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第3日 ・・・・・アユタヤ

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第3日 ・・・・・アユタヤ
第三日
今日はアユタヤへのツァーだ。ホテルを9時に出発。ラッシュは過ぎているので道
路は空いている。バスは北に向かう。高速道路は途中までバンコク国際空港と同じ路
線なので快調である。脇を見ると高架の高速鉄道を建設中である。橋脚がいやに細い 。
「タイは地震がないようだ 」と言ったら、
「そ
うです 、地震はもちろん、台風もありません 」
とガイドが言う。タイ周辺は安定したプレー
トの上にあるのだろうか。
台風の方はタイの周辺で発生し、その後北
に向かって発達し猛威を振るうので言われて
みれば納得がいく。ところで水害の方はどう
なのだろうか。メナム川には堤防らしきもの
が見られなかったが。
そうこうしているうちにアユタヤ郊外のバ
ン・パイン宮殿に着く。アユタヤ王朝の夏の
宮殿であり、現在も続くラタナコーシン王朝
(現タイ王朝)の離宮として使われている。タ
写真12.バン・パイン宮殿
イ宮内庁の管理下にあり、国賓が招かれ、晩餐会が開かれたりもすると言う。
そのため、中にはいるとところどころに目立たぬように兵士が立っている。入口と
池の脇にに売店があるだけで、物売りもいないので庭園内は至って静かである。チャ
オプラヤ川の中州に作られているということ、美しい芝生と広い池が見事に調和して
いる。池の中にある十文字型の建物の中には軍服姿のラーマ5世の像が立っている。
この建物がこの離宮の中心のようだ。敷地内には他にいくつかの建物がある。
特色のあるのは中国風の
プラ・ティナン・ウェーハ
ート・チャムルーンという
建物だ。朱色に塗られた建
物はとても目立つが、床に
敷かれた中国産だというタ
イルは鳥や木や動物が描か
れている。中はチーク材で
作られた王座や寝室などの
彫刻が見事である。象牙で
写真13.プラ・ティナン・ウェーハート・チャムルーン
作られたと思われる彫刻があった 。これを象牙で作ったとしたら大変だなと思ったら、
らくだの骨で作ったのだという。
この建物から出ると近くに見晴台がある。コンクリート製で灯台のような形をして
いるが高さは30m程度ある 。上ってみたら 、水田が遠くに広がっているのが見えた 。
その後、向かったのは日本人
町跡である。あの山田長政が
活躍した地である。つい最近
までは荒れ放題でなにもなか
ったというが、現在は白い建
物の日本人町歴史研究センタ
ーが建っていて、中に山田長
政の銅像がある。また、敷地
内には「アユタヤ日本人町と
山田長政」という石碑があり 、
写真14.山田長政公園から見たチャオプラヤ川
説明文が英語とタイ語と日本
語で書かれている。
この日本人町には16世紀初頭の最盛期には1 ,500人もの日本人が住んでおり 、
タイ人などを含めると8,000人にもなったという。四方を川に囲まれたアユタヤ
は当時 、有数の国際貿易港として栄えていたのである。チャオプラヤ川に面しており 、
対岸にはポルトガル人町が見える。
この岸辺に立ってみると、おそらく昔と変わらない、ゆったりとした川の流れがあ
り、のどかな風景が広がっていた。
350年も前、ここに住んだ人々はいったい何を考え、どのような生き方をしてい
たのだろうかと考えずには、いられなかった。
昼食は Utang-inn というホテルで取る。バイキング形式だが、なんと、寿司が出
た。まぐろの握りやかっぱ巻きなど。ご飯も粘りのある日本米に近いものだ。何でも
日本企業の人が出張で来てよく利用するホテルなのだそうだ。
午後からは、アユタヤ王宮跡を見る。王族や貴族や諸外国の高官たちの華やかな宮
廷生活の舞台になった宮殿も、1767年のビルマによる侵略のため徹底的に破壊し
尽くされ、今はその影もない。といわれるが、ワット・プラ・シー・サンペットを廻
ると15世紀に建てられ、バンコク王朝時代に再建されたたという3基のチェディが
立っており、その独特な文化が我々に強く過去の栄華を語りかけてくる。
イギリス人から「ロンドンのように見事な町」といわれた国際都市アユタヤはいっ
たいどのような町であったのだろうか。アユタヤ歴史公園の広がりや世界遺産に指定
されているという史跡を見、四方を川で囲まれたこの町の地形を考え、想像をたくま
しくすれば、この都市がいかに、素晴らしい都市であったということはよく分かる。
だが、真の素晴らしさを現在の我々は見ることが出来ない。戦争の愚かしさを痛感
写真15.アユタヤ歴史公園
するしかないのである。
三つのチェディには王の遺骨が納められているという。階段を登り、入口があるの
で中に入ろうとすると異様な臭いがしてきた。中で「チュッ・チュッ」という鳴き声
がする。コウモリの巣になっていたのだった。この三つのチェディにはライトアップ
できる施設があった。夜に来てみるとまた、素晴らしい雰囲気となるのではないか。
