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2008年2月号 - 信金中金 地域・中小企業研究所

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2008年2月号 - 信金中金 地域・中小企業研究所
ISSN1346-9479
第 7 巻 第 2号(通 巻 4 2 2 号)
2008. 2
市 場 の中の懲りない面々
近 年 のATMサービスの動向について
−ATM提携による手数料優遇とネットワークの強化−
証 券 化から見た「サブプライム・ローン問題」
的 確 な対応が求められる中小企業の人材確保
−経営計画に基づく戦略的対応が人材採用力強化のカギ−
第130回全国中小企業景気動向調査
1 0 ∼ 1 2月期業況は4四半期連続の悪化
特別調査−平成20年の経営見通し
日 本 中小企業学会全国大会国際交流セッション講演抄録
2007年度愛知大学中部地方産業研究所公開シンポジウム
「地域経済における地域金融機関の役割」に参加
地 域 密着型金融に関するシンポジウム2007
「地域再生、地域活性化における地域金融機関の役割」に参加
統計
「信金中金月報掲載論文」募集のお知らせ
○対象分野は、当研究所の研究分野でもある「地域」
「中小企業」
「協同組織」に関連する金融・
経済分野とし、これら分野の研究の奨励を通じて、研究者の育成を図り、もって我が国におけ
る当該分野の学術研究振興に寄与することを目的としています。
○かかる目的を効果的に実現するため、本論文募集は、①懸賞論文と異なり、募集期限を設けな
い随時募集として息の長い取り組みを目指していること、②要改善点を指摘し、加筆修正後の
再応募を認める場合があること、を特徴としています。
○信金中金月報への応募論文の掲載可否は、編集委員会が委嘱する審査員の審査結果に基づき、
編集委員会が決定するという、いわゆるレフェリー制を採用しており、本月報に掲載された論
文は当研究所ホームページにも掲載することで、広く一般に公表する機会を設けております。
詳しくは、当研究所ホームページ(http://www.scbri.jp/)に掲載されている募集要項等をご
参照ください。
編集委員会 (敬称略、順不同)
委 員 長
堀内昭義
中央大学総合政策学部教授
副委員長
藤野次雄
横浜市立大学国際総合科学部長
委 員
筒井義郎
大阪大学社会経済研究所教授
委 員
濱田康行
北海道大学経済学部教授
委 員
吉野直行
慶應義塾大学経済学部教授
問い合わせ先
信金中央金庫総合研究所「信金中金月報掲載論文」募集事務局(担当:鈴木、照沼)
Tel : 03
(5202)7671/Fax : 03
(3278)7048
2008年 2月号 目次
所長の目
市場の中の懲りない面々
信金中央金庫 総合研究所長
研 究
武富 將
近年のATMサービスの動向について
-ATM提携による手数料優遇とネットワークの強化-
津田一志
2
4
宮崎 崇
証券化から見た「サブプライム・ローン問題」
財団法人国際金融情報センター 調査部兼アジア第 1 部審議役 高橋宏彰
(信金中央金庫総合研究所付出向)
的確な対応が求められる中小企業の人材確保
藤津勝一
34
総合研究所
51
-経営計画に基づく戦略的対応が人材採用力強化のカギ-
調 査
第130回全国中小企業景気動向調査
10~12月期業況は4四半期連続の悪化
特別調査-平成20年の経営見通し
信金中金だより
日本中小企業学会全国大会国際交流セッション講演抄録
63
2007年度愛知大学中部地方産業研究所公開シンポジウム
71
「地域経済における地域金融機関の役割」に参加
地域密着型金融に関するシンポジウム2007
「地域再生、地域活性化における地域金融機関の役割」に参加
統 計
20
72
信金中央金庫総合研究所活動状況(12月)
74
信用金庫統計、金融機関業態別統計
75
2008
2
個人名による掲載文のうち意見にわたる部分は執筆者個人の見解です。
投資・施策実施等についてはご自身の判断によってください。
市場の中の懲りない面々
信金中央金庫 総合研究所長武富將
所長の目
市場の中の懲りない面々
信
金
中
央
金
庫
総合研究所長 武富 將
市場経済には人間心理が凝縮する。
「欲」の膨張。
「読み」の交錯。これらが市場経済のダイ
ナミズムを産む。その中で悲喜劇も起きる。
「得意」と「失意」
。
「油断」と「挽回」
。これらの
流れが渦巻く。だから市場経済は飽きない。反面、とてつもなく恐ろしい。
人間の性と言うべきか。古来、
市場経済はBooms and Busts(過熱と破裂)を繰り返してきた。
むろん、これは悪いことばかりではない。過熱は進歩の源泉になる。時代を画する技術革新や
後世に残るインフラ整備は過熱の中で培われる。一方、破裂は人間を賢くする。ただ、漸く手
に入れた賢さも、市場経済の構造変化に伴い、ほどなく古びる。そして、新たな分野で再び過
熱と破裂が起きてしまう。
昨夏来、脚光を浴びてきたサブプライム問題は、こうした新たな分野の過熱と破裂の物語で
ある。ではなぜ、今回は米国の住宅金融に過熱と破裂が生じたのだろうか?少なくとも3つの
背景が存在したように見える。
一つ目の背景は、規制の隙を突く、あるいは、迂回をする動きが出てきたことである。
まず、金融機関に対する監督の網に手薄な箇所が存在したことが挙げられる。いまやフロー
ベースの住宅抵当貸付では最大手の業態に急成長したモーゲージカンパニーが好例である。彼
らは州の管轄下にある。預金取扱機関である商業銀行やスリフトのように連邦ベースの厳しい
監督を受けない。その結果、彼らの貸付実態は十分にチェックされなかったようだ。そうした
中で、米メガバンクは、州際業務の規制撤廃を活用して全国的にモーゲージカンパニーの買収・
系列化を進めた。当然、独立系との貸出競争は激化する。
また、一昔前に金利の上限規制を撤廃していたことが、今回の過熱局面では裏目に出た面も
ある。資金運用難の中、業容の拡大を図るべく多くの機関が高リスク先への信用供与に活路を
求めた。法制上は、高いリスクに見合う懲罰的な金利設定も可能だからである。
さらに、BIS規制の強化を受けて、リスク資産を合法的にオフバランス化する器作りも工夫
された。欧米メガバンクがスポンサーのSIVなどである。こうした別働隊は、サブプライムロ
ーン等を裏づけ資産とする証券化商品にレバレッジを効かせて大量に運用していた。
二つ目の背景は、金融節度が失われ、集団的モラルハザードが生じたことである。
その最たるものの一つは、証券化が持つリスク分散機能の悪用である。証券化は借り手の信
用リスクを貸し手から投資家に移転する。このため、証券化を前提にした貸付については審査
基準が甘くなりやすい。貸付の案件数を増やし、手数料収入を稼ぐインセンティブが働く。貸
し手に案件を持ち込むブローカーは、より一層、量的拡大志向が強い。一方、投資家の方も格
付け機関の評価に安易に依存していたきらいがある。
人間は過熱の渦中にあると、本来はおかしなものも、おかしく見えなくなってしまうものの
信金中金月報 2008.2
ようだ。
そもそも、返済履歴に問題のあった借り手に貸すこと自体が穏当な行為なのかどうか? 所
得証明など通常は徴する書類を免除する。借入/所得比率や物件価額/借入比率などが芳しくな
い借り手にも貸し応じる。こうした杜撰な取引慣行がまかり通っていたようである。借り手を
誘い込むために、最初の2-3年は「利払いのみ」
「低い固定金利」などを適用し、優遇期間の終
了時点で大幅な条件変更を実施する。しかも、金融リタラシーが低い借り手に対し、条件変更
に伴う負担増については十分に説明していない。こうした無責任な取引が横行していた。
当初、これら非正統的な金融仲介を正当化する社会的な空気があったと聞く。マイノリティ
層の持ち家比率の向上、零細な資金調達者と資本市場を結ぶ資金循環の円滑化など、大義名分
が存在したからである。これに引き摺られて、過熱現象の正常化が遅れた面もあろう。
三つ目の背景は、いかに優れた金融政策運営といえども、完璧たりえないことである。
マエストロと呼ばれたグリーンスパン前議長の政策運営には2つの特色があった。一つは「漸
進主義」、もう一つは、状況に応じて意識的に“Behind the Curve”戦略を採る姿勢である。
前者は、政策金利を小幅な0.25%刻みで連続的に動かす手法である。これによって、市場の
期待形成を安定化させ、金融政策の円滑な波及を担保することが狙いである。
後者は、金融政策を緩和から引き締めに転換する際には石橋を何度も叩いて渡る手法である。
これら手法の真骨頂が発揮されたのが有名な94年2月のFOMCである。この時の米連銀はFF
レートをインフレ率と同水準の3%に維持していた。米金融政策史上では異例の実質金利ゼロ
政策である。当時のFOMCは、景況の好転を受けて、こうした政策から漸く脱却する機会を迎
えていた。足掛け6年間、市場は利上げを経験していない。それだけに、グリーンスパン議長
の関心は、如何に誤解なく政策変更の趣旨を市場に浸透させるかにあった。利上げ決定の必須
条件は、「全会一致」と「0.25%の刻み幅」であるとして、0.5%の利上げ論を抑えた様子が議
事録に残されている。その後、米国経済がITとバイオを中心に長期繁栄期を迎えたことから、
後日、この政策判断が絶賛されることとなった。
01年にITバブルが弾け、米景気が急速に後退した局面においては、更に徹底した金融緩和政
策が採られた。3年間に亘って実質金利がマイナスとなり、このうちの1年間はFFレートが1%
であった。これは58年以来の低水準である。この時期には世界同時デフレの脅威も密かに意識
されたのではないか。米国においてさえ、家賃を除くコア消費者物価の前年比伸び率が、一瞬、
ゼロになった。日銀が夙に格闘していた「金利のゼロ制約」の怖さが各国中央銀行の頭を掠め
た筈である。こうした状況を踏まえて米連銀は慎重な政策運営を続けた。漸く利上げに転じた
のは04年も半ば近くであった。この間、90年代前半の成功体験が下地にあったと察せられる。
3年間に亘る低成長を脱して04年以降は巡航速度を上回る高成長を実現した。この意味で、
この時の政策運営も成功であったと言える。しかし、意識的な“Behind the Curve”政策は、
結果として、
「投機は経済を前向きに回転させるための必要悪」として包摂する政策にもなり
うる。大きな泡(バブル)は困るが、小さな泡(フロス)まで排除してしまうと、生き物であ
る経済の活力を殺いでしまう。そういう考え方の政策だからである。ここに吉と凶が紙一重の
危うさがある。その後、米住宅金融市場で現実に起きた「過熱」と「破裂」を観察すると、後
知恵ではあるが、利上げに踏み切るタイミングがやや遅れ、逆に、連続利上げの最後の2回は、
インフレ懸念が残っていたとはいえ、余分であった可能性もあろう。
げに捉えきり難きもの、
その名は、
過熱と破裂の深層心理。今回もまた賢くならねばなるまい。
所長の目
近年の ATM サービスの動向について
信金中央金庫 総合研究所主任研究員 津田 一志
信金中央金庫 総合研究所研究員 宮崎 崇
- ATM 提携による手数料優遇とネットワークの強化-
研 究 近年のATMサービスの動向について
-ATM提携による手数料優遇とネットワークの強化-
信金中央金庫 総合研究所主任研究員
津田 一志
信金中央金庫 総合研究所研究員
宮崎 崇
(キーワード) ATM提携、日常的な利便性、コンビニATM、手数料無料化、振込手数料優遇
(視
点)
2007年10月1日にゆうちょ銀行がスタートしたが、それにあわせるかのようにいくつかの
ATM提携が発表された。今回実施されたATM提携のなかには、従来から行われていた互い
のATMの利用に関する手数料を無料化するだけにとどまらず、振込手数料を優遇する内容の
ものもある。ATM提携の内容がこれまでとは異なるステージに進みつつあると考えられる。
そこで本稿では、これまでのATMサービスの変遷を振り返るとともに、近年のATM提携
の動向について、その目的や効果等を考えてみたい。
(要
●
旨)
ATMは金融機関の窓口業務の代替手段として導入され、窓口業務の効率化を実現してき
た。金融機関はATMの機能向上や設置台数の増加とともに、時間や場所といった利便性
も向上させてきた。近年では、各業態のATM台数が横ばいで推移しているなか、コンビ
ニATMは台数を増加させている。
●
ATMは顧客の利用頻度が最も高い接点であり、顧客はATMを金融機関の選択理由の上位
に位置づけている。若年層においてこの傾向が顕著であり、若年層を獲得し顧客基盤を拡
大していくには、ATMは重要なチャネルであると言えよう。また、顧客は機能面よりも
価格や利用可能時間、場所・台数に対する要望を有している。
●
金融機関は顧客が支払う手数料の無料化を中心にして、ATMサービスを強化している。
地域金融機関も業態内、地域内、地域間で様々なATM提携を実施しているが、手数料の
無料化に加えて、提携先への振込に係る手数料を優遇する動きもある。また、ATM提携
においては、コンビニATMの存在感が大きくなっている。
●
ATMの無料化提携は、その後のATM利用件数に影響を及ぼし、手数料収支も大きく増減
させる。振込手数料の優遇によって手数料収支は悪化するが、優遇等をキーとしたビジネ
スモデルの構築を行うことによって、それ以上の効果も期待できよう。いずれの提携にし
ても、単に割引競争をするのではなく、提携後の顧客獲得・育成等の戦略を十分に検討す
る必要があろう。
信金中金月報 2008.2
はじめに
1.ATMサービスの変遷
郵政民営化にともない2007年10月1日にゆ
(1)ATMサービスの変遷
うちょ銀行がスタートしたが、それにあわせ
近年のATMサービスの動向を検討する前
るかのようにいくつかのATM(現金自動預
に、これまでのATMサービスの変遷を簡単
払機)に係る提携が実施されている(図表1)
。
に振り返りたい。
今回実施されたATM提携の特徴としては、
金融機関のATMは、昭和40年代に預金の
従来のように顧客が支払う手数料の無料化を
出金を行うCD機(現金自動支払機)が導入
平日日中から終日に拡大するとともに、振込
されたのが始まりである。その後、入金や通
に係る手数料を優遇する内容となっている。
帳記入、振込機能が追加されたATMへと発
入出金のキャッシュポイントとしてのATM
展し、窓口の代替サービスとして窓口事務の
サービスについては無料化が進展し、金融機
効率化に大きく貢献してきた。その他、定期
関のネットワーク力を向上させるATMサー
預金の手続きや宝くじの購入など、多機能化
ビスへと移行しつつある。
も進んでいる。
そこで本稿では、これまでのATMサービ
顧客に対しては、窓口の混雑緩和や迅速か
スの変遷を振り返るとともに、近年のATM
つ正確なサービス、窓口よりも安い手数料な
提携の動向とその目的や効果等について考え
どを実現してきた。また、入出金や振込など
てみたい。
の機能面以外にも、設置場所や利用時間など
で利便性を向上させてきた(図表2)
。
図表1 10月以降に実施された主なATM提携
金融機関名
三井住友銀行
当初ATMは金融機関の店内に設
内容
置されていたが、公共施設や商業施
10月1日からゆうちょ銀行のATM
での利用手数料を平日日中無料
設などの人が集まるところにも店外
北陸3県①
10月9日からそれぞれのATMでの
(北國銀行、福井銀行、富山第一銀行) 出金手数料を終日無料
北陸3県②
(3県全18信用金庫)
10月29日からそれぞれのATMでの
入出金手数料を終日無料
福井県
(県内全5信用金庫、福井銀行、
福邦銀行)
10月1日からそれぞれのATMでの
出金手数料を終日無料
ATMとして設置されるようになっ
た。最近では、顧客のライフスタイ
ルの変化にともない、コンビニエン
スストアにもATM(以下「コンビニ
ATM」という。
)が設置されている
10月29日からそれぞれのATMでの
首都圏①
出金手数料を平日日中無料および
(千葉銀行、東京都民銀行、横浜銀行)
ATMでの振込手数料を優遇
ように、金融機関の店舗から顧客の
首都圏②
(東京都民銀行、東日本銀行、
八千代銀行)
うに変化している。また、コンビニ
10月15日からそれぞれのATMでの
出金手数料を平日日中無料および
ATMでの振込手数料を優遇
(備考)各HP等より信金中金総合研究所作成
生活動線上でサービスを提供するよ
ATMの普及により、利用可能時間
も大幅に拡大した。
研 究
図表2 ATMサービスの変遷のイメージ図
機能
店内
CD/ATM
店外
CD/ATM
多機能
ATM
コンビニ
ATM
出金 残高照会 入金 振込 定期預金 キャッシング 宝くじ販売
場所
時間
CD/ATM
提携
企業 公共施設 商業施設 提携先ATM 駅 コンビニ
平日時間延長 土曜時間延長 日曜稼動 24時間稼動
価格
サー ビ ス ・ 利 便 性 向 上
形態
時間外手数料無料化 他行利用手数料無料化 振込手数料優遇
(備考)信金中金総合研究所作成
顧客が利用できるATMに関しては、当初
ATM台数の2割弱を占めるまで増加している。
はその顧客の取引金融機関のATMだけに限
セブン銀行を除く金融機関ATMの減少に
られていた。その後、地域内提携、業態内提
ついては、店舗の統廃合によるATMの撤去
携、MICS(全国キャッシュサービス:Multi
や コ ン ビ ニATMの 普 及 に よ る 店 外ATMの
Integrated Cash Service)提携、郵貯提携へ
見直しなどが考えられる。ゆうちょ銀行も
と提携を拡大することで、現在では、顧客は
2004年度をピークに減少に転じている。こ
ほとんどの金融機関のATMで出金等のサー
れについては、日本郵政公社時代のアクショ
ビスを受けることが可能となっている。ま
た、提携先ATMを利用する手数料について
も無料化が進んでいる。
図表3 CD/ ATM台数の推移
(台)
40,000
地方銀行
35,000
30,000
(2)CD/ATM台数の推移
これまで金融機関は自前でATMを設置し、
25,000
15,000
素としてきた。ATM台数は堅調に増加して
10,000
近年、減少・横ばい傾向にある。都市銀行は
97年度をピークに減少傾向にあり、その他
の業態についても2000年度前後を境に減少
ゆうちょ銀行
20,000
ATM台数を顧客に利便性を訴える一つの要
きたが、業態別にみるとセブン銀行を除き、
都市銀行
信用金庫
農協
第二地銀
5,000
0
セブン銀行
1989 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05(年度)
(備考)FISC「金融情報システム白書」およびセブン銀行IR
資料より作成。白抜きはATM台数のピーク
図表4 コンビニATMの台数
もしくは横ばいに転じている(図表3)
。
一方で、2001年に業務を開始したセブン銀
行は、開業から5年で1万台を超えるATMを設
置し、直近では12,000台を超えている
(図表4)
。
その他の主なコンビニATMを含めると、総
信金中金月報 2008.2
台数
セブン銀行
12,820台(12月19日現在)
イーネット
7,901台(11月30日現在)
ローソンATMネットワークス
5,621台(12月14日現在)
(備考)各HPより信金中金総合研究所作成
ンプラン(注)1において「ATM配置の見直しに
はキャッシュデリバリーに欠かすことのでき
よる生産性の向上」を挙げており、その影響
ないインフラとなっており、口座開設、その
と考えられるが、それでも一金融機関として
後の取引継続の動機づけとなる重要なチャネ
は最大の約26,000台のATMネットワークを
ルの一つとして位置づけられるようになって
有している。
いる。ATMは金融機関の効率化を実現するも
2.顧客からみたATMの位置づけ
のから、顧客が金融機関を選択する基準の一
つへと位置づけが変化していると言えよう。
(1)金融機関の選択理由
郵政総合研究所の調査によると、顧客が
1.でみてきたように、金融機関のATMは、
金融機関を選択する理由としては、
「窓口が
当初「窓口業務を代替する手段」という目的
近所にある」に次いで「ATMが近所にある」
で導入され、増加してきた。金融機関のATM
が挙がっている。
「支店・ATMが多い」も上
は約15万台設置され、ATM決済を主たる業
位にきている。また、若い世代ほどATMを
務とする銀行まで誕生した。現在では、ATM
挙げる傾向がある(図表5)
。
図表5 金融機関の選択理由
決済利用が最も多い金融機関の選択理由
(複数回答、%)
窓口が近所にある
ATMが近所にある
勤め先の給与振込先
支店やATMが多い
その他振込みにも利用
信頼性が高い
貯蓄額が多い口座
手数料が安い/無料
外務職員が訪問
相談に乗ってくれる
経営内容が優れている
ネット取引できる
ポイントなどの特典
利率利回りがよい
その他
不明
(%)
80
60
40
58.1
52.4
35.0
23.9
20.5
16.9
9.5
8.3
8.1
4.9
3.5
2.4
1.3
0.9
4.3
0.7
年齢別
全体
20∼29歳
30∼39歳
40∼49歳
50∼59歳
60∼69歳
70∼79歳
窓口が近所にある
38.7
ATMが近所にある
29.3
信頼性が高い
24.0
勤め先の給与振込先
18.4
支店やATMが多い
11.8
外務職員が訪問
10.4
利率利回りがよい
9.1
振込み先指定金融機関
7.8
手数料が安い/無料
7.8
相談に乗ってくれる
経営内容が優れている 4.5
ネット取引できる 2.1
6.5
その他
1.4
不明
(%)
80
53.2
全体
20∼29歳
30∼39歳
40∼49歳
50∼59歳
60∼69歳
70∼79歳
年齢別
60
40
0
20
20
0
貯蓄額が最も多い金融機関の選択理由
(複数回答、%)
窓口が近所にある
ATMが近所にある 支店やATMの数が多い
0
窓口が近所にある
ATMが近所にある 支店やATMの数が多い
(備考)第9回金融機関利用調査(郵政総合研究所、2006年2月)より作成
(注)1.公社化後の新たな経営体制の下、経営ビジョンの実現と中期経営目標を確実に達成し、一層の経営基盤の充実等を目指
した公社内部の行動計画のこと(日本郵政公社ディスクロージャー誌より)。
研 究
(2)金融機関の利用頻度
(3)ATMに対する要望
金融機関の選択理由としては、
「窓口が近
ATMに対する顧客の要望としては、
「時間
所にある」が最も多いが、実際の利用につい
外手数料、他金融機関利用手数料を安くして
てはATMの方が多い。若い世代ほどATMが
ほしい」が上位に挙がっており、次いで「ど
取引手段の中心であり、年齢が高くなるにつ
の金融機関でも利用できるようにしてほし
れて窓口へと移行している。コンビニATM
い」や「稼働時間を延長」
「設置場所・台数
も若い世代が中心である。また、全国銀行協
を増加」が挙げられている。顧客は価格や利
会の調査では、利用頻度はATMが平均5.96
用可能な時間、場所・台数に係る利便性につ
回/月(最頻値3~4回/月)であり、窓口
いて、さらなる向上を求めていると考えられ
の平均5.87回/年(最頻値1回/年)を大き
る。若い世代ほどその傾向が顕著で、かつ要
く上回っている。ATMは顧客と金融機関と
望度合いが高くなっている。
の接点の中では、利用頻度が最も高い接点で
あると言えよう(図表6)
。
一方で、
「可能な取引を増やしてほしい」と
いう要望は少なく、機能面については現状の
サービスで満足しているものと考えられよう。
また、時系列にみると、手数料に係る顧客
図表6 金融機関の利用手段と利用頻度
利用する際の手段(複数回答、%)
ATM
77.0
窓口
63.9
コンビニATM
インターネット
ATM
(月)
7.4
10
3.6
5
電話/支店 1.7
8
12
24
36
60
40
回
80
全体
20∼29歳
30∼39歳
40∼49歳
50∼59歳
60∼69歳
70∼79歳
(%)
25
回
年齢別
回
(%)
37
回以上
4
∼
25
∼
13
∼
9
回
5
回
不明 0.2
窓口
(年)
平均:5.87回(年)
20
15
10
5
20
13
25
4
8
12
24
36
37
回
回
回以上
9
∼
5
回
3
∼
2
∼ 回
1
∼
0
回
(備考)第9回金融機関利用調査(郵政総合研究所、2006年2月)
より作成
0
∼
コンビニATM
回
窓口
回
ATM
回
0
3
∼
2
回
1
回
0
回
その他 0.4
∼
0
電話/コールセンター 0.3
100
平均:5.96回(月)
20
15
12.0
外務職員
利用回数
(%)
25
(備考)よりよい銀行づくりのためのアンケート(全銀協、2006
年11月)より作成
信金中金月報 2008.2
図表7 顧客のCD/ ATMに対する要望
CD/ATMに対する要望(複数回答、2人以上世帯)
年齢別(15年度)
59.3
時間外手数料を安く
54.5
53.0
他金融機関利用手数料を安く
47.5
46.3
どの金融機関でも利用できる
43.0
30.4
稼動時間を延長
38.1
28.8
設置場所・台数を増加
28.2
どの金融機関でも送金できる*
34.4
14.4
操作を簡単
13.0
7.0
可能な取引の種類の増加
20代
10.3
7.1
故障を減少
2.4
その他
30代
40代
10.7
1.0
16.3
特にない
15年度
50代
13年度
60代
11年度
70代
21.7
0
10
20
30
40
50
60
(%)0
70
20
40
60
80(%)
(備考)1.第8回金融機関利用調査(郵政総合研究所、2004年6月)より作成
( 2.*は15年度調査のみ。
の要望は依然として高いが、利用可能な時間
顧客にとってのATMの利便性は、その場面
や場所・台数に対する要望は低下傾向にある。
によって異なろう。ATMの利便性は、自宅
これはコンビニATMの普及などにより、顧
や職場、商業施設などの生活圏における「日
客の要望がある程度満たされてきていると推
常的な利便性」と、旅行や出張先または夜間
定される(図表7)
。
などの日常的な生活圏とは距離や時間が離れ
ている場面における「非日常的な利便性」が
(4)顧客にとってのATMの利便性
このように、ATMは金融機関の選択理由
あると考えられる。
金融機関としては、
「非日常的な利便性」
の上位に挙げられ、実際の利用もATMが中
を向上させることは効率的ではないため、
「日
心である。そのため、ATMは金融機関の顧
常的な利便性」
の充実に注力すべきであろう。
客獲得、維持という一連の競争戦略において、
ただし、コンビニATMの普及やライフスタ
特に若年層の口座を獲得し、取引基盤を広げ
イルの変化などにより、
「日常的な利便性」
ていくうえでは、重要なチャネルの一つであ
の範囲は変化・拡大していると考えられる。
ると言えよう。
そのため、単に顧客の生活圏におけるATM
顧客は現状のATMサービスに対して、価
の台数を増やすだけでなく、時間の拡大や生
格や利用可能な時間、場所・台数など、利便
活動線への対応などが求められよう。金融機
性のさらなる向上を求めている。このような
関もそれに応えるかのように、手数料の無料
研 究
化やコンビニATMとの提携といった施策を
して、顧客にその優遇サービスを受けるイン
進めている。
センティブを働かせる効果や費用面での負担
以下では、ATMサービスとATM提携の動
向についてみていく。
3.ATMサービスとATM提携の動向
(1)ATMサービスの強化
近年のATMサービスの強化の事例をまと
の軽減を図ることができよう。ただし、この場
合、顧客に対して優遇サービスの基準やサー
ビス自体を十分に認知させる必要があろう。
一方、地域金融機関においては、前掲図表1
のように、近隣の金融機関と提携しATMサ
ービスを強化している。
めたのが図表8である。これらのほかにも、
前掲図表1のような提携が行われている。
このような近隣金融機関との提携は、県内
などの地域内提携、県をまたいだ地域間提携
大手銀行では、顧客が支払う自行ATMの
などこれまでも実施され、主に平日日中の出
時間外手数料や本支店宛の振込手数料を無料
金に係る利用手数料を無料としてきた。ま
化するとともに、コンビニATMやゆうちょ銀
た、
営業エリアに制限のある業態においては、
行など、ATMを全国的に展開している先と提
業態内で提携することで全国的なATMネッ
携し、その提携先ATMの利用手数料を無料
トワークを構築してきた。しかし、最近の提
化するなど、ATMサービスを強化している。
携は、提携先ATMの平日日中の利用手数料
手数料の優遇については、顧客の取引状況
の無料化だけでなく、時間外手数料を終日無
により優遇するという形態を採用している金
料化する提携や他行宛振込の手数料を優遇す
融機関と、全顧客を対象に一律無料化してい
る提携が行われている。
る金融機関がある。取引状況に一定の基準を
このようなATMサービスの強化には、少
設ける場合、全顧客を対象とする場合と比較
なからずゆうちょ銀行の民営化が影響して
図表8 ATMサービスの強化例
金融機関名
みずほ銀行
内容
・取引状況により時間外手数料、提携先ATMの利用手数料を無料化
・取引状況により振込手数料を優遇
・取引状況により時間外手数料、提携先ATMの利用手数料を無料化
三菱東京UFJ銀行 ・本支店宛の振込手数料を無料化
・コンビニATMの平日日中の利用手数料を無料化
三井住友銀行
りそな銀行
新生銀行
ゆうちょ銀行
・コンビニ(am / pm)へのATM設置
・取引状況により時間外手数料、提携先ATMの利用手数料を無料化
・毎月25、26日の時間外手数料を無料化
・ゆうちょ銀行ATM、JR東日本ATMの平日日中の利用手数料を無料化
・時間外手数料を無料化
・時間外手数料、提携先ATMの利用手数料を無料化
・駅へのATM設置
・民営化後も時間外手数料の無料化を継続
・自行内振込の手数料を1年間無料化
(備考)各HP等より信金中金総合研究所作成
10
信金中金月報 2008.2
いると考えられよう。2007年10月に民営化
携の動向と、近年存在感を増しているコンビ
されたゆうちょ銀行は、民営化前から金融機
ニATMとの提携についてみていく。
関と同様のATMサービスを安い手数料で提
供してきた。郵便局のATMでの入出金には、
時間外手数料という概念がなく、ATM稼動
(2)近年のATM提携の動向
イ.業態内提携
時間内であれば土日も含め終日無料であっ
業態内のATM提携は、信用金庫の「しんき
た。また、ATMでの振込(送金)手数料に
んATMゼロネットサービス」や信用組合の「し
ついても、金額に関係なく郵便局内は120円、
んくみお得ねっと」などがある(図表10)。
他行宛は270円と民間金融機関よりも安い手
どちらの業態も営業エリアに制限があるが、
数料体系であった。
業態内で提携することで、全国的なATMサ
このATMの終日無料化と安い振込手数料
ービスを提供するものである。
は民営化後も引き継がれている。さらに、民
基本的には、営業エリア外のATMについ
営化キャンペーンとして、10月1日から1年
て互いに補完しあうものであり、顧客にとっ
間、自行内(本支店宛)振込に係る手数料を
ては旅行や出張時などの非日常的なニーズを
無料とするなど、ATMサービスを強化して
満たすものと言えよう。また、地域に制限さ
いる(図表9)
。
れず「全国どこでも使える」という情報を発
ゆうちょ銀行は、一金融機関として最大の預
金量を誇り、最大のATMネットワークを有して
いる。ゆうちょ銀行の手数料体系が金融機関
における新しい基準となる可能性もあろう。
次に、地域金融機関を中心としたATM提
信することで、顧客に「便利なATM」とい
うイメージを与えることもできよう。
なお、信用金庫業界では、サービス提供開
始後、他金庫のATMを利用する件数がサー
ビス開始前に比べて増加しており、顧客の利
図表9 自前ATMでのキャッシュカードによる取引手数料の比較
金融機関
時間外
ゆうちょ銀行
無料
他金融機関
無料~105円
自行内(本支店宛)振込
(注)
1
120円
無料~420円
他行宛振込
270円(注)2
210~735円
(備考)各HP等より信金中金総合研究所作成
(注)1.10月1日から1年間は民営化キャンペーンにより無料
2.ゆうちょ銀行から他金融機関への送金については、相互送金サービスの締結が必要
図表10 業態内ATM提携の例
業態
名称
信用金庫
しんきんATMゼロネットサービス
(2000年12月開始)
平日8:45~18:00の入出金
土曜9:00~14:00の出金が無料
19,341台
信用組合
しんくみお得ねっと
(2002年4月開始)
平日8:45~18:00
土曜9:00~14:00の出金が無料
2,348台
JAバンク
-
内容
平日8:45~18:00の入出金が無料
CD / ATM台数
12,398台
(備考)FISC「金融情報システム白書」およびHP等より信金中金総合研究所作成(18年3月末時点)
研 究
11
便性向上に寄与したと考えられる。
用金庫の提携などがある。
なお、当研究所において、ある県における
ロ.地域(県)内提携
地域内提携について調査したところ、提携前
県内の金融機関が業態を越えて提携し、営
と提携後で、提携先ATMの利用件数が顕著
業エリア内の利用可能なATM台数を増やし、
に増加するなど、特徴的な動きがみられた。
ATM密度を向上させるものである。戦略的
