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乳幼児の食生活に関する 母親の意識・行動の変化
鹿児島純心女子短期大学研究紀要 第31号,153−166 2001 乳幼児の食生活に関する母親の意識・行動の変化 乳幼児の食生活に関する 母親の意識・行動の変化 石 崎 由美子 A Comparison of Dietary Consciousness and Behaviors in Mothers of Preschool Children's Dietary Life:Fifteen Years Ago versus Today Yumiko Ishizaki 乳幼児期は望ましい食習慣を身につけさせる時期であり,その良否が将来の生活習慣病など, 健康状態に影響を与える。また,昨今のめまぐるしい食生活の変化は乳幼児の食生活に携わっ ている母親の意識・行動にも影響を与えているのではないかと思われる。そこで,H11年10月, 鹿児島県A町の 保育園とM町の 保育園に通園する園児の母親,本学学生の母親に乳幼児の 2 1 食生活に関するアンケート調査を行い,現在,乳幼児の子育てを行っている母親と過去に子育 てを行った母親(約15年前)に対する食に関する意識・行動等の比較検討を行った。過去に子 育てを行った母親は朝夕の献立・手作り弁当・離乳食・間食に対して栄養バランスを重視し, マナーについてはひじをついて食べない,茶碗を持って食べるなど,子供にとって,将来の健 康,食を通しての人間関係などを考慮した長い目で捉えた食の意識・行動が読み取れる。一方, 現在子育てを行っている母親は,手作り弁当にインスタント食品の利用が多いことや,間食に 配慮することとして子供の好み,間食を与える理由に子供が欲しがるからが上位に挙げられ, 種類としてチョコレート,スナック菓子,清涼飲料水が多くみられ,また,マナーとしては食 事中に立たないが挙げられた事から,食に対する親の考えがあまり見えず,子供中心になりが ちで,子供の将来の健康より毎日の食生活をスムーズに送ることができればよいというような 刹那的な捉え方をしているのではないかと思われた。 Key words: [乳幼児][食意識][食行動][間食][食事マナー] (Received November 6, 2000) ¿ はじめに 子供の食事観の形成は親,特に母親の食事観によって影響を受ける。家庭でつくられる日々 の食事によって,味覚を学び,食事嗜好をつくりさらに食事のタイプ・パターン・リズムに よって食習慣を体得する。また,一般に食事の学習は「おいしさ」という報酬をもった学習で, その役割は大きい。食事観の中には当然のことながら,食事のマナーなど礼儀・作法の問題も 鹿児島純心女子短期大学生活学科食物栄養専攻(〒890−8525 鹿児島市唐湊 丁目 4 22番 号) 1 −153− 鹿児島純心女子短期大学研究紀要 第31号 (2001) 入ってくる。家庭の食卓ばかりでなく,外食のテーブルでの食事はこのような礼儀・作法を学 ぶ場としての役割を果たしている。また,同時に食事はそれを楽しむことにより,家族の絆を 1 固め,人間関係を学ぶ団欒の場としても重要である ) 。 しかし,近年,母親予備軍である若い女性の食生活はダイエット,欠食,偏食,過食,少食, 夜食,食生活リズムの乱れ,食事作りをしない,インスタント食品・加工食品・レトルト食品 への依存,食事マナーの低下など多くの問題点も挙げられている。 一方,乳幼児の食生活の問題点として誤った離乳方法による離乳食不適応,離乳困難,食物 アレルギーや,好き嫌いの発生,遊び食い,虫歯,咀嚼力の低下,肥満,食欲不振,偏食,間 食の量・質・与え方など数多く挙げられる。 最近では,共働きの家庭が増えていることから,食事の時刻,食事内容なども問題となって いる。親の食事時刻が遅くなることから 度食べるなどのため,朝食が食べられない,あるい 2 は,朝食時に食欲がない,また,食事内容では,食品のソフト化による噛めない子,う蝕の増 2 加,栄養素の偏りなどの問題が生じている ) 。 乳幼児期は望ましい食習慣を身につけさせる時期であり,その良否が将来の生活習慣病をは じめとする健康状態に影響すると言っても過言ではない。 以上の事から,乳幼児の食の問題点と関連の深い母親の食に対する意識や行動が,変化して きたのではないかと考え,現在乳幼児を育てている母親と過去に(約15年前)乳幼児を育てた 母親に,乳幼児の食生活に関するアンケート調査を行い両者の比較検討を行った。 À 対象および方法 H11年10月,鹿児島県A町の 保育園とM町の 2 1 保育園児 の母親1 50名,本学学生の母親 163名(回収率858 . %)に対して, 乳幼児の食生活に関するアン 0% ■同居 □近くに居住 同居していない 保育園児の親 20% 40% 60% 80% 100 (%) 43.3 15. 3 41.3 同居の有無 学生の親 16.6 27.0 56.4 ケート調査を行った。保育園, 本学いずれもアンケート用紙 を家庭に持ち帰り母親に記入 してもらい,各保育園,本学そ れぞれで回収した。