Comments
Description
Transcript
倫 理 プラトン
倫 理 ラジオ 学習メモ 第 2 章 人間としての自覚 9 プラトン 講師:和 田 倫 明 学習のねらい ソクラテスの弟子プラトンの思想を、師から受けついだ課題とし て取り上げ、イデア論、哲人政治について理解するとともに、プラ トン哲学が西洋哲学の一つの流れを生み出したことについて考え る。 イデアとは何か プラトンは、 「美とは何か」知らないのになぜ「美しい」とわか るのかをイデアという概念を用いて説明する。魂=精神(プシュ ケー)の故郷は「イデア(理想)の世界」であり、そこには、善そ のもの(善のイデア)、美そのもの(美のイデア)などが存在する。 したがって、魂=精神は、美とは何か、善とは何かを知っている。 一方、 「現象の世界」のありとあらゆる物事は、理想の世界の影の ▼ ようなもので、 美しいといっても、やがてその美は失われてしまう。 しかし魂=精神は、そこに美のイデアが宿っていることには気づく ので、美しいとわかるという。 理想の国家と哲人政治 魂=精神は、理性的部分、気概的部分、欲望的部分の 3 つの部分 からなると考えられていた。それぞれ知恵の徳、勇気の徳、節制の 徳が備われば、全体として正義の徳を備えることになる。これにな らって、 プラトンは、国家の理性的部分である統治者階級に知恵が、 国家の気概的部分である防衛者階級に勇気が、国家の欲望的部分で ある生産者階級に節制の徳が備わっていれば、全体としては正義の 国家が成り立つと考えた。これは当時のアテネ民主制に対する批判 でもあった。 プラトン哲学の特徴 プラトンの哲学は、「理想主義」の流れを生んだ。どこかに素晴 らしい、完全な世界がある、というこの考え方は、のちのキリスト 教の神学にも大きな影響を与えた。主権者が知恵、勇気、節制を持 たないと、国家は立ち行かない。だからこそ、彼は、理想の国家を 目指した。 −− 高校講座・学習メモ