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公開特許公報 特開2015
(19)日本国特許庁(JP) 〔実 5 頁〕 公開特許公報(A) (12) (11)特許出願公開番号 特開2015-195767 (P2015−195767A) (43)公開日 平成27年11月9日(2015.11.9) (51)Int.Cl. A23L FI 1/16 (2006.01) A23L テーマコード(参考) 1/16 B 審査請求 (21)出願番号 特願2014-76061(P2014-76061) (22)出願日 平成26年4月2日(2014.4.2) 4B046 未請求 請求項の数4 OL (全8頁) (71)出願人 301049777 日清製粉株式会社 東京都千代田区神田錦町一丁目25番地 (74)代理人 110000084 特許業務法人アルガ特許事務所 (74)代理人 100077562 弁理士 高野 登志雄 (74)代理人 100096736 弁理士 中嶋 俊夫 (74)代理人 100117156 弁理士 村田 正樹 (74)代理人 100111028 弁理士 山本 博人 最終頁に続く (54)【発明の名称】多層麺の製造方法 (57)【 要 約 】 【課題】風味および食感のよい多層麺の提供。 【解決手段】内層麺帯と外層麺帯とが積層された多層麺帯を作製することと、該多層麺帯 を圧延して製麺することとを含み、該内層麺帯の生地は該外層麺帯の生地よりも焙焼小麦 粉を多く含有する、多層麺の製造方法。 【選択図】なし ( 2 ) JP 1 2015-195767 A 2015.11.9 2 【特許請求の範囲】 【発明の開示】 【請求項1】 【発明が解決しようとする課題】 多層麺の製造方法であって、内層麺帯と外層麺帯とが積 【0005】 層された多層麺帯を作製することと、該多層麺帯を圧延 本発明は、小麦の良好な風味を有し、かつ滑らかで弾力 して製麺することとを含み、 のある食感に優れた多層麺の製造方法に関する。 該内層麺帯の生地は、該外層麺帯の生地よりも焙焼小麦 【課題を解決するための手段】 粉を多く含有する、方法。 【0006】 【請求項2】 本発明者らは、内層とそれを挟む外層とが積層された多 前記焙焼小麦粉が焙焼強力粉である、請求項1記載の方 法。 層麺帯から多層麺を製造する際に、内層の生地に対して 10 、外層の生地よりも多くの焙焼小麦粉を配合することに 【請求項3】 より、良好な風味と食感とを有する多層麺を製造するこ 前記内層麺帯の生地は、原料粉中に4∼60質量%の焙 とができることを見出した。 焼小麦粉を含み、前記外層麺帯の生地は、原料粉中に0 【0007】 ∼45質量%の焙焼小麦粉を含む、請求項1又は2記載 すなわち、本発明は、多層麺の製造方法であって、内層 の方法。 麺帯と外層麺帯とが積層された多層麺帯を作製すること 【請求項4】 と、該多層麺帯を圧延して製麺することとを含み、該内 前記1∼3のいずれか1項に記載の方法を用いて製造さ 層麺帯の生地は、該外層麺帯の生地よりも焙焼小麦粉を れた多層麺。 多く含有する方法を提供する。 【発明の詳細な説明】 また本発明は、上記製造方法により製造された多層麺を 【技術分野】 20 提供する。 【0001】 【発明の効果】 本発明は、多層麺の製造方法に関する。 【0008】 【背景技術】 本発明によれば、小麦の良好な風味を有し、さらに滑ら 【0002】 かで弾力のある食感に優れた多層麺を製造することがで 複数の麺帯を積層および圧延して得られた多層麺帯から きる。 製造される麺(多層麺)が知られている。