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TMI 中国最新法令情報
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TMI 中国最新法令情報
―(2012 年 2 月号)―
TMI 総合法律事務所
〒106-6123 東京都港区六本木 6-10-1
六本木ヒルズ森タワー23 階
TEL: +81-(0)3-6438-5511
FAX: +81-(0)3-6438-5522
E-mail: [email protected]
〒200031 上海市淮海中路 1045 号
淮海国際広場 2606 室
TEL: +86-(0)21-5465-2233
FAX: +86-(0)21-5465-5745
E-mail: [email protected]
皆様には、日頃より弊事務所へのご厚情を賜り誠にありがとうございます。
お客様の中国ビジネスのご参考までに、「TMI 中国最新法令情報」をお届けします。記事
の内容やテーマについてご要望やご質問がございましたら、ご遠慮なく弊事務所へご連絡下
さい。なお、バックナンバーについては、弊事務所のウェブサイトに掲載させていただきま
すので、併せてご利用下さい。(http://www.tmi.gr.jp/office/china/index.html)
目次
一.中国最新法令
1.主な中央法令
(1) 銀行業金融機構による磁気ストライプ型プリペイドカード及び電子マネーの発行を
規範化することに関する中国人民銀行の通知
(2) 税関による外商投資産業指導目録(2011 年改正版)の執行に関する問題の公告
(3) 先物市場の顧客口座開設に関する管理規定(2012 年改正)
二.連載
中国企業法実務/第一弾:登録資本と投資総額(第 4 回/全 5 回)
三.上海法務事情
4 月 1 日からの最低賃金について
1
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一.中国最新法令(2012 年 1 月中旬~2 月中旬公布分)
1.主な中央法令
(1) 銀行業金融機構による磁気ストライプ型プリペイドカード及び電子マネーの発行を
規範化することに関する中国人民銀行の通知1
中国人民銀行 2012 年 1 月 18 日公布
①
同日施行
背景
昨年 5 月 23 日に、国務院弁公庁が「商業プリペイドカードの管理規範化に関する意
見」 2を公布し、同意見は、中国における商業プリペイドカードを利用した脱税行為、
贈収賄などの違法行為を防止し、商業プリペイドカードに対する管理監督制度の樹立を
目指す最初の試みとされた。同意見では金融機構は認可なしにプリペイドカードを発行
することができないと定められているが、本通知により、金融機構の中でも、銀行業金
融機構(以下「商業銀行」という)による磁気ストライプ型プリペイドカード及び電子
マネーの発行に関し、さらに詳しく定められた。
②
主な内容
本通知によれば、商業銀行は、自ら又は他の機構と共同で磁気ストライプ型プリペイ
ドカード及び無記名電子マネーを発行してはならず、許可を得ずに銀行カードに商業プ
リペイドカードの機能を付加したり、銀行カードに商業プリペイドカード発行機構の標
識又は文字紹介を印刷したりしてはならない。
また、本通知では、商業銀行が中国人民銀行の許可を得たうえで磁気ストライプ型プ
リペイドカード又は電子マネーを発行できる場合を以下のとおり三つ挙げている。
(ア)
商業銀行が実名電子マネーを発行する。
(イ)
省庁所在地の都市及び副省級の都市が全国的又は国際的な経済、文化、スポーツ
等の大型イベントの主催を引き受けた時に、イベント主催者から提案を受け、当該
主催者と金融サービスの提携に関する協議を締結した商業銀行は、中国人民銀行に
対して一時的な磁気ストライプ型プリペイドカード又は電子マネーの発行を申請
することができる。
(ウ)
中国人民銀行のカード発行技術基準適合性及びシステム安全性審査に通った商
業銀行は、カード所有者の申請により、所有者の銀行カード口座に関連する、銀行
カードのデビット又はクレジット機能に基づいた用途の主要アカウント複合型の
電子マネーを発行することができる。
(2) 税関による外商投資産業指導目録(2011 年改正版)の執行に関する問題の公告 3
税関総署 2012 年 1 月 29 日公布
①
同日施行
背景
昨年 12 月 24 日に、商務部と国家発展改革委員会が共同で「外商投資産業指導目録
