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資料1 (4)(PDF形式:2756KB)

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資料1 (4)(PDF形式:2756KB)
ISOではこれら試験方法について、相互に評価が可能となるようISO181
64をベースとして、欧・米・日のタイヤメーカーが中心となり、新たにISO2
8580を策定中である。昨年12月には最終規格案(FDIS)4が策定され、本
年8月には発行が予定されている。
なお、このFDISには、上記4つの試験方法についてその試験結果を比較可能
とするための手法として、基準試験機と対象試験機の相関性を求めるアライメント
タイヤが規定されている(参考資料1参照)。
(3)WP295(自動車基準調和世界フォーラム)
WP29は傘下に一つの運営委員会と六つの専門分科会を有し、分科会での技術
的、専門的検討を経た基準案の審議・採決を行っている。協定の加盟国は制定され
た技術基準を装置毎に任意に採用し、国内規則に反映することができる。
現在、WP29では、既にタイヤの転がり抵抗及びタイヤ空気圧監視システム(T
PMS)に関する国際基準の議論が進められている。
専門分科会のうち、GRB(騒音分科会)がタイヤの転がり抵抗を、GRRF(ブ
レーキ・走行装置分科会)がタイヤ空気圧モニタリングシステム(TPMS)6を取
り扱っており、日本も協定締約国として審議に参画。特にTPMSの技術要件に関
する議論については、データ提供等を含め、積極的な関与を行っている。
図14
4
5
6
自動車基準調和世界フォーラム組織図
現在、
各国からのコメントに基づき修正が行われており、
この後 FDIS が各国に照会され、
投票の結果、2/3 以上の賛成、かつ 1/4 以下の反対であれば、国際規格として発行される。
WP29(自動車基準調和世界フォーラム)は、UN/ECE(国連欧州経済委員会)の
下に、自動車および自動車部品の安全・環境基準の国際的な調和や、相互認証の導入を図
ることを目的として設置。欧州各国、欧州連合、米 加、豪、南ア、中、韓 等がメンバ
ーとなっており、日本も1977年から参加。
タイヤ空気圧モニタリングシステム(TPMS)とは、タイヤの空気圧又はホイールスピ
ードをセンサーで検知し、空気圧の低下をドライバーに警告する装置。詳細は参考資料2
を参照
10
ECE規則の国内規則への採用は任意であるが、より高度な安全・環境基準の国際
共有化、認証の相互承認による認証明のコスト軽減等による安全で環境性能の高い
自動車の安価な普及を促進するとの観点から、日本はこれまで積極的に多くの規則
を採用している。
転がり抵抗については、将来のタイヤ転がり抵抗規制のECE規則への導入議
論に備えるため、タイヤの型式指定時に転がり抵抗性能を測定しデータ収集を行
うこととする旨の提案について、GRBで審議予定である。
タイヤ空気圧モニタリングシステムについては、2007年11月より、GRR
Fに非公式会合を設置し、ECE規則においてTPMSの技術基準(感知方式(直
接式/間接式)、警報発出の閾値など)を定めるための議論を行ってきた。既に非公
式会合での議論は終了しており、現在、WP29での規則採決に向け、GRRFで
審議中である。
(4)欧州の規制動向
欧州では、CO2排出量削減の目標達成に向けて、新車に対してCO2排出上限
を設ける規制を検討している。EUでの規則案の検討状況は以下のとおり。
○2007 年 12 月 7 日付欧州委員会による規則案
新車からの平均 CO2 排出量を 2012 年までに 120g/km まで削減する。
130g/km までの削減は自動車本体の技術向上によって達成されなければ
ならない。
更なる 10g/km の削減は高効率タイヤ等の導入を含む補完的な方法によ
って実現されなければならない。
