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494 金融商品一体課税に伴う外貨建MMFに関する対策について

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494 金融商品一体課税に伴う外貨建MMFに関する対策について
平成 27 年 4 月 6 日
No.494
金融商品一体課税に伴う外貨建 MMF に関する対策について
平成 28 年より金融商品一体課税が開始されますが、この改正により影響を受けると考えられるなかに、外貨建 MMF の譲渡
による損益があります。平成 27 年中に対策をしておかなければならない事項となりますので、まだ十分に時間があるうちに検
討して下さい。
(1)金融商品一体課税とは
平成 25 年度の税制改正により、金融所得課税の一体化を進める観点から、平成 28 年 1 月 1 日以降、公社債等に対する課税
方式を上場株式等と同様に、源泉分離課税から申告分離課税に変更し、その上で損益通算できる範囲を公社債等にまで拡大するこ
ととされました。
その際、これまで非課税とされていた譲渡による所得に対しても課税の対象とされました。まとめますと下記表のとおりとなり
ます。
<特定公社債と一般公社債の課税方式>
改正前
利子
源泉分離課税
20.315%
譲渡
非課税(*1)
償還・一部解約
総合課税
改正後
特定公社債等
一般公社債等
申告分離課税
20.315%
(申告不要可)
源泉分離課税(*2)
20.315%
申告分離課税
20.315%
申告分離課税(*2)
20.315%
(*1)ゼロクーポン債、ストリップス債、デファートペイメント債等一定の債権の譲渡は譲渡所得等として総合課税の対象とな
ります。
(*2)同族会社が発行した社債(特定公社債に該当するものを除く)の利子等で、その役員等が支払を受けるものは、総合課税
の対象になります。
(2)外貨建 MMF への影響について
外貨建 MMF については、現行税制では差益・差損部分については、これらの差益部分は「非課税」
・差損部分は「なかったも
のとする」とされていますが、平成 28 年以降はこれらの損益を認識することとなり、差益部分については課税され、損失部分に
ついては損益通算が可能となります。
そこで、検討しないといけない事項として平成 27 年中に損益を確定させる方が良いのかどうかということですが、どちらが良
いかは利益が生じる場合と、損失が生じる場合で異なることとなりますので、ご説明させて頂きます。
①利益が生じる場合
1 ドル 85 円のときに外貨建 MMF を 100 万口(1 口=0.01 ドル)購入し 1 ドル 120 円のときにすべて譲渡した場合
この場合の利益は、
(120 円/ドル-85 円/ドル)×100 万口×0.01=35 万円となります。
この 35 万円については、平成 27 年中であれば非課税となりますが、平成 28 年以降は所得として課税されますので、35 万
円×20.315%=71,102 円の税負担が生じます。
つまり、このようなケースでは平成 27 年中に譲渡しておく方が良いということとなります。
②損失が生じる場合
1 ドル 135 円のときに外貨建 MMF を 100 万口購入し 1 ドル 120 円のときにすべて譲渡した場合
この場合の損失は、
(120 円/ドル-135 円/ドル)×100 万口×0.01=▲15 万円となります。
この 15 万円については、平成 27 年中に譲渡した場合はなかったものとされるのに対し、平成 28 年以降は損益通算が可能と
なるため、このようなケースでは平成 28 年以降に譲渡して他の所得と損益通算することができれば、税務上有利となります。
つまり、このようなケースでは平成 28 年以降に譲渡した方が良いということになります。
(3)まとめ
金融商品一体課税に関する改正は、平成 25 年度の税制改正事項となっており平成 28 年から適用されることがあまり認識され
ていない状況ですが、ここ数年の円安により外貨建 MMF に多額の為替差益が生じているケースが考えられますので、そのような
方は平成 27 年中に一度譲渡することを検討してみてはいかがでしょうか。
(担当:田中 正洋)
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