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Page 1 Page 2 日本物流学会誌第17号 平成21 研究論文R カ州

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Page 1 Page 2 日本物流学会誌第17号 平成21 研究論文R カ州
Title
Author(s)
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Issue Date
Type
九州における海上輸送を活用した自動車部品調達物流の
効率化
久米, 秀俊; 根本, 敏則
日本物流学会誌, 17: 33-40
2009-05
Journal Article
Text Version publisher
URL
http://hdl.handle.net/10086/22003
Right
Hitotsubashi University Repository
[
垂垂
垂]
日本物流学会-
7号 平成21
年 5月
九州における海上輸送を活用した自動車部品調達物流の効率化
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久米秀俊 (
運輸政策研究所),根本敏則 (
一橋大学大学院商学研究 科)
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要旨
海上輸送を活用した自動車瓢品調達物流が、主に二つの理由から注目されている。第-は、九州や東北に開設された自動車
組立工場の場合、部品工場の組立工場近隣への集積度合いが低いことから、国内各地からの数百 kmを越える広域的な調達を
RO
余儀なくされている。このため、例えば九州組立工場では、各メーカーそれぞれにデイリーに本州 ・九州間に専用の RO
船を運航し、本州所在の部品工場から部品調達を行っている。第二は、近年、タイを始めとした AS
E
AN 諸国や中国など海
外での生産される自動車部品の品質が向上しており、海外製造部品の日本への輸入が増加している。加えて、日本の製造部晶
の海外への輸出も増加している。こうした中,九州や東北など地方に展開している日勤車組立工場や部品製造工場では,海上
輸送を活用して、広域的 ・国際的な部品調達を効率的、効果的に行なうことが国際競争力強化に不可欠の要因となっている。
そこで、本稿では.九日
伯 動車組立工場 2社の部品調達状況を比較し、第-に広域的 ・国際的な部品調達を要するエリアに
おける海上輸送の有効性、第二に一層の部品調達物流の効率性向上のための共同輸送の効果、第三に部品物流センターの位置
による評価を比較検討するとともに、港湾ターミナル背後での混載作業等を可能とする物流センターを活用した国内部品調達
(
九H
I
での調達と本州からの広域調達等)と国際部晶調達を連携させた海上輸送部品調達物流システムを提案した。
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1. は じめ に
と遜 色 の な い 品 質 も確 保 され つ つ あ る。 こ う
関 東 圏 や 中 部 圏 の 自動 車 組 立 工 場 の 場 合 、
した 海 外 で の 自動 車 生 産 が 進 む 中 、 九 州 や 東
生産 規 模 が 大 き く部 品 メ ー カ ー 工 場 も組 立 工
北 な ど地 方 に展 開 して い る 自動 車 組 立 工 場 や
場 近 隣 に集 積 して 立 地 す る こ とが 多 い 。 しか
部 品 製 造 工 場 に と っ て は 、 広 域 的 ・国 際 的 な
し、 新 興 の 組 立 工 場 の 立 地 す る 九 州 や 東 北 な
部 品 調 達 を効 率 的 、 効 果 的 に行 な う こ とが 、
どで は 、 生 産 台 数 が 比 較 的 少 な く、 部 品 メ ー
