...

全冊 ・WHOLE ISSUE(PDF 5689KB)表示

by user

on
Category: Documents
28

views

Report

Comments

Transcript

全冊 ・WHOLE ISSUE(PDF 5689KB)表示
ISSN 0
5
1
3
4
6
7
6
山形大学紀要
(農学)
第
1
5巻
第
4 号
目 次
原 著
高樹英明・森田友秋・佐藤利行:ギョウジャニンニクの葉の成長力の季節的変動と
低瓶による自発休眠の打破 ・……・・・……・・・……・・・……・・・……・・・……・・・……・・… 1
9
5 (1)
保木本利行:戦後庄内砂丘地における園芸作(メロン作)の歴史(前史 ~1998年)
外需牽引型産地構造の形成・展開・変質過将を中心に
内砂丘地における園芸作の歴史)
(戦後庄
1
1(
1
7
)
………………………………………………… 2
山本隆儀・麻生桃代・丙沢滝太・庄司紀幸・佐藤健吾・小山智 i
:
1・上野忠里・須田
慶:
数種落葉果樹の葉両傾斜角度分布に関する研究………………………………… 2
4
3(
4
9
)
菊間
満・溢谷聡志:若年層の住宅問題に関する研究
山形県鶴岡市在住の大学生を対象に
山崎彩香・
7
3(
7
9
)
(学生と住居)………………………… 2
i
:
1
頭宏昌:山形県庄内地方における在来カブの種類とその利用方法……………… 2
9
3(
9
9
)
ShuheiMAKABE,K
e
n
i
c
h
iKAKUDA,YukaSASAKT andHo ANDO:
Uptakeo
fa
p
p
l
i
e
ds
i
l
i
c
aby r
i
c
ep
l
a
n
t
si
nr
e
l
a
t
i
o
nt
ol
e
v
e
lo
f
n
i
t
r
o
g
e
na
p
p
l
i
c
a
t
i
o
n………………………………………………………………… 3
0
9
(
1
1
5
)
平成
形
大
学
山
2
1年 2 月
山形大学紀要(農学)第 1
5巻 第
4号 :1
9
5
2
0
9
. 平成 2
1年 2月
Bul.
l Yamagata Univ.,Agr
.S
c
i
.,1
5
(
4
):1
9
5
2
0
9
.Feb. 2
0
0
9
ギョウジャニンニクの葉の成長力の季節的変動と
低温による自発休眠の打破
高樹英明・森田友秋・佐藤利行
山形大学農学部生物生産学科農業生産学講座
0年
(平成 2
9月18R受理)
Breaking of Endodormancy by Chilling and Seasonal Changes of Leaf Growth
l
l
i
u
mv
i
c
t
o
r
i
a
l
i
s L. subsp. p
l
a
かphyllum Hulten
Activity in A
Hideaki TAKAGI,Tomoaki MORITA and Toshiyuki SATO
Section of Agricultural Production,Department of Bioproduction,Faculty of Agriculture,
Yamagata University,Tsuruoka 9
9
7
8
5
5
5,Japan
8,2
0
0
8
)
(Received September 1
Summary
The b
u
l
b
so
fA
l
l
i
u
mv
i
c
t
o
r
i
a
l
i
si
nt
h
ef
i
e
l
d had s
t
a
r
t
e
dt
os
p
r
o
u
tj
u
s
tb
e
f
o
r
e snow c
o
v
e
rr
n
e
l
t
e
d away
. The top growth t
e
r
r
n
i
n
a
t
e
de
a
r
l
ys
u
r
n
r
n
e
r,
when t
h
ed
a
i
l
yr
n
a
x
i
r
n
u
r
nt
e
r
n
p
e
r
a
t
u
r
e had r
i
s
e
nt
oa
b
o
u
t 4C
d
y
i
n
gbacki
nr
n
i
d
s
u
r
n
r
n
e
r,a
n
d什o
r
nJ
u
l
yt
ot
h
en
e
x
ts
p
r
i
n
gt
h
ep
l
a
n
twasd
o
r
r
n
a
n
ti
na
p
p
e
a
r
a
n
c
e
. Thel
e
v
e
l
i
v
i
t
yw出 e
x
t
r
e
r
n
e
l
yl
o
wf
r
o
r
ne
a
r
l
y¥
;
ja
yt
oe
a
r
l
yD
e
c
e
r
n
b
er
. Andt
h
e
nt
h
ea
c
t
i
v
i
t
yi
n
c
r
e
a
s
e
d
o
fl
e
a
fg
r
o
w
t
h a工t
r
ne
a
r
l
yJ
a
n
u
a
r
y,and r
a
p
i
d
l
y 什o
r
ne
a
r
l
yF
e
b
r
u
a
r
y,r
e
a
c
h
i
n
gt
ot
h
er
n
a
x
i
r
n
u
r
ni
ne
a
r
l
y¥
;
ja
r
c
ht
o
g
r
a
d
u
a
l
l
y 什o
1 And then t
h
ea
c
t
i
v
i
t
yd
e
c
r
e
a
s
e
dr
a
p
i
d
l
y,r
e
a
c
h
i
n
gt
oe
x
t
r
e
r
n
e
l
yl
o
wl
e
v
e
li
ne
a
r
l
y¥
;
ja
y
. The
e
a
r
l
yA
p
r
i.
o
p
t
i
r
n
u
r
nt
e
r
n
p
e
r
a
t
u
r
ef
o
rl
e
a
fg
r
o
w
t
ho
fn
o
n
d
o
r
r
n
a
n
tA
l
l
i
u
mv
i
c
t
o
r
i
a
l
i
s w出 1
3t
o2
1o
C
. The endodorrnancy
仕e
rt
h
er
n
i
d
d
l
eo
fS
e
p
t
e
r
n
b
e
r,andt
h
e
nr
a
p
i
d
l
ya
仕e
rt
h
er
n
i
d
d
l
eo
f¥
lo
v
e
r
n
b
er
.I
ne
a
r
l
y
g
r
a
d
u
a
l
l
yd
i
r
n
i
n
i
s
h
e
da
1i
n
e
dc
o
n
s
i
d
e
r
a
b
l
y,and t
h
ee
n
d
o
d
o
r
r
n
a
n
c
y was b
r
o
k
e
ni
ne
a
r
l
y
Januarγthe d
e
p
t
ho
fe
n
d
o
d
o
r
r
n
a
n
c
yd
ec
C, and the chi
1i
n
g
F
e
b
r
u
a
r
γ
. The o
p
t
i
r
n
u
r
n c
h
i
l
l
i
n
g t
e
r
n
p
e
r
a
t
u
r
e f
o
r b
r
e
a
k
i
n
g e
n
d
o
d
o
r
r
n
a
n
c
y w出 3o
0
n
e
f
f
e
c
t
i
v
ea
t1
3C o
rr
n
o
r
e
. The c
hi
1i
n
gt
r
e
a
t
r
n
e
n
to
fb
r
e
a
k
i
n
g
t
e
r
n
p
e
r
a
t
u
r
e
s were e
f
f
e
c
t
i
v
ea
t 0t
o 6C, i
仕e
rl
a
t
eJ
u
l
y
. However,t
h
ee
f
f
e
c
t began t
o wear o
f
fa
f
t
e
rt
h
er
n
i
d
d
l
eo
f
d
o
r
r
n
a
n
c
yb
e
c
a
r
n
ee
f
f
e
c
t
i
v
ea
e
i
n
gi
n
e
f
f
e
c
t
i
v
ea
仕e
re
a
r
l
yJ
anuarγThe c
hi
1i
n
ge
f
f
e
c
t was enhanced 出 t
h
ec
hi
1i
n
gp
e
r
i
o
d
D
e
c
e
r
n
b
e
r,b
b
e
c
a
r
n
el
o
n
g
er
. Then
u
r
n
b
e
ro
fc
hi
1i
n
gh
o
u
r
sr
e
q
u
i
r
e
df
o
rb
r
e
a
k
i
n
ge
n
d
o
d
o
r
r
n
a
n
c
yv
a
r
i
e
dg
r
e
a
t
l
yi
nt
h
es
t
a
r
t
1i
n
g
:c
hi
1i
n
ga
t 3C 什o
r
nl
a
t
eJ
u
l
yr
e
q
u
i
r
e
dt
h
ec
hi
1i
n
gp
e
r
i
o
do
f1
2weeks,t
h
a
t什o
r
nl
a
t
eAugust
t
i
r
n
eo
fc
hi
h
a
tf
r
o
r
nt
h
er
n
i
d
d
l
eo
f¥
lo
v
e
r
n
b
e
rr
e
q
u
i
r
e
d 4w
e
e
k
s
.
r
e
q
u
i
r
e
d 8weeks,andt
0
0
0
l
l
i
u
mv
i
c
t
o
r
i
a
l
i
s,g
r
o
w
t
ha
c
t
i
v
i
t
y,e
n
d
o
d
o
r
r
n
a
n
c
y,b
r
e
a
k
i
n
go
fd
o
r
r
n
a
n
c
y
.
Key w
o
r
d
s
:A
緒
ギョウジャニンニク
先駅けて萌芽、反葉するが、盛夏になる頃には地
自
:
1部の
枯れ込みが進み,夏季の後、│そから翌春の萌芽期までの長
い期間を地上部のない状態て、過す.このようにギョウジャ
(
A
l
l
i
u
mv
i
c
t
o
r
i
a
l
i
sL
. s
u
b
s
p
:
1,長い休眠期を持つ植物jて、あるが,
p
l
a
t
y
p
h
y
l
l
u
mH
u
l
t
e
n
) は近年,北海道,東北,北陸で栽
ニンニクは見かけ
培が広がってきている日本自生のユリ科ネギ属の食用野
長い休眠期がどのような休眠状態を経過するかについて
草である.ギョウシャニンニクは春に多くの他の草本に
はまだ十分明らかではない(高樹・佐藤,
キーワード:ギョウジャニンニク,成長力,自発休眠,休眠打破
1
9
5
1
9
97
)
.
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第
2
そこで著者らはギョウジャニンニクの促成栽培に資す
ることも念頭に,ギョウジャニンニクの休眠生態と休眠
図
)
, 1
分げつを単位として 1
回に約 1
0分げつの 生育を調
査した .
また時期によって葉の成長力に差異があるかどうかを,
打破の方法についての研究を進めてきた.本報では,著
者らがこのテ ーマでこれまでに口頭発表 した内容(高樹 ・
4号
W年1
月9日から '
8
8年2月 1
1日まで約 1
か月間隔で (
'
8
7
年
9
8
8
;高樹, 1
9
8
9
) にその後行った実験結果の一
佐藤, 1
2月 7日から '
8
8年 1
月9日までは生育調査と同時期に)調
部 (
2
0
0
7
年度)を加えて,ギョウジャニンニクの休眠生
8
7
年1
月9日から同年6月8日
査 した. 最初の調査時期の '
までは,根と枯葉を切除した分げつをノ fーミキュライト
態と休眠打破の条件について報告する.
を培土としてプラスチックトレーに 8
分げつず、つ植え付
材料および方法
実験 1 成体の生育経過と葉の成長力の季節的変動
週間および 2週間培養して ,当年春に萌芽
け, 1TCで1
展葉する葉の,培養期間中に新たに成長し た長さ(伸長
量)を調査 した.なお,光条件は高演色形昼白色蛍光灯
(松下電器産業製)の 1
2時間日長照明
2
(
P
P
F
D=約 100
1
)
供試系統は山形県南庄内地方に自生する系統で以後
μmol m-s
- とした(以下の実験も光条件はこの条
9
8
2年夏に採種 した種子を初秋に
‘庄内'と呼称する. 1
件に準拠した).展開葉が黄変し始めた '
8
7
年7
月7日以降
8
4年の 1
2月に農学部圃場に定植したものを。 8
7
播種し, '
の調査では,分げつ内部にある '
8
8
年春に萌芽成長する
年2
月7日から '
8
8年 1
月 5日まで約 1か月間隔で掘り上げ
葉の伸長量 を調査した(第 2
図).この時期の調査では,
て,株の基部から分かれている分げつを切り離し(第 1
根と枯葉を切除した分げつの内部にある芽の先端が見え
第 1図
ギョウジャニンニクの 1
本の分げつを秋に植え付けると,
翌春には分げつが 3
,4
本に増えた (
3月末撮影).本実験で
分げつを 1
個体として調査した.
は1
1
9
6
ギョウジャニンニクの自発休眠の打破一高樹・森田・佐藤
3
第 2図 地上部が黄変枯死したギョウジャニンニクの 1
0月下旬における 1
個の分げつ
を構成する葉:左端は分げつ最外部にある(黄変枯死したため)葉身部を欠
く肥大葉鞘部;左から 2
"
'
4
番目は新芽を包む萌芽葉(鞘葉右端は萌芽葉
の内部にある普通葉幼葉(数枚).
る位置まで,分げつを構成する肥大葉鞘部の上方を切り
と同様に芽の先端を露出させて芽の長さを測定した.培
取って芽の長さを測定した.この分げつを前述と同様に
養温度は 5,9, 1
3, 1
7, 2
1および 2
5Cとし,約 1
週間ご
0
植え付けて培養し,培養期間中の葉の伸長量を調査した.
とに芽が未展葉の場合はその萌芽葉長を,展葉した場合
葉長は芽が普通葉を展開した場合は最大普通葉長を,培
は最大普通葉長を測定し,植え込み時から芽がどれだけ
養終了時も普通葉が抽出していない場合は萌芽葉の長さ
伸長したかを記録した.掘り上げ後に低温処理してから
(芽長)を測定した.
培養する実験も行ったが,この実験では掘り上げ後5
,9
,
0
抽出した直後の '
8
7
年 3月 9日,抽出した普通葉の成長が
月8日,および芽から普通葉がまだ抽出していな
盛んな 4
8
8年 2月 1
1日に掘り上げた分げつを供試して行った.
い'
温度区当たり , 1
5個体を供試した.
た. 1
実験 3 芽の成長に及ぼす培養開始時期,培養温度,低
2
0
0
7年度実験)
温前処理の影響 (
0
各時期に 5, 9, 1
3, 1
7, 2
,
1 2
5および 2
9Cで8分げつず
つ 1週間培養して (
2月 1
1日には 2週間培養も行い),培
供試材料は系統‘庄内'で,農学部圃場に栽植されて
0
0
7
年 5月2日から刀8
年 3月5日まで約 1か月間
いる成体を 2
養期間中の葉の伸長量を調査した .
実験 2 芽の成長に及ぼす培養開始時期,培養温度,低
隔で掘り上げて実験に供試した.実験 2と同様に分げつ
を準備し,各分げつの芽の長さを測定後, 15cm
鉢に 5分
1
9
8
7
年度実験)
温前処理の影響 (
供試材料は系統‘庄内'で, 1
9
8
2年秋に播種し , '
8
6
0
1
3Cで30, 6
0ないし 9
0日間処理した後に 1
7C培養に移し
また,葉の成長適温を調べる実験を,戸外で普通葉が
げつずつ植え付け, 1
区当たり 2
鉢1
0
分げつを供試した.
培土はパーミキュライト:パーライト:細粉ピートモス
年春に根をなるべく切らないようにして農学部圃場に定
をそれぞれ1:1
:
2の割合に混合したもの 3
6 Lに対して被
植したものを, '
8
7
年 7月 1
3日から '
8
8年 1月 1
0日まで約 1
0
1
7
0 (旭化成ケミカ
覆肥料のマイクロロングトータノレ 2
か月間隔で掘り上げて実験に供試した.実験では 1
分げ
ルズ;チッ素,
つを l
個体とし,根と枯葉を切除するほか展開葉があれ
含有)の約 3
00gと苦土石灰約 126gを添加したものとし
ば葉身を切除し,翌春 (
'
8
8年春)明芽する芽長を測定
0, 1
5および 2
0Cで8
た.各掘り上げ当日から, 3, 6, 1
した後に,パーミキュライトを培土として浅い箱に植え
週間培養し,芽の伸長量を 1
週間ごとに調査した.なお,
込んだ.なお,芽の先端が外部に未抽出の時期は実験 1
芽の伸長が全般に良好になった '
0
8年 1月 9日掘り上げで
リン酸,カリをそれぞれ 1
2, 1
0, 11%
0
1
9
7
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
4
35
一 ← 最 高 87
少。
30
25
20
旬
平
均
15
。
C
10
阿
阿
﹁m
υ¥
z
T
¥
¥m
川
﹁
υ﹁¥削
l
T
¥
¥N
M﹁ ¥ 同
川
﹁
骨¥﹂︻
斗¥同
ド¥ロ
サ¥
NH
判
白
川﹁¥口
U﹃
﹁H
¥
υ
HH
官¥
4¥
ド
¥
OH
一
コ
世¥
GH
¥GH
ド¥m
z
T
¥
¥m
川
﹁
レ
﹁
¥
∞
告¥∞
U
﹃
¥
∞
﹁h
¥
M
l
T
¥
h
¥h
川
﹁
﹁
¥
∞
ν
山
川﹁¥山
告
¥U
4¥C
﹁m
¥
M
l
T
¥
U﹃¥寸
告¥寸
ド¥寸
﹃
阿
川﹁¥同
¥m
﹁
レ
z
T
¥
m
m
斗¥
﹁N
w¥
告
¥N
U
¥N
﹁H
ν¥
l
T
¥
5
月/旬
第 3凶
ギョウジャニンニク栽培圃場の日最高,日平均,日最低の気温の旬平均
7,平均 8
7,最低 8
7:それぞれ日最高,日平均,日最低の気温の旬
最高 8
平均,期間は 1987年 1 月上旬 ~'88年3 月下旬.最高 07,平均 07,最低 07
:
前記と同禄の旬平均,ただし期間は 2007年 1 月上旬 ~'08年 3 月下旬.
16
葉
革
骨
基
部
30
12
m
m 10
二
工
6
東
ヰ
4
15 丈
cm
ーー〉長‘ー出
A 回-*--*・-~ 10
重
E
草
--)1(ーシユト新鮮重
8
ト
新
25
1 20
"
,0-,-葉斡基部径
主
圭
ン
1
0''心
、 '0'〆Q¥ b
14
5
2
。
・
l
、
h
ー
吋
、
F 、
胃
c
、
、
∞
てr
ー、
∞
U、
3
、、
∞
叫
、
コ
ー
、
ト
h
、
ー
、
田
h
、
コ
- 、
σ
r
、
4
、
J
、、
山
守
C
、
→
コ
第 4凶
成体の生育経過(実験1)
10
、
寸
→
寸
、
露地栽培におけるギョウジャニンニク
1987年 2 月 7 日 ~88 年 1 月 5 日に 1 分げつ
、
寸
可
→、 、
問
寸
寸-
を1
個体として調査.
月/日
週間 l
,
こ 2
月 6日と 3
月5日制り 1
:げでは 4週
は培養期間を 6
市
古
間にした.培養終了時に鉢から供試個体を掛り上げてシュー
ト全長を再訂測した.低温処理を行う灰では,植え付け
果
1.成体の生育経過と葉の成長力の季節的変動(実験1)
,3
, 6および 1
0Cで4, 8および 1
2週間処理し,その
後0
0
5Cで8週間培養して芽の仲長量を調査した_ 1
5C
後に 1
0
0
成体の生育経過
対照灰は植え付け後 1
5Cで 2
0週間培養後に芽の仲長量を
87年)
露地栽培のギョウジャニンニクは 2月上旬(19
0
までは芽に萌芽の兆候がほとんど認められなかったが,
調査した.
根雪の消える直前の 3
月上旬には芽の先端から普通葉の
先端が抽山しているのが認められたので,萌芽は積雪下
月中旬から 3
月 :
1旬までの聞に開始したと推定された.
の2
1
9
8
ギョウジャニンニクの自発休眠の打破
7
0
40
60
3
5
b
30
50
1
頁
高樹・森田・佐藤
2
5花
側 40
芽
長 30
茎
20長
0
一一頂芽長
)
K
.
ー
凹 20
第 5凶
8
6年夏秋期)に分化した芽と化
の前年(19
1
5~
t
即
l
芽長
茎の~年(1 987 年 2 月 7 日 ~'88 年 1 月 5 日)
10
一'一花茎長
10
露地栽培におけるギョウジャニンニク成体
の成長(実験1)
5
第 4 凶と同じ個体を調査.化茎は~年初夏
¥HH
¥NH
n
u
ム寸
﹂的¥円
ム寸
¥CH
NH¥酌
h¥
∞日
h¥h 月
ム的
ム
ム
ム
一 , J'
ム ∞ ¥U
ム∞¥寸
ム∞¥凹
里町¥問
'phh¥N
n
u
に抽苔,芽は翌年春に萌芽.
6
0
5
0
葉
の 4
0
伸
長
]j[
~
m
m
・
-
3
0
-1
週培養
0
2
週培養
2
0
1
0
口
/
第 6凶
/
~上 -n ーて』ベ〉ニ_/'
きミ宗誓書芸長号さきさ需主ミ
・
Y
町
ギョウジャニンニクの葉の成長力の季節的
変動(実験1)
週間および 2
週間培養
所定の日から 1TCで1
9
8
7年の 1
月 9日から 6
月8日ま
後の仲長量. 1
では~年春に萌芽成長する葉の仲長量を調
査
, '
8
7年 7
月 7日から '
8
8年 2月 1
1日までは '
8
8
門
年春に萌芽成長する葉の仲長量を調査.
月/日
同年の 2
月中旬から 3月上旬までの日最高気温の旬平均は
(
19
8
7年)には春に展開することになる普通葉幼葉の葉
3
.
5,4
.
3,4
.
2C1
こ過ぎなかったので(第3
凶),ギョウジャ
1
9
8
8年春)に萌芽することになる側芽が 1
分
肢に翌春 (
ニンニクは約 4Cの低温下でも萌芽過程を開始する低温
げつ~たり 1~2個形成されていた.またこれらの側芽に
月と 4
月に急
萌芽性の植物jと言える.普通葉はその後, 3
はすでに(幼葉と葉原基を合わせて)言 1
3枚の葉が形成
速に成長して,草丈とシュート新鮮重を急増させたが
されていた.さらにシュートの中心部には l
頁芽あるいは
0
0
(
第4
凶
)
,
5月 1
:旬には普通葉の成長が終了して草丈と
化序が形成されていて,イ七序が形成されている場合は化
シュート新鮮重の増加が止まった. しかし,葉鞘基部径
茎の基部(止葉葉版)に 1
個の側芽が認められた. これ
の増加は 5
月以降もそれまでに比べやや技えたものの 8
月
まで続いた.なお, 1 分げつ~たりの普通葉数は 2 ,
らの l
頁芽,化茎側芽も 2
月
3
枚
:
1旬には訂 3枚の葉が形成され
ていた. これらの芽が分化したのは前年 (
1
9
8
6年)の夏
であった.普通葉は成長終了後も長く緑色を保っていた
秋期であった. これらの芽は 1
9
8
7年 3月に入ると成長を
7月下旬以降は葉身部が急速に枯れ込んで草丈が急
月から 6
月にかけて急速に成長した.また前年
再開し, 4
8月には葉身部がほ
夏秋期に分化した化序は~年に抽苔し,化茎は 5 月下旬
月まで続き,
とんど枯死した.葉身部の無い状態は翌年2
には仲長成長を終了した. しかし, J
頁芽・側芽の成長は
が
,
減し,
外観
シュート新鮮重も減少して,
:
1は休眠状態を呈していた.
しかし,植物体の内部にある芽は地
5月下旬以降も続き,芽の成長が衰えたのは 7
月に入って
:
1葉の枯死後も成
長を続けていた.第 5 凶に翌年萌芽成長する芽と,~年
抽苔開化する化茎の仲長経過を示したが,
からであった.
葉の成長力の季節的変動
1TCで1
週間および 2
週間培養したときの葉の仲長量に
2月 上 旬
1
9
9
5号
山形大学紀要(農学)第 1
6
60
第 7凶
,
葉
x
'
, /
,
0
, ,
_
/
伸
長
、主
/ノゲ
30
"
0
m
m 2
_O_~ 、 h
かに抽山した '
8
7年 3月 9日,および普通葉の
_
_
0
0
司
事K
,戸アーもくと名品.
.
の 40
,
,
~,.-ð.
.~~...,.-
企
~
合一
m
週間ないし 2
週間培養して葉
つを所定温度で 1
.
.
l
l
の仲長量を調査.
ー様ー4
/
8,1週
2/1
,
1 1
週
命
10
8
7年 4月 8日に掛り上げた分げ
成長が盛んな '
ー
ー0--3
/9,1週
u
'〆,~
.t-
ギョウジャニンニクの葉の成長適温(実験1)
9
8
8年 2月 1
1日,わず、
普通葉が抽山する前の 1
)'-:
;
K
50
第 4号
一昔r-2/11,2
週
O
Lー
ーーーーーー」
9
5
2
1
1
7
13
2
9
25
温 度(
C
C
)
60
一
一
・-s"C
50
芽の伸長量(剛)
E
)
・
90C
一企ー
1
3CC
一
一
企
一
-17C
40
勺
一栄一
21'C
30
20
10
O
o
1
"
"
-
M
0
r---.寸
M
'"寸
H
∞凶
N S U N m
由間口
h
寸
H
qtiEE ミ ミ Z121E
守とz q q b と ご ¥ ミ コ コ zzzizzhZ121
'
" ' " ∞ ∞ 00 ∞
σ 3 σ、σ、M
a
a
a
M
M
~
~
~
M
N
N
.
.
.
. .
.
.
. .
.
.
.
.
.
.
. .
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
月/日
第 8凶
7
月1
3日(
'
8
7年) 1
こ掛り :
1げたギョウジャニンニクの芽の成長に及ぼす培養温度の影響(実験 2
)
培養温度 2
50
Cの灰は 2
10
C灰より仲長量が全般的にやや劣る程度であったので,グラフを省略した.
は著しい季節的変動が見られた(第 6
凶
)
, ~年春に辰葉
開始灰では仲長量がさらに増加した.
する葉の{中長量は 1月9日から培養した灰では 2
週間培養
でも少なかったが,
2月 7日から 2
週間培養した灰では仲
葉の成長適温
長量が著しく大きくなった.同日からの 1
週間培養灰で
葉の成長適温を検討する実験は,葉の成長力がやや小
は仲長量はまだ少なかったが, 3
月 9日からの 1
週間培養
さい時期(19
8
8
年2
月1
1日)と最大の時期(同年 3
月 9日
,
灰では仲長量が著しく大きくなった, 4月8日培養開始灰
4月 8日)に行った.芽から普通葉が未抽山であった 2月
も同程度の仲長量を示し,
1
1日から培養を開始した灰は,芽の先端から普通葉が山
して最大になった. しかし
この時期の仲長量は今年を通
5月に入ると葉の仲長量は 2
始めた 3月9日開始灰および普通葉がすでに展開していた
週間培養でもゼロになり, 6
月からの培養もゼロであっ
4 月 8 日開始灰に比べて葉の仲長量 (1 週間培養)が 5~13
た
, 7
月以降は翌春萌芽する芽の萌芽葉あるいは(山葉
O
Cのと。の温度でも少なかった(第 7凶
)
, 4月8日開始灰は
2月4日培養開
すれば)普通葉の仲長量を測定したが, 1
5~130C での葉の仲長量が 3 月 9 日開始灰より多かったが,
週間培養でも仲長量がほとんどゼロであった.
始灰まで 2
17~250C では両開始灰の聞に明 1'1 な左が見られなかった.
1
月 5日培養開始灰では若干仲長が見られ, 2
月1
1日培養
すべての試験 (
1週間培養の 3
試験と 2
週間培養の 1
試験)
2
0
0
ギョウジャニンニクの自発休眠の打破
高樹・森田・佐藤
7
3Cにかけて温度が高くなるほ
で葉の{中長量は 5Cから 1
休眠している期間を明らかにするために,種々の時期に
30
Cから 1
T
Cにかけては 3月9日試験灰のみ
ど増加した. 1
:
tiた個体を会定温度で培養し,翌春萌芽
圃場から掛り l
仲長量が増加したが,他の 3
試験灰は仲長量に大差が見
成長する予定の芽の(萌芽葉ないし普通葉の)成長を調
1
T
Cから 210
Cにかけては 2
月1
1日1
週間試
べた.また低温処理の自発休眠打破効果の禄相を明らか
0
られなかった •
0
験灰のみ仲長量の増加する傾向が見られたが,他の 3
試
にするために,制り│会げ時期と種々の処理温度を組み合
験灰は減少傾向が見られた. 2
10
Cから 2
90
Cにかけては仲
わせた低温処理を行って,その後の仲長適温下での芽の
長量に大差は見られなかった.
成長程度を調べた.
芽の成長に及ぼす培養開始時期と培養温度の影響
2
. 自発休眠期間と低温処理の休眠打破効果(実験 2
,3
)
が見られない. この見かけ
〈実験 2
>1
9
8
7年 7月 1
3日に掛り
:
1げた個体を会定温度
冬の聞は外観上の成長
で培養した場合は(第 8
凶
)
, 13~250C では 5 か月以上培
:
1の成長休止期間の中で自発
養しでも芽の H立った仲長が見られなかったが, 5Cで
ギョウジャニンニクは盛夏
0
60
.
f
)
.
-gOC
芽の伸長量(附)
50
一
一
企
一
一 13C
0
一 企 ー 170C
40
一栄一
210C
30
20
1
0
町内¥HH
HH¥HH
寸
、
﹃H H
∞内¥。﹂[
I
、
σ
寸 ︻¥。H
N)
p、
、
、4
幻 ¥CH
σ
白川¥町
m
UH¥町
由同¥∞
∞
mEH¥
、
、
σ
r、
J
、
、
hbH
。
月/日
8月 1
2日 (
'
8
7年) 1
こJ
t
Ifiり上げたギョウジャニンニクの芽の成長に及ぼす培養温度の影響(実験 2
)
培養温度 2
50
Cの灰は仲長量が 2
10
C灰とほぼ同等で線が重なるので,グラフを省略した.
第 9凶
70
芽の伸長自重(川)
印日初犯初日
一
→
・
-s
'
c
第1
0凶
0
-gOC
一
「
企
ー 13C
r
.
-合一
9
月1
2日 (
'
8
7年 ) 1
こ掛り 1
:げたギョウジャ
ニンニクの芽の成長に及ぼす培養温度の影
)
響(実験 2
17'C
培養温度 2
1Cの灰は 1
T
C灰より仲長量が全
0
般的にわずかに劣る程度で線が重なるので,
グラフを省略した.
日
、、
、
,、
、 、
、
ロココ工辛口~~~円円
目 的 問 口 同 寸 c - < '"寸
C
< N
コ
ミ
テ
マ
ニ
司
C
< C守
w
C
<
示示と0-0-06
.
1 .
1 .
1 .
.
1
H
C
回 目
N
三
月
N
H
' " 由 同 町
「吋
←
→
月/日
2
0
1
山形大学紀要(農学)第 1
5号
8
60
第 4号
EJnu
﹃﹁ベ
d
nunununu
-S"C30d
E
)
-g"C
13"C
一企ー
今
4
芽の伸長量(川)
・
-
1
0
ー
,_0
NNhH
出 刊 誌H
H¥NH
寸同¥HH
H
DH¥HH
同¥HH
∞¥NH
ロ
コ
=
t
--n-ニ工
亘孟喝夢
忠
一 ¥CH
日 ¥OH
O
月/日
第1
1凶
1
0月 1
2日 (
'
8
7年)に掛り上げたギョウジャニンニクの芽の成長に及ぼす培養温度と低温処理の影響
)
(実験 2
0
0
5
C30d[5ては最初の 3
0日聞を 5
C培養,その後 1TC培養. 1
7, 2
1および 2
50
C灰の仲長量は 1
30
C[5てより劣り,
線が重なるのでグラフを省略した.
60
・
・
迫
r
-170C
30
20
60
芽の伸長量(川
130C
x'ahμ/JA/
一量一
40
リグん
芽の伸長量(附)
E
ト一日。c
50
50
40
30
20
1
0
ハU
1
0
第1
2凶
寸内、主
月/日
ロコ
ハU
h
r寸
口付¥﹂[
om¥NH
mN¥NH
H¥N ﹂ [
由E
に0
、
手
守
月/日
1
2月 9日 (
'
8
7年 ) 1
こ掛り 1
:げたギョ
第1
3凶
1
月1
0日 (
'
8
8年 ) 1
こ掛り :
1げたギョ
ウジャニンニクの芽の成長に及ぼす
ウジャニンニクの芽の成長に及ぼす
)
培養温度の影響(実験 2
)
培養温度の影響(実験 2
は約 2か月後から芽が徐々に仲び始め, g
o
Cでは約 3
.
5か
が見られた.
1
0月 1
2日に掛り上げた個体は(第 1
1凶
)
,
月後から 5Cよりやや急速に仲び始めた.
0
8月 1
2日に掛り上げた個体は(第 9
凶
)
,
は約 2
.
5か月培養しでも芽の仲長が見られなかったが, 9
13~250C では
約3
か月培養しでも芽の仲長が見られなかったが, g
o
Cで
℃では約 2
.
5か月後に芽の仲長を開始したと推定される.
1
2月9日に掛り上げた個体は(第 1
2凶
)
,
.
5か月後から芽の仲長が見られた.
は約 2
9月 1
2日に掛り :
1げた個体は(第 1
0凶
)
,
13~250C で
13~210C では
13~210C では
約1
か月後から芽の急速な仲長が見られたが, 1 ill1~ たり
約3
か月培養しでも芽の仲長が見られなかったが, g
o
Cで
の仲長量は 1
7、2
10
Cがほぼ同等で大きく, 1
30
Cはこれよ
は約 2
.
5か月後から, 50
Cでは約 3
.
5か月後から芽の仲長
りかなり劣った(第 1
表).また g
o
Cでは1.5
か月後でも H
2
0
2
ギョウジャニンニクの自発休眠の打破一 高樹 ・森田・佐藤
9
第l
表低温処理と培養温度が芽の成長に及ぼす影響(実験2
)
培養開始4
週間後からの
l
週 当り伸長量 (
m
m
)
1
.4
8
.
1
1
9.
4
2
0
.
9
培養開始2週間後までの
掘上日
培養温度
l
週 当り伸長量 (
m
m
)
0
1
月1
0日
5C
1
.3
0
9C
4
.
6
1
3C
7.
8
0
1
7C
1
3.
7
1
2
.
3
2
1C
0
7
.
7
25C
1TC移行後の
低温処理
1
週 当り伸長量 (
m
m
)
掘上日
期間
8月 1
2日x 5C60日
4.
7
3.
8
9C60日
0
5C90日
21
.3
1
0
.
3
9O
C90日
z
第1
2図のデータから作成
y第 1
3図のデータから作成
x第 1
7図のデータから作成
掘上日
1
2月 9日
培養温度
0
9C
1
3C
1
7C
O
2
lC
0
0
0
0
0
0
.30C
の 1
6
伸 1
4
長 1
2
1
0
8
1m 6
4
鴎
0
6
C
~
0
1
0
C
~
1
50C
z
。
5
/2
第1
4図
5
/
30
6
/27
7
/2
5
8
/22
掘上時期{月/日)
9/19
1
0
/1
7
1
1/1
4
ギョウジャニンニクの芽の伸長に及ぼす掘上時期と培養温度の影響(実験3
)
各培養温度における 4
週当たりの伸長量(換算値).掘上時期は 2
0
0
7
年.第 1
5図に
続く.
2
0
3
山形大学紀要(農学)第 1
5号
1
0
2
0
0
1
8
0
1
6
0
伸 1
4
0
長 1
2
0
量 1
0
0
z
第
4号
.30C
圃
60C
I
a1
0C
0
区1
1
S"
C
m
m 8
0
6
0
4
0
2
0
0
1
1/1
4
10/17
1
2
/1
.
2
1
19
3
/5
2/
6
掴よ時期 (
月/目)
第1
5図
ギョウジャニンニクの芽の伸長に及ぼす掘上時期と培養温度の影響(実験 3
)
各培養温度における 4週 当 たりの伸長量 (換算値).掘上時期は 2007~'08年.第 14
図の続き.
6
0
芽の伸長量(附
5
0
一噌一一
S
O
C
3
0
d
8月 1
2日 (
'
8
7年)に掘り上げたギョウジャニ
第1
6図
4
0
0
-9
0C30d
ンニクの芽の成長に及ぼす低温処理の影響
3
0
C30d
一
ぅ
←-130
(実験 2
)
0
5
,9
,1
3C30dとあるのは,最初の 3
0日間を
5
,9
,1
3C培養し,その後 1TC培養.
0
2
0
1
0
¥H
市出
mN¥N ﹂門
Om¥NH
mhH
川
河 ¥NH
NhH
¥HH
∞﹂門
R¥HH
守¥HH
眉山
月
H
¥OH
HH¥HH
N¥ H
∞。
河
hbH
ヨ
¥
。
。
mN¥
om¥m
出
¥
。
N¥A山
mw¥m
田
¥
∞
日
¥
∞
n
u
伸長が見られたのは 1
2月 1
2日以降に掘り上げた 1
5, 1
0お
立った伸長が見られなかった.
1
月1
0日に掘り上げた個体は(第 1
3図
)
,
0
0
9~250C で 1 週
5図). 1
5C区は 2
月6日までは掘
よび 6C区であった(第 1
間後から芽の急速な伸長が見られた. 1
週当たりの伸長
り上げ時期が遅くなるほど伸長量が大幅に増加し,以後
0
0
量が最も大きかった温度は 1
7,2
1Cで,次いで 1
3,2
5C
は増加が見られなかった. 1
0C区は 3
月5日まで掘り上げ
で
, 9Cは小さかった(第 1
表).一方
, 5Cは伸長開始が
時期が遅くなるほど伸長量 が増加した. 6C区は 2
月6日
0
0
0
0
2
週間後からで伸長量 もわずかであった.
〈実験 3
)2
0
0
7年 5月 2日から '
0
8年 3
月 5日まで約 1
か月間
まで掘り上げ時期が遅くなるほど伸長量が徐々に増加し
0
たが, 2
月6日から 3月5日かけては急増した. 3C区では 1
週間(1月 9日以降の
隔で掘り上げた個体を一定温度で 8
月9日の掘り上げまでは明白な伸長が見られなかったが,
掘り上げでは 4あるいは 6週間)培養 した場合の 4週 当た
2
月6日以降の掘り上げではわずかであるが伸長が見られ
月2日から 1
0月 1
7日までの時期の掘
りの芽の伸長量 は
, 5
た.
り上げでは 3~20 oC のどの温度 でもわずかであった(第 1
低温処理による芽の成長促進(休眠打破)
0
4図). 1
1月 1
4日の掘り上げでは 6および 1
0C区の伸長量
〈実験2
)8
月1
2日に掘り上げた個体を 5
,9
,1
3Cで3
0日
0
が他の温度区に比べてわずかに大きくなったが,顕著な
間低温処理してその後 1TCで約 4か月間培養しても芽の
2
0
4
ギョウジャニンニクの自発休眠の打破
80
高樹・森田・佐藤
1
1
ー
-SOC60d
芽の伸長量(附)
70
6
0
ー
.
.
-SOC90d
50
0
0
-9
C
6
0
d
40
0
E
J
-9
C
9
0
d
3
0
一古ー
1
30
C
6
0
d
20
1
0
O
σ
、'
" N、
0、 ¥
.
D M
0 r--.寸 H ∞ 守 H ∞ 山 内 σ、 由 同 D
→
N 、
、
、
、
、
マ
→
N ,
町、、、守→「、,
r
、
J 、
作
、
、
、
、
、
、 σ、 c、
、
、
、
、
、
、
、
、
、 Cコ、、‘、、、、、‘ H 、
、
、
、
、
、
、
‘
「
、
, c吐、、、、、‘、、、
∞
∞
σ、 町 σ、マ→口口口...--l ,
.
.
,
- ""イ「イ n .
.
.
l r
'
,
f r
.
.
.
r
.r
、
J
r、J
T
M
、、、
M
r寸 「 寸
T
守→「、J
→ M
、、、、、、守~
→ M
M
r寸
月/日
第1
7凶
8月 1
2日 (
'
8
7年 ) 1
こ掛り上げたギョウジャニンニクの芽の成長に及ぼす
)
低温処理の影響(実験 2
5
,9
,1
30
C
6
0
dあるいは 9
0dとあるのは,最初の 6
0あるいは 9
0日聞を 5
,
9
,1
3C培養し,その後 1
T
C培養.
0
6
0
0
-9
0
C
3
0
d
'
。
,
G
芽の伸長量(附)
nununununU
54321
_SOC30d
mH¥NH
NH¥NH
叶内¥﹂コ
寸HKAH
hbH
汁 伺¥OH
寸刊¥OH
hH¥OH
OH¥CH
同¥OH
出N¥m
門
m
m
l¥
e
¥
e ∞Nゴ
e
n
u
月/目
第1
8凶
9月 1
2日 (
'
8
7年) 1
こ掛り 1
:げたギョウジャニンニクの芽の成
)
長に及ぼす低温処理の影響(実験 2
0
0
5
,9
C
3
0
dとあるのは,最初の 3
0日聞を 5
,9
C培養し, その
T
C培養.
後1
明"
1な仲長は見られなかった(第 1
6凶)• しかし,低温
9
月1
2日に掛り上げた個体を 5Cで3
0日間処理した場合
0
は1
T
C移 行 6週間後から芽の急速な仲長が見られ(第 18
処理を 6
0日間にすると 5, 9C処理では 1
T
C移行後すぐに
0
仲長が見られた(第 1
7凶).
1
30
C処理ではlTC移行後約
凶
)
,
0
9
C
3
0日間処理の場合は 1
T
C移 行 8週間後から急速
2
.
5か月培養しでも芽の明 "
1な仲長が見られなかった.
0
9
C処理期間中にも芽
な仲長が見られた.
の仲長がかなり進み , 1
T
C移行後すぐに仲長が見られた.
T
C移行約 5週間後から芽の急速な仲長が見られた
合は 1
0
0
5
C
9
0日間処理では 5
C処理期間中の仲長は少なかったが,
(
第1
1凶)•
0
1
0月 1
2日に掛り上げた個体を 5
Cで3
0日間処理した場
0日間にすると,
低温処理期間を 9
C移行後すぐに急速な仲長が見られ, 1 週~たりの仲
lT
0
長量は 9
C
9
0日間処理の 2
倍以 1:1こなった(第 1
表)•
〈実験 3
)7
月2
5日l
こ掛り
:
1げた個体は,
0~60C の 12 週間
処理を行うとその後の 1
5C培養で芽の仲長が著しく促進
0
2
0
5
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
1
2
200
180
160
ロ8週
・
140
牙
12週
の ユ 20
4
噸
長
lQO
量
80
、
m
、m
60
戸
40
。
20
.
c
。
6
>
<
C
0
3C
lOO
C
lS0C
処理温度
第四図
7
月2
5日 (
2
0
0
7
年)に掘り上げたギョウジャニンニクの芽の成長に及ぼす低温処
理と処理期間の影響(実験3
)
5Cで8週間培養.芽の伸長量 は培養終了時の値. 1
5C対照区は 2
0
低温処理後は 1
0
0
週間培養後の伸長量.
200
口4週
180
08週
160
・
芽 140
12週
由
長
伸 120
100
要
80
'
!
!
.
T 60
40
。
20
"
c
。
3.
C
6
>
<
C
10
>
<
C
lS"
C
処理温度
第2
0図
1
0月 1
7日 (
2
0
0
7
年)に掘り上げたギョウジャニンニクの芽の成長に及ぼす低温処
理と処理期間の影響(実験3
)
低温処理後は 1
5Cで8週間培養.芽の伸長量 は培養終了時の値. 1
5C対照区は 2
0
0
0
週間培養後の伸長量.
され,処理温度が低いほど伸長の促進される傾向があっ
に後の温度ほど効果が低くなる傾向が見られた.また,
9図). しかし, 1
0Cの1
2週間処理では伸長がほ
た(第 1
1
5C対照区では伸長が見られなかった.
0
0
0
とんど見られなかった.また, 0
'
"
'
'
6C処理でも 8週間処
0
低温 (
3C) 処理による芽の伸長促進効果は,掘り上
理では伸長がごくわずかであった.
げ時期によって異なった(第 2
1図). 3Cの1
2週間処理は
1
0月 1
7日に掘り上げた個体では, 0
'
"
'
'
1
0oCの8週間処理
0図
)
, 1
2週間処理で
でも芽の伸長が促進されたが(第 2
6月 2
7日に掘り上げた個体では芽の伸長があまり促進さ
0
月2
5日以降の掘り上げでは著しく促進
れなかったが, 7
はより 一層促進された. 4週間処理では 3Cで伸長が若干
され,さらに掘り上げ時期の遅い 9
,1
0月掘り上げ区で
促進されたが,他の温度では伸長がほとんど見られなかっ
は伸長がより 一層促進された (
1
1月以降は不実施). 3C
0
0
た. 8, 1
2週間処理でも処理温度によって促進効果に差
の8
週間処理は, 7
月2
5日以前の掘り上げでは伸長がほと
異が見られ, 3Cが最も効果高く,以下0
,6
,1
0Cの順
んど見られなかったが, 8
月2
2日の掘り上げではかなり
0
0
2
0
6
ギョウジャニンニクの自発休眠の打破一高樹・森田・佐藤
2
5
0
芽
の
申
{
長
量
n
rm
1
3
.30C12
週 →1
50C8週
0
圏 3CB
週→ 1
50C8週
0
>
>
;3C4
週→ 1
50CB週
0
r1
5C8
週
l
5
0
1
00
5
0
。
6/2
7
7/2
5
8
/2
2
9
/1
9
1
0
/1
7
1
1
1
1
4
1
2
/1
2
1
/9
掘上時期(月/日)
1
図
第2
ギョウジャニンニクの芽の成長に及ぼす掘上時期 (
2
0
0
7,-.., 0
8
年)と 3C処理期間の影響(実験3
)
0
低温処理後は 1
5Cで 8週間培養.芽の伸長量は培養終了時の値.
0
2図
第2
2
0
0
7
年9
月1
9日に圃場から掘り上げたギョウジャニンニクの分げつ(上図)と 3Cで
4
週間低温処理した後に 1
5Cで 8
週間培養したもの(下図) (実験3
)
下図の右の 2
個体は休眠打破されているが,左の 2
個体は打破が不十分.
0
0
2
0
7
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
1
4
1月までJ
t
I
f
i
り
の{中長がみられ, 1
:
1げ時期が遅いほど仲長
葉の成長適温
がより促進される傾向が見られた (
1
2月以降は不実施)•
休眠が覚醒したギョウジャニンニクの葉の成長適温域
3Cの4週間処理は (
9月 翌年 1
月実施), 9
,1
0月の掛り
の下端温度は,実験 1の,時期および培養期間を変えた
0
1
:げて、は仲長量は少なかったが(第 2
,
1 2
2凶),掛り 1
:
全4
試験の結果(第 7
凶)はほぼ会致して 1
3Cであること
0
げ時期がそれより遅くなるほど仲長が促進され, 1
月の
掛り
を示している.
:
1げではこの実験を通しての最大に近い仲長が見ら
1: 端温度は1:ð2 の試験結果は 21~
0
れた.低温無処理の 1
5C灰は 1
1月以前のJ
t
I
f
i
り 1
:げでは仲
2における種々の時期における芽(萌芽葉ないし普通葉)
0
:
1げではか
の2
5Cにおける仲長が 2
1C
lこ比べて同等か劣る傾向にあっ
:
1げではこの実験を通
たことや, 2
5C以上の温度では温度が高くなるほど培養
2月のJ
t
I
f
i
り
長がほとんど見られなかったが, 1
なりの仲長が見られ, 1
月の掛り
み,
2
9Cの範囲に存在することを示している. しかし,実験
0
0
0
中に腐敗する個体の多く生じることなどを考え合わせる
しての最大の仲長が見られた.
と,葉の成長適温域の 1
:端温度は 2
1Cにするのが実用的
0
であろう.
考 察
成体の生育経過
自発休眠期間と休眠レベルの減少
1
9
8
8
) および
成体の生育経過については金津・八鍬 (
4, 1
5凶)からギョウジャニンニク
実験 3の結果(第 1
金津(19
9
3
) も報告しているが,傾向は本報告と同禄で
の自発休眠が明 1
'
1に浅くなり始める時期は 1
1月中旬頃と
ある.金津らの報告した萌芽時期などは本報告のものよ
、低温処理 (
5C30日処理)
見られる. しかし,実験2で弱 L
り遅いが, これは本報告で調査した生育地が山形県鶴岡
を行った場合, 8月中旬に掛り上げた個体は,低温処理
:
1界が早
後に萌芽適温下で約4か月培養しでも芽の成長が起こら
いことによるのであろう. しかし,萌芽時期の早晩に遺
なかったが, 9
月中旬に掛り 1
:げた個体は 6
週間培養すれ
市であり,金津らの北海道札幌市より春の気温
0
伝的変異のあることも知られている(稲'亘ら, 2
0
0
4
)
.
0月中旬に掛り上げた個体は
ば芽の成長が起こり, 1
月以降晩秋までは外観的な成長が見られなくなり,
7
5
週間培養すれば芽の成長が起こったことから,自発休眠
分げつ内部の芽も仲長が停滞したが,この仲長成長停滞
は9
月中旬以降,時の経過と共に徐々に浅くなっていっ
期間中に芽の内部では次代の側芽の分化や逆夏に抽苔す
の結果も考え合わせると,
たと考えられる.そして実験3
る化序の分化が起こっていた. この時期の生育管理は翌
自発休眠は 1
1月中旬以降に急速に浅くなり, 1
月上旬に
年以降の生育に影響を及ぼすので重要である.
はかなり浅くなって 2
月上旬頃には覚醒したと考えられ
る.
自発休眠の導入期は実験 2
,3
の結果からは不明である
葉の成長力の季節的変動
葉の成長力に以下のような季節的変動が見られた
5
が,芽の成長経過(第 5凶)と葉の成長力の季節変動の
月:
1
旬から 1
2月 :
1
旬までは葉の成長力が極めて小さいが,
凶)とを考え合わせると,芽の自発休眠の導入
結果(第 6
1
月 :
1
旬頃から成長力が増加し始め,その後 2
月 :
1
旬から
月 1
:旬頃と推定される.
期は 7
3
月上旬にかけて急増して,
3 月上旬 ~4 月 1: 旬に最大に
なお,実験 2 で 7~9 月に掛り 1: げて 5 0C および 9 0C 培養
なり,その後急減少して 5
月 1
:旬には再び極めて小さく
した灰で長期間培養後に芽の仲長が見られたが(第 8~
なる季節的変動が見られた.
1
0凶), これは培養中 l
こ5
, 9Cの低温に長期間さらされ
なお詳しく見ると , 1TC以上の温度では葉の仲長量は
0
たことにより自発休眠が打破されたためと考えられる.
4月 1
:旬と 3月上旬の聞に明 1
'
1な左は見られなかったが
(
第6
,7
凶
)
, 5~130C では 4 月上旬の葉の仲長量が 3 月 1:
低温処理による休眠打破
0
Cで
, O
o
Cで
自発休眠の打破に最も効果の高い温度は 3
旬のものより大きかった(第 7
凶).従って葉の成長力は
3
月 :
1
旬より 4月上旬のほうがやや高いと考えられるが,
は打破効果がやや劣り, 6Cはさらに劣った.Kanazawa
その左は低温下でのみ見られるようである.
0
ら (
1
9
97)も O
o
Cと5
Cを比較して, O
o
C処理のほうが打
0
,3
,6
破効果が大きかったと報告している. しかし, 0
o
Cの温度はいずれも実用的には十分な休眠打破効果を示
2
0
8
ギョウジャニンニクの自発休眠の打破
高樹・森田・佐藤
1
5
したので,休眠打破のための適温域は 0~60C とヨえる.
るため,低温処理の効果が小さくなり, 1
月上旬以降は
この範囲より温度が高くなると打破効果が劣り, 1
3C以
低温処理の効果が見られなくなった.
0
上では明 1
'
1な打破効果が見られなくなった.
休眠打破効果は低温処理期聞が長くなるほど大きくな
低温処理による休眠打破が有効になるのは 7
月下旬以
る傾向が見られた.また,掛り
:
1げ時期が遅くなるほど
より短い処理期間で休眠が打破された.
降から処理した場合であったが,休眠打破に必要な低温
処理期間は自発休眠が深い時期は長く,浅くなるにつれ
て短くなった.また休眠打破効果は低温処理期聞が長く
引用文献
なるほど大きくなる傾向が見られた.
十分な休眠打破効果の得られる低温処理の最短期間は
稲富佳洋・村田奈芳・中野英樹・田村春人・鈴木
掛り 1
:げ時期が遅くなるほど短くなった. 7
月下旬から
卓・
2
0
0
4
) 多禄な生息地から採以したギョウ
大津勝次 (
1
1月中旬までの掛り :
1げ時期に対するこの最短期間は,
ジャニンニク系統の萌芽期の早晩生およ ζmAPD
7
月下旬からの処理(実験 3
) では 3Cで 1
2週間, 8
月下旬
分析による分類.園学研. 3
(
4
)
:3
2
9
3
3
2
0
週間, 1
1月中旬からでは 4週間であった. 1
2月
からでは 8
金j
宰俊成・八鍬平Ij郎 (
1
9
8
8
) ギョウシャニンニクの植物
(
第1
報)生育過程と
中旬以降は,時期が遅くなるに従い自発休眠が急速に浅
学的性状に関する基礎的研究
くなることと,低温処理前の自然の低温遭遇量が多くな
分げつ機構について.北海道大学農学部邦文紀要.
ることのため,低温処理効果が会段と小さくなり, 1
月
1
6(
2
) :1
7
4
1
8
2
.
:
1
旬以降は低温処理の効果が見られなくなった.
金j
宰俊成(19
9
3
) ギョウジャニンニクの形態・発育特性
及び栽培化に関する基礎的研究.北海道大学農学部
摘
8(
2
) :1
0
9
1
6
3
.
邦文紀要. 1
要
Kanazawa.T
.
.H.Aral
王.
iT
.HaradaandT
.Yakuwa
(
1
9
9
7
)E
f
f
e
c
to
f low temperature s
t
o
r
a
g
e on
ギョウジャニンニクの萌芽は積雪下の 2 月中旬 ~3 月 1:
旬に開始したが,
b
r
e
a
k
i
n
gt
h
er
e
s
to
f Allium v
i
c
t
o
r
i
a
l
i
sL
.s
s
p
.
この時期の日最高気温の旬平均は約4
O
Cにすぎなかった. 7
月以降晩秋まで成長が停滞したが,
p
l
a
t
y
p
h
y
l
l
u
mH
u
l
t
.b
u
l
b
.J
.J
a
p
a
n
.S
o
c
.H
o
r
t
.
この期間中に芽の内部では次代の側芽の分化や逆夏に抽
6
(
3・
4
)
:5
2
7
5
3
3
.
S
c
i
.6
高樹英明・佐藤平Ij行 (
1
9
8
8
)ギョウジャニンニクの生理生
苔する化序の分化が起こっていた.
葉の成長力には季節的変動が見られ
5月 1
:旬から 1
2
態に関する研究(第 3
報)成体株の生育経過と生長力
:
1旬までは葉の成長力が極めて小さかったが, 1月 :
1
月
旬頃から成長力が増加し始め,その後2
月 :
1旬から 3
月 :
1
の季節的変動.園学要旨. R
i
'
16
3秋 :3
5
4
3
5
5
.
高樹英明 (
1
9
8
9
)ギョウシャニンニクの生理生態に関する
研究(第4報)低温経過と休眠打破.園学雑. 5
8 (別1)
旬にかけて急増して, 3 月上旬 ~4 月上旬に最大に達した
:3
6
0
3
61
.
が,その後急減少して 5
月上旬には再び極めて小さくなっ
高樹英明・佐藤平Ij行 (
1
9
9
7
)ギョウジャニンニクの種子発
た.
芽と実生の成長・発達.山形大学紀要(農学). 1
2
休眠から覚醒したギョウジャニンニクの葉の成長適温
(
4
) :3
6
5
3
7
2
.
域は 13~210C と考えられた.
自発休眠は 9
月中旬以降,時の経過と共に徐々に浅く
なり,その後 1
1月中旬以降は急速に浅くなり, 1
月
:
1旬
にはかなり浅くなって 2
月上旬頃には覚醒した.
自発休眠の打破に最も効果の高い温度は 3Cであった
0
が
,
0~60C の温度ならば実用的に十分な打破効果があっ
た. これより高い温度では効果が低くなり, 1
3C以上で
0
は無効になった.
低温処理による休眠打破が有効になるのは 7
月下旬以
2月中旬以降は自発休眠が浅くな
降に処理した場合で, 1
2
0
9
山形大学紀要(農学)第 1
5巻 第
4号 :2
1
1
2
4
2
. 平成2
1年 2月
Bul.
l Yamagata Univ.,Agr
.S
c
i
.,1
5
(
4
):2
1
1
2
4
2
.Feb. 2
0
0
9
戦後庄内砂丘地における園芸作(メロン作)の歴史(前史'"'"1
9
9
8
年)
-外需牽引型産地構造の形成・展開・変質過程を中心に(戦後庄内砂丘地における園芸作の歴史)
保木本利行
山形大学農学部生物生産学科農業生産学講座
(平成 2
0年 9月18R受理)
H
i
s
t
o
r
i
c
a
li
n
v
e
s
t
i
g
a
t
i
o
no
ft
h
e developmentp
r
o
c
e
s
so
fh
o
r
t
i
c
u
l
t
u
r
efarming
ont
h
es
a
n
d
h
i
l
lareai
nt
h
e ShonaiD
i
s
t
r
i
c
t
.
yamagatap
r
e
f
e
c
t
u
r
e,JAPAN
ToshiyukiHOKIMOTO
Section of Agricultural Production,
Department of Bioproduction,Faculty of Agriculture,
Yamagata University,Tsuruoka,9
9
7
8
5
5
5,Japan
8,2
0
0
8
)
CReceived September 1
Summary
I
nt
h
i
sp
a
p
e
r,1f
o
c
u
s
e
do
nt
h
ed
e
v
e
l
o
p
r
n
e
n
tp
r
o
c
e
s
so
fh
o
r
t
i
c
u
l
t
u
r
ef
a
r
r
n
i
n
g on t
h
es
a
n
d hi
1a
r
e
ai
nt
h
e
a
r
n
a
g
a
t
ap
r
e
f
e
c
t
u
r
e,j
a
p
a
n
.
S
h
o
n
a
id
i
s
t
r
i
c
t,Y
The r
a
p
i
de
x
p
a
n
s
i
o
no
ft
h
eu
r
b
a
nd
e
r
n
a
n
df
o
rf
r
e
s
hv
e
g
e
t
a
b
l
e
s and f
r
山 t
s had t
r
a
n
s
f
o
r
r
n
e
dt
h
eb
a
r
r
e
n
d
e
s
e
r
ti
n
t
ot
h
ep
r
o
f
i
t
a
b
l
ef
e
r
t
i
l
eh
o
r
t
i
c
u
l
t
u
r
el
a
n
di
nt
h
i
r
t
yy
e
a
r
st
i
r
n
e
. The d
e
t
a
i
l
so
ft
h
i
sc
h
a
n
g
i
n
gp
r
o
c
e
s
s
9
9
8 are discussed i
nt
h
i
s paper
. The r
n剖 n s
t
r
a
t
e
g
yt
oa
d
o
p
tt
h
e
s
ee
x
t
e
r
n
a
l
i
nt
h
ep
o
s
t
w
a
rp
e
r
i
o
du
n
t
i
l1
d
e
r
n
a
n
d
s were t
h
e new t
e
c
h
n
o
l
o
g
yi
nt
h
ep
r
o
d
u
c
t
i
o
n and t
h
ec
o
l
l
e
c
t
i
v
i
z
a
t
i
o
no
fs
a
l
e
su
n
i
t under t
h
e
a
g
r
i
c
u
l
t
u
r
a
lc
o
o
p
e
r
a
t
i
v
e
s
. Rut t
h
e
s
ed
a
y
s,t
h
e
s
ef
o
r
r
n
e
rs
u
c
c
e
s
s
i
v
es
t
r
a
t
e
g
i
e
sf
o
rg
r
o
w
t
h had r
u
n up a
g
a
i
n
s
t
h
ef
a
r
r
n
e
r
sa
r
er
e
q
u
i
r
e
dt
o change t
h
e
i
rw
a
y
.
as
t
o
n
ew
a
l
l,and t
I
nt
h
en
e
x
tp
a
p
e
r 1a
r
ng
o
i
n
gt
oe
x
a
r
n
i
n
ea
b
o
u
tt
h
e
s
ec
h
a
n
g
i
n
gs
i
t
u
a
t
i
o
ni
nt
h
eh
o
r
t
i
c
u
l
t
u
r
ei
nt
h
eS
h
o
n
a
i
d
i
s
t
r
i
c
ti
nt
h
e
s
ed
a
y
s
.
Key words:t
h
eS
h
o
n
a
id
i
s
t
r
i
c
t,sandhi
1a
r
e
a,h
o
r
t
i
c
u
l
t
u
r
e,r
n
e
l
o
n,a
g
r
i
c
u
l
t
u
r
a
lc
o
o
p
e
r
a
t
i
v
e
社会認識は,現在と過去と未来の対話であるといわれる
第 1章 は じ め に
が,地域社会のあゆみ来し布を歴史的視座からふり返るこ
筆者は,戦後の山形県出内地ノ与を対象として,文献資
とを通して,地域社会の現状認識,そして,今後の地域
料や各種の業務・統計資料あるいは間取り調査等を活用
社会のあり得べき姿を考察する会つの足場としてゆきたい
しながら,市場メカニズムによってもたらされた地域経済や
と思う.
本稿では,まずその手始めとして,大規模水稲単作地帯
農業構造の変貌の経緯を, これから数回の稿に分けて,整
として知られている正内地ノらの園芸型農業展開の代表者,
理・分析するという課題に取り組んでみたいと思っている.
キーワード:正内地ノら,砂丘地,園芸作,メロン,農協
2
1
1
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
1
8
海)~沿いの砂丘地帯に戦後形成されたメロン作を対象とし
農家のうち 6
0歳未満の男子農業専従者がいる農家の割合
て,その産地の形成・展開・変質の過程を検討することと
は2
6
.
2
%であり,山形県の 22%,東北の 15%,全凶の 1
3
%を
する.
大きく上回る.男女年齢を問わず専従者が会人でもいる農
なお,農産物の凶境措置を前提に,政府の補助金行政
家の割合でみると,全凶は 3
4%,東北で 35%,山形県でも 4
と農協共版体制,ならびに拡大する都市部での農産物需
0%に留まるに対して,庄内地んーの鶴岡市,酒田市ではそ
要を背景として形成されてきた戦後型モデルの農業生産構
れぞれL
4
9
.
8
%, 51
.7
%にの l
まる.
造は, 1
9
9
5年の WTO設立以後大きな転換を迫られるよう
このような分厚い農業者屈を成り立たせている大きな要
:
1げること
因のひとつは,歴史的背景をもった農家の経営規模の大き
になったが,そうした近年の動向は次稿で取り
とし,本稿では, 1
9
9
9年の新農業基本法の制定前後まで
さである.
の時期を対象として考察を進めることとした.
この庄内地ノらは,近世の新田開発を通じて形成された古
以下順を追いながら地域像やその歴史的展開過程の分
くからの典型的な大規模経営地帯であり,戦前期は巨大
析を進めてゆくが,まず叙述の前提として,対象地域の概
地主地帯として,戦後は大規模水稲作経営地帯として知
られている.平均経営耕地面積は全凶のおよそ 3
倍,全農
況を整理することからはじめることとしたい.
家のうちで 3
ha以上の耕地を経営する大規模農家の占める
第 2章 対 象 地 域 の 概 況
第 1節
分厚い農業層を擁する歴史的に恵まれた水稲単
作地帯としての圧内地方という地帯構造論的特徴
0%(
5,
48
9戸)と,山形県の 1
4
.
6
%,東北の 1
0.
4
%
,
割合も 3
.
1
%を大きく引き離す. これは版売金額 7
0
0万円
都府県の 4
以上の農家の割合でみても同禄である.庄内地ノらは 1
8
.
3
%
であるのに対し,山形県は 1
2
.
1
%,東北は 7
.
1
%,全凶は 9
.
5
%にすぎない.
J1の河円に広がる正内平野は,
山形県の日本海側,最 I:
大規模経営地帯としての正内地々の特徴は,古い歴史
古くから日本の代表的稲作地帯として有名である.平均斜
的背景から形成されたものであり,高度経済成長期に急激
度がほぼゼロに近い水稲作に恵まれた環境に, 4
0,
0
0
0
h
a弱
な離農と土地集積の進展によって形成された北海道などの
もの広大な水田が圃場整備本 8
1% (
1
9
9
5年,山形県庄内
大規模経営とは,本質的に異なった山自を有するという点
支庁『庄内の農林水産業 J
I
)の30a灰画で整然と整備され,
には注意を払っておかなければならない.庄内地ノらの鶴岡
視界の広がる限り 会面に穂波が広がる風景は,風物詩とし
市では, 1955 年~時すでに経営面積 3ha以|泊農家が全体
て以り上げられることも多い.
の2
5%を占めており,戸数も 1
,
1
1
2戸と, 1995 年現在の~
この広大な正内平野の南北には, I
五内地ノ白全体約 3
0万
該規模屈とほぼ等しい数を有していた.それ以後約 4
0年間
分の 1
を占める人 nlO万人の地ノら中核都市であ
人のおよそ 3
ha以上の農家屈の絶対数はほぼ平
のあいだに,経営面積 3
る鶴岡市と,同禄に人 nlO万人を要する酒田市が,文化
行線をたどり, 2
倍に近い仲びヰtを記録した都府県といち
0万人が
圏を二分するこ極構造をなして位置し,銭りの約 1
じるし L
、対象を見せる.経営面積 3
ha以上の農家屈の経営
周辺郡部に広く凶{干している.
9
9
5年現在で総面積の 6
8
.
7
%であり,
耕地面積シェアは, 1
この j
土内地々の農業構造を第今に特徴つ、けるのは,水稲
1
9
8
0年以降尻上がりに :
1昇傾向を示しているものの,それ
作である.耕地全体に占める水田の割合は 9
0
.
5
%を示し,
以前は高度経済成長期も含めて総農家数はほぼ会定で推
5
4
%,東北平均の水田ヰ!
'
7
0
%,
これは,全凶平均の水田ヰ¥
移し,
1会届経営の顔ぶれ自体も,農地改革期以降現在ま
8
%
を大きく上回る(n99
5
年農業センサス J
I
)
.
山形県平均の 7
でほぼ安定的に推移してきでいる.歴史的に見て,地域の
農業祖生産額に占める米の割合も 6
5
.
3
%と,全凶平均の 3
3
基本的な規模階層構成は,相対的に安定的な動きを示し
%,東北平均の 5
0%,山形県平均の 53%と比較して極めて
てきた地域といえるのである.
高い水準である.
歴史的な経営面積の優位性と,相対的に停滞的な規模
全凶的に「脱農」現象が指摘されるなかで, !土内地ん
構成,そして高い所得形成力を誇りながらきわめて兼業補
は,農業労働力の屈が格段に厚い点も大きな特徴である.
完的な性格を持つ水稲作の特殊性が,庄内地ノらの農業構
9
9
5年現在で 1
8,
2
9
5戸,農家ヰt
庄内地んーの農家戸数は 1
造にもたらしたのは,兼業対応型水稲単作経営の全面的な
1
9
.
7
%であるが (n995年農業センサスI
J
,以下同禄), この
展開であった.
2
1
2
会百でいうならば, コメという安定的かっ
山形県出内地ノらにおける地域経済構造
保木本
1
9
兼業補完的な作目を大面積で展開できるという条件に,過
まな就業機会に振り向け,家族の問で助け合い状況に対応
度に安住した経営構造が広がっているのである.
しあい,家計と大規模な農業基盤と,家族の生活を成り
j
土内地々は,全凶に比べて同 )
6
一本が高く,
3
世代, 4
世
立たせる. この多就業に支えられた分厚い第 1
種2
種兼業農
代同凶といった直系米族の割合が非常に高いことでも知ら
家屈を中心 l
こ,平均単品(10
俵を誇る高い技術に支えられて,
れている. この豊富な労働力は,水稲会貫機械体系が完
庄内地んーの大規模な稲作経営は営まれているわけである.
9
7
0年頃以前は,水稲作に全面的に投入されてい
成される 1
た.農地改革直後,馬耕手植えの段階にあった時期には
家族員の範囲ににとどまらず,戦前の地下・小作関係や本
家・分家などの伝統的な結びつきを基盤に,経営面積の多
第 2節
圧内地域における特異的な園芸地帯としての砂
丘地帯
寡によって,同じ集落の内部で年屈を入れる農家と年雇を
このような分厚い農家屈を擁する歴史的に恵まれた大規
山す農家という階層序列が厳然と形成され,その労働力が
土内地々
模水稲単作地帯として今般的には特徴つ、けられる j
全面的に水稲に投入されていた.それだけの労力をつぎ込
ではあるが,実は地域内の農業構造を検討すると,きわめ
まなければ~時の水稲作付けは不司能であったのである.
て特異的な園芸地帯が,海)~沿いの砂丘地には広がってい
ところが, 1
9
7
0年代以降に動力田植機と自脱型コンパイ
ることが確認できる.
1
9
6
0年の浅層地下水による濯 j
既設備の開発以降, 1
9
6
0
ンによる水稲会貫機械体系が完成し,稲作の労働収容力
が大幅に縮小するにつれて,余剰l
労働力は急速に兼業機会
年代後、│そから 7
0年代前、│そはプリンスメロン, 1
9
7
0年代、│そば
へと向かうことになる.全凶の園芸産地などをみると, こ
以降はアンデスメロンを柱とし, 1
9
9
8年現在,経済連版売
の時期に,全面的な離農を避け,兼業や山稼ぎに山ずとも
7億円の日本有数のメロン産地を形成している正内砂
実績 1
すむ条件をなんとかつくろうと試み,新たな労働収容力の
丘地帯である.
向上をめざして複合経営部門を設立させていった事例が多
本稿では, この庄内砂丘地におけるメロン園芸作を対象
い. しかし,この正内では,大規模経営地帯で相対的に豊
にその歴史的展開過程の分析を進めてゆく. しかし,本節
かであり切迫感に乏しかった点や,高米価に支えられた有
ではまず,砂丘地域の地理的・歴史的背景を,先行研究
利な水稲作と比較するという眼差しが大変強かったために,
に依拠しながら,簡単に整理しておきたい(注1).
j
五 内砂丘は,山形県出内平野の日本海沿いに北は遊佐
複合経営展開は全く微弱なままに留まり,水稲の規模拡
大も容易には進まないために,以後,兼業対応型水稲中
町内浜から南は鶴岡市湯野浜まて、南北に約 4
0
k
m,幅は南
作経営の全面的な展開がすすむことになった. この"水稲作
部で約 3
k
m,最高点 77mの規模を有して発達しており,そ
と比較するという眼差し"は,作物別収益性指標でも客観
の面積は,約 8
,
0
0
0
h
aといわれている. 日本でも有数の規
的に確認できるが,先.~þ\的に庄内地んーで複合経営に取り
模を誇る砂丘地帯である.
歴史的にみると正内砂丘地は,海に接した i
魚、村と砂丘の
組んだ農業者が異円同音に述べる感想、でもある.
以上のような経緯に基づき, 1
9
9
5年現在の庄内地ノらは,
東麓の農村というこつの地域に灰分することが山来る.
農家戸数のうち,専業農家に分類される農家はわず、か
海)~の漁村は近世以前にまでさかのぼることのできる古
1
,
2
9
3戸にすきず,のこりの大、│そは,第 1
種兼業農家 5
,
6
0
8
い村落で,元来は漁業を1':とし,製塩業を高J
I
業として生活
戸,第 2
種兼業農家 1
1,
3
9
4戸となった.第 1
種2
種を含めた
してきたために農業はほとんど問題にならなかった地域であ
2
.
9
%と
, I
脱農」現象が指摘される全凶
兼業農家割合は 9
る.明暦 2
年 (
1
6
5
6年)の検毛帳にも殆どの村落に村高の
の8
4
%よりも高い水準となっている.
記載がみられない.藩政時代末期になると若干の村高が記
このように全凶平均以│泊兼業対応をしながら,全凶平
均の 3
倍以上の水田を耕作し,高い専従農業者を確保し得
載されているが,本質的には農業を生業とする村落ではな
かったとされている.
会ノら,東麓の農村は,古村にあたるのは黒森のみで,他
ているのは,前述した正内地ノ白農業構造の特徴にくわえ,
狭障で女子型・低賃金と特徴つ、けられる地域労働市場の
は藩政期の砂防林野整備に伴って聞かれた新田村あるいは
特徴,さらに庄内地んーの独特な家族構成も大きな要因となっ
校村が今村に以り立てられたものである(長井, 1
9
5
4年).
ている. これは農家の内部における不安定多就業状態にさ
この東麓集落の農業は元来,周期的早魅のために,不安
L、かえることもできる.家族員をさまざ
さえられていると L、
定で生産力のきわめて低い砂丘地畑砂丘地を,東側に発
2
1
3
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第
2
0
4号
達した水田が支えるという構造で成立しており,個別経営
元の八百屋等の青果小商人や買い山し人に版売されており,
に占める水田の意義が大きい性格を持ってきた.そのため
また主婦達が早朝にリアカーで4~8km もの道程を歩き,酒
現在でも,土地所有における畑と水田の所有には高い相関
田・鶴岡へと売りに行っていた.まれに仲買人渡しゃ組合
が認められ,水田規模の大きい農家ほど,畑の所有も大き
扱いもあったという.
いというイ頃向があるといわれている.
いずれにせよ,危険分散的な観点から多品種の作物が試
しかし,東麓の農村が抱える広大な砂丘地は,藩政期か
らごく近年まで,農業が山来ないまったくの不毛の地であっ
行錯誤的に植え付けられていた時代が,
1
9
5
0年代後、│そごろ
まで f
d
eいていた.
lには砂防林の植林等が試みられ,若干の
た.藩政期後、'
農地利用もなされた時期もあるのだが,明治時代の植林地
の払い下げの影響で防砂林が伐採された結果,戦前期には,
第 3章 戦 後 砂 丘 地 園 芸 作 ( メ ロ ン 作 ) の 形 成 期 の 分 析
このように不毛の地とされ米にしがみついて生活を成り
~砂の被害によってふたたび耕地の荒廃が進んだ状況にあっ
土内砂丘地は,戦後会大園芸作地帯へと変
立たせてきた j
た.
この不毛の砂丘地域の耕地化が本格的に進展するのは,
貌を遂げ現在に至ることになる.本章では,まず砂丘園芸
本格的な砂防林造林が行われた 1
9
5
0年代ごろである(立石,
作の本格展開の前史,すなわち,①戦前来の貧窮的畑作
1
9
8
9年). 1
9
5
3年 l
こ「海作砂丘地帯農業振興臨時措置法」
の時代から,② 1
9
6
0年以降の技術開発と園芸作 H産地基
が時限立法として成立し,砂丘地の耕地化が進むことになっ
9
7
0年以降のプリンスメロン産地確立
盤形成期,そして③ 1
た. この時期は食料増産期であり,砂丘地への入植等から
つの時代について,それぞれの時代画期別の特
期,という 3
農家数も増え,農地も拡大する今庄,水稲単作地帯への
徴・性格等を考察してゆきたい.なお,この時代は,全凶
果実野菜の供給基地として多禄な農作物の生産が試みられ
的にみるならば青果物需要の絶対的拡大と青果物j広 域 流
たのである. しかし砂丘における耕作面積は零細であり,
通体系の形成期と位置づけられる時代でもある.本章では,
いまだ濯概施設も整備されず,干害.~砂・潮風害などの
砂丘地の園芸産地化を牽引したこうした青果物生産流通
災害も格段に多く,いわば全くの天候任せの栽培であった.
