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TMI 中国最新法令情報 ―(2014 年 1 月号)

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TMI 中国最新法令情報 ―(2014 年 1 月号)
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TMI 中国最新法令情報
―(2014 年 1 月号)―
TMI 総合法律事務所
〒106-6123 東京都港区六本木 6-10-1
六本木ヒルズ森タワー23 階
TEL: +81-(0)3-6438-5511
E-mail: [email protected]
〒200031 上海市徐匯区淮海中路 1045 号
淮海国際広場 2606 室
TEL: +86-(0)21-5465-2233
〒100020 北京市朝陽区朝外大街乙 12 号
昆泰国際大厦 2412A 室
TEL:+86-(0)10-5925-1200
皆様には、日頃より弊事務所へのご厚情を賜り誠にありがとうございます。
お客様の中国ビジネスのご参考までに、「TMI 中国最新法令情報」をお届けします。記事
の内容やテーマについてご要望やご質問がございましたら、ご遠慮なく弊事務所へご連絡下
さい。バックナンバーについては、弊事務所のウェブサイトに掲載させていただきますので、
併せてご利用下さい。(http://www.tmi.gr.jp/global/legal_info/china/index.html)
目次
一.中国最新法令
1. 中央法規
(1) 国務院による「中国(上海)自由貿易試験区における関係行政法規及び国務院規定が
定める行政許認可又は参入特別管理措置の暫定的調整」に関する決定
(2) 中華人民共和国会社法(2013 年改正)
(3) 財政部、国家税務総局による越境電子商取引による小売輸出税収政策に関する通知
(4) 暗号製品及び暗号化技術を含む設備の輸入管理目録
2. 司法解釈
(1) 最高人民法院による食品薬品紛争事件の法律適用の若干問題に関する規定
二.連載
(第 6 回
中国企業法実務/第五弾:各種実務
個人情報保護)
三.中国法務の現場より
中国の年末テレビ事情
1
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一.中国最新法令(2013 年 12 月中旬~2014 年 1 月中旬公布分)
1.中央法規
(1) 国務院による「中国(上海)自由貿易試験区における関係行政法規及び国務院規定が
定める行政許認可又は参入特別管理措置の暫定的調整」に関する決定 1
国務院
2013 年 12 月 21 日公布
同日施行
① 背景
国内外各方面から注目を集める中国(上海)自由貿易試験区(以下「上海自由貿易区」
という。)2について、昨年 9 月 26 日の上海自由貿易区発足以来、中央政府及び上海市地
方政府により続々と各種の関連法令が公布・施行され、自由貿易区ならではの優遇政策、
優遇措置等も徐々に明らかになり、上海自由貿易区法制度の構築と整備が着々と進んで
いる。昨年 12 月下旬に国務院より公布された本決定では、外国投資に対する審査認可又
は参入特別管理措置の暫定的調整について定められている。
② 主な内容
「中外合弁企業法実施条例」4、
「中外合作経営
本決定では、
「外資企業法実施細則」3、
企業法実施細則」 5、「外商投資の方向を指導する規定」 6、「外国企業又は個人による中
国国内におけるパートナーシップ企業の設立に関する管理規則」 7、「中外合弁企業の合
「中外合弁企業の各当事者の出資に関する若干の規定」9及
弁期間に関する暫定規定」8、
びその補充規定 10、「国務院による投資体制改革の決定」11並びに「外資利用業務のさら
なる遂行に関する若干の意見」 12が定める行政許認可の制度及び関連条文を暫定的に調
整することを定めている。主な調整方法としては、ネガティブリスト以外の領域につい
て行政による許認可の実施を暫定的に停止し、届出制による管理に切り替えることが定
められている。
「国際海運条例」
また、本決定では、サービス業の開放のために、
「船舶登記条例」13、
14
、「信用情報収集業管理条例」 15、「営業型公演管理条例」 16、「娯楽場所管理条例」 17、
1
《国务院关于在中国(上海)自由贸易试验区内暂时调整有关行政法规和国务院文件规定的行政审批或者准入
特别管理措施的决定》(国发[2013]51 号)
2
本誌では、昨年 8 月号、9 月号及び 11 月号の「中国法務の現場より」欄で取り上げ、同自由貿易区の構想、
始動時及び開設 2 ヵ月後の状況並びにその基本制度を紹介した。
3
《中华人民共和国外资企业法实施细则》(国务院令[第 301 号])
4
《中华人民共和国中外合资经营企业法实施条例》(国务院令第 311 号)
5
《中华人民共和国中外合作经营企业法实施细则》(外贸部令[1995 第 6 号])
6
《指导外商投资方向规定》(国务院令第 346 号)
7
《外国企业或者个人在中国境内设立合伙企业管理办法》(国务院令第 567 号)
8
《中外合资经营企业合营期限暂行规定》([1990]外经贸法字第 56 号)
9
《中外合资经营企业合营各方出资的若干规定》
10
《<中外合资经营企业合营各方出资的若干规定>的补充规定》(对外经合部、国家工商行政管理局令 2 号)
11
《国务院关于投资体制改革的决定》(国发[2004]20 号)
12
《国务院关于进一步做好利用外资工作的若干意见》(国发[2010]9 号)
13
《中华人民共和国船舶登记条例》(国务院令[第 155 号])
14
《中华人民共和国国际海运条例》(国务院令第 335 号)
15
《征信业管理条例》(国务院令第 631 号)
16
《营业性演出管理条例》(国务院令第 528 号)
17
《娱乐场所管理条例》(国务院令第 458 号)
2
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「中外合作学校経営条例」 18、「外商投資電信企業管理規定」 19及び「文化部等の部門に
よるゲームセンター経営場所の管理監督意見に関する通知」 20が定める行政許認可及び
資質に関する要求、持分比率及び経営範囲の制限に関する参入特別管理措置を暫定的に
調整することを定めている。主な調整方法としては、関連措置の実施を停止し、新たな
管理制度を制定することが定められている。
なお、上記各法令のどの条文をどのように調整するかについては、本決定の付属文書21
にて詳しく定められている。
(2) 中華人民共和国会社法(2013 年改正)22
全国人民代表大会常務委員会
2013 年 12 月 28 日公布
2014 年 3 月 1 日施行
① 背景
昨年末、
「全国人民代表大会常務委員会による『中華人民共和国海洋環境法』等七つの
法律の改定に関する決定」が公布された。同決定には、
「中華人民共和国海洋環境保護法」、
「中華人民共和国薬品管理法」、
「中華人民共和国計量法」、
「中華人民共和国漁業法」、
「中
華人民共和国税関法」及び「中華人民共和国タバコ専売法」の一部内容の改正が含まれ
るほか、「中華人民共和国会社法」についても重要な改正がなされた。
中国の会社法は、1993 年の公布後、1999 年、2004 年及び 2005 年の改正を経ており、
