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環境計測・精密測定用電磁界シュミレーション
技術情報 研究成果報告 環境計測・精密測定用電磁界シミュレーションに関する研究 (平成 年度) 工業技術指導センター 宮 崎 俊 之 .はじめに 算機の高機能化、低価格化にともない、容易に入手 携帯電話の普及、パーソナルコンピュータの高ク できるパーソナルコンピュータでも充分な解析がで ロック化など、 私達の身の周りのいたるところに 電 磁ノイズ きるようになりました。本研究では の放射源が存在するようになり、それに 、 のメモリをもつパーソナルコン 伴う電子機器の誤動作が世界的に大きな問題になっ ピュータ上でシミュレータを開発し、 ています。電子機器の高度化や軽量・小型化が進む セル 中で、電磁ノイズへの耐性は弱くなる傾向にあり、 可能です。解析例を図 に示します。 セル セル程度の中規模のシミュレーションが またシステムの複雑化に伴い、一部の機器の誤作動 がシステム全体に致命的な影響を与える危険性も増 加してきています。悪化する電磁環境の中で、それ ぞれの機器システムや生態、自然環境が全て両立す る(電磁環境両立性 )ためには、機器の内部で どの様に電磁ノイズが発生し、それがどのように伝 わって、他の機器に誤動作を発生させるかを知るこ 図 とが、非常に重要になってきています。 セル 図 解析空間の分割 一方、物体の内部や表面で電磁波の状態が変化す ることを利用して、情報伝送以外の分野でも電磁波 の特徴を積極的に利用した機器開発が盛んになって います。 電磁波のもつ特徴をうまく利用することで、 従来はわからなかった物体内部の性質を測定をする こともできる様になってきています。 これらの問題に対応するためには、物体の内部や 空間内で電磁界がどのような振る舞いをするのかを 知ることが必要となります。本研究ではこれらの問 題に幅広く対応できる電磁界シミュレーションを パーソナルコンピュータ上に構築しました。 .電磁界シミュレーションの概要 図 解析例 (自由空間中の完全導体による散乱) 本研究では、電磁界シミュレーション手法として 法を採用しました。 する空間を 法は解析しようと セルという直方体で分割し、この .電磁界シミュレーションの応用 本シミュレーションは 任意形状に対して解析可 基本的にどの様な材質でもシミュレーション 直方体の面、辺上に離散的においた電界と磁界の相 能、 互作用として電磁波の伝播を表現します (図 、 )。 が可能、 過渡現象の解析が可能という特徴をもち、 この手法では任意の形状や媒質をシミュレーション 幅広い分野で有効なツールとなります。今後、本シ でき、また時間的にどの様に電磁波が伝播していく ミュレーションを用いたノイズ対策技術の開発や、 かを、文字通り直感的に把握することができる特徴 新しいセンサーの開発を行っていく予定です。 をもっています。反面、大きなメモリ容量や速い計 算機速度を必要とする欠点がありますが、近年の計 北海道立工業試験場技術情報 内線 電話 @