自動 車 組 立 工 場 や 部 品 工 場 の機 能 強 化 に不 可
カー の組 立 工場 近 隣へ の集 積 度 合 いが低 い こ
欠 の 要 因 とな っ て い る 。
さ ら に 今 後 の FTA の 進 展 に よ り、 日本 の
とか ら、 国 内 各 地 か らの 広 域 的 な 調 達 を 余 儀
な く され て い る O
近 年 、 タ イ を は じめ と した ASEAN 諸 国 や
部 品 製 造 工 場 か ら海 外 の 自動 車 組 立 工 場 や 部
品製造 工場への部 品輸 出が一層増加す る こと
中 国 な どで の 自動 車 生 産 , 自動 車 部 品 生 産 の
も見 込 まれ る。 こ う した 動 き は 、 わ が 国 の 地
効 率 性 が 大 き く向 上 して お り、 日本 製 の 部 品
方 部 にお け る 自動 車 組 み 立 て や 部 品 製 造 , 特
3
3
-
に、ASEAN 諸国や 中国に近接 した北部九州
り苅田港 自動車専用ター ミナルに専用船でデ
の自動車組み立てや部品穀進 を一層発展 させ
イ リーに海上輸送 し、同期生産 を行っている
る絶好の機会 ととらえることもできる。
自動車組立 ライ ンに搬入 している。
そ こで、九州 自動車組立工場 2社の沸晶調
B社の場合は、
2006年 に苅田エ ンジン工場
達状況を把握 し,第-に広域的 ・国際的な部
を建設 し.九州工場へのエ ンジン供給 を開始
品調達 を要するエ リアにおける海上輸送の有
した ことか ら、車両 1台あた りの原価比でみ
効性,第二 に一層の部品調達物流の効率性向
た九州域内調達率は 50%を越えた (
依然本州
上のための共同輸送の効果、第三 に部品物流
。
か らの調達が 5割)
本州立地部品工場か らの部品調達では、そ
セ ンターの位置が物流効率性に及ぼす影響を
の多 くを愛知県上林 に所在するロジスティク
比較検討 した。
4 トン トレー ラー
スセ ンターに陸上輸送 し、1
2.北欝九州の 自助霊麟遵廉薫の覆状
に積載する。その後.名古屋港よ り北九州港
北部九州では、A社 、 B社 をは じめ とする
新門司ターミナルに専用船でデイ リーに海上
自動車組立工場、部品工場の集積が進んでお
輪送 し、到着後、定期的に組立 ライ ンに J I
993年に 44万台で開始 された 自動車生
り、1
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)で搬入 している。
00万台を突破 し、
産台数が、2006年には 1
このように本州所在の部品工場か ら九州 自
2008年には 150万台に達する見込みである.
動車組立工場への部品輪送には、海上輸送が
1
981年か ら 2005年 までの 24年間で、九州
大きな役割 を果た している (
図 1)
。A社の部
の自動車部品出荷額 も 1
,
008億 円か ら 6,
91
0
品調達の大宗を担 う物流事業者 C社への ヒア
億円と約 7倍近 くにまで増加 してお り、九州
リングによれば、同量の部品を関東か ら九州
の自動車産業の裾野が確実 に拡大 している。
工場に輪送する場合、海上輸送 、 JR貨物鴇
3.九州における 自助霊部品■建物兼の褒状
3. 1 本州 ・九州蘭の部品輸送
0:1
.
5:2.
2であ り、時間
現在、おおよそ 1.
送、陸上輪送 (トレー ラー)のコス ト比は,
は、それぞれ約 34時間、24時間、24時間で
(I)機雷
ある。コス ト面 と品質確保の良さが海上輸送
九州の自動車組立工場に搬入する部品の穀
選択の最大の理由とのことであった。
追工場所在地 を見ると,地場調達 も増えては
いるものの、駆動系の部品を中心に、引き続
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輔
車 州
ティ丁.