○2008 年 5 月 23 日付欧州委員会による規則案
自動車の安全性と環境性能の向上を目的として、低転がり抵抗タイヤ
(LRRT)を 2012 年から義務付け(安全性を犠牲にした低転がり抵抗化が進むこ
とを防ぐため、安全に関する要件もあわせて導入)
タイヤ空気圧モニタリングシステム(TPMS)を 2012 年から義務付け
○2008 年 12 月 1 日に欧州閣僚理事会と欧州議会は規制案の修正に合意。
・長期的目標設定
2020 年までに、新車の平均 CO2 排出量を 95g/km とすることを目標とする。
・目標達成のフェーズ分け
平均 CO2 排出量 120g/km の達成を、2012 年 1 月までに 65%、2013 年 1 月
までに 75%、2014 年 1 月までに 80%、2015 年から 100%と段階的に実施す
る。
欧州議会の規制案では、タイヤ空気圧モニタリングシステムは 2012 年から義務付
けることとしており、タイヤの転がり抵抗については、乗用車等の車両の種別ごと
にタイヤの転がり抵抗に上限値を設けることも検討している。また、これに併せて
ラベリング制度を検討中であり、昨年11月に発表されたタイヤラベリングの原案
11
では、タイヤの転がり性能に加えて、ウェットグリップ性能(参考資料2参照)、騒
音の指標も表示している。
図15
ECの転がり抵抗規制案
転がり抵抗係数 (×10-3)
上限値
タイヤカテゴリ
1ステージ
(2012年10月)
2ステージ
(2016年10月)
騒音 dB (A)
上限値
ウェット
下限値
ECE
(R117)
適用
乗用車用タイヤ
(PC)
Class C1
12.0
10.5
現行規制対比
▲1~3dB(A)
例外規定有
小形トラック用
タイヤ (LT)
Class C2
10.5
9.0
現行規制対比
▲2~3dB(A)
例外規定有
トラック・バス用
タイヤ (TB)
Class C3
8.0
7.0
現行規制対比
▲2~3dB(A)
例外規定有
適用外
(試験法がで
きたら導入を
考える)
出典:社団法人日本自動車タイヤ協会
図16
ECの転がり抵抗及びウェットグリップグレーディング案
出典:社団法人日本自動車タイヤ協会
COMMISSION OF THE EUROPEAN COMMUNITIES 資料より引用
図17
EUによるタイヤの性能ラベリング案
出典:社団法人日本自動車タイヤ協会
COMMISSION OF THE EUROPEAN COMMUNITIES 資料より引用
12
(5)米国の規制動向
米国ではTPMSについて、タイヤのリコール問題に端を発して、2000 年に制定
された TREAD 法( Transportation Recall Enhancement Accountability and
Document Act)に基づき、2005 年 10 月から段階的に装着を義務化し、2007 年 9
月から米国で販売する全ての車両にTPMSの装着を義務づけている。
また、2007 年 12 月に米国連邦議会は、「2007 年エネルギー 自給・安全保障法
(the Energy Independence and Security Act of 2007)
」を制定し、大統領による署
名を得ている。この法律により、消費者タイヤ情報プログラムが作成されている。
プログラムに示された要項については以下のとおり。
・ 交換用タイヤについて、消費者にエネルギー効率グレードの情報を提供するシ
ステム
・ タイヤ効率の試験方法の仕様
・ 車両の燃費と安全を最適化するための、タイヤ適正空気圧管理、タイヤローテ
ーション、ホイールアライメントおよびトレッド摩耗に関する消費者向けのタ
イヤメンテナンス教育プログラム
なお、これらの要項を実施する法規制は、2009 年 12 月までに最終決定されなけ
ればならないとしている。
5.低燃費タイヤ等の普及促進に向けた課題と具体的対策について
(1)転がり抵抗の試験方法の策定について
タイヤの転がり抵抗については、4.
