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集 : ステロイドホルモンとP-450 アルドステロン生合成の分子機構
ロイドホルモンとP-450 アル ドステロン生合 成の分子機構 生城 真一 ・小南 思郎 ・武 森 重樹 鉱 質 コル チ コ イ ドの ア ル ドス テ ロ ンは 副 腎 球 状 層 に お い て特 異 的 に 生 合 成 さ れ る 。 低 Na, 高K食 で 飼 育 した ラ ッ トの 副 腎 では11β ドス テ ロ ン合 成 活 性 を もつP-450が Database Center for Life Science Online Service 同 様 の 機 構 が 存 在 す る。 一 方, 位 水 酸 化 活 性 を もつP-450_<11β>以外 に ア ル 球 状 層 に 新 た に 発 現 して お り, ウ シ副 腎 に お い ては11β ヒ ト副 腎 に お い て も 位 水酸 化 と ア ル ドス テ ロ ン合 成 の 両 活 性 を もつP-450_<11β>が全 細胞 層 に 分 布 して い る こ とか ら, 束 ・網 状 層 に お い て は ア ル ドステ ロ ンの 合 成 を抑 制 す る機 構 が 存 在 す る と考 え られ る。 こ の 抑 制 機 構 には ミ トコ ン ドリア 内 膜 に共 存 す るP-450_<SCC>とP-450_<11β>の 特 異 的 な 相 互 作 用 が 関与 す る こ とが 明 ら か に な っ た。 こ の よ うな オ ル ガ ネ ラ 膜 に お け るP-450分 子種 間 の 相 互 作 用 に よ る活 性 調 節 は ス テ ロ イ ドホ ル モ ン 生 合 成 の 代 謝 制 御 に ま った く新 しい 概 念 を提 供 す る も の で あ る。 は じめ に 図1に 示 す よ うに, デ ナ キ シ コル チ コステ ロン (以下 副 腎皮 質 は形 態 学的 に異 な る3種 類 の細 胞 層 (球状 層, 束 状 層 お よび 網 状 層) か ら構 成 され てお り, DOCと 略 す) か ら アル ドス テ ロンへ の変 換 は ス テ ロイ 鉱 質 コル チ コイ ドの ア ル ドス テ ロン は球 状 層 にお いて, ド核 の11β 糖 質 コル チ コイ ドとア ン ドロ ゲ ンは束 ・網 状 層 に お い て デ ヒ ドに酸 化 され る反 応 であ る。P-450_<11β>が11β 位 に 産 生分 泌 され る こ とが 古 くか ら知 られ て い る。 ス テ ロイ 加 え て18位 ドホ ル モン の生 合 成経 路 に お い て 鍵酵 素 と して重 要 な 役 テ ロ ンの18位 位 の 水酸 化 に 加 え て, 18位 メ チ ル基 が ア ル の水 酸 化 も触 媒 す る こ とか ら, コル チ コス の メチ ル基 が水 酸 化 され て18-ヒ ドロキ 略 シ コル チ ヲス テ ロン に変 喚 され た の ち, 18-ヒ ドロ キ シ す) が 副 腎 の 各 細胞 層 に お け る特 異 的 な 代 謝 パ タ ー ンを ス テ ロ イ ド脱 水 素 酵 素 の作 用 で ア ル デ ヒ ド基 に酸 化 され 決 め て い る と考 え られ るが, そ の分 子 レベ ル で の 裏 付 け る代 謝 経 路 が 想 定 され, 束 ・網状 層 細胞 は この酵 素 を 欠 は 必ず しも充 分 で は な か った 。 近 年, コ レス テ ロー ル を くた め に アル ドステ ロ ンの合 成 が で き な い もの と考 え ら 出 発 基 質 と した ス テ ロ イ ドホ ル モン 生 合 成 経 路 に 関 与す れ て い た 。 しか し, 小 島 ら^<3)>は ア ル デ ヒ ド基 へ の酸 化 は る種 々 のP-450分 い ず れ もNADPHとO_2を 割 を 果 た して い る シ トク ロムP-450 (以下P-450と 子 種 が単 離 精 製 され, そ れ らP-450 要 求す るモ ノオ キ シ ゲ ナ ー の 酵 素 的 性 質 な らび に 遺 伝 子 的 性 質 の全 貌 が 解 明 され た ゼ の反 応 であ る こ とを証 明 した 。 した が って, DOCか こ とか ら, 各 細 胞 層 に お け る ステ ロイ ドホル モン の特 異 ら ア ル ドス テ ロン の生 合 成過 程 に お い て は1分 子 のO_2 的 な産 生 機 構 に つ い て 分 子 レベ ル で理 解 す る こ とが 可 能 は11β に な って きた^<1,2)>。 しか し, 鉱 質 コル チ コ イ ドのア ル ドス 基 の二 重 水酸 化 に 消 費 され, テ ロンが 球 状 層 細 胞 で特 異 的 に産 生 され る機 構 に つ い て に脱 水 さ れ て ア ル デ ヒ ド基 を 生 ず る反 応 機 構 が 明 らか に は 分 子 レベ ル で の説 明が 困 難 な現 象 であ る と考 え られ て され た 。 しか し, これ らの 反 応 がP-450_<11β>の単 一 酵 素 き た。 