保育園児の 0 ■保育園児の親 □学生の親 5 10 15 20 自分の母親 生が乳幼児であった頃の食生 自分の父親 35 40(%) 19.6 16.0 12.9 同居している人 配偶者の母親 活について,回答を求めた。 対象者の親との同居状況を 36.0 26.4 26.0 配偶者の父親 19.0 図 に示した。保育園児の親は 1 学生の親より,同居している, 30 22.7 母親に対しては現在の食生活, 本学学生の母親に対しては学 25 図1 対象者の親との同居状況 −154− 乳幼児の食生活に関する母親の意識・行動の変化 あるいは近くに親が住んでいる割合(学生の親については当時の同居状況)が多くそれぞれ 586 . %, 436 . %で有意差がみられた。さらに親と同居している人は配偶者の両親が,自分の両親 より多い傾向にあった。調査内容は,母親の子供に対する食意識,食行動,食事に関するマナー, 離乳食,手作り弁当,間食,外食などである。全ての項目に対し,保育園児の母親(現在乳幼 児を育てている)と本学学生の母親(約15年前に乳幼児を育てた)との比較を行うため,統計 ソフト“StatView”を用い,主に分割表分析で検討を行った。 Ⅲ 結果および考察 Ⅰ)食に対する意識・行動 図 に食に対する意識・行動等についての結果を示した。子供に対して力を注いだ事につい 2 ては,保育園児,学生いずれの母親も最も多かったのは健康で,それぞれ527 . %, 687 . %で,次 にしつけ(347 . %, 215 . %),食事(93 . %, 74 . %)であった。保育園児の母親に有意に多かったの はしつけ(p<00 . 1)で,学生の母親に多かったのは健康(p<00 . 1)であった。乳幼児期は大人 に比べ,病気にかかりやすいことから健康が重視されているのであろう。幼児へのしつけが重 視されることに関して,幼児期の発達課題の1つに「自ら食べる習慣の形成」すなわち食べる 行動の自立の達成があるとし,次のステップとして,食事についての文化的ふるまいや雰囲気 を身につけ,ともに食する人達と身近な経験を通して一体化を経験する。したがって,幼児期 後半の , 5 6才児の母親が家族という集団の一員として,食事をする際の規範,食事作法を教 3 同様の結果が得られたのであろう。 える時期であると判断したという報告があるように ) 料理・栄養の情報源については,保育園児,学生いずれの母親も最も多かったのは雑誌で, それぞれ633 . %, 687 . %で,次にテレビ(593 . %, 663 . %)であった。学生の母親が有意に多かっ たのは親(p<00 . 1),学校(p<00 . 1),料理教室(p<00 . 1)であった。雑誌やテレビは子育ての 忙しい中でも知りたい情報を自由な時間に得ることができ,ビジュアル的で再現性があること からよく利用されているのであろう。親との同居の割合については保育園児の母親が学生の母 親に比べ多かったが,情報源として親が少なかったことは意外であった。また,学生の母親は 学校や料理教室など食に対してより専門的な情報を求めているのであろうか。 朝・夕の献立で配慮している事については,保育園児,学生の母親に最も多かったのは,栄 養バランスでそれぞれ580 . %, 804 . %であった。次に多かったのは,保育園児の母親は保育園の 献立と重複しない(434 . %),嫌いな物も工夫して食べさせる(3 73 . %)で,学生の母親は嫌い な物も工夫して食べさせる(454 . %),旬の素材を使用(442 . %)であった。保育園児の母親が 有意に多かったのは保育園の献立と重複しない(p<00 . 1)で,学生の母親が有意に多かったの は栄養バランス(p<00 . 1)と旬の素材の使用(p<00 . 1)であった。学生の母親の方が積極的な 姿勢で食事に対して取り組んでいる様子がうかがえる。 子供の頃の食教育は役立つと思うかについては,役立つと答えた人は保育園児の母親 (700 . %),学生の母親(8 47 . %)と学生の母親に多い傾向がみられた。 −155− 鹿児島純心女子短期大学研究紀要 第31号 (2001) 0 ■保育園児の親 □学生の親 ** ** 10 30 40 50 60 70 80(%) 52.7 健康 68.7 34.7 しつけ 21.5 9.3 7.4 食事 子供に対して 力を注いだ事 20 3.3 4.3 交友関係 2.0 その他 勉強 ファッション 0.6 0 料理・栄養の 情報源 10 20 30 40 50 70 80 (%) 68.7 59.3 66.3 32.0 35.6 26.7 45.4 24.0 30.7 11.3 4.9 6.7 19.6 6.0 4.3 4.7 15.3 0 20 40 25.2 37.3 45.4 33.3 38.0 30.7 44.2 多くの食材の利用 **旬の素材を使用 12.7 16.6 多くの味の体験 0 100 (%) 80.4 嫌いなものも工夫して食べさせる その他 80 43.3 **保育園の献立と重複しない 