これについては、次章で詳細に検討する。
な狙いとしては、生活圏におけるキャッシュ
ポイントを増やすことで顧客の利便性を高め
ハ.地域間提携
るだけでなく、店外ATMの見直しや県外か
近隣県の金融機関が提携し、県(営業エリ
らの競合金融機関の進出を防ぐことなどが考
ア)外の利用可能なATMを増やすものであ
えられる。
る。一定の近隣地域でのATMサービスの水
個別の金融機関同士の提携ではなく、県下
準を向上させることで、より広域に展開して
金融機関がまとまって提携している事例とし
いる金融機関に対抗することができよう。た
ては、次のような提携がある(図表11)
。
だし、顧客の生活圏が県をまたぐことは、ほ
広島県では、広島銀行、もみじ銀行、県内
とんどないと想定される。そのため、前述
全信用金庫(広島、呉、しまなみ、広島みど
ロ.の地域(県)内提携よりも利用件数に与
り信用金庫)とJAバンクが提携し、提携先
える影響は大きくないと考えられる。
ATMでの出金に係る手数料(時間外手数料を
地域間の提携は、近隣県の地銀同士または
除く)を無料化するサービスを提供している。
第二地銀同士などの同じ業態同士で実施して
福井県では、福井銀行、福邦銀行と県内全
いることが多い(図表12)
。また、大手銀行
信用金庫(福井、敦賀、武生、小浜、越前信
やゆうちょ銀行などが実施している自行内の
用金庫)が提携し、提携先ATMでの出金に
振込手数料の無料化に対抗する動きがあり、
係る手数料を時間外も含め終日無料とするサ
提携先の口座への振込に係る手数料につい
ービスを提供している。
て、自行内の本支店宛と同様にする優遇サー
その他としては、静岡県の静岡銀行と県内
信用金庫の提携、山口県の山口銀行と県内信
ビスを提供している。これについても、次章
で詳細に検討する。
図表11 県(地域)内提携の例
都道府県
金融機関
静岡銀行、県下信用金庫
平日8:45~18:00、土曜9:00~14:00の出金が無料
福井県
福井銀行、福邦銀行、県下信用金庫
出金が終日無料
広島県
広島銀行、もみじ銀行、県下信用金庫、
県下JAバンク
平日8:45~18:00の出金が無料
山口県
山口銀行、県下信用金庫
平日8:45~18:00の出金が無料
(備考)各HP等より信金中金総合研究所作成
12
内容
静岡県
信金中金月報 2008.2
図表12 地域間提携の例
地域
金融機関
内容
東北①
青森銀行、秋田銀行、岩手銀行(AAIネット)
平日8:45~18:00の出金が無料
東北②
きらやか銀行、仙台銀行、福島銀行、大東銀行(東北おむすび隊) 平日9:00~18:00の出金が無料
北陸①
北國銀行、福井銀行、富山第一銀行(FITネット)
北陸②
福井、石川、富山の3県全18信用金庫(しんきん北陸トライネット) 入出金が終日無料
入出金が終日無料
首都圏①
千葉銀行、東京都民銀行、横浜銀行
平日8:45~18:00の出金が無料
振込手数料を優遇
首都圏②
東京都民銀行、東日本銀行、八千代銀行(しゅとねっと)
平日8:45~18:00の出金が無料
振込手数料を優遇
愛媛銀行、香川銀行、徳島銀行、高知銀行(4 YOU NET)
平日8:45~18:00の出金が無料
四国
(備考)各HP等より信金中金総合研究所作成
図表13 セブン銀行のATM提携の推移
02年3月末
03年3月末
04年3月末
05年3月末
06年3月末
07年3月末
9社
48社
309社
469社
513社
548社
7行
15行
26行
49行
62行
79行
信用金庫
0
0
240庫
241庫
255庫
263庫
信用組合
0
0
0
117組合
122組合
124組合
2社
33社
43社
62社
74社
82社
3,657台
5,250台
7,804台
9,981台
11,484台
12,088台
14百万件
72百万件
158百万件
257百万件
342百万件
418百万件
提携金融機関数
銀行
その他
ATM台数
年間利用件数
(備考)セブン銀行IR資料より信金中金総合研究所作成
ニ.コンビニATMとの提携
1999年よりサービスが開始されたコンビ
ニATMは、現在では26,000台を超え、ほと
んどの金融機関が提携している。
セブン銀行の提携金融機関数、ATM台数、
に、出張や夜間などの非日常的な利便性を向
上させることもできる。
コンビニATMの利用手数料については、
有料としている金融機関が多いが、取引条件
つきで無料やクレジット一体型キャッシュカ
年間利用件数の推移は図表13のとおりであ
ードの申込者に対し初年度無料としている金
る。提携金融機関を増やす一方で、年間1千
融機関もある。コンビニATMの利便性を活
台を超えるペースでATMを設置したことに
用し、無料で利用できることを顧客のインセ
より、利用件数は大きく増加した。
ンティブとして、顧客に取引を進めてもらう
コンビニATMとの提携により、顧客は日
常的に利用するコンビニで、いつでも取引が
できるようになる。金融機関側からすると、
図表14 コンビニATMのメリット
・生活動線上でのサービス提供
・利用可能時間の拡大
コンビニATMを活用するメリットとしては、
・利用可能エリアの広域化
図表14の項目を挙げることができる。顧客
・店外ATMの代替手段
の生活動線における日常的な利便性ととも
(備考)信金中金総合研究所作成
研 究
13
仕組みである。ただし、これまではコンビニ
化する提携(他行顧客の利便性を向上)があ
ATMで利用できること自体が差別化の要因
る。今回取り上げた無料化提携は、基本的に
であったが、ほとんどの金融機関が提携し、
は①と②を双方向に実施する提携である。
最近では利用手数料を一律無料としている金
提携先のATMの利用においては、顧客が
融機関もある。そのため、今後は手数料サー
支払う手数料とは別に、金融機関が支払う手
ビスを競う段階に移行すると考えられる。
数料がある。無料化提携が利用件数にどのよ
コンビニATMはその設置台数や利便性か
うな影響を与え、この金融機関手数料がどの
ら、もはや無視できないチャネルであり、戦
ように変化したのかを調べたところ、以下の
略的に活用すれば顧客の利便性向上に大きく
ような傾向をうかがうことができた。
貢献する。ただし、コンビニ側の出退店戦略
図表15はA県の地方銀行と信用金庫の利用
に影響を受けることやコンビニATMの利用が
件数の推移のイメージ図である。無料化提携
増加すると、金融機関としては手数料支出が
の前後で取引件数が双方とも同程度増加して
増加する。また、自前ATMの利用率が低下
いる。
する可能性もあり、特に店外ATMの見直しを
含めた検討が必要であろう。通帳記入ができ
ないなどの機能面の課題もあろうが、実際、
一方、図表16はB県の地方銀行と信用金庫
図表15 A県の利用件数の推移のイメージ図
(利用件数)
コ ン ビ ニATMと の 提 携 に あ わ せ て、 店 外
銀行顧客が信金ATMを利用
ATMを減少させている金融機関もみられる。
提携開始
4.ATM提携の想定される効果
(1)ATMの無料化提携
イ.無料化による取引件数の変化
これまでみてきたように、ATMサービスは
導入以降、設置台数を増やし、利用時間を拡
大するとともに、提携により利用可能なATM
信金顧客が銀行ATMを利用
(備考)信金中金総合研究所作成
図表16 B県の利用件数の推移のイメージ図
(利用件数)
銀行顧客が信金ATMを利用
を増加させるなど、様々な形で強化されてき
た。そして最近では、これまで顧客が支払っ
提携開始
てきたATM手数料の無料化が進展している。
信金顧客が銀行ATMを利用
ATMの無料化提携には、①自行顧客に対
し提携先ATMの利用手数料を無料化する提
携(自行顧客の利便性を向上)と、②提携先
の顧客に対し自行ATMの利用手数料を無料
14
信金中金月報 2008.2
(備考)信金中金総合研究所作成
の利用件数の推移のイメージ図である。A県
図表18 手数料収入の変化イメージ
同様に提携前後で利用件数が増加している
A県の事例
収入
が、銀行顧客の信金ATM利用件数の増加の
割合と、信金顧客の銀行ATM利用件数の増
ATMの見直しを実施していることが関係し
利用手数料
金融機関手数料収入
このようにATMの手数料無料化提携は、
ATMの利用件数に影響を及ぼすが、双方向
金融機関手数料支出
手数料収支
支出
の項目が関係してこよう。
B県の事例
収入
ていると考えられる。それ以外にも図表17
支出
の地方銀行は提携後に店舗の統廃合と店外
支出
A県 の 事 例 とB県 の 事 例 の 違 い は、B県
提携前
収入
加の割合には大きく差がついている。
(備考)信金中金総合研究所作成
に無料化する場合でも提携後の利用件数は大
用手数料の減少分を金融機関手数料で補完す
きく異なる。手数料収入は、顧客からの手数
ることもできよう(図表18)
。
料がゼロになるため、金融機関手数料収入の
みになる。一方、無料化提携により利用件数
が増加するため、金融機関手数料支出は増加
する。
ロ.無料化提携の留意点
一般的に「無料」化のビジネスモデルは、
無料をキーに集客して、別の商品を購入して
A県の事例(図表15)のように、双方の利
もらうことで収益を確保する(後から費用を
用件数が同程度増加した場合、顧客利便性を
回収)か、他者からの手数料等の収入でその
向上することはできたが、利用手数料収入の
費用を賄う(他から費用を回収)というのが
減少分だけ手数料収入が減少することにな
基本となる。優遇サービスは前者に近いもの
る。一方、B県の事例(図表16)のように、
であり、セブン銀行のコンビニATMは、他
提携先顧客の利用が大きく増加した場合、利
の金融機関から得ている手数料を収入源とし
図表17 無料化提携に係る検討事項
項目
内容
市場環境
・自行および提携先の顧客数と店舗・
ATM配置
・自行および提携先のATMの稼動時間
提携先の動向
・提携先の他金融機関との提携状況
・提携先の店舗・ATM戦略
・自行顧客に対するプロモーション
顧客の認識度
・提携先顧客に対するプロモーション
(備考)信金中金総合研究所作成
ており後者に該当しよう。
ATM提携に係る手数料収入は、取引自体
に係る手数料と利用手数料、時間外手数料、
金融機関手数料である。これまでみてきた
ATMの無料化提携は、顧客の利用手数料と
時間外手数料を無料にするものであり、振込
に係る提携は取引自体に係る手数料を優遇す
るものである。残された収入源は金融機関手
研 究
15
数料だけであり、これをコンビニATMを含
融機関から振込まれていた自行宛の振込を提
めたなかで奪い合う状況にあると言えよう。
携先金融機関に集約し、ネットワーク内で資
そのため、ATMの無料化提携は、手数料
金決済が完結する割合を高めることができる。
収支だけで検討するのではなく、顧客の取引
前掲図表1で挙げた千葉銀行、東京都民銀
のきっかけ・維持・拡大の手段の一つとして
行および横浜銀行の振込手数料の優遇提携で
必要なサービスかどうかから検討する必要が
は、千葉県、東京都および神奈川県宛金融機
あろう。また、ATMの無料化提携が単なる
関の振込を3行に集約化する効果があると考
割引競争にならないように、金融機関からの
えられる(図表19)
。
能動的なアプローチ手段の確立やインターネ
ットバンキングなどの顧客のセルフ取引ツー
ルの充実、預金等商品の充実などについても
あわせて検討する必要があろう。
図表19 千葉銀行と東京都民銀行、横浜銀行
の振込手数料の優遇提携における想定
効果イメージ
振込手数料提携前
東京都
東京都民銀行 A銀行
(2)振込手数料の優遇提携
イ.振込手数料の優遇提携により想定される効果
B銀行
振込取引は、商品やサービス等の購入代金
の決済に利用されることが多く、振込の受取
り側の指定した口座のなかから選択して振込
むことが一般的である。金融機関の振込手数
料は、本支店宛扱いを他行宛扱いよりも優遇
E銀行
C銀行
横浜銀行
千葉銀行
F銀行
D銀行
神奈川県
千葉県
していることから、顧客(振込む側)として
は、振込口座に指定された金融機関のうち、
取引している、近くて手数料の安い金融機関
振込手数料提携後
東京都
を利用することが多くなろう。企業側にとっ
A銀行
ては、顧客に安い決済手段を提供することは、
B銀行
販売促進の点からも重要である。
東京都民銀行
このため、金融機関が企業の代金決済口座
に利用されるには、多くの顧客が安い手数料
C銀行
で振込むことができることが重要な要素とな
横浜銀行
ろう。提携先への振込を自行の本支店宛扱い
とする振込手数料の優遇提携により、ネット
ワークを拡充することで、これまで様々な金
16
信金中金月報 2008.2
E銀行
集約化
D銀行
神奈川県
(備考)信金中金総合研究所作成
千葉銀行
F銀行
千葉県
また、ゆうちょ銀行は、ゆうちょ銀行内の
うネットワークを大きくすることで、ネット
振込手数料を低く設定することで、全国津々
ワークの外部性(注)2に類似した効果が働くと
浦々に有する店舗網を有機的に結びつけ、ゆ
考えられ、結果、金融取引そのもののシェア
うちょ銀行内で資金決済が完結する強固な決
の増加が期待できよう。
済ネットワークを構築し、他を圧倒する取扱
ロ.振込手数料の優遇提携の留意点
件数を誇っている(図表20)
。
もう1つの期待効果として、流動性預金平
振込手数料の優遇提携を効果的に行うに
残の増加が考えられる。提携ネットワーク内
は、提携先の選定が重要なポイントとなる。
での資金決済が増加、すなわち自行宛の振込
ATMでの振込は、顧客が商品、サービス等
が増え、ネットワーク内での資金循環が増大
の購入代金の支払に利用するケースが多く、
する。金利上昇等による余資運用状況の改善
入出金とは異なり、利用者は顧客の通常の生
等を背景に、金融機関において預金回帰の動
活圏内に限定されない。通信販売、ネットシ
きが強まりをみせるなか、振込手数料の優遇
ョッピングの普及による遠隔地取引の増加を
提携により流動性預金平残を増加させること
背景に、B to C取引の範囲は日本全国に及ぶ
ができれば、効率的な資金調達手段となりえ
ことから、ATMの入出金提携に比べ、より
よう。
広域での提携が必要となる。
振込取引については、携帯電話などのネッ
提携形態としては、千葉銀行、東京都民
トワーク型サービスと同様に、顧客基盤とい
銀行および横浜銀行の3行提携に代表される
図表20 振込取引における金融機関相互間の取引件数(06年度)
(単位:百万件)
銀行
約1,000
(33.9)
郵便局
0.2
(0.0)
155.8
(5.2)
132.9
(4.5)
信用金庫
銀行
20.6
(0.6)
信用金庫
1,639.6
(55.5)
0.06
(0.0)
郵便局
(備考)全国信用金庫概況(2006)、全銀協HP、日本郵政公社2007より作成
(注)1.銀行間の数値は概算
2.数値は振込と給振の合計(銀行、信用金庫の数値は本支店間取引を除く)
3.( )内の数字は全体を100とした構成比を表す。
(注)2.ネットワークの外部性とは、電話などのネットワーク型サービスにおいて、そのネットワークへの加入者が増えれば増
えるほど、加入者の利用価値が増加するという現象のこと。利用者が増えることによって、利用価値が増加し、ますます
利用者が増えるという、正のフィードバックが発生する。
研 究
17
一定の地域間の提携と、ゆうちょ銀行のよ
ら、狭域での地域内提携も効果的であろう。
うに全国的なネットワークを構築するための
この点は、東京都民銀行の提携戦略が参考と
全国的な提携の2つが考えられる。後者は、
なろう。同行は、千葉銀行と横浜銀行との3
図表20で示したゆうちょ銀行の実績に裏づ
行提携に加え、同じ都内の金融機関である東
けられているように多大な効果が期待できる
日本銀行と八千代銀行と別個に3行提携を結
が、多数の金融機関との利害調整が必要とな
んでいる(図表21)
。
る。当面は地域金融機関を中心とした前者の
地域間提携が活発化すると考えられる。
このような地域間の提携に対し、信用金
庫や信用組合は一つの業態として、すでに
提携先の選定にあたっては、地域性および
ATMでの入出金に係る全国的な提携を実施
地域内におけるシェアに留意が必要である。
している(前掲図表10)
。さらに、個々の金
振込は企業の経済活動に付随することから、
融機関が有する全国津々浦々の顧客基盤に、
同一地域経済圏内での提携が効果的であろ
「しんきんATMゼロネットサービス」や「し
う。また、千葉銀行、横浜銀行に代表される
んくみお得ねっと」のように業態を一つの金
営業エリア内シェアが高い金融機関は、すで
融機関とみたてた振込サービスを提供するこ
にエリア内における振込の集約化ができてい
とができれば、ゆうちょ銀行などの広域に展
ることから、同一営業エリア内の金融機関よ
開している金融機関に対抗しうるネットワー
りも地域間提携が効果的である。一方、シェ
ク網を構築できるのではないだろうか。
アが低い金融機関は、
相互に提携することで、
地域内の振込の集約化が期待できることか
図表21 東京都民銀行のATM提携関係図
地域間提携
横浜銀行
預金量:9兆6,549億円
ATM設置:584か所
千葉銀行
預金量:8兆3,110億円
ATM設置:417か所
東京都民銀行
八千代銀行
預金量:1兆9,590億円
ATM設置:118か所
東日本銀行
預金量:1兆6,696億円
ATM設置:78か所
地域内提携
(備考)各行HPより信金中金総合研究所作成
(注)各行預金量は、平成19年度中間決算時
18
信金中金月報 2008.2
預金量:2兆2,261億円
ATM設置:107か所
おわりに
これまでみてきたように、金融機関はCD
が得られる場合、
他の地域やより広い経済圏、
もしくは一定の業態内でも同様の提携が実施
されることが想定される。
機を設置して以降、様々なATMサービスを
ATMのシステム対応面については、キャッ
強化してきた。今日では、ほぼ365日24時間
シュカードのIC化対応に加えて、電子マネー
取引することができ、ATM提携によりほと
等に代表される非接触型ICを活用した取引
んどのATMで取引が可能となっている。ま
も技術的には可能であり、導入が検討されて
た、手数料の無料化も進展している。顧客の
いる。ATMの費用は今後も増加し、規模の
要望に限りはないが、ここまで無料化が進ん
小さい金融機関にとっては、自前でのATM
だATMサービスについては、もはや無料を
運営が負担となりうる。効率的なATMサー
前提にサービスを検討する必要があろう。
ビスの提供のためには、ATM提携は有効な
振込手数料の優遇提携については、まだ始
仕組みであり、今後も様々な提携が実施され
まったばかりであり、その効果を測ることは
ると想定される。将来的には、さらに一歩進
できないが、他の地域における動向を注目す
んだATMサービスの提供自体のアウトソーシ
る必要があろう。本稿で想定したような効果
ングについても検討する必要があろう。
〈参考文献〉
金融ジャーナル社「総特集 ATMの将来像」『月刊金融ジャーナル』
(2007年4月)
㈶金融情報システムセンター『平成19年版金融情報システム白書』財経詳報社(2006)
研 究
19
研 究 証券化から見た「サブプライム・ローン問題」
財団法人国際金融情報センター 調査部兼アジア第1部審議役
高橋 宏彰
(信金中央金庫総合研究所付出向)
(キーワード) サブプライム、証券化、ABCP、ABS、CDO
(視
点)
2007年の夏以降、サブプライム・ローンに端を発する金融市場の混乱が続いている。金
融市場の混乱の背景には、サブプライム・ローンと呼ばれる、やや信用力の劣る借入人に対
する住宅ローンが、証券化の技術を通じて世界中の投資家に販売されたためだとも言われて
いる。
本稿では、証券化の仕組みの分析を通じ、サブプライム・ローン問題の発生原因を考察す
る。また併せて、金融機関、ファンド等が損失を被った原因等も紹介する。
(要
旨)
●
サブプライム・ローン問題は、証券化の技術が存在していなければ、発生していなかった。
●
しかし、証券化の技術が、サブプライム・ローン問題の発生原因ではない。
●
近年、米国の持ち家比率が大きく上昇したのは、証券化の技術により米国の個人部門に、
世界中の投資家の資金が流れ込んだためと考えられる。
●
時価を捉え難い「住宅ローン」は、証券化され「債券」になると時価が要求される。
●
サブプライム・ローン問題には、格付会社、住宅金融会社、投資家、投資銀行、住宅購入
者等が、それぞれの事情で係わっていた。
(注)本稿は2007年12月14日現在のデータに基づき記述されている。
20
信金中金月報 2008.2
はじめに
「サブプライム・ローン」という単語は、
が判り難かったことがある。また、それが市
場性の商品であったことで、問題をさらに複
雑化させたのだと考える。本稿では、サブプ
金融の世界のみならず、広く一般的な単語と
ライム・ローンの証券化商品の分析を通じて、
なってしまった。最近アメリカから戻った友
そのリスクの所在を検証する。
人によると、現在アメリカのテレビでは、ほ
ぼ毎日サブプライムの問題と、大統領選の話
1.サブプライム・ローンとは
題が流れてるらしい。日本には、サブプライ
サッカーの世界では優秀な控え選手を「ス
ム・ローンにぴったり当てはまる金融商品は
ーパー“サブ”」と言うらしいが、
「
“サブ”
無いが、消費者金融に近いものと考えると理
プライム・ローン」における“サブ”は「信
解し易いであろう。とは言え「
“サブ”プラ
用力が劣る」という意味であり、具体的に
イム」という、信用力がやや劣る層が借りた
はFICOスコアが低いことを指している。米
「住宅ローン」がきっかけになり、なぜここ
国で個人がクレジットカードを作る場合や、
まで金融市場を混乱させる事態を引き起こし
住宅ローンを借りる場合には、個人の信用
たのだろうか?その答えのひとつとして、
「証
力を評価する「クレジットスコア」という
券化」と呼ばれる金融手法が挙げられる。日
信用評価点を取得する必要がある。一般的
本で考えられている住宅ローンは、銀行等の
に利用されているのは、フェア・アイザッ
窓口でお金を借りると、毎月、銀行等に返済
ク社が開発したFICOスコアであり、ローン
を行い、その住宅ローン債権は完済まで銀行
等の支払履歴(影響度35%、延滞があると減
等が保有しているイメージが強い。しかし、
点)
、現在の借金の額(影響度30%)
、クレジ
直接金融が主流で証券化の技術が進んだ米国
ットカードの保有年数(影響度15%、長けれ
では、住宅ローンの多くは、証券化を前提に
ば加点)等を勘案したスコアリングモデルに
実行されるため、自分の住宅ローン債権を誰
より、300点から850点までの点数をつける。
が保有しているのか判らないケースが多い。
同社のホームページ上で簡単に試算ができる
したがって、住宅ローンが不良債権化する
ため、自分で自分の信用力ポイントを計算で
と、銀行のバランスシート上に在れば、銀行
きる。住宅ローンであれば、ポイントさえ判
の引当金で処理が進むのであろうが、証券化
れば、同時におおむねの融資条件まで類推
された場合は、その証券化商品を購入した投
可能となり、物件の金額を入力することで、
資家がその影響を被ることになる。今回のサ
月々の返済額の目安まで知ることができる。
ブプライム・ローンの問題の根幹には、銀行
FICOスコアは、点数が高ければ高いほど信
のバランスシートから切り離されたサブプラ
用力が高いとされ、高得点であれば、金利、
イム・ローンのリスクの所在と、震源の深さ
手数料面での優遇が受けられる。
研 究
21
一方で、サブプライム・ローンの正確な定
図表1 FICOスコアの分布状況
義は曖昧である。すなわち単純にクレジット
スコアだけで信用力の高さ低さを、明確に
「線引き」できないからである。やや古い資
649以下
27%
800以上
13%
料となるが、OFHEO(注)1が2001年に発表し
たレポート“MORTGAGE MARKETS AND
THE ENTERPRISES IN 2000”の中では、
650−699
15%
750−799
27%
700−749
18%
A-(Aマイナスは、公的機関が買取りできな
いクレジット)のFICOスコアを580─619と
している。このことから、サブプライム・ロ
ーンのひとつの目安としてFICOスコアが620
点未満の人が借り入れている住宅ローンを指
すこともできる。ちなみに、FICOスコアが
650点未満の占める割合は、点数を取得した
人全体の27%程度と言われている(図表1)
。
(出所)Fair Isaac社/Understanding Your FICO Score
2.サブプライム・ローンの証券化商品
(1)リスク、リターンの再配分
図表2は、証券化商品のリスクとリターン
を再配分する仕組みを単純化したものであ
FICOスコアのような統一基準により債務
る。例えば年間1のリターンを生み出すサブ
者の信用力を図るには、
融資条件等を簡便化、
プライム・ローンを100集めれば、その母集
明確化する以外に、もう1つの大きな理由が
団からは年間100のリターンを得ることがで
ある。それは、サブプライム・ローンが「証
き る。 一 方、 そ の100の サ ブ プ ラ イ ム・ ロ
券化」を前提に実行され、その「証券化」さ
ーンを集めるためには、100の資金が必要
れた「証券化商品」は世界中の投資家に販売
と仮定する。証券化のルールは、100のサブ
されるのである。
プライム・ローンの中で最初に破綻(First
Loss)を起こす債権から数件目までの債権
図表2 リスクとリターンを再配分する単純例
シニア
50リターン
投資額80
50リターン/80
30リターン
投資額15
30リターン/15
20リターン
投資額5
20リターン/5
100リターン
1リターンがある100の
サブプライム・ローン
(備考)筆者作成
(注)1.OFFICE OF FEDERAL HOUSING ENTERPRISE OVERSIGHT(連邦住宅監督局)
22
信金中金月報 2008.2
エクイティ
のリスクを引き受ける投資家をエクイティの
と言われている。
投資家と呼ぶ。図表2の例では、エクイティ
FICOスコアを個別の住宅ローン債権に付
の投資家は、最初の破綻から5の投資金額す
すことで、証券化を行う際にサブプライム・
べてが失われるまで、リターンを得ることが
ローンのプール(塊)全体の信用リスク計測
できる。すなわち証券化の仕組みは、資産プ
が可能となり、劣後部分の額を算定すること
ール(塊)の中で、一定量の最も高いリスク
ができるのである。また、証券化商品は、階
を取ることで高いリターンを得る投資家(エ
層(トランシェ)ごとに格付けを取得するの
クイティの投資家)が存在する一方、ややリ
が一般的であるが、劣後比率が最も厚い一番
ターンを下げるものの、リスクを軽減させる
上の層がAAAとなる以降、下層になるにつ
投資家(シニアの投資家)の両方が存在する。
れAA、A、BBBといった具合に、信用補完
すなわち証券化における「優先劣後構造」と
が少なくなればなるほど、格付けは低くなっ
は、「スプレッドが厚い(収益性が高い)
=投
ていく(図表3)
。
資元本の毀損リスクが高い=劣後」
、
「スプ
サブプライム・ローンのように直接・個別
レッドが薄い(収益性が低い)
=投資元本の
には投資が難しい小口債権のリスクアセット
毀損リスクが低い=優先」とキャッシュ・フ
をプール化することで、リスク嗜好の異なる
ローを組みかえることで、リスク、リターン
投資家を呼び込み、ひいては、リスクアセッ
を再分配する仕組みと言える。したがって劣
ト・プール全体への資金供給を可能にする。
後比率が大きければ、大きいほどリスク許容
この点は、金融技術として高く評価されるべ
度が高く、上位の階層(優先部分)のリスク
きものであり、今後も裏付資産の多様化を図
を軽減できる。劣後比率が信用補完と言われ
りながら、技術進歩が進むと考える。
る所以は、そのためだ。一般的には、リスク
の高い資産を集めて証券化商品を組成する場
(2)大量格下げの背景
合、リスクの低い資産を集めて証券化商品を
2007年の夏以降、サブプライム・ローン
組成する場合よりも、劣後比率が大きくなる
関連の金融商品の格下げが相次ぎ、格付け
図表3 証券化のイメージ
原債権
資産担保証券
AAA
クレジットカード債権
AA
A
住宅ローン債権
高いレバレッジ
オートローン債権
BBB
BB
高格付け債券
低デェフォルト率
低利回り(薄いスプレッド)
キャッシュ・フローの組み替え
低格付け債券
高デェフォルト率
高利回り(厚いスプレッド)
B
(備考)筆者作成
研 究
23
会社には、劣後比率の算定が甘かったので
た後でも、所得等が変わればスコアは変化す
はないかという、批判が浴びせられている。
る。クレジット・カードを例に取ると、住宅
格付会社は、過去からのデータ蓄積により、
取得後に、所得が変わらなければ、資産が増
FICOスコアごとに債務者の倒産確率を予想
えたことによりFICOスコアのポイントが上
した独自のシュミレーション・モデルを持っ
がる。そのため、住宅を取得すると、借金が
ている。簡略化した例を挙げると、FICOス
増えるにもかかわらず、ゴールド・カードに
コア620点の借入人が100人いて、うち差押
変更できるとも言われている。もちろん格付
さえに至った人が5人だと仮定すれば、FICO
会社は、FICOスコアだけで格付けをしてい
スコアの点数が800点に上がれば、差押さえ
た訳ではないが、ファクター(構成要素)の
に至る人は、1人に減るという仮定も成り立
ひとつの信憑性が、やや揺らいでいたことも
つ。すなわち、住宅ローンのプール(塊)全
否めない。②2004年以降、住宅金融会社の
体の信用力が低ければ、そのプールから発生
融資条件緩和に伴い、IO(Interest Only:当
する差押さえの確率は高まり、逆に住宅ロー
初一定期間は元本返済が発生せず、利払いの
ンのプール(塊)全体の信用力が高ければ、
み)や、Limited Doc(所得証明等の書類不
そのプールから発生する差押さえの確率は低
備でも実行可能)等の取扱が始まると、証券
くなる。格付会社は、このような統計データ
化の前提となる住宅ローンのプール(塊)の
の蓄積から独自のモデルを構築し、証券化商
中身が急激に変化した。これら条件が緩和さ
品ごとに適切な劣後比率を算定する手法を確
れた住宅ローンの借入人の信用力は、従来と
立している。よって、このモデルから算出さ
はリスクが異なることは認識できても、リス
れる劣後比率の数値が住宅ローンのプール
ク量を正確に判断することができなくなっ
(塊)の信用力を適正に反映していなければ、
た。なぜなら、これら融資条件が緩和された
格付けが付与された債券であっても、その格
住宅ローンのヒストリカル・データがあまり
付けに見合った充分な劣後比率が確保できて
にも少なかったためだ。格付会社が劣後比率
いないこととなる。
を算定する際に、予測不可能な誤差があった
とは言え、
格付会社ばかりも責められない。
とも言える。
なぜなら①FICOスコアは、スコアリングを
一方、世界的な金余り現象と、長短の金利
行った人の絶対的な信用力を表すものではな
差縮小により、投資家の信用リスクに対する
い。すなわちFICOスコアは、日本の大学受
選好度が増していた。そのニーズに応えるべ
験の際に用いられる「共通テスト」のよう
く投資銀行が、サブプライム・ローンを証券
に自分の得点が認識できる点では一緒だが、
化した商品の提供を積極的に行った。その結
FICOスコアは自己申告であり、客観性は少
果、世界中の投資家の資金は、証券化商品を
ない。FICOスコアは、一度スコアを取得し
通じて、米国の消費者層に流れ込み、近年の
24
信金中金月報 2008.2
米国の持ち家比率の向上に繋がった。これら
ク、東京には同一のプレーヤーが存在する。
の実態を考えると、サブプライム・ローンの
そのため、米連邦準備理事会(FRB)
、日本
問題を格付会社の責任にのみ帰することは、
銀行(BOJ)は、ECBのオペレーションに呼
難しいであろう。
応し、レポによる通貨供給量を増やし、各マ
ーケットでの短期金利の上昇を抑えたのであ
3.資産担保コマーシャル・ペーパー
(ABCP)と導管体(Conduits)
ろう。このオペレーションの結果だけを見れ
ば、各国の中央銀行は、世界的な信用収縮を
(1)通貨当局の流動性供給
懸念していたと言わざるを得ない(図表4)
。
2007年8月9日、欧州中央銀行(以下ECB)
が、約948億ユーロを短期市場に流動性供給
(2)ABCP Conduits(導管体)
したと報じられた。これは、ユーロ圏の短期
それではなぜ、各国の通貨当局が協調して
金利が、ECBの誘導目標を上回る日が続い
まで、短期金融市場の通貨供給量を増やさざ
たため、ECBがレポ(国債等を担保にして
るを得なかったのだろうか?市場では、ABCP
市中銀行に対し通貨供給する手法)による現
(Asset Backed Commercial Paper)の資金繰
金の供給量を増やして、短期市場の熱を冷ま
り難が伝えられていた。ここで言うABCPと
した格好だ。
は、高格付けの債券等の金融資産(Asset)を
ではなぜ短期金利が、ECBの誘導目標を
担保に、短期のコマーシャル・ペーパーで資金調
上回ったのだろうか?要因は、短期金融市場
達を行う、Multi-Seller-Conduits、SIV
(Structured
に参加する金融機関の中で、資金を調達する