き中部圏、関東圏の部品工場か らの調達が重
し車
要な役割 を担っている。
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名古i :
A社九州工場の場合、部品の約 50% (
調達
額ベース)が九州内で調達 されている。事業
所数ベースでは、九州工場のサ プライヤー約
200 社の うち全体 の約 20%程度が北部九州
(
A社九州工場の半径 50km圏内)に立地 し
鵜
.外 患 想 ;
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A諜
ている。
図 1 九州 自動霊組立工場の部品綱連の現状
本州立地部品工場か らの部品調達では、そ
の多 くを横須賀市追浜 に位置す るロジスティ
4 トン トレー ラ
クスセ ンターに陸上輸送 し、1
ーに積載す る。その後、横須賀港追浜ふ頭よ
3
4
-
(2)本州 ・九州間鴨送の間慮点
A社九州工場に部品を納入する本州立地部
品メーカーは,関東圏によ り多 く立地 してい
るが、中部圏にも多数立地 している。一方、
本州方、九州 に立地す るティア 1メーカーが
B社九州工場に部品を納入する本州立地部品
達するに
に立地するティア 2メーカーの部品を調
メーカーは、中部圏によ り多 く立地 している
トラック際 しては、各ティア 1メーカーが、
が、関東圏にも多数立地 して いる。なお、A
用し
社 、B社の両方に部品を納入 している部品メ
でコて単独で九州工場 まで輸送するが、単独
。
-カーも多 く存在する (
図 2、図 3)
載効 ンテナを仕立てることが多 く、容盤の積
・∫R貨物 ・内航 フェ リーな どを活
こうした本州か ら九州組立工場への頼送は、 度を率 を高めると輸送頻度が落ちる、輸送頻
メーカー独 自にシステム化 されているが、例
を抱え
高めると積載効率が低下するな どの問題
えば、中部圏で製造 されるにもかかわ らず横
を活用す
ている。また、専用船による海上輸送
る場合 も、基本的 にA社 ・B杜
須賀港経由で九州 に輸送する、関東圏で製造
列によ り名古屋港、
されるにもかかわ らず名古屋港経由で九州 に
効率化を図る余地 横須賀 を使 い分けてお り、
輸送する、同 じ部品をA社分
の系
・B社分 に分け
(
A
3)
社 海上輸送の同港点
が存在する。
て輸送するな ど.本州内での陸上輸送の錯綜
による輸送 コス ト増、輸送時間増な どが生 じ
よるとの場合、物流事業者 C社 ヒア リングに
ている。
RORO、
横須賀港か
ら苅田港への部品編送は、
船
内の床スペース
をはば フル活用
ているが、苅田港か
ら横須賀港への輸送は約
し
8
0%
一方
の利用率にとどまっている。
、B社
度ま
005年度か ら 2
0
07年
の場合、2
タにでの専用船スペースの利用率の変化デー
違 いよれば、本州か ら九州、九州か ら本州で
容容 はないが、九州か ら本州に空の状態での
活用に向けて
輸送が多 い。関係事業者は輪送力の有効
の集荷に努め、自動車部品にこだわ らず貨物
程度
図 2 A牡 に部 品を納入 する本州工場分布
(
データ出典 :参考文献
3
)
)
00
6年度は 7
0%
ている。また 、2
して空きスペースが多
の利用率 となってお
り、前後の年度に比
くあるな
ど,スペ
利用率に変動性が見 られ、スペース有
の余
ース
効活用
地があると考え
られ る。
3.2
兼外 ・
(
わが
1)機雷
九州間の 自助霊部品輸送
自動車部晶の輸
国の 自動車関連産業の活発化 に伴って、
体で 、HS87
08出入が増大 している。 日本全
の統一システ
類 (
商品の名称及び分類について
基づく自動車ムに関する国際条約である HS条約に
2
006年には部品類)の自動車部品輸出額が、
1
259億 ドル
図(3 8社 に部品を納入する本州工場分布
データ出典 :参考文献
3
)
)
3
5
1 -
996年値の 1.