(2011 年改正版)」4(以下「外資目録(2011 年)」という)を公布したが、本年 1 月
1
2
3
4
《人民银行关于规范银行业金融机构发行磁条预付卡和电子现金的通知》(银发[2012]第 14 号)
本稿 2011 年 6 月号をご参照。
《关于海关执行外商投资产业指导目录(2011 年修订)有关问题的公告》(海关总署公告 2012 年第 4 号)
本稿 2012 年 1 月号をご参照。
2
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30 日からの同目録の施行開始を受け、税関総署は同目録の執行に関する問題の公告を
公布した。
②
主な内容
本公告によれば、2012 年 1 月 30 日から、
「外資目録(2011 年)」の奨励類に該当する
外商投資のプロジェクトの場合、投資総額の範囲内で自家用設備及び契約に基づいた上
記設備の付随技術、部品及び備品の輸入について、「国務院による輸入設備税収政策の
調整に関する通知」
(国発[1997]第 37 号)、税関総署公告 2008 年第 103 号及びその他関
連規定に従い関税が免除され、輸入段階の増値税が徴収される。
また、本公告によれば、2012 年1月 30 日以前に審査、許可又は届出を行った外商投
資のプロジェクトについて、
「外商投資産業目録(2007 年改正版)」
(以下「外資目録(2007
年)」という)の奨励類に該当する場合、2013 年 1 月 30 日までに主管部門発行の「プ
ロジェクト認定書」等の関連書類を税関に持参して税の減免届出手続を行うことを条件
に、引続き輸入関税の免除手続を行うことができる。
なお、本公告では、「外資目録(2007 年)」に入らない外商投資の進行中プロジェク
トで、「外資目録(2011 年)」奨励類に該当する場合は、主管部門に「プロジェクト認
定書」の発行を申請することができ、同認定書を取得した後の当該プロジェクトの自家
用設備及び契約に基づいた設備の付随技術、部品及び備品の輸入については税収の優遇
措置を受けることができるが、既に発生した税収については返還されないとしている。
(3) 先物市場の顧客口座開設に関する管理規定(2012 年改正)5
中国証券監督管理委員会 2012 年 2 月 2 日公布
①
同日施行
背景
中国証券監督管理委員会の本管理規定の改正に関する説明によると、昨年 12 月 15
日、同管理委員会が『「先物市場の顧客口座開設に関する管理規定」の修正に関する決
定』を公布した後、同年 12 月 31 日締めのパブリックコメントの期限までに、先物会社
8 社、証券会社 2 社、ファンド 1 社等から、同管理規定の改正に関する 13 通の意見書
が寄せられた。これらの意見書は主に以下の三つの側面に言及していたという。
(ア)
外国人による単位顧客口座開設の代理
(イ)
組合企業による先物取引のための口座開設に関する規定の制定
(ウ)
監督センターが授権を受けて別途業界規定を制定すること
今回の改正において、証券監督管理委員会は、上記(ア)の意見を採用しておらず、外
国籍の個人に単位顧客口座開設の代理を解禁しなかったが、上記(イ)の意見については、
今後、市場監督管理の強化という観点から、組合企業の先物取引業務に関する規則を完
備させるよう監督センターに指導を行うこととされた。また、今回の改正では、上記(ウ)
の意見が採用され、監督センターは本管理規定により授権を受け、具体的な業務オペレ
ーション規定を制定できるようになった。
②
主な内容
本管理規定によれば、中国証券監督管理委員会及びその出張機構は先物市場の顧客口
座開設に対して監督管理を行い、中国先物協会、先物取引所は、先物市場の顧客口座開
5
《期货市场客户开户管理规定(2012 修订)》(中国证券监督管理委员会公告[2012]第 1 号)
3
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設に対して自律管理を行うとされている(第 7 条)。
また、本管理規定では、顧客口座の開設及びコード申請(第 8 条から第 21 条まで)、
顧客資料の修正(第 22 条から第 25 条まで)、顧客取引コードの抹消(第 26 条から第
29 条まで)、顧客資料の管理(第 30 条から第 32 条まで)及び顧客口座開設の監督管理
(第 33 条から第 39 条まで)の各項目について、それぞれ具体的な規定内容が置かれて
いる。
(彭涛、莊凌云・中国弁護士)
二.連載 中国企業法実務
第一弾:現地法人の設立(第 3 回/全 5 回)
第1回
2011 年 11 月号