Investment Vehicles)と呼ばれるタイプのも
際、通常より高い金利を払わないと、調達が
のだ。米国での市場規模は約130兆円とも言
できない金融機関が出始めたためと考えられ
われている。銀行への普通預金が一般的では
る。そこでECBは、国債等を担保にしてリ
ない米国では、短期の金融商品としてマネー・
スクフリーに近い形で通貨供給できるレポの
マーケット・ファンド(MMF)が、日本の銀行
取扱いを増やし、短期金利の上昇を抑えるオ
の普通預金の役割を担っており、そのMMF
ペレーションを行ったのである。
の運用手段として調達と運用の期間ミスマッ
金融グローバル化の中、欧州 、ニューヨー
チが少ないCP並びに、ABCPが活用されて
図表4 各国中央銀行のレポ供給量(2007年 8/9-8/13)
欧州中央銀行(ECB)
米連邦準備理事会(FRB)
日本銀行(BOJ)
2001年同時多発テロ時
9日
10日
13日
948.41億ユーロ
610.5億ユーロ
476.65億ユーロ
240億ドル
380億ドル
20億ドル
1兆円
6,000億円
FRB 753億ドル、ECB 692億ユーロ
(備考)筆者作成
研 究
25
いる(図表5)
。
SIVがCPを発行することで、短期の投資
ABCPを発行する仕組みは総称して、Conduits
家から資金を調達し、償還期限の長い債券に
(導管体)と呼ばれている。ABCP Conduits
投資して運用を行う。その際、その債券の選
には、CDOがCPを発行するタイプのもの、
定と、
バックアップの流動性供給を担うのが、
劣後債を発行しないタイプのもの等、いくつ
米国、欧州系の金融機関である。高格付けの
かの種類が存在している。以下は、ABCPを
金融機関が流動性を補完することで、調達
発行する仕組みの1つであるSIV(Structured
と運用の期間ミスマッチのリスクを補完し、
Investment Vehicles)を例にとって説明する。
SIVが発行するCPも高格付けを取得できる
SIVは、格付けが高く比較的スプレッドの厚
仕組みとなっている。SIVが発行するABCP
い(利回りの高い)金融商品に対して投資を
に投資することは、マネー・マーケット等の
行う仕組みで、米国、欧州系の金融機関で取
短期の投資家にとっては、投資対象の多様化
り扱われている。マネー・マーケット系の短
が図れ、また、米国、欧州系金融機関にとっ
期運用を行う投資家に加え、レバレッジをか
ては、自己投資並びに、手数料の収益機会で
けて超過収益を狙う投資家の、異なる2つの
あったため、市場でも浸透していた。
ニーズに応える投資手法として発展してき
た。SIVの運用資産として保有されている主
な債券は、金融機関が発行するAAの債券 、
(3)時価評価の問題点
ABCP Conduitsの 資 金 調 達 難 と 同 様 に、
RMBS(Residential Mortgage Backed
金融市場でサブプライム・ローンに関係する
Securities)、CDO(Collateralized Debt
問題として、
深刻に受け止められているのが、
Obligation)等であるが、いずれも高格付け
関連商品の時価下落の問題であろう。投資活
で、償還期間が長いのが特徴である。ここに
動を組織的に行っている場合、投資に対して
短期の投資家の資金を呼び込むために、SIV
一定以上の評価損が発生した場合、投資を取
が活用されてきた。
り止めるというルールを持っているケースは
図表5 SIVの仕組み例
資産
負債
流動性供給
高格付け債券
金融機関が
担当
(例)
金融機関の劣後債
証券化商品等
銘柄選定・管理
(備考)筆者作成
26
信金中金月報 2008.2
優先債務
AAA格
平均償還
1年以内
劣後債
BBB格
マネーファンド等の
短期の投資家
MTN、CPの発行にて
資金調達
レバレッジをかけ
超過収益を狙う投資家
投資期間に応じて
スプレッドが変化
多い。市場では、格下げ、延滞率の上昇等を
り離されたABCPのアセットは、再びバラン
反映して、サブプライム・ローン関連の証券
スシートに戻されるべきなのだろうか?リス
化商品が大幅に値下がりしている。この時価
クウエイトの観点から見れば、ABCPは金融
下落を受けて、
「売却」を迫られた投資家も
機関にとって、資本に対する収益性が効率の
多いはずである。さらにSIVの場合でも、投
良いビジネスモデルであった。しかし、今般
資ルールは明文化されており、一定以上に時
の混乱を見る限り、今後はクレジット裁定取
価が下がった場合、ルールに従い、その資産
引を目的としたABCPが復活する可能性は、
を強制的に売却しなければならない。このよ
極めて少ないであろう。
うな状況に陥れば、
「売り」と「買い」がバラ
時価評価の問題にさらに付け加えるとすれ
ンス良く存在する市場機能が失われ、
「売り」
ば、サブプライム・ローン等を裏付資産とし
のみが存在する市場となってしまう。市場価
た証券化商品の時価算定は、極めて難しい。
格は需給で決まるため、
「買い」が存在しな
背景をいくつかあげると、①償還までの保有
ければ、さらに価格が下がるという悪循環を
を前提としている投資家が多いため、流通市
招き、ファンド等の閉鎖、もしくは売りたく
場での取引が極めて少ない、②裏付資産とな
ても売れない状況に追い込まれていた投資
っている住宅ローン等には、もともと時価の
家、ABCP Conduitsが多数発生した(図表6)
。
概念がないため、個別の価格を測定するのが
短期金利の上昇は収斂したものの、ABCP
難しい、③裏付資産となっている住宅ローン
の残高は減り続けている。2007年の夏以降、
の件数が多い。ちなみに、
ABSの住宅ローン・
約3千 億 ド ル( 約30兆 円 )
、ABCPの 残 高 が
プール(塊)は、通常15億ドル規模である
減少した。アセットの規模で見れば、そこそ
ため、仮に平均が200,000ドルの住宅ローン
この金融機関がひとつ無くなったボリューム
とすれば、7,500件となる。毎月7,500件の住
だ。果たしてこのお金は、どこへ行ったのだ
宅ローンの時価算定を行うのは現実的ではな
ろうか?金融機関のバランス・シートから切
いため、時価算定を行うに際しては、新規に
図表6 ABCPの残高と短期金利の推移
($Bil)
(%)
1,200
1,150
1,100
残高
1か月もの金利
1,050
1,000
950
900
850
06/05
06/07
06/09
06/11
07/01
07/03
07/05
07/07
6.5
6.3
6.1
5.9
5.7
5.5
5.3
5.1
4.9
4.7
4.5
07/09(年/月)
(備考)Bloombergより筆者作成
研 究
27
発行される同様なリスクを内包した証券化商
行い、この資金でさらに債券に投資するという
品との比較、並びにサブプライム・ローンの
手法を「レポ(Repurchase)
」取引と呼んでい
証券化商品で構成するインデックスの時価等
る。通常、担保に差入れた債券は毎営業日値
を参考にして決定されているようだ。しかし
洗いを行い、時価との差額調整を行う。破綻
ながら、算出された時価に対する「もやもや
したファンドは、想定以上の価格下落が発生
感」が、かつてないほどクローズ・アップさ
したため、追加担保金が払えなくなったのだ。
れてしまった印象も受ける。
問題は、住宅ローン、カードローン、オー
ト・ローン等の時価の概念が乏しい裏付資産
が、証券化商品となった途端に時価を要求さ
4.再証券化商品(SF/CDO)
(1)CDO(Collateralized Debt Obligation)
CDOとは、様々な「債務」をひとつの塊
れる点である。
証券化商品は債券であるため、
にし、キャッシュ・フローを組替えること
他の債券同様、時価が要求されるのである。
で、リスク・リターンの再分配を図る仕組み
例えば仮に、中古自動車で証券化商品を組
である。基本的な仕組みは、資産担保証券
成すれば、手間と暇さえ惜しまなければ、か
(ABS:Asset Backed Securities)と同様な
なり正確な時価が算出できるはずである。な
のだが、CDOとABS の大きな違いは、CDO
ぜなら中古自動車は、流通市場が整備されて
の裏付資産が、個別の金融商品として認識さ
おり、同種の自動車の流通価格が存在するた
れているものが多いのに対し、ABSの裏付資
め、相対取引の価格であっても普遍性を持ち
産は、個別の金融商品として認識されていない
やすい。しかし、住宅ローン等、個別性の強
ものが多い点である。例えば95~96年のCDO
い資産の時価を算定するのは、
容易ではない。
創生期ではハイ・イールド・ボンドと呼ばれる
それゆえ時価算出の際に問題が発生する。
低格付け債券が「裏付資産」
(Collateralized
また時価下落は、単に債券の簿価が下がる
(注)
2
Debt)
の主流であったが、03年以降はレ
リスクばかりではない。2007年の夏に経営破
バレッジド・ローン 、民間モーゲージ(注)3、
たんしたヘッジ・ファンドは、レポ取引の追
が裏付資産の中心となり、
これにCDS(Credit
加担保金が支払えなかったことが、破綻の原
Default Swap)が加わることで、発行額が急
因だと言われている。レポ取引の追加担保金
激に増加した。これに対し、ABSの裏付資産
は、株の投資で言う「追証」に似ている。取
は、カード・ローン、オート・ローン、奨学
引手法は株と債券では異なるが、債券運用で
金、住宅ローンといった小口の金銭債権がそ
は、購入した債券を担保にさらに資金調達を
の主流となっており、消費者系金融の重要な
(注)2.LBO(Leveraged Buy Out)ファイナンスは、多額の借金を使って買収を行うため、急激な信用状況の悪化に伴い、複数
ノッチの格下げが発生する可能性が高い。そのため個別のリスク判断が難しいとされている。
3.米国の住宅ローンは、一定の基準を満たせば連邦抵当金庫(Federal National Mortgage Association;FNMA、通称:ファ
ニーメイ)等の公的機関が買取るが、信用力が劣っていたり、所得証明等書類が不完全な住宅ローンは、民間モーゲージ
バンクから、投資銀行等のアレンジを経て、証券化されるケースが多い。
28
信金中金月報 2008.2
資金調達手段として、役割を担っている。ま
る。近年ではこれらリスク性資産の重要なファ
た、近年のCDOの発行額増加の背景には、後
ンディングソースであったと言われている。
述する「コラテラル・マネージャー」の活躍
裏付資産が証券化商品で組成されるCDO
に加え、CDOが変動金利商品であることから、
は、SF/CDOと呼ばれている。日本語では
金利リスク商品の代替手段として投資家の選
「再証券化商品」と訳されることが多い。裏付
好が集まった点も付け加えることができる。
資産となる証券化商品は、サブプライム・ロ
ーンを裏付資産としたABSが中心となってい
(2)再証券化商品(SF/CDO)
ることから、ABS/CDOとも呼ばれている。
図 表7の 円 グ ラ フ は、 米 ム ー デ ィ ー ズ 社
SF/CDOは大きく2つに分けられる。比較的
が2006年中に格付けを付与したCDOの「裏
格付けの高いABSを裏付資産のプールとし
付資産」の内訳である。半分以上を占める
たHigh Grade CDOと呼ばれるものと、High
Structured Debt(証券化された債務)の中
Grade以下の格付けのABSを裏付資産のプー
には、いわゆるサブプライム・ローンにより
ルとしたMezzanine CDOと呼ばれるものだ。
組成された証券化商品(ABS)が含まれてい
11月9日、ムーディーズ社の発表によると、
る。その他、Corporate Bonds、LoansはLBO
こ のSF/CDOが10月 中 に131案 件、273ト
により発生した低格付けの企業債務が大層を
ランシェで合計103億ドルが格下げられてい
占める。CDOは、機関投資家向けの投資商品
る。さらに10月末時点で227案件、734トラ
としては一般的であり、単品の投資判断が難
ンシェで475億ドルが格下げ方向で見直し中
しいレバレッジド・ローン、低格付けのサブプ
となっている。ちなみに、10月中に格下げ
ライム・ローンの証券化商品をプール化、階層
られた金額103億ドルは、ムーディーズ社が
(トランシェ)分けすることにより、異なるリス
過去に格付けを行ったSF/CDO残高の1.9%
ク選好の投資家を呼び込む役割を果たしてい
にあたる。大量に格下げられたSF/CDOの
図表7 Collateral Backing Transactions
(Including Synyhetic Transactions)
EM 0%
裏付資産は、主に2006年以降に発行された
サブプライム・ローン関連のABSによって
構成されており、これらの裏付資産となって
いるABSの信用力劣化を背景に、引き続き
Corporate Bonds
30%
Structured Debt
57%
格下げ圧力が続くものと見られている。
サブプライム・ローンで作られたABSを購
入する機関投資家は、通常、償還までの保有
Loans
13%
を前提としているため、安全性を考慮して、
最上位の格付けであるAAAの債券を購入する
(出所)ムーディーズ
ケースが多いと言われている。またBIS
(Bank
研 究
29
for International Settlements)のリスクウエ
は、比較的格付けが低いサブプライム・ロー
イトを考慮すると、AAAの債券は投資効率が
ンのABSを裏付資産とするMezzanine CDOで
良い。しかしながら投資銀行等が、証券化の
ある。対象となった「Carina CDO」は、2006
取引を成立させるためには、下位の格付けで
年9月に発行された。当初AAAだったトラン
あるA、BBB等の債券も、買い手を見つける
シェの格付けは、1年余りの間に「投機的要
必要がある。格付けの低い債券を購入でき
素が強いとみなされる」CCCマイナスまで
る投資家層は、AAAを購入できる投資家層
格下げられている。現在のABXの価格水準
に比べて少ないことから、サブプライム・
を勘案すれば、当初AAAトランシェとは言
ローンで作られたABSをコンスタントに消
え、元本毀損も充分考えられる。
化するために、CDOが活用されてきた。格
それではなぜ、このような事態が発生して
付けの低いサブプライム・ローンの証券化商
しまったのだろうか?図表8は、ムーディー
品でCDOの資産プールを作り、その資産プ
ズ社が2007年8月に発表したサブプライム・
ールで優先劣後構造を再構築する。CDOを経
ローン関連の証券化商品の予想損失率の新し
由することで、買い手を見つけることが難し
い考え方である。ここで注目したいのは、住
い、格付けの低いサブプライム・ローンの証
宅ローンを借りる際、所得証明等、書類がす
券化商品から、再度AAAの債券を生み出す
べて整っている(Full Documentation Loans)
ことができる。投資家さえ見つかれば、ABS
比率と、第2抵当権(Second Lien Loans)が
の発行とCDOの発行を繰り返し行うことがで
付いている住宅ローンの占める割合が多いプ
き、サブプライム・ローン関連の金融商品の
ールの損失率を、6.65%から13%まで拡大さ
残高が、雪だるま式に膨れ上がった。ムーデ
せている点である。
ィーズ社と前後して、11月8日S&P(Standard
すなわち、所得証明等の書類が充分に整っ
Poor’s)社は、同社が格付けしたCDOが、清
ていない、何らかの瑕疵がある住宅ローンの
算を宣言したと発表した。対象となったCDO
予想損失率は、従来より2倍近いと考え方を
図表8 予想損失率のサンプル
Loss Projection Before New Methodology
Loss Projection After New Methodology
Summary Loan Characteristics
Average Loan-to-Value
Average Combined-Loan-to-Value
% 1st Liens
% 1st Liens with Simultaneous Second Lien Loans
Full Documentation Loans
% Interest Only Loans
% Investor Properties
% 2-4 Family Properties
(出所)ムーディーズ
30
信金中金月報 2008.2
Example 1
5%
5.7%
80%
81%
99.7%
3%
66%
11%
7%
7%
Example 2
6.65%
13.0%
85%
91%
92%
30%
35%
13%
7%
10%
図表9 CDOの評価例 (dollars in millions)
Net Exposures
as of June 29,
2007
Gain/
(Loss)
Included in Income
(1)
$22,648
8,022
1,454
-$1,841
-3,084
-826
-$11,882
299
2
$8,925
5,237
630
32,124
-5,751
-11,581
14,792
1,740
-1,104
390
1,026
$33,864
-$6,855
-$11,191
$15,818
Super senior CDO net
exposures:
High-grade
Mezzanine
CDO-squared
Total super senior CDO
net exposures
Other retained and
warehouse net exposures
Total CDO-related net
exposures
Other Net Changes
in Net Exposures
(2)
Net Exposures
as of Sept. 28,
2007
(出所)メリルリンチ決算資料
変えたのである。このことは、格付け会社が
CDOの評価損が大きい。これは、Mezzanine
当初、書類に不備等の瑕疵がある住宅ローン
CDOの組成に際し、仕組みの中でポジション
でこれほどまでの延滞率と、差押さえ比率が
をとったスワップ部分の評価損が膨らんだも
発生することを予想できなかったことを裏付
のと考えられ、これが当初の予想を上回った
けているのだが、結果として金融商品の格下
のだろう(図表9)。
げに繋がる事態は深刻だ。
10月24日、メリルリンチが2007年第7─9
月期の決算を発表した。同社発表資料による
と、「継続事業ベースで23億ドルの純損失」
、
(3)投資家の安心感の拠りどころ
CDOは ①「 裏 付 資 産 」 等 の 違 い に よ り、
キャッシュ・フロー型とシンセティック型に、
「米国サブプライム住宅ローン関連の評価損
②投資期間中のポートフォリオのメインテナ
79億ドルが含まれているが、この数字は先
ンスの有無により、マネージド型とスタティ
に業績予想のなかで開示した45億ドルを大
ック型に、③レバレッジ運用を行うためのア
幅に上回る」としている。
ービトラージ型と、銀行のリスクアセット調
サブプライム関連の中でもCDOに関連する
項目に限って見てみると、中でもMezzanine
整に用いるバランスシート型等に分類される
のが一般的である(図表10)
。
図表10 CDOの分類
シンセティック型
(CDS等のオフバランス資産)
マネージド型
(ポートフォリオの入れ替えがある)
スタティック型
(原則ポートが入れ替わらない)
バランスシート型
アービトラージ型
キャッシュフロー型
(ローン、債券等の現物資産)
(備考)筆者作成
研 究
31
その中で、近年CDOの中で一般的となっ
重宝された。
「コラテラル・マネージャー」
ているのがマネージド型CDOである。マネ
は、独自の分析モデルを活用し、サブプライ
ージド型CDOの特徴は、
「コラテラル・マネ
ム・ローン関連の金融商品のリスクを極小化
ージャー」と呼ばれる運用会社が、CDOの
し、最大限の投資パフォーマンスを目指す。
ポートフォリオに組み入れる「裏付資産」の
個別に投資するのは、やや躊躇するサブプ
選定を行い、運用期間中に適宜ポートフォリ
ライム・ローン関連の金融商品でも、専門
オ中の「裏付資産」の入れ替えを行う。すな
家の分析が加わることで、金融商品として
わちマネージド型CDOは、変動金利の債券
の完成度が高まり、投資家の裾野が広がっ
でありながら、運用会社が運用を行うファン
たのだと考える。
ドとしての性格を合わせ持つ。
サブプライム・ローン関連の金融商品の分
おわりに
析には、計量的なアプローチが不可欠だ。サ
最後に、サブプライム・ローン問題の発生
ブプライム・ローン関連の金融商品は、サブ
原因について、整理をしてみたい。筆者は、
プライム・ローンのプール(塊)
・プロフィ
図表11の5点が今回のサブプライム・ローン
ールによって、要求される劣後水準が異な
問題の主な要因だと考えており、4.の「米
ってくる。投資判断には、格付け会社が付与
住宅金融会社の伸張の背景─ROEに対する
した格付けの、必要としている劣後水準が適
強い要請」を重要視している。
切かどうかを、精査できるかがポイントとな
証券化の技術の進展、過剰流動性は、米国
る。すなわち投資家は、自らサブプライム・
の住宅金融会社にとっては、大きなビジネス
ローン関連の金融商品を構成している裏付資
チャンスをもたらした。直接金融が主流の米
産のプール(塊)のデータを網羅的に分析し
国では、住宅金融会社にとって、住宅ローン
た上で、そのリスク量を正確に計測する能力
を販売するための、金融市場での資金調達
の有無が問われる。これらの分析には、高度
が、極めて重要な問題である。証券化の技術
な数学の能力が不可欠であり、独自の評価モ
の進展は、本来であれば投資対象とはならな
デル等も必要とされる。
しかしながら、そうした投資ノウハウを保
図表11 サブプライム・ローン問題が発生
した背景
有している投資家はごく一部と言われてお
1.世界的な過剰流動性
り、リスク分析モデルは高価であると同時
2.信用リスク資産に対する行過ぎた投資
に、その構築も容易ではない。そこで、サブ
3.証券化技術の進展
-伝統的資産投資から非伝統的資産投資へ導く技術
プライム・ローン関連の金融商品へ投資する
4.米住宅金融会社の伸張の背景
-ROEに対する強い要請
ために、アウトソースの手段として、
「コラ
テラル・マネージャー」を活用したCDOが
32
信金中金月報 2008.2
5.米国住宅市場の活況
(備考)筆者作成
い資産を、投資対象に変えるチャレンジがあ
世帯を増加させるという「アメリカン・ドリ
って、今日に至っている。住宅ローンも、当
ーム」に結びついたことで、この問題をここ
初は流通市場の存在しない「資産」であった
まで大きくしたのではないだろうか。
が、証券化の技術により、住宅金融会社の主
要なファンデング・ソースに変化した。
低クレジット層に対して、住宅ローンを住
宅金融会社が実行するにあたり、モラルに反
資金調達に懸念がなくなった、住宅金融会
する融資が行われてことが、新聞等のメディ
社にとって、次の課題は、ROEをいかに高
アでも取上げられている。突然ローンの返済
めていくかであった。米国では、ROEを高
額が増加し、持ち家が差し押さえられる。し
めることを日本以上に重要視する。企業にと
かし、差押さえられた世帯主は、ローンの返
って、ROEを高めることは、株主に対する
済額が増加することなど、事前に聞かされて
重要な責務であり、株式会社である住宅金融
ないと反論する。住宅金融会社が業績を伸ば
会社にとっても、例外ではない。さらに、住
し、持ち家比率が増加した。住宅価格が上昇
宅金融会社がROEを高めること=住宅ロー
していれば、住宅ローンの負担感は少なく、
ンの実行件数を増加させる=持ち家比率を向
誰もがハッピーだったストーリーが、ひとつ
上させる。と、住宅金融会社がROEを高め
の終焉を迎えた。
これが今回のサブプライム・
ることが、すなわちマイホームを手に入れる
ローン問題の根底にあると考える。
研 究
33
研 究 的確な対応が求められる中小企業の人材確保
-経営計画に基づく戦略的対応が人材採用力強化のカギ-
信金中央金庫 総合研究所主席研究員
藤津 勝一
(キーワード) 人材採用、人手不足、少子高齢化、採用活動、採用力、七五三問題、内定辞退
(視
点)
新卒採用、とりわけ大学卒業者の就職活動において、採用内定者の辞退や予定人数の確保
に大企業ですら苦労し、専門業者まで活用するところもあるという。つい最近までの“就職
氷河期”が一転、
“採用氷河期”などと言われる状況である。一般的には採用力において大
企業や有名企業などとの間に差がある中小企業においては、人手の確保についてさらに厳し
い状況にあると思われる。現状もさることながら、今後、少子化による若手の人材不足は一
段と深刻化が予想され、経営を持続・発展させるための戦略的人材確保と育成は、これまで
にも増して重要な経営課題と言える。定年延長、高齢者や女性、外国人のさらなる活用など
も人手確保対応策として真剣に考えねばならないが、企業の活力維持向上や、技術・文化の
確かな継承などを考えれば、やはり若手人材の確保と育成を避けて通ることはできない。中
小企業において、人材確保をどのように考え、対応していけばよいのか。本稿ではこの問題
を考える上でのきっかけとして、人材をめぐる環境変化とそれに対する企業側の意識を概観
し、その後に採用フローに沿って基本的に留意するポイントについて触れる。
(要
●
旨)
東京商工会議所調べによれば、
「従業員の確保難」を訴える中小企業が年々増加し、
「労働
市場の変化」を経営上影響のある構造変化ととらえる割合も急増している。こうしたこと
から、今後重視する経営課題では「人材の確保・育成」がトップとなっている。
●
人手の確保難の背景には、目先的にはバブル崩壊後のリストラや新卒採用の抑制、非正規
雇用の拡大などで企業のスリム化が進んでいたところに、米国・中国向けなどの外需好調
とそれに起因する設備投資の増加により、
一気に人手不足感が表面化してきたことがある。
●
より深刻なのは今後の若年者減少という人口構造の変化であり、中小企業は人材の確保と
育成を重要経営課題として計画的・戦略的に取組む必要がある。
●
自社の存在を知らしめる情報発信の重要性を認識し、経営計画に則り事前準備と適切なタ
イミングで、自社に相応しいコンテンツ・伝達ツールでの効果的な活動が不可欠である。
34
信金中金月報 2008.2
37.5%、第3位「需要の低迷」34.1%である。
1.中小企業の経営課題として人材問
題の指摘が急速に増加
また、図表2の「経営・社会環境の構造変
化で経営上影響を受けそう、あるいは受けて
(1)“人”の問題に直面する中小企業
いるもの」
(3つ選択)では、もっとも回答割
東京商工会議所は、毎年、中小企業の経営
合が高いのは「市場の変化(成熟化・ニーズ
課題に関するアンケート調査を実施してい
多様化)
」の48.5%である。本稿のテーマに
る。平成19年の結果をみると、
「直面してい
かかわる「労働市場の変化」は34.1%と第3
る経営上の問題点や困っていることは何か」
位に位置する。こちらも毎年割合が増えてお
り、2年前の平成17年と比較すると12.5ポイ
(3つ選択)との問いに対して、競争激化や
ントの大きな増加となっている。
販売価格、需要に関する答えが毎年多くなっ
ている(図表1)
。そうした中で注目される
2番目に割合が大きい「少子・高齢化の進
動きは、「従業員の確保難」である。回答割
展」の34.8%は、企業にとっては需要面への
合の多さでは第4位に位置するが、平成19年
影響ということももちろんあるが、雇用にも
では31.4%と年を追って増加し、2年前との
大いに関係する項目と取れるものである。こ
比較ではちょうど倍増という急速な増加ぶり
のように、
“人”に関わる問題が経営課題と
である。順位も7位から4位に上昇した。ち
して一段と注目され、関心は高まってきてい
なみに第1位は「同業他社との競争激化」で
ると思われる。
42.1%、第2位「販売価格の低下・上昇難」
図表1 中堅・中小企業が直面する経営課題
(%)
60
50
17年
46.7
44.7 42.1
40
35.4
37.5
40.0
34.9
34.1
30
19年
31.4
23.6
20
15.7
22.1
18.9
14.4
16.7
13.512.7
21.0
18.4
13.0
10
16.5
9.6
11.0 12.0
13.8 12.5
11.7
11.511.7 11.8
8.9
7.4
6.1
8.4 9.7
技能承継難
事業承継難
︵後継者不足︶
取引条件の悪化
設備︵店舗を含む︶の
老朽・不足
大企業進出による
競争激化
ニーズ変化への
対応難
人件費の増加
原材料の不足・
価格の上昇
従業員の確保難
需要の低迷
販売価格の
低下・上昇難
同業他社との
競争激化
0
18年
48.1
(備考)1.直面している経営上の問題点や困っている点を3つ選択
2.調査回答企業は東京商工会議所会員の中堅・中小企業299社。資本金5千万円以下が
72.6%、従業員100人以下が76.6%を占める。
3.東京商工会議所「中小企業の経営課題に関するアンケート調査結果」2007年3月28日
発表より信金中金総合研究所作成
研 究
35
図表2 経営上影響のある構造変化
(%)
60.0
50.0
50.1
17年
52.2
18年
19年
48.5
40.0
38.3
40.6
34.8
30.0
34.1
28.0
28.8
27.7
25.1
21.6
20.0
24.6
22.6
20.1
15.6
20.5
18.4
17.9 17.7
16.7
15.2
13.0
12.4
17.9
18.4
15.7 15.2
16.7
15.7
10.0
グローバル化の
進展
技術革新の進展
︵情報化︶
IT 化
の進展
産業空洞化の
進展
金融環境の変化
︵政府系金融機関
の統合等︶
地球環境への
配慮重視
取引構造、
流通システムの
変化
労働市場の変化
少子・高齢化の
進展
市場の変化
︵成熟化・ニーズ
多様化︶
0.0
(備考)1.経営上影響を受けそうあるいは受けているものを3つ選択
( 2.東京商工会議所「中小企業の経営課題に関するアンケート調査結果」2007年3月28日
発表より信金中金総合研究所作成
(2)今後重視する経営課題では人材問題が最
たもので、その約7割が従業員数19人未満と
大と認識
な っ て い る ) で は、07年7~9月 期 調 査 で、
こうした結果を映して、図表3の「今後重
人手過不足判断D.I.が△7.5(マイナスは人手
視する経営課題」についての回答では、より
不足)と、人手不足とする中小企業経営者
はっきりと人材の確保・育成の問題が切実で
が過剰とする経営者の割合を上回っている
あることがわかる。
「人材の確保・育成」の
(図表4)
。現状、小零細層においても不足感
回答割合は56.5%で第1位となっている。平
が出てきていることがわかる。
成18年の64.3%には及ばないが、常に過半を
また、この調査では景況についての本調査
占めトップである。若手の採用からはやや離
とともに、毎回タイムリー性のあるテーマな
れるが、「後継者の育成」も23.4%と四分の
どを選定して特別調査を実施している。この
一近くを占め、経営者の人材問題も中小企業
07年7~9月期の特別調査のテーマでは、
「中
の大きな課題である。
小企業の事業承継」を取り上げた。
中小企業においては、従前から後継者の不
その結果、事業承継を最優先の経営問題
在やその育成も問題と言われている。人手不
とする答えが20.0%、経営問題のひとつが
足や事業承継については、当総合研究所の最
59.0%と、合わせて79.0%もの企業が経営問
近の調査結果にも表れているので紹介してお
題として事業承継を認識している。また、こ
く。信金中央金庫総合研究所が四半期ごとに
の問題に対応できている、あるいは対応中
行っている中小企業景気動向調査(この調査
とする企業は48.2%と半分弱にとどまってい
は全国の信用金庫取引先16,000社を対象とし
る。とりわけ従業員数が1~4人というもっと
36
信金中金月報 2008.2
図表3 今後重視する経営課題
(%)
70
60
64.3
59.7
17年
18年
19年
56.5
50
39.6 39.2 40.5
40
31.7 31.7 32.1
30
25.1
23.1
20.5
20
27.0 25.9
23.4
18.7 18.4 17.7
22.6
16.5
18.2 17.4
14.7 12.7 13.7
19.6
15.6
13.7
10
製品等の
ブランド力
の強化
事業の再編・
再構築
資金調達の
円滑化
社内設備への
投資
経営組織の
見直し
後継者の育成
新分野への
進出
新技術︵商品︶
の
研究開発
マーケティング、
販路開拓
人材の確保・
育成
0
12.4
(備考)1.今後重視する経営課題を3つを選択
( 2.東京商工会議所「中小企業の経営課題に関するアンケート調査結果」2007年3月28日
発表より信金中金総合研究所作成
図表4 信用金庫取引先の人手不足判断D.I.と人手不足を経営課題として
1 掲げた企業の割合
(D.I.)
(%)
16
12
10.0
人手不足を経営課題として
掲げた企業の割合
【過剰】
7.2
8 (94.4-6月期)
(98.7-9月期)
6.1
4
人手過不足判断D.I.