6倍に相当す る
共に中国 との貿易額が飛躍的に高まってお り、
ASEAN4カ国合計 を上回って いる (図 4)
。
こうした中国等 との自動車部品輸出入の増
課題 も明 らか
とが見込 まれているが、 いくつか
例えば、ベ にな
トナムか
ってきた。
らのワ
加 に伴 い,福岡県の自動車部品輸出入額が飛
輸入の場合、
躍的に増大 している。中で もA社の場合、部
テナ船欠航なティア 1メーカ-は、定期 コン
イヤハーネスの
品の国際調達が進んでお り,年間多数の部品
隣の物流倉
どの懸念か ら、A社九州工場近
をコンテナによる海上輸送にて輸入 している。
を得ない状庫で 1-2週間の在庫 を持たざる
例えば、門司港経由でベ トナムか ら、月に 40
テナで
フィー トコンテナ 20 敷本のワイヤハーネス
いことの輸送が大半ではあるが、混載 を しな
況である。また、40フィー トコン
数 も か ら、20フィー トコンテナでの輸送本
を輸入 して いる。
更 に、A社欧州生産人気車種の九州での生
一層の効率化の余地がある。
40フィー ト本数の約 1割程度存在 し、
産開始 に併せて、欧州か らの部品調達が急増
す るな ど, 自動車 生産 の 世界 的な水 平分 業
ィ さらには,ティア 1部品の原材料 となるテ
化 ・現地生産化の進展に伴 う部品の国際調達
うア 2部品がアジア等か ら国際調達 され るよ
が進んでいる。
ア になった。 これ らティア 1メーカーのティ
また、テ ィア 1の部品メーカーがティア 2
ィ 2部品調達 にお いては、組立メーカーのテ
の部品を国際調達 して いるケース も多々見受
らア 1部品調達ほどの厳 しい時間管理は求め
け られ る。例えば,B社の高級 自動車に装備
納れてはいないが.部品メーカーは組立工場
す るハ ン ドルの場合、ハ ン ドルに内蔵するエ
ざるを得ない状況にある。
入の場合 と同様に 1-2週間の在庫 を持た
アーバ ッグはベ トナム工場の製品を輸入 して
このように国際調達ニーズはさらに高まる
お り、ティア 1メーカー九州工場にて これ ら
ことが見込 まれるが、自動車組立メーカ-や
輸入部晶に日本製の発火のための部品を組み
ティア 1メーカーが、海上輸送のスケールメ
合わせて 自動車組立ライ ンに納入できる製品
リッ トを出すための共同輸送 (
例えば中国内
に仕上げている。
の部品工場集積地区での 日本向けバイヤーズ
コンソ リデー ション)な どに
ってお らず、国際
1)
といえるTt(
取 り組むには至
調達 にも改善の余地がある
また.九州の工場がアジア諸国での
。
日系
動車組立メーカーのマザー工場 となるケー 自
も多々あ り、九州か らの部品輸出 も増大 して
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■統肘
シェアの推移
(2)職
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)輸入額
海外生産部品の晶質向上を受けて、組立
瑠点
も
ーカーへの部品輸入が行われてお り,今後 メ
3
6
-増大するこ
延床面積が足 りず,その 8倍の面積 を他の物
量が大きく、九州調達部品との組み合わせな
流事業者か ら賃借せ ざるを得ない状況 とのこ
どを考慮す る必要が低 いことな どによるもの
とである。
と考え られ る。
主に苅 田港周辺に立地するA社 関連物流施
しか し,本州側の物流施設で積み合わせ を
設では、本州か ら海上輸送され る部品、九州
行 う場合,組立工場周辺で積み合わせ る場合
での生産部品、海外か らの調達部品を自動車
と比 して,14t容器の積載率が下がること,
組立 ライ ンに予定時刻 どお りに搬入するため
搬入 した組立工場内で最終的な加工、積み合
の トラックへの積み込み,流通加工な どを行
わせの変更な どが想定 され、物流効率面、経
っている。なお、本州か らの海上輸送分は、
済性の面で劣ることな どが想定 される。
横須賀で組立ライ ン搬入用に 14t容器 に積み
今後,九州内調達部品の物量がさらに増え、
込 まれる場合が多 い。
国際調達が増えて くると、本州か らの調達部
一方、B社の部品調達 を担 う物流事業者の
品につ いて も九州組立工場周辺で工場内搬入
場合は、 B社 との協力、連携の もとにB社組
用に積み合わせ るニーズが一層高まるものと
立工場近隣に立地 した物流施設 を活用 した部
考え られる。 しか し、内陸の組立工場周辺な
品納入の仕組みを構築 している。 1社で 1日
どにおいては,農業振興地域指定がなされた
8便以上 (
1
1tトラック単位)の物量がある部
地域が多 く、今後の大規模な物流施設用地の
品メーカーの部品調達の場合は、組立工場内
拡大は困難な状況 にある。
への搬入の便を考慮 して物流事業者の物流施
4.九州における 自動霊部品鋼連物流の胃癌
設を経由せず直接 に納入 している。 また、一
日 8便以下の物量の部品メーカーの部品調達
九州の 自動車部品調達物流は、九州内か ら
の場合は、組立工場近隣に整備 した物流施設
の調達が約 5割、本州各地か らの調達が 4割
に納入 させ、流通加工や組立工場の組立 ライ
か ら 5割 となってお り、本州 ・
九州間の部品
ンに予定時刻 どお りに搬入するための トラッ
輸送のために、自動車メーカーそれぞれの系
クへの積み込みな どを行っている。
列の専用 RORO船が運航 されている。
なお、本州か らの調達部品については、名
自動車メーカーそれぞれが独 自に部品輸送
古屋港背後の物流施設ですべて 14 トン容器
を行 っていることか ら、陸上輸送の錯綜、海
内に積み込み、組立工場に搬入できる状態に
上輸送の床利用率の変動,物流施設の不足.