に よ っ て触 媒 さ れ るか, あ るい は複 数 のP-450分 Shin-ichi [Faculty Ikushiro, of Shiro Integrated Kominami, Arts & Sciences, Shigeki Hiroshima Takemori, University, 位 の水 酸 化 に, 2分 子 のO_2は18位 広 島 大 学 総 合 科 学 部 Higashisenda-machi, (〒730 のメチル 1分 子 のH_2Oが 非酵素的 広 島 市 中 区東 千 田 町 Naka-ku, Hiroshima 730, 子種 1-1-89) Japan]Molecular Mechanism Key【副 word 腎 皮 質 】 【ス テ ロ イ ドホ ルモ ン合 成 】 【P-450】 【ア ル ドステ ロン】 3043 22 蛋 白 質 Database Center for Life Science Online Service 図1, 核 酸 酵 素 DOCか Vol. 37 No. 16 (1992) ら ア ル ドス テ ロ ンへ の代 謝 経 路 に よ って触 媒 さ れ るか否 か は 球 状 層 に 特 異 的 な アル ドズ って, テ ロン の産 生 機 構 と の関 連 か ら きわ め て 興 味 の あ る問 題 り, 後 者 のP-450は 前 者 のP-450は ア ル ドス テ ロン合 成 酵 素^<*1>で あ で あ る。 この 問 題 を解 決 す るた め に, こ こ数 年 間, 国 内 るP-450_<11β>であ る。 両 者 のN末 端 か ら20残 の い くつ か の研 究 グ ル ー プ は しの ぎ を削 っ て研 究 に取 り ノ酸 配 列 は6番 組 ん で きた 。 る以 外 は 同 じ であ っ た 。 糖 質 コル チコ イ ドの産 生 に関 与 す 目 の ア ミノ酸 残 基 が Leu さ らに, ラ ッ ト副 腎. cDNAラ 本 稿 では ラ ッ トや ヒ トと対 比 して ウシ の 副 腎 に お け る 基のア ミ と Val で異 な イ ブ ラ リー を作 成 し, アル ドステ ロン 生 合 成 の機 構 につ い て最 近 筆 者 ら^<22)>が 得 今 井 ら^<7)>は ア ル ドス テ ロン合 成 酵 素 を コー ドしたcDNA, た 研 究 成 果 を 中 心 に 紹 介す る。 堅 中 ら^<8)>はP-450_<11β>を コ ー ドしたcDNAを それ ぞれ 単 離 して 塩 基 配 列 を 決 定 した 。 ア ル ドス デ ロ ン合 成酵 素 と I. P-450_<11β>はい ず れ もN末 端 に 同 じ長 さ の 延 長 ペ プ チ ド ラ ッ トお よび ヒ ト副 腎 に お け る を も って お り, 成 熟 型 蛋 白 質 の分 子量 は そ れ ぞれ54,273 ア ル ドス テ ロ ン合 成 機 構 (476ア ナ トリ ウム欠 乏 食, カ リウ ム補 充 食 で飼 育 され た ラ ッ トの 副 腎球 状 層 ミ トコン ド リアで は ア ル ドス テ ロン 合 成 ミノ酸 残 基) と54,608 (475ア ミノ酸 残 基) で あ る。 両 酵 素 の ア ミノ酸 配 列 は 高 い 相 同 性 を示 し, へム 結 合 領 域 を は じめP-450間 で よ く保 存 さ れ て い るい く 活 性 が 正 常 ラ ッ トに 比 較 して 著 しく上 昇 す る と と もに, つ か の領 域 が 見 い だ され た 。 また, 両 者 のN末 端か ら6 ア ル ドス テ ロン 生 合 成 の最 終 段 階 を 触 媒 す る であ ろ うと 番 目 の ア ミノ酸 残 基 は Leu 考 え られ る49Kの 果 と よ く一 致 して い た 。 表1の 上 段 に 示す よ うに, ラ ッ 蛋 白 質 がSDS電 気泳動上で新たに と Val で精 製 酵 素 の分 析結 出 現す る とい う報 告 が あ る^<4,5)>。 こ の結 果 に基 づ い て, 荻 トP-450_<11β>フ ァ ミ リーの2つ 島 ら^<6)>は 同 じ条 件 下 で 飼 育 した ラ ッ ト副 腎 か ら分 子 量 の ミ ドを構 築 し, COS細 異 な る2種 類 のP-450分 と して種 々 の生 成 物 量 を 測 定 した 結 果, 子 種 を 単 離 精 製 す る こ とに 成 のcDNAを 功 した 。 球 状 層 細 胞 の ミ トコ ン ド リアか ら単離 したP- cDNAば 450 (49.5K) る も の であ る こ とが 証 明 され た^<9)>。 は11β 18-ヒ ドゴ キ シ-DOC, 位 の水 酸 化 に加 え て, DOCか ら 18-ヒ ドロキ シ コ ル チ コ ステ ロン 含 む プ ラス 胞 内 で 発 現 さ せ, DOCを 基質 これ ら2つ の ア ル ドス テ ロン 合 成酵 素 とP-450_<11β>に 相当す ア ル ドステ ロン合 成 酵 素 とP-450_<11β>のラ ッ ト副 腎 細 と ア ル ドステ ロン を生 成 す る反 応 を触 媒 す る の に対 して, 胞 層 で の分 布 を調 べ る こ とは, 酵 素 活 性 の分 布 との相 関 束 ・網 状 層 ミ トコン ドリア のP-450 性 を知 る うえ で重 要 で あ る。 