構造の変貌の経緯にも目配りしながら, I
五内砂丘地にメロ
乾燥地農業としての特徴が顕著で,葉菜類よりも果菜類,
ン作が展開する契機となった諸条件を整理してみたい.低
根菜類に適し,果菜類の中でも瓜類の栽培に好適であった.
成長時代以降,園芸作本格展開の中核となったアンデスメ
~時はそれぞれの集落の名前を付けたマクワ,スイカがあ
ロン興隆の動向については,章を改めて次章で取り
り,甘みの 5
郎、良質なものを生産し特産として知られてい
こととする.
たともいう.袖 j甫を事例とした~時の調査(阿部,
石川,
:
1げる
1
9
5
5年
,
1
9
5
4年・ 1
9
5
5年・ 1
9
5
7年,尾河, 1
9
5
3年)によれ
ば,畑作物としては大・小麦,すいか,まくわうり等が多
く作付けされ,なかでも干ばつ対策として秋冬作の大・小
第 1節 戦 後 の 全 国 的 な 青 果 物 広 域 大 量 流 通 体 系 整 備 の
概略
まず, I
五内砂丘地における園芸作の展開を牽引した今般
麦が仲びていたという.その他にも,蕎麦,大豆,小豆,
甘藷,馬鈴薯,ナス,イチゴ,メロン,スイカ,大根,か
的社会的背景たる戦後の全凶的な青果物広域大量流通体
ぶ,小松菜,にら,あさっき, 1
'
1菜,たいさい,長 j,きゅ
系整備の経緯を簡単に整理しておこう.
うり,カボチャ,ねぎ,インゲン,里 j,チューリップなど
多品 Hにわたっていた.
耕地の分布は砂防の関係から細長く林の中に聞かれてい
凶内における青果物の生産・流通構造は,高度経済成
長期に入るまでは, もっぱらそれぞれの域内での生産・流
通・消費を基本としたものであった.
例えば凶内最大の需要地とされる東京都ですら,終戦後
るものが多く,集落に近い場所には野菜畑が多く,離れる
に従ってかんしょ,大麦などが多く本脈の l
頁:
1を越せば桑
の1
9
5
0年の人円は 6
0
0万人をわずかに超える程度であり,
又は果樹を植えたところが少なくなかったといわれる.その
会人あたりの野菜作付け面積も,全凶平均のおよそ、'
l
分程
下は野菜畑でさらに下って平野に接するところには処々に
度は有し,東京都の野菜需要も,都内での生産で足りない
杉林も見られるといった状態であった.
部分を,杵奈川等の近隣県からの移入でまかなうという状
~時の農作物は,大部分,農家の住 )6 ゃ畑において地
況であった.
2
1
4
山形県出内地ノらにおける地域経済構造
保木本
2
1
戦後,青果物の広域流通と流通機構に対する政府の行
着目するのは,①正内という豊かで恵まれた水稲単作地
政的介入が本格的に現れてくるのは 1
9
5
5年以降のことであ
域に存する特異的な貧凶地域としての砂丘地とそこで育ま
9
6
0年以降にな
る. とりわけ高度経済成長がスター卜する 1
れた園芸作精杵や経営者能力,②古くからのメロン生産の
ると,需要が大きく仲びたにもかかわらず,農業生産がそ
既設備など生産基盤条件,④全凶的
伝統と適地性,③濯 i
れに照応してのびなかったため,生鮮食料品の値上がりは
な普及品種プリンスを容易に取り入れることができた先駅
著しくなり社会問題化した. これをきっかけに,生産が拡
性,④市場への供給経路や流通環境条件,⑤米の時代の
大しない原因は価格が不安定なために生産が安定しない点
終克と新しい農業への期待,等である.
や,また流通経路の整備が遅れているためであるとされ,
価格安定政策と流通機構の改善が強く要請されるようになっ
第 1項
た.
者能力
この状況を受けて,農林省は青果物価格安定事業を 1
9
6
貧しさのなかで求め培われた園芸作精神と経営
前述のように,庄内地ノらは,
日本に誇る水稲作地帯で
年6
月から実施,さらに 1
9
6
3年からは指定産地事業を開
2
ある.現在でこそ園芸作等が農業振興の柱と位置づけられ
始して,大型産地と大型市場とを結びつけて需給の安定を
9
9
0年代、│そばまでは,米作がもっとも安定
るのであるが, 1
凶ろうとしはじめる. これはのちに指定産地事業として成
しかっ労働収益性の高い作物jであったのは周知のことであ
る. とりわけ正内地々は,大規模な水田面積を有していた
文化されることになる.
9
6
3年 7
月に「生鮮食料品流通改善要綱」が閣議
さらに 1
ために,凶内でも有数の豊かな農業地帯であった.
9
6
6年 7
月には「野菜生産山侍安定法」
決定され,ついて、 1
これに対して,砂丘地は長い間貧凶に苦しんだ地域であ
が制定される. これは会定の生産地における指定野菜の生
る. 1950 年代~時には,砂丘地南部の湯野浜から浜中,
産および山侍の近代化を言│画的に推進し,その生産と山向
U野浦にかけては、│そ農、 n
魚、,砂丘地北部の酒田,同浜,
の安定をはかつて野菜農業の健全な発展と凶民消費生活の
甫にかけては行E
のi
魚、民を除いては専業農家とわかれて
吹i
安定に資することを H的に制定された法律である.
このように 1
9
6
0年から 1
9
7
0年までの 1
0年間は,東京およ
はいたが,いずれも砂丘における耕作面積は苓細であり,
未だ濯j
既施設も整備されず,全くの天候任せの栽培であり,
び周辺の都市化が進み,野菜を遠隔地から供給しなければ
品 H弘前述のように,同瓜,マクワウリ,ねぎ,長 j,
ならない社会情勢となって,近代的な野菜の長距離輸送流
若干のイチコ、等が雑多に栽培され,生産された青果物は下ー
通へと野菜の流通事情が会変した.広域集散市場体系と
婦たちが早朝にリアカーで 4~8 キロもの道をあるいて,酒
よばれる新たな流通構造が,セとして東京,名古屋,大阪
田,鶴岡へと売りに行っていた状況であった.(阿部,石川
こ進展したのである.
のJ大都市の中央卸売市場を中心l
等,前述)
既未整備のために,夏野菜の生産時には水源から桶を
濯i
9
7
1年の「卸売市場法」制定以降,低成長時代
さらに 1
0年間には,地庁都市の中央卸売市
にはいるまで、のつづ、く 1
肩に担いで運ぶ桶濯水が広く行われていたが,
場の急激な増加と指定消費地域の拡大,他ノらでの指定産
炎天下におこなわれる非常な重労働であり,
これは夏の
I
嫁殺し」と
地の拡大と農協共版の進展,さらには小売り部門における
0
aあたりの濯水労働時間は 1
3
5時
呼ばれた作業であった. 1
量版屈の急激な進山などによって,広域大量流通体系は
9
8
9年)•
間も要したという(立石, 1
また,砂丘地農家の住凶も,そのほとんどが杉皮葺き屋
全凶規模に拡大することとなった.
第 2節
圧内のメロン園芸作の形成に寄与した要因およ
び時代画期の視点の整理
ではこのような青果物需要の拡大と広域大量流通体系
根石をあげ,風の強い日には家の中まで~砂がはいり,そ
れを防ぐすべもなかったという.
~時より砂丘地帯の農家の働きぶりは,平場水稲作地
帯の人々とは
1尿を画していたが,貧窮の現状から何とか
整備という時代条件のなかで, !土内の砂丘地ノらはどのよう
脱却の道はな L 、かと~.求する心情と努力は,砂丘地園芸作
な反応を見せたのだろうか.地域の個性的な農業生産力構
の展開を考える
造形成過程を理解するためには,外部条件に加えて,園芸
として忘れるわけにはL、かない.
作形成に寄与した地域内部における要因にも着 Hしなけれ
ばならな L¥
2
1
5
:
1で抜きにすることは山来ない重要な要因
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
2
2
第 2項
1
9
2
0年代にまでさかのぼる地域におけるメロン
生産の伝統
第 3項 浅 層 地 下 水 の 発 見 と 1
9
6
0年以降の個別潅殺の普
及
つぎに注 Hすべきなのが, この j
土内砂丘地における 1
9
2
0
j
五 内砂丘地が園芸作の先進地へと変貌しえたもうつの
年代にまでさかのぼる古くからのメロン栽培の伝統である
要因は,浅層地下水という安価な費用で司能な潅概手段
(山形県立農業試験場砂丘分場, 1
9
6
4年)•
を発見し,開発できた点である(立石, 1
9
8
9年)•
あまり知られてはいないが,
日本の露地メロン作の伝統
は短いものでしかない.
庄内砂丘は地質学的には単純な構造でなく,新│円二砂
層よりなっている. このうち下位の砂層は,古砂丘と呼ば
日本には古くよりマクワ系統の栽培はなされてきたが,
れており,現砂丘下に位置し,現砂丘に比し起伏が少なく
いわゆる露地メロン系の栽培は,明治初期以来アメリカか
平滑な形態を示している. この古砂丘の表面は, 1O ~20cm
らたびたび導入して試みられたにもかかわらず成功しなかっ
の不透水層て、ある似性黒色砂層によって表面が国定されて
た.~時,アメリカ合衆凶で広く露地で栽培されていたカ
おり,現砂丘は, この古砂丘の│今に堆積したものである.
ンタローフ。類は,カリフォルニア州に代表される高温乾燥
国定された古砂丘の表面が不透水屈である黒色砂層に覆わ
した気候風土に適合した品種であったために,多雨・多 t
I
L
!
れているため,砂丘内部には比較的高い地下水面が存在す
な日本の風土に適さなかったのである.試作に成功したの
る. これが戦後豊冨;な浅層地下水として発見され,利用さ
9
2
0年代末に入ってからであり,場所は,比
は,ょうやく 1
れ,今日の園芸地域としての躍進の基礎条件となった.
浅層地下水の利用技術を開発したのは,前述のメロン作
較的夏期高温で乾燥する北海道の道南・道中および裏日
本の秋田・そしてこの山形庄内の海作砂地であった.
しかしこれらの地域では,たしかに 1
9
2
0年代末にかけて
の伝統のもと地域に存在していた山形県園芸試験場砂丘
分場である. 1
9
5
6年に「個別潅概ノら式」の研究開発の結
わず、かながら営利栽培もなされたものの,地域的な限定性
果,砂丘向けの改良ポンプを開発し,地下 4~5m の浅届
9
6
5年頃まで
から栽培は広く普及はせず,そのまま戦後の 1
から水を汲み上げる事に成功し, 1
9
6
0年には砂丘分場がそ
9
6
5年頃までは, メロンといえば,
に至っている.つまり 1
の成果を今般に発表する.以後分場周辺を中心として,
特殊需要向け超高級品としての温室メロン(マスクメロン,
急速に普及が始まってゆくのである(山形県園芸試験場砂
同洋種)と今般消費者むけのマクワウリ(東洋種)とが二
丘分場, 1
9
7
5年)•
それ以前の 1
9
5
5年には,河川からの大規模濯概計画も
極分化した生産状況であった.
会般消費者が欧米型のメロンにはじめて身近に接するよ
構想されたが,砂丘に対する莫大な投資への不安から,結
うになるのは, 1
9
6
2年のプリンスメロン登場以降である.
日つぶれた経緯もあり,浅層地下水を利用した安価な潅 j
既
プリンスメロンはマクワウリとヨーロッノマカンタロープとの 1
手段の開発は砂丘地のメロン作の振興において, きわめて
代雑種として坂田種苗が開発した品種であるが,温室メロ
重要な要因となったのである.
ンに会歩近づいたといえる優れた品質や,栽培の容易なこ
とから,消費者・生産者いずれの側にも爆発的な人気を呼
9
6
6年にははやくも全凶的に栽培されるように
び起こし, 1
なる.そしてこれ以降,
第 4項全国区品種であるプリンスメロンの登場
日本にもいわゆる露地メロンが普
j
五内砂丘地は,前述のように,凶内でもまれな伝統的な
及するようになり,アンデス,アムス,あるいは赤肉系統
露地メロンの生産地であった. しかし,この伝統仏全面
の露地メロンなどへ受け継がれてゆくのである.
的な産地形成をはかるためには,全凶的な需要を喚起しう
以上のような経過をふまえるならば庄内砂丘地が,露地
メロン作に先駅的にとりくんだ全凶的に特異な地域であっ
るお7
しいメロン品種,プリンスの登場を待たなければならな
かった.
たことがわかるであろう.
この経緯をよく示すのは,プリンスメロン登場に先立つ
1
9
2
0年代末には,この正内でも露地メロンの営利栽培が
こと 5
年前に, !土内で育成され全凶向けに版売まで試みら
以り組まれ,栽培農家戸数は 2
5
0戸以上にものぼったとい
れたライトメロンの失敗である(山形県立農業試験場砂丘
うが, このなかで培われた伝統と人材が, この地域の戦後
分場, 1
9
6
4年)•
の露地メロン振興には不司欠の要因であったのである(山形
9
7
5年)•
県園芸試験場砂丘分場, 1
ライトメロンとは,庄内砂丘地の七窪地灰の篤農家の斉
藤松太郎氏や思恩困・樋円氏,さらに砂丘分場が,さま
2
1
6
山形県出内地ノらにおける地域経済構造
保木本
2
3
ざまな組合わせの会代雑種による品種改良の検討と育成に
のは確かである. しかし「戦後の日本の園芸が本格的なス
1
9
5
7年には砂丘分場の協力
タートをきったきっ均斗ナはこのプリンスメロンとイチゴ(フェ
以り組み,その努力の結果,
の下で育成に成功した,
日本での農民登録品種第 1
号とい
う歴史に銭る露地メロン品種である.
アファックスや幸二日の登場だっただろう. メロンとイチゴ
の登場に消費者や生産者はみな度肝を抜かれた.栽培ノら法
ライトの育成は, i
産概の設備をしても,経済的に採算の
は完全に露地だが,そこから園芸作がスター卜したと思う。」
とれる作物j がないという~時の農家の悩みに,露地メロン
という~時の生産者からの円述からも分かるように,プリ
というノら向性を指し示すものであった.
ンスメロンのその甘い果肉への驚きとそれを生産できるとい
1
9
6
1年にメロン品種登録が完了すると, ライトメロンを
砂丘の農家に広く普及し県外に移出することを H的として,
う誇りは,砂丘地の農業者に園芸作という新し L、時代の幕
開けを肌で感じさせたのである.
砂丘分場協力会長ならびに庄内経済連の肝いりで山形県
露地メロン栽培組合連合会が,各農協の栽培組合を集め
第 5項
て設立され,県外への初山何がなされた.
確立
1
9
6
1年の県外へのメロン初山侍の実績は,北海道函館
へ1
7
2ケース,青森 1
5
2ケース,仙台 2
4
0ケース,そのほかに
1
9
6
8年以降の流通経路の整備と系統共販体制の
プリンスメロンという全凶灰品種を得たうえで課題となっ
たのは流通経路と版売体制の問題である.
4
7ケースという規模であった.露地メロンは夏の
も山形へ 2
これは,
1
9
6
8年から始まる経済連が主導した,プリンス
果菜の中で特に収益の多い作物j であることが~時,農家の
メロンを基軸とする作 Hの絞り込みと生産者組織化,そし
問ですでに知られていたので,栽培を希望する農家が多く
て版路の開拓によって解決されることとなる.すなわち,
ブーム的でさえあったが,実績は,
1
9
6
1年度は裁培農家戸
数1
2
4戸,裁培面積 5
3
0
a,山向数量 9
9
7ケース
(
6個詰め)
であった.
この年から,
会ノらでは, I
五内経済連がプリンスメロン・い
ちご・すいか・大根・ねぎ・長いも砂丘地作 Hを選定し,
多量生産を呼びかけ,技術の統会指導に取りかかった.同
9
6
2年にも,前年度 l
こう│き続き j
五 内経済連
さらに翌年 1
時に,従来中心であった北海道市場にくわえて,庄内にお
7
2
5ケース,札
中心の山侍組織を作り,東京杵田市場へ 1
ける園芸作物全産地形成事業推進とともに京浜市場の開
5
5ケース,函館へ 3
7
2ケース,新宿へ 1
9
0ケース,青
幌へ 4
拓への取り組みがはじめられた(J五内経済農業協同組合連
森へ 1
6
2ケース,その他郵iI路,小樽,旭川,室蘭,苫小牧
合会,各年度).
6
9ケース山侍している.東京市場への山侍は,新潟
等へ 2
プリンスメロンは日本中{可処の産地においてもビニール
県が先駅の役を果たし,北海道市場はj
五内柿の山何でこの
トンネル栽培により,着果安定と早期山侍を目指されたの
ノら面に大きな実績を持つ正内経済連によるものであった.
だが,庄内砂丘地においてもこの作型をとれば 7
月山侍が
7
5戸,栽培面積 1
4
0
5
a,
しかし版売結果は,栽培農家 2
司能であり, この時期は,お盆のi;ji
J
であることとともに夏
山侍数量 3
7
4
2ケースにとどまった. 日持ちのないこともあ
果実の品薄な時期であるため高価格での取引実績が評価さ
りライフメロンの産地化は思ったほどはかばかしく進展しな
れていた. こうしてプリンスメロンは作型の技術指導ととも
かった.すなわち,全凶から求められるような品種ではなかっ
に園芸振興の中核に位置づけられた.
さらにビニールトンネル栽培のプリンスメロン導入によっ
たのである.
このように「ライフ」の産地作りに苦慮していた頃,登
て,新たな課題として土地の高度利用という側面から後作
場したのが,坂田種苗で育成された「プリンスメロン」で
をどうするかが問題となった.そして,
ある.庄内では 1
9
6
2年から試作導入されることになる.そ
培されてきた葉茎菜類,根菜類を整理して, これに代わる
して肉質はよいが日持ちの思く市場性のないライフメロン
品 Hとして砂丘大根(大蔵大根・切り干し大根)が選ば
から,輸送性と市場性の高いプリンスメロンへの急激な切
れ
, ここにプリンスメロン→大根の輪作体系が確立された.
り替えが行われることとなった.
両 品 Hとも以後,年々栽培面積も増反され,庄内銘柄の
~時のプリンスメロン栽培は,
これまではマクワウリを中
これまで雑然と栽
確立とともに庄内地んーにおける本格的主産地形成が始まる
心に栽培してきた庄内地んーにとっては,初めての経験であ
こととなった.
り,台本を利用しての援本栽培はスイカで若干の経験はあ
なお,砂丘大根は,プリンスメロンにとどまらず,いち
るものの,労力的にはきわめて手数のかかるんー法であった
ご・すいか・ばれいしょの跡作としても位置づけられ,北
2
1
7
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
2
4
海道や京浜市場に山侍された.マルチ十トンネル栽培ノら式
砂丘地に投資するという経営形態へと, この時代を境に大
により作柄は安定し,砂丘地産のものは素肌が奇麗で食味
きく変貌していった. こうした変禄は,下ー産地化の運動が,
も良いことから会躍東京都内市場で人気を博したという.
まさに時代の追い風を受けて生じた結果なのである.
9
7
0年頃よりプリンスメロンの作付け面積も
こうして, 1
2
0
0
h
aと急激に増反され,量的にも 2
5万ケースの時代を迎
第 7項
える.秋田ならびに訪日城との競合も徐々に激しくなり,消
生産基盤の確立
1
9
7
1年以降の基盤整備や農業用電力導入による
費宣伝の必要が叫ば札経済連では,横断幕,テ、イスプレー
砂丘地農業は本来集約的性格の農業であり,その生産
等を利用した仲卸をはじめ小売り,消費者全屈にわたる消
基盤を十分に確立するためには,施設や濯i
既設備等の多額
費宣伝にとりくむようにまで至るのである.
の投資が必要とされる. しかし, こうした多額の投資を行
み,大根も輸送山来る野菜であることから,庄内のよ
うためには,それに先だってまず,将来性と収益性のある
うに消費地から離れていても十分に産地して認められ,そ
作目が選定されていること,あるいは,その版売環境の整
の結果, 1
9
7
1年には農林省秋冬大根指定産地となった.
備に見通しが付いていることが必要条件となる.
さらに 1
9
7
4年には東京都と正内経済連の問で生産者最低
この時期を転機とする,注目すべき事象としてあげなけ
価格を保証する契約栽塔が締結され, これによって版売環
ればならないのは, こうした生産基盤確立の動向である.
境は会届安定することとなった.
すなわち,以後の砂丘地農業を会変させることになる基盤
同禄な理由から, 1
9
7
3年以降袖浦農協等でも共同えが始
9
7
4年には凶の指定産地となってい
まっていた馬鈴薯も, 1
整備事業や大規模な農業電気濯概がこの時期大きく普及
するのである.
これまで砂丘地の農業経営を不安定なものにしてきたの
る.
は早魁であり,その克服のために水平Ijの整備が不司欠て、あ
第 6項
1
9
6
0年代末から 7
0年代初頭にかけての米の機械
化完了と 1
9
7
0年以降の減反政策の開始
ることは,関係者には強く意識されており,再々大事業が
計画されてきた経緯をもっ. しかし最初は, 1
9
5
0年代後、│そ
このように,プリンスメロンを中心とする園芸品目がこ
の時期,
会斉に産地化を成し遂げた背景には,水稲作にお
ける機械化会貫体系の確立に伴う水田労力の減少や,生
に大規模濯概事業の構想が計画されたが,~時は農業とい
えば米会辺倒の時代であり,砂丘に莫大な投資をする不安
9
6
から地元の意向をまとめきれず,つぶれてきた.さらに 1
産調整を契機とする農家の姿勢の変化も大きく関与してい
7
年には「庄内砂丘地南部農業水平Ij事業」として畑地濯概
る.
並ひ、に圃場整備について具体的な言│画が検討され,また 1
9
庄内地ノらにはじめてパインダーが導入されたのは 1
9
6
6年
9
7
0年には 1
0
.
2
%, 1
9
7
5年
であるが,それがまたたくまに, 1
6
9年には,酒田市南部砂丘農業開発推進協議会より砂丘
地農業への開発取り組み趣意書が提山されている.だが,
には 3
3
.
0
%の農家に普及した.田植え機は 1
9
6
8年の導入で
いずれの言│画も,水源は砂丘地を横断する河川に求める大
これが 1
9
7
0年には 9
.
6
%, 1
9
7
5年には 2
0
.
7
%に普及
掛かりなものだけに,期待がかけられた反面, これに伴う
9
6
9年には自脱型コンパインが導入され,
を見る.同禄に, 1
費用負担も大きかった.また収益性に対する不安がつきま
1
9
7
0年には 0
.
5
%, 1
9
7
5年には 1
3
.
0
%に普及している.
とい,関係農家の総意が纏まらずこれも挫折している.
あるが,
こうした稲作の機械化会貫体系の確立によって,稲作に
9
7
0年代前、'
l
のこの時期に入ると,前
しかし,ようやく 1
かかる労働時間は 1970 年に反~たり 114.3 時間であったもの
述のような砂丘地園芸作の躍進を背景に, しだいに砂丘地
が
, 1
9
7
5年には 7
2
.
0時間へと大幅に減少した.そしてこの
の基盤整備事業への気運が熟成され,合意が形成され,
稲作から解放された労働が, 1
9
7
0年の米の生産調整等をも
現実に大規模事業が以り組まれるようになる.
9
7
1年に前年の生産調
すなわちその端緒を担ったのは, 1
契機として,砂丘畑の集約的な利用へと振り向けられるよ
うになったので、ある.
整に対処するため,県が農業経営の将来像を具現化する場
安定しているがゆえに水田作業が優先され,その余剰の
として企画した砂丘地モデル農場て、あった.モデル農場を
女性下ー婦の労力で砂丘畑が細々と管理されてきた時代から,
設置する場所は言│画地域内で最も機運の熟成した地域とさ
:
1にさらに園
れ,他地域にさきがけ,鶴岡市内郷地灰の訪日新田が選ばれ
芸部門を機軸として仲ばし,必要な資金も稲作の蓄積から
た.そして畑地総合整備事業(J五内砂丘モデル農場)が
稲作の機械化が進み,安定した稲作の基盤の
2
1
8
山形県出内地ノらにおける地域経済構造
保木本
2
5
1971年から 1974年までの~期ではじめて実施される.整地,
表 lに示した 1
9
6
0年以降の正内砂丘地の畑作 Hと果樹の
濯7l<,道路整備などが完備され, 100~150m の地下水を
作付け面積の推移を参照いただきたい.
汲み上げ野菜,柿など 7
3
h
aの砂丘地に水を供給した. こ
既整備事業はまさに“モデル農場"であり, これ
の畑地濯 j
第 1項 戦 前 来 の 貧 窮 的 畑 作 の 時 代
まず第 l期 1
9
6
0年以前の時代は,戦前来の貧窮的畑作
を契機に,同郷砂丘畑振興会が中心となり,以後同郷地
灰では畑地濯j
既整備が進むようになる.
こうしたモデル農場に牽引された動きを見せた同郷地灰
の時代と称することができるであろう.生産基盤もなく,
戦時期以来の食糧増産要請のもとで,畑地て、は干ばつに強
に対して,浜中・袖 i
甫地灰では農業用電力の導入で進展
L、かんしょ・ムギ類などが強制的に作付けされ,その他
が見られた.すなわち 1973~74年にかけて浜中農協組合長
部の園芸品目が,多品種・試行錯誤的に植え付けられて
である高橋寿蔵氏を中心とした農業用電力導入の動きが活
いた時代であった.畑地での粗放的状況を補完する意味で,
9
7
5年から 1
9
7
6年にかけては,
発化したのである.さらに 1
9
5
モモや柿等の果樹育成にも力が入れられていた.また, 1
袖浦で第今次,第二次の農電導入畑地かんがい事業が行
3 年 l こ「海)~砂丘地帯農業振興臨時措置法」が時限立法
われる. これによって, これまで発動機による濯水を行っ
として設立し,砂丘地の耕地化が進んだ時代でもある.
ていた砂丘地に,見る聞にスプリンクラーの林立が見られ
第 2項
るようになった.
甫や浜中地P
てでは,こうした畑地濯概施設の導入によっ
袖J
1
9
6
0年以降の技術開発と園芸作目産地基盤形成
期
て,早魅など故に不安定な生産であった地域のイチゴ作も,
やがて 1
9
6
0年以降になると,庄内砂丘地の園芸作は,
1
9
7
0年代前、'
l
以降躍進を遂げる結果となった. 1
9
7
0年対
期,第 3
期へと入ってゆくことになる.その背景にある
第2
比で 1
9
7
7年のイチゴ山向量は 3
5倍
,
のは,全凶的な青果物の広域大量流通の進展である.
単価で 2
.4倍の仲びで
3
大
あった. これは従来地場市場向けが下ーであったところに,
1960 年から 1967年までの第 2 期はその前、 l' 期に相~し,
新たに農協系統を通じて北海道市場が開拓されたことも大
都市圏を中心とする広域流通体制の確立期である.
きく寄与している.
第3
期は, 1
9
6
8年頃からおよそ 1
9
7
7年頃までの後、'
l
期に相
袖j
甫地rx:ーでは,以後, 1
9
7
6年からは株冷イチコ、の栽培が
9
7
7年にはイチゴウイルスフリー古育成国が建設
始まり, 1
み,
~し,広域大量流通体制が,地庁都市の卸売市場整備等
にともなって全凶化した時代に相三与する.
され, 1
9
7
0年代後、'
l
から 8
0年代初頭を通じて,パイプハウ
なお, 1
9
6
0年以降の技術開発と園芸作目産地基盤形成
スの急増によってイチゴの作型が前進し産地化が進むこと
期と称せられる第 2
期は,技術面からみると,施設栽培,
になる.
新農薬とその散布機器,複合肥料などの開発がはじまり,
こうして, 1
9
6
8年からスター卜した砂丘地農業の園芸産
露地栽培では,牛耕から小型耕転機へと動力が置き換わっ
地確立の過程は, 1
9
7
6年に大根生産量がピークとなり,ま
ていく時代でもある.庄内砂丘地でもこの時期,浅層地下
た1
9
7
7年には,プリンスメロンも山侍版売ともピーク (
2
0
水開発やヒ、ニール資材等の導入を契機として園芸作目の生
万個, 1
6,
5
8
5万円)を迎える. ここに会つの時代が完成さ
産がいちじるしく活性化している.
しかし,技術的な側面から園芸基盤が形成され始めたと
れると同時に,以後のプリンス,大根の縮小のなかで新た
な時代へと足を踏み入れてゆくのである.
はいえ, 1
9
6
5年前後にはまだまだ高米価が顕著であり,野
菜類を京阪杵等への出向するほどの産地確立はいまだ成さ
第 3節
流通構造から見る圧内砂丘地園芸作の生産力構
造の時代画期とその特徴
最後に,
:
1述してきた全凶的青果物流通構造の変禄と,
れていない状況であった.~時の砂丘地の園芸品 H の多く
は,酒田・鶴岡市場を対象とした地場消費のための産地と
して発達したものであり,個人山侍,個人版売が殆どであっ
た. 1
五内経済連は文字通り「米会本」の商いを手がけてお
j
五 内砂丘地の内部的要因の整理をふまえて,砂丘地園芸
1
土内柿」ばか
り,系統共版種 Hとされたのは,わず、かに 1
作の本格展開の前史,全凶的な青果物需要拡大期におけ
りであった.
それゆえ,園芸作 Hではさまざまな流通経路別の競争も
る庄内砂丘地園芸作の形成経緯を 3つの時代画期に整理
しておきたい.なお,時代各期ごとの作 H転換のさまは,
激しかった.~時は酒田市には商人型の侍受市場が 3 社,
2
1
9
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
2
6
表 1 鶴岡市と酒田市の畑作物・果樹作付面積の推移
単位:h
a
作付両積
結果樹而積
時代
樹園地
畑而積
小 麦 大 麦 甘 藷 馬 鈴 薯 す い か メ ロ ン い ち ご 大 根 面 積 桑 畑 ぶ ど う 桃 柿 区分
1
9
6
0年
1
,8
3
5 3
1
0 2
5
1 3
6
8
2
2
9
6
1
1
7
4
2
1
5 2
6
2
41
7
41
2
1
1
9
6
1年
1
6
8
2
1
5 4
3
2
31
7
21
8
4基(
1
,8
3
5 3
0
4 2
5
4 3
8
8
2
5
6
7
1
1
,8
3
5 3
1
3 1
9
8 3
8
4
2
6
2
7
5
3
3 1
7
4
1
7
9 4
3
2
41
6
91
8
7 盤戦
1
9
6
2年
形後
1
9
6
3年 ,
18
3
5 3
6
9 2
3
4 4
2
7
2
9
1
9
8
3
8 2
0
5
1
7
9 6
9
3
92
2
52
3
2 成第
1
,8
3
5 2
4
2 2
1
7 4
2
2
2
9
5
1
0
0
4
1 1
7
2
1
7
9 5
2
40 2
2
82
3
4 の2
1
9
6
4年
1
9
6
5年
1
,9
5
4
3
1
0 3
6
時期
19
5
4 5
7 7
8 4
3
0
2
0
3
1
4
4
4
9 1
9
0
2
1
1 3
3
4
21
8
73
9
5代
1
9
6
6年 ,
1
9
6
7年
1
,9
5
4
2
1
1
1
,9
5
4
1
9
6
8年
2
1
1
1
,8
1
8 1
2 1
5 3
0
3
1
2
3
1
7
7
2
7
1
9
6
9年
4
5 1
9
8
3
2
4 3
5
49 1
8
04
0
3
1
9
7
0年
1
0
2,1
9
7
3 1
0 1
7
3
1
1
5
1
6
7
4
5 2
0
7
6
3
8 3
7
5
01
7
74
1
0ブ(
2
1
9
2,1
3
2
2
4 1
6
9
1
1
1
1
7
8
5
4 2
1
5
6
5
0 3
5
5
01
6
3 414 り戦
1
9
7
1年
ン後
2
2
9
1
9
7
2年
2,1
1
3
2 1
6
1
1
0
9
1
7
5
7
1 2
1
7
6
3
7 3
7
5
01
4
73
8
6 ス第
2
0
9
2,0
2
3
1 1
5
2
7
4
1
3
4
7
6 2
2
8
6
2
2 3
5
6
01
1
53
7
9 の3
1
9
7
3年
1
2
7
19
7
4
1
4
8
1
1
7
1
2
5 2
2
4
6
1
3 3
3
6
21
0
73
7
8 時期
2
1
7
1
9
7
4年 ,
1
9
7
5年
1
,9
5
1
1
4
3
1
2
9
1
3
0
1
2
5 2
3
2
6
2
2 3
1
6
21
0
13
8
9代
2
0
9
1
,9
1
4
1
4
2
1
2
7
1
3
5
1
3
1 2
5
5
6
2
2 3
3
6
2 9
93
9
8
1
9
7
6年
2
3
4
1
9
7
7年 ,
1
3
8 2
4
8
6
1
1 3
1
6
6 8
74
0
1
18
5
3
1
2
2
1
2
7
1
3
5
2
4
2
1
,8
2
3
1
0
3
1
2
6
1
4
1
1
4
7 2
2
4
5
9
7 1
6
6
8 7
94
0
5
1
9
7
8年
2
4
0
1
,7
9
3
9
4
1
2
3
1
4
1
1
9
7
9年
1
7
2 2
0
9
6
0
1 1
5
6
9 7
43
9
8
2
3
9
1
,7
1
8
8
9
1
2
0
1
2
6
1
9
8
0年
1
7
3 2
1
1
6
1
4 1
1
7
0 7
33
8
4
2
3
9
16
6
1
8
4
1
2
2
6
1
1
9
8
1年 ,
1
6
5 1
9
4
6
0
7
8
5
9 5
73
7
8
2
7
0
1
,6
4
5
8
0
1
2
4
5
6
1
9
8
2年
1
6
4 1
8
8
5
7
0
8
5
3 3
53
8
4
2
9
4
1
,6
3
5
8
1
1
1
5
3
5
1
9
8
3年
1
7
4 1
7
5
5
6
2
8
5
3 3
53
8
6
3
0
7
1
,6
4
4
8
1
1
1
1
3
2
1
9
8
4年
1
7
7 1
7
0
5
5
4
8
5
2 3
53
9
0ア
3
1
4
7
8
16
2
6
1
0
3
4
1
1
7
7 2
2
0
5
5
0
6
5
2 3
53
9
3ン
1
9
8
5年 ,
3
4
2
ア
-,'~
1
,5
9
8
7
7
1
0
1
4
0
1
7
4 2
2
2
5
1
9
3
5
1 3
53
7
0 ス戦
1
9
8
6年
4
1
5
1
,5
8
0
7
6
1
0
1
3
7
1
6
6 2
2
1
5
1
0
2
5
1 3
13
6
7 メ後
1
9
8
7年
4
6
8
15
5
8
7
5
1
0
0
3
2
1
6
0 2
0
3
5
0
5
49 3
23
6
1 ロ第
1
9
8
8年 ,
4
8
8
1
,5
1
6
7
5
1
0
2
2
0
1
3
5 1
9
7
4
8
5
46 3
23
4
6 ン4
1
9
8
9年
5
1
9
)
塑
1
,
4
8
0
7
2
9
5
2
0
1
1
2 2
0
5
4
7
6
3
5 3
03
3
6び
1
9
9
0年
5
6
6
日
1
,4
5
1
6
4
8
8
1
8
8
7 2
1
0
4
6
1
3
0 2
73
1
9寺
1
9
9
1年
6
1
1
14
4
7
6
4
8
0
1
7
7
6 2
0
4
4
4
1
2
8 2
52
9
8代
1
9
9
2年 ,
6
2
7
1
9
9
3年
1
,
4
2
6
6
2
6
3
1
8
6
2 1
8
6
4
3
2
3
0 2
02
9
2
6
3
6
1
,
4
0
8
6
2
5
4
1
8
1
9
9
4年
5
3 1
7
8
4
2
4
3
0 1
92
7
3
6
3
3
1
9
9
5年
4
8 1
6
7
4
1
6
3
6 2
02
6
1
1
,4
0
8
6
2
4
9
1
8
6
5
0
1
7
13
9
2
3
7
4
5
4
5 1
6
2
4
1
5
3
6 1
92
6
2
1
9
9
6年 ,
6
5
0
4
2 1
5
5
4
1
0
2
8 1
82
5
2
1
,3
6
4
3
7
3
9
1
5
1
9
9
7年
6
5
3
1
,3
3
9
3
7
3
7
1
4
44 1
4
9
4
1
1
3
3 1
82
4
2
1
9
9
8年
6
4
9
資料
山形県農林水産統計年報』各年次
r
農協型 1
市場,鶴岡市にも 3
社があって,会社がそれぞれ毎
いたのが実状であった.
日農家を巡回して集侍し,平凡に競売されていた.そのた
園芸作 H は l 戸~たり 10a と、まりで小単位であり,農家
め統会した生産・技術営農的指針はいきおいなにもされず,
は
, これらの作目を小単位ずつ多数組み合わせて砂丘地農
行E
の作目が飛び抜けて大きく仲びることも
業を営んできた. これは比重の高い水田を作りながら小単
したがって,
位の集約的作 Hを多数組み合わせ労働のピークを崩し,ま
なかったのである.
また,生産条件としての畑地濯概も個別対応による散発
9
6
0年
的なゆえに,麦類,かんしょなどの粗放的な作 Hも1
代前、│そまでは依然、として大きな面積を占め続け,
た,自然、条件の厳しい砂丘での危険分散を凶ってきたわけ
である.
こうした状況は,砂丘地外の人々からは, I
田園で銭を
みで極
めて集約的なメロン・いちこ・すいか・ねぎ・長いもなど
取り,砂山に捨てている」を榔捻されたといわれている.
こうした,園芸作の未熟性と水田への負い Hは
, 1
9
6
5年
の作物が非常に多大な労力をかけながら仲びはじめてきて
2
2
0
山形県出内地ノらにおける地域経済構造
保木本
2
7
~時に,砂丘地でもヒ、ニール水田が爆発的に仲びたことに
性,柔軟性,あるいは変化への受容性の問題.さらにその
も端的に示されているだろう.
多禄性存続に重要な多元的制度の必要性等である.
第 3項
要性等に着 Hしながら産地構造を検討してゆくためには,
このような多禄性・柔軟性・変化への素早い対応の必
1
9
7
0年以降のプリンスメロン産地確立期
つづく 1
9
6
8年から 1
9
7
7年頃まではプリンスメロン産地確
前章でおこなったような今般的外部諸条件の分析に加えて,
立期と称される時代とあり,また広域大量流通体系の全凶
分析視点を産地構造の内部に移し,分析を加えてゆくこと
的な整備期にまさに会致する第 3期と灰分しうる時代であ
が大切となる.
そこで本章では,産地構造内部の多禄性を維持する機
る. この時期庄内では,プリンスメロンの七産地確立がな
能として,①新品種普及と先駅者育成のふ卵器たる役割
されることとなった.
前期の産地基盤形成期に育まれた前提条件が,プリンス
を果たした地場市場集侍と②組織的対応により産地確立
メロンを中核に据えた組織化と版路開拓を通じてこの期に
の柱となった農協系統共版という,二つの山侍経路聞の競
会
斉l
こ開化するのである.すなわち,経済連等の下ー導のも
JL,考察を進めてゆきたいとおもう.
争・補完関係に注 E
とにこれまでの雑多な作目の集約がなされて,プリンスメロ
さらにこの時代に入ると利用しうる統計資料が豊冨;となる
ンの作型の開発と砂丘大根との輪作体系が確立し,交通
ことから, こうした面での分析にも重点を置いて,分析を
道路網の整備にともない系統共版体制による京浜市場開
進めてゆくこととする.
拓が果敢に臨まれた.さらに,
と
,
1
9
7
0年からの米の生産調整
この時期に急速に進んだ稲作機械化会貫体系の確立
第 1節
により,砂丘地では農家の姿勢が米から園芸作へと急速に
変化していった. くわえて, こうした地域の意向の熟成を
アンデスメロンの展開の概況
本章で対象とするのは,
1
9
7
8年から 1
9
9
8年現在に至るま
うけて,砂丘地モデル農場等の大規模圃場整備や農電濯
での時代であり, I
土内砂丘地園芸作の時代変遷から百えば,
i
既設備が大規模に進展し,集山向施設の整備も急速に進
期に分類される,アンデスメロンを中軸に産地の
戦後の第4
むのである. メロンゃいちごの系統共同止規模や作付け面積
展開がみられた時代である.前期に確立されたプリンスメ
は急激に拡大し,まさに名実ともに産地確立がなされた時
ロン→砂丘大根の輪作体系が,いずれも 1
9
7
7年頃をピーク
i
i
;である.
に縮小に向かい,下ー産地躍進に向かいつつあった砂丘地農
業は大きな転機を迎えたことがこの時代の幕開けを告げる.
第 4章
そして前期の産地基盤形成期に獲得された諸条件を生かし
アンデスメロン産地展開メカニズムの分析
ながら,新たな展望を求めてアンデスメロンが産地の中軸
に据えられることとなるわけである.年代別に詳しく考察
本章では,前章で詳述してきた砂丘地農業の形成期の
分析をふまえながら,
1
9
7
8年以降のアンデスメロンの興隆
してみよう.
まず,プリンスメロンの動向を簡中に振り返っておきた
期に焦点をあて, !土内砂丘地が全凶的な園芸産地へと変
、
L
貌するメカニズムを考察してみたい.
なおこの時期は,市場条件から見るならば前章でとりあ
プリンスメロンに連作障害,病害虫,品質低下等の問
げた高度経済成長下の需要の絶対的拡大期ではなく,低
題が発生しはじめ,同郷砂丘畑振興会役員を中心にネット
成長時代のもとでの競争的市場拡大期と位置つ、けられる時
系メロンの試作と砂丘地で栽培司能化の検討が行われはじ
代である. これまで売り手市場としてもっぱら生産力の増
めたのは,すでに 1970 年にまでさかのぼる.~時の栽培は
強に励んでくれば良かった時代から,買い手市場のもとで,
援本で台本にカボチャを使っていたために蔓言Ij病の発生は
市場ニーズを発見し,それに対応しながら生産振興をはかつ
防げたのだが,次第に実が腐れたり果皮が思くなったりと
てゆかなければならない時代に突入していた.
いう症状が発生し始めたのである.検討の結果,同郷砂丘
そのために,この時期には,従来の生産拡大会辺倒の時
畑振興会は坂田種苗が新たに発表したコサックメロンの導
代には問題とならなかった新たな機能が重要となってくる.
入を~時進めた.経済連でのプリンスメロンセ軸の系統共
例えば,激しく変貌する経営環境や消費者ニーズに,産地
同え体制がスター卜したのが 1
9
6
8
年であるが,連作障害やネッ
全体として対応してゆく :
Il'不司欠な産地構造内部の多禄
ト系メロンへの模索は,すでにその~初からなされていたわ
2
2
1
2
8
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
さらに従来のプリンスメロンの援本作業は栽培面積を制限
けである.
9
7
0年代前、│そのプリンスメロン
こうした品種の模索は, 1
してきたが, アンデスメロンは白根のため労力的に栽培面
積の拡大が容易な点や,アンデスメロンは 1
株につける個数
全盛期のもとでもその裏側で地道に続けられた.
取り組みの会つの極は山形県園芸試験場であった.山形
県園芸試験場は 1
9
7
1年にハニーキング(国定種)を育成,
が 3~4個と少なく,着果が安定して作りやすいことが評価
された.
1
9
7
2年には正内砂丘地に適した 1
土内砂丘プリンスメロン」
9
7
8年以降,アンデスメロン産地
こうして砂丘地農業は 1
の開発に成功している.さらに 1
9
7
3年にはハニーキング1
号
展開の時代へと入ってゆく.すなわち 1
9
7
8年には袖浦でア
(Fl)を育成し, 1
9
7
4年にはアールスクイーン (Fl)を育
9
7
9年には鶴岡農協でもア
ンデスメロンが導入され,翌年 1
ンデスメロンを初山侍している.そして 1
9
8
0年にはアンデス
成している.
しかしこうした県の試験研究機関ばかりでなく, この時
メロンが県の有望品種に指定され,以後,アンデスメロン
代は種首会社等を含めて日本全凶で,プリンスメロンの後
の栽培面積は大幅な拡大を見せ,
継となるネットメロン品種の育種が以り組まれていた.
栽培面積を急速に縮小させてゆくのである(表2
参照)•
みでプリンスメロンは
先して下ー導した
こうした新しい品種の地域への導入をヰt
なお, このプリンスメロンの凋落とアンデスメロンの躍進
のは,珍し L、物好きの生産者や意識ある篤農家,さらには
とL寸品種交代と平行して,プリンスメロン→砂丘大根の
後述するように,首都圏山街中心の系統共版事業に対抗
輪作体系のもう片ノらの柱である砂丘大根も低落へと移って
して独自のメロン集侍に奔走していた地元の青果物卸売会
L、
っf
こ
.
社やさまざまな業者であった.
前期に確立されたプリンスメロン→砂丘大根の輪作体系
9
7
5年頃には,砂丘地はネットメロンの戦凶時
こうして 1
、ずれも 1
9
7
7年頃をピークに縮小に向かい,砂丘地農
が
, t
代となる.生産者下ー導でネットメロン研究会が地域に多数
業は大きな転機を迎え,アンデスメロンの時代へと入って
作られ,クリネット, コサック等のメロンが今時普及する
ゆくのである(表 3
参照)•
ようになる.
そしてこうしたネットメロン戦凶時代の最中の 1
9
7
6年に,
砂丘地で坂田種苗のネットメロン A,
l A3, A7
が試作とし
第 2節
アンデスメロン産地形成・展開の構造
て導入されることとなった. これは後述するように公設正
アンデスメロン産地形成過程をつぶさに検討すると,産
内青果物卸売市場の卸売業者が熱心に栽培を奨励したこ
地形成に果たす二つの異質なメカニズム,すなわち地場市
A1は
場と農協系統共版というこつの山侍経路聞の競争・補完
とが始まりである.~時の生産者からの間取りでは,
アムス系統のメロンでネットが、'
l
分くらいしかかからない品
関係に着 Hさせられる.そこで本節では,産地形成に果た
種
, A7は山来にばらつきがあり, A3はきれいで昧も良い
す地場市場と農協系統の役割と性格を整理し,産地形成
が後のアンデスメロン
品種だったとヨわれていた. この A3
と展開メカニズムの構造をまず考察しておきたい.
である.
坂田種苗が育成したこの A3は,栽培が容易であること
第 1項 産 地 育 成 に 果 た す 地 場 市 場 と 農 協 系 統 共 販 と い
や,プリンスメロンよりも高級感が感じられると,消費者
うこつの出荷経路の役割
1
誰でも安心して作れるネッ
ここで地場市場としてとりあげるのは, !土内地ノら 1
4市 町
トメロン」からアンデスメロンと命名され, 1
9
7
8年から全
9
7
3年に開設された
村の向日事務組合を開設者として, 1
土内を拠点とした産地作りが開始することと
凶に先駅けて j
公設庄内青果物地庁卸売市場(以下では公設庄内市場と
なった.
社7
略称する)である.以前から庄内で営業を行っていた 5
の高い評価を得るようになり,
時代はオイルショックを経て,低成長時代に入っており,
市場(鶴岡市 3
市場,酒田市4
市場)の小規模な民営市場
高級温室メロンは買えないが,せめて外観だけでもそれに
社(丸果正内青果株式会社,株式
を統合し,卸売業者 2
似た手頃な価格で買えるメロンをとの~時の消費動向にま
会社正果)の体制で公設j
土内市場は開設された.
さにピッタリとして栽培されたのがこのアンデスメロンであっ
1
9
7
3年というこの公設庄内市場の開設年次は,前章で
た. トンネル栽培が司能であると同時に,比較的に栽培も
見てきたようにプリンスメロンの京浜向け系統共同え事業規
容易であり,ネット張り,食味,形状良く,日持ちも良い.
模が急激に拡大し,砂丘地農業がプリンスメロンの全盛期
2
2
2
山形県出内地ノらにおける地域経済構造
保木本
2
9
表 2 プリンスからアンデスへの品種交代
単位:百万円、 ha
庄内経済連扱いプリンスメロン
庄内経済連扱いアンプスメロン
出荷数量(ケース) 販売金額 栽培面積 出荷数量(ケース) 販売金額 栽培面積
3
5
1
1974年
313,355
ブ
ロ
コ
リ
1
9
7
5年
5
0
,
15
50
499
時ン
1
9
7
6年
678,234
607
代ス
1
9
7
7年
818,813
610
1
9
7
8年
749,579
588
3
2,832
4
1
399
22,999
34
1
9
7
9年
450,515
7
3,243
1
1
6
490
1
9
8
0年
482,476
1
9
8
1年
374,969
367
174.9
219,1
0
8
292
4
2
.8
246
1
5
6
.0
265,799
413
135.0
1
9
8
2年
348,859
1
2
8
83.0
400,207
6
5
1
158.3
1
9
8
3年
1
2
0,854
1
0
5
7
2
.7
515,219
637
188.9
1984年
1
0
0,655
1
4
4
59.0
639,354
,
11
0
1
234.1 ノ
1
9
8
5年
1
4
2,096
1
2
8
7
0
.2
802,217
1
,3
38
313.5 ン
1
9
8
6年
1
0
1,492
1
9
8
7年
1
0
8,512
1
1
0
5l
.0
1
,1
1
9,867
1
,7
00
40l
.4 7
1
9
8
8年
7
1,470
84
5
2
.6
1
,1
6
9,010
2,083
3
3
8
.9 ス
び
〉
1
9
8
9年
84,058
9
5
42.0
1
,546,907
2,710
490.3 日
中
1
9
9
0年
5
6,938
5
8
38.6
1
,639,374
2,518
4
8
9
.8 代
1
9
9
1年
44,844
54
3
6
.0
1
,4
71,1
5
2
2,842
5
8
7
.5
1
9
9
2年
4
1,696
5
3
2
4
.7
1
,7
65,793
3,2
2
1
6
1
6
.7
3
5
2
3
.8
1
,3
9
1,784
2,672
572.4
1
9
9
3年
2
6,538
1994年
3
0,868
30
1
9
.3
1
,6
1
1,730
2,804
5
2l
.2
1
2
1
1
1
3
.9
1
,358,306
2,502
474.6
1
9
9
5年
1
0,1
4
7
4
.7
8
9
5
5
.0
1
,2
92,862
2,273
1
9
9
6年
5,1
1
9
9
7年
2,884
3
O
.8
1
,5
22,5
5
1
2,1
1
9
46l
.9
2
O
.8
1
,254,000
1
,7
0
1
4
2
8
.2
1
9
9
8年
2,400
資料:庄内経済連資料より
注:栽培面積は各農協実績積み上げの数字の 1980年以前は不明
P
表3 メロン後作大根の衰退と新規品目の模索(庄内経済連取扱数量より)
砂丘大根の推移
新規品目の推移
生大根 干し大根
合計
トマト
ミートマト サヤインゲン あさっき ストック
kg
kg
kg
10kg
10kg
4kg
千本
,
1
3
8
3
5
,
5
7
1
7
1
0
,
9
0
1
1
3
,
2
3
7
6
9
6
1
979
8年
年
1
9
7
569,464 1
0,600 580,064 4
5,3
0
1
9,3
7
1 502,917 5
5,319
1
9
8
0年 493,546
7,076 1
9
3,282 50,946
1
9
8
1年 1
8
6,206
6
5,1
3
5 1
1
1,537
1
6,034
1
9
8
2年 1
3
5,930 29,205 1
1
9
8
3年 1
2
0,932 2
2,990 1
4
3,922 1
1
0,948
28,930
1984年 1
3
6,692 1
6,594 1
5
3,286 9
3,1
4
3
5
0,1
6
8 54,353
316
9
4,546 1
1
8,307
74,3
0
1 3
5,1
7
0
345
1
9
8
5年 1
4
8,852 45,694 1
1
9
8
6年 1
2
9,017 1
0
5,993 235,010 9
5,719
1
6,1
7
7
1
2
1,1
0
1 6
6,882
530
1
9,925 287,777 1
0
5,889
1
9,703
1
2
3,648 6
2,262
736
1
9
8
7年 1
6
7,852 1
1
8,657 280,342 8
2,1
9
8
7
4,026
1
4
9,483 87,080
912
1
9
8
8年 1
6
1,685 1
4,945
1
9
7,557
1
3
2,972 8
2
0,991 25
,
13
13 7
,
11
8
5
1
,3
0
1
1
9
8
9年 1
3
0,322 1
1
9
9
0年 1
5
3,1
3
7 1
3
2,027 285,1
6
4 68,750
293,820
1
6
9,686 82,432
2,360
2
1 1
0
1,695 259,216 5
2,779
380,698
1
5
5,678 87,512
2,666
1
9
9
1年 1
5
7,5
4
3,920 285,702 58,532
467,304
282,448 7
9,7
1
1
3,288
1
9
9
2年 1
4
1,782 1
4
5,1
9
3 232,832 57,659
377,854
234,888 7
1,970
3,204
1
9
9
3年
87,639 1
3,813 1
8
3,1
1
9 5
5,938
336,284
207,564 7
0,1
8
0
2,850
1994年 1
0
9,306 7
1
9
9
5年 1
7
2,525 7
4,615 247,1
4
0 49,883
478,734
216,902 84,563
3,598
0
8,405 249,633 5
5,609
422,6
4
1
1
9
0,000 86,356
4,303
1
9
9
6年 1
4
1,228 1
8,612 1
7
9,5
8
1 48,262
3
4
1,1
4
1
1
8
1,0
8
1 88,042
5,1
8
4
1
9
9
7年
80,969 9
資料:庄内経済連資料より
注:干し大根は浜中地区が中心、あさっきは袖浦地区が中心。その他品目は鶴岡中心
2
2
3
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
3
0
を迎えていた時代である. これまで「米会本」で来ていた
決まっていない試作番号 A
-3であったこのメロンを, I
五果が
~時の j土内経済連にとっても,青果部門の系統共版事業
独自に組織している生産者組織のなかでメロン栽培組合を
拡大という変革の時代であった. この系統共版拡充の時代
つくって栽培に取り組んだことが,以後の砂丘地における
に
, もうひとつの大型流通経路としての公設庄内市場が開
アンデスメロン普及の端緒となったのである.
これは地域の園芸振興に大きなインパク
聞き取り調査によれば, I
土果の関係者は足繁く生産者へ
トを与えると同時に,系統共同え事業にとっても地場市場の
足を運び,各地灰の公民館を借りて,多以安定的なその
集侍にとっても,それぞれ相手に対する競争関係を激しい
作型の魅力を説き,従来のトンネルハウス栽培ではなく雨
ものとさせることとなった.
よけハウスによるアンデスメロン生産を勧めてまわったとい
設されたわけで,
前述したように,公設 j
土内市場の開設以前から, !
正
土
内
う.栽培組合を組織したのは,個人で栽培するのではなく
は萌業の発達しているところて
組織的にしっかりと取り組んでほしいという坂田種苗の要
域であつた.統合される以前は,酒田市の商人型の侍受市
望からでもあった.
場3
社,農協型 1
市場,鶴岡市の 3
社が,それぞれ生産者を
こうして地場市場の力によって各地にアンデスメロンの
独自に組織し,毎日農家を巡回して集侍していた.地域
生産者グル
内で生産された青果物の大部分は,これら地元の小規模市
してゆく.そして市場に好評だったためにやがて前述のよう
場による集侍によって流通していたのである.
しかし, 1
9
7
0年代の前、│そに産地化を遂げた農協系統組
プが結成され,アンデスメロンの栽培が普及
9
7
8年には袖浦農協でアンデスメロンの取り扱いが開
に
, 1
始され,翌年 1
9
7
9年には鶴岡農協でもアンデスメロンを初
織は,価格が高く量も多い大都市の需要に対する遠隔地
出向するようになる.そして 1
9
8
1年には,同郷畑作振興会
市場対応型の山侍体制を重視したため,生産物は地んー卸
としてネットメロン専門部会が発足し,同時
の 組 織 の 行E
売市場に山侍されることが少なくなった.そのために,地
に,鶴岡でも袖浦でも雨よけハウスの導入が 1
9
8
1年から 1
9
場市場はこれら共版作物jの集侍が難し L、状況に置かれるこ
8
3年まで大規模に進められる. さらに 1
9
8
3年には袖浦農協
ととなり,従来の地元の個人生産者からの直接集侍を会層
の新選果場が完成し,メロンの共同選果が始まるようにな
強化する必要に迫られた.
り,農協共版山侍下ー体の産地イヒが完成することとなったの
公設庄内市場の開設にともなう卸業者の再編は,場内
である.
に入場したみの卸会社である丸果庄内青果株式会社が,
すなわち,県外山街中心の系統共同え事業の進展のなかで,
市場と酒田市の 1
市場の統合により設立され,も
鶴岡市の 2
集侍に凶難をかかえた地場市場業者が,地元の個人生産
う 会ノ与の株式会社 j
五果が,鶴岡市の 1
市場と酒田市の 3
市
者との直接的結びつきを強化し,情報提供や市場性のある
場の統合により設立されるという形態をとったが,両卸業
生産品の提案を重点的におこなった.そのことが期せずし
者は,統合された│円卸業者が従来から作っていた組織を引
て産地育成の先導的な働きを行なうこととなり,砂丘地農
き継ぎ,
:
1
述の事態に対応するために生産者の組織化によ
る地場産青果物集侍基盤の確保に努めることとなった.
すなわち,集侍を確保するために生産者とより 会層強く
業に新しい時代の種をまいたのである.そして~初は地場
市場が山侍の中心であったこの新規品目が,やがて農協系
統が組織的に以り組むことによってしだいに規模や取扱割
結びつき,生産者組織を結成して栽培講習会を聞いたり,
合が増加し産地化に成功したという経緯を辿ることとなっ
新しい作物の試作の検討などをおこない,そのなかで卸売
たわけである.
業者は消費者の晴好の情報を提供し,その生産者組織に
試作を胤い,その試作品を積極的に市場に集侍する努力を
第 2項産地展開・発展に果たす地場市場と系統共販の
集中的に払ったのである. こうした卸売業者と生産者の緊
相互補完的役割と性格
密な情報交換や川下からの経験に基つ、く市場性のある生産
さて,
このような二つの異質なメカニズム,すなわち地
品の開発・提供は,期せずして産地育成の先導的な働きを
場市場と農協系統共版というこつの山侍経路聞の競争・
行なうことともなった.
補完関係は,それぞれ生産者の側の視点から見て,どの禄
すなわち,アンデスメロンは前述のように 1
9
7
6年に公設
な特徴と性格を有しているのだろうか.また,産地内部に
土果が生産者に栽培を奨
庄内市場の卸売業者,株式会社 j
異質な二つのメカニズムが作用するということが,産地の
励したことがそもそもの始まりであるが,~時はまだ名前が
存続と発展においてどの禄な機能を発揮するのだろうか.
2
2
4
山形県出内地ノらにおける地域経済構造
これらの諸点を考察してみたい.結論を先立つて述べれば,
保木本
3
1
される.
産地の内部に,個の側面を強調したメカニズ、ムと集団の側
山侍に関する経費に関しでも,農協系統山侍と地場市
面を重視するメカニズ、ムという異質な二元的構造を抱える
場山侍とでは,大きな違いがある.表4のように農協系統
向をもっ生産者を会つの産地に束ね
ことは,さまざまな志i
山何では,市場手数料の他に,農協・経済連・全農のそ
てゆくための,なくてはならない必須の構造的条件と考え
れぞれの段階別系統手数料や,機械選果機にかかわる労務
られる. この二元的なメカニズムが存在することで,そのメ
費・維持管理費などが経費としてかかる.また,遠隔地の
カニズムを欠いていた時と比較して,産地は,変貌する市
消費地卸売市場を山侍の中心としているために,運賃も必
場条件により適切に即応しうるようになり,いっそうの柔
要となる.それに対して,地場市場山侍の場合は,手数料
軟性と発展性を獲得することができると考えられるのであ
は市場手数料のみであり,経費も箱代等の資材費などのみ
る.
で,労務費や施設の減価償却費等を含む農協系統山侍に
ではまず,生産者側からみた特徴を整理するために,農
比べて,安くなっている.
さらに以り扱うメロンも,農協系統では山向規約に沿っ
協系統(共選共版)と地場市場山侍の山侍ノら法の違いを
現象面から確認することから始めよう.
き共版と地場市場山侍を比較すると,表4のよう
農協共 i
つの点での相違を確認することができる.
に大きく 4
た等階級ばかりで,いわゆる格外品の取扱はほとんと、無い
のに対して,地場市場では格外品も含めて幅広いレベルの
メロンを取り扱っている.
まず選果・山侍ノら法であるが,機械i
き果機を導入してい
このような現象面での相違が生ずるのは,その背景に,
る袖浦農協の場合は,生産者が圃場で収穫したメロンをコ
両山侍経路間で以下のような H的や性格の相違が存在する
ンテナに入れて選果場へ運び,集められたメロンは集侍場
ためである.
の機械選果機によって会律に共同選果され共同版売されて
すなわち地場市場は,原則として委託版売ノら式であり,
いる.それに対して,地場市場山侍の場合は,国場での収
生産者から求めがあればあらゆる生産物を受け入れること
穫後,生産者は自宅等に個別にメロンを持ち帰り,そこで
を原則としている. これに対して農協共同止の場合は,組織
生産者個人で選果と箱詰め作業を行い,その山向形態に
の力による量版(ロット)の実現や競争力の確保を H的と
まで整えたものを, ~}l 1 町にある公設庄内市場まで個人で
しており,その H的を実現するために,共同で版売環境の
運んで委託版売することとなる.
整備に努め,共同止の利益に合致する生産物のみを原則とし
版売代金の精算は,農協系統の場合3日ごとのプール言│
算で,山向規約 l
こ沿った等階級別に共同精算される.それ
て受け入れ,あるいは共同えという共同の原則に参加者が奉
仕することを求めるという性格をもっているのである.
に対して地場市場の場合は,生産者個人単位,商品会個
この集団の力による競争力の確保という目標は,産地の
単位で,版売価格が計算され,翌日に生産者個別に精算
構成員が現実に抱える個別的多禄性に制限を課すると同
表 4 農協系統出荷(共選共販)と地場市場出荷の出荷経費の比較
ハリ
十
巾
経費
2
2
5
場
手数料
系統出荷(共選共販)
車量出宜
司否
割合 %
内訳
内訳
2~3
農協
手 小マラて 経済連
県内O
.5県外1.7
数 統全農
O
.1
料
市場
7.0
運賃
選果場維持費
経
3~5
16~18
選果場労務費
費
資材費
その他
27~30
合計
I1O ~12
合計
注 :1998年度聞取りや農協精算書から作成。一部推定部分も含む。
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
3
2
時に,構成員相一互の平等原則の強調を帰結することとなる.
産者を組織化・グループ化する動きを見せた場合には,よ
すなわち共同の利益の強調は,その帰結として,平等の強
り 会層明確となる.
このように,個の強調と集団の強調という,流通経路別
調によって共同の力で束ねて,TJ.会いに支え合ってゆこうと
する試みをもたらすのである.
しかし,この共同の利益の過度の強調は,必然的に,平
のそれぞれの性格の相違は,さまざまな志向をもっ生産者
を産地がかかえ発展してゆく
:
1て、の,なくてはならない二つ
均値に沿わない生産者,すなわち極めて技術水準の高い篤
の構成要素である. この両者が存在することで,現実の産
農家屈と技術水準の低いあるいは条件不利な立場に置かれ
地は,産地を構成している個々の生産者間,あるいは,そ
ている生産者屈の双ノらに不利益を与えることとなる.
のグル
プ聞に次々に発生するコンフリクトに対応してゆ
すなわち,極めて技術水準の高い篤農家の場合,本来
くことができ,市場条件の変貌に産地が柔軟性と発展性を
会人で山侍していたならば,極めて高い評価を受けていた
有して対応してゆくことが司能となるのである.
に違いない生産物も,共選共版という山侍体系の元では,
さらに,産地内部のこうした二元論的構造は,同会の生
ロットを形成するためにその他の"ほどほどに良い品質"の生
産者個人のうちにあるこつの異なる行動原理に応えるため
産物と混ぜられて,その平均値として評価されてしまう.
の基礎条件ともなり,個人の営農の幅を拡大する機会をも
その結果,本来受けていたに違いない評価から比べて不利
与えているといえるのである.
益を被ることとなるのである.
みで,技術水準の低いあるいは共同版売が求める水準
を実現することが諸々の条件から不司能な生産者の場合に
第 3節
アンデスメロン産地展開過程の統計的分析
は,自分の生産物水準にふさわしくない厳し L、条件を負担
前
i
;
j
i
J
では,地場市場と農協系統共版という産地形成に
しなければならないという結果がもたらされる.例えば,産
果たす二つの異質なメカニズムの競争・補完関係に着目し,
地が競争力を強化するために山向基準や等階級灰分を厳し
その特徴を整理してきた.本節では, この考察を踏まえな
くすればするほどに,共版で山何できないと突き返される
がら,産地構造の時代画期別の推移過程を,統計資料等
生産物も多くなる.また山侍条件の整備のために機械選果
に基づき分析する.着目するのは, この二つの流通経路の
機が導入されれば,平均的な水準を前提にして導入される
相対的な優位性が,産地展開の時代画期別に,どのよう
その共同選果等の経費負担が求められるために,元来から
に変化してきたかである.
低水準であった手取価格が会届引き下げられ,地場市場
等に個人山侍した場合とほとんど変わらない,あるいは
第 1項 展 開 に お け る 時 代 区 分
届低い評価しか得られないという事態に置かれる司能性も
9
7
8年から 1
9
9
8年まで
まず,以下の分析の前提となる, 1
山てくる.すなわち自分自身にとっては以前よりも条件が
続くアンデスメロン産地展開期の内部での時代灰分をおこ
思化するにも関わらず,高い山侍経費も"平等に"負担する
ないたい.
表 5は庄内経済連と公設庄内市場のアンデスメロンの版
ことが求められるのである.
総じてヨうならば,系統共同えは,集団の強調と平均的な
売・ ~X 扱金額の推移をもとに時代灰分をしたものである.
利益を代表し,生産者の組織化とロットの実現を武器に,
参考として数量と平均単価の動向についても時代画期別の
大量消費地市場の開拓や継続山侍に優位性をもっ.そし
平均仲びヰtを示した.
9
7
8年のアンデスメロンの山向開始から 1
9
8
5年ま
①まず 1
てその結果として対外的な産地の顔を代表するのである.
それに対して,地場市場山侍は,個別対応の原則によっ
でが成長期"に灰分される.大雪によるハウス施設の損
て,共同言│算に不満を抱く技術水準の高い生産者により
傷で春作業の延滞から春イチゴ等の山侍や移植に大きな打
会屈の経営革新と自己実現の機会を提供し,地域の篤農
撃を受け青果物j全体の版売高が低迷した 1
9
8
4年を│徐くと,
家や先駅者育成のふ卵器たる役割を果たすと同時に,系統
j
土内経済連以扱のアンデスメロンの版売金額は期間中年ヰt
共版事業からこぼれ落ちる生産者や生産物の受け皿ともなっ
平均 1
6
0
%の高い仲びを示し,公設 j
土内市場でも以扱高は
ているのである.
年本平均 1
4
0
%の仲びを見せた.金額の仲びを,数量と平
地場市場のこうした先駅者育成のふ卵器たる役割は,前
述のように,地場市場が集侍力強化を H的に,地域の生
均市価に分けて検討すると,数量の仲びが大屈を占めるも
0
5
%,
のの平均市価自体も期間中年本平均で庄内経済連で 1
2
2
6
山形県出内地ノらにおける地域経済構造
表 5 アンデスメロンの取扱金額の推移
年
1
9
7
8年
1
9
7
9年
1
9
8
0年
1
9
8
1年
1
9
8
2年
1
9
8
3年
1
9
8
4年
1
9
8
5年
1
9
8
6年
1
9
8
7年
1
9
8
8年
1
9
8
9年
1
9
9
0年
1
9
9
1年
1
9
9
2年
1
9
9
3年
1
9
9
4年
1
9
9
5年
1
9
9
6年
1
9
9
7年
1
9
9
8年
保木本
3
3
単位:百万円、%
庄内経済連
公設庄内市場 期間中の平均伸び率
販売金額 前年比 取扱金額 前年比 庄内経済連 公設市場
4
1
34
1
1
6
2
9
2
413
6
5
1
637
1
,1
0
1
1
,3
3
8
1
,7
0
0
2,083
2,7
1
0
2,5
1
8
2,842
3,2
2
1
2,672
2,804
2,5
0
2
2,2
7
3
2,1
1
9
,
17
0
1
81
.4
345.9
2
5
0
.6
1
41
.5
1
5
7
.5
97.9
172.9
1
21
.5
1
2
7
.0
1
2
2
.5
1
3
0
.1
9
2
.9
112.9
113.3
83.0
104.9
89.2
90.8
93.2
80.2
金額
1
5
2
2
8
2
446
3
5
1
549
5
5
5
6
5
5
7
3
7
7
9
8
7
2
1
808
7
3
1
680
616
576
5
4
1
479
462
金額
1
5
9
.8
対
1
3
7
.9
弘
成
数量
数量
長
1
8
5
.8
1
5
2
.8
同
1
2
9
.8%
期
158.2単価
単価
7
8
.7
104.6
同
1
0
6
.3%
156.3
1
01
.1
118.0金 額
金額
112.6
116.6
九
1
0
4
.2% ィゴへ二
108.3数 量
数量
盛
見
115.6
90.3
1
0
4
.2
九期
1
1
2
.
1単価
単価
1
0
0
.0
出
90.4
1
0
0
.8
九
9
3
.1金 額
金額
9
2
.7
出
90.6
89.9
九
後
9
3
.5数 量
数量
退
94.9
対
9
3
.9
93.8
九
期
8
8
.7単価
単価
97.6
対
96.5
95.9
九
資料 品庄内経済連資料、公設庄内青果物地方卸売市場「市場年報』各年次
注 : 公 設 庄 内 市 場 が ア ン デ ス メ ロ ン を 取 り 扱 っ た の は1
9
7
6年 か ら で あ る 。
しかし品目で分類されたのは1
9
8
1年 か ら で 、 そ れ 以 前 は そ の 他
ネット系メロンに含まれていた。
公 設j
五内市場でも 1
0
6
%の拡大を見せている.数量,平均
落ち込みが見られ,また着果時の低温でl
以量が低下したと
単価のいずれにおいても,まさに産地の成長が確認できる
1
5
7
が発生する事件がおきて青果物
ころに病原性大腸雨 0
時代である.
9
9
6年も 0
1
5
7の報道を受け
全体の消費が仲ひ、なかった. 1
②続く 1
9
8
6年から 1
9
9
2年までの 7
年間は全盛期"に灰
9
9
7
年も価格の低迷が続いた.
てメロンの価格が急落し,逆 1
五 内経済連の版売金額の期間中平均
分することができる. I
成長期,全盛期を経て,現在はまさに"後退期"を迎えてい
1
7
%,公設j
土内市場の版売金額の期間中平均仲
仲びヰミも 1
る. とりわけ 1
9
9
7年度, 9
8
年度は版売金額の落ち込みが激
び本も 1
0
4
%と
, {中び本自体は成長期に比べると大きく鈍
しく,産地として危機的な状況にさらされはじめるのであ
化する. しかし,数量は依然、として拡大基調は変わらず,
る.
絶対量としては最大量を誇るようになる. ピークの 1
9
9
2年
には庄内経済連のアンデスメロン版売金額は中品で3
2億円
第 2項
を記録する.まさにこの時期は安定期・全盛期と呼びうる
時代であった.
しかし③ 1
9
9
3年以降,経済連版売金額,公設j
五 内市場
取扱金額がともに年ヰ!
'
9
0
%ほ ど へ と 大 き く 落 ち 込 み 後 退
出荷経路別生産者手取価格の推移
では,前節で指摘した産地形成を担う二つの流通経路で
ある農協系統共版と地場市場流通が,
このような時代画
期ごとに,相対的な位置関係をどのように変化させてきた
のだろうか.
9
9
3年は歴史に銭る大冷害の年で冷夏長雨に
期"に入る. 1
まず価格水準の比較からはじめよう.
見舞われ,アンデスメロンの生育の後れと着果不良,商品
表6
は,地場市場山向と農協系統の平均単価を比較した
化本の低下に加えて,小石傾向であったことから,山向数
ものである. これを見ると,首都圏山侍を太宗とする農協
量が前年比の 8
割弱にまで落ち込んだ. 1
9
9
4年は少し回復
系統のほうが全期間を通じて会貫して平均市価が高く,大
するものの, 1
9
9
5年は夏期の天候不順による収量・消費の
きな較差が生じていることが確認される. とりわけ全盛期
2
2
7
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
3
4
0
0円近い価
には,系統山向と地場市場山向とではおよそ 3
山向の場合は市場手数料 7
%のみであるのに対して,系統
格格差が生じていることが確認できる.
の組織対応に用いら
山侍の場合には,そのほかにおよそ 5%
しかし平均単価だけでは,実は両者の優位性を比較する
れる系統手数料等の経費が加算される.ここに系統山向と
ことは山来ない.前節で指摘したように地場市場山侍と農
地場市場山侍の経費格差が生じているわけである.さらに
協系統山侍とでは,山向に関わる経費が異なっているので
箱~たりの必要経費の部分をみるとそこにも大きな格差が
ある. また農協問でも選果庁法が機械共主きであるか個主きで
存在することが確認される. 3
者のなかで山侍経費が最もか
あるかによって経費が異なってくる.
からないのが地場市場山何であり,箱~たりおよそ 55 円程
例えば現在の袖浦農協では,生産者は収穫したメロンを
度である. これに対して,遠隔地消費地市場を目指してい
コンテナ箱に入れて選果場へ運搬し,選果場で機械選果機
る系統事業の場合は,資材費等は共同の力で安価におさえ
によりメロンは共同選果され山侍される.それに対して,
0円近く上乗せ
られるものの,遠隔地への運賃分の経費が 8
鶴岡農協では,地場市場山侍と同禄に,各生産者が個人
されている.さらにおなじ系統山何でも,袖浦農協は機械
的に選果・箱詰めをして集侍場に出向するんー法を取ってい
共i
きを採用しているために,個選共版体制をしく鶴岡農協
る.
ケース (
6
k
g
)
よりも,さらに選果場維持費や労務費等で, 1
そこで機械選果を導入している袖浦農協と,個選共版
~たり l .,;U ほど余分なコストがかかっている.
土内公設
体制をとる鶴岡農協,そして個選個版ともいえる j
こうした経費の割合を参考にして鶴岡農協,袖浦農協,
つの山侍経路別 l
こ,その山侍に要する費用を
市場, この 3
および庄内公設市場というそれぞれの山侍経路別に,生産
比較したのが次の表 7
である.
者手取り価格を比較した.その言│算結果が次の表 8
である.
では,経費を二つのカテゴリーに分けて山侍経路
この表 7
これを見ると鶴岡農協が手取り価格でほぼ常に最も優位
別経費概算値を示した.すなわち,①版売金額に対して定
であることが確認できる.成長期においては期間平均で箱
本で加算される農協や市場の手数料等と,②箱~たりの必
~たりおよそ 67 円 1: 回り,全盛期には 141 円までその左は
要経費にわけで示した.定本費用を比較すると,地場市場
広がっている.
