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ICTを活用したIPインフラソ リューションサービスを中心に

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ICTを活用したIPインフラソ リューションサービスを中心に
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株式会社NTTデータ三洋システム
http://www.nttd-sanyo.co.jp/
ICTを活用したIPインフラソ
リューションサービスを中心に,
IP・ユビキタス時代のリーディン
グ・プレイヤを目指す
1989年に三洋電機の情報システム部門からスタートし,2003
年1月には,NTTデータと三洋電機の資本提携によって新たな出発
をしたNTTデータ三洋システム.モノづくりの現場で培った遺伝子
と,システムインテグレータとしての力を融合させ,IP・ユビキタ
ス時代のリーディング・プレイヤを目指してひた走る.菊田道夫社
長に展望を伺った.
NTTデータ三洋システム 菊田道夫社長
◆新たな出発から3年半が経ちましたが,この間の事業動向は.
てきました.期待や心配事をどんどん出してもらい,意見交換を
NTTデータが持っているソリューションを導入する,NTT
しました.また年3回の社員集会や,月1回の社内報の発行で,
データと協力できる体制を整えるなど,NTTデータグループの
真の情報サービス企業になろう,お客さま満足度を高めよう,と
一員としての基盤づくりをしてきました.
呼び掛けています.
NTTデータは,システムインテグレータとしては日本で最大
の企業ですし,新たな力をつけていくためには,ベストな選択
組み込みソフトウェアの新会社設立
だったと思います.
◆社員は約460人ということですが,出身母体は.
三洋電機ソフトウエアから継続した社員が多いですが,NTT
データとの人材交流も,年々盛んになってきています.
◆事業の重点は変わってきていますか.
以前は,三洋電機グループ共通の基幹システム,ネットワー
クシステム,Web系システムの開発・運用・保守まで一手に引
私自身はNTTデータの出身ですが,20年ほど前,NTTデー
き受けるという領域のウエイトが高かった.今後は,そのよう
タで技術開発に携わっていたとき,三洋電機と一緒にPCと電
な領域はもちろんですが,新しい領域へのチャレンジも含めて
話とファクシミリが三位一体となった,当時としては非常に先
幅広く対処していくことが必要になります.特に,ユニークな
駆的な端末を開発したことがあります.岐阜羽島の三洋電機の
部分を成長エンジンとして伸ばしていこうという気持ちで取り
工場には,ずいぶん通いつめたものでした.今,こういうかた
組んでいます.
ちで三洋電機と一緒に仕事をすることになって,つくづく縁が
第1の成長エンジンは,組み込みソフトウェア.さまざまな
あったのだと思います.
電子機器や家電製品,半導体製品などの中に組み込まれている
◆新しい力を入れるという当初の目論見の成果は出ていますか.
ソフトウェアの開発です.組み込みソフトウェアの領域は,日
成果は出てきていますが,まだ十分ではありません.今後も
本全体で急激に需要が高まっています.例えば,携帯電話,情
さらに,NTTデータグループの一員としての存在価値を高め,
報家電,それに自動車.エネルギー制御関連などには大量のソ
開発力の向上や社員1人ひとりの技術力向上も進めていきた
フトウェアが組み込まれ社会活動のインフラを担っています.
い.勝負はこれからです.
◆意識改革はどのように進めてこられましたか.
全社員と会社の将来像を共有するよう,社員との対話会を行っ
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NTT技術ジャーナル 2007.1
このように組み込みソフトウェアの領域は非常な広がりを見
せていますが,ソフトウェアの品質をいかに高め,なおかつコ
ストを意識して開発するかが大きな課題となっています.組み
モノづくりからトータルサービスへ 菊田道夫社長
込みソフトウェア開発の需要に対し,開発力の面で供給が追い
年11月には,深
つかないという状況がみられます.