しか し, 両 酵 素 の ア ミノ酸 の11β 位 と18位 (51.5K) はDOC の水 酸 化反 応 を触 媒 して コル チ コス 配 列 の相 同性 が きわ め て 高 い た め, in situ ハ イ ブ リ ッ アル ド ド形 成 法 あ るい は 各酵 素 を特 異的 に認 識 す る ペ プ チ ド抗 ス テ ロ ンの生 成 反 応 を 触 媒す る こ とが で き な い 。 した が 体 を 作 製 して 免 疫 組 織 化 学 的 に両 酵 素 の分 布 が調 べ られ テ ロン と18-ヒ ドロキ シ-DOCを *1 研 究 グ ル ー プ に よ っ て は, *2 Parker 3044 生 成 す る が, P-450_<11β,aldo>, P-450_<aldo>あ る い はP-450_<C18>な ら^<35)>は マ ウ ス副 腎 に つ い て ま っ た く同 じ結 果 を 得 て い る。 どの 略号 が使 用 され て い る 。 23 アル ドステロ ン生合成 の分子機構 表1. a) 2種 のP-450cDNAを b) 文 献9, 文 献14よ Database Center for Life Science Online Service 表2. 含 む プ ラ ス ミ ドを 用 い てCOS細 り抜 粋 。(岡 本 氏 (阪 大) 胞 で 発 現 させ たP-450のDOC代 と静 岡 氏 (高 知 医 大) の ご厚 意 に よる) ウ シ副 腎 細 胞 層 の無 傷 お よ び可 溶 化 ミ トコン ド リア 標 品 に お け るDOC代 た^<10,34)>。P-450_<11β>は 束 ・ 網 状 層 に分 布 して い る が, アル ドス デ ロ ン合 成 酵 素 は 球 状 層 に のみ 分 布 してい た^<*2>。 こ 謝活性 物 の抗 体 は後 者 のP-450と 謝 活 性^<18)> のみ 反 応 した 。 河 本 ら^<13-15)>は ヒー ト副 腎 のP-450_<11β>とア ル ドス テ ロン の こ とは ウ ッ ト副 腎 で の球 状 層 に特 異 的 な ア ル ドステ ロ 合 成酵 素 に 相 当す るP-450分 シの産 生 機 構 を よ く説 明す る こ とが で き る。 グを試 み るた め に, 原 発 性 アル ドス テ ロン症 患 者 の ヒ ト ヒ ト副 腎に 関 して, Mornet た2種 類 の 遺 伝 子 (CYP11B1, ら^<11)>はP-450_<11β>に 関連 し 副 腎 腫 瘍 か らcDNAラ 子種 のcDNAク ロー ニン イ ブ ラ リー を作 成 して2種 類 の CYP11B2) が 存 在す る cDNAク こ とを 報 告 した 。CYP11B1はP-450_<11β>遺 伝子に相当 した 。 これ ら に コ ー ドされ て い る ア ミ ノ酸 配 列 の 相 同 性 した が, CYP11B2の 実 体 に つ い て は不 明 で あ った 。 荻 ローン を単 離 し, そ れ ぞ れ の塩 基 配 列 を 決 定 は90%と 非 常 に構 造 が 似 て い る 。 これ らcDNAを 島 ら^<12)>は 原 発 性 アル ドス テ ロン症 患者 か ら摘 出 した 副 腎 ラス ミ ドに構 築 してCOS細 プ 胞 で発 現 させ酵 素 活 性 を 測 の非 腺 が ん 部 分 か ら調 製 した ミ トコ ン ド リア は ア ル ドス 定 した ところ, 発 現 させ た2つ のP-450間 テロン 合 成 活 性 を 示 さ な い が, 腺 が ん 部 分 か ら調 製 した に基 質 特 異 性 に差 が あ り, 片 方 のP-450に ミ トコ ン ドリアは ア ル ドス テロ ン合 成 活 性 を もつ こ とを ステ ロン合 成 活 性 が 見 い だ さ れ た (表1の 見 いだ した。 さ ら に, ウ シP-450_<11β>IgGを 用 い たSDS これ ら両 者 の遺 伝 子 プ ロモ ー タ ー 領 域 には48%し 電 気 泳 動 上 の免 疫ブ ロ ッテ ィン グ で, 前 者 の ミ トコ ン ド 同性 が な く, ま った く別 個 の 遺伝 子 と して異 な る発 現 制 リア は1本 のP-450_<11β> (50K) バン 御 を受 け て い る こ と も明 らか に な らた^<15)>。 ドだ け を もつ のに 対 に は 明 らか のみ アル ド 下段)。 ま た, か相 して, 後 者 の ミ トコ ン ドリナはP-450_<11β>の近 傍 に も う 1本 のバン ド (48.5K) CYP11B2遺 を もつ こ とが 観 察 さ れ, か つ II. 伝 子 産 物 の抗 体 と反 応 した 。 