さらに後退期に入っても依然、平均して箱~
表6
出荷経路別販売価格の比較
平均価格 (
6
k
g
)
公設庄内巾場との
公設庄内市場との価格格差
ノ
i
¥
λ三
ロJ
y
h
Z
平均価格格差
甫
年
袖j
圧内
鶴岡
経済連
農協
農 協 庄内市場
庄経
鶴岡
袖浦
鶴岡
袖浦
庄経
1
9
7
8年
1
,2
60
1
,0
80
1
9
7
9年 ,
1 464
,
1 254
15
90
,
13
50
1
9
8
0年 ,
1
9
8
1年 ,
13
3
2
1
,1
3
4
1
,1
6
8
1
6
4
ム 34
208
62
1
9
8
2年
1
,5
54
1
,3
3
2
1
,2
69
285
63
1
9
8
3年
1
,6
26
1
,5
60
1
,4
32
1
9
4
1
2
8
1
,2
36
1
,1
2
6
1
,0
70
1
6
6
56
1984年
1
9
8
5年
1
,7
2
2
,
15
8
8
1
,4
90
2
3
2
98
16
68 1
,6
87 ,
1 676
1
,4
69
1
9
9
218
207
1
9
8
6年 ,
1
9
8
7年 ,
15
1
8 1
,5
92 1
,4
47
1
,2
24
294
3
6
8
223
1
,7
8
2 1
,7
82 1
,8
2
1
1
,5
18
264
264
3
0
3
1
9
8
8年
1
9
8
9年
1
,7
5
2 1
,7
37 1
,8
14
1
,5
09
243
228
3
0
5
2
9
1
3
0
1
329
1
9
9
0年
1
,5
36 1
,5
10 1
,6
14
1
,2
70
266
240
344
1
9
9
1年
1
,9
32 1
,9
17 2,016
1
,4
92
440
425
524
1 824 1
,8
53 ,
1 886
1
,4
92
3
3
2
3
6
1
394
1
9
9
2年 ,
1 920 1
,9
17 2,1
0
3
1
,6
52
268
265
4
5
1
1
9
9
3年 ,
年
1
,7
40 1
,7
15 1
,7
6
7
1
,464
276
2
5
1
3
0
3
1994
1
9
9
5年
1
,8
42 1
,8
17 1
,9
18
1
,5
3
1
3
1
1
286
3
8
7
1
9
9
6年
1
,7
5
8 1
,7
87 1
,7
7
1
1
,4
62
296
3
2
5
3
0
9
2
3
3
234
307
1
9
9
7年
1
,3
9
2 1
,4
25 1
,4
92
1
,2
69
1
2
3
1
5
6
223
1
9
9
8年 ,
1 416 1
,4
14 1
,4
62
1
,2
90
1
2
6
1
2
4
1
7
2
資 料 :]
A庄 内 経 済 連 資 料 、 農 水 省 『 野 菜 生 産 出 荷 統 計 』 各 年 次
9
8
5年 以 前 平 均 単 価 、 お よ び 袖 浦 農 協 の 1
9
8
2年以前平均単価は不明。
注.鶴岡農協の 1
公設庄内市場のアンデス品目別集計は1
9
8
1年 以 降 の み 。 そ れ 以 前 は そ の 他 メ ロ ン に 含 ま れ て い た 。
2
2
8
成
長
期
ノ
ゴ
ヘ
二
盛
期
f
麦
,
!
J
j
期
山形県出内地ノらにおける地域経済構造
保木本
3
5
表 7 農協系統出荷(個選共販および共選共販)と地場市場出荷の出荷経費の比較
庄内公設市場出街
内訳
3
.
0
1
.7
0
.
1
7
.
0
手
数
す
斗
雰
'
-
長
;
;
1
.1
'
シ
1
経
費
労務費
価格安定
その他
平均 1
0
7円
1
8
.
8
2
.
0
1
.7
7
.
0
1
.0
糸│農協
統│経済連
巾場
組合負担金
運賃
i
望果場維持費
帝
王
選果場労務費
費
資材費
その他
合計出侍経費割合
手
数
料
箱当たり
平均 2
4
0円
2
8
.1
手
数│
す
ヰ
京
歪
費
市場
割台%
7
.
0
資材費
その他
平均 5
5円
合計出侍経費割合
注 :1998年度関取りや農協精算書から作成。一部推定部分も含む。
0円ほども公設 j
土内市場向け山向手以価格を
たり 8
:
1回っ
市場における以り扱い青果物の流通状況の統計を資料とし
て利用する.なおアンデスメロンの品 Hが現れるのが,前
ていることがわかる.
しかし会ノ与で袖浦農協の場合は,鶴岡農協に比べて優
位性の程度は低くなっている. とりわけ成長期には平均 1
4
9
8
3年以降であるため,それ以後の年代
述の成長期途中の 1
に限つての分析となる.
表9
は,東京都中央卸売市場におけるアンデスメロンの,
1円ほど地場市場の手取価格を下回っているし,全盛期の
~初 2 年ほども約 32 円,さらに後退期の 1996 ,
円,計算
9
7年も約 7
5
:
1では公設正内市場の手取り価格を下回る動き
県別月別の取扱数量構成比(すなわち産地シェアー)を,
年度にわたって記載したものである.
東京都中央卸売市場におけるアンデスメロンの産地構成
を見せている.袖 i 甫の農協系統山向価格は地場市場の ~X
扱価格よりも会貫して金額の面では高いのだが,山向経費
県で, 1983年~初から 87
は,訪日城県・熊本県・山形県の 3
がそれを上回って大きいために,地場市場と農協系統の価
7%以上を占めており,以後 1
9
9
0年には 3県合言│で 94%, 1
9
格較差が小さい場合は,山向経費が少ない地場市場と比
, 3
大産地を構成している.山向は熊本県
9
5年には 96%と
較して手取り価格がより低くなるのである.
を筆頭に,訪日城県,そして山形県という産地リレーが会貫
農協系統と地場市場の価格格差は後退期に入って以降,
してみとめられる.
近年急激に縮まる傾向を見せている. とりわけ 1
9
9
7年
, 1
9
この中にあって,山形県は, 1983 年~初は栽培適期であ
0
0円台近くまで縮小している点は注 H
9
8年は価格格差が 1
る8
月中心の山何で,同月の市場占有本 7
7
.
5
%という立場
される.価格格差縮小によって地場市場と袖浦の手取価
から山発した.以後 8
月の市場占有ヰtを高めると同時に,
格較差も,鶴岡農協の場合 1
0円ほと、とかつてないほどに縮
8年にはわずか1.4%であった 7月期
前進山侍体制を組んで 5
小しており,袖浦農協では地場市場に手取価格で 7
5円ほど
9
9
7年現在では 6
6.
4%
1こまで高めてきてい
の市場占有本を 1
も水をあけられる結果となってしまっている.
る.
このような産地前進山向・山向期間の長期化傾向は熊
第 3項 系 統 出 荷 優 位 性 変 化 の 背 景
本県と訪日城県にも認められる. こうした産地問競争の結果,
つぎにこうした,手取価格ベースて、見た流通経路聞の相
それぞれ栽培適期に応じて,現在では,熊本県が 1
1月から
対的優位性の変化が,どの禄な背景のもとで生じたのかを
翌年の 4月まで,訪日城県が5月から 7月まで,山形県が7月か
考察したい.
0月までという,産地リレー体制が確立している.年聞
ら1
まず,手取価格ベースでの優位性変化を引き起こした最
大の要因である系統山向価格の高騰や低迷に着 Hし,その
を通じた県別の、ンェアーは, 1
9
9
7年現在で,訪日城県が 59%,
9
.
8
%,そして山形県が 1
8.4%となっている.
熊本県が 1
背景にある大都市消費地市場における正内砂丘地の競争
力変化の過程をみておこう.
山形県のこのような産地前進山侍体制への変化は,
0の野菜生産山向統計資料等からも確認することがで
表1
大都市消費地市場における庄内砂丘地メロン産地の位
きる.
置づけ動向を示すものとして, ここでは,東京都中央卸売
1983 年~時は,庄内経済連ののべ山向日数は 8 月を中心
2
2
9
乙ο
dコ
表 8 出荷経路別手取価格の比較
推定手取価格
Mωo
袖浦
822
9
7
1
1
,052
867
1
,
039
,
11
6
5
7
7
8
1
,1
8
1
1
,274
1
,056
,
14
07
,
1 406
,
1 226
1
,540
1
,410
1
,627
,
13
1
2
1
,
450
,
13
10
1
,
069
1
,052
巾場
1
,0
3
1
1
,1
2
6
1
,276
940
1
,3
3
1
1
,3
1
1
1
,083
1
,357
1
,348
1
,1
2
6
1
,333
1
,333
1
,
482
1
,307
1
,369
1
,305
1
,1
2
6
1
,1
4
5
34
1
3
5
47
4
1
77
67
210
1
0
4
74
96
247
1
9
1
86
96
1
2
3
1
6
2
1
9
ム5
公設庄内市場との
平均価格格差
鶴岡
袖浦
67
成
ム 141 長
期
ム 111
ム 162
ム 150
ム 37
ム 27
50
5
8
1
0
0
207
7
8
1
4
5
6
8
1
5
ム 57
ム 92
1993 、 1996~1998年までの鶴岡市農協および、 1989 年 ~1998 年までの袖浦農協の箱当たり経費は実績値
その他の箱当たり経費は、間取り調査などから仮定した数値である。
甫農協は、 1
9
8
3年度に共同選果場を建設した。それ以前は個選体制であったため経費もそれに準じて仮定した。
袖i
推 定 手 取 価 格 = 平 均 価 格 箱 当 た り 経 費 平均価格*定率経費
1
¥
二
L
1
4
1
80
6
1盛
期
1
5
後
退
期
法ムー中
鶴岡
1
,002
1
,1
8
1
1
,292
1
,065
,
12
6
1
1
,324
9
8
1
1
,
408
1
,378
1
,294
,
14
6
1
1
,422
1
,222
1
,580
1
,524
1
,568
,
14
02
,
14
92
1
,
467
1
,1
4
4
1
,1
3
9
公設庄内市場との
価格格差
鶴岡
袖浦
戸亡出川汁品川首相(胸骨)滋5中
平均価格 (
6
k
g
)
手取価格の算定根拠
一~¥
A三
円
凡
又
箱当たり経費
定率経費
鶴岡
袖浦
農協
農 協 庄内市場 鶴 岡 袖 浦 市 場 鶴 岡 袖 浦 市 場
1
9
7
8年
1
,260 1
,
080
1
0
7 1
0
7
1
2
% 1
2
話
7
九
1
9
7
9年
1
,
464 1
,254
1
0
7 1
0
7
1
2
% 1
2
九 7
対
九 7
1
9
8
0年
1
,590 1
,350
1
0
7 1
0
7
1
2
% 1
2
九
1
9
8
1年
1
,332 1
,1
3
4
1
,1
6
8 1
0
7 1
0
7 55 1
2弘 1
2
払
7
同
0
7 55 1
1
9
8
2年
,
1 554 1
,3
3
2
,
12
69 1
0
7 1
2
% 1
2
九 7
同
1
9
8
3年
1
,626 1
,560
1
,
432 1
0
7 200 55 1
2
% 1
2
九 7
九
話
1984
年
1
,236 1
,1
2
6
1
,070 1
0
7 200 55 1
2
% 1
2
7
九
1
9
8
5年
1
,722 1
,588
1
,
490 1
0
7 200 55 1
2
% 1
2
九 7
九
九 7
1
9
8
6年
1
,687 1
,
676
1
,
469 1
0
7 200 55 1
2
% 1
2
九
2
払
7
同
1
9
8
7年
1
,592 1
,
447
1
,224 1
0
7 200 55 1
2弘 1
,
17
82 1
,
8
2
1
,
15
18 1
0
7 200 55 1
2
% 1
2
九 7
同
1
9
8
8年
1
9
8
9年
1
,737 1
,
814
1
,509 1
0
7 200 55 1
2
% 1
2
九 7
九
1
9
9
0年
1
,510 1
,
614
1
,270 1
0
7 207 55 1
2
% 1
2
話
7
九
1
9
9
1年
1
,917 2,
016
1
,
492 1
0
7 246 55 1
2
% 1
2
九 7
九
九 7
対
1
9
9
2年
1
,853 1
,
886
1
,
492 1
0
7 253 55 1
2
% 1
2
2
払
7
同
1
9
9
3年
1
,917 2,1
0
3
1
,652 1
1
9 246 55 1
2弘 1
,767
1
9
9
4年
,
17
15 1
,
1 464 1
0
7 249 55 1
2
% 1
2
九 7
同
1
9
9
5年
1
,817 1
,
918
1
,5
3
1 1
0
7 250 55 1
2
% 1
2
九 7
対
1
9
9
6年
1
,7
8
7 1
,7
7
1
1
,
462 1
0
6 246 55 1
2
% 1
2
話
7
九
1
9
9
7年
1
,
425 1
,
492
1
,269 1
1
0 252 55 1
2
% 1
2
九 7
九
1
9
9
8年
1
,
414 1
,
462
1
,290 1
0
5 240 55 1
2
% 1
2
九 7
対
資 料 :]
A
庄内経済連資料、農水省『野菜生産出荷統計』各年次
注:鶴岡市農協の 1
9
8
5年以前平均価格は、庄内経済連実績で仮定。
年
山形県出内地ノらにおける地域経済構造
保木本
3
7
表 9 東京中央卸売市場におけるアンデスメロンの月別産地別構成比の推移
%
年計
ド日和 5
8年 茨
城
1
片
2
月
3月
4片
7
1
.1
1
1
1汗3
1
2
.1
4
.5
1
2
.3
6
3
.
9
1
3
.
0
9
.
4
1
3
.7
5
3
.
0
1
6
.1
1
5
.
0
1
5
.
9
5
2
.
5
5
.1
1
1
1 汗3 1
21
.9
熊本
その他
1
0
.
5
1
9
8
7年 茨 城
5
2
.5
1
5
.3
山形
2l
.6
熊本
その他
1
0
.
6
1
9
8
8年 茨 城 6
0
.7
1
1
1 汗
ラ
1
4
.
7
1
6
.
9
熊本
その他
7
.7
1
9
8
9年 茨 城
5
5
.
6
1
1
.
9
山形
21
.7
熊本
その他
7
.
8
1
9
9
0年 次 城
5
5
.
0
1
6
.
9
山形
2
2
.
1
熊本
その他
6
.0
1
9
9
1年 茨 城
5
8
.
0
1
1
1 汗3 1
5
.
8
2l
.0
熊本
その他
5
.2
1
9
9
2年 茨 城
5
7
.
8
1
7
.
8
山形
1
9
.
2
熊本
その他
5
.2
1
9
9
3年 茨 城 6
0
.
2
1
1
1 汗
ラ
1
4
.
3
2l
.9
熊本
その他
3
.6
1
9
9
4
年茨城
5
6
.
6
1
6
.
6
山形
2
2
.
8
熊本
その他
4
.0
1
9
9
5年 次 城
5
7
.
4
1
5
.5
山形
2
3
.
4
熊本
その他
3
.7
1
9
9
6年 茨 城 6
0
.
6
6
.
2
1
1
1 汗3 1
2l
.1
熊本
その他
2
.
1
1
9
9
7年 茨 城
5
9
.
0
1
8
.
4
山形
1
9
.
8
熊本
その他
2
.
8
81
.7
1
8
.
3
熊本
その他
1
9
8
4
年茨城
山形
熊本
その他
1
9
8
5年 次 城
山形
熊本
その他
1
9
8
6年 茨 城
資料
8
6
.
0
1
4
.
0
3
3
.1
6
6
.
9
3
5
.
8 5
7
.
2
6
4
.
2 4
2
.
8
1
.
0
9
2
.
5
7
.
5
1
0
0
1
0
0
6~8
3Q8 8
2
.
0
3
6
.
2 6
9
.
2 1
7
.
0
0
.
5
5
2
.
2
4
7
.
8
9
8 9
5
.
4
2
.
0 4
.1
2
.
8
9
9
.4 9
9
.1 9
5
.1
0
.
6 0
.
9 2
.1
9
7
.
3 9
8
.
5 9
9
.
1 9
8
.
6
2
.7
1
.5 0
.
9 1
.4
1
0
0 1
0
0
.
0 9
8
.
3 9
9
.
5
1
.7 O
.5
1
.
8
9
9
.
9
0
.
1
9
9
.
4 9
9
.
9 9
6
.
9
0
.
6 0
.
1 1
.3
3
.
0
1
0
0
9
9
.
7 9
9
.
9 9
6
.
0
O
.3 0
.
1 l
.0
1
.1
1
0
0
0
.
0
9
9
.
0 9
6
.
4 9
4
.
6
l
.0 3
.
6 4
.
3
4
.
8
9
6
.
5
3
.
5
9
6
.
2
9
6 9
0
.
5
3
.
8 4
.
0 4
.7
0
.
6 1
1
.
9
1
0
0
.
0 1
0
0
.
0 9
9
.
3 8
1
.
9
0
.
1 6
.
2
O
.7
1
5
.
4
9
9
.
3 1
0
0
.
0 9
9
.
9 8
2
.1
0
.
1 2
.
5
0
.
3 2
7
.
2
8
9
.
9 8~ 7 9
3
.
8 6
6
.
1
1
0
.1 1
0
.
3 5
.
9 6
.7
東京都中央卸売市場「青果物年報 j
5片
6月 7片 自片
9月 1
0片 1
1月
4
5
.
7 8
4
.
0 9
2
.
9 8
.
4 0
.
2 4
.
9 O
.7
1
.
4 7
7
.
5 2
3
.
0 3
6
.
5 O
.1
2
5
.
6 3
.
0 0
.
5
5
8
.6 9
9
.1
2
8
.
7 1
3
.
0 5
.2 1
4
.1 7
6
.8 O
.0 O
.1
1
5
.1 7
5
.
0 9
3
.1 1
2
.3 4
.
8 4
5
.
1 O
.2
2
.7 6
8
.1 8
5
.1
5
2
.
8 9
.
5
9
9
.
8
3
2
.
1 1
5
.
5 4
.
2 1
9
.
6 1
0
.
1 5
4
.
9
5
.
4 7
0
.
6 7
2
.
8 1
.3 0
.
6
2
3
.6 6
6
.1 4
7
.0 1
.9
6
5
.
8 1
5
.
0
8
.
7 7
0
.
31
0
0
.
0
2
8
.
8 1
4
.
4 3
.
6 3
2
.
6 4
3
.
7 2
7
.
8
1
6
.
3 8
3
.
9 7
8
.
5 O
.3 5
.
2 3
9
.
3 3
.
6
1
8
.
5 8
1
.
1 6
9
.
5 4
3
.
6 O
.1
6
2
.
5 1
1
.
1
6
.3 9
6
.3
2
1
.
2 5
.
0 3
.
0 1
8
.
6 2
5
.
3 1
0
.
8
3
2
.
2 8
5
.
2 5
8
.
0 0
.
6 4
.
8 1
4
.
3 6
.
4
0
.
2 3
7
.
2 7
5
.
5 6
9
.
9 4
1
.
0 1
.1
5
4
.
8 1
0
.
5 0
.
1
3
7
.
6 9
1
.
5
1
3
.
0 4
.
1 4
.
7 2
3
.
9 2
5
.
3 7
.1 l
.0
4
7
.
9 9
1
.
8 6
8
.
0 O
.7
l
.9 0
.
4
7
.
8 0
Q1 2
5
.1 7~ 7 5~4 2
.
6
3
8
.8 4
.
6
O
.1
6
5
.
4 9
7
.
0
1
3
.3 3
.
5 6
.
9 1
9
.
5 4
5
.
6 4
.9 2
.
0
3
9
.8 9
5
.2 5
8
.1 l
.0
O
.9 0
.
4
0
.
3 3
1
.
2 7
1
.
8 6
0
.
1 1
2
.
0 2
.5
4
8
.
4 2
.
5 0
.
1 0
.
1
5
6
.2 9
7
.1
11
.8 2
.
0 7
.6 2
4
.1 3
9
.
9 O
.9
3
2
.
3 9
4
.
6 5
6
.
2 0
.
8 1
4
.
4 9
.7
l
.2 3
8
.1 7
4
.3 4
7
.0 3
4
.8 l
.2
5
6
.
6 2
.
8 O
.1 O
.2
5
5
.
1 9&1
1
1
.1 1
.4 5
.
6 2
4
.
7 3
8
.
6 0
.
4 O
.7
5
3
.
9 9
3
.
6 4
8
.
1 O
.5 2
.1 4
.
6 1
.1
1
.6 4
5
.2 7
3
.
4 8
3
.1 9
5
.
4 2
2
.3
3
8
.
8 4
.
2
7
2
.
9
7
.3 0
.
6 6
.7 2
6
.1 1
1
.
8 O
.0 3
.7
6
2
.
2 9
2
.
8 5
1
.
2 O
.3 8
.1 7
.3
7
0
.
4 4
3
.
6 7
9
.
8 6
2
.
1 5
0
.
9
3
1
.
0 5
.
2
4l
.8 9
2
.5
6
.
8 l
.6 5
.
2 1
9
.
9 2
9
.
8
O
.5
6~2
9
7
.
4 5
6
.
5 O
.3 1
5
.1 l
.7 O
.1
0.539.192.665.678.42l
.3
3
1
.
7 1
.0
19.978.5
5
.1 1
.1 4
.
4 7
.
1 1
9
.
3 O
.0 O
.1
6
8
.
6 9
3
.
5 3
6
.
3 l
O
.7
.3
2
.3 5
8
.6 9
0
.1 8
9
.7 7
1
.3 1
.1
2
7
.
4 1
.7
0
.
1
2
4
.
4 9
8
.
3
4
.
0 2
.
5 5
.
1 8
.
5 1
0
.
3 O
.6 0
.
6
6
9
.
5 9
6
.
7 4
8
.
6
1
7
.
4 l
.6
2
.
1 4
7
.
1 9
1
.
5 8
1
.
5 6
7
.
2 l
.9
2
4
.
7 0
.
5 0
.
2 O
.3
31
.2 9
8
.1
5
.
8 O
.7 4
.
1 8
.2 1
.1
7
1
.
9 9
9
.
3 5
5
.
4 0
.
4 3
.
0 l
.7 O
.1
Q3 4
1
.
9 9~8 7
1
.
0 8
3
.
1 7
.7
2
4
.
0 0
.
1 O
.2
15.39l
.0
1
.1 0
.
3 2
.5 1
.8 2
6
.
0
1
.2
8
1
.
2 9
7
.
5 3
1
.
6 1
.1 1
1
.1 O
.6
1
.9 6
6
.4 9
5
.1 8
6
.4 8
6
.3 7
.2
1a5 0
.
1
1
0
.
2 9
2
.
8
2
.3 0
.
5 2
.
0 3
.
8 2
.
5 2
.
9 0
.
0
果実編東京都青果物情報センター
2
3
1
1
2月
5
7
.
3
4
2
.7
1
0
0
.
0
1
0
0
.
0
1
0
0
.0
1
0
0
.
0
0
.
3
0
.
8
9
8
.
9
1
0
0
.0
1
0
0
.
0
9
6
.5
3
.
5
0
.
4
9
7
.
5
2
.1
0
.
1
9
5
.
4
4
.
5
9
9
.8
0
.
2
0
.
1
9
9
.7
0
.
2
1
.1
0
.
1
8
9
.3
9
.
5
8
7
.
9
1
2
.1
山形大学紀要(農学)第 15号 第 4号
38
とするわず、か 47日でしかなかったが, 1987年には 131日
,
i
比あるいは山情期間延長が実現する.すなわち山侍前進
1997
年には 165日まで長期化している.
等は,施設化と歩みを同じくするのであり,それが資料か
また,山形県の露地メロン栽培におけるハウスの割合は,
らも確認できるわけである.
ではなぜこのような山侍前進が試みられるのであろうか.
成長期には平均して 13.5%であったが,全盛期には 18.3%,
そして後退期の 1997年現在には 28%1こまで
:
1界している.
その理由は,表 11のアンデスメロン月別単価の推移に示さ
月山侍の作型はトンネル栽培によるもの
庄内地ノらでの 8
れている.
である. この作型を中心l
こして,作型前進にはハウスの早
月をピークとし
すなわちアンデスメロンの平均単価は, 3
熟栽培,作型後退にはハウスの雨よけ栽培,ある L、はハウ
て,以後,時間の経過とともに右肩下がりになる傾向が認
ス抑制栽培がとりいれられることによって,作期前進・後
められるのである. この傾向は, 1983 年~時から現在まで,
年
1
9
7
8年
1
9
7
9年
1
9
8
0年
1
9
8
1年
1
9
8
2年
1
9
8
3午
1
9
8
1年
1
9
8
5年
1
9
8
6年
1
9
8
7年
1
9
8
8年
1
9
8
9年
1
9
9
0年
1
9
9
1年
1
9
9
2年
1
9
9
3年
1
9
9
4
年
1
9
9
5年
1
9
9
6年
1
9
9
7年
1
9
9
8年
資料
表 10 アンデスメロンの作型変化
アンデ、スメロン
のべ
参考 山形県露地メロン作付け面積 (
h
a
)
期間中平均
出荷日数 露I
也 ガ、フス室 ハウス トンネル ハウス割合 トンネル割合
出荷期間
9
G
%
7
/
3
1 9
/
1
7
4
7
8
2
6
4
3
8
l
出
7/19~ 9
/
2
1
6
2
4
3
3
2
略
9
7
%のべ出侍日数
5
2
7
3
7/14~10/24
1
0
0 2
6
8
3
3
4
1
1
8九
7
5
出
7
0
成
7/22~ 9
/
1
1
出
4
9 2
4
9
1
3
7
8
1
8
7
7
九 トンネノレ割合 長
6/30~ 9
/
0
1
8
0
出
8
2
.
8
略
6
1
2
0
8
6
4
1
6
1
6
九
W
J
6/29~ 9
/
0
7
2
8
0
悩 ハウス割合
6
8 1
7
9
3
1
3
7
1
7九
2
1
7
6/27~10/11
判
8
0
出
1
0
1 1
8
9
6
1
5
0
1
3
.
5
略
7
/
0
1~ 9
/
1
1
3
7
9
出
7
0 1
7
1
0
9
1
7
6
1
8
%
6/26~ 9
/
1
7
3
1
9見
7
8
出
8
1
1
7
1
2
9
5
3
7
6/22~11/03
7
9
唱の
2
1
8見
1
3
1
1
7
1
3
5
5
9
1
べ「ドI荷日数
ゴ
ノ二
2
1
8見
6/17~1 1/ 07
8
0
出
1
4
0 1
8
1
3
9
6
2
0
1
3
5、
6
/13~ 11
/1
3
2
1
7見
8
0
出 トンネル割合 盛
1
5
0 2
1
1
4
3
6
6
9
6/06~ 1
1
/0
4
2
1
6
出
8
0
出
7
8
.
8
出 期
1
4
8 2
9
1
4
9
7
3
0
6/13~ 1
1
/0
7
2
1
9
見
7
8
出 ハウス割合
1
4
4 2
7
1
8
6
7
5
8
2
2
1明
6/19~1 1/ 17
1
4
8 2
5
2
0
3
7
4
2
7
6
%
1
8
.
3
弘
2
2
3弘
6/15~1 1/25
7
4
明 のべ出荷 H数
1
6
0 2
2
2
2
4
7
1
7
6/10~1 1/ 07
2
1
4
7 2
1
2
3
2
6
9
1
25%
7
3
%
1
5
6
6/12~ 1
1
/
1
6
2
2
7弘
7
1覧 トンネル割合 後
1
5
4 2
1
2
5
7
6
8
0
退
6/17~1 1/ 22
2
1
5
5 2
1
2
6
5
6
7
1
2
8
9
f
7
0
%
7
0
.
9
%期
2
8
6/13~ 1l /28
略
1
6
5 2
3
2
2
7
4
6
6
6
6
9
%ハウス割合
1
2
9弘
6/04~1 1/ 07
6
8
出
2
6
.7
弘
1
5
3 2
2
2
7
9
6
4
5
J
A
庄内経済連資料、農水省『野菜生産出荷統計』各年次
表 11 東 京 都 中 央 卸 売 市 場 に お け る ア ン デ ス メ ロ ン 月 別 単 価 の 推 移
年
1978年
1979年
1980年
1
9
8
1年
1982年
1983年
1984
年
1985年
1986年
1987年
1988年
1989年
1990年
1
9
9
1年
1992年
1993年
年
1994
1995年
1996年
1997年
1998年
年間
296
292
308
343
313
369
393
385
431
423
431
405
458
421
402
403
3月
812
857
705
752
991
904
786
855
837
7
0
1
7
2
1
792
777
746
4月
673
770
7
8
1
528
512
507
649
652
719
768
608
611
584
647
583
610
5月
単価
6月
506
438
474
458
408
481
447
556
536
511
428
462
522
510
445
484
資料:東京都中央卸売市場『青果物流通年報~
2
3
2
7月
8月
9月
297
234
304 223
333
2
5
1
202 227
309
253
242 232
324
272
269 248
274
268
207 2
2
1
334
296
268 2
3
1
377
305
266 220
276 283
365
2
2
1
377
303
298 253
389
310
267 1
9
3
418
346
306 299
344
280
272 273
454
282
300 285
363
2
9
1
272 239
270
1
7
6 324
358
328
233
231 330
(果実編)、各年度より
10月
成
長
期
324
257
242
235
328
ゴ
¥
二
320 /
486 盛
4
2
1期
465
383
528
381
j
長
3
5
1
退
369 期
3
1
1
349
山形県出内地ノらにおける地域経済構造
保木本
3
9
ことカ〉でミきるでミあろう.
ほぼ会貫して認められる傾向である.産地は山侍前進を試
各月別にも検討してみよう.前述の時代灰分で百うとこ
みるによって,則正売単価の向上を見込むことができるので
ろの成長期から全盛期までの時代灰分では,山形県の山向
ある.
こうした市価要因に加えて,需要数量要因の年次別変
月期のばあい,需要数量は拡大ないし横ばい
適期である 8
2であ
化も検討してみたい.そのために用意したのが表の 1
傾向で推移している. 7
月期も同禄である. しかし次城県
る.
あるいは熊本県の山侍適期である 6
月期
この表 1
2から,興味深い傾向を見山すことができる.ア
5
月期, 4
月期の
場合は,いずれも年次が下るにつれて,需要数量の絶対客員
ンデスメロンの需要中心期が,次第しだいに前進する傾向
が大きく拡大している.
が認められるのである.
各産地は, このような需要の拡大・前進を追 L、かけて,
すなわち, 1
9
8
3年には,アンデスメロンの需要は 6月から
それぞれの山侍適期を中心 l
こ,作型の前進と長期化を凶っ
8
月までの 3ヶ月間で,それ以外の月にはほとんと、需要が存
てきたのである.
月を中心とする需要期が,年
在しなかった. ところがこの 7
以上が,アンデスメロンの成長期・全盛期における系統
次がたつにつれて前進し, 1
9
8
6年頃からは6月を中心とする
版売金額,版売単価拡大の背景となる事情とみることがで
5
月から 8
月までの 4ヶ月に拡大する.さらに山侍数量がピー
きるであろう. このような需要の拡大と,作期前進による
9
9
0年には, 6月を中心 l
こ4月から 8月までの 5ヶ
クを迎える 1
市価の向上によって,大都市圏へ山侍を主体とする系統山
月に拡大しているのである.
侍は,その版売金額規模と版売単価の上昇を実現してきた
アンデスメロンの需要拡大は,いわば,需要期の前進長
わけである.
しかし, このような需要量の拡大という傾向は,前述の
期化という傾向をもちながら進んだことがここから読みとる
表 12 東京都中央卸売市場におけるアンデスメロン取扱数量の推移
年
1978年
1979年
1980年
1
9
8
1年
1982年
1983年
1984年
1985年
1986年
1987年
1988年
1989年
1990年
1
9
9
1年
1992年
1993年
1994年
1995年
1996年
1997年
1998年
1
9
8
5年 /1983年
1
9
9
2年 /1985年
1
9
9
8年 /1992年
年間計
3月
8,3
0
1
9,559
2
1
0,894
4
1
2,862
1
4,993
3
3
1
5,040
1
3
0
1
7,043
1
3
8
1
7,338
228
16.175
287
1
6,1
7
3
300
1
5,1
3
2
287
1
4,440
358
1
2,665
380
1
2,509
289
1
2,1
4
4
314
1
0,1
1
1
279
131%
1
4
8出 15000%
6
5出
93出
4月
取扱数量(トン)
5月
6月
7月
1
8
8
69
4
6
1
618
809
950
,
1 039
,
10
23
998
1
,1
8
0
1
,240
1
,220
,
1 040
,
13
9
7
919
383%
1446%
92%
8月
9月
820 3,1
0
2 3,034 1
,2
18
68
988 3,320 3,5
0
5 ,
1 642
3
9
,
15
36 4,069 3,846 ,
12
57
29
3,0
2
1 4,350 3,297 ,
15
73
7
8
3,4
3
1 6,098 3,3
2
8 1
,3
55
1
7
3,095 5,838 3,3
1
3 1
,638
3
0
4,4
3
1 5,766 3,7
8
8 ,
15
88
4
1
3,484 5,772 5,1
9
8 1
.1
4
0
1
6
4,200 5,4
7
1 4
.1
0
6
788
1
1
3,5
8
1 5,620 3,648 1
,5
34
1
1
1,516 1,828 2,7
0
7 1
,1
1
1
5
4,3
6
1 4,422 2,7
1
2
678
28
3,597 3,536 2,4
5
1
7
0
1
1
5
3,087 3,9
3
1 2,320
933
1
9
3,632 3,306 ,
18
98
814
28
3,2
1
1 3,336 1
,6
28
113
3
0
3
略
1
8
7
対 1
31% 1
2
7
見 1
0
3
出 4
3
8出
8同
233% 1
95
出
122% 3
5
9出
90%
45%
29% 273出
資料:東京都中央卸売市場『青果物流通年報~
(果実編)、各年度より
2
3
3
10月
成
長
期
3
3
1
0
6
20
ゴ二
、
44 f
34 盛
54 期
22
54
27
99
後
1
2
3
退
1
2
3期
1
2
4
1
0
1
333%
540同
1
8
7出
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
4
0
時主して横ばいないし縮
同x
売単価の縮小として現れており,その結果,流通経路別
2から確認する
小傾向へと変化してしまう. このことも表 1
の優位性の変化等,さまざまな日面で事態の変化が認めら
ことができる.
れるようになってきているのである.
時代灰分でヨう後退期に入ると,
まず年間合計での需要量の減少を見てみよう.減少傾向
が認められるのは, 1
9
9
1年以降からであり, とりわけ後退
第 4項
期に入ってからは顕著となっている.
と,時期別出荷経路の動向分析
さらに, このような需要量の減少は,月別で見ると,山
地場市場出荷と農協系統共販の競争関係の変化
では次に,
上述してきた時代背景の変遷のなかで,流通
形県の山侍適期である 7
月と 8月にとりわけ顕著なことが確
経路聞の相対的優位性の変化が生じた結果,どの禄な事
認される.例えば全盛期の最終年である 1
9
9
2年には 1
,
5
3
4
態が産地に引き起こされたのだろうか. これを時代別に整
トンであった 8
月のアンデス取扱量が, 1
9
9
8年にはわずか 2
9
理・考察したい.
%の 4
4
3トンへと減少してしまっている.成長期・全盛期に
立証の数量的な裏付けとしては,時代画期別に露地メロ
ンの流通経路別山何割合を示した表 1
4を用いる.
比べて,需要期が大幅に前進したために,すでに 4月から
8
月に入っ
この表 1
4は,プリンスメロン全盛時代である 1
9
6
9年以降,
てまでもアンデスメロンを食べ続けることはしないようになっ
1
9
9
7年現在に至るまでの,露地メロン収穫量統計,経済
長い間アンデスメロンに親しんでいる消費者は,
てきたのである.簡単に言えば, 8
月期ではすでに消費者は
者から,各
連版売数量資料,公設庄内市場取扱数量の 3
食べ飽きている状況なのである.
経路別の予想山向量,および割合を算山したものである.
需要量の減少という傾向は,訪日城県の山何時期である 6
灰分中でいう"その他経路"とは,経済連経由でも,公設
月期にも見山すことができる.需要量が依然拡大している
j
土内市場経由でもない,その他の山侍経路での版売のこと
のは,山向の最初となる 3月期, 4月期ばかりである. この
であり,その中には,産地業者等の集侍,生産者個人での
時期は量版屈も中心に売れる果実がないために, この時期
直売や宅配便山向,さらには経済連を経由しない中協の量
山侍のメロンは依然引き合いが強いのである.
版庖等との直接版売や,卸売業者を通さない仲卸業者の
アンデスメロンは,~初は高級果実に似た大衆果実とし
直接の侍引き等,さまざまな形態が考えられる.
て登場した.贈答用にも重宝がられて,そのため 7
月期中
以下,山侍経路別割合の推移を柱として,時代別にま
とめながら述べてゆく.
心のお中元用商品としても幅広く利用されてきた.山形県
のアンデスメロンは,
なお,前述の表 8
の手取価格水準で見た相対的優位性の
こうした贈答用需要にもう│っ張られ
変化,および,東京都中央卸売市場でのアンデスメロン取
て拡大してきたのである.
9
8
5年以降大幅な円高傾向にみまわれ,
しかし日本経済は 1
9
9
0年のバブル経済以
安価な輸入食料品,輸入果実等が 1
扱状況から考察した表 9~13 のを前提として,以下の論述
を進めてゆく.
降大量に市場に流通するようになった.またこの時期には
凶内果実でも,ブドウやもも,すいか,さくらんぼ等さま
ざまな種類の果実が大量に山田り,
a
)プリンスメロン全盛の時代
E
J新し L、こうした果実
へと消費は流れてしまう.
こうして,山形県の山何時期である 7
月
, 8
月期のアンデ
9
6
9年から 1
9
7
8年までに灰分されているプリンス
まず, 1
メロン全盛の時代は,後の時代の山侍経路別の割合と比
較して,おおきく次のような 3
つの特徴を指摘て、きるであろ
つ
.
スメロンは,後退期に入ってマーケットの縮小という事態
ひとつは,①その他経路の山何割合が 2
5%と極めて高い
に直面するのである.
ことである.第 2は,②公設 j
土内市場の集侍力が 2
5%と
,
以上検討してきた版売単価水準,作期の前進,そして
需要数量の変化の総合的な結果を示したのが,東京都中
次期の 4
6%と比較して極めて小さ L
¥点である.さらに,③
央卸売市場における県別の取扱金額の推移を示した次の表
9%とおよそ、'
l
分を占めるとはい
経済連経由の山何割合は 4
1
3である.
え,後の時代と比較すると依然低い水準て、あったことも特
1
9
8
3年を 1
0
0とした指数で見ると,1':産県いずれを問わ
f~史的である.
この時代は,前述したように公設正内市場も 1
9
7
3年に設
ず,後退期に入って顕著な版売金額の減少に直面している
ことが分かる.そしてそれが,前述した,系統版売金額,
立して直後の,まだ日が浅い時期であり,それ以前のさま
2
3
4
山形県出内地ノらにおける地域経済構造
保木本
4
1
表 13 東 京 都 中 央 卸 売 市 場 に お け る 県 別 取 扱 金 額 の 推 移
全国
1
9
7
8年
1
9
7
9年
1
9
8
0年
1
9
8
1年
1
9
8
2年
1
9
8
3年
1
9
8
4年
1
9
8
5年
1
9
8
6年
1
9
8
7年
1
9
8
8年
1
9
8
9年
1
9
9
0年
1
9
9
1年
1
9
9
2年
1
9
9
3年
1
9
9
4年
1
9
9
5年
1
9
9
6年
1
9
9
7年
1
9
9
8年
1
9
8
3年 を 1
0
0として)
指数 (
取扱金額(百万円)
年
2,457
2,7
9
1
3,355
1,112
4,693
5,550
6,698
6,675
6,9
7
1
6,8
4
1
6,522
5,848
5,8
0
1
5,266
4,882
4,208
熊 本 県 茨 城 県 山形県
1
6
2
368
7
4
1
1
,1
9
3
1
,3
5
1
1
,2
74
,
19
03
2,238
2,057
1
,8
95
1
,8
38
,
18
22
,
17
1
7
1
,5
50
1
,3
03
1
,1
9
0
1
,6
35
1
,7
5
3
1
,5
5
2
2,1
5
5
2,340
3,1
9
4
3,524
3,220
3,668
3,740
3,677
3,050
3,212
2,963
2,852
2,328
全国
熊 本 県 茨 城 県 山形県
成
長
期
1
0
0
1
0
0
1
0
0
1
0
0
1
1
4
226
1
0
7
8
7
1
3
7
456
9
5
1
5
8
1
8
0
7
3
5
1
3
2
1
6
8
1
9
1
832
1
4
3
1
9
0
226
784
1
9
5
208 ゴヘ二
273 1
.1
7
2
216
246 盛
272 1
,3
7
8
1
9
7
244 期
281 1
,2
66
221
270
278 1
,1
6
6
229
282
265 1
,1
3
2
225
236
238 1
.1
2
1
1
8
7
227
後
236 ,
10
57
1
9
6
200
退
211
951
1
8
1
1
9
3期
1
9
9
802
1
7
4
1
7
3
1
7
1
7
3
2
1
4
2
1
5
0
資料:東京都中央卸売市場『青果物流通年報~
(果実編)、各年度より
ざまな産地直人や集侍業者が活躍していた時代である.農
326
282
517
517
6
2
1
678
803
796
8
8
1
919
7
7
1
7
4
2
652
628
564
488
j
下回っていた.
9
6
7
年に作 Hの選定を
家の山向対応も,ょうやく経済連が 1
これだけ価格格差が縮小すると,卸売業者自身も,中に
おこない,共版体制が整えられつつあった時代である. し
地場消費を H的とした集侍を行うばかりではなく,産地市
かし共版体制整備とは百つでも,長く続いていた個別の多
場としての機能を発揮して,みずから特色のある商品を精
品目少量山侍の性向がいぜん盛んであり, この結果として,
力的に集侍し,それを仲卸業者が都市の大消費地へと転
1こもおよぶ生産物が,その他の経路で流通し
およそ 4分の 1
送出向することが司能となる.
ていたのであろう.いわば,流通経路の集約期以前の流通
そして現にこの時期には,卸売業者の極めて精力的な集
経路乱立期と称することができる時代である.
侍が行われ,仲卸業者の転送が活発に為されることとなっ
b
)アンデスメロン成長期
実である.
たのである. これは聞き取り調査からも確認されている事
つづく 1
9
7
9年から 1
9
8
5年までのアンデスメロンの成長期
には,前期と比較しておおきく二つの変化が現れている.
こうした卸売業者の集情対応は,前述したように系統組
織とは異なり,個別対応中心であり,それゆえにこそ問題
ひとつは,①前期に大きな割合を占めたその他経路の山
発見型,解決ノ52夜発見型の気風を~時の砂丘地に広める
何割合がほぼゼ、ロになったことであり, もうひとつは,②公
こととなった.そしてこの発見機能によってこの時代に新
土内市場の集侍力が,経済連経由と桔抗しほぼ2
分する
設j
たに見山されたアンデスメロンを,作型指導等も含めて柱
ほどにまでに拡大した点である.
に位置づけて,卸売業者は集侍を強化したのである.
前述したように, この時期は農協系統がいまだ十分な優
こうした地場市場の優位性に対抗し,農協系統は農協
位性を確立できておらず,地場市場との版売価格格差も小
系統山侍を増やし共版本をあげるためのさまざまな努力を
さかった時代であった.アンデスメロンが成長期にあるとは
払った.その応策は,ひとつは山侍組織の整理充実であり,
五内の山何時期
いえ,露地のトンネル栽培が太宗を占め, I
ひとつは山向設備の拡充新設て、あり,さらにひとつは生産
月が中心であった.地場市場との手以り価格格差は鶴
も8
者の生産基盤整備であった.
岡農協では 7
0円以下であったし,袖 i
甫農協では平均 1
4
1円
たとえば,山侍組織の充実としては,鶴岡農協では,従
2
3
5
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
4
2
としてネットメロ
来からある同郷畑作振興会の組織の行E
②公設 j
五 内市場の集侍力が前期に比較して弱まり,逆に
ン専門部会を 1
9
8
1年に発足している.そして同郷砂丘畑振
系統山侍の優位性が拡大した点である.
興会のネットメロン専門部は,
この設立から 2
年後の 1
9
8
3
表1
4
1こ示すように,この時期の系統山何割合は 7
0
%弱と,
年に,山何者の共版モラルを向上させるために事前登録制
かつて無いほどに拡大し,逆に公設庄内市場経由割合は 3
0
を導入することとなる.登録書数量より 1
3
0
%以│均実際の
%強へと低下した.
山侍を行った場合,翌年はその量で登録しなければならな
前述したように,農協系統体制が確立し,作型の前進
いとされた.また逆に登録数量を下回って 7
0
%以下の場合
と7
月8
月の東京市場での市場占有本が拡大するなかで,系
は翌年は山侍停止とされた.
統共版事業の優位性,そのメリットが最大限に発揮された
こうした厳しい規約は,系統山向と地場市場山侍を天
のである.
地場市場との価格格差は平均 3
0
0円強と大きくなり,ま
秤に掛けて臨機応変に対応する生産者を,排除しようとす
るものであり,また, これだけの規約を設立させられたのは,
た手取り格差も鶴岡農協では平均 1
5
0円程にまで広がり,
~時の系統共版が,地場市場との厳しい競争に直面してい
袖浦農協でも平均 6
0円台の優位性を示すに至った.その結
たこととを示しているだろう. しかし同時に,組合員にそ
果,農協系統は手以り価格の点でも地場市場に対して大
れだけの強気で対処しうる将来的な優位性を確信していた
きく優位に立てるようになり, この優位性を背景として農
ことの証でもあるだろう.
協系統は組織統制の強化を凶り,それまで地場市場と両
山向設備の充実としては, 1
9
7
9年に,同郷地灰岩一果場
んーに山侍していた農協組合員の山侍を厳しく取り締まるた
の第 3
次増築が行なわれており,また 1
9
8
3年からは袖浦農
め,メロン部会が中心となり,山向に関する規約を設ける
協の新選果場が完成し,メロンの共同選果が始まっている.
ようになるのである.
袖i
甫農協のこの大規模機械選果場の導入は,大きな選
生産者が,農協系統と地場市場山侍の両ノらに出向する
択であった.いわば今後の大量版売の時代を確信し,それ
背景には,前述したようにその精算々法の違いが関わって
へ積極的に対処してゆこうとする決断を,施設の建設は表
いる.農協系統は共同精算のため良い品質のものを作って
現しているのである.そしてこうした選択を評価して, 1
9
8
もそれが生産者個人の手取り価格に十分反映しないが,地
年には袖浦農協が第 1
2回日本農業賞山形県代表に選山さ
2
場市場では生産者個人ごとの精算であるため良い品質のも
れている.
のには高い価格がつく.そのため農協組合員のなかには良
この時代はまた,産地の
:
1界機運が盛り :
1
がり,生産者
の積極的な生産基盤拡充がはかられた時代でもある.
い品質のものは地場市場に山向し,それ以外のものは農協
系統に出向する傾向が見られるのである.その結果,農協
すなわち, 1981 年 ~1983 年まで,鶴岡農協・袖浦農協
系統に品質が良くないものが集まるようになり,他の組合
の両管内で,極めて精力的に雨よけハウスが導入され,従
員は不満を招くようになる.そこで,農協系統に品質の劣っ
来の露地トンネル栽培中心の体系からの脱皮が果敢に進め
たものばかり山侍されるのを防ぎ共版本をあげるために,
られた.袖浦農協管内て、の雨よけノ、ウス事業面積は 1
7
h
a
lこ
各農協のメロン部会は生産者に山侍量を登録させ,その数
も及んだとされる.
量に満たない場合は山侍停止や除名といった厳しい措置を
さらに, 1
9
8
2年からは,同郷地 P
てにおける最新版モデル
おこなうようになった.
袖浦農協ではこの時期 1
9
8
7年に,果菜山侍組合連合会
農場と位置づけられる同郷辻興屋地灰砂丘整備事業の上
事が着L されている. 1986 年 l こ~事完了,以後も各地でこ
の経験が生かされて整備事業が進むようになる.
こうした歩みのなかで,農協系統は次第にアンデスメロ
ンの農協系統体制を確立していったのである.
内部に主要品目の専門部会制を導入している.すなわち,
メロン部会を設立し,山侍に関する規約を定めたのである.
こ8
つの単位果菜組合を組
袖浦農協は,従来より集落単位 l
織し,その連合組織として果菜山侍組合連合会を運営し
てきた. この果菜山侍連合会ではそれまで,すべての園芸
c
)アンデスメロン全盛期
1
9
8
6年以降, 1
9
9
2年までのアンデスメロン全盛の時代は
作物を会律に取り扱っていたが,園芸作物が盛んになって
来たために作物別の専門部会(メロン・アールス・イチゴ・
点を特徴として指摘できる.すなわち,①前期と同
次の 2
化舟)を設立したのである(イ七き部会と野菜部会の設立は
禄に,その他経路の山何割合がほぼゼロになったことと,
1
9
9
2年以降である).そして各単位組合では山侍に関して
2
3
6
表 14 露 地 メ ロ ン の 流 通 経 路 別 出 荷 割 合 の 推 移
単位:トン
期間中の平均割合%
その他経路
収
(
庄
穫
内
量) 山
% 推
予
荷
想量 販経売済数連量 公設取扱庄数内市量場 推そ定の販他売経数路量 山荷経割済合
連 % 取庄扱内割市合場
定割合% 経 済 連 庄 内 市 場 そ の 他
323
2
9
1
2
9
1
1
8
3
1
6
5
1
6
5
フ
6,870 6,1
8
3
6,1
8
3
リ
6,004 5,404
5,404
ン
5,577 5,019
5,019
ス
5,242 4,718
,
15
67
1
,075
2,076
3
3
2
3
44
全
6,8
5
1 6,1
6
6
2,508
1
,3
8
1
2,277
4
1
2
2
3
7
49
2
6
2
5盛
7,410 6,669
3,3
9
1
1
,5
08
1
,7
70
5
1
2
3
27
期
7,860 7,074
4,
094
2,1
0
7
873
5
8
3
0
1
2
7,090 6,3
8
1
3,
945
2,094
342
62
3
3
5
4,440 3,996
2,
410
1
,7
78
ム 193
60
4
5
ム 5
ア
ン
6,340 5,706
2,
909
2,310
487
5
1
40
9
5,640 5,076
3,
429
2,737
ム 1,090
68
5
4
ム 21
ア
8,1
3
0 7,317
3,
495
3,204
618
48
44
8
5
5
4
6
ム lス
成
8,000 7,200
3,
297
3,459
444
46
48
6
長
8,090 7,2
8
1
4,
216
3,507
ム 442
5
8
48
ム 6
期
9,210 8,289
4,729
3,5
2
1
3
9
5
7
4
2
9,210 8,289
5,594
3,402
ム 707
67
4
1
ム 9
ア
ン
1
2,800 1
1,520
7,542
4,298
ム 320
65
3
7
ム 3
1
3,000 1
1,700
7,589
3,857
254
65
3
3
2
ア
1
4,600 1
3,1
4
0
9,
964
4,214
ム 1,038
7
6
3
2
ム 8
69
3
2
ム lス
」戸ム
、
1
5,700 1
4,1
3
0 1
0,309
4,1
5
0
ム 329
7
3
29
ム 2
盛
1
6,300 1
4,670
9,1
9
9
3,878
1
,5
93
63
26
1
1
期
1
7,1
0
0 1
5,390 1
1,
440
3,680
2
7
1
74
24
2
1
4,200 1
2,780
9,
233
3,0
2
1
526
7
2
24
4
ア
ン
1
8,700 1
6,830 1
0,
902
3,274
2,654
65
1
9
1
6
ア
1
7,600 1
5,840
9,
619
2,878
3,342
6
1
1
8
2
1
1
9,500 1
7,550
9,
256
2,8
5
1
5,443
5
3
1
6
3
1
60
1
8
2
2ス
後
1
9,600 1
7,640 1
0,309
2,983
4,349
5
8
1
7
25
j
塁
1
9,1
0
0 1
7,1
9
0
8,
820
2,1
5
1
5,729
5
1
1
3
3
6
。
判
戸亡宗瓶一比五荏託一刊叫ωミ向日荏蕗繭羽菰耐
Mω
。
世相ケサ
1
9
6
9年
年
1
9
7
1
9
7
1年
1
9
7
2年
1
9
7
3年
1
9
7
4年
1
9
7
5年
1
9
7
6年
1
9
7
7年
1
9
7
8年
1
9
7
9年
1
9
8
0年
1
9
8
1年
1
9
8
2年
1
9
8
3年
1
9
8
4年
1
9
8
5年
1
9
8
6年
1
9
8
7年
1
9
8
8年
1
9
8
9年
1
9
9
0年
1
9
9
1年
1
9
9
2年
1
9
9
3年
1
9
9
4年
1
9
9
5年
1
9
9
6年
1
9
9
7年
1
9
9
8年
注.予想出荷量は、 1994年 ~1997 年の実績を踏まえて、収穫量の 90出で換算した。
注・その他経路推定販売数量二予想、出荷量(経済連販売数量+公設庄内市場取扱数量)
資料.山形県農林水産統計年表各年次
]A庄内経消連資料、公設庄内青果物地方卸売市場『市場年報』各年次
ι
込
乙ο
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第
4
4
4号
考えて,意凶的に対応する生産者が現れてきたために,彼
以下のように規約が定められた.
らへのより厳しい措置を講じたのである. ただし全量農協
山侍の人は地場市場とかけもちして山侍している人に不利
-果菜山侍組合規約(要点のみ)
6条この組合の名誉をき損し,又1':旨に協力し
第1
にならないように格外品は量に関係なく山何できるように
これを山侍停
も定めている.また秋野菜の山侍はメロンを規定どおり山
止及び除名することがで、きる.似し,最終決定は連
侍した人のみ受け付けており,その点でも系統山侍への非
合会の委員会において決定する.
協力者へは厳しい措置を講じているといえるのである.
ない組合員は組合長が役員会に諮り,
(
1
) ~組合で決定した主要作物j に関し,~山侍組合
このように農協系統が市場において優位性を発揮し,生
外へ山侍した場合は,その後 1ヶ年は全作物jについ
産者統会を凶るので,地場市場では,メロン部会の厳し
て山侍停止することがで、きる.
い規約についていけず,農協共同え体制に合わなかった生産
(
2
)主要作物以外の作物に関し,山向数量が予約数
者から集侍し,また農協系統に山何できない格外品も受け
量に満たない場合は,その後 1ヶ年は全作物jについ
入れていった.農協系統と価格格差が広がったため取扱金
て山侍停止することができる.
額・数量の平均仲び本は農協系統ほどの仲びを見せないが,
(
3
) 1ヶ年以上共同山侍の実績がない場合は,
この時期の公設正内市場は,生産者別価格の実施による
これ
行E
優良商品の集侍と,
を除名することができる.又,除名されたものは,
その後 1ヶ年は再加入ができないものとする.
なお,農協系統では
(
4
)似し,自然災害等,不司抗力による特別事情を
役員会で認められた場合は,この限りではない.
附則 2この規約は 1
9
8
3年より施行し,
会ノ与での格外品の受け皿的役割
を果たしていたのである.
:
1
述のような組織統制の強化ばかり
でなく,組織充実の努力もこの時期にははかられた.
たとえば 1
9
8
5年には,将来の産地をt
日うリーダーの育成
1
9
8
7年 行E
改
正する.
をめざし,同郷砂丘畑振興会内部に「園芸研究部」が設
この規約を厳 4
6にメロン山侍に適用するようになると,
験等である.また,
けられている.下ーな活動は,ネットメロンの新品種比較試
1
9
8
6年には,庄内温室メロン生産組合
組合員のなかには組合を脱退する人も山てきたという. し
が設立し,袖浦農協て、もアールスメロンがあらたに導入さ
かし山侍の好調を背景に,セ旨に賛同できない人は除名す
れた. さらに同年,同郷地灰岩一果場第 4次増築がおこなわ
るなど,規約をもとに厳しく生産者を統制したという.
れ
,
鶴岡農協でも同禄に,品質の良いものを地場市場に山
侍し,格外品を農協に出向する組合員に対して他の組合
1
9
9
1年には北部選果場が稼働している. 1
9
9
2年には袖
浦農協では農家とのファックス通信を開設し,生産者と農
協との情報連絡の緊密化・迅速化をはかつている.
このような取り組みの結果,アンデスメロンの需要の拡
員の不満がますます大きくなってきたために,畑作振興会
9
8
5年に,格外品山侍の言Ij合を全山
のメロン専門部では 1
大もあって,鶴岡農協では 1
9
8
7年にアンデスメロン山何回
向量の 1
0
%以内にするという規約を新たに制定している.
1
9
8
3年には前述のように登録制度を設け山情期前に生
1
9
8
8年には,庄内経済連取扱客員トッフ。が,
0億円のアンデスメロンに交代し
ハウスイチコーから以扱客員 2
産者の予定山侍数量を提山させ,山何時期の終了後山情
た.さらに 1
9
9
2年には袖浦農協でもアンデスメロン 5
0万ケー
0
%以下の場合は来年度の
実績量と登録山侍量と比較して 7
ス達成したのである.
山侍停止,
万ケース突破.
1
3
0
%以上は来年はその量で登録すると以り決
こうした実績を背景として, さまざまなノら面からの評価
も寄せられた.すなわち,
めているが,その規約をさらに強化したのである.
1
9
8
3年の規約は,登録山向量より現実の山侍が少ない
1
9
8
7年には,庄内園芸共版推進
1
9
9
1
大会で鶴岡農協のネットメロン専門部会が表彰され,
場合は,地場市場に多く山侍したためであり,その結果共
年には砂丘畑振興会が日果連より表彰される.さらに 1
9
9
2
版体制を乱したと考えられるし,登録山侍量より現実の山
年には正内園芸共版推進大会でネットメロン専門部優良
侍量が多い場合は,地場市場山侍を念頭において登録した
生産組織で表彰を受け,同年,砂丘畑振興会が山形県ベ
と考えられるため, こうした市場価格と農協共版価格を天
ストアグリ賞で知事賞を受賞している.
秤に掛けて山向量を調整する生産者への警告メッセージで
あった. しかし,次第に農協系統山侍を格外品の処理場と
さらに,
この時期は,
1
9
9
1年 1
0月開港の庄内空港の建
設や高速道路周辺対策事業によって,砂丘地周辺の施設
2
3
8
山形県出内地ノらにおける地域経済構造
保木本
4
5
表1
5 袖浦農協の品目別販売金額に占める割合の比較
万円
%
1
9
9
2年
1
9
9
7年
口
口口
目
1
9
9
7
年
/
1
9
9
2
年
l
口L
金 額 割 合 金 額 割
3
2
5,502
2
8
1
9
,4
24
7
6,7
46
7
1
3
5
3,1
3
6
8
1
6
穀 7,479
r 2,0
チ =
23
ロ ン 1
0,801
ナ
f
f 776
,5
4
1
内 柿 1
その他青果物 1
,0
48
販売金額合計 2
3,668
米
イ
メ
花
庄
7
4
348
2,2
7
1
1
9,484
2
1
2
7
4
7
0
6
3
408
2
3
217
8
2
資料:袖浦農協
整備が急激に進んだ点も記しておかなければならない.た
た.全盛期には優位性をたてに生産者の統会を凶ってきた
とえば, 1
9
9
2年にはこの高速道路周辺対策事業によって,
系統組織であるが, 1
9
9
7年
, 1
9
9
8年と急激に価格格差が
9
9
6年までの聞にパイプハウスが 3
5
h
a建
袖浦農協管内では 1
縮まり,公設市場との優位性が逆転するまでに至っている
設されたのである.
のである.
こうした大規模な産地の施設化の進展は, しかし,時代
その結果,山侍経費が高い袖浦農協では規約が守られな
が急速にアンデスメロンの後退期に入ってくる中で,生産
くなり,系統外山侍の増加や所得確保のためメロンから他
者に大きな矛盾を投げかけ,その結果,より集約的な品 H
の作物jへの転換が顕著におきている.
表1
5によると 1
9
9
2年には化舟とその他青果物は版売金額
である化き等へと生産者を駅り立てる原因ともなっている
%・
4%に過ぎなかったが, 1
9
9
7年にはそれ
に対する割合が 3
のである.
6
%・1
2
%, W
Ji売金額も 4
0
8
%・2
1
7
%と飛躍的な仲びを
ぞれ 1
d
)アンデスメロン後退期
示したことが確認できる. これに対してメロンは版売金額
1
9
9
3年以降,現在にまで続くアンデスメロンの後退期に
は,前期と比較しておおきく 3
つの変化が現れている.
6
%
から 3
5
%
へ,金額も 4
0
%近く落ち込んで
に占める割合が4
いるのである.
このように生産者のメロン離れが進むと,結果的に規約
ひとつは,①前期にはほぼゼロであったその他経路の山
何割合が急激に拡大し,公設庄内市場山何割合にほぼ匹
を緩めなければならならなくなり,なし崩し的に部会活動
9
%にまで達したことである. 中年度で
敵する期間中平均 1
が形骸化することとなる.その結果,袖浦農協て、は振興計
:
1は示され
画のなかでアンデスメロンを主体としたメロン作型を示しな
ている.推計値ではあるものの,その他経由比本が顕著に
がらも,より安定した所得確保を目指すため新規作物の取
拡大したのは,傾向的には確かな事実であろう. もうひと
組みに力を注ぎ推進せざるを得なくなっていった.
9
9
6年度など実 l
こ3
0
%もの割合が言│算
見ると, 1
市場に対しでかろうじて優位性を保っている鶴岡農協で
つの変化は,②公設庄内市場の集侍力が,前期に比較し
でもさらに低下した点である. このような集侍力の低下は,
もメロン部会を中心にアンデスメロンに代わる新しい品種
同時に産地市場としての公設 j
土内市場の機能低下を意味
や,卸売市場を通さない市場外山侍の取り組みが始められ
するものといえよう.さらに,③経済連経由山何割合が,
た. また鶴岡農協では選果のノら法が個主きであるため,等級
前期に比較して低下傾向を見せており,単年度で見ると近
がぱらついて市場の評価を下げないようにメロン全盛期の 1
年になるほどそれが顕著となってきている点も見逃せない.
9
9
0年頃から選果基準を厳しくして,秀品本は他の農協よ
この時期には,前述のようにアンデスメロンの 7
,8
月期
りも低いものの品質のよさで市場では高く取引されてきた
の需要が縮小したために,アンデスメロンの価格が低迷し,
9
9
7年
, 1
9
9
8年とアンデスメロ
という伝統をもつのだが, 1
農協系統と地場市場の価格差は平均 2
3
3円と縮まった.手
ンの急激な価格低迷を受けて,規格基準を緩め秀品ヰtをあ
~X り価格格差も鶴岡農協で平均 80 円,袖浦農協が平均 15
げることで,後ろ向きながら結果的に生産者の手取り価格
円となり,農協系統は市場に対して優位性を保でなくなっ
を下げないように対応しはじめる. このような後ろ向きの組
2
3
9
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
4
6
第二に,農協共同止を支える基礎組織であるメロン部会の
織統制緩和措置は, これまでの部会運営では見られなかっ
会員数の絶対数が,減少を見せ始めており,部会組織の
たものである.
会ノ白地場市場では,農協系統と価格格差が縮小するよ
縮小・解体が見られ始めてきた.部会員数の減少は,メロ
うになると,集情規模は低落傾向にあるものの,消費者の
ン農家が化き等へと転換し離脱してゆく傾向を反映してい
動向に敏感なところを生かして晴好の変化に合わせた品種
る場合もあるが,それ以外にも,部会から脱退して別の版
を積極的に生産者に奨励しはじめている.地場流通におい
売形態をとる農家が増加したという事情も反映している.
てもアンデスメロンは下ー要な品 Hであり,
第=
1こ
は
,
これからも j
土内
砂丘地の主要品 Hとしてメロンは不司欠と{立置つ、けている
会応は部会組織の会員としてとどまりながら,
全面的あるいは部分的に農協共同え以外の版売形態をとる
ためである.具体的にはアンデスメロンの作型の前進化や
農家が増え,かっその活動が活発化しはじめた.名 E
J
I北
赤肉メロンの導入を生産者に勧め,アンデスメロンは 6
月:
1
部会に名を連ねながら農協共版に侍担しない農家が増えて
旬から 8
月 :
1旬まで山侍とし, 9
月 会杯は赤肉メロンが中心
ゆくのである.農協共版以外の形態をとる場合,地場市場
とした作型を勧めている.また消費者に安全性,おいしさ
への個人・グル
プ・商人山侍の諸形態の比重が大きくな
を分かつてもらうためにネーミングにもこだわる必要がある
りつつあることであり,さらには,市場外流通の形態とし
と指摘する.特に,つるを付けての山侍は高級感をイメー
てはスーパ一等との直接的な結びつきや,その他宅配便等
ジさせる贈答用に好評であるとした. このように地場市場
による直接版売の諸形態が増えていることである.要する
は常に消費者の立場に立って,地場市場の特質を生かして
に,農協共同止と敵対または競合するこれら多禄な山向・版
の集侍に励んでいるのである.
売形態のなかで農協共版の地位低下が起こってゆくのであ
しかし集何本割合にも現れているように,個人生産者か
る.
らの集何割合は低下してきている.その理由として生産者
すなわち,
1
9
9
0年代末以降, I
五内地ノら砂丘地の園芸作
の高齢化により山向労力負担が大きい地場市場山何より,
は,アンデスメロンの後退期に直面し,農協共同え体制弱体
農協系統山侍が増える傾向にあるためと考えられる.集情
化と L、う事態に直面することとなった.
従来の系統共同え体制の絶対的優位性を保証してきた,
を確保するため生産者を交えての栽培講習会を聞き情報交
換などを行って関係強化に勤めているのが現状である.
需要の拡大と市価の上昇という基礎条件が,失われてしまっ
た結果,拡大する需要に対しての競争力確保の手段であっ
第 5章
アンデスメロンを取り巻く環境の変化と,
今後の求められる対応方向
た
, ロットと共選共版の強調という下ー導原理も,それ単独
での強調は再考を迫られることとなったわけである.
砂丘地の園芸作は,前述したように 1
9
9
2年経済連版売
この時期以降, I
五内地ノらは,地産地消型の直売施設が
実績 3
2億円をピークに,以後ケース単価・山侍数量 30%以
多数建設され,また,生産者が自らの個性を売り山す直売
上の落ち込みを示してゆくことになった.
活動が盛んとなってゆく.
消費晴好の面からは,総肉系統のアンデスメロンは産地
つまり,従来型の大量生産大量流通型の生産構造とは
化~時の高級果実から大衆果実のひとつへと位置つ、けが変
異なった,関係志向型マーケッテインク、へとノら向転換がな
わってゆき,需要総量の減少のなかでマーケットの縮小に
され,新たな生産構造が模索されはじめることとなる.
直面することとなった. また凶内最大産地である訪日城の山
時代状況としては,ちょうど,プリンスメロンの凋落の
何時期長期化や北海道等後発産地の山侍前進等によって
なかで,卸売市場の下ー導する,品種発見的,個人重視型
産地問競争も激化してきた.
の戦略が,次なる時代の主要品 Hとなるアンデスメロンへ
こうした状況を受けて,砂丘地では 1
9
9
0年代末以降,
とパトンタッチを果たしたころとにているかもしれない.つ
農協系統共版の危機の兆候が見え始めることとなった.
者現象に現れた.
それは端的には次のような 3
まず第今に,前述の山侍経路別言Ij合の推移で見たように,
まり,~時の地場市場が,共同え組織とは異なるものとして
有していたさまざまな機能を駅便して, これまで行われてき
た生産起点流通ノら式から消費起点生産流通ノら式への転換
が仲ひ、悩んでおり,
砂丘地のメロンの農協共版量や共版ヰt
を後押ししたように,現在の農産物需要の構造転換は,産
農協によっては著しく低下する農協も見られるようになっ
地に,もう会段高次の,消費起点と密接に結ひ、ついた新た
てきた.
な生産流通ノら式への転換をもとめているように思われる.
2
4
0
山形県出内地ノらにおける地域経済構造
保木本
4
7
形農試研究資料J] N
o
5
2
6,山形県立農業試験場,
こうした課題を抱えながら, 1
五内地域の園芸作は,新た
1
9
7
8
年3
月
な段階へと足を踏み入れてゆくわけだが,その詳しい分析
1
6
) 山形農試・五十鈴川寛「砂丘メロン歴史」山形県立
は,別稿で果たしたいと思う.
農業試験場砂丘分場,年代不詳
<脚
1
7
) 庄内経済連園芸特産課長・中里勝「庄内メロンの版
注>
,年代不詳
売と今後のノら向 J
n
1
8
)園芸協議会 土内メロンを以り巻く情勢と今後の対応,
(注1)本文中の歴史的記述については,下記の参考文献
に依拠している.~該部分の対応関係は,
五 内経済農業協同組合連合会,各年度
資料編J], 1
(執筆者名,年
1
9
)r
東京都中央卸売市場・青果物流通年報・果実編J],
代)として示すので,適宜,下記の参考文献会覧に読替
を出郎、たい.
東京都青果物情報センター,各年度
2
0
) 東北農政日山形統計情報事務所酒田山張所編集,
『特産
<参考文献一覧>
3
月
2
1
)n
土内砂丘地農業の展開:日本砂丘学会発足記念全
1
)r
畑 振 同郷砂丘畑振興会 3
0年の歩みJ],同郷砂丘畑
振興会, 1
9
9
2年 3
月
凶大会(山形大会)資料J],
2
) 1ネットメロン部会資料 JJA鶴岡園芸特産課,各年
日本砂丘学会全凶大会
9
9
2年 7
月
(山形大会)実行委員会, 1
2
2
) 阿部幸吉「庄内砂丘地農業の経営構造 Jr
山形農林
度
3
)r
袖浦地域営農振興 3
カ年計画J], 1
9
9
5年,酒田市袖
学会報』第 9
号,山形農林学会, 1
9
5
5年 1
2月
2
3
) 石川武彦「正内砂丘地農業の立地的考察 Jr
山形農
浦農業協同組合
4
)r
袖浦地域営農振興 3
カ年計画J], 1
9
9
8年,酒田市袖
号,山形農林学会, 1
9
5
4年 1
1月
林学会報』第 7
2
4
) 石川武彦・阿部幸吉「正内砂丘地農業管見 Jr
山形
浦農業協同組合
5
)1
総会資料」袖浦果菜山侍組合連合会,各年度
農林学会報』第 8
号,山形農林学会, 1
9
5
5年 3
月
2
5
) 石川武彦「砂丘地に於ける低位農業経営の会事例」
6
)r
酒田市袖浦農協設立 5
0周年記念誌 農興 5
0年のあゆ
みJ],酒田市袖浦農業協同組合, 1
9
9
7年 1
2月
7
)r
砂丘よ健在なれ
庄内のメロンJ],山形農林統計協会, 1
9
9
6年
『山形農林学会報』第 1
1号,山形農林学会, 1
9
5
7
年3
創 立4
0年の回胤J],山形県園芸試
月
2
6
) 石川武彦・阿部幸吉「中都市に隣接せる砂丘地農業
験場砂丘分場, 1
9
7
5年 1
1月
r
2号,山形農
経営の会事例 J 山形農林学会報』第 1
9
6
4年 3月
立農業試験場砂丘分場, 1
9
5
7年 1
2月
林学会, 1
r
8) 正内砂丘における露地メロンに関する研究』山形県
r
結成3
0周年記念式典
2
7
) 尾河和夫・阿部幸吉「袖浦村に於ける農家の経営に
j
主青協 3
0年の歩みJ],庄内農協青年組織協議会,
ついて Jr 山形農林学会報』第 3~4 号,山形農林学
9) 庄内農協青年組織協議会
1
9
9
1年 2月
会
, 1
9
5
3年 5月
2
8
) 坂本英夫 1
土内平野北部の海作砂丘地における農業
1
0
)r
3
0年のあゆみJ], !土内農協技術員会, 1
9
8
6年 2月
1
1
)r
砂丘地農業開発基本計画第 1
次基礎調査J],鶴岡市,
r
の変化 J 地 理 学 評 論 』 第 4
6巻
,
1
9
6
7年
日本地理学会,
1
9
7
3年
1
2
)r
庄内砂丘地南部農業水平Ij事業,畑地かんがい・ほ場
9
6
8年 3
整備・事業基本言│画書J],畑地農業振興会, 1
29) 沢田和博「東北裏日本海)~砂丘林造成史 1-1五内藩
r
月
の部 (
l
)
J 山形農林学会報』第 8
号,山形農林学会,
1
3
)r
砂丘地モデル農場現行標準経営設計』山形県農林部,
1
9
5
5年 3
月
1
9
7
0年 1
0月
3
0
)立石友男,
1
4
)r
砂丘地モデル農場改苦標準経営設計(案)J]山形県
r海)~砂丘の変貌J],大明堂,
1
9
8
9年 3
月
3
1
) 長井政太郎「正内平野の新聞集落 Jr
山形大学紀要
(人文科学)J]第 3
巻第 2
号,山形大学, 1
9
5
4年 1
1月
農林部, 1
9
7
0年 1
2月
1
5
)1
野菜作産地育成に関する経営的研究,第二報 Jr
山
3
2
)舛田忠雄「戦後における山形県漁業の展開 i
魚、業セン
2
4
1
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第
4
8
r
サスにもとつ、く統計的分析 J
, 山形大学紀要(社会
科学)Jl第 1
0巻第 1
号
,
1
9
7
9年 7
月
3
3
)若松幸夫 1
土内砂丘地に於ける麦作とその改善 Jr
山
形農林学会報』第 1
4
号,山形農林学会,
1
9
5
9年 1
0月
2
4
2
4号
山形大学紀要(農学)第 1
5巻 第
4号 :2
4
3
2
7
2
. 平成 2
1年 2月
Bul.
l Yamagata Univ.,Agr
.S
c
i
.,1
5
(
4
):2
4
3
2
7
2
.Feb. 2
0
0
9
数種落葉果樹の葉面傾斜角度分布に関する研究
山本隆儀・麻生桃代・西沢滝太・庄司紀幸・佐藤健吾・
小山智江・上野恵里・須田
慶
山形大学農学部生物生産学科農業生産学講座
0年
(平成 2
9月18R受理)
Studies on Distributions of Leaf Inclination Angle in
Several Deciduous Fruit Trees
Takanori YAMAMOTO, Momoyo Aso, Takita NISHIZAWA, Noriyuki SYOJI,
Kengo SATO,Satoe K o y
品!l
A,Eri UENO and Kei SUDA
Section of Agricultural Production,Department of Bioproduction,Faculty of Agriculture,
Yamagata University,Tsuruoka,9
9
7
8
5
5
5,Japan
8,2
0
0
8
)
(Received September 1
Summary
fa
tp
l
a
t
e,d
i
s
t
r
i
b
u
t
i
o
n
so
fl
e
a
fi
nc
1i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
ei
nt
h
ef
r
u
i
tt
r
e
e
When al
e
a
fwas c
o
n
s
i
d
e
r
e
dt
ob
e a1
c
a
n
o
p
i
e
swere a
p
p
r
o
x
i
r
n
a
t
e
dt
o ab
e
t
ad
i
s
t
r
i
b
u
t
i
o
n
.¥
;
ja
n
yv
a
r
i
e
t
i
e
so
fa
p
p
l
e andp
e
a
r,a
n
dap
a
r
to
fJ
a
p
a
n
e
s
e
t
h
e
r
p
e
a
rb
e
l
o
n
g
e
dt
os
t
r
o
n
g
l
yh
o
r
i
z
o
n
t
a
lt
y
p
e
.A p
a
r
to
fpeach and cherrγbelongedt
ov
e
r
t
i
c
a
lt
y
p
e,and o
n
t
e
r
r
n
e
d
i
a
t
e andi
s
o
a
n
g
u
l
a
rt
y
p
e
s
. There was no s
t
r
o
n
ge
r
e
c
tt
y
p
e
.
v
a
r
i
e
t
i
e
sb
e
l
o
n
g
e
dt
o weak h
o
r
i
z
o
n
t
a
l,i
e
a
s
o
n
a
lv
a
r
i
a
t
i
o
nwas
Ryr
n
o
n
t
h
l
yi
n
v
e
s
t
i
g
a
t
i
o
no
ft
h
ed
i
s
t
r
i
b
u
t
i
o
na
ta
na
l
r
n
o
s
ts
a
r
n
ep
o
r
t
i
o
ni
nat
r
e
ecrown,s
n
o
ts
od
i
s
t
i
n
g
u
i
s
h
e
d
.¥
;
je
t
h
o
d
sf
o
rr
n
e
a
s
u
r
e
r
n
e
n
to
fd
i
s
t
r
i
b
u
t
i
o
no
fs
u
r
f
a
c
ei
nc
1i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
eo
n non1
fa
tl
e
a
f
r
n
ed
i
a
g
r
a
r
n
s,w
h
i
c
h were o
b
t
a
i
n
e
d by as
t
e
r
e
o
p
h
o
t
o
g
r
a
r
n
r
n
e
t
r
γ
.R
o
t
a
t
i
o
no
f
were d
e
v
i
s
e
du
s
i
n
gt
h
ew
i
r
e 什a
ぉ e
f
f
e
c
t
i
v
eu
s
i
n
gr
o
t
a
t
i
o
na
n
g
l
e
sw
h
i
c
h were o
b
t
a
i
n
e
d by s
i
r
n
p
l
er
n
e
a
s
u
r
i
n
go
f
t
h
ew
i
r
e
f
r
a
r
n
ed
i
a
g
r
a
r
n wa
i
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
eo
fb
o
t
hr
n
i
d
r
i
bl
i
n
eo
fe
a
c
hl
e
a
fand ap
e
r
p
e
n
d
i
c
u
l
a
rl
i
n
et
ot
h
er
n
i
d
r
i
b
.I
nt
h
er
n
a
n
y什U1t
v
a
r
i
e
t
i
e
s,t
h
ec
u
r
v
a
t
u
r
ei
n
c
r
e
a
s
e
di
n¥
;
ja
y and s
u
r
n
r
n
e
r
t
i
r
n
e(
Ju
l
y and A
u
g
u
s
t
),and d
e
c
r
e
a
s
e
di
nJ
u
n
e and
.I
na
p
p
l
e(
e
s
p
e
c
i
a
l
l
y,c
e
n
t
r
a
ll
e
a
d
e
r
) andp
e
r
s
i
r
n
r
n
o
n,t
h
eh
o
r
i
z
o
n
t
a
lt
y
p
ew出 f
o
u
n
da
tt
h
e upper
S
e
p
t
e
r
n
b
er
h
eweakh
o
r
i
z
o
n
t
a
lt
y
p
ea
n
dt
h
ei
n
t
e
r
r
n
e
d
i
a
t
e oneweref
o
u
n
da
tt
h
er
n
i
d
l
a
y
e
r
s andt
h
e
canopyl
a
y
e
r
s,andt
h
a
n
g
eo
ft
h
ed
i
s
t
r
i
b
u
t
i
o
n byt
h
eh
e
i
g
h
t w出 l
i
t
t
l
e
.H
o
r
i
z
o
n
t
a
lt
y
p
eb
e
c
a
r
n
es
t
r
o
n
gi
nt
h
e
l
o
w
e
r
s
.I
n peach,c
u
r
n
r
n
e
rp
r
u
n
i
n
gwas l
a
c
k
i
n
g
.F
r
o
r
nt
h
e
s
e
u
p
p
e
rp
a
r
to
fp
e
a
r andJ
a
p
a
n
e
s
ep
e
a
rw
i
t
ht
r
e
l
l
i
st
r
a
i
n
i
n
g,where s
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e
so
fc
u
r
r
e
n
ts
h
o
o
t
ss
e
e
r
n
e
dt
o be ar
n剖 nf
a
c
t
o
rf
o
ri
n
t
r
a
c
r
o
w
n1
f
u
c
t
u
a
t
i
o
no
fl
e
a
f
r
e
s
u
l
t
s,i
i
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e
.
h
o
o
ta
n
g
l
e,e
x
t
i
n
c
t
i
o
nc
o
e
f
f
i
c
i
e
n
to
fd
i
r
e
c
tb
e
a
r
n,non1
fa
t
Key words:d
i
s
t
r
i
b
u
t
i
o
no
fl
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e,s
e
c
i
d
u
o
u
sf
r
u
i
tt
r
e
e
s
l
e
a
v
e
s,d
緒
産構造の研究に見るように,葉屈の吸光係数に密接に関
自
わる.