あります.まず,中国に50社近くある三洋電機系事業会社に対
に分公司を設立しました.設立の目的は3つ
今後,組み込みソフトウェアの領域に,確実に対処していく
するITサービスの提供.次に,当社が開発するソフトウェアを上
ことが,事業を伸ばしていく1つの要素になると思います.そ
海に委託するオフショア開発としての拠点確保.それから,組
の一環として昨年4月,㈱NTTデータ アウラという,組み込
み込みソフトウェア事業の中国での展開,ということです.
みソフトウェアを専業とする子会社を設立しました.
NTTデータ三洋システム,NTTデータ三洋システム上海,
◆NTTデータ三洋システムが得意としてきた組み込みソフ
NTTデータ アウラの3社で連携し,強みを発揮して大いにシ
トウェアを切り出して独立させたと.100%子会社ですね.
ナジー効果を出していきたい.若手の社員にもどんどん参画し
そうです.さらに,携帯電話の中身を熟知している強みを生
てもらうつもりです.
かして,携帯電話を使ったサービスが提案できるのではないか
と考え,モバイルソリューション事業を立ち上げました.まず
は,携帯電話に動画を配信する事業を始めています.
キーワードは,「モノづくりからトータルサービスへ」.組み
◆中国では2008年にオリンピックが,2010年には万博が
あって,デジタルTVの需要が高まると期待できますね.
そうですね.デジタルTVやカーオーディオ関係などが期待
できますね.深
付近の華南地区には日本の自動車会社も数多
込みソフトウェアが使われている機器を使って,サービスを広
く進出していますので,車載機器関連のビジネス領域も,今後
げていこうということです.キャリア(携帯電話事業)の動き
さらに広げていきたいと思っています.
にも通じている強みが生かせると思います.
またSANNETというISP(Internet Service Provider)を個
変えるべきものは変え,守るべきものは守る
人会員向けに展開しているので,ネットワーク技術やサーバ制
御,課金,顧客管理のノウハウがある.三洋電機に対してデー
◆2010年を見据えての目標は.
タセンタ・サービスも運営しているので,そのノウハウも持っ
経営基盤を確保し,そのうえで,当社独特の技術の事業化を
ている.これだけトータルにノウハウを持ってサービスが提供
目指し,NTTデータグループの一翼を確実に担っていくこと.
できるところはほかにありません.ユニークなポジションを確
そのためには,事業の拡大や技術の開発を進めると同時に,内
保できるのではないかと自負しています.
部の仕組みを見直すことも大切.かねてから意識し,いつも話
◆SANNETの会員は何人ですか.
しているのは,「不易流行」の精神.変えていくべきものは変
現在,10万人を超えています.ISPとしては中規模ですね.
私どもとしては,ISPの領域を閉じて考えるのではなく,その
技術やノウハウを生かし,シナジーを効かせながらサービスを
広げていこうという考えでいます.
え,守るべきものはきちんと守っていくということです.
◆売上の推移は.
当社は年間200億円を超える売上があります.情報サービス
産業は,ITバブルの後,停滞感がありましたが,ここに来て上
昇傾向にあります.NTTデータ三洋システム上海とNTTデー
上海の子会社はソフトウェアのオフショア開発,
組み込みソフトウェア事業の展開をねらう
タ アウラについては,さらに大きく事業を伸ばしていきたいと
思っています.
◆三洋電機以外の市場は伸びていますか.
◆NTTデータ アウラに先立ち,2004年に上海に子会社をつ
営業部隊の強化など,新規顧客の開拓を強化してきています.
くりましたが.
現在は,三洋電機に対する売上比率はまだまだ大きいものがあ
2004年7月に,中国・上海に子会社を設立しました.また昨
りますが,この比率が拮抗するところまでもっていきたい.
NTT技術ジャーナル 2007.1
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担当者に聞く
NTTデータ三洋システム
ソリューションビジネス事業部 InfoAGORA推進部 今川 繁浩 部長
ソリューションサービス事業本部 事業統括部 企画部 冨岡
強 担当課長
NTTデータ アウラ 第二事業部 松田 武治 事業部長
先ほども少し触れましたが,全体の事業をベースロードと成
◆ご略歴と担当業務の概略をお教えください.