4 回目となる今回の改正では、会社設立時の最低登録資本金及び出資金払込期限の制限
を撤廃すること、払込資本金は会社の登記事項としないこと、会社設立時の出資金検査
報告書の提出を撤廃することなど、中国会社法における政府主導の会社管理体制から市
場原理に基づいた優勝劣敗による調整へとシフトしていく動きが見受けられる。
今回の改正は、中国における会社登記管理の制度に非常に大きな影響をもたらし、短
期的には会社登記管理制度の関連法規の改正を促すものであると思われ、長期的には外
資関連法規の改正及び外資規制の撤廃にも繋がる前兆とも言えるものであろう。
② 主な内容
現時点では、改正後の会社法が公布されていないため、今回の改正に係わる条文の変
更点について、改正前と比較しながら以下のとおり解説する。
改正前
改正後
第 7 条(営業許可証)
第 7 条(営業許可証)
(第 2 項)
(第 2 項)
会社営業許可証には、会
解説
改正後の第 7 条第 2 項
では、「実際に払い込ま
会社営業許可証には、会
れた資本」が削除され、
社の名称、住所、登録資本、 社の名称、住所、登録資本、 今後、「実際に払い込ま
実際に払い込まれた資本、
経営範囲、法定代表者の氏
れた資本」は、会社の登
経営範囲、法定代表者の氏
名等の事項を記載しなけれ
記事項とはされない。
名等の事項を記載しなけれ
ばならない。
ばならない。
18
《中华人民共和国中外合作办学条例》(国务院令第 372 号)
《外商投资电信企业管理规定》(国务院令第 372 号)
20
《国务院办公厅转发文化部等部门关于开展电子游戏经营场所专项治理意见的通知》(国办发[2000]44 号)
21
中国政府オフィシャルサイト (http://www.gov.cn/zwgk/2014-01/06/content_2560455.htm)参照
22
会社法の改正は、
《全国人大常委会关于修改《中华人民共和国海洋环境保护法》等七部法律的决定》(2013)
(主席令第 8 号)に含まれている。
19
3
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第 23 条(設立条件)
第 23 条(設立条件)
有限会社の場合は、最
有限責任会社を設立する
有限責任会社を設立する
低登録資本金の概念を
場合、下記の条件に合致し
場合、下記の条件に合致し
撤廃し、資本金に関して
なければならない。
なければならない。
は会社の定款に従う。
・・・
・・・
(2) 株 主 の 出 資 額 が 法 定
(2) 会 社 の 定 款 の 定 め に 適
資本の最低限度額に達して
合する、全株主が引き受け
いること
た出資額が存在すること
第 26 条(登録資本金最低限
第 26 条(登録資本金最低限
度額)
度額)
有限会社における初
回出資額、2 年以内全額
有限責任会社の登録資本
有限責任会社の登録資本
払込、投資会社の 5 年以
金は、会社登記機関に登記
金は、会社登記機関に登記
内全額払込及び登録資
した全株主の引き受けた出
した全株主の引き受けた出
本の最低限度額に関す
資額とする。会社の全株主
資額とする。
る規定が削除された。
の初回出資額は、登録資本
法律、行政法規及び国務
但し、特殊業界(金融
の 20 % を 下 回 っ て は な ら
院決定に有限責任会社の登
業等)における最低資本
ず、また法に定める登録資
録資本の実際の払込、登録
金に関する規定は依然
本最低限度額を下回っては
資本の最低限度額について
として有効である。
ならないものとし、その残
別途規定がある場合は、そ
りの部分は株主が会社成立
の規定に従う。
日から 2 年以内に全額払い
込まなければならない。投
資会社は 5 年以内に全額を
払い込めばよい。
有限責任会社の登録資本
の最低限度額は、3 万人民
元とする。法律、行政法規
に有限責任会社の登録資本
の最低限度額についてより
高い規定がある場合は、そ
の規定に従う。
第 27 条(出資)
第 27 条(出資)
(第 3 項)
(第 3 項)
本金の 30%以上とする
(削除)
規定が削除され、これに
全株主の通貨出資金額は
貨幣による出資を資
有限責任会社の登録資本の
より、現物、技術等の非
100 分の 30 を下回ってはな
貨幣による 100%出資が
らない。
可能となる。
第 29 条(出資検査)
株主は、出資を払い込ん
第 29 条(出資検査)
(削除)
会社設立時の会計士
事務所による出資検査
だ後、法により設立された
が不要となり、会社設立
出資検査機構による出資検
費用の削減に繋がる。
4
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査を受け、かつ出資検査証
明書の交付を受けなければ
ならない。
第 30 条(設立登記等)
第 29 条(設立登記等)
出資検査報告書の提
株主の初回の出資につい
株主は、会社定款が定め
て法により設立された出資
る出資額を全額引き受けた
検査機構による出資検査が
後、全株主の指定する代表
済んだ後、全株主の指定す
者又は共同で委託する代理
る代表者又は共同で委託す
人が、会社登記機関に会社
る代理人が、会社登記機関
登記申請書、会社定款等の
に会社登記申請書、会社定
書類を提出し、設立登記を
款、出資検査証明書等の書
申請する。
出が不要となる。第 29
条の削除に伴う修正。
類を提出し、設立登記を申
請する。
第 33 条(株主名簿)
第 32 条(株主名簿)
(第 3 項)
(第 3 項)
出資額は株主名簿に
記載する必要があるが、
会社は、株主の氏名又は
会社は、株主の氏名又は
名称及びその出資額を会社
名称を会社登記機関に登記
登記機関に登記しなければ
しなければならない。・・・
会社登記機関への登記
は不要となる。
ならない。・・・
第 59 条(登録資本最低限度
第 58 条(登録資本最低限度
額等)
額等)
最低資本金に関する制
(第 1 項)
(第 1 項)
限が削除され、これによ
(削除)
り今後出資者 1 名の一人
一人有限責任会社の登録
一人有限責任会社の
資本最低限度額は 10 万人民
有限責任会社がより容
元とする。株主は、会社定
易に設立できることに
款に定める出資額を一括で
なる。
払い込まなければならな
い。
第 77 条(設立条件)
第 76 条(設立条件)
株式会社の資本金最
株式会社を設立する場
株式会社を設立する場
低限度額に関する規定
合、次に掲げる条件に合致
合、次に掲げる条件に合致
が撤廃されることに伴
しなければならない。
しなければならない。
い、株式会社の設立条件
・・・
・・・
についても修正された。
(2) 発起人が引受及び募集
(2) 会社定款の定めに適合
した資本が法定資本の最低
する、全発起人が引き受け
限度額に達していること
た資本総額又は募集した実
収資本総額が存在すること
第 81 条(登録資本金)
第 80 条(登録資本金)
(第 1 項)
(第 1 項)
発起設立方式により株式
株式会社の初回出資
額 2 年以内全額払込、投
発起設立方式により株式
5
資会社の 5 年以内全額払
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会社を設立する場合、その
会社を設立する場合、その
込及び登録資本金の最
登録資本金は会社登記機関