の空間分布に強く影響されるが,
み,個々の葉の直達光受光強度は葉面傾斜角度
によって大きく変化する (Yamamotoら
,
植物j群落内放射分布は投射光強度とともに葉量や校量
2
0
0
5
)
. この
このほか葉の光学的性
ように,葉面傾斜角度分布は葉量の空間分布などととも
質や葉面傾斜角度などにも影響される.葉面傾斜角度分
に植物群落内放射分布の解析にとって不司欠な要因であ
布は,葉が立つイネ科植物j群落と水平葉の多いヒメアザ
り
,
ミ群落を比較した Monsi・
Saeki (
1
9
5
3
) の植物群落生
合成速度などの垂直分布とともに葉の傾斜角度分布の垂
これまで多くの植物jを対象に,葉量,放射分布,光
キーワード:柴田傾斜角度分布,新梢角度,直達)t;u
及)t;係数,池山菜,落葉栄樹
2
4
3
山形大学紀要(農学)第 1
5号
5
0
第
4号
直分布が測定されている(宇田川, 1
9
8
0
)
. 最近の測定
材料及び方法
例 と し て は 6種 の 針 葉 樹 (
B
a
r
c
l
a
y, 2
0
0
1
), ヒノキ
(Uts
u
g
iら
, 2
0
0
6
),常緑硬葉樹と乾燥地、│そ落葉性潅木
1.葉面傾斜角度データを用いた植被内放射関連数値の
(
G
r
a
t
a
n
i• B
o
m
b
e
l
l
i, 1
9
9
9
),インゲンマメ (
V
i
c
t
o
rら
,
1
9
9
9
),
トウモロコシ
(Espanaら
, 1
9
9
9
), 亜 寒 帯 ポ プ
Kucharikら
, 1
9
9
8
), コムギ (Shibayama, 2
0
0
4
)
ラ (
試算
1
) 傾斜角度分布をベータ分布に近似するための計算方
K
d
) の計算方法
法および直達光の吸光係数 (
などがある. しかし,果樹の調査は極めて限られている
傾斜角度分布をベータ分布に近似するための計算式お
よび直達光吸光係数 (
Kd) の言│算ノ句法についてはこれ
(山本ら, 1
9
9
0
)
.
本研究は果樹樹冠内放射分布研究の基礎的資料を得る
まで植物生態学分野および農業気象学分野で確立された
ために,数種落葉果樹の葉面傾斜角度分布の実態調査を
んー法に準じた.本論文ではこれらの言│算式を頻繁に使用
の部分で
行なったもので,以下の 4部分からなる.第 1
したので,その要点を以下に記す.すなわち, Monsi.
は,植被内放射分布における葉面傾斜角度分布の重要性
S
a
e
k
i(
1
9
5
3
)の植物群落光合成理論における重要なパラ
を明らかにするため,葉面傾斜角度データを用いて植被
メータとして葉屈の吸光係数(減技係数ともいう)があ
の
内放射に関連する幾つかの数値の試算を行った.第 2
る. これは積算葉面積指数の増大に伴う透入光量の減少
部分では,葉面を十丸の平板と見なしときの葉面傾斜角
を特徴付けるものである. このうち,直達光の吸光係数
頁部ま
度分布の特徴を明らかにするため,樹冠底部から l
(
K
d
)は植物群落内葉屈の葉面傾斜角度と密接である(黒
でを含む樹冠全体の葉面傾斜角度を調査し,その分布の
9
9
0
)
. すなわち, I
。を植被
岩
, 1
特徴を記すとともにベータ分布への適合皮を試験した.
LAIの葉屈を透過する直達光としたとき,両者の割合は
I
:
l
t
sの直達光, l'を累積
ま た , 樹 冠 の 同 行E
に限定して葉面傾斜角度分布を経時
1
'/Io
=巴xp (-Kdx累 積 L
A
I
)の 式 で 表 現 さ れ る . 植 物
の部分では,
的に調査し,その季節的変化を記した.第 3
群落内葉屈の葉面傾斜角度は十議でなく,植物jに特徴的
葉面の湾曲の実態を明らかにするため,最初に立体写真
o
r
i
e・
Udagawa (
1
9
7
1
)は , 葉 の 傾 斜
な分布を示す. H
測量法を用いた湾曲情報の入手応法を記し,次に,この
角度分布をベータ分布で近似したときの直達光吸光係数
湾曲情報を取り入れた葉面傾斜角度分布の計測ノら法を検
(
K
d
) の言│算ノら法を確立した.
討した. さらに,
B(
A
,
この計測ノら法に基づいて,湾曲葉面と
肌
l
0
5
n
(
ケY
¥
lケ)
ν
l伽
ν
)=
)
l
(
しての葉面傾斜角度分布を解析した.第 4の部分では,
葉面傾斜角度分布の樹冠内変動要因を明らかにするため,
会般に,ベータ分布関数
ν)は1
式で表現される.
数種落葉果樹における樹冠内高さ別の葉面傾斜角度分布
の特徴を記した.また,葉面傾斜角度分布の樹冠内変動
ここで, Aと νはベータ分布関数のパラメータであり,
に及ぼす新梢の傾きの影響を解析した.さらに,落葉後
葉の平均傾斜角度を
梢角度と第 3
の部分の解析
の樹体写真から読み取ったお7
れぞれ,
二
;
(
竺
;
竺2;σ2)
ノら法を用いて,樹冠における葉面傾斜角度分布の垂直ん
向の変化を推定した.
α
,その分散を σ
2としたとき,そ
2
,3
式であたえられる.
I
会記以外に,葉面傾斜角度分布に
A
(
2
)
ν
=
;:
2(竺主27d)(17
竺
)
(
3
)
及ぼす風の影響についても調査したが紙面の関係から本
稿では省略した.
なお,葉の傾斜角度を近似するための分布関数として,
これまでに幾つかの関数が提案されているが,最近
Wangら (
2
0
07)はこれらの近似関数を比較検討してい
H
o
r
i
e・
Udagawa (
1
9
7
1
) はベータ分布関数 (B(A,ν
)
)
る.望むべきは本研究中これらの検討結果を反映した解
から葉面傾斜角度の確ヰt密度分布関数 W(α)を求め (
4
式
)
,
)日
W(α)を用いて直達光の投射角度 (ho
Ij吸光
析を行うべきであったが,本研究ではこれまで最も多用
さらに,
されているベータ分布に限定して葉面傾斜角度分布を解
係数 Kdh
。を計算した (
5式)•
析したことを断っておきたい.
2
4
4
落葉果樹の葉面傾斜角度分布
=
バ
コ
了
(
ケY-l(
1ケ
)
ν
l
切)
K帆 =
山本・麻生・岡沢・正司・佐藤・小山・
井
, 1
9
7
4
)
.
o
sα+smα
c
o
t
h
c
o
s
(
β ゆs
)I
1
:
=1
0
0Ic
0
(α)cosα 伽
ここで, 1
0
0は太陽光線(平行光線)の水平面強度,
葉面傾斜角度,
fz2
空ω?(cosα+sin-1u
十
s
i
nαcotho
C
l-u2)05)dα
5
1
き,日向部葉面受光強度(Io
J は6式で言│算される(坪
凶
l
a空
十
ここで,
:
1
野・須田
βは葉面ノら位角度, hは太陽高度,
(
6
)
αは
ゆS
は太陽んー位角度である. ただし,んー位角度はいずれも南
中から東回りに測った角度である.
(
5
)
2
. 葉面を 1
枚の平板と見なすときの樹冠内葉面傾斜角度
α*はho
, u=cotαtanh
。であった.なお, 1
式お
よび 5
式の積分計算にはシンプソンの近似積分法を用い
分布の調査方法
1)樹冠内葉面傾斜角度分布に関する樹種別および品種
密度分布を略して葉面傾
た.以下,葉面傾斜角度の確ヰt
斜角度分布と記す.
別の特徴とベータ分布の適合度の調査
2
) ベータ分布の違いが太陽高度別 Kd曲線と直達光割合
1
9
8
3年に山形大学農学部付属農場(現やまがたフィー
ルド科学センター)に栽培された,いずれも 6
年生の落
に及ぼす影響の試算
葉面傾斜角度分布の違いによって,吸光係数 (
Kd)
樹種合計 2
8品種を 1
樹ず、つ用いた(第 2
表).第
葉果樹, 9
および直達光割合にどれだけの違 L、が発生するかについ
2
表の品種名(英名)のうち, '
R
a
l
lJanet¥'Jonathan'
て試算した.葉の平均傾斜角度 (α) とその分散 (
σつ
およひ、 '
R
o
c
k
p
o
r
tB
i
g
a
r
r
e
a
u
'の和名は,それぞれし?凶
が大きく異なるようにして 6
種の葉面傾斜角度分布を設
および?高砂?である.なお, ブドウ,ニホンナ
光¥?紅二日J
表).すなわち,分散が会定値 (
3
0
0皮 2
)で
定した(第 1
シおよびセイヨウナシは棚仕立て,その他の樹種は立本
葉の平均傾斜角度を 1
5皮
, 3
0皮
, 4
5皮
, 6
0皮および 7
5皮
,
仕立てで栽培されていたが,台本については既報(山本
および,葉の平均傾斜角度が 4
5皮で分散が 6
0
0皮 2とした.
9
9
0
) を参照されたい. 7
月:
1
旬から 8
月:
1
旬の聞に,
ら
, 1
このことにより,それぞれ,強い水平型0),水平型
以下のんー法で葉面傾斜角度分布を調査した.樹冠の中心
(II),中間型(III),直立型(IV),強い直立型 (V) お
部にポールを立て,樹冠 l
頁部より
よび均会型 (V
I)の葉面傾斜角度分布を作成した. 6
種
り,各高さにおける発育枝葉と短枝葉をできるだけ均等
になるようにして合計約 5
0枚の葉を選んだ .li
定の代表
のタイプのベータ分布から太陽高度別 Kd曲線を比較し
た (
5式).さらに,
会定間隔に高さを限切
この結果における Kdの違いおよびr
的な葉面
:
1の垂線(以下,法線)と天 l
頁のなす角度を読
/10=巴xp(-Kdx累積 LA1)の式を用いて,同会の太陽
取り,葉面傾斜角度とした.実際の葉面の向きはまちま
高度と同会の累積 LA1で,どれだけの直達光割合の違い
が発生するかについて試算した.
:
1に水を流したときに重力
に沿って最も水が流れやすい線を想像し,この想像 :
1の
3
) 日向部葉面受光強度の計算方法
線に,糸に鋪を付けた分度器(以下,錦糸付き分度器)
ちである.そこで,仮に葉面
葉の姿勢(傾きとノら角)と葉面の直達光受光強度の関
係は古くから知られ,直達光の水平面強度をω
Iとしたと
の底辺を垂直に~て,錦糸付き分度器の 90皮線と糸との
うと左角度を読 ~X り,葉面傾斜角度とした(第 1 凶)
T
a
b
l
e1 Th日 s
i
xt
y
p
e
so
fd
i
s
t
r
i
b
u
t
i
o
no
fl
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e(
L
1
A
)andt
h日 parameters
f
o
rt
h
eb
e
t
ad
i
s
t
r
i
b
u
t
i
o
n
D
i
s
t
r
i
b
u
t
i
o
nt
y
p
e
ofLIA
S
t
r
o
n
g
l
yh
o
r
i
z
o
n
t
a
l
H
o
r
i
z
o
n
t
a
l
I
n
t
e
n
n
e
d
i
a
t
e
V
e
r
t
i
c
a
l
S
t
r
o
n
g
l
yv
e
r
t
i
c
a
l
l
s
o
t
y
p
e
MeanofLIA V
a
r
i
a
n
c
eofLIA
(
d
e
g
r
∞)
1
5
30
45
60
75
45
P
a
r
a
m
e
t
e
r
s
(
d
e
g
r
e
e2)
λ
ν
300
300
300
300
300
600
0.
458
1
.
6
6
7
2
.
8
7
5
3
.
3
3
3
2
.
2
9
2
1
.
188
2
.
2
9
2
3
.
3
3
3
2
.
8
7
5
1
.667
0.
459
1
.
1
8
8
2
4
5
A
b
b
r
e
v
i
a
t
i
o
n
o
f
t
y
p
e
I
I
I
I
I
I
IV
V
V1
こ
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
5
2
T
a
b
l
e 2 Means and t
h
ev
a
r
i
a
n
c
e
so
fl
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e, p
a
r
a
m
e
t
e
r
sf
o
rt
h
eb
e
t
ad
i
s
t
r
i
b
u
t
i
o
n
s
(
,
l
.a
ndν) andr
e
s
u
l
t
so
ft
h日 c
h
is
qu
a
r
et
e
s
t
si
ns
巴v
e
r
a
ld
e
c
i
d
u
o
u
sf
r
u
i
tt
r
e
e
si
nAugust
Fr
u
i
ts
p
e
c
i
e
s
C
u
l
t
i
v
a
r
s
T
r
e
ef
o
r
m
s
Mean V
a
r
i
a
n
c
e
λ
ν
x2
C
h
is
q
u
a
r
e
v
a
l
u
e
t
e
s
t
*
*
X
*
*
*
*
(
d
e
g
r
e
e
)(
d
e
g
r
e
e
2)
Apple
SDZ
SD
SD
F
l
リi
F可i
F
u
j
i
Mutsu
恥1
u
t
s
u
Ra
lJ
a
n
e
t
RedS
p
a
r
J
o
n
a
t
h
a
n
Persimmon H
i
r
a
t
a
n
e
n
a
s
h
i
C
h
e
s
t
n
u
t
Tukuba
Tanzawa
I
b
u
k
i
Walnut
S
h
i
n
r
己1
Y
o
r
e
i
Banshun
P
e
a
c
h
Okubo
Kovohakuto
Hakuho
、
RB
C
h
e
r
r
v
7
J
a
p
a
n
e
s
e
p
e
a
r
P
e
a
r
Grape
Z
S
a
t
o
n
i
s
h
i
k
i
Napoleon
S
h
i
n
s
e
i
k
i
S
h
i
n
s
u
i
C
h
o
j
u
r
o
B
a
r
t
l
e
t
t
LaF
r
a
n
c
e
GCt
D
e
l
a
v
y
a
r
e
S
t
u
b
e
n
NeoMuscat
Dwarf'CL
'
Semid
w
a
r
f
.CL
Openc
e
n
t
e
r
Dwarf'CL
Semidwarf'CL
Openc
e
n
t
e
r
Dv
v
"
arf'CL
Semidwarf'CL
Openc
e
n
t
己I
Openc
e
n
t
e
r
Openc
e
n
t
e
r
2
6
.
3
6
2
5
.
0
5
25
2
5.
2
6
.
2
1
2
5
.
0
4
2
6
.
9
2
27.
42
22.
42
2
7
.
6
9
1
9
.
1
4
2
8
.
6
2
3
2
2
.
5
2
5
6
.
1
2
5
8
.
7
332.
4
4
0
5
.
0
3
7
5
.
6
391
.
3
2
2
5
.
8
2
8
9
.
2
1
7
9
.
9
3
7
5
.
0
1
.
2
3
2
1
.493
1
.494
1
.
17
5
0
.
8
4
4
1
.054
1
.032
1
.
424
1
.
530
1
.
39
1
1
.
1
7
3
2
.
9
7
4
3
.
8
6
5
3
.
8
3
4
2
.
8
5
9
2
.
1
8
3
2.
470
2
.
3
5
6
4
.
2
9
1
3.
442
5
.
1
5
1
2
.
5
1
6
0
.
1
6
9
0
.
0
4
6
0
.
0
5
7
0
.
0
6
4
0
.
1
8
1
0
.
0
5
1
0
.
1
3
6
0
.
0
2
8
0
.
1
1
1
0
.
0
1
3
0
.
1
2
2
MCL"
民1CL
MCL
九1CL
MCL
民1CL
MCL
Openc
e
n
t
e
r
Openc
e
n
t
己I
Openc
e
n
t
e
r
3
3
.
2
1
4
4
.
0
4
48
2
8.
3
4
.
3
7
3
6
.
8
3
4
5
.
9
9
3
6
.
3
8
42.
43
51
.
31
5
2
.
8
7
2
.4
37
.6
241
225.
4
366.
4
4
0
2
.
3
3
2
5
.
8
2
4
7
.
9
5
6
5
.
1
4
1
4
.
1
4
2
0
.
9
1
.
50
1
3
.
6
1
5
2
.
1
4
5
1
.612
1
.
584
2
.
6
6
8
2
.
7
7
9
1
.
21
4
2
.
1
6
8
157
2.
2
.
5
6
8
3
.
7
7
5
4
.
6
3
4
2
.
6
1
1
2
.
2
8
8
2
.
5
5
5
4
.
0
9
8
1
.
3
6
3
1
.636
1
.516
0
.
0
5
4
0
.
0
9
8
0
.
0
9
1
0
.
1
3
7
0
.
0
3
1
0
.
0
1
5
0
.
3
4
6
0
.
2
2
4
0
.
1
1
0
0
.
0
5
6
Openc
e
n
t
e
r
Openc
e
n
t
e
r
Openc
e
n
t
e
r
T
r
e
l
l
i
st
r
a
i
n
i
n
g
T
r
e
l
l
i
st
r
a
i
n
i
n
g
T
r
e
l
l
i
st
r
a
i
n
i
n
g
T
r
e
l
l
i
st
r
a
i
n
i
n
g
T
r
e
l
l
i
st
r
a
i
n
i
n
g
5
4
.
3
0
4
6
.
1
4
4
0
.
6
7
3
6
.
2
9
4
6
.
3
9
3
0
.
8
2
3
4
.
7
9
4
2
.
9
2
2
8
2
.
9
4
3
7
.
6
4
2
6
.
0
5
0
5
.
9
6
1
9
.
7
392.
4
5
7
4
.
1
5
5
4
.
7
3
.
5
3
8
1
.8
6
1
1
.678
1
.
152
1
.
1
6
9
1
.
2
5
1
0
.
9
0
8
1
.
2
6
2
2
.
3
3
0
1
.7
7
1
2
.
0
3
7
1
.706
1
.
10
1
2.
402
442
1.
1
.
38
6
0
.
5
8
4
0
.
1
0
4
0
.
0
9
5
0
.
0
5
8
0
.
0
0
2
0.
40
1
0
.
0
6
6
0.
20
8
T
r
e
l
l
i
st
r
a
i
n
i
n
g
T
r
e
l
l
i
st
r
a
i
n
i
n
g
T
r
e
l
l
i
st
r
a
i
n
i
n
g
T
r
e
l
l
i
st
r
a
i
n
i
n
g
4
5
.
5
9
42.
46
.86
41
4
2
.
3
2
4
5
5
.
6
3
5
0
.
1
2
5
2
.
5
3
3
2
.
3
1
.
747
2
.
2
5
1
3
.
2
5
1
2
.
3
8
8
1
.
70
4
2
.
5
2
2
3
.
7
4
1
2
.
6
9
2
0
.
2
2
8
1.
427
0
.
2
7
8
0
.
2
0
9
キキ
*
*
*
*
*
*
キキ
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
キキ
*
*
*
*
*
*
キキ
*
*
*
*
*
U
*
*
*
*
*
*
キ*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
キ*
S
t
a
r
k
i
n
gD
c
l
i
c
i
o
u
s
YC
e
n
t
r
a
l
l
e
a
d
e
r
.
X
S
i
g
n
i
f
i
c
a
n
ta
tt
h
e1
%l
e
v
e
l
、
、
九1
0
d
e
自己:
dc
己n
t
r
a
l
l
e
a
d
己r
、
R
o
c
k
p
o
r
tB
i
g
a
r
r
c
a
u
.
l
U
S
i
g
n
i
f
i
c
a
n
ta
tt
h
e5%l
e
v
e
t
G
r
a
n
dChampion
ここでは
集計し, 1
5皮階級幅による葉面傾斜角度の階級別頻度分
樹全体としての葉面傾斜角度分布の特徴を
省略する. 1
布表を作成し,葉面傾斜角度の平均値と分散値を算山し
明らかにするため,全ての高さの葉面傾斜角度データを
た.最終的 l
こ2
,3
式を用いてベータ分布のパラメータを
のほか,葉面ノら位角度についても調査したが,
2
4
6
落葉果樹の葉面傾斜角度分布
山本・麻生・岡沢・正司・佐藤・小山・
:
1
野・須田
5
3
算山し,葉面傾斜角度分布を近似推定した.ベータ分布
実測することが著しく凶難なため,これまでに調査され
の適合皮を調査するため,階級別頻度分布表を用いて
ていない.そこで,立体写真測量法を用いた湾曲情報の
x検定を行った.
入手応法およびこの湾曲情報を用いた樹冠内葉面傾斜角
2
) 同一葉層における葉面傾斜角度分布の季節的変化
度分布の調査法として, 2
種類の言│測んー法を考案した.
2
葉面傾斜角度分布の季節的変化を明らかにするため,
a
) 立体写真測量法を用いた葉の湾曲情報の入手
1
9
8
8
年に山形大学農学部付属農場(現やまがたフィール
典型的な湾曲葉を対象に葉柄を左にして水平に置き,
1年生の落葉
ド科学センター)に栽培された,いずれも 1
基準点セットとともに左右写真を撮影し(第 2
凶1:),立
果樹の 7
樹種合計 3
1品種および農学部実験果樹園に栽培
体写真測量を行うことで湾曲情報を入手した.立体写真
された 3
9年生カキ 1
品種と 1
2年生のオウトウ 3品種を 1
樹
測量用ソフトウエア(アジア航測株式会社, I
計測名人 J
)
ずつ用いた.各品種の辰葉開始時から落葉期まで,月 1
を用い,標定解析を行なった後,偏位修正画像を作成し,
回の間隔で,各樹冠における調査者の手が届く樹冠高に
8点の J次
ポイント・ストリング訂測により葉面の合計 9
1
品種約 2
5
0枚の葉を
凶中),データを保存した.このデー
元座標を訂測し(第 2
限定したほぼ同会葉屈を対象に
2
.1
)に記したノ句法で葉面傾斜角度を測
タを自作プログラムに入力し,隣接する点をつなぐこと
定し,引き続きベータ分布のパラメータを算山し,葉面
で葉面を 1
6
9個の J角形に分けたワイヤーフレーム凶を
傾斜角度分布を近似推定した.さらに,太陽高度別 Kd
凶下).以下,水平に置いた葉のワイヤー
作凶した(第 2
曲線を作成した.
フレーム凶を原ワイヤーフレーム凶と記す.
3
. 葉面湾曲の季節的変化および湾曲が葉面傾斜角度分
計算および湾曲程度の調査に用いた. さらに,
無作為に選び,
:
1
記データ
は別の自作フ。ログラムにより葉面上各 J角形の傾斜角度
1会記デー
タとワイヤーフレーム凶は以下に示す果樹園での湾曲葉
布に及ぼす影響
1)湾曲葉の葉面傾斜角度分布の計測方法
面傾斜角度分布のリモート計測に使用した.なお,湾曲
2
. までの実験は葉面を平板と見なしたときの葉面傾
程度を判定するとき,水平に置いたときの葉面上J角形
斜角度分布の調査であったが,程度の左こそあれ,葉面
灰分の傾斜角度平均値が 0
1こ近く,その分散値がより小
は湾曲しており,この湾曲を考慮した葉面傾斜角度分布
さいほど,湾曲程度が小さいと見なした.
を調査する必要がある. しかし,湾曲葉面の傾斜角度を
b
) ワイヤーフレーム回転図形の画像解析結果と葉群写
真の画像解析結果を用いた湾曲葉の葉面傾斜角度分布の
リモー卜計測方法:画像計算値当てはめ法
供試品種には山形大学農学部実験果樹園内に栽植され
.
M
i
d
r
i
b
たリンゴの?ふじ,
(
2
2年生 M26台)と?紅二日
2
4年生
ルパカイドウ台),セイヨウナシ?ラ・フランス, (
.
L
e
a
fb
l
a
d
e
ヤマナシ台),オウトウ?佐藤錦,
P
r
o
t
r
a
c
t
o
rw
i
t
h
(
5
6年生マ
(
1
4年生アオパザクラ
5
6年生カキ共台)と?次郎?
台)およびカキの?平核無, (
(
5
6年生カキ共台)を用いた.夏季に a
)に記した原ワイ
w
e
i
g
h
tt
h
r
e
a
d
ヤーフレーム凶を品種あたり 5個ほど入手したのち
5
組
8点空間座標を平均することで平均的な原ワイヤーフ
の9
レーム凶を作成した. この平均的な原ワイヤーフレーム
凶を自作フ。ログラムにより x軸
,
皮刻みの回転角度(t,
i
n
c
l
i
n
a
t
i
o
n
y軸
z軸それぞれ 1
0
θおよびゆ)を組み合わせて,
6,
6
5
6通りの回転処理を行い,回転角度の組み合わ
合計4
せ表と回転後のワイヤーフレーム凶を保存した(第 3
凶)•
a
n
g
l
e
なお,回転処理のための回転マトリクスと回転式は山本
(
19
8
3
) に準じた.ワイヤーフレーム凶自体は 2
値化画像
8
'i
g
.
1 Measurement o
fl
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
eu
s
i
n
g
ap
r
o
t
r
a
c
t
o
rwithweightt
h
r
e
a
d
なので,回転後のワイヤーフレーム凶を対象に,画像解
2
4
7
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
5
4
U仇 凶 此owaph
次に,この方法の有効性を検証するため, 2
0
0
3
年に室
町酌tpfm
加g四
iP
l
1
0本を水切り採取し,白色系パッ
内で対象品種の新梢約 1
脚
l
ll+
脚
内
.1
)
クとともに水平撮影し,着生葉の葉面傾斜角度を 2
で記した方法で実測してから,画像計算値当てはめ法を
Pl
1
0
k唱r
a
m
m
e
首y
or98
O
r
i
e
円匂r
t
i
o
n
p
o
i
町t
s
o
伺a
l
e
a
fS
U
f
a
G
e
用いて対象葉の平坦部葉面傾斜角度をリモー卜計測し,
実測値と リモー卜計測値を比較した.
c
) 葉姿勢の簡易計測と湾曲葉ワイヤーフレームの回転
を組み合わせた葉面傾斜角度分布の計測方法:ワイヤー
フレーム回転法
)の方法とは別に,果樹園で個々の葉の姿勢に関
上記 b
する比較的簡単な調査を行い, この調査結果を用いて原
ワイヤーフレームを回転することで湾曲葉の葉面傾斜角
度分布を計測する方法を考案し た.新梢上に 着生し た葉
の1
枚l
枚について,葉の上面が天空を向くか地面を向く
R
e
c
t
i
悼
s
か,さらに葉先が天空を向くか地面を向くかを記録した
うえで,中肋線に錘糸付き分度器を当てて中肋線の傾斜
‘
W
i
n
:
&
ar
r
暗
E
l
o
;
p
町t
i
t
啄
Ol
e
8
T
1
lm
角度を測定した(第5図上).次に.同じ 葉の葉柄側から
葉先方向を見たとき葉面が右上がりか左上がりかを記録
したうえで,中肋線に対する垂線に錘糸付き分度器を当
Pi
g
.
2 The s
t
e
pi
nt
h
e measurement o
fn
o
n
f
l
a
t
l
e
a
v
e
sby t
h
estereo-photogrammetry.
てて,その傾斜角度を測定した(第 5
図上).中肋線およ
析ソフト(デジモ, Image HyperI
I
) を用いて物体の
糸付き分度器を用いたとはいえ,
び中肋線に対する垂線は容易に判断できるので,同じ錘
2
.1
)に記した葉面傾
2項目(円形度係数,形状係数1,形状係
形状に関する 1
斜角度の測定よりはるかに容易であった.上記の葉姿勢
数2
,形状係数3
,形状係数 4
,周囲長面積比,楕円角度,
の調査結果をもとに,以下の方法で原ワイヤーフレーム
楕円短軸長軸比,フェレ径角度, フェレ径面積率,最大
の回転角度を求めた.すなわち,葉の上面の向き,葉先
径角度,および短径長径比)の画像計算を行った(第 3
の向きおよび葉面が右上がりか左上がりかの区別と 2
種
図).なお,この膨大な数の画像計算を手動で行うこと
類の傾斜角度から, 0
3
6
0度の範囲内で x軸に対する回
Iの自動計算機能を用い
は困難なため, Image HyperI
転角度 (f) および y軸に対する回転角度 (θ) を計算
た.次に, 果樹園における対象葉群を白色系のパックを
した(第5
図中).立体写真の平面が x y平面であるので,
用いて撮影し,種々の画像処理を経てから,最終的に対
x軸を中心に xが大なる方向を見ながらどだけ回転し,
象葉群の 2
値化 画 像 を 作 成 し (第4
図),上記と同じ 1
2項
次に, y軸を中心 l
こy が大なる方向を見ながら θだけを
目の画像計算を行った.自作プログラムは対象葉の 1
2項
反時計針方向に回転した(第 5図下).なお
z軸回転角
6,
6
5
6個のワイヤーフレーム図の各 1
2
目画像計算結果と 4
度は葉面方位角度に関連するが,葉面傾斜角度には無関
項目画像計算結果とを照合し,形状に関する数値が最も
係である.次に,ワイヤーフレーム図の回転後データを
近いワイヤーフレーム図を検出した(第 3
図).検出され
.1
)b
)と同様に, 1
6
9個の 三角形の傾斜角度
用いて, 3
た3軸回転角 度(ど : θ *および φつを用いて,再度
,
を計算し,保存した.また,湾曲葉の平坦部に限定した
6
9個の三
原ワイヤーフレーム図を回転するとともに, 1
部分の傾斜角度を平均し,平坦部平均傾斜角度とした.
6
9個の
角形の傾斜角度を計算し,保存した.最終的に 1
以下, この計測法を「ワイヤーフレーム回転法」と記す.
三角形傾斜角度の平均値と分散値を計算 した.また,湾
2
) 湾曲程度の季節的変化の調査
0個の三角形の傾
曲葉中心部(平坦部)に限定した合計 2
上記 c) の実験に用いたワイヤーフレーム図を入手す
るに当って,湾曲の程度が季節によって変化することが
斜角度平均値とその分散値も計算した.以下,このリモー
ト計測法を 「画像計算値当てはめ法」と記す.
予想されたので, 2
0
0
5
年6
月から 1
0月の聞の 5
期に分けて,
2
4
8
落葉果樹の葉面傾斜角度分布一山本 ・麻生 ・西沢 ・庄司 ・佐藤 ・小山 ・上野 ・須田
,
・
φ
a
出 e
個出
shd
d
P-
仰創と
m
削抽
vaE,
-1GI ,
mm
g
¥
e
s(
と,
0andφ
)
{
c
o
m
b
i
n
a
t
i
o
no
fr
o
t
a
t
i
o
na
n
蜘
m
d
2@
札
1
・
悶
o
d J 川副
肘∞
邸側凶
刊・
o
f
an
o
n
伺a
tl
e
a
fb
y4
6,
6
5
6r
o
凶t
i
o
n
s
M
li
h
w
Manywi
陪
f
r
a
med
i
a
g
r
a
m
s(
b
i
n
a
r
yi
m
a
g
e
s
)
5
5
o
f1
0d
e
g
r
e
e抱 pa
r
o
u
n
d倒 的 x,ya
n
dzs
h
a
f
t
)
.
.
.
"
6
"
‘
・
・
,
、、、、‘・・~--
/
11
¥
¥¥¥¥¥¥
ー.
.oo
"
"
,
“
、
、
“
・
.
.
.
"
"
,
.
・
・
‘
、、、、‘・・~-..oo
ー
ー
--/
//
1
1
1
1
¥
¥¥、、、--;//
1
1
1
¥
¥
¥¥¥¥
、
'〆."/ 1
1
1
1
"
迂
m
y
C
a
l
c
u
l
a
t
i
o
n
so
f
B
i
n
a
r
yi
m
a
g
eo
fo
l
:
UectI
回 I
v
e
s
日
E
x
p
o
r
t刊e
so
f
e
v
a
l
u
e
s
1
2s
h
a
p
F
i
g
.
3 A methodt
od
e
t
e
c
tl
e
a
fr
o
t
a
t
i
o
nanglesusings
e
v
e
r
a
lshape-values o
fl
e
a
fby imagea
n
a
l
y
s
i
s
.
Photographing
Conversiont
obi
nar
yimage
O
r
i
g
i
n
a
limage
Whiteback
.
戸¥+
「
‘
F
ら
+
圃
‘
~ー
C
a
l
c
u
l
a
t
ionof1
2shape-values
h
Removalo
fmiorop
a
r
t
i
c
l
e
s
Handco
r
r
e
o
t
i
o.
nofbinaryimage
o
feachi
sol
a
t
e
dl
e
a
f
4Photographingofleavesi
nf
i
e
l
d ands
e
v
e
r
a
ls
t
e
p
si
nt
h
eimageprocessingand a
n
a
l
y
s
i
s
. ROI
Fig.
i
n
d
i
c
a
t
e
s range o
fi
n
t
e
r
e
s
t
.
2
4
9
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
5
6
I
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
eo
f
p
e
r
p
e
n
d
i
c
u
l
a
rl
i
n
e
(PUt
om
i
d
r
i
b(δ)
I
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e
o
fm
i
d
l
i
b(ε)
H
a
n
d
l
i
n
go
fap
r
o
t
r
a
c
t
o
rw
i
t
hw
e
i
g
h
tt
h
r
e
a
d
A凶 a
l
f
a
c
e畑 町
6ヲ
Leaft
i
ptumst
og
r
o
u
n
d
ADFt
u
r
n
st
osky
8=36か
E
L
e
a
ft
i
ptumstog
r
o
u
n
d L
e
a
ft
i
ptumst
os
k
y
.
osky
ABFt
u
r
n
st
osky
ABFtumst
L
e
a
ft
i
ptumst
osky
ADFtumstos
k
y
。
R
o
t
a
t
i
o
na
n
g
l
e(θ) a
r
o
u
n
dys
h
a
f
t
=180+e
B=180-e
B=e
P
e
r
p
e
n
d
i
c
u
l
a
rI
l
i
n
etom
i
d
r
i
b(
P
L
)
PLshows胎
f
t
.r
i
s
e
r
ADFt
u
r
n
stos
.
ky
l
1
tr
i
s
e
r
PLshowsr
i
g
ABFt
u
r
n
stosky
と=360ー δ
PLshowsl
e
f
tr
i
s
e
r
ABFtumst
osky
PLshowsr
i
g
h
t巾 e
r
ADFtumst
os
k
y
R
o
t
a
t
i
o
na
n
g
l
e(と)a
r
o
u
n
dxs
h
a
f
t
と= 1 8 0 + δ ξ =180-δ
Two r
o
t
a
t
i
o円S o
fa
骨amed
i
a
g
r
a
m
w
i
r
e
a
r
o
u
n
dxand
ys
h
s
'
仕s
と=
δ
x
F
i
g
.
5Thes
c
h
e
m
ao
fe
a
s
ymeasuremento
fl
e
a
fa
t
t
i
t
u
d
et
od
e
t
e
c
tr
o
t
a
t
i
o
n
a
n
g
l
e
sa
r
o
u
n
dxa
n
dys
h
a
f
t
si
nt
h
ew
i
r
e
f
r
a
m
er
o
t
a
t
i
o
nm
e
t
h
o
d
.
2
5
0
落葉果樹の葉面傾斜角度分布
山本・麻生・岡沢・正司・佐藤・小山・
:
1
野・須田
5
7
l品種 l期につき 8
枚の典型的な湾曲葉の左右写真を撮
値と分散値の重回帰分析を行った.すなわち,新梢角度
影し,立体写真測量を行った.供試材料として山形大学
乗までのべき値を説明変数とした葉面傾斜角度の平
の6
1
6年生ア
農学部実験果樹園栽植のオウトウの?佐藤錦, (
均値の重回帰分析を行なった.さらに,新梢角度の 3
乗
1
6年生アオパザクラ台),
オパザクラ台)と?ナポレオン, (
までのべき値,葉面傾斜角度の平均値の 3
乗までのべき
セイヨウナシの?ラ・フランス,
(
2
5年生ヤマナシ台)と
1
6年生ヤマナシ台),
ソレ・レクチピ (
値および交互作用項(新梢角度×葉面傾斜角度の平均値)
(
5
を説明変数とした葉面傾斜角度の分散値の重回帰分析を
8
年生マルパカイドウ台)と?ふじ, (
2
4
年 生M
26台)およ
5
8
年生カキ共台)を用いたの、ずれも 2
びカキ?平核無, (
.2の
行なった. な お , 重 回 帰 分 析 に は SAS Ver 9
005 年~時) .
式と自作のプログラムにより,新梢角度の全範囲におけ
リンコ、の?紅二日~'
STEPWISE法を用いた.さらに,得られた重回帰推定
る葉面傾斜角度分布(ベータ分布凶)を推定した.
4
. 葉面傾斜角度分布の樹冠内変動
3
) 樹冠内高さ別の新梢角度を用いた葉面傾斜角度分布
1)樹冠内高さ別の葉面傾斜角度分布の調査
の解析
2
. 1)に記した実験結果 (7 月上旬 ~8 月上旬)を用い
供試材料として,山形大学農学部実験果樹園栽植のオ
て,樹冠内高さ別に集計し,樹冠内高さ別の葉面傾斜角
ウトウ?ナポレオン, (
1
8年生アオパザクラ台), リンゴ
度分布を調査した.また,高さ別の葉面傾斜角度分布か
?紅二日~'
ら,樹冠内高さ別の直達光吸光係数 (
K
d
)を計算し,比較
した.
(
2
7年生ヤマナシ台)と?ル・レクチピ (18年
6
0年生カキ共台)
生ヤマナシ台)およびカキ?平核無, (
2
) 新梢の傾きと葉面傾斜角度分布の関連性の調査
に加え,やまがたフィールド科学センター果樹園栽植の
(
6
0年生マルパカイドウ台),セイヨウナシの?ラ・
フランス,
主幹形?ふじ,
供試材料には山形大学農学部実験果樹園栽植のオウト
(
3
0年生 M26台)および関心形?ふじ, (
3
0年
2
0
0
7年 1月の冬季(落
ウの?佐藤錦, (
1
6年生アオパザクラ台)と?ナポレオン?
生マルパカイドウ台)を用いた.
(
1
6年生アオパザクラ台),セイヨウナシの?ラ・フラン
葉後)に各高さから樹冠を真横撮影し,その写真画像を
(
2
5年生ヤマナシ台)と?ル・レクチピ (16年生ヤマ
画像解析システム(デジモ, ImageH
yper2) を用いて
ナシ台),
リンゴの?紅二日~' (
5
8年生マルパカイドウ台)と
(
2
4
年 生M
26台)およびカキ?平核無, (
5
8年生カキ
取り込んだ.パソコン画面上で,カメラレンズ面にほぼ
?ふじ
平行に写っているものと判断できた新梢に限定して,分
ス
,
共台)を用いたの、ずれも 2005年~時).
5
期にわたり新
度器を~てて主Ir梢角度を読み以り,
-90皮から十 9
0皮ま
8本のお7
梢を選び,錦糸付き分度器
梢の傾きが異なった 1
でを 3
皮刻みで 6
0の階級に分け,各階級の発育校と短校
の底辺をお7梢に~て,鋪の付いた糸と分度器の 90 皮線と
t
定,発育校
の本数を読み取った. このとき,短校には 6
のなす角を読み取った(第 6
凶).新梢の傾きは枝先が天
には 1
8
t
定が着生するとみなして各階級の着生葉数を言│算
空を向くときは十,地面を向くときは
0皮
を付けて十 9
9
0皮の範囲の角度として記録した.以下,新梢の
した.次に,全J角形灰分および平坦部の葉面傾斜角度
から
平均とその分散の各重回帰推定式を用いて,高さ別の葉
梢角度と記す.さらに,そのお7
梢 1
:1こ着生した
傾きをお7
面傾斜角度分布を推定した.なお,高さ別の集計に~た
すべての葉について, 3
. 1
) のc
) に記したノら法で,着
り,以下の計算式を用いた.すなわち,各群(i=1, 2
…)
生葉の姿勢に関する調査を行い,この調査結果とワイヤー
の葉の傾斜角度に関する平均値 (X
,
l X2…),分散 (V
フレーム回転法により,各期の湾曲葉の葉面傾斜角度を
,
1 V
2
.
.
.
),葉数 (N
,
l N2"') が与えられているとき,
言│測した.各期 5枚から 8枚の葉の原ワイヤーフレーム
各群の葉面傾斜角度の偏差平庄和は Si=ViNiの式で計算
:
1で,自作プログラムにより,新梢着生葉
9
6
4
) より,
できる.また,数群和の分散の公式(石川, 1
凶を準備した
ごと乱数を発生して原ワイヤーフレーム凶を選んで用い
これらの合同群の葉面傾斜角度の平均 X,偏差平ノら和 S
るようにした.
および分散 Vは,それぞれ,次式で言│算できる.
新梢角度とその
:
1の着生葉の葉面傾斜角度分布との関
係を明らかにするため,各月,新梢ごと,全J角形灰分
および平坦部の傾斜角度の平均値と分散値を言│算した.
X=2
:NiXi/2
:Ni
(
7
)
S=2
:S
i十2:Ni (
X
i-X)2
(
8
)
V=S /2:Ni
(
9
)
ここで,各群とはお7
梢角度の各階級データ, i
=
,
l 2
.
.
.は
この結果から.新梢角度などによる葉面傾斜角度の平均
2
5
1
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
5
8
を第 2
表に記した.ベータ分布に適合すると判断して誤
まる確ヰミはブドウ?デラウエア?とオウトウ?高砂?を│徐く
8
i
e
n
n
i
a
l
branch
他の 3
1品種では 1%以下であった.従って,果樹の葉面
傾斜角度分布はベータ分布に良く近似できたものと判断
される.
調査に用いた 2
8品種について,ベータ分布に近似した
ときの葉面傾斜角度分布を第 1
0, 1
1凶に示した
P
o
s
i
t
i
v
ea
n
g
l
e
斜角度分布形を簡潔に形容するため,
F
i
g
.
6 Measuringo
fs
h
o
o
ta
n
g
l
eu
s
i
n
ga
p
r
o
t
r
a
c
t
o
rw
i
t
hweightt
h
r
e
a
d
平型,
~)]t 、水平型,中間型,均会型,
i
主面傾
6タイプ(強い水
~)]t 、直立型および
強い直立型)を参考にしたとき(第 7
凶左), 2
8品種の葉
面傾斜角度分布は以下のように分類された.強い水平型
9
0皮から 9
0皮までの階級化番号,および,合同群の葉と
には?凶光?を除くリンコ、全品種,ニホンナシの?長十郎?お
よびセイヨウナシの?パートレット?が含まれた.弱い水
は各高さの葉群を意味する.
世紀¥カキ?平核無¥
平型には?凶)¥';¥ニホンナシの羽7
クリの?丹沢?と '
{
j
f吹¥クルミの?信鈴?と?晩春?およびオウ
市
古
果
トウ?ナポレオン?が含まれた.中間型にはクリ?筑波¥ク
1.植被内放射分布における葉面傾斜角度分布の重要性
ルミ?要鈴¥オウトウ?佐藤錦¥セイヨウナシ?グランド・
1)異なるベータ分布に対応した太陽高度別 Kd曲線の違
チャンピオン?およびブドウの 3
品種が含まれた.直立型
にはオウトウ?高砂¥モモの?高陽 '
l1
t
J
'
tおよび '
1
'
1鳳?が
いとその意義
6種類のベータ分布(第 7凶左)の太陽高度目!JKd曲線
含まれた.均会型にはモモ?大久保¥ニホンナシ?新水?
を比較したとき同会の太陽高度における Kd
値には会見
およびセイヨウナシ?ラ・フランス?が含まれた.強い直
凶布). しかし,直達光の
大きな違いは見られない(第 7
立型に該~する品種は無かった.ただし,
この結果は 8
減京割合の言│算式である1'/Io=
巴x
p(-Kd・LAI)の式 l
,
こ
月に限定されていたことをことわっておく.
LAIの会定値と太陽高度目!JKd値を代入して,直達光の
2
) 葉面傾斜角度分布の季節的変化と直達光の吸光係数
減衰割合の違いを比較したとき, 1
'/I
。値は KdとLAIの
における葉面傾斜角度の経
全 供 試 品 種 の 樹 冠 内 同 行E
積のべき乗式で表現されるため,無視できない大きな違
時的計測結果を用いて,ベータ分布と太陽高度目!JKd
値
凶),葉面傾斜角度分布の違いが直達
いが算山され(第 8
2凶).
を計算し,これらの季節的変化を比較した(第 1
光割合を大きく左右することが認められた.
および ν
なお,このうち葉面傾斜角度分布の平均値, A
2
) 葉面傾斜角度の違いが葉面直達光強度に及ぼす影響
6式).
葉面傾斜角度は葉面直達光強度と密接である (
の数値については OLEAS関連パラメータに関する研究
論文に記載したので(山本ら,
1
9
9
0
),本報では,各樹
周知のように,太陽光線が葉面に垂直に~たるほど葉面
品種に限定したうえで,既報には掲載しなかったベー
種1
直達光強度が大きい(第 9
凶).時刻(太陽々位)とも関
タ分布形や太陽高度目!JKd曲線のみを示し,季節的変化
係するが,日本では太陽高度はさほど高くならないため,
の特徴を記した.個々の樹の季節的変化には例外的要素
葉面がある程度傾いたんの主葉面直達光強度が大きくなる
や誤差的要素が見られたが,樹種別に比較したところ,
場合が多い(第 9
凶).
以下のような傾向が見られた.すなわち,
リンゴでは,
5月と夏季 (
7月と 8月)に葉面傾斜角度は大きくなった
2
. 葉面を 1
枚の平板と見なしたときの葉面傾斜角度分布
2凶).クルミ
が,総じて季節的変化は小さかった(第 1
1)数種落葉果樹の樹冠内葉面傾斜角度分布の特徴とベー
では総じて夏季に向かつて葉面傾斜角度は大きくなり,
タ分布の適合度
9月以降小さくなり,モモでは 6月頃に葉面傾斜角度は大
きくなり,オウトウでは 8
月頃に葉面傾斜角度は大きく
各果樹の葉面傾斜角度分布(平均値と分散値),ベー
5皮階級幅で測定
タ分布のパラメータ0.と ν) および 1
2凶).ニホンナシでは 6
月頃に葉面傾斜角度
なった(第 1
x検定結果
2凶).セイヨウナシ?ラ・フラン
は大きくなった(第 1
した階級別頻度分布表によるベータ分布の
2
2
5
2
落葉果樹の葉面傾斜角度分布
:
1
野・須田
山本・麻生・岡沢・正司・佐藤・小山・
1
0
5
9
1
6
Types
←I
←1
8
→
ー1
1
1
4ト I
V
「企ー V
「トV
I
7
6
﹀
ω可 読)(oa hH一帥EO刀ht=a帽aOLa
(FOO﹄切
nunuaoa--n4
aaT
,
。 SHOE
宅 官 官ωoEBozozoEHH凶
35E‘
g
9
1
1
1
4ー
コI
V
.
V
ーヶV
I
一
5
Types
←I
←1
4
3
2
。
。
3
0
6
0
。
。
9
0
Leafi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
nangle(degree)
3
0
6
0
9
0
Solara
l
t
i
t
u
d
e(degree)
F
i
g
.
7P
r
o
b
a
b
i
l
i
t
yd
e
n
s
it
i
e
so
fl
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e and e
x
t
i
n
c
t
i
o
nc
o
e
f
f
i
c
i
e
n
t
so
fd
i
r
e
c
t beam
i
nt
h
es
i
xt
y
p
e
so
fb
e
t
ad
i
s
t
r
i
b
u
t
i
o
n
s shown i
n Table 1
H
o
u
r
e
ψs
5
90
PPFDinc
165
h
0
.
7
0
.
7
0
.
8
・
ーI
0
.
5
1
0
4
5
30
1
4
0
5
1
1
1
2
55
65
1
5
1
8
0
2
0
1
9
4
0
-0ー α=0.β=10
一口一
α=40,
i
3=10
寸金一
α=80,
β=10
x
.
ー α=
40.i
3=40
4
0田
ー
。
ー1
E
2
0
5
g
35
4
5
1
0
1
1
5000
Types
0
.
6
ー
LAI=2
5 0悶
iz
e列
0
.
8
F55m
L
A
I
=
l
l17a
0
.
8
← α=80.β=40
切
ーート 1
1
1
l
e30凹
百
ぢ
E
0
.
4
司
、
.
.
.
.2
0
0
0
。
ぞ0.3
i
0
.
3
1
0
0
0
0
.
2
0
.
2
0
.
1
0
.
1
o
e
30
60
9
0
9
1
2
H
o
u
r
30
60
9
0
S
o
l
a
ra
l
t
i
t
u
d
e(
d
e
g
r
e
e
)
F
i
g
.
8 R
e
l
a
t
i
v
ei
n
t
e
n
s
i
t
yo
fd
i
r
e
c
tbeam(
IソI
o
)o
f
S日v
e
r
a
ls
o
l
a
ra
l
t
i
t
u
d
ea
t LAI=l (
le
f
t
) and
i
xt
y
p
e
so
fb
e
t
ad
i
s
LAI=2(
r
i
g
h
t
)i
nt
h日 s
t
r
i
b
u
t
i
o
no
fl
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e
.
F
i
g
.
9F
i
v
e examples o
fp
h
o
t
o
s
y
n
t
h
e
t
i
c photon f
l
u
x
d
e
n
s
i
t
y (PPFD) on s
u
n
l
i
tl
e
a
fs
u
r
f
a
c
eo
fd
i
r
e
c
t
beam, which a
r
ea
f
f
e
c
t
e
d by combinations o
f
s
o
l
a
ra
l
t
i
t
u
d
e(
h
),s
o
l
a
rd
i
r
e
c
t
i
o
na
n
g
l
e(
ゆs
),i
n
c
i
d
e
n
tPPFDonh
o
r
i
z
o
n
t
a
lp
l
a
n
e(PPFDinc),l
e
a
f
i
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e (α) and l
e
a
fd
i
r
e
c
t
i
o
na
n
g
l
e
h
(β),whereβand swere measured from sout
t
oe
a
s
t
.
o
2
5
3
第 4号
山形大学紀要(農学)第 1
5号
6
0
ス?の葉面傾斜角度分布の季節的変化は僅かであったが,
(
第1
3凶左).
銭り 2品種の葉面傾斜角度は 5月に小さく, 6月にかなり
2
) 湾曲程度の季節的変化
大きくなった(第 1
2凶).ブドウは 9
樹種の中で葉面傾斜
1例として?ナポレオン?の各月のワイヤーフレーム凶
角度の季節的変化が最も大きく現れた(第 1
2凶). 3
品種
4凶に示した.また,供i
式全品種の湾曲葉面傾斜角
を第 1
月から 6
月にかけて小さくなり, 7
,
とも葉面傾斜角度は 5
表に示した. こ
度の平均値と分散値の季節的変化を第 3
8月と徐々に大きくなったが, 9月に再び小さくなった
の場合の平均値とはすべての J角形灰分の傾斜角度を平
:
1記の葉面傾斜角度分布の季節的変化に対応
均した値であり,葉を水平面に置いたときに平均してど
(
第1
2凶).
値の季節的変化が現れたが(第 1
2凶
)
,
した太陽高度目!JKd
のくらい傾いているかを示す.
総じてその変化は小さかった.
会ノ白,分散値とは J角形
灰分の傾斜角度にどれだけのばらつきがあるかを示す.
両者の数値が大きいほと、葉の湾曲程度が大きいことを意
3
. 葉面の湾曲の特徴と湾曲葉面の傾斜角度分布
味する.
、
?ナポレオン?では辰葉問もな L5月と高温・乾燥による
1
) 湾曲葉面の傾斜角度分布計測方法の検討結果
,8
月で,湾曲程度が大きくなっ
水ストレスが発達する 7
6品種(室内実験)の画像言│算値判てはめ法によるリ
モート訂測値と錦糸付き分度器による葉面傾斜角度の実
た(第 3表)•
会ノら,梅雨時の 6月と夏季の水ストレスが
測 値 を 比 較 し , そ の 行E
を第 1
3凶に示した(他の品種に
月には湾曲程度が再び小さ
軽減し,葉生長が衰退した 9
ついては省略).なお, ~角形灰分ごとの傾斜角度の実
くなった佐藤錦¥?紅二日Jおよび?ラ・フランス?でもほ
測は不司能のため,葉単位として行った.葉面傾斜角度
ぼ同禄の傾向が見られた.晩生品種の?ふじ?では 6, 7
の実測値に対してリモート訂測による平坦部葉面傾斜角
月に湾曲程度が小さかったル・レクチェ?は 7
月に湾曲
度の平均値はほぼ 1:1
線付近に分布する傾向がみられた
程度が最も大きかった平核無?は6
,7
月に湾曲程度が
が
, 1
:1
線から不離するものも多かった(第 1
3凶布)•
減少したが,他の品種に比べて全体的に湾曲程度が大き
全 J角形灰分の平均値についても同禄な傾向が見られた
かった.
ー
・-SD
0
-F
L
U
i
PD
ー
・
←
-Red$psr
5r
町
ー
・-Koyohaku七0
PD
c
ト-Jonathan
432
。
官出
-h
(FO
FL
t
ii
回ω官 民)htmEω 官、月七一WL
a
刷
一一-RedSpar
自
Jonathan
--Ra
l
IJanet
•
H
i
r
a
t
a
n
a
n
a
s
h
i
K
d
。
ー
合
一-Mutsu
SD
・
ロ
--..-R
a
l
lJanet
Kd
一
・
』
ー Napoleon
ー
一
。
-RB
PD
。
Hakuh
。
ー--O--Okub
Kovohakut
Kd
ー
・-Sinsui
PD 0
-S
h
i
n
s
e
i
k
i
一
一
・
ト-Chojuro
S
a
t
o
n
i
s
h
i
k
i
Napoleon
S
i
n
s
u
i
RB
K
d
ーー一-Satonishiki
。
Okub
一
一
一
一-Chojurc
ー
一
一
一-Hakuho
Japanese
pear
Cherry
.
H
i
r
a
t
a
n
e
n
a
s
h
i
Peach
Persimmon
S
h
i
n
s
e
i
k
i
. . . Mutsu
Apple
一
。
﹄
悶
La
。
。
0
1
5 3
0 45 60 7
5 9
0
o 15
3
0 45 60 7
5 90
o
o
1
5 30 45 6
0 7
5 90
Inclination amde or80laraltitude(dellree)
F
i
g
.
1
0P
r
o
b
a
b
i
l
i
t
yd
e
n
s
i
t
i
e
so
fl
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
eande
x
t
i
n
c
t
i
o
nc
o
e
f
f
i
c
i
e
n
t
so
fd
i
r
e
c
tbeami
na
p
p
l
e,
p
e
a
c
h,persimmon,c
h
e
r
r
yandJ
a
p
a
n
e
s
ep
e
ar
. RB i
n
d
i
c
a
t
e
s'
R
o
c
k
p
o
r
tB
i
g
a
r
r
e
a
u
'
.
2
5
4
一
一
・S
h
i
n
r
s
i
P
D<
>
-B
a
n
s
y
u
n
一
ー
"
叩Y
o
r
e
i
S
h
i
n
r
e
i
Kd
B
a
n
s
y
u
n
Pear
Grape
32
z--
0
ω 一﹄回。官民)hH-ωEe官、
司出﹄。(戸1
Chestnut
Walnut
6
1
一
‘
←S
t
u
b
e
n
<
>
一
一O
e
l
a
w
a
r
e
P
D一
一個トN
e
oM
u
s
c
a
t
S
t
u
b
e
n
Kd
O
e
l
a
w
a
r
e
一
一
一N
e
oM
u
s
c
a
t
一
一
.
一
一G
C
枕
P
D
<
>
-B
a
r
t
l
e
ー
・
一
一L
aF
r
a
n
c
e
G
C
Kd
吋e
悦
B
a
ー
ー
一
一
L
aF
r
a
n
c
e
一
一+
I
b
u
k
i
P
Dー+ー T
a
n
z
a
w
a
・
司-Tukuba
I
b
u
k
i
Kd
T
a
n
z
a
w
a
一
一
一
ー
同T
u
k
u
b
a
一
一
一Y
o
r
e
i
:
1
野・須田
山本・麻生・岡沢・正司・佐藤・小山・
落葉果樹の葉面傾斜角度分布
L
a
一﹄個﹄。
。
。15
。
、
:
x
.
.
圃 ー
3
0 4
5 60 75 90
o
1
5 30 45 60 75 90
o
0 15 30 45 60 75 90
1
5
30 45 60 75
90
I
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
eo
r回 l
a
ra
l
t
i
t
u
d
e(
d
e
g
r
e
e
)
F
i
g
.
l
lP
r
o
b
a
b
i
l
i
t
yd
e
n
s
i
t
i
e
so
fl
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e and e
x
t
i
n
c
t
i
o
nc
o
e
f
f
i
c
i
e
n
t
so
fd
i
r
e
c
t beam i
n
walnut,c
h
e
s
t
n
u
t,p
e
a
r,and g
r
a
p
e
.
官 出 ﹄ 。 (-o@﹄国ω百草}、戸川甲一ωze司 、
3
0
6
0
30
9
0
9
0
60
30
6
0
90
B
a
r
t
l
e
t
t(
T
T
)
3
0
一
+
-M
A
Y
n
u
z
-﹄伺﹄O﹄且
• J
U
L
Y
企
1
M
A
Y
・
・
r
ー
一
一
一J
U
L
Y
1
ゆ占
o
o
'
&
o~
30
60
90
3
0
8
E
P
T
6
0
9
0
30
L
e
a
干i
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
eo
r8
0
l
a
ra
l
t
i
t
u
d
e(
d
e
唖r
e
e
)
60
9
0
ー
--8EPT
6
0
90
一
一
。
一
一J
U
N
E
ロ
企
A
U
G
PD
O
C
T
J
U
N
E
ー
.
..
A
U
G
Kd
O
C
T
F
i
g
.
1
2S
e
a
s
o
n
a
l changes o
fp
r
o
b
a
b
i
l
i
t
yd
e
n
s
i
t
i
e
so
fl
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e and e
x
t
i
n
c
t
i
o
nc
o
e
f
f
i
c
i
e
n
t
s
巴v
e
r
a
ld
e
c
i
d
u
o
u
sf
r
u
i
tt
r
e
e
s
.A
b
b
r
e
v
i
a
t
i
o
n
so
ft
r
e
eshape r
e
f
e
rt
oT
a
b
l
e2
.
o
fd
i
r
e
c
t beami
ns
2
5
5
山形大学紀要(農学)第 1
5号
6
2
F
u
j
i
F
u
j
i
90
-弘山 :
j
z
60
30
第 4号
90
60
c
30
3
:!
D
90
60
LaFrance
90
2E
03
3E
60
?也
m
.
!
30
3刀
60
30
90
L
aFrance
90
60
30
型。
30
60
・
..
-.~・"・
・
-.
.
.
沿-ー
.
・
ー
、
.
.
1
.
.
9
0
6
0
30
n
u
-
HaA
3
0
・
dF
3
0
dF
a
6
0
。
。
-配 E
9
0
gh
s
m/
e
n
30
H-一-
••
••
•
関宮・
。
。
福E
9
0
S
a
t
o
n
i
s
h
i
k
i b£
‘E
,ち
・
ゴ、.
・
〆
・
・
@百c
eco一#価五一oz一ceoE
(OE凶曲者)EE凶何一唱。E E﹄ω﹄一言句 E一ωcoω
一 一﹀一万
﹄畑一コ切戸﹄畑一﹄#=伺恥O
玉3
30
.
.
!
!
3
:
30
6
0
9
0
S
a
t
o
n
i
s
h
i
k
i
、
~イ・-・
・
.
.〆-.
.
.
.
.
.
.
・.
..
90
.・.・
.
・
•
60
.
.
.
r一..
営側
c
uc
: 30
・
.
•
。
E.
g
- 。
。
-
~
E七
百 a 90
C:+'
-ー偲
c早
田
園
@
豆
6
0
偲
3
0
30
90
6
0
60
90
Measuredmeani
n
c
l
i
n
a
t
i
o
n
a
n
g
l
eofl
e
a
f(degree)
Measuredmeani
n
c
l
i
n
a
t
i
o
n
a
n
g
l
eofl
e
a
f(degree)
F
i
g
.
1
3R
e
l
a
t
i
o
n
s betweent
h
emeasured l
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e
s and e
s
t
i
m
a
t
e
do
n
e
s by t
h
e
c
o
m
p
a
r
a
t
i
v
e method o
fl
e
a
f
s
h
a
p
ev
a
l
u
e
so
fl
e
a
fw
i
r
e
f
r
a
m
e
si
ns
巴v
e
r
a
ld
e
c
i
d
u
o
u
s
f
r
u
i
tt
r
e
e
s
. Thel
i
n
e
si
n
d
i
c
a
t
e1
:1l
i
n
e
s
層や下層では中間型であった(第 1
6凶および第4
表).ク
4
. 葉面傾斜角度分布の樹冠内変動
1)数種落葉果樹の樹冠内高さ別の葉面傾斜角度分布
7
月上旬から 8
月 :
1旬の聞における供試品種の樹冠内各
ルミは樹冠
:
1
屈においても中間型が多く,
会ノら,中間屈
、水平型が見られた(第 1
6凶および第 4
表).クり
でも弱 L
:
1屈で弱い水平型になり,下層で中間型ないし
高さの葉面傾斜角度分布とそのベータ分布のパラメータ
では樹冠
を第4
表に記した.なお,棚仕立てのセイヨウナシの 2
品
弱L
、直立型が認められた(第 1
7凶および第4
表).モモで
品種については葉屈が薄く,高さ別
種およびブドウの 3
は樹冠高さによる分布形の変化が目立たなく,均会型,
の調査は行なわなかった.また,
中間型および直立型が見られた(第 1
7凶および第4
表)•
これらのベータ分布お
リンゴ
オウトウでは高さによって分布型が大きく異なったが
では樹冠上層ほと'7l<平型になり,中間層や下層では弱い
(
第1
8凶および第 4
表),その傾向は判然、としない.夏季
よび太陽高度別 Kd 曲線を第 15~18 凶に示した.
:
1
屈において発育校が銭存したセイヨ
水平型や中間型が多かった(第 1
5凶および第4
表)• この
男定を行わなず,
場合,わい性および、│ドそわい性の下
ウナシ?パートレット?とニホンナシ?長十郎?では強い水平
開心形ではこの f
傾頃向が弱かつた. リンゴセ幹形ほどでは
型が見られた(第 1
6, 1
7凶および第4表)•
なかったが,カキでは上層ほど水平型になり,樹冠中間
2
5
6
落葉果樹の葉面傾斜角度分布
山本・麻生・西沢・庄司・佐藤・小山・上野・ 須田
6
3
議静議豊島建襲争
議争議題辞
島種選争議勢
May
June
A
u
g
.
J
u
l
y
S
e
p
t
.
F
i
g
.
1
4S
e
a
s
o
n
a
lchangesi
nwire-framediagramso
f'Napol
e
o
n
'l
e
a
v
e
s
.
T
a
b
l
e3 S
e
s
o
n
a
lchangeso
fmeani
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
eo
fa
l
lt
r
i
a
n
g
u
l
a
rs
e
c
t
i
o
n
si
nt
h
ef
i
v
ewire-framediagrams
o
fn
o
n
f
l
a
tl
e
a
v
e
sand t
h
ev
a
r
i
a
n
c
ei
ns
e
v
e
r
a
ld
e
c
i
d
u
o
u
sf
r
u
i
tt
r
e
e
s
.
Cu1
t
i
v
a
r
s
N
o
p
o
l
e
o
n
S
a
t
o
n
i
s
h
i
k
i
F
u
j
i
J
o
n
a
t
h
a
n
LaF
r
a
n
c
e
LeL
e
c
t
i
e
r H
ir
a
t
a
n
e
n
a
s
h
i
YMeanV
MontnMean V
a
r
i
a
n
c
e
a
r
i
a
n
c
eMeanV
a
r
i
a
n
c
e Mean V
a
r
i
a
n
c
e MeanV
a
r
i
a
n
c
eMeanV
a
r
i
a
n
c
eMeanV
a
r
i
a
n
c
e
May 3
2
.
9 3
41
.2 3
3
.
1 2
8
9
.
0 3
4
.
3 3
3
5
.
1 3
2
.
8 2
9
5
.
9 3
2
.
9 3
41
.2 2
8.
4 2
7
0
.
3 41
.3 4
21
.8
J
u
n
e 21
.3 1
5
6
.
9 21
.8 3
2
5
.
0 3
0
.
3 3
8
6
.
7 1
8
.
6 2
1
2
.
1 21
.3 1
5
6
.
9 2
3
.
8 2
6
2
.
7 3
5
.
6 4
4
8
.
9
J
u
l
y 3
0
.
5 2
1
5
.
5 3
5
.
3 2
91
.8 2
8
.
8 2
7
9.
4 3
4.
2 3
4
0
.
8 3
0
.
5 2
1
5
.
5 3
2.
4 4
1
6
.
7 3
5
.
6 4
21
.5
A
u
g
. 3
4
.
7 2
6
3
.
5 3
2.
2 2
7
5
.
0 3
6
.
9 4
01
.1 3
0
.
0 3
0
6
.
8 3
4
.
7 2
6
3
.
5 2
6.
2 2
4
7
.
7 4
0
.
5 3
8
2
.
3
S
e
p
t
. 3
0
.
1 2
4
6.
4 31
.3 3
0
8
.
6 3
2
.
0 2
9
9.
2 2
7
.
6 2
6
9
.
0 3
0
.
1 2
4
6.
4 2
9
.
0 2
6
2.
4 3
7
.
5 4
51
.3
z
い
(
u
n
凶
i
比
i
t
:d
e
曙g
r
問@鴎
e
吋
)ぱ
0
fa
l
lt
r
i
a
n
g
u
l
a
rs
e
c
t
i
o
n
∞
α
n
s(
l6
9
s
e
c
t
i
o
n
∞
α
n
sx 5l
e
a
v
e
s
)
Meani
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e
2
td
e
g
r
e
e)o
fa
l
lt
r
i
a
n
g
u
l
a
rs
e
c
t
i
o
n
s(
l6
9
s
e
c
t
i
o
n
sx 5l
e
a
v
e
s
)
Y
V
a
r
i
a
n
c
eo
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e(
u
n
i:
2
) 葉面傾斜角度分布と新梢の傾きの関係
必要がある.
新梢の写真を種々の角度で人為的に回転したとき,そ
ワイヤーフレーム回転法を用いた葉面傾斜角度分布と
の着生葉の傾斜角度も大きく変わることは一目瞭然であ
0,
.
,2
4図に示した.全三角形区分の
新梢角度の関係を第 2
る(第 1
9図).ただし,これはもともと水平の新梢を人
平 均 値 か ら 判 断 し て ふ じ ラ ・フランス'および『佐藤
為的に突然傾けた場合である .実際の新梢が様々な傾き
錦『では,新梢の傾きが大きくなるほど葉面傾斜角度は
をもつことは.新梢の原基であった葉芽の姿勢に強く影
小さくなる傾向が認められた(第 2
0,2
2および 2
3図).
響されるためである.新梢の伸長に伴って,その着生葉
'平核無'でも同様の傾向が認められたが,他の品種と比
も展葉過程で新梢の傾きと葉序に強く影響され,かっ,
べると分散値の変動幅が幾分小さかった(第 2
4図). '
ル
・
周辺の光環境などに影響されながら,最終的に自らの葉
レクチどや'紅玉'についても似た傾向が見られたが省略
面傾斜角度を決める.従って,新梢の傾きと葉面傾斜角
する.
度分布の関係を明らかにするためには,実際に調査する
リンゴ『ふじ'の平坦部内三角形区分の平均値と新梢角
2
5
7
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
64
Table 4 Means and variances o
fl
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
n angle with th日 d
i
f
f
e
r
e
n
t height i
ns
巴v
e
r
a
l
e
f
e
rt
o Table 2
.
deciduous f
r
u
i
tt
r
e
e
si
n Augast. Th日 abbreviationsr
F
r
u
i
ts
p
e
c
i
e
s C
u
l
t
i
v
a
r
s
Apple
F
r
e
efonns
SD
Dwarf.CL
SD
Semidwarf.CL
SD
Openc
e
n
t
e
r
F
1
Ui
Dwarf.CL
F
u
j
i
Semidwarf.CL
F
u
j
i
Openc
e
n
t
e
r
Mutsu
Dwarf.CL
孔1
u
t
s
u
Semidwarf.CL
R
a
l
lJ
a
n
e
t
Openc
e
n
t
e
r
RedS
p
a
r
Openc
e
n
t
e
r
J
o
n
a
t
h
a
n
Openc
e
n
t
e
r
PersimmonH
i
r
a
t
a
n
e
n
a
s
h
i
C
h
e
s
t
n
u
t
恥1CL
Tukuba
MCL
Tanzawa
MCL
l
b
u
k
i
MCL
S
h
i
n
r
e
i
MCL
Yorei
MCL
Banshun
恥1CL
Okubo
Koyohakuto
Openc
e
n
t
e
r
Openc
e
n
t
e
r
Hakuho
Openc
e
n
t
e
r
RB
Openc
e
n
t
e
r
S
a
t
o
n
i
s
h
i
k
i
Openc
e
n
t
e
r
Napoleon
Openc
e
n
t
e
r
J
a
p
a
n
e
s
e
p
e
a
r
S
h
i
n
s
e
i
k
i
S
h
i
n
s
u
i
Chojuro
T
r
e
l
l
i
s廿ammg
T
r
e
l
l
i
st
r
a
i
n
i
n
g
Tr
e
l
l
i
st
r
a
i
n
i
n
g
Pear
B
a
r
t
l
e
l
t
T
r
e
l
l
i
st
r
a
i
n
i
n
g
Walnut
Peach
Cherry
H
e
i
g
h
t
s Mean Variance H
e
i
g
h
t
s Mean Variance
(m)
d
e
g
r
e
e
) (
d
e
g
r
e
e2)
(
d
e
g
r
e
e
)(
d
e
g
r
e
e2) (m) (
3
.
0
2.
4
1
9
.
8
2
1
8
2
.
1 1
.5
-1
.2 2
7
.
8
3
3
9
2
.
1
42
.
1
1
9
.
0
2
1
6
8
.
9 1
.2
0
.