長エンジンとに分けて考えています.ベースロードは基本的に
今川 電機製品のマイコンプロ
三洋電機向けの事業,NTTデータと協業して大きな基盤になる
グラム,サーバでのOA系のシス
もの,さらにSANNETの会員サービス.これらはNTTデータ
テム開発を担当した後,三洋グ
三洋グループの大きな経営基盤です.
ループの基幹系,特にWebでの
成長エンジンには,組み込みソフトウェアやモバイルソリュー
フロント系アプリケーションを
ション,ビジュアルソリューションがあります.当社のビジュア
主に開発してきました.2004
ルソリューションの技術は,少ないデータ量でリアルな質感の3
年4月にソリューションビジネ
次元画像を表示できるのが特徴です.この技術は単独の事業とみ
ス事業部に配属になり,三洋電
るだけでなく,他の技術と組み合わせながら成長させることもで
機グループ向け以外のシステム
きると考えています.良い広告塔にもなると思いますね.
を担当することになりました.
◆御社に足りないものは.
Web系のアプリケーションは,
強化してきているのですが,まだまだ足りないのは営業力.
NTTデータグループのノウハウを上手に取り入れて,より強化
約3万人のユーザに対応すべく, 今川繁浩部長
かなり高いパフォーマンスが求
していきたいと思います.そのためには,グループ内での我々
められました.そのような経験を生かして,今はNTTデータと
の存在意義を高めていかなければいけない.開発力を強化し,
の協業と,食品業界向けソリューション事業の2本柱を担当し
ユニークな点を常に磨きあげていく必要があります.
ています.
◆御社にとって守るべきものとは.
守るというより信念をもって継続していくこととして,2つ
あると考えています.
1つは,現場感覚.現場の実績・経験・ノウハウに根差した
食品業界向けソリューションというのは,トレーサビリティ
に対応したSCM(Supply Chain Management)のことで,
皆さんもよくご存知の大手食品メーカの数社で構築させていた
だいた実績があり,1つの得意技と認識しています.
システム提案,机の上で考えた提案ではなく,現場に密着した
冨岡 三洋電機グループ共通の基幹システムである販売業務や
提案ができること.これを忘れてしまうと,お客さまが見えな
人事・会計などのビジネスソリューションを担当してきまし
くなってしまいます.この視点は,絶対なくしてはいけない.
た.現在も,ソリューションサービス事業本部で三洋電機と三
もう1つは,組み込みソフトウェアやモバイルソリューショ
洋電機グループ向けのソリューションを提供させていただいて
ン,ビジュアルソリューションという成長エンジン.これら成
います.
長エンジンは,今後大きく花開くためにも,信念を持って続け
松田 私は,エンジニアリング部門で,三洋電機グループ向けに,
たいと思っています.
マイコンチップの制御からサーバシステム,汎用機を使った業務
システムと幅広く開発してきました.1998年から現在に至るま
で携帯電話端末に組み込まれるソフトウェアの開発を担当してい
ます.また携帯電話を利用したサービスのシステム開発にも取り
組んでいます.
現在,昨年4月にNTTデータ三洋システム 組込ソフトウェ
ア事業部を戦略的に分社して設立されたNTTデータ アウラに
所属しています.
強みは,大規模かつ安定性能のパッケージ,多様なパッケー
ジとスキル,品質保証とモノづくり技術のシナジー等
◆それぞれの事業の特徴や強みは.
今川 InfoAGORA推進部は,IPネットワーク環境をベースに
している部隊です.最近力を入れているのが,InfoAGORAと
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NTT技術ジャーナル 2007.1
いう弊社のパッケージ. InfoAGORAシリーズというソリュー
のモノづくりの技術,その2つのシナジー効果を有効に活用し,
ションで,まだ数はそんなに出ていませんが,昨年の5月には,
事業展開しています.