(2)で述べたように ISO において、具体的
な試験方法の最終規格案が策定されているところである。我が国においては、国際
規格の ISO 規格と整合を図る方向で、社団法人日本自動車タイヤ協会(JATMA)
に設置された原案作成委員会において JIS 化の検討を平成 21 年2月から開始してい
る。これに関しては、以下のような指摘がある。
【試験方法】
試験方法の違いに伴う試験結果の相関性を確保すべき。
具体的な試験方法については、4.
(2)に示した4つの試験方法及びその試験結
果の相関性について、国際的整合性及び上記の指摘を踏まえつつ、JIS化の検討
を行うこととする。なお、具体的なスケジュールについては、以下を予定している7。
平成 21 年 5 月頃
平成 21 年 9 月頃
平成 21 年 9∼10 月頃
平成 21 年12月末
7
JATMA における原案の最終取りまとめ
日本工業標準調査会化学技術専門委員会審議
WTO/TBT協定に基づく意見受付
経済産業大臣名でJIS制定公示(予定)
ただし、ISO策定の進捗スケジュールによっては、予定は変更される可能性がある。
13
(2)低燃費タイヤのラベリングについて
前項に記した試験方法策定の取り組みを着実に進め、併せて具体的なラベリング
制度を構築する必要がある。この際、以下のような指摘がある。
【ラベリング】
消費者の判断材料となるラベリングは重要。
性能表示にあたってはタイヤの転がり抵抗の低減だけを求めることにな
らないよう安全性(ウェットグリップ)の観点についても配慮した表示と
すべき。
タイヤの環境性能は、単に省エネ性だけでは決められない。低燃費だけで
全ての面で環境配慮製品と誤解を招かないよう配慮が必要。
転がり抵抗値を定め、一定以下のものを低燃費タイヤとすべき。
ラベリングについては消費者への適切な情報提供という観点から非常に重要とな
る。その実施に当たっては、表示の妥当性、信憑性の確保とともに、試験方法の策
定を踏まえた可能な限りの早期実施が望まれる。
また、ラベリングの重要な視点はその分かりやすさと表示事項の的確さである。
過度に転がり抵抗の低減を助長することないよう、表示内容及び表現方法について
は慎重に検討を行う必要がある。特に転がり抵抗と密接な関係にあるウェット性能
については、少なくとも安全性の面から十分な性能が確保されていることが確認で
きるようラベル表示を行うこととする。
具体的なグレーディングの方法については、今後タイヤ業界(社団法人日本自動
車タイヤ協会)で検討し、遅くとも本年12月末までにグレーディング案を策定し、
協議会に提案する。
このグレーディング方法に基づき、具体的なラベリング(表示方法)については、
タイヤ業界(社団法人日本自動車タイヤ協会)が、業界自主基準として策定し同じ
く本年12月末までに公表するとともに、タイヤメーカー各社は、平成22年以降
カタログ等での表示を開始し、消費者への情報提供を行うこととする。なお、景品
表示法に基づく公正競争規約及び規則では、タイヤの転がり抵抗等の表示に関する
規定を設けることによって、その表示にかかる詳細なデータを各タイヤメーカーか
らタイヤ公正取引協議会あてに提出させることを予定している。この仕組みの下で、
仮に表示に虚偽等あれば、タイヤメーカーは景品表示法上の不当表示に問われるこ
ととなるため、表示内容について信頼性は十分に確保される。
(3)タイヤの空気圧管理について
タイヤの空気圧管理については、既に使用されている自動車(ストック)に対す
る対策と、新車へのタイヤ空気圧モニタリング装着という2つの視点がある。スト
ックに対する対策については、次項で述べる普及啓発を中心とした活動が重要とな
ってくる。
新車への対策としては、海外においてタイヤ空気圧モニタリングシステム(TP
MS)装着が進展しつつあり、こうした動きについて以下のとおり指摘がある。
米国では既に義務化され、欧州においてもTPMSの装着義務化が検討さ
14
れており、日本においても対応の検討が必要。