登録資本金は会社登記機関
低限度額に関する規定
に登記する全発起人が引き
に登記する全発起人が引き
が削除された。
受けた資本総額とする。会
受けた資本総額とする。発
社の全発起人の初回出資額
起人が全額を払い込むま
は登録資本の 20%を下回っ
で、第三者に対して株式を
てはならず、その残りの部
募集してはならない。
分は発起人が会社成立日よ
(第 3 項)
り 2 年以内に全額払い込む。
法律、行政法規及び国務
このうち、投資会社は 5 年
院決定に株式会社の登録資
以内に全額を払い込めばよ
本の実際の払込、最低限度
い。全額を払い込むまで、
額について別途規定がある
第三者に対して株式を募集
場合は、その規定に従う。
してはならない。
(第 3 項)
株式会社の登録資本の最
低限度額は 500 万人民元と
する。法律、行政法規に株
式会社の登録資本の最低限
度額についてより高い規定
がある場合は、その規定に
従う。
第 84 条(発起設立)
第 83 条(発起設立)
(第 1 項)
(第 1 項)
発起設立による株式
会社設立時の一定割合
発起設立の方式により株
発起設立の方式により株
の初回出資、出資検査報
式会社を設立する場合、発
式会社を設立する場合、発
告書が撤廃されたこと
起人は会社定款に定められ
起人は会社定款に定められ
に伴い、本条が修正され
ている自己の引受株式を書
ている自己の引受株式を書
た。
面により全額引き受けなけ
面により全額引き受けなけ
ればならない。一括納付す
ればならず、かつ会社定款
る場合は、速やかに出資額
の定めに従い出資額を払い
を全額払い込まなければな
込まなければならない。非
らない。分割納付する場合
通貨財産をもって出資する
は、速やかに初回出資額を
ときは、法によりその財産
払い込まなければならな
権の移転手続を行わなけれ
い。非通貨財産をもって出
ばならない。
資するときは、法によりそ
(第 3 項)
の財産権の移転手続を行わ
発起人が会社定款に定め
なければならない。
られている出資を全額引き
(第 3 項)
受けた後、董事会及び監事
発起人が初回出資を払い
会を選出しなければなら
6
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込んだ後、董事会及び監事
ず、董事会が会社登記機関
会を選出しなければなら
に会社定款及び法律、行政
ず、董事会が会社登記機関
法規に定めるその他の文書
に会社定款、法により設立
を提出し、設立登記を申請
された出資検査機構の発行
するものとする。
した出資検査証明書及び法
律、行政法規に定めるその
他の文書を提出し、設立登
記を申請するものとする。
(3) 財政部、国家税務総局による越境電子商取引による小売輸出税収政策に関する通知23
財政部・国家税務総局
2013 年 12 月 30 日公布
2014 年 1 月 1 日施行
① 背景
本誌 2013 年 9 月号では、「越境電子商取引による小売輸出を支援する関連政策の実施
に関する意見」24(以下「意見」という。)を紹介しているが、財政部、国家税務総局に
より公布された本通知は、上記意見で定義されている越境電子商取引による小売輸出 25
の税収政策について定めている。
② 主な内容
通知では、電子商取引輸出企業の輸出貨物(財政部、国家税務総局が明確に輸出税還
付(免除)又は免税をしない貨物を除く。以下同様。)について、以下の条件を全て満た
す場合に、増値税、消費税の還付(免除)政策を適用すると定められている。
ア
電子商取引輸出企業が増値税の一般納税者であり、かつ管轄の税務機関に輸出税
還付(免除)資格の認定を申請していること
イ
輸出貨物について税関輸出貨物の通関書類(輸出税還付専用)を取得しており、
かつ税関輸出貨物通関書類の電子記録と一致すること
ウ
輸出貨物について、税金還付(免除)の申請締切日までに外貨を受け取ること
エ
電子商取引輸出企業が外国貿易企業である場合、輸出入貨物の購入について、相
応する増値税専用発票、消費税専用納付書(分割書類)又は税関輸入増値税、消費
税専用納付書を取得し、かつ上記証憑の関連内容が輸出貨物の通関書類(輸出税還
付専用)の関連内容と一致すること
また、通知では、上記規定を満たさない電子商取引輸出企業の輸出貨物について、以
下の条件を全て満たす場合に、増値税、消費税の免除政策を適用すると定めている。
ア
電子商取引輸出企業が税務登記を行っていること
イ
輸出貨物について、税関が発行する通関書類を取得していること
ウ
購入した輸出貨物について、合法かつ有効な購入証憑を取得していること
23
《财政部、国家税务总局关于跨境电子商务零售出口税收政策的通知》(财税[2013]96 号)
《关于实施支持跨境电子商务零售出口有关政策的意见》(国务院办公厅第 89 号)
25
具体的には、中国の輸出企業がインターネットを通じて海外へ商品を小売りし、郵便、クーリエ等の方
法で商品を配送する経営行為(即ち、越境電子商取引における企業対消費者の輸出行為)と定義されてい
る。
24
7
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(4) 暗号製品及び暗号化技術を含む設備の輸入管理目録26
税関総署・国家暗号管理局
2013 年 12 月 31 日公布
2014 年 1 月 1 日施行
① 背景
1999 年に国務院により公布された「商用暗号管理条例」27第 13 条によれば、暗号化製
品及び暗号化技術を含む設備の輸入又は商用暗号化製品の輸出は、国家暗号管理機構の
許可を得なければならず、いかなる単位又は個人も外国の暗号化製品を販売してはなら
ないとされている。同条例公布から 10 年後の 2009 年に、税関総署及び国家暗号管理局
は「暗号化製品及び暗号化技術を含む設備の輸入管理目録(第一回)」28を公布し、管理
目録に列挙されている全ての商品について、
「 暗号製品及び暗号技術を含む設備の輸入許
可証」の制度を開始した。昨年末の税関総署及び国家暗号管理局による最新の輸入管理
目録の公布に伴い、2009 年に公布された旧目録は廃止されることとなった。
② 主な内容
今回の新しい管理目録は、以下のとおりである。旧目録からは、9 番の商品名称が変
更されている。管理目録に列挙されている商品については、
「暗号製品及び暗号技術を含
む設備の輸入許可証」の取得が必要とされている。
番号
税関商品番号
商品名称
計量単位
1
8443311010
静電感光式マルチ一体型暗号化ファックス機
台
(自動データ処理設備又はネットワークに接続
可能)
2
8443319020
その他マルチ一体型暗号化ファックス機(印刷、
台
コピーのうち一つ又はそれ以上の機能を有する
機器)
3
8443329010
その他暗号化ファックス機(自動データ処理設
台
備又はネットワークに接続可能)
4
8517110010
ワイヤレス暗号化電話機
台
5
8517180010
その他暗号化電話機
台
6
8517622910
光通信暗号化ルーター
台
7
8517623210
非光通信暗号化イーサネット交換機
台
8
8517623610
非光通信暗号化ルーター
台
9
8543709950
暗号機、暗号カード(デジタルテレビのスマー
台
トカード、Bluetooth モジュール及び知的財産権
保護用の暗号キー設備を含まない。)
2.司法解釈
