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3つのフィールドの有機的な結び つきによるお客さまへの 最適な情報
100 株式会社NTTデータ スミス http://www.smis.co.jp/ 3つのフィールドの有機的な結び つきによるお客さまへの 最適な情報(化)サービスを! NTTデータ スミスは,マーケティングリサーチ,データマイニン グ,システムの3領域での専門性を発揮,融合して主に流通業,外食 業での情報支援サービスを展開している.東京池袋の超高層ビル 「サンシャイン60」の51階にオフィスを構えるNTTデータ スミス は,NTTデータグループ入りして3年半になる.同社の成り立ちや 取り組み,事業の方向性について,林照雄社長にお話を伺った. 消費者の目線で調査した商品や店舗, 売れ筋情報を公開 ◆NTTデータ スミス設立までの経緯を教えてください. 会社は,1969年にセゾングループ(西友,西武百貨店 NTTデータ スミス 林照雄社長 カーとの店頭調査,キャンペーン調査,データマイニング などが拡大していきました. 一方,セゾングループの百貨店,スーパー,コンビニな どの多店舗化に併せて店舗開発調査や顧客調査などを数多 く手掛け,流通リサーチのスキルを高めていきました. など)のマーケティングリサーチエージェンシーとして誕 また,少し話が古くなりますが<時代と生活者>を探る 生しました.主に流通チャネルにおけるビジネスサポータ アンテナとして,皆さんご存じの「無印良品」や,デパ地 として,その一歩を踏み出しました. 下ブームの発火点となった「西武池袋店食品館」をテーマ 社名はSeibu Marketing Information Serviceの頭文字 に「白書」として送り出したのが印象に残っています. をとったもので,その後,SeibuがSAISONへそしてシス さて,システムに関してですが,1980年代に入ると時 テム事業が加わったことで,ServiceをSystemとしまし 代の情報電子化が一気に加速していきました.それに伴い, たが,SMISというスペルは変わりませんでした. マーケティングリサーチから遅れること10年余,システム 最初の事業は西友の発注データ(当時POSは存在して 事業を立ち上げました.資本の増強とともに西友システム いません)と西友の店頭を活用した顧客,商品調査の分析 センターの吸収合併,店内チラシPOP開発,データウェア 結果を「スミスレポート」という名称で,食品やトイレタ ハウス構築など流通向けネットワークやアプリケーション リーなどの大手消費財メーカーに情報提供することでした. の導入,さらには運用サポートのトータル情報システム この「スミスレポート」は,西友発の情報をオープンに することによって,製造と販売が一体となって「お客さま に喜ばれる商品づくり,売場づくり」を目指そうとしたも のです. サービスへと進んでいきました. ◆3年前にNTTデータと資本提携した理由は. NTTデータは,NTTデータ スミスの持つ流通業や外食業 での専門度の高い業務ノウハウを活用することで,流通業, マーケティングリサーチとシステムを 融合させたビジネス展開を ◆その後,NTTデータ スミスは,どのように進んでいった 外食業をメインとした既存顧客の深耕と新規開拓を図って いきます. 一方,NTTデータ スミスは,蓄積してきたノウハウを ベースに,NTTデータグループから提供される営業支援, のでしょうか. 先端技術,人材育成等を活用し,流通業および外食業を主 マーケティングリサーチは, 「スミスレポート」を発注デー なターゲットに,マーケティングリサーチ機能を備えた本 タからPOSデータへの転換を行い,それに伴い消費財メー 格的な情報サービス企業として,より一層の成長を目指す 32 NTT技術ジャーナル 2009.1 NTTデータとの人材交流を活発化させ たい 林照雄社長 ためです. 客さまへご提供するサービスでは今後,次のような分野に ◆現在の事業の柱は何でしょうか. 注力していくつもりです. マーケティングリサーチ事業は,4年ほど前に立ち上げた マーケティングリサーチではsMoniの拡大によるオンラ 「sMoni」というインターネットを利用してアンケートを行 インリサーチ強化,リサーチのグローバル化に対応した欧 うサービスが大きな収益の軸として成長してきました.モ 米,アジアリサーチネットワークの構築,そして得意とし ニタの人数は本会員が25万人,提携などの拡大会員が ている流通関連の店舗開発,顧客開発にかかわる調査です. 