7.9
9.0
(07.7-9月期)
8.0
7.0
(02.1-3月期)
4.4
6.0
0
5.0
△ 4
4.0
△ 7.5
(07.7-9月期)
△ 8
△12
△16
△9.5
(96.10-12月期)
【不足】
1
4
7
3.0
△4.1
(00.10-12月期)
2.5
(02.1-3月期)
2.0
△11.6
(06.10-12月期)
10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52
1.0
0.0
(備考)1.信金中金総合研究所「全国中小企業景気動向調査」の結果より作成
( 2.グラフの期間は94年4−6月期から2007年7−9月期の54四半期
も小規模の層では、対応していないが37.7%
に、
「事業の将来性」が65.5%とかなり高く
(全体平均21.8%)と4割近くに達している。
なっており、多くの中小企業で経営の継続性
事業承継問題については、本稿の中心テー
について厳しい見方をしている。ちなみに、
マではないが、これも人材の問題として多く
2006年版の『中小企業白書』によれば、年
の中小企業で問題化しており、とりわけ小規
間廃業企業数29万社において、実に7万社と
模ほど深刻であることがわかる。その原因に
ほぼ4分の1は後継者難が原因とされる。
ついては、「後継者の力量」の54.3%ととも
研 究
37
でみると、2000年に1,590.9万人、これが2005
2.人材問題浮上の背景
年には1,397.4万人と193.5万人減(△12.2%)
(1)中長期的に懸念される若手人材難の深刻化
で、すでにかなり落ち込んできている。長期
出生数の減少傾向を受けて、わが国もいよ
的な推計値では2030年でなんと947.9万人、
いよ人口減少時代を迎えた。図表5は年齢別
2000年 比 で643.0万 人 減( △40.4 %)、2005
の人口構成を表しているが、15~64歳の生
年比では449.5万人減(△32.2%)と大幅な
産年齢人口はすでに95年に8,726万人でピー
マイナスの推計となっている。
もちろん、60歳以上の層の定年延長や再
クをむかえ、減少に転じている。
これから生産年齢人口となる0~14歳の人
雇用、女性、さらには外国人をより活用する
口は、54年に2,988万8千人を記録して以降
ことなどでそれなりにはカバーもできよう。
は、多少の増減はあっても図表5からも明ら
しかし、技術・ノウハウを伝承・発展させ、
かなとおり、減少トレンドにある。したがっ
生産性向上、活力ある組織の継続・維持のた
て、生産年齢人口、その中でも若手に関して
めには、やはりバランスの取れた人員構成は
は、ますます減少していくということになる。
欠かせない。したがって、多くの場合、若手
ちなみに、生産年齢人口は08年では8,264万3
の確保・育成は不可欠と言えよう。
千人と95年比2.9%減、2030年には6,957万6
目先の採用氷河期問題もさることながら、
少子高齢化による今後の人口減少と年齢構成
千人と同20.3%減の予測となっている。
新卒採用に関わる年齢層、つまり、15~24
の変化にともなう先行きの人手確保への危機
歳の層について国立社会保障・人口問題研究
感が、中小企業における“人”に関する問題
所のデータ(2000年は一般人口統計─人口統
を、経営上より強く認識させ、先行きへの不
計資料(2006年版)
、2005年、2030年は将来
安の背景になっている。
推計人口データベースの出生中位・死亡中位)
図表5 わが国の人口構造の推移
(千人)
140,000
120,000
65歳以上
(中位推定)
100,000
80,000
15∼64歳
(中位推定)
60,000
40,000
20,000
0
1950
0∼14歳
(中位推定)
1960
1970
1980
1990
2000
2010
2020
2030(年)
(備考)1.1950年から2000年総務省統計局「我が国の推計人口」、2001年以降は同局「人口推計
(2 年報」より信金中金総合研究所作成
( 2.1971年まで沖縄県を含まず。
38
信金中金月報 2008.2
(2)目先の市場も雇用の需給は逼迫
には10.1%と2ケタに達した。
バブル崩壊後の長引く不況は大きな構造変
就職希望者の側は、就職氷河期にはとに
化を伴うものであった。年功賃金によるコス
かく職に就くことを優先させ、本来の希望と
ト高な中高年従業員の増加や、中国をはじめ
やや距離があっても仕方なく就職した、とい
とするアジア地域からの追い上げなどへの対
う場合も相当あった。このため、雇用環境が
応として、企業は大幅なコストダウンにより
好転し始め、第二新卒や中途での採用が活発
厳しい局面を切り抜ける必要に迫られた。人
になるにつれ、元々の志望に合致した企業・
件費の見直しは避けられない状況となり、中
職種や、勤務地などへ転職するリベンジ・再
高年層のリストラ、新卒者の採用抑制、パー
チャレンジ転職も珍しくなくなった。就職感
ト・アルバイト・人材派遣などの非正規雇用
の多様化とともに、こうしたこともひとつの
の活用が多くの企業で行われた。ちょうど、
背景となって「七五三問題」が惹起された。
団塊ジュニア世代が就職する時期とも重な
もともと就職先が意に沿わなかったがとりあ
り、人材における需要の減少と供給の増加と
えず職を確保したということであり、
「自分
いう実にタイミングの悪い結果となった。こ
には合わない」
「やりたい仕事を見つけたい」
、
のため95年から04~05年ころまでは、買い
という思いが増大し、雇用者・被雇用者の間
手市場で「就職氷河期」などといわれ、フリ
で「雇用のミスマッチ」がより大きくなった
ーターやニートなども社会問題として大きく
のである。
図表6で仕事に就けない理由をみてみる。
取り上げられた。完全失業率もピークの02
年に5.4%、15~24歳の若年層でみると03年
年齢が合わないというのは大きな問題ではあ
図表6 年齢別にみた仕事に就けない理由(2006年平均)
(%)
60.0
54.5
15∼24歳
25∼34歳
35∼44歳
45∼54歳
55∼64歳
65歳以上
50.0
40.0
46.9
46.0
40.3
35.0
30.0
27.1
22.5
20.0
14.6
13.0
8.0
7.5
2.0 2.6
9.1
5.0
8.0
6.5 6.3 7.5
8.2 9.1
9.1
2.0
その他
条件にこだわ
らないが仕事
がない
求人の年齢と
自分の年齢と
が合わない
0.0
勤務時間・休
日などが希望
と合わない
0.0
賃金・給料が
希 望と合 わ
ない
0.0
9.1
8.0 7.8 8.3
7.5
4.1
4.1
14.3
12.5
希望する種
類・内容の仕
事がない
8.0
10.4
9.1
自分の技術や
技能が求人要
件に満たない
10.0
20.0 20.8
18.8
17.5
18.4
(備考)総務省:労働力調査「平成18年(2006年)平均」より信金中金総合研究所作成
研 究
39
るが、これは想像通りの結果とも言えよう。
への輸出拡大とこれを背景に設備投資が増
勤務時間や休日問題、あるいは賃金、自分の
加、大企業中心ではあるものの企業業績・景
技術や技能の問題は、相対的にかなり高いと
気は上昇トレンドが続き、人材に対する需要
いうわけではない。一方、希望する種類・内
が復活してきた。
容の仕事がないという割合が15歳から34歳
新卒者だけでなく、既就職組の転職にも拍
の層では40%を超えている。この状況から
車がかかっている。第二新卒などの転職組
すると、やはり自分の希望と仕事の種類・内
は、
仕事や企業についての経験があるだけに、
容とのミスマッチという部分は相当に大きな
より厳しい目で企業をみることにもなる。再
ものと言わざるを得ない。雇用者、被雇用者
チャレンジ組にとっては、今度こそはという
双方にとって、お互いに納得性・理解という
相当な思い入れがあるものと推察される。
ことが大きな課題であることが浮き彫りとな
っている。
こうした就職・採用市場の状況変化によ
り、有名大企業ですら就職内定者のつなぎ止
2005年3月卒業者までは、これまで述べて
めに苦慮することも珍しくなく、その対策の
きたように採用される側にとっては相当に厳
ために専門業者を活用するところもある。一
しい状況、まさに“就職氷河期”であった。
般的には人材採用力で大企業などとの間に大
ところが、2006年あたりからは一転して
きな格差のある中小企業では、かなり厳しい
売り手市場となり、
“採用氷河期”とも言わ
状況にあると考えられる。ちなみに、リクル
れている。前述のような企業のリストラが一
ート ワークス研究所調べによれば、大学卒
巡し、金融機関の不良債権問題も一段落した。
業者の求人倍率は08年3月卒業の場合2倍を
消費は依然として低調だが、米国や中国など
超えている(図表7)
。高校新卒者の求人倍率
図表7 大卒求人倍率の推移
(千人)
(倍)
1,000
3.00
2.86
900
800
700
600
1.68
1.08
2.14
2.00
民間企業就職希
望者数
(左目盛)
1.89
500
400
2.50
求人数
(左目盛)
求人倍率
(右目盛)
2.34
1.60
0.99
1.50
1.00
300
200
0.50
100
0
87.3
90.3
93.3
96.3
99.3
02.3
05.3
0.00
08.3(卒業年月)
(備考)リクルート ワークス研究所 http//www.works-i.com:「第24回大卒求人倍率調査」より
( 信金中金総合研究所作成
40
信金中金月報 2008.2
図表8 高校新卒者の求人・求職状況の推移(平成18年7月末現在)
(備考)厚生労働省「平成18年度高校・中学新卒者の求人・求職状況(平成18年7月末現在)について」
より転載
で も2004年( 平 成15年 ) の0.50倍 を 底 に 上
でに起業していたり、卒業直後に起業する、
昇 基 調 に 転 じ、2007年( 平 成19年 ) で1.14
あるいは一定の社会・企業経験を積んだ上で
倍となっている(図表8)
。
起業にチャレンジするという場合もある。こ
うした積極派については、キャリア・アップ
(3)懸念される大企業と中小企業の人材採用
についてのデザインを描いているであろう。
力格差の拡大
将来の独立に備えて技術やノウハウを習得し
大企業や規模は小さくとも有名な企業など
たい、業界の仕組みやファイナンス、マーケ
と一般的な中小企業においては、人材採用に
ティングを勉強したい、必要な資格を取得し
おける力の格差が存在することは想像に難く
たい、などの目的や具体化のステップ、スケ
ない。そもそも、一部の人材採用力があると
ジュールが明確な学生も増加している。この
思われる企業、つまり、大企業や必ずしも規
ため、安定志向タイプが多くを占めるが、自
模的には大きくなくとも有名な企業などにお
立タイプとの二極化が進み、中間層が減少し
いては、スタートの段階から応募者の認知度
ているとの見方もある。
が違う。
優秀な学生集めに必死になっている大企業
一方で、就職希望者のニーズは多様化する
や、急成長に伴って人材確保に注力する企業
とともに、とりわけ新卒者についてはこのと
などについては、就職希望者や学校などへの
ころ安定志向が強くなっている。就職氷河期
情報発信にも一段と力が入り、そのスタート
組の厳しい状況を見ていたためか“寄らば大
時期はますます早まっている。大学卒に関し
樹の陰”といった発想も増加している。安定
ては09年3月卒業予定者にすでに07年11月頃
志向と逆に自立タイプの学生は、卒業前にす
には内々定が出ているといった話もある。も
研 究
41
っとも、早期に内々定や内定を出しても、多
は、そのままでいればますます格差拡大に見
くの学生はよほどの満足感がない限りさらに
舞われかねない。
良いところを目指してさらなる就職活動を続
また、企業規模の大小の問題だけではな
けることになろう。したがって、企業側は内
く、たとえば同じ中小企業であっても人材
定を出した後も継続的な引止めの努力を強い
確保に関して相応の努力をし、工夫・ノウハ
られる状況となっている。
ウを積み上げている企業とそうでない企業で
こうした厳しい状況ともなれば、前述のと
おり、知名度があまりなく採用活動に多大な
は採用力の格差も広がっていく可能性がある
(図表9)
。
経営資源を投入することが難しい中小企業
図表9 人材採用をめぐる変化
【企業側】
【就職希望者側】
バブル崩壊
水ぶくれ体質からの脱却が不可避
就職氷河期
ニート・フリーター問題が深刻化
企業の体質改善の進展、中国などの
海外需要拡大。設備投資も増勢を辿
り、大企業を中心に業績は底入れ・
回復
・新人確保のため、採用活動が早期
化の一方、内定辞退が増加
・第二新卒、通年採用や中途採用
も活発化
・定年延長、退職者の再雇用、女性
のさらなる活用なども課題
採用氷河期
採用抑制などによる人手不足、人員
構成の歪などが問題化。中小企業で
は団塊世代の退職に伴う技術・ノウ
ハウなどの承継問題も深刻化
2004∼2005年
就職に対する価値観の多様化が進展
従来の業種・企業・職種などだけで
なく、時間・休日・地域などを重
視する、働き方の多様化が進む。
個人の生活も重視したワークライ
フバランスが重要なポイントとなっ
てきた。
中小企業と大企業・有名企業の間、さらには中小企業間でも人材採用力格差拡大の懸念
◎目先ではなく戦略的・計画的な人材確保・育成がますます重要な経営課題に
◎中小企業では存在を知らしめる情報発信がスタートラインに立つために必要
(備考)信金中金総合研究所作成
42
信金中金月報 2008.2
少子化でとりわけ若手が減少へ
2002年以来、景気は拡大傾向
人・モノ・カネのスリム化を推進
・中高年のリストラ
・新人採用の抑制
・年功序列の崩壊
・非正規雇用の拡大
・遊休資産等の売却
・有利子負債の圧縮
・事業の再編・撤退
新卒者の社会人基礎力低下が問題化
3.人材採用におけるポイント
(1)中小企業がスタートラインにつくための
のような企業であるかもある程度は知られてい
るが、中小企業の場合には就職希望者側が努
力をして探し、そこで見つけてくれなければス
情報発信の重要性
タートラインにも立てていない、ということに
ここへ来て、原油高などから中小企業を中
なる。企業側が認識できる情報を発信してい
心に収益について環境悪化懸念がでてきてお
なければ、就職希望者は手がかりが掴めない。
り、企業の採用ニーズに関してもやや沈静化
発信すべき企業情報とは、自らの魅力をア
するのではないかとの見方もある。確かに、
ピールできるような情報(企業の現状や将来
目先の動きとしてある程度そうしたことはあ
計画、採用された人のキャリアパスがどのよ
り得よう。しかし、団塊世代の定年退職など
うなになるのかなどについての具体的な情
で自然減が続くこともあり、企業業績がかな
報、経営理念や経営者の考え方・人柄など)
り悪化するようなことでもなければ基本的な
である。採用する側で十分に説明可能なよう
方向性が大きく変わることはあるまい。
にその整理ができていなければ、効果的PR
また、前述のとおり、中長期的には少子化
はできにくい。情報発信は最も基本的な事柄
による生産年齢人口の減少は避けられない情
ではあるが、多くの中小企業においてこうし
勢となっている。このため、目先の問題とし
た根本的な部分が必ずしも十分に認識されて
てはもちろんだが、
ゴーイングコンサーン
(会
いないと思われる。前述の大企業などとの採
社が将来にわたって事業を継続していくとい
用力の格差問題の大きな原因でもある。効果
う前提)たる企業の経営者としては、人材の
的な情報発信により、自社がどのような方向
確保について経営計画の遂行における最重要
に進み、それにより将来どのような姿を目指
課題のひとつとして真剣に取り組む必要がま
しているのかが示せる。そのためには自社の
すます高まっている。
特徴・魅力を再度確認してこれを整理し、そ
こうした変化の中で、採用する企業側とし
れを情報の受け手側の立場を考えて分かりや
ては企業の健全性・安全性、成長性、独自性
すく伝達することである。就職希望者は業界
などをいかにターゲットとなる採用希望者に
や企業について研究はしていようが、素人な
知らしめるか、といったことが大きなポイン
のである。
トになる。残念ながら、中小企業がそうした
PR活動を常日頃から活発に行っている例は
決して多くはない。
(2)採用フローに沿った留意すべきポイント
採用に際しては、内定までのステップ
(図表10
そもそも、中小企業の場合、就職希望者に
参照)を着実に実行していかなければならない。
対して企業情報が届いていないという根本的
近年の採用は内定までではまだ前半戦で、
な問題がある。大企業などはすでに名前やど
その後も前述のとおり企業側の大きな悩みと
研 究
43
図表10 人材採用におけるフローの一例
採用体制整備と活動準備
経営計画に基づく人材活用スケジュールの策定
(どのような人材をいつ何人採用するのか。その育成をどうするのかという基本計画)
担当者の確定と当該年度スケジュール策定
(経営者自らも積極的に関与する立場にあるが、担当者も決定する。当該年度のコンセプ
ト、スケジュール等を策定)
事前準備
計画に基づきパンフレットなどのPRツールを用意
(担当者を中心に応募段階で対象層の興味をそそるようなキャッチフレーズなどを基本計
画に沿う方向性の中で考える。同時にPR方法も決定する)
経営計画や採用コンセプトなどは社内へも十分に説明
(経営計画はもちろん、採用についての理解を経営層や直接の担当以外の職員にも理解さ
せ、社内全体の雰囲気作りや統一感を醸成)
選考対象者の確保作業
人材募集ツール・決定した方法により募集活動
(作成したツールを使い、決定したPR方法によりターゲットとして決定した応募対象者に
たしてPR活動を行う)
募集応募受付
エントリーシート(応募用紙)の受付
(大企業などでは応募数がかなり多くなるため、この段階で1次選考もある)
応募者への説明会開催準備と開催告知等連絡
会社説明会の
実施
説明会の開催運営
(経営者自らの明確なメッセージが伝わること、社員は担当・非担当を問わず好感を持た
れる対応を心がける。内容はもちろんだが、印象も重要)
説明会参加者へのフォロー
(説明会後の意思確認や必要書類の徴求など。さらに、必要であれば追加の説明
選考作業と内定者のフォロー
書類選考と試験実施の応募者への案内
(エントリーシートや説明会時等に提出の履歴書等による書類選考を行い、次のステップ
である筆記・面接試験を案内)
書類選考試験の
実施
試験(筆記・面接)の実施
(求める要素に合致する観点を判断基準とし、面接官などによるブレがないよう遂行する。
基準は数字や具体的な言葉で明確化したものとする。採用側が判断材料とするとともに、
とりわけ面接の機会は応募者に会社をより良く理解してもらい、この企業で働きたいと
いう動機付けをするもっとも重要な場である。)
採否決定と内定通知
(もう一度、採用基準に照らして問題がないかなどを必要に応じて客観的に再確認して採
否の決定を行い、応募者に通知)
フォローと
受け入れ
内定後のフォロー・受け入れ準備
(内定辞退の防止も兼ねて意識を持続させるための努力とともに、必要であれば入社前の
教育プランの実施などを行う。入社に必要な手続きを進める)
(備考)信金中金総合研究所作成
なっている内定者の辞退の問題にも取り組ま
うな点に留意して採用を進めることで、こ
ねばならない。後述のとおり、内定者に対し
れまではハローワークや簡単な求人広告の
てこの会社で働くということの“意識付け”
利用、学校訪問というようなよくあるパター
には、やはり適切な情報をタイミングよく伝
ンにとどまっている多くの中小企業において
え、コミュニケーションを取ることが大きな
は、採用力をアップすることは十分に可能で
意味をもつと考えられる。
あると考えられる。もちろん、ある程度の試
重要な経営資源である人材問題も含め、基
本的な経営戦略を整理したうえで、以下のよ
44
信金中金月報 2008.2
行錯誤は必要である。採用力のある企業は、
そもそも採用に対する意欲が相当に高く、努
力を積み重ねる中でノウハウを積み上げてい
事前準備の段階で、自社の商品・製品・サ
る。一朝一夕ではない、人を大事にする、従
ービスの良さ・特徴などで会社に好感を持っ
業員の満足度が高いなどその企業の文化のよ
てもらうような工夫をしたツールと伝達方法
うなものも重要であるからだ。
により積極的にアピールを行う。ただし、魅
力的な言葉などを揃えても、実際の内容が伴
①事前準備
わなければ結局は後で分かってしまう。ま
事前準備は、担当者を選定し、中長期の経
た、決して独り善がりにならず、顧客に何か
営計画に沿ってその年度の採用コンセプト、具
を買ってもらう場合と同じで、情報の受け手
体的採用目標人数、採用基準、採用スケジュ
からみてどうかというのが重要なポイントで
ール、応募者への情報伝達の方法などをかた
ある。ただしこれは、相手に合わせて採用す
める。採用パンフレット、採用ホームページの
る側が基本を曲げて会社の内容などを変える
構築など活動に使用するツールの用意とリク
という意味ではない。自分達の目指している
ルーターなども含め採用活動を担う社員の意
もの、アピールしたい点をどのように分かり
識の統一、採用基準の理解などを徹底的に行
やすく、活き活きと魅力的にみせるかという
う。これは、マニュアルを淡々と説明するよう
ことである。
なものでは訴えるものがあまりないからだ。内
伝達方法については、新聞や就職関係の雑
容を理解し自分の言葉で会社や仕事の魅力に
誌などを通じて求人広告を出すといった従来
ついて語れること、流暢でなくとも熱心さや魅
型を否定はしないが、今では多くの学生、と
力が伝わるといったことが重要だからである。
りわけ大学生などは採用情報に限らず、イン
ターネットによる情報収集・交換を主として
②応募者の募集
いる。一方、高校生や専門学校生、高等専門
アピールの本番は応募に続く会社説明会で
学校生などはまだまだ学校との関係強化が大
あり、その後の面接である。そこで、まずは
きくものを言うことになるので、日頃からの
いかに多数の応募者を集め、この会社説明会
情報収集とタイミングの良い接触が欠かせな
に参加してもらうかが重要となる。選考対象
い。専門学校や高専などの学生は、分野を絞
者、つまり母数は多ければ多いほど優秀な人
った勉強をしてきているだけに、志望分野の
材や自社の採用基準にあった人材が取れる可
範囲をかなり限定的にみている場合も多いと
能性が大きくなるからである。事前準備でそ
思われる。採用する側もそうした視点で自ら
ろえたツールを利用して、何らかの興味を持
の採用基準に合うターゲット、例えばこの学
ってもらい、できるだけ多数の応募者を会社
校といったことを明確にし、体験授業の場を
説明会という採用側にとって重要なPRの場
提供するなども含めて、採用にもつながるPR
に誘導していく。
活動を通常から行っておくことが重要となる。
研 究
45
ここでも活動を行うためには計画性がポイ
つまり、そこに来る応募者は、程度の差はあ
ントであることはいうまでもない。アピール
っても会社になんらかの興味は持っているは
すべき点を分かりやすく示すため、印象に残
ずである。もちろん、学校などで勧められ、
るようなキャッチフレーズを掲げるのも良い
よくわからないままに参加しているといった
だろう。あるいは、エコや環境など時流を捉
場合もあるかもしれないが、それでも採用企
えたような言葉を使い、自社の長所、強み、
業側にとってはアピールする絶好のチャンス
売り込みのポイントをアピールするという方
であることに変わりはない。
法もあろう。また、採用環境や採用したい
①の事前準備で述べたように、自社の売込
ターゲットによっては募集地域の範囲をあま
みを、普段、顧客向けに製品やサービスをセ
り狭めすぎないなど、柔軟な対応を考える必
ールスするように、熱意をもって行うことで
要があるだろう。利用する伝達ツールも、先
ある。中小企業であるから大企業にはかなわ
ほども述べたインターネットを使うとか、パ
ないといったような考え方では最初から敗退
ブリシティを上手く活用するといった方法な
したようなものである。企業規模や一般的な
ど、コストをあまり掛けずに効果が見込める
知名度などではない部分、自らの良いところ
様々な手段を利用するべきである。もちろ
をいかに伝えるかということに力点を置くべ
ん、こうした努力が直に大きな効果をもたら
きである。たとえば、地域ではこの分野でナ
すとは限らない。しかし、何度も述べている
ンバーワンである、この技術については大企
ように戦略性・計画性をもっていれば、ただ
業にも一目置かれている、働き方の自由度が
闇雲にお願い営業のようなことをするのとは
高い、従業員満足度が高い、小規模ならでは
違い、次の活動に結び付けやすい。次の活動
の一体感がある、などなにか他社と差別化で
とは、取り組んでいる採用活動の現ステップ
きるポイントと、それらが会社の発展性・将
における改善だけでなく、次のステップであ
来性、社員の働き甲斐などに繋がっていると
る会社説明など、さらには、反省点を生かし
いったことを訴える。
た次年度以降の採用活動である。会社説明会
応募者を自社の製品・サービスのファンと
など他のステップでもそうだが、採用活動全
して獲得するつもりで取り組むことが肝要で
般を通じてPDCAサイクルを回すことを忘れ
ある。また、こちらが選考しているといった
ずに行うことである。
高飛車な態度や、社会人としての対応を欠
いてしまっては相当に印象が悪くなるのは
③会社説明会
間違いない。たとえ、採用側の基準に合わ
会社説明に来る応募者は、すでに、その時
ない応募者であっても、きちんとした対応を
点では曖昧かもしれないが自分なりの基準で
しなくてはならない。就職活動をしている学
選んだところにやって来ていることになる。
生は、インターネットを通じて瞬時にしかも
46
信金中金月報 2008.2
多数と情報交換をしている。悪い話は一気に
ていることなどから、従前のような中小企業
広がってしまう。なにも特別なことをする必要
であるからとか地方であるから採用の力がな
があると言っているのではなく、応募者に迎
い、とは必ずしも言えない部分もある。興味
合することでもない。社会人としての常識あ
をもてば、熱心に取り組む有望な人材はいる
る対応をするということである。経営者自身が
はずである。むしろ、企業として評価しても
普段から広告塔としてふるまい、その他の役
らうべきポイントが伝わらないために採用が
職員についても人材確保の重要性を認識し、
できない、というスタートラインに立つ前に
直接採用活動にタッチしなくとも応募者の来
敗退という状況になっているところが多いと
社などに際して相応しくない態度などがない
推察される。
ようにすることである。これらは、普段からの
来客対応などをチェックして、できていれば
④書類選考、面接・筆記試験
問題はないはずである。経営者や採用担当者
大企業などでかなりの人数が応募してくる
が最も重要ではあるが、その他の社員が醸し
ような場合には、会社説明会の前にあらかじ
出す社内の雰囲気も採用側が考える以上に応
め書類選考で1次選抜を行うこともあるよう
募者にとっては敏感に感じられるものである。
だ。しかし、一般的に中小企業においては、
中小企業などでは事務所のとなりが工場
会社説明会実施後に書類選考を行い、この結
で、生産ラインの見学もしやすいというこ
果により面接・筆記試験の案内を応募者に通
ともあろう。そうであれば、見学により説明
知する、あるいは面接時に書類を活用するな
し、そこで働いている人たちが生き生きとし
どということになろう。
ている姿をみれば、魅力を感じてもらうこと
面接や筆記試験段階での最大のポイント
もできよう。経営者とともに、モチベーショ
は、自社基準の最低ラインに達していない人
ンの高い現場社員の説明などは大きなポイン
材をいかに見抜くかである。ミスマッチなど
トでもある。新卒者の採用の場合、自分の年
を避けるためにも人数の充足を最優先にすべ
齢に近い社員がそのような対応をすれば、な
きではない。言うまでもなくそのためには判
おさらである。普段からの雰囲気、経営姿勢
断基準の設定と選考担当者がそれを十分に理
が採用力に大きく影響すると考えるべきであ
解し、個人的な考え方や判断に流されること
る。企業規模や給与などは重要な要素ではあ
なく進めることである。最終的に判断を下す
るが、応募者は必ずしもそれだけで判断して
経営者も、自らがその観点から候補者を再確
いるわけではない。図表6の調査結果でも賃
認すべきであろう。
中小企業レベルであれば、
金より希望する職種や種類の仕事がないとい
選考対象者への経営者の直接の説明・確認も
う理由の方が仕事に就けない理由では多い。
やりやすいはずである。
若手を中心に仕事に関する価値観が多様化し
とりわけ大学生などは学校の就職支援担当
研 究
47
部門や民間の就職支援業者、様々な情報誌、
いものについて補完する。他にはない基準が
インターネットなどを通じてかなりの情報を
必要で市販テストでは対応できないのであれ
取得し、相当な準備をして望んでいる場合が
ば、自社で作成するか専門業者に発注するこ
多い。通常のレベルの想定質問では答えも万
とになろう。
全というのもまったく普通である。したがっ
面接・筆記試験の結果を合わせた総合判定
て、面接やテストの内容は、広く浅くという
で採否を決定し、結果を応募者に速やかに知
より目的に沿ってある一定範囲の問題を深堀
らせる。繰返しになるが、会社説明会や面接
りして聞いていくような形が望ましいという
等における対応は特にそうだが、採用活動全
ことになる。そうすることで、対応力や性格
般を通じて応募者の立場も考え、きちんとし
面などでの本当の姿があぶりだされやすくな
た対応をすることは不可欠である。応募者に
る。単に正解を期待するのではなく、対応の
不快感をいだかせ、企業に対しての悪いイメ
仕方を見たり、社会人基礎力が備わっている
ージを植えつけるようなことは極力避けるべ
か、ということを確認し、教育により期待さ
きであるからだ。とりわけ、信用金庫の顧客
れる人材に育つ素地があるかを見る。
企業のように地元に根付いているような場合
この面接段階は、採用側にとっては最終的
にはなおさらである。
な判断を下すための重要な場面であると同時
に、入社したいという応募者の意識を高める
⑤内定者フォロー・受け入れ(入社)準備
ための最大の機会でもあると理解すべきであ
内定者の辞退問題が、人気のある有名大企
ろう。逆に、応募者側からすれば、会社説明
業ですら問題となり、これを回避するために
会やOB訪問とともに、その会社の雰囲気な
採用担当者が内定者に連絡を頻繁にとりなが
どをより理解する機会とも言える。
らきめ細かなケアをしたり、専門業者に依頼
一方、筆記試験に関しては、おそらく一般
をしてフォローをしたりと、内定後もかなり
的には市販のものを利用するケースが多いの
の労力をかけるようになっている。その背景
ではないかと思われる。市販テストの利用で
には、新卒採用のスタート時期が早期化して
よいのだが、何をみるためにやるのか、どの
内々定・内定などもかなり早い時期に出され
部分を重視するのかなど判断基準をきちんと
るようになったため、さらに良い先にチャレ
しておくことがポイントとなろう。たとえ
ンジしようとする、そうした志向を実現しや
ば、なにか特定の能力を見たいのか、性格を
すい採用市場の状況、つまり早期スタートだ
みたいのかなどである。職種によっては特に
けでなく採用通年化のような期間の長期化が
それに相応しい適性を見るためのものなどが
起きている、などがある。
あろう。文章理解力、計算力、ストレス耐性、
英語力、作業持続力など面接では確認しづら
48
信金中金月報 2008.2
内定者からすると、これで良かったのかと
いう不安、いわゆる内定ブルーなどもあり納
得性を高めたいということもあるだろう。単
年齢構成の変化といった構造的な問題や、グ
に業種や企業というだけでなく、職種や働く
ローバル化に伴う産業構造や地域経済におけ
形態などでニーズが多様化していることも影
る変化など、外部環境の大きな動きは大企業
響している。
から中小企業まで含め経営者に否応なく対応
このように採用側にとっては厳しい環境に
あるため、採用段階から引き続いて対象者を
を迫ってくる。
確かに、中小企業において人手の確保に苦
自らの方向に向けさせて仲間意識を醸成し、
慮するところは多いが、一方で特段の苦労は
不安を取り除くために気軽に相談できるよう
ないという中小企業が存在するのも事実であ
な努力をするといったことが必要となろう。
る。そのような企業に共通しているのは、経
インターネットを使って、会社に関係のある
営者がパワー・自信に満ち溢れ、企業の先行
話題を適宜提供したり、様々な質問に答えた
きについての方向性・具体的な経営計画がき
りとコミュニケーションを密にしているとこ
ちんとしており、人材に求めるものも明確で
ろもある。月に1~2回程度、たとえば最近
ある点だ。そして自らの言葉でそれを説明
のニュースで興味をもったものについて簡単
し、育成面も含めて厳しさの中にも人を大事
な理由とともに報告させる、といった負担感
にするという考え方が滲み出ている。このた
のない課題を与えて意識を向けさせるという
め、社内の雰囲気が明るく、経営状況なども
こともある。いずれにしても内定を出したの
含めてガラス張りで社員のモチベーションが
だからそれで採用活動は終了ではない。入社
高い。単に退職などで人の不足が生じたので
後に表面化するミスマッチを防ぎ、若者の早
求人広告を出して確保しよう、などといった
期退職をなくしていくためにも、内定者には
その場の対応ではない。こうした企業は業績
会社についての理解をさらに深められるよう
が伸びている場合も多く、いかにも働いてみ
な配慮がいる。
たくなる魅力があり、採用希望者が集まるの
採用活動は、生産設備などと同じで、ビジ
もなるほどと思える。必ずしも企業規模や一
ネスに必要な資源を調達することなのであ
般的な知名度だけで人材採用力が決まってい
る。したがって、そうした意味では、準備段
るわけではない。
階はもちろん入社後の人材育成まで含めて計
画的かつ全社的に継続すべき経営課題である。
おわりに
顧客ニーズを満たし厳しい競争に勝ち残っ
ていくためには、企業を動かす人に負うとこ
ろが極めて大きいことは言うまでもない。単
に足りなくなったら補うのではなく、戦略的
本稿でも示したとおり、中小企業において
に早めの対応を考え、役職員全体で意識を持
も経営問題として人の確保と活用は急速にク
ち、組織を上げて採用から育成に取り組むこ
ローズアップされている。今後の人口減少・
とが肝要である。
研 究
49
もちろん、最初からそうそう計画通りには
こうした活動が、人の問題だけでなく経営全
運ぶまいが、本気の努力で経験・ノウハウを
体の見直しなど企業としての活力向上、業績
積み重ね、採用力を着実に高めねばならない。
の伸びにも繋がっていこう。
〈参考文献〉
厚生労働省「平成18年転職者実態調査結果」(2007年8月)
国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)
」
(2006年12月)
佐藤博樹・玄田有史編『成長と人材』勁草書房(2005年5月)
中小企業庁編『中小企業白書』(2007年版)、ぎょうせい(2007年6月)
50
信金中金月報 2008.2
調 査 第130回全国中小企業景気動向調査
(2007年10~12月期実績・2008年1~3月期見通し)
10~12月期業況は4四半期連続の悪化
【特別調査-平成20年の経営見通し】
信金中央金庫
総合研究所
調査の概要
1.調査時点:2007年12月3日~7日
2.調査方法:全国各地の信用金庫営業店の調査員による、共通の調査表に基づく「聴取り」調査
3.標本数:15,918企業(有効回答数14,139企業・回答率88.8%)
4.分析方法:各質問項目について、
「増加」
(良い)-「減少」
(悪い)の構成比の差=判断D.I.に基づく分析
(概
況)
1.07年10~12月期(今期)の業況判断D.I.は△16.4、7~9月期(前期)比0.6ポイントの小
幅悪化と、低下傾向が4四半期続く結果となった。10~12月期が悪化するのは97年10~12
月期以来10年ぶりである。収益面では、前年同期比売上額および収益の判断D.I.がそれぞ
れ△12.2、△21.4と、ともに前期比マイナス幅拡大となった。業種別の業況判断D.I.は、
製造業、卸売業、サービス業が改善し、小売業、建設業、不動産業が悪化した。
2.08年1~3月期(来期)の予想業況判断D.I.は△22.1と、今期実績比5.7ポイントの悪化見
通しとなっている。この予想値が来期にそのまま実績値となった場合には、05年1~3月
期以来3年ぶりに△20台を示すことになる。
南九州
国
九州北部
中
畿
四 国
近
不 動 産 業
海
建 設 業
東
サービス業
北 陸
小 売 業
首都圏
卸 売 業
東
製 造 業
関
総 合
地 域
業種名
北
時 期 2007年 2007年 2008年
1∼3月
7∼9月 10∼12月(見通し)
東
業種名
地域別天気図
(今期分)
北海道
業種別天気図
総 合
製 造 業
卸 売 業
小 売 業
サービス業
建 設 業
不 動 産 業
(この天気図は、
景気指標を総合的に判断して作成したものです。)
好調←
→低調
調 査
51
1.全業種総合
○業況は4四半期連続の悪化
今期の業況判断D.I.は△16.4、前期比0.6ポ
イントのマイナス幅拡大で4四半期連続の悪
化となった。10~12月期が悪化するのは97
年10~12月期以来10年ぶりである。
収益面の指標では、前年同期比売上額判断
D.I.が△12.2、同収益判断D.I.が△21.4と、そ
れぞれ前期比で2.3ポイント、4.7ポイントの
悪化となった。前期比売上額判断D.I.は△1.8
で、前期比6.0ポイント改善し、同収益判断
D.I.は△12.2で、前期比2.7ポイントの改善と
なった(図表1)
。
販売価格判断D.I.は1.5と、前期比2.4ポイ
ント上昇し、92年4~6月期以来15年ぶりの
プラスとなった。
さらに、仕入価格判断D.I.も、前期の31.2
から今期40.0と8.8ポイント上昇した(図表2)
。
雇用面では人手過不足判断D.I.が△8.9と、
前期(△7.5)に比べ人手不足感が強まった。
資金繰り判断D.I.は△15.7と、前期比1.8ポイン
トマイナス幅が拡大し、2四半期連続で悪化した。
また、借入難易度判断D.I.は△3.6と、前期
の△2.2に比べ悪化した。
一方、設備投資実施企業割合は19.4%と、前
期比0.5ポイント低下した(図表3)
。
図表1 主要判断D.I.の推移
(D.I.)