こ の よ うに後 ウ シ 副 腎 に お け るブ ル ドス テ ロ ン 合成機構 者の蛋 白質 が ア ル ドステ ロン合 成 酵 素 であ る可 能 性 が強 く示 唆 され た の で, ア ル ドステ ロン産 生 腺 が ん の副 腎 を 用 い てDOCめ11β P-450_<11β> (50K) 位 お よび18位 とDOCの11β 水 酸 化 を触 媒 す る 位 と18位 の水 酸 化 1. ウ シ 副 腎 の 球 状 層 細 胞 に 特 異 的 な ア ル ドス テ ロ ン の産生 ウ シ副 腎 皮 質 の 球 状 層 お よび 束 ・網 状 層 の各 細 胞 か ら とア ル ドス テ ロン合 成 を触 媒 す る ア ル ドス テ ロ ン合 成 酵 調製 した 無 傷 ミ トコ ン ドリア に, DOCと 素 (48.5K) る リン ゴ酸 を 加 え て反 応 を 行 な う と, 表2に 示 され る よ が 単離 精 製 さ れ た 。CYP11B2の 遺伝子産 呼吸基 質であ 3045 24 蛋 白 質 うに, コル チ コス テ ロン と18-ヒ 核 酸 酵 素 ドロキ シDOCの Vol. 37 No. 16 (1992) 生成 活 性 は 両 細 胞 層 であ ま り違 いが み られ な い の に対 して, 18-ヒ ドロキ シ コ ルチ コ ステ ロン とア ル ドステ ロン の 生 成 活 性 は 球 状 層 で 高 い値 を 示 して い る。 と くに ア ル ドス テ ロン の 生 成 活 性 は 束 ・網 状 層 に 比 べ て 球 状 層 ミ トコ ン ドリア で約8倍 高 い値 を示 して い る。各 々 ミ トコ ン ドリ ア を コー ル酸 で 可 溶 化 して, ア ド レノ ドキ シ ン, NAD PH-ア ドレ ノ ドキ シ ン還 元 酵 素 とNADPHを 加えて反 応 を 行 な う と. 無 傷 ミ トコ ン ド リア で は アル ドス テ ロン の合 成 が み られ な か った 束 ・網 状 層 に お い て, 球 状 層 と 図2. P-450_<11β>-プロ テ オ リ ポ ソ ー ム の デ オ キ シ コ ル チ ゾ ル 同 じ程 度 の ア ル ドス テ ロン合 成 活 性 を 示 し た^<16∼18)>。 一 方, ウ シ副 腎 ミ トコン ド リア か ら単離 精 製 され た 分 子 量 11β 位 水 酸 化 活 性 に 対 す るP450_<SCC>の P-450_<11β>-プロ テ オ リポ ソ ー ム 行 な っ たP-450_<SCC> の異 な る2種 のP-450_<11β>(48.5Kと49.5K) も11β はいずれ 位 水酸 化 活 性 に 加 え て ア ル ドス テ ロン 合 成 活 性 し た あ と, (20pmol) を37℃, 活 性 を 測 定 した 。1 : 3 :熱 処 理 5 : FITC処 (60℃, 5分) (20pmol) 2分 無 添 加, P-450_<SCC>, 影 響^<22)> と さ ま ざ ま な処 理 を 間 イ ンキ ュベ ー ト 2 : 未 処 理P-450_<SCC>, 4 : 抗 体 処 理P-450_<SCC>, 理 し たP-450_<SCC>。 Database Center for Life Science Online Service を も っ て お り, 副 腎 のす べ て の 細胞 層 に 分 布 して い る こ とが 報 告 され て い る^<19)>。 さ ら に, ウ シ副 腎 のcDNAラ イ ブ ラ リーか ら単 離 した2種 類 のP-450_<11β>cDNA P-450_<11β>-2, pc-P-450_<11β>-3)をそ れ ぞ れCOS細 値 (7分-1) (pc- 胞 で発 を示 して い る。P-450_<11β>にP-450_<SCC>を等 モ ル加 え て 活 性 を測 定 す る と, P-450_<11β>の11β位 水酸 化 活 性 は約6倍 (40分^<-1>)に上 昇 した 。 このP-450_<SCC> 現 させ 活 性 を測 定 した と ころ, いず れ もア ル ドス テ ロ ン を 熱 処 理 やP-450_<SCC>抗 体 で処 理 した 標 品 を加 え て も活 合成 活 性 を示 す こ とが 見 い だ さ れ た^<20,21)>。 以 上 の結 果 か 性 に対 す る促 進 効 果 はみ られ ず, ら, ウ シ副 腎 にお い て は ラ ッ トや ヒ トの 場 合 と異 な り, 450_<SCC>中に混 入 して い る脂 質 や 他 の蛋 白質 成 分 に よ る P-450_<11β>分 子 が11β も の では な い こ とが 示 され た 。P-450_<SCC>を フ ル オ レ セ 位 水酸 化 活 性 に 加 え て アル ドス テ こ の効 果 が 精 製P- ロン合 成 活 性 を 潜在 的 に も って お り, 球 状 層 で は ア ル ド ン イ ソチ ナ シ ア ネ ー ト (FITC) ステ ロン合 成 活 性 を発 現 して い る の に対 して, 束 ・網 状 番 目の Lys 層 の ミ トコン ドリア で は ア ル ドス テ ロン合 成 活 性 が何 ら 互 作 用 が 妨 げ られ て, P-450_<SCC>は電 子 授 受 能 を消 失 す か の抑 制 を受 け て い る こ とが 強 く示 唆 され た 。 