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詩と写真展 - あわぎんホール 徳島県郷土文化会館

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詩と写真展 - あわぎんホール 徳島県郷土文化会館
まど・みちお+みやこうせい
詩と写真展
展示写真
ドナウ河デルタ
ポルトガル・ルーマニア
洗濯風景
セーヌ川
モンゴル大草原
タシケントの噴水
ダブリン
ジョイスの風景
プラハ幻影
インド・水牛と子供たち
ハンガリー・筏
サファイア色の夜
ヴェネツィア・ユトレヒト
アラン島・ギリシャ山村
ローマの松
水飲み場
エーゲ海
2008年
8月23日(土)∼9月28日(日)
●午前9時30分∼午後5時 ●月曜日休館(ただし9月15日は開館、
16日休館)
徳島県立文学書道館 3階文学常設展示室
観覧料 常設展示室入場料が必要
主催 徳島県立文学書道館
言の葉ミュージアム
徳島県立文学書道館
〒770-0807 徳島市中前川町2丁目22-1
電話. 088-625-7485 FAX. 088-625-7540
URL http://www.bungakushodo. jp
まど・みちお
本名・石田道雄。
1909年山口県生まれ。第2次世界大戦前、臺灣総督府に勤務しつつ詩作を始
める。詩集に『てんぷらぴりぴり』
『まめつぶうた』
『風景詩集』
『いいけしき』
『しゃっくりうた』
『ぼ
くが ここに』
『それから…』等、童謡集に『ぞうさん』
『1年生になったら』等があり、
『まど・みちお
全詩集』がある。
1994年、国際アンデルセン賞作家賞を贈られる。
みやこうせい
ルポ、
エッセイ、
ノンフィクション、批評、写真など幅広い。著書「マラムレシュ−ルーマニアの村の
フォークロア」
(未知谷)、
「ユーラシア無限軌道」
(木犀社)、
プーシキンの民話、
ハンガリーの絵
本翻訳。著書多数。
ルーマニア学術文化会議会員。
まどさん (みやこうせい)
まどさんといったら、
日本中の誰でも知っている、童謡「ぞうさん」の作詞者である。
ということ
は今さらいうまでもない。
まどさんの詩について知ったのは、
ファンにくらべたら、
ずい分遅い方である。
しかし、
“ぞうさん”
とか“一年生になったら”は、
それと知らずに、折りある毎に口ずさんでいて、作詞者については
顧慮しなかった。
そんなものである。
ぼくの胸の中に、
まどさんの詩が入り込んで来て、得もいわれぬ感動をおぼえたのは、理論社
発行の、現代少年詩プレゼントの中の一冊「まめつぶうた」
によってである。
「まめつぶうた」の刊行は、
1973年のこと。
ぼくは、
この本を親しく付き合って、一緒にルーマニ
アへ行って、本を作った、赤坂三好、
ミヨシさんから贈られた。
ミヨシさんは、
この、
まどさんの本を
装幀し、卓抜なさし絵をつけたのである。
ミヨシさんは、天才肌の人で、子供心を失わず、実に無
邪気でシャープ・ウイットとエスプリの持ち主だった
(と過去形で書くことが大へんかなしく思わ
れる。彼が、
ぼくにとっては、
まだ、
その辺にいるような気がしてならない。思い出すと、声さえ聞こ
えてくる)。
この、
まどさんの詩集をよんで、一驚した。
とてもやさしい語り口の中に、深い思いがひそんで
いて、
むずかしくいうと、宗教か思想あるいは哲学のように思われて、一度、通読して、次に、一行
一行よんでは、思いにふけった。何という詩人だろう。平易なことばが軽そうで、重い。
また、読ん
で得られる快感、
また、
解放感。
ミヨシさんの絵は、
まどさんのことばのつらなり、
ごく考え抜かれて、
一字一字書かれた言葉にぴったりで、
ことばと絵が競い合っているような気がした。
この本は、
ぼくにとって宝物のようになった。
ことある毎に、
ぼくは「まめつぶうた」
を開くように
なった。
自身、
ことばを使っての仕事についている者であるが、到底、足もとにも及ばない。
まど・みちお+みやこうせい
詩と写真展
ワサビ もやし はがき ノミ
ふくが うえを もじが あらわれる
ちぢんで したへの こぼれて ゆくえふめいに
ふとれません おおさわぎ おっこちそう なるために
県
道
徳
島
鳴
門
線
▲
鳴