300万人に達していますので,対象者リクルートのかなり 難しい調査でも対応が可能です. あと1つは,リサーチの重要性の認識が高い外資企業,中 システムでは,流通業,外食業,物流業のお客さまへの サービス品質のさらなる向上を目指しています.JP 1(管 理ツール),CTI(コールセンタ)導入による運用環境のレ でも自動車やトイレタリーの業界への積極的アプローチの ベルアップ,S-Styleにデータマイニング機能(顧客,販売, ため,世界規模のリサーチネットワークを目指している点 店舗立地情報)を融合した「SMISマーケティングエンジン」 です. をメインに展開していく考えです. システム事業では「S-Style」をコアにしています.この 当社には,消費者に一番近い場所で,同じ目線で物事を システムでは,多店舗,物流センタを一元管理でき,一括 とらえ,情報収集したり分析してきた長年にわたるデータ 発注処理,出荷指示,POSレジからの情報,商品構成,店 やスキルがあります. 舗従業員などサプライチェーンを総合的に管理するための 「消費に関するこんなデータはありませんか」とか「ど ものです.また,業界標準的な受発注管理システムとして う調べたら生活者のこんなデータが得られますか」など, 「HOPE-Ⅲ」というEDIパッケージを持っています.また, これらのシステム開発からつながった運用業務も大きなポ ジションを占めています. 社員は約100名で,マーケティングリサーチが約40名, システムが約50名です.マーケティングは男女比が1:1 で比較的女性の多い職場で,一方システムは7:3で男性が 生活や流通に関して気軽にお声を掛けてください. 消費財メーカーや流通,サービス企業でのシステム仕様 の検討に,エンドユーザのニーズやトレンドを背景情報と して活用できるという強みを今後とも活かしていきたいと 考えています. 流通業,外食業のノウハウや生活者情報を基に,NTTデー 多くなっています. タグループ全体で協力して,機動力と柔軟性のあるサービ ◆今後の事業展開をお聞かせください. スのご提供をし,ビジネスを拡大していきたいと考えてい お客さま(主に流通業,外食業)からの高い信頼のもと ます. に,消費者と企業との豊かな関係づくりに情報(化)でお手 伝いする,これが当社のミッションだと考えています.お NTT技術ジャーナル 2009.1 33 担当者に聞く 販売データに消費者の生の声を反映 投資効果が高いマーケティングに寄与 す.これは,日常や,その人の行動や意識を単なるインタ ビューではなく,録画・機械測定・日記等を中心に分析す る文化人類学的な手法です.現在,消費者の情報収集のメ 取締役 マーケティングリサーチ事業部長 小山治さん インなツールになっているインターネットの場合,ブログ やコミュニティ内の発言分析やログ解析が含まれます. ◆まず業務内容についてお聞かせください. マーケティングリサー もう1つは,アイカメラや笑顔測定器を使ったアプローチ です.これは,被験者が,どこを見ているかを定量的にア チ事業では,対面やイン イカメラで追い,何に興味を示しているのかということを, ターネット,郵送,電話, その表情から笑顔測定器で解析する仕組みです.笑顔測定 会場テストといったさま 器は,その人が今,どういう気持ちなのかということを, ざまな手法による定量的 笑顔や悲しみ,怒りといった,表情に表れた感情について, 調査,そしてグループ 機械で測定できます.こうした表情と感情の関連性をマー ディスカッションやセミ ケティング,特に広告分野へ活用ができるのではないかと デプスインタビュー等に 考えています. よる定性的調査,さらにテ ◆今後の展望についてお聞かせください. キストマイニングやデー 当社のマーケティングリサーチ事業は,流通もさること タマイニングによる分析 等を組み合わせた調査を ながら,出版・教育,さらに化粧品業界等に対し,強みを 小山治部長 行っています. これらの手法を用いて一般消費者や企業・法人を対象と したブランド・製品開発調査,広告テストや顧客戦略マー 持っています.今後は,それらに加え,企業のIT部門に対 し,客観的で科学的なマーケティングリサーチ手法を活用 し,投資効果が高い ITシステムの構築のためのサポートの 一助をさせていただければと考えております. ケティングリサーチ,小売・外食産業向けのマーケティン グリサーチ,また,店舗・地域開発に関するマーケティン グリサーチを行い,報告書の作成をしています. マーケティングノウハウを持つシステム事業で 企業のサプライチェーンを包括的に支援 ◆最近,特に力を入れられていることは何ですか. 「sMoni」というオンライン調査に力を入れています. 取締役 情報システム事業部長 大嶋仁志さん これは,Webを介した国内25万人のパネルです. また,インド,中国,韓国にも自社パネルを所有し, 「Research-ASIA」という独立系調査会社のネットワーク ◆業務内容についてお話しください. システム事業部では, をアジア11カ国に組織しています.