(1) 最高人民法院による食品薬品紛争事件の法律適用の若干問題に関する規定29
最高人民法院
2013 年 12 月 23 日公布
2014 年 3 月 15 日施行
26
《密码产品和含有密码技术的设备进口管理目录》(国家密码管理局、海关总署公告第 27 号)
《商用密码管理条例》(国务院令[第 273 号])
28
《国家密码管理局、海关总署公告第 18 号--第一批<密码产品和含有密码技术的设备进口管理目录>》
(国
家密码管理局、海关总署公告第 18 号)
29
《最高人民法院关于审理食品药品纠纷案件适用法律若干问题的规定》(法释[2013]28 号)
27
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① 背景
近年、国内消費市場の拡大に伴い、中国国内では、食品・薬品の安全性問題及びこれ
らを巡る紛争が頻発しており、また、食品・薬品の委託加工、越境貿易の発達に伴い、
海外市場にまで悪影響を及ぼす事件(中国製冷凍ギョーザ事件 30等)も発生している。
中国国内だけで、2010 年から 2012 年までの間に、全国の法院が受理した食品・薬品関
係の民事紛争事件は 13,216 件に上り、消費者権益保護事件の全体の 6%を占め 31、受理
件数は年々上昇する傾向が見られている。
食品・薬品の安全性問題及びこれらを巡る紛争は、消費者の人身及び財産の安全に甚
大な被害をもたらすだけではなく、行政責任、刑事責任及び民事責任を同時に誘発する
可能性が高く、各地の人民法院は、同種事件の審理において、契約法、権利侵害責任法、
消費者権益保護法、食品安全保護法等の関連性を考慮しなければならず、手続法及び実
体法上の複雑な問題に日々直面している。このため、最高人民法院が公布した本規定は、
人民法院による食品・薬品関連紛争の処理において重要な役割を果たし、中国における
食品・薬品の安全性問題の解決のために依拠できる重要な法的根拠になると、各方面か
らの期待が高まっている。
② 主な内容
ア
偽物であると知っていながら購入した場合の消費者権利
「中華人民共和国食品安全法」32第 96 条第 2 項によれば、食品安全基準に合致しな
い食品を生産し、又は食品安全基準に合致しない食品であることを知りながら販売し
た場合には、消費者は、損害の賠償を請求するほか、製造者又は販売者に代金の 10
倍の賠償金の支払を請求することができるとされている。同条項に関連して、本規定
第 3 条は、食品・薬品の品質問題により発生した紛争について、購入者が製造者、販
売者に対して権利を主張し、製造者、販売者が、消費者は食品・薬品に品質問題があ
ると知っていながらも購入したと抗弁した場合、人民法院は当該抗弁を支持しないと
定めている。
同条の規定によれば、
「知っていながらの偽物購入」は、消費者権利行使の妨げには
ならず、消費者は、食品安全法第 96 条第 2 項に定める懲罰的賠償責任を主張すること
ができるということになる。
イ
消費者の人身的権益の侵害は懲罰的賠償責任の前提ではないこと
「食品安全法」第 96 条の懲罰的賠償責任について、実務上、消費者の人身的権益が
侵害されたことを前提としなければならないという見解が存在するが、この点につい
て本規定第 15 条は、安全基準に適合しない食品を製造し、又は安全基準に適合しない
食品であると知っていながら販売し、消費者が損害の賠償を請求する以外に、製造者、
販売者に対し代金の 10 倍の賠償金の支払を請求し、又は法律が定めるその他の賠償基
準に従って賠償を請求する場合に、人民法院はこれらの請求を支持すると定めている。
同規定から、消費者の人身的権益の侵害は、懲罰的賠償請求の前提ではないことが
30
中国製冷凍ギョーザ事件:2007 年 12 月から 2008 年 1 月にかけ、天洋食品の冷凍ギョーザを食べた千葉、
兵庫両県の計 10 人が下痢等の中毒症状を訴えた。ギョーザから殺虫剤メタミドホスが検出され、2010 年 4
月、中国当局が天洋食品元臨時工員を危険物質投与の疑いで逮捕、同 8 月に起訴した。2014 年 1 月 20 日、
第一審は、被告に対して無期懲役の実刑判決を言い渡した。
31
中国法院網( http://www.live.chinacourt.org/chat/detail/2014/01/id/174988.shtml)
32
《中华人民共和国食品安全法》(主席令第 9 号)
9
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明らかになった。
ウ
景品の品質及び安全性について
販売促進の手段として良く使われている景品の品質についても販売者側が責任を負
うべきか否かについては、これまで見解が分かれていた。この点について、本規定第
4 条では、食品・薬品の製造者、販売者が消費者に提供する食品又は薬品の景品に品
質上の安全性問題が発生したことにより、損害が発生し、消費者が権利を主張し、製
造者、販売者が、消費者が景品の対価を支払っていないことを抗弁の理由とする場合
に、人民法院は当該抗弁を支持しないと定めている。
同規定によれば、景品であっても品質上の安全性を確保しなければならない。
エ
インターネット取引プラットフォーム提供者の責任
本規定第 9 条第 1 項では、消費者がインターネット取引プラットフォームを通じて
食品・薬品を購入し、損害を被った場合、インターネット取引プラットフォームの提
供者が食品・薬品の製造者又は販売者の正式名称(実名)、住所及び有効な連絡先を提
供できず、消費者が当該提供者に責任の負担を要求するとき、人民法院はこれを支持
すると定めている。
オ
民事賠償優先の原則
「①背景」でも説明したとおり、食品・薬品関連の紛争では、行政責任、刑事責任
及び民事責任を同時に誘発する可能性がある。この点について本規定第 14 条によれば、
製造又は販売した食品・薬品に品質問題があり、製造者及び販売者が共に民事責任、
行政責任及び刑事責任を負担し、それらの財産が不足している場合に、当事者が権利
侵害責任法等の法規定に従い、食品・薬品の製造者、販売者に民事責任を先に負担す
るよう要求したとき、人民法院はこれを支持するとされている。同規定からは、行政
責任、刑事責任及び民事責任が同時に存在する場合には、消費者の権益を優先的に保
護する意図が窺える。
カ
その他
上記「ア」から「オ」までの内容以外に、本規定には、偽物食品・薬品の広告経営
者等の法的責任(第 11 条)、食品認証機構が虚偽の認証を発行した場合の連帯責任(第
13 条)、食品・薬品販売時の約款の有効性(第 16 条)等についても、消費者保護法の
改正に合わせて幅広く規定されている。
(彭涛、莊凌云・中国弁護士)
10
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二.連載 中国企業法実務
第五弾:各種実務(第 6 回/全 6 回)
第1回
2013 年 8 月号
独占禁止法①(企業結合)
第2回
2013 年 9 月号
独占禁止法②(カルテルとリニエンシー)
第3回
2013 年 10 月号
価格法
第4回
2013 年 11 月号
商業賄賂
第5回
2013 年 12 月号
フランチャイズ
第6回
2014 年 1 月号
個人情報保護
第6回
個人情報保護
1.個人情報保護法の概要
(1) 歴史的背景
伝統的通信手段(郵便、電話、電報、ファクシミリ等)が主流であった時代において、