特許文献1に 【発明を実施するための形態】 は、内層および外層の少なくとも一方に、原料粉に60 【0009】 ℃∼100℃に加熱された水を加えて混練して得られた 本発明で製造される多層麺としては、麺の種類が制限さ 生地を用いること、またはさらに内層にタンパク質含量 れるものではなく、パスタ類、うどん、中華麺類や麺皮 の高い小麦粉を用いることで、食感および風味に優れた 30 、日本そば等が挙げられる。 3層麺が得られることが記載されている。特許文献2に 【0010】 は、最外層の片側または両側の層を、穀粉100質量部 本発明の多層麺は、内層麺帯と外層麺帯とを積層して多 に対して加水25∼34質量部とした麺生地から形成し 層麺帯を作製し、次いで該多層麺帯を圧延して製麺する た多層麺が、保存後に再加熱しても良好な風味や食感を ことによって製造される。より詳細には、内層用生地か 有することが記載されている。 ら内層麺帯を作製し、別途、外層用生地から外層麺帯を 【0003】 作製する。次いで、該麺帯を積層して、好ましくは該内 焙焼小麦粉は、従来、生地の粘り気の改善や粉臭さの低 層麺帯を該外層麺帯で両側から挟み込んで、多層麺帯を 減などを目的としてパンなどのベーカリー製品やルウに 作製した後、これを圧延し、製麺することにより、本発 適用されていた(例えば、特許文献3)が、麺の原料と 明の多層麺を製造することができる。 しては使用されていなかった。一方、特許文献4には、 40 【0011】 所定量のデュラム小麦粉とともに所定量の湿熱処理小麦 本発明において、上記内層麺帯のための内層用生地は、 粉等の熱処理小麦粉を含有する麺用粉が記載されている 上記外層麺帯のための外層用生地と比べてより多くの焙 。 焼小麦粉を含有する。あるいは、該内層用生地は焙焼小 【先行技術文献】 麦粉を含有するが、該外層用生地は焙焼小麦粉を含有し 【特許文献】 ていなくともよい。本発明において、該内層用生地は、 【0004】 その原料粉中に、好ましくは4∼60質量%、より好ま 【特許文献1】特開平2001−252035号公報 しくは4∼25質量%、さらに好ましくは10∼20質 【特許文献2】特開2013−106591号公報 量%の焙焼小麦粉を含み、一方、該外層用生地は、その 【特許文献3】特開2002−345421号公報 原料粉中に、好ましくは0∼45質量%、より好ましく 【特許文献4】特開平11−243888号公報 50 は0∼10質量%、さらに好ましくは0∼5質量%の焙 ( 3 ) JP 2015-195767 A 2015.11.9 3 4 焼小麦粉を含む。また本発明において、該内層用生地の 蛋白質、卵黄粉、卵白粉、全卵粉、脱脂粉乳等の蛋白質 焙焼小麦粉の含有量は、該外層用生地と比べて、4質量 素材、油脂類、かんすい、焼成カルシウム、食物繊維、 %以上、好ましくは10質量%以上多い。 食塩、糖類、甘味料、香辛料、調味料、ビタミン、ミネ 【0012】 ラル、栄養強化剤、色素、香料、デキストリン、膨張剤 本発明で使用される焙焼小麦粉は、強力粉、準強力粉、 、増粘剤、乳化剤、保水剤、保存剤、酵素剤、pH調整 中力粉、薄力粉、デュラム粉これらの混合粉などの小麦 剤などが挙げられる。上記内層用生地および上記外層用 粉を焙焼処理して得られた小麦粉であればよい。風味お 生地の原料粉における上記他の成分の含有量は、15質 よび食感の点からは、強力小麦粉を焙焼処理した焙焼強 量%以下、好ましくは0∼10質量%である。 力粉が好ましい。 【0013】 【0016】 10 上記原料粉のそれぞれに、常法に従って加水、混捏する 本発明で使用される焙焼小麦粉は、上記した特性を有す ことにより、内層用生地および外層用生地を作製するこ る焙焼小麦粉であれば、その調製方法は何ら制限されな とができる。次いで、得られた内層用生地および外層用 い。例えば、本発明で使用される焙焼小麦粉は、特許文 生地をそれぞれ圧延すれば、内層麺帯および外層麺帯を 献3に記載の方法:より詳細には、小麦粉を品温110 得ることができる。 ∼160℃、好ましくは120∼140℃の条件下で、 【0017】 50∼150分間、好ましくは70∼120分間乾熱処 本発明で製造される多層麺は、その最外層の片側または 理することにより製造することができる。乾熱処理の具 両側を構成する層として、上記外層用生地から作製され 体的手段としては、原料粉を鉄製トレーに入れ、バンド た外層麺帯を用い、該最外層の内側のいずれかの層とし オーブンその他のオーブン中で加熱する方法、パドルド て、上記内層用生地から作製された内層麺帯を用いるこ ライヤー等の加熱装置付きミキサーで加熱する方法、焙 20 と以外は、従来の多層麺の製造方法と同様の手順で製造 焼釜で加熱する方法等が挙げられる。当該乾熱処理によ することができる。本発明で製造される多層麺は、好ま り得られた焙焼小麦粉は、その後空冷などの方法により しくは二層構造の二層麺または三層構造の三層麺であり 冷却した後、必要に応じて、元の小麦粉と同程度の粒度 、より好ましくは三層麺であるが、最外層の両側が上記 まで粉砕することが好ましい。本発明で使用される焙焼 外層麺帯でありさえすれば、四層以上の麺であってもよ 小麦粉の粒度は特に制限されないが、平均粒径が35∼ い。四層以上の麺の場合、最外層の内側の層には、上記 60μmのものが、生地の扱い易さの点から好ましく用 内層麺帯だけでなく、従来用いられている麺生地から得 いられる。焙焼小麦粉の粒径は、マイクロトラック粒度 られた麺帯を重ねてもよい。 分析計を用いて測定することができる。 【0018】 【0014】 本発明で製造される多層麺が二層麺の場合、各麺帯の厚 上記内層用生地および外層用生地の原料粉は、上記焙焼 30 みは、それぞれ1.2∼3.0mmであることが好まし 小麦粉以外に、穀粉または澱粉を含んでいてもよい。穀 い。二層の厚みの比は、好ましくは1/1∼1/6、よ 粉としては、目的とする麺の種類に応じて適宜選択する り好ましくは1/2∼1/4である。厚みの比が上記範 ことができ、例えば、薄力粉、中力粉、準強力粉、強力 囲を外れると、麺の粘弾性のバランスが悪くなり、食感 粉、デュラム小麦粉、デュラムセモリナ等の小麦粉、お が低下する。 よびそば粉、米粉、ライ麦粉、大麦粉などが挙げられる 【0019】 。澱粉としては、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンス 本発明で製造される多層麺が三層麺の場合、各麺帯の厚 ターチ、ワキシースターチ、小麦澱粉等、およびそれら みは、それぞれ1.2∼3.0mmであることが好まし の加工澱粉などが挙げられる。上記穀粉や澱粉は、いず い。外層麺帯と内層麺帯の厚みの比は、好ましくは外層 れか単独で、または適宜組み合わせて用いることができ /内層/外層=1/1/1∼1/6/1、より好ましく る。上記内層用生地の原料粉における上記穀粉または澱 40 は外層/内層/外層=1/2/1∼1/4/1である。 粉の含有量は、好ましくは40∼96質量%、より好ま 厚みの比が上記範囲を外れると、麺の粘弾性のバランス しくは80∼90質量%であり、また上記外層用生地の が悪くなり、食感が低下する。内層を挟む2つの外層の 原料粉における上記穀粉または澱粉の含有量は、好まし 厚みは、異なっていてもよいが、同程度の厚みであるこ くは55∼100質量%、より好ましくは95∼100 とが好ましい。 質量%である。 【0020】 【0015】 次いで、それぞれの麺帯を適切な順序で積層して多層麺 さらに、上記内層用生地および外層用生地の原料粉は、 帯を作製する。続いで作製した多層麺帯を、ロール、押 上記焙焼小麦粉や、穀粉、澱粉に加えて、麺類の製造に 出機などで圧延し、製麺する。