しているため組立工場近隣には物流施設を要
海上輸送部分の容器スペース利用効率の低下
しな い。 また,現在、海外か らの国際調達は
な どの問題点が生 じている。
きわめて限 られてお り、組立工場搬入のため
こうした問題に対応するには、九州の自動
のロジスティクス作業が必要 となる場合には、 車組立生産 において広域的、国際的な部品調
九州か らの調達部品用の物流施設を利用 して
達の増大に対応 し得る本州 ・九州間,海外 ・
いるところである。
九州間の海上輸送の効率化が重要な課題であ
(2)r
q題点
る。
現在、A社 ・B社 ともに組立 ライ ンへ搬入
また、 自動車生産の増大に伴って、物流施
する一定時間分の部品の トラックへの積み合
設需要が高まってお り、部品物流セ ンター機
わせ を、基本的には本州側の物流施設で行っ
能の強化が重要である。
ている。
これは、九州側 に十分な規模の物流施設が
5.部品71凄物流効率化の方向性
不足 していること、本州か らの調達部品の物
3
7
-
部品調達物流に関 し、本州 ・九州間の国内
(
参 14t容器積載率の向上
頼送、海外 ・九州問の国際輸送、部品物流の
現在は、組立ライ ンに乗せるための一定時
効率化に必要な物流施設立地の 3項 目に沿っ
て、その効率化の方向性を以下に示す。
間分の部品凍み合わせを本州側の物流施設で
(1)本州 ・九州間の海上輸送の効率化
行っている。 これを九州側の物流施設で行 う
C社へのヒアリングによれば、鉄道粕送の
ことによ り、本州-九州間の 1
4t容器の積載
利便性向上によ り、近年、本州 ・九州間の鉄
率の向上及び輸送本数の低減を図ることがで
道輪送の活用 も始められたが,コス ト面の安
き、海上輸送コス トの削減を図ることが出来
さや晶質確保面等か ら、海上輸送が引き続き
る(
図 5)
。さらに、組立工場近傍で各方面か
九州 ・本州間の部品輸送の大宗を担 うことと
ら調達 した部品を一度に積み替えすることか
なる。そ こで、一層の部品調達物流の効率化
ら、手戻 りのない効率的な J
I
Tライン搬入が
の観点か ら、以下の海上輸送の効率化の方向
実現できている。
また、ティア 1メーカーのティア 2部品の
性を検討 した。
調達物流に関 しては、物流事業者の提案 によ
(
D 部品専用船のスペース共同利用化
り、異なるティア 2メーカー部品の 14トン
各自動車メーカーの系列で独 自に行なって
いる本州 ・
九州間の専用船 による海上輸送部
コンテナへの混載が考えられる。
分について,自動車の生産台数の変化、部品
調達先の変更等による床の空きスペースの発
生は避けられないところである。
そ こで.この空きスペースを活用すべ く他
社貨物の集荷に鋭意取 り組み,海上輸送部分
の一層の効率化を図ることが重要である。他
社貨物には、A社九州工場に納入する中部圏
所在部品メーカーの部品、 B社九州工場に納
入する関東圏所在部品メーカーの部品、九州
から本州への頼送ニーズが高い雑貨製品等が
考えられる。
図
空きスペース活用の経済効果を調べるため
に、例として中部圏の部品工場か ら九州 A社
への輸送を横須賀港経由か ら名古屋港経由に
変更する場合を考えてみた。A社部品調達の
太宗を担 う事業者へのヒアリングに基づいて、
中部地区部品メーカ-工場から横須賀港及び
名古屋港までの陸送コス ト、各港から苅田港
経由九州工場までの輸送コス ト、海外から九
州工場までの輸送単価 を設定 し、コス トを試