個人情報を扱う主体は、各国国内の公的機関又は公的事業を営む一部の限られた国営・
民間の企業・組織(電気・ガス・水道会社、医療機関、教育機関等)に限られていた。
しかし、1970 年代以降、コンピュータ技術、大容量ストレージ技術、インターネット関
連技術、通信技術が発達し、特に 1990 年代に入ってからは、これらの技術革新をベース
に開発、展開された IT サービスが劇的な進化を遂げ、一般大衆、民間企業は、これまで
より容易に個人情報にアクセスでき、従来の公的機関、公的事業を営む企業・組織に加
わって個人情報を取扱う新たな主体になった。
(2) 各国の立法
欧米諸国では、1970 年代から、上記(1)の技術革新による個人情報処理の保護を目的
とする国内法の整備に取り組み、1980 年に経済協力開発機構(OECD) 33は、個人情報
取扱の原則(以下「OECD8 原則」 34)を定めた。OECD8 原則は、その後各国が制定す
33
OECD(www.oecd.org)はパリに本部を置き、日本、EU 諸国、米国を中心とする 30 ヶ国の加盟国から構
成されている。同機構は、各国が主要な経済・社会政策に焦点を当てるための共通の基準を作成・提供して
いる。1980 年に、同機構は、プライバシー及びその他の関連の問題に関する討議の中で個人情報保護のガ
イドラインを発表した。
34
OECD8 原則は以下のとおりである。
① 収集制限の原則:いかなる個人データも、適法かつ公正な手段によって、かつ適当な場合には、本人に
知らしめ又は同意を得た上で、収集されるべきである。
② データ内容の原則:個人データは、その利用目的に沿ったものであるべきであり、かつ利用目的に必要
な範囲内で正確、完全、最新なものに保たれなければならない。
③ 目的明確化の原則:個人データの収集目的は、収集時までに明確化しなければならず、その後のデータ
の利用は、当該収集目的の達成、又は、当該収集目的に矛盾しないで目的の変更毎に明確化された他の目的
の達成に限定されるべきである。
④ 利用制限の原則:個人データは、③により明確化された目的以外の目的のために開示利用その他の使用
に供されるべきではないが、
(a)本人の同意がある場合、又は、
(b)法律の規定による場合は、この限りで
ない。
⑤ 安全保護の原則:個人データは、その紛失又は不当なアクセス、破壊、使用、修正、開示等の危険に対
11
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るプライバシー権や個人情報保護を目的とする法規定の基本的な考え方になった。
OECD8 原則に基づき欧州委員会(EC)が提案した「データ保護指令」 35は 1995 年に公
布され、EU 版の個人情報保護法として広く認知されている。米国では、包括的な個人
情報保護法は存在しないが、部門ごとに個人情報を保護する業界法以外に、2001 年に
OECD8 原則に基づき「セーフ・ハーバー原則」36が確立している。日本の「個人情報の
保護に関する法律」は、2003 年に公布された時点では、国及び地方公共団体の責務を定
める一部の内容を先行して施行開始し、2005 年 4 月 1 日からは個人情報取扱事業者の義
務を含む全面施行が始まった。
(3) 中国における個人情報保護の現状
近年、中国では、個人情報が営業目的のテレマーケティング、携帯メールアドレスへ
の宣伝広告の配信、固定・携帯電話に係る勧誘電話や詐欺等の犯罪まで日常的に行われ、
知らない間に個人の氏名、電話、住所、勤務先等の個人情報が漏れてしまうことに対す
る不安が非常に高まっている。一般市民が個人情報の漏洩を警戒して情報提供自体を拒
む(又は虚偽の情報を提供する)事態も発生しており、個人情報の悪用が正常な経済活
動の支障になっている。中国社会科学研究院法学研究所は、国務院関連部門の委託を受
け、2003 年から 2 年間にかけて、延べ 8 万字にわたる「中華人民共和国個人情報保護法
(専門家意見版)及び立法研究報告書」を作成した。しかし、同報告書が完成して 8 年
以上経過した今日でも、特定の業界を除けば、包括的な法人情報保護法は未だ制定され
ていない。
このような中国の個人情報保護制度の現状は、包括的な個人情報保護法がない点では、
米国のスタイルに一番近いように見えるが、米国のようにセーフ・ハーバー原則、プラ
イバシー認証を行う民間団体(TRUSTe 等)の存在が確立されているわけではなく、各
国の個人情報保護制度と比較すると、中国は個人情報保護立法の後進国であると言える。
以下では、2 において、中国の個人情報保護立法の現状を概観し、現時点までの重要法
令を紹介した上で、3 において、企業法務における個人情報保護の主な留意点を中国法
の観点から簡単に分析する。
し、合理的な安全保護措置により保護されなければならない。
⑥ 公開の原則:個人データに係わる開発、運用及び政策については、一般的な公開の政策が取られなけれ
ばならない。個人データの存在、性質及びその主要な利用目的とともにデータ管理者の識別、通常の住所を
はっきりさせるための手段が容易に利用できなければならない。
⑦ 個人参加の原則:個人は、(a) データ管理者が自己に関するデータを有しているか否かについて、デー
タ管理者又はその他の者から確認を得る権利、(b) 自己に関するデータを、合理的な期間内に、もし必要な
ら、過度にならない費用で、合理的な方法で、かつ、自己に分かりやすい形で、自己に知らしめられる権利、
(c) 上記(a)及び(b)の要求が拒否された場合には、その理由を提示され、かつそのような拒否に対して異議
を申立てることができる権利、(d) 自己に関するデータに対して異議を申し立て、その異議が認められた場
合には、そのデータを消去、修正、完全化、補正させる権利を有する。
⑧ 責任の原則:データ管理者は上記の諸原則を実施するための措置に従う責任を有する。
35
「EU データ保護指令」(「Directive 95/46/EC on the protection of individuals with regard to the processing of
personal data and on the free movement of such data」)
36
「セーフ・ハーバー原則」
(「Safe Harbor Privacy Principles」)とは、EU 指令の水準の個人情報保護ができ
ていることを自己宣言し、これを登録するものである。認証等はないが、遵守できていないことが認めら
れた場合には、米国連邦取引委員会(FTC)により不公正取引として制裁が加えられる。
12
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2.中国における個人情報保護の法制度
(1) 憲法上の根拠
「中華人民共和国憲法」37第 38 条(人格尊厳)では、中国公民の人格の尊厳は、侵害
されず、いかなる方法によっても公民を侮辱、誹謗又は誣告し陥れることを禁止すると
され、第 39 条(住居の不可侵)では、中国公民の住居は、犯されず、公民の住居を不法
に捜査すること又は不法に侵入することを禁止する旨を定め、また、第 40 条(通信の自
由)では、中国公民の通信の自由及び通信の秘密は、法律の保護を受け、国の安全又は
刑事犯罪捜査の必要により、公安機関又は検察機関が法律の定める手続に従って通信の
