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第2学年 いい音を見つけて「楽器をえらんで 歌と 合わせよう」
第2学年 いい音を見つけて「楽器をえらんで 歌と 合わせよう」 授業者:碩台小学校 教諭 吉野 浩一 「今日は2つの楽器について勉強します。この楽器知っていますか?」 という発問からスタートしました。楽器の名前を読んだ子どもたちは、 「あ、知ってる!!」 「フルート!!」 「 コントラバス?」 「フルートってこうやってふくんだよ。」 と、盛り上がります。さらに 「 フ ル ー ト が ど う い う 音 か 知 っ て い ま す か ? 」 の問いに 「笛みたい。」 「鍵盤ハーモニカより高い音。」 「フ∼∼♪」 「6年生の歌声のような音。」 この意見に、子どもたちは「そうそう!」とうなずきます。 先生に歌うよう促されると、6年生を真似して歌ってみます。そして、 「響きがあります。」「ビブラートがあります。」 「音が、こう∼やって(手で波の動きをして)、揺れる感じ。」 「 コ ン ト ラ バ ス の 音 を 知 っ て い る 人 は い ま す か ? 」 の問いには 「バイオリンがなんか すっごく大きくなった音です。」 バイオリンが大きくなったって 「何が大きくなったの?」 どんな感じ? 「 大きさ ?」(少し迷いのある表情) フルートに比べて、コントラバスに関する知識はあまりないことが分かります。 「ここに、写真があります。」 先生が貼った写真に、子どもたちは釘付けになります。 「わぁ、大きい!!」「2メートルはあるよね。」 「CM で見たことある!」 「音を聴いてみたい人?」 と先生が問うと、全員が「はい!」と元気な返事。 耳をすませて聴いています。(共に音階を上がる音源) フルートの音を聴くときは、一緒にドレミファ と歌います。 しかし、コントラバスの音が聴くと、 感じたことをペアで話す 「暗い!」 「高い音のところは合わない。」…A 「思ったより音が長いね。」とつぶやきます。 「フルートは、出田先生みたいな音です。」 「 コ ン ト ラ バ ス は ? 」 と問うと 「コントラバスは、吉野先生が暗い声になった時に 似てるなぁ∼って思いました。」と発表します。 また、次の子どもは、 「ピアノの一番端っこの、低いところを弾いている感じがしました。」 先生は、この子どもの思いを他の子どもにつなげます。 「○○くんが 言っているのは、どういうこと?」 すると、先生が取り出した鍵盤ハーモニカの低い鍵盤を指さしながら 「ドよりも前(左)の音ということです」と、共通理解しました。 それぞれの音色の違いを、子どもたちなりにつかんだようです。 次に「 『 ぞ う さ ん 』と『 こ と り の う た 』を 覚 え て い ま す か ? 」 と聞くと、「はい!」と返事して子 どもたちは歌い出します。 楽器で演奏するならどっち? と、先生が子どもたちに問います。 「『ぞうさん』がコントラバス、『ことりのうた』がフルートです。」 「小鳥は声が高いからフルートがいいです。」 「ぞうさんは大きいから、ぞ∼∼さん♪って歌うコントラバスがいいです。」 と答えます。 実際に、フルートの『ことりのうた』を聴いてみます。 「合う!」の声が多数。そして、 「コントラバスでも聴いてみたいです。」の声。 コントラバスの『ことりのうた』を聴くと、 「全然合わない!」と笑い声。 「『ぞうさん』ならコントラバスが合うはずです。」 コントラバスの『ぞうさん』を聴くと、 「合う!」「合うね!」という声。そして、 「フルートの『ぞうさん』も聴いてみたいです。」子 どもたちの欲求が高まります。 比べて聴くと楽しい そして、フルートの『ぞうさん』を聴いた時、子どもの感じ方に変化が起きます。 「象の子どもみたい。」 「 フルートの方が、『ぞうさん』に合うと思います。」 「コントラバスは合わない。♪そうよ かあさんも♪の所は高いから。」 