像分布も含めて)表層トレースの衝 突への制約が守られているのである。 異質回路に軌道を限定していても、既に指標を与えられているトレースを他のカテゴリーが占 拠することは許されない。これは厳密循環(Strict Cycle)の原則から排除される。 回路の転轍と格支配トレース 5 (19) a. * [菖What2 [s did John know [5 who! [s ei saw e2]]]] (*SSC) b. * [g Who! [s did John know[g what2 [s ex saw e2]]]] (*NIC) 指標付与トレースの占拠(feeding)は同時にSSC (指定主語条件)とNIC (主格島条件)の 違反となって発現し、命名機能を持つ自由なwhトレース(e)が拘束されるために(1, W)、 (2, {2})の矛盾指標をかかえたままになっているのである。ここで気がつくことは、最深構文 内が個の①、 ⑧共に空結節になっている現象である。トレ-ス接合(trace binding)は一般に LFの変項(argument)位置を占める二つのカテゴリー間には成立しない。 a. * [Np e] praised [John] b. * [John] praised [NP e] c. **[NP e] saw [NP e] (cf.(19)) この禁止規約とNP回路(18①)の相互効果はどうなるであろうか。 担1) a. * Who decided Bill would hit? b. * What was asked to read by John? 格付与(15)によって格支配される名詞句の二つをこれらの不適格文は含んでいる0 但1) a. who2 [s e2 decided [g e2 [ Bill would hit e2]]] b. what2 [s e2 was asked (jァe2 to read e2]] 問題はこれらのトレースが主文の主語と補文の目的語とに同じ指示指標を持っていることであ り、従ってLFレベルで付与される照応指標はhitx (2{2})、 readx (2{2})という矛盾セット を担うに至り、この矛盾から解放され得ないのは埋め込み変数の(2)がこれをC統率する主文主 語の指示指標を同一に含んでいてfree (2)ではないことに帰因する。 田2)不自由(束縛)環境(Chomsky; 1978) 次の構造形式において、 ① ‥. [β‥.α‥.].‥ 条件SSCとPICは下の接合効果を持つ (cf. ⑧ 「もしαがβの時制(tense)ないし主語(subject)の領域内にある照応句 (anaphor)でβが最小(minimal)であるとき、 αはβ領域において自由 であり得ない。」 ここでβ-NP,Sであり、トレ-スαが矛盾指標セット*(i,{i})から解放されるため には、既述のようにNPiによってc- commandされないことが要請されることになる. かくして、二箇の格支配トレースを含む構造はすべて許容されない移動回路の転轍を引き起こ していることになり、 LF表示に矛盾指標(contradictory indices)として発現する。 a. *Who decided would hit Bill? [*NP-COMP-Np-COMP] \ ヽ′ ノ b. *Who decided would be hit? [* (NP)-Np-COMP-Np-COMP] ヽ ヽ′-′ (ここで(NP)は「格なしトレース」 cf. (16⑧)) c. *Who decided to hit? [*NP-COMP-Np-COMP] \ \′ -′ d. *Who wanted John to see? [*NP-COMP-Np-COMP] ヽ ヽ′ ノ 誤生成された表層構造群C3)の派生に関与する変形は異なっていても、 「回路の転轍」という視 点からはパラレルにフライデンの指摘するフィルター(*COMP-to-NP)となって発現している 6 高 橋 蝣r- 〕 事実は注目に値する(cf. 16①)。 "Move α日が文脈自由に適用されるとき、母体文COMPを終着とする wh一句は回路の転轍 を自ら引き起こすことをしないのである。これは驚くべき発見と言わなければならない。 *who[[vpe3] decided [= [cOMPe2] [Bill will visit e^]] (cf. (8)) /\ / - 17てー -- - 「回路の転轍」に密接する格分析(Case Analysis)は更に説明力を他の文法領域にまで及ぼ すが、第-にトレ-スが格支配を受けることは上に検討した通りであるO (25) a. NP: *Johm is believed 「s ei is intelligent] (*NIC又は*TSC) [Norn] b. WH:* the man [云who [sit seems [云e [s e to be here]]]] (cf. ①) [Nom] [-case] I ノ JflexicalN1-,. 1[swhoi[sdoesitseem[gei[seitobehere]]]](*[NPIWH-traceJ-^ [Nom][-case] 第二に格分析データ位5)は格付与が神文標識(complementizer)を超えて効力を持つことを示 していて、時制文条件(TSC)の修正を要求しているものと考えられる。 第三に"MoveNP"は(1)の前置操作(preposing)の他に右方(rightward)移動をも指令し、 この主語NPを目的語NP結節の下に入れ替える操作が「構造保持」の原則に正常回路として 合致するかどうかの問題がある。(cf.Kayne;1979) 但a.Therereachedhisear[NPthesoundofvoicesandlaughter]. b.Thereenteredtheroom[NPanindescribablymalodorousbreathofair]. c.Therecrossedhermind[NPamosthorriblethought]. (thereVNPjNP2) \ノ もし右方NP移動が移動されるNP2をNPlを含むVP触域に付加(adjoin)するとした ら、格フィルター但5)によって但鋸ま排除されることになり、there位置は派生上「から」なのであ るからLF表示レベルにおいて「招示解体」を受ける筈のものである0「構造保持」をLFレベ ルの表示(representation)に係わる制約の「系」として把握する方向が、かくして、見えて来 る。 