算 した。その結果,自動車組み立てメーカー
A社にとって一週間あた り、約 500万円の
経費削減 となった。 これは、年間にすると約
2億円とな り、全体部品調達コス トの約 4%
に相当する。
-3
8-
量の場合も多々存在する。そ こで,複数社の
貨物を組み合わせてバイヤーズコンソリで積
湾域物流拠点で混載させ
載率を高めて 日本に輸送することで、国際海
率向上、輸送コス ト削減 ることによ り、積載
上輪送のコス トを低下させ、輪送頻度を高め
の特出部品を港
組立メーカーのティアが期待できる。
1部
ることが可能 となる。
関 しては、コンテナによる国際
品の国際調達に
ティア 1メーカーのティア 2部品の国際網
が見込まれる。
ただ、
海上輪送 輪送量の増大
達に関しては、異なるメーカー間の混載が期
不確実性を考慮すると 3日か に要する時間、
待できる。特に、コンテナの場合、荷崩れを
を持つこととなるので,異な ら6日分の在庫
防ぐためコンテナの ドアと荷の間でこぶ し大
混載輪送、在庫管理は有効な るメーカー間の
の隙間も許 されないことから、混載によ り荷
の国際網達 自体がメーカーのはずだが、部品
のボリュームを増やす ことは、経済性,晶質
みであること、板引条件がメーカー間で異な
戦略的な取 り組
保持性の両面から重要である。
り複雑な調整を要することなどか ら実現は困
また、安倍 ・寺田は、自動車関連企業の場
合、VM T保管機能 (
部品を使用する組立メ
錐 本州立地の組立メーカーの
と思われる。
ーカー等の代わ りにその部品のベンダーが在
九州経由で国鮫調達することティア 1部品を
庫の管理を行 う手法)について 8割以上の企
空きスペースの多い九州 ・関東
も考えられる。
秦(
中部圏対象)が必要性を疎めていること、
古屋間の帰 り便を活用できるメ間、九州 ・名
VM 7機能の実施形態 として、高付加価値製
品の部品を日本の港湾ロジスティクスハブに
ティア 1部品,ティア 2部
リッ トがある。
て も、九州のマザー工場としての
品の特出に関 し
おいて、また高付加価値製品でない製品の部
する中、中国、A
S
EAN経国な
品を他のアジアの港湾ロジスティクスハブに
積み合わせ輸送が増大
おいて保管 し、相互供給を行 う方法が考えら
れることを指摘 している。
(3)部品物流セ
役割が増大
どへの部品の
することが見込まれる。
増大する自動車関係部品蛤
ンター機能強化
九州の場合、アジア諸国と地理的に近接 し、
管,バ ンニング、デバ ンニン送コンテナの保
かつ,自動車組立工場.部品工場の集積が進
に対応するため、港湾コンテ グな どのニーズ
んでいることか ら、高付加価値製品の部品の
後に物流センターを盤催 し、国
ナターミナル背
VM I保管の場所 として,港湾ターミナル背
工場への J IT輸送,シンク 際調達部品の
後の物流拠点の活用が考えられる (
図 6)。
地とすることが考えられる。 ロ積送の配送基
位置については、各自動車組立メ
物流セ ンターの
場に JIT輪送 ・シンクロ輸
ティア 1工場に、迅
ーカーの工
送できること,
必要な条件となろう速な輸送が出来ることが
(
図 7参照)。
具体的には、積み出し港の
背後 ・名古屋港ターミナル背追浜ターミナル
の新門司港背後 ・苅田港背後後、受け入れ港
利用可能な物流施設を整備 し、同施
において、共同
て混載作業、-部流通加工、 ∫I 設におい
ロ配送を行なうことが考えられるT ・シンク