0
△10
前年同期比
売上額判断D.I.
△12.2
△16.4
△20
△21.4
前年同期比収益判断D.I.
△30
業況判断D.I.
△40
2002.12
03.12
04.12
05. 12
(時期)
07.12
06.12
図表2 販売価格・仕入価格判断D.I.の推移
(D.I.)
50
40
30
40.0
仕入価格判断D.I.
20
10
1.5
0
△10
販売価格判断D.I.
△20
△30
2002.12
03.12
04.12
05. 12
06.12
(時期)
07.12
図表3 設備投資実施企業割合、資金繰り
判断D.I.等の推移
(D.I.)
5
0
設備投資実施企業割合(右目盛)
△ 3.6
△ 5
△10
△15
△20
(%)
25
19.4
△ 8.9
借入難易度判断
D.I.
(左目盛)
△ 15.7
人手過不足判断D.I.
(右目盛)
△25
△30
△35
2002.12
04.12
05.12
15
10
5
資金繰り判断D.I.(左目盛)
03.12
20
06.12
0
07.12
(時期)
地域別には、北海道、首都圏、北陸、近畿で
は悪化したが、それ以外の7地域では改善した。
業種別の業況判断D.I.は、製造業が前期比
2.1ポイント改善し、卸売業、サービス業も
小幅改善した。一方、建設業は前期比6.7ポ
イント悪化、不動産業は4.5ポイント悪化し、
小売業も小幅悪化した。
52
信金中金月報 2008.2
○予想値は3年ぶりマイナス20台を示す
来期の予想業況判断D.I.は、今期実績に比べ
5.7ポイント悪化見通しの△22.1となっている。
この予想値が来期の08年1~3月期にそのま
ま実績値となった場合、業況判断D.I.は、05
年1~3月期以来3年ぶりにマイナス20台を示す
ことになる。ただし、今回の悪化幅は前年同
図表4 製造業 主要判断D.I.の推移
(D.I.)
10
前年同期比売上額
0
期(6.3ポイントの悪化見通し)よりは小さい。
△10
一方、予想前期比売上額判断D.I.は△16.4、
△20
前年同期比収益
同収益判断D.I.は△22.1を示し、ともに悪化
△30
する見通しとなっている。
△40
なお、業種別の予想業況判断D.I.は、6業種
すべてで今期に比べ悪化が見込まれている。
また地域別の予想業況判断D.I.では、九州
北部で改善が見込まれているものの、その他
の10地域では悪化見通しとなっている。
2.製造業
○業況改善は小幅にとどまる
△13.8
△16.4
2002.12
△16.4
業況
03.12
04.12
05.12
06.12
(時期)
07.12
人手過不足判断D.I.は△9.2と、前期(△8.1)
に比べ人手不足感が高まった。
残業時間判断D.I.は1.4と、前期比5.2ポイント
上昇(残業時間が増加したとする企業が増加)
したものの、1年前(5.6)
、2年前(5.3)の同時
期に比べると低水準にとどまっている。
原材料(仕入)価格判断D.I.は50.4と、前
今期の業況判断D.I.は△6.4と、前期に比べ
期 に 比 べ7.5ポ イ ン ト 上 昇 し、50を 超 え る
2.1ポイント改善した。前回調査時点において
水準に達しているのに対し、販売価格判断
は、今期の予想業況判断D.I.はプラス転換
(0.5)
D.I.は3.9と、前期比3.1ポイントの上昇にと
を見込んでいたが、今期の改善幅は小幅にと
どまっており、原材料価格の上昇を販売価格
どまり、プラス水準にはとどかなかった。
に転嫁することが難しい状況がうかがえる。
前年同期比売上額判断D.I.は△3.8と、前期
比1.6ポイント低下した。同収益判断D.I.は
なお、資金繰り判断D.I.は△9.9と、横ばい
で推移した。
前期(△10.3)に比べやや大きく低下し、△
16.4となった(図表4)
。
前期比売上額判断D.I.は6.4と、前期比9.6
ポイントの改善となった。同収益判断D.I.は
△6.5と、前期比4.7ポイント改善した。
○22業種中12業種で改善
業種別業況判断D.I.は、製造業22業種中12業
種で改善し、10業種で水準が低下した(図表5)
。
素材型業種は、3業種で改善、4業種で水準
低下となった。繊維品、ゴム、紙 ・ パルプが
○原材料価格判断D.I.は50超の水準に
設備投資実施企業割合は23.3%と、前期に
比べ1.0ポイント低下し、2四半期連続の低下
となった。
改善した一方、化学、皮製品、鉄鋼、非鉄の
水準が低下した。なかでも鉄鋼は10ポイン
ト超の低下と、やや大きく低下した。
部品加工型業種は、金属プレスが改善し、
調 査
53
プラスチック、金属製品が低下した。
比12.3ポイントの大幅な改善となった。内需
建設関連型業種では、建設金属が前期比
10ポイント超の低下となった。その他に木
主力型の業況判断D.I.は△7.2と、前期に比べ
1.5ポイント改善した。
従業員規模別の業況判断D.I.は、すべての
材が低下し、窯業、家具が改善した。
機械器具型業種では、精密機械が低下した
階層で改善した。もっとも改善幅が大きいの
ものの、一般機械、電気機械、輸送用機器は
は従業員50~99人の階層で、前期比6.2ポイ
改善した。
ントの改善となっている。
消費財型業種では、玩具 ・ スポーツがわず
かに低下したものの、衣服、食料品、出版・
○8地域で改善、2地域で低下
地域別の業況判断D.I.は、8地域で改善、1
印刷は改善した。
地域で横ばい、2地域で低下した。
○輸出主力型が大幅改善
もっとも大きく改善したのは東海で、前期
販売先形態別の業況判断D.I.は、問屋・商
比9.1ポイント改善して△1.0となり、プラス
社型、小売業者型、最終需要者型が改善し、
転換も視野に入る水準となった。一方、首都
大メーカー型、中小メーカー型が低下した。
圏、近畿の2地域では低下となったが、その
輸出主力型の業況判断D.I.は20.6と、前期
図表5 製造業 業種別業況判断D.I.の推移
△50 △40 △30 △20 △10 0
10
(D.I.)
20 30
繊維
化学
皮製品
素材型 ゴム
鉄鋼
低下幅はそれぞれ前期比1.2、1.8ポイントと、
小幅にとどまっている。
業況判断D.I.の水準をみると、すべての地
域でマイナスとなっているが、その水準は、
もっとも低い四国でも△13.4にとどまってい
る(図表6)
。
非鉄金属
紙・パルプ
プラスチック
部 品
金属製品
加工型
金属プレス・メッキ
窯業・土石
図表6 製造業 地域別業況判断D.I.の推移
△30
東 北
家具・装備品
首都圏
一般機械
北 陸
精密機械
衣服その他
消 費 食料品
財 型 玩具・スポーツ
出版・印刷
全 業 種 平 均
●前期(2007年7∼9月期)⃝今期(2007年10∼12月期)
54
信金中金月報 2008.2
△10
0
(D.I.)
10
北海道
建 設 建設建築用金属
関連型 木材・木製品
機 械 電気機械
器具型 輸送用機器
△20
関 東
東 海
近 畿
中 国
四 国
九州北部
南九州
全地域平均
●前期(2007年7∼9月期)⃝今期(2007年10∼12月期)
○前年同期を下回る水準に
○15業種中8業種で改善
来期の予想業況判断D.I.は△13.9と、今期
業種別の業況判断D.I.は、15業種中、繊維
実績比7.5ポイントの悪化が予想されている。
品、建築材料など7業種で水準低下したが、農
これは、前年同期の実績値(△6.4)を下回
・ 畜 ・ 水産物、鉱物金属 ・ 燃料など8業種で改
る水準である。
善した。地域別では、11地域中、北海道、関
業種別には、22業種中、皮製品、輸送用
機器、玩具・スポーツの3業種で改善を見込ん
東、南九州など8地域で改善、首都圏、東海、
近畿の3地域では悪化となった。
でいる一方、2業種が横ばい、17業種が低下
○マイナス幅拡大の見通し
を見込んでいる。
地域別には、九州北部で改善を見込んでい
来期の予想業況判断D.I.は△27.7と、今期
るものの、他の10地域では低下を見込んで
実績比10.1ポイントのマイナス幅拡大を見込
おり、なかでも北海道は今期実績比17.0ポイ
んでいる。業種別には、繊維品を除く全業種
ントの大幅な低下を見込んでいる。
で悪化の見通しとなっている。また、地域別
では、九州北部を除く全地域で悪化の見通し
3.卸売業
となっている。
○業況は小幅な改善
今期の業況判断D.I.は△17.6と、前期比0.7
ポイントの小幅改善となった。ちなみに、今
回の改善幅は前年同期(7.7)を大きく下回
っている。
4.小売業
○業況は小幅な悪化
今期の業況判断D.I.は△29.6と、前期比1.3
ポイントの小幅悪化で、2四半期連続マイナ
一方、前年同期比売上額判断D.I.は△13.3、
ス幅拡大となった。また、前年同期比売上額
同収益判断D.I.は△20.3と、それぞれ前期比
判 断D.I.は △21.6、 同 収 益 判 断D.I.は △29.7
2.8ポイント、同4.4ポイントの悪化となった
となり、それぞれ前期比1.3ポイントの改善、
(図表7)。
同2.3ポイントの悪化となった(図表8)
。
図表7 卸売業 主要判断D.I.の推移
図表8 小売業 主要判断D.I.の推移
(D.I.)
0
(D.I.)
前年同期比売上額
△20
△10
△13.3
△17.6
△20.3
△20
△50
2002.12
△29.6
△29.7
△30
△40
業況
業況
△40
△21.6
前年同期比収益
前年同期比収益
△30
前年同期比売上額
△50
03.12
04.12
05.12
06.12
(時期)
07.12
2002.12
03.12
04.12
05.12
06.12
調 査
(時期)
07.12
55
○13業種中5業種で改善
業種別の業況判断D.I.は、家具 ・ 建具 ・ 什
器、書籍 ・ 文房具など7業種でマイナス幅が
拡大したが、医薬 ・ 化粧品、スポーツ ・ 玩具
など5業種で改善した。地域別では、11地域
図表9 サービス業 主要判断D.I.の推移
(D.I.)
△10
前年同期比売上額
△14.9
△16.8
△20
△21.9
前年同期比収益
△30
中、北海道、九州北部、南九州など7地域で
悪化となったものの、東海、中国など4地域
で改善となった。
業況
△40
2002.12
03.12
04.12
05.12
06.12
(時期)
07.12
洗濯 ・ 理容 ・ 浴場など4業種で悪化した。地
○13業種中改善見通しは4業種
来期の予想業況判断D.I.は△32.6と、今期
実績比3.0ポイントのマイナス幅拡大を見込
域別には、11地域中、東北、東海、南九州
など6地域で改善する一方、北海道、北陸な
ど5地域で悪化した。
んでいる。
業種別には、13業種中、自動車 ・ 自転車
○マイナス幅拡大を予想
など4業種で改善、飲食店、家電など7業種
来 期 の 予 想 業 況 判 断D.I.は △21.1と、 今
で悪化の見通しとなっている。また、地域別
期実績比4.3ポイントのマイナス幅拡大を見
には、首都圏、北陸、南九州で改善、その他
込んでいる。業種別では、娯楽業、情報 ・
の地域では悪化の見通しとなっている。
調査 ・ 広告など4業種で改善が予想されてい
5.サービス業
○業況はほぼ横ばい
今期の業況判断D.I.は△16.8と、前期比0.2
ポイント改善し、ほぼ横ばいとなった。ただ
し、前年同期と比べると4.3ポイントの水準
る。また、地域別では、首都圏、北陸で改
善、その他9地域では悪化の見通しとなって
いる。
6.建設業
○業況、売上、収益ともD.I.は大幅低下
低下となっている。また、前年同期比売上額
今期の業況判断D.I.は、△25.8と、前期比
判 断D.I.は △14.9、 同 収 益 判 断D.I.は △21.9
6.7ポイント悪化した。10~12月期の前期比悪
と、それぞれ前期比1.7ポイント、同3.2ポイ
化は97年以来10年ぶり。前年同期比売上額判
ントの悪化となった(図表9)
。
断D.I.は前期比7.0ポイント悪化の△20.3、同
収 益 判断D.I.は前期比5.1ポイント悪化の△
○8業種中改善は4業種
業種別の業況判断D.I.は、8業種中、物品
賃貸、自動車整備など4業種で改善、ホテル、
56
信金中金月報 2008.2
28.6となった。3指標総じて約6年ぶりの大き
な下げ幅となった(図表10)
。
図表10 建設業 主要判断D.I.の推移
図表11 不動産業 主要判断D.I.の推移
(D.I.)
0
(D.I.)
10
前年同期比売上額
前年同期比売上額
0
△10
△20
△20.3
前年同期比収益
△30
△20
業況
△30
△40
2002.12
△25.8
△28.6
△ 6.3
△ 9.4
△11.5
前年同期比収益
△10
業況
03.12
04.12
05.12
06.12
(時期)
07.12
○8地域で業況判断D.I.は悪化
△40
2002.12
03.12
04.12
05.12
06.12
(時期)
07.12
マイナス水準に転じた。同収益判断D.I.も同
業況判断D.I.を地域別でみると、東北と中
7.6ポ イ ン ト 悪 化 の △11.5と な り、 と も に
国が2四半期連続で改善し、九州北部で横ば
2001年7~9月期以来の大きな下げ幅となっ
いとなった。しかし、8地域では悪化し、近
た(図表11)
。
畿と四国は、2四半期連続となった。
請負先別では、大企業が前期の悪化から改
○改善は北海道、北陸、四国の3地域
善に転じたものの、逆に、官公庁と中小企業は
業況判断D.I.を業種別でみると、建売は前
悪化に転じ、個人は5四半期連続で悪化した。
期比3.9ポイント低下の△8.6、仲介も同4.6ポ
イント低下の△11.3となるなど、全ての業種
○5地域で改善する見込み
で悪化した。
来期の予想業況判断D.I.は△29.9と、今期
地域別では、四国が前期比20.0ポイントの
実績比4.1ポイントの悪化を見込んでいる。請
大幅改善となったほか、北海道と北陸で改善
負先別では、官公庁、大企業、中小企業、個
した。しかし、8地域では悪化し、特に東海
人とも悪化の見通し。地域別では、北海道、
は同10ポイント超低下した。
東北、首都圏、北陸、近畿、中国の6地域で
悪化を見込むものの、 関東、東海、四国、九
州北部と南九州の5地域で改善を見込む。
7.不動産業
○業況判断D.I.は6四半期連続の低下
○南九州など4地域で改善の見込み
来期の予想業況判断D.I.は△10.3と、今期
実績比0.9ポイントの小幅低下を見込んでい
る。業種別では、貸家が改善する一方、貸事
務所、建売、仲介は悪化する見通しである。
今期の業況判断D.I.は前期比4.5ポイント
地域別では、南九州、東海、九州北部、首都
悪化の△9.4となり、6四半期連続の低下とな
圏はともに改善を見込むものの、北陸、北海
った。前年同期比売上額判断D.I.は前期比
道など7地域では悪化を見込んでいる。
6.5ポイント悪化の△6.3と、9四半期ぶりに
調 査
57
特別調査
平成20年の経営見通し
○中小企業経営者の景気見通しは急速に後退
平成20年のわが国の景気見通しについて
景気見通しは、14年見通しの△91.6を底
として18年見通しまで改善を続けていたが、
は、「良い」(「非常に良い」 ・ 「良い」 ・ 「やや良
今回の結果で2年連続の低下となった。低下
い」の合計)と回答する割合が7.0%、「悪い」
幅も同様の調査を行っている3年末(4年見
(「やや悪い」 ・ 「悪い」 ・ 「非常に悪い」の合計)
通し)以降で最大となり、中小企業経営者の
が64.3%となった。この結果、「良い(A)
-悪い
景気見通しが急速に後退していることを示し
(B)
」 は△57.3と、1年前の調査(△21.7)に比
ている(図表12)
。
べて35.6ポイントの大幅な低下となった。
図表12 わが国の景気見通し
全体
地域別
従業員規模別
業種別
58
20年見通し
19年見通し
18年見通し
17年見通し
16年見通し
15年見通し
北 海 道
東
北
関
東
首 都 圏
北
陸
東
海
近
畿
中
国
四
国
九 州 北 部
南 九 州
1~ 4人
5~ 9人
10~ 19人
20~ 29人
30~ 39人
40~ 49人
50~ 99人
100~199人
200~300人
製 造 業
卸 売 業
小 売 業
サービス業
建 設 業
不 動 産 業
良い
(A)
7.0
18.3
28.4
11.7
9.5
2.1
4.7
6.7
7.5
6.7
5.4
7.9
8.5
8.3
5.7
8.4
6.9
5.4
6.5
7.4
6.7
10.2
9.1
10.6
10.5
13.4
8.3
6.3
5.7
7.2
5.8
8.1
(単位:%)
普通
非常に良い
0.1
0.2
0.5
0.2
0.3
0.2
0.3
0.1
0.2
0.2
0.0
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.0
0.1
0.1
0.3
0.0
0.1
0.3
0.0
0.0
0.0
0.1
0.1
0.2
0.5
0.1
0.0
信金中金月報 2008.2
良い
1.0
2.2
3.7
0.9
0.5
0.2
0.5
1.0
1.0
0.9
1.0
1.1
1.1
0.8
0.3
2.0
0.6
0.5
1.0
1.0
1.4
1.4
1.4
1.5
1.9
1.5
1.3
0.8
0.7
0.9
0.9
0.9
やや良い
5.9
15.8
24.2
10.5
8.6
1.7
3.9
5.6
6.3
5.5
4.4
6.8
7.3
7.4
5.1
6.0
6.2
4.8
5.4
6.2
5.3
8.6
7.4
9.1
8.6
11.9
7.0
5.4
4.9
5.9
4.8
7.2
28.6
41.7
38.2
30.3
22.1
8.1
21.1
22.7
22.3
32.6
31.7
30.4
27.3
27.7
24.2
34.2
26.5
28.1
28.6
28.7
26.8
26.2
29.9
30.4
36.0
41.8
30.7
27.5
27.1
29.0
24.4
32.7
悪い
(B)
64.3
40.0
33.3
58.1
68.5
89.8
74.2
70.6
70.2
60.8
62.9
61.7
64.2
64.0
70.2
57.4
66.7
66.5
64.9
63.9
66.5
63.6
61.0
59.0
53.5
44.8
61.0
66.2
67.2
63.8
69.9
59.2
やや悪い
45.0
29.0
23.1
38.6
39.0
34.5
44.4
43.2
47.4
43.3
43.9
47.0
48.0
44.8
46.0
41.7
46.1
43.7
43.8
46.1
47.3
47.8
48.7
45.6
44.9
38.8
44.3
47.6
45.1
43.6
46.4
43.1
悪い
16.8
9.6
8.9
16.9
24.7
42.5
25.5
24.4
20.4
15.3
17.9
12.4
14.1
16.0
19.5
14.4
17.6
19.7
18.4
15.3
16.5
14.6
11.4
12.2
8.6
6.0
14.7
16.3
18.9
17.7
20.3
14.5
(A)
-
(B)
非常に悪い
2.4
△57.3
1.4
△21.7
1.3
△ 4.9
2.5
△46.4
4.8
△59.0
12.8
△87.6
4.4
△69.6
3.0
△63.9
2.3
△62.7
2.2
△54.1
1.1
△57.5
2.2
△53.8
2.1
△55.7
3.1
△55.6
4.6
△64.5
1.3
△49.0
3.0
△59.8
3.1
△61.1
2.7
△58.4
2.5
△56.4
2.7
△59.8
1.3
△53.5
0.9
△51.9
1.2
△48.3
0.0
△43.0
0.0
△31.3
1.9
△52.7
2.3
△59.9
3.2
△61.4
2.5
△56.5
3.2
△64.1
1.6
△51.2
○小規模企業ほど自社の業況に慎重な見通し
平成20年の自社の業況見通しを 「良い(A)
況の見通しに違いがみられる。
従業員規模別にみると、1年前の調査でプ
-悪い(B)」 でみると、1年前の調査に比べて
ラスだった100人以上の規模も含めて、すべ
16.6ポイント低下して△39.2となった。景気見
ての規模でマイナスとなった。さらに、小規
通しの急速な後退に伴い、自社の業況につい
模企業ほど自社の業況に慎重な見通しを持っ
てもより慎重な見方が広がっている。
ており、従業員9人以下では半数以上の企業
地域別にみると、九州北部(△27.5)
、中国
(△32.0)
、近畿(△33.8)
、東海(△34.1)な
が自社の業況見通しを「悪い」と回答している
(図表13)
。
どは比較的マイナス幅が小さい。一方で、北
海道(△58.1)
、東北(△48.5)
、北陸(△45.8)
などはマイナス幅が大きく、地域によって業
○売上額見通し3年ぶりのマイナス
平成20年の自社の売上額見通し(伸び率)
図表13 自社の業況見通し
全体
地域別
従業員規模別
業種別
20年見通し
19年見通し
18年見通し
17年見通し
16年見通し
15年見通し
北 海 道
東
北
関
東
首 都 圏
北
陸
東
海
近
畿
中
国
四
国
九 州 北 部
南 九 州
1~ 4人
5~ 9人
10~ 19人
20~ 29人
30~ 39人
40~ 49人
50~ 99人
100~199人
200~300人
製 造 業
卸 売 業
小 売 業
サービス業
建 設 業
不 動 産 業
良い
(A)
10.7
16.3
19.1
13.5
11.6
6.6
5.7
10.3
11.8
9.0
8.1
14.0
14.2
13.4
11.3
11.7
10.0
5.9
10.0
12.7
11.1
14.4
17.5
17.8
21.0
25.4
14.7
9.9
6.5
9.3
7.2
13.4
(単位:%)
普通
非常に良い
0.2
0.3
0.3
0.3
0.2
0.3
0.2
0.0
0.2
0.1
0.0
0.3
0.2
0.0
0.8
0.2
0.0
0.1
0.2
0.2
0.1
0.1
0.1
0.2
0.6
0.0
0.2
0.4
0.1
0.1
0.1
0.3
良い
1.6
2.0
2.6
1.6
1.4
0.8
0.5
1.5
2.3
1.3
1.4
2.1
2.1
1.0
1.3
3.3
0.9
0.7
1.4
1.7
2.1
2.5
2.1
3.4
3.2
7.5
2.3
1.6
1.0
1.2
1.2
1.2
やや良い
9.0
14.0
16.2
11.6
10.0
5.5
5.0
8.8
9.3
7.6
6.7
11.5
11.8
12.4
9.2
8.2
9.0
5.1
8.5
10.8
8.9
11.7
15.3
14.1
17.2
17.9
12.3
7.9
5.4
8.0
5.9
11.9
39.3
44.8
45.5
38.3
32.9
23.1
30.4
31.0
32.7
44.1
38.0
38.0
37.9
41.2
34.0
49.2
42.7
37.6
39.4
40.3
40.8
36.5
40.6
41.4
46.5
40.3
40.6
39.4
35.1
41.0
35.1
48.8
悪い
(B)
50.0
38.9
35.4
48.2
55.4
70.3
63.9
58.8
55.4
46.8
53.9
48.0
47.9
45.4
54.7
39.2
47.4
56.5
50.6
47.0
48.1
49.1
41.8
40.8
32.5
34.3
44.7
50.7
58.4
49.7
57.7
37.8
やや悪い
36.5
28.8
25.8
34.3
37.2
41.5
43.4
39.5
39.8
34.5
40.1
35.5
37.0
32.5
38.1
31.5
33.5
39.3
36.1
34.7
36.8
38.4
32.5
32.5
28.3
30.6
33.8
37.2
41.4
36.1
39.5
29.8
悪い
11.3
8.5
8.2
11.5
15.1
23.3
16.6
16.2
12.8
10.7
11.9
10.2
9.1
10.5
13.6
6.7
11.4
14.3
12.2
10.2
9.6
8.8
8.2
7.3
3.2
3.7
9.1
11.0
14.3
11.4
15.3
6.9
(A)
-
(B)
非常に悪い
2.2
△39.2
1.6
△22.6
1.4
△16.3
2.4
△34.7
3.2
△43.8
5.6
△63.7
3.8
△58.1
3.1
△48.5
2.8
△43.6
1.7
△37.8
1.9
△45.8
2.3
△34.1
1.9
△33.8
2.5
△32.0
3.1
△43.5
0.9
△27.5
2.5
△37.4
2.9
△50.5
2.2
△40.6
2.1
△34.3
1.7
△37.0
2.0
△34.7
1.2
△24.3
0.9
△23.1
1.0
△11.5
0.0
△ 9.0
1.8
△30.0
2.5
△40.8
2.7
△51.9
2.2
△40.4
2.9
△50.6
1.0
△24.4
調 査
59
を 「増加(A)-減少(B)」 でみると、1年前の
建設業(△20.8)はマイナス幅が大きく、売
調査に比べて13.4ポイント低下の△9.8とな
上額減少を見込む企業割合が他の業種より高
り、3年ぶりのマイナスに転じた。
い(図表14)
。
従業員規模別にみると、20人以上の規模
でプラスとなった一方、19人以下でマイナ
○約3割の中小企業は「業況改善の見通し立
スとなるなど、小規模企業ほど売上額の減少
たず」
を見込む割合が高い。
自社の業況が上向く転換点については、「す
また、業種別にみると、不動産業(0.7)
、
でに上向いている」とする回答割合が10.9%
製造業(△0.5)では増加・減少の見通しが
と、平成14年見通しから行っている同様の調
ほぼ拮抗している。一方、小売業(△22.4)
、
査で初めて低下した。一方で、「業況改善の
図表14 自社の売上額伸び率の見通し
(単位:%)
増加
(A) 30%以上 20~29% 10~19% 10%未満
全体
20年見通し
25.4
0.8
1.3
5.7
17.5
39.4
35.2
24.6
7.9
1.7
0.9 △ 9.8
19年見通し
31.8
0.9
1.6
8.0
21.3
40.0
28.2
20.2
5.6
1.4
0.9
3.6
18年見通し
33.4
0.9
1.7
8.4
22.4
40.3
26.4
18.5
5.6
1.3
0.9
7.0
17年見通し
28.6
0.9
1.5
7.4
18.7
36.7
34.7
24.4
7.3
1.9
1.1 △ 6.1
16年見通し
23.8
0.9
1.2
5.9
15.8
36.2
40.0
27.1
9.2
2.4
1.3 △16.2
15年見通し
17.9
0.7
1.1
4.3
11.8
28.7
53.4
33.9
13.8
3.7
2.1 △35.6
北
道
17.1
0.4
0.7
4.5
11.5
34.0
48.9
33.2
13.0
2.3
0.5 △31.8
北
27.4
0.7
1.4
5.8
19.5
30.7
41.8
28.1
9.8
2.5
1.4 △14.4
東
28.9
1.5
1.3
7.1
18.9
35.1
36.1
23.8
9.5
2.0
0.8 △ 7.2
圏
21.0
0.4
1.3
4.4
14.9
45.9
33.2
23.9
7.1
1.3
0.9 △12.2
北
陸
21.6
0.3
0.5
3.0
17.8
39.7
38.7
27.8
8.9
1.4
0.6 △17.1
東
海
31.0
1.1
2.1
6.6
21.2
35.8
33.2
22.5
7.2
2.5
1.1 △ 2.2
近
畿
31.2
1.2
1.5
7.7
20.8
36.0
32.9
22.4
7.6
1.7
1.1 △ 1.7
中
国
33.5
1.1
1.8
7.9
22.7
34.5
32.0
22.0
8.2
1.3
0.5
四
国
26.7
1.0
1.5
7.2
16.9
34.6
38.7
27.7
7.9
1.5
1.5 △12.1
九 州 北 部
27.7
1.8
1.6
6.0
18.2
48.8
23.5
19.1
2.0
1.1
1.3
南
州
24.0
0.0
0.3
6.6
17.2
39.9
36.0
26.5
6.7
2.0
0.8 △12.0
1~
4人
14.8
0.6
0.8
3.1
10.3
43.7
41.4
28.6
9.6
2.1
1.2 △26.6
5~
海
東
関
地域別
従業員規模別
業種別
60
変化
なし
減少
(A)
-
(B)
(B) 10%未満 10~19% 20~29% 30%以上
首
都
九
1.5
4.2
9人
24.2
0.8
1.6
5.7
16.2
40.8
35.0
24.4
8.2
1.5
0.8 △10.8
10~ 19人
28.3
0.8
1.4
6.9
19.1
38.9
32.8
22.4
7.4
2.0
1.0 △ 4.6
20~ 29人
32.6
1.1
1.8
6.5
23.1
35.9
31.6
22.4
6.4
1.7
1.1
1.0
30~ 39人
34.8
1.1
1.4
8.2
24.1
31.9
33.3
22.4
8.1
2.2
0.6
1.5
40~ 49人
36.8
1.3
1.7
9.1
24.7
34.2
29.0
22.8
5.5
0.4
0.4
7.8
50~ 99人
39.0
0.5
1.8
8.4
28.4
33.5
27.5
20.6
6.0
0.7
0.2
11.5
100~199人
43.6
1.0
1.0
8.9
32.8
32.5
23.9
18.8
3.8
0.6
0.6
19.7
200~300人
55.6
2.3
4.5
13.5
35.3
26.3
18.0
13.5
3.8
0.8
0.0
37.6
製
造
業
31.3
0.7
1.5
7.3
21.8
36.9
31.8
22.7
6.9
1.5
0.7 △ 0.5
卸
売
業
27.0
0.7
1.2
6.0
19.0
37.8
35.2
26.0
7.3
1.2
0.8 △ 8.2
小
売
業
18.2
0.5
1.2
3.5
13.1
41.2
40.6
29.1
9.1
1.6
0.7 △22.4
サービス業
22.0
0.6
0.8
4.6
16.0
43.7
34.3
25.5
6.9
1.2
0.8 △12.4
建 設 業
不 動 産 業
20.9
26.6
1.2
1.7
1.3
2.3
4.7
7.3
13.8
15.3
37.3
47.5
41.8
25.9
25.1
17.2
11.4
5.7
3.4
1.6
1.9 △20.8
1.3
0.7
信金中金月報 2008.2
見通しは立たない」とする企業割合は、2年連
いえる(図表15)
。
続で上昇して30.4%となった。約3割の中小
企業は、業況改善の見通しすら立っていない
状況にあるといえる。
○構造改革で生じた変化は「格差拡大」
構造改革路線の経済政策により生じた変
従業員規模別にみると、1~4人の規模で
化については、企業規模による業況の格差
は「すでに上向いている」と回答する割合が
拡大(66.8%)
、業種による業況の格差拡大
5.9%であるのに対して、「業況改善の見通し
(61.8%)
、地域間で業況の格差拡大(52.3%)
は立たない」との回答が43.5%となった。
など、格差の拡大を指摘する割合が高い。特
業況が改善していない企業が増加し、かつ
に、地域間で業況の格差拡大を回答する割合
小規模企業ほど厳しい状況に置かれていると
は、北海道(78.4%)
、東北(77.1%)
、南九
図表15 自社の業況が上向く転換点
すでに上向き
6か月以内
(単位:%)
1年後
2年後
3年後
3年超
業況改善の
見通しなし
全体
20年見通し
10.9
8.0
15.5
12.2
12.4
10.6
30.4
19年見通し
13.1
8.6
16.0
13.0
12.2
10.1
27.1
18年見通し
12.6
9.0
16.5
14.1
12.5
10.4
24.9
17年見通し
10.9
7.8
15.8
13.7
13.4
11.7
26.7
16年見通し
8.3
7.9
15.2
15.1
13.9
13.2
26.4
15年見通し
5.5
6.2
14.3
14.7
14.8
15.1
29.4
北
7.6
4.1
10.6
11.5
14.3
15.8
36.2
海
道
地域別
東
北
9.0
8.8
16.6
13.4
11.9
9.2
31.2
関
東
10.7
11.4
19.1
13.9
11.4
8.6
24.9
圏
9.2
5.9
14.3
12.1
13.6
12.0
32.9
北
陸
7.3
8.1
15.1
13.8
11.2
13.0
31.3
東
海
16.2
11.0
17.3
11.1
9.2
7.4
27.9
近
畿
14.6
11.0
18.3
12.9
11.6
7.6
24.1
中
国
15.0
7.9
17.0
11.1
11.1
7.4
30.4
四
国
9.4
9.4
11.4
12.5
11.9
13.8
31.7
九 州 北 部
10.1
6.5
16.6
10.9
10.1
14.2
31.5
首
南
都
従業員規模別
業種別
州
7.8
6.7
13.1
10.5
17.4
10.8
33.8
1~
九
4人
5.9
5.1
11.2
10.2
11.8
12.3
43.5
5~
9人
9.0
7.4
15.6
12.5
13.3
10.8
31.4
10~ 19人
12.1
8.2
17.9
13.9
13.4
10.5
24.1
20~ 29人
13.5
10.7
17.7
12.1
14.3
10.5
21.2
30~ 39人
15.6
11.2
17.7
12.6
12.2
7.5
23.2
40~ 49人
18.1
11.7
18.1
13.7
11.6
9.0
17.9
50~ 99人
18.8
11.7
21.2
15.0
10.4
7.8
15.1
100~199人
24.2
13.9
22.9
16.1
6.8
6.8
9.4
200~300人
31.1
15.9
21.2
8.3
9.8
4.5
9.1
製
造
業
15.5
10.1
16.7
11.8
11.6
9.5
24.8
卸
売
業
10.8
9.0
15.8
12.8
12.7
10.0
28.9
小
売
業
5.6
5.2
12.6
10.9
12.0
11.2
42.4
サービス業
8.8
6.7
15.3
11.7
12.3
10.8
34.4
建 設 業
不 動 産 業
7.6
12.0
5.5
10.1
14.0
20.5
14.7
12.0
13.9
13.9
13.9
9.1
30.3
22.4
調 査
61
州(69.6%)など地方圏で高い傾向がある。
一方で、中小企業も含めて経済全体が成長
り、雇用条件による所得の格差拡大(17.1%)
を回答する割合が高い。
(3.6%)、大企業の好景気が中小企業にも波
中小企業の経営者は、構造改革路線の経済
及(3.9%)、規制緩和で創業や新事業進出が
政策が、経済全体の成長や活性化よりも、業
活発化(10.5%)などの回答割合は低い。
況や雇用面での格差拡大をもたらしていると
雇用についても、雇用環境改善(6.6%)よ
図表16 構造改革路線の政策により生じた変化
(単位:%)
地域別
従業員規模別
業種別
都市と地
中小企業 大企業の 公共投資 失業率低下 規制緩和で
企業規模
雇用条件
業種によ