朝・夕の献立で 配慮している事 60 58.0 **栄養バランス ■役立つ □少し役立つ □あまり役立たない □全く役立たない 60 63.3 雑誌 テレビ 知人 ** 親 新聞 特に得ていない ** 学校 その他 ** 料理教室 2.7 1.2 20 保育園児の親 40 60 70.0 80 100 27.3 2.7 子供の頃の食教育は 役立つと思うか 学生の親 84.7 12.3 3.1 ** p<0.01 * p<0.05 図2 食に対する意識・行動等について −1 56− 乳幼児の食生活に関する母親の意識・行動の変化 ■保育園児の親 □学生の親 0 20 40 食事中のマナーで 注意している事 60 80 29.4 **茶碗を持って食べる 60.0 **ひじをつかない 53.3 77.3 84.0 口に食べ物を入れたまま話さない 38.0 36.2 **箸の持ち方 35.3 73.6 25.3 *犬食いをしない その他 ■必ず叱る □場合によって叱る □叱らなかった 0 100 (%) 68.0 **食事中立たない 35.6 9.3 6.1 20 保育園児の親 40 60 80 29.5 69.1 外食の子供のマナーが 悪い時叱るか 63.1 学生の親 35.7 100 (%) 1.3 1.3 ** p<0.01 * p<0.05 図3 食に関するマナーについて Ⅱ)食事に関するマナー 図3に食事に関するマナーについての結果を示した。食事中マナーで注意している事につい て,保育園児の母親に最も多いのが,食事中に立たない(680 . %),次に,茶碗を持って食べる (600 . %),ひじをついて食べない(5 33 . %),口に食べ物を入れたまま話さない(3 80 . %),箸の 持ち方(353 . %),犬食いをしない(253 . %)であった。学生の母親について最も多いのが,ひじ をついて食べない(840 . %),次に,茶碗を持って食べる(773 . %),箸の持ち方(736 . %),口に 食べ物を入れたまま話さない(362 . %),犬食いをしない(356 . %),食事中に立たない(2 94 . %) であった。学生の母親に有意に多いのは,ひじをついて食べない(p<00 . 1),次に茶碗を持って 食べる(p<00 . 1),箸の持ち方(p<00 . 1),犬食いをしない(p<00 . 5)で有意差がみられた。一 方,保育園児の母親に有意に多いのは,食事中に立たない(p<0.01)であった。現在,乳幼児 を育てている母親(以下, 「現在子育て中の母親」と表記する)より,約15年前に育てた母親 (以 下, 「過去に子育てを行った母親」 と表記する) の方がマナーについて注意している種類が多く, また,母親の多くが注意していたといえる。過去に子育てを行った母親が注意している事は, 見た目が悪く不愉快であるが,直接周囲の人に迷惑をかけるような内容ではない。しかし,現 在子育て中の親が注意している食事中に立たないというのは,周囲の人に直接迷惑をかけるこ とであり,最小限の注意ですまそうとする母親のマナーに対する考え方があるように思われる。 外食時の子供のマナーに対する母親の態度について,マナーが悪い時叱る人は保育園児,学 生の母親のいずれも最も多く, 691 . %, 631 . %であったが,有意差はみられなかった。叱らない人 もそれぞれ, 13 . %, 13 . %といた。外食中のマナーについて注意するのは家庭の中で注意する頻度 より少ないのではないかと思われる。なぜなら,外食する場合の理由として, 買い物やレジャー で外出した場合や家族の祝事や行事などが上位に挙げられているが,非日常という特別な場面 が母親の子供に対する意識まで変えてしまうのではないかと考えられないだろうか。 −157− 鹿児島純心女子短期大学研究紀要 第31号 (2001) Ⅲ)離乳食 図 に離乳食についての結果を示した。離乳食の情報源について,保育園児の母親に最も多 4 いのが,本やテレビなど(733 . %)で,次に自分で考える(580 . %),友人に教わる(273 . %), 母親に教わる(207 . %) ,栄養士に教わる(20 . %)であった。学生の母親について最も多いのが, 保育園児の母親と同様に本やテレビなど(706 . %)で,次に自分で考える(589 . %),母親に教 わる(301 . %),友人に教わる(252 . %),栄養士に教わる(110 . %)であった。学生の母親に有 意に多いのは栄養士に教わるで,また母親に教わるのも多い傾向がみられた。保育園児,学生 の母親両方に本やテレビなどが多かったことは,情報源が人ではないので時間を気にせず,ま た気軽に離乳食の作り方などの情報を得ることができるからであろう。次に自分で考えるが多 かったことから,特別に離乳食を作るのではなく,親が日常食べる料理について,その中の一 部の材料や調理法を換えることによって,幼児の食べやすい形態にするというものも多いので はないかと思われる。