外商投資企業の種類と性質
第2回
2011 年 12 月号
設立手続の流れ
第3回
2012 年 1 月号
社名について
第4回
2012 年 2 月号
登録資本と投資総額
第5回
2012 年 3 月号
現地法人の経営管理機構
第4回
登録資本と投資総額
1.登録資本と投資総額とは
中国関係政府認可機関に現地法人の設立を申請するにあたり、予め登録資本と投資総額
を決めなければならない。登録資本と投資総額は中国法上やや特殊な概念であり、特に投
資総額及びこれから派生する「投注差」は、日本法上、これに類似する概念が存在しない
ため、日本の会社が初めて中国に進出する際、これらの概念及び実務上の応用にかなり苦
労することが決して少なくない。今回の紹介を通じて、これらの概念のご理解の一助とな
ればと考える。
まず、登録資本とは、会社の登記機関が法に基づいて登記する全株主が引受けた出資額
をいう6。日本法上の資本金とほぼ同内容であり、日本の会社にとって比較的馴染みやすい
概念であると思われる。一方、投資総額とは、中国での外商投資企業に特有の概念であり、
合弁契約(合弁企業の場合)、合作契約(合作企業の場合)及び会社の定款に規定されてい
る生産規模によって、投入する必要のある基本建設資金と生産流動資金の総額をいう7。投
資総額は、日本法上の「授権資本」(発行可能株式総数)とは異なる概念である。
2.登録資本について
6
「会社登録資本登記管理規定」(国家工商行政管理総局 2004 年 6 月 14 日公布、2004 年 7 月 1 日施行。国
家工商行政管理総局 2005 年 12 月 27 日改正公布、2006 年 1 月 1 日施行。)第 2 条。当該定義は有限責任公
司の場合の登録資本の定義であるが、大多数の外商投資企業が有限責任公司の形をとっていることから、本
文においては株式有限公司(株式会社)のケースを省略して、説明していく。
7
「中外合弁経営企業法実施条例」17 条、「中外合作経営企業法実施細則」15 条、「外資独資企業法実施細
則」19 条。
4
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(1) 最低資本金
中国では、以前、最低資本金は、製造業・卸売業の場合に 50 万人民元、コンサルティン
グ業の場合に 10 万人民元といった規定があったが、2006 年の会社法の改正により、一律
に 3 万元に引き下げられた8。但し、実務上、3 万人民元をもって中国で現地法人を立ち上
げることができるかといえば、難しいと言わざるを得ない。なぜなら、外商投資企業とし
て現地法人を設立する際に、商務部門の認可が必要となり、フィージビリティースタディ
ー(Feasibility Study=企業化可能性調査、一般的に F/S と略される。)を提出しなければな
らない。この F/S には設立予定の現地法人の投資計画を記載する必要があるが、3 万人民
元の資本では事務所の賃借費用、最初の人件費にも足りないため、実務上、そのような少
額の登録資本では、商務部門から認可が下りない。なお、上記の最低資本金の規定にかか
わらず、業種によって、より高額の最低資本金が要求されることもあるため、留意が必要
である。
(2) 払込期間
中国では、授権資本という概念が存在せず、登記した資本金は一定の期限までに全て払
い込むことが義務として規定されている。その払込期限に関しては、内資企業であれば、
設立登記までに一部の資本金を払い込む必要があるのに対し、外商投資企業であれば、先
に工商行政管理局における設立登記及び銀行口座開設等を済ませた後で、一定期間内に払
い込むことになる。具体的には、全ての登録資本を一括して払い込む場合、会社設立の日
(営業許可証が発行される日)から 6 か月以内に払込を完了しなければならない。また、
分割して払い込む場合には、初回払込金額が登録資本の 15%又は法定の最低資本金を下回
ってはならず、かつ会社設立の日から 3 ヶ月以内に初回払込金額の全額を払い込まなけれ
ばならない。残りの部分については、通常の会社は会社設立の日から 2 年以内、投資性会
社は会社設立の日から 5 年以内に払い込まなければならない9。
なお、資本金を送金する際に、送金方法によっては、銀行の手数料等を差し引かれ、払
い込んだ金額が引受けた資本金よりわずかに少なくなるケースもたまに生じるため、予め
銀行とよく打ち合わせし、諸手数料を差し引いても資本金金額のとおり現地法人の資本金
口座に払い込まれるよう留意されたい。
(3) 現物出資と現金出資