門
・
高
松
吉野川橋
吉野川大橋
吉野川
●市民病院
中吉野町
←点滅信号
下助任
N
▲
●助任
小学校
渭北公民館●
吉野本町
2丁目
11
P
卍
徳島中学校●
↑
徳島県立文学書道館
GS●
附属小学校●
●徳島大学
助任橋
助任橋
助任川
●中央武道館
●市立体育館
徳島城
城山 ●博物館
(徳島中央公園)
JR徳島駅
▼
池田方面
▲
阪鳴徳
神門島
方・空
面高港
松
徳島自動車道 徳島インターチェンジ
そごう●
●徳島新聞社
四国放送
●城東高校
●GS
192
裁●
判
所
●郷土
文化会館
新町橋
新町川
高
知
55 方 阿
面南
・
▼ 眉山
言の葉ミュージアム
徳島県立文学書道館
〒770-0807 徳島市中前川町2丁目22-1
電話. 088-625-7485 FAX. 088-625-7540
URL http://www.bungakushodo. jp
これはアフォリズムであろうか。
まどさんは小さなものに、生物、非生物に目を向けてそれもや
さしいまなざしで、
うたい上げる。根底にあるのは、
いわずもがな、慈しみであり、愛情である。
まどさんの詩について、語りはじめたら、
とどまる所を知らない。語るよりは読んだ方がいい。
よ
んで、
日本語のうつくしさ、
自在なことばのうごき、
ことばの力、
うたわれる対象のかわいらしさ、
お
もしろさを味った方がいい。
年令には関係がない。
まどさんの詩の読者には年令など関係がない。
ある日、
それも最近のことである。思い切って、
まどさんに、
ぼくのつたない本と手紙を送った。
何日もへずに、
ご返事をいただいた。
ハガキや手紙を、本を送るたびにいただいた。
ルーマニアの
写真集を送った時も、過分のおほめをいただき、恐縮した、
と同時に無上のよろこびを味った。
あ
る時、
まどさんの全著作が署名入りで送られて来た。
まどさんの、常なるつつましさに心からうた
れてしまった。
いつも控え目で、
ていねいである。時々周囲に威丈高で高慢で自己顕示欲の強い
人間を、
自称芸術家を見るのであるが、
まどさんは語弊を畏れずいうならば、卑下するかのご様
子である。
いつか、何とはしたないことか、何と増上慢なことか、
まどさんのような方と仕事ができたらい
いな、
と思うようになった。一体、何ができるのだろう。
と思っていた、
ある日。
いただいたハガキに目が点になった。
よく、編集者から写真つきの詩集
を勧められるが、
すべて断っています。
でも、
みやこうせいさんとならやってもいい、
といっています、
とある。
しかし、断わる口実なわけであって、
みやこうせいの写真なんて誰も知るわけがない。
そのハガ
キを大事にしまい、数年後、
まどさんに手紙を出し、
ぼくの写真と一しょに詩集をお出しになりませ
んか、
と書いた。
すぐ返事があって、
おそれ多いけど、
よろこんでいたしましょう、
とある。
おそれお
おいのはこちらである。
それから、本ができるまで、
3年かかったか。
まどさんからは、
とても書けない、書けるとは思えない、
という、悲鳴にも似た手紙をその後いた
だき、
こちらも、
あきらめかけたが、
ある日、速達で生原稿が、送られて来た。
うれしくて、天にも上
りたいような気持ちであった。未知谷代表のベテラン飯島徹さんと相談して、何がテーマの詩集
にしようかと相談した。写真はどういうものがいいかという話である。
生命の根源である水がテーマというのはどうか、
と。
決った。
これまで、
とりためた写真の中から、
水にまつわる、数百点を選び出し、
それから、
また、
ふるい分けて、本を作ることにした。
まどさんに、
その時はじめてお会いして、原稿をいただき、二度めは、
ケアセンターへ出向いて
インタビューを試みた。
かくして、写真プラス詩の、
このまれなる本ができ上った。
ここに、
つつしんで、
まどさんのポートレートと、色紙、
たんざく、
また、生原稿をかかげて、詩と写
真の展示をさせていただくことにした。
日本を代表し、世界にも知られる、
まどさんの筆蹟をごらんいただいて、詩精神、
エスプリ、生
命への深い愛情を感じとっていただけたら、無上の幸いである。
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