方など地
も含めて 好景気が の見直し や採用増な 創業や
による業
による所
る業況の
域間で業
経済全体 中小企業 などで政府 ど雇用環境 新事業進出
況の格差
得の格差
格差拡大
況の格差
が成長 にも波及 が効率化
改善
が活発化
拡大
拡大
拡大
全
体
3.6
3.9
3.7
6.6
10.5
61.8
66.8
52.3
17.1
北 海 道
2.4
1.0
2.4
3.2
8.7
63.3
66.2
78.4
17.4
東
北
1.5
2.0
3.4
4.5
10.5
67.6
70.3
77.1
22.7
関
東
2.4
2.0
4.1
6.3
9.7
68.1
72.8
67.6
17.6
首 都 圏
4.3
4.3
3.5
7.8
10.1
55.8
64.8
33.6
14.0
北
陸
2.4
3.3
3.1
5.2
10.1
61.5
66.7
62.8
18.1
東
海
3.5
5.9
3.6
8.1
10.6
65.8
68.5
46.6
21.8
近
畿
4.1
4.6
4.0
6.7
12.5
64.8
69.0
50.2
17.9
中
国
4.4
5.0
3.4
5.2
12.3
68.7
65.0
63.2
15.8
四
国
3.7
2.9
5.0
5.8
8.7
59.7
61.8
68.2
16.8
九 州 北 部
4.6
5.4
4.6
7.8
10.2
60.2
66.9
61.0
21.4
南 九 州
3.7
3.7
4.5
4.5
11.0
63.1
61.2
69.6
14.2
1~ 4人
3.3
3.4
3.6
5.8
8.8
58.6
64.9
48.2
15.4
5~ 9人
3.3
3.9
3.2
5.6
9.9
63.1
68.0
52.0
16.6
10~ 19人
3.5
3.5
3.5
6.5
10.7
64.0
67.8
54.5
16.4
20~ 29人
3.6
4.4
3.0
6.3
12.1
64.8
67.6
56.0
18.6
30~ 39人
4.5
5.2
5.0
6.7
12.5
62.6
67.1
56.2
21.3
40~ 49人
3.8
3.2
4.1
9.6
12.5
63.4
68.0
58.9
19.8
50~ 99人
4.7
5.5
4.4
9.8
14.1
62.7
68.6
54.8
20.1
100~199人
6.1
5.8
3.8
9.6
13.1
59.9
66.0
53.5
24.4
200~300人
4.5
11.2
8.2
10.4
14.9
64.2
61.2
45.5
16.4
製 造 業
4.3
4.9
3.5
7.0
10.9
62.0
67.5
48.0
17.6
卸 売 業
3.9
4.0
4.2
7.2
11.6
62.8
68.9
53.4
16.3
小 売 業
3.0
3.1
2.7
6.2
9.1
60.3
64.1
50.9
17.5
サービス業
3.5
3.7
3.0
6.4
11.1
58.1
64.9
51.9
18.4
建 設 業
2.5
2.8
5.0
4.8
8.8
67.9
68.9
59.9
14.7
不 動 産 業
4.1
4.2
4.5
7.7
12.6
57.1
64.8
60.2
18.0
(備考)複数回答
62
考えていることを示す結果となった(図表16)
。
信金中金月報 2008.2
その他
1.2
0.7
0.9
1.6
1.2
2.4
1.8
1.0
0.5
1.8
0.6
1.6
1.5
1.1
1.2
0.9
1.0
1.2
1.0
1.3
1.5
1.2
0.9
1.7
1.3
0.9
1.5
信金中金だより
日本中小企業学会全国大会国際交流セッション講演抄録
信金中央金庫
総合研究所
共通演題「新たな中小企業像(ハイテクスモールビジネス)
-日本とフィンランドをめぐって-」
2007年10月6日(土)から7日(日)にかけて、日
本中小企業学会第27回全国大会が中京大学名古屋
キャンパスにて開催された。大会の統一論題として
「中小企業研究の今日的課題をめぐって」が掲げら
れる一方、6日午後には「新たな中小企業像(ハイ
テクスモールビジネス)-日本とフィンランドをめぐ
って-」という共通演題のもとで、国際交流セッシ
ョン(信金中央金庫協賛)が行われた。同セッショ
ンでは、金城学院大学 足立文彦教授と、中京大学
寺岡寛教授が座長、九州大学ユーザーサイエンス機
構の坂口光一教授がコメンテーターとなり、フィン
ランド ・ インノメディカ株式会社日本担当副社長で
トゥルク商科大学非常勤講師のアンナ・カルミ氏、
フィンランド大使館フィンランド技術庁参事官の
ユッカ・ビータネン氏、健康開発工房ミトレーベン
研究所代表の植田秀雄氏、の3氏による講演が行わ
れた。以下、講演内容について紹介する。
講演1:
「Turku Science Park and Biotechnology Ventures
(トゥルク・サイエンスパークとバイオベンチャーの現状)」
インノメディカ株式会社日本担当副社長・トゥルク商科大学非常勤講師
Anna Kalmi(アンナ・カルミ)氏
本講演では、フィンランドの首都ヘルシンキの西約
トゥルク・サイエンスパークは、トゥルク市の中
150kmに位置したトゥルク市にあるトゥルク ・ サイエン
心街に立地しており、パーク内には、複数の大学や
スパーク(Turku Science Park)について紹介したい。
大学病院ばかりでなく、鉄道の駅をはじめとしたさ
信金中金だより
63
まざまなサービス施設が集積している。パーク内に
から特定の研究グループが新会社として独立するス
おける目下の研究領域はバイオテクノロジーと情報
ピンオフ企業、大学の研究グループを設立母体とす
技術(IT)がメインであるが、今後は材料分野へ
る企業、特許を保持している発明者が設立した企業、
も広がっていく可能性も秘めている。パーク内では
などさまざまである。また、サービス分野を手がけ
1万3,500人が働いているほか 、学生は約2万5,000
る企業は少ない資金でも起業できることから、1人
人、会社や組織の数は300以上にも及んでいる。
から数人程度でスタートするケースも多い。さらに、
トゥルク・サイエンスパークがパーク内のベンチ
ャー企業等に提供できるサービスとしては、事業計
大企業がパーク内でグループ企業を新設するケース
もある。
画策定のサポート(特に大学内の研究チームが起業
トゥルク・サイエンスパーク内のバイオベンチャ
する場合)
、バイオテクノロジーやIT分野のスター
ーは、国内のみならず国外からの資金調達にチャレ
トアップ時のインキュベーター機能、パーク内の大
ンジしている。また、自社の開発スピードなどを勘
学との協力関係構築の支援、などがあげられる。ト
案して、どこまで自分たちで開発リスクを取れるの
ゥルク・サイエンスパークの利点としては、①大学
か(どの段階で外部機関等とのパートナーシップを
や大学病院がパーク内にあるためにこれらの研究グ
構築するか)といったことについても戦略的に対応
ループとの協力関係を構築しやすい、②さまざまな
している。
サポート体制が充実している、③大学都市なので高
パーク内企業の経営トップの経歴は、大学教授や
学歴の人材が豊富、④ニーズに応じて多様なタイプ
研究機関のリーダー、発明者、大企業の元トップマ
のオフィススペースがある、などをあげることがで
ネジメントメンバー、他社でも経営トップの経験を
きる。
持つプロのCEOなど、さまざまである。また、投
トゥルク・サイエンスパーク内には、バイオテク
資家や顧問、社外役員なども積極的に会社運営をサ
ノロジーやライフサイエンスの関連の企業が多数存
ポートしており、企業の規模や成長ステージに応じ
在しているが、これらの企業をみると、地元大企業
て経営トップが順次交代することも少なくない。
64
信金中金月報 2008.2
ここで、パーク内のバイオベンチャー 2社の事例
を紹介したい。
なお、日本とフィンランドのバイオベンチャーを
比較してみると、日本では1,000万円単位の投資を
まず、ヘルシンキ市場にも上場を果たしている
多数の投資家から受けることが多いのに対して、フ
BioTie Therapies社のケースである。当社は、トゥ
ィンランドでは少数の投資機関からまとまった金額
ルク大学バイオテクノロジーセンターから起業した
の投資を受けるケースが多いといったことがあげら
バイオベンチャーで、1998年の会社設立から今日
れる。また、日本は国内マーケットが大きくIPO市
に至るまでに成長段階に応じて延べ4人がCEOに就
場も発達しているのに対して、人口規模が約500万
任してきた。スイスのロッシュ社(Roche)や日本
人程度に過ぎないフィンランドでは、会社設立当初
の生化学工業㈱など、国外の複数の有力バイオ企業
から海外市場も視野に入れた経営を志向せざるをえ
とパートナーシップを構築している、有力バイオベ
ない。こうした事情もあり、フィンランドのバイ
ンチャーの1社である。
オベンチャーの多くは、海外有力企業と積極的に
一方、BioCis社は、起業してまだ数年の比較的新
パートナーシップを構築したり、ロンドン市場な
しいバイオベンチャー(創薬関連)であるが、07
ど国外の証券取引所でIPOするケースもめずらしく
年9月に150万ユーロの資金調達に成功した実績を
ない。こうしたなかで、フィンランドでは技術庁
有している。当社のCEOは発明者でもあり、近く
(TEKES)など政府系の支援機関によるベンチャ
臨床試験が始まる予定もあるなど、今後の成長が期
ーサポートが充実していることから、高学歴で求職
待されるバイオベンチャーの1社である。なお、当
中の人材が豊富という事情とも合わせて、ハイテク
社の事務所とラボ(研究所)は、現在もパーク内の
ベンチャーを起業しやすい環境が整っている、とい
バイオインキュベーターにある。
うことはいえるであろう。
信金中金だより
65
講演2:
「The Finnish Entrepreneurial Mind-The Key Characteristics of
Finnish High-Teck Ventures and National Support for Networking
and Growth(フィンランドのハイテクベンチャーの特徴と政府支援)
」
フィンランド大使館 フィンランド技術庁参事官
Jukka Viitanen(ユッカ・ビータネン)氏
本講演では、フィンランドのハイテクベンチャ
これに労働と資本を投入することで、さまざまなノ
ーの特徴と、それらに対する政府支援、特にフィ
ウハウや知識やイノベーションが生まれ、経済成長
ン ラ ン ド 技 術 庁(TEKES:The Finnish Funding
が実現されていくものと考えられる。
Agency for Technology and Innovation)を中心とし
こうしたことをふまえつつ、フィンランドでは、
たイノベーション促進のネットワーク(諸機関)に
フィンランド技術庁(TEKES)を中心として、公
ついて紹介したい。
的セクターが担う基礎的な研究やその応用研究か
ら、民間セクターが担う事業化・市場化・国際化に至
(1)フィンランド政府の進めるイノベーション支援
フィンランド政府が進めるイノベーションシステ
るまで、イノベーションを促進するさまざまな支援
機関のネットワークが構築されている。
ムの特色としては、政策的な合意に基づく長期的支
こうしたことを背景に、フィンランドは、世界で
援、支援機関の独立性、競争促進的アプローチ、協
最もイノベーティブな国のひとつとして、国際競争
調のためのネットワーク、透明性と信頼性、などを
力ランキングなどで上位に位置づけられることも多
あげることができる。
くなっている。
近年の成長発展モデルによれば、経済の成長発展
の源泉は、教育と研究と技術にあるとされている。
66
信金中金月報 2008.2
(2)フィンランドのハイテクベンチャーの特徴
のうちの1~5%程度、300~500社程度に過ぎない。
フィンランドの企業家の特徴としては、高所得期
これら成長企業の出自をみると、いわゆる大学発
待、自由への希求、高学歴、技術者が多い、などの
ベンチャーが年20-50社、経験の少ない企業家の
点があげられる。しかしその一方で、フィンランド
率いる企業が年200-400社、広範な経験を有する
の企業家は、リスクへの不寛容、成長への無関心、
企業家の率いる企業が50-100社、既存企業からの
ただ自由への憧れ、社会的認知度の低さ、といった
スピンオフによるものが10-30社程度となってい
特徴も有している。こうしたことを反映してか、フ
る。こうしたなかで、高い成長を遂げている新設企
ィンランドにおける自営業(独立開業)への関心度
業は、知識集約型サービス業(knowledge-intensive
合いは、EU諸国の中で最低ランクに位置付けられて
services)のなかに多くみられる傾向がある。
いる。また、トータル的な企業家活動の国際比較を
フィンランドでは、民間企業の研究開発投資に
みても、フィンランドはアメリカを大きく下回るな
占める中小企業の割合が比較的高く(20~30%)
、
ど、あまり活発とはいえないのが現実となっている。
ア メ リ カ や 日 本 を 上 回 る 水 準 に あ る が、 今 後 も
こうしたなかで、経済の成長発展に重要な役割を
TEKESを中心として、ハイテク企業成長のカギと
果たすことが期待されるハイテク企業は、国内マー
いわれる資金とマネジメントの支援を行なっていく
ケットが狭小なために、当初から世界市場も視野に
ことになろう。
入れていかなければならない宿命を負っている。た
だし、グローバル化のなかでのニッチなハイテク分
(3)新しいビジネスの成長やネットワーク化をサポ
野に照準を合わせており、これを担うハイテク企業
ートする政策支援メカニズム
の振興こそがまさにTEKESの重要な役割であると
フィンランド技術庁(TEKES)の実践する研究
認識している。
開発企業のサポートの特徴としては、①トップレベ
フィンランドでは、年間に2万社程度の新しい企
ルの研究開発のための選択的な資金支援、②成長期
業が設立されているが、成長企業といえるのは、そ
にある企業の支援、③国際化の支援、④資金援助や
信金中金だより
67
専門サービスを通じたスタートアップの促進とその
開発を対象とした資金支援は、むしろその次のフェ
後の成長支援、などをあげることができる。
ーズの方がよりふさわしいものといえる。ちなみに、
TEKESによる支援は、研究機関や大学から民間
TEKESでは事業化調査への資金支援も行っている
企業に至るまで幅広く及んでおり、競争力のある企
ほか、その成長段階に応じて、起業家向け融資を手
業の創出や新しいビジネスのスタートアップ実現な
がけるFINNVERAなどさまざまな支援機関とも協
どを通じて、最終的には輸出拡大や産業経済基盤の
力しながら、幅広い支援活動を実践している。
充実、雇用創造などの効果をもたらしている。
な お、TEKESの 資 金 支 援 は、 大 企 業( 従 業 員
TEKESによる資金支援は、事業計画の方向付け
500名以上)の研究開発活動にも及んでいる。フィ
を行うグループとも連携しながら、大学や研究機
ンランドは企業間の研究開発協力がEU諸国の中で
関、あるいは企業などにおける研究開発計画に対
も最も盛んということもあり(たとえば、オウル市
し、助成金(grants)などを付与している。なお、
では、オウル大学を中心にさまざまな情報通信企業
TEKESによる資金支援は、通常、大学や研究機
や支援機関が相互に協力し合う地域ネットワークが
関に対して60-80%、企業の研究開発計画に対して
形成されている。)、これらの支援資金は大企業を通
25-50%程度の割合で実施されている。
じて大学や研究機関、あるいは中小企業などへも波
一 方、TEKESに よ る 専 門 サ ー ビ ス は、 広 範 な
民間産業分野の出身者を積極的に登用しており、
研究開発計画に対するコンサルティングのほか、
UCLAと協力したグローバルアクセスプログラム
(GAP:Global Access Program)、丸 紅と協力した
ジャパンアクセスプログラム(JAPRO:Japan Access
及し、結果的にはフィンランド経済全体にメリット
をもたらしている。
このほか、TEKESではイノベーションを啓蒙す
る活動として、さまざまなフォーラムも開催してい
る状況がある。
なお、最近の支援先企業の成功事例としては、気
Program)
、
など、
幅広い支援サービスを提供している。
象関係のビジネスを手がけるバイサラ社(Vaisala
TEKESでは、中小企業の研究開発プロジェクト
Oy)や、バーチャルオンラインゲームのスーラケ
の性質(長期的な視点に基づくものか、チャレン
社(Sulake Corporation) な ど の ケ ー ス が あ げ ら
ジングなものか、など)に応じて、さまざまな資金
れる。特にスーラケ社の場合は、TEKESにおける
支援の選択肢(助成金、融資(capital loan)など)
双方向コンピュータプログラム(Tekes FENIX-
を用意している。TEKESでは技術系企業向けのス
Interactive Computing Program)に参加した経緯も
タートアップ融資も行っているが、TEKESの研究
あることが特筆される。
68
信金中金月報 2008.2
講演3:
「呼気ガス測定事業化へのトレイル(The Trail of Breath Analysis and
Business Development)」
ミトレーベン研究所代表
植田 秀雄氏
本講演では、研究開発型中小企業の活動事例のひ
こうしたなかで当社では、世界にも先駆けてこの
とつとして、自身が代表を勤めるミトレーベン研究
事業化に向け注力している。これは、人間の呼気に
所(大阪府豊中市)が進めている呼気ガス測定の事
は3,000種類にも及ぶとされる化学成分が含まれて
業化へ向けてのトレイル
(足跡)
について紹介したい。
いることから、呼気測定の臨床的意義とともに、そ
ミトレーベン研究所は、呼気測定の事業化をもっ
の社会的有用性(採血不要、医療施設外でも手軽に
て健康社会への貢献を目的として、1992年に“脱
検査ができる、何回でも測定可能、など)が正しく
サラ”で設立した“健康開発工房”である。
理解され認識されるようになれば、その応用範囲は
呼気ガスとは吐く息のことで、この中に含まれる
様々な測定成分から体の状況を知ることができる、
極めて広いものがあり、そこに大きな事業的チャン
スがあると考えるためである。
採血を必要としない検査手法で未来型の検査技術と
私自身は今日に至るまで、分析機器メーカ勤務6
して期待が大きい。呼気のほか、体臭、腸内ガス(放
年、臨床検査機器メーカ勤務7年、ガスセンサー応
屁)なども同様に測定意義があり、それぞれに対応
用機器メーカ勤務7年、などを経て、呼気測定の事
したガス測定器が相応に開発されている。ただ、呼
業化を目的とするミトレーベン研究所を設立(分離
気ガス測定の臨床的意義がいまだ認知の途上にある
独立)してきた経緯がある。その後、製造委託先で
ということもあり、この事業化はまだまだ本格化す
ある海外の機器メーカが外資の買収に遭遇するなど
るまでには至っていない。
不測の事態も経験してきたが、今日に至るまでほぼ
信金中金だより
69
一貫して呼気ガス測定の事業化を手がけてきた。
ではないか、ということである。たとえば、国内開
呼気ガス測定の臨床的意義は認知の途上にある
発に見切りをつけ、先行して欧米市場で成果を挙げ、
が、たとえば呼気アセトン濃度と肥満解消(減量、
それを持って国内に紹介すれば、研究開発活動に資
メタボ対策)との間に強い相関関係があることや、
金もつくようになり、日本国内でもビジネスとして
呼気CO(一酸化炭素)濃度と、さまざまな生体内
本格的に立ち上がっていくことになるのではないか
のストレス(病原性細菌やウイルスの感染、ガン、
と思われる。
炎症その他の発病までには至らないさまざまな生体
こうした状況のなかにおいてでも、本事業の成功
内異変)
との関係などが知られるようになってきた。
への極意があるとすれば、事業理念を正しく踏まえ
また、呼気測定は採血を伴わないので、医療施設外
「成功するまで、やり続けることである。」というこ
でも手軽にだれでも行えるため、日常生活の中での
とに尽きるのではないかと考える次第である。
健康維持・増進活動(自己管理)にも役立てること
なお、ミトレーベン研究所では、公開研究会とし
ができるなど、呼気ガス測定は事業化の可能性を十
て1998年6月にスタートした「呼気病態生化学研究
分に備えたものであると考えている。
会」の事務局を務めてきたが、今後は国内活動だけ
なお、なぜ本事業がスムーズに進展しないのだろ
でなく、海外の関係者とも連携して呼気ガス測定の
うかを考えたとき、
日本社会のもつ特徴に行き着く。
意義を医療現場からはもとより、関係分野へも広く
つまり、まったく新しいことに対する考え方が、日
認知されるような活動にもこれまで以上に注力して
本とフィンランド(欧米諸国)では大きく異なるの
いきたいと考える。
70
信金中金月報 2008.2
2007 年度愛知大学中部地方産業研究所公開シンポジウム「地域経済における地域金融機関の役割」に参
加
2007年度愛知大学中部地方産業研究所公開シンポジウム
「地域経済における地域金融機関の役割」に参加
信金中央金庫
総合研究所
2007年12月1日、愛知大学中部地方産業研究所の主催による公開シンポジウム「地域経済における地域金
融機関の役割」が開催された。中部地方産業研究所は、1953年に設立され、中部地方の産業、文化の発展、
振興に寄与することを目的としている。
シンポジウムでは、愛知大学中部地方産業研究所所長の樋口義治愛知大学文学部教授の開会挨拶に始ま
り、総合司会・コーディネーターである打田委千弘愛知大学経済学部准教授の趣旨説明に続き、名古屋大学
大学院経済学研究科教授の家森信善氏による基調講演が行われた。その後、家森氏、豊橋信用金庫専務理事
の石井俊秀氏、本中金総合研究所から鈴木寛之が参加し、愛知大学経営学部教授の奥野博幸氏の司会による
パネルディスカッションが行われた。
家森氏の基調講演では、東海および関西企業に対するアンケート結果にもとづく地域金融機関の役割の分
析を中心に報告が行われた。地域金融機関の重要性について、中小企業の信用情報はローカルなもので、情
報生産(監視)も近くにないと難しく、距離が重要であるという視点から、実際に企業は10分程度の金融機
関の店舗との取引が多数である、リレーションシップバンキングの機能強化は着実に進んでいるが、①器の
整備は進んだが、その活用が不十分、②小規模企業、業績低迷企業に対しては、リレバン的な対応は十分に
行われておらず、低コストの与信技術・経営効率の向上が課題であり、非営利型の協同組織金融機関の役割
発揮に期待するとの趣旨の講演があった。
パネルディスカッションでは、鈴木が地域金融機関による地域振興支援について、地域が一体となった取
組みに対し、信用金庫等のコーディネート・結節機能が重要との趣旨の報告を行った。次に、石井氏から、
地域活性化に向けた豊橋信用金庫の取組みとして、新事業支援課の創設、しんきんビジネスフェア、豊橋技
術科学大学との産学連携にかかる包括協定、同大学への農業関連の寄附講座の設置、中小機構との連携によ
る「新連携」の認定取得支援、PFIへの取組みについて事例発表が行われた。その後、フロアからの質問も
交え活発な意見交換が行われ、地域経済発展に向けた意義あるシンポジウムとなった。
信金中金だより
71
2007 年度愛知大学中部地方産業研究所公開シンポジウム「地域経済における地域金融機関の役割」に参
加
地域密着型金融に関するシンポジウム2007
「地域再生、地域活性化における地域金融機関の役割」に参加
信金中央金庫
総合研究所
2007年12月13日、東海財務局の主催による地域密着型金融に関するシンポジウム「地域再生、地域活性化
における地域金融機関の役割」が開催された。このシンポジウムは、地域再生、地域活性化に向けた金融機
関の取組みについて紹介するとともに、金融機関相互のノウハウの共有を促進し、さらに、金融機関の役割
について理解を深めてもらうことにより、地域密着型金融の一層の推進を図ることができるよう開催された。
シンポジウムでは、東海財務局長の森川氏による開会挨拶に始まり、日本政策投資銀行地域振興部課長(地
域支援担当)の大西達也氏による「地域再生、地域活性化における地域金融機関の役割~地域力の向上のた
めの処方箋~」を演題とした基調講演が行われた。その後、金融機関からの事例発表として、十六銀行地域
振興部長の三浦文彦氏による「地域経済活性化への取組み」、豊橋信用金庫業務部新事業支援課長の宮川直樹
氏による「地域活性化に貢献するための産学官連携の推進について」、益田信用組合理事長伊東祐氏による「下
呂温泉活性化に向けての取組み」が発表された。そして、基調講演をした大西氏、事例発表をした三浦氏、
岐阜大学地域科学部教授の西村貢氏、三重県農水商工部産業支援室長川島弥氏、本中金総合研究所から主任
研究員の笠原博がパネリストとして参加し、森川氏がコーディネーターとなってパネルディスカッションが
行われた。
大西氏の基調講演では、地域を取り巻く環境変化として人口動向や自治体の財政状況などに触れた後、地
域再生の方向性として市民参加による地域経営(まちづくり)が主流になるとの話があった。さらに地域経営
を進める上で、地域金融機関による地方自治体や地場企業へのアドバイス機能が重要であるとの認識が出さ
れた。
72
信金中金月報 2008.2
金融機関からの事例発表では、三浦氏からは、ぎふまちづくりセンターの設立経緯と活動の概要および岐
阜駅西地区第一種市街地再開発事業への取組みが発表された。宮川氏からは、新事業支援課の活動実績や国
立大学法人豊橋技術科学大学との産学連携の活動内容、同大学での寄附講座(しんきん食農技術科学講座)
設置の目的や概要などが発表された。伊東氏からは、下呂温泉を舞台に行なわれた下呂温泉いで湯卓球大会
の開催に至るまでの経緯や開催したことによる地域への波及効果などが発表された。
パネルディスカッションでは、まず西村氏からまちづくりの理念について説明があった。次いで、川島氏
が三重県東紀州地域の現状と活性化策を発表した。笠原主任研究員は地域活性化の成功要因、失敗要因に関
して、
「人」が大きな要素であって、何をやるかはもちろんだが、誰がやるかがより重要であり、地域の関係
者を動かすためには地域金融機関が意識付けや危機感を植えつける取組みをする必要があることを話した。
その後、各出席者からさまざまな観点について活発な意見交換が行われ、今後の地域経済発展に向けた地域
金融機関の役割を考える上で意義あるシンポジウムとなった。
信金中金だより
73
信金中央金庫総合研究所活動状況
(12月)
1.レポート等の発行
発行日
レポート分類
07.12.3 内外金利・為替見通し
07.12.26 内外経済・金融動向
通巻
19-9
19-8
07.12.26 貿易投資相談ニュース
152
タ
イ
ト
ル
執 筆
-
斎藤大紀
市町村のタイプに応じた地域経済の活性化策
峯岸直輝
-全市町村を地域特性に基づいて8つのタイプに分類・分析-
-
-
者
2.講座・講演・放送等の実施
実施日
07.12.4
07.12.6
種類
講演
講演
07.12.7
講演
07.12.13
講演
07.12.13
講演
07.12.14
講演
07.12.14
07.12.17
講演
講演
74
タ
イ
ト
ゆうちょ銀行の営業力
日本経済の現状と展望
講座・講演会・番組名称 場所・放送局等
講 師
信用金庫向け勉強会
四国支店
品田雄志
経済講演会
イベントホール 斎藤大紀
ニュー東京
最近のアジア諸国(中国、インド、 ひがしんビジネスクラブ 東京東信用金庫 篠崎幸弘
ベトナム等)投資環境事情について 「オーロラ」講演会
ゆうちょ銀行の営業力
群馬県信用金庫協会
群馬県信用金庫 品田雄志
理事長会
協会
地域再生、地域活性化における地域 金融機関の地域貢献の ウィルあいち
笠原博
金融機関の役割について
取組みにかかるシンポ
ジウム
地域活性化にかかる他地域の取組 情報・意見交換会
瀬戸信用金庫
笠原博
事例について
市街地活性化事例
信和会セミナー
三芳町文化会館 笠原博
2008年の経済展望
平成19年度SEC講演会 ハイアットリー 斎藤大紀
ジェンシー東京
信金中金月報 2008.2
ル
等
統 計 1.信用金庫統計
(1)
信用金庫の主要勘定概況··············· 75
(2)信用金庫の店舗数、合併等··········· 77
(3)信用金庫の預金種類別預金、地区別預金······· 78
(4)信用金庫の預金者別預金··············· 79
(5)信用金庫の科目別貸出金、地区別貸出金······· 80
(6)信用金庫の貸出先別貸出金··········· 81
(7)信用金庫の余裕資金運用状況······· 82
2.金融機関業態別統計
(1)
業態別預貯金等······························ 83
(2)
業態別貸出金·································· 84
統計資料の照会先:信金中央金庫 総合研究所
Tel 03-5202-7671 Fax 03-3278-7048
(凡 例)
1.金額は、単位未満切捨てとした。
2.比率は、原則として小数点以下第1位までとし第2位以下切捨てとした。
3.記号・符号表示は次のとおり。
〔 0 〕ゼロまたは単位未満の計数 〔─〕該当計数なし
〔△〕減少または負
〔…〕不詳または算出不能
〔*〕1,000%以上の増加率
〔 p 〕速報数字
〔 r 〕訂正数字
〔 b 〕b 印までの数字と次期以降との数字は不連続
4.地区別統計における地区のうち、関東には山梨、長野、新潟を含む。東海は静岡、愛知、岐阜、三重の
4県、九州北部は福岡、佐賀、長崎の3県、南九州は熊本、大分、宮崎、鹿児島の4県である。
※ 信金中金総合研究所のホームページ(http://www.scbri.jp/)よりExcel形式の統計資料をダウンロードすることができます。
1.(1)信用金庫の主要勘定概況
○預 金
11月の全国信用金庫の預金は、月中1,310億円、0.1%減と、前年同月(149億円、0.0%増)の増加から減
少となった。
① 要求払預金は、各種自振口資金の一時滞留がみられたものの、年金振込金や営業資金および決済資金の
流出、定期性預金へのシフト等から、月中3,238億円、0.8%減と、前年同月(2,461億円、0.6%減)と同様
に減少した。
② 定期性預金は、協力預金の流出等がみられたものの、懸賞付預金の受入れ、預金増強キャンペーンの実施、
公金預金の受入れ等から、月中1,604億円、0.2%増と、前年同月(2,261億円、0.3%増)と同様に増加した。
③ 外貨預金等は、月中323億円、6.6%増加した。
なお、2007年11月末の預金の前年同月比増減率は、2.6%増となった。
○貸出金
貸出金は、月中267億円、0.0%増と、前年同月(1,609億円、0.2%増)と同様に増加した。
① 割引手形は、期日落込みの増加がみられたものの、売上増加および季節的要因による持込手形の増加等
から、月中170億円、1.0%増と、前年同月(213億円、1.2%増)と同様に増加した。
② 貸付金は、売上代金・工事代金による返済がみられたものの、住宅ローンの実行や、季節的資金需要お
よび経常運転資金の増加等から、月中97億円、0.0%増と、前年同月(1,395億円、0.2%増)と同様に増加
した。
なお、2007年11月末の貸出金の前年同月比増減率は、0.1%増となった。
○余資運用資産
余資運用資産は、月中924億円、0.1%減と、前年同月(999億円、0.1%減)と同様に減少した。
主な内訳をみると、預け金は、月中3,045億円、1.4%減となった。
コールローンは、月中670億円、6.8%減となった。
有価証券は、
地方債(199億円減)が減少したものの、外国証券(939億円増)、社債(500億円増)、投資信託(270
億円増)等が増加したことから、月中1,837億円、0.5%増となった。
統 計
75
信用金庫の主要勘定増減状況(2007年11月末)
区
分
現
(
(
(
産
項
目
(
(
負
債
項
目
純
出
純
資
産
項
目
資
産
資
金
普 通 出 資 金
優 先 出 資 金
優先出資申込証拠金
資
本 剰 余 金
資 本 準 備 金
その他資本剰余金
利
益
剰 余 金
利 益 準 備 金
その他利益剰余金
特 別 積 立 金
前 期 繰 越 金
未 処 分 剰 余 金
処 分 未 済 持 分
自 己 優 先 出 資
自己優先出資申込証拠金
その他有価証券評価差額金
繰 延 ヘ ッ ジ 損 益
土 地 再 評 価 差 額 金
高
増
1,528,594
142,299 )
(
21,430,209
△
19,120,745 )
( △
82,500 )
(
0
911,650
△
0
30,000
△
284,999
313,572
4,979
32,120,066
9,357,589
3,514,608
△
51,008
12,074,436
860,828
3
1,065,265
5,065,843
130,481
56,624,073
△
62,955,615
62,729,974 )
( △
452,505
1,644,753
61,310,862
5,926,488
52,381,223
△
3,003,149
112,936,750
△
112,465,792 )
(
38,112,048
△
2,427,927
33,381,052
△
1,174,813
△
166,829
925,141
36,283
△
74,302,395
68,507,805
5,794,589
△
522,306
112,794,450
△
100,793
△
219,958
55.6
資
金
(小 切 手 ・ 手 形)
預
け
金
(信 金 中 金 預 け 金)
(譲 渡 性 預 け 金)
買
入
手
形
コ ー ル ロ ー ン
買
現
先
勘
定
債券貸借取 引 支 払 保 証 金
買 入 金 銭 債 権
金
銭
の 信 託
商 品 有 価 証 券
有
価
証
券
国
債
地
方
債
短
期
社
債
社
債
株
式
貸
付
信
託
投
資
信
託
外
国
証
券
そ の 他 の 証 券
小
計
貸
出
金
(月
中
平
残)
(うち金融機関貸付金)
割
引
手
形
貸
付
金
手
形
貸
付
証
書
貸
付
当
座
貸
越
預
金
・ 積 金
(月
中
平
残)
要
求 払 預 金
当
座
預
金
普
通
預
金
貯
蓄
預
金
通
知
預
金
別
段
預
金
納 税 準 備 預 金
定
期 性 預 金
定
期
預
金
定
期
積
金
外
貨 預 金 等
実
質
預
金
譲
渡
性 預 金
借
用
金
預
貸
率
残
△
6,348,516
691,870
610,530
81,340
0
41,256
41,256
0
5,453,366
408,341
5,045,024
4,875,248
169,135
640
655
0
0
0
687
161,991
(単位:百万円、%)
前 月 比 増 減
△
月
前年同月比
減 額
増 減 率
月中増減額
月中増減率
増 減 率
97,471
6.8
△ 1.4
69,321
4.6
△ 2.1
22,332 )
(
18.6 )
( △ 3.4 )
(
10,337 )
(
7.5 )
