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ふるさと船坂 文化財散策マップ
ふるさと船坂 文化財散策マップ 〈上郡町教育委員会〉 ☆ はじめに ☆ 船坂地区は、安室川上流域にあって、船坂峠や山伏峠を越えて備前、さらに美作と通じる交通の要 地でもありました。銅剣が出土した別名遺跡をはじめ、外の地域との交流を示す文化財が多く、神 仏への信仰を示す文化財も多い中で、皆坂の地蔵像板碑や大峰山上講供養塔など、人々の往来に関 する石造物がのこされています。 -1- 1.山伏峠の国境碑 ※備前市吉永町 ◆ ✪ から北西約 4.6km ◆ 備前・美作の双方に通じる脇街道の峠頂に「従是西備前…」と刻まれた石碑が置かれています。 江戸時代に岡山藩が建てた国境の標石で、船坂峠にも同じものがのこります。 2.鳳 宮 池 ◆ ✪ から北西約 3.8km ◆ 元禄年間(1688~1704)、赤穂藩(浅野家)の築造と伝え られ、哀しい人柱伝説がのこります。 行頭から船坂までの 6 ヶ村の灌漑に利用されてきました。 鳳 宮 池 3.皆坂地蔵像板碑 ◆ ✪ から北西約 2.4km ◆ 【県文化財】 集落に祀られている地蔵像板碑は、銘文から、応永 13 年(1406)の造立とみられます。昭和 63 年 (1988) 、兵庫県の有形文化財(考古資料)に指定されています。山伏峠へ通じる脇街道を守護する 石仏です。 山伏峠の国境碑 皆坂地蔵像板碑 -2- 4.ノリヒサさんとノリムネさん ◆ ✪ から西約 4.0km ◆ 丘の上に宝篋印塔の「ノリヒサさん」、五輪 塔の「ノリムネさん」などの中世の石造物が 祀られています。「ノリヒサさん」は歯痛に 効くとされ、薬代わりに表面が削りとられて います。 「ノリヒサさん」 (右)と「ノリムネさん」 5.石 堂 丸 山 ◆ ✪ から南西約 6.0km ◆ かるかや 旧備前国との国境、標高約 422mの山頂にある岩で、謡曲「刈萱 」に登場する石堂丸が切腹したと 伝えられます。 わに くち 6.太 山 寺 鰐 口 ◆ ✪ から南西約 2.4km ◆ 【県文化財】 太山寺は行基開山と伝えられる真言宗の山岳寺院です。中世には山中に多くの坊院などが建ち並ん でいたようです。本堂に吊るされている鰐口には、応永 19 年(1412)の銘が刻まれています。昭和 45 年(1970) 、兵庫県の有形文化財(工芸品)に指定されています。周辺の叢林は、兵庫県の環境 緑地保全地域に指定されています。 太 山 寺 本 堂 太 山 寺 鰐 口 -3- 7.八 保 神 社 ◆ ✪ から西約 1.0km ◆ 『延喜式』 (927 年完成)に「式内社」として記された古社です。元禄年間(1688~1704)に現在地 へ移され、その後、赤穂藩(森家)に尊崇されました。 八 保 神 社 金 内 筆 塚 8.金 内 筆 塚 ◆ ✪ から南西約 1.2km ◆ 【町史跡】 幕末に、修験者の観音院観空(藤本観治)が開いた「観音院寺子屋」の門弟たちが、師を顕彰して 明治 2 年(1869)に建立しました。平成 3 年(1991)、上郡町の史跡に指定されています。 9.別 名 城 跡 ◆ ✪ から南約 0.7km ◆ 尾根上に多くの曲輪(平坦地)が のこります。規模の大きさから、 山陽道や山伏峠への脇街道など、 街道筋をにらむ戦国大名の築城 とみられます。 別名城跡遠望(北から) 10.別名遺跡(銅剣出土地) ◆ ✪ から南約 0.6km ◆ 昭和 33 年(1958) 、山裾で弥生時代の銅剣3本分が発見されました。祭祀用具として、祈願のた めに埋納されたとおもわれます。 -4- 11.栗原釈迦堂古墳公園 ◆ ✪ から南東約 1.1km ◆ 栗原釈迦堂 2 号墳の石室を復元・公開しています。横口式石槨と呼ばれる小型の石室で、7 世紀中 頃の築造の終末期古墳とみられます。 栗原釈迦堂古墳公園 大聖寺山城跡・北側の堀切 12.大聖寺山城跡 ◆ ✪ から北約 0.9km ◆ 赤松一族・安室氏の城と伝えられていますが、城跡は土塁や堀切、竪堀などを複雑に組み合わせて おり、戦国時代末頃の特徴がのこります。戦国大名による築城とおもわれます。 13.西方寺上の石造宝塔 ◆ ✪ から北東約 1.0km ◆ 【県文化財】 旧西方寺境内の五輪塔群の中央に置かれた石造宝塔は「モリナガさん」と呼ばれ、源 頼朝の側近・ 安達盛長の墓と伝えられます。塔身に永仁 6 年(1298)の銘が刻まれ、両脇の五輪塔もあわせ鎌倉 時代後期の作とおもわれます。建造物として兵庫県の有形文化財に指定されています。 石造宝塔(中央)と五輪塔群 -5- 14.鳳張1・2号墳 ◆ ✪ から北東約 1.4km ◆ 【県史跡】 1・2号墳とも墳丘と横穴式石室が良くのこっています。西側の 1 号墳は、玄室の奥壁に石棚を作 り付ける特異な構造で、7世紀前半の築造とみられます。平成 3 年(1991)、両墳とも兵庫県の史 跡に指定されています。 鳳張1号墳の石棚付石室 鳳張2号墳の墳丘・石室 15.大峰山上講供養塔 ◆ ✪ から南東約 1.2km ◆ 江戸時代、庶民の間で修験道の霊地・大峰山の 山上ヶ岳(奈良県吉野郡天川村)への登拝が盛 んになりました。この石塔には、 「大峯山中講供 養塔 当村講中」と銘が刻まれており、明和 6 年 (1769)、村人が結成した講による山上詣でが実 現したことを記念し建立されました。 大峰山上供養塔 -6-