検査を行うときを除き、いかなる組織又は個人も、その理由を問わず、公民の通信の秘
密を侵してはならないと定めている。
憲法の上記条文は、中国公民の個人情報の保護を直接に定めるものではないが、プラ
イバシー権の保護を目的とするものであり、個人情報保護の憲法上の根拠であると思わ
れる。
(2) 民法上の保護
「中華人民共和国民法通則」 38第 101 条は、公民及び法人は名誉権を有し、公民の人
格の尊厳は法律の保護を受け、侮辱、誹謗等の手段で公民及び法人の名誉を損害するこ
とを禁止すると定めており、また「『中華人民共和国民法通則』の徹底実施に関わる若
干の問題に関する意見(試行)」 39第 140 条では、書面、口頭等の方法で、他人のプラ
イバシーを公開したり、事実を捏造して他人の人格を傷つけたり、侮辱、誹謗等の手段
で他人の名誉を傷つけることは、公民の名誉権を侵害する行為と認定されなければなら
ないとされている。
また、「権利侵害責任法」40第 2 条によれば、民事権益を侵害した場合、同法に従っ
て権利侵害責任を負わなければならず、同法にいう民事権益には、プライバシー権を含
む。
このように、個人情報は、民法上のプライバシー権(中国語では「隠私権」)として、
中国の民法関連の法規定によって一定レベルの保護を受けるが、プライバシー権の定義
に関する明文規定が存在しないため、民事法上のプライバシー権に基づく個人情報保護
の効果は限定的である。
(3) 刑法上の保護
従来の刑法には個人情報の保護に関する規定はなかったが、2009 年の第 7 回改正41に
おいて、個人情報を保護する第 253 条が追加された。同条では、国家機関又は金融、電
信、交通、教育、医療等の団体の職員が、国の規定に反し、職場における職責履行又は
サービス提供の過程において獲得した公民の個人情報を第三者へ売り出し、違法に提供
し、情状が重大な場合は、3 年以下の有期懲役又は拘留もしくは罰金を併科し、又は単
37
《中华人民共和国宪法》
《中华人民共和国民法通则》(主席令第 37 号)
39
《最高人民法院印发《关于贯彻执行<中华人民共和国民法通则>若干问题的意见(试行)》的通知》
(法(办)
发[1988]6 号)
40
《中华人民共和国侵权责任法》(主席令第 21 号)
41
《中华人民共和国刑法修正案(七)》(主席令第 10 号)
38
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科すると定めている。
刑法第 7 回改正における第 253 条の追加は、個人情報の保護について刑事責任を追及
する旨の明確な規定であり、同規定が個人情報を取扱う民間団体のみならず、公的機関
等の職員も同条規制の対象としている点は、多方面から肯定的評価を受けている。
(4) 行政法上の保護
中国の現行法体系では、個人情報の侵害行為に対して、民法上は、要件が不明確なが
らも一応の救済措置が用意されており、また、刑法上も一定の処罰規定が設けられてい
る。もっとも、民法上の救済措置の発動は訴訟という形を取らざるを得ず、個人の権利
保護のためにかかるコストが高い上、勝訴の前提となる証拠の取得も困難である。また、
刑法上の処罰は、個人情報の侵害行為に対する事後的処罰である点からすると、個人情
報の侵害を未然に防ぐ高い効果は期待できない。
一般的に、民法と刑法による保護に比べると、行政法上の個人情報の保護措置はより
有効的で、かつ侵害行為を事前に防止する役割があると考えられるが、中国における個
人情報の保護に関する行政法上の保護は、各種行政法規に散在しており体系化されてい
ないため、全体像がなかなか掴みにくい。そこで、個人情報の保護に関する行政法上の
重要規定を、目的、業界、規制対象という着眼点から以下のとおり整理した。
① 消費者権益保護の一環としての個人情報保護
2013年改正後の「消費者保護法」42では、消費者個人情報の保護について新たな規定が
取り入れられている。具体的には、経営者が、合法、正当、必要の原則に基づいて消費
者の個人情報を使用し、その情報収集の目的、方法及び範囲を明示した上で、消費者の
同意を経なければならないとされている(第29条第1項)。また、経営者及びその従業員
は、収集した消費者の個人情報を秘密として厳格に保持し、当該個人情報を漏洩、販売
し、又は違法に他人に提供してはならないとされている(同条第2項)。
② 電気通信・インターネットサービスの提供における個人情報保護
ア
「電信及びインターネットユーザー個人情報保護規定」43
2013 年 7 月 16 日に公布され、同年 9 月 1 日に施行された、工業情報化部による「電
信及びインターネットユーザー個人情報保護規定」は、中国国内において電信サービ
ス及びインターネット情報サービスを提供する際のインターネットユーザーの個人情
報の収集及び使用について定めるものである。同規定は、個人情報の侵害が極めて深
刻と言われる電信、インターネットサービスの分野において、
「ユーザー個人情報」44
の保護を最も詳細に定める法規定である 45。具体的には、電信業務経営者及びインタ
42
《中华人民共和国消费者权益保护法》(2013 修正)(主席令第 7 号)
《电信和互联网用户个人信息保护规定》(工业和信息化部令第 24 号)
44
「ユーザー個人情報」の定義について、同規定第4条では「電信業務経営者及びインターネット情報サ
ービス提供者がサービスを提供する過程において収集したユーザーの氏名、出生年月日、身分証明書の番
号、住所、電話番号、アカウント名、パスワード等、単独で又はその他の情報と結合することによってユ
ーザーを識別できる情報、及びユーザーがサービスを利用した時間、場所等の情報」と定めている。
45
なお、同規定よりも前には、工業情報化部による「インターネット情報サービス市場秩序の規範化に関
する若干の規定」《规范互联网信息服务市场秩序若干规定》(工业和信息化部令第 20 号)が 2012 年 3 月
15 日に施行され、全国人民代表大会による「ネットワーク情報保護の強化に関する決定」《全国人大常委
会关于加强网络信息保护的决定》が 2012 年 12 月 28 日に施行されているが、これらの規定・決定の内容は、
「電信及びインターネットユーザー個人情報保護規定」にほぼカバーされている。
43
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ーネット情報サービス提供者に対し、個人情報を収集する際に、個人情報収集・使用
規則を制定・公布する義務(第 8 条)、被収集者事前同意の原則及び情報収集・使用の
目的、方法、範囲等の告知等の義務(第 9 条)、取得した情報の秘密保持義務(第 10
条)、業務委託時の監督義務(第 11 条)、クレーム処理体制の構築義務(第 12 条)及
び安全保障措置の構築義務(第 13 条ないし第 16 条)を定めている。同規定に違反し
た場合の罰則として、電信管理機構は、違反行為の改善命令、警告を行うなどの措置
を取るほか、違反行為の種類に応じ、1 万元以下、又は 1 万元以上 3 万元以下の過料
に処することができ(第 22 条、第 23 条)、違反行為が犯罪行為に当たる場合、刑事責
任も追及される(第 24 条)旨の規定が設けられている。
イ
「インターネット安全保障技術措置規定」46