(
0.5 )
304,595
△ 1.4
10.0
△
236,585
△ 1.2
△ 5.9
331,731 )
( △ 1.7 )
(
9.2 )
( △
275,521 )
( △ 1.5 )
( △ 8.5 )
8,500 )
(
11.4 )
(
20.4 )
(
0)
(
0.0 )
(
34.3 )
0
―
△ 100.0
15,000
―
―
67,052
△ 6.8
50.8
△
50,225
△ 7.6
*
0
―
―
0
―
△ 100.0
11,504
△ 27.7
△ 13.0
△
8,534
△ 19.8
―
7,772
2.8
△ 10.8
8,899
2.8
△ 8.9
1,500
0.4
△ 4.5
△
546
△ 0.1
7.8
203
4.2
△ 32.0
747
11.3
0.7
183,738
0.5
2.8
102,022
0.3
4.3
16,649
0.1
1.2
△
1,569
△ 0.0
9.7
19,949
△ 0.5
0.7
△
13,471
△ 0.3
1.3
3,790
8.0
34.0
4,591
13.7
20.8
50,035
0.4
2.3
35,286
0.2
1.7
10,935
1.2
15.5
23,718
3.2
26.3
0
0.0
△ 88.4
△
10
△ 27.7
△ 53.5
27,051
2.6
10.7
43,681
4.7
19.6
93,918
1.8
5.3
9,860
0.2
△ 2.2
1,309
1.0
△ 1.8
△
64
△ 0.0
9.1
92,468
△ 0.1
5.7
△
99,901
△ 0.1
1.2
26,782
0.0
0.1
160,963
0.2
1.1
120,135 )
( △ 0.1 )
(
0.2 )
( △
12,774 )
( △ 0.0 )
(
1.1 )
2,620
0.5
38.3
9,590
3.0
―
17,074
1.0
△ 7.0
21,365
1.2
△ 5.5
9,710
0.0
0.3
139,597
0.2
1.3
12,233
0.2
△ 5.4
10,413
0.1
△ 6.2
27,965
△ 0.0
1.0
91,913
0.1
2.4
25,440
0.8
0.7
37,270
1.2
0.3
131,030
△ 0.1
2.6
14,904
0.0
1.1
146,838 )
(
0.1 )
(
2.6 )
(
23,591 )
(
0.0 )
(
1.1 )
323,889
△ 0.8
0.7
△
246,171
△ 0.6
2.8
20,962
0.8
△ 3.5
7,165
0.2
△ 0.4
502,087
△ 1.4
1.3
△
422,782
△ 1.2
3.6
9,332
△ 0.7
△ 3.9
△
13,012
△ 1.0
△ 3.0
39,841
31.3
17.2
16,044
12.7
△ 1.1
128,110
16.0
△ 3.8
167,434
21.0
△ 4.3
1,385
△ 3.6
△ 2.0
△
1,020
△ 2.6
△ 1.1
160,486
0.2
3.5
226,196
0.3
0.2
201,470
0.2
4.2
277,382
0.4
1.1
40,984
△ 0.7
△ 4.3
△
51,186
△ 0.8
△ 8.0
32,373
6.6
2.6
34,880
7.3
8.7
153,363
△ 0.1
2.6
4,568
0.0
1.1
4,036
△ 3.8
△ 15.2
△
14,462
△ 10.8
△ 29.2
8,055
3.8
34.8
1,096
0.6
―
449
329
229
100
0
100
100
0
0
0
0
3,700
1,431
2,268
20
0
0
0
0
0
△
前年同月比
増 減 率
0.0
0.0
0.0
0.1
―
0.2
0.2
―
0.0
0.0
0.0
0.0
0.8
―
―
―
―
―
0.0
0.0
(備考)1.預貸率=貸出金/預金・積金×100(預金には譲渡性預金を含む。)
2.前年同月の前年同月比増減率は、旧杵築信用金庫を調整して算出
76
信金中金月報 2008.2
前
4.0
2.0
0.8
11.8
―
22.1
22.1
―
4.4
4.6
4.4
4.3
7.0
―
―
―
―
―
△ 75.1
△ 2.4
△
△
△
年
2,484
2,877
2,877
0
0
0
0
0
587
630
1,217
2,260
49
3,524
44
0
0
0
0
149
同
0.0
0.4
0.4
0.0
―
0.0
0.0
―
△ 0.0
0.1
△ 0.0
0.0
0.0
△1,925.6
―
―
―
―
0.0
0.0
―
4.1
2.0
26.7
―
―
12.1
―
―
5.2
―
4.7
13.0
△ 450.2
―
―
―
―
―
△ 10.2
1.(2)信用金庫の店舗数、合併等
信用金庫の店舗数、会員数、常勤役職員数の推移
年 月 末
2003.
04.
05.
06.
3
3
3
3
6
9
06.11
12
07. 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
本 店
(信用金庫数)
326
306
298
292
292
292
290
290
287
287
287
287
287
287
287
287
287
286
284
店 舗 数
支 店
出張所
合 計
7,673
7,471
7,312
7,195
7,193
7,179
7,172
7,170
7,170
7,168
7,172
7,175
7,170
7,170
7,166
7,166
7,160
7,143
7,134
264
282
269
290
292
282
279
281
280
276
275
274
274
273
273
273
272
272
271
8,263
8,059
7,879
7,777
7,777
7,753
7,741
7,741
7,737
7,731
7,734
7,736
7,731
7,730
7,726
7,726
7,719
7,701
7,689
会 員 数
(単位:店、人)
常 勤 役 職 員 数
職 員
男 子
女 子
計
87,922
37,086
125,008
84,345
35,051
119,396
81,431
33,342
114,773
79,286
32,080
111,366
80,607
34,563
115,170
79,825
33,735
113,560
79,603
33,577
113,180
79,355
33,217
112,572
79,093
33,024
112,117
78,849
32,890
111,739
77,908
32,165
110,073
80,499
35,555
116,054
80,345
35,478
115,823
79,863
35,166
115,029
79,648
34,909
114,557
79,416
34,711
114,127
79,093
34,435
113,528
78,883
34,342
113,225
78,728
34,275
113,003
常勤役員
9,001,391
9,091,805
9,134,192
9,191,407
9,205,312
9,213,450
9,243,070
9,248,915
9,251,512
9,256,605
9,256,033
9,262,576
9,269,338
9,274,473
9,273,962
9,273,245
9,275,967
9,277,252
9,274,787
2,557
2,396
2,342
2,272
2,320
2,324
2,315
2,310
2,304
2,303
2,292
2,291
2,288
2,315
2,320
2,323
2,324
2,321
2,319
合 計
127,565
121,792
117,115
113,638
117,490
115,884
115,495
114,882
114,421
114,042
112,365
118,345
118,111
117,344
116,877
116,450
115,852
115,546
115,322
信用金庫の合併等
年 月 日
2003年 7 月 7 日
2003年 7 月 7 日
2003年 7 月22日
2003年 7 月22日
2003年10月20日
2003年10月20日
2003年10月20日
2003年11月 4 日
2004年 1 月13日
2004年 1 月19日
2004年 1 月19日
2004年 2 月 9 日
2004年 2 月 9 日
2004年 2 月16日
2004年 3 月22日
2004年 7 月12日
2004年 7 月20日
2004年10月12日
2004年11月15日
2004年11月22日
2005年 1 月 4 日
2005年 2 月14日
2005年 2 月14日
2005年 3 月14日
2005年 7 月19日
2005年10月17日
2005年11月21日
2005年11月21日
2006年 1 月10日
2006年10月16日
2006年10月16日
2006年11月 6 日
2007年 1 月 9 日
2007年10月 9 日
2007年11月26日
異 動 金 庫 名
芝
東調布
一宮
愛北
津島
東京東
小岩
赤穂
伊那
秋田
五城目
富山
射水
福岡ひびき
新北九州
門司
築上
能登
共栄
王子
太陽
荒川
日興
直江津
高田
北伊勢
上野
高松
さぬき
鹿児島相互
川内
興能
(高浜信組)
金沢
福光
下関
豊浦
彦根
近江八幡
大阪
南大阪
大牟田
柳川
足利
小山
伊勢崎太田
北海
古平
阪奈
八光
(大分県信組) 杵築
仙台
塩竈
高鍋
西諸
新川水橋
滑川
広島
大竹
多摩中央
八王子
太平
三島
伊豆
愛媛
三津浜
島根中央
(出雲信組)
下関
津和野
宇部
吉南
名寄
士別
かんら
ぐんま
多野
直方
新金庫名
芝
いちい
東京東
アルプス中央
秋田
富山
福岡ひびき
のと共栄
城北
上越
北伊勢上野
高松
鹿児島相互
興能
金沢
下関
滋賀中央
大阪
大牟田柳川
足利小山
アイオー
北海
大阪東
(大分県信組)
杜の都
高鍋
にいかわ
広島
多摩
三島
愛媛
島根中央
西中国
北星
しののめ
金庫数
325
323
322
321
320
319
315
314
311
310
309
308
307
307
306
305
304
303
302
301
301
300
299
298
297
296
295
294
292
291
290
290
287
286
284
異動の種類
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
名称変更
合併
合併
合併・解散
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
統 計
77
1.(3)信用金庫の預金種類別預金、地区別預金
預金種類別預金
(単位:億円、%)
預金計
年 月 末
2003.
04.
05.
06.
3
3
3
3
6
9
06.11
12
07. 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
1,035,536
1,055,175
1,074,324
1,092,212
1,102,468
1,106,414
1,100,747
1,118,837
1,105,755
1,111,189
1,113,772
1,124,680
1,117,440
1,132,280
1,125,368
1,127,548
1,134,180
1,130,677
1,129,367
前年同月比
増 減 率
0.7
1.8
1.8
1.6
1.2
1.5
1.1
1.4
1.6
1.7
1.9
2.0
2.1
2.7
2.5
2.3
2.5
2.7
2.6
要求払
312,842
328,610
350,807
377,476
384,602
384,203
378,131
390,925
376,503
383,269
386,576
394,785
383,922
392,918
381,376
382,343
388,420
384,359
381,120
前年同月比
増 減 率
5.0
5.0
6.7
7.6
5.7
4.9
2.8
2.4
2.5
2.4
2.4
1.8
1.4
2.1
0.9
0.6
1.0
0.9
0.7
定期性
716,192
720,951
717,300
709,409
713,097
717,216
717,526
723,139
724,585
723,273
721,712
725,357
728,501
734,503
738,808
740,168
740,559
741,419
743,023
前年同月比 外貨預金等 前年同月比
増 減 率
増 減 率
△ 1.0
6,500 △ 1.7
0.6
5,614 △ 13.6
△ 0.4
6,216
10.7
△ 1.1
5,326 △ 14.3
△ 0.9
4,768 △ 4.8
△ 0.2
4,994
6.5
0.2
5,089
8.7
0.8
4,772
3.0
1.1
4,666
1.8
1.2
4,647
2.4
1.7
5,483
2.9
2.1
4,538
4.6
2.5
5,016
5.7
3.0
4,858
1.8
3.2
5,183
10.5
3.2
5,036 △ 2.2
3.2
5,200
4.1
3.6
4,899
3.3
3.5
5,223
2.6
実質預金
1,032,788
1,052,971
1,072,219
1,089,623
1,101,018
1,103,401
1,099,274
1,115,960
1,104,369
1,109,828
1,110,316
1,122,089
1,116,149
1,129,872
1,124,023
1,126,151
1,131,409
1,129,478
1,127,944
前年同月比
増 減 率
0.8
1.9
1.8
1.6
1.2
1.4
1.1
1.3
1.6
1.7
1.8
2.0
2.2
2.6
2.5
2.3
2.5
2.7
2.6
譲渡性預金
244
789
999
1,181
1,554
1,293
1,189
1,218
1,352
1,113
998
1,265
1,074
1,102
1,011
1,068
1,167
1,048
1,007
前年同月比
増 減 率
113.7
223.1
26.6
18.1
11.4
△ 2.4
△ 29.2
△ 25.2
△ 7.7
△ 22.7
△ 15.4
△ 1.0
△ 27.1
△ 29.0
△ 29.2
△ 23.3
△ 9.7
△ 21.3
△ 15.2
(備考)1.預金計には譲渡性預金を含まない。
(備考)2.実質預金は預金計から小切手・手形を差引いたもの。
(備考)3.2005年3月から2006年2月までの増減率は、旧杵築信用金庫を調整して算出
地区別預金
年 月 末
2003.
04.
05.
06.
3
3
3
3
6
9
06.11
12
07. 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
年 月 末
2003.
04.
05.
06.
3
3
3
3
6
9
06.11
12
07. 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
(単位:億円、%)
北海道
55,302
56,194
57,186
57,985
58,641
58,766
58,622
60,205
58,372
58,513
59,138
59,630
58,938
59,911
59,433
59,541
59,917
59,592
59,960
近
畿
201,600
205,213
209,461
214,393
217,305
219,449
218,681
221,584
220,072
220,958
220,845
223,704
222,842
225,850
224,865
224,854
226,859
225,874
225,847
前年同月比
増 減 率
1.2
1.6
1.7
1.3
0.5
1.9
0.9
0.8
1.1
1.0
1.9
1.6
1.3
2.1
2.0
1.9
1.9
2.4
2.2
前年同月比
増 減 率
△ 0.1
1.7
2.0
2.3
2.1
2.7
2.4
2.5
2.9
3.0
3.0
3.2
3.3
3.9
3.7
3.1
3.3
3.3
3.2
東
北
39,462
39,896
40,036
40,213
40,779
40,770
40,440
40,914
40,483
40,643
40,258
41,052
40,602
41,131
40,764
40,902
40,999
41,048
40,941
中
国
50,175
50,456
51,044
51,229
51,570
51,527
52,151
53,033
52,658
53,087
52,842
53,504
52,997
53,830
53,293
53,510
53,539
53,296
53,074
前年同月比
増 減 率
1.0
1.0
0.3
0.4
0.0
0.6
△ 0.3
△ 0.3
△ 0.1
△ 0.1
0.1
0.3
0.5
0.8
0.5
0.4
0.5
1.0
1.2
前年同月比
増 減 率
1.0
0.5
1.1
0.3
△ 0.4
△ 0.0
1.7
2.1
2.9
3.0
3.1
3.2
3.7
4.3
3.7
3.7
3.9
3.9
1.7
東
京
193,270
196,903
200,759
205,069
205,867
206,799
205,362
208,032
205,801
206,891
207,952
209,403
208,405
210,840
209,628
210,109
211,311
211,068
210,976
四
国
18,206
18,625
19,286
19,914
20,286
20,416
20,341
20,720
20,526
20,646
20,731
20,845
20,823
21,082
21,000
21,164
21,255
21,255
21,246
前年同月比
増 減 率
0.8
1.8
1.9
2.1
1.5
1.6
0.9
0.9
1.0
1.2
1.4
1.6
1.8
2.4
2.3
2.3
2.1
2.7
2.7
前年同月比
増 減 率
0.7
2.3
3.5
3.2
2.9
3.2
3.3
3.9
3.8
4.0
4.1
4.0
4.0
3.9
3.6
3.8
4.1
4.4
4.4
関
東
197,820
201,888
205,375
208,477
210,381
210,858
209,443
213,450
210,865
211,916
211,889
213,946
212,533
215,468
214,071
214,606
215,626
215,405
214,765
九州北部
17,984
18,298
18,597
18,916
19,345
19,249
19,139
19,621
19,226
19,399
19,220
19,699
19,412
19,672
19,565
19,587
19,697
19,592
19,523
前年同月比
増 減 率
0.4
2.0
1.7
1.5
1.2
1.3
0.9
1.3
1.3
1.4
1.6
1.6
1.8
2.4
2.2
2.2
2.2
2.5
2.5
前年同月比
増 減 率
0.3
1.7
1.6
1.7
1.1
1.0
0.4
1.5
0.9
1.1
1.6
1.5
1.3
1.6
1.9
1.5
2.3
2.1
2.0
北
陸
32,313
32,710
33,050
33,344
33,634
33,576
33,354
33,793
33,417
33,546
33,765
34,048
33,810
34,319
34,126
34,242
34,207
34,036
33,951
南九州
23,746
24,219
24,085
24,078
24,479
24,296
24,125
24,611
24,219
24,136
24,173
24,492
24,258
24,612
24,337
24,405
24,506
24,407
24,355
前年同月比
増 減 率
1.5
1.2
1.0
0.8
0.6
0.7
0.2
0.3
0.8
0.8
1.2
1.3
1.6
2.0
1.7
1.8
1.8
2.1
1.7
前年同月比
増 減 率
0.8
1.9
1.0
△ 0.0
△ 0.2
△ 0.7
△ 0.9
△ 0.4
△ 0.3
△ 0.6
0.3
0.0
△ 0.1
0.5
0.1
0.1
0.8
0.9
0.9
(備考)1.沖縄地区は全国に含めた。
(備考)2.東京・関東地区の2003年3月の増減率は、地区間の事業譲渡を調整して算出
(備考)3.南九州地区・全国の2005年3月から2006年2月までの増減率は、旧杵築信用金庫を調整して算出
78
信金中金月報 2008.2
東
海
204,281
209,402
213,983
217,087
218,626
219,245
217,675
221,471
218,743
220,082
221,464
222,915
221,388
224,034
222,867
223,218
224,847
223,726
223,314
全国計
1,035,536
1,055,175
1,074,324
1,092,212
1,102,468
1,106,414
1,100,747
1,118,837
1,105,755
1,111,189
1,113,772
1,124,680
1,117,440
1,132,280
1,125,368
1,127,548
1,134,180
1,130,677
1,129,367
前年同月比
増 減 率
1.1
2.5
2.1
1.4
1.0
1.1
0.9
1.3
1.4
1.5
2.0
2.0
2.1
2.4
2.3
2.0
2.5
2.5
2.5
前年同月比
増 減 率
0.7
1.8
1.8
1.6
1.2
1.5
1.1
1.4
1.6
1.7
1.9
2.0
2.1
2.7
2.5
2.3
2.5
2.7
2.6
1.(4)信用金庫の預金者別預金
(単位:億円、%)
年 月 末
2003.
04.
05.
06.
3
3
3
3
6
9
06.11
12
07. 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
年 月 末
2003.
04.
05.
06.
3
3
3
3
6
9
06.11
12
07. 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
年 月 末
2003.
04.
05.
06.
3
3
3
3
6
9
06.11
12
07. 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
預金計
1,035,334
1,054,774
1,074,223
1,092,110
1,102,467
1,106,412
1,100,746
1,118,836
1,105,754
1,111,188
1,113,482
1,124,681
1,117,438
1,132,279
1,125,367
1,127,547
1,134,178
1,130,676
1,129,366
一般法人預金
173,622
175,652
178,067
181,849
179,403
188,040
180,144
187,920
178,142
177,245
186,590
189,049
181,340
185,745
179,621
177,459
188,799
180,642
179,601
要求払
11,804
9,929
10,292
11,146
12,804
10,336
13,364
10,467
12,165
12,450
10,088
10,783
14,055
10,800
12,918
12,702
10,041
11,011
12,560
前年同月比
増 減 率
0.7
1.8
1.8
1.6
1.2
1.5
1.1
1.4
1.6
1.7
1.9
2.0
2.1
2.7
2.5
2.3
2.5
2.7
2.6
個人預金
前年同月比
増 減 率
△ 4.9
1.1
1.4
2.1
1.2
3.6
0.8
0.5
1.0
1.0
2.6
0.9
0.9
3.5
0.8
0.3
0.4
0.1
△ 0.3
要求払
前年同月比
増 減 率
△ 2.0
△ 15.8
3.7
8.3
△ 1.3
△ 15.0
△ 1.9
0.2
△ 0.6
△ 2.6
△ 9.4
△ 3.9
△ 2.6
△ 15.6
△ 0.7
△ 3.1
△ 2.8
△ 3.7
△ 6.0
定期性
820,195
842,751
861,039
873,926
880,320
878,463
879,432
893,608
889,036
895,973
893,616
900,815
894,732
906,631
902,420
907,629
906,248
911,249
908,363
84,315
88,396
93,657
99,317
97,585
105,045
96,921
105,320
94,757
94,026
102,909
104,924
97,298
102,040
95,704
93,498
104,504
95,897
95,838
10,366
10,554
9,410
9,939
15,607
15,022
14,401
14,373
13,883
12,908
10,864
11,968
13,877
17,031
17,256
16,843
16,210
15,461
15,703
前年同月比
増 減 率
2.2
2.7
2.2
1.4
1.2
1.2
1.3
1.5
1.8
2.0
2.2
2.4
2.6
2.9
2.9
2.9
3.1
3.3
3.2
要求払
前年同月比
増 減 率
△ 1.4
4.8
5.9
6.0
4.0
7.1
1.0
0.8
1.2
1.0
3.6
0.3
0.0
4.5
△ 0.5
△ 1.3
△ 0.5
△ 1.1
△ 1.1
定期性
211,169
226,091
243,198
263,269
271,461
266,124
264,704
272,640
266,902
273,833
270,825
276,565
269,277
278,151
269,945
273,384
271,257
275,073
269,715
88,922
86,899
84,078
82,264
81,528
82,720
82,956
82,349
83,144
82,975
83,430
83,883
83,805
83,464
83,660
83,695
84,022
84,472
83,451
前年同月比
増 減 率
8.2
7.0
7.5
8.2
6.8
5.4
4.0
3.1
3.3
3.4
2.8
2.6
2.3
2.4
1.6
1.6
1.9
2.0
1.8
定期性
608,742
616,073
616,915
610,130
608,292
611,780
614,212
620,459
621,676
621,696
622,333
623,801
625,018
628,069
632,052
633,772
634,502
635,693
638,113
前年同月比 外貨預金等 前年同月比
増 減 率
増 減 率
0.3
273
24.1
1.2
576
110.9
0.1
915
58.7
△ 1.0
515 △ 43.6
△ 1.0
557 △ 32.1
△ 0.4
549 △ 24.4
0.2
505 △ 15.4
0.9
498 △ 8.8
1.1
447 △ 15.7
1.3
433 △ 16.2
2.0
446 △ 13.3
2.4
439 △ 15.4
2.7
427 △ 24.8
3.2
401 △ 27.9
3.5
413 △ 26.7
3.5
462 △ 16.2
3.7
479 △ 12.6
3.8
473 △ 6.3
3.8
525
4.0
前年同月比 外貨預金等 前年同月比
増 減 率
増 減 率
△ 8.1
376
28.2
△ 2.2
349 △ 7.3
△ 3.1
323 △ 7.4
△ 2.1
259 △ 19.8
△ 1.8
281 △ 8.2
△ 0.2
266 △ 9.6
0.6
257 △ 0.4
0.2
243 △ 8.8
0.8
232 △ 12.8
1.0
235 △ 9.9
1.4
242 △ 6.4
1.8
233 △ 14.7
2.0
229 △ 20.3
2.3
233 △ 17.2
2.5
249 △ 10.9
2.4
257 △ 4.4
1.5
264 △ 0.6
1.6
265
0.1
0.5
302
17.4
前年同月比 外貨預金等 前年同月比
増 減 率
増 減 率
△ 3.4
118 △ 41.2
1.8
298
152.7
△ 10.8
349
17.2
5.6
444
27.0
9.2
70 △ 36.0
12.0
122
57.6
14.7
329
47.4
18.0
60
59.1
16.0
76
*
16.0
87
*
9.3
562
26.4
11.1
53
*
11.0
209
*
9.1
91
29.1
9.6
324
177.8
8.8
213 △ 11.1
7.9
409
235.5
8.2
39 △ 39.7
9.0
135 △ 58.8
金融機関預金
19,217
15,579
15,055
14,797
14,252
14,420
13,066
12,397
12,443
12,515
11,753
12,003
13,214
11,970
12,817
12,691
12,461
12,263
12,994
公金預金
22,292
20,785
20,055
21,534
28,486
25,484
28,099
24,905
26,128
25,449
21,517
22,808
28,145
27,926
30,503
29,763
26,664
26,515
28,402
前年同月比
増 減 率
△ 3.0
△ 6.7
△ 3.4
7.3
4.0
△ 0.6
6.3
9.9
7.9
6.4
△ 0.0
3.6
4.4
△ 1.9
5.6
3.2
4.6
2.7
1.0
政府関係 譲渡性預金
前年同月比 預 り 金
増 減 率
△ 4.3
1
244
△ 18.9
0
789
△ 3.3
0
999
△ 1.7
0
1,181
△ 2.5
0
1,554
△ 2.2
0
1,293
△ 11.9
0
1,189
△ 11.1
0
1,218
△ 14.0
0
1,352
△ 16.4
0
1,113
△ 20.5
0
968
△ 11.2
0
1,235
△ 11.5
0
1,044
△ 16.0
0
1,102
△ 10.2
0
1,011
△ 13.9
0
1,068
△ 13.5
0
1,167
△ 1.0
1
1,048
△ 0.5
0
1,007
(備考)1.日本銀行 「預金現金貸出金調査表」より作成。このため、「日計表」による(3)預金種類別・地区別預金の預金計とは
(備考)1一致しない。
(備考)2.2005年3月から2006年2月までの増減率は、旧杵築信用金庫を調整して算出
統 計
79
1.(5)信用金庫の科目別貸出金、地区別貸出金
科目別貸出金
年 月 末
2003.
04.
05.
06.
3
3
3
3
6
9
06.11
12
07. 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
(単位:億円、%)
貸出金計
626,342
622,364
620,948
626,702
622,741
632,882
628,556
637,674
629,497
628,451
634,954
629,616
625,446
629,111
627,634
628,009
635,458
629,288
629,556
割引手形
前年同月比
増 減 率
△ 2.1
△ 0.6
△ 0.1
0.9
1.2
1.5
1.1
0.9
0.9
0.8
1.3
0.8
0.7
1.0
0.5
0.5
0.4
0.3
0.1
24,051
22,388
20,555
18,931
18,176
19,738
17,691
20,934
18,306
17,781
20,168
19,329
17,123
19,026
16,880
16,462
18,496
16,276
16,447
貸付金
前年同月比
増 減 率
△ 16.3
△ 6.9
△ 8.1
△ 7.8
△ 7.2
3.2
△ 5.5
△ 5.2
△ 4.8
△ 4.5
6.5
△ 4.8
△ 5.3
4.6
△ 6.0
△ 6.0
△ 6.2
△ 6.8
△ 7.0
602,291
599,975
600,393
607,770
604,564
613,143
610,865
616,739
611,191
610,669
614,786
610,287
608,323
610,085
610,753
611,546
616,962
613,011
613,108
前年同月比
増 減 率
△ 1.4
△ 0.3
0.1
1.2
1.4
1.4
1.3
1.1
1.1
1.0
1.1
1.0
0.9
0.9
0.7
0.7
0.6
0.5
0.3
手形貸付
84,739
77,758
71,918
67,172
61,659
63,283
62,652
64,121
62,556
62,567
62,627
59,898
57,997
58,126
58,450
58,733
60,102
59,142
59,264
前年同月比
増 減 率
△ 6.8
△ 8.2
△ 7.4
△ 6.5
△ 7.1
△ 7.3
△ 6.2
△ 6.5
△ 6.5
△ 6.6
△ 6.7
△ 6.2
△ 5.7
△ 5.7
△ 5.7
△ 5.3
△ 5.0
△ 5.4
△ 5.4
証書貸付
484,045
490,499
498,000
510,693
514,076
519,681
518,416
522,586
518,874
518,296
522,187
521,403
521,016
523,089
522,963
523,267
526,214
524,091
523,812
前年同月比
増 減 率
△ 0.3
1.3
1.5
2.5
2.8
2.8
2.4
2.2
2.1
2.0
2.2
1.8
1.7
1.7
1.5
1.4
1.2
1.2
1.0
当座貸越
33,506
31,717
30,473
29,904
28,828
30,178
29,796
30,031
29,759
29,804
29,971
28,984
29,308
28,870
29,339
29,545
30,645
29,777
30,031
前年同月比
増 減 率
△ 3.0
△ 5.3
△ 3.8
△ 1.8
△ 1.1
△ 1.5
0.3
0.8
1.3
0.7
0.2
1.4
1.1
0.1
0.7
0.9
1.5
1.2
0.7
(備考)2005年3月から2006年2月までの増減率は、旧杵築信用金庫を調整して算出
地区別貸出金
年 月 末
2003.