現在子育て中の母親の栄養士に教わるが少ないことは,各時期に見合っ た離乳食の摂取量や調理形態の進め方,言い換えれば好ましい離乳食のあり方など栄養・食生 活の専門的な情報でないものを多く取り入れているともいえるであろう。また,母親から教わ ることが少ないことは,今日の食生活の変化が,過去に子育てを行った親の時代に比べめざま しいことから,母親からの離乳食作りのノウハウより新しい情報で得たものの方が取り入れら れやすいのではないだろうか。 0 ■保育園児の親 □学生の親 20 40 60 58.0 58.9 自分自身 27.3 25.2 友人 離乳食を作る時の 情報源 20.7 母親 30.1 3.3 2.5 2.0 その他 **栄養士 11.0 0 20 40 60 71.2 **栄養バランス 53.3 67.5 4 7.3 50.9 食べ物の大きさ 食品の種類 35.3 41.1 温度 30.7 38.7 **衛生面 29.3 42.9 17.3 20.2 16.7 好き嫌い **時間 33.7 *アレルギー 14.0 6.1 3.3 その他 ■いつも使用 □時々使用 □全く使用しなかった (%) 80 58.0 **味付け 離乳食を食べさせる時 配慮する事 80(%) 73.3 70.6 本やテレビ 0 0 20 保育園児の親 ベビーフードの 使用状況 40 60 80 70.8 100(%) 25.7 3.5 学生の親 47.5 51.9 0.6 ** p<0.01 * p<0.05 図4 離乳食について −158− 乳幼児の食生活に関する母親の意識・行動の変化 離乳食を食べさせる時配慮する事については,保育園児の母親に最も多いのは,味付け (580 . %)で,次に栄養バランス(533 . %),食べ物の大きさ(473 . %),食品の種類(353 . %), 温度(307 . %)であった。学生の母親について最も多いのは,上位 位までは保育園児の母親 3 と同じで,味付け(712 . %),栄養バランス(675 . %),食べ物の大きさ(5 09 . %)で,次に衛生 面(429 . %) ,食品の種類(411 . %)であった。学生の母親に有意に多かったのは味付け(p<00 . 1), 栄養バランス(p<00 . 1),衛生面(p<00 . 1),時間(p<00 . 1)であった。保育園児の母親に有意 に多かったのはアレルギー(p<00 . 5)であった。過去に子育てを行った母親は現在子育て中の 母親より離乳食を食べさせる時の配慮する事柄も多く,また配慮している人も多いといえる。 いずれの母親も,おいしさ,栄養,食べやすさを重視しているようである。また,時間に有意 差がみられたことは,現在子育て中の母親には1日の食事リズムの大切さが理解されていない のか,または時間に追われた忙しい生活を送っていることから子供の食事時間にまで心配りで きる余裕がないのではないかと思われる。また,アレルギーのみ,現在子育て中の母親に多く みられたことは,アレルギーが増加していることの表われであろう。 ベビーフードの使用状況については,有意差がみられ(p<00 . 1),保育園児の母親は時々使用 している人が最も多く708 . %,学生の母親は全く使用しなかったが,最も多く519 . %であった。食 品産業が発達することで過去に子育てを行った母親の時代より,現在はベビーフードの種類も 豊富になり,また質もよくなってきていることも一因であろうと思われる。 Ⅳ)手作り弁当 図 に手作り弁当についての結果を示した。料理の種類数は保育園児,学生いずれの母親も 5 品(517 4 . %, 484 . %)が最も多く,次に5品(2 45 . %, 264 . %) ,3品(231 . %, 252 . %)であった が有意差はみられなかった。 使用する食品群については保育園児の母親に最も多いのが,卵類(80.7%),次に肉類(793 . %), 野菜類(50.7%) ,果物類(500 . %),魚介類(293 . %)であった。学生の母親について最も多い のは,肉類(8 04 . %),次に卵類(779 . %),野菜類(644 . %),果物類(4 11 . %),魚介類(3 01 . %) であった。学生の母親に多かったのは野菜類で,有意の差(p<0.01)がみられた。果物類は保 育園児の母親に多くみられた。動物性蛋白質源として肉類,卵類,魚介類,乳類があるが,過 去に子育てを行った母親も現在子育て中の母親も8割の人が,肉類,卵類を弁当に入れている。 肉類は多くの子供が好み,調理法として揚げ物,炒め物,焼き物,煮物など種類も多く,弁当 に取り入れやすい食品であり,一方,卵類は各家庭の冷蔵庫に必ず入っているといえるほど日 常的な食品で,また黄色という他の食材にはない色は弁当に色どりを添える面があることから, 両食品は好んで使用されていると思われる。ビタミンC供給源として野菜類,果物類,芋類が あるが,過去に子育てを行った母親は野菜類が多く,現在子育て中の母親はビタミンCだけで なく糖質をも多く含んでいる果物類が多いことから,子供が好むデザート的な意味をもった食 品が増えてきたともいえる。 