図 6 国撫
②
港湾ターミナルは、道路計画
輸出入量の均
海上輸送の効率化イメージ
衡化
3
9
- 逆に、 日本の部品メーカー
(
図 7参照)。
場合、大型車でアクセス可能な道路が直結 し
て いる。北部九州で も港湾ター ミナル背後 の
こと、第三 に、海外 を
とが コス ト削減 に資す る
1・14tトラックを活用でき、
物流施設では 1
調達す る ことを前提 に含 めた広域か ら部品 を
A社 ・B社やテ ィア 1部品工場等への各種輸
で必要な部品だ けを積 した とき,組立 ライ ン
送利便性が高 い施設 とな って いる。
(
財)九州経済調査協会は、港湾地区周辺
九州側 に物流セ ンター み合わせ るためには、
であることを示
を作 ることがよ り有効
に海外向 け製品.海外か ら輸入 した製品をス
トックす るサ プライヤーズパー クをつ くり.
特出,完成車工場へのジャス トイ ンタイムの
6本研究で
.おわ Uに した。
納入が可能な体制 を整えることが時間 ・コス
1部品メーカーの海上輸送
ーカーやティア
は、九州
における各 自動車組立メ
トの削減 に有効 であることを示 して いる。
また,安倍は、港湾ター ミナル背後の物流
エ リアに導入が想定 され る機能 として、コン
活用 した広域的 ・
国際的な部品調達 にお いてを
効
,
湾 率化
ター の余地がある
ミナ
こと,その実現 には,港
ソ リデーシ ョン ・ク ロス ドック機能 、 JIT
同セ ンター ル背後
にお いて混載作業等
に物流セ ンター
を を整備 し、
支援機能 を提示 して いる。本研究 にお いては、
が有効 と考え られ る こと等 を示 したO
行な うこと
自動車産業の九州 工場の部品調達物流の効率
化 には、港湾 ター ミナル背後 の物流拠点 にお
けるコンソ リデ- シ ョン機能、流通加工機能
① 今後の課題は、以下の通
国際輸送,広域輸
りである.
を含 む)
の効果の定盤化
送の改善方策(
混載輸送
等 の充実がよ り有効 である ことを示 した。 こ
うした共 同利用可能な物流施設の導入によ り、
在庫管理 コス トの軽減、調達 コス ト ・調達時
注記
(1)バ
②
港湾域の物流セ ンターのあ り方の検討
間の軽減が期待 され る。
要な部品をコンテナに根み合わせて輸出
ンコクのE
l
系組立工鳩では周辺国向けに必
鯵考文献
1)財団法人九州経済調
している。
1
0都市間における自動 査協会、北九州市 :環黄海
2)平田エマ、小柳久美子
,2007
車部晶流通可能性調査
:九州の自動車産兼
1
状と部品調達構造.九州凝済粥査月報.1
3) (
株)アイアールシー :九
4
2006
)財団年版 、2006
の現
月号,2006
州自動車産業の突放 ・
図 7 港湾
自動車産法人九州地域産業活性化センター :九州の
活用 した海 ターミナル背後の物流セ ンターを
ジアとの業を中心とした機械製造業の実態及び東ア
(
4)効率化の方向
上輸送の効率化イメージ
第一に、広域 的、グローバルな
性の まとめ
増える ことが予想 され.国内海上部品調達が
入 を組み合わせて部品調達物流 シ輸送 と輸出
築す ることが必 要である こと,
ステムを構
的な比較分析、定量的な試算 に第二 に、定性
よ り専用船 の-40-床 を共 同利用す る こ
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