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温度補償回路内蔵X帯MMIC電力増幅器(PDF:29.6KB)
特集論文 温度補償回路内蔵 X帯MMIC電力増幅器 山内和久* 伊山義忠** 山口真美子*** 池田幸夫* 高木 直+ 要 旨 電力増幅器には低消費電力,広帯域な特性が求められる まれる。 そこで,温度補償回路をMMIC(Microwave Monolithic とともに,環境温度の変化に対して利得が安定であること が求められている。GaAs FET(Field Effect Transistor) IC)増幅器内部に一体形成することで,温度に対する利得 電力増幅器の利得は,温度によって大きく変化し,温度の を一定に保つ機能を持つX帯MMIC電力増幅器を設計し試 上昇に対して利得が低下する特性を持ち,多段増幅器では 作した。この温度補償回路は,ダイオードと抵抗で構成さ 通常数dBの利得変化がある。その結果,温度によって増 れており,ダイオードのスレッショルド電圧が温度の上昇 幅器の出力電力が大きく変化する。そこで,増幅器の利得 に対して低下する特性を利用している。この温度補償回路 変化を小さくするために温度センサを用いたアッテネータ をX帯4段電力増幅器に適用した。測定の結果,この温度 の制御やドレイン電流の制御が行われているが,増幅器モ 補償回路を用いることで,−10∼+80℃における利得変化 ジュールが大型化する問題点があった。増幅器モジュール 量を5.5dBから1.3dBに抑圧でき,温度補償回路が有効に動 の小型化には,増幅器自体が温度補償機能を持つことが望 作していることを確認した。 3.7mm ダイオードのスレッショルド電圧が 温度上昇に対して低下する特性を利用 温度補償回路 3.4mm Vgc Vg RF IN RF OUT 40 40 35 35 30 30 25 Gain (dB) Gain (dB) Vr R :80℃ :25℃ :−10℃ 20 15 10 :80℃ :25℃ :−10℃ 20 15 10 温度補償回路なし 5 0 25 温度補償回路あり 5 6 7 8 9 10 0 11 6 7 f(GHz) 8 9 10 11 f(GHz) −10∼+80℃における利得変化量 5.5dB 1.3dB 温度補償回路によるMMIC電力増幅器の温度に対する利得変動の改善 ダイオードと抵抗で構成される温度補償回路をMMIC増幅器内部に一体形成することで,温度に対する利得を一定に保つ機能を持つX帯 MMIC電力増幅器を設計し試作した。この温度補償回路は,ダイオードのスレッショルド電圧が温度の上昇に対して低下する特性を利用し,増 幅器のゲート電圧を温度によって制御することで,利得変化を抑圧している。測定の結果,−10∼+80℃における利得変化量を5.5dBから1.3dB に抑圧できた。 * 情報技術総合研究所 +同研究所(工博) ** 鎌倉製作所(工博) *** 高周波光素子事業統括部 51 (153)