9 3
2.
3
.
9
6
5
0
9
.
9
.8
2
0
.
7
8
1
7
3
.
8
0
.
9
41
.97
2
2
5
.
5
2
.
1
-1
1
.8
-1
.5
2
3
.
9
3
2
2
9
.
9
2
1
.
9
2
185.
4 2
.
1
-1
.8 2
2
.
8
0
2
4
8
.
9
3
.
3
27
4
2
3
.
3
7
173.
4
1
.8
2
9
.
7
8
3
0
4
.
2
2
.
7
2.
2.
42
.
1
2
6
.
9
9
3
2
5
.
5
.8 2
5
.
6
6
3
7
3
.
9
3
.
3
2
.
7
2
5
.
0
6
1
9
5
.
7 2
.
1
-1
4
2
0
.
9
5
2
3
7
.
1
1
.8
3
2
.
7
7
2
5
6
.
1
2
.
7
2.
42
.
1
2
4
.
8
9
2
2
6
.
7
2.
.8
-1
.2 2
7
.
0
2
3
3
0
.
8
2
.
7
2
.
1
1
6
.
5
6
1
6
6
.
5 1
.8
2
7
.
0
7
3
2
8
.
8
1
.2
34.
38
3
4
6
.
2
2
.
1
-1
3
.
6
3
.
0
.8 21
.
30
1
7
8
.
7
1
6
.
3
9
1
8
6
.
3 2
.
1
-1
3
.
0
2
.
7
21
.03
2
5
7
.
2 1
.8
-1
.5 33.
47
480.0
4
1
8
.
7
7
219.
4 1
.5
-1
.
2 29.56
416.
4
2
.
7
2.
2.
42
.
1
2
5
.
1
6
3
3
8
.
8
1
.2
41
.8
5
3
9
6
.
9
3
.
0
2.
4
2
3
.
1
5
1
61
.7
1
.8
31
.9
1
4
8
5
.
2
41
.
8
2
7
.
0
2
2.
3
7
6
.
3
4
1
9
.
1
2
2
0
2
.
3 1
.8
-1
.2 2
0
.
6
7
2
1
2
.
6
3
.
0
2.
1
.2
4
0
.
8
7
426.
3
2
4
.
9
3
2
5
8
.
0
4
1
.8
2.
2
.
7
2
.
1
1
7
.
7
2
1
9
7
.
2 1
.5
-1
.2 29.
33
2
8
2
.
2
.8
20.
46
1
8
5
.
8
1
.2
2
4
.
9
3
266.9
2
.
1
-1
1
.8
-1
.5
2
2
.
5
2
1
8
6
.
0
2
.
7
2
.
1
23.
42
1
9
0
.
9 1
.8
-1
.5 3
5
.
5
3
267.6
3
4
.
0
2
3
6
2
.
6
2
.
1
-1
.8
1
9
.
7
0
1
9
8
.
5
1
.5
3
.
0
2.
4
1
9
.
7
1
1
9
8
.
0 1
.8
-1
.2 2
0
.
1
8
215.
3
2.
4
1
.8
1
9
.
0
0
1
9
5
.
6
3
.
0
2.
4
2
5
.
0
6
1
9
5
.
7 1
.8
-1
.5 2
6
.
9
7
3
7
8
.
6
42
.
1
3
2
.
7
9
3
9
8
.
1 1
.5
-1
.2 2
8
.
8
5
3
5
7
.
2
2.
.8
3
0
.
5
2
4
4
5
.
5
1
.2
2
8
.
8
7
2
4
7
.
9
2
.
1
-1
3
.
3
2
.
7
2
1
.
8
7
2
3
5
.
2 2
.
1
-1
.5 4
1
.
8
7
2
6
1
.
2
4
2
8
.
0
6
2
3
0
.
0
1
.5
4
9
.
6
9
2
5
4
.
5
2
.
7
2.
42
.
1
24.
31
3
0
4
.
9
2.
.8
37.
42
231
.2 1
.5
-1
.2 5
2
.
0
9
2
1
9
.
7
2
.
1
-1
1
.8
-1
.5
4
3
.
3
5
2
6
5
.
5
0
.
9
4
3
.
5
3
1
7
0
.
5
3
.
6
2
.
7
2
9
.
6
8
2
3
0
.
2 2.
41
.
8 22.
46
182.
4
2
.
7
2.
4
2
5
.
8
6
193.
4
1
.8
3
4
.
9
6
208.
4
2
.
1
-1
.8
2
3
.
9
3
3
1
0
.
8 1
.5
-1
.2 4
3
.
2
9
220.
3
1
.8
-1
.5
36.
40
376.
4
3
.
3
2
.
7
2
8
.
9
1
3
6
3
.
6 2
.
1
-1
.5 3
5
.
2
2
3
1
6
.
0
1
.5
4
6
.
1
6
4
2
9
.
7
2
.
7
2
.
1
3
4
.
5
8
3
0
2
.
1
2
.
7
2
.
1
45.
47
3
3
6
.
7
5
4
.
7
3
2
3
6
.
7
1
.
5
2
.
1
-1
.5
3
7
.
6
6
2
5
7
.
9
3
.
6
3
.
0
3
4
.
0
2
3
1
6
.
9 2
.
7
2
.
1 3
6
.
8
2
1
7
2
.
0
3
.
0
2
.
7
3
8
.
5
3
2
4
6
.
3
2
.
1
3
6
.
0
2
2
5
3
.
2
31
42.
4
2
.
5
5
5
4
7
.
9
581
2.
4
1
.8
.
7
1
.8
1
.5
4
8
.
5
6
3
4
9
.
0
2
.
1
4
7
.
1
1
3
4
5
.
6
.5
5
8
.
0
4
4
6
8
.
5
2
.
1
-1
4
5
2
.
1
1
4
5
5
.
5
5
0
.
9
2
3
5
4
.
6
2.
1
.8
4
1
.8
5
5
.
5
4
4
4
2
.
6
2.
.5
0
.
6 5
5
.
0
6
2
2
0
.
7
2
.
7
2
.
1
5
2
.
9
5
3
9
0
.
7 1
.5
5
4
.
8
0
2
3
9
.
7
2
.
1
-1
2.
42
.
1
2
8
.
0
0
2
2
5
.
6 1
.8
-1
.5 5
7
.
6
5
37
7
.5
2
.
1
-1
.8
41
.20
3
8
2
.
5 1
.5
-1
.2 5
7
.
6
5
3
7
7
.
5
.
73
3
8
9
.
6
3
.
3
2
.
7
3
3
.
6
5
4
7
0
.
0
2
.
1
51
45
3
8
3
.
6
2
.
7
2
.
1
42.
2.
41
.
8
2
8
.
1
5
3
1
3
.
0
4
4
.
5
2
1
.8
565.
4
2.
4
1
.8
51
.8
1
561
.5
1
.8
40.70
617.
4
2
.
7
2
.
1
23.
14
225.
4 1
.8
-1
.2 3
447.9
8
.
8
0
.8
30.
40
3
7
5
.
8
2
.
1
-1
4
1
.8
1
7
.
5
5
1
5
9
.
3 1
.8
-1
.2 51
.07
4
1
8
.
5
2.
目
2
5
8
落葉果樹の葉面傾斜角度分布
SD(Dwarf. --+- 0•9CL
) ←+ー1
.
2
0
・
一・
ト
一
一1.5-1.2
一
一
}
ロ
」
ー
-1
.
8
.
1
5
PD
一企
一
一-2.1-.
1
8
一企
一 2.4-1日
一.
ト
ー
-3
.
0
2
.
4
SD(
S
e
m
i
d
w
a
r
f
.CL)
一ー
一.
一 1.8一。
- 2
.
1
1
.
8
一.
一 2.4-2.1
一一ト
c
-一幻
一2
,
4
一
一-3.3-2.7 PD
一企
一
一
一
一
一
一-1.82
.
1
1
.
8
・
ー
・ 2.4-2.1
・・・・ 2.7-2.4 Kd
・
・
・
・
・
・
・
・3.3-2.7
ー
4
・
-
Kd
山本・麻生・西沢・庄司・佐藤・小山・上野・ 須田
0
1.2~.9
SD(OC)
5
u
t
s
u(
S
e
m
i
d
w
a
r
f
.CL)
一・
一
一
-1
.
2
一。
一 1.8-1.2
PD
一・
ト
- 2
.
4
-1
.
8
D
一
一-3.0
2
.
4
一
一.
一一
ー 1.8一。一
一
之
1
1.8
PD _
_
_
_
_2
,
4
2
.
1
一
一Eト
ー
-2.
7
2
.
4
一企
一
?-3.3-2.7
一
一
一
一
一
一
一.
1
8
且
1
1.8
Kd -2,4
2
.
1
.
2
7
2
.
4
・
・
・
・
・
・
・
・3.3-2.1
4
6
5
・
0
-
3
. 2
.
4
霊﹄
--1.5-.
1
2
1
.
8
1
.
5
・
園
田
・
・
・
・2.1
1.8
・・・ 2.4
2
.
1
・
・
・
・
・
・
・
町
0
2
.
4
ua
民
斗角。
85(白色)主28b一
一
一
宮 SOLa
O(Flg﹄凶
。
。
30
60
90
。
。
30
60
。
。
90
FL
t
ii(Dwarf.CL)
一
一・
一一
ー.
1
2
一。
ー
-1
.
8
1
.
2
ー
一・
-2
.
1
1.8 PD
ー
一ロ一
.
2
7
2
.
1
M
u
t
s
u(
S
e
m
i
d
w
a
r
f
.CL
)
一ー
一+
ー
-1
.
2
一。
一
ー 1.5-1
.
2
PD 一・
←
-.
1
8
1
.
5
一ロ
ト
ー
-2
.
1
1.8
一企
一
一-2.72.1
一
一
一
一
一
一
一.
1
.
2
1
5
-1
.
2
Kd --1.
8
.
1
5
-----2
.
1
1.
8
・
・
・
・
・
・
・
・2.7-2.1
o
o
30
60
9
0
・
2
.
1
1.8
2
.
7
2
1
.
60
90
FL
t
ii(Semid~Çf-L)
ー
一。
一
一
.
1
5
.
1
2
一→
一・
一 1.
8
1
.
5
-D
一
一
-2
1
.
1
.
8
PD ー
-&
一 z←u
J
:
r
一-2
.
4
.
2
7
→
・
- 3
.
0
2
.
7
一@
一
一-3.3-3.0
4
竺
30
Kd
。
。
30
60
90
FL
t
ii(OC)
一+一一1.8-
PD
4
Kd
一。
一
ー 2.4→a
一・
←
- 3.
0
2
.
4
2
.
4
1
.
8
一一一-3.
0
2
.
4
1
.
5
1.
2
Kd
。
。
.
1
ー
ー
ー
ー
ー
ー
・2.4
2
1
.
・・・ 2←2.7
・
・
・
・
・
・
・
町
0
2
.
7
・・・・・
2
.
1
-8
・
・
3
.
3
3
.
0
0
30
6
0
9
0
0
30
60
9
0
o
o
30
60
90
L
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
eo
rs
o
l
a
ra
l
t
i
t
u
d
e(
d
e
g
r
e
e
)
F
i
g
.
1
5P
r
o
b
a
b
i
l
i
t
yd
e
n
s
i
t
i
e
so
fl
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
eande
x
t
i
n
c
t
i
o
nc
o
e
f
f
i
c
i
e
n
t
so
fd
i
r
e
c
tbeama
td
i
f
f
e
r
e
n
t
h
e
i
g
h
tw
i
t
h
i
nt
r
e
ecrownso
fa
p
p
l
ei
nAugust. Thea
b
b
r
e
v
i
a
t
i
o
n
so
ft
r
e
eshaper
e
f
e
rt
oT
a
b
l
e2
.
度の関係は全三角形区分のそれと大きな違いはなかった
式が得られた(第 5
,7
表). 'ル・レクチピは平均値,分
(
第2
1図).他の品種については省略する.
散値ともに 6
割程度の有意な推定式が得られた(第 5
,7
なお,葉面の種類により標本数が異なったため,分散
表).'平核無'は平均値 ・分散値ともにいずれの時期にお
,8
表).
いて有意な推定式が得られた(第 6
の計算原理から分散値は全三角形区分>平坦部内三角形
区分の関係になった(第 2
0,2
1図).
平坦部の三角形区分について見るとナポレオン'は 9
品種,月および葉面の種類(全三角形区分および平坦
月の分散値を除いて有意な推定式が得られた(第6
,8
表).
部内三角形区分)ごとに,新梢角度の 6
乗までのべき値
表).
'佐藤錦'の分散値では有意な推定式は少なかった(第8
を説明変数とした傾斜角度の平均値の重回帰式,および
'ふじ¥『紅玉'およびソレ ・レクチピでは平均値,分散値
新梢角度の 3
乗までのべき値,同平均値の 3乗までのべ
ともに 7
割程度の有意な推定式が得られた(第 5
,7
表).
者の交互作用項を説明変数とした傾斜
き値および上記 2
7 ・フランス'では平均値,分散値ともに 5
月の平坦部で
角度の分散値の重回帰推定式を第 5
"
"
"
8
表に示した .
有意な推定式が得られなかった(第 5
,7
表). '平核無'は
5, 6
,7
月の分散値を除いて有意な推定式が得られた
まず全三角形区分について見るとナポレオン'では
(
第6
,8
表).
平均値,分散値ともにほとんどの時期において有意な推
定式が得られた(第 6,8
表). '紅玉 と'佐藤錦'では平均
上記の重回帰推定式を用いて ,新梢の傾きの全範囲に
T
値でいずれの時期において有意な推定式が得られた(第
おける葉面傾斜角度分布を推定し,その 3次元グラフの
5
,6
表). 'ふじは 9
月を除いて平均値,分散値ともに 有
5図).第 2
5図には ,新梢先端が地面
一 例 を 示 し た (第 2
,7
表). 'ラ・フランス『は 5
意な推定式が得られた(第 5
を向くほど葉面傾斜角度は大きくなり(直立葉が多くな
月の平均値を除いて,平均値,分散値ともに有意な推定
り),一方,新梢が天空を向き,その傾きが大きいほど
2
5
9
山形大学紀要(農学)第 1
5号
6
6
一
一
一・一
一 u一
←
一。←
一一U -1
.
2
1
5
一
一
一・
ト
ー-1
.
8-1.
一
一ι-2.1-1
.
8 PD
6
一-2.
42
.
1
ー
一1
<
一
一
-3
<
ト2.4
1
.
5
1
.
2
- - u
寸
,
ーーー-2.7-2
.
.1
30
60
。
。
90
30
Yorei(MCυ
一
一
一寸
.
一
一
一1
.
戸
。
ト
一一
2
.
1
1.
5
一
一
一.ド
ー-2
.1PD 一
一
"
→
ー-2.
7-2.
1
一
一
一.一
一-3.0・
2
.
7
一
一
<
>
一
一-3・
司
3.
0
Kd
・
一
昨
---一
2.
1
2.
7
・2
.
1
- - 3
か 目
ー
ー
ー
ー
ー
ー
2
.1-2.1
60
。
。
90
叫 十三 一
⋮
一
d
Banshun(MCL)
PD
Kd
60
30
90
Bartlett(TT)
PD →ー~・一一ー 1.8-1.2
一
一
一。←
一
2
.4-1
.
8
- 1
.
8
1
.
2
Kd
・・・・・ 3・
3.
0
d
勾
主28bzzga
歪
﹄O(Tgb852a﹀
nu
均
4
4'nueoaaT
。
90
一
一・ 3.0-2.4
→一一一一-1
.
8
-1.2
ーー
ー
ー
ー
ー-3.0-2.4
Kd
。
60
PD 一
一
一。』ー-2
.
4
1
.
8
u-
刷
30
一-+
一 一
一
一.
1
8-1.
2
F
同
M'uuuMMUH
RS(OC)
Jonathan(OC)
一
一
一
‘
砂
一
一
一.
.
PD 一
一
ー。一一-1
.
8
1
.1
5
一
一
一・
トー-.
ト
1
.
8
.1
。- 2
.7-2
一
一
一
一
一
一
一
-1
.
&
-
4号
削工土 十一一
⋮
一
R
a
l
lJanet(OC)
第
。
。
30
60
。
。
90
oIJ
00
~
-
目 目 『 ・E口
00
00
~
60
00
90
Leafi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
nangleorsolara
l
t
i
t
u
d
e(degree)
F
i
g
.
1
6P
r
o
b
a
b
i
l
i
t
yd
e
n
s
i
t
i
e
so
fl
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
eande
x
t
i
n
c
t
i
o
nc
o
e
f
f
i
c
i
e
n
t
so
fd
i
r
e
c
tbeama
td
i
f
f
e
r
e
n
t
e
a
ri
nAugust. Thea
b
b
r
e
v
i
a
t
i
o
n
so
f
h
e
i
g
h
tw
i
t
h
i
nt
r
e
ecrownso
fa
p
p
l
e,persimmon,walnutandp
t
r
e
es
h
a
p
er
e
f
e
rt
oT
a
b
l
e2
.
Koyohakuto(OC)
I
b
u
k
i(MCL
)
一-+
一
一
一 1.5-
PD
2
.
'
'
'
.
一
一
一ー
ー一
一
一ー
念
ベ1
一
2.
1
-1
.
5
.
u
一
一
一・←
一
一・
一
一
一
@
←
一
一
1
.
8
1
.
5
- 2.
1
ー
u
一
一
一・
トー
一
一
一
一
一
一一1
.
l
H.
2
1
.
8
'.
5
・・ ・
- 2.
1
一
1
.
8
E
可3
2
l
o
:
:
o
‘
、
.
,
1
・
世0
居
。
0
0
30
可
60
90
30
1
I
/
l
.
e .
i
~rl
十
刷ー一一-2.7-2.
4
_ . 田 . ー ----3.
8
-2.
1
1
.
8
.
1
5
1
-・ ・
~
二
1~
I~
90
30
60
90
Shinseiki(TT)
一
一・一一 1.
8
戸
u
5 叶1
一一~・一一-0 ・ー
PD
PD --0---2
.1-1
.
8
PD --0---UI-1.
2
一
一
一.一
一
-'
.
8
1
.
l
I
2
.
'
1
.
8
一<
>
一
一一
一
一
一
一
一
一
一 0・
i ql
60
Chojuro(TT)
・
一-2.1-2.
4
宅
:
:
0
.
5d
団
PD -<>--2
‘
1
.
8
0
30
90
Tsukuba(MCL
)
.Janzawa(MCL)
11
1
1
u
i
60
一-一
一
-2
.
7
-2.
1
1
.
8
-1.2
Kd
一<
1
1
ト一
一z
・
1
.
8
一
一
一。
←一
一 u一
一
一
一
一
一一
-2.
4
-1
.
8
'
息
ー
ー
ー
ー
ー
ー
ー
ー
2
.
.
1
-2.
1
E
告"
.
J
:
l
0
‘
-
Q.
2
。
。
o¥:'J&ji
一司宝'fh
y
30
60
90
~
00
00
~
00
00
。
。
30
60
90
Leafi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
nangleorsolara
l
t
i
t
u
d
e(degree)
F
i
g
.
1
7P
r
o
b
a
b
i
l
i
t
yd
e
n
s
i
t
i
e
so
fl
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
eande
x
t
i
n
c
t
i
o
nc
o
e
f
f
i
c
i
e
n
t
so
fd
i
r
e
c
tbeama
td
i
f
f
e
r
e
n
t
a
p
a
n
e
s
ep
e
a
ri
nA
u
g
u
s
t
.Thea
b
b
r
e
v
i
a
t
i
o
n
so
ft
r
e
e
h
e
i
g
h
tw
i
t
h
i
nt
r
e
ecrownso
fp
e
a
c
h,walnut,andJ
s
h
a
p
er
e
f
e
rt
oT
a
b
l
e2
.
2
6
0
落葉果樹の葉面傾斜角度分布
山本・麻生・西沢・庄司・佐藤・小山・上野・ 須田
RJuaaT
ー
一
一.- 1
・
.
52
一一~・一←→. ,P D --<>←ー-1.7
2
.1
一
一.一
一-3.3-2.7
PD
- - 3
.
32
.7
Kd
,.
コゴ
一一D
一
-2
.
"
2.
1
1
.
5
1
.
2
制
5
一一一-.
2
1-1
.
8
ー-1.42
.1
内
d
4
内
咽目︽
υ
nHV
歪LO(TOS88(白
血
苔
一2 8 E一
azo
庄
Satonishiki(00)
Napoleon(00)
Kd
6
7
OIO
30
60
90
目
30
=lIl主里!J
60
90
30
60
90
Leafi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
nangleorsolara
l
t
i
t
u
d
e(degree)
F
i
g
.
1
8P
r
o
b
a
b
i
l
i
t
yd
e
n
s
i
t
i
e
so
fl
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
eande
x
t
i
n
c
t
i
o
nc
o
e
f
f
i
c
i
e
n
t
so
fd
i
r
e
c
tbeama
td
i
f
f
e
r
e
n
th
e
i
g
h
tw
i
t
h
i
nt
r
e
ecrownso
fc
h
e
r
r
yi
nAugust.Thea
b
b
r
e
v
i
a
t
i
o
n
so
ft
r
e
es
h
a
p
er
e
f
e
rt
oT
a
b
l
e2
. RBi
n
d
i
c
a
t
e
s'
R
o
c
k
p
o
r
tB
i
g
a
r
r
e
a
u
'
odegree
90d
e
g
r
e
e
e
g
r
e
e
30d
6
0d
e
g
r
e
e
,
ー1
5d
e
g
r
e
e
4
5degree
-75d
e
g
r
e
e
F
i
g
.
1
9R
o
t
a
t
i
o
n
so
fa'
F
u
j
i
's
h
o
o
tphotographu
s
i
n
gv
a
r
i
o
u
sa
n
g
l
e
s
.
葉面傾斜角度は小さくなる(水平の葉が多くなる)こと
3
) 冬季の樹体写真における新梢角度の調査結果を用い
が推定されている.ただし,全三角形区分では新梢の傾
た樹冠内高さ別葉面傾斜角度分布の解析結果
きの全範囲において山型分布を描き(第 2
5図左),平坦
リンゴ『ふじ'の樹冠内各高さにおける新梢の傾きの調
部三角形区分では全三角形区分の場合よりも勾配の急な
査結果と 2
) の重回帰式とを用い ,樹冠内高さ別葉面傾
山型分布を描いた(第 2
5図右).他の品種については省
斜角度分布を解析したところ(第 2
6図),葉面傾斜角度
略したが,いずれの品種でも新梢が立つほど葉面傾斜角
の平均値は樹冠内部位が高くなるほど、小さく,水平な葉
が多いという傾向が認められ,葉面傾斜角度平均値は 4
0
度は小さい方に分布するという共通の傾向が推定された.
度から 5
0度にかけて分布した(第 2
6図). これに対し,
2
6
1
山形大学紀要(農学)第 1
5号
6
8
60
.
・
-"
1
.•
.
・
.
・
"
・
.
.
30
30
o
0
90
90
200
-90
90
S
h
o
o
ta
n
g1. (
d
e
g
r
e
.
)
.
.
.・ー
6叩
一
・
・
.・
・
・
90
90
.・
・
.
400
400
.
..••
.
••• •••
•
200
200
o
O
-90
90
June
90
9
0
90
S
h
o
o
ta
n
g1
.(
d
.
g
r
.
e
)
May
600
.
.
ー
.
・
・
・
・
・
・
ー
400
90
90
.
.
.
.
600
200
o
30
-
400
••••••••
o
90
拘
・
J
.
e_e
9
0
30
60
、
.
・
.
t
i .
・
.
ー
"
"
.
.
.
・.
・
••• ••••• •
••
600
.
・
-.
.
..
・
.
・
.
.
・
.
ー
・
.
・
-
60
0
-90
90
~
•. ・
・
・
.
'
"
.
ι
・
.
.
F
u
j
i
90
-
60
90
、
,
90
・
、
色
,
・
3a晶岳)EastSEE-E
o
o3o
ge
。
恥
。
旦
一
凶
匡
帽 E
s
e
c
o
s
c
e
E
•••• •• ••••••
9
0
第 4号
Sept.
Aug.
July
F
i
g
.
2
0R
e
l
a
t
i
o
n
s between s
h
o
o
ta
n
g
l
e
s and mean i
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e
so
ft
r
i
a
n
g
u
l
a
rs
e
c
t
i
o
n
s
(
u
p
p
e
r
) andt
h日 v
a
r
i
a
n
c
e
s(
lo
w
e
r
)o
fn
o
n
f
l
a
tl
e
a
v
e
si
n'
F
u
j
i
'
.
08
03
0
8
9
0
••••• ••
•
﹄﹃
9
0
3
0
o
o
9
0
9
0
-
O
3
0
6
0
,
,
.
0
3
0
•
••••••••••••••
6
0
・
.
0
'
0
••••• ••••••
••
6
0
F
u
j
i
90
・
向
o
3
0
,
・
・
.
・
.
.
.
・・,.
.
・
刷
、
9
0
,
6
0
9
0
・
•••
•••••••
•
・
・
凶
一
一
凶3
。a甘匡 EE050E
3Eω
EEt
主aEEど。 ω55-一
首
昌
一osseE
.
0
.
0
9
0
S
h
o
o
ta
n
g
l
e(
d
e
g
r
e
e
)
百
E
?
i
S 甘 4凹
•
•
.
•
.
. .・• •••
・
.
.
・.
.
.
.
・
・.
.
•
.
.
.
白
・
・
一"
.
..
・
.
••••
.
.
・
.
・
.
.
.
. ・
・
.
.
.
.
4
0
0
4
0
0
4
0
0
2
0
0
-H}
0
2
0
0
回
.
0
9
0
2
0
0
2
0
0
o
01
9
0
90
。
90
h
2
0
0
6
0
0
"
ー・
8~
E主
,
'o宮
400
・
i
i •••• ••
•
•
•
主f
6
0
0
6
0
0
6
0
0
-
9
0
9
0
Shσ
ta
n
g
l
e(
d
e
g
r
e
e
)
May
June
July
Aug.
Sept.
F
i
g
.
2
1R
e
l
a
t
i
o
n
sbetweens
h
o
o
ta
n
g
l
e
sandmean i
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e
so
ft
r
i
a
n
g
u
l
a
rs
e
c
t
i
o
n
si
n
f
l
a
tp
o
r
t
i
o
n
s(
u
p
p
e
r
) andt
h日 v
a
r
i
a
n
c
e
s(
lo
w
e
r
)o
fn
o
n
f
l
a
tl
e
a
v
e
si
n'
F
u
j
i
'
.
2
6
2
山本・麻生・岡沢・正司・佐藤・小山・ :
1
野・須田
落葉果樹の葉面傾斜角度分布
9
0
・.
・
.
..
・
.
﹂F
3
0
30
。
9
0
.
30
• ••
•••••••
o
0
9
0
••
'
0
・2 ・.
.
句
'
".
. ・
・
30
O
9
0
-90
9
0
.
.
.
.
0
・.・
•• ••
LaFrance
9
0
匂
L司
﹃
・
.
.
.
.・.
.
6
c
.
・
•
6
0
'
i
i
│・
9
0
9Q
9
0
9
0
9
0
9
0
.
.
・
.
・
・・
.
・
.
.
.
ー
ー
.
400
•
••• •.
•• •• •
••
∞
6
8
田
・
f
l
卜
醐J
-
-
Shoota
n
g
l
e(
d
e
g
r
e
e
)
.00
4
0
0
200
0
a
90
9
0
・
. .
200
.
2
0
0
o
'
0
9
0
・
・.
・
.
400
O
9
0
-・
.
.
・.・.
400
0
9
0
.
・
.
6凹
.
.
.
.
.
2
凹
6
9
9
0
9
0
9
0
Shoota
n
g
l
e(
d
e
g
r
e
e
)
May
June
Sept.
Aug.
July
F
i
g
.
2
2R
e
l
a
t
i
o
n
s between s
h
o
o
ta
n
g
l
e
s and mean i
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e
so
ft
r
i
a
n
g
u
l
a
rs
e
c
t
i
o
n
s
(
u
p
p
e
r
) andt
h日 v
a
r
i
a
n
c
e
s(
lo
w
e
r
)o
fn
o
n
f
l
a
tl
e
a
v
e
si
n'
L
aF
r
a
n
c
e
¥
90
ii60
i
3
・
.
..
.
60
・".・.
・.
.
・
.
・
.
i
E
・
.
.
.
・・..
・
・
..
.
.
.
.
.
30
o
90
30
90
90
600 r
ESi﹄口苧
90
90
600
• •
400
400
.
.
.
90
6
0
0
.
.
ー.
.
・
・
.
.
.
・
・
.
200
90
•••• ••••••
200
O
-90
凹
•
•••• •••
••••
•• •
O
-90
90
Shoota
n
g
l
e(
d
e
g
r
e
e
)
﹄旦コ凶
90
30
30
o
-90
200
O
-90
.
・
.
.
.
.ー.
.
60
4
.
.
.
・
.
.
・
-.
.
200
o
.
.
.
ー.
.
・
.
・-・..・.
ト
400
60
.
.
e
_
e
.
.
.
e
.
i ・"
•.
.
・
・
.
.
.
.
・
.
・
ω @﹄凶@-u)E。窃 00ω
(刷
凹凹叩
e42
h
o
e
M
g
a
w
c。
富
里
﹄=oEUEeoz同Ee﹀
..
・
_
.
・
.
・
.
ー
・
.
60
S
a
t
o
n
i
s
h
i
k
i
90
o
-90
600
90
'
0
-90
90
。
。
30
60
90
Shoota
n
g
l
e(
d
e
g
r
e
e
)
May
June
July
Aug.
Sept.
F
i
g
.
2
3R
e
l
a
t
i
o
n
s between s
h
o
o
ta
n
g
l
e
s and mean i
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e
so
ft
r
i
a
n
g
u
l
a
rs
e
c
t
i
o
n
s
(
u
p
p
e
r
)andt
h
ev
a
r
i
a
n
c
e
s(
lo
w
e
r
)o
fn
o
n
f
l
a
tl
e
a
v
e
si
n'
S
a
t
o
n
i
s
h
i
k
i
'
2
6
3
山形大学紀要(農学)第 1
5号
7
0
9
0
90
90
.
,
-90
90
。
0
0
-90
90
••••••••••••••
30
30
。
。
.
.
.
・
・
. .・・
、
ー
'
..
・
・
.
句
・ .
-
.0
1
1
0
9
0
g
90
• •• ••
• •••
60
-
・
.
.
H
i
r
a
t
a
n
e
n
a
s
h
i
叩
.
・
.
-
.
.
ー
.
・
60
9
0
﹄司
00
63
。
百
c
e
z
。
一
一
斜
里
担
一
九 GEE-mw草
h。
3
ω 包03z。一一宮富﹄周吉田Egb
.
・
.
"
・
'
.
.
.
.
.
_
.
_
.
.
.
・
.
.
第 4号
.
,
o
9
0
9
0
Shoota
n
g
l
eC
d
e
g
r
e
e
)
8
田
、
200
0
0
9
0
90
400
・・-.
200
O
0
9
0
90
400
200
200
o
400
・
i
;
叩
~
・
三
主2
.
.
・
・.
.
• •••
•
•
•••••••• •
句
・
.
.
ー
・
・ .
・ .
4
国
'00
'00
.
・
i
柵
.
..
• •••••• ••• .
.
.
.
.
••
.
8
田
600
・
•••••••••••••
•
3
3 ••
百.
c
:
9
0
90
90
90
Shoota
n
g
l
e(
d
e
g
r
e
e
)
May
June
July
Aug.
Sept.
F
i
g
.
2
4R
e
l
a
t
i
o
n
sbetweens
h
o
o
ta
n
g
l
e
sandmeani
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e
so
ft
r
i
a
n
g
u
l
a
rs
e
c
t
i
o
n
s(
u
p
p
e
r
)
andt
h
ev
a
r
i
a
n
c
e
s(
lo
w
e
r
)o
fn
o
n
f
l
a
tl
e
a
v
e
si
n'
H
i
r
a
t
a
n
e
n
a
s
h
i
'
カキ?平核無?は樹冠の
:
1f
f
s・下部といった高さによる変
I
n
c
l
i
n
e
dP
o
i
n
t Quadrat法 (
W
i
l
s
o
n and Warren,
化が少なく, ~角形灰分の平均値では 45 皮付近に分布し
1
9
6
3
), 反 射 偏 光 法 (Shibayama and Watanabe,
た(第 2
7凶).他のリンゴ,セイヨウナシおよびオウト
2
0
07),マルチパンドの反射偏光法 (Shibayama,2
0
0
6
)
ウの樹冠内高さ別葉面傾斜角度分布はリンゴ?ふじに似
があり,いずれも葉面傾斜角度以外の訂測も兼ねている.
た傾向が見られた(第 2
7凶).
ただし,これらの手法において,湾曲葉の傾斜角度の計
測司能性については明らかでない.また,本来の言 l
i
J
!
i
JE
J
考
的が葉面積指数 (LA
I)であるプラントキャノピーアナ
震
山
L
A
I
2
0
0
0
) に付随している平均葉面傾斜角度の
ライザ (
緒 ~l こ記したように,本研究 H 的は果樹樹冠内放射分
計測機能については,筆者らもこれに注 Hして本研究の
f
景として用いたが,果樹のような離散型の植被では計
布l
こ密接に関係する葉面傾斜角度分布の収集であり,そ
の H的をほぼ達成できたと考えられる. これをふまえ,
測がかなり制限され,異常値が多く発生した.
筆者らが考案した湾曲葉面の傾斜角度分布に関する 2
ここでは,最初に調査手法,実験結果の中味および果樹
の光環境改苦に役立てる部分配│頂に考察したい.
つの言|測法のうち,画像言|算値~てはめ法による言|測は
会般的にはリーフ
リモート訂測法であり,果樹園でも会応司能であると断
9
7
4
) が用いられるが, これ
クリノメータ一法(坪井, 1
定できた. しかし,検証実験結果(第 1
3凶)および現場
葉面傾斜角度の実測ノ句法としては,
は長い葉身をもっ草本を対象にするときは便利であるが,
における撮影や画像解析(第 3
,4
凶)などのための所要
果樹のような小さい葉で,かっ,高所測定では,本実験
的とは百えなかった.その
労力や時聞を考慮すると効ヰt
に用いた錦糸付分度器法が適していると考えられる.
原理
葉面傾斜角度分布のリモート訂測法あるいは間接測定
:
1,原ワイヤーフレーム凶の膨大な数の回転凶形の
中から対象葉の 2
値化画像に最も似たものを捜すように
法には,プラントキャノピーアナライザ法 (
W
e
l
l
e
sand
,4
凶),以下の推定誤差を伴うも
なっているため(第 3
9
91
)
, --'.次元視覚法(Iv
anovら
, 1
9
9
4
),
Norman, 1
のと考えられる.すなわち,個々の撮影葉には,程度の
2
6
4
山本・麻生・岡沢・正司・佐藤・小山・
落葉果樹の葉面傾斜角度分布
:
1
野・須田
e
s
u
l
t
so
fm
u
l
t
i
p
l
er
e
g
r
e
s
s
i
o
na
n
a
l
y
s
i
so
f mean l
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
n angle (
B
)o
fn
o
n
f
l
a
t
Table 5 R
l
e
a
v
e
s usingshootangle (A) i
na
p
p
l
e andpear
5566778899
ww 机 開 机 開 机 即 机 開
Month O~icct
F吋1
R2z
0
.
6
7
2
6
0
.
6
6
2
7
0
.
6
1
4
3
0
.
7
7
4
9
0
.
5
6
3
9
0
.
5
5
4
5
0
.
1
7
2
0
、
x
ReE F '
a
l
u
cS
i
g
n
i
f
i
c
a
n
c
c
3
.
8
8
8
5
.
7
3
5
2
.
2
8
4
1
.976
3
.
7
2
5
3
.
6
7
9
4
.
8
5
5
3
2
.
8
7
43
3
1.
2
5
.
4
8
5
5
.
0
8
9
.
7
0
9
.
3
4
3
.
3
2
Fonnula
P<O.OOOI B
=
0
.1
l49A+45.72
.
0
0
0
1 B=-0.1658A+40.07
Pく 0
Pく 0
.
0
0
0
1 B=・0.05844A+44.12
.
0
0
0
1 B 0.07433A+42.25
Pく 0
6.
0
0
2
0 B=O.00000000003814A
O
.
0
7
8
1
6
A
+
4
0
.
0
3
Pく 0
6P<0.0023 B=0.00000000003606A
O.08123A
+41
.
2
6
P<0.0871 B=-0.04492A
十4
8
.
6
7
Noto
b
t
a
i
n
e
d
.
B=42.13
Noto
b
t
a
i
n
c
d
.
Bニ 4
6
.
5
4
Noto
b
t
a
i
n
e
d
.
Bニ 41
.
19
二・
J
o
n
a
t
h
a
n
き
0
.
5
1
7
0 4
.
2
4
5
0
.
3
1
0
5 7
.
3
1
4
3
.
5
0
9
4
.
0
1
7
3
.
0
2
2
3
.
9
9
3
3
.
1
3
4
4
.
2
1
0
二
局
/ 0 0 0 0 0 ツハツ
0
.
3
5
4
1
0
.
2
7
6
3
0.
4568
0
.
2
6
7
6
0
.
7
1
6
3
0
.
7
3
9
5
4
9
.
9
5 P<0.0007 B=0.000000000481
OA6O.00000386A
2
・0
.
0
0
0
0
3
2
3
7
A斗0.00817A+
4
1
.
52
1
7
.
1
3 P<0.0008 B=-0.09001A+42.88
0
.
0
9
8
5
6
2
A
+
3
6
.
1
7
7
.
2
0 Pく 0
.
0
1
6
3BNoto
b
t
a
i
n
e
d
.
B=37.60
P<O.0092 B
=-0.05250A+44.89
5
十0
Pく 0
.
0
8
8
4 B=-0.000000002372A
.001030A2+40
.
4
4
.
0
0
2
1 B=-0.05658A
十4
5
.
6
3
Pく 0
Pく 0
.
0
2
7
9 B -0.04927A+43.
47
6・
.
0
0
0
1BO
.00000000002878A
0.1229A+42.88
Pく 0
766549
/064.060ツフ823
151821 1
局/局
5566778899
机開机開机胃机開机開
5566778899
机開机開机四机開机開
LeL
e
c
t
i
e
r
開机開机開札開机開
ζJ/O/O
LaF
r
a
n
c
e
.
7
5
3
8 5
.
5
5
6
WL 0
0
.
3
0
6
7
0
.
2
8
6
4
0.
4965
4943
0.
0
.
6
8
4
4
0
.
6
2
7
1
0
.
6
2
3
6
0
.
6
0
2
5
6
.
5
1
4
7
.
2
1
8
8
.
0
5
4
8
.
6
9
7
6
.
2
1
2
7
.
7
3
1
5
.
7
5
5
6
.
4
3
6
7
.
0
8
6
.
4
2
1
5
.
7
8
1
5
.
6
4
1
6
.
2
6
1
2
.
6
2
2
6
.
5
1
2
4
.
2
5
0.
4454
0.
41
2
0
0
.
5
1
2
7
0
.
3
5
8
2
0
.
5
3
6
2
0
.
3
4
4
1
.
0
2
3
.
1
8
5 6
.
2
5
3
.
8
4
1 5
6
.
6
2
5 1
6
.
8
4
5
.
8
2
3 8
.
9
3
3
.
6
1
6 1
8
.
5
0
2
.
4
7
8 8
.
3
9
二
二
P<O.OOOI B=0.00000000003977
A6O
.
1
7
5
1
A
+
3
7
.
5
3
Noto
b
t
a
i
n
e
d
.
B=49.16
Noto
b
t
a
i
n
e
d
.
B=58.47
Pく 0
.
0
1
7
1B0
.
0
8
7
6
7
A
+
4
2
.
8
5
.
0
2
2
1 B=-O.09255A+40.65
Pく 0
P<O.OOll B=-0.1608A+43.87
Pく 0
.
0
0
1
1 B=-0.1729A+42.80
P<0.0002 B=0.002020A
ユ0
.
2
1
1
7
A
+
4
0
.
7
0
.
0
0
0
6 B 0.001720A
・
ユ0
.2283A+44.61
Pく 0
Pく 0
.
0
0
0
1 B=-O.1495A+45.71
P<0.0002 B=-0.1599A
+48
.
3
5
二
二
3+
2
P<0.0120 B=
・
0
.
0
0
0
01560A
0.0008442A
+
5
3
.
6
1
5十0
Pく 0
.
0
1
8
6 B 0.000000004118A
.0000002688A
4+5738
3
.
0
0
0
8 B 0.00002868A+51
.98
Pく 0
二・
二・
3+
P<0.0087 B=-0.00001836A
51
.74
P<0.0005 B=-0.07827A
十5
1
.64
Pく 0
.
0
1
0
5 B=・0.03613A
十5
4
.
2
1
Noto
b
t
a
i
n
e
d
.
C=47.06
Noto
b
t
a
i
n
e
d
.
Cニ 4
9
.
3
0
2
.
2
3
4 1
0
.
1
8 P<0.0057 B=-O.OOI740A
0
.
3
8
8
7 5
+
4
6
.
6
1
2
.
2
7
3 8
.
1
3 P<0.01
0
.
3
3
7
0 6
l5 B=-0.001872A
+47
.
9
1
L
C
o
e
f
f
i
c
i
e
n
tofd
e
t
e
n
n
i
n
a
t
i
o
n
.
S
t
a
n
d
a
r
dd
e
v
i
a
t
i
o
nof巳s
t
l
m
a
t
lO
nr
巳s
i
d
u
e
.
苛
XFt
e
s
t
"
T
r
i
a
n
g
u
l
a
rs
e
c
t
i
o
n
si
nawhol己 l
e
a
f
.
V
T
r
i
a
n
g
u
l
a
rs
c
c
t
i
o
n
si
naf
l
a
tp
o
r
t
i
o
n
2
6
5
7
1
山形大学紀要(農学)第 1
5号
7
2
第 4号
Table 6 R
e
s
u
l
t
so
fm
u
l
t
i
p
l
er
e
g
r
e
s
s
i
o
na
n
a
l
y
s
i
so
f mean l
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e(
B
)o
fn
o
n
f
l
a
tl
e
a
v
e
s
nc
h
e
r
r
y andpersimmon. Symbols r
e
f
e
rt
oT
a
b
l
e5
usingshoota
n
g
l
e (A) i
MonthO
b
j
e
c
t R
ム
机胃机開机開机開机開
5566778899
H
i
r
a
t
a
n
e
n
a
s
h
i
5566778899
N
a
p
o
l
e
o
n
5566778899
S
a
t
o
n
i
s
h
i
k
i
Re F v
a
l
u
eS
i
g
n
i
f
i
c
a
n
c
e
Formula
.
0
0
5
1B=-0.09029A+44.66
0
.
3
9
6
5 5.
46
3 1
0
.
5
1 Pく 0
+44
.
9
6
0
.
3
8
8
35
.
5
8
6 1
0
.
1
6 P<0.0057 B=-0.09073A
50
.
5
8
4
16
.
7
4
2 1
0
.
5
3 Pく 0
.
0
0
1
4B=0.000000004722A
0.2353A+3
9
.
1
8
50
.
5
8
6
97
.
0
5
5 1
0
.
6
5 Pく 0
.
0
0
1
3B=0.000000005018A
0.2479A
+40
.
5
1
0
.
7
6
0
93
.
7
7
3 5
0
.
9
1 P<O.OOOI Bニ・0.1378A+48.95
.
0
0
0
1Bニ・0.1872A+45.00
0
.
7
4
8
25
.
3
0
4 4
7
.
5
5 Pく 0
5
0
.
6
4
0
44
.
9
7
2 8
.
3
1 P<0.0020 B=0.000000003381N
0
.
0
0
2
6
7
0A"-0.1119A+51
.6
1
23
0
.
6
5
4
9 5.
.
8
6 Pく 0
454 8
.
0
0
1
5B=0.00004267A -0.002951A
0
.
2
2
I
O
A
+
5
7
.
1
1
.
0
0
1
9B=・0.07513A
+44
.
6
9
3
.
7
8 Pく 0
0
.
4
6
2
73
.
9
5
9 1
5
.
9
8 P<O.OOIO B=・0.09639A+48.51
0
.
4
9
9
74
.
7
1
6 1
8
.
8
5 Pく 0
WL 0
.
7
0
7
53
.
3
6
2 1
.
0
0
0
1B=ー0.001313A2-0.05275A+54.
43
26
.
0
4 P<0.0002 B=-0.001791A
FP 0
.
6
8
1
34
.
2
6
6 1
O.05050A+55.56
.
5
0 Pく 0
WL 0
.
6
7
0
57
.
5
1
6 9
.
0
0
1
1B=-0.0000005817A4+0.0001026A3-0.4860A+41
.77
.
4
9 P<O.OOl
FP 0
.
6
7
0
38
.
9
5
8 9
1 B=・0.0000006732A
4
+
0
.
0
0
0
1
1
7
7A3
-0.5686A
+
4
1
.07
WL
FP
WL
FP
WL
FP
0
.
3
1
5
04
.
7
7
8
0
.
2
8
8
7 5.
469
0
.
4
6
5
76
.
2
2
9
0
.
5
1
0
26
.
5
5
9
0
.
4
6
7
83
.
7
1
0
0
.
4
1
1
24
.
7
2
9
7
.
3
6
6
.
5
0
1
3
.
9
5
1
6
.
6
7
1
4
.
0
7
11
.
18
Pく 0.0154Bニ・0.06535A+45.30
Pく 0
.
0
2
1
5B=ー0.07028A+43.19
P<O.OO1
8B=-0.1189A+51
.
17
P<0.0009 B=-0.1368A+51
.2
3
Pく 0
.
0
0
1
7B=・0.07026A
+47
.
1
9
P<0.0041 Bニ・0
.07985A+44.68
WL 0
.
8
3
6
71
.918 38.
43 P<O.OOOI B=0.001131A2-O.1042A+50.83
2FP 0
.
8
0
1
73
.
3
5
7 30.32 Pく 0
.
0
0
0
1B=0.001947A
O.1618A+43.39
WL 0
.
4
3
4
1 3.
485 5.75 Pく 0.0140B=0.0007439A2・0.07160A+48
.
1
6
41
FP 0.3116 3
.
6
6
5 7.24 P<0.0161 B=・0.05032A+52.
2WL 0
.
7
7
4
62
.
8
5
2 25.77 Pく 0
.
0
0
0
1Bニ 0.001596A
O.1214A+43.50
2FP 0
.
7
9
9
54
.
2
4
2 29.91 P<O.OOOI B=0.002790A
O.1919A+31
.70
.87 P<O.OOOI B=-0.08913A+51
.45
WL 0
.
6
6
5
83
.
1
1
7 31
.
0
0
0
1B=-0.06196A+52.37
FP 0
.
6
3
0
12
.
3
4
3 27.25 Pく 0
3
WL 0
.
4
1
2
84
.
0
0
3 11
.
25 P<0.0040 B=・0.00001408A
+54.76
3
FP 0.4450 5
.
0
6
4 12.83 Pく 0
.
0
0
2
5Bニ・0
.
0
0
0
01903A
+
5
0
.
5
1
左こそあれ,形状,大小,湾曲程度などの微妙な違いが
葉面を十丸の平板と見なしときの葉面傾斜角度分布の
存在する今庄,回転する凶形は 1
個の平均的な原ワイヤー
調査結果から,測定時が夏季に限定されたきらいはあっ
フレーム凶を用いるため,結果的に実際とは異なった回
たものの,樹種,品種の特徴が収集できたものと考えら
転角度の組み合わせを捜し斗てる危険性は否定できない.
0, 1
1凶,第 2表).葉面傾斜角度分布は樹種の
れる(第 1
また,画像処理上の誤差も伴うものと考えられる.ワイ
遺伝的性格を強く反映するものと考えられるが,同じ樹
凶)は、'
lリモート言│測法と E
ヤーフレーム回転法(第 5
種でも品種によって相~異なることも否定できない.た
えるが,現場における撮影を必要とせず,また,葉姿勢
とえば,カキ?同条?の葉は著しく下垂することが知られ
この言│測さえ正
ているが,分布型でいえば 5
郎、直立型になるだろう.第
確に行えば誤差が少なくできる.幸運にもこの訂測は非
8凶 か ら 判 る よ う に , 強 い 直 立 型 (V) な い し 直 立 型
常に簡単であった.加えて,複数の原ワイヤーフレーム
(
IV) で は 太 陽 高 度 が 高 く な る 昼 間 に 直 達 光 割 合
凶を用い,推定葉ごと乱数により 1
個を選びながら回転
(
I
ソ1
A1条件下
0) が他の型に比べて高くなり,同会の L
の計測誤差だけが問題になる.従って,
凶),画像言│算値判てはめ法のときのよう
するので(第 5
でも光環境の改苦にとって有利であることが推察される.
な推定誤差は減少するものと考えられる.
従って,光環境改苦にとって有利な果樹品種を育成する
2
6
6
山本・麻生・岡沢・正司・佐藤・小山・
落葉果樹の葉面傾斜角度分布
:
1
野・須田
7
3
T
a
b
l
e7 R
e
s
u
l
t
so
fm
u
l
t
i
p
l
er
e
g
r
e
s
s
i
o
na
n
a
l
y
s
i
so
fv
a
r
i
a
n
c
eo
fl
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e(
C
)o
fn
o
n
f
l
a
t
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e(
B
)i
na
p
p
l
eandp
e
ar
. Symbols
l
e
a
v
e
su
s
i
n
gs
h
o
o
ta
n
g
l
e (A) andmeanl
r
e
f
e
rt
oT
a
b
l
e5
Month O
b
j
e
c
t R2
ζり 弓 / 巧
/06000yoy
机胃机月机胃机円札月
JL リ
、
ζJF
F
u
j
i
Re F v
a
l
u
eS
i
g
n
i
f
i
c
a
n
叩
F
o
r
m
u
l
a
.
0
0
2
6C=-0.527IA+435.8
0
.
4
4
1
82
8
.
7
3 1
2
.
6
7 Pく 0
0
.
7
7
8
84
6
.
9
7 2
6
.
4
0 Pく 0
.
0
0
0
1 C=-0.001620B3
+1
6
.
2
9
B
3
4
0
.
9
2
0
.
4
3
2
93
2
.
0
7 5
.
7
3 Pく 0
.
0
1
4
2C=0.001283B3
+O.009421A
+
3
6
5
.
7
.
0
1
4
9C=1
O.
0
6
B
2
8
2
.
0
.48 7
0
.
3
1
7
561
.
4
4 Pく0
.
0
1
1
0Cニ・0.6926A+408.9
0
.
3
4
0
44
7
.
9
9 8
.
2
6 Pく0
3
0
.
4
3
73
9
.
0
2 1
2
.
4
3 Pく0
.
0
0
2
8C=-0.0001380A
+1
7
4
.
0
.
0
2
0
3C
=
0
.
5
0
5
7A+455.1
0
.
2
9
3
13
8
.
6
9 6
.
6
3 Pく0
.
0
0
7
3 C=ー
1
.41
OA+208.2
0
.
3
7
0
89
0
.
5
0 9
.
4
3 Pく 0
Noto
b
t
a
i
n
e
d
C=411
.
5
C 1
8
6
.
1
Noto
b
t
a
i
n
c
d
二
J
o
n
a
t
h
a
n
5
弓
V
ぷ
り
rb
弓I 弓l o o
。O Q Y A Y
弓
、
声
LaFrance
V
二
.
8
0 Pく0
.9
0 4
0
.
2
3
0
731
.
0
4
3
6C=・0.05578B2+44
6
.
0
バリ弓/弓
0
.
5
8
6
11
1
5
.
0
0
.
6
4
8
54
6
.
9
3
0
.
4
8
3
66
0
.
9
4
0
.
7
2
9
25
9
.
4
6
0
.
6
2
0
84
0
.
4
0
守
q
J
FP
WL
FP
WL
FP
ゐ
ノ
0
.
7
4
8
44
8
.
0
7
0
.
2
9
1
97
3
.
3
2
0
.
6
6
9
87
8
.
6
5
4守 山 り
fooooQ
WL
FP
WL
FP
WL
4
ハリヲ年
i o6
oq
6弓 /6
6 012
日 6 U 7 . m 7
96 U
drb
5566778899
LeL
e
c
t
i
e
r
.
25 4
.
7
6 Pく0
.
5
9
4
3 31
WL 0
.
0
1
3
8C=4.944B-0.000261
OA3
+
2
.
6
5
7A
-0.03774AB+1
9
3
.
9
.
6
1
6
83
9
.
7
8 7
.
5
1 Pく 0
FP 0
.
0
0
3
1 C=7.699B・0.01447A
ユ+
0.5850A
・1
7
3
.
1
.
0
1
4
9C=-0.8091A+307.5
.
3
1
7
55
9
.
0
7 7
.
4
4 Pく0
WL 0
N
o
to
b
t
a
i
n
e
d
.
C1
8
0
.
2
FP
N
o
to
b
t
a
i
n
e
d
.
C=392.0
WL
N
o
to
b
t
a
i
n
e
d
.
C=135.6
FP
WL 0
.
5
0
5
84
3
.
5
1 3
.
3
3 Pく 0
.
0
4
3
9C=0.004009B3
O
.
0
0
0
2
4
2
7A3
+1
2
.
6
7A
-0.2294AB+11
.69
2・
.8
3 6
0
.
4
7
9
851
.
9
2 Pく0
.
0
0
7
4Cニ 0.001793B3
+O.01056A
2
6
.
3
3
.
0
3
2
1 C=-0.01267AB+401
.
7
0
.
2
5
6
24
7
.
5
3 5
.
5
1 Pく 0
3
0
.
2
7
2
38
8
.
7
9 5
.
9
9 Pく 0
.
0
2
6
4C=-0.0002211A
+201
.
7
Noto
b
t
a
i
n
c
d
.
C1
5
0.
4
Pく 0
.
0
0
0
7C二・0.003324B3
+20.25B・6.616A+0.1471AB・5
0
.
9
1
.
0
2
0
6C=-0.9526A+1
3
8
.7
Pく0
Pく 0
.
0
0
0
2C=-0.005040B3
+34.
46
B
5
9
6
.
2
3
.
0
0
5
2C=0.0004818A
0
.96A+0.1913AB+320.8
Pく 0
・1
.
0
0
0
4C=・0.006244B3
+0.
48684B2+22.
44
Pく 0
3
Pく0
.
0
0
7
0C二・0.00152IB+1
4
.
8
6
B・3
5
4
.
6
.
0
0
0
1 C=-0.7128B2+71
.9IB-1256
Pく0
2+
3
.
0
0
2
9C=0.0002229A
0
.
0
1
2
7
4
A
6
.
2
3
7
B
1
3
4
.
8
Pく 0
二
.
7
0 Pく0
WL 0
.
3
8
5
44
5
.
0
4 4
.
0
2
6
0C=・0.009143B3
+7
7
.66B・2199
.
0
1
2
2 C二・0.001160B3
+411
.1
.
9
7 Pく 0
FP 0
.
3
3
2
68
2
.
4
6 7
C=480.3
N
o
to
b
t
a
i
n
e
d
WL
.
0
2
9
6C=0.01706AB+1
1
7
.
0
.
7
0 Pく 0
FP 0
.
2
6
2
86
6
.
0
6 5
Noto
b
t
a
i
n
e
d
C=508.1
w工
.
0
5
2
6C=・5
.
1
7
4
B
+
3
5
5
.
3
FP 0
.
2
1
5
03
0
.
2
5 4
.
3
8 Pく 0
2
5
.
9
C4
Noto
b
t
a
i
n
c
d
WL
FP 0
.
4
7
7
55
8
.
8
8 1
4
.
6
2 Pく 0
.
0
0
1
5 C=-0.0007409B3
+
2
5
4
.
7
WL 0
.
7
0
0
94
5
.
4
9 1
0
.
9
4 Pく 0
.
0
0
0
6C=-0.8184B2+80.36B+0.02512AB-1446
2
3
FP 0
.
4
3
5
87
0
.
1
5 5
.
7
9 Pく 0
.
0
1
3
7C=-0.0003766A
+O.02561A
+1
1
7
.
6
二
2
6
7
山形大学紀要(農学)第 1
5号
7
4
第 4号
Table 8 R
e
s
u
l
t
so
fm
u
l
t
i
p
l
er
e
g
r
e
s
s
i
o
na
n
a
l
y
s
i
so
fv
a
r
i
a
n
c
eo
fl
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e(
C
)o
fn
o
n
f
l
a
t
l
e
a
v
e
s using s
h
o
o
ta
n
g
l
e (A) and mean l
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e(
B
)i
nc
h
e
r
r
y and persimmon.
Symbols r
e
f
e
rt
oT
a
b
l
e5
.
MonthO
b
j
e
c
t R2
且
F
o
n
n
u
l
a
Re F v
a
l
u
eS
i
g
n
i
f
i
c
a
n
c
e
.
0
0
8
8 Cニ 5.0434B+1
3
3
.
7
0
.
3
5
7
54
7
.
5
6 8
.
9
0 Pく 0
0
.
5
0
8
65
7.
49 1
6
.
5
6 Pく 0
.
0
0
0
9Cニ 0
.
0
0
1
2
1
1
B+4.
38
5
Noto
b
t
a
i
n
e
d
.
Noto
b
t
a
i
n
e
d
.
Noto
b
t
a
i
n
e
d
.
Noto
b
t
a
i
n
e
d
.
ラ
4
8
.
8
Cニ 3
C=179.8
4
C=405.
Cニ 1
4
4,
9
0.
49774
5
.
3
5 7.
43 Pく 0
.0057C=-0.004573B3+33.26B-666.1
2
2
.
1
Noto
b
t
a
i
n
e
d
.
Cニ 1
Noto
b
t
a
i
n
e
d
.
C
=
4
2
2
.
3
Noto
b
t
a
i
n
e
d
.
C=100.8
日
11/O
凸
711nロ 111
0
.
6
7
9
22
0
.
1
8
0
.
5
0
9
24
7
.
1
4
0
.
3
2
7
06
6
.
5
6
0.
41
4
09
6
.
8
1
0
.
7
9
2
82
8
.
0
1
0
.
6
2
2
42
5.
13
0.
43
9
83
8
.
3
0
0
.
2
6
0
75
4
.
1
8
0
.
3
3
1
14
6
.
9
2
0 0 0 0 4 4寸 ハ リ
V J A斗 '
8
71
フ637386
YLBLEL 日L E L 日L E L B L Y L 日
L
W 日 W 日 W 日 W 日W 日
5566778899
刊
刊
W
7t0606Q
W 日 W 日 W
/
巧
LPLPLPLPLP
JZJfofO
W
、
戸
H
i
r
a
t
a
n
e
n
a
s
h
i
Y L P A Y L P Y L P A E L P止 YL
f ウfoooooyOフ
vLU ぷり勺
N
a
p
o
l
e
o
n
WFWFWFWFWF
戸
、
町
戸
、
S
a
t
o
n
i
s
h
i
k
i
Pく 0
.
0
0
0
2 C=-0.0001113A30
.
0
0
0
8
1
2
7
B3+573.
4
Pく 0
.
0
0
4
8 C=-0.0002408A30
.
0
0
0
7
2
8
0
B十2
5
7
.
2
PくO0
5
1
3 C=-3.847A+0.08688AB+286.0
.
0
2
0
1
7
A
"
6
.
0
0
7
A
+
0
.
1
313AB+1
5
2
.
9
P<0.0519 Cニ 0
P<O.OOOI Cニ 0
.
9
3
8
5
B
+
91
.2
7B-1765
2十2
P<0.0007 Cニ 0
.
0
0
7
3
8
2
B 0.
4186B
5
0
.
5
P<0.0130 Cニ 0
.
3
5
5
4
B2+3
6
.
8
0
B
5
3
8
.
2
.
0
3
0
4 C=3.
43
3
B
6
8
.
8
8
Pく 0
Pく 0
.
0
4
9
0 Cニ 5.912B+0o
1855AB+92.
45
0
6
.
1
Noto
b
t
a
i
n
e
d
.
Cニ 1
目
ラ
目
ー0
.0005783B3+545.
4
0
.
3
4
9
3 31
.
74 8
.
5
9 Pく 0.0098C=
Noto
b
t
a
i
n
e
d
.
Cニ 1
4
4
.
1
0.201946.71 4
.
0
5 P<0.0614C=-0.0007012B3+522.5
41
.0
Noto
b
t
a
i
n
e
d
.
Cニ 1
.
0
0
0
1C=
・0
.06852B2+569.6
0
.
6
3
3
33
0
.
6
0 27.64 Pく 0
Noto
b
t
a
i
n
e
d
.
C=116.
1
ノ
刊
AY
3+
421
.6
0.24593
7
.
6
0 5
.
2
2 Pく 0.0364C=0.00008700A
465036.34 1
3
.
9
1 Pく0.0018C=0.6864A+87.76
0.
0.694927.24 1
0
.
6
3 Pく0.0007C=-5.192B+0.009145AB
2+1
0.342851
.65 3
.
9
1 Pく0.0429C=0.01667AB・0.01166A
49.
4
場合,その育種選抜目標 l
こ葉の直立型分布をあげること
もできょう.
内光環境に及ぼす影響も振動することが推測される. こ
の影響の仕ノらについては今後,
会屈の解析を要するが,
葉面傾斜角度分布の季節的変イヒ(第 1
2凶)は総じであ
風による日向部と日陰部の入れ替わりに加えて, Kd値
まり大きくないものと考えられるが,本調査は,調査労
の変動が生じることは光環境の改善にとってマイナスで
力の関係から,樹冠底部から l
頁部までを含む樹冠全体の
はないものと考えられる. I
会記以外の要因として,葉面
葉面傾斜角度の季節的変化を調査したものではなく,樹
傾斜角度分布と水ストレスの関係について野菜 C
Font
冠底部に限定したものであった.
ら
, 2
0
0
5
) やトマト C
G
a
u
t
i
e
rら
, 1
9
9
9
) で調査されて
葉面傾斜角度分布に及ぼす風の影響についてはほとん
ど調査されていない.筆者らの調査(未発表)によれば,
いる.また,葉面傾斜角度分布と投射光強度との関係に
ついてはロゼット禄植物 C
Mullenら
,
CBawheyら
, 2
0
0
3
) で調査されているが,果樹では
風により葉面傾斜角度が大きく変わった.ただし,風の
ズ
息により,葉面傾斜角度の修正量は振動するため,樹冠
調査されていない.
2
6
8
2
0
0
6
) や,ダイ
落葉果樹の葉面傾斜角度分布
山本・麻生・西沢・庄司・佐藤・小山・上野・ 須田
7
5
F
l
a
tp
o
r
t
i
o
ni
nal
e
a
f
T
r
i
a
n
g
u
l
a
rs
e
c
t
i
o
n
si
naw
h
o
l
el
e
a
f
4
6
@
通R
五
1
Q.
4
-M4F)
~ 2
内
。a
也
a﹃
10@﹄切。
,
.
'3
o
o
、
主
Uベf-151つe
e
)
向噛-
9
0
9
0
必@
I....~
U4(d8-._
e
:
,
'
t
-
9
0 9
0
点
、
φw
、
¥
.
.
.
Q
‘
ー'
'
'
e
1
,
:
e
l
‘
F
i
g
.
2
5Anexampleo
fe
s
t
i
m
a
t
e
dr
e
s
u
l
tu
s
i
n
gt
h
em
u
l
t
i
p
l
er
e
g
r
e
s
s
i
o
nformulas,whichshowr
e
l
a
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e(
L
I
A
) and i
t
sp
r
o
b
a
b
i
l
i
t
yd
e
n
s
i
t
i
e
s
t
i
o
n
s between s
h
o
o
ta
n
g
l
e(
S
A
),l
le
f
t
)and t
h
a
ti
nf
l
a
tp
o
r
t
i
o
n
s(
r
i
g
h
t
)o
f'
F
u
j
i
'i
nJ
u
n
e
.
(
P
D
)i
na
l
lt
r
i
a
n
g
u
l
a
rs
e
c
t
i
o
n
s(
葉面の湾曲についてはこれまで報告されていない .本
や誘引によって,上層の新梢をできるだけねかせ,下層
実験により ,落葉果樹葉の湾曲の程度とその季節的変化
の新梢をできるだけ立てることが可能であれば,上記と
4図,第3表).
が初めて明らかになったものと 言える(第 1
は逆の関係になり,直達光が樹冠内部まで浸透し,下層
また,考案された湾曲情報を取り入れた手法を用いて,
の葉は光を漏らさず受けることが可能になるものと一応
今後,果樹葉の傾斜角度を調査し,平板と見なしたとき
値を減少
考えられる.直立型の葉面傾斜角度分布は Kd
の調査結果と比較する必要があろう.
させ,直達光の浸透に有利になるにしても,太陽高度が
葉面傾斜角度分布の樹冠内高さ別違いが見出された
高い時刻における葉面の直達光受光強度は逆に減少する
5
"
"
"
'
1
8図).これは樹冠内変動要因と言える .また,
(
第1
(
第 9図).従って,樹冠内光環境に有利な葉面傾斜角度
その原因として,新梢の傾きの影響が無視できない(第
分布を見出すためには,同じ葉量,投射光強度のもとで,
2
0
"
"
"
'
2
4図).新梢の傾きと 葉の傾斜角度の関係はこれま
葉面放射分布を測定あるいは推定することが必要である .
でほとんど調査されていない.新梢の先が上向くほど葉
上記のことから,今後の展望として,果樹の樹形構築解
は水平になり,新梢が水平になるほど葉は直立(下垂)
0
0
4
) を用いて,同じ
析システム CACOAS (山本ら, 2
0,
.
.
.
,2
4図).
する傾向が多くの果樹で認められた(第 2
葉量の条件下で,種々の新梢角度分布を作り出し , これ
樹体を構成する新梢の傾きから葉面傾斜角度分布を推
らに着生した葉量の空間分布とその葉面傾斜角度分布を
定した場合,葉面傾斜角度分散値の推定値は葉序なども
変えたうえで,果樹園光環境解析システム (OLEAS,山
関わり,非常に複雑であった. しかし,葉面傾斜角度平
9
9
9
)を用いて樹冠内光環境を解析することが必要
本
, 1
均値の推定値について見れば,セイヨウナシやリンゴの
であろう.このためには,上記の機能を備えるべく,現
主幹形,特に樹冠上部の新梢が立っている樹形の場合に
行の CACOASとOLEASの改良が必要であろう.
は,樹冠上層の葉面傾斜角度平均値は小さくなり,水平
型分布に偏ることが推察された. これは,光環境を考え
摘 要
た場合にはあまり好ましくない.上層に水平な葉が多い
状態では直達光が遮断され,樹冠内部まで光が透過しに
果樹樹冠内放射分布研究の基礎的資料を得るために,
くくなる.栽培果樹では整枝男定が毎年施されるため,
数種落葉果樹の葉面傾斜角度分布の実態調査を行なった.
枝葉の配置は人工的構造になる. したがって,整枝男定
葉面を一枚の平板と見なしたときの葉面傾斜角度分布を
2
6
9
⋮
は
川
一
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第
7
6
4
5
5
0
3
0
0
3
0
0ト 王 〉
イ
'
~
{】
4
0
0
…
) ー ) …
t
'
田ト
革2曲 f え
に
主
主
│00トゑ
'
0
0ト
【 . . . .1
ご
下
O~四ーム一一ーム一一一
5
0
0
3
5
40
4
5
1
0
0
M
e
a
nI
A(
d
e
g
r
e
e
)
2)
Y
a
r
i
a
n
c
eofI
A
(
d
e
g
r
s
e
_ _
~_ _
OLI
5
0
側⋮⋮
4
0
M
e
a
nI
A(
d
e
g
r
e
e
)
~Or
_ 3
0
0ト ( )
ぞ
一
同
一
⋮
⋮
3
5
F
l
a
tp
o
r
t
i
o
ni
nF
u
j
i(
d
w
a
r
f
.CL
)
~Or
山
一
一
一
流
戸
川
;
;
;
[
i
4号
2
0
0
3
0
0
Y
a
r
i
a
n
c
eofI
A
(
d
e
g
r
e
e2)
F
i
g
.2
6Estimatedmeanl
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
eandt
h
ev
a
r
i
a
n
c
eusingt
h
eformulasshowni
nT
a
b
l
e5
8
a
tv
a
r
i
o
u
s h日i
g
h
ti
nt
h日 t
r
e
ecrown o
f'
F
u
j
i
' which were r
e
a
d on t
h
et
r
e
e photographs a
f
t
e
r
l Abbreviations o
ft
r
e
e form r
e
f
e
rt
oT
a
b
l
e2
l
e
a
ff
a
l.
。a
t
h
a
n(OC)
T
r
i
a
n
g
u
l
a
rs
e
c
t
i
o
ni
nJ明
T巾 崎 川 a
rs
e
c
t
i
o
n1
,
9~a F
r
a
n
ι
e(MCL
)
棚
;
j
│ミi
j
l三
3
5
4
0
4
5
5
0
3
0
0
M
e
a
nI
A(
d
時間.)
4
0
0
2
5
5
0
0
3
0
3
5
3
0
0
4
0
400 1'"
F
、300 ト
E
4
0
0 1'"
3
0
0ト
.
.
.
( )
;C
~
.
s
5
m
o
.
s
圭
'
0
0ト
n主
-100 ト
o
5
0
5
5
400
500
V
a
r
i
a
n
C
8oflA(
d
e
g
r
e
e
T
r
i
a
n
g
u
l
a
rs
e
c
t
i
o
ni
nN
a
p
o
l
e
o
n(OC)
。
問
4
3
0
0
~3曲
E
五
工
2
田
1
曲
4
0
4
5
。
'
0
M
.
a
nI
A(
d
e
g
r
e
.
)
3
0
0
4
0
0
40
45
50
M
.
.
nI
A(
d
e
g
r
e
e
)
2)
4
0
0
3
5
35
6
0
0
v
x
o
0 L.ーーーーーー占ーーーーー~
I
45
o
五
四I 父
[1
ト
M
.
a
nI
A(
d
e
gT
e
e
)
田
T
r
i
a
n
g
u
l
a
rs
e
c
t
i
o
ni
nH
i
r
a
t
a
n
e
n
a
s
h
i(MCυ
T
r
i
a
n
g
u
l
a
rs
e
c
t
i
o
ni
nL
eL
e
c
t
i
e(MCL
)
4
0
4
0
0
V
a
r
i
a
n
C
8of1A(
d
e
g
r
e
e2)
M
e
a
nI
A(
d
e
g
r
e
e
)
V
a
r
i
a
n
c
eofI
A
(
d
e
g
r
e
eう
3
5
0
4
5
0
5
5
0
Y
a
r
i
a
n
c
eoflA(
d
e
g
r
e
・
'
)
F
i
g
.
2
7 Estimated mean l
e
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
e using
n Table 5
8a
tv
a
r
i
o
u
s
t
h日 formulas shown i
巴v
e
r
a
lf
r
u
i
tt
r
e
e
s
h
e
i
g
h
t
si
nt
h
et
r
e
ecrowno
fs
whichwerer
e
a
dont
h日 t
r
e
ephotographsa
f
t
e
r
. Abbreviations o
ft
r
e
e form r
e
f
e
rt
o
l
e
a
ff
a
ll
Table 2
.
'
0
0
V
a
r
i
a
n
c
eoflA(
d
e
g
r
.
田町
2
7
0
落葉果樹の葉面傾斜角度分布
山本・麻生・岡沢・正司・佐藤・小山・
:
1
野・須田
7
7
F
o
n
t,L,F
.K
o
r
o
s
ia
n
dL F
a
r
k
a
s
.2
0
0
5
. Lcafi
n
c
1i
n
a
t
i
o
n
調査したところ,果樹の葉面傾斜角度分布はベータ分布
に良く近似できた.強い水平型にはリンゴの多くの品種,
b
a
s
c
dnond
c
s
t
r
u
c
t
i
v
cw
a
t
c
rs
t
r
c
s
si
n
d
i
c
a
t
i
o
nf
o
rv
c
g
c
t
a
b
1
cs
.A
c
t
aH
o
r
t
i
c
u
l
t
u
r
a
c
.6
9
1・9
9
1
0
5
向日のニホンナシとセイヨウナシが含まれた.直立型に
が含まれ,他の品種は弱 L、水平
は モ モ と オ ウ ト ウ の 行E
G
a
u
t
i
c
r
,H
.,M. T
c
h
a
m
i
t
c
h
i
a
na
n
dS
.G
u
i
c
h
a
r
d
. 1
9
9
9
型,中間型あるいは均会型に属し,強い直立型は無かっ
E
f
f
c
c
t
s ofd
c
c
r
c
a
s
i
n
g VPD by m
i
s
t
i
n
g on 1
ca
fa
r
c
a
た.樹冠内同会葉屈の葉面傾斜角度分布を継続して調査
ca
fi
n
c
1
i
n
a
t
i
o
ni
nt
o
m
a
t
oandc
s
t
i
m
a
t
i
o
no
fc
o
n
a
n
d1
したところ,その季節的変動はあまり大きくなかった.
s
c
q
u
c
n
c
c
s on l
i
g
h
ta
b
s
o
ゅt
i
o
n
. A
c
t
aH
o
r
t
i
c
u
l
t
u
r
a
c
葉面 1
:
9
8点の空間座標の立体写真測量を行 L、,湾曲情報
5
0
7
:7
7
8
4
(ワイヤーフレーム凶)を入手し,
n
dA
.B
o
m
b
c
l
l
i
.1
9
9
9
. Lcafanatomy,i
n
c
1i
n
a
G
r
a
t
a
n
i,L a
これを以り入れた葉
面傾斜角度分布の訂測庁法を種々検討した.その結果,
t
i
o
n,a
n
dg
a
sc
x
c
h
a
n
g
cr
c
l
a
t
i
o
n
s
h
i
p
si
nc
v
c
r
g
r
c
c
n
葉の中肋線およびこれへの垂線の傾斜角度などの簡単な
s
c
1c
r
o
p
h
q
l
d
o
u
s a
n
d d
r
o
u
g
h
t s
c
m
i
d
c
c
i
d
u
o
u
s s
h
r
u
b
測定結果を用いてワイヤーフレーム凶を回転するんー法
戸l
l
h
c
t
i
c
a
.3
7
:5
7
3
5
8
5
s
p
c
c
i
c
s
.P
h
o
t
o
s
(ワイヤーフレーム凶回転法)が有効であった.多くの
H
o
r
i
c,T
.a
ndT
.U
dagawa. 1
9
71
. Canopyp
h
o
t
o
s
y
n
t
h
c
s
i
s
5月と夏季 (
7, 8月)に湾曲程度
果樹で,辰葉問もな L、
o
fs
u
n
f
l
o
w
c
rp
l
a
n
t
s
.l
t
sm
c
a
s
u
r
c
m
c
n
t
s and m
o
d
c
l
i
n
g
月と 9月には湾曲程度が小さくなった.
が大きくなり, 6
.
tl
n
s
.
t Ag
r
.S
c
i
.,S
c
r
. A. 1
8・ 1
5
6
B
u
l
L Na
石川栄助 1
9
6
4 実務家のための新統計学 p.