現地法人を設立するにあたり、現金をもって出資することができるが、それ以外に、現
物、知的財産権、土地使用権等の金銭によって評価でき、かつ、法律に従い譲渡できる財
産を価値評価して出資することもできる。但し、全株主の現金出資金額は有限公司の登録
資本の 30%を下回ってはならない。
現金以外の財産による出資も可能であるが、審査認可機関の認可が必要となるほか、出
資検査において、現物や知的財産権について価値評価を行わなければならないため、手間
がかかる。
8
但し、一人会社(株主が 1 人だけの会社)の場合、最低資本金は 10 万人民元である。
「外商投資会社の審査認可及び登記管理における法律適用の若干問題に関する実施意見」
( 工商外企[2006]
第 81 号)第 9 条及び「会社法」第 26 条。
9
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3.投資総額について
(1) 投資総額と登録資本の比率
実際に投入する予定の登録資本を確定させてから、次に投資総額を定めることとなる。
但し、投資総額は投資者が任意に決定できるものではなく、登録資本と一定の比率に基づ
いて設定しなければならない。
「中外合弁企業の登録資本と投資総額の比率に関する暫定規
定」(工商企字[1987]第 38 号令)で、当該比率が詳しく規定されているが、実務上、合
弁企業以外に、中外合作企業及び独資企業にもこの規定が適用される。
当該規定によれば、登録資本と投資総額は、以下の比率に従わなければならない。
投資総額
登録資本
~300 万米ドル
投資総額の 70%以上
300 万米ドル~420 万米ドル
210 万米ドル以上
420 万米ドル~1000 万米ドル
投資総額の 50%以上
1000 万米ドル~1250 万米ドル
500 万米ドル以上
1250 米ドル~3000 万米ドル
投資総額の 40%以上
3000 万米ドル~3600 万米ドル
1200 万米ドル以上
3600 万米ドル~
投資総額の 1/3 以上
(2) 投資総額によって異なる審査認可機関
周知のとおり、外商投資企業を設立する際には、商務部門の審査認可が必要であるが、
投資総額の大きさにより、担当する審査認可機関のレベルが以下のとおり異なってくる10。
11
投資総額
審査認可機関
奨励類
3 億米ドル以上
商務部(北京)
許可類
3 億米ドル以下
省レベルの商務部門
1 億米ドル以下(上海市の場合)
上海市の区・県レベルの商務部門
5000 万米ドル以上
商務部(北京)
5000 万米ドル以下
省レベルの商務部門
制限類
(3) 輸入設備の免税枠
また、設立する現地法人が「外商投資産業指導目録」の奨励類に属する産業に従事する
場合、その自社用の設備を輸入する際、投資総額の範囲内であれば、関税の免税措置の対
象となる。
(4) 投注差
中国では外商投資企業による対外借入額について法律上の限度額があり、限度額を超え
て借入を行うと返済(外国への送金)ができなくなる。その限度額の計算式は「投資総額 -
登録資本」であり、この差額を「投注差」とも言う12。但し、簡単に「外債」といっても、
10
「国務院による一段と外資利用工作を行うことに関する若干意見」(国発[2010]9 号)、「商務部による
外商投資の審査権限の移譲の若干問題に関する通知」(商資函[2011]72 号)
11
外国資本による投資されるプロジェクトは、奨励類、許可類、制限類及び禁止類の 4 種類に分類され、
それぞれ異なる産業政策を受ける。その分類の詳細は、「外商投資産業指導目録」を参照されたい。
12
登録資本は中国語で「注冊資本」というため、「投資総額」と「注冊資本」の差ということで「投注差」
6
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この「外債」に何が含まれるかは、必ずしも一目瞭然といえない。
「外債管理暫定条例」13第 18 条によれば、投注差管理を受ける「外債」は、外資企業が
借り入れた中長期外債の累計額、及び短期外債の残高の合計である。更に詳しく見ると、
ここでの中長期と短期の区切りは 1 年とされ、1 年以上の債務は中長期外債、1 年未満の債
務は短期外債とされている。また、時に「外債」は「外貨による債務」と解されることが
あるが、中国国内の銀行から借り入れた外貨債務はここで言う「外債」に算入されず、外
国企業・金融機関から借りた人民元債務は「外債」に算入されることから、
「外国に対する
債務」として解するのがより適切であると思われる。なお、直接の借入以外に、外国企業・