その後、ワット・ヤイ・チャイ・モンコン(チャオプラヤ・タイ寺院)に行く。こ
の寺院はアユタヤ王朝の初代王がセイロンから修行僧のために建てた寺院でアユタヤ
朝最古の寺院だという。
1592年にビルマ王に勝利したナレビアン王が、ビルマ軍がビルマに建てたワッ
ト・プー・カオ・トンに対抗し 、「もっと高い塔を」と命じて作らせた、高さ72mチ
ェディがある。しかし、高さはわずかに及ばなかった。この塔は1767年の破壊か
ら免れたという。写真に収めようとしたが、アングルの関係で全体を取ることがどう
してもできなかった。
金堂には大きな仏像がまつられているが、その中に大きな壁画がある。描かれてい
るのはナレビアン王が像の上に乗ってビルマ王子と戦っている姿である。昔は王と王
との一騎打ちをやっていたようだ。必死で戦っていたとはいえ、優雅な戦争だったの
である。
この寺院で有名なのは、チェディをずらっと囲む仏像である。一体いくつあるのだ
ろうか。ずらりと並ぶ座仏像の眺めは壮観である。みな黄衣をまとっている。
仏教の国、タイの人
々の信心深さがよく
現れている寺院であ
る。
この寺院には、横た
わる涅槃像もある。
日本では横たわって
いる仏像というのは
見たことがないが、
とてもユーモラスな感
写真16.チャオプラヤ・タイ寺院の座仏像
じがして親しみが持てる。宗教といえども、あまりかしこまらなくてもいいと言うこ
となのか。
タイの人たちは仏像に金
箔を張る習慣がある。足だ
とか胸だとか、自分の体が
悪い部分に張るとそこが直
るのだという。頭に貼る人
も当然多いわけである。写
真で顔が黒くなっている部
分は金箔である。しかし、
金箔を張ることによって、
仏像が汚れてしまうのは好ま
写真 17.
横たわる涅槃像
しくないと思う。
そのほか、ポアン・マー・ライ(poang ma lai)と呼ばれる花の首飾りのようなも
のを街角でよく売っている。結構、精巧に出来ている。よく、お供えに使ったりして
いる。観光バスの運転手は運転席に飾っていて、毎日取り変えていた。交通安全のお
守りのようなものにもなるのだろう。
アユタヤの観光はこの寺院で終わり 。でも、アユタヤはとても、歴史が感じられて、
印象深い町となった。
夕食は、タイ風のすき焼き、あっさりとした味である。すき焼きというふれこみでは
あったが、実際は寄せ鍋といったところか。最後に卵入りのおじやを作ってくれた。
タイでの食事はこれが最後と言うことになったが、日本人には、ほとんど抵抗のない
3日間の食事であった。
最後に訪れたのは 、世界にその名を知らしめるパッポン通り、屋台がずらりと並び、
時計・シャツ・バックなどの偽ブランド商品がずらりと並んで売られている。ビキニ
の水着で踊るゴーゴー・バーなどが軒を連ねていて、夜ともなると、非常に活気が出
てくる。ナイキやアディダスの正規販売店も通りにあるのが全くの不思議である。誰
が買ってもおかしくないきれいなバックや小物を売っている明るい感じの店もある。
まことにバンコクの混沌を凝縮したような通りである。
屋台の偽ブラ
ンド商品を買う
のに、値段は交
渉になる 。
「あな
たの買いたい金
額はいくら」と
まず電卓を出さ
れる。適当に価
格を打ち込むと
相手も値段を入
れてくる。そして、
写真18.パッポン通りの夜店
「じゃ、中をとりましょう」という。相手のペースに、はまったらダメである。店の
人が最初にいって来る半額くらいが相場だというが 、それでも高いという意見もある。
店員のいう値段をまともに聞いて買うと全く馬鹿を見る。
ここで、ナイキのTシャツを2枚350B(1000円)で買った。騙されたとし
ても、もともとか。そのほかカルバン・クラインのバンドを買う。並べてあるのは短
いので私には使えないと分かったら 、すぐに長いものを出してきた 。
「皮が柔らかいし 、
あまりいいものではないね」といったら、皮にライターで火を付けて「大丈夫」とい
う仕草。値段の交渉で行き詰まり、
「それでは、いらない」といって帰ろうとすると、
「あなたの言った値段でOK」。とにかく駆け引きしながら買う。ここでの買い物は、
ゲームなのだ。
だから、ここで、買った偽ブランド品を見破られたら、こういえばいい「パッポン
通り買った意味のあるブランド品である。本物のブランド品より価値がある 」。
夜は更けてきたので、ホテルに帰った。翌朝早くにバンコク国際空港に到着。帰り
は偏西風の影響で行きよりも1時間早く成田に着いた。
タイの旅は予想外に充実した旅だった。バンコクの町は活気に満ちていたし、歴史
と文化を感じることの出来る旅でもあった。食事もよかったし、気候も昼間、ちょっ
と暑い(タイはこの時期一番寒いのである)ことをのぞけば過ごしやすかった。多く
の国を旅したわけではないが、東南アジアでは、もっとも旅をしやすい国なのではな
いかと思う。ガイドをしてくれたタイ人のBさんとタイの人々に「楽しい旅」が出来
たことを感謝し、終わりとしたい。
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