46 槙書庖
夏季における樹冠内各高さ別葉面傾斜角度分布を調査し
たところ,
宇形)およびカキでは,樹冠
リンゴ(特に 71
東京
:
1
届ほど水平型が多く,中間層や下層では弱 L、水平型や
l
v
a
n
o
v,N
.,P
.B
o
i
s
s
a
r
d,M. Chapron a
n
dP
. Va
1
c
a
r
y
中間型が多かった.モモでは樹冠高さによる分布形の変
1
cso
fo
r
i
c
n
t
a
1
9
9
4
.E
s
t
i
m
a
t
i
o
no
ft
h
ch
c
i
g
h
ta
n
da
n
g
化は少なかった.また,棚仕立てのセイヨウナシやニホ
t
i
o
no
ft
h
cu
p
p
c
r1
ca
v
c
si
nt
h
cm
a
i
z
cc
a
n
o
p
yu
s
i
n
g
s
t
c
r
c
o
v
i
s
i
o
n
.A
g
r
o
n
o
m
i
c
.1
4
:1
8
3
1
9
4
ンナシでは夏季男定を欠くと棚上層部に『郎、水平型が現
.J
.,J
. M. Norman a
n
dS
.T
.G
owcr. 1
9
9
8
K
u
c
h
a
r
i
k,C
れた. これらの結果から,葉面傾斜角度分布の樹冠内変
梢の傾きの違いが予想されたので,
動の主要因としてお7
ca
fo
r
i
c
n
t
a
t
i
o
n
,l
i
g
h
td
i
s
t
r
i
b
u
t
i
o
n
M
c
a
s
u
r
c
m
c
n
t
s of 1
ワイヤーフレーム凶回転法により調査,解析したところ,
ca
fa
r
c
ai
n ab
o
r
c
a
la
s
p
c
nf
o
r
c
s
.
tA
g
r
i
c
a
n
ds
u
n
l
i
t1
多くの樹種で新梢が立つほと。葉面傾斜角度は小さくなる
F
o
r
c
s
tM
c
t
c
o
r
o
L9
1
:1
2
7
1
4
8
黒岩澄雄 1
9
9
0 物質生産の生態学東京大学山版会東
傾向が認められた.
尽
Monsi,M and T
.S
a
c
k
i
.1
9
5
3
. Ubcr dcn L
i
g
h
t
f
a
c
t
o
ri
n
引用文献
d
c
nP
f
l
a
n
z
c
n
g
c
s
c
l
l
s
c
h
a
f
t
c
n und s
c
i
n
cB
c
d
c
u
t
u
n
gf
u
r
アジア航測株式会社. 1
9
9
8
. 計 測 名 人 (A
Dl
MS) Vcr
0
.
9
.
9 チュ
t
.1
5・2
2
5
2
d
i
cS
t
o
f
f
t
r
o
d
u
c
t
i
o
n
.J
a
p
.J
. Bo
Mullcn
,J
. L,C
.W
cinig a
n
dR
.P
.H
a
n
g
a
r
t
c
r
. 2006
トリアルマニュアル.アジア航測株式
ca
fi
n
c
1i
n
a
t
i
o
n
S
h
a
d
ca
v
o
i
d
a
n
c
candt
h
cr
c
g
u
l
a
t
i
o
no
f1
会社.東京.
r
a
b
i
d
o
p
s
i
s
. P
l
a
n
t,C
c
l
la
n
d Environmcn
.
t 2
9
i
nA
Bar
c
1
ay
,H
.J
.2001
.D
i
s
t
r
i
b
u
t
i
o
nof1
ca
fo
r
i
c
n
t
a
t
i
o
n
s
t
.7
9
:3
8
9
3
9
7
i
ns
i
xc
o
n
i
f
c
rs
p
c
c
i
c
s
.C
a
n
.J
. Bo
1
0
9
9
1
1
0
6
Bawhcy,C
. L,R
.H
.G
r
a
n
ta
n
d W. G
a
o
.2
0
0
3
.D
i
g
i
t
a
l
0
0
4
.S
c
a
s
o
n
a
lp
r
of
i
1
c
so
fp
o
l
a
r
i
z
c
dr
c
f
l
c
c
Shibayama,M.2
仕o
p
i
c1
ca
fr
c
s
p
o
n
s
ci
ns
o
y
b
c
a
n
m
c
a
s
u
r
c
m
c
n
t ofh
c
l
i
o
ca
fi
n
c
1i
n
a
t
i
o
nd
i
s
t
r
i
b
u
t
i
o
no
fw
h
c
a
tc
a
n
o
t
a
n
c
c and1
p
i
c
s
.P
l
a
n
tP
r
o
d
.S
c
i
.7
:3
9
7
4
0
5
c
u
l
t
i
v
a
r
sa
n
d1
ca
fc
x
p
o
s
u
r
ct
os
o
l
a
r UVB r
a
d
i
a
t
i
o
n
Shibayama,M. 2
0
0
6
. Radiomc
仕i
cc
s
t
i
m
a
t
i
o
no
f canopy
6
1
1
7
5
A
g
r
i
c
.F
o
r
c
s
tM
c
t
c
o
r
o
L1
2
0・1
.B
a
r
c
t,F
.A
r
i
c
s,B
.A
n
d
r
i
c
uandM.C
h
c
l
l
c
E
s
p
a
n
a,M.,F
1
ca
fi
n
c
1
i
n
a
t
i
o
na
n
g1
co
fv
a
r
i
o
u
sc
r
o
ps
p
c
c
i
c
su
s
i
n
g
1
9
9
9
.R
a
d
i
a
t
i
v
ct
r
a
n
s
f
c
rs
c
n
s
i
t
i
v
i
t
yt
ot
h
ca
c
c
u
r
a
c
yof
m
u
l
t
i
b
a
n
dp
o
l
a
r
i
z
a
t
i
o
na
n
dr
c
f
l
c
c
t
a
n
c
c
.P
l
a
n
tP
r
o
d
5
6
1
6
0
S
c
i
.
9・ 1
canopy s
t
r
u
c
t
u
r
cd
c
s
c
r
i
p
t
i
o
n
. Thc c
a
s
c of a m
a
i
z
c
Shibayama,M. and Y
.W
a
t
a
n
a
b
c
.2
0
0
7
.E
s
t
i
m
a
t
i
n
gt
h
c
c
a
n
o
p
y
. Agronomic 1
9
:2
4
1
2
5
4
2
7
1
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
7
8
mcan l
c
a
fi
n
c
l
i
n
a
t
i
o
na
n
g
l
co
fw
h
c
a
tc
a
n
o
p
i
c
su
s
i
n
g
.
tP
l
a
n
tP
r
o
d
.S
c
i
.1
0
:3
2
9
3
4
2
r
c
f
l
c
c
t
c
dp
o
l
a
r
i
z
c
dl
i
g
h
坪井八十二
1
9
7
4 新編農業気象ハンドブック
p
.
7
8
0
養賢堂東京
宇田川武敏 1
9
8
0 作物個体群の葉群構造とそのモデル
化農技研報 D
.31: 127-202
U
t
s
u
g
i,H
.,M.A
r
a
k
i,T
.K
awasakiandM.l
s
h
i
z
u
k
a
.2006
Vc
r
t
i
c
a
ld
i
s
t
r
i
b
u
t
i
o
n
so
fl
c
a
fa
r
c
a and i
n
c
l
i
n
a
t
i
o
n
a
n
g
l
c, and t
h
c
i
r r
c
l
a
t
i
o
n
s
h
i
p i
n a 4
6
y
c
a
r
o
l
d
Chamaecyparis o
b
t
u
s
as
t
a
n
d
.F
o
r
c
s
t Eco
l
. Managc
2
2
5
:1
0
4
1
1
2
V
i
c
t
o
r
,L
.
, H
.G
.B
a
r
r
a
d
a
s,G
.J
o
n
c
s and J
.A
.C
l
a
r
k
1
9
9
9
. Lcafo
r
i
c
n
t
a
t
i
o
na
n
dd
i
s
t
r
i
b
u
t
i
o
ni
naP
h
a
s
e
o
/
u
s
. c
r
o
p a
n
d t
h
c
i
r r
c
l
a
t
i
o
n t
o l
i
g
h
t
v
u
/
g
a
r
i
s L
.
tJ
.B
i
o
m
c
t
c
o
r
o.
l4
3
:6
4
7
0
m
i
c
r
o
c
l
i
m
a
t
c
.l
n
Wang,W. M.,Z
.L
.L
ia
n
dH
.B
.S
u
.2
0
0
7
. Comparison
ofl
c
a
fa
n
g
l
cd
i
s
t
r
i
b
u
t
i
o
nf
u
n
c
t
i
o
n
s
:E
f
f
c
c
t
sonc
x
t
i
n
c
t
i
o
nc
o
c
f
f
i
c
i
c
n
ta
n
d 仕a
c
t
i
o
no
fs
u
n
l
i
tf
o
l
i
a
g
c
.A
g
r
i
c
F
o
r
c
s
tM
c
t
c
o
r
o
l
.1
4
3
:1
0
6
1
2
2
W
c
l
l
c
s,1
.J
.a
n
dJ
.M.Norman. 1
9
91
.l
n
s
t
r
u
m
c
n
tf
o
ri
n
d
i
r
c
c
tm
c
a
s
u
r
c
m
c
n
tofc
a
n
o
p
ya
r
c
h
i
t
c
c
t
u
r
c
.AgronomyJ
8
3
:8
1
8
8
2
5
. a
n
dJ
.W
a
r
r
c
n
.1
9
6
3
.E
s
t
i
m
a
t
i
o
n off
o
l
i
a
g
c
W
i
l
s
o
n, J
d
c
n
s
c
n
c
s
s a
n
d f
o
l
i
a
g
c a
n
g
l
c by i
n
c
l
i
n
c
d p
o
i
n
t
.
tJ
. Bo
.
t1
1・9
5
1
0
5
q
u
a
d
r
a
t
s
. Aus
山本隆儀 1
9
9
9 果樹園光環境解析システム (OLEAS)
山形大学紀要(農学) 1
3
:8
9
1
1
6
Yamamoto,T
.
, K
.MiyamotoandY
.S
a
t
o
h
.2
0
0
5
. R
a
p
i
d
戸l
l
h
c
t
i
c
and s
i
m
u
l
t
a
n
c
o
u
sa
p
p
r
o
x
i
m
a
t
i
o
n
s of p
h
o
t
o
s
p
h
o
t
o
nf
l
u
xd
c
n
s
i
t
ya
n
dn
c
tp
h
o
t
o
s
y
n
t
h
c
t
i
cr
a
t
ci
na
口yt
r
c
ccanopybyt
h
c
r
m
a
li
m
a
g
i
n
g
.J
.J
a
p
a
n
.S
o
c
c
h
c
0
1
1
0
8
H
o
r
t
.S
c
i
. 74・ 1
山本隆儀・
:
1田仁悦・小泉弘樹・岡沢滝太 1990 落葉
果樹の樹冠内放射の減衰係数とその推定パラメータ
1 :1
5
5
1
7
6
山形大学紀要(農学) 1
山本隆儀
.
'
8田裕美・野円マキ・奥山定治
2004 樹冠
情報の長期予測を目的とした果樹の樹形構築解析シ
ステム (CACOAS) の 開 発 山 形 大 学 紀 要 ( 農 学 )
1
4:5
9
9
3
山本強
1
9
8
3
. Thc 3 D
i
m
c
n
s
i
o
n
a
lC
o
m
p
u
t
c
r
G
r
a
p
h
i
c
s
p.
20
21
. CQ山 版 東 京
2
7
2
山形大学紀要(農学)第 1
5巻 第
4号 :2
7
3
2
9
2
. 平成 2
1年 2月
Bul.
l Yamagata Univ.,Agr
.S
c
i
.,1
5
(
4
):2
7
3
2
9
2
.Feb. 2
0
0
9
若年層の住宅問題に関する研究
一山形県鶴岡市在住の大学生を対象に(学生と居住)
j
町 ・ 撞 谷 聡 志*1)
菊間
*山形大学農学部生物環境学科森林環境資源学講座
1l現在:東京都在住
(平成 2
0年
9月1
8
R受理)
A studyont
h
ehousingproblemso
fyoungp
e
o
p
l
e:
Ac
a
s
e studyo
fTsuruokaC
i
t
y,YamagataP
r
e
f
e
c
t
u
r
e
MitsuruKIKUMA andS
a
t
o
s
h
i SHIBUYAjJ
ホ
本
ホ
Section of Forest Environment Resources,Department of Bioenvironment,Faculty of Agriculture,
Yamagata University,Tsuruoka 9
9
7
8
5
5
5,Japan
JResident in Tokyo
j
(Received September 1
8,2
0
0
8
)
Summary
1uded出 f
o
l
l
o
w
s
;
The a
u
t
h
o
ra
n
a
l
y
z
e
dt
h
eh
o
u
s
i
n
gp
r
o
b
l
e
r
n
so
fyoungp
e
o
p
l
ei
nr
e
c
e
n
ty
e
a
r
s andconc
h
ea
u
t
h
o
rr
n
a
d
es
t
a
t
i
s
t
i
c
a
la
n
a
l
y
s
i
s
. The d
a
t
awaλcollected f
r
o
r
n an
u
r
n
b
e
ro
fs
o
u
r
c
e
s
:
Y
a
r
n
a
g
a
t
a
F
i
r
s
t,t
町γof¥
la
t
i
o
n
a
lf
e
d
e
r
a
t
i
o
no
fU
n
i
v
e
r
s
i
t
yc
o
o
p
e
r
a
t
i
v
ea
s
s
o
c
i
a
t
i
o
n
si
nJ
a
p
a
n,g
o
v
e
r
n
r
n
e
n
t
u
m
v
e
r
s
l
t
y,mqu
f
i
g
u
r
e,and Y
a
r
n
a
g
a
t
aP
r
e
f
e
c
t
u
r
ef
i
g
u
r
e
. Second,t
h
ea
u
t
h
o
rc
a
r
r
i
e
do
u
t aq
u
e
s
t
i
o
n
n
a
i
r
es
u
r
v
e
yo
f1
4
3
r
n2
0
0
3to 2
0
0
7
.According to the result
s
t
u
d
e
n
t
so
fY
a
r
n
a
g
a
t
aU
n
i
v
e
r
s
i
t
yd
e
p
a
r
t
r
n
e
n
to
fa
g
r
i
c
u
l
t
u
r
e 什o
片s
i
s and t
h
eq
u
e
s
t
i
o
n
n
a
i
r
es
u
r
v
e
y,t
h
e house r
e
n
tr
n
a
d
e up n
e
a
r
l
y5
0
% of the
o
fs
t
a
t
i
s
t
i
c
a
la
n
a
e
x
p
e
n
d
i
t
u
r
eo
ft
h
eyoungp
e
o
p
l
e
. Asf
o
rt
h
es
i
t
u
a
t
i
o
no
ft
h
es
t
u
d
e
n
ta
p
a
r
t
r
n
e
n
t
s,t
h
el
i
v
i
n
ga
r
e
aandt
h
e
. The r
e
s
i
d
e
n
c
ea
r
e
a
s were r
n
u
c
hi
n
f
e
r
i
o
rt
ot
h
e
sound i
n
s
u
l
a
t
i
o
no
ft
h
er
o
o
r
n were p
a
r
t
i
c
u
l
a
r
l
yi
n
f
e
r
i
or
r
n
i
n
i
r
n
u
r
nh
o
u
s
i
n
gs
t
a
n
d
a
r
d
st
h
a
t ac
o
u
n
t
r
γ
e
s
t
a
b
l
i
s
h
e
d
.
o
v
e
r
n
r
n
e
n
t
s and l
o
c
a
l
For t
h
ei
r
n
p
r
o
v
e
r
n
e
n
to
ft
h
er
e
s
i
d
e
n
t
i
a
lq
u
a
l
i
f
i
c
a
t
i
o
n
so
f young p
e
o
p
l
e,g
g
o
v
e
r
n
r
n
e
n
t
ss
h
o
u
l
d change t
h
ee
x
i
s
t
i
n
gp
u
b
l
i
ch
o
u
s
i
n
gp
o
l
i
c
y
. The l
o
c
a
lg
o
v
e
r
n
r
n
e
n
t
si
np
a
r
t
i
c
u
l
a
r
s
h
o
u
l
dp
e
r
r
n
i
ts
t
u
d
e
n
t
st
oe
n
t
e
rp
u
b
l
i
ch
o
u
s
i
n
g
. The e
d
u
c
a
t
i
o
np
o
l
i
c
ya
l
s
oh
a
st
os
u
p
p
o
r
tt
h
es
t
u
d
e
n
t
s
r
e
s
i
d
e
n
c
e
Adequate r
e
s
i
d
e
n
t
i
a
l q
u
a
l
i
f
i
c
a
t
i
o
n
s s
h
o
u
l
d be g
u
a
r
a
n
t
e
e
df
o
rt
h
e independence o
ft
h
e young
p
e
o
p
l
e
.T
h
i
si
s
s
u
ei
ss
t
r
o
n
g
l
yr
e
l
a
t
e
dw
i
t
ht
h
eh
o
u
s
i
n
gp
r
o
b
l
e
r
n
si
nJ
a
p
a
n nowandt
h
es
o
l
u
t
i
o
n
sf
o
rt
h
e
f
u
t
u
r
e
.
Key words
r
o
b
l
e
r
n o
fh
o
u
s
i
n
g, l
o
w h
o
u
s
i
n
g s
t
a
n
d
a
r
d, p
u
b
l
i
c h
o
u
s
i
n
g p
o
l
i
c
y,
young p
e
o
p
l
e, p
i
n
d
e
p
e
n
d
e
n
c
eo
fyoung p
e
o
p
l
e
キーワード:若年層,住宅問題,低凶住水準,公共住宅政策,若年屈の自立
2
7
3
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
8
0
みの凶住水準と住まいノらを司能とする力となるに違いな
I 問題の所在
、
L
2
. 研究の方法と対象の意義
1.課題の意義
住宅問題への戦後の政府の取り組みは基本的に持ち米
6
イ干の基本的人権に関わる下色
住宅問題は,先ずもって )
政策に置かれ,それは同時に既婚者世帯を対象とした家
体,つまり人間と社会との在りノらの問題である.それは,
族対策としての住宅政策としても展開してきた.その結
先ず1':に住宅の価格等に関する経済的問題,次に住宅の
果,学生を含む若年屈の住宅問題についてはその社会的
機能などに関する凶住性の問題,さらに地域社会との関
な重要性にもかかわらず,凶と地ノら自治体は住宅政策,
わりなどの社会的問題として, ~つの側面から分析する
社会政策,文教政策にわたって,政策的な関心を示すこ
ことができる. このうちとりわけ重要なのは経済的問題
とはなかった 1) それは介護制度の変更による在宅介護
である.小論ではこの点に焦点を絞り,第 2章 (
I
I
)で
の必要性等から,高齢者の住宅問題が近年社会的な関心
は大学生の支山を中心とした生活状況と住宅問題につい
を集めている状況とは極めて対照的である.
て,また併せて山形県内に限定した住宅・土地問題の経
1
住生活の安定の確保及び向上の促進に関する
施策について,基本理念、を定めた」住生活基本法 (
2
0
0
6
済分析について,いくつかの統計結果を用いて考察した.
年)においても,1':な対象は低額所得者,被災者,高齢
間にわたって実施した学生住宅実態調査の結果を分析し
また,
第 3章 (I
I
I
) では,山形大学農学部学生に対して 5年
者,子どもを育成する家庭の凶{干の安定確保に限定され
た.山形大学農学部学生をアンケート対象とした理由は,
(
第6
条),若年屈はその他住宅の確保に特に配慮を要す
第 lに2
0
0
0年凶勢調査で鶴岡市における 2
0歳入円のおよ
る者にも含まれず,そのため若年層と学生は政府の公営
そ2
0%を占める,地域で最多の若年屈であり,第
住宅制度の枠外に置かれている.若年層向けの公営の共
形キャンパスでの 1年間の教養教育修了後,鶴岡市への
2に山
同住宅は存在しないため,民間の共同住宅つまりアパー
転凶を強いられ,う│っ越し費用,敷金,権利金(礼金)
トへの入凶を強いられ,若年屈の住宅問題は社会的な問
などの支山を二度強いられる,いわば会種の住宅難民で
題とは認識されていない.高齢者屈の暮らしと住まいの
あるからである. こうした意味で,調査対象の典型例と
課題が社会的問題とされることはあっても,若年層や大
しての意義を認めることができる.
学生については多くは論ぜられてはこなかった. したがっ
第 4章 (N) では,第 2章と第 3章の結果を踏まえて,
て,その実態に関する調査研究の蓄積も決して多くはな
地域にとって大学生の存在が果たす社会的役割を考察し,
いといえる
大学生屈を含む若年層今般の住宅問題の解決へ向けた若
2)
しかし,住宅は未来を担う若い世代の社会的自立にとっ
干のオルタナティフな政策的提起を試みた.
ては衣食と同禄に,否それ以上に重要な存在である.異
なる凶米制度や民族性の差異を考慮しでも,
成年は極力生家を離れ,
1
8歳以上の
H 支出に占める住居費(家賃)
会戸を構えて世帯下ーとして自立
する社会を歴史的に形成してきたドイツ等の社会の対応
は,日本の若年屈の住宅問題を考える
1.住居費の生活に占める位置
:
1て、極めて示唆的
である.若い世代のより良い凶住環境は,
ドイツ社会の
ように独立した世帯下ーとしての自覚と行動から生まれ
具体的な住凶費の分析に入る前に,現在の大学生が置
かれている経済状況を確認してみよう.
る 3) 先進凶内での日本の低凶住水準"と,所詮,アパー
先ず,
2
0
0
7年に全凶大学生活協同組合連合会が 4年制
トは今戸を構えるまでの仮住まいという日本社会の認識
の凶公立・私立の 8
1大学の学生 9
,7
3
6人(回収数)に行っ
が,住宅運動への若年屈の無自覚と諦めを生んでいる.
た実態調査 (
1第 4
3回学生の消費生活に関する実態調査
しかし,仮に若年期に自立した豊かな凶住を享受し,豊
報告書 J
,以下「大学生協連調査」と略す)では,表
かな住生活の意義を理解できたならば,将来の日本の住
lのように「暮らし向き」については, 2
0
0
0年と 2
0
0
7年
宅問題は現在よりはるかに良い水準での解決を必須とし
の統計数値を対比すると,
また,司能にするだろう:))それは日本社会が先進凶並
1来なノら計 J
) が2
0
0
0年の 4
0
.
6
%から 2
0
0
7年の
の合計 (
2
7
4
1
大変来なノら」と「来なノら」
若年屈の住宅問題に関する研究
菊間・泣谷
81
1 暮らし向き
表
単
イ
す '
)も,ポイント
暮らし向き
年次
大変苦し
大変楽な
苦しい計
楽な方 楽な方計 普 i
亘 苦しし、
、
し
方
2000
9
.
6
31
.0
4
0
.
6
4
6
.
6
1
0
.
6
1
.
7
1
2
.
3
2005
11
.
7
3
2.
4
4
4
.
1
4
5
.
3
9
.
0
1
.4
1
0.
4
2007
1
2
.
5
1
0
.
9
3
3
.
8
4
4
.
7
41
.
1
1
0
.
8
1
.
7
増 減
2000-2005
1
.4
3
.
5
1
.9
0
.
3
2
.
11
1
.61
2005-2007
0
.
8
1
4
.
21
2
.
1
1
.4
0
.
6
0
.
3
1
.81
2000-2007
2
.
8
4
.
1
5
.
51
0
.
0
0
.
2
0
.
21
1
.31
計
9
9
.
5
9
9
.
8
9
8
.
3
資料:全凶大学生協連「第 43回学生の消費生活に関する実態調査 J(2007)より作成
注:言│は無回答を除く.
2 経済状況
表
単1
¥
7
:
:
i
'
I
'
, ')も,ポイント
経済状況
年 次
I
余裕るがあ I
やがやあ余る裕 I
余裕る計があ I
通│やや苦し│非常に苦│苦しい計│ 計
い
しい
実数
3
1
1
1
5
8
1
1
2
9
3
1
7
4
1
3
6
7
1 1
.259
12
63
:
1
8
1
1 ,
3
2
5
1
5
5
7
1
3
0
4
1
7
7
1
構成比
1
0
0
2
51
4
61
2
31
61
2
91
2
61
241
1
0
0
441
61
3
01
。
。│
21
廿
日
2000 1
2005 1
1
4
2
1
1
3
9
1
1
6
9
1
1
8
6
1
2000 1
2005 1
増減│
111
111
。│
1
31
1
51
資料:山形大学「学生生活実態調査報告書 J(2000, 2005年度)より作成
44.7%となり 4
.
1ポイント増加した.また, 1
苦しい」と
「大変苦しい」との合計 (
1苦しい訂 J
) が 12.3%から 1
2
.
5
%となり 0
.
2ポイント増加した. これに対して,
1
普通」
.
5ポイントも減少した. 1普
は46.6%から 41.1%となり 5
言I
Jの44.7%より少ない.つまり,生活に余裕があると
回答した割合が小さいことが特徴的である. これは,山
形大学学生の山身者が多い東北地んーの景気回復の遅れを
反映したものと見られる.
通」の減少は, 2000年から 2005年では1.3ポイントの減,
次に,支山に占める住凶費の割合について考察する.
2005年から 2007年では 4
.
2ポイントの減であったので,
文部科学省と独立行政法人日本学生支援機構による「学
年々減少本が大きくなっている. こうした傾向から,
生生活調査 J(以下,
こ
1
文科省等調査」と略す)では,大
の聞の格差のある「好景気」を反映した二極化傾向が学
学・昼間部(下宿・間借り等)の住凶・光熱費の支山に
生生活の中にもうかがえる.
3
.
0
占める割合は,平均で 2000年の 24.6%から 2006年の 2
また,表
2のように,山形大学が実施している「学
生生活実態調査報告書 J(以下,
1
山形大学報告書」と略
す)により, 2000年と 2005年の経済状況を対比すると,
%に1.6
ポイント減少した(表
3).凶立大学でも 3
1
.2
%から 29.9%に1.3ポイント減少した. しかし,支山額
のおよそ 3剖を凶住費用が占める状況には変わりはない.
「余裕がある」と「やや余裕がある」との合言 1 (
1余裕が
み, 1大学生協連調査」により, 2007年の学生の支
ある訂 J
) が 25%から 26%となり 1ポイント増加した.
山状況を,自宅生,下宿生,寮生などに分けて示したの
1苦しい訂 J
)も
「やや苦しい」と「苦しい」との合計 (
が表
29%から 30%となり 1ポイント増加している.そこには,
生会館・食事付下宿・知人宅凶住が下宿生と定義されて
lと同禄の傾向が示されるが,設問内容と調査年次
いる. 1ヶ月の支山平均を見ると住凶費が平均で 32%を
表
4である. ここでは,アパート・マンション・学
1
山形大学報告書」は「余裕が
占めるが,下出生では 45%,下出生と寮生を合計した自
あるノら」が 26%となり, 1大学生協連調査」の「来なん
宅外生では 44%に達している.支山項 Hの第 2位の食費
は若干異なるとはいえ,
2
7
5
山形大学紀要(農学)第 15号 第 4号
8
2
表
3 大学・昼間部学生(下宿・間借り等)の住居・高熱費と支出に占める割合
資 料 1 :I
学生生活調査 J(2000と2002年度は文科省, 2004と2006年度は独立行政法人日本学生支援機構)より作成
2 :2006年度年間支山(平均)の第 1位は住!己J
・光熱費であり,第 2位は授業料である.
3:私立で住凶・光熱費の割合が相対的に低いのは高授業料もその会因である.
表
4
居住先別の支出構成 (2007年)
単f
す円,%
項目
食費
住居費
交通費教養娯楽 書籍費
費
片宅生
下宿生
寮生
自宅外生
平均
11
.2
9
0
2
5,
1
1
0
2
4,
2
5
0
2
5,
0
6
0
2
1,
1
2
8
4
4
0
5
6,
1
2
0
2
2,
1
3
0
5
4,
2
2
0
3
3,
2
2
8
9
.
9
:
1
0
3
,
7
0
0
4,
9
7
0
3
,
7
7
0
5,
5
9
3
7
.
9
:
1
0
9,
1
6
0
9,
2
3
0
9,
1
6
0
8,
8
7
0
2
.
1
4
0
2,
5
2
0
2,
6
1
0
2,
5
2
0
2,
1
1
8
片宅生
下宿牛
寮土
自宅外生
平均
1
9
2
0
2
4
2
0
2
1
l
1
7
4
5
2
2
4
4
3
2
3
5
3
5
1
:
1
7
9
4
2
3
2
2
円
9
勉学費
日常費
電話代
その他
貯
繰
金
越・ 支出合計
特別費
芙数
J
.
:
l9
0
1
.
78
0
1
,
6
5
0
1
,
7
7
0
1
,
6
1
8
構成比
2
2
2
7
.
2
6
0
1
6
0
8,
8,
2
4
0
8,
1
6
0
7
,
9
5
5
:
1
.
8
2
0
5.
41
0
4,
8
0
0
5
,
3
8
0
1,
8
5
3
2
.
9
1
0
6
4
0
3,
5
,
0
9
0
3,
7
2
0
3,
8
1
0
11
.8
8
0
9,
8
5
0
1
8,
2
8
0
1
0,
3
2
0
1
2,
5
8
3
5
8
.
9
9
0
1
2
5.
44
0
1
0
,
12
4
0
1
2
4,
0
9
0
1
0
2,
1
1
0
1
2
7
8
7
8
6
4
5
4
5
2
0
日
H
1
0
0
1
0
0
1
0
0
1
0
0
1
0
0
5
3
d
戸
t
1
8
8
1
2
1
8
:
1
.
9
0
0
7
0
0
2
0
5,
2
0
9,
1
0
0
2
0
6,
0
0
0
2
01
,
17
5
資料:全凶大学生協連「第 43回学生の消費生活に関する実態調査 J(2007) より作成
表
5
1ヶ月の生活費(下宿生)に占める住居費の地域的割合 (2007年)
単位円,%
地 域 │ 全 国 │ 北 海 道 │ 東 北 I1都 3県 │ 北 伝 │ 東 海 │ 爪 都 │ 北 陸 │ 大 阪 │ 神 戸 │ 中 四 │ 九 州
実数
支出合計 125,
440I108,
320I1
1
6,
440I1
4
1,
320I1
0
3,
870I1
2
0,
090I1
2
9,
020I1
1
5,
230I1
1
7,
520I1
3
2,
970I1
0
7,
890I1
0
5,
870
住居費 I 56,
1
2
0I 50,
590I 5
2,
070I 66,
270I 49,
270I 5
2,
720I 56,
1
6
0I 49,
680I 52,
1
7
0I 5
7,
640I 45,
940I 46,
080
食 費 I 25,
1
1
0I 2
1,
200I 2
,
16
60I 27,
1
4
0I 1
8,
640I 24,
480I 26,
620I 24,
900I 22,
040I 24,
920I 22,
700I 20,
790
構成比
支出合計
1
0
0
1
0
0
1
0
0
1
0
0
1
0
0
1
0
0
1
0
0
1
0
0
1
0
0
1
0
0
1
0
0
1
0
0
住居費│
44
45I
47I
45I
47I
47I
44I
44I
43I
44I
43I
43I
食費│
2
0
20I
20I
1
9I
1
9I
1
8I
20I
2
1I
22I
1
9I
1
9I
2
1I
資料:全凶大学生協連「第 43回学生の消費生活に関する実態調査 J(2007)より作成
表
6 支出に占める住居費と食費の推移
単位円,%
次 I 1980 I 1985 I 1990 I 1995 I 2000 I 2005 I 2006 I 2007
実 数
支出合計
82,
020I100,
020I119,
000I129,
190I133,
970I122,
600I126,
060I125,
440
住居費 I 19,
920I 27,
770I 41
.
140I 48,
430I 54,
140I 55,
260I 55,
920I 56,
120
食 費 I 28,
800I 31
,
130I 3
,
1490I 3
,
1410I 28,
170I 24,
880I 25,
090I 25,
110
構成比
支出合計│
100I
100I
100I
100I
100I
100I
100I
100
住居費│
24I
28I
35I
37I
40I
45I
44I
45
食費│
20
35I
31 I
26I
24I
21 I
20I
20I
年
資料:全凶大学生協連「第 43回学生の消費生活に関する実態調査 J(2007) より作成
2
7
6
若年屈の住宅問題に関する研究
菊間・泣谷
8
3
は
, {干凶費ほどの変動はない.同第 3位は貯金・繰越金
活支持者(両親等)から支払われ,自ら負担する必要と
であるが,食費と比べて変動が大きい.なお,
支払う機会がないためか,または自ら支払う場合でも銀
この場合
の住凶費は光熱水費を含むものである.
行振込などのため,関心が著しく低くなるものと考えざ
:
1述の「文科省等調査」と比較すると
るを得ない.仮に同禄の調査を,学生の生活支持者を対
2
0ポイント以上高いこと, しかも年々増加傾向にある点
象に実施した場合は,学生とは異なった傾向が示される
文科省等調査」が,果たして
に注 Hせざるを得ない. I
司能性が極めて高い.なお,住 )
6費の節約が,凶立大学
学生生活の実態を反映したものであるか否かについては
.
6
%に対して,私立大学生で
生の 2
検討の余地があろう.
のは,生活支持者の所得格差を反映したものと推測でき
住凶費の割合が
「大学生協連調査」により,もっとも深刻な住凶費問
1.3%と
、'
l
分になる
る.
題を抱えている下宿生に絞り,その地域的傾向を見たも
こうした学生自身の住凶に関する無関心傾向は,
この
5である.支山合言│金額と住凶費(絶対値)は
聞の凶住条件の会定の改苦を反映したものでもあろう.
ともに,最低賃金の地域性と同禄に,日本の中央部で高
「山形大学報告書」によれば,部屋の広さで 6畳以下の
のが表
く周辺部で低い. しかし,その構成比も 4
3%から 47%の
割合は 2
0
0
0年の 29%から 2
0
0
5年の 28%へと
範囲にあることから,支山に占める住凶費に関しては大
少し,同禄に
きな地域差が認められな L¥点が注 Hされる. 日本の学生
へと 4ポイント増加したからである. したがって,表
の住生活には,成人社会の実態を先取りして,地域性が
7に示されるように, I
山形大学報告書」では現在の住
まいへの満足度に関し, I
満足している」が 2
0
0
0年の 6
5
%から 2
0
0
5年の 69%へと 4ポイント増加している.なお,
なくなっているとも解釈することもできる.
引き続き「大学生協連調査」により,今や支山の、'
l
分
会定の改善が認識できるとはいえ,畳数で 4畳、│モ以下の
近くを占めるまでになった第 l位の住凶費と,さらに第
2位の食費について,その構成比の推移を 1
9
8
0年以降,
9
8
0年には,
時系列に考察してみたい.表 6によれば, 1
l位が食費で 35%,第 2位が{干 )
6費で 24%であったの
が
, 1
9
8
6年に住凶費が食費を│今回って 30%となり,支山
第
1ポイント減
8畳以下と 1
0畳以下の合言│が 64%から 68%
割合も
2%から 5%に 3ポイント増加している.先に指
摘した凶立・私立別格差と同禄に,生活支持者の所得格
差を反映したものとして看過できな L¥点である.
{)
6費はそれ以降,毎年増加して,
の第 l位になった. 干
2
. 山形県内の家賃と地価
2
0
0
7
年には食費の倍以上の 4
5%を占めるまでになった.
2
7年間で,構成比はほぼ倍増したことになる.なお, こ
表
8は
, I
平成 1
5年住宅・土地統計調査 J(総務省)
れらの変化の根底にあるのが,地代家賃の限度額を定め
より作成した山形県内の 1ヶ月の家賃と間代の合言 1 (
家
8
7
年
)
, I
新借地借家法」
た「地代家賃統制令」の廃止(19
賃うを示している.山形県の 4
2,8
0
1円に対して,
法」の改思,つまり市場主義に迎合した政府の住宅政策
:
1位か
7,5
8
9円,山形市4
7,3
6
9円,寒河江市4
7,2
0
4円
ら天童市4
2,7
5
8円が入ってくる.鶴
の順となり,第 4位に鶴岡市4
土内地域の酒田市 (
3
7,6
3
0円)と比較して
岡市は同じ j
等にあることはいうまでもない.
1
.
13
倍となり,その高さが明らかになる.また,山形大
9
2年 8
月
)
, I
定期借
の施行による定期借地権の創設(19
家法」の創設
(
1
9
9
9年 1
2月),に至る会連の「借地借家
以上の諸事実から,学生生活にとって凶住の問題,つ
学農学部学生と同禄に教養教育修了後 l こ~学部学生が転
まり住宅問題は先ず住凶費,つまり経済的な問題として
凶する米沢市の場合は 3
9,8
5
9円と県内でも低いんーの価格
顕在化していることは会 H瞭然、である.ところで,この
会位から米
である. しかし,岡市は同じ地価帯の 4市 (1
問題に対して凶住の主体である学生がどのような認識を
1
1
員)の中では最高位で
沢市,新庄市,南陽市,長井市の 1
持っかは,経済的な客観性とはまた別の問題である.
ある. したがって,現象的には山形県内では,地域人円
2
0
0
7年で「節約・上犬し
J(
2つ選択 )J のうち, 2
0項 H中で第 l位
たい支山費 E
に占める山形大学の学生数の割合が高い市ほど,家賃が
「大学生協連調査」によれば,
高い傾向にあることが明らかになる.
(
6
2
.
9
%
),第 2位は晴好品(19
.
2
%
),第 3位
は衣料品代(13
.
6
%
) であり, 干
{)
6費は第 1
6位 (
2
.
0
%
)
的な需給状況及び凶住者の生活費に地域的な左がないと
と低位にある. この原因については,住凶費は学生の生
すれば,②~然,地価にもっとも規定されるものと考え
家賃,つまりアパート代は,①借家のストックと短期
は外食費
2
7
7
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
84
表
7 現在の住まいの満足度
単1
¥
7
:
:i'I',も,ポンイト
現在の住まいに満息していますか
年次│満足して│我慢して│転居した│その他│ 言
十
いる
し
、
る
い
実 数
2000 1
.260
8
2
1
1
2
8
6
1
1
4
1
1
1
2
1 1
1264
2005 1
8
7
7
1
2
6
1
1
1
1
4
1
1
2
1 ,
構成比
2000 1
6
51
2
31
111
11
1
0
0
2005 1
691
2
11
91
11
1
0
0
。│
。
増減│
41
21
21
資料:全凶大学生協連「第43回学生の消費生活に関する実態調査 J(
2
0
0
7
) より作成
表
8 山形県内の家賃・間代と地価 (
2
0
0
3年)
単位円
地域・市
│村山地域
山~巾
寒i
可江市
上山市
村山巾
天童市
東根市
尾花沢市
最上地域
新庄市
11亘 ~ðr也現比
米沢巾
長井市
南陽市
庄内地域
鶴岡巾
酒田市
山形県
1ヶ月当たり家賃・間代
1ヶ月当たり共益費 -管理費 1
ヶ月の塁手
賃・間代
家賃5
0円 家賃5
0円
家賃5
0円 家賃5
0円
等の
未満を
未満を
平均
未満を
未満を
平均
之
仁
〉1
、
雪
ロ
+
合む
合まない
合む
合まない
4
3,
925
4
5,
035 44,
480
819
2,
449
1
,
634 4
6,
1
1
4
4
5
.
0
4
8
4
6,
207 4
5
.
6
2
8
8
8
1
2
.
6
0
0
1
.
74
1 4
7
.
3
6
9
45,
374
4
6,
286 4
5,
830
6
2
5
2,
1
2
3
1
,
374 4
7,
204
43
1
1
,
45
3 3
6,
716
3
4,
6
3
1
3
5,
895 3
5,
2
6
3
474
2,
3
3
.
7
9
9
3
7,
377 3
5
.
5
8
8
486
1
.2
2
2
854 3
6.
44
2
45,
932
4
6,
675 46,
,
19
:
1
2
,
12
85 4
7,
5
8
9
304
6
3
7
40,
285
4
1,
060 40,
673
6
6
5
2,
3
6
1
1
,
5
1
3 4
2,
1
8
6
2
9
.
3
3
6
2
.
2
3
3
2
.
6
3
7 3
2
.
9
7
7
31
.343 3
0
.
3
4
0
3
.
0
4
1
3
4,
642
3
6,
238 3
5,
440
1
,
339
3,
387
2,
3
6
3 3
7,
803
3
6.
44
8
:U87
2.
466 3
9
.
1
6
2
3
6
.
9
4
4 3
6
.
6
9
6
1
.544
3
5,
1
1
1
3
6,
6
8
1 3
5,
896
1
,
5
2
3
2,
898
2,
2
1
1 3
8,
10
7
1
.
78
2
3
.
1
9
7
2.
490 3
9
.
8
5
9
3
6
.
9
0
6
3
7,
832 3
7
.
3
6
9
34,
41
6
3
5,
502 3
4,
959
833
2,
1
3
8
1
,
486 3
6,
445
3
5
.
8
9
0
3
7
.
3
2
1 3
6
.
6
0
6
7
7
5
2
.
0
8
1
1
.428 3
8
.
0
3
4
3
6,
653
3
7,
906 3
7,
280
7
2
3
1
,
919
1
,
3
2
1 3
8,
6
0
1
4
1,
049
4
1,
805 4
1,
427
7
4
5
1
,
917
1
,
3
3
1 4
2,
7
5
8
3
6
.
0
6
9
3
6
.
7
1
0 3
6
.
3
9
0
6
1
8
1
.8
6
1
1
.240 3
7
.
6
3
0
4
0,
447 4
1,
716 4
1,
0
8
2
948
2,
489
1
,
719 4
2,
8
0
1
地価
(ば)
8
8
.
6
0
0
4
5,
000
44,
3
0
0
4
0
.
0
0
0
64,
7
0
0
3
4,
000
21
.800
4
8
.
1
0
0
4
8
.
1
0
0
4
8,
1
0
0
4
8
.
1
0
0
4
0,
3
0
0
4
4
.
5
0
0
資料:総務省「平成 1
5年住宅・土地統計調査 J
,山形県「平成1
5年 地 価 公 示 」 平 成1
5年
1月 1日現在,より作成
注地価は住宅地の平均価格
られるが,③地価に規定されないとすれば,それは政策
ると,家賃(アパート代)は鶴岡市が高く,酒田市が安
変数,例えば,地域のアパートの基準となるような公的
い.①の l 世帯~たりの借家数で見たストックは,両市
共同住宅,つまり公営住宅の価格に規定されることにな
とも 0
.
2
4戸と同数である (
1平 成 1
5年 住 宅 ・ 宅 地 統 計 調
ろう.
査」より)ことから,家賃の基礎には
凶
:
1
述の②を基礎と
ここでは,①を前提に,地価との相関を見てみよう.
して,さらに③の問題が関連していると考えられる. し
lの散布凶から,そうした傾向がある程度明らかに
たがって,両市の市営住宅の価格が地域の家賃水準を規
なる.山形県内各市の地価(住宅地の平均価格)は,先
定している司能性も否定できない.
この点に関連して酒田市には岡市が中心となって設立
の「平成1
5年住宅・宅地統計調査」と同年調査の「平成
1
5年 地 価 公 示 J(平成 1
5年 1月 1日現在,山形県)より
求めたものである.凶
した第 3セクタ一応式の東北公益文科大学が,鶴岡市に
lには,地価と家賃について,
は凶立大学法人山形大学農学部があり,どちらも l学 年
会定の明瞭な相関が存在することが示される.特に,相
の学生数は 150名 前 後 と ほ ぼ 同 数 で あ る . 市 町 村 合 併 前
対的に地価のやや高い酒田市とやや低い鶴岡市を比較す
の人円数は 1
0万人前後で同禄であり,条件は同じである.
2
7
8
若年屈の住宅問題に関する研究
図
菊間・泣谷
8
5
1 山形県内各市の住宅地地価と家賃 (
2
0
0
3年)
5
0,
0
0
0
0
0
0
4
8,
.寒河江
0
0
0
4
6,
4
4,
0
0
0
東 根 . ・鶴岡
塞 42,000
y=0
.
1983x+30945
宍 4
0,
0
0
0
室米沢
酒田
.5
新
庄
.
4
3
1
R2=0
838,
O
0
0
A
南陽
0
0
0
3
6,
村山V
4u'長井
0
0
0
3
4,
. 尾花沢
3
2,
0
0
0
0
0
0
3
0,
1
0,
0
0
02
0,0
0
03
0,0
0
04
0,
0
0
05
0,0
0
06
0,0
0
07
0,0
0
08
0,
0
0
09
0,0
0
0 1
0
0,
0
0
0
xa
地価(円 jnf)
資料:総務省「平成 1
5年住宅・宅地統計調査」と山形県「平成 1
5年地価公示」平成 1
5年 1月 1日現在より作成
注:地価は住宅地の平均価格
したがって,地域の若年屈に占める大学生の割合も近似
境学科 3年次講義(前期,選択 2単位)である「住宅市
していると考えられる.ただし,酒田市では東北公益文
0
0
3年度から 2
0
0
7
年度までの講
場論」受講生に対して, 2
科大学の l年生は全員入寮司能であり,鶴岡市の山形大
義時に学生住宅実態調査(以下,アンケート調査と略す)
学農学部では移行後の 2年生の入寮生数は数十名に過ぎ
を実施した7l
ない
山形大学農学部学生は 1
年次を山形市ですごし, 2
年進
酒田市の場合は,学生寮が若年層への公営住宅
6
)
景として機能している司能性も考えられる.
政策の t
級次に鶴岡市に転凶する.アンケート調査時はほとんど
ノら,山形大学農学部の学生寮は凶立大学法人が管理する
の学生は 3年生(前期)であり,また鶴岡市での学生生
ため,酒田市のような司能性はまったく認められない.
活も l年を経過しているため,山形市と鶴岡市での学生
小論の結論を急ぐことにはなるが,鶴岡市の家賃(ア
生活の評価に関して会定の判断力を持つものと考える.
マート代)を酒田市水準に引き下げるためには,市営住
不特定多数へのサンプル調査ではないが,アンケート回
宅などの家賃の引き下げを含む公営住宅制度の改善も
答者は住宅市場と住宅問題に関する基礎的知識を習得後
つの有効なノら法と考えられる.
に記入していることから,アンケート調査は客観性を備
えていると考える.
なお,各年のアンケートの被調査者が特定少数(平均
E 学生へのアンケー卜調査の結果と考察
で2
9人)のこともあるため,
5年間の集計値のみの分析
とし,時系列変化の分析は特定項目に限定した.
1.アンケー卜調査の対象と方法等
(2)回答者の属性
5年間のアンケート回収数合計は 1
4
3件,性別は男性
(1)調査対象と方法
)
6住条件,凶住環境などの学生の住宅問題の調
3人と女性が 5
0人,年齢は 2
0歳から 2
4
歳までにわたり,
が9
査と改苦を H的に,山形大学農学部で開講される生物環
2
0歳が最多の 48%を占める.山身地域は九州・沖縄を│徐
家賃,
2
7
9
山形大学紀要(農学)第 15号 第 4号
86
く全凶にわたるが東北が 55%と最多で,以下,関東,東
不動産業者直接の場合が増加している.アパート市場に
海・中部が各々 15%を占めている.
おいても,民営化の流れが明らかである ω
現在の )
6住形態を見てみると,家族と別 )
6が 93%(133
1
0
ω)
②入!凶
6{
住干宅の種類(表
件)を占め,同 )
6が 7% (
10
件)に過ぎない.それ故,
入凶しているアパートなどは,
会戸建ての借家は 1 %
少数の学生寮生活者を除けば,学生の )
6住と住宅問題は
にしか過ぎず,共同住宅が 89%を占め, 10%の学生寮と
民営借家,つまりアパート問題に焦点を絞ることがで、き
合わせると,ほぼ全ての学生が共同住宅での生活を営ん
る.以下,表
6住条件の思化
でいることになる.特に近年,学生寮は )
20, 27, 28, 29を除き,家族と別凶をし
ている 133件がアンケート調査の対象者となる.
等から入寮者が減少し,学生のほとんどがアパートに住
まざるを得ない状況にある.公営住宅の凶住条件の低さ
から戸建て住宅とマンションの持ち家を選択せざるを得
2
. アンケー卜調査の結果
ない日本の住宅問題の縮凶が,学生の住宅問題にも示さ
れている.
(1)鶴岡市の借家問題
①アパートの斡旋(業者) (
表
9)
③部屋の広さなど(表
鶴岡キャンパスへの移行時,ないしはその後の鶴岡市
11)
広さは, 12~14畳が 39% を占めている.各畳数幅の中
でのアパート探しにおいて,斡旋(業者)は不動産業者直
間値と件数から平均を算山すると 10.76畳になり,
接の場合が 62%,大学生協を介して不動産業者に行く場
を1.62rn'とすると 17.
43rn'となる. この広さは,住生活
合が 29%,大学を介して不動産業者に行く場合が 9 %で
基本言│画(全凶言│画)の誘導凶住面積水準(単身者)の
ある.そして,大学と大学生協経由の場合が近年減少し,
55rn',都市 )
6住型誘導 )
6住面積水準(単身者)の 40r
n
'1
こ
9 アパートの斡旋(業者)(鶴岡市)
表
年度
。
大学
2003
2004
2005
2006
2007
メ
仁
主
I
6
6
14
8
4
38
29
7
1
2
2
12
9
t
圭
ロ
構成比
表
単位件,%
大学生協 不動匠業者 合 計
24
30
27
26
26
133
100
18
17
1
2
16
20
83
62
表
10 入居住宅の種類(鶴岡市)
。
。
。
。
年度
一戸建て 共同住宅
2003
2004
2005
2006
2007
24
23
23
22
24
116
89
l
之
仁、
1
〉 三ロt
構成比
資料:学生住宅実態調査(各年度)より作成
1畳
l
l
単位:イ牛,%
〉 計
子生寮 メ口、
。
7
2
2
2
13
10
24
30
25
25
26
130
100
資料:学生住宅実態調査(各年度)より作成
1
1 部屋の広さなど(鶴岡市)
単位件,%
年度
2
0
0
3
2
0
0
4
2
0
0
5
2
0
0
6
2
0
0
7
合計
構成比
年度
2
0
0
3
2
0
0
4
2
0
0
5
2
0
0
6
2
0
0
7
合計
構成比
ム
さ 畳
6~8
日 ~10
7
9
2
4
2
3
1
8
1O ~12
3
5
1
0
2
6
2
6
2
0
5
2
6
7
7
2
7
2
1
間取り(室事)
12~14
14~16
合計
6
1
4
1
2
1
2
。
。
。
。
5
1
3
9
3
2
3
水回り(パス・トイレ)
2
l
2
4
1
:0
3
0
2
2
2
4
1
3
0
1
0
0
1
7
2
0
2
0
1
5
H
i
8
7
7
8
3
5
5
2
6
日
2
1
1
9
。
。
。
。 。
。 。
4
合計
l
l
l
l
2
2
築後(年・新築
共同
合計
個別
新築
l
2
2
3
2
4
2
2
2
2
9
7
l
2
3
3
2
6
2
2
4
2
6
2
2
4
2
6
1
1
4
1
7
1
3
1
5
8
7
1
3
1
0
0
4
1~5
。
。
5
7
2
3
6
2
3
1
9
5~10
10~20
日
9
7
1
1
1
0
4
6
3
7
資料:学生住宅実態調査(各年度)より作成
2
8
0
6
3
1
0
4
6
2
9
2
3
合計
20~
2
H
3
6
2
2
1
1
7
2
4
2
9
2
3
2
4
2
4
1
2
4
1
0
0
木造
1
4
1
2
1
3
1
1
1
4
6
4
5
1
2
2
2
6
2
2
2
3
1
8
1
1
1
1
0
0
構造
鉄骨
R C
υ
「
3
7
4
3
2
2
1
8
合計
4
1
4
"
8
8
3
9
3
1
2
3
2
9
2
5
2
3
2
5
1
2
5
1
0
0
若年屈の住宅問題に関する研究
菊間・泣谷
8
7
1
2 家賃(鶴岡市)
表
単位件,%
年度
~3.0
2003
2004
2005
2006
2007
合計
構成比
1ヶ月,万円)
本
。
3.0~3.5
3.5~4.0
6
2
1
1
3
2
24
20
2
1
3
1
7
6
4.0~4.5
6
2
6
7
2
2
3
1
9
4.5~5.0
5
1
0
5
6
1
2
3
8
:
3
2
6
日
1
4
4
20
1
7
。
。
。 。
。
。
。
。
。
。
。
5.0~5.5
5.5~6.0
6.0~
2
4
1
:
3
3
合計
24
2
:
3
26
24
2
2
1
1
9
1
0
0
資料:学生住宅実態調査(各年度)より作成
注:賃料には光熱水費を含まない.
表
1
3 敷金と権利金(礼金) (鶴岡市)
単イす
年度
20m
2004
2005
2006
2007
合計
構成比
年度
2003
2004
2005
2006
2007
之
口
主
、
ロ
1
構成比
今
なし
敷令
1ヶ
月
2ヶ月
3ヶ月
5
1
1
5
1
2
4
日
1
4
6
1
2
1
:
1
1
:
60
3
2
2
2
04
29
手u
金(礼金
1
ヶ月
2ヶ月
3ヶ月
1
5
3
l
1
1
:
1
1
5
4
。 。
。
。
。
0
.,
5
ヶ月
8
1
2
l
日
1
4
1
:
1
l
l
。
。
。
。
0,5
ヶ月
なし
3
1
1
4
日
4
2
5
2
3
l
l
l
件,%
。
。
。
。
。 。
H
日
1
1
62
5
6
3
1
9
1
7
6ヶ月
合計
l
2
3
1
:
。 。
。
。
。
。 。
6ヶ月
合百│
2
1
2
1
25
25
22
1
9
1
1
2
1
0
0
1
:
3
2
1
26
25
2
1
1
8
1
1
1
1
0
0
資料:学生住宅実態調査(各年度)より作成
注:四捨五入から構成費合計が 100%にならない場合がある.
表
1
4 総支出に占める家賃の割合(鶴岡市)
資料:学生住宅実態調査(各年度)より作成
はるかに及ばず,最低 )
6住面積水準(単身者)の 25m'に
水田り(パス・トイレ)は個別が 87%,また共同利用
平成1
5年住
も達しない極めて低い水準にある.また, I
が 13%を数える.共同は1':に学生寮と考えられるので,
宅・宅地統計調査」の山形県の借家(民営・木造の共同
アパートはほとんど個別利用である.
住宅)の l 住宅~たり凶住室の畳数 13.99 (畳面積 2
2
.
6
8
新築・築後年数を見ると,築後 5~10 年が最多の 37%
を占めている.新築を l年
, 2
0年以 1
:は3
0年とし,その
m')に対しては 80%弱の低水準にある.
間取りは l室が 78%に達し,寝室と凶室の分離が司能
他は中間値をとって築後年数の平均を求めると, 1
1
.7
8
:
1ま22%にしか過ぎない.算山すると,間以り
な 2室 以 1
年となる. したがって,その限りでは比較的新しいアパー
0年以上は学生寮が
トに住んでいることになる.また, 2
6室にとどまる. この水準は,アパートで
の平均値は1.2
大
、'
lと考えられので,これを除外すると,凶住アパート
の学習を保障する十分な凶住条件とはいえない.
2
8
1
山形大学紀要(農学)第 15号 第 4号
88
表
1
5 家主の同居の有無(鶴岡市)
年度
有
。
。
。
。
2003
2004
2005
2006
2007
無
1
合計
構成比
単位:件,%
ぷ
仁
半1
、 計
22
3
1
26
24
25
1
2
8
99
l
表
年度
23
3
1
26
24
25
1
2
9
1
0
0
2
0
0
3
2
0
0
4
2
0
0
5
2
0
0
6
2
0
0
7
合計
構成比
年度
資料:学生住宅実態調査(各年度)より作成
表
1
6 駐車場の有無(鶴岡市)
年度
有
2003
2004
2005
2006
2007
メ仁泳
1
2
0
0
3
2
0
0
4
2
0
0
5
2
0
0
6
2
0
0
7
t
三
ロ
構成比
無
単位件,%
d
仁h
1
、 計
3
2
1
28
2
2
24
2
2
1
1
7
90
l
4
l
4
1
3
1
0
合計
構成比
24
29
26
25
26
130
1
0
0
年度
2
0
0
3
2
0
0
4
2
0
0
5
2
0
0
6
2
0
0
7
合計
構成比
資料:学生住宅実態調査(各年度)より作成
年度
2
0
0
3
2
0
0
4
2
0
0
5
2
0
0
6
2
0
0
7
合計
構成比
1
7 通学手段と時間(鶴岡市)
時間(分,徒歩)
。
単位件,%
1
~5 I5~ 1
0110~ 15115~20 120~25
5
4
4
1
4
3
2
1
6
2
3
4
5
2
3
日
7
2
1
1
5
4
7
1
3
3
8
2
7
1
6
合計
。 1104
1
1
1
0
1
1
5
6
1
0
0
。
時間(分,自転車)
。
。
。
。 。
。
1
0
。
1
8
。
1
5
。
1
0
。
1
0
。
6
。 1003
。
。
。
。
。
2
。
。
5
。
。 1008
1
~5 I5~ 1
0110~ 15115~20 120~25
5
5
3
9
6
4
6
4
2
8
1
3
5
2
1
0
3
1
2
0
3
1
6
4
9
3
2
時間(分,山動車)
合計
。
。
。
。
。
。
。
。
。
。
2
。
。 。
。
。
1
3
。
1
4
3
。
1
3
5
0
3
8
時間(分,合計)
1
I
。
9
5
9
。 2248
2
1
:
3
4
9
1~5
I5~10
~5
5
5
4
1
8
1
4
1 1O ~15115~20120~25
合計
5~10 1 1O ~15115~20120~25
合計
1
2
1
:
3
9
5
6
4
4
8
2
1
1
3
8
3
0
1
1
9
4
3
2
8
2
1
2
6
1
2
9
1
0
0
資料:学生住宅実態調査(各年度)より作成
注 四捨五入から構成費合計が 100%にならな
い場合がある.
の築後年数は 10年前後と見なすことができる. この点は,
賃・間代 4
.
3万円弱とほぼ同水準である.それぞれの価
「平成 15年住宅・宅地統計調査」によると,山形県の民
格 帯 の 中 間 値 を と り は 万 円 以 下 は 2万円とする), 平
営借家での築後年数 12年以上の割合が 39.2%と最多であ
均を言│算すると 3.97万円になる.また,そのほとんどが
ることと符合している.
学生寮と見られる 3万円以下を除外すると,平均家賃は
構造は,木造が 51%と
、'
l
数を占め,鉄骨造が 18%, R
C造が 31%を占めている.
ここで,
4
.
0
9万円となる.
I
平 成 15年住宅・宅
平 成 15年住宅・宅地統計調査」では鶴岡市の
なお, I
地統計調査」から鶴岡市内の共同住宅について,~法を
家賃・間代には,敷金と権利金(礼金)が含まれている.
見てみよう. 2003年現在のストックは 5,500戸
,
そこで,次の敷金と権利金(礼金)を含めると,
うち木
造は O戸,防火木造は 2,950戸 (54%),鉄筋・鉄骨コン
3ヶ年
で 8万円,つまり 1ヶ月で 2, 200円の増加となる.さら
クリートは1, 960戸 (36%),鉄骨造は 590戸 (10%) と
に,アンケート調査では調査していない平均的な 1ヶ月
なる. したがって,学生が凶住するアパートの木造と防
の光熱水貴分を追加すると,ほぼ同禄の金額になると見
火木造を合わせた木造ヰtは,地域の数値と同禄である.
られる.
④家賃(表
⑤敷金と権利金(礼金) (
表
1
2
)
1
3
)
光熱水費を含まない 1 ヶ月の家賃は 4.0~4.5 万円が 32
敷金は 1ヶ月が 54%を占め,権利金も同禄に 1ヶ月が
8に示した鶴岡市の米
56%を占めている.それぞれの平均を言│算すると,敷金
%と最多を占めるが, これは表
2
8
2
若年屈の住宅問題に関する研究
表
年 度
件 数
良い
ベ二や良い
普通
2
0
0
3
やや悪い
悪い
f
ヤロ十
点数
平均点
昔通
2004
やや悪い
悪い
合計
点数
平均点
良い
やや良い
普通
2
0
0
5
ペ
コ
ペ
コ
悪
い
存
"
主
ム
リ
し、
合百│
点数
広さ
5
6
8
ラ
{
4
2
9
3
.
1
8
7
4
4
2
4
:
3
.
7
1
6
6
2
2
3
2
9
4
.
0
単位件,点
項目
水回り
家賃等 ノ口¥
計
遮音
2
2
6
7
3
7
5
2
4
6
2
9
3
1
jj
2
3
2
3
2
6
4
1
6
2
4
2
4
2
4
1
2
0
3
.
6
2
.
:
1
3
.
0
1
5
.
9
3
.
2
jj
3
5
40
5
2
3
2
2
5
8
1
6
3
9
日
4
2
0
5
5
1
1
l
2
4
2
9
2
9
2
9
H5
3
.
.
5
2
.
3
3
.
2
1
6
.
2
:
3
.
2
5
4
9
6
l
2
5
3
.
2
1
5
3
5
3
4
3
8
9
3
2
7
3
.
1
2
7
4.
4
3
t
1
1
8
2
7
2.
4
4
2
1
8
3
。
2
7
3
.
5
平均).~
2006
良い
やや良い
5
1
0
普通
日
日
ベ二や悪い
患い
合計
点数
平均点
良い
やや良し、
普通
2
0
0
7
年平均
5
やや志い
悪い
合計
点数
平均.¥主
点数
平均点
8
9
1
8 住宅環境全般(鶴岡市)
総合性
6
2
1
0
3
3
2
4
3
.
2
良い
ペ
コ
ペ
コ
良
し
、
菊間・泣谷
8
4
6
6
3
1
:
3
4
。
2
2
6
3
.
5
3
2
2
3
.
0
6
7
6
日
1
2
6
5
2
2
5
3
.
5
2
6
4
.
2
4
5
9
7
l
2
6
3
.
3
3
.
3
3
.
9
3.
4
。
2
6
3.
4
8
3
1
1
3
6
9
7
2
6
2
.
3
l
2
6
3
.
5
7
9
8
2
6
2
.
2
7
5
6
7
l
2
6
3
.
5
2
.
3
3.
4
日
2
9
1
5
1
1
3
2
1
3
1
:
3
:
3
1
6
.
6
3
.
3
2
8
2
3
4
2
2
0
1
3
1
2
6
1
4
.
8
:
l
.
2
:
1
0
2
1
3
3
3
1
1
1
1
2
9
1
6
.
7
3
.
3
1
6
.
2
ノ
:
3
.
2
資料:学生住宅実態調査(各年度)より作成
注 : 点 数 は 良 い (X5),やや良い (X4),普通 (x3
),やや思い (x2),思い (xl
)
は1.3
2ヶ月,権利金(礼金)は1.0
9ヶ月と敷金が若干高
なお,この統計から学寮生を除外してアパートのみを
くなっている.農学部学生は入学時と 2
年進級次の移行
0
0
3年は 44%, 2
0
0
4年は 45%, 2
0
0
5年は 5
1
集計すると, 2
時に引っ越しをやむなくされ,その都度,敷金と権利金
%
, 2
0
0
6年は 45%, 2
0
0
7年は 46%,そして期間の平均値
(礼金)をとられることになるので,それは大きな負担
は47%となる.
⑦家主の同 )
6の有無(表
となっている.
⑥総支山に占める家賃の割合(表
1
4
)
1
5
)
家主が同凶する形態のアパートは 1%のみで, 99%が
全体では 40~50% の割合が 35% と最多になるが,それ
別凶である. したがって,部屋代の支払いは,斡旋の不
ぞれの中間値から平均を推計すると 43%となる. この数
動産業者や米下ーへの銀行振込となるため,学生には支払
4, 5, 6に示される数値とほぼ同じ
いの実感が乏しくなる.また共同生活への責任感も乏し
値は,前述の表
である.時系列に見ると, 2
0
0
3年は 44%,2
0
0
4
年は 36%
,
くなりやすい.
2
0
0
5年は 49%, 2
0
0
6年は 43%, 2
0
0
7年は 43%となる.な
0
0
4年は
お
,2
⑧駐車場の有無(表
o~10% の寮生数が 7 人を数えたため多少
の変動は見られたが,他年度に大きな時系列
認められない.
1
6
)
若者向けアパートには必須である駐車場について見る
:
1の変化は
無」は 10%にし
と
, 90%が駐車場は「有」であって, I
か過ぎない.なお,駐車場の使用と大学への通学手段は
2
8
3
山形大学紀要(農学)第 15号 第 4号
9
0
表
年度
2003
2004
2005
2006
2007
ある
i
メ
仁
〉
ゴ
、
1
9 シックハウス症状の有無(鶴岡市)
三
ロ 一
構成比
。
2
1
。
。
3
2
あった
。
2
。
l
l
4
3
ない
2
3
20
1
2
1
7
1
7
89
68
単位件, (
X
)
ぷ
口
、
〉
不明
計
。
23
6
3
0
1
3
26
8
26
8
26
3
5
1
3
1
27
1
0
0
資料:学生住宅実態調査(各年度)より作成
表
年度
20 民間アパート以外の公営住宅等への入居希望の有無(鶴岡市)
亨工長
2
0
0
4
資料:学生住宅実態調査(各年度)より作成
注:四捨五入から構成費合計が 100%にならない場合がある.
資料:学生住宅実態調査(各年度)より作成
注 :2003年度から 2007年度の期間合言│により算山
表
22 家賃(構成比)
資料:学生住宅実態調査(各年度)より作成
注 1 :2003年度から 2007年度の期間合計により算山
2 賃料には光熱水費を含まない.
表
23 敷金と権利金(礼金) (山形市)
単位
居住地
山形市
鶴岡市
居住地
山形市
鶴岡巾
.
5ヶ月 1
なし 10
。│
201
1
31
11
10
.
5ヶ月 1
。│
71
231
11
なし
敷 金
1
ヶ月
2ヶ月 1 3ヶ月
56
2
11
54
291
+利金(礼金)
2ヶ月 1 3
ヶ月
1
ヶ月
48
421
56
1
71
資料:学生住宅実態調査(各年度)より作成
注 :2003年度から 2007年度の期間合計より算山
2
8
4
%
)
1 6ヶ月 │合 計
。│
100
41
100
21
31
16
ヶ月 │ 合 計
100
11
21
100
11
31
若年屈の住宅問題に関する研究
9
1
1
7
件 (
57%), I
我慢している」は 8
件 (
27%), I
転凶し
また別の問題である.
⑨通学手段と時間(表
菊間・泣谷
た Lリ は 5牛
{ (
17%), I
その{也」は
1
7
)
o
{牛(%)となった.
徒歩が 5
6件,自転車が 6
3件,自動車が 8件となって,
(四捨五入により合言│は会致しない).また,先述の「山
自転車による通学が第 l位になる.徒歩,自転車,自動
形大学報告書 J(
2
0
0
5年)によれば, I
満足している」は
0分以内
車の通学手段の違いを問わず,時間では 58%が 1
69%, I
我慢している」は 21%, I
転凶したい」は 9%
,
のところに凶住する.次に通学手段別に見ると,徒歩の
「その他」は 0(%) となり,農学部学生が置かれている
場合は 51%が 1
0分以内,自転車による場合は 65%が 1
0分
凶住条件の劣思さが推測できる.
0分以内に凶住する.
以内,また自動車の場合は 63%が 1
⑩住宅環境全般の評価(表
1
8
)
(2)山形市の借家の動向
良いを 5点,やや良いを 4点,普通を 3点,やや思い
を 2点,思いを
l点として件数を点数化した.先ず各項
ここでは鶴岡市との比較を行うために,期間合計
(
2
0
0
3年から 2
0
0
7年まで)のみを示し,山形市の時系列
Hを合わせた 5年間の合計・平均点は 3
.
2であり,時系
│会の変化は表には省略した.
21
)
列に見ても大きな変化はないので,この聞に大きな改苦
①アパートの斡旋(業者) (
表
は認められない.次に 5年間の平均点を項目日Ijに見ると,
大学,大学生協,不動産業者別に見ると,入学時の山
.
9ともっとも高く,水田りが 3.4,家賃等が 3.
4
,
広さが 3
形市では大学生協が 76%,大学が 11%と,大学生協と大
.
3と平均的であるのに対し,遮音性は 2
.
3と極
総合性が 3
学を介した割合が圧倒的に大きく,不動産業者は 13%に
めて低い.総合性については 2
0
0
3年から若干の改善傾向
しか過ぎない.
が認められるものの,他の項目,特に遮音性については
割合が 62%に達している.大学・大学生協を非営利組織,
改善の傾向がほとんど認められない.新築アパートへの
不動産業者を営利組織と仮に分類すると,鶴岡市では学
凶住割合が増加しているにもかかわらず,この点の改苦
生の住宅斡旋がより営利化されているといえる.
み,移行時の鶴岡市では不動産業者の
2
2
)
傾向が見られないのは,近年の新築アパートの抱える上
②家賃(表
法や構造上の問題,つまり依然としてアパートの凶住性
山形市では 4.0~4.5 万円が 29% と最多を占める.先の
に問題があることを示唆している 9)
⑪シックハウス症状の有無(表
7が示すように,鶴岡市の 1ヶ月の家賃は,山形市
表
1
9
)
の家賃・間代 4
.
7万円より低い水準にある.それぞれの
シックハウス症状については, I
な L、」が 68%を占め
価格帯の中間値をとり (
3万円以下は 2
万円, 6
万円以上
ある」と「あった」の合計は 5%を数える.不
るが, I
は7
万円とする),平均を計算すると 4
.
0
0万円になる.先
明の 27%の中には無自覚症例の司能性も考えられるので,
の表
数値以上の大きな問題をはらんでいるといえよう.
市とほとんど左がないと認められる.
⑫民間アパート以外の公営住宅等への入凶希望の有無
(
表
③敷金と権利金(礼金) (
表
2
0
)
先ず, ~.望の有無については 80% の学生が「無」と回
2
3
)
山形市では敷金は 1ヶ月が 56%を占め,権利金(礼金)
も同禄に 1ヶ月が 48%を占めている.それぞれの平均を
この回答はアパートと学生寮凶住者に加えて,家族と
同凶の学生も含むものである.
1
2のように鶴岡市は 3
.
9
7
万円であったので,山形
計算すると,敷金は1.19ヶ月,権利金(礼金)は1.4
8ヶ
.
6
7ヶ月となる.鶴岡市では敷金1.3
2ヶ月と権
月で合計 2
答し, I
有」と「その他」が 19%を占めている.明確な
9ヶ月の合計が 2
.
41
ヶ月であったから,
利金(礼金) 1
.0
9
意思表示を好まない現代の学生気質からすると,この 1
鶴岡市は山形市よりも若干低いといえる.
%は決して小さな数値ではない.また, I
有」の場合の
④総支山に占める家賃の割合(表
希望先は学生寮が 42%を占めるが,この中には現在の学
生寮の改善があればとの条件付き回答も少なくない.次
2
4
)
山形市では 40~50% の割合がが 37% と最多を占めるが,
それぞれの中間値から平均を推計すると 46%になる. こ
が市営住宅で 32%を占め,県営住宅の 21%を合わせると,
の数値は,先の表
公営住宅が 53%に達することも注 Hされる.
系列に見ると, 2
0
0
3年は 50%, 2
0
0
4
年は 45%,2
0
0
5年は
0
0
7年度だけに実施
次に 5年間のアンケート調査では 2
満足」は
した「現在の住まいに関する満足度」では, I
4, 5, 6の数値と同じである.時
52%,2
0
0
6年は 44%,2
0
0
7年は 42%となる.期間を通じ
て大学寮入寮生が l名のため,
2
8
5
7名を数える鶴岡市より
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
9
2
表
2
4 総支出に占める家賃の割合(山形市)
資料:学生住宅実態調査(各年度)より作成
注 :2
0
0
3年度から 2
0
0
7年度の期間合計により算山
表
年度
2
5 家賃の比較(鶴岡市は山形市に比べて)
ペ
♀
ペ
♀
閣
し
、
高い
2
2
2
0
0
3
2
0
0
4
2
0
0
5
2
0
0
6
2
0
0
7
。
合計
構成比
3
7
l
日
1
6
6
4
6
2
3
2
3
やや安い
同じ
2
3
9
5
4
2
3
2
3
/
C
)
単位件, O
安い
合計
6
6
3
6
6
2
7
2
7
リ
「
4
2
4
リ
「
2
0
2
0
1
8
2
2
1
8
1
9
2
2
9
9
1
0
0
資料:学生住宅実態調査(各年度)より作成
注:四捨五入から構成費合計が 100%にならない場合がある.
先
ず
ず
、
, 表
多少高めの傾向が認められる.大学寮生を除外してアパー
2
幻7
を見ると, 凶
J
J
千
イτ
ト生活者のみで計算すると,鶴岡市の 47%に対して山形
市が山形市に比べて「良い」と「やや良い」の合言訂│は 4
刊O
市は 46%となることからも,鶴岡市の割高傾向が明らか
%を数え,反対に「やや思い」と「思 Lリ の 合 計 は 33%
である.
を数える.合計で「良 Lリ に 対 す る 「 思 Lリ の 比 ヰtは
0
.
8
2となる.
都市景観については, I
良い」と「やや良い」の合計
(3)山形市と鶴岡市の比較
以下は,学生が意識している両市の凶住についての比
①家賃の比較(表
が 49%, I
やや思い」と「思 Lリ の 合 計 が 27%となり,
合言│の「良 Lリ は 項 H中では最高の数値になる.合言│の
較である.
2
5
)
.
6
7となる.
「良 Lリ に 対 す る 「 思 Lリ の 比 ヰtは0
鶴岡市は山形市に比べて「高い」と「やや高い」の合
文化環境(凶書館利用の容易さ,芸術鑑賞の容易さ等)
計が 29%, I
やや安い」と「安 Lリ の 合 計 は 47%となる.
良い」と「やや良い」の合言│は 16%, I
や
については, I
しかし,この結果は相対的にアパート代の高い山形市と
や思い」と「思 L
リの合言│は 71%となり, I
思L
、」の構
の比較であるから, 56%を占める「同じ」を含めた場合
成比は項 H中で最高の数値になる.合言│の「良 Lリ に 対
は,安くないと認識するものが大、'
lになる.
する「思 Lリの比ヰミは1.77となる.
②敷金と権利金(礼金) (
表
2
6
)
敷金は「やや高い」と「高 Lリ と の 合 計 が 16%に過ぎ
ず
,
:
1記家賃と同禄に鶴岡市は山形市に比べて安いと意
学生の就学条件に対する鶴岡市役所の支援については,
「良い」と「やや良い」の合計でも 2%にしか過ぎず,
「やや思い」と「思 Lリ の 合 計 は 30%を数える.合計の
5
.
0と,項 H中でも
「良 Lリ に 対 す る 「 思 Lリ の 比 ヰtは1
識されている.
また権利金(礼金)についても,鶴岡市は山形市に比
飛び抜けた数値を示している.
学生の就学条件に対する地域社会の支援については,
べて,同禄に「やや高い」と「高 Lリを合わせた合言│が
10%にとどまり,同禄の傾向を示す.
③凶住環境全般等(表
2
7, 2
8
)
このアンケート項 Hは,アパートと学生寮生活者に加
やや思
「良い」と「やや良い」の合計は 8%に過ぎず, I
い」と「思 L
リ の 合 計 は 37%に達する.合言│の「良い」
に対する「思 L
リ の 比 ヰtは4
.
6
2となる.
えて家族と同凶の学生を対象としたものである.