残 基 が 修 飾 され, る^<23)>。 しか し, FITCで で化 学 修 飾 す る と, 348 ア ドレノ ドキ シン との相 修 飾 され たP-450_<SCC>は 未 処 理 のP-450_<SCC>と 同 じ程 度 の 促進 効 果 を示 した 。P-450_<SCC> 2. ウ シ副 腎 ミ トコ ン ドリア のP-450_<11β>の活 性 調 節 の 基 質 で あ る20α-ヒ ドロキ シ コ レス テ ロ ール や 阻 害 剤 の ア ミノ グル タ チ ミ ドを 加 え て も, 11β 位 水 酸 化 反 応 に に対 す るP-450_<SCC>の 役 割 副 腎 ミ トコン ドリア に はP-450_<11β>以外 にP-450_<SCC> おけ るP-450_<SCC>の 促 進 効 果 は影 響 され な い。P-450_<SCC> が 局 在 して お り, ス テ ロイ ドホ ル モン 生合 成 の初 発 段 階 のか わ りに シ トク ロ ムb_5やNADPH-P-450還 であ る コ レス テ ロ ー ル側 鎖 切 断 反 応 を触 媒 して い る。P- の よ うな ミク ロ ソー ム蛋 白 質 も ま った く促 進 効 果 を 示 さ 450_<SCO>は ミ トコ ン ド リア膜 内 で電 子伝 達系 (ア ド レ ノ な い こ とか ら, P-450_<SCC>のP-450_<11β>に 対 す る活 性 の促 ドキ シン, NADPH-ア ドレ ノ ドキ シ ン還 元酵 素) をP- 450_<11β>と 共有 して い る こ とか ら, 蛋 白質間 の相 互 作 用 で お 互 いの 活 性 に 影 響 を与 え る可 能 性 が考 え られ る。 A. P-450_<11β>プ ロテ オ リポ ソー ム 反 応 系 に お け る P-450_<SCC>の活 性 に 与 え る 影 響 進 効 果 は ミ トコ ン ド リアP-450分 元酵 素 子種間に特異的な反 応 で あ る こ とが示 さ れ た 。 リポ ソー ム膜 上 で のP-450分 子 種 間 の 相 互 作 用 がP- 450_<11β>の 活 性 に 影 響 を 与 え る こ とを 明 らか に す る た め に, DOCを 基 質 と して代 謝 させ た場 合 のP-450_<11β>の 活 ウ シ副 腎 ミ トコ ン ドリアか ら精 製 したP-450_<11β>を リ 性 に対 す るP-450_<SCC>の 濃 度 依 存 性 が 調 べ られ た 。図3 ン脂 質 膜 に 組 み 込 んだ プ ロテ オ リポ ソー ム反 応^<36)>系 を用 に示 す よ うにP-450_<SCC>の 添 加 に 伴 い, 11β 位 と18位 い て11β す る精製P-450_<SCC>の 影 響 が解 析 され た^<22)>。 図2に 示 す 水 酸 化 活 性 値 は 上 昇 し, 最 大値 へ 収 束す る (図3a, b)。 一 方 , DOCか らア ル ドス テ ロン と18-ヒ ドロキ シ コル よ うに, リポ ソー ム膜 に 組 み 込 まれ たP-450_<11β>の デ オ チ コス テ ロ ンの生 成 活 性 はP-450_<SCC>の 添 加 に よ り著 し キ シ コル チ ゾル を 基 質 と した11β く減 少 し, 最 小値 へ収 束 す るこ とが観 察 され る (図3c, 3046 位 水酸 化 とア ル ドス テ ロン 合 成 の 両 活 性 に 対 位 水 酸 化 活 性 は低 い 25 アル ドステ ロン生合成の分子機構 図4. ウ シ副 腎 球 状 層 (zG) と, 束 ・綱 状 層 (zFR) の ミ トコ ン ド リア内 膜 で のDOCの 代 謝 活 性 に 対す る 抗P-450_<SCC>IgGの 図3. P-450_<11β>-プロ テ オ リポ ソ ー ム のDOC代 す るP-450_<SCC>の 濃 度 依 存 性^<22)> P-450_<11β>-プ ロ テ オ リ ポ ソ ー ム Database Center for Life Science Online Service キ ュ ベ ー ト し た の ち, μM) (20pmol) とP-450_<SCC>を 合 体 を 形 成 し たP-450_<11β>の (V_f=14.9, V_c=176.7), OHコ (c) イン 活 性 を 測 定 した 。 実 線 は 解 離 定 数 を 用 い て 計 算 し た 理 論 曲 線 。 次 のV_fとV_cは 14.0), 活 性 値 。(a) (b) コル チ コ ス テ ロ ン 18-OHDOC (V_f=0.9, V_c= (d) 18- (V_v=2.81, V_c=0.33)。 す る抗 体 を用 い てP-450_<11β>の活 性 に 与 え る 膜 に 内在 し てい るP-450_<SCC>の 影 響 が解 析 され た^<22)>。 図4は ら コ ルチ コ ス テ ロン 位 水酸 化 活 性 に お い て は 球 状 層 に比 べ て束 ・網 状 層 の ほ うが抗 体 に よ る阻害 効 果 が 大 き い。 