言いたいことが増えてきた所で、子どもたちがペアで意見交換をします。 「どっちがいいのかな。フルートは音が高いし。コントラバスは低いし。ん∼ 」 しかし、 「ぞうさんは、コントラバスが似ていると思います。」という発言も出ました。 「 な ぜ で す か ? 」 の先生の問いに、 「フルートは高い音だから、『ぞうさん』には合わないと思います。」 この意見にうなずく子、首をかしげる子がいます。 先生が、黒板に貼っている A が発言したことを書いたカードを指します。 子どもたちは、「あ、同じこと言っている。」と、意見がつながっていることに気付きます。 「 『 ぞ う さ ん 』 に は フ ル ー ト が 合 う と 思 う 人 」 半数が手を挙げます。 「 『 ぞ う さ ん 』 に は コ ン ト ラ バ ス が 合 う と 思 う 人 」 この意見にも半数の手が挙がります。 「フルートの方が遊んでいる感じがします。」 「低いと暗くて、高いと明るい感じがします。」 「私は『ぞうさん』はコントラバスの方がいいです。だって、ぞうさんは体が大きいから低い音が合 うと思います。」 この意見に対しても、子どもたちは首をかしげたり、うなずいたりし、感じ方の違いが表れます。 「 コ ン ト ラ バ ス の い い と こ ろ は ? 」 と問われると、 「音が響きます。」「音が続きます。」 もう一度、音を聴いてみます。 「超響く!」「響くのは分かるけど、体が大きいからコントラバス、っていうのが分かりません。」 「体が大きければ、音が響きます。」 「 " 響 く " と " 低 い " は 同 じ で す か 。 」 の問いに、 「違います!」「響くは、体がこう、揺れる感じです。」 「 で は 、 コ ン ト ラ バ ス は 、 音 が 低 い し 、 響 く と い う こ と で す か ? 」 の問いに、 「はい。」「あぁ、そうだ。」とうなずく子どもたち。 「サンサーンスという作曲家がいます。この人は、色んな動物を楽器で表しています。」 「 こ の 中 に も 、『 ぞ う 』と『 小 鳥 』が 出 て 来 る ん だ け ど 、ど っ ち の 楽 器 で 演 奏 さ れ て い る と 思 い ますか?」 と先生が問います。 「すごい作曲家だから、象がフルート、小鳥がコントラバスかも。」と興味津々。 子どもたちは教師の近くに集まって、2つの曲を聴きます。 「あ!聞こえた!コントラバスだ!」 「小鳥だ。空を飛んでるみたい!」 「サンサーンスは、象をコントラバス、小鳥をフルート で表したかったんです。」 ここで、子どもたちに課題が提示されます。 動物の謝肉祭「象」を聴く サンサーンスはなぜ、 「ぞう」をコントラバスで、 「小とり」はフルートであらわしたのでしょう。 す る と 、 もう一度聴きたいと子どもたちは要求します。 「羽をいっぱい動かしているね。」「小鳥は飛べるけど、象は飛べないもんね。」「あ、分かった。」 一人の子どもが発表します。 「鳥は高い声を出すし、飛ぶ時に羽を動かすのが速いから(サンサーンスは)フルートにしたと思い ます。」 「 羽 の 動 き が 速 い と 、 フ ル ー ト に 合 う っ て ど う い う こ と ? 」 の問いに、 「フルートの音は短くて、音がいっぱいだから、フルートの音が速いってことです。」 「短い音が続くってこと?」 「はい!」「音がすぐ途切れるから。」「すばしっこい感じ。」 授業の終わりを知らされると、「えー」っと寂しそうな子どもたち。 最初はフルートの音色に聴き入っていた子どもも多かったのですが、授業の中でコントラバスの音色 にも関心が高まっていく様子が随所に見られました。それは、先生の発問に導かれ、音色の違いやそれ ぞれの役割を自分なりに考えることができた姿でした。そして、「続く」と言う言葉を手掛かりに、コ ントラバスは「ひびく音が続く」ところがよいところ、フルートは「短い音が続いてひびくし、高くて 明るい音がよいところ」と、音色の特徴を表現しました。 津森小学校 井形友子