金融機関に保証される国内債務についても、保証が履行されるときに、
「外債」として算入
され、投注差管理を受ける。
(5) 投資総額の設定
「投資総額」を文字どおり読めば、この金額全額を投資しなければならないと誤解され
るかもしれないが、以上の紹介から分かるように、投資総額は必ずしも出資者の出資によ
るものではなく、また出資義務に関わるものでもなく、輸入設備の免税枠又は外貨借入の
枠等、義務としてよりも、権利として理解した方が良いため、通常限度額一杯まで設定す
ることが薦められる。他方、中国の企業に投資して合弁企業とする場合に、中国側の経営
者に会社経営を任せる場合、会社の外債を抑えるために投資総額を最低額にし、登録資本
のとおり設定するということも考えられる。
また、上記(1)記載の投資総額と登録資本の比率を活用すれば、わずかな登録資本の調整
により、投資総額が大きく変わるかもしれない。例として、仮に登録資本を 490 万米ドル
とする現地法人を設立する場合、投資総額は最大 980 万米ドルとなるが、最初から登録資
本を 10 万米ドル多めに入れ、500 万米ドルとすれば、投資総額は最大 1250 万米ドルとな
る。以上のような計算をしながら、登録資本と投資総額を決定することを薦める。
[応用編―増資の際の投資総額の計算]
既に設立された現地法人に増資する場合、よくある間違いは、これまでの会社の登録資
本と増資額を合算して算出された登録資本に基づき、上記3の(1)に記載される比率で会
社の投資総額を計算することである。このような登録資本の合計額による投資総額の算出
は誤りであり、正しくは、増資額に応じて、投資総額の増加額を計算すべきである。
例を挙げると、仮に最初に登録資本と投資総額をそれぞれ 400 万米ドルと 800 万米ドル
とする現地法人を設立し、その後 400 万米ドル増資する場合、よく間違われる計算方法に
よれば、合計の登録資本 800 万米ドルに基づき、投資総額は最大 2000 万米ドル(800/40%)
までとすることになる。しかし、正しくは、400 万米ドルの増資額に基づき、800 万米ド
ル(400/50%)の投資総額増加額が算出され、それとこれまでの投資総額(800 万)と合
算すると、投資総額の限度額は 1600 万米ドルになる。
(鍾雪垠・中国弁護士)
と呼ばれる。
13
国家発展委員会、財政部、国家外貨管理局令第 28 号。
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三.上海法務事情
4 月 1 日からの最低賃金について
上海市では、昨年と同時期の 4 月 1 日に、月最低賃金が、現在の 1,280 元から 1,450 元に
引き上げられる14。170 元の上げ幅は、去年の 160 元よりも微増であるが、上昇率では、下
表の通り若干伸びが鈍った。それでも、特に飲食等の低賃金のサービス業においては、最近
の若手出稼ぎ労働者の地方回帰傾向と相まって、春節明け後の従業員確保に苦労していると
聞く。
なお、非全日制の労働者に適用される時給の最低賃金は、11 元から 12.5 元に変更される。
他方、昨年度の平均賃金15はまだ発表されていないが、近時の上昇度合いからみて、月平
均 4,000 元の大台に乗る見込みである。
<近年の最低賃金・平均賃金の推移>
2008 年
2009 年
2010 年
2011 年
2012 年
960
960
1,120
1,280
1,450
(4 月 1 日~)
(据え置き)
(4 月 1 日~)
(4 月 1 日~)
(4 月 1 日~)
上昇率
14.3%
0%
16.7%
14.3%
13.3%
年平均賃金
39,502
42,789
46,757
未発表
月平均賃金
3,292
3,566
3,896
未発表
上昇率
13.8%
8.3%
9.3%
未発表
最低賃金
(山根基宏・弁護士)
TMI 中国最新法令情報―2012 年 2 月号―
発
行:TMI 総合法律事務所
監
修:何連明・外国法事務弁護士
編集主幹:山根基宏・弁護士
発 行 日:2012 年 2 月 29 日
14
http://www.12333sh.gov.cn/200912333/2009xwzx/zxdt/201202/t20120228_1137057.shtml
平均賃金は、社会保険料の算出の根拠に使われるほか、労働契約終了時に使用者が支払う経済補償金の
上限を画する機能も有する。
15
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