TPMSの装着については先に述べたようにWP29においても議論が進展しつ
つあり、こうした状況も踏まえる必要がある。一方、我が国では、欧米諸国に比し
て空気圧管理が比較的適正に行われていることから、装置の義務化によるコスト増
も含め、政策の費用対効果についても検討する必要がある。具体的には、本年12
月を目途に、最新の空気圧の管理状況等を調査し、費用対効果等について十分に検
証した上で、新車へのタイヤ空気圧モニタリングシステム装着義務化の要否につい
ての検討結果を協議会に報告することとする。
(4)低燃費タイヤ等の普及広報について
タイヤの転がり抵抗や空気圧が自動車の燃費に与える影響については、以下の指
摘にもあるとおり、まだ消費者への周知が十分とは言える状況にはない。
エコドライブは浸透しつつあるが、タイヤとエネルギーロスの関係はまだ
一般的に理解されておらず、普及広報を強化すべき。
自動車のドライバーだけでなく、一般消費者全般が公共交通機関や物流等
に関わっており、タイヤによる省エネが日常生活の様々な面で環境負荷の
低減につながることを広報すべき。
低燃費だけでなく、安全性との関連についても理解をできるようにわかり
やすく周知するよう配慮すべき。
これまでのエコドライブの一部として進めてきた広報活動や、関係省庁、自動車
業界、タイヤ業界、また関係各社でもこうしたタイヤに関する普及啓発を行ってい
るが、各者各様の普及活動では限界が生じる。一方で、新たに低燃費タイヤ等につ
いて、本協議会に参加する関係者一体となった消費者への普及啓発を行うこととす
れば、効果的・効率的な情報提供が可能である。
低燃費タイヤの普及広報に関しては、その広報内容の観点から、空気圧の適正管
理のような、ドライバーを中心としたものと、タイヤと燃費の関係など、広く一般
消費者の理解を深めるためのものとに分けることができる。
空気圧の適正管理についてはエコドライブの講習会・教習会や、4月8日の「タ
イヤの日」に実施している全国の点検・広報活動(参考資料4参照)など、これま
での活動を中心に、関係者が一層連携して行うことが、より深い理解を増進するた
めにも重要である。
一方、一般消費者全般がタイヤについて理解を深めるためには、転がり抵抗のラ
ベリングのように視覚的に理解しやすく、関心を示しやすい情報とともにタイヤと
燃費の関係についての情報を提供することが重要になる。このため具体的な活動に
ついては、ラベリングについての(社)日本自動車タイヤ協会の検討結果を踏まえ
て、その公表後に実施することが適当と考えられる。
15
6.おわりに
我が国の自動車燃費対策は、省エネ法に基づくトップランナー方式による燃費規
制や優遇税制等の支援措置、そして、これら制度の中で自動車の製造事業者が弛ま
ぬ努力を続けることで世界的にも高い水準の自動車燃費を達成している。
このため、さらなる対策を講じていく上では、特にストックとなっている自動車
への対応は欠くことができない。昨年の原油価格高騰により、自動車の燃費やエコ
ドライブへの関心が高まったが、こうした自動車燃費に対する意識向上の機運を継
続的に高めていく観点からも、今般、低燃費タイヤ等について関係者が一堂に会し、
今後の取り組みについて検討、取りまとめを行ったことは非常に有意義であった。
特にラベリング制度によるタイヤの燃費性能の「見える化」が進展することによ
り、省エネに向けた大きな効果が期待できるため、ラベリング制度が着実に実行に
移されるよう、関係者のご尽力を期待したい。
また、タイヤによる省エネという観点を通じ、自動車の燃費に対する意識を広く
国民一般に展開していくためには、普及啓発の取り組みが大きな鍵である。
タイヤに関する具体的な対策実施に関しては、今回の取りまとめがキックオフで
あり、今後、さらに議論を深め、着実な実施に結びつけることにより、トップラン
ナー制度同様、世界に誇る省エネルギー対策を推進すべきである。
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