使用する調理法については,保育園児,学生の両方の母親に最も多かったのは,揚げ物 (780 . %, 767 . %)であった。次に保育園児の母親は焼き物(473 . %),炒め物(400 . %),生もの (273 . %),煮物(1 80 . %)の順であった。一方,学生の母親は炒め物(497 . %),焼き物(313 . %), 煮物(288 . %),生もの(252 . %)の順であった。保育園児の母親が有意に多かったのは焼き物 −159− 鹿児島純心女子短期大学研究紀要 第31号 (2001) (%) 60 (%) 100 51.7 48.4 50 80 80.7 80.4 77.9 79.3 64.4 40 60 50.7 30 26.4 24.5 25.2 23.1 50.0 41.1 40 29.330.1 20 20 10 6.7 6.7 6.0 0 0.7 0 卵 類 1品 2品 3品 4品 5品以上 肉 類 野 菜 類 ■保育園児の親 料理の種類数 □学生の親 ** (%) 78.0 80 76.7 (%) 80 60 60 果 物 類 魚 介 類 芋 類 3.1 4.0 2.5 0.7 2.5 豆 き 乳 の 類 類 海 草こ 類・ 使用する食品群 62.1 56.3 49.7 47.3 43.8 40.0 40 40 31.3 27.3 25.2 32.4 28.8 18.0 20 20 4.0 4.9 3.3 2.7 1.2 0.6 0 揚 げ 物 焼 き 物 炒 め 物 生 も の 煮 物 * 和 え 物 漬 物 5.5 蒸 し 物 0.0 0 はい いいえ 時々使用 ** ** インスタント食品等使用状況 使用する調理法 (%) (%) 60 80 74.079.8 52.7 63.2 40 60 38.7 33.334.4 46.0 40 20 16.0 14.0 12.9 14.7 11.7 10.4 7.37.4 0 便 利 だ か ら ** 品 数 を 多 く す る た め お い し い か ら 子 供 が 望 む か ら 経 済 的 だ か ら 32.731.9 25.8 20.019.618.016.016.7 16.0 14.713.514.0 13.5 11.012.0 10.011.0 7.4 20 見 た 目 が よ い か ら 4.0 0.6 衛 生 的 だ か ら 4.0 0.6 1.31.2 0 そ の 他 * 色 ど り 栄 養 バ ラ ン ス 味 ** * インスタント食品等を使用する理由 食 品 数 食 材 の 鮮 度 味 の バ ラ ン ス 食 品 の 安 全 性 * 調 理 法 の 組 合 わ せ 好 き 嫌 い を 無 く す 工 夫 作る時配慮する事 図5 手作り弁当について −1 60− 配 置 衛 生 面 そ の 他 *p<0.05 **p<0.01 乳幼児の食生活に関する母親の意識・行動の変化 (p<00 . 1)で,同様に学生の母親に多かったのは煮物(p<00 . 5)であった。焼き物は油を用い ないで焼く調理法として分類しているが,卵焼きなど油を使っても「焼く」という言葉から, 保育園児の母親に「焼く」が多くみられたのではないかと思われる。また,煮物は手間や時間 がかかることや子供の嗜好の面から少なくなったのではないかと思われる。 手作り弁当のインスタント食品等の使用状況については,手作り弁当にインスタント食品や レトルト食品,冷凍食品の使用状況に有意差がみられ,使用した人は保育園児の母親に多く 621 . %で,学生の母親は4 38 . %,使用していない人は学生の母親に多く563 . %で,保育園児の母 親は324 . %であった。保育園児のほとんどの母親が仕事をしていることから,できるだけ短い 時間に調理できるものを使用するのであろう。また,インスタント食品,レトルト食品,冷凍 食品など食品加工の技術的な進歩により,種類も増え,質もよくなっていることが使用の増加 につながっていると思われる。 手作り弁当にインスタント食品等を使用する理由については,保育園児,学生の母親いずれ も最も多かったのは,便利だから(5 27 . %, 387 . %),次に品数を多くするため(3 33 . %, 344 . %), おいしいから(1 60 . %, 129 . %)であった。保育園児の母親に有意に多くみられたのは,便利だ から(p<00 . 1),衛生的だから(p<00 . 1)であった。 弁当を作る時配慮する事については,保育園児,学生いずれの母親に最も多かったのは色ど り(740 . %, 798 . %),次に栄養バランス(4 60 . %, 632 . %),味(3 27 . %, 319 . %)であった。栄養 のバランスは学生の母親が保育園児の母親より有意に多かった(p<00 . 1)。また,食品の安全性 についても同様の傾向がみられた(p<00 . 5)。特に幼い子供は,食べ物はまず,目でおいしさを 判断し,次に食べるという行動をおこすのであるから,色どりが一番に挙げられたのであろう。 次に成長期であることから,栄養バランスの大切さが挙げられ,実際に食べてみておいしくな ければ食べないし,また次に同じものを食べた時にその食べ物を受けつけなくなる可能性もあ ることから,味が重視されているのであろう。