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Ⅲ.2コンパスの使用

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Ⅲ.2コンパスの使用
Ⅲ.2コンパスの使用
この器具は、海上および地上の航行者すべてにとって必須のものであるが、それはまた山
岳を動き回る人間にとっても同様である。
Ⅲ.2.
1 説明
どのようなモデルであっても、コンパスは次の機能を有している。
●枠と軸
●度数やグレードやミルの目盛りの付いた可動式の円形文字盤
●文字盤の中心軸上にある可動の針、その針の枝の一方は磁気を帯びていて、それが磁北を
指し示す。
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磁北
偏角
真北
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方位決定
(図-51)
その照準の軸が真北を示すような位置に置かれた単純なコンパスの例。磁針は地理的北の左
の偏角上にある、そして磁北の方角を示している。
コンパスには幾つかのモデルがある。図-51で示されているものは、山岳に最も良く適合
している、「オリエンテーション・レース」タイプのコンパス。
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各種コンパスのモデルとその特徴について
○視準線と、文字盤の読み取りを可能にする取り外しできる鏡とを用いた、直接的な視準を
可能にしたモデル。(図-52の④)
○直接角度の読み取りが可能なモデル(図-52の①)
○地理的北に平行な直線、透明な枠と文字盤をもったモデル(図-51)
○夜に使用するために、夜光塗料で冷光を発する目印をそなえるモデル。
(図-52の⑤)
○障害物を迂回するための目印をそなえる(45°、90°の目印付き、図-52の⑤)
○斜面の勾配を見積もるための傾斜計をそなえる(図-52の②、③)
○調整可能の偏角の目印をそなえる(図-52の④)
図-52、各種コンパス
② Eclips 99 PRO
(米国、ブラントン社製)
最高位モデル、傾斜計、クリノ
メーターにも使用可能な高精度
モデル
1(
(1(
価格は約2万円
① コンパスグラス(日本、石神井計器製作所製)
トランシット感覚で使用できる。逆照準目盛り付きで価格は
¥18,900
⑤ レンザティックコンパス
(日本、YCM社製)
軍用のため、度とミル両表示
価格は、約5千円
③ プレシジョン
(ドイツ、エッシェンバッハ社製)
プロ仕様。傾斜計が付いている。
価格は約3万円
④ SUNTO MC2
(フィンランド、スント社製)
偏角補正機能、ミラー付き
価格は、約8千円
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3
方位決定
Ⅲ. 2.2 コンパスを用いて地図を基本方位 (真北) の向きに合わせる
●目盛りの付いた文字盤を、Nの表示(0°あるいは360°)とコンパスの軸とを並列さ
せるまで、回転させる
●コンパスの軸を地図の側面の縁に合わせる。
(コンパスの枠を地図の真北に合わせる)
。
●地図を、磁針が文字盤の磁北(偏角の照準)の上に来るまで、回転させる。
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(図-53)
(図-54)
コンパスの縁を置くために、地図の側面
コンパスを置くために、地図の内側の方眼
の縁を使うことができる場合
を使わなければならないか、あるいは、地
図の縁に平行に碁盤割を描かなければなら
ない場合
47
Ⅲ.2.
3 コンパスを用いて角度を計算する
原理は目盛りの付いた文字盤を分度器のように使うことである:
・地図上に描かれた碁盤割(Ⅱ.6 を参照)を用いる、あるいはあらかじめ作成された角
度の図面を用いる
基本方位のライン
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(図-54、室堂Aから一の越Bへ向う方位角は120°)
(注意)図-54の例の場合は、地図上に基本方位のラインが描かれていたら、コンパスの
磁針が必ずしも真北を指している必要はない。
碁盤割が描かれておらず、また地図上に角度を描くことを避ける場合は次のようにする。
①地図を基本方位(真北)の向きに合わせる。
②コンパスの縁をたどるべき方角上に置く。
③目盛りの付いた文字盤を、北の印(N)が磁針に向くまで、回転させる。
④固定された指針によって指し示される角度を読む。
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3
方位決定
Ⅲ.2.