アジア以外では,欧米 流通・小売・外食企業に を中心とした世界調査連合(iris)の日本唯一のメンバで, 対し,さまざまな情報シ グローバルなリサーチに迅速に,精度高く対応することの ステムのソリューション できる仕組が整っています. をご提供しています.同 sMoniでは,従来の手法に比べ,リーズナブルなコスト 時に,システム事業部が で,多数の消費者から商品評価や購入意向等の情報が収集 持つ技術と弊社のマーケ できます.企業が持つ商品データや販売データと共に活用 ティングノウハウを活か すれば,より確度の高い受容予測や分析が可能になります. し,顧客企業の情報活用 ◆新しいマーケティングリサーチの手法にはどのようなも をマーケティングという 34 のがありますか. 側面からも支援すること 例えば,エスノグラフィと呼ばれるアプローチがありま に取り組んでいます. NTT技術ジャーナル 2009.1 大嶋仁志部長 ■サンシャインシティでトレンド分析 NTTデータ スミスが入るサンシャイン60は,池袋サンシャインシティの一角を占めています.ここには,他にプリンスホテ ル,ワールドインポートマート,文化会館が隣接し,中にはショッピングセンター,レストラン街,水族館,プラネタリウム, さらには博物館や劇場,コンベンションセンターも整備されています. 多種多様な店舗が集まっているため,ここに勤める人は,中に居ながらにして,ファッション等,最新のトレンドを肌で感じ 取ることができます.また,一歩外に出れば,街並みの変化により,世の中の動きを敏感に感じとることのできる環境がありま す.マーケティングリサーチにはもってこいの場所ですね. ■今ではひっそりと 連日,多くの人で賑わうサンシャインシティですが,ここは現在の東京拘置所の前身である,巣鴨拘置所,通称,巣鴨プリズ ンの跡地でした.第二次大戦の後,極東軍事裁判,いわゆる東京裁判により,戦犯とされた東条英機等がここで処刑されました. 今では,サンシャイン60に隣接する東池袋中央公園に,その石碑がひっそりと置かれています. ◆最近,力を入れていらっしゃるのはどのようなことですか. 開発の標準化という面では,NTTデータが規定している 当社のブランド,「S-Style」では,流通業界に特化した 開発標準と,グローバルなCMMI(Capability Maturity ノウハウの蓄積をシステムモジュールに落とし込み,それ Model Integration:能力成熟度モデル統合)という基準 をコンポーネントスタイルでお客さまのご要望に合わせ, に準拠したかたちで,社内の開発品質をより高めることに ご提供するというサービスを行っています. 取り組んでいます. このサービスは,原材料調達から需要管理に至る,企業 もう1つ,運用面においては,グローバルなガイドライン の SCMの流れを包括的に支援するもので,主に流通・小 のITIL(Information Technology Infrastructure 売・外食を中心に,最適なマーチャンダイジングを実現さ Library)があります.それに即したかたちでの運用を目指 せるためのシステムとしてご活用いただいています. しつつ,開発・運用の両面において,その業務プロセスに また,マーケティングリサーチ事業と連携した「SMIS ついては,内部統制も踏まえたうえで,可視化できる環境 マーケティングエンジン」の普及にも力を入れています. づくりの強化に努めています. これは,当該企業の商品が,市場の中で,どういうポジショ ◆今後の展望をお聞かせください. ンにあるのかということを相対的に見ることのできるシス テムです. このツールでは,情報分析に必要な内部データを基幹業 現状では,NTTデータ本体と当社がターゲットとしてい る層とでは,若干のずれがあります.その層を合わせ,ター ゲットとする層の質・量の拡充を図ります.マーケティン 務のデータベースから切り出し,さらに弊社リサーチによ グとシステムの両輪を持つ会社は,そう多くはありません. る消費者の声などの外部データと組み合わせることで,該 ですから,当社の強みを存分に活かし,新たなマーケット 当の商品やカテゴリーを相対的,かつ,システマチックに そして新たな分野にビジネス展開をさらに活発化させたい 評価することが可能になります. と考えています. ◆業務でどのようなご苦労がありますか. (インタビュー:松本美菜) グローバル化が進む中,中国やタイ等と一緒に仕事をす ることがありますが,その中でカギとなっているのが, 開発と運用の標準化問題です. NTT技術ジャーナル 2009.1 35