同規定第 4 条では、インターネットサービスの提供者、インターネットを使用する
単位は、相応しい管理制度を構築し、ユーザーの同意を経ずに、ユーザーの登録情報
を公開し、又は漏洩してはならず(第 1 項)、インターネット安全保障技術の措置を利
用してユーザーの通信自由及び通信秘密を侵害してはならない(第 2 項)とされてい
る。
③ 個人対象の金融サービスにおける個人情報保護
ア
「商業銀行法」 47
同法第 29 条(個人貯蓄預金に対する保護)によれば、商業銀行が個人貯蓄預金業務
を営む場合は、預金者の秘密保持の原則を遵守しなければならず(第 1 項)、法律に別
段の定めがある場合を除き、個人貯蓄預金についていかなる単位又は個人による調査
をも拒む権利を有する。
イ
「個人貯蓄貯金通帳実名制規定」48
同規定第 8 条によれば、金融機関及びその従業員は個人貯蓄預金通帳の状況につい
て秘密保持の義務を負い、いかなる単位又は個人に対しても、個人貯蓄預金の状況を
提供してはならず(第 1 項)、金融機関は、法律に別段の定めがある場合を除き、個人
貯蓄預金について、いかなる単位又は個人による調査をも拒む権利を有する(第 2 項)。
④ その他の個人情報の保護に関する法規定
企業法務との関連性が薄いものの、「女性権益保護法」49、「未成年保護法」 50、「母子
「医師法」52、
「弁護士法」53「医療機構カルテル管理規定」54、
「医療事故処
保護法」51、
理条例」55、「伝染病防止・治療法」56等の規定でも、個人情報の保護に関する条文が存
在している。また、「郵政法」 57、「旅券法」 58、「身分証明書法」 59では、国民の個人情
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
《互联网安全保护技术措施规定》(公安部令第 82 号)
《中华人民共和国商业银行法》(2003 修正)(主席令第 13 号)
《个人存款账户实名制规定》(国务院令[第 285 号])
《中华人民共和国妇女权益保障法》(2005 修正)(主席令第 40 号)
《中华人民共和国未成年人保护法》(2012 修正)(主席令第 65 号)
《中华人民共和国母婴保健法》(2009 修正)
《中华人民共和国执业医师法》(主席令第 5 号)
《中华人民共和国律师法》(2012 修正)(主席令第 64 号)
《医疗机构病历管理规定》(2013 年版)(国卫医发[2013]31 号)
《医疗事故处理条例》(国务院令第 351 号)
《中华人民共和国传染病防治法》(2013 修正)(主席令第 5 号)
《中华人民共和国邮政法》(主席令第 70 号)
15
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報を取り扱う公的機関及びその職員等に対して、秘密保持の義務を課している。
3.企業法務の現場における個人情報保護
企業法務の観点から中国の個人情報保護の制度を考察する場合、企業が個人情報を取扱
う主な場面としては、(1)企業が従業員の個人情報を扱う場合と、(2)企業が顧客の個人情
報を扱う場合の 2 つが挙げられる。この二つの場面におけるそれぞれの留意点について、
以下解説する。
(1) 従業員個人情報取扱時の留意点
「労働契約法」60第8条は、使用者は、労動契約に直接関連のある労働者の基本状況を
知る権利を有し、労働者は事実のとおりに説明しなければならないと定め、企業に対し
て、従業員との労動契約に直接関連のある個人情報を知る権利を付与している。企業が
知った従業員の個人情報の扱いについては、「就業及び就業管理規定」61第13条が、使用
者には労働者の個人情報を保護する義務があり、労働者から書面による授権を受けない
限り、労働者の個人情報を公開してはならないと定めている。
「就業及び就業管理規定」によれば、企業の採用活動又は人事管理の過程で知りえた
従業員の個人情報については、原則として公開又は漏洩してはならない。企業の人事・
労務管理業務の企業グループ内の情報共有、当該業務のアウトソーシング、官公庁へ従
業員管理状況の資料提出、外部機関・会計士事務所・法律事務所による監査等の実施で、
従業員個人情報の開示を受ける側が秘密保持の義務を負っている場合は、個人情報の開
示先が小範囲に留まり、かつ不特定多数に知られる可能性が低いため、「就業及び就業
管理規定」第 13 条に定める「公開」に該当すると解釈されてしまう可能性は低いと思わ
れる。また、実務上、これらのケースでは、従業員の事前の書面による同意を取得して
いるケースは少ない。
一方、新聞、雑誌、テレビジョン等のマスメディア又はインターネット等のオープン
ソースに対する従業員個人情報の提供は、これらの媒体の特性上、個人情報が「公開」
とされる可能性が高いため、事前に従業員から書面による同意を取得した方が安全であ
る。なお、同意を取得した従業員個人情報を公開する場合、民法上のプライバシー権に
対する保護、刑法上の個人情報に対する保護の原則に反しないように注意を払う必要が
ある。
(2) 顧客・ユーザー個人情報取扱時の留意点
包括的な個人情報保護法がない現段階において、企業から製品又はサービスの提供を
受ける顧客又はユーザーの個人情報の取扱については、まず、民法に保護されているプ
ライバシー権の侵害がないように注意する必要がある。また、顧客・ユーザーの個人情
報を取扱う際に、当該個人情報にアクセスできる従業員、責任者等に対して、刑法第 253
条の定める「第三者へ売り出し、違法に提供する」などの行為がないように、社内コン
プライアンスを徹底する必要がある。
58
59
60
61
《中华人民共和国护照法》(主席令第 50 号)
《中华人民共和国居民身份证法》(2011 修正)(主席令第 51 号)
《中华人民共和国劳动合同法》(主席令第 73 号)
《就业服务与就业管理规定》(劳动和社会保障部令第 28 号)
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また、中国で「消費者保護法」の適用を受ける製品又はサービスを提供する企業につ
いては、同法第 29 条の規定に従い、企業が、その顧客・ユーザーの個人情報を収集する
必要がある場合に、その情報収集の目的、方法及び範囲を顧客・ユーザーに明示し、か
つ顧客・ユーザーの同意(情報収集に関する同意書等)を得てから情報収集を行う必要
があり、同時に、企業内部では、上記方法によって収集した顧客・ユーザーの個人情報
に対する管理体制(社内個人情報管理の専門員、専門部署、専門委員会の設置等)を構
築し、必要な技術、措置(データ保存時の暗号化技術(パスワードや生態認証技術等)、
印刷物保管時の施錠等)を用いて当該個人情報の安全と第三者への漏洩を防ぐ努力をし
なければならない。
さらに、業種別に見てみると、商業銀行の貯蓄預金顧客の個人情報の保護に関しては、
「商業銀行法」及び「個人貯蓄貯金通帳実名制規定」の関連規定に従う必要がある。一
方、電気通信及びインターネットサービスの分野に限って言えば、
「包括的な」個人情報
保護法は既に制定されているため、かかる業界の企業は、
「電信及びインターネットユー
ザー個人情報保護規定」が定める義務の履行が求められる。なお、個人情報収集・使用
規則の制定・公布義務については、これまでにも、大手ポータブルサイト等の一部のイ
ンターネットサービス企業は、本規定公布の前から自主的に制定・公布していた。今後、