大規模な自治体に導入させていただきました.またNTTデータ
のソリューションであるVANADISとも連携しており,大規模
でも安定したパフォーマンスを出せる点が強みです.性能や仕
新分野への積極的進出,一貫したサービス提供,
特徴を生かした挑戦・集中を目指す
様には自信がありますが,インタフェースをトレンドに合わせ
てさらなる改善をしていきたいと思っています.
またNTTデータとのパイプをどのように事業拡大につなげる
◆これから手掛けたいこと,将来のビジョンは.
松田 NTTデータ アウラでは,
か,という課題もあります.この2年間で共同の仕事は増えつ
私が担当している携帯電話とモ
つあり,それをどこまで伸ばしていけるか,ビジネス基盤をつ
バイルソリューションのほかに,
くれるかどうかの鍵になると思います.
PHS基地局のソフトウェア開
その他も,互いにメリットの出る分野がどこかを見極め,そ
発,さらに新しい分野に挑戦し
こに注力するのがこれからのテーマですね.
ている事業部もあります.現在,
冨岡 三洋電機グループ向けの
自動車関係や半導体関連の組み
事業では,全国に散らばる事業
込みソフトウェアを開発し,外
所や,多々ある事業部の間で,
販の獲得推進にも一役買ってい
隔たりをなくし,サービスを標
ます.まだまだわずかではあり
準化していくかに力を入れてい
ますが,今後伸ばしていきたい
ます.
と思っています.
松田武治事業部長
課題は品質と開発力,コスト競
事業統括部はそういった連携
を踏まえて,メインフレームを
争力です.組み込みソフトウェアの特性上,お客さまはメーカ系
中心に三洋電機の基幹システム
であることが多いので,特にコスト削減への要求が強い.その中
の開発,保守,運用をしてきま
で,いかに品質と開発力を維持しお客さまに満足していただくか.
した.それをベースにして,外
まだまだ試行錯誤の部分もありますが,これこそNTTデータ ア
向けの事業にも力を入れていま
冨岡強担当課長
ウラを設立した目標でもあるので,現状に満足することなく,常
す.ERP(Enterprise
に挑戦し続けていきたいと思います.
Resource Planning)パッケージをはじめ,新しいソリュー
冨岡 ベースはメーカの業務系ビジネスソリューションなので,
ションにも取り組み,力をつけている最中です.また日本版
積極的に,基幹業務の企画提案からその後の案件のプロジェクト
SOX法(企業改革法)の対応にも取り組んでいます.
マネジメント,保守,運用にいたるまで一貫したサービス提供を
私の部署での強みは2つあります.1つは三洋電機のさま
続けていきたいと思います.合わせて,三洋電機グループに対し
ざまな業務を熟知しているというベース.もう1つは,ソリュー
ても,いわゆるビジネスソリューションのレベルアップ,一貫し
ションや開発力では,ERPパッケージも含め,多様なパッケー
たサービス提供を目指していきたいですね.
ジとスキル.その組合せによっていろいろなポジションを提供
今川 外販は,当社独自の特徴がないとなかなか生き残れませ
できることです.
んので,今後は,強みを見極めて,そこに集中してチャレンジ
松田 日本の産業を底辺で支えるのは組み込みソフトウェアで
を進めたいですね.
はないかという思いがあります.今は国をあげて組み込みソフ
InfoAGORA推進部は,InfoAGORAという特徴のあるもの
トウェアを強みにしていこうとしており,まだまだいろいろな
を持っていますので,それを社会にアピールできるような新し
チャンスがある事業領域です.
いサービスをつくっていきたい,と考えています.ニッチなと
組み込みソフトウェアといえども,携帯電話などは銀行のオ
ころ,まだITの恩恵を受けていないところに,我々のITサービ
ンラインシステム並みの規模です.したがってプロジェクトマ
スを提供できるマーケットをつくっていきたいと思っています.
ネジメントや品質保証がもっとも重要視されますが,我々は
(インタビュー・構成:東嶋和子 写真:新田健二)
NTTデータの持っている品質基準や開発プロセスと,三洋電機
NTT技術ジャーナル 2007.1
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