一 方, ア ル ドス テ ロン生 成 活 性 は 抗 体 を 添 加 す る こ とに よ り束 ・網 状 層 で4倍 の 促 進 効 果 が 見 られ るが, 球 状 層 で 酵 素 活 性=[P-450_<11β>]×V_f+[P-450_<11β>・P450_<SCC>] は1.7倍 ×V_c [P-450_<11β>] お よ び ミ トコ 謝 活 性 に 対 す る 抗P-450_<SCC> 影 響 を示 して い る。DOCか を生 成す る11β 最大値 あ るい は 最 小値 を 示す と仮 定 す る と, 観 察 さ れ る 活 性 値 は 次 式 で 表 わ さ れ る 。 ここで 10時 間 イ ン 胞 層 よ り ミ トコ ン ドリア 内膜 を 調 製 し, P-450_<SCC>に 対 ン ドリア 内膜 のDOC代 リポ ソ ー ム 膜 上 でP-450_<SCC>とP-450_<11β>が1対1 の 複 合 体 を 形 成 し, を0.5mg抗P-450_<SCC>IgG 非 共 存 下 (無 地) あ る い は 共 存 下 (斜 線) で0℃, キ ュベ ー した の ち, 活 性 を 測 定 した 。 IgGの d)。 影 響^<22)> (0.1mg) (300 遊 離 型 と複 ア ル ドス テ ロ ン (V_f=1.19, V_c=0.16), ル チ コス テ ロ ン ミ トコン ド リア 内 膜 謝 に 対 [P-450_<11β>・P-450_<SC>] は そ の促 進 効 果 に と ど ま って い る。 また, 球 状 層 ミ ト コン ドリア に精 製P-450_<SCC>を 添 加 す る と, 11β 位 水 リポ 酸 化 活 性 の上 昇 と と もに ア ル ドス テ ロ ン生 成 活 性 は ほ と ソ ー ム 膜 上 で の 濃 度 を 表 わ し, V_fはP-450_<SCC>無 添加 ん ど見 られ な くな った 。 した が って, 球 状 層 で は ミ トコ の と き のP-450_<11β>の 複合 ン ド リア 膜 に 内在 し てい るP-450_<SCC>とP-450_<11β>分 子 各濃度 にお 間 の相 互 作 用 が 弱 い の に 対 し て, 束 ・網 状 層 で は 強 く働 れ ぞ れ 遊 離 型 お よ び 複合 体 を 形 成 し たP-450_<11β>の 活 性 値, V_cはP-450_<SCC>と 体 を 形 成 し た と き の 活 性 値 を 表 わ す 。 図3の け る 測 定 値 か ら 上 の 式 を 用 い てP-450_<11β>とP-450_<SCC> い て い るた め に ア ル ドス テ ロ ン生 成 活 性 が 抑 制 され て い の 解 離 定 数 は300μMの る と考 え られ る。 値 が 得 られ た 。 こ の 値 を 用 い て 作 成 し た 理 論 曲 線 は 測 定 値 と よ く一 致 し て い る 。 し た が っ て, リポ ソ ー ム 膜 上 でP-450_<11β>とP-450_<SCC>は1対 ミ トコ ン ド リア のP-450分 子 種 間 で の相 互 作用 の 強 さ の違 い を 球 状 層 と束 ・網 状 層 の ミ トコン ドリア 内 膜 に そ の ス テ ロ イ ド代 謝 つ い て調 べ るた め に, 分 子 内 に ジ ス ル フ ィ ド結 合 を もつ 活 性 が 著 し く影 響 を 受 け, 11β 位 の 水 酸 化 反 応 が 促 進 さ 光反 応 性2価 ヘ テ ロ架 橋 試 薬^<24)>を 用 い て蛋 白 質間 の架 橋 れ る の に 対 し て, 反 応 に よ る複 合 体 の形 成 が解 析 され た 。 図5に 示 され る 1の 複 合 体 を 形 成 す る こ と に よ り, ア ル ドス テ ロ ン合 成 活 性 は 抑 制 さ れ る よ うに 架 橋 処 理 を施 さ な い標 品 (レ ーン2) と考 え られ る。 B. ミ ト コ ン ド リ ア 内 膜 に お け るP-450_<SCC>と い 。 架 橋 処 理 を 施 した標 品 (レ ー ン3) P-450_<11β>間 の 相 互 作 用 リポ ソ ー ム 反 応 系 に お い てP-450_<SCC>がP-450_<11β>の に 関 して, 束 ・ 網 状 層 で はP-450_<SCC>よ りもや や 低分 子 量 付 近 に バン ドが ミ ト コン ド リ ア 膜 内 で 観 察 され, 他 のバ ン ドに比 べ て そ の 染 色 が 強 い こ とか ら 活 性 を 調 節 す る因 子 と し て 働 特 異 的 に架 橋 され て い る よ うに 思 わ れ る。 一 方, 球 状 層 活 性 に 影 響 を 与 え る こ とか ら, P-450_<SCC>がP-450_<11β>の では両細胞 層 ミ トコ ン ドリアにP-450_<SCC>の バン ドしか 観 察 され な い て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。 そ こ で, ウ シ副 腎 の各 細 にお い て は それ に 相 当す る もの は 観 察 され な い 。 図5b 3047 26 蛋 Database Center for Life Science Online Service 図5. 