04.
05.
06.
3
3
3
3
6
9
06.11
12
07. 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
年 月 末
2003.
04.
05.
06.
3
3
3
3
6
9
06.11
12
07. 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
(単位:億円、%)
北海道
29,628
29,855
29,999
30,652
29,539
30,167
30,074
30,608
29,868
30,042
31,012
30,043
29,403
29,524
29,454
29,554
29,870
29,655
29,476
近
畿
124,418
122,626
121,978
124,456
124,997
127,160
126,035
127,974
126,424
126,180
127,784
127,252
126,169
127,308
126,839
127,018
128,589
127,182
127,289
前年同月比
増 減 率
0.3
0.7
0.4
2.1
1.7
1.8
1.3
0.0
0.2
0.0
1.1
0.1
△ 0.1
△ 0.0
△ 0.3
△ 0.3
△ 0.9
△ 1.3
△ 1.9
前年同月比
増 減 率
△ 4.4
△ 1.4
△ 0.5
2.0
2.7
3.1
2.3
2.0
2.0
1.9
2.6
1.8
1.3
1.8
1.1
1.2
1.1
1.0
0.9
東
北
24,413
23,865
23,463
23,277
22,796
23,061
22,857
23,009
22,779
22,763
22,851
22,559
22,512
22,545
22,478
22,468
22,648
22,483
22,477
中
国
30,140
29,815
29,537
29,238
28,889
29,311
29,754
30,105
29,791
29,778
30,232
29,863
29,838
30,022
29,951
29,941
30,247
29,899
29,990
前年同月比
増 減 率
△ 0.4
△ 2.2
△ 1.6
△ 0.7
△ 0.7
△ 0.5
△ 1.4
△ 1.5
△ 1.7
△ 1.9
△ 1.8
△ 1.8
△ 1.2
△ 1.1
△ 1.4
△ 1.4
△ 1.7
△ 1.8
△ 1.6
前年同月比
増 減 率
△ 2.2
△ 1.0
△ 0.9
△ 1.0
△ 0.3
0.1
2.3
2.1
2.0
1.8
3.3
3.1
3.3
3.9
3.3
3.1
3.1
3.0
0.7
東
京
124,445
123,525
123,026
123,508
123,438
124,975
123,920
125,649
123,958
123,601
124,506
123,813
122,777
123,681
123,490
123,514
124,845
123,805
123,943
四
国
10,823
10,800
10,753
10,631
10,472
10,565
10,464
10,545
10,463
10,490
10,608
10,527
10,540
10,547
10,550
10,557
10,675
10,602
10,634
前年同月比
増 減 率
△ 2.1
△ 0.7
△ 0.4
0.3
0.6
0.9
0.1
0.0
△ 0.0
△ 0.0
0.8
0.1
△ 0.0
0.1
△ 0.1
△ 0.0
△ 0.1
0.0
0.0
前年同月比
増 減 率
△ 1.3
△ 0.2
△ 0.4
△ 1.1
△ 1.4
△ 1.5
△ 1.1
△ 1.1
△ 0.9
△ 0.4
△ 0.2
0.3
0.4
0.7
0.7
0.7
1.0
1.4
1.6
関
東
116,756
116,513
117,256
118,550
117,450
119,173
118,425
119,890
118,568
118,397
119,227
118,389
117,889
118,264
118,096
118,061
119,466
118,298
118,271
九州北部
11,575
11,406
11,364
11,523
11,433
11,684
11,558
11,731
11,577
11,536
11,566
11,534
11,422
11,508
11,484
11,507
11,663
11,551
11,577
前年同月比
増 減 率
△ 1.9
△ 0.2
0.6
1.1
0.9
1.1
1.0
0.8
0.8
0.8
0.5
0.3
0.5
0.6
0.4
0.3
0.2
0.1
△ 0.1
前年同月比
増 減 率
0.2
△ 1.4
△ 0.3
1.3
1.8
2.4
1.1
0.8
0.7
0.3
0.3
0.2
0.2
0.6
0.0
△ 0.1
△ 0.1
0.1
0.1
北
陸
19,061
18,768
18,633
18,546
18,344
18,483
18,308
18,551
18,354
18,249
18,384
18,223
18,190
18,253
18,247
18,259
18,362
18,179
18,163
南九州
15,489
15,470
15,362
15,260
15,098
15,225
15,221
15,441
15,224
15,208
14,963
14,897
14,857
14,826
14,764
14,749
14,910
14,881
14,890
前年同月比
増 減 率
△ 1.1
△ 1.5
△ 0.7
△ 0.4
△ 0.4
△ 0.4
△ 0.5
△ 1.0
△ 0.3
△ 0.8
△ 0.8
△ 0.5
△ 0.7
△ 0.4
△ 0.6
△ 0.1
△ 0.6
△ 0.5
△ 0.7
前年同月比
増 減 率
△ 3.0
△ 0.1
0.6
△ 0.6
△ 0.4
△ 0.6
△ 0.6
△ 0.4
△ 0.6
△ 0.4
△ 1.9
△ 1.8
△ 1.4
△ 1.8
△ 2.5
△ 2.5
△ 2.0
△ 2.2
△ 2.1
(備考)1.沖縄地区は全国に含めた。
(備考)2.東京・関東地区の2003年3月の増減率は、地区間の事業譲渡を調整して算出
(備考)3.南九州地区・全国の2005年3月から2006年2月までの増減率は、旧杵築信用金庫を調整して算出
80
信金中金月報 2008.2
東
海
118,573
118,715
118,485
119,924
119,225
122,032
120,894
123,132
121,452
121,178
122,722
121,510
120,822
121,612
121,269
121,377
123,172
121,746
121,839
全国計
626,342
622,364
620,948
626,702
622,741
632,882
628,556
637,674
629,497
628,451
634,954
629,616
625,446
629,111
627,634
628,009
635,458
629,288
629,556
前年同月比
増 減 率
△ 0.8
0.1
△ 0.1
1.2
1.7
2.1
2.0
1.9
2.0
1.9
2.3
1.7
1.7
2.0
1.3
1.1
0.9
0.8
0.7
前年同月比
増 減 率
△ 2.1
△ 0.6
△ 0.1
0.9
1.2
1.5
1.1
0.9
0.9
0.8
1.3
0.8
0.7
1.0
0.5
0.5
0.4
0.3
0.1
1.(6)信用金庫の貸出先別貸出金
(単位:億円、%)
年 月 末
貸出金計
企業向け計
前年同月比
増 減 率
2003. 3
04. 3
05. 3
05.12
06. 3
前年同月比
構成比
増 減 率
構成比
製造業
前年同月比
増 減 率
構成比
建設業
前年同月比
増 減 率
構成比
626,341 △ 2.1
622,363 △ 0.6
620,947 △ 0.1
100.0
100.0
100.0
415,266
405,336
404,453
△ 4.5
△ 2.3
△ 0.1
66.3
65.1
65.1
86,148
82,022
79,376
△ 7.9
△ 4.7
△ 3.2
13.7
13.1
12.7
65,273
61,786
59,463
△ 8.5
△ 5.3
△ 3.7
10.4
9.9
9.5
631,722
626,700
0.4
0.9
100.0
100.0
415,004
407,728
0.9
0.8
65.6
65.0
81,428
78,118
△ 2.4
△ 1.5
12.8
12.4
59,608
58,229
△ 2.6
△ 2.0
9.4
9.2
6
9
12
07. 3
622,739
632,880
637,673
634,953
1.2
1.5
0.9
1.3
100.0
100.0
100.0
100.0
405,032
414,906
420,612
416,942
1.0
1.7
1.3
2.2
65.0
65.5
65.9
65.6
77,451
80,002
80,702
79,103
△ 0.7
0.9
△ 0.8
1.2
12.4
12.6
12.6
12.4
55,953
57,774
58,732
57,780
△
△
△
△
2.0
1.4
1.4
0.7
8.9
9.1
9.2
9.0
6
9
629,110
635,457
1.0
0.4
100.0
100.0
412,731
419,293
1.9
1.0
65.6
65.9
77,987
79,015
0.6
△ 1.2
12.3
12.4
55,304
57,078
△ 1.1
△ 1.2
8.7
8.9
年月 末
卸売業
前年同月比
構成比
増 減 率
小売業
前年同月比
構成比
増 減 率
飲食店
前年同月比
構成比
増 減 率
不動産業
前年同月比
構成比
増 減 率
2003. 3
04. 3
05. 3
05.12
06. 3
34,242 △ 6.8
33,039 △ 3.5
32,326 △ 2.1
5.4
5.3
5.2
39,615
37,328
34,509
△ 7.4
△ 5.7
△ 7.4
6.3
5.9
5.5
13,622
12,684
11,812
△ 6.2
△ 6.8
△ 6.8
2.1
2.0
1.9
78,140
82,312
92,948
4.2
5.3
12.9
12.4
13.2
14.9
33,569 △ 0.1
32,103 △ 0.6
5.3
5.1
34,293
33,303
△ 4.8
△ 3.4
5.4
5.3
11,417
11,116
△ 7.5
△ 5.8
1.8
1.7
98,275
100,316
13.2
7.9
15.5
16.0
6
9
12
07. 3
31,809 △ 0.1
33,050
1.3
33,772
0.6
32,828
2.2
5.1
5.2
5.2
5.1
32,997
33,210
33,374
32,640
△
△
△
△
2.7
2.7
2.6
1.9
5.2
5.2
5.2
5.1
11,040
11,097
11,092
10,780
△
△
△
△
4.7
3.3
2.8
3.0
1.7
1.7
1.7
1.6
101,007
103,356
105,814
108,200
6.7
6.7
7.6
7.8
16.2
16.3
16.5
17.0
32,388
33,208
5.1
5.2
32,194
32,534
△ 2.4
△ 2.0
5.1
5.1
10,634
10,613
△ 3.6
△ 4.3
1.6
1.6
108,838
110,446
7.7
6.8
17.3
17.3
6
9
年 月 末
1.8
0.4
サービス業 前年同月比
(各種サービス) 増 減 率 構成比
地方公共団体
前年同月比
構成比
増 減 率
個 人
前年同月比
構成比
増 減 率
住宅ローン 前年同月比
構成比
増 減 率
2003. 3
04. 3
05. 3
05.12
06. 3
―
86,079
83,956 △ 2.4
80,908 △ 3.6
13.7
13.4
13.0
15,680
16,932
18,529
15.9
7.9
9.4
2.5
2.7
2.9
195,395
200,095
197,965
2.1
2.4
△ 1.0
31.1
32.1
31.8
134,682
143,110
143,956
5.7
6.2
0.6
21.5
22.9
23.1
81,816 △ 2.8
80,075 △ 1.0
12.9
12.7
18,081
21,043
11.4
13.5
2.8
3.3
198,637
197,929
△ 1.6
△ 0.0
31.4
31.5
147,674
148,058
0.5
2.8
23.3
23.6
6
9
12
07. 3
80,006 △ 0.4
81,049
0.2
81,435 △ 0.4
79,987 △ 0.1
12.8
12.8
12.7
12.5
20,029
20,123
20,454
23,294
15.3
16.4
13.1
10.6
3.2
3.1
3.2
3.6
197,678
197,851
196,607
194,717
0.2
△ 0.3
△ 1.0
△ 1.6
31.7
31.2
30.8
30.6
148,634
149,526
149,757
149,211
2.9
2.4
1.4
0.7
23.8
23.6
23.4
23.4
6
9
79,688 △ 0.3
80,135 △ 1.1
12.6
12.6
22,882
22,937
14.2
13.9
3.6
3.6
193,497
193,227
△ 2.1
△ 2.3
30.7
30.4
148,966
149,217
0.2
△ 0.2
23.6
23.4
(備考)1.日本銀行「業種別貸出金調査表」より作成。このため、「日計表」による(5)科目別・地区別貸出金の貸出金計とは一
1致しない。
2.企業向け計には、海外円借款、国内店名義現地貸を含む。
3.2003年3月の業種分類の見直しに伴い、製造業の対象業種から「出版業」が除かれ、従来の「出版・印刷業」に代えて「印
1刷業」のみが対象となったことから、増減率の算出においては、出版業・印刷業とも除いて算出した。また 「サービス業」
1は「各種サービス」となり飲食店等を含む。
4.2005年3月から2005年12月までの増減率は、旧杵築信用金庫を調整して算出
統 計
81
1.(7)信用金庫の余裕資金運用状況
(単位:億円、%)
年 月 末
2003.
04.
05.
06.
3
3
3
3
6
9
06.11
12
07. 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
年 月 末
2003.
04.
05.
06.
3
3
3
3
6
9
06.11
12
07. 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
年 月 末
2003.
04.
05.
06.
3
3
3
3
6
9
06.11
12
07. 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
現
金
17,492
16,040
19,162
16,963
15,086
15,898
15,515
16,810
15,718
14,666
17,490
15,619
15,262
15,554
15,158
14,385
15,710
14,311
15,285
商
品
有価証券
197
159
78
69
70
62
73
67
62
65
59
58
69
63
58
57
52
47
49
預 け 金
うち信金中金預け金
194,070(
6.6)
196,398(
1.1)
199,157(
1.4)
194,245(△ 2.4)
205,076(△ 9.9)
197,523(△ 5.6)
194,707(△ 5.9)
205,191(△ 1.1)
199,982(△ 2.0)
204,191(△ 1.7)
193,753(△ 0.2)
209,665(
0.8)
205,529(
2.7)
213,170(
3.9)
205,900(
6.2)
213,699(
7.8)
211,465(
7.0)
217,348(
10.2)
214,302(
10.0)
有価証券
248,064(
268,761(
287,574(
306,055(
310,948(
309,959(
312,200(
308,281(
309,172(
311,803(
318,110(
317,596(
319,068(
322,004(
323,738(
318,973(
321,595(
319,363(
321,200(
159,131(△ 0.0)
154,855(△ 2.6)
150,939(△ 2.4)
151,668(
0.4)
187,438(△ 12.3)
171,964(△ 0.0)
175,042(△ 8.5)
184,765(△ 3.6)
180,393(△ 4.2)
184,202(△ 3.7)
168,470(
11.0)
189,240(△ 1.3)
184,105(
1.0)
190,595(
1.6)
184,792(
4.2)
192,371(
6.9)
185,892(
8.0)
194,524(
9.4)
191,207(
9.2)
国
5.0)
8.3)
7.0)
6.4)
10.2)
5.3)
4.3)
2.2)
2.6)
2.3)
3.9)
3.3)
3.3)
3.5)
3.4)
2.5)
3.7)
2.6)
2.8)
債
62,730(
73,655(
82,465(
89,127(
92,095(
92,243(
92,443(
89,957(
91,380(
94,599(
98,728(
98,069(
97,742(
99,556(
99,548(
93,684(
96,477(
93,409(
93,575(
株 式
貸付信託
投資信託
外国証券
4,206
5,449
6,131
9,236
7,070
7,155
7,450
7,359
7,374
7,376
10,514
7,879
7,944
7,937
8,086
8,384
8,427
8,498
8,608
17
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
5,176
5,650
6,745
8,911
9,282
9,369
9,618
8,921
8,595
8,275
9,518
8,647
8,786
9,056
9,544
10,258
10,250
10,382
10,652
41,917
46,121
47,983
47,338
47,974
48,134
48,074
47,969
47,205
46,918
47,161
47,557
47,689
47,431
47,761
49,424
49,916
49,719
50,658
6.4)
17.4)
11.9)
8.0)
20.1)
12.3)
9.7)
5.8)
8.0)
8.5)
10.7)
8.2)
6.7)
8.1)
7.1)
2.2)
4.5)
1.0)
1.2)
その他の
証
券
565
643
1,102
1,466
1,270
1,308
1,328
1,319
1,323
1,338
1,404
1,297
1,299
1,279
1,306
1,299
1,264
1,291
1,304
金融機関
貸 付 等
買入手形
コール
ローン
2,654
2,175
2,472
1,949
2,330
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
0
600
907
0
0
0
150
0
0
0
0
0
0
0
0
0
350
0
0
1,654
1,575
1,555
1,949
2,320
6,657
6,044
8,012
9,026
9,969
7,517
9,476
8,689
9,618
9,455
10,070
9,189
9,787
9,116
地方債
短期社債
24,914
26,755
31,460
34,696
35,087
34,847
34,881
34,544
34,704
34,802
33,976
34,771
35,154
35,476
35,741
35,371
35,234
35,345
35,146
0
0
3
80
579
209
380
541
474
464
169
419
452
599
635
674
369
472
510
余資運用
資 産 計
(A)
468,216
489,360
514,265
524,777
540,046
536,567
535,519
545,124
540,590
547,209
543,515
558,734
555,195
567,128
560,764
563,552
564,589
567,165
566,240
信金中金
利 用 額
(B)
159,131
154,855
150,939
151,668
187,438
171,964
175,042
184,765
180,393
184,202
168,470
189,240
184,105
190,595
184,792
192,371
185,892
194,524
191,207
社
債券貸借取引 買入金銭
買現先勘定
支払保証金 債
権
0
0
0
0
10
0
0
0
0
0
0
10
0
5
5
5
0
0
0
債
108,534(
110,483(
111,680(
115,196(
117,587(
116,690(
118,023(
117,667(
118,114(
118,026(
116,636(
118,954(
119,999(
120,667(
121,114(
119,876(
119,654(
120,244(
120,744(
預貸率
60.4
58.9
57.7
57.3
56.4
57.1
57.0
56.9
56.8
56.4
56.9
55.9
55.9
55.5
55.7
55.6
55.9
55.6
55.6
9.2)
1.7)
1.1)
3.1)
6.0)
1.9)
1.7)
0.8)
1.4)
0.5)
1.2)
1.7)
2.7)
2.6)
2.4)
1.4)
2.5)
2.1)
2.3)
(A)
/預金
45.2
46.3
47.8
47.9
48.9
48.4
48.5
48.6
48.8
49.1
48.7
49.6
49.6
50.0
49.7
49.9
49.7
50.1
50.0
1,000
0
0
0
0
172
345
275
245
300
1,303
328
342
310
235
250
300
415
300
公社公団債
27,267
33,875
39,070
42,609
43,867
43,972
44,822
44,578
44,815
44,957
44,265
45,084
45,668
45,785
45,815
45,128
44,564
44,765
44,875
預証率
23.9
25.4
26.7
27.9
28.1
27.9
28.3
27.5
27.9
28.0
28.5
28.2
28.5
28.4
28.7
28.2
28.3
28.2
28.4
金銭の信託
3,274
3,095
3,142
2,825
3,265
3,017
3,198
3,253
3,155
3,011
2,641
2,926
3,109
3,273
3,102
2,970
2,789
2,772
2,849
2,463
2,729
2,678
2,668
3,268
3,276
3,283
3,234
3,226
3,201
2,637
3,052
3,122
3,126
3,109
3,140
3,135
3,120
3,135
金融債
37,894
34,274
32,452
33,464
34,206
34,054
34,354
34,311
34,350
34,207
33,925
34,446
34,819
35,038
34,957
34,656
34,865
35,014
35,135
その他
43,372
42,334
40,158
39,122
39,513
38,663
38,845
38,777
38,948
38,862
38,445
39,423
39,511
39,843
40,341
40,091
40,224
40,464
40,733
(B)
/預金 (B)
/
(A)
15.3
14.6
14.0
13.8
16.9
15.5
15.8
16.4
16.2
16.5
15.1
16.8
16.4
16.8
16.4
17.0
16.3
17.1
16.9
33.9
31.6
29.3
28.9
34.7
32.0
32.6
33.8
33.3
33.6
30.9
33.8
33.1
33.6
32.9
34.1
32.9
34.2
33.7
(備考)1.( )内は前年同月比増減率
(備考)2.預貸率=貸出金/預金×100(%)、預証率=有価証券/預金×100(%)(預金には譲渡性預金を含む。)
(備考)3.2005年3月から2006年2月までの増減率は、旧杵築信用金庫を調整して算出
(備考)4.2006年8月末までの余資運用資産計は、現金、預け金、金融機関貸付等、買入金銭債権、金銭の信託、商品有価証券、
有価証券の合計
(備考)5.2006年9月末以降の余資運用資産計は、現金、預け金、買入手形、コールローン、買現先勘定、債券貸借取引支払保証金、
買入金銭債権、金銭の信託、商品有価証券、有価証券の合計
82
信金中金月報 2008.2
2.(1)業態別預貯金等
(単位:億円、%)
年 月 末
信用金庫
前年同月比
増 減 率
国内銀行
(債券、信託
を含む。)
前年同月比
増 減 率
大手銀行
(債券、信託
を含む。)
前年同月比
増 減 率
うち預金
前年同月比 うち都市銀行 前年同月比
増 減 率
増 減 率
地方銀行
前年同月比
増 減 率
2003. 3
1,035,536
0.7
6,798,976
0.1
2,760,299
2.2
2,377,699
2.9
1,813,487 △ 0.0
04. 3
1,055,175
1.8
6,798,238 △ 0.0
4,420,297 △ 0.0
2,842,197
2.9
2,456,008
3.2
1,825,541
0.6
05. 3
1,074,324
1.8
6,902,096
1.5
4,483,596
1.4
2,862,150
0.7
2,470,227
0.5
1,878,876
2.9
06. 3
1,092,212
1.6
7,428,778
7.6
4,998,602
11.4
2,911,320
1.7
2,507,624
1.5
1,888,910
0.5
6
1,102,468
1.2
7,517,311
9.1
5,074,970
13.9
2,877,117
1.7
2,472,002
1.4
1,898,302
0.4
9
1,106,414
1.5
7,483,080
8.1
5,048,943
11.8
2,862,311 △ 1.0
2,445,037 △ 1.9
1,888,120
1.1
06.11
1,100,747
1.1
7,553,343
8.7
5,131,675
13.1
2,897,048 △ 0.0
2,471,201 △ 1.1
1,882,090
0.7
12
1,118,837
1.4
7,547,869
8.9
5,089,456
13.2
2,849,604
0.0
2,426,762 △ 0.9
1,909,348
1.2
07. 1
1,105,755
1.6
7,554,018
9.0
5,131,036
13.1
2,877,270
0.1
2,445,668 △ 1.0
1,883,330
1.4
2
1,111,189
1.7
7,587,790
8.4
5,150,568
12.1
2,878,641
0.4
2,450,553 △ 0.5
1,895,719
1.7
3
1,113,772
1.9
7,674,949
3.3
5,191,912
3.8
2,916,384
0.1
2,487,565 △ 0.7
1,936,818
2.5
4
1,124,680
2.0
7,711,382
2.2
5,220,280
2.3
2,933,060
0.8
2,503,887 △ 0.1
1,940,846
2.1
5
1,117,440
2.1
7,760,452
2.7
5,282,297
2.9
2,972,904
1.4
2,542,636
0.6
1,932,453
2.5
6
1,132,280
2.7
7,745,803
3.0
5,236,067
3.1
2,917,118
1.3
2,484,873
0.5
1,955,473
3.0
7
1,125,368
2.5
7,746,206
3.5
5,271,142
4.1
2,947,877
3.0
2,465,884
0.5
1,927,021
2.5
8
1,127,548
2.3
7,715,361
3.1
5,245,795
3.6
2,927,691
2.4
2,443,991 △ 0.1
1,922,268
2.3
9
1,134,180
2.5
7,715,888
3.1
5,231,028
3.6
2,927,602
2.2
2,443,278 △ 0.0
1,932,727
2.3
10
11
1,130,677
1,129,367
2.7
2.6
7,730,154
7,719,141
3.4
2.1
5,271,005
5,245,695
4.0
2.2
2,935,180
2,998,953
2.9
3.5
2,448,690
2,506,126
1,911,750
1,924,611
2.2
2.2
年 月 末
2003. 3
第二地銀
561,426
前年同月比
増 減 率
0.2
信用組合
0.1
前年同月比
増 減 率
4,424,063
労働金庫
前年同月比
増 減 率
農業協同組合
前年同月比
増 減 率
郵便貯金
0.6
1.4
前年同月比
増 減 率
預貯金等合計
前年同月比
増 減 率
148,362 △ 3.3
131,619
5.1
744,202
1.2
2,332,465 △ 2.5
11,191,160 △ 0.3
04. 3
552,400 △ 1.6
152,526
2.8
135,713
3.1
759,764
2.0
2,273,820 △ 2.5
11,175,236 △ 0.1
05. 3
539,624 △ 2.3
156,095
2.3
138,604
2.1
776,685
2.2
2,141,490 △ 5.8
11,189,294
0.1
06. 3
541,266
0.3
159,430
2.1
141,803
2.3
788,653
1.5
2,000,023 △ 6.6
11,610,899
3.7
6
544,039
0.3
―
―
―
―
―
―
1,979,425 △ 6.2
10,599,204
5.1
9
546,017
0.7
―
―
―
―
―
―
1,933,998 △ 6.4
10,523,492
4.4
06.11
539,578
0.1
―
―
―
―
―
―
1,910,493 △ 6.5
10,564,583
4.8
12
549,065
0.2
―
―
―
―
―
―
1,911,981 △ 6.5
10,578,687
5.0
07. 1
539,652
0.5
―
―
―
―
―
―
1,897,960 △ 6.5
10,557,733
5.0
2
541,503
0.6
―
―
―
―
―
―
1,893,813 △ 6.4
10,592,792
4.7
3
546,219
0.9
―
―
―
―
―
―
1,869,692 △ 6.5
10,658,413
1.3
4
550,256
1.1
―
―
―
―
―
―
p 1,869,817 △ 6.4
p10,705,879
0.6
5
545,702
1.3
―
―
―
―
―
―
p 1,847,975 △ 6.5
p10,725,867
0.9
6
554,263
1.8
―
―
―
―
―
―
p 1,848,812 △ 6.5
p10,726,895
1.2
7
548,043
1.5
―
―
―
―
―
―
p 1,833,178 △ 6.6
p10,704,752
1.5
8
547,298
1.2
―
―
―
―
―
―
p 1,827,466 △ 6.5
p10,670,375
1.2
9
552,133
1.1
―
―
―
―
―
―
p 1,808,431 △ 6.4
p10,658,499
1.2
10
11
547,399
548,835
1.7
1.7
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
p 1,869,885
p 1,851,457
p10,730,716
p10,699,965
―
―
―
―
(備考)1.日本銀行『金融経済統計月報』、日本郵政公社ホームページ等より作成
(備考)2.大手銀行は、国内銀行-(地方銀行+第二地銀)の計数
(備考)3.国内銀行・大手銀行には、全国内銀行の債券および信託勘定の金銭信託・貸付信託・年金信託・財産形成給付信託を含めた。
(備考)4.信用組合、労働金庫、農業協同組合の計数については、日本銀行がデータの掲載を中止したことを受けて、更新を停止
(備考)4した。
(備考)5.預貯金等合計は、単位(億円)未満を切り捨てた各業態の預貯金残高の合計により算出した。なお、2006年4月以降に
(備考)4ついては、信用組合、労働金庫、農業協同組合を除いたベースで算出した。
(備考)6.2007年10月以降の郵便貯金は、振替貯金を含む。
統 計
83
2.(2)業態別貸出金
(単位:億円、%)
年 月 末
信用金庫
大手銀行
前年同月比
増 減 率
前年同月比
増 減 率
都市銀行
地方銀行
前年同月比
増 減 率
第二地銀
前年同月比
増 減 率
信用組合
前年同月比
増 減 率
前年同月比
増 減 率
2003. 3
626,342
△ 2.1
2,451,214
△ 5.7
2,072,578
1.8
1,352,514
△ 0.5
429,130
△ 3.4
91,512
△ 23.1
04. 3
622,364
△ 0.6
2,344,621
△ 4.3
1,958,921
△ 5.4
1,352,081
△ 0.0
420,236
△ 2.0
91,234
△ 0.3
05. 3
620,948
△ 0.2
2,243,788
△ 4.3
1,869,540
△ 4.5
1,372,381
1.5
403,403
△ 4.0
91,836
0.6
06. 3
626,702
0.9
2,291,469
2.1
1,896,885
1.4
1,403,556
2.2
412,564
2.2
93,078
1.3
6
622,741
1.2
2,276,952
3.4
1,876,598
2.8
1,395,179
2.9
412,769
3.2
―
―
9
632,882
1.5
2,294,564
1.2
1,887,004
0.5
1,413,802
3.2
417,426
2.9
―
―
06.11
628,556
1.1
2,288,321
1.0
1,888,725
0.4
1,410,040
2.8
413,055
1.7
―
―
12
637,674
0.9
2,302,741
1.3
1,897,603
0.6
1,432,496
2.4
420,533
1.4
―
―
07. 1
629,497
0.9
2,281,417
0.8
1,881,560
0.2
1,421,459
2.6
415,402
1.8
―
―
2
628,451
0.8
2,261,671
0.2
1,863,925
△ 0.3
1,421,583
2.5
414,736
1.6
―
―
3
634,954
1.3
2,270,176
△ 0.9
1,860,370
△ 1.9
1,445,409
2.9
419,377
1.6
―
―
4
629,616
0.8
2,252,332
△ 0.8
1,846,685
△ 1.7
1,433,336
2.7
417,232
1.2
―
―
5
625,446
0.7
2,241,656
△ 1.1
1,837,290
△ 1.9
1,424,249
2.3
415,145
1.0
―
―
6
629,111
1.0
2,257,345
△ 0.8
1,849,285
△ 1.4
1,434,045
2.7
417,219
1.0
―
―
7
627,634
0.5
2,243,160
△ 1.7
1,835,085
△ 2.3
1,435,795
2.7
416,482
0.7
―
―
8
628,009
0.5
2,253,620
△ 1.3
1,843,254
△ 1.9
1,436,701
2.6
416,660
0.7
―
―
9
635,458
0.4
2,250,915
△ 1.9
1,834,185
△ 2.7
1,453,735
2.8
422,248
1.1
―
―
10
11
629,288
629,556
0.3
0.1
2,228,134
2,236,765
△ 2.0
△ 2.2
1,820,383
1,830,816
△ 2.8
△ 3.0
1,443,918
1,447,765
2.8
2.6
419,057
420,320
1.8
1.7
―
―
―
―
年 月 末
労働金庫
前年同月比
増 減 率
7.6
農業協同組合
公的金融機関
うち中小
企業向け
うち住宅
金融公庫
合
計
2003. 3
87,266
215,147
前年同月比
増 減 率
△ 1.0
1,617,238
前年同月比
増 減 率
△ 4.5
279,743
前年同月比
増 減 率
△ 2.8
671,999
前年同月比
増 減 率
△ 7.5
6,870,363
前年同月比
増 減 率
△ 4.0
04. 3
92,664
6.1
214,871
△ 0.1
1,531,569
△ 5.2
274,726
△ 1.7
605,947
△ 9.8
6,669,640
△ 2.9
05. 3
94,887
2.3
212,986
△ 0.8
1,457,114
△ 4.8
270,971
△ 1.3
550,993
△ 9.0
6,497,343
△ 2.5
06. 3
97,095
2.3
213,185
0.0
―
―
―
―
―
―
4,734,291
2.0
6
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,707,641
3.0
9
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,758,674
2.0
06.11
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,739,972
1.6
12
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,793,444
1.6
07. 1
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,747,775
1.5
2
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,726,441
1.1
0.7
3
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,769,916
4
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,732,516
0.6
5
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,706,496
0.3
0.6
6
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,737,720
7
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,723,071
0.0
8
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,734,990
0.2
9
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,762,356
0.0
10
11
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,720,397
4,734,406
0.0
△ 0.1
(備考)1.日本銀行『金融経済統計月報』より作成
(備考)2.大手銀行は、国内銀行-
(地方銀行+第二地銀)の計数
(備考)3.公的金融機関は、日本政策投資銀行、国際協力銀行、国民生活金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業
(備考)3 金融公庫、公営企業金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、商工組合中央金庫の合計
(備考)4.公的金融機関のうち中小企業向けは、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫の合計
(備考)5.信用組合、労働金庫、農業協同組合、公的金融機関の計数については、日本銀行がデータの掲載を中止したことを受け
て、更新を停止した。
(備考)6.合計は、単位(億円)未満を切り捨てた各業態の貸出金残高の合計により算出した。なお、2006年3月以降については、
信用組合、労働金庫、農業協同組合、公的金融機関を除いたベースで算出した。
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信金中金月報 2008.2
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ISSN 1346−9479
2008年(平成20年)2月1日 発行
2008年2月号 第7巻 第2号(通巻422号)
発 行 信 金 中 央 金庫
編 集 信 金 中 央 金 庫 総 合 研 究所
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