特に学生の母親に栄養バランス,食品の安全性 が多かったことは,食生活の興味が学生の母親に,保育園児の母親より強いのかもしれない。 農薬や食肉などに残留する抗菌性物質,最近では,さらに遺伝子組み換え食品,クローン牛な ど安全性に関する問題も多く挙げられていることを考えると予想外であった。 Ⅴ)間食 図 に間食についての結果を示した。 6 1日の回数は保育園児,学生の母親いずれも, 2回が 最も多くそれぞれ, 551 . %, 719 . %であった。保育園児の母親に 回以上与える人が多く 3 143 . % で,学生の母親(100 . %)の14 . 倍であった。 間食を与える時配慮する事で,保育園児の母親に最も多いのは,甘い物の食べ過ぎ(4 47 . %) で,次に子供の好み(3 93 . %),虫歯にならない物(37.3%) ,食品添加物の少ない物(3 13 . %), 塩分の摂りすぎ(1 93 . %)であった。平成7年度乳幼児栄養調査の中で,子供におやつを与え る時,特に注意していることとして,この調査と同じように最も多いのは,甘い物を避ける 4 。 (497 . %)であった ) 学生の母親に最も多いのは,食品添加物の少ない物(656 . %)で,次に虫歯にならない物(58.3%), 甘い物の食べ過ぎ(466 . %),栄養バランス(337 . %),子供の好み(301 . %)であった。全体的にみ て,配慮する項目が学生の母親に多く,唯一子供の好みだけ保育園の母親の方が上回っていた。 −161− 鹿児島純心女子短期大学研究紀要 第31号 (2001) (%) 80 (%) 80 71.9 65.6 60 58.3 60 55.1 44.746.6 40 40 39.3 37.2 33.7 31.3 30.1 26.4 19.3 16.0 20 14.0 29.9 6.1 0 18.1 20 14.719.0 甘 い 物 の 食 べ 過 ぎ 12.9 9.4 0 1 回 2 回 ■保育園児の親 □学生の親 3 回 ** 回数 1.4 0.6 0.7 0.0 4 回 以 上 決 め な い 虫 歯 に な ら な い も の 子 供 の 好 み ** 食 品 添 加 物 の 少 な い も の ** 塩 分 の 摂 り 過 ぎ 特 に 考 え て い な い 油 脂 類 の 摂 り 過 ぎ 栄 養 バ ラ ン ス ** ** 配慮する事 (%) 80 66.7 60 54.0 49.1 40 25.3 24.0 20 28.8 16.0 13.3 5.3 9.8 14.1 4.7 4.0 2.5 0 子 供 が 欲 し が る か ら ** 栄 養 的 な 補 給 ** 習 慣 だ か ら ス キ ン シ ッ プ 与える理由 何 と な く お や つ 作 り が 好 き だ か ら ** そ の 他 ** p<0.01 * p<0.05 図6 間食について 食品添加物の少ない物,虫歯にならない物,栄養バランスは有意に学生の母親が保育園児の母親 より多かった(p<00 . 1)。現在子育て中の母親は,過去に子育てを行った母親より,子供の嗜好性 を重視し,長い目で見た子供に対する健康への配慮を見失いがちなのではないかと思われた。 図 によく与える間食を示した。保育園児の母親については, 7 多い順に牛乳・乳飲料(740 . %), スナック菓子類(5 80 . %),ゼリー・プリン類(5 60 . %),アイスクリーム類(5 60 . %),果物類 (487 . %),乳製品(420 . %)であった。一方,学生の母親については,多い順にゼリー・プリ ン類(718 . %),牛乳・乳飲料(6 99 . %) ,クッキー・ビスケット類(620 . %),果物類(546 . %), アイスクリーム類(528 . %)であった。図 に示すように有意差のみられた食品も多かった。 7 保育園児の母親が学生の母親より多かったのは,スナック菓子,お茶類,飴ガム類,スポーツ ドリンク,清涼飲料水,炭酸飲料で,逆に学生の母親が保育園児の母親より多かったのは,ゼ リー・プリン類,ケーキ類,クッキー・ビスケット類,芋・野菜を使った手作りのお菓子, 100% 果汁であった。平成5年度国民栄養調査によると,おやつとして与える頻度の高いものとして, −1 62− 乳幼児の食生活に関する母親の意識・行動の変化 (%) 80 74.6 71.8 69.9 58.0 60 56.0 62.0 56.0 52.8 54.6 49.7 48.7 42.0 40.7 40 47.9 37.3 47.2 35.6 36.0 35.6 35.0 43.7 32.0 31.3 28.7 26.0 23.3 26.4 30.1 25.3 20.7 20 18.3 16.7 16.0 11.0 4.3 1.2 0 牛 乳 ・ 乳 飲 料 ス ナ ッ ク 菓 子 類 ゼ リ ー ・ プ リ ン 類 ** ** ア イ ス ク リ ー ム 類 果 物 類 乳 製 品 お 茶 類 ** 飴 ・ ガ ム 類 ** ク ッ キ ー ・ ビ ス ケ ッ ト 類 も ち ・ 団 子 類 せ ん べ い 類 菓 子 パ ン チ ョ コ レ ー ト ** ** ス ポ ー ツ ド リ ン ク 芋 ・ 野 菜 を 使 っ た 手 作 り お 菓 子 ケ ー キ 類 * ** ** 種類 清 涼 飲 料 水 炭 酸 飲 料 そ の 他 * * ** ** (%) (%) 80 80 60 60 40 40 20 20 0 ゼ リ ■市販 ー □手作り ・ □両方 プ リ ン 類 1 0 0 % 果 汁 9.3 6.0 3.1 1.2 0 ケ ー キ 類 も ち ・ 団 子 類 保育園児の母親 ク ッ キ ー ・ ビ ス ケ ッ ト 類 ア イ ス ク リ ー ム 類 ゼ リ ー ・ プ リ ン 類 ケ ー キ 類 も ち ・ 団 子 類 学生の母親 市販・手作りの別 ク ッ キ ー ・ ビ ス ケ ッ ト 類 ア イ ス ク リ ー ム 類 **p<0.01 *p<0.05 図7 よく与える間食 平成5年度はスナック菓子,ビスケット等,菓子パンが上位で,昭和63年度と比べ,上位2位 までは同じであったが,果物の摂取が減り,果物ジュースが増加していた。この調査も同様に, 果物が546 . %から487 . %と減っている。しかし,ジュースに関しては1 00%ジュースは減り,清 涼飲料水は増加していた。 間食の手作り・市販の別については,いずれの間食も,学生の母親に手作りが多い傾向にあ る。保育園児,学生いずれの母親も市販のものが多いのはクッキー・ビスケット類とアイスク リーム類で,手作りのものが多いのはケーキ類,もち・団子類であった。ゼリー・プリン類の 手作りは学生の母親に多く350 . %で,保育園児の母親は60 . %であった。 現在子育て中の母親は,店頭にたくさん並べられている甘いおやつ,塩分や油の多いおやつ, またスポーツドリンクや清涼飲料水などを与える機会が多く,一方,過去に子育てを行った母 親はどちらかといえば,手作りのおやつを多く与えていたのではないかと推測される。 −163− 鹿児島純心女子短期大学研究紀要 第31号 (2001) 図 の中の間食を与える理由については,保育園児の母親に最も多かったのは,子供が欲し 6 がるから(6 67 . %)で,次に栄養的な補給(253 . %),習慣だから(240 . %)であった。学生の 母親に最も多かったのは,栄養的な補給(540 . %)で,次に子供が欲しがるから(4 91 . %),習 慣だから(2 88 . %)であった。保育園児の母親に有意に多かったのは子供が欲しがるから (p<00 . 1)で,逆に学生の母親に多かったのは,栄養的な補給(p<00 . 1) ,おやつ作りが好きだ から(p<00 . 1)であった。おやつを与える理由にも,母親の考えでなく,子供に左右される現 在の子育ての様子が思い描かれる。 Ⅵ)外食について 図 に外食についての結果を示す。頻度については,保育園児,学生いずれの母親も月に 8 1 ∼ 回が最も多く,それぞれ 2 813 . %, 865 . %であった。 次に外食の理由については,保育園児,学生いずれの母親にも最も多いのは,買い物やレ ジャーで外出した場合で,それぞれ600 . %, 411 . %で,次に家族のお祝い事や行事で180 . %, 399 . % であった。保育園児の母親に有意に多かったのは,買い物やレジャーで外出した場合(p<00 . 1), 食事を作らずにすむ(p<00 . 5)で,逆に学生の母親に多かったのは家族のお祝い事や行事 (p<00 . 1)であった。最近の外食の利用方法は外食することに大きな意味があるというより, 副次的な利用が多いのではないかと思われる。 ■保育園児の親 0 □学生の親 ほとんどしない 20 40 60 80 81.3 86.5 月に1∼2回 外食の頻度 週に1回 100(%) 9.3 6.7 6.7 5.5 週に2∼3回 0.7 週に4∼5回 ほぼ毎日 0 20 18.0 39.9 13.3 15.3 家庭で作れないもの美味しい物を食べる 10.7 *食事を作らずにすむ 便利 60(%) 41.1 **家族の祝事や行事 外食の理由 40 60.0 **買い物やレジャーで外出した場合 4.3 4.7 2.5 定期的に利用するものと決めている 1.3 0.6 料理の種類が豊富 0.7 1.2 特になし 0.6 その他 0.6 **p<0.01 *p<0.05 図8 外食について −164− 乳幼児の食生活に関する母親の意識・行動の変化 Ⅳ 要 約 H11年10月,鹿児島県A町の 保育園とM町の 保育園の園児の母親と本学学生の母親に, 2 1 乳幼児の食生活に関するアンケート調査を行い,現在,乳幼児の子育てを行っている母親と過 去に子育てを行った母親の食に関する意識・行動等の比較検討を行った。 ( )子供に対して力を注ぐ事で有意に保育園児の母親に多かったのはしつけで,学生の母親 1 は健康であった。 ( )料理・栄養の情報源は保育園児,学生の母親いずれも雑誌( 2 6 33 . %, 687 . %),テレビ (593 . %, 663 . %)が多かった。 ( )朝・夕の献立で配慮している事で学生の母親に有意に多かったのは栄養のバランス(保 3 育園580 . %,学生8 04 . %)であった。保育園児の母親に有意に多かったのは保育園の献立 と重複しないことであった。 ( )食事に関するマナーで注意している事について有意に学生の母親に多いのは,ひじをつ 4 いて食べない,次に,茶碗を持って食べる,箸の持ち方,犬食いをしないであった。保 育園児の母親に有意に多いのは,食事中に立たないであった。 ( )離 5 乳 食 の 情 報 源 で 最 も 多 い の は 保 育 園 児,学 生 い ず れ の 母 親 も 本 や テ レ ビ な ど (733 . %, 706 . %)であった。学生の母親に有意に多いのは栄養士に教わるで,また母親 に教わるも多い傾向がみられた。 ( )離乳食を食べさせる時配慮する事について,保育園児,学生の母親いずれも最も多いの 6 は,味付け(580 . %, 712 . %)で,次に栄養バランス(533 . %, 675 . %),食べ物の大きさ (473 . %, 509 . %)であった。学生の母親に有意に多かったのは味付け,栄養バランス, 衛生面,時間で,保育園児の母親に有意に多かったのはアレルギーであった。 ( ) 7 手作り弁当で使用する食品群については,保育園児の母親に最も多いのが,卵類(807 . %), 次に肉類(793 . %),野菜類(507 . %),果物類(500 . %),魚介類(2 93 . %)で,学生の母 親 は,肉 類(804 . %),卵 類(779 . %),野 菜 類(644 . %),果 物 類(411 . %),魚 介 類 (301 . %)の順であった。野菜は学生の母親に有意に多かった。 ( )手 8 作 り 弁 当 で 使 用 す る 調 理 法 に つ い て は 保 育 園 児,学 生 い ず れ の 母 親 も 揚 げ 物 (780 . %, 767 . %)が最も多かった。 ( )手作り弁当のインスタント食品等の使用状況については有意差がみられ,使用した人は 9 保育園児の母親に多く6 21 . %で学生の母親は438 . %であった。 (10)手作り弁当にインスタント食品等を使用する理由については,保育園児,学生の母親い ず れ も 最 も 多 か っ た の は 便 利 だ か ら(527 . %, 387 . %),次 に,品 数 を 多 く す る た め (333 . %, 344 . %),おいしいから(160 . %, 129 . %)であった。 (11)弁当を作る時配慮する事については,保育園児,学生いずれの母親にも最も多かったの は色どり(740 . %, 798 . %) ,次に栄養バランス(4 60 . %, 632 . %),味(327 . %, 319 . %)で あった。栄養のバランスは,学生の母親が保育園児の母親より有意に多かった。また, 食品の安全性についても同様の傾向がみられた。 −165− 鹿児島純心女子短期大学研究紀要 第31号 (2001) (12)間食を与える時配慮する事で,保育園児の母親に最も多いのは,甘い物の食べ過ぎで (447 . %)で,次に子供の好み(3 93 . %)で,学生の母親に最も多いのは,食品添加物の 少ない物(656 . %)で,次に虫歯にならない物(583 . %)であった。 (13)よく与える間食で,保育園児の母親が学生の母親より多かったのは,スナック菓子,飴 ガム類,お茶類,スポーツドリンク,清涼飲料水で,逆に学生の母親が保育園児の母親 より多かったのは,ゼリー・プリン類,ケーキ類,クッキー・ビスケット類,芋・野菜 を使った手作りのお菓子, 100%果汁であった。 (14)間食を与える理由について,保育園児の母親に有意に多かったのは子供が欲しがるから で,学生の母親に多かったのは,栄養的な補給,おやつ作りが好きだからであった。 (15)外食の頻度は保育園児,学生いずれの母親も月に 1 ∼ 2 回が最も多く,それぞれ 813 . %, 865 . %であった。外食の理由について,保育園児の母親に有意に多かったのは, 買い物やレジャーで外出した場合や食事を作らずにすむで,逆に学生の母親に多かった のは家族のお祝い事や行事であった。 文 献 ) 小林登,石毛直道監修,豊川裕之責任編集: 1 「子供の発育と食事観の形成,食の文化」 第六巻 食の思想と 行動, 275 ) 岡崎光子,大野智子:「ライフステージ別栄養指導 乳幼児,栄養指導論」改定第 版, 2 3 167,(2000) ) 富岡文枝:幼児への食教育と両親の食意識及び食行動との関わり,栄養学雑誌, 3 27, 57, (1999) ) 水野清子,高野陽,染谷理絵,掘口貞夫,加藤忠明,土井正子著,平山宗宏監修:母子健康・ 4 栄養ハンドブック, 193,医歯薬出版,(2000) ) 厚生省保健医療局保健増進栄養科監修:国民栄養の現状 平成 年国民栄養調査成績, 5 5 71,第一出版(1995) - −166−