白 質 核 酸 酵 素 Vol. 37 No. 16 (1992) ミ トコ ン ドリア 内膜 に お け るP-450_<SCC>と の 架 橋 蛋 白 質 の 電 気 泳 動 に よ る解 析 架 橋 処 理 を 行 な った ミ トコ ン ドリア内 膜 (zG : 球 状 層, zFR : 束 ・網 状 層) か らP-450_<SCC>IgGを 結 合 さ せ た カ ラ ムに よ り遊 離 のP-450_<SCC>と 複 合 体 形 成 したP-450_<SCC>を 単 離 精 製 し, 架 橋 試 薬 分 子 内 の ジ ス ル フ ィ ド結 合 を 切 断 した の ち に 電 気 泳 動 を 行 な った (A : 銀 染 色, B : 免 疫 染 色)。 レーン1 : 未 処 理 ミ トコ ン ドリア 内 膜 画 分, 画 分, レー ン3 レ ー ン2 : 未 処 理 ミ トコ ン ド リア内 膜 か ら抗 体 カ ラ ムに よ り精 製 した : 架 橋 処 理 ミ トコ ン ドリア 内 膜 か ら抗 体 カ ラ ムに よ り精 製 した 。画 分 矢 印 上 : P-450_<SCC>, 矢 印 下 : P-450_<11β>。 の レー ン3で わ か る よ うに架 橋 処 理 を行 な った 束 ・網 状 子 レベ ル の発 現 調 節 を受 け て い る。 また, 層 ミ トコ ン ドリア で 見 られ た 低 分 子 量 の バン も 同様 な ア ル ドス テ ロン合 成 酵 素 が存 在 す る こ とが酵 素 ドはP- ヒ トにお い て 450_<11β>で あ る こ とを 示 して い る。両 層 にお い てP-450_<SCC> レベ ル お よび遺 伝 子 レベ ル で証 明 され て い る。 した が っ の バン ドは ほ ぼ 同 じ ぐ らい の強 さ に染 色 され て い るが, て, これ ら動 物 種 に お い ては 球 状 層 のみ に発 現 して い る P-450_<11β>は 明 らか に束 ・網 状 層 の ほ うが 強 く 染 色 さ れ ア ル ドス テ ロン合 成 酵 素 が ア ル ドス テ ロン の層 特 異 的 な て い る。 架 橋 実 験 に用 い た ミ トコン ドリア 内膜 小 胞 にお 産 生 を決 め て い る こ とは 明 らか であ る^<25,26)>。 これ ら の動 け るP-450の 物 に対 して ウシや ブ タ の副 腎 にお い て は, そ の よ うな2 配 向 性 を調 べ る と, 両 層 と もに90%以 上 が 外 側 に 存 在 して お り, 架 橋 反 応 の違 いが 内 膜 小 胞 の反 種 類 のP-450分 転 に 基 因 す る も の では な い と考 え られ る。 こ の よ うに両 的 に ア ル ドス テ ロ ン産 生 能 を有 す るP-450_<11β>の活 性 調 子 種 は い ま だ 確 認 され てお らず, 潜 在 細 胞 層 の ミ トコ ン ドリア 内膜 に お い てP-450_<SCC>とP- 節 に よ りア ル ドス テ ロ ンの層 特 異 的 な産 生 が起 こ っ て い 450_<11β>分 子 間 で架 橋 反 応 に違 い を生 ず る こ とは, P-450 る こ とが考 え られ る^<27∼30)>。 ウシ副 腎 で は リポ ソー ム反 応 分 子 種 間 で の相 互 作 用 の程 度 が両 細 胞 層 間 で異 な って い 系 を用 い た 解 析結 果か ら, P-450_<11β>がP-450_<SCC>と 複合 る こ とを 示す ひ とつ の証 拠 に な り うる。 体 を形 成 す るこ とに よ り, そ の代 謝 活 性 が著 し く影 響 を 受 け る こ とが 明 らか に な った 。 さ ら に, ミ トコン ドリア III. 内膜 を用 いたP-450_<SCC>に 対 す る抗 体 阻 害 お よび 架 橋 反 活性調節モデル 応 の実 験 か ら, 副 腎細 胞 層 に お い て ミ トコ ン ド リアP鉱 質 コ ル チ コイ ドで あ る ア ル ドス テ ロン は, 副 腎球 状 層 ミ トコ ン ド リア で のみ 特 異 的 に産 生 され る こ とが さ ま 450分 子種 間 で の 相互 作 用 に よ りP-450_<11β>のス テ ロイ ド代謝 活 性 が 調節 を 受 け て い る可 能 性 が示 唆 され た。 ざ まな 動 物 種 に お い て 明 らか に され て き た。 ラ ッ トで は 以 上 の結 果 か ら, ウ シ副 腎 にお け るP-450_<11β>に よる 球 状 層 で特 異 的 に発 現 した ア ル ドス テ ロ ン合 成 を触 媒 す ア ル ドス テ ロ ンの 層特 異 的 な活 性 調 節 の機 構 につ い て は るP-450が 子種 次 の よ うな解 釈 が可 能 であ る。 図6に 示 す よ うに, 球 状 の水 酸 化 の 層 の ミ トコ ン ドリア 内膜 で はP-450_<11β>はP-450_<SCC>と 単 離 精 製 さ れ た 。 