業界全体は「電信及びインターネットユーザー個人情報保護規定」の各規定を遵守しな
ければならず、関連分野に投資した企業にとって、同規定の定めに適合する社内体制の
整備は急務である。
当面の間、電気通信及びインターネットサービス以外の分野における個人情報保護に
関する業界内の「包括的な個人情報保護法」が存在しないため、民法、刑法、消費者保
護法は、顧客・ユーザーの個人情報を取扱う際に参照すべき主な法規定となる。
4.終わりに
このように、2009 年以降、刑法第 7 回改正、消費者保護法(2013 年改正)、そして特に
「電信及びインターネットユーザー個人情報保護規定」が公布・施行され、中国国内の個
人情報の濫用・悪用の改善に繋がると、多方面から期待が寄せられている。
業界を限定せずに、公的機関、民間事業者に対して包括的に適用する中国版個人情報保
護法が制定・施行されていない現段階において、近年公布・施行されたこれらの法規定及
びその今後の運用は、規制対象外の企業にとっても、中国市場で顧客・ユーザーの個人情
報を取扱う際に、参考価値の高い材料になると考えられる。
[応用編 - 越境データ移動の問題をめぐって]
通信技術及び大容量ストレージ技術の革新が、グローバルなクラウドサービスを通じた
国境を越えるデータの移動を可能にした。個人情報を含むデータの処理・保存は、徐々に
コストの低い国で行われるようになっている。その典型例としては、インドのコールセン
ターにいるインド人のオペレーターが、電話でアメリカにいるアメリカ人の顧客を対応す
るといった、コールセンターのアウトソーシングビジネスモデルが挙げられる。グローバ
ルに展開している企業においては、各国にいる顧客の個人情報をコストの低い特定の国に
移動させ、その国で集中処理するケースがよく見受けられる(例えば、アメリカ人、中国
人、日本人の氏名、性別、生年月日、住所、連絡先等の個人情報が全てインドのコールセ
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ンターのデータベースに保存されるなど。)。コールセンターのアウトソーシングのみなら
ず、グローバル企業グループ内の人事情報の越境移動も日常的に行われている。
「EU データ保護指令」は、個人情報保護の観点から、域内の国民の個人情報の漏洩を
危惧してデータ越境移動の自由を制限している法令として知られている。同指令によれ
ば、第三国が十分なレベルの保護を保証しない場合は EU 域外への個人情報の移転が禁止
される。米国は、2001 年に国内でセーフ・ハーバー原則を確立し、EU との間のデータ移
動の問題について政治的な決着をつけた。
現状、日本も中国も EU データ保護指令のように越境データ移動を扱う特別な法規定が
ないため、日本・中国両国内に拠点がある企業であれば、その国の個人情報保護関連の法
規定に従っていれば、当該国で個人情報を収集した後に国外に移動させることができる。
例えば、日本企業の本社が中国子会社から、当該子会社の人事情報を日本に移動させて一
括管理する、又は第三国にある労務管理アウトソーシング会社に移動させることもでき
る。また、日本企業の中国子会社が、中国で収集した中国人顧客の嗜好等の情報を含む個
人情報を日本で分析し、又は第三国の研究機関に自由に移動させることもできる。
興味深いのは、
「中華人民共和国個人情報保護法(専門家意見版)及び立法研究報告書」
における個人情報保護法の草案第 48 条において、「個人情報を受け取る国家又は地域が、
その個人情報に対し、十分な法律の保護を与えていない場合」を、「政府情報資源主管部
門が国境を越えた個人情報の取扱いを制限できる」理由の一つとして挙げている点であ
る。同規定は、
「EU データ保護指令」の上記規定とほぼ同様であり、今後の個人情報保護
法にそのまま取り入れられると越境データ移動の面でかなりの影響が生じうる。中国版個
人情報保護法がどのタイミングで制定・施行されるかは現時点において不透明であるが、
同法制定に向けた今後の動向を引続き注目していきたい。
(莊凌云・中国弁護士)
三.中国法務の現場より
中国の年末テレビ事情
中国では春節(旧正月)を前にすっかり年末ムードが広がっているが、中国人の年末の
楽しみの一つに「春晩」がある。「春晩」とは、旧暦の大晦日(今年は 1 月 30 日)の夜に
国営放送の CCTV で放送される年越し番組で、中国版の「紅白歌合戦」と例えられること
も多い。調査によれば 70%以上もの中国人が視聴するともいわれる。
この「春晩」を見れば、今年話題になった歌手・芸人から、誰もが知っている大御所歌
手までを 4 時間でまとめて見ることができるため、中国のエンタメ界を知るための入門番
組としてもおススメである。
ちなみに中国では、各テレビ局が地上波・衛星デジタル放送と同時に、公式又は提携先
のウェブサイトにおいて番組のストリーミング放送を行うことが珍しくない。この点は、
地方局への配慮からテレビ番組のネット配信が進まない日本のテレビ局よりも、むしろ一
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歩も二歩も進んでいると言える。CCTV の公式ホームページ(http://cctv.cntv.cn/)にアクセス
すれば、日本からも「春晩」を放送と同時に視聴することができるため、興味のある方は
一度ご覧いただきたい。
さて「紅白」と言えば、私事で恐縮だが、昨年末、中国国際放送局(CRI)の「紅白歌
比べ」
(http://japanese.cri.cn/781/2013/12/12/Zt141s215688.htm)という歌番組に出場する機会
を得た。ネット投票を通じて日本・中国から選ばれた男女 5 人ずつが白組と紅組に分かれ
て対戦する、という歌合戦形式の素人参加番組なのだが、日本人は中国語の歌、中国人は
日本語の歌を歌うべし、という縛りがある。
私は、カラオケのレパートリーの中から、
陳奕迅の「愛情転移」という曲を選び、
浴室で万全の自主練を積んで出場に臨ん
だ。白組のトリを華々しく飾り、白組の
勝利をもたらす、と意気込んでいたもの
の、本番では極度の緊張から、これまで
かいたことのない変な汗を吹き出しなが
ら、謎のオーバーアクションで歌い切る
のがやっとであった。結果、相手方の紅
組に勝利をもたらし、私は参加賞の血圧
計を手に家路に着いたのである。
私の歌の出来はともかく、番組では、日本が大好きと屈託の無い笑顔で話す中国の若者
たちが高らかに歌う日本の歌に心を打たれ、何度も目頭が熱くなった。日中の政治関係が
極めて緊張している中、日中友好を大々的に謳ったこのようなイベントが開かれ、中国の
各種メディアで放送されたことに驚きと喜びを禁じえない。日本の音楽、アニメ、ゲーム
といった素晴らしいコンテンツを通じて、中国に日本のファンを増やしていくことによっ
て、中長期的な日中関係に大きなプラスの影響を与えることができると私は信じている。
微力ながら、法律面でも日中の文化交流をサポートしていきたい。
(野中信孝・弁護士)
TMI 中国最新法令情報―2014 年 1 月号―
発
行:TMI 総合法律事務所
監
修:何連明・外国法事務弁護士
編集主幹:山根基宏、今村俊太郎・弁護士
発 行 日:2014 年 1 月 29 日
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