製麺法としては、押出し 従来から用いられている他の成分を含有していてもよい 、切出しなどが挙げられるが、特に限定されない。 。当該他の成分としては、小麦蛋白質、大豆蛋白質、乳 50 【0021】 ( 4 ) JP 5 2015-195767 A 6 以上の手順により製造される本発明の多層麺は、生麺、 2点:滑らかさにやや欠ける。 半乾燥麺、乾麺、茹麺や蒸麺等のα化麺、冷凍麺、即席 1点:滑らかさに欠ける。 麺などの形態にして保存、流通、販売することができる (食感) 。 5点:粘弾性がよく、極めて良好な食感。 【実施例】 4点:粘弾性がややよく、良好な食感。 【0022】 3点:標準的な粘弾性ある食感。 以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが 2点:粘弾性がやや悪く、やや不良な食感。 、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではな 1点:粘弾性の悪い、不良な食感。 い。 【0023】 2015.11.9 【0028】 10 【表1】 〔うどんの製造〕 製造例1 中力粉100質量部に、塩1質量部および水34質量部 を加えて混捏し、麺帯を得た。 この麺帯を圧延し、次いで#10の切り刃を通して2. 5mmの麺線に切り出して、生うどんを製造した。 【0024】 製造例2∼4 【0029】 製造例1と同様の手順で、表1の原料粉から内層麺帯お 〔試験例2〕 よび外層麺帯を作製した。2枚の外層麺帯で内層麺帯を 20 製造例2と同様の手順で、ただし内層麺帯の原料粉の組 挟んで三層麺帯を得た。この麺帯を圧延し、次いで#1 成を表2のように変更して得た多層麺帯から、製造例6 0の切り刃を通して2.5mmの麺線を切り出し、生う ∼9の生うどんを製造し、試験例1と同様の手順で風味 どんを製造した。 および食感を評価した。結果を表2に示す。なお、表2 【0025】 には製造例2および4の結果を再掲する。 製造例5 【0030】 製造例1と同様の手順で麺帯を得た。ただし、麺帯全体 【表2】 での焙焼小麦粉の含有量を製造例2と等量に調整した。 この麺帯を圧延し、次いで#10の切り刃を通して2. 5mmの麺線を切り出し、生うどんを製造した。 【0026】 30 〔試験例1〕 製造例1∼5の生うどんを17分間茹で、得られた茹で うどんの風味および食感を、評価者10名により下記の 【0031】 評価基準に従って評価した。評価結果の平均値を表1に 〔試験例3〕 示す。 製造例2と同様の手順で、ただし内層麺帯および外層麺 【0027】 帯の原料粉の組成を表3のように変更して得た多層麺帯 <評価基準> から、製造例10∼14の生うどんを製造し、試験例1 (風味) と同様の手順で風味および食感を評価した。結果を表3 5点:小麦風味、および香ばしい風味を強く感じる。 4点:小麦風味、および香ばしい風味を感じる。 3点:小麦風味は感じるが、香ばしい風味は感じない。 に示す。なお、表3には製造例2の結果を再掲する。 40 【0032】 【表3】 2点:小麦風味は少し感じるが、香ばしい風味は感じな い。 1点:小麦風味、香ばしい風味ともに全く感じない。 (なめらかさ) 5点:滑らかさに優れる。 4点:滑らかさにやや優れる。 3点:標準的な滑らかさである。 ──────────────────────────────────────────────────── ( 5 ) JP フロントページの続き (72)発明者 宮田 敦行 東京都中央区日本橋小網町19番12号 (72)発明者 長井 日清製粉株式会社内 孝雄 東京都中央区日本橋小網町19番12号 Fターム(参考) 4B046 LA02 LB04 LC02 LC17 LE06 日清製粉株式会社内 LG29 LP12 2015-195767 A 2015.11.9