合言│の「良 Lリ に 対 す る 「 思 Lリ の 比 ヰtを高い順で並
2
8
6
若年屈の住宅問題に関する研究
表
2
6 敷金と権利金(礼金)(山形市に比べて鶴岡市は)
単位件,%
年度
同い
年度
やや両い
2
2
1
2
0
0
3
2004
2
0
0
5
2006
2
0
0
7
合計
構成比
l
7
8
向い
l
3
l
l
7
8
やや両い
敷 金
同 じ やや安い
7
3
l
1
0
3
1
0
I
1
1
1
1
49
9
5
6
1
0
権利金(礼金)
同 じ やや安い
9
2
l
1
2
l
1
0
l
1
2
l
1
2
6
0
5
69
8
。
。
。 。
。
2
0
0
3
2004
2
0
0
5
2006
2
0
0
7
合計
構成比
2
l
l
2
3
4
2
5
6
安い
3
3
3
3
3
1
5
1
7
安い
2
3
合計
1
6
1
9
1
8
1
7
1
7
8
7
1
0
0
合計
1
6
1
7
1
5
1
6
1
6
8
0
1
0
0
。
3
3
1
1
1
4
資料:学生住宅実態調査(各年度)より作成
注:四捨五入から構成費合計が 100%にならない場合
治主ある.
表
2003
2004
2005
2006
2007
台計
構成比
年度
2003
2004
2005
2006
2007
合計
構成比
年度
2003
2004
2005
2006
2007
合計
構成比
年度
2003
2004
2005
2006
2007
合計
構成比
年度
2003
2004
2005
2006
2007
合計
構成比
べると,学生の就学条件に対する鶴岡市役所の支援
(
15
.
0
),学生の就学条件に対する地域社会の支援 (
4
.
6
2
),
文化環境(1.7
7
), 凶 住 環 境 全 般 (
0
.
8
2
), 都 市 景 観
(
0
.
6
7
) となる.
以上を総括したのが表
居住環境全般
石
也
,
耳 L、
同 じ やや志い 、
3
7
5
3
6
日
b
1
1
6
4
3
4
1
0
1
0
l
2
1
0
9
4
4
7
7
1
0
1
6
39
36
3
3
1
3
1
2
28
26
24
9
都市 長 観
良 い やや良い
同 じ やや悪い 悪 い
2
3
9
4
7
6
7
4
1
2
2
l
6
8
9
4
7
5
1
0
2
2
2
1
1
1
1
2
4
24
45
3
3
2
7
1
1
1
7
3
2
24
1
9
8
文化環境
良 い ザヤベコ良し、
│可じ ペコペコ悪い 悪 い
4
9
1
0
2
5
3
9
1
2
3
2
1
6
6
b
4
3
1
3
日
4
6
1
0
6
1
6
1
8
5
7
42
4
1
2
1
3
4
1
3
0
学性の就学条件に対する鶴岡市役所の支業
良 い やや良し、
同 じ やや悪い 悪 い
1
4
4
6
l
20
4
4
2
1
3
I
自
1
7
1
8
6
3
2
90
2
5
1
4
2
69
1
9
1
1
学生の就学条件に対する地域社会の支援
良 い ザヤベコ良し、
│可じ ペコペコ悪い 悪 い
自
7
3
6
3
1
9
3
b
l
1
8
6
1
5
9
2
1
2
9
4
1
0
7
2
3
3
1
6
自
5
5
2
5
1
2
やや良い
市より思いと評価されていることが明らかになる. こう
円制山形高校への伝統的な愛着などがう
した背景には, I
かがわれる山形市 10) と,そうではない鶴岡市との聞の
大学の存在意義に対する文化的な格差もうかがわれる.
なお,アンケートの自由記入欄には,鶴岡市や地域か
らの学生に対する支援措置について,多くの感想、や要望
しては,市内の施設や萌屈で学生割引がなく地域に支え
られている感じがほとんどしないこと,映画館や学生割
子千計
24
3
1
28
26
28
1
3
7
1
0
0
。
。
。
。
。
。
。
。
。
。
。
。
。
。
。
。
。
。
。
合
2
8である.期間の全てで各項
Hの平均が 5段階評価で 3点以下,つまり鶴岡市は山形
2
7 居住環境全般(鶴岡市は山形市に比べて)
良い
9
3
が寄せられている.代表的なものを紹介しよう.感想と
単位件,%
年度
菊間・泣谷
十
25
3
1
28
26
30
1
4
0
1
0
0
引の適用される文化施設が市内に少ないことなど.要望
としては,地域社会に対しては鶴岡市に住んでいること
を実感できるようにして欲しい,市役所に対しては会人
暮らしの学生 l
こ心のよりどころを与える街づくりをして
欲しいなど.切実な感想と要望が少なくないが,銭念な
がら全てを紹介することはできない.
μ
合計
24
3
1
28
26
30
1
3
9
1
0
0
(4) 考 察 学 生 の 住 宅 問 題 の 現 状
ここでは,農学部学生が凶住するアパートそのものと,
地域社会を含む環境の両面から考察する.
先ずアパートについてである.家賃については,山形
市よりは安いが,鶴岡市より地価の低い酒田市よりも高
い. したがって,鶴岡市のアパート市場は,需要者と供
給者が市場において対等な経済力と情報を持つこと等を
条件とする「完全市場」とはいえない.つまり不完全市
合計
24
29
25
25
28
1
3
1
1
0
0
場を形成している.生活費に占める家賃のウエイトは全
合計
24
30
25
25
27
1
3
1
1
0
0
えるが,①部屋面積は最低凶住水準以下の狭さ,② l室
。
。
。
資料:学生住宅実態調査(各年度)より作成
注:四捨五入から構成費合計が 100%にならない場合
カ〉ある.
凶同禄に高く,そのため鶴岡市での低い生活費は相殺さ
れ,生活支山の縮減にほとんど貢献していない.鶴岡市
への二度のう│っ越しも学生の負担を増している.
アパートの凶住性は若干改書されている傾向もうかが
が大、'
l
で,寝室と凶室(学習室を含む)の分離がない,
③遮音性はまったく改苔がない,④少なくないシックア
ノマートが存在する.特に,遮音性の欠陥については大手
企業によるアパートでも同禄であり,木造か RC
造など
の建築~法の別を問わない問題である.
アパート以外の共同住宅,例えば,学生寮はアパート
2
8
7
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
9
4
2
8 鶴岡市と山形市との比較
表
4-h
山形市との比較項目
生に対
学生に対 学
年 度 居住環境
する地域 各項目の
都市景観
文
化
環
境
す
る
市
役
社会の
平均
全般
所の支援 支援
2
0
0
3
2
0
0
4
2
0
0
5
2
0
0
6
2
0
0
7
期間平均
2
.
8
3
.
1
2
.
9
3
.
2
2
.
9
3
.
0
3
.
2
3
.
0
3
.
5
3
.
7
3
.
1
3
.
3
1
.8
2
.
2
2
.
2
2
.
3
2
.
2
2
.
1
2
.
2
2.
4
2
.
5
2
.
6
2.
4
2.
4
2.
4
2
.
6
2
.
7
2
.
9
2
.
5
2
.
6
2
.
2
2
.
5
2
.
5
2
.
6
2
.
1
2.
4
資料:学生住宅実態調査(各年度)より作成
注 各項目の平均は単純平均
鶴岡市は,山形大学農学部学生の岡市の若年人円に占
めるウエイトの大きさにもかかわらず,山形市と比較し
て学生には魅力のない街と認識されている. ウエイトの
大きさは,農学部学生が年間に鶴岡市に落とす家賃の大
きさと生活費の大きさを推計してみれば自明のことであ
る.
以下はあくまで推計値であるが,
1ヶ月の家賃を平均
4万円とし,農学部学生は l学年約 1
6
0人で 3
学年分,大
学院修上課程学生は l 学年分相~と見なすことができる
ので,合言 1
4学年分が在籍として計算すると,
1年間の
家賃は約 3.1 億円になる.支山の 45% が )6 住費に~てら
表
2
9 鶴岡市の居住環境の評価と山形市との比較 (
2
0
0
8年)
単位.点
項目
会
司
川
公
〉
ノ
仁
、
ゴ、
通手距離
広さ
水回り
日照条件
i
家
青
賃
紫
等
1
惑
通気・通風性
設備
安全性
セキュリアイ
公害
気密性
断熱性
遮音
アパートの
居住環境
3
.
5
5
4
.
0
0
3
.
9
0
3
.
7
5
3
.
5
0
3.
45
3
.
3
5
3
.
3
0
3
.
2
5
3
.
0
5
2
.
9
0
2
.
8
5
2
.
7
0
2.
45
2
.
0
5
項目
山形市との
比較
総合
都巾景観
広さ
通気・通風性
水回り
日照条件
れるとすると,生活費全体で 6
.
8億円の支山となる. こ
の金額は,合併前 2
0
0
4年度の鶴岡市総生産 4
,6
2
3億円,市
民所得 3
,2
8
2億円を考慮すると,決して小さな数字では
ない. しかし,現実にあるのは,農学部学生の地域での
文化環境
気密性
安全性
2.
45
3
.
2
5
3
.
2
0
2
.
9
5
2
.
9
5
2
.
8
5
2
.
7
5
2
.
7
5
2
.
7
0
2
.
7
0
2
.
6
0
2
.
5
5
2
.
5
5
学生への市役所の支援
2
.
5
0
より詳細な項 Hを設けて実施したアパートの凶住環境
遮音
の評価と山形市との比較(5段階評価)を点数で示すと,
清潔感
公害
通学距離
設備
耐えられない存在の軽さである.
(5)追加調査の結果から(表 2
9
)
2
0
0
7年度秋季に山形大学農学部学生 2
0名(男女、'
l々)
を対象に, 2
0
0
3年度から 2
0
0
7
年度までのアンケート調査
のほとんどの項 Hにわたり,追加のアンケート調査を実
施した.このうちから,
行E
分を紹介する.
断熱性
2.
45
2.
45
学生への地域社会の支援
2.
40
表
防犯
2
.
3
0
市には厳しい評価が示されている.また,鶴岡市の地域
資料:学生住宅実態調査(追加アンケート, 2
0
0
8
)
より作成
2
9のとおりになる.表 1
8,表 2
8と同禄に,鶴岡
へ の 期 待 や 要 望 (5段階評価)は,表
2
9の結果を反映
して,第 l位が農学部学生と地域とのうと流,第 2位が公
共料金の改苦,第 3位が学書Ijの適用,施設の充実,交通
の利便性の改善となっている.特に農学部学生が地域と
より凶住条件は劣思であり,女子学生が入寮できる条件
のうと流を第 l位に挙げていることは,農学部学生が鶴岡
はない.劣思な公共住宅が凶民に劣思な持ち家生活を強
市や地域から中なる支援だけを望んでいる訳ではなく,
いているのと同禄に,劣思な学生寮が学生に劣思なアパー
自らも地域にとけ込み地域を支える活動がしたいとの意
ト生活を強いている状況にある.
思表示であると理解すべきであろう.
次に,表
2
8から )
6住に関わる広義の環境面について
見てみよう.山形市と比較して,鶴岡市が相対的に良好
W 解決の原則と改善の方向
都市景観」のみであり, I
凶住環境全般」
だったのは, I
は山形市と同じである.
学生に対する市役所の
会
ノ
ら
, I
1.若年層の自立ヘ向けた支援原則
支援 J
,I
学生に対する地域社会の支援 J
,I
文化環境」の
順で鶴岡市の評価は下がり, 2
0
0
3年から 2
0
0
7
年までの全
衣食と並び重要な凶{干の下ー体者に,物心両面での自立
年で「各項目の平均」は山形市と同ランクの 3を下回っ
を保障する条件を用意し,その主体的な能力を高める教
ている.
育が必要である. もちろん,それは,受動的な下ー体者と
2
8
8
若年屈の住宅問題に関する研究
菊間・泣谷
9
5
してでなく,自ら問題を見つけ,解決する能力を持つ1':
状態が引き起こす弊害を放置したまま農学部学生に負担
体者を形成する教育であることはいうまでもない.そう
を強いるのは道理に合わないことである.学生の住生活
した観点から,学生の凶住条件の改善に関わる行政を始
にもたらす弊害を直視し,その改善への取り組みは急務
めとする各種の判事者は,以下の改善措置を講ずること
といえる.~面,分散キャンパス体制を維持せねばなら
が必要と考える.
ぬなら,
なお,こうした改苦措置の前提として,何より学生自
身が「凶住の権利」の下ー体者であることの自覚と責任を
持つことが必要であることは言うまでもない.
)
6住問題の最大の被害者ともいえる農学部学生
には,大学としての支援措巨が必必、要である l
凶l
υ
)
学生の凶{住干問題に対する支援措巨は,現行の山形大学
の中期目標にはなく,学生生活実態調査の実施を記載し
ているのみで,大学としての対応策はほとんどないとい
2
. 学生の居住条件に関する改善の方向
(1)学生の地域に果たす役割
える.学問の府として実態を科学的に分析するため,先
ず
:
1記の実態調査の改苦を凶るべきである.さらに教養
教育履修時には農学部学生の希望者全員に入寮を保障す
大学のある地んーの市町村は,大学のない市町村に比較
るか,鶴岡キャンパス移行後は多くの学生,特に女子学
して人円減少ヰt
が小さいといわれる.あくまで経験則で
生も入寮できるような寮建設が望まれる.また,大学と
はあるが,大学が存在する限り毎年必ず会定数の若年人
して,う│っ越しに伴う敷金と権利金(礼金)の負担の改
円の流入が確実となるからである. したがって,その根
善を,鶴岡市等に働きかけることは最低限の責任であろ
拠は妥~なものであろう.また,若年屈の多くは市街地
つ
.
の中心部に凶住することから,地ノら都市の中心部の空洞
さらに,山形大学生活協同組合は,組合員である学生
化,つまり人円のドーナツ化現象を抑止する力ともなっ
に対して,実務的なアパート斡旋にとどまらず, )6{
干の
ている.
主体者としての自覚が高まるように,借地借家法に基づ
2
0
0
5年 1
0月,山形県鶴岡市に東田川郡の藤見町,羽黒
く借家人の権利等について教育活動を実施することが必
町,櫛引町,朝日村,岡田川郡温海町の 4町 1
村が合併し
要である.また,協同組合運動を通じて凶住問題をどの
て成立した新鶴岡市は 1
0
0,
6
2
8人
ように社会的に解決するのかなどに関して,衣食と並ぶ
ら
,
(
2
0
0
0年凶勢調査)か
1
4
2,
3
8
4人に人円が増加(1.4
1倍)したが, 2
0歳の人
円は 8
1
0人から 9
9
1人に増加(1.2
2倍)したに過ぎない
住の重要性を協同組合運動の課題として掲げる必要があ
る.
(
2
0
0
5年凶勢調査)•
(3)国土交通省・山形県と鶴岡市・地域社会
このような次第で,新鶴岡市の若年人円に占める山形
大学学生の比重は極めて大きくなったといえる.その役
)6{
干に関し政府としてもっとも大きな責任を負う凶土
割は,地んーの過疎化と高齢化の中で,質的にも量的にも
交通省は住生活基本法と住生活基本言│画に,若年屈に対
今後会層重要になって行くものと見られる.
する住宅政策を含めるよう検討すべきである.山形県は
公営住宅制度を見直し,県営住宅に単身者の学生も入凶
(2)文部科学省・山形大学・山形大学生活協同組合
先ず文部科学省は,高等教育無償化の凶際的な原則に
基づき,学生の全般的な就学条件改善に向けて,積極的
司能な措置の検討を開始すべきである 12) また,市町村
営住宅も同禄に司能になるよう,山形県はこの点に関し
て各市町村と協議を開始すべきである
な対応策をとることが求められている.異常なまでの高
凶や都道府県以上にこの問題の解決に果たす市町村の
額な学費の改苦と同禄に並んで,異常に高額な住 )
6費の
役割が大きいことを指摘したい. ヨーロッパ地ん日治憲
改善が必要である.
章
次に,山形大学における分散キャンパス体制は,あま
(
1
9
8
5年),第 2回凶連人間凶性会議宣言 (
1
9
9
6年)
などにも明らかなように,
)
6
住問題解決の重要な主体は,
りにも学生の住宅問題に与える影響が大きい.本来,大
日本では市町村に~たる小規模の地ノら自治体にある.鶴
:
1,総合大学として統合キャンパスで運営
岡市は,公的な住宅政策の運用にあたり,住民登録をお
学は教育研究
されることが望ましいことはいうまでもない.山形大学
え鶴岡市民たる資格を持つ学生の市営住宅への入凶を検
の分散キャンパス体制は大学側の都合でしかなく,その
討すべきであるべまた,それが不司能な場合には,家
2
8
9
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第
9
6
4号
層への記述はまったく見られない.
賃補助などの政策を検討すべきである.預かり金である
第 2に,社会政策 1
:の課題から政府のこの問題への
敷金の解消に関しては,鶴岡市が学生に保証を付与する
ことも有効な応策である.それは検討以前の容易な課題
対応を,厚生労働省
である.
書
(
2
0
0
8
):平成 2
0年版厚生労働 1
'
1
生探を通じた自立と支え合い
暮らしの基盤と社
さらに未来を担う若い世代が豊かな文化を享受し,教
会保障を考える東京,に見てみることにする.第
養を高められるように支援の手を差しのべることは,ど
3章「暮らしの基盤を支える社会保障」において「子
のような地ノら自治体にも~然の責務である.現在の鶴岡
ども・子育て期における支援」と「社会的支援を必要
市の文化施設や文化事業では,入場料などの割引が大学
とする人々の就労と所得確保」の各節で,次世代育成
生ばかりか高校生も適用にならず,中学生までの場合さ
支援の対象とされているのは,青少年までであり,若
えある. このことに象徴されるように,若い世代への文
年屈の課題についてまったく可及されていない.
第 3に,教育政策 :
1の課題から政府のこの問題への
化政策の面でも著しい遅れは否めない.大学生への学生
(
2
0
0
8
):平成 1
9年度文部科学 1
'
1
割引もほとんどない状態は,県内の他自治体(山形市,
対応を,文部科学省
酒田市,米沢市等)と比べても,その遅れが際だつ.早
書東京,について見ると,第 3章「高等教育の多用
急、な改苦措置が必要である.
な発展のために」において, I
学生支援の充実」とし
奨学金事業の充実 J
,I
就職支援の充実と支援施
て
, I
「かけがいのない財産である高等教育研究機関 J(
鶴
岡市総合計画基本構想(案),
2
貞
, 2
0
0
8年 7月2
9日)11l1
こ
策」が紹介されるだけで,学生の凶住への支援策はまっ
たく見られない.
所属する学生が,地域に支えられていると実感できるよ
以上のように,若年層や学生届への政府の支援はまっ
うな政策を,学生を大事にする大学都市づくりを柱とす
る政策を,そして「文化のまち鶴岡 J(同前)として
たくないのが現状である.なお今後は,地ノら自治体の
層充実した文化政策を,地域社会と共につくってゆくこ
支援策の有無とその内容についての調査が必要であろ
つ
.
とを,鶴岡市には強く要望したい.そのためにも,鶴岡
2)住凶に関する多々面の研究者・専門家・実践活〈が参
市は学生を含む若年屈の凶住問題についての実態を調査
加する学際的で市民に聞かれた研究組織として 1
9
8
2年
し,具体的な支援策の検討を開始すべきである.
に発足(日本住宅会議
家は住宅といえますか
(アンケートに協力いただいた山形大学農学部卒業生
(
1
9
8
8
):住宅憲章 あなたの
.岩波ブックレット
N
O
.
1
2
3,
及び学生各位,貴重な資料を提供いただいた山形大学生
東京)した日本住宅会議の機関誌である『住宅会議』
活協同組合,そして資料調査に協力いただいた山形県庁
に掲載された,本稿に関連する論孜は,次のとおりで
の関係各位に心からお礼申し上げる.)
ある.
「若年屈の凶住をめぐって」を特集した第 2
1号
(
1
9
91
.2
,東京)には,前田昭彦(同前若手の住
宅問題を考える,竹内陸男(同前都市就労単身者
注
1)第 11
こ,住宅政策上の課題から政府のこの問題への
対応を,凶土交通省
年度年次報告)
くらし
の凶住事情,坂東亜希子(同前若年屈の住宅問題
(
2
0
0
8
):lIiJ土交通 1
'
1書(平成 1
9
と生活禄式,中村浩(同前社宅・独身寮にみる若
者の住宅事情,が掲載されている. このうち,前田論
進行する地球温暖化とわたしたちの
.東京,に見てみることにする.第 H部第 4
文は住宅問題に直面する問題の大きさから思考停止に
章「自立した個人の生き生きとした暮らしの実現」に
陥り,なすすべがないという著者自身の学生としての
おいて政策対象として特定的に記述されているのは,
本音を吐露していることが注 Hされる. しかし,
「少子化社会の子育て環境づくり」と「高齢社会への
文とも若年問題今般が主題となっており,学生の問題
住宅の確保に特に配慮を
対応」である.そこでは, I
には触れていない.
4号
第6
要する者の凶住の安定の確保」のノら法として, I
公的
(
2
0
0
5
.
6,東京)所以の川田菜穂子:シング
賃貸住宅等の供給」と「民間賃貸住宅の活用」の二つ
ルの住宅条件
があげられているが,いずれにおいても若年層や学生
査から
2
9
0
4論
勤労者の住まいと凶住施策に関する調
は,標準家族を形成するまでの過渡期と見な
若年屈の住宅問題に関する研究
され, I
住宅システム」の外部に位置つ、けられ,政府
菊間・泣谷
凶住にかかわり,
9
7
ドイツと対照的な,また日本とよ
の住宅政策から排除されてきた単身者について分析し,
く似た社会を形成してきたのがロシアである.ロシア
単身者への施策の拡充を要求している. しかし,この
では子どもは成人になってからも,生活〈を離れること
場合も学生は直接的な対象とされていない.
は少なく,同 )
6は珍しくない.独立が凶難な理由の
「格差社会と住ま L
リを特集した第6
9号
(
2
0
0
7
.
2,
つには,住宅不足と単身者では負担しがたい高家賃が
東京)には,金j
宰誠会若年雇用不安と住まい,が掲
ある.
載されている.金津は雇用不安と低所得であるが故の
4)凶土交通省住宅日住宅政策課監修
度版住宅経済データ集
パラサイト・シングル化を分析し,最低生活費を基軸
(
2
0
0
2
):2
0
0
2年
良質な住宅ストックの形成と
その活用をめざして.住宅産業新聞社,東京.
とした最低賃金制度や若者の雇用保障への配慮の必要
5)学生の住むアパートなどは,地域社会での生活とルー
性を指摘している. しかし,ここでも学生の状況につ
ルを学ぶ社会教育の場て、あり,大学生による大学の地
いては触れていない.
「若い人たちの住ま Lリを特集した第 7
3号
(
2
0
0
8
.
6,
域貢献の場でもある.例えば,こうした社会的教育を
東京)は,平山洋介:若年屈の住まいの全体像,鈴木
受ければ,ゴミ捨て問題などをめぐって行E
に起きて
佐代:郊外住宅地における若年屈の凶住動向,丁志映:
いる,町内会によるアパート住人の排除等の問題発生
若年屈のもうつの住まい「シェア凶住」
人間向上のふれあいを求めて
安心感と
も減るだろう.
6)東北公益文科大学の学生寮は 1
9
9
9年の新築(木造)
,磯田智子:専門職若
年女性にみる両住まいの司能性,川田菜穂子:若年屈
で
,
における世帯形成と住まいの凶際比較,が掲載されて
5,
0
0
0
リーごとに代表のドミトリー長を置く.寮費は 2
ドミトリー(学生研修寮)形式をとり,各ドミト
いる. このうち川田論文は,同欧のいくつかの凶では,
円で,その他に光熱水費がかかり,
親からの自立,子どもを持つことなどの世帯形成の支
学の事務日から各ドミトリーへ請求,
これについては大
ドミトリーごと
援,また世帯形成の多禄化に伴う諸問題解決のために
のルールにしたがって各ドミトリー長が集金し,事務
住宅政策の積極的な介入を凶ってきたこと,そのため
日に支払うというんー式をとる.光熱水費は各月で変わ
の若年世帯への公的な住宅手~の支給などが実施され
るが,
ていることを明らかにしている.また,家族を持たな
賄いはついておらず,共有スペースにキッチンがあり,
1 人 1 ヶ月~たり平均で約 5 , 000 円程度である.
い単身者や家族でない者との同凶者は公営住宅に入凶
自炊形態である.インターネットについては,全学ネッ
する資格さえない現在の日本の課題を明らかにし,そ
トワークがあり無料である. ドミトリー l棟の床面積
の解決のノら向を提示している.学生の問題まではヨ及
2
0m
'
,
は約 1
していないが,日本の若年屈の抱える課題とその解決
からなり,銭りの部分が共有スペースになる.現在は,
んー向を示した貴重な論文である.
ほぼ満室の状態にある.
9
6
5年の建築
み,山形大学農学部寮は 1
(なお,本稿の受理日後,次の文献が刊行された.
日本住宅会議編
1部屋は 1
0m
'ほどで, 8部屋から 9部屋
(
2
0
0
8
.
1
2
.
9
):若者たちに「住まい」
7
4
4
)
0
4人
,
で,入寮司能人数は 1
C
R
C造)
1室 2人
, 1室の床面積
は1
3
.
5m',寮費は 7
0
0円(この他に光熱水費,食費,賄
を!格差社会の住宅問題,岩波フックレット
3
)1
9
8
0年代のドイツの若年労働者と学生の住宅問題へ
い代,インターネット代等として 2万円が徴収される)•
の取り組みや運動,及び各凶の動向については,次の
現在の入寮者数は 4
4人である.食事は夕食のみが用意
文献に詳しい.早川和男
4
0円,土日はなし).先年,アスベスト
される(1食 3
(
1
9
8
4
) 新・日本住宅物語.
O
.
2
5
5,同(19
9
0
) 欧米住宅物語
朝日選書 N
ためにいかにたたかっているか
人は住む
撤去五事を行っているが,とりわけ床面積の狭小性か
.新潮選書,東京.
ら見た劣想性は明らかである.
8
8
):市民のすまいと凶住政
また,早川和男編著(19
回)のお
7)アンケートは「住宅市場論」の講義数(15
策.学陽書房.東京,では,イギリスの例として,か
よそ最終段階で実施した.教員の影響を受けないよう
つては学生たちが建築技師の指導のもとに宿舎を作る
に,~然,匿名のアンケート調査として実施した.
8)山形大学では 2
0
0
0年から学生へのアパート斡旋に関
ために結成された組合が目下ー連帯の住宅互助運動とし
てあったと指摘する.
する業務が全学的に山形大学生協に移管された.新入
2
9
1
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
9
8
する障害程度の知的障害者
生のアパート~.望者に限定すれば,最近では 8 割前後
が大学生協の紹介を受け,
(
1
0
) 配偶者からの暴力被害者 J(以上は原文のまま)
2割前後が全凶的な大手ア
み,鶴岡キャンパ
1
3
) 鶴岡市営住宅設置及び管理条例(平成 1
7
年1
0月 1日
,
ス移行後は,地元業者直接と学部事務の個別的な対応
条例第 2
4
3号)によれば,第 3条に「市は,低額所得
ノマート業者等の仲介と見られる.
が増加し,大学生協の紹介は減少する. したがって,
者の住宅不足を緩和するため,法の規定に基づき市営
アンケート回答には若干の揺れが見られるが,アパー
住宅及び共同施設を設置する」と設置目的を明記し,
ト斡旋に関する大学の撤退には変わりはない.
入凶者の資格を第 6条で定めている.
9)遮音性の問題は,今日では上法的に解決司能であり,
市営住宅に入凶することができる
それによれば, I
木造建築でも対応できる.技術的に不司能なのでなく,
者は,次の各号(老人,身体障害者その他の特に凶住
コスト上の問題で解決しないのである.それは,他の
の安定を凶る必要がある者として令第 6条第 l項で定
~法の建設業者と同禄に,木造建築供給者が経営優先
)
Jに
める者(次条第 2項において「老人等」という .
下ー義で,学生の大、'
l
が住む木造アパートよりも,戸建
あっては第 2号から第 5号まで,被災市街地復興特別
て持ち家主義を優先して,優良な木造の共同住宅建築
4
号)第 2
1条に規定する被害
措置法(平成 7年法律第 1
を重視してこなかったツケでもある.
者等にあっては第 3号から第 5号まで)の条件を備え
1
0
)I
円制山形高校の姿を描いた小説からもそうした地域
る者でなければならない.
とのうと流の状況を推測て、きる.戸川幸夫 (
1
9
87
) :ひ
(1) 現に同凶し,又は同凶しようとする親族(婚姻
かり北地に,郁朋社,東京.
の届山をしないが事実上婚姻関係と同禄の事情にあ
1
1
) 慶慮義塾大学は,平成 2
0年度から家賃補助制度を開
る者その他婚姻の予約者を含む.以下同じ.)があ
ること.
始した.その内容は,①原則として首都圏以外の道府
県山身者の学生を支援することを H的に,②年額 1
2万
(2) その者の収入が次のア,イ又はウに掲げる場合
円の給付,③給付期間は最短修業年限,④募集人員は
の灰分に応じ,それぞれア,イ又はウに定める金額
0
0名,その他(以上は同大学 HPよ
全学年総数,約1, 6
を超えないこと.
ア
り引用した)•
1
2
)I
県営住宅入凶者募集のご案内 J(山形県すまい情報
センター,
法第 2
3条第 2号 イ に 規 定 す る 場 合 令 第 6条第 5
項第 l号に規定する金額
2貞
, 2
0
0
8
年)によれば,県営住宅の申込
市営住宅が法第 2
3条第 2号ロに規定する公営住宅
イ
み資格で特例扱いとなっている「単身者司」の住宅入
に該~する場合令第 6 条第 5 項第 2 号に規定する
凶者の条件は次のとおりであり,そこには単身者であ
金額
る学生は含まれない.
ウ
ア 及 び イ に 掲 げ る 場 合 以 外 の 場 合 令 第 6条第 5
項第 3号に規定する金額
(1
)6
0歳以上または昭和 3
1年4月以前に生まれたん
(2)身体障害者手帳 1~ 4級所持者
(3) 諸税を滞納していない者であること.
(3)生活保護受給者及び中凶銭留邦人等支援給付受
(4) 現に住宅に凶窮していることが明らかな者であ
給者
ること.
(5) その者及び現に同凶し,又は同凶しようとする
(4)戦傷病者手帳のうと付を受け,凶土交通省で定め
る障害のあるんーを含む世帯
親族が暴力団員による不~な行為の防止等に関する
法律(平成 3年法律第 7
7
号)第 2条第 6号に規定す
(5)原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律第 1
1
条第 l項の規定により厚生労働大臣の認定を受け
る暴力団員(以下「暴力団員」という.)でないこ
と. (
平1
9条 3
0・平 2
0条 2
1・ 行E
改 正)
J (以上は原
ている々
(6)海外からの引揚者(厚生労働大臣が証明したノ的
文のまま)
で日本に引揚げた日から 5年未満のん
単身者の学生は,
(8)精杵障害者保健福干│上手帳 1~ 3級所有者
(9)精杵障害者保健福干│上手帳 1~
これらの条件の全てに該~しない
ことは明らかて、ある.
(7)ハンセン病療養所入所者
1
4
) この基本構想案の後, 2
0
0
8年 1
0月 2日に,鶴岡市総
3 級所有者に相~
合開発言│画が鶴岡市長に提山されている O
2
9
2
山形大学紀要(農学)第 1
5巻 第
4号 :2
9
3
3
0
7
. 平成 2
1年 2月
Bul.
l Yamagata Univ.,Agr
.S
c
i
.,1
5
(
4
):2
9
3
3
0
7
.Feb. 2
0
0
9
山形県庄内地方における在来カブの種類とその利用方法
山崎彩香*・江頭宏昌村
*山形大学農学部附属やまがたフィールド科学センター
**山形大学農学部生物資源学科生物機能調節学講座
0年
(平成 2
9月1
8
R受理)
V
a
r
i
a
t
i
o
nandU
t
i
l
i
z
a
t
i
o
no
fL
o
c
a
lV
a
r
i
e
t
i
e
so
fTurnip
(
B
r
a
s
s
i
c
ar
a
p
a
)
i
nt
h
e ShonaiAreao
fYamagataP
r
e
f
e
c
t
u
r
e
AyakaYAMAZAKI' andHiroaki EGASHIRA
ホホ
*Yamagata Field Science Center,Faculty of Agriculture,Yamagata University,
Tsuruoka,Yamagata 9
9
7
0
3
9
6,Japan
**Section of Bioprocess Engineering,Department of Bioresource Engineering,Faculty of
9
7
8
5
5
5,Japan
Agriculture,Yamagata University,Tsuruoka,Yamagata 9
8,2
0
0
8
)
CReceived September 1
Summary
,when Japan had experienced high econornic growth,the 1
0仁川 v
a
r
i
e
t
i
e
so
fv
a
r
i
o
u
sc
r
o
p
s
S
i
n
c
et
h
e1
9
6
0
's
.T
h
i
si
sb
e
c
a
u
s
eo
ft
h
er
e
p
l
a
c
e
r
n
e
n
to
ft
h
e1
0仁
川 v
a
r
i
e
t
i
e
s byc
o
r
n
r
n
e
r
c
i
a
lo
n
e
sf
o
r
h
a
v
ed
e
c
r
e
a
s
e
de
v
e
r
yyear
nd
i
e
t
a
r
γ
h
a
b
i
t
s,and a
g
i
n
go
fc
u
l
t
i
v
a
t
o
r
s
. The l
o
c
a
lt
u
r
n
i
po
fY
a
r
n
a
g
a
t
ap
r
eた
亡t
u
r
ei
sa
n
r
n
o
r
ep
r
o
f
i
t,changei
e
x
a
r
n
p
l
eo
fs
u
c
h ac
r
o
p
. We i
n
v
e
s
t
i
g
a
t
e
dt
h
ev
a
r
i
a
t
i
o
n,r
n
o
r
p
h
o
l
o
g
i
c
a
lc
h
a
r
a
c
t
e
r
i
s
t
i
c
s,c
u
l
t
i
v
a
t
i
o
nr
n
e
t
h
o
d
s,
c
o
o
k
i
n
g and p
r
o
c
e
s
s
i
n
gr
n
e
t
h
o
d
s,e
t
c
.,o
ft
h
ee
x
t
i
n
c
t and e
x
i
s
t
i
n
gl
o
c
a
lt
u
r
n
i
pv
a
r
i
e
t
i
e
si
nt
h
eS
h
o
n
a
ia
r
e
a
o
fY
a
r
n
a
g
a
t
ap
r
e
f
e
c
t
u
r
ebyr
e
f
e
r
r
i
n
gt
ol
i
t
e
r
a
t
u
r
e andc
o
n
s
u
l
t
i
n
gt
h
ee
l
d
e
r
l
yl
o
c
a
l
i
t
e
s
.We g
a
t
h
e
r
e
di
n
f
o
r
r
n
a
t
i
o
n
a
b
o
u
t1
3t
u
r
n
i
pv
a
r
i
e
t
i
e
s
: 5e
x
i
s
t
i
n
g and 8 e
x
t
i
n
ct
. The f
o
r
r
n
e
rc
o
r
n
p
r
i
s
e
d2l
o
n
gw
h
i
t
e
t
y
p
ev
a
r
i
e
t
i
e
s
(
‘ Hoya' and '¥;j出 u
d
a
',
) 2 round r
e
d
t
y
p
eo
n
e
s(
‘A
t
s
u
r
n'
i and ‘
Tagawa' ,
) and 1 l
o
n
gr
e
d
t
y
p
e
F
u
j
i
s
a
w
a
')
. The e
x
t
i
n
c
tv
a
r
i
e
t
i
e
sc
o
r
n
p
r
i
s
e
d 3l
o
n
gw
h
i
t
e
t
y
p
ev
a
r
i
e
t
i
e
s(
c
v
.'
¥
;
ja
k
i
n
o
d
a
i,'‘Toug
v
a
r
i
e
t
y ‘
e
n
o
y
a
r
n
a'
, and ‘
K
u
r
a
s
a
w
a
',
) 2 roundw
h
i
t
e
t
y
p
eo
n
e
s(
‘Aosawa' and ‘
S
h
i
r
n
o
k
a
w
a
',
) and 3roundr
e
d
‘ Touge,‘ Tachiyazawa,
' and ‘
K
u
r
a
s
a
w
a
' )r
e
s
e
r
n
b
l
i
n
g ‘
A
t
s
u
r
n
i
.
' The e
x
i
s
t
i
n
gr
e
d
t
y
p
e
t
y
p
eo
n
e
s(
a
r
n
a
z
u
z
u
k
e
" p
i
c
k
l
e,w
h
i
l
et
h
ew
h
i
t
e
t
y
p
ev
a
r
i
e
t
i
e
sa
r
e
v
a
r
i
e
t
i
e
sa
r
e now r
n
o
s
t
l
y used f
o
rp
r
e
p
a
r
i
n
gt
h
e “
used f
o
rp
r
e
p
a
r
i
n
g “
s
i
o
z
u
k
e
" o
rb
o
i
l
e
d and c
o
n
s
u
r
n
e
d
. However,t
h
el
a
t
t
e
ra
r
eg
r
a
d
u
a
l
l
yd
i
s
a
p
p
e
a
r
i
n
g
.
x
c
e
p
t '
¥
;
ja
s
u
d
a'
,a
r
ec
u
l
t
i
v
a
t
e
di
nt
h
es
o
u
t
h
e
r
na
r
e
ao
fS
h
o
n
a
i by s
l
a
s
h
a
n
d
b
u
r
n
Four e
x
i
s
t
i
n
gv
a
r
i
e
t
i
e
s,e
川 t
u
r
n
i
ps
e
e
r
n
st
o be a
ni
r
n
p
o
r
t
a
n
tc
r
o
p
a
g
r
i
c
u
l
t
u
r
ei
no
r
d
e
rt
op
r
e
s
e
r
v
et
h
e good t
r
a
d
i
t
i
o
n
a
lt
a
s
t
e
. The 1
0仁
a
s s
o
r
n
e c
a
s
e
s o
f t
u
r
n
i
p
s a
p
p
e
a
r
i
n
g i
n a
n
n
u
a
l e
v
e
n
t
s have been o
b
s
e
r
v
e
d, e
.
g
., i
n
“
k
o
s
h
o
g
a
t
s
u
" (
15
"J
a
n
.o
ft
h
el
u
n
a
rc
a
l
e
n
d
a
r
) and t
h
eh
a
r
v
e
s
ts
e
a
s
o
n
.
u
l
t
i
v
a
t
i
o
n,c
o
o
k
i
n
g and p
r
o
c
e
s
s
i
n
g,a
n
n
u
a
le
v
e
n
t
Key words:r
n
o
r
p
h
o
l
o
g
i
c
a
lc
h
a
r
a
c
t
e
r
i
s
t
i
c
s,c
キーワード:形態的特徴,栽培,調理と加」一年中行事
293
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
1
0
0
1.緒
される青首の白い長カブである.太さは 3c
m程度で,長
Eヨ
0
c
mほどになる.葉は立性で,毛じは
さは大きいもので 2
戦後の高度経済成長期以降,日本各地の在来作物は,
少ない.切れ込みは浅く,びわ形の葉で,やや光沢があ
経済効率の面から商業品種に置き換えられ,食生活の変
る.
化や栽培者の高齢化も加わり,減少の一途をたどりつつ
b) 食べ方
ある.
宝谷カブは、煮物および漬物に利用されてきた .煮物
山形県では古くから焼畑でカブの栽培が行われ,寒冷
の一つ, I
蛸煮」は,茶碗に入るくらいの小さなカブを
な多雪地域における冬場の保存食として人々の食と命を
蛸に見立てたところからの命名で,中心の柔らかい葉の
支えてきた .そうした在来のカブ、について青葉 (
1
9
7
6
)
みを残してまわりの葉を除き,
は「北国の野菜風土誌」で,山形県内に 1
2系統,そのう
立てのカブ汁である.
ち庄内地方に 4
系統を紹介している.青葉の調査から 3
0
1本まるごと煮たみそ仕
また, 宝谷を含め庄内では,小正月の頃になると「ド
ンガラ汁 J(一般的には寒鱈汁)を作るが,そこにもこ
年あまり経った現在,県内の在来作物でもその多くは栽
培者が高齢化し,存続の危機に瀕している可能性がある.
のカブを入れた.以前は,この時期になると,宝谷から
山形県の在来カブの過去と現在の実態について,栽培者
生のカブを鶴岡の城下まで売りに行き,換金していた.
鶴岡市黒川(旧東田川郡櫛引町)にある春日神社にお
や体験者が存命のうちに早急な調査・研究が必要である.
いて,毎年 2月に奉納される黒川能のときに,かつては,
そこで本研究では,山形県内,特に庄内地方でこれま
で利用されてきた在来カブについて,その名称,来歴,
祭りの当屋になった人が隣村である宝谷にカブを買いに
栽培方法,収穫後の保存や利用方法に関して文献調査と
行き,神社に奉納したり,カブ汁にして祭りの際に振る
現地での聞き取り調査を行った.
舞ったりしたものだという.
漬物と しては, 3
0年ほど前までは,塩漬けが一般的で
あった.塩漬けに香ばしさを出すため, ,ゆったダイズを
l
l
. 調査方法
石臼で組挽きにし ,カブと 一緒に漬けて食べる工夫もさ
れていた.
鶴岡市立図書館および
に,山形県内各市町村の市町村史誌など(表 1)を閲覧
c) 栽培方法
し,庄内の在来カブに関する記述の認められる文献資料
宝谷では,焼畑のことをカナと呼ぶ.かつて,カブは,
の渉猟調査および現地での聞き取り調査を行った.調査
田の畦や炭焼き小屋の脇の斜面を利用したカナで栽培し
地の選定は,主に「北国の野菜風土誌 J(青葉, 1
9
7
6
)
ていた.盆前に草を刈り,カナヤキ(火入れ)を行う.
を参考にし,フィールドワーク中に得た情報を補足的に
火持ちの良いカヤを火種にし,それを使って草に火をつ
活用した.正確な情報を得るために,
1つのカブに対し
てなるべく複数の人からの聞き取り調査を行い,また,
すでに現存していないカブも多いと考えられたので,で
きるだけ高齢(主に大正から昭和初期生まれ)の人から,
カブの特性,来歴,栽培方法,食べ方および保存方法等
についての話を聞き取った.
I
I
I
. 結果および考察
1.自力ブの系統
(1)宝谷力ブ(写真1)
a) 形態的特徴
写真1.宝谷カブ(鶴岡市宝谷 <
1
日櫛引町>)
宝谷カブは,鶴岡市宝谷 (
1
日東田川郡櫛引町)で栽培
2
9
4
山形県出内地ノらにおける在来カブ
山崎・江頭
1
0
1
表1. 1
土 内のカフーについての記述が見られた文献リスト
タイトノレ
1 r
松沖T
往 来j
2 r
庄内往来」
3 r
出羽国風土略記」
4 r
両羽博物図譜」
5 r
温泉記」
6 r
東北地方の焼畑慣行」
7 r
山形県温海町における焼畑慣行 j
8 r
山形県飯豊山麓の中津川の民俗 中津川水
没地区緊急調査報告」
9 r
日本の焼畑 その地域的比較研究 」
1
0 r
北国の野菜風土誌」
1
1 r
月山山麓月山沢・四ツ谷・砂子関・二ッ掛
の民俗寒河江夕、ム水没地区緊急調査報告」
1
2 r
新 野 菜 全 書 ダイコン・ニンジン・カブ・
ゴボウ 基 礎 生 理 と 応 用 技 術 j
1
3 r
温海町史下巻」
1
4 r
野菜の地方品種」
1
5 r
目で見る荘内農業史」
1
6 r
野菜」
1
7 r
神道大系神社編三十二出羽三山」
1
8温 海 蕪 の 由 来 と 課 題
1
9 r
焼畑民俗文化論」
20 r
朝日村史下巻」
2
1 r
温海町の民俗温海町'1c別冊 j
2
2 r
聞 き 書 日本の食生活全集6 山形の食事」
2
3
24
1
r酉田市史 改訂版・別巻」
r
山形県作物図鑑 3
J
著者・編集
角田儀右衛門
佐々木作左衛門
矢嶋寿軒
進藤重記
松森胤保
原貞行
山口弥郎
佐藤光民
山形県教育委員会
年代発行・収録書名・雑誌名
1672 鶴岡市史資料編荘内資本│集
20 生活文化史料
1700 稀 観 往 来 物 集 成 第 29巻
1762 歴 史 図 書 社
1885 酒 田 市 立 図 書 館 所 蔵
1842 鶴 岡 市 史 資 料 編 荘 内 資 料 集
20 生活文化史料
1944 恒 春 閣 書 房
1958 日本民俗学会報 1
1
9
7
1 山形県教育委員会
佐々木高明
青葉高
山形県教育委員会
1972 古 今 書 院
1976 東 北 出 版 企 画
1976 山形県教育委員会
農山漁村文化協会
1976 農山漁村文化協会
温海町史編さん委員会
野菜試験場育種部
春日儀夫
青葉高
神道大系編纂会
佐々木定吉
1978
1980
1980
1
9
8
1
1982
1983
野本寛一
朝日村史編さん委員会
佐藤光民
「日本の食生活全集
山形」編集委員会
酒田市史編纂委員会
山形放送株式会社
1984
1985
1988
1988
2002
2003
2003
2004
2004
2004
園芸学研究Vo1
.1
毎日新聞社
山形在来作物研究会
小学館
山形在来作物研究会
山形大学農学部卒業論文
可ノ
レ]
A宮
び号
北第
東要会
学紀究
大究研会
科研物版
工一作出
術タ庖来学
芸ン書在大
北セ波形形
東究岩山山
υ
ハリハリハリハ
5
55
7
U
ハリハリハリ
ハ
ム百ふ一山
2
9
5
1989 酒 田 市
1990 山形県農業共済組合連合会
各農業共済組合等
1
9
9
1 温海町
1995 西 川 町
1996 鶴 岡 市
1996 田川地区自治振興会
1996 山形民俗第 1
0号
1996 山形県立米沢女子短期大学
1997 全 集 日 本 の 食 文 化 第4巻
雄山閣出版
1997 向上
1998 荘 内 日 報 社
1998 無明舎出版
1998 東北出版
2000 八坂書房
2000 八 坂 書 房
2001 荘 内 日 報 社
2001 法政大学出版局
2002 農 山 漁 村 文 化 協 会
2002 鶴 岡 市 少 連 寺 住 民 会
2002 長 野 日 報 社
つムつムつムりム
究究
研研
物物
作作
一来来
寛在在
本形形
野山山
2
5 r
温海町史上巻」
温海町史編さん委員会
26 r
西川町史 下 巻 近 代 ・ 現 代 ・ 民 俗 編 」
西川町史編纂委員会
2
7 r
鶴岡市史資料編 荘内史料 2
0 生活文化史料」 鶴 岡 市 史 編 纂 委 員 会
2
8 r
田川│の歴史 j
田川村史をつくる会
2
9焼畑と温海カブをめぐって
佐藤光民
30 r
山形県庄内地方生活文化研究報告書」
)
慎子ら
高 垣1
3
1わが国の野菜と文化 ツケナ、カブを中心と 矢 津 進
して
3
2野 菜 の 系 譜
青葉高
3
3平成の在来野菜⑤ 荘 内 日 報 平 成 1
0
年6月 2
0日 付 大 野 博
山に暮らす海に生きる」
結城登美雄
34 r
3
5 r
山形県庄内うまいもの」
日向文吾
36 r
野菜の博物誌」
青葉高
日本の野菜」
青葉高
3
7 r
庄内少年歳時記」
村上文昭
3
8 r
採 集 ブナ林の恵み」
赤羽正春
3
9 r
40 r
都 道 府 県 別 地 方 野 菜 大 全j
タキイ挿苗株式会社間版部
4
1 r
山村集落 少連守の歴史」
少連寺の歴史編集委員会
長 野 日 報 選 書 9 からい大根と
大井美知男神谷幸洋
42 r
あまい蕪のものがたり」
43長野県在来カブ・ツケナ品種の類縁関係
大井美知男佐藤靖子
44 r
伝統野菜で旬を食べる。」
丹野清志
45 r
山形在来作物研究会誌 SEED Vo1
.1
J
山形在来作物研究会
46 r
新 版 食 材 図 典 生 鮮 食 材 編j
成瀬宇平
47 r
山形在来作物研究会誌 SEED Vo1
.2
J
山形在来作物研究会
48わが国における焼畑および遺伝子型から見た 鎌 倉 由 紀
温海カブの位置付け
4
9焼畑研究ノート 2 市町村史・郷土史に見る
六車由美
山形の焼畑
50 r
栃と餅」
5
1 r
山形在来作物研究会誌 SEED Vo1
.3
J
5
2 r
どこかの畑の片すみで
在来作物はやまがたの文化財 j
温海町
野菜試験場育種部
ヱピスヤ書庖
法政大学出版局
神道大系編纂会
育種山形談話会記録
第 2・
3集(合併号)
雄山閣出版
朝日村
温海町
農山漁村文化協会
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
1
0
2
けていく.播種は盆頃に手で直接行い,その後鍬で土の
カブをカナで栽培していたことからカナカブと呼んだり,
表面を深さ 5
c
m程度に軽く耕すとともに,カブの種子に
m
程度,
ただカブと呼んだりする.升田のカブは,直径 4c
覆土して種子を乾燥から守る.収穫は播種してからおよ
5
2
0
c
m程度で, 青首のものとそうでないものが混
長さ 1
そ6
0日後の 1
0月上旬から始める.現在では 1
2月 1
0日頃か
じる.根部(カブの葉のつけ根以下の肥大部分は,組織
ら降り始める 雪 も,昔は 1
1月 1
0日頃から降り始めたとい
学的には腔軸および根で成り立っているが,本論文では,
い
, 雪が降り始める前にカブを収穫した.播種後9
0
1
0
簡単に説明するため,その部分を根部と呼ぶことにする)
0日にもなると,カブに繊維が入り硬くなってしまう.
の下部は,やや膨れるものと膨らまないですっと伸びる
収穫量 は
, 1
0
aあたり 7
0
0k
g
1
tで、ある. 宝谷カブはか
ものがある.カブの肉質は軟らかく,抽根性が大きく,
つて普通畑で栽培する出荷組合もあったが,普通畑では
地上部が折れ曲がって地面を這うように成長する. ここ
ひげ根が多くなり,出荷のさいにそれを 1本 1本手作業
0
0年以上前から栽培されている
升田では,少なくとも 1
で取り除く処理に苦労したため,普通畑で栽培する人は
ようであるが,来歴は不明である.
いなくなってしまったという.
b) 食べ方
d) 保存方法
宝谷では,収穫後,
カブは,塩鯨でだしを取り,みそで味付けした前述の
5
,6
本ずつ束ねたカブをワラで、
囲っ
「蛸煮」にしたり,漬物にして食べる.
て積み上げ,ダイコンやネギなどと 一緒に冬に備えて保
c) 栽培方法
存していた.保存する場所をカブラチボケと呼ぶが,カ
数年前まではカナで栽培されていたが,現在では普通
ブをすぐに取り出して食べられるように,家の出入り口
畑で栽培され,収穫は 1
0
aあたり 7
0
0
k
g
1
tで、ある.普
のすぐ脇に設けた.カブラチボケに雪がかぶさるので,
通畑の栽培でもカナの時と同じように畝立てをせずに,
野菜を入れると長持ちするのだという.カブラチボケは,
種子をばら播きにする.播種後は,覆土をすると深すぎ
昭和 6
0年頃まで使われていたという.
るため,木の枝でさっとなでる程度である.
e) 採種
d) 栽培の現状
近年まで 3軒の栽培農家を確認できたが, 2
0
0
6
年には,
宝谷カブの採種については,水苗代の土が肥沃なので,
かつてはその土を田の畦に上げ,そこに採種用のカブの
普通畑で栽培する l軒のみになった.
種子を播いていたという.現在は栽培したカブの中から
良さそうなものを選び,交配しないようにビ‘ニルハウス
の中に植えなおして種子を採っている.
f)栽培の現状
0
年ほど前までは 宝谷地区の多くの家で
宝谷カブは, 2
栽培されていたが,数年前には栽培農家が4
,5
軒に減り,
ついには 1軒だけになってしまった.そこで, 2
0
0
6
年よ
り鶴岡市櫛引庁舎産業課職員が主体となって,
ぶ蕪主」制度を立ち上げ,
I
宝谷か
I
生産者の意欲向上を図るた
めに,食べる人,使う人の開拓を」図るようになった.
収穫が体験でき,収穫したカブの一部が分配されるほか,
カブ料理を食べる集いにも参加できる.この制度が始まっ
てから 宝谷カブの価値が地元でも見直され, 2
0
0
8年から
宝谷地区でも 5名ほどが再び栽培するようになった.
. 升田のカナカブ(酒田市升田〈旧八幡町> )
写真 2
(
2
) 升田の力ナカブ(写真 2)
a) 形態的特徴
鳥海山の南麓,酒田市升田 (
1日飽海郡八幡町)で栽培
される.現地では焼畑のことをカナと呼ぶ.かつてこの
2
9
6
山形県庄内地方における在来カブ一山崎・江頭
1
0
3
2
. 赤力ブの系統
(1)温海力ブ(写真 3)
a) 形態的特徴
温海カブは,鶴岡市(旧西田川郡温海町)を中心に栽
培される紫赤色の丸カブである.収穫に適する大きさは
c
m,長さ 5
,6
c
m程度で、あるが,放っておくと直径
直径 7
3
c
mにもなる.カブは根も肥大するが,特に腔軸部分
は1
の肥大の割合が大きく,地面にのるように成長する.カ
ブの内部には,中心部にやや赤い筋が縦に 1
-数本入る
が,そのほかはほとんど着色せず白色である.葉は開張
写真
性で,毛じが多く,やや紫赤色を帯びる.切れ込みは浅
3
. 温海カブ(鶴岡市ー 震 〈旧温海町> )
く,びわ形の葉である.
b) 来 歴
「温海カブ」の名が載る最も古い文献は,庄内地方の
作ることがないといい,中心部の柔らかい葉を付けたま
1
6
7
2
) である.
村々・町々の名物を記した 「
松竹往来J(
まの温海カブを,ハクサイの聞に挟んで,大きな樽に塩
17
0
0
), I出羽田風土略記 J(
17
6
2
) にも記
「
庄内往来 J(
漬けにしたという.ハクサイがカブの薄い赤色に染まっ
載がある.これらのことから,温海カブは,すでに江戸
て,見た目にもおいしかったという.その他,カブを 3
時代には,庄内の特産物として広く知れ渡っていたと考
日ほど干して糠漬けにしたり(旧温海町湯温海),千切
えられる.
りにして酢と砂糖でざっと漬ける「ざっさ 漬 け」と呼ば
れる(旧温海町越沢)漬け方もあったという.
温海カブの来歴については,長野県木曽地方の在来品
なお,カブを漬けるときには,甘みをつけるために柿
種(開田カブ,細島カブ, 王滝カブ)が岐車県の木曽紫
カブや,この温海カブと遺伝的に近縁である(大井・佐
の果実や皮を加える.きれいに色を着けたいときには,
0
0
2
) ところから,戦国時代末期に行われた信濃と
藤
, 2
ヤマブドウの絞り汁やその皮あるいはシソの葉と 一緒に
庄 内 の 城主 の交代に由来する可能性が言 及されている
漬け込む. 漬 けて春先まで残ったカブは,塩抜きして油
0
0
2
) が,カブが庄内から 信濃へ移動し
(大井・神谷, 2
妙、めゃけんちん汁にしたり,そのままカブ汁にしたりし
たのか,信濃から庄内へ移動したのかは明言 されていな
た.また春先まで残ったカブを切り干しカブにしてみそ
い.また,江戸時代以前の来歴の詳細については,今の
汁の実にしたり(旧朝日村倉沢)していた.
ちなみに,文献の上では,文政 3年(18
2
0
) に書 かれ
ところ不明である.
た「喰物J(鶴岡市史編纂委員会
, 1
9
9
6
) の中に,
c) 食べ方
I
蕪」
現在では,その多くが 「
甘酢漬 け」で食べられている.
「蕪汁JI
雪蕪 JI
蕪みそ漬JI
たこ煮JI
温海蕪JI
温海蕪
温海温泉の朝市でカブの甘酢漬けを売り始めたのは,昭
漬」という名称が見られる.それらは陰暦の 9
月2
7日か
和4
0
年代前半で, 5
0
年代に入るとよく売れるようになり,
ら2月 2
0日 ま で の 聞 に 食 さ れ て い る が , そ れ に よ る と
それが一般的になった. しかし,それ以前は一般に硬い
「蕪」 と「温海蕪」が区別されており,別々のカブを示
I
たこ煮」に関しては,
葉を取り,葉っきのままみそに漬け込むアパ漬けを作っ
している可能性がある.また,
て食べていた.アパとは,母を指す方言 である.アパ漬
「たこ」と 「蛸」 が区別して記述されていることから,
I
みそ 3
.
7
5
k
gと食塩 0.
9Lをすりつぶして7.l<1
8
Lに
「カブの煮たもの 」 であると考えられる.先述したよう
溶かし,ざるでこした汁の中にカブ 1
2
0
1
5
0
k
gを入れて
に,庄内では昔から,お椀に入るくらいの小さなカブを,
9
7
6
), 4
0日ほど漬け込む食べ
重石をのせて J(農文協, 1
葉っきのまま蛸に見立てて煮た 「
蛸煮」が食されていた.
方である.
野本 (
2
0
0
5
) は,温海カブの蛸煮に関して, I
蕪が赤い
けは,
1日西田川郡温海町)
また,温海の中でも鶴岡市越沢 (
ので蛸煮という呼称がよくあった」 という聞き 書 きを残
では,アパ漬けという 言葉を使わず,みそ漬けもあまり
している.
2
9
7
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第
1
0
4
4号
は不明であるが,鎌倉
d) 栽培方法
1車十あたりの火入れの面積はかつてはおよそ 1
5a弱で,
えば鶴岡市の丸金修文種苗屈では,
親戚などと共同で行った.現在は,ヤマヤキ実践者の高
齢化にともない実施人数が減少しているために,
(
2
0
0
4
) によれば,
会霞の農家か
ら正内地ノらへの温海カフの種子流通の歴史は古く,たと
温海カブの焼畑の火入れは地元でヤマヤキと呼ばれる.
2
0
0年前の創業以来,
また弁慶屋でも, 120~130 年前から会霞の種子を版売し
1軒あ
てきたという.
たりの火入れおよび栽培面積は数倍程度に拡大している
会霞におけるカブの採種については,より質のよい種
ケースも見られる.カブの種子は,ハトやコオロギに食
子ができるよう,村の ~X り決めによって,温海カフ以外
べられるので多めに播種し,厚播きにならないように同
のアブラナ科作物jを栽培しないことになっている.
まだ煙の山ている灰の熱い聞
量の砂と混ぜて播いた. I
の人々は, I
種子は代々受け継ぐのもの j, I
墓を守るよ
1
9
9
6
) という報告も
うなもの」といい,長い間種子を大切にしてきた.採種
に,種子をばら播きする j (佐藤,
会
霞
あるが,実際の見聞では,地熱はあったが,すでに煙は
は,かつては家の周りの雪国いの本枠を 6月まで銭して
山ていない段階で種子を播いていた.ただし,昔と違っ
おき,そこにカブの化茎をかけて干したが,近年ではビ
て今では,焼畑の作業人数が減って畑を焼くのに時聞が
ニルハウス内に 1週間ほど吊るして干したり,床にブルー
かかり,すぐに播くことができない事情もあるという.
シートを敷いて,その
栽培の場所としては,東向きから北東向きで,朝日が
ている.
g) 栽培の現状
早くあたり,タんーには早く日の陰るところで,傑を含む
1円岡田川郡温海町) 会霞を中
山形県内では,鶴岡市 (
砂壌土の傾斜地に良質のカブができるといわれてきた
(佐藤,
1
9
9
6
)
.
心に,鶴岡市
カブの収穫量は,
1
0a~たりおよそ 1 tである.今で
は山侍のために収穫時期が早くなっているが,本来は 1
1
1
円暦の
1
0月 1
0日を「カブの年夜」と呼び,
(
1円鶴岡市, 1
円東田川郡朝日村,同櫛引町,
1円飽海郡八幡町),庄内町 (
1円東田
同羽黒町),酒田市 (
川郡立川町),大江町(岡村山郡),阿川町(同前),小
月1
0日あたりから収穫を始めていた.後述するように,
この地域では,
:
1に束ねた化茎を並べて乾燥させ
凶町(同区賜郡)などで栽培されている.県外では,新
潟県村上市 (
1円岩船郡山北町)で栽培されているほか,
(
1
9
9
8
) によると,昭和 40-50年代に流山した種子
カブを杵棚に供える習慣があるが,新暦に比べおよそ 1
大野
か月遅れのその日が収穫の目安となっていた.
によって,見根,秋田,岩手,青森の各県などでもかつ
e) 保存方法
ては栽培されていたという.
カフの保存は,ハクサイやダイコンと申書にまとめて,
その
h) 年中行事
:
1にわらや籾殻を十分にかけておく.冬になればそ
│円温海町では,
の上に雪が被さり,凍みずに保存ができる.
という.今では
1
円暦の
1
0月 1
0日をカブの年夜(としゃ)
1か月遅れの 1
1月 1
0日になっているが,
この日には,カフと牡丹餅を杵棚に供える.カブは,葉
f)採種
5
0年ほど前までは,それ
っきの大きな温海カブを,牡丹餅も特別に大きなものを
ぞれの栽培地域で自家採種していたことが多かったよう
作って供えるという.それには,例えば, I
カブ(蕪)
会霞以外の人も, I
霞(会霞のこと)
家のカブ(株)がますます繁盛
が大きくなるように j, I
の種子はいい種子だ」といい, I 会霞以外の土地で自家採
するように」などの胤いがこめられている.また,カブ
温海カブの種子は,今から
である. しかし,
種を続けると,
3年後にはケル(かえる )j といって,
の年夜が来るまでに,畑のカフをよその人にあげたり,
ケリカブラ」とは,本
そのカブをケリカブラと呼ぶ. I
この日杵棚に供えた牡丹餅をよその人にあげたりしては
来の温海カブの皮が全て赤紫色になるのに対し,下のん
いけない.それは,自分の米の株が取られてしまうから,
が着色しなかったり,あるいはカフの腰が高くなり(根
といわれている.そして同時に,その日はカブの収穫の
部の長さが長くなり),本来のものとは形が変わってし
始まりを示している.
会霞では,毎年 1
0月にカブの品評会が行われ,多くの
まったものを呼ぶ名称である.
現在版売されている大部分の温海カブの種子は,
会
霞
カフが並ぶ.首がなるべく細く,赤道面に対して垂直に
2
0
0
4
)
. 温海カブの種
切ったとき,赤い色素が中心に筋状に入っていて,尻に
子の流通が,年代的にどれくらい遡れるのかは実質的に
ついた根が枝分かれせず,スーッと仲びているものが良
で採種されたものである(鎌倉,
2
9
8
山形県庄内地方における在来カブ一山崎・江頭
いとされ,そのようなものが品評会で選ばれるという.
i)手向・立谷沢での栽培
1
0
5
一般的で,そのほかみそ漬けや粉糠漬けなどにして食べ
る.粉糠漬けでは,ヤマブドウを潰してその果汁を加え
7
6
)は
, I
庄内地方の山麓地帯には温海カブ
青葉(19
て色を良くすることもあった.みそ漬けは,温海と同じ
と変わりのない色カブを作るところが多く,その部落名
く
, この辺でもアパ漬 けと呼び,かつては多く食べられ
から手向カブ,立谷沢カブと呼んでいる 」 と述べている.
ていた.また,カブの辛味 を 和 ら げ る た め に 度 熱 湯
これらの,手向カブ(鶴岡市羽黒町手向く旧東田川郡羽
に浸してから漬けるという.
黒町) ),立谷沢カブ(東田川郡庄内町立谷沢〈旧立川
c) 栽培方法
最近では,自家用に家屋の周辺の畑や山の段々の普通
町))について,現地の人々は 「
地カブ」 とは呼ばず,
「温海カブ」あるいは 「
赤カブ」 と呼んでいる. これら
畑で栽培が行われているケースもあるが,出荷用に今も
のことから,手向カブや立谷沢カブは,温海カブの異名
焼畑にこだわった栽培が続けられている.焼地がまだく
同種と考えることができる.
すぶって熱いうちにカブの種子を散布していた(田川村
手向は,出羽三山神社の登り口にある羽黒修験の御師
9
9
6
)
. 採種用に選ぶカブは,それほど
史をつくる会, 1
の集落であるが,その祭礼の記録として,江戸時代
扇平過ぎず,根が 1本で首がなるべく細いものだという.
2
5
) に行われた 「
大笈酒 J(客人を接待する大振る舞
(
18
かつては, このカブを近くの湯田川温泉まで背負って売
温海蕪」という名が出て
い)の「嶋蓋」の献立の中に, I
子った.
りに f
9
8
2
)
. 祭礼の献立として,昔
いる(神道大系編纂会, 1
d) 採種
から手向でこのカブが儀礼食として食べられていたこと
がわかる.
目川では,かつて温海カブを作っており,
もとは温海
から種子を 買 っていたが,のちこの地区で採種も行うよ
立谷沢でかつて自家採種をしていた人によると,立谷
9
6
) によれば,昭
うになった.田川村史をつくる会(19
沢カブは,市販の温海カブの種子で栽培した現在のカブ
5年ころ,鶴岡市農協田川支所の守屋支所長が温海カ
和4
より,若干大きく硬かったというが,そのほかは,色も
ブの改良に努め,その採種圃を少連寺の農家に委託し,
昧も変わらないものだったという.
以来,田川固有のカブとして栽培を広め,今日に至って
0年ほど前
立谷沢では,焼畑のことをカンノと呼び, 3
いるという.少連寺では,現在も自家採種が続けられて
は杉の伐採地に火を入れたカンノでカブを栽培していた.
いる.採種用に選ぶカブは,それほど肩平過ぎず,葉柄
盆の頃にカンノヤキ(火入れ)を行う.カブと播種適期
の付け根の断面(首)がなるべく小さく,根が 1本で細
が同時期になる野菜をカブの種子と混播し,灰で種子が
いものだという.現在の田川カブの栽培者は,自家用の
隠れる程度に耕すカンノウチを行う.その後カブだけを
ためにカブを栽培する農家を除き,農協から種子を入手
残し,それ以外の苗を普通畑に移植する.このように,
している.
初期生育をカンノで過ごさせることによって,良い苗が
できるという.ただし,現在同地区では火入れ規制が厳
しくなり,普通畑でなければ栽培できなくなっている.
(2
) 田川力ブ(写真 4)
a) 形態的特徴
鶴岡市少連寺 など田川地区で栽培される赤カブである.
現地では 「
赤カブ」あるいは 「田川赤カブ」と呼ばれる.
一見,温海カブによく似ているが,田川カブは今の温海
カブよりも肩平で,より色が濃く紫色に近い.また,皮
と肉質もやや硬く,根が細く,やや辛みがあるようであ
る.
b) 食べ方
写真
食べ方は,温海カブに似る.みそ汁の実や甘酢漬けが
2
9
9
4
. 田川カブ(鶴岡市少連寺)
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
1
0
6
(3) 藤 沢 力 ブ (写 真 5)
みに,手向では,先述のとおり,昔から温海カブを栽培
していたが,それはかなり雑ぽくなものであったようで
a) 形態的特徴
鶴岡市藤沢で栽培されている.名称は栽培地や言い伝
ある.特に,手向の執行坂付近では,肩平なカブ(温海
えられている由来地の名前を冠して,藤沢カブ,峠ノ山
カブ)に混じって,地上部が温海カブと同じような色で,
1
9
7
6
)
のカブ,湯田川カブなどと呼ばれてきた.青葉 (
地下部が白く,長細いカブが混じって出てきていたとい
は,藤沢カブについて,
っ
.
I
温海カブとほとんど変わりは
ない. しかし温海カブに比べると雑ぱくで,なかにはか
なお,この藤沢カブは,今から 2
0
年ほど前に一度絶滅
なり長いカブを作る農家もある.品質や使い方も温海カ
しかけたが,昭和の終わりころ,昔からこのカブを栽培
し続けてきた藤沢集落の女性に,現在の栽培者がさかず
ブと同様」だったと報告している.
,長さ 1
0
'
"
'
"1
2
3
c
mの長
現 在 の 藤 沢 カ ブ は , 直 径 3cm
き 1杯程度の種子を分けてもらい,栽培を続けながら採
カブで,地上部は紫赤色で,地下部は白く,根の内部も
種と選抜を行ってきた.その結果,藤沢カブの形はよく
白い丸尻のカブである.葉は,温海カブと同様に毛じが
揃い,現在の形に落ち着いてきた.
多く,草姿は開張性である.根部の皮は薄い.
c) 食べ方
b) 来歴
温海カブや田川カブと同じように,今では甘酢漬けに
I
温海の峠ノ 山から流れてきた 」といわ
して食べることが多くなったが,かつてはアパ漬けと呼
れる.そのため,かつては峠ノ山のカブと呼ばれていた.
ばれるみそ漬けにして食べていた.アパ漬けの甘味をつ
藤沢カブは,
旧温海町小国字峠ノ山で聞くと,昔から,赤カブとして
けるためにかつては地元でよく栽培されていた伝九郎と
は温海カブを栽培していて,現在の藤沢カブのような細
いう在来の渋ガキをカブと同量くらい一緒に漬け込んだ
長いカブは見たことがないという.けれども,青首の白
という.間引した茎葉は,浅漬けやみそ和えにすること
0
年ほど前まで栽培していたということから,
い長カブを 6
もある.
これらの間で交雑が起こった可能性がある.
d) 栽培方法
また,別の説として,鶴岡市羽黒町手向で、かつて栽培
藤沢カブは,焼畑で栽培される.その焼畑技術につい
されていたカブが,出羽三山修験の山伏の手により,霊
ては,山崎 (
2
0
0
4
) が詳述している.現地では,焼畑,
山である金峰山に伝えられて,その西麓の藤沢で栽培さ
焼畑前の草刈り,焼畑の火入れのことをそれぞれヤキハ
タ,ヤマハライ,ヤマヤキと呼ぶ. 7月下旬,丁寧にヤ
れるようになったのではなし、かというものもある.ちな
マハライをし,盆前後に行われるヤマヤキまで十分に乾
燥させる.収穫したカブはほとんどが販売用に回るので,
今ではヤマヤキをすると,初期生育をそろえるために硫
安の細粒と種子を混ぜたものを播く .昔は人手も多く ,
作業が早く進むため,まだ土の熱い内に種子を播いてい
た.カブの種が,灰の上でピンピンと音を立てて跳ねて
5日,早くて 1
0月の初
いたという.播種してからおよそ 4
めから収穫が始まる.収穫量は, 1
0aあたり 8
0
0
k
g,-...., l
t
である.
藤沢カブの価値が下がり,温海カブに取って代わられ
た時代は,温海カブのコオロギ除けとして温海カブを取
り囲むように藤沢カブを作っていたという.
焼畑の輪作では,
1年目にカブを播き ,春になると植
林をする. 2
'
"
'
"3年目には小豆を播き,
写 真 5.藤沢カブ(鶴岡市藤沢)
4年目になると
ネギ,ナス,ジャガイモなどを植える.新しく焼いて作っ
た畑をアラドコ(新床)と呼ぶが,このような畑は何を
作っても良くできるという.
3
0
0
山形県出内地ノらにおける在来カブ
山崎・江頭
1
0
7
e) 採 種
(2)横代の白カブラ
採種に関して,藤沢では「ソトメ(早乙女)の手足見
せるな」と ~t 、伝えられている.
ソトメすなわち田植え
a) 形態的特徴
をする早乙女の手足を見せるなということで,田植えの
鶴岡市横代 (
1円岡田川郡温海町)で栽培されていた 1
'
1
6
0年前頃まで栽培されていた.太さ 8
c
m,
時 期 (5月末)より前にカブの種子は採るものだといわ
カブである.
れている.そうしないと,カブの格好が思くなるのだと
0
c
mくらいだったという.
長さ 2
いう.カブの種子は,
5月の末頃,化茎の先に 2, 3の
b) 食べ方
カテメシ(糧飯)や汁にすることが多く,漬物にする
化が銭っている時に刈り取り,その化茎は,クイガケ
(杭掛)と呼ばれるイネを干す時に使われるハザに,イ
ことはなかった.カテメシは,細長いカブを細かく切っ
:
1で採種する.
て,米が炊き上がったら米の足しにそれを入れてかき混
ネと同じように掛けて,よく乾燥させた
ぜた.
やがて生活が豊かになってカテメシを食べなくなった
3
. すでに消滅した力ブ
頃から,この 1
'
1カブラは作られなくなったという.
c) 栽培方法・保存方法
(1)倉沢の白カブラ
a) 形態的特徴
カブは焼畑で作られ,冬期間の保存には,土に埋めて,
籾殻をかけておいた.
鶴岡市倉沢 (1 円東田川郡朝日村)で 16~20年ほど前ま
で作られていた 1
'
1カブである.根幅より根長が少し長く,
0
c
mほどのカブで,ずんぐりしていたという.
長さが 1
(3)峠ノ山の白カブラ
1円岡田川郡温海町)で,
鶴岡市小凶峠ノ山 (
b) 食べ方
お粥のように緩やかに,代々株が
小正月の日の朝, I
6
0年以上
l1
t
、長カブで,
前に栽培されていたカブである.青首の '
0
c
mほどだったという.
長さは 2
'
1カブラのカブ
繋がるように,譲るように」と,お粥と 1
ラ汁をこ先祖禄や杵禄に供え,家族みんなで食べる.カ
ブラ汁は,カブを刻んで仙揚げやズーキ(ズイキ)イモ
(4)青沢力ブ
と席者に煮たもので,この時には,いつでも必ず 1
'
1カブ
a) 形態的特徴
ラを使い,温海カブは使わなかったという. 1
'
1カブラは,
そのほかに日常的にも食べたが,茄でて細く
:
1青沢南ノ前田
5(
19
9
3
) 年くら
青沢カブは,酒田市北青沢家ノ前や
T切りにし
(
t、ずれも│円飽海郡八幡町)で,平成
て,胡桃みそや胡麻みそで和え物にした.
l1
t
サLカブである.茎の付け根の部
いまで作られていた '
c) 栽培方法
分がへこんでいて平たい.大きさは 1
0
c
m以上になり,辛
倉沢では焼畑のことをナギノと呼ぶ.カブは,ナギノ
味はないという.葉は短く,
月
で栽培した. 7月のうちに草木を刈って乾燥させ, 7
ができなかった.
'
1カブラのほかに
の末にナギノヤキ(火入れ)をする. 1
b) 食べ方
温海カフも作っていたが,それらは同じ畑で栽培してい
5個くらいしか束ねること
カブは,漬物や,囲炉裏で焼いて食べた. ウサギ汁の
た.
中にもこのカブが入っていて,柔らかく,とろっとして
d) 保存方法
いておいしかったという.
c) 栽培方法
冬,土を掛ってわらを敷き,ネズミ除けに杉の葉を入
青沢では焼畑をカノと呼ぶが,昭和の終わり頃までこ
れ,ダイコンやカブを入れたあとで,再び杉の葉,わら
を敷いて,雪に埋もらせる. このようにして,ダイコン
のカノでカブを栽培していた.炭焼きをしている脇に,
をはじめ,カフなどを冬の間保存していた. I
日本の食
20~30 坪 (66~99 rn')の畑を作ったという.