3 今日の生成言語学の理論課題は、 「何故に主語NPを巻き込む規則タイプが多いか」と「制約 の余剰性をなくすこと」の二つであるが、カイン(Kayne; 1980GLOW,ナイメ-へン)はこ れまでの「最小(minimal)」の概念規定に主役を果たす「構成要素統率(C-command)」を余分 のものとする試みである。 LFと句構造成分図から帰結する「確実な軌道(Unambiguous Path)」 との相互作用を次のように解明して行く。 (27) ① 軌道P-{Ao, At‥.An}は一連の結節(nodes)であるO ここで、 (a)Vサ.i o ≦i,j≦nのときAi-Aj-i-j(cf. 、ttl)) (b) vォ, o ≦i<nのとき AiはAi+iを直接支配するか、又は 回路の転轍と格支配トレース 7 Ai+iがAiを直接支配する。 ⑧ 確実軌道Pup-{Bo, Bj‥.Bm}は許容される移動回路である。 ここで、 (a) Vl. 0^i<mのとき Bi+iはBiを支配するO (b) yi. o^ i<mのときCがBiを直接支配するならば、 C-Bi+i この概念を総合するとe6)の目的語NPが先行詞(antecedents)となる現象の理解が可能とな る。 e8)今P-{Ao, Aj…An)を一つの軌道とし、 Q-{Ao, A!...Ai, QをPの開 始部分連鎖(initial subpart)へ結節Cを付加することによって得られる軌 道であるとするとき、次の条件を満足するならばPは確実軌道となる。 ① vi. 0<i<n ⑧ Vc, (a) CがAiを支配し、Ai+iがAiを支配するならばC-Ai+i (b) AiがCを支配し、AiがAi+iを支配するならばC-Ai+i 拘束照応関係形式の中に空カテゴリー(トレース)を狭く限定して位置づけようとする試み は、すべて本論考の許容される回路を経由して先行カテゴ1) -に結合させるモデル化に帰着する ことになるが、このための必要かつ十分条件は担7)、 e8)に設計されている「n >2通りの枝分かれ (branching)」という経験的帰結であるとされる。 例えば、結節連鎖(記号列) (dABC)に於てA、 B、 Cはそれぞれ他をC-commandするが、 これら三者を接合する回路は拓けていないのである。ここでカインの「支配する(dominates)」 とChomsky (1979、ピサ)の「支配(Government)」概念を比較しなければならない。 Government 二つのカテゴリーα、 βに関して次の関係が成り立つ。 a・もしαがβを最小にC-統率し、αとβと問にSまたはNPが介在していな ければ、そしてこの条件下においてのみ、 αはβを支配(govern)する。 ここでα-[士N, ±V]又は+Tns b・ αが最小に(minimally) βをC一統率するのは次の場合に限られる。 (i) αがβをC-commandすること。 (結節αは結節βを、お互に支配(dominate)し合うことなく、 αを 支配する最初(first)の枝分かれ結節がβをも支配するならば、構成素 統率する (cf. (28②)) /\ α β (ii) αがγをC-command L、 γがβをC-commandするような結節γ が存在せず、 γがαをC-commandすることがないこと。 VP ,/-.日 \ (cf. V NPi NP2 α γ β ここで上の成分図のNP2がNP右方移動の終点回路となるためにはγ (-NP,)が構造的に LFレベルで作り変えられる操作(structure-building)が適用され、 [V NPx]が一種の複合動 詞(complex predicate)に再調整されなければならない。 m 闇 ァ^B Whトレースの回路は既に吟味されたようにWh-XP-COMP- COMPに固定されたが、 残るNP回路も主語NPノードが格支配トレ-スの唯一の軌道資格を与えられていることにな る。 「見かけ」の目的語を終点回路とする現象はCG)の存在文 {there sentences)や定量詞の浮流 (Quantifier-floating)等に限られ、中核変形(1)、 (2)は「自分の歩むべき道」を知っているので ある。 筆者(1979、夏ICU)はこれまでの生成文法研究の路線上に位置づけられる「環(Loop)接 合条件」を発表しているが、それは衛星カテゴリーをCoindexirlgによって母(matrix)構造 に結びつけようとする提案であった。 Satellite-assignment via Coindexing (ここでp-γ) NP S 2-■ L PP e (cf. n-ary branching, n〉 2) し た容 -NP- NP c The S-structure of Loop Free Relatives L(-Loop Complex NP) NP Det J ∠二、 _∴ ei el Loopは論理形式(LF)そのもののsyntaxを、 -NP- (bond名詞句)を限定定量詞(restncted quantifier)とし、 NPiを格支配される衛星名詞句として表示するものと考えられるのであ る。 a. what strikes us as [i,竺silly idea] b. what should be regarded as [Npi the virtually self-evident point] 設定された移動(解釈)回路をカテゴリーが「流れる」変換は以上の考察から明らかにされた ° ° ことになる。次の課題は、同一回路を転撤することなく、しかしカテゴリーが構造を再調整する 仕組み(例えは「手」を持つボンドNP)を解明し、その意味解釈が分化する「ストロボ効果」 を決定することにある。 References Chomsky, N. (1978) "On Binding," unpublished manuscript, MIT. Chomsky, N. (1979) Lectures on Core Grammar (to appear). Emonds, J. (1970) Root and structure-preserving transformations. MIT. 