4 視準によって地形上で方角を定める
角度の計算が地図上で行われたならば、次にはその角度を地形上にもたらすだけでよい。
これは、悪い視界の中を移動せねばならないとき(Ⅳ を参照)
、あるいは相次ぐ目標物によっ
て正確な同定を行わねばならないときに、地図の使用者が行う古典的な操作である。
コンパスの軸を両肩の線に直角に保ちながら、磁針が文字盤の磁北(偏角の照準)の上に
来るまで回る、そうすることで、コンパスの軸は計算された角度に対応していることによっ
て、たどるべき方角を示す。
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(図-55)
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Ⅲ.2.5 視準によって地形上で角度を読む
この操作はある特定の場合に利用することができる。
●ルートを訂正するか、あるいはより正確にするために。
(Ⅳ章を参照)
●現在地を確認するために。
それは以下のような仕方で行われる。
●コンパスの軸を両肩の線と直角に保ちながら視準を行う。
●そこで、目盛りの付いた文字盤を、磁北(偏角の照準)が磁針の向きに向くまで、回転さ
せる。
●次に、固定された指針(コンパスの軸)によって示される、視準の方角に対応する角度を
読む。
(注)
Ⅲ.2.6 地図上で現在地を同定する (後方交会法)
視界に幾つかの頂上があるだけで、目立った起伏のない地域においては、正確な現在地を
知る必要がある。
そのときは、遠くにある3つの頂上なり目印なりにむけて、3回の視準を行わねばならない。
ねらい定められた頂上ないし、目印の各々から、視準によって地図上にを方向線を描く。
現在地は、小さな三角形によって作られるのだが、こうして引かれた3本の直線の交点に見
出される。
(注)後方交会法(こうほうこうかいほう、クロスベアリング)
平板測量で行う交会法の一つで、求点に平板を整置し、3点以上の既知点を視準し方向線
を引き、その交点で求点の位置を求める方法です。他の交会法よりは精度が劣る。
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○コンパスによる頂上S1の照準角 = 11°
ᓠ
○コンパスによる頂上S2の照準角 = 62°
㸯㸯r
○コンパスによる頂上S3の照準 角= 104°
㸰ᓠ
r
㸴㸰
㹑㸯
㹑㸰
㸯㸮㸲r
㹑㸱
㸱ᓠ
(図-56、クロスベアリングの実際)
●現在地は地図上に引かれた3本の直線の交点である。実際には、現在地を取り囲む1つの
小さな三角形が得られる。
●正確な現在地はその三角形の中心にある。
●実際には、逆照準角(ピークから見た方位)を求め、偏差を加味した方位角に変換する。
その後に、地図上のピークからコンパスローズを使用して直線3本を引くことにより正確
な位置を求める。
注)コンパスローズとはバラの花に
似ていることからきている。
全円コンパスの中心に穴を開けそこ
から糸を出したものをこの場合は使
51
用している。
3
方位決定
(図-57)
Ⅲ.2.
7 等高線に接する直線によって現在地を知る技法
この技法は、際だった起伏のある地形上を視界なしに移動するときに、しばしば用いられ
る(Ⅳ章 を参照)。
次のような手順で進めていく:
ア、高度計によって高度を標定する(例えば4200m)
イ、水平の前進の角度を測定する、その角度はスキー(足にスキーをはいていれば)の方角
に対応する(例えば310°)
ウ、地図上にコンパスの軸を置くのだが、その向きは、地図の地理的北との関係で先に測定
された角度によって決まる 。( 図-57の①の位置)
エ、コンパスをその向きに並行に保ちながら滑らせて行き、現在地がその上にある等高線に
コンパスが接するまで持って行く。
( 図-57の②の位置)
オ、等高線とコンパスの縁との接点が現在地を決定する
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m
②
(図-57)
(注意)この操作は、高度差の多い地帯(傾斜の強い場所)で適しているが、あらかじめ碁
盤割を描かれた地図、あるいは「オリエンテーション・レース」タイプのコンパス(図-
51を参照)
、を持っていることを必要とする。
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