この新 しいP-450分 のア ミノ酸 配 列 はDOCの11β 位 と18位 み を 触 媒 す るP-450_<11β>の構 造 と類 似 して い るが, 明ら か に 異 な る遺 伝 子 産 物 であ り, P-450_<11β>と は 異 な る遺 伝 3048 相互 作用 が 弱 い た め, ア ル ドス テ ロン生 成 反 応 を触 媒 で き る状 態 で機 能 して い る。一 方, 束 ・網 状 層 のP-450_<11β> アル ドステ ロン生合成 の分子機 構 27 研 究 か ら脂 質膜 上 で のP-450分 子 種 間 の相 互 作 用 が ア ル ドス テ ロン合 成 に 著 しい 影 響 を 与 え る こ とが 明 らか に な った こ とか ら, こ の膜 蛋 白 質間 の 相 互 作 用 に よ る活 性 の調 節が細 胞 外 ジ グナル によ るアル ドス テ ロン分 泌 の短 期 的促進 に関 与 レて い う可 能 性のひと つ と して 考 え られ る。 今 後, 培 養 細 胞 系 を 用 い た 実 験 に よ りアン ギ オ テ ン シンIIに よ る ア ル ドス テ ロ ン合 成 の 促 進 と ミ ト コン ドリ ア膜 にお け るP-450分 図6. ウ シ副 腎 細 胞 層 に お け るP-450分 DOC代 謝 活性 子 種 間 で の相 互 作 用 との関 連 性 を調 べ る こ とに よっ て, ウ シ副 腎 で の ア ンギ オ テ ン シン 子種の動態 と IIの短 期 効 果 の作 用 機 序 に お け る ブ ラッ グ ボ ッ クス が分 子 レベ ル で解 明 で き る こ とを 期 待 した い 。 はP-450_<SCC>と 複合 体 を形 成 して い る た め ア ル ドス テロ ン 生 成 反 応 が 抑 制 され, 糖 質 コル チ コイ ドを産 生 で き る 文 献 状 態 で機 能 して い る と考 え られ る。 こ の よ うに球 状 層 ミ Database Center for Life Science Online Service トコ ン ド リア で は, P-450_<11β>の 基 質 であ るDOCは 図1 1) に 示 した3段 階 の 水酸 化 を連 続 的 に受 け て ア ル ドス テ ロ ンに 変 換 さ れ るの に対 して, 束 ・網 状 層 ミ トコ ン ドリア で はDOCの 2) 大 部分 が コル チ コス テ ロン に変 換 され て ア ル ドス テ ロン生 成 は卸 制 を受 け て い る。 こ の よ うに ミ ト コ ン ド リア 膜 上 で のP-450分 子 種 間 の 相互 作 用 に よ り 3) P-450_<11β>の 代 謝 活 性 が 層 特 異 的 に 調 節 され て い る 可 能 性 が あ る。 この よ うな 脂 質膜 上 で の 異 な るP-450分 子 種 間 の相 互 作 用 に よ り, そ の酵 素 活 性 自身 が 制 御 を受 け る とい う現 象 はP-450の 新 しい 活 性調 節 機 構 と して 注 4) 5) 目に 値 す る。 6) 7) おわ りに 副 腎 球 状 層 で の ア ル ドス テ ロン の産 生 分 泌 は さ ま ざ まな 因 子 に よ り調 節 を受 け る こ とが 知 られ て い 8) る。 柴 田 ら^<13)>, 今 井 ら^<32)>は ラ ッ ト副 腎 に お け る アル ドス テ ロン合 成 酵 素 の発 現 量が アン ギ オ テン シンIIや カ リウ ム に よ り長 時 間 に影 響 を 受 け る こ とを 免 疫 プ ロ ッ ト法 と mRNAの 定 量 か ら解 析 して い る。 これ ら の因 子 に よ る 9) 10) ア ル ドス テ ロ ン合 成 促 進 の 長 期 的 効 果 は 明 らか に ア ル ド ス テ ロン合 成 酵 素 の遺 伝 子 レベ ル で の 発現 調 節 に 関 係 し た 現 象 と して理 解 で き る。 これ に 対 して, 培 養 細 胞 系 の 実 験 よ りア ンギ オテン シ ンIIが 球 状 層 細 胞 のア ノ ヒドス テ ロン分 泌 を10∼20分 11) 12) の短 時 間 に 著 し く促 進 す る こ とが 知 られ て い る。 小 島 ら^<33)>の 研 究 に よれば, アン ギ オ テ ン 13) シ ンIIが 球 状 層 細 胞 表 面 の レセ プタ ー に 結 合 し, 細 胞 内 セ カン ドメ ッセ ン ジ ャ ー と して の カル シ ウ ム濃度 が 変 動 す る こ とが 示 され て い るが, どの よ うな 機 構 に よ り細 胞 内 で の アル ドス テ ロ ン合 成 が 短 時 間 で 促 進 され るか は 依 然 未 解 決 の問 題 と して 残 され た ま まで あ る。 ウ シ副 腎 の 武 森 重 樹 ・小 南 思 郎 : チ ト ク ロ ムP-450, 学 出版 会 14) 東京大 (1990) Ruckpaul, K., Rein, H. 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