生活全集
6 聞き書 山形の食事 J(農文協, 1
9
8
8
)に
8月に入る
と,カノを刈り,盆頃畑を焼いて灰が飛ばぬうちに会斉
よると,これを大根っぽけ(穴)と呼んだ.
に種子を播く.温海カフと申書に播いて作っていた.初
なお今では,ダイコンなどの保存は発泡スチロールの中
期成育が良くなるといって,カノでは,カフのほかにタ
に入れてするようになっている.
イサイ,タカナおよびセイサイを育出し,普通畑に移植
3
0
1
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第
1
0
8
4号
1月頃で,雪が積もって,遅
した.青沢カフの収穫は, 1
た.湯の浜の山すその砂丘地に土地を持っている人が多
くなればなるほどカフはおいしかったという.カノでは,
く,そこでたくさん栽培されていた.水はけが良く,い
2年 H以降,アズキやダイズを作って,それを米と物々
いカフができたという.砂丘地であるが,下川地灰は地
交換していた.
下水が高く,鍬で深く掛れば水が山てくるような所であ
d) 採 種
種子取り用のカブには,
る.
1
0
c
m未満で平たく形の良いも
播種法は,つぼ播きであった.追肥には山の登り円に
のを選び,それから種子を採ったという.
ある掬ごいに掬めた上澄みを i
及み,
e) 保存方法
まで運んだ.収穫は,
f
日い棒で担って,畑
5月下旬頃であった.
5月2
5日の鶴岡の天杵祭, 6月 5日の大山の犬祭りの
冬になると,困炉裏脇の畳の下にある穴倉に米糠を入
時にカブを売りに行った. 5つくらいずつ縛って,山に
れ,そこにカラドリイモと
葉定も入れて保 f
存子した. また,外で保
入らないように杉の 1
しておけば売れたという.また,自転車にリヤカーをつ
存する場合は, 7
}
くが掬まらないように高畝にして,イモ
けたり,バイクに向車を付けたりして,湯の浜の旅館や,
やダイコンと会緒に,わらで作った円錐状のもので覆い,
近くの七窪や大山まで運んだ.鶴岡・湯野浜温泉聞には,
さらにその下部を土で覆う. これをタテと呼び,こうし
1
9
2
9年から 1
9
7
5年まで正内交通湯野浜線が通っていたの
て越冬させるとカフをみずみずしい状態で維持できると
で
,
L、う.
この貨車にカフを乗せて運んだという.
収穫したカブは,大山小学校の前にある「田川おみき
さん」という八百屋を通し,漬物屋でも売られていたが,
(5)下川力ブ
年季奉公の人がいなくなり,手がまわらなくなって版売
a) 形態的特徴
を止めたという.カブを栽培するには,肥料など手聞が
鶴岡市下川で 5
0年ほど前まで栽培されていた扇平な丸
かかる
:
1,栽培地は市も入れない不便な所で、カフを運
'
1カブラと呼ばれ
いカブで,現地では下川カブあるいは 1
ぶのにとても苦労した.畑もそれほど広くなかったので,
ていた
輪作ができず根こぶ病が山て,良いカブが採れなくなっ
b) 来 歴
てしまったという. これらのことが,栽培しなくなった
現在のところ来歴は不明であるが,新潟の寄凶カフの
系統かもしれないという元栽培者
原因の会つといわれている.
(
7
5歳)もいる. しか
e) 採種
し,それも形態からの見た Hの判断で,確固たる証拠は
見つからないという.ただ,青葉
潟で栽培される寄凶カフは,
種子採りは,婦人会で畑を借りて種子を採り,婦人会
(
2
0
0
0
) によれば,新
に入っている人の中で分け合っていた.
3
0
0年の歴史を持つ '
l1
t
サL
カブで,春播きに適しているという.何らかの形で同じ
4
. 圧内地方の在来力ブの系統と用途に関する総合考察
系統が入ってきたという司能性は否定できない.
以上の調査を踏まえて, !土内地ノ与の在来カフの系統と
c) 食べ方
下川カブは,酢の物,みそ漬け,煮物jにして食べた.
用途について,整理ならびに考察を加えたい.
はじめに述べたように, !土内地ノ与を始めとし,山形県,
昭和初期,季節託児所に通う子供たちは,お昼のおかず
に小さいうちに収穫した下川カフを煮て,串に団子のよ
さらに東北地んーの在来カブについて,
これまで最も詳し
うに 3つくらい刺したものを食べていた. これが子供た
い調査を行ったのは青葉であった. I
北凶の野菜風土誌」
ちのお昼のご馳走になった.また,田植えの忙しい時期
(
19
7
6
) において,青葉は,山形県下の 1
2系統のカブの
の共同炊事では,このカブを使った料理が毎日 2~3 品
名前をあげ,そのうち正内地ノらのものとして,温海カブ,
は山ていたという.
藤沢カブ,手向カフ,立谷沢カフの,全部で 4系統のカ
d) 栽培方法
ブの名前を挙げていた.
青葉の調査から 3
0年あまり経った現在,本調査で確認
下川では,春にこのカフを作り,秋に温海カフを作っ
ていた. !土内地ノ与で春播きの在来カブは下川カフのみで
できたことは,手向カブと立谷沢カブが消滅し,市版の
ある.下川カフは,焼畑ではなく普通畑で栽培されてい
温海カブに置き換わったことである.また,新たに,温
3
0
2
山形県庄内地方における在来カブ一山崎・江頭
海カブを祖先にもつ田川カブというカブが選抜され,栽
1
0
9
なお,庄内地方の在来カブ、については,近年,温海カ
培されていることもわかった.
ブが全国的に著名になったこともあって,赤カブの系統
また,青葉は,山形県村山地方の山形市で、かつて栽培
がもともと優位を占めていたように思われがちだが,宝
山形県には,青首の長
されていた高湯カブについて, I
谷カブや升田のカナカブなどの白い長カブの系統が広く
カブはここだけで作られ…」と述べている. しかし,庄
分布していたことは注目に値する.実は,岩手県の暮坪
内地方にも,青首の長カブとして,宝谷カブと升田のカ
カブ(写真 6) (遠野市),秋田県のカナカブ(写真 7)
ナカブが現存し,かつては峠ノ山の白カブラも栽培され
(にかほ市両前寺 <
1日由利郡仁賀保町>),カナカブ(写
ていたことが確認できた.またかつて,倉沢・横代の白
真 8) (由利本荘市飯沢〈旧由利郡由利町〉など),平良
い長カブや,青沢カブ,下川カブといった白い丸カブが
カブ(雄勝郡東成瀬村),山形県村山地方の 高湯カブ
存在していたことも,新たに確認することができた.
(山形市蔵王温泉など),および新潟県の青首の長カブ
そこで, これまでの調査結果をまとめると(図 1
,
)
(東蒲原郡阿賀町日出谷付近,東京長カブに類似) (青葉,
庄内地方の在来カブ系統は,白い長カブが 5系統(宝谷
カブ,升田のカナカブ,横代・峠ノ山・倉沢の 3
系統),
白い丸カブが 2系統(青沢カブ,下川カブ),赤い丸カ
ブが 5系統(温海カブ,手向カブ,立谷沢カブ,倉沢の
赤カブ,田 川カブ),赤い 長カブが 1系統(藤沢カブ)
3系統が存在したが,そのうち現存しているのは宝
の計 1
谷カブ,升田のカナカブ,温海カブ,田川カブおよび藤
沢カブの 5系統であり,残り 8
系統が消滅したといえる.
ちなみに,庄内における在来カブの消失の程度は,山
形県下の在来カブを伝える他地域と比べても,特に著し
い.その理由として,江戸時代から庄内の特産品であっ
た温海カブの種子が,古くから種苗屈によって販売され
ていたこと,また, ここ近年のふるさと再生の動きゃ地
域おこしの機運で,温海カブが再び注目を集め,その栽
写真
7.カナカブ(秋田県にかほ市両前寺)
培が旧温海町のみならず庄内地方に広く一般化され,旧
来の在来カブが市販の温海カブに置き換わったことなど
があげられる.
写真 6
. 暮坪カブ(岩手県遠野市暮坪)
写真 8.カナカブ(秋田県由利本荘市飯沢)
3
0
3
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
1
1
0
カブの形態
秋田
.
赤・丸型
O
白・丸型
圃
赤・長型
口
白・長型
山
汗
ラ
庁潟
一一ーは県境
1.カナカブ(秋田県由利本荘市)
2
.カノカブ(秋田県にかほ市)
3
.平良カブ(秋田県東成瀬村)
4
.升田カブ(1
1
1形県鶴岡市 <
1
8八幡町))
5
.青沢カブ(山形県鶴岡市 <
I
R八幡町))消滅
6
.立谷沢カブ(山形県f
下
j刊J<I
R立川町))消滅
7
.手向カブ(山形県鶴岡市 <
I
R羽黒町))消滅
8
.宝谷カブ(山形県鶴岡市(旧櫛引町))
9
.藤沢カブ(山形県鶴岡市)
1
0
. 田川カブ(山形県鶴岡市)
11.温海カブ(山形県鶴岡市(旧温海町))
1
2
.温海カブ(新潟県村上市(山北町))
1
3
.下川カブ(山形県鶴岡市)消滅
J!l.温海カブ(山形県鶴岡市(旧朝日村))消滅
1
5
. 白かぶら(山形県鶴岡市 <
1
8朝日村))削減
1
6
. 白かぶら(山形県鶴岡市 <
1
8漏出町)横代)削減
1
7
. 向かぶら(山形県鶴岡市 <
1円温海町〉峠ノ山)消滅
凶1.秋田県南部,山形県出内地ノらおよび新潟県北部の在来カブの分布
3
0
4
山形県出内地ノらにおける在来カブ
1
9
7
6
) など,山形県の隣接県に 1
'
1首や青首の長カブが多
、
L
山崎・江頭
1
1
1
ところが,現在では,どのようなカフでも甘酢漬けに
加上して食されることが多くなった.特に,温海カフの
特に,これらのカフのうち,暮坪カフおよびカナカフ
甘酢漬けは,食されるようになってから 3
0年ほど経つが,
(秋田県にかほ市両前守)と宝谷カブおよび J
I田のカナ
今では庄内のみならず全凶的にも人気が高い.今や庄内
カブとの聞には,根部の肥大のしやすさや,カブの腰折
を代表する漬物の lっとして認められたといってよいで
れの程度に左はあるものの,根が乳 1
'
1色で,波打ちが小
あろう.その温海カブの甘酢漬けの漬けんの主,他のカブ
さく,硬い葉をもち,抽根性が大きいという形態の類似
の食習にも影響を与えたのかもしれない.
また,漬物j以外のカフの特色ある食べノ与には, I
蛸煮」
が見られた.つまり, !土内地々の 1
'
1い長カブは,岩手県
および秋田県などに分布する在来の 1
'
1い長カフときわめ
という調理法があった.蛸煮を伝えているカフには,宝
て類似し,由来について互いに関連している司能性があ
谷カブ,
ると推察された.
ブ・赤カブに限らず,庄内地ノらでは,広く食されている
J
I田のカナカブ,温海カブなどがあって, 1
'
1カ
ことが知られた.ちなみに, これまでの調査の結果, こ
それに対して,温海カブは,長野県本曽地ノらの在来品
種(開田カフ,細見カブ,王滝カフ)や岐阜県の木曽紫
の「蛸煮」という食習は,カノカブ(秋田県にかほ市両
カフと形態形質からみて近縁である(大井・佐藤,
前守
2
0
0
2
) ことや,鶴岡市温海地灰や朝日地灰の「ヤキハタ」
村)を栽培する地域でも行われていて, !土内地ノ与の北に
「ナギノ」という焼畑に対する呼称が, fI昔話単・美濃・越
援するかなり広い地域に共通する食べノらであったことが
ナギハタ」という呼
中にかけて分布する「ヤキパタ JI
わかった.
<
1円仁賀保町) )や平良カフ(秋田県雄勝郡東成瀬
1
9
7
2
) に類似することなと、から,その来歴
なお,カブの用途として,庄内地ノらではないが,薬用
に関して,~騨から美濃,長野冨山に至る中部山岳地
に用いる事例が知られている.たとえば,岩手県の暮坪
帯のカフと何らかの関係を持つ司能性があると考えられ
カフ(遠野市)は馬産地であったこともあり,馬が怪我
称(佐々木,
をした時に患部をカブの葉で拭いたり,カフの葉には
た.
庄内地んーの在来カブの食用としての利用んー法は多禄で
「産後の女性の体内にある思いものを下す作用がある」
あり,いずれの系統も,カブがそれぞれの地域で貴重な
といわれ,軒先にカブの葉を吊るして「干しっ葉」にし,
食材として,さまざまに活用されていたことがわかった.
それを風日に入れて体をこすったりと,長い間薬草とし
たとえば,漬物や掛け干しなどの保存食,和え物や浅漬,
ても扱われていた. この薬草としての利用価値こそが,
汁などの日常食としてカフは利用されてきた.さらに多
暮坪に在来カブが銭った最も大きな理由だったといわれ
雨でも干ばつの年でも山間地の斜面で作られるカブは収
五内地ノらでは,暮
ている.ただ,今回の調査において, I
量が年次問で安定しているので,糧物などのいわゆる救
坪カブのような薬草としての事例は確認できなかった.
荒食としても,在来カブは利用されてきた.春播きの下
年中行事として,在来カブがハレ(日常とは異なる特
川カブを除く全てのカブがお盆のころに播種しでも生育
別な日)の生活のリズムの中に組み込まれていることも
期聞が短く降雪前までには収穫を終えることができるの
見逃せな L¥点であろう.鶴岡市倉沢で,小正月の日にカ
で,その年のコメの豊凶の見通しがつくころに種子を播
ブラ汁をご先祖禄に供えてから家族で食べる例が見られ
けば冬期間の食料を確保できたことが,カブが広く栽培
たり,同じく温海地域で,
されてきた大きな理由であると思われる(江頭,
2
0
07
)
.
1
円暦
1
0月 1
0日(現在は 1
1月 1
0
日)を「カブの年夜」と呼んで,カブと牡丹餅を杵棚に
具体的なカブの食べんーについては,今回の調査から,
供える例が見られたりするところには,庄内地んーの在来
宝谷カブのような 1
'
1いカブは,塩漬けに加五されること
カブが,人々の今年間の暮らしを支える貴重な作物jとし
が多く,温海カブのような赤いカフはアパ漬けと呼ばれ
ていかに重要な位置を占めていたかをうかがわせて興味
るみそ漬けや糠漬けに加上されることが多かったことが
深い.
分かった.また, 1
'
1カブ,赤カフいずれのカフ漬けも,
なお,今回の調査の結果わかったことは,かつて 1
'
1い
冬の問中食べ続け,春になって酸味が山るようになると,
長カブは広範囲に栽培されていたのに対し,赤カブは栽
塩抜きして妙めたり,煮たりして食べたという話も聞い
培地が限られていたことである.また庄内地ノらにおける
た.
1
'
1カブと,赤カブの関係は, 1
'
1カブがカテメシのような
3
0
5
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
1
1
2
日常食という意味合いが強いのに対し,赤カフは色合い
は,隣接する岩手県および秋田県南部の暮坪カブやカナ
の美しさから希少価値を持つものとして扱われてきたよ
カフなどとの形態の類似から,両者の聞に類縁性が考え
られる.また,温海カフなど赤い丸カフの系統について
うに思われる.
現在,全凶的に在来作物jや郷土食の見直しが行われる
は,形態的な類似や温海,朝日地灰でのヤキハタやナギ
ようになったものの,庄内地んーにおける在来カブの栽培
ノなどの焼畑呼称の類似から飛騨・美濃・長野・'高山に
は確実に夏巡している.経済効ヰt
を求めて,在来の品種・
至る中部山岳地帯のカブとの聞に類縁の司能性が考えら
系統が商業品種に置き換えられたこととともに,栽培者
れた.
の高齢化や食生活の変化は,在来作物の消失に拍車をか
j
五内地ノらの在来カブの食法は,保存食,
日常食,救荒
食として多禄であり, 1
'
1カブ・赤カフともに冬期間中食
けているという現実がある.
在来作物は,遺伝的多禄性をもっ重要な生物資源て、あ
'
1カプは主に塩漬け,赤カブは下ーにみそ漬けや
された. 1
るとともに,伝統的な食文化や栽培技術の継承を担う媒
糠漬けが伝統的な食法だったが,近年,温海カブの流通
体としての機能もある(山形在来作物研究会, 2
0
07
)
.
にともなって甘酢漬けへと変遷してきた.特色ある食法
現時点で,あらゆる情報を収集し,保存していくことが,
には,蛸煮があり,これは秋田県南部の栽培地域とも共
農学はもちろん,民俗学や歴史学の上でも意義があると
通する.
栽培ノ句法は,砂丘地で普通畑に栽培される下川カフを
考えられる.
:
1地庁,村山地ノらおよび置賜地んーの在
除いて,焼畑栽培で夏に播種されてきたが,現在,宝谷,
来カブの種類とその利用ノら法についても,報告していく
温海,田川,藤沢の各地域で伝統的な焼畑栽培が続けら
予定である.
れているほかは,おおむね普通畑の栽培に切り替わって
今後,山形県最
いる.収穫したカフを冬期間保存するのに,かつては囲
炉裏脇の穴倉にしまったり,山入円の傍に藁の囲い(ち
N. 摘 要
ぼけ)を作ったりして保存するのが今般的だった.現在
高度経済成長期以降,日本各地の在来作物は,経済効
本の面から商業品種に置き換えられ,食生活の変化や栽
は全量収穫して漬物jに加 L してしまうか,生で版売用に
山侍することが多い.
庄内地ノら南部では,現在も小正月や 1
0月の収穫期にカ
培者の高齢化も加わり,減少の会途をたどりつつある.
山形県の在来カブもその例外ではない.本稿では,山形
ブに関わる年中行事が行われているところもあり,~地
県庄内地んーに現存またはかつて存在した在来カブの種類
域の暮らしにカフが貴重な作物jとして位置付けられてき
や特徴,栽培ノら法,食べノらなと、について,文献および聞
たことがわかった.
き取りによる調査を行い,その現状と来歴について報告
ならびに若干の考察を試みた.
その結果,かつて 1
'
1い長カブが 5系統(宝谷カブ,
謝 辞
J
I
田カブ,横代・峠ノ山・倉沢の 3系統), '
l1
t
サLカブが 2
系統(青沢カブ,下川カブ),赤い丸カブが 5
系統(温海
本論文の調査・執筆に際して,取材に協力いただいた
現地の皆禄に,この場を借りて心からお礼申し上げる.
カブ,手向カブ,立谷沢カブ,倉沢の赤カブ,田川カブ),
l系統(藤沢カフ),訂 1
3系統存在したこ
I田の
とが明らかになった. これらのうち,宝谷カフ, J
引用文献
カナカフ,温海カフ,田川カブおよび藤沢カフの 5系統
1)青葉高 (
1
9
7
6
)I
北凶の野菜風土誌J. p
p
.
1
7
0
1
8
2お
赤い長カフが
が現存し,銭りの 8
系統は消滅したと考えられた.温海
カブなど赤い丸カブのうち,手向カブ,立谷沢カブ,倉
よび p
.
1
8
6
. 東北山版企画.
2
) 江頭宏昌 (
2
0
0
7
) 山形県の在来カブ
沢の赤カブの 3
種類が,温海カブと異名同種と考えられ,
田川カフは温海カフから選抜された系統であることが再
生育と品質に及ぼす効果
焼畑がカブの
.季刊東北学 1
1: 1
0
6
1
1
6
.
3
) 鎌倉由紀 (
2
0
0
4
) わが凶における焼畑および遺伝子
0
0
4年度山形大学農
型から見た温海カブの位置付け. 2
確認できた.
j
土内地ノ1;1
こ'
l1
t
、長カブの系統が広く分布していたこと
学部卒業論文.
3
0
6
山形県出内地ノらにおける在来カブ
4
)1
日本の食生活全集山形」編集委員会(19
8
8
)1
日本
の食生活全集 6 聞き書山形の食事J. p
.
2
5
8
. 農山漁
村文化協会.
5
) 野本寛会 (
2
0
0
5
)1
栃と餅J. p
.
1
0
0
. 岩波書庖.
6
)農文協編 (
1
9
7
6
)1
新野菜全書 ダイコン・ニンジン・
カブ・ゴボウ
J
.p
p
.
5
9
76
0
3
.
基礎生理と応用技術
農山漁村文化協会.
7
) 大井美知男・杵谷幸洋 (
2
0
0
2
)1
からい大根とあまい
蕪のものがたりJ. p
p
.
3
2
3
4
. 長野日報社.
8
) 大井美知男・佐藤靖子 (
2
0
0
2
) 長野県在来カブ・ツ
ケナ品種の類縁関係.困学研 1(
4
) :2
3
7
2
4
0
.
1
9
9
8
) 平成の在来野菜⑤.荘内日報社.平
9
) 大野博 (
成1
0年6
月2
0日付.
1
0
) 佐々木高明 (
1
9
7
2
)1
日本の焼畑 その地域的比較
研究 J
.p
p
.
1
7
9
2
0
7
. 古今書院.
1
1
)佐藤光民 (
1
9
9
6
)焼畑と温海カブをめぐって.山形
民俗 1
0
:9
0
9
7
.
1
9
7
4
)1
山羽凶風土略記J.歴史凶書社.
1
2
)進藤重記 (
1
3
) 杵道大系編纂会 (
1
9
8
2
)1
杵 道 大 系 杵 社 編 J十二
山羽 J 山J. p
.
2
6
9
. 杵道大系編纂会.
1
4
) 田川村史をつくる会(19
9
6
)1
田川の歴史J. p
p.
40
41.田川地灰自治振興会.
1
5
)鶴岡市史編纂委員会(19
9
6
)1
鶴岡市史資料編荘内
0生活文化史料」喰物. p
p
.
1
8
6
1
9
7
. 鶴岡市.
史料集 2
1
6
)鶴岡市史編纂委員会 (
1
9
9
6
)1
鶴岡市史資料編荘内
史料集 2
0生活文化史料」玄々堂叢書.温泉記. p
p
.
2
4
7
2
51.鶴岡市.
17)鶴岡市史編纂委員会(19
9
6
)1
鶴岡市史資料編荘内
史料集 2
0生活文化史料」松竹純来. p
p
.
3
1
3
3
1
6
. 鶴岡
市.
1
8
)小泉吉永編 (
1
9
9
8
)稀翫純来物集成.第 2
9巻 1
五内
任来J.大空社.
1
9
) 山形在来作物研究会 (
2
0
07
)1
どこかの畑の片すみ
で
在来作物はやまがたの文化財
J
.p
p
.
8
3
2
. 山形
大学山版会.
2
0
) 山崎彩香 (
2
0
0
4
)特集.山形県庄内地んーの「焼き畑
ロード」を行く. 4鶴岡市の藤沢カフとその焼畑技術
後藤勝利さんに聞く
• SEED2:
2
2
2
7
.
3
0
7
山崎・江頭
1
1
3
山形大学紀要(農学)第 1
5巻 第 4号 :3
0
9
3
1
4
. 平成 2
1年 2月
B
u
l.
l YamagataU
n
i
v
.,Agr
.S
c
i
.,1
5
(
4
):3
0
9
3
1
4
.F
e
b
.2
0
0
9
Uptakeo
fa
p
p
l
i
e
ds
i
l
i
c
abyr
i
c
ep
l
a
n
t
si
nr
e
l
a
t
i
o
n
t
ol
e
v
e
lo
fn
i
t
r
o
g
e
na
p
p
l
i
c
a
t
i
o
n
Shuhei MAKABE*,Ken-ichi KAKUDA**,Yuka SASAKI***and HoANDO**
*United Graduate School of Agricultural Sciences,Iwate University,Morioka 020-8550,Japan
**Section ofAgricultural Ecology and Engineering,Department of Bioproduction,
Yamagata University,Tsuruoka 997-8555,Japan
本
**Universityfarm ofFaculty of Agriculture,Yamagata University,Tsuruoka 997-0369,Japan
(Received September 18,2
0
0
8
)
Summary
1
ci
u
ms
i
l
i
c
a
t
e たr
t
i
l
i
z
e
r
To i
n
v
e
s
t
i
g
a
t
et
h
er
e
l
a
t
i
o
n
s
h
i
pb
e
t
w
e
e
nt
h
er
e
c
o
v
e
r
γ
r
a
t
eo
fa
p
p
l
i
e
ds
i
l
i
c
ao
fc
a
(
C
S
)b
yr
i
c
ep
l
a
n
ta
n
da
p
p
l
i
c
a
t
i
o
nr
a
t
e
so
fn
i
t
r
o
g
e
n(
¥
1
)
, ap
o
tp
l
a
n
te
x
p
e
r
i
m
e
n
tw
a
sc
o
n
d
u
c
t
e
du
n
d
e
rd
i
t
f
e
r
e
n
tCSa
n
d¥
1a
p
p
l
i
c
a
t
i
o
nr
a
t
e
s
.T
r
e
a
t
m
e
n
t
sw
e
r
eCSa
p
p
l
i
c
a
t
i
o
na
sb
a
s
a
lf
e
r
t
i
l
i
z
e
r(
S
i十
)a
n
dn
os
i
l
i
c
aa
p
p
l
i
c
a
t
i
o
n(
S
i
)a
n
dt
h
eb
o
t
ht
r
e
a
t
m
e
n
t
sw
e
r
eg
r
o
w
nw
i
t
ht
h
r
e
en
i
t
r
o
g
e
n(
¥
1
)a
p
p
l
i
c
a
t
i
o
nl
e
v
e
l
s,i
.
e
.,l
o
w(
¥
1
1
)
,
m
i
d
d
l
e(
¥
1m
),a
n
dh
i
g
h(
¥
lh
)
.H
i
g
h
e
rn
i
t
r
o
g
e
na
p
p
l
i
c
a
t
i
o
nr
a
t
e
si
m
p
r
o
v
e
dt
h
ep
l
a
n
td
r
yw
e
i
g
h
ts
i
g
n
i
f
i
c
a
n
t
l
y,r
e
g
a
r
d
l
e
s
so
fS
i
-o
rS
i十 t
r
e
a
t
m
e
nt
.I
nc
o
m
p
a
r
i
s
o
nw
i
t
h¥
11v
a
l
u
e
s,t
h
et
o
t
a
ld
r
γ
w
e
i
g
h
ti
nS
i
-a
n
dS
i十 p
l
a
n
t
s
lha
n
d1
9a
n
d2
1
%i
n¥
1m t
r
e
a
t
m
e
n
t
s
.Thed
i
t
f
e
r
e
n
c
eo
fs
i
l
i
c
ac
o
n
t
e
n
tb
e
t
w
e
e
n
i
n
c
r
e
a
s
e
db
y3
1a
n
d3
5
%i
n¥
S
i十 p
l
a
n
t
sa
n
dS
i
-p
l
a
n
t
sw
a
ss
i
g
n
i日c
a
n
t,b
u
tt
h
e
r
ew
a
sn
os
i
g
n
i日c
a
n
td
i
t
f
e
r
e
n
c
ei
ns
i
l
i
c
ac
o
n
t
e
n
tamongn
i
t
r
o
g
e
nt
r
e
a
t
m
e
n
t
s
.Ther
e
c
o
v
e
r
yr
a
t
e
so
fa
p
p
l
i
e
ds
i
l
i
c
ab
yr
i
c
ep
l
a
n
t
si
n¥
11
,¥
1m,a
n
d¥
lhw
e
r
e2
3
.
9,3
2.
4a
n
d
3
0
.
6
%,r
e
s
p
e
c
t
i
v
e
l
y,b
u
tt
h
e
r
ew
e
r
en
os
i
g
n
i
f
i
c
a
n
td
i
t
f
e
r
e
n
c
e
si
nr
e
c
o
v
e
r
yr
a
t
e
so
fs
i
l
i
c
aamongt
h
ed
i
t
f
e
r
e
n
t
n
i
t
r
o
g
e
na
p
p
l
i
c
a
t
i
o
nr
a
t
e
sT
h
e
r
e
f
o
r
e,i
ts
e
e
m
e
dt
h
a
tt
h
er
e
c
o
v
e
r
yr
a
t
eo
fa
p
p
l
i
e
ds
i
l
i
c
ao
fCSw
a
sn
o
ta
t
f
e
c
t
e
d
b
yn
i
t
r
o
g
e
na
p
p
l
i
c
a
t
i
o
nr
a
t
ea
n
dp
l
a
n
tg
r
o
w
t
h
K
e
yw
o
r
d
s c
a
1
ci
u
ms
i
l
i
c
a
t
e,s
i
l
i
c
au
p
t
a
k
e,¥
1a
p
p
l
i
c
a
t
i
o
n,r
e
c
o
v
e
r
yr
a
t
e,r
i
c
e
h日
a
p
p
l
yn
it
r
o
g
e
nf
e
r
t
i
l
i
z
e
rt
oi
n
c
r
e
a
s
ey
i
e
l
d
s,andt
I
n
t
r
o
d
u
c
t
i
o
n
n
i
t
r
o
g
e
na
p
p
l
i
c
a
t
i
o
nr
a
t
ei
sc
l
o
s
e
l
yr
e
l
a
t
e
dt
ot
h日
i
l
i
c
a
Applying s
i
l
i
c
at
or
i
c
ep
l
a
nt
s, a high s
dry w巴i
g
h
to
ft
h
ep
l
a
n
t (Sumida 1
9
9
2
)
.T
h
e
r
e
f
o
r
e,
accumulatingp
l
a
n
t,i
n
c
r
e
a
s
e
st
h
ey
i
e
l
dandq
u
a
l
i
t
y
s
i
l
i
c
af
e
r
t
i
l
i
z
e
rs
h
o
u
l
db
ea
p
p
l
i
e
dt
ocompensatef
o
r
o
ft
h
er
i
c
e by improving p
l
a
n
t growth (Ma and
any s
i
l
i
c
as
h
o
r
t
a
g
e
. However, no i
n
f
o
r
m
a
t
i
o
ni
s
Takahashi 2
0
0
2
), and r
e
s
i
s
t
a
n
c
eo
rt
o
l
e
r
a
n
c
et
o
a
v
a
i
l
a
b
l
eont
h
er
e
l
a
t
i
o
n
s
h
i
pbetweent
h
euptakeo
f
b
i
o
t
i
c and a
b
i
o
t
i
cs
t
r
e
s
s (Ma 2
0
0
4
)
.S
i
l
i
c
ai
nr
i
c
e
a
p
p
l
i
e
ds
i
l
i
c且 andn
i
t
r
o
g
e
na
p
p
l
i
c且t
i
o
n
.
p
l
a
n
t
s i
s d
e
r
i
v
e
d from paddy s
o
i
l
s, i
r
r
i
g
a
t
i
o
n
I
nt
h
i
sp
a
p
e
r, we i
n
v
e
s
t
i
g
a
t
e
dt
h
er
e
l
a
t
i
o
n
s
h
i
p
wat
e
r, and a
p
p
l
i
e
df
e
r
t
i
l
i
z
er
. S
i
l
i
c
af
e
r
t
i
l
i
z
e
ri
s
between n
i
t
r
o
g
e
na
p
p
l
i
c
a
t
i
o
n and uptake (
r
e
c
o
v
e
r
y
r
e
qu
i
r
e
dt
og
e
tt
h
eb
e
n
e
f
it
si
ft
h
es
i
l
i
c
ac
o
n
c
e
nt
r
a
r
a
t
e
) o
f a
p
p
l
i
e
d s
i
l
i
c
a from a c
a
l
c
i
u
m s
i
l
i
c抗日
t
i
o
no
ft
h
es
h
o
o
ti
sl
e
s
sthan1
1
0g kg- a
th
a
r
v
e
s
t
f
e
r
t
i
l
i
z
e
ri
n ap
o
tp
l
a
ntexperiment
.
1
(
I
m
a
i
z
u
m
iandYo
s
h
i
d
a1
9
5
8
)
.
B
e
c
a
u
s
et
h
eamounto
fs
i
l
i
c
ai
nt
h
ep
l
a
n
td
e
r
i
v
e
d
M
a
t
e
r
i
a
l
sand Methods
from s
o
i
lr
e
a
c
h
e
sac
e
i
l
i
n
g,s
i
l
i
c
ac
o
n
c
e
n
t
r
a
t
i
o
no
f
r
i
c
ep
l
a
ntd
e
c
r
e
a
s
e
s wit
hi
n
c
r
e
a
s
i
n
g dry w巴i
g
h
to
f
a
y
e
r
Paddy s
o
i
l was c
o
l
l
e
c
t
e
d from t
h日 plowed l
t
h
er
i
c
ep
l
a
n
t(Sumida1
9
9
2
)
.I
nJapan,r
i
c
efarmers
(
0
1
5c
m
)o
fr
i
c
ef
i
e
l
d
si
n2
0
0
6 at t
h
e Un
iv
e
r
s
it
y
キーワード:ケイ酸石灰,ケイ酸吸収,窒素施用,平Ij用ヰペ水稲
309
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
1
1
6
Yamagata
. The p
o
t
s were t
h
e
n
p
o
t
s a
s b
a
s
a
l f
e
r
t
i
l
i
z
er
U
n
i
v
e
r
s
i
t
y(
T
a
k
a
s
a
k
a
)
. Th日 s
o
i
l was d
r
i
e
di
na
submerged and p
u
d
d
l
e
d by h
a
n
d
. One day a
f
t
e
r
greenhouse ands
i
e
v
e
d(10-mmmesh s
i
z
e
)
.P
h
y
s
i
c
o
p
u
d
d
l
i
n
g,o
n
eh
i
l
l(
f
iv
es
e
e
d
l
i
n
g
s
)o
fr
i
c
es
e
e
d
l
i
n
g
s
c
h
e
m
i
c
a
l p
r
o
p
e
r
t
i
e
s o
f t
h
e Takasaka s
o
i
l a
r
e
(
O
r
y
z
as
a
t
i
v
aL
.c
v
. Haenuki,t
h
r
e
el
e
a
fa
g
e
) were
p
r
o
v
i
d
e
di
nT
a
b
l
e1
.I
nJapan,c
a
l
c
i
u
ms
i
l
i
c
a
t
e
s(
C
S
)
t
r
a
n
s
p
l
a
n
t
e
d t
o t
h
e p
o
t
s
. The p
o
t
s were k
e
p
t
made from s
l
a
gh
a
v
eb
e
e
na
p
p
l
i
e
dt
o paddy f
i
e
l
d
s
submerged with t
a
p water throughout t
h
e
Farm,
F
a
c
u
l
t
y
o
f
A
g
r
i
c
u
l
t
u
r
e,
a
sas
i
l
i
c
as
o
u
r
c
e
.T
h
e
r
e
f
o
r
e
. CS was u
s
e
da
sa
e
x
p
e
r
i
m
e
n
t
s
.S
i
x
t
y mg o
f potassium (
a
s K2
0) and
s
i
l
i
c
a supplement i
nt
h
i
s 日x
p
e
r
i
m
e
n
t
. Th日 s
i
l
i
c
a
t
h
et
h
r
e
eN a
p
p
l
i
c
a
t
i
o
nr
a
t
e
s(
N
l,N m,andNh)were
c
o
n
t
e
n
to
f CS was 30% when e
v
a
l
u
a
t
e
d by 0
.
5
a
p
p
l
i
e
d t
o p
o
t
s a
s t
o
p
d
r
e
s
s
i
n
g 3
4 days a
f
t
e
r
M HCl e
x
t
r
a
c
t
i
o
n
. The f
o
l
l
o
w
i
n
ge
x
p
e
r
i
m
e
n
t
s had
t
r
a
n
s
p
l
a
n
t
i
n
g(
D
A
T
)
.
f
iv
er
e
p
l
i
c
at
e
s
.
Aboveground p
a
r
t
s o
f t
h
e r
i
c
e p
l
a
n
t
s were
c
o
l
l
e
c
t
e
d on DAT102 (
m
a
t
u
r
es
t
a
g
e
) and s
e
p
a
r
a
t
e
d
i
n
t
ol
e
a
f,stem,and p
a
n
i
c
l
e
.A
f
t
e
r drying a
t8
0C
T
a
b
l
e1
.P
h
y
s
i
c
o
c
h
e
m
i
c
a
lp
r
o
p
e
r
t
i
e
so
fTakasaka
s
o
i
l
S
o
i
lt
y
p
e
Aquent
S
o
i
lt
e
x
t
u
r
e
C
l
a
yLoam
0)
l
pH(H2
5
.
1
T
o
t
a
lCarbon (
gk
g
-1)
2
c
m
o
l
(
+
)k
g
"
l
)
CEC (
3
A
v
a
i
l
a
b
l
es
i
l
i
c
a (mgk
g
"
l
)
4CSDA
0
f
o
r 2 days,dry w
e
i
g
h
t
so
ft
h
ep
l
a
n
t
s were meas
i
l
i
c
ai
n
u
r
e
d
.A
l
l samples were t
h
e
nm
i
l
l
e
d,and s
t
h
e samples e
x
t
r
a
c
t
e
du
s
i
n
g1
.5 M h
y
d
r
o
f
l
u
o
r
i
c
a
c
i
d-0
.
6 M h
y
d
r
o
c
h
l
o
r
i
c a
c
i
d, and t
h
e s
i
l
i
c
a
4
1
5.
2
8
.
6
4
204.
c
o
n
c
e
n
t
r
a
t
i
o
ni
nt
h
ee
x
t
r
a
c
t
s was measured by
t a
l
. 2
0
0
5
)
. Th日
c
o
l
o
r
i
m
e
t
r
i
c methods (
S
a
i
t
o e
日丘町凶
90ρ
amount o
fs
i
l
i
c
ai
nt
h
er
i
c
ep
l
a
n
td
e
r
i
v
e
d from
av
a
l
u
e (mgL
"
l
)
bv
a
l
u
e (mgL
l
)
E
a
s
i
l
ys
o
l
u
b
l
es
i
l
i
c
a (mgk
g
"
l
)
lMeasuredi
n1
:
2
.
5s
o
i
l
:
w
a
t
e
r
2
C
E
C
:
C
a
t
i
o
ne
x
c
h
a
n
g
e
a
b
l
ec
a
p
a
c
i
t
y(Wadaand
Harada1
9
6
9
)
"
E
x
t
r
a
c
t
e
dbyp
h
o
s
p
h
a
t
eb
u
f
e
r(
p
H
6
.
2,
0
.
0
4
M
)
method(
K
a
t
o1
9
9
8
)
a
p
p
l
i
e
ds
i
l
i
c
a was e
s
t
i
m
a
t
e
d by s
u
b
t
r
a
c
t
i
n
gt
h
e no
s
i
l
i
c
at
r
e
atmentand r
e
c
o
v
e
r
yr
at
eo
fa
p
p
l
i
e
ds
i
l
i
c
a
t
ot
h
e amount o
f0
.
5M h
y
d
r
o
c
h
l
o
r
i
ca
c
i
d
s
o
l
u
b
l
e
s
i
l
i
c
aa
p
p
l
i
e
dt
ot
h
es
o
il
.
To e
v
a
l
u
a
t
ee
f
f
e
c
t
so
f treatment on dry weight
and t
h
e amount o
fs
i
l
i
c
ai
nr
i
c
ep
l
a
n
t
s and i
t
s
i
n
t
e
r
a
c
t
i
o
n, two-way ANOVA was c
a
r
r
i
e
d o
u
t
'
C
S
D
A
:
C
h
a
r
a
c
t
e
r
i
s
t
i
c
so
fs
i
l
i
c
o
nd
i
s
s
o
l
u
t
i
o
nand
a
d
s
o
r
p
t
i
o
n(Sumida1
9
9
1
)
Tukey-Kramer冶 m
u
l
t
i
p
l
ecomparisonwasc
o
n
d
u
c
t
e
d
t
od
e
t
e
r
m
i
n
es
i
g
n
i
f
i
c
a
ntd
i
f
f
e
r
e
n
c
e
samongn
it
r
o
g
e
n
t
r
e
a
t
m
e
n
t
su
s
i
n
gS
t
a
t
c
e
1
2(
Y
a
n
a
i2
0
0
4
)
.
Three kg (
a
sa
i
r dry s
o
i
l
)o
ft
h日 Takasaka s
o
i
l
were p
u
ti
n
t
o1
/
5
0
0
0
a Wagner p
o
t
s
. Treatments
R
e
s
u
l
t
s
were s
i
l
i
c
aa
p
p
l
i
c日t
i
o
na
s ab
a
s
a
lf
e
r
t
i
l
i
z
e
r(
S
i十
)o
r
nos
i
l
i
c且 a
p
p
l
i
c
a
t
i
o
n(
S
i
)
.Thes
i
l
i
c
aa
p
p
l
i
c
a
t
i
o
nr
a
t
e
Higher n
i
t
r
o
g
e
na
p
p
l
i
c
a
t
i
o
nr
a
t
e
s improved t
h日
i
nt
h
eS
i十 treatmentwas9
.
0 g CS (
2
.
7g o
f0
.
5M
p
l
a
n
tdryweights
i
g
n
i
f
i
c
a
n
t
l
y,r
e
g
a
r
d
l
e
s
so
fS
i
-o
r
HCl s
o
l
u
b
l
es
i
l
i
c
a
)p
e
rp
o
t
. Both t
r
e
a
t
m
e
n
t
s were
S
i十 t
r
e
a
t
m
e
n
t(
T
a
b
l
e2
)
.T
o
t
a
lp
l
a
n
t dry weight o
f
grown with t
h
r
e
en
i
t
r
o
g
e
n(
N
)a
p
p
l
i
c
a
t
i
o
nl
e
v巴l
s,
S
i
-and S
i十 were51
.1and 5
3.
4g p
o
t
-1 i
n Nl,6
0
.
7
g
i
v
e
na
sb
a
s
a
l and t
o
p
d
r
e
s
s
e
d ammonium s
u
l
f
a
t
e,
and 6
4
.
8g p
o
t
-1 i
nN m,and6
7
.
2 and 7
2
.
3gp
o
t
-1
1
.
日
, l
ow (
N
l,0 and 3
0 mg p
o
t
- ,m
i
d
d
l
e (Nm,6
0
i
n Nh,r
e
s
p
e
c
t
i
v
e
l
y
.I
n comparison w
i
t
h Nl v
a
l
u
e
s,
and 9
0 mg p
o
t
-1),and h
i
g
h (Nh,9
0 and 1
8
9 mg
i
n
c
r
e
a
s
e
dp
e
r
c
e
n
t
a
g
eo
ft
h
et
o
t
a
l dry weight i
n
1)
8
0 mgphosphate (
a
sP2
0C),and 1
8
0
p
o
t
- CS,N,1
l
a
n
t
swere 1
9 and 21% i
n N m and 3
1
S
i
-and S
i十 p
mgpotassium(
a
sK2
0) w
erei
n
i
t
i
a
l
l
ya
p
p
l
i
e
dt
ot
h
e
and35%i
nNht
r
e
a
t
m
e
n
t
s
.CSa
p
p
l
i
c
a
t
i
o
nimproved
1)
.
3
1
0
E
f
f
e
c
to
fN onS
ir
e
c
o
v
e
r
yr
a
t
ebyr
i
c
e- MAKA日ト
J
・
KAKUI
lA・
S
A
S
A
K
I・
A
:
¥I
lO
1
1
7
巴2
.E
f
f
e
c
t
so
fn
i
t
r
o
g
e
na
n
d
/
o
rcalsiums
i
l
i
c
a
t
巴a
p
p
l
i
c
a
t
i
o
nondry
Tabl
weighto
fr
i
c
ep
l
a
n
t
s
.
Drywei
草h
t
N
S
i
l
i
c
a
Shoot
P
a
n
i
c
l
e
T
o
t
a
l
a
p
p
l
i
c
a
t
i
o
na
p
p
l
i
c
a
t
i
o
n
(
gpof1)
.
3
1 51.1 土 0
.
9
2
0
.
5土 0
Nl
.
8
2 2
"
3
0
.
6土 0
S
i
.
8
0 2
3
.
1 土1.34 6
0
.
7 土1.52
3
7
.
6士 0
Nm
2
.
8 土1.39 6
7
.
2 土1.52
44.4土 0.41 2
Nh
31.8 士 0.49 21.6 土1.26 53. 4 土 1 .66
Nl
6
.
3土 0
.
6
2 6
4
.
8 土1.46
Si+
3
8
.
5 土 1 .31 2
Nm
.
7
6 2
8
.
8 士1.57 7
2
.
3士 2
.
1
3
Nh
4
3
.
5士 0
N
*
*
*
ns
S
i
ns
Nx
S
i
aMean士 standarde
r
r
o
ro
ff
i
v
er
e
p
l
i
c
a
t
i
o
n
.
会会会 p
<O.Ol,
北北 p
<O.OOl,
nsp三0
.
0
5
.
士会
士会合
*
*
北大
ns
ns
Table3
.E
f
f
e
c
t
so
fn
i
t
r
o
g
e
na
n
d
/
o
rcalsiums
i
l
i
c
a
t
ea
p
p
l
i
c
a
t
i
o
nons
i
l
i
c
ac
o
n
c
e
n
t
r
a
t
i
o
nand
a
b
s
o
r
p
t
i
o
no
fr
i
c
ep
l
a
n
t
s
.
S
i
l
i
c
ac
o
n
c
e
n
t
r
a
t
i
o
n
S
i
l
i
c
ac
o
n
t
e
n
t
N
S
i
l
i
c
a
Shoot
P
a
n
i
c
l
e
Shoot
P
a
n
i
c
l
e
T
o
t
a
ls
i
l
i
c
a
a
p
p
l
i
c
a
t
i
o
na
p
p
l
i
c
a
t
i
o
n
(
gk
g
'l)
(
gpOt
"l)
Nl
a
4
7.4土 0
.
7
8 3
0
.
9 土1.83 1.45 土 0
.
0
60
.
6
3土 0
.
2
52
.
0
9土 0
.
0
4
S
i一
3
7
.
9土 0
.
6
6 2
6
.
1 土1.29 1.42 土 0
.
0
40
.
6
0土 0
.
3
02
.
0
2土 0
.
0
5
Nm
.
2
5 2
3
.
2 士1.59 1.53 土 0
.
0
20
.
5
2土 0
.
3
1 2
.
0
5土0
.
0
2
Nh
34.4土 0
.
8
6 41.0 士1.07 1.85 士 0
.
0
50
.
8
8士 0
.
0
42
.
7
3士0
.
0
8
Nl
5
8
.
0士 0
.
6
4 34.4土 0
.
9
3 1.99 土 0
.
0
80
.
9
1土 0
.
0
32
.
9
0土 0
.
0
7
Si+
51.8 土 0
Nm
Nh
4
7
.
2土0
.
8
1 2
8
.
8 士1.45 2
.
0
5土 0
.
0
40
.
8
3土 0
.
0
52
.
8
8土 0
.
0
4
*づ,*
N
*
*
*
土台女
女女六
S
i
ns
ns
N xSi
aMean士 standarde
r
r
o
ro
ff
i
v
er
e
p
l
i
c
a
t
i
o
n
.
六六犬 p
<O.Ol,
土台 p
<O.OOl,n
sp三0
.
0
5
.
t
h
et
o
t
a
l and p
a
n
i
c
l
e dry weight s
i
g
n
i
f
i
c
a
n
t
l
y,
*
六六六
ns
づ
b
土台女
ns
ns
六六六
ns
Theamounto
fs
i
l
i
c且 i
nS
i
-r
i
c
ep
l
a
n
t
swas 2
.
0
2
w
h
i
l
et
h
es
h
o
o
tdryweightwasn
o
ta
f
f
e
c
t
e
dbyCS
2
.
0
9g p
o
t
-1 andi
nS
i十 p
l
a
n
t
st
h
a
twas2
.
7
3
2
.
9
0g
a
p
p
l
i
c
a
t
i
o
n(
T
a
b
l
e2
)
. The i
n
c
r
e
a
s
e
dp
e
r
c
e
n
t
a
g
e
so
f
T
a
b
l
e3
)
. Th日 d
i
f
f
e
r
e
n
c
ei
nt
h
e amount o
f
p
o
t
-1 (
t
h
et
o
t
a
ldryweightbyCSa
p
p
l
i
c
a
t
i
o
nwere5%,7%
i
-p
l
a
n
t
s was
s
i
l
i
c
ai
nr
i
c
ep
l
a
ntbetween S
i十 andS
and8%i
nNl,7%i
nN mand8%i
nNh,r
e
s
p
e
c
t
i
v
e
l
y
.
s
i
g
n
i
f
i
c
a
nt
. I
n
c
r
e
a
s
i
n
g wit
hn
it
r
o
g
e
n a
p
p
l
i
c
at
i
o
n
Compare t
oS
i
-t
r
e
a
t
m
e
n
t
s,p
a
n
i
c
l
e dry weight i
n
r
a
t
e,t
h
es
h
o
o
ts
i
l
i
c
ac
o
n
t
e
n
t
s were i
n
c
r
e
a
s
e
d and
S
i十 t
r
e
a
t
m
e
n
t
si
n
c
r
e
a
s
e
d5%i
nNl
. 14%i
nNm. and
p
a
n
i
c
l
es
i
l
i
c
ac
o
nt
e
nt
s were d
e
c
r
e
a
s
e
d
. There was
27%i
nNh. Thes
h
o
o
tdryweightwasn
o
ta
f
f
e
c
t
e
d
no s
i
g
n
i
f
i
c
a
nt d
i
f
f
e
r
e
n
c
e i
n t
o
t
a
l s
i
l
i
c
ac
o
nt
e
nt
byCSa
p
p
l
i
c
a
t
i
o
n
amongn
i
t
r
o
g
e
nt
r
e
a
t
m
e
n
t
s
S
i
l
i
c
a c
o
n
c
e
nt
r
at
i
o
n i
n s
h
o
o
t and p
a
n
i
c
l
e
Ther
e
c
o
v
e
r
yr
a
t
e
so
fa
p
p
l
i
e
ds
i
l
i
c
abyr
i
c
ep
l
a
n
t
s
d
e
c
r
e
a
s
e
dw
i
t
hi
n
c
r
e
a
s
i
n
go
fN a
p
p
l
i
c
a
t
i
o
nr
a
t
e
3
.
9, 3
2.4 and 3
0
.
6
%,
i
n Nl, N m, and Nh were 2
r
e
g
a
r
d
l
e
s
so
fCSa
p
p
l
i
c且t
i
o
n(
T
a
b
l
e3
)
.
r
e
s
p
e
c
t
iv
e
l
y, but t
h
e
r
e were no s
i
g
n
i
f
i
c
a
nt
3
1
1
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
1
1
8
d
i
f
f
e
r
e
n
c
e
si
nr
e
c
o
v
e
r
yr
a
t
e
so
fs
i
l
i
c
a among t
h
e
o
fr
i
c
ep
l
a
n
t
. Sumida(
1
9
9
2
)r
e
p
o
r
t
e
dt
h
a
tt
h
emain
d
i
f
f
e
r
e
n
tn
i
t
r
o
g
e
na
p
p
l
i
c
a
t
i
o
nr
a
t
e
s(
F
i
g
u
r
e1
)
.
l
i
m
it
i
n
gf
a
c
t
o
rf
o
rs
i
l
i
c
au
p
t
a
k
e by r
i
c
ep
l
a
nt
s
under abundant n
i
t
r
o
g
e
nc
u
l
t
i
v
a
t
i
o
ni
st
h
es
i
l
i
c
a
s
u
p
p
l
y from t
h
e paddy f
i
e
l
da
tt
h
el
a
t
e
r growth
40
35
汁
~ 30
s
t
a
g
e
s,andt
h
eamounto
fs
i
l
i
c
aa
v
a
i
l
a
b
l
efromCS
「
→
-
「
十
f
e
r
t
i
l
i
z
e
ri
sa
f
f
e
c
t
e
d by pH (
K
a
t
o and Owa 1
9
9
6
)
.
R
h
i
z
o
s
p
h
e
r
es
o
i
l pH i
sl
o
w
e
r than n
o
n
r
h
i
z
o
s
p
h
e
r
e
s
o
i
l pH (Kimura e
ta
l
.1
9
7
7
)
. Dry w
e
i
g
h
to
fr
o
o
t
s
同
q
邑
除
E
a1
後ち
)
and s
h
o
o
t
si
si
n
c
r
e
a
s
e
d by n
i
t
r
o
g
e
na
p
p
l
i
c
a
t
i
o
n
10
王a e
t a
l
. 1
9
9
3
)
. These d
a
t
a s
u
g
g
e
s
t t
h
a
t
(
T
a
n
a
l
5
。
n
it
r
o
g
e
na
p
p
l
i
c
at
i
o
na
c
c
e
l
e
r
at
e
ss
i
l
i
c
ad
i
s
s
o
lut
i
o
n
N
l
Nm
Nh
from CS f
e
r
t
i
l
i
z
e
r by improving growth o
fr
i
c
e
r
o
o
t
s
. However
.d
i
f
f
e
r
e
n
t amounts o
f ammonium
.E
f
f
e
c
t
so
fn
i
t
r
o
g
e
na
p
p
l
i
c
a
t
i
o
nl
e
v
e
lon
F
i
g
u
r
e1
s
u
l
f
at
ea
p
p
l
i
e
da
sb
a
s
a
l and t
o
p
d
r
e
s
s
i
n
gf
e
r
t
i
l
i
z
e
r
r
e
c
o
v
e
r
yr
a
t
eo
fa
p
p
l
i
e
ds
i
l
i
c
abyr
i
c
ep
l
a
n
t
s
.
changed t
h
e dry weighto
ft
h
er
i
c
ep
l
a
n
t
sb
u
td
i
d
*
B
a
r
si
nt
h
ef
i
g
u
r
ei
n
d
i
c
a
t
es
t
a
n
d
a
r
de
r
r
o
r
n
o
t change t
h
e uptake o
fa
p
p
l
i
e
ds
i
l
i
c
aa
tt
h
e
maturings
t
a
g
e(
T
a
b
l
e 1and F
i
g
u
r
e1
)
.T
h
e
r
e
f
o
r
e,
i
ti
ss
u
g
g
e
s
t
e
dt
h
a
tc
h
a
n
g
e
so
fp
h
y
s
i
o
l
o
g
i
c
a
l and
u
c
ha
st
h
es
i
l
i
c
aa
b
s
o
r
p
t
i
o
n
m
o
r
p
h
o
l
o
g
i
c
a
lf
a
c
t
o
r
s,s
D
i
s
c
u
s
s
i
o
n
Okuda andTakahashi (
1
9
6
1
)r
e
p
o
r
t
e
dt
h
a
te
f
f
e
c
t
o
fs
i
l
i
c且 onp
a
n
i
c
l
e dry w
e
i
g
h
to
fr
i
c
e was l
a
r
g
e
r
a
b
i
l
i
t
yo
fr
i
c
ep
l
a
n
t
s and r
h
z
i
o
s
p
h
e
r
e pH,i
nr
e
l
a
t
i
o
nt
on
i
t
r
o
g
e
na
p
p
l
i
c
a
t
i
o
n were i
n
s
u
f
f
i
c
i
e
n
tt
o
a
f
f
e
c
tt
h
eu
p
t
a
k
eo
fa
p
p
l
i
e
ds
i
l
i
c
a from CSi
nt
h
i
s
expenment.
twasr
e
p
o
r
t
e
dt
h
a
ti
n
c
r
e
a
s
eo
f
thant
h
a
to
fs
h
o
o
t
.I
According t
o dat
a from Yamagat
aP
r
e
f
e
c
t
u
r
e
g
r
a
i
ny
i
e
l
dby CS a
p
p
l
i
c
a
t
i
o
n under h
i
g
hn
i
t
r
o
g
e
n
h
erecommendedt
o
t
a
lb
a
s
a
landt
o
p
d
r
e
s
s
e
d
(
2
0
0
7
),t
c
o
n
d
i
t
i
o
n was l
a
r
g
e
r than t
h
a
t o
f under low
n
i
t
r
o
g
e
na
p
p
l
i
c
a
t
i
o
nr
a
t
ef
o
r Haenuki i
s7
0
8
0 kg
n
i
t
r
o
g
e
na
p
p
l
i
c
a
t
i
o
nc
o
n
d
i
t
i
o
n (Ma and Takahashi
ha- 1 • Mean r
i
c
eg
r
a
i
ny
i
e
l
do
fm
u
n
i
c
i
p
a
l
i
t
i
e
si
n
2
0
0
2
)
. The i
n
c
r
e
a
s
e
dp
e
r
c
e
n
t
a
g
e o
fp
a
n
i
c
l
e dry
Yamagata P
r
e
f
e
c
t
u
r
e were 5.
46
.
5 th
a
-1 and t
h
e
i
o
n was t
h
eh
i
g
h
e
s
ti
n Nh
w
e
i
g
h
t by CS a
p
p
l
i
c日t
d
i
f
f
e
r
e
n
c
eo
ft
h
eg
r
a
i
ny
i
e
l
dbetweenmaximumand
t
r
e
a
t
m
e
n
twhichhadt
h
el
o
w
e
s
ts
i
l
i
c
ac
o
n
c
e
n
t
r
a
t
i
o
n
minimum v
a
l
u
e was about 20% (Tohoku R
e
g
i
o
n
a
l
,3
)
.T
h
e
r
e
f
o
r
e our
among S
i
-t
r
e
a
t
m
e
n
t
s(
T
a
b
l
e2
A
g
r
i
c
u
l
t
u
r
a
lA
d
m
i
n
i
s
t
r
a
t
i
o
nO
f
f
i
c
e2
0
0
7
)
. Thet
o
t
a
l
r
e
s
u
lta
l
s
os
u
g
g
e
s
t
e
dt
h
ats
i
l
i
c
aa
p
p
l
i
c
at
i
o
nn
e
e
d
s
amount o
fn
i
t
r
o
g
e
na
p
p
l
i
e
di
nt
h
e Nh t
r
e
a
t
m
e
n
t
t
oi
n
c
r
e
a
s
es
i
l
i
c且 c
o
n
c
e
n
t
r
a
t
i
o
ni
nr
i
c
ep
l
a
n
tandt
o
c
o
r
r
e
s
p
o
n
d
st
o1
3
5 kg ha-1 i
nf
i
e
l
dc
o
n
d
i
t
i
o
n
s
improvey
i
e
l
do
fr
i
c
e
.
¥
11 t
r
e
a
t
m
e
n
tw
i
t
h t
h
eS
i十
¥
lh
Comparing t
h
eS
i十
S
i
l
i
c
au
p
t
a
k
e by r
i
c
ep
l
a
n
t
sa
te
a
r
l
i
e
r growth
t
r
e
a
t
m
e
n
t,t
h
emaximumi
n
c
r
e
a
s
ei
nr
i
c
et
o
t
a
ldry
s
t
a
g
e
si
si
n
h
i
b
i
t
e
dbyammoniumthroughad
e
c
l
i
n
e
w
e
i
g
h
t was 3
5% with i
n
c
r
e
a
s
e
d N a
p
p
l
i
c
a
t
i
o
n
.
i
i
nt
h
ea
b
s
o
r
p
t
i
o
na
b
i
l
it
yo
fr
i
c
er
o
o
t
s, and S
tseemst
h
a
tt
h
eu
p
t
a
k
eo
fa
p
p
l
i
e
ds
i
l
i
c
a
T
h
e
r
e
f
o
r
e,i
u
p
t
a
k
e i
n
c
r
e
a
s
e
s under no added ammonium
from CS was n
o
ta
f
f
e
c
t
e
d by n
i
t
r
o
g
e
na
p
p
l
i
c
a
t
i
o
n
c
o
n
d
i
t
i
o
n
s(
T
a
k
a
h
a
s
h
i and N
i
s
h
i1
9
8
2
)
. Root dry
r
at
e i
n c
o
nv
e
nt
i
o
n
a
l r
i
c
e f
i
e
l
d
s i
n Yamagat
a
w
e
i
g
h
to
fr
i
c
ei
n
c
r
e
a
s
e
sw
i
t
hn
i
t
r
o
g
e
na
p
p
l
i
c
a
t
i
o
n
P
r
e
f
e
c
t
u
r
e
.
ta
l
.1
9
7
7
)
. Those r
e
p
o
r
t
ss
u
g
g
e
s
tt
h
a
t
(Kawada e
n
i
t
r
o
g
e
na
p
p
l
i
c
a
t
i
o
na
f
f
e
c
t
ss
i
l
i
c
aa
b
s
o
r
p
t
i
o
na
b
i
l
i
t
y
3
1
2
E
f
f
e
c
to
fN onS
ir
e
c
o
v
e
r
yr
a
t
ebyr
i
c
e- MAKA日ト
J
・
KAKUI
lA・
S
A
S
A
K
I・
A
:
¥I
lO
1
1
9
anda
d
s
o
r
p
t
i
o
ni
npaddys
o
i
l
s
.A
p
p
l
i
c
a
t
i
o
nt
os
o
i
l
R
e
f
e
r
e
n
c
e
s
t
e
s
tf
o
ra
v
a
i
l
a
b
l
es
i
l
i
c
a
.J
b
i
,
.
d 6
2, 3
7
8
3
8
5
.(
i
n
ImaizumiK,Yo
s
h
i
d
aS 1
9
5
8・E
d
a
p
h
o
l
o
g
i
c且1s
t
u
d
i
e
s
Ja
p
a
n
e
s
ew
it
hE
n
g
l
i
s
hsummary)
/
on s
i
l
i
c
o
n
s
u
p
p
l
y
i
n
g power o
f paddy s
o
i
l
s
. Bul
SumidaH 1
9
9
2
:S
i
l
i
c
o
ns
u
p
p
l
y
i
n
gc
a
p
a
c
i
t
yo
fpaddy
N
a
t
l
.J
n
s
t
.A
g
r
i
c
.S
c.
i B8
:
2
6
1
3
0
4
.(
i
nJ
a
p
a
n
e
s
ew
i
t
h
s
o
i
l
sandc
h
a
r
a
c
t
e
r
i
s
t
i
c
so
fs
i
l
i
c
o
nu
p
t
a
k
ebyr
i
c
e
E
n
g
l
i
s
hsummary)
/
.T
ohokuA
g
r
i
c
.
p
l
a
n
t
si
nc
o
o
lr
e
g
i
o
n
si
nJ
a
p
a
n
.Bul
Kato N 1
9
9
8
:E
v
a
l
u
a
t
i
o
no
fs
i
l
i
c
o
na
v
a
i
l
a
b
i
l
i
t
yi
n
E
λ;
p
.S
的 8
5,1
4
6
.(
i
nJ
a
p
a
n
e
s
ew
i
t
hE
n
g
l
i
s
hsum
mary)
paddy s
o
i
l
s by an e
x
t
r
a
c
t
i
o
nu
s
i
n
ga p
h
o
s
p
h
a
t
e
b
u
f
f
e
rs
o
l
u
t
i
o
n
.I
nSummarieso
ft
h
e1
6
t
hWorld
Takahashi E and N
i
s
h
i T 1
9
8
2
: E
f
f
e
c
t o
f
Congress o
fS
o
i
lS
c
i
e
n
c
e, M
o
n
t
p
e
l
l
i
e
r, F
r
a
n
c
e,
N
u
t
r
i
t
i
o
n
a
lC
o
n
d
i
t
i
o
n
s on t
h
eS
i
l
i
c
o
n Uptake by
p
.
2
6
6
.
R
i
c
eP
l
a
n
t
s
: Comparative S
t
u
d
i
e
s on t
h
eS
i
l
i
c
a
Kato N and Owa N 1
9
9
6
:D
i
s
s
o
l
u
t
i
o
no
fs
l
a
gi
n
a
p
.J
.S
o
i
lS
c.
iP
l
a
n
t
N
u
t
r
i
t
i
o
ni
nP
l
a
n
t
s(
P
a
r
t2
1
),J
人 5
3,3
9
5
4
01
.(
i
nJa
p
a
n
e
s
e
)
Nut
water and c
a
l
c
i
u
mc
h
l
o
r
i
d
es
o
l
u
t
i
o
n:
E
f
f
e
c
t
so
f
s
o
l
u
t
i
o
n pH and c
a
l
c
i
u
m c
o
n
c
e
n
t
r
a
t
i
o
n on
TanakaS
.YamauchiA
.andKonoY 1
9
9
3
:C
u
l
t
i
v
a
r
a
p
.J
.S
o
i
lS
c.
iP
l
a
n
tN
u
t
r
.,67,
s
o
l
u
b
i
l
i
t
yo
fs
l
a
g
s
.J
D
i
f
f
e
r
e
n
c
ei
nt
h日 Response o
f Root System t
o
6
2
6
6
3
2
.(
i
nJa
p
a
n
e
s
ew
i
t
hE
n
g
l
i
s
hsummary)
a
p
.J
. C
rop
N
i
t
r
o
g
e
nA
p
p
l
i
c
a
t
i
o
ni
nR
i
c
eP
l
a
n
tJ
KawadaS,MaruyamaSandS
o
e
j
i
m
aM 1
9
7
7
:Root
Formation i
nR
i
c
eP
l
a
n
t and L
e
v
e
l
so
fN
i
t
r
o
g
e
n
S
c
,
.
i 6
2,4
4
7
4
5
5
.
Tohoku R
e
g
i
o
n
a
l A
g
r
i
c
u
l
t
u
r
a
l A
d
m
i
n
i
s
t
r
a
t
i
o
n
a
p
.J
.C
ropS
c
i
.,4
6,1
9
3
1
9
8
.(
i
nJ
a
p
a
n
e
s
e
S
u
p
p
l
y
.J
o
r
e
s
t
r
y
O
f
f
i
c
e2
0
0
7
:S
t
a
t
i
s
t
i
c
so
fA
g
r
i
c
u
l
t
u
r
e, F
w
i
t
hE
n
g
l
i
s
hsummary)
andF
i
s
h
e
r
i
e
s,
Yamagat
aP
r
e
f
e
c
t
u
r
e
.
KimuraM. WadaH andTakaiY 1
9
7
7
:S
t
u
d
i
e
son
t
h
er
h
i
z
o
s
p
h
e
r
eo
f paddy r
i
c
e(
P
a
r
t1
)
:P
h
y
s
i
c
a
l
h
t
t
p
:
/
/
w
w
w
.
t
o
h
o
k
u
.
m
a
f
f
.
g
o
.
j
p
WadaK andHaradaY 1
9
6
9
:E
f
f
e
c
t
so
fs
a
l
tc
o
n
c
e
n
andc
h
e
m
i
c
a
lf
e
a
t
u
r
e
so
fr
h
i
z
o
s
p
h
e
r
e
(
I
)J
a
p
.J
.S
o
i
l
t
r
a
t
i
o
n and c
a
t
i
o
n s
p
e
c
i
e
s on t
h
e measured
S
ci
.P
l
a
n
tN
u
t
r
.,4
8,8
5
9
0
.(
i
nJ
a
p
a
n
e
s
e
)
且p
a
c
i
t
yo
fs
o
i
l
s and c
l
a
y
s
.I
n
c
a
t
i
o
n
e
x
c
h
a
n
g
ec
. Tokyo,1,5
6
1
5
7
1
P
r
o
c
.I
n
t
e
r
n
.C
l
a
yConf
Ma JF and Takahashi E 2
0
0
2
:S
o
il
.f
e
r
t
i
l
i
z
er
. and
p
l
a
nts
i
l
i
c
o
nr
e
s
e
a
r
c
hi
nJa
p
a
n
.E
l
s
e
v
i
er
.
YamagataP
r
e
f
e
c
t
u
r
e2
0
0
7
:
h
t
t
p・
//
a
g
r
i
n
.
j
p
/
p
a
g
e
/
9
2
0
Ma JF 2
0
0
4・ R
o
l
eo
fs
i
l
i
c
o
ni
n enhancing t
h
e
Yanai H 2
0
0
4
:
S
t
a
t
c
e
l
T
h
eu
s
e
f
u
l
la
d
d
i
n forms on
d
. OMSp
u
b
l
i
s
h
er
.
E
x
c
e
l
2nd e
r
e
s
i
s
t
a
n
c
eo
fp
l
a
nt
st
ob
i
o
t
i
candab
i
o
t
i
cs
t
r
e
s
s
e
s
.
S
o
i
lS
c.
iP
l
a
n
tN
u
t
r
.,5
0,1
1
1
8
.
Okuda A and Takahashi E 1
9
61
:S
t
u
d
i
e
s on t
h
e
P
h
y
s
i
o
l
o
g
i
c
a
lR
o
l
eo
fS
i
l
i
c
o
ni
nCropP
l
a
n
t
s(
P
a
r
t
2
)
:E
f
f
e
c
to
fS
i
l
i
c
o
n Supplying P
e
r
i
o
d on t
h
e
Growth o
fR
i
c
eP
l
a
n
t andI
tsN
u
t
r
i
e
n
t
s Uptake
J
a
p
. J
. S
o
i
l S
ci
. P
l
a
n
t N
u
t
r
., 3
2, 4
8
1
4
8
8
. (
i
n
Japanes巴
)
S
a
i
t
o K,Yamamoto A,SaT andS
a
i
g
u
s
aM 2
0
0
5
:
oe
s
t
i
m
a
t
ep
l
a
n
ts
i
l
i
c
o
n
Rapid, micro-methods t
c
o
n
t
e
n
t by d
i
l
u
t
eh
y
d
r
o
f
l
u
o
r
i
ca
c
i
de
x
t
r
a
c
t
i
o
n
and s
p
e
c
t
r
o
m
e
t
r
i
c molybdenum method-I
.S
i
l
i
c
o
n
i
nr
i
c
ep
l
a
n
t
s and molybdenum y
e
l
l
o
w method.
l
b
i
,
.
d 5
1,2
9
3
6
.
SumidaH 1
9
91
:C
h
a
r
a
c
t
e
r
i
s
t
i
c
so
fs
i
l
i
c
ad
i
s
s
o
l
u
t
i
o
n
3
1
3
1
2
0
山形大学紀要(農学)第 1
5号 第 4号
水稲による施用ケイ酸の吸収と窒素施用量の関係
真壁周平*・角田憲一日・佐々木由佳***安藤豊川
*岩手大学大学院連合農学研究科・山形大学農学部生物j生産学科生産生態制御学講座・
***山形大学農学部附属やまがたフィールド科学センター
(平成 2
0年
9月1
8日受理)
摘
施用ケイ酸の吸収に対する水稲生育量の影響を明
らかにするために,施用ケイ酸の利用本と窒素施用
量の関係をポット試験で検討した.処理灰はケイ酸
S
i十)とケイ酸石灰無施用灰 (
S
i
)に窒素施
石灰施用灰 (
用 量 3水準(低窒素灰(¥11),標準窒素灰(¥1m), 高 窒 素
(
¥
lh
)
)を組み合わせた言 1
6処理灰とした.ケイ酸施用
f
f
s乾
の有無に関わらず,成熟期における水稲の地 1:
物j重は窒素施用によって有意に増加し, ¥l1lこ対する
要
増加害Ij合は\1m で 19~21% ,
\lh で 31~35% であった.
成熟期の水稲地 :
1部ケイ酸含有量は S
i より S
i十で有
意に大きかったが,同会のケイ酸処理灰では窒素施
用量に関わらず会定であった.施用ケイ酸の利用ヰt
は 23.9~34.6% であり,窒素施用処理灰聞に有意な
左は認められなかった.以上のことから,施用ケイ
酸の吸収量は水稲生育量に影響されないことが示唆
された.
キーワード:ケイ酸石灰,ケイ酸吸収,窒素施用,
平Ij用本,水稲
3
1
4
B
u
l
l
e
t
i
n of Yamagata University (Agricultural S
c
i
e
n
c
e
)
Boaed o
fE
d
i
t
o
r
s
,
)
f H
i
r
o
s
h
iF
U
J
I
I,
MitsuruKIKUMA (
E
d
i
t
o
ri
nC
h
i
e
ShuHASE,H
i
r
o
a
k
iEGASHIRA,
K
e
i
t
a
r
o TAWARAYA,MasayaISHIKAWA
山形大学紀要(農学)編集委員会
菊間
委委委
編集責任者
満
委 員
藤井弘志
委 員
長谷
修
民
江頭宏昌
民
依谷圭太郎
民
石川雅也
平成 2
1年 2月 9日印刷
平成 2
1年 2月 1
6日発行
編集兼
発行者
山
形
大
主主A
f
山形市小白川町 1丁円 4
1
2
責任者原
印刷所
慶明
株式会社鎌田プリント
仙台市青葉区上杉3
丁円 1
7
ISSN 0
5
1
3
4
6
7
6
B
U
L
L
E
T
I
N
YAMAGAT
AU
N
I
V
E
R
S
I
T
Y
OF
(AGRICULTURALSCIENCE)
Vol
.1
5, No.4
.
C
O
I
¥
I
T
E
N
T
S
O
r
i
g
i
n
a
lA
r
t
i
c
l
e
s
H
i
d
e
a
k
i TAKAGT, Tomoaki MomTA and Toshiyuki SATO ・ Breaking o
f
EndodormancybyC
h
i
l
l
i
n
gandS
e
a
s
o
n
a
lChangeso
fLeafGrowth
A
c
t
i
v
i
t
yi
nAlliumv
i
c
t
o
r
i
a
l
i
sL
.s
u
b
s
p
.pわかphyllum Hulten.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.1
9
5 (1)
ToshiyukiHOKTMOTO:H
i
s
t
o
r
i
c
a
li
n
v
e
s
t
i
g
a
t
i
o
no
ft
h
edevelopmentp
r
o
c
e
s
so
f
h
o
r
t
i
c
u
l
t
u
r
efarmingont
h
es
a
n
d
h
i
l
la
r
e
ai
nt
h
eShonaiD
i
s
t
r
i
c
t
.
yamagatap
r
e
f
e
c
t
u
r
e,JAPAN……………………………………………………… 2
1
1(
1
7
)
TakanoriYAMAMOTO,MomoyoAso,T
a
k
i
t
aNTSHTZAWA,NoriyukiS
Y
O
J
T,
KengoSATO,S
a
t
o
eKOYAMA,E
r
iUENOandK
e
iSUDA:
S
t
u
d
i
e
s on D
i
s
t
r
i
b
u
t
i
o
n
so
fL
e
a
fI
n
c
l
i
n
a
t
i
o
n Angle i
nS
e
v
e
r
a
l
4
3(
4
9
)
DeciduousF
r
u
i
tT
r
e
e
s ……………………………………………………………… 2
MitsuruKTKUMAandS
a
t
o
s
h
iSHTBUYA:A study ont
h
ehousingproblemso
f
young p
e
o
p
l
e
:A c
a
s
e study o
f Tsuruoka C
i
t
y, Yamagata
Pru~cturu
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.2
7
3 (~)
AyakaYAMAZAI
くTa
ndH
i
r
o
a
k
i EGASHTRA:V
a
r
i
a
t
i
o
nandU
t
i
l
i
z
a
t
i
o
no
fL
o
c
a
l
V
a
r
i
e
t
i
e
s o
f Turnip (
B
r
a
s
s
i
c
a r
a
p
a
) i
n t
h
e Shonai Area o
f
YamagataP
r
e
f
e
c
t
u
r
e………………………………………………………………… 2
9
3(
9
9
)
e
n
i
c
h
iKAKUDA,YukaSASAKTandHoANDO:
ShuheiMAKABE,K
Uptakeo
fa
p
p
l
i
e
ds
i
l
i
c
abyr
i
c
ep
l
a
n
t
si
nr
e
l
a
t
i
o
nt
ol
e
v
e
lo
f
n
i
t
r
o
g
e
na
p
p
l
i
c
a
t
i
o
n.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.3
0
9
(
1
1
5
)
P
u
b
l
i
s
h
e
dby
THEYAMAGATAUNIVERSITY,YAMAGATA,JAPAN
FEBRUARY2
0
0
9
Fly UP