回路の転轍と格支配トレ-ス Freidin, R. (1978) "Cyclicity and the Theory of Grammar," Linguistic Inquiy 9, 519-549. Freidin, R. & H. Lasnik (1979) HDisjoint Reference and Core Grammar," GLOW, Pisa. Koster, J. (1979) A summary of Chomsky's Pisa lectures. Kayne, R. (1979) HRightward NP Movement in French and English," Linguistic Inquiry 10, 710719. Kayne, R. (1980) HUnambiguous Paths," GLOW, Nijmegen. May, R. (1979) HMust COMP-to-COMP Movement be Stipulated?" Linguistic Inquiry 10,719-725. Takahashi, K. (1978) HA Bounded Wh syntax against Overgeneration." 10 Prohibited Circuit-switching for Case-governed Traces Koji Takahashi Department of foreign languages, Nara University of Education, Nara, Japan (Received April 30,1980) GLOW (Generative Linguistics in the Old World) has from the outset aimed for internal intellectual cohesion rather than totally unmotivated wide coverage and represents a nucleus of beliefs conerning the basic object of linguistic inquiry around which the personal intellectual positions of the members actively interested in Chomskyan Linguistics should ideally gravitate. Among the critical goals of the current research strategy in generative grammar is the topic that is employed in eliminating possible redundancies in the postulated system of rules to determine quite narrowly a certain class of genuine grammars ultimately specifying the properties of Core Grammar (UG). This thesis is also involved in the theoretical track towards a methodological decision of the principles governing "Disjoint Reference" which will certainly result in the real understanding of the full issue on the permissible channels (escape-hatches or unambiguous paths) fixed for the Case-governed traces when movement (NP/WH) i: triggered within the general configurations of Bound Anaphora that will supersede particular filters through nonbasic LF (Logical Form.) syntactic representation. 1. COMP-to-COMP 2. comp Subject NP-to-Subject NP 3. Object NP-to-Subject NP 4. Subject NP-to-Object NP Emonds's Structure-Preserving Hypothesis has led to the postulation of S-structure within Trace Theory, which necessarily incorporates the notion of Hstructure preservation" and which bears a transmitted function as the only input to LF representation absolutely constrained by Chomsky's Pisa concept of Government. Within these major innovations falls my present work together with many of the excellent and helpful colleague linguists of GLOW. If this study is to give precise content to the algorithm of contradictory indices (i,{i}), then my previous work on Loop Binding may purport to establish a logical possibility of characterizing the long-standing problems as to Satellite Syntax, regardless of the controversy and misunderstandings especially inside Japan.