Comments
Description
Transcript
外貨運用なら是非、日本国債へ!?
2015 年 12 月 11 日 第 10 号 外貨運用なら是非、日本国債へ!? 国内債券運用部 亀松 泰三 残存 3 年くらいまでの日本国債(Japanese Government Bond.以下、JGB)の利回りが マイナスまで低下しています。当然のことですが、マイナス利回りの JGB を買って満期 まで保有すれば損することになります。従って、円の投資家から見れば、買って損をす る JGB に投資するよりは、投資をせずに円キャッシュとして置いておく方が合理的な行 動と言えます。 なぜこのマイナス金利はなかなか解消されないのでしょうか?そこにはマイナス金 利であっても JGB を買い進める外国人投資家の存在が大きいと考えられます。その低い 利回り水準故に投資妙味が低いと思われがちな JGB ですが、ドルをベースとする外国人 投資家から見ると、ドル円スワップを介してドル建てにした JGB(以下、ドル建 JGB) の投資妙味が高まっているからです。これは米国の利上げ観測に基づくドル先高感や中 国等海外公的機関のドル需要等により、ドル円スワップ市場におけるドル調達コストが 上昇していることが背景にあります。ドル建 JGB に投資することは、概念的には円を借 りて JGB に投資しつつ、その借入コストを支払う一方、ドルを貸してその貸付利息を受 け取ることになります。従ってドル調達コスト上昇はドル建 JGB の利回り上昇要因とな ります(ドル建 JGB については参考図参照) 。 赤線:ドル建 JGB(2 年)利回り 黒線:米国債(2 年)利回り 青線:日本国債(2 年)利回り ドル建 JGB(2 年)利回り-米国債(2 年)利回り (出所:Bloomberg) 上のグラフで見ると、2 年の JGB 利回りはマイナスまで低下していますが、これにド 当資料は情報提供を目的として大和住銀投信投資顧問が作成したものであり、特定の投資信託・生命保険・株式・債券等の売買を推奨・勧誘するものではありま せん。■当資料は各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。■当資料に記載された意 見、予測等は、資料作成時点におけるレポート作成者の判断に基づくもので、今後予告なしに変更されることがあり、また当社の他の従業員の見解と異なることが あります。■当資料内の運用実績等に関するグラフ、数値等は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。■当資料内のいかなる内容 も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。 1 ル円スワップを介してドル建としたドル建 JGB は 1.5%以上の利回りとなります。2 年の 米国債利回りが 0.9%程度になりますので、円ベースではマイナス金利であっても、ド ルベースの投資家から見れば JGB は十分に投資妙味があることが分かります。 日本の投資家であっても、現在のような市場環境が続くと考えられ、且つドル建て債 券への投資を検討する機会があるのであれば、投資先の 1 つとして“ドル建ての日本国 債”という選択肢もあるのではないでしょうか? 【参考図】 円固定払い JGB 証券会社 ②JGB購入 日本円 JGB JGB 利回り ドル 投資家 日本円 為替取得 銀行 ①為替取引 【A】円金利スワップ 円変動受け 円変動受払相殺** (円変動+β*)払い 【B】ドル円スワップ ドル変動受け スワップ カウンター パーティー ドル変動受払相殺** ドル変動払い 【C】ドル金利スワップ 米ドル ドル固定受け 【ドル建 JGB スキーム】 ○投資家は、米ドルを日本円に円転し(上図①)、その円で JGB を購入(上図②)。 ○同時に、スワップカウンターパーティーと【A】、【B】、【C】のスワップを締結し、円の固定金利をドルの固定金 利に変換。 ・【A】は円の固定金利を払い、円の変動金利を受けるスワップ。 ・【B】は(円の変動金利+β*)を払い、ドルの変動金利を受けるスワップ。 (*)βがドル円ベーシス。β値が低下する(マイナス幅が大きくなる)ことは、円の調達コスト低下/ドルの調達 コスト上昇を意味し、【B】のスワップにおける払いの減少を意味(ネットでの受け取り増加に寄与)。 ・【C】はドルの変動金利を払い、ドルの固定金利を受けるスワップ。 (**)円変動金利受払とドル変動金利受払は各々相殺されるため、投資家は、 JGB 利回り - 円固定金利 + ドル固定金利 - β(ドル円ベーシス) を受け取ることになる。 即ち、βの値がマイナスになればなるほど、投資妙味が高まることになる。 当資料は情報提供を目的として大和住銀投信投資顧問が作成したものであり、特定の投資信託・生命保険・株式・債券等の売買を推奨・勧誘するものではありま せん。■当資料は各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。■当資料に記載された意 見、予測等は、資料作成時点におけるレポート作成者の判断に基づくもので、今後予告なしに変更されることがあり、また当社の他の従業員の見解と異なることが あります。■当資料内の運用実績等に